(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008143
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】積層体、蓋体、包装体及び包装物品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20240112BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240112BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240112BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B32B27/36
B65D65/40 D
B32B27/32 Z
B32B27/00 A
B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109745
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕之
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086AD24
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3E086CA28
4F100AB10B
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4F100YY00D
4F100YY00E
(57)【要約】
【課題】 包装材料として使用され、遮光性を有するバリア層と印刷層とシーラント層とをこの順序で備えた積層体において、耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質によるラミネート強度の低下並びに上記印刷層の滲み発生が抑制された積層体、これを用いた蓋体、包装体及び包装物品を提供する。
【解決手段】 第1基材層11と、バリア層14と、印刷層16と、第2基材層17と、シーラント層19とをこの順序で備えた積層体1が提供される。積層体1において、バリア層14は、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムを含み、第2基材層17は、ポリエステル樹脂を含み、且つ、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内にあり、シーラント層19は、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層、もしくは未延伸のポリプロピレン系樹脂層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層と、バリア層と、印刷層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順序で備え、前記バリア層は、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムを含み、前記第2基材層は、ポリエステル樹脂を含み、且つ、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内にあり、前記シーラント層は、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層、もしくは未延伸のポリプロピレン系樹脂層を含む積層体。
【請求項2】
前記シーラント層側から前記印刷層を視認可能である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第2基材層と前記シーラント層との間に接着層を更に備え、前記接着層は面積当たりの質量が2.5乃至10.0g/m2の範囲内にある請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
蓋材用である請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体を含んだ蓋体。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体を含んだ包装体。
【請求項7】
前記包装体は少なくとも一部に透明部分を含み、前記透明部分を介して前記包装体の外側から前記印刷層を視認可能である請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
請求項7に記載の包装体と、これに包装された内容物とを含んだ包装物品。
【請求項9】
開口を有する容器本体と、前記開口を覆う請求項5に記載の蓋体とを備えた包装体。
【請求項10】
前記容器本体は少なくとも一部に透明部分を含み、前記透明部分を介して前記容器本体の外側から前記印刷層を視認可能である請求項9に記載の包装体。
【請求項11】
請求項10に記載の包装体と、これに包装された内容物とを含んだ包装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、蓋体、包装体及び包装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品などの包装に使用する積層体には、低吸着性素材であるポリアクリロニトリル系樹脂がシーラント層に用いられてきた。しかしながら、この樹脂は安定した調達が困難であり、近年では、環状ポリオレフィン系樹脂が代替材料としてシーラント層に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、包装材料により包装される内容物が、アルコール、湿布剤成分、浴用剤の香料、あるいは各種殺菌剤などの強浸透性物質を含有する場合、長期の保存中に強浸透性物質が包装材料である積層体に浸透する問題がある。
【0004】
包装材料を構成する積層体は、通常、ガスバリア性を有するバリア層を含んでいる。このような積層体に浸透した強浸透性物質は、バリア層とシーラント層との間でトラップされ、バリア層とシーラント層間の接着層を溶解してしまい、ラミネート強度の低下を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
強浸透性物質が包装材料に浸透することによる問題は、上掲で指摘したラミネート強度の低下だけではない。すなわち、包装材料を構成する積層体の構造によっては、更なる問題がある。
【0007】
例えば、蓋材に使用される積層体は、シーラント層側から印刷層を視認できることが求められることがあり、そのような積層体は、遮光性を有するバリア層とシーラント層との間に、印刷層が設けられた構造を有する。このような構造を有する積層体からなる包装材料に、内容物に由来する強浸透性物質が浸透すると、ラミネート強度が低下することに加え、バリア層とシーラント層との間に含まれる上記印刷層に滲みを生じ、シーラント層側からの印刷層の視認性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、包装材料として使用され、遮光性を有するバリア層と印刷層とシーラント層とをこの順序で備えた積層体において、耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質によるラミネート強度の低下並びに上記印刷層の滲み発生が抑制された積層体、これを用いた蓋体、包装体及び包装物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、第1基材層と、バリア層と、印刷層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順序で備え、上記バリア層は、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムを含み、上記第2基材層は、ポリエステル樹脂を含み、且つ、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内にあり、上記シーラント層は、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層、もしくは未延伸のポリプロピレン系樹脂層を含む積層体が提供される。
【0010】
本発明の他の側面によると、上記シーラント層側から上記印刷層を視認可能である上記側面に記載の積層体が提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、上記第2基材層と上記シーラント層との間に接着層を更に備え、上記接着層は面積当たりの質量が2.5乃至10.0g/m2の範囲内にある上記側面の何れかに記載の積層体が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、蓋材用である上記側面の何れかに記載の積層体が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに記載の積層体を含んだ蓋体が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに記載の積層体を含んだ包装体が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、上記包装体は少なくとも一部に透明部分を含み、上記透明部分を介して上記包装体の外側から上記印刷層を視認可能である上記側面に記載の包装体が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに記載の包装体と、これに包装された内容物とを含んだ包装物品が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、開口を有する容器本体と、上記開口を覆う上記側面に記載の蓋体とを備えた包装体が提供される。
【0018】
本発明の更に他の側面によると、上記容器本体は少なくとも一部に透明部分を含み、上記透明部分を介して上記容器本体の外側から上記印刷層を視認可能である上記側面に記載の包装体が提供される。
【0019】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに記載の包装体と、これに包装された内容物とを含んだ包装物品が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、包装材料として使用され、遮光性を有するバリア層と印刷層とシーラント層とをこの順序で備えた積層体において、耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質によるラミネート強度の低下並びに印刷層の滲み発生が抑制された積層体、これを用いた蓋体、包装体及び包装物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層体の一例を概略的に示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、一変形例に係る積層体を概略的に示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3実施形態に係る包装体の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0023】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0024】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0025】
<1>第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層体の一例を概略的に示す部分断面図である。
図1に示す積層体1は、第1基材層11と、バリア層14と、印刷層16と、第2基材層17と、シーラント層19とをこの順序で備える。積層体1において、バリア層14は遮光性を有し、且つ、シーラント層19側から印刷層16を視認可能である。積層体1において、印刷層16とシーラント層19との間に、特定の材料と厚みからなる第2基材層17が介在している。この第2基材層17の介在により、強浸透性物質による印刷層16の滲み発生の抑制と、積層体1におけるラミネート強度低下の抑制を可能としている。
積層体1が含んでいる各層について、以下に説明する。
【0026】
(第1基材層)
第1基材層11は、例えば、紙、樹脂フィルム又はそれらの組み合わせである。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、又はセロハンを使用することができる。
【0027】
樹脂フィルムは、積層体1に機械的強度を付与する観点からは、延伸されたフィルムとすることができる。第1基材層11として一軸または二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を含むことは、腰強度が高い積層体1を得る上で有利である。
【0028】
第1基材層11の厚さは、一例によれば、3μm以上200μm以下の範囲内にあり、他の例によれば、6μm以上30μm以下の範囲内にある。
【0029】
第1基材層11の主面には、用途に応じて図示しない印刷層を設けてもよい。印刷層は、第1基材層11の2つの主面のうち、バリア層14側の主面に設けてもよく、その裏面に設けてもよく、それらの双方に設けてもよい。
【0030】
(バリア層)
バリア層14は、水蒸気や酸素等の気体の透過性を低減させるガスバリア性を有する層である。バリア層14は、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムを含み、遮光性を有する。
【0031】
アルミニウム箔の厚さは、一例によれば、3μm以上200μm以下の範囲内にあり、他の例によれば、5μm以上100μm以下の範囲内にある。アルミニウム箔が薄すぎると、基材と貼り合わせる際の取り扱いが困難である。一方、アルミニウム箔は、一定の厚さ以上ではバリア性の向上が見込めずコスト高となり、包装材料としても柔軟性が劣ってくる傾向となり扱いづらいものとなる。
【0032】
アルミニウム蒸着フィルムは、第1樹脂層の上にアルミニウム層を蒸着したフィルムである。第1樹脂層は、例えば、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、二軸延伸されたナイロンフィルム又は二軸延伸されたポリプロピレンフィルムである。なお、第1樹脂層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)は、アルミニウム層との組み合わせにおいてバリア層14を構成し、このPETのみからなるものはバリア層14から除外される。
【0033】
アルミニウム蒸着フィルムを構成する第1樹脂層の厚さは、特に制限される訳ではないが、一例によれば、3μm以上200μm以下の範囲内にあり、他の例によれば、6μm以上30μm以下の範囲内にある。アルミニウム蒸着層の厚さは、一例によれば、5nm以上100nm以下の範囲内にある。アルミニウム蒸着層が薄すぎると、十分に水蒸気及び酸素等の気体の侵入を防ぐことができない可能性がある。一方、厚いアルミニウム蒸着層は、コスト高となるばかりでなく、蒸着層にクラックが入りやすくなるなりバリア性の低下に繋がる懸念がある。
【0034】
バリア層14は、例えば、図示しない接着層を介して第1基材層11の一方の主面上にドライラミネートされてよい。接着層としては、ドライラミネート用接着剤として一般的に使用される二液硬化型ウレタン系接着剤などを使用することができ、グラビアコート法、ロールコート法などの公知の塗布方法を利用することができる。
【0035】
(印刷層)
印刷層16は、積層体1、又は積層体1含む蓋体、包装体もしくは包装物品を、商業製品として実用に供するために形成される層である。印刷層16は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、及び塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダ樹脂に各種顔料、体質顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤等の添加剤が添加されているインキにより構成される層であって、文字及び絵柄等のパターンを表示している。印刷層16は、例えば、第2基材層17の一方の主面上に形成することができる。印刷層16の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、及びグラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。
【0036】
印刷層16の厚さは、特に限定されるものではなく、一例によれば、0.1μm以上5μm以下の範囲内にあり、他の例によれば、0.2μm以上1μm以下の範囲内にある。
【0037】
(第2基材層)
第2基材層17は、ポリエステル樹脂を含有するポリエステル系樹脂層であり、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内にある。積層体1において、特定の材料及び膜厚からなる第2基材層17が、バリア層14/印刷層16/第2基材層17/シーラント層19の順序でラミネートされることにより、シーラント層19側から浸透してくる強浸透性物質のアタックに対し、一部をトラップし、一部を浸透させる機能(以下において、「強浸透性物質に対する分散機能」などともいう。)を発揮する。その結果、強浸透性物質による印刷層16の視認性の低下と、デラミネーション(剥離)の発生が抑制される。
【0038】
すなわち、第2基材層17が有する上記分散機能により、シーラント層19側から浸透してくる強浸透性物質の一部が第2基材層17に浸透して逃がされる。その結果、シーラント層19と第2基材層17との間に過剰の強浸透性物質がトラップされることによるデラミネーションの発生が抑制される。例えば、ポリエステル系樹脂層からなる第2基材層17に替えて、ガスバリア性能の高いバリア層(例えば、酸化ケイ素膜等を備えた透明無機蒸着膜)を使用した場合、あるいは膜厚が50μmより厚いポリエステル系樹脂層を使用した場合、シーラント層17とこの代替層との間にトラップされた強浸透性物質によりデラミネーションを生じやすい。
【0039】
更に、第2基材層17が有する上記分散機能により、一部の強浸透性物質が第2基材層17によりトラップされる。その結果、残部の強浸透性物質が第2基材層17に浸透し、更に印刷層16に到達することが効果的に低減され、印刷層16における滲みの発生が抑制される。例えば、ポリエステル系樹脂層からなる第2基材層17に替えて、ポリエチレンフィルムを使用した場合、ポリエチレンフィルムが有する強浸透性物質に対するバリア性が低いため、強浸透性物質が印刷層16に到達して滲みを生じやすい。
【0040】
第2基材層17は、強浸透性物質に対する分散機能を発揮するために、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内にあり、好ましくは6μm以上30μm以下の範囲内にある。すなわち、第2基材層17の厚みが厚すぎる場合、過剰の強浸透性物質がシーラント層19と第2基材層17との間にトラップされ、デラミネーションが生じやすくなる。一方、第2基材層17の厚みが薄すぎる場合、過剰の強浸透性物質が印刷層16に到達して滲みが生じやすくなる。また、第2基材層17の厚みが薄すぎる場合、印刷層16を第2基材層17の一方の主面上に形成する際に、第2基材層17が破壊されやすくなり、生産性に欠ける場合がある。
【0041】
第2基材層17に含まれるポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂として、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
第2基材層17は、強浸透性物質に対する分散機能を損なわない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤等の添加剤を含むことができる。
【0043】
第2基材層17は、例えば、その一方の主面上に形成された印刷層16が、図示しない接着層を介してバリア層14の主面のうち第1基材層11とは反対側の主面上にドライラミネートされてよい。接着層としては、ドライラミネート用接着剤として一般的に使用される二液硬化型ウレタン系接着剤などを使用することができ、グラビアコート法、ロールコート法などの公知の塗布方法を利用することができる。
【0044】
<シーラント層>
シーラント層19は、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層、もしくは未延伸のポリプロピレン系樹脂層を含む。シーラント層19は、積層体1にヒートシール性を付与するのに加え、積層体1の非吸着性を高める役割を担っている。
【0045】
シーラント層19は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、シーラント層19は、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層からなる単層構造であってもよいし、延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層と、他の樹脂層とを備えた多層構造であってもよい。また、シーラント層19は、未延伸のポリプロピレン系樹脂層からなる単層構造であってもよいし、未延伸のポリプロピレン系樹脂層と、他の樹脂層とを備えた多層構造であってもよい。他の樹脂層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
【0046】
(延伸又は未延伸の環状オレフィン系樹脂層)
環状オレフィン系樹脂層が含む環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンをメタセシス開環重合反応によって重合させた開環メタセシス重合体(COP)、環状オレフィンとα-オレフィン(鎖状オレフィン)との共重合体、即ち、環状オレフィンコポリマー(COC)、又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0047】
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合及びビシクロ環を有する任意の環状炭化水素を使用することができる。環状オレフィンは、特には、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)骨格を有するものが好ましい。
【0048】
ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンから得られる環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体を使用することができる。そのような開環メタセシス重合体の市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ZEONOR(ゼオノア;登録商標)」が挙げられる。ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンから得られる環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系環状オレフィンコポリマーを使用することができる。そのような環状オレフィンコポリマーの市販品としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル(登録商標)」、及び、TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbHが製造し、ポリプラスチックス株式会社が販売している「TOPAS(登録商標)」が挙げられる。
【0049】
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、メタロセン触媒を使用してエチレンとノルボルネンを共重合した共重合体である環状オレフィンコポリマーを好適に用いることができる。環状ポリオレフィンコポリマーは、環状オレフィンポリマーと同等の非吸着性を備え、かつ、安価に入手可能である。メタロセン触媒を使用してエチレンとノルボルネンを共重合した共重合体としては、式(a)で表される繰り返し単位と式(b)で表される繰り返し単位とを含む共重合体を用いることができる。そのような環状オレフィン系樹脂
の市販品としては、例えば、TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbHが製造し、ポリプラスチックス株式会社が販売している「TOPAS(登録商標)」が挙げられる。
【0050】
【0051】
好適な環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度が、例えば、60℃乃至100℃の範囲内にある。
【0052】
シーラント層19は、添加剤を更に含むことができる。添加剤は、例えば、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、及び着色剤の1以上である。滑剤としては、例えば、高級脂肪酸金属塩、脂肪族アルコール、ポリグリコール、トリグリセリド、ワックス、フェノール系化合物、又は、それらの1以上を含んだ混合物を、加工性を改善する目的で好適に使用することができる。ワックスは、天然由来のワックス、例えば、モンタンワックスなどの鉱物系ワックスであってもよく、ポリエチレンワックスなどの合成ワックスであってもよい。
【0053】
シーラント層19が含む環状オレフィン系樹脂層は、延伸フィルムであってもよいし、未延伸フィルムであってもよい。環状オレフィン系樹脂層が延伸フィルムである場合、引張伸び率及び突き刺し強度が高い。このため靭性を考慮すると、シーラント層19が含む環状オレフィン系樹脂層は、延伸フィルムであることが好ましい。
【0054】
(未延伸のポリプロピレン系樹脂層)
シーラント層19が含むポリプロピレン系樹脂層は、未延伸フィルムである。ここで「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
【0055】
ポリプロピレン系樹脂層が含むポリプロピレン系樹脂は、プロピレンホモポリマー(プロピレン単独重合体)であってもよく、プロピレンコポリマー(プロピレン系共重合体)であってもよい。
【0056】
コポリマーにおいて、プロピレンと共重合可能なモノマー(共重合性モノマー)としては、例えば、α-オレフィン(エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどのα-C2-20オレフィン)、アルカジエン(1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエンなどの非共役アルカジエン、ブタジエン、イソプレンなどの共役アルカジエンなど)、エチレン系不飽和カルボン酸及びその酸無水物[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸など]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートなど]、カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステルなど)などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのモノマーうち、エチレンや1-ブテンなどのα-C2-6オレフィンが汎用される。
【0057】
共重合体の形態としては、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合、グラフト共重合などが挙げられる。これらのうち、通常、ランダム共重合、交互共重合である。
【0058】
ポリプロピレン系樹脂層において、プロピレン(プロピレン単位)と共重合性モノマー(共重合性モノマー単位)との割合(モル比)は、プロピレン/共重合性モノマー=90/10~100/0、好ましくは95/5~100/0、さらに好ましくは99/1~100/0程度である。
【0059】
未延伸ポリプロピレン系樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂(ポリエチレン系樹脂などのオレフィン系樹脂、塩素含有樹脂、スチレン系樹脂、石油樹脂など)、慣用の添加剤(例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、防腐剤、殺菌剤、可塑剤、滑剤、着色剤、粘度調整剤、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤など)などを含んでいてもよい。他の熱可塑性樹脂及び添加剤の合計割合は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して通常50質量部以下、好ましくは30質量部以下(例えば0.01~30質量部)、さらに好ましくは10質量部以下(例えば0.1~10質量部)程度である。
【0060】
シーラント層19の厚さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上50μm以下の範囲内であり、更に好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内である。シーラント層19を過剰に薄くすると、シーラント層19の製膜が不安定となり、吸着を抑制する効果が小さくなることがある。一方、シーラント層19を過剰に厚くした場合、シーラント層19の厚さの増加に伴う吸着抑制効果の向上は僅かである。
【0061】
シーラント層19は、例えば、図示しない接着層を介して、第2基材層17の主面のうち印刷層16とは反対側の主面上にドライラミネートされてよい。接着層としては、ドライラミネート用接着剤として一般的に使用される二液硬化型ウレタン系接着剤などを使用することができ、グラビアコート法、ロールコート法などの公知の塗布方法を利用することができる。
【0062】
<変形例>
積層体には、様々な変形が可能である。上述したように、本実施形態に係る積層体は、
図1に示されない接着層を更に含んでいてよく、また、
図1に示されない印刷層を更に含んでいてよい。以下に
図2を参照しながら変形例を説明する。なお、
図1を参照しながら説明した事項は、単独で又は複数を組み合わせて、ここに記載する変形例に係る積層体へ適用することができる。
【0063】
図2は、一変形例に係る積層体を概略的に示す部分断面図である。
図2に示す積層体2は、第1基材層11と印刷層12と接着層13とバリア層14と接着層15と印刷層16と第2基材層17と接着層18とシーラント層19とをこの順序で備えている。積層体2は、第1基材層11とバリア層14との間に印刷層12と接着層13とを更に含み、バリア層14と印刷層16との間に接着層15を更に含み、第2基材層17とシーラント層19との間に接着層18を更に含むこと以外は、
図1を参照しながら説明した積層体1と同様である。
【0064】
接着層18は、乾燥状態における面積あたりの質量が、好ましくは2.5g/m2以上10.0g/m2以下の範囲内にある。塗布量が少ない場合、強浸透性物質により接着層18が溶解し、デラミネーションが生じやすくなる。一方、塗布量が多い場合、ひび割れによるデラミネーションが生じやすくなる。
【0065】
接着層13及び15は、乾燥状態における面積あたりの質量が、一例によれば1.25g/m2以上7.5g/m2以下の範囲内にあり、他の例によれば2.5g/m2以上5.0g/m2以下の範囲内にある。
【0066】
接着層13、15及び18は、例えば、ドライラミネート用接着剤として一般的に使用される二液硬化型ウレタン系接着剤などを塗布することにより形成することができる。塗布方法としては、グラビアコート法、ロールコート法など公知の方法を用いることができる。
【0067】
印刷層12は、積層体2、又は積層体2含む蓋体、包装体もしくは包装物品を、商業製品として実用に供するために形成される層である。印刷層12は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、及び塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダ樹脂に各種顔料、体質顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤等の添加剤が添加されているインキにより構成される層であって、文字及び絵柄等のパターンを表示している。印刷層12の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、及びグラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。
【0068】
印刷層12の厚さは、特に限定されるものではなく、一例によれば、0.1μm以上5μm以下の範囲内にあり、他の例によれば、0.2μm以上1μm以下の範囲内にある。
【0069】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る蓋体は、上述した第1実施形態又は変形例に係る積層体を少なくとも一部に含む。この蓋体は、第1実施形態に関連して説明したとおり、印刷層16をシーラント層19側から視認可能である。また、この蓋体は、耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質に対する耐性に優れる。この蓋体は、例えば、以下に説明する第3実施形態に係る包装体、並びに、第4実施形態に係る包装物品において、蓋体として使用される。
【0070】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る包装体は、上述した第1実施形態又は変形例に係る積層体を少なくとも一部に含む。この包装体の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも一部に透明部分を有し、この透明部分を介して第1実施形態又は変形例に係る積層体が備える印刷層16を、包装体の外側から視認可能な構造であればよい。このような包装体の形態は、例えば、カップ状の容器本体の開口を蓋体で塞いで密封する形態であってもよいし、易開封構造としてノッチが設けられた四方シール袋であってもよいし、三方シール袋及びガセット袋などの他の袋であってもよい。なお、ここで包装体に関連する「透明」とは、半透明等も含み、少なくとも印刷層16を「透明部分」を介して視認できる程度の透明性を有すればよい。
【0071】
図3は、本発明の第3実施形態に係る包装体の一例を概略的に示す断面図である。
図3に示す包装体3は、開口が設けられている容器本体32と、上記開口を覆う蓋体31とを備えている。
【0072】
容器本体32は、例えば、有底筒状である。容器本体32は、ここでは、底部と胴部(又は側壁部)とフランジ32aとを備えている。フランジ32aは、胴部の上方開口の位置で外側へ向けて広がっている。
【0073】
蓋体31は、上述した第1実施形態又は変形例に係る積層体の一方であるか、又は、それらの一方を切り出したものである。蓋体31は、容器本体32内への内容物を収容後に、シーラント層19を介してフランジ32aにヒートシールされる。このヒートシールにおいて、シール温度、シール圧力、及びシール時間は、適宜設定することができる。蓋体31は、第2実施形態に関連して説明したとおり、印刷層16をシーラント層19側から視認することができる。また蓋体31は、耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質に対する耐性に優れる。
【0074】
容器本体32は、上述のとおり、少なくとも一部に透明部分を有し、この透明部分を介して蓋体31が備える印刷層16を視認可能な構造であればよい。容器本体32における透明部分は、例えば、フランジ32aであってもよい。
【0075】
包装体3は、容器本体32の外側から透明部分を介して蓋体31が備える印刷層16により形成された文字、数字、絵柄、図形、記号、模様等の任意の印刷模様を視認することができる。例えば、印刷層16により形成される印刷模様は、商標、キャッチフレーズ、各種注意書き等、包装される内容物(被包装物)に関する事項であってよく、被包装物が強浸透性物質を含む場合であっても、これらを容器本体32の外側から視認できる。
【0076】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る包装物品は、上述した第3実施形態に係る包装体に内容物を収容してなるものである。収容される内容物は、特に限定されるものではない。第3実施形態に関連して説明したとおり、包装体が耐吸着性に優れ、且つ、強浸透性物質に対する耐性に優れるものであるため、収容される内容物は、例えば、アルコール、湿布剤成分、浴用剤の香料、あるいは各種殺菌剤などの強浸透性物質を含有するものであってよい。
【実施例0077】
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
<1>積層体の製造
(例1)
図2に示す積層体2に対し、印刷層12を省略した積層体を、以下の方法により製造した。
まず、第1基材層11として、厚さが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(HENGLI AAA)を準備した。また、バリア層14として、厚さが20μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製、AIN30H-0)を準備した。
【0078】
次に、第1基材層11の一方の主面に、芳香族系接着剤(DICグラフィックス株式会社製、LX500)を塗布して接着層13を形成した。この接着層13を間に挟んで第1基材層11とバリア層14とをドライラミネート法により積層し、第1基材層11/接着層13/バリア層14からなる積層体aを形成した。接着層13の乾燥状態における面積あたりの質量(塗布量)は、2.5g/m2とした。
【0079】
第2基材層17として、両面コロナ処理された厚さが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡株式会社製、E5202)を準備した。この一方の主面上に、インキ(東洋インキ株式会社製、汎用ラミネートインキ)を用いて、グラビア印刷法により文字やイラストを施し、印刷層16を形成することにより、印刷層16/第2基材層17からなる積層体bを形成した。
【0080】
次いで、積層体aのバリア層14の主面に、接着層13で使用した接着剤と同じ接着剤を塗布して接着層15を形成した。この接着層15を介して、積層体aのバリア層14と積層体bの印刷層16とが向かい合うように、積層体aと積層体bとをドライラミネート法により積層した。これにより、第1基材層11/接着層13/バリア層14/接着層15/印刷層16/第2基材層17からなる積層体cを形成した。接着層15の塗布量(乾燥状態)は2.5g/m2とした。
【0081】
シーラント層19として、厚さが25μmの環状オレフィンコポリマー(COC)の二軸延伸フィルム(倉敷紡績株式会社、TSC-1)を準備した。
【0082】
次いで、積層体cの第2基材層17側に、接着層13及び15で使用した接着剤と同じ接着剤を塗布して接着層18を形成した。この接着層18を介して、積層体cの第2基材層17とシーラント層19とが向かい合うように、積層体cとシーラント層19とを積層した。これにより、第1基材層11/接着層13/バリア層14/接着層15/印刷層16/第2基材層17/接着層18/シーラント層19からなる積層体(試料101)を形成した。接着層18の塗布量(乾燥状態)は2.5g/m2とした。
【0083】
(例2)
シーラント層19を、環状オレフィンコポリマー(COC)の二軸延伸フィルム(東洋紡株式会社製、E5202、厚さ25μm)から、環状オレフィンコポリマー(COC)の未延伸フィルム(倉敷紡績株式会社製、ME-1、厚さ30μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により積層体(試料102)を製造した。
【0084】
(例3)
シーラント層19を、環状オレフィンコポリマー(COC)の二軸延伸フィルム(東洋紡株式会社製、E5202、厚さ25μm)から、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)(フタムラ化学株式会社、FHK-2、厚さ30μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により積層体(試料103)を製造した。
【0085】
(例4)
バリア層14を、アルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製、AIN30H-0、20μm)から、アルミニウム蒸着フィルム(VMPET)(東レ株式会社、BR-PET 1312、厚さ12μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により積層体(試料104)を製造した。
【0086】
(例5)
接着層18の塗布量(乾燥状態)を、2.5g/m2から10.0g/m2に変更した点を除き、例1と同様の方法により積層体(試料105)を製造した。
【0087】
(比較例1)
シーラント層19を、環状オレフィンコポリマー(COC)の二軸延伸フィルム(東洋紡株式会社製、E5202、厚さ25μm)から、未延伸の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)(タマポリ株式会社、MZ521、厚さ30μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により、積層体(試料111)を製造した。
【0088】
(比較例2)
第2基材層17を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡株式会社、E5202、12μm)から、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)(東洋紡株式会社、P2261、20μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により、積層体(試料112)を製造した。
【0089】
(比較例3)
第2基材層17を、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡株式会社、E5202、12μm)から、厚み60μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡株式会社、E5202、60μm)に変更した点を除き、例1と同様の方法により、積層体(試料113)を製造した。
【0090】
<2>評価
例1乃至5、及び、比較例1乃至3の各積層体を用いて、評価用サンプルを作製した。まず、各積層体から10cm×10cmの試験片を2枚×3セット切り出し、シーラント層が内側になるように2枚の試験片を重ねたものを3セット作成した。そして、各々について3辺をヒートシールして袋形状とした。次いで、1つの袋内に1-メントールを入れ、他の一つの袋内にカンファ―を入れ、残りの一つの袋内にサリチル酸メチルを入れ、各々について残りの辺をヒートシールすることにより、各積層体について、評価用サンプルとして3種類の薬剤成分含有包装袋を作製した。これらサンプルを温度40℃、相対湿度75%の恒温槽で1ヵ月保存した後に、以下に説明する方法により耐吸着性及びラミネート強度を評価した。
【0091】
(耐吸着性)
各サンプルから薬剤成分を取り出した後、包装袋を細かく裁断した。裁断された試験片を、取り出した薬剤成分と同じ種類の薬剤成分に浸漬することにより、各薬剤成分の抽出液を得た。次に、各薬剤成分抽出液を高速液体クロマトグラフィで分析し、包装袋に吸着された薬剤成分の量を定量した。これをもとに、包装袋の面積当たりに吸着された薬剤成分量を算出し、下記基準に基づき耐吸着性を評価した。結果を表1に示す。
【0092】
・1-メントール :吸着量が2.0μg/cm2以下を合格(A)
吸着量が2.0μg/cm2超を不合格(B)
・カンファ― :吸着量が2.0μg/cm2以下を合格(A)
吸着量が2.0μg/cm2超を不合格(B)
・サリチル酸メチル:吸着量が20.0μg/cm2以下を合格(A)
吸着量が20.0μg/cm2超を不合格(B)
【0093】
(ラミネート強度)
各サンプルから薬剤成分を取り出した後、包装袋を15mm幅の短冊状に切り出し、第2基材層17とシーラント層19との間を剥離し、JIS Z1707に基づきラミネート強度を測定した。1-メントールを使用したサンプルについて、15mm巾の短冊を3つ切り出し、得られたラミネート強度測定値の平均値を算出した。このラミネート強度の平均値について、下記基準に基づきラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
【0094】
・ラミネート強度(平均値)が1.5N/15mm以上を合格(A)
・ラミネート強度(平均値)が1.5N/15mm未満を不合格(B)
【0095】
(印刷層の視認性)
例1乃至5、及び、比較例1乃至3の各積層体を用いて、
図3に示す蓋体31を作成した。容器本体32として、例1乃至5、及び、比較例1乃至3の各積層体のシーラント層と同一の樹脂からなる透明容器を準備した。これらに内容物として1-メントール、カンファ―、及びサリチル酸メチルを各1個ずつ収容した後、各蓋体をフランジ32aにヒートシールした。これを温度40℃、相対湿度75%の恒温槽で1ヵ月保存した後、容器本体の外側から印刷層を目視で観察し、滲みの有無から印刷層の視認性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
・A:1-メントールを収容した包装体、カンファ―を収容した包装体及びサリチル酸メチルを収容した包装体の何れにおいても印刷模様に滲みがみられなかった。
・B:1-メントールを収容した包装体、カンファ―を収容した包装体及びサリチル酸メチルを収容した包装体の1つ以上において印刷模様に滲みがみられた。
【0097】
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…積層体、2…積層体、3…包装体、11…第1基材層、12…印刷層、13…接着層、14…バリア層、15…接着層、16…印刷層、17…第2基材層、18…接着層、19…シーラント層、31…蓋体、32…容器本体、32a…フランジ。