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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081444
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20240611BHJP
   H01H 50/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01H50/54 B
H01H50/14 B
H01H50/54 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195084
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(57)【要約】
【課題】1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制する。
【解決手段】電磁継電器は、接点装置と、駆動装置とを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第1固定接点と第1方向に離れた第2固定接点を含む第2固定端子と、可動接触片との接点組を複数含む。可動接触片は、第1固定接点と対向する第1可動接点と、第2固定接点と対向する第2可動接点とを含む。駆動装置は、可動接触片を移動させる。第1固定端子は、第1導電部と、第2導電部と、第3導電部とを含む。第1導電部は、第1固定接点を含む。第2導電部は、第1導電部に接続され、少なくとも一部が可動接触片の第1方向の側方に配置される。第3導電部は、第2導電部に接続され、第1可動接点から第2可動接点に向かう方向に延びている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、前記第1固定接点と第1方向に離れた第2固定接点を含む第2固定端子と、前記第1方向と直交する第2方向に前記第1固定接点と対向する第1可動接点と前記第2方向に前記第2固定接点と対向する第2可動接点とを含む可動接触片との接点組を複数含み、前記複数の接点組が前記第2方向に並ぶ接点装置と、
前記複数の接点組のそれぞれの前記可動接触片を前記第2方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記第1固定端子は、
前記第1固定接点を含む第1導電部と、
前記第1導電部に接続され、少なくとも一部が前記可動接触片の前記第1方向の側方に配置される第2導電部と、
前記第2導電部に接続され、前記第1可動接点から前記第2可動接点に向かう方向に延びる第3導電部と、
を含む、
電磁継電器。
【請求項2】
前記第1固定端子を位置決めするベースをさらに備え、
前記第1固定端子は、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向に前記第3導電部から延び、前記ベースから前記第3方向に突出する第4導電部をさらに含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第3導電部は、前記第2方向から見て前記第1固定接点と重なる、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第2導電部は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触した状態において、前記第1可動接点の中心と重なる、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記可動接触片と前記第2導電部の間に配置される第1絶縁壁をさらに備える、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第1可動接点が前記第1導電部から開離した状態において、前記可動接触片と前記第2導電部との間隔は、前記第1可動接点と前記第1導電部との間隔以下である、
請求項5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記可動接触片と前記第3導電部の間に配置される第2絶縁壁をさらに備える、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記第1可動接点が前記第1導電部から開離した状態において、前記可動接触片と前記第3導電部との間隔は、前記第1可動接点と前記第1導電部との間隔以下である、
請求項7に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第2絶縁壁は、前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れる方向に前記可動接触片が移動することを規制する、
請求項7又は8に記載の電磁継電器。
【請求項10】
第3絶縁壁をさらに含み、
前記複数の接点組は、第1接点組と、前記第1接点組に隣接する第2接点組とを含み、
前記第3絶縁壁は、前記第1接点組の前記第1固定端子の前記第1導電部と、前記第2接点組の前記第1固定端子の前記第3導電部との間に配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項11】
前記第1接点組の前記第1固定端子の前記第1導電部及び前記第3絶縁壁の一方は、前記第1接点組の前記第1固定端子の前記第1導電部及び前記第3絶縁壁の他方に当接する第1突起を含む、
請求項10に記載の電磁継電器。
【請求項12】
前記第2接点組の前記第1固定端子の前記第3導電部及び前記第3絶縁壁の一方は、前記第2接点組の前記第1固定端子の前記第3導電部及び前記第3絶縁壁の他方に当接する第2突起を含む、
請求項10又は11に記載の電磁継電器。
【請求項13】
前記第1可動接点が前記第1導電部から開離した状態において、前記可動接触片と前記第2導電部との間隔は、前記第1可動接点と前記第1導電部との間隔よりも大きく、
前記第1可動接点が前記第1導電部から開離した状態において、前記可動接触片と前記第3導電部との間隔は、前記第1可動接点と前記第1導電部との間隔よりも大きい、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項14】
前記第3導電部は、前記第2方向から見て前記第1固定接点と重ならない、
請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置と、可動接触片を移動させる駆動装置とを備える電磁継電器が開示されている。複数の接点組は、ベースに対して可動接触片の移動方向に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-012956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の接点組を含む接点装置を備える電磁継電器を用いた設備において、短絡による大電流が発生した場合、その電流が接点装置に流れることで接点間に電磁反発力が発生し、接点が開離するおそれがある。例えば、駆動装置の電磁力を増加させて接点の開離を抑制する場合、駆動装置が大型化して、電磁継電器の大型化を招く。
【0005】
本発明の課題は、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、接点装置と、駆動装置とを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第2固定接点を含む第2固定端子と、可動接触片との接点組を複数含む。第2固定接点は、第1固定接点と第1方向に離れている。可動接触片は、第1方向と直交する第2方向に第1固定接点と対向する第1可動接点と、第2方向に第2固定接点と対向する第2可動接点とを含む。複数の接点組は、第2方向に並ぶ。駆動装置は、複数の接点組のそれぞれの可動接触片を第2方向に移動させる。第1固定端子は、第1導電部と、第2導電部と、第3導電部とを含む。第1導電部は、第1固定接点を含む。第2導電部は、第1導電部に接続され、少なくとも一部が可動接触片の第1方向の側方に配置される。第3導電部は、第2導電部に接続され、第1可動接点から第2可動接点に向かう方向に延びている。
【0007】
この電磁継電器では、第1固定端子の第2導電部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片に流れる電流に作用して、第1ローレンツ力が発生する。第1ローレンツ力は、可動接触片に対して第1可動接点が第1固定接点に近づく接触方向に作用する。さらに、第1固定端子の第3導電部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片に流れる電流に作用して、第2ローレンツ力が発生する。第2ローレンツ力は、可動接触片に対して接触方向に作用する。第1ローレンツ力及び第2ローレンツ力は、第1固定端子と第1可動接点との接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力を抑制することができる。これにより、例えば、駆動装置の電磁力を増加させて接点の開離を抑制する場合と比べて、電磁継電器の大型化を抑制できる。
【0008】
電磁継電器は、第1固定端子を位置決めするベースをさらに備えてもよい。第1固定端子は、第4導電部をさらに含んでもよい。第4導電部は、第1方向と第2方向とに直交する第3方向に第3導電部から延び、ベースから第3方向に突出してもよい。この場合は、ベースによって第1固定端子を位置決めできる。また、第4導電部は、第3導電部から第3方向に延びてベースから突出しているので、電磁継電器が第2方向に大型化することを抑制できる。
【0009】
第3導電部は、第2方向から見て第1固定接点と重なってもよい。この場合は、第3導電部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片に流れる電流に効果的に作用するので、第2ローレンツ力が大きくなる。
【0010】
第2導電部は、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態において、第1可動接点の中心と重なってもよい。この場合は、第2導電部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片に流れる電流に効果的に作用するので、第1ローレンツ力が大きくなる。
【0011】
電磁継電器は、可動接触片と第2導電部の間に配置される第1絶縁壁をさらに備えてもよい。この場合は、可動接触片と第2導電部との間の絶縁性能が向上する。
【0012】
第1可動接点が第1導電部から開離した状態において、可動接触片と第2導電部との間隔は、第1可動接点と第1導電部との間隔よりも小さくてもよい。この場合は、第1絶縁壁によって可動接触片と第2導電部との間の絶縁性を確保しつつ、電磁継電器が第1方向に大型化することを抑制できる。
【0013】
電磁継電器は、可動接触片と第3導電部の間に配置される第2絶縁壁をさらに備えてもよい。この場合は、可動接触片と第3導電部との間の絶縁性能が向上する。
【0014】
第1可動接点が第1導電部から開離した状態において、可動接触片と第3導電部との間隔は、第1可動接点と第1導電部との間隔よりも小さくてもよい。この場合は、第3絶縁壁によって可動接触片と第3導電部との間の絶縁性を確保しつつ、電磁継電器が第2方向に大型化することを抑制できる。
【0015】
第2絶縁壁は、第1可動接点が第1固定接点から離れる方向に可動接触片が移動することを規制してもよい。この場合は、第2絶縁壁が可動接触片の移動を規制するストッパの機能を兼ねることができる。
【0016】
電磁継電器は、第3絶縁壁をさらに備えてもよい。複数の接点組は、第1接点組と、第1接点組に隣接する第2接点組とを含んでもよい。第3絶縁壁は、第1接点組の第1固定端子の第1導電部と、第2接点組の第1固定端子の第3導電部との間に配置されてもよい。この場合は、第1接点組の第1固定端子の第1導電部と、第2接点組の第1固定端子の第3導電部との間の絶縁性能が向上する。
【0017】
第1接点組の第1固定端子の第1導電部及び第3絶縁壁の一方は、第1接点組の第1固定端子の第1導電部及び第3絶縁壁の他方に当接する第1突起を含んでもよい。この場合は、第1接点組の第1固定端子の第1導電部と、第2接点組の第1固定端子の第3導電部との間の絶縁性能が向上する。また、第1突起によって第1導電部を位置決めできる。
【0018】
第2接点組の第1固定端子の第3導電部及び第3絶縁壁の一方は、第2接点組の第1固定端子の第3導電部及び第3絶縁壁の他方に当接する第2突起を含んでもよい。この場合は、第1接点組の第1固定端子の第1導電部と、第2接点組の第1固定端子の第3導電部との間の絶縁性能が向上する。また、第2突起によって第2接点組の第1固定端子の第3導電部を位置決めできる。
【0019】
第1可動接点が第1導電部から開離した状態において、可動接触片と第2導電部との間隔は、第1可動接点と第1導電部との間隔よりも大きくてもよい。第1可動接点が第1導電部から開離した状態において、可動接触片と第3導電部との間隔は、第1可動接点と第1導電部との間隔よりも大きくてもよい。この場合は、可動接触片と第2導電部との間の絶縁性、並びに可動接触片と第3導線部との間の絶縁性を確保できる。
【0020】
第3導電部は、第2方向から見て前記第1固定接点と重ならなくてもよい。この場合は、第1固定接点を第3導電部に容易にかしめ固定することができる。
【0021】
本発明によれば、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電磁継電器の斜視図である。
図2】接点装置を上方から見た図である。
図3】接点装置を上方から見た図である。
図4】第1接点組の斜視図である。
図5】第1接点組を上方から見た図である。
図6】ベースの斜視図である。
図7】接点装置の一部を上方から見た図である。
図8】第1固定端子の変形例を説明するための図である。
図9】変形例に係る第1接点組の一部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、Xが示す方向(第2方向の一例)を左右方向、Yが示す方向(第1方向の一例)を前後方向、Zが示す方向(第3方向の一例)を上下方向として説明する。また、X1が示す方向を右方、X2が示す方向を左方、Y1が示す方向を前方、Y2が示す方向を後方、Z1が示す方向を上向、Z2が示す方向を下方として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0024】
図1から図3に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、区画部材3と、接点装置4と、駆動装置5とを備えている。
【0025】
ベース2及び区画部材3は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース2は、左右方向及び前後方向に延びている。区画部材3は、ベース2の上方に配置されている。区画部材3は、接点装置4と駆動装置5との間に配置されている。区画部材3は、電磁継電器1において、接点装置4が配置される空間と駆動装置5が配置される空間とを区画する。区画部材3の上方は、図示しないケースによって覆われる。
【0026】
接点装置4は、ベース2と区画部材3とによって形成される内部空間に収容されている。接点装置4は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と接点ばね9との接点組10を複数含む。複数の接点組10は、互いに左右方向に並んで配置されている。複数の接点組10は、互いに左右方向に離れている。
【0027】
本実施形態では、複数の接点組10は、4つ接点組10a~10dを含む。詳細には、複数の接点組10は、第1接点組10aと、第2接点組10bと、第3接点組10cと、第4接点組10dとを含む。第1~第4接点組10a~10dは、右から左に向かって第1接点組10a、第2接点組10b、第3接点組10c、第4接点組10dの順に並んでいる。
【0028】
第1~第4接点組10a~10dは、互いに同様に構成を有している。すなわち、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれは、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、接点ばね9とを含む。ここでは、複数の接点組10のうち、第1接点組10aの第1固定端子6、第2固定端子7、可動接触片8及び接点ばね9の詳細についてのみ説明する。
【0029】
第1固定端子6は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子6は、ベース2に支持されている。第1固定端子6は、例えば、ベース2に圧入固定されている。第1固定端子6は、前後方向における可動接触片8の中心よりも後方に配置されている。
【0030】
図4及び図5に示すように、第1固定端子6は、第1導電部21と、第2導電部22と、第3導電部23と、第4導電部24とを含む。第1導電部21は、左右方向と交差する方向に延びている。第1導電部21は、可動接触片8の左方に配置されている。第1導電部21は、第1固定接点21aを含む。第1固定接点21aは、第1導電部21の右面に配置されている。第1固定接点21aは、第1導電部21にかしめ固定されている。なお、第1固定接点21aは、第1導電部21と一体であってもよい。
【0031】
第2導電部22は、前後方向と交差する方向に延びている。第2導電部22は、第1導電部21に接続されている。第2導電部22は、少なくとも一部が可動接触片8の前後方向の側方に配置される。第2導電部22は、少なくとも一部が可動接触片8の後側方に配置される。第2導電部22は、第1導電部21の後端から右方に延びている。第2導電部22は、第1導電部21の後端から右方に向かって屈曲している。第2導電部22は、前後方向から見て、第1固定接点21a及び可動接触片8と重なる。第2導電部22は、後述する第1可動接点8aが第1固定接点21aに接触した状態において、第1可動接点8aの中心と重なる。
【0032】
第3導電部23は、左右方向と交差する方向に延びている。第3導電部23は、第2導電部22に接続されている。第3導電部23は、第1可動接点8aから後述する第2可動接点8bに向かう方向に延びている。第3導電部23は、第2導電部22の右端から前方に延びている。第3導電部23は、第2導電部22の右端から前方に向かって屈曲している。第3導電部23は、可動接触片8の右方に配置されている。第3導電部23は、左右方向から見て第1固定接点21a及び第1可動接点8aと重なる。第3導電部23は、第1導電部21よりも前後方向に延びている。
【0033】
第4導電部24は、左右方向と交差する方向に延びている。第4導電部24は、第3導電部23に接続されている。第4導電部24は、ベース2から上下方向に突出する。第4導電部24は、第3導電部23から下方に延びて、ベース2から下方に突出する。第4導電部24は、バスバーなどの図示しない外部端子に接続される。
【0034】
第2固定端子7は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第2固定端子7は、ベース2に支持されている。第2固定端子7は、例えば、ベース2に圧入固定されている。第2固定端子7は、前後方向における可動接触片8の中心よりも前方に配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と前後方向に離れている。第2固定端子7は、第1固定端子6の前方に配置されている。
【0035】
第2固定端子7は、第1固定端子6と対称に配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と前後に対称な形状を有している。このため、第2固定端子7については、簡略に説明する。
【0036】
第2固定端子7は、第1導電部31と、第2導電部32と、第3導電部33と、第4導電部34とを含む。第1導電部31は、可動接触片8の左方に配置されている。第1導電部31は、第2固定接点31aを含む。第2固定接点31aは、第1導電部31の右面に配置されている。
【0037】
第2導電部32は、第1導電部31の前端から右方に延びている。第2導電部32は、少なくとも一部が可動接触片8の前側方に配置される。第2導電部32は、前後方向から見て、第2固定接点31a及び可動接触片8と重なる。
【0038】
第3導電部33は、第2導電部32の右端から後方に延びている。第3導電部33は、可動接触片8の右方に配置されている。第3導電部33は、左右方向から見て第2固定接点31a及び第2可動接点8bと重なる。
【0039】
第4導電部34は、第3導電部33から下方に延びて、ベース2から下方に突出する。第4導電部34は、バスバーなどの図示しない外部端子に接続される。
【0040】
可動接触片8は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片8は、前後方向に延びている。可動接触片8は、前後方向における中央付近が左方に向かって凸に湾曲した形状を有している。
【0041】
可動接触片8は、第1可動接点8aと、第2可動接点8bとを含む。第1可動接点8a及び第2可動接点8bは、可動接触片8の左面に配置されている。 第1可動接点8aは、左右方向に第1固定接点21aと対向する。第2可動接点8bは、左右方向に第2固定接点31aと対向する。第1可動接点8a及び第2可動接点8bは、可動接触片8にかしめ固定されている。第1可動接点8a及び第2可動接点8bは、可動接触片8と一体であってもよい。
【0042】
可動接触片8は、左右方向に移動可能に構成される。詳細には、可動接触片8は、第1可動接点8aが第1固定接点21aに近づく接触方向と、第1可動接点8aが第1固定接点21aから開離する開離方向とに移動可能に構成される。可動接触片8は、図2及び図3に示す開位置と、図4及び図5に示す閉位置との間で移動可能である。開位置において、第1可動接点8aは、第1固定接点21aから開離し、第2可動接点8bは、第2固定接点31aから開離している。閉位置において、第1可動接点8aは、第1固定接点21aに接触し、第2可動接点8bは、第2固定接点31aに接触する。
【0043】
可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第2導電部22との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔よりも大きい。可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第3導電部23との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔よりも大きい。
【0044】
接点ばね9は、可動接触片8を第1固定接点21a及び第2固定接点31aに向けて付勢する。本実施形態では、接点ばね9は、可動接触片8の右面に配置され、可動接触片8を接触方向に付勢する。接点ばね9は、例えば、可動接触片8の右面に設けられる図示しない支持突起に支持されている。
【0045】
駆動装置5は、区画部材3とケースとによって形成される内部空間に配置されている。駆動装置5は、接点装置4の上方に配置されている。駆動装置5は、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8を左右方向に移動させる。駆動装置5は、電磁力によって第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8を開位置から閉位置に移動させる。
【0046】
駆動装置5は、図1及び図2に示すように、コイル51と、ボビン52と、固定鉄心53と、ヨーク54と、可動鉄片55と、ヒンジばね56と、カード57と、復帰ばね58とを含む。コイル51は、ボビン52に巻回されている。ボビン52の軸線は、左右方向に延びている。固定鉄心53は、ボビン52内に配置されている。本実施形態では、固定鉄心53は、複数の板材を積層して形成されている。ヨーク54は、L字状に屈曲した形状を有している。ヨーク54は、コイル51の上方とボビン52の左方とに配置されている。ヨーク54は、固定鉄心53の左端に接続されている。
【0047】
可動鉄片55は、ヨーク54の右端に連結されている。可動鉄片55は、ヒンジばね56を介してヨーク54に回動可能に支持されている。可動鉄片55は、ヨーク54の右端を支点として回動する。可動鉄片55は、固定鉄心53の右方に配置されている。可動鉄片55の下端は、カード57に連結されている。ヒンジばね56は、可動鉄片55を固定鉄心53から離れる方向に付勢する。
【0048】
カード57は、樹脂などの絶縁材で形成されている。カード57は、可動鉄片55の回動に伴い、可動鉄片55に押圧されて、左右方向に移動する。カード57は、ベース2に載置されており、図6に示すベース2のガイド溝2aによって左右方向の移動がガイドされる。ガイド溝2aは、左右方向に延びている。
【0049】
図2及び図3に示すように、カード57は、カード本体57aと、カバー部57bと、挿入孔57cとを含む。図3に示すように、カード本体57aは、第1~第4接点組10dの可動接触片8及び接点ばね9がそれぞれ収容される4つの空間が形成されている。4つの空間は、左右方向に並んでいる。図2に示すように、カバー部57bは、カード本体57aの上部に固定されており、4つの空間の上方を塞ぐ。挿入孔57cは、カバー部57bの右端上部に形成されている。挿入孔57cは、上方に向かって開口しており、可動鉄片55の一部が挿入される。
【0050】
復帰ばね58は、カード57の左端に配置されており、カード57を開離方向に付勢する。
【0051】
コイル51に電圧が印加されていない状態では、ヒンジばね56及び復帰ばね58の弾性力によってカード57が開離方向に押圧されており、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれの可動接触片8は、開位置に位置している。コイル51に電圧が印加されて駆動装置5が励磁されると、可動鉄片55が固定鉄心53に吸引されて回動し、カード57が接触方向に押圧される。これにより、カード57が復帰ばね58の弾性力に抗して接触方向に移動する。カード57の接触方向の移動に伴い、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8が閉位置に移動する。これにより、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれにおいて、第1可動接点8aが第1固定接点21aに接触し、第2可動接点8bが第2固定接点31aに接触する。コイル51の電圧の印加が停止されると、カード57は、ヒンジばね56及び復帰ばね58の弾性力によって開離方向に移動する。これにより、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれの可動接触片8が開位置に戻る。
【0052】
図6及び図7に示すように、電磁継電器1は、第1絶縁壁61と、第2絶縁壁62と、第3絶縁壁63とを備える。本実施形態では、第1絶縁壁61、第2絶縁壁62及び第3絶縁壁63は、ベース2と一体に形成されているが、第1絶縁壁61、第2絶縁壁62及び第3絶縁壁63は、ベース2と別体であってもよい。
【0053】
第1絶縁壁61は、可動接触片8と第1固定端子6の第2導電部22との間に配置される。第1絶縁壁61は、前後方向と交差する方向に延びている。第1絶縁壁61は、ベース2の底部2bから上方に延びている。第1絶縁壁61は、第2導電部22よりも上方に延びている。第1絶縁壁61は、第2導電部22に沿って延びている。第1絶縁壁61は、第2導電部22と平行である。第1絶縁壁61は、第2導電部22の前方を覆うように配置されている。第1絶縁壁61は、可動接触片8の後側方に配置されている。
【0054】
第2絶縁壁62は、可動接触片8と第1固定端子6の第3導電部23との間に配置される。第2絶縁壁62は、左右方向と交差する方向に延びている。第2絶縁壁62は、ベース2の底部2bから上方に延びている。第2絶縁壁62は、第3導電部23よりも上方に延びている。第2絶縁壁62は、第3導電部23に沿って延びている。第2絶縁壁62は、第3導電部23と平行である。第2絶縁壁62は、第1絶縁壁61に接続されている。第2絶縁壁62は、上方から見て第1絶縁壁61の右端から前方に延びている。第2絶縁壁62は、第3導電部23の左方を覆うように配置されている。第2絶縁壁62は、可動接触片8の右方に配置されている。
【0055】
第2絶縁壁62は、可動接触片8の開離方向への移動を規制する。詳細には、第2絶縁壁62は、可動接触片8が閉位置から開位置に戻る際に、可動接触片8を開位置で止めるストッパとして機能する。第2絶縁壁62は、可動接触片8が開位置にあるときに、可動接触片8と接触してもよい。すなわち、第2絶縁壁62は、可動接触片8の開位置を位置決めする構成であってもよい。
【0056】
第3絶縁壁63は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21と、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23との間に配置される。第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21と左右方向に並ぶ。第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21と左右方向に対向する。
【0057】
第3絶縁壁63は、左右方向と交差する方向に延びている。第3絶縁壁63は、ベース2の底部2bから上方に延びている。第3絶縁壁63は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21及び第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23よりも上方に延びている。
【0058】
電磁継電器1は、第4絶縁壁64と、第5絶縁壁65と、第6絶縁壁66とをさらに備える。第4絶縁壁64は、可動接触片8と第2固定端子7の第2導電部32との間に配置される。第4絶縁壁64は、第1絶縁壁61と前後方向に離れている。第4絶縁壁64は、第1絶縁壁61と前後に対称な形状を有している。第4絶縁壁64の詳細については、説明を省略する。
【0059】
第5絶縁壁65は、可動接触片8と第2固定端子7の第3導電部33との間に配置される。第5絶縁壁65は、第2絶縁壁62と前後方向に離れている。第5絶縁壁65は、第2絶縁壁62と前後に対称な形状を有している。第5絶縁壁65の詳細については、説明を省略する
【0060】
第6絶縁壁66は、第1接点組10aの第2固定端子7の第1導電部31と、第2接点組10bの第2固定端子7の第3導電部33との間に配置される。第6絶縁壁66は、第3絶縁壁63と前後方向に離れている。第6絶縁壁66は、第3絶縁壁63と前後に対称な形状を有している。このため、第6絶縁壁66の詳細については、説明を省略する
【0061】
第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21及び第3絶縁壁63の一方は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部31及び第3絶縁壁63の他方に当接する第1突起71を含む。本実施形態では、第3絶縁壁63は、第1突起71を含む。
【0062】
第1突起71は、第3絶縁壁63の右面に配置されている。第1突起71は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21の左面に当接している。第1突起71は、ベース2の底部2bから上方に延びている。第1突起71の上端は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21に向かって下方に傾斜している。第1突起71は、第1接点組10aの第1固定接点21aのかしめ部を避けた位置に配置されている。第1突起71は、第1接点組10aの第1固定接点21aよりも後方に配置されている。第1突起71の少なくとも一部は、左右方向から見て、第1接点組10aの第1固定接点21aと重ならない。第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21は、第1突起71に位置決めされる。
【0063】
第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23及び第3絶縁壁63の一方は、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23及び第3絶縁壁63の他方に当接する第2突起72,73を含む。本実施形態では、第3絶縁壁63は、第2突起72,73を含む
【0064】
第2突起72,73は、第3絶縁壁63の左面に配置されている。第2突起72,73は、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23の右面に当接している。第2突起72,73は、ベース2の底部2bから上方に延びている。第2突起72,73の上端は、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23向かって下方に傾斜している。第2突起72は、第2突起73と左右方向に離れている。第2突起72は、左右方向から見て第1突起71と重なる。第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23は、第2突起72,73に位置決めされる。
【0065】
第6絶縁壁66は、第3突起74と、第4突起75,76とを含む。第3突起74は、第1突起71と前後に対称な形状を有している。第4突起75,76は、第2突起72,73と前後に対称な形状を有している。
【0066】
図2図3及び図6に示すように、第1絶縁壁61、第2絶縁壁62、第4絶縁壁64及び第5絶縁壁65と同様の構成は、第2接点組10bが収容される空間、第3接点組10cが収容される空間及び第4接点組10dが収容される空間のそれぞれに設けられている。図2図3及び図6に示すように、第3絶縁壁63及び第6絶縁壁66と同様の構成は、第2接点組10bと第3接点組10cとの間、並びに第3接点組10cと第4接点組10dとの間にそれぞれ設けられている。
【0067】
図4及び図5では、通電時において、第1固定端子6、第2固定端子7及び可動接触片8を流れる電流の経路の一例を鎖線の矢印で模式的に示している。ここでは、第1固定端子6、可動接触片8、第2固定端子7の順に電流が流れる。第1固定端子6では、第4導電部24、第3導電部23、第2導電部22、第1導電部21の順に電流が流れる。可動接触片8では、第1可動接点8aから第2可動接点8bに向かう方向に電流が流れる。第2固定端子7では、第1導電部31、第2導電部32、第3導電部33、第4導電部34の順に電流が流れる。
【0068】
図5に示すように、第1固定端子6の第2導電部22に流れる電流C1により発生する磁界が可動接触片8に流れる電流C2に作用して、第1ローレンツ力F1が発生する。第1ローレンツ力F1は、可動接触片8に対して接触方向に作用する。さらに、第1固定端子6の第3導電部23に流れる電流C3により発生する磁界が可動接触片8に流れる電流C2に作用して、第2ローレンツ力F2が発生する。第2ローレンツ力F2は、可動接触片8に対して接触方向に作用する。第1ローレンツ力F1及び第2ローレンツ力F2は、第1固定接点21aと第1可動接点8aとの接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力を抑制することができる。これにより、例えば、駆動装置5の電磁力を増加させて第1固定接点21aと第1可動接点8aの開離を抑制する場合と比べて、電磁継電器1の大型化を抑制できる。
【0069】
また、第2固定端子7の第2導電部32に流れる電流C4により発生する磁界と、第3導電部33に流れる電流C5により発生する磁界が可動接触片8に流れる電流C2に作用して、第2固定接点31aと第2可動接点8bとの接点間の電磁反発力と反対方向に作用する第3ローレンツ力F3及び第4ローレンツ力F4が発生する。第1ローレンツ力F1及び第2ローレンツ力F2は、第2固定接点31aと第2可動接点8bとの接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力を抑制することができる。
【0070】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
複数の接点組10の数は変更されてもよい。複数の接点組10は、2つ以上の接点組を含んでいればよい。可動接触片8は、一直線上に延びていてもよい。第1固定端子6の厚みは均一でなくてもよい。例えば、第3導電部23及び第4導電部24は、ヘミング加工が施されてもよい。第1~第4導電部21~24は、単一の板状の端子を曲げ加工して形成していたが、第1~第4導電部21~24は、別部材で形成してから接合されてもよい第2導電部22は、R形状であってもよい。
【0072】
第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21は、第1突起71を含んでもよい。すなわち、第1突起71は、第1接点組10aの第1固定端子6の第1導電部21に設けられてもよい。第2突起72,73は、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23は、第2突起72,73を含んでもよい。すなわち、第2突起72,73は、第2接点組10bの第1固定端子6の第3導電部23に設けられてもよい。第2突起72及び第2突起73の一方は、省略されてもよい。
【0073】
第3導電部23,33は、切り欠き形状を有してもよい。図8に示すように、第1固定端子6の第3導電部23は、左右方向から見て第1固定接点21aと重ならなくてもよい。第1固定端子6の第3導電部23は、左右方向から見て第1導電部21と重ならなくてもよい。同様に、第2固定端子7の第3導電部33は、左右方向から見て第2固定接点31aと重ならなくてもよい。
【0074】
図9に示すように、可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第2導電部22との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔以下であってもよい。可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第2導電部22との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔よりも小さくてもよい。可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第3導電部23との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔以下であってもよい。可動接触片8が開位置にあるときにおいて、可動接触片8と第3導電部23との間隔は、第1導電部21の第1固定接点21aと第1可動接点8aとの間隔よりも小さくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 電磁継電器。
6 第1固定端子
7 第2固定端子
8 可動接触片
8a 第1可動接点
8b 第2可動接点
10 複数の接点組
10a 第1接点組
10b 第2接点組
21 第1導電部
21a 第1固定接点
22 第2導電部
23 第3導電部
24 第4導電部
61 第1絶縁壁
62 第2絶縁壁
63 第3絶縁壁
71 第1突起
72,73 第2突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9