(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081440
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】コンポジット材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20240611BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240611BHJP
C05F 9/04 20060101ALI20240611BHJP
A23K 10/12 20160101ALI20240611BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20240611BHJP
A23K 10/37 20160101ALI20240611BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20240611BHJP
C12P 7/56 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
B09B5/00 Z
C05F9/04
A23K10/12
A23K10/20
A23K10/37
C12N1/20 E
C12P7/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195079
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】521120573
【氏名又は名称】株式会社ZIVA開発協会
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】大塚 龍介
【テーマコード(参考)】
2B150
4B064
4B065
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA05
2B150AA07
2B150AB20
2B150AC04
2B150AC05
2B150AC15
2B150AC24
2B150AD02
2B150AE02
2B150AE05
2B150CA06
2B150CD34
4B064AD33
4B064CA02
4B064CD24
4B064CD25
4B064DA16
4B065AA01X
4B065AC14
4B065CA10
4B065CA54
4D004AA04
4D004BA04
4D004CA17
4D004CC07
4H061AA01
4H061CC47
4H061CC51
4H061CC55
4H061EE66
4H061GG48
(57)【要約】
【課題】廃菌床や食品廃棄物や下水汚泥を再資源化する。
【解決手段】廃菌床は、キノコ類を菌床から収穫した後に残るものである。昆虫材料は、食品廃棄物及び下水汚泥で作製した飼料を用いて昆虫を養殖し、この昆虫を乾燥等の処理をして得られる。コンポジット材料の製造において、まず、昆虫材料と廃菌床とを混合する。次に、昆虫材料と廃菌床との混合物を発酵させることで、コンポジット材料が得られる。前記発酵は、乳酸菌による乳酸発酵であることが好ましい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品廃棄物及び下水汚泥で作製した飼料を用いて養殖された昆虫から得られた昆虫材料と、廃菌床とを混合する工程と、
前記昆虫材料と前記廃菌床との混合物を発酵させる工程と、を有する
ことを特徴とするコンポジット材料の製造方法。
【請求項2】
前記発酵が、乳酸発酵である請求項1記載のコンポジット材料の製造方法。
【請求項3】
前記昆虫が、アメリカミズアブである請求項1又は2に記載のコンポジット材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンポジット材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キノコの栽培は、木屑等で構成された菌床に種菌が接種されて、菌床の外面に成長したキノコが収穫される。このようなキノコを収穫した後に残る菌床は、廃菌床と呼ばれる。廃菌床の処分方法としては、例えば、廃菌床とパーク堆肥等の有機質資材とを混ぜて、海岸の植生を復元するための植生基材とすることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃菌床のような廃棄物の増加は社会問題となっており、廃棄物を再資源化する更なる取り組みが求められている。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、廃棄物を再資源化できるコンポジット材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンポジット材料の製造方法は、
食品廃棄物及び下水汚泥で作製した飼料を用いて養殖された昆虫から得られた昆虫材料と、廃菌床とを混合する工程と、
前記昆虫材料と前記廃菌床との混合物を発酵させる工程と、を有することを要旨とする。
このコンポジット材料の製造方法によれば、昆虫材料と廃菌床との混合物を発酵させることで、得られるコンポジット材料に有用な特性を与えることができる。しかも、廃菌床、食品廃棄物及び下水汚泥の複数種類の廃棄物を、コンポジット材料として再資源化できる。
【0007】
本発明のコンポジット材料の製造方法において、
前記発酵が、乳酸発酵であってもよい。
このコンポジット材料の製造方法によれば、乳酸発酵であることで、コンポジット材料に含まれる乳酸による有用な効果が得られる。
【0008】
本発明のコンポジット材料の製造方法において、
前記昆虫が、アメリカミズアブであってもよい。
このコンポジット材料の製造方法によれば、アメリカミズアブが効率よく有機物を蓄えることから、得られるコンポジット材料の有用性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコンポジット材料の製造方法によれば、廃菌床、食品廃棄物及び下水汚泥を再資源化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例の昆虫材料の製造工程を示す説明図である。
【
図3】実施例のコンポジット材料の製造工程を示す説明図である。
【
図4】炭化バイオマスの製造工程の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るコンポジット材料の製造方法につき、実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【実施例0012】
実施例のコンポジット材料は、廃菌床及び昆虫材料を原料として製造される。コンポジット材料は、牛や豚等の哺乳類、にわとり等の鳥類及び魚類などの飼料、あるいは土壌に混ぜる肥料などに使用可能である。
【0013】
(廃菌床)
廃菌床は、キノコ類の菌床栽培において、キノコ類を収穫した後に残る菌床をいう。菌床で栽培されるキノコ類としては、例えば、キクラゲ、シイタケ、シメジ、マイタケ、エリンギ、エノキダケなどが挙げられる。菌床は、木屑を主原料としている。菌床には、木屑に加えて、ふすま及びぬかなどの穀物由来材料や、石灰などの副原料が、必要に応じて配合される。木屑は、間伐材を粉砕したものや、製材所等で排出されたおがくずなどの資源を利用することが好ましい。このように、廃菌床は、木屑などの有機物が主体であり、廃菌床は、バイオマスの一種である。
【0014】
例えば、木屑及び副原料を、袋やボトルなどの容器に入れて、菌床が形成される。菌床に種菌を接種した後、菌床を所定温度及び所定湿度で管理して種菌を培養することで、菌床が生産される(
図1:ステップA1)。次に、菌床を適宜の温度及び湿度で管理しつつ必要に応じて水を菌床に与えることで、菌床の側面や上面などの外面からキノコ類が伸びるように成長し、キノコ類が栽培される(
図1:ステップA2)。そして、菌床の外面からキノコ類を採取することで、廃菌床が残る。なお、収穫されたキノコ類は、出荷して販売される。
【0015】
(昆虫材料の製造)
昆虫材料は、水分量の調節や、成分の調節や、形状の調節などにより、昆虫を利用し易い形にしたものである。昆虫は、イエバエ科、ミズアブ科、ミバエ科、コオロギ科、ゴミムシダマシ科、カイコガ科及びヤママユガ科などが挙げられ、これらの中から選ばれる1又は複数を組み合わせて用いることができる。また、昆虫は、養殖可能であることが望ましい。前記昆虫の中において、アメリカミズアブは、養殖し易いことから、昆虫材料として好ましい。昆虫は、成虫、卵、幼虫、前蛹、蛹の何れの態様を原料にしてもよいが、この中でも、有機物の蓄積度合いや取り扱い易さや昆虫材料への加工し易さなどの観点から、幼虫が好ましい。
【0016】
実施例に係る昆虫材料の製造方法について説明する。食品廃棄物と下水汚泥とを混合し、昆虫用飼料を作製する(
図2:ステップB1)。食品廃棄物は、食品の製造や調理過程で生じる加工残渣で食用に供することができないものや、食品の流通過程や消費段階で生じる売れ残りや食べ残しなどをいい、主に有機物で構成されている。下水汚泥は、浄化槽や下水処理場における汚水処理の過程で、沈殿やろ過等により取り除かれる泥状の物質であって、有機物と無機物との混合物である。昆虫用飼料作製工程は、食品廃棄物と下水汚泥とを適宜割合で混合し、この混合物を撹拌することで内容物の均一化が図られる。なお、食品廃棄物と下水汚泥との混合割合は、食品廃棄物を多くする方が好ましい。また、廃菌床を、食品廃棄物及び下水汚泥に混合してもよい。
【0017】
昆虫を交配し、産卵させて、卵をふ化させる。実施例では、昆虫用飼料作製工程で得られた昆虫用飼料を用いて、幼虫が育成される(
図2:ステップB2)。実施例の養殖工程は、前蛹になる前に幼虫が回収される。また、幼虫の一部は、成虫になるまで育成されて、次世代の交配に用いられる。養殖工程は、昆虫の各態様に合わせた温度等の環境管理を行うとよい。なお、実施例では、昆虫用飼料作製工程で得られた昆虫用飼料を幼虫の育成段階に用いたが、昆虫の種類によっては昆虫用飼料を成虫に与えてもよい。
【0018】
次に、昆虫に所定の処理を施すことで昆虫材料を製造する(
図2:ステップB3)。昆虫処理工程で行う処理としては、昆虫を乾燥する乾燥処理や、昆虫含有成分のうちの不要物(例えば脂質など)を除去する成分調節処理や、昆虫を所定形状にする形成処理などの1つ又は複数を組み合わせて行われる。乾燥処理は、昆虫を乾燥して水分量を調節する処理である。乾燥処理は、加熱処理、冷凍乾燥、真空乾燥などの適宜方法で行われる。乾燥処理後の昆虫の乾燥状態は、水分をほぼ含んでいない完全乾燥状態に限らず、完全乾燥状態よりも水分を含んでいる半乾燥状態や、半乾燥状態よりも水分を含んでいる微乾燥状態であってもよい。形成処理は、昆虫を粉砕したり、昆虫を粉砕した粉末を、圧縮成形等によって粒状やペレット状や塊状などにしたりするなど、要求される昆虫材料の形状に応じて選択される。
【0019】
昆虫材料は、粉末状、粒状、ペレット状、塊状など、様々な形状で形成可能である。なお、昆虫材料は、コンポジット材料に用いる場合、粉末状が好ましい。昆虫材料は、コンポジット材料の要素とするほかに、昆虫材料単体又は他の要素と組み合わせて、牛、豚、羊、哺乳類、反芻動物、鳥類、魚類、甲殻類、爬虫類、両生類などの飼料や、肥料などとして用いることができる。
【0020】
前述した昆虫材料の製造方法によれば、食品廃棄物及び下水汚泥を昆虫材料として再資源化できる。得られた昆虫材料は、食品廃棄物及び下水汚泥から回収して生物濃縮した有機物が含まれていることから、有用である。特に昆虫がアメリカミズアブであると、有機物をより効率よく蓄積でき、得られるコンポジット材料の有用性を向上できる。
【0021】
養殖工程で生じた糞や飼料の食べ残しや死骸などの残渣を回収し、飼料用飼料作製工程において、この残渣を、食品廃棄物と下水汚泥との混合物に添加するようにしてもよい。このように、養殖工程の残渣を昆虫用飼料の原料として利用することで、昆虫材料の製造において生じる廃棄物を減少できるリサイクルシステムが構築される。
【0022】
昆虫処理工程で生じた不要物などの残渣を回収し、飼料用飼料作製工程において、この残渣を、食品廃棄物と下水汚泥との混合物に添加するようにしてもよい。このように、昆虫処理工程の残渣を昆虫用飼料の原料として利用することで、昆虫材料の製造において生じる廃棄物を減少できるリサイクルシステムが構築される。
【0023】
昆虫材料の製造において、後述の炭化バイオマスを燃料として用いてもよい。例えば、養殖環境の温度を上げる場合、後述の炭化バイオマスを燃料に用いることが挙げられる。このように、昆虫材料の製造において炭化バイオマスを利用することで、廃菌床の有効利用を含めたリサイクルシステムが構築される。
【0024】
(コンポジット材料の製造)
実施例に係るコンポジット材料の製造方法について説明する。実施例のコンポジット材料は、食品廃棄物及び下水汚泥で作製した飼料を用いて養殖された昆虫から得られた前記昆虫材料と、廃菌床と、を混合し、この混合物を発酵させて製造される。
【0025】
まず、廃菌床と、養殖昆虫由来の昆虫材料とを混合する混合工程が行われる(
図3:ステップC1)。混合工程では、廃菌床と昆虫材料とを適宜割合で混合し、この混合物を撹拌することで内容物の均一化が図られる。なお、混合工程において、混合物の水分量の調節などの発酵前処理を行ってもよい。
【0026】
次に、混合物を発酵させる発酵工程が行われる(
図3:ステップC2)。発酵は、乳酸発酵、アルコール発酵、メタン発酵、酸化発酵、酪酸型発酵、ブタノール-アセトン型発酵、硝酸塩発酵、酢酸発酵などの中から、1種類又は複数種類の組み合わせが進行すればよい。この中でも、得られるコンポジット材料に有用な特性を形成し得る乳酸発酵が好ましく、複数種類の発酵が生じるならば、乳酸発酵が優位に生じるようにするとよい。また、発酵工程において、発酵を促進するため、乳酸菌、麹菌、酵母菌、納豆菌、酢酸菌などの種菌を、混合物に接種してもよく、例えば、乳酸発酵であれば乳酸菌が混合物に接種される。更に、発酵工程において、発酵の種類に合わせて、温度や、酸素の有無の条件(好気又は嫌気)などの発酵環境を整えるとよい。
【0027】
次に、実施例では、発酵工程で得られたコンポジット材料に所定の後処理を施す後処理工程が行われる(
図3:ステップC3)。後処理としては、例えば、コンポジット材料を所定形状にする処理や、コンポジット材料から不要なものを除去する除去工程などが挙げられ、これらの処理の1つ又は複数を組み合わせて行われる。コンポジット材料は、粉末状、粒状、ペレット状、塊状など、様々な形状で形成される。
【0028】
コンポジット材料の製造において、後処理工程は、必要に応じて実行すればよく、後処理工程を省略してもよい。
【0029】
前述したコンポジット材料の製造方法によれば、廃菌床と昆虫材料との混合物を発酵させることで、得られるコンポジット材料に有用な特性を与えることができる。しかも、廃菌床、食品廃棄物及び下水汚泥の複数種類の廃棄物を、コンポジット材料として再資源化できる。コンポジット材料は、例えば、牛、豚、羊、哺乳類、反芻動物、鳥類、魚類、甲殻類、爬虫類、両生類などの飼料として用いることができる。
【0030】
乳酸発酵であることで、コンポジット材料に含まれる乳酸による有用な効果が得られる。例えば、コンポジット材料を家畜の飼料に用いると、乳酸菌の作用によって家畜の健康状態を向上できる。これにより、家畜の医療費を削減でき、家畜の生産量を向上でき、家畜の廃棄率を減少できる。コンポジット材料を家畜の飼料に用いると、乳酸菌の作用によって飼料中のタンパク質の分解が促進され、効率的な栄養成分の吸収を補助できる。コンポジット材料を家畜の飼料に用いると、乳酸菌の作用によって糞尿の臭いを軽減できる。
【0031】
(炭化バイオマスの製造)
廃菌床から炭化バイオマスを製造してもよい。炭化バイオマスは、バイオマスを炭化処理することで得られるものをいう。ここで、バイオマスは、油や石炭などの化石資源を除く動植物から生まれた有機性の資源をいう。炭化バイオマスには、バイオマス燃料とも称されるバイオコークスや、活性炭、活性炭のように賦活化されていない炭化物などが含まれている。
【0032】
菌床から炭化バイオマスを製造する方法について説明する。まず、廃菌床に所定の前処理を施す前処理工程が行われる(
図4:ステップD1)。前処理としては、例えば、廃菌床の外面に付いている袋等の容器を除去する容器除去処理や、廃菌床を分解して小型化する分解処理や、廃菌床に含まれる水分量を増減する水分調整処理や、廃菌床を乾燥させる乾燥処理などが挙げられ、これらのうちの1つの処理又は複数処理が行われる。
【0033】
次に、廃菌床を炭化処理する炭化処理工程が行われる(
図4:ステップD2)。炭化処理工程では、廃菌床が加熱炉に入れられて、加熱炉内が加熱される。炭化処理工程では、加熱炉が密閉されて、加熱炉の内部への酸素の供給が遮断された低酸素状態で加熱が行われる。加熱炉内が低酸素・高温状態で所定時間保持されることで、廃菌床が炭化される。そして、加熱炉の内部が自然冷却等により冷却される。
【0034】
炭化処理に加えて、必要に応じて、賦活処理を行ってもよい。賦活処理は、熱や薬品によって、廃菌床中の有機物や無機物の固形物を分解・蒸発させることで、より多くの細孔を有する炭化バイオマスに形成するものである。賦活処理を行うことで、活性炭としての機能が炭化バイオマスに強く発現される。
【0035】
次に、炭化処理工程で得られた炭化バイオマスに所定の後処理を施す後処理工程が行われる(
図4:ステップD3)。後処理としては、例えば、炭化バイオマスを所定形状にする処理や、炭化バイオマスから不要なものを除去する除去工程などが挙げられ、これらのうちの1つの処理又は複数処理が行われる。
【0036】
炭化バイオマスの製造において、前処理工程及び後処理工程は、必要に応じて実行すればよく、前処理工程及び後処理工程の一方、又は、前処理工程及び後処理工程の両方を省略してもよい。
【0037】
炭化バイオマスは、粉末状、粒状、ペレット状、塊状など、様々な形状で形成される。炭化バイオマスの形状は、後処理工程における粉砕や圧縮成形で整えることに限らない。例えば、前処理工程でペレット状にしたものを炭化処理することで、ペレット状の炭化バイオマスを得るなど、所定形状の廃菌床を炭化処理することで、所定形状の炭化バイオマスを形成できる。また、炭化処理工程において、廃菌床を圧縮成形しつつ炭化処理することで、ペレット状の炭化バイオマスを得るなど、炭化処理工程において炭化バイオマスを所定形状にしてもよい。
【0038】
前述した炭化バイオマスの製造方法によれば、キノコ類を収穫した後に残る廃菌床を炭化バイオマスとして再資源化できる。得られた炭化バイオマスは、廃菌床のように腐敗せず、取り扱い易いことから、有用である。
【0039】
炭化バイオマスは、炭化バイオマス単体又は他の要素と組み合わせて、燃料や、土壌改良剤などとして用いることができる。
【0040】
炭化処理工程における加熱炉の燃料の一部又は全部が、炭化バイオマスであってもよい。このように、炭化バイオマスを加熱炉の燃料とすることで、廃菌床から得られる炭化バイオマスを有効利用し得るリサイクルシステムが構築される。
【0041】
菌床生産工程において配合される副原料が、炭化バイオマスであってもよい。このように、炭化バイオマスを副原料に用いることで、キノコ類の栽培の場面を含めて炭化バイオマスを有効利用し得るリサイクルシステムが構築される。
【0042】
キノコ類の収穫後に残る廃菌床の処分が課題になっている。
本件には、上記課題を解決するための手段として、
廃菌床を炭化処理する工程を有する
ことを特徴とする炭化バイオマスの製造方法が開示されている。
上記炭化バイオマスの製造方法によれば、キノコ類を収穫した後に残る廃菌床を炭化バイオマスとして再資源化できる。得られた炭化バイオマスは、廃菌床のように腐敗せず、取り扱い易いことから、有用である。
【0043】
食品廃棄物及び下水汚泥の処分が課題になっている。
本件には、上記課題を解決するための手段として、
食品廃棄物と下水汚泥との混合物から作製した飼料で、昆虫を養殖する工程と、
前記養殖する工程で有られた前記昆虫に所定の処理を行って、昆虫材料を得る工程と、を有する
ことを特徴とする昆虫材料の製造方法が開示されている。
上記昆虫材料の製造方法によれば、食品廃棄物及び下水汚泥を昆虫材料として再資源化できる。得られた昆虫材料は、食品廃棄物及び下水汚泥から回収して生物濃縮した有機物が含まれていることから、有用である。特に昆虫がアメリカミズアブであると、有機物をより効率よく蓄積でき、得られるコンポジット材料の有用性を向上できる。