(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081445
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20240611BHJP
H01H 50/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01H50/54 B
H01H50/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195085
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(72)【発明者】
【氏名】譚 イ
(72)【発明者】
【氏名】神野 克也
(57)【要約】
【課題】1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制する。
【解決手段】電磁継電器は、接点装置と、駆動装置とを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第1固定接点と第1方向に離れた第2固定接点を含む第2固定端子と、可動接触片との接点組を複数含む。可動接触片は、第1可動接点と、第2可動接点と、第1可動接点支持部と、中央部と、第1延伸部とを含む。駆動装置は、複数の接点組のそれぞれの可動接触片を第1方向と直交する第2方向に移動させる。中央部は、第1可動接点から第1固定接点に向かう接触方向の第1面と、第1面と反対側の第2面とを含む。第1延伸部は、第1可動接点支持部と中央部の間に位置する。中央部の第2面は、第1可動接点を接触方向に超えた位置に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、前記第1固定接点と第1方向に離れた第2固定接点を含む第2固定端子と、前記第1方向と直交する第2方向に前記第1固定接点と対向する第1可動接点と前記第2方向に前記第2固定接点と対向する第2可動接点とを含む可動接触片との接点組を複数含み、前記複数の接点組が前記第2方向に並ぶ接点装置と、
前記複数の接点組のそれぞれの前記可動接触片を前記第2方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記可動接触片は、
前記第1可動接点を支持する第1可動接点支持部と、
前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう接触方向の第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1方向における前記可動接触片の中央に位置する中央部と、
前記第1方向と交差する方向に延び、前記第1可動接点支持部と前記中央部の間に位置する第1延伸部と、
をさらに含み、
前記中央部の前記第2面は、前記第1可動接点を前記接触方向に超えた位置に配置される、
電磁継電器。
【請求項2】
前記第1延伸部は、前記第1方向から見て前記第1固定接点と重なる、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第1固定端子は、前記第1固定接点を支持する固定接点支持部をさらに含み、
前記可動接触片の前記中央部は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触した状態において、前記第2方向から見て前記固定接点支持部と重なる、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第1固定接点は、前記可動接触片の前記中央部の前記第1面よりも前記接触方向に突出する第1かしめ突起を含む、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記可動接触片の前記中央部の前記第1面を前記接触方向に付勢する接点ばねをさらに備える、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記可動接触片は、前記接点ばねを位置決めする位置決め部をさらに含み、
前記位置決め部は、前記中央部の前記第2面に配置されている、
請求項5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1延伸部は、前記第1可動接点支持部から前記接触方向に向かって湾曲した形状を有する、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記可動接触片は、
前記第2可動接点を支持する第2可動接点支持部と、
前記第1方向と交差する方向に延び、前記中央部と前記第2可動接点支持部との間に位置する第2延伸部と、
をさらに含む、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記複数の接点組は、第1接点組と、前記接触方向に前記第1接点組と隣接して配置される第2接点組とを含み、
前記第1接点組の前記可動接触片の前記中央部の前記第1面は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触した状態において、前記第2接点組の前記第1固定端子を前記接触方向に超えない位置に配置される、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項10】
前記第1固定端子は、
前記第1固定接点を含む第1導電部と、
前記第1導電部に接続され、少なくとも一部が前記可動接触片の前記第1方向の側方に配置される第2導電部と、
前記第2導電部に接続され、前記第1可動接点から前記第2可動接点に向かう方向に延びる第3導電部と、
を含む、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項11】
複数の接点組は、第1接点組と、第2接点組とを含み、
前記第1接点組は、通電時に前記第1接点組の前記第1可動接点が前記第1接点組の前記第1固定接点に接触し、
前記第2接点組は、通電時に前記第2接点組の前記第1可動接点が前記第2接点組の前記第1固定接点から開離する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置と、可動接触片を移動させる駆動装置とを備える電磁継電器が開示されている。複数の接点組は、ベースに対して可動接触片の移動方向に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の接点組を含む接点装置を備える電磁継電器を用いた設備において、短絡による大電流が発生した場合、その電流が接点装置に流れることで接点間に電磁反発力が発生し、接点が開離するおそれがある。例えば、駆動装置の電磁力を増加させて接点の開離を抑制する場合、駆動装置が大型化して、電磁継電器の大型化を招く。
【0005】
本発明の課題は、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、接点装置と、駆動装置とを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第2固定接点を含む第2固定端子と、可動接触片との接点組を複数含む。第2固定接点は、第1固定接点と第1方向に離れている。可動接触片は、第1方向と直交する第2方向に第1固定接点と対向する第1可動接点と、第2方向に第2固定接点と対向する第2可動接点とを含む。複数の接点組は、第2方向に並ぶ。駆動装置は、複数の接点組のそれぞれの可動接触片を第2方向に移動させる。可動接触片は、第1可動接点支持部と、中央部と、第1延伸部とをさらに含む。第1可動接点支持部は、第1可動接点を支持する。中央部は、第1方向における可動接触片の中央に位置する。中央部は、第1可動接点から第1固定接点に向かう接触方向の第1面と、第1面と反対側の第2面とを含む。第1延伸部は、第1方向と交差する方向に延び、第1可動接点支持部と中央部の間に位置する。中央部の第2面は、第1可動接点を接触方向に超えた位置に配置される。
【0007】
この電磁継電器では、可動接触片の中央部の第2面は、第1可動接点を接触方向に超えた位置に配置されており、第1可動接点支持部と中央部の間に位置する可動接触片の第1延伸部は、第1方向と交差する方向に延びている。このため、可動接触片の第1延伸部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の中央部に流れる電流に作用して、第1ローレンツ力が発生する。第1ローレンツ力は、可動接触片に対して接触方向に作用する。すなわち、第1ローレンツ力は、第1固定接点と第1可動接点との接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力を抑制することができる。これにより、例えば、駆動装置の電磁力を増加させて接点の開離を抑制する場合と比べて、電磁継電器の大型化を抑制できる。また、例えば、可動接触片が第1方向に一直線状に延びている場合と比べて、第1固定接点と第1可動接点とに必要な接点間隔を省スペースで確保することができる。
【0008】
可動接触片の第1延伸部は、第1方向から見て第1固定接点と重なってもよい。この場合は、第1延伸部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の中央部に流れる電流に効果的に作用するので、第1ローレンツ力が大きくなる。
【0009】
第1固定端子は、第1固定接点を支持する固定接点支持部をさらに含んでもよい。可動接触片の中央部は、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態において、第2方向から見て固定接点支持部と重なってもよい。この場合は、第1延伸部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の中央部に流れる電流に効果的に作用するので、第1ローレンツ力が大きくなる。
【0010】
第1固定接点は、可動接触片の中央部の第1面よりも接触方向に突出する第1かしめ突起を含んでもよい。この場合は、可動接触片が第1かしめ突起を接触方向に超えない範囲に配置されることになるので、接点装置の大型化を抑制できる。
【0011】
電磁継電器は、可動接触片の中央部の第1面を接触方向に付勢する接点ばねをさらに備えてもよい。この場合は、第1可動接点及び第2可動接点の接触圧を確保できる。また、接点ばねを効率よく配置できるので、接点装置の大型化を抑制できる。
【0012】
可動接触片は、接点ばねを位置決めする位置決め部をさらに含んでもよい。位置決め部は、中央部の第2面に配置されてもよい。この場合は、簡単な構成で接点ばねを位置決めできる。
【0013】
第1延伸部は、第1可動接点支持部から接触方向に向かって湾曲した形状を有してもよい。この場合は、第1延伸部を容易に形成できるとともに、第1延伸部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の中央部に流れる電流に効果的に作用するので、第1ローレンツ力が大きくなる。
【0014】
可動接触片は、第2可動接点を支持する第2可動接点支持部と、第1方向と交差する方向に延び、中央部と第2可動接点支持部との間に位置する第2延伸部とをさらに含んでもよい。この場合は、可動接触片の第2延伸部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の中央部に流れる電流に作用して、第2ローレンツ力が発生する。第2ローレンツ力は、第2固定接点と第2可動接点との接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力をさらに抑制することができる。
【0015】
複数の接点組は、第1接点組と、接触方向に前記第1接点組と隣接して配置される第2接点組とを含んでもよい。第1接点組の可動接触片の中央部の第1面は、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態において、第2接点組の第1固定端子を接触方向に超えない位置に配置されてもよい。この場合は、第1接点組と第2接点組との間の絶縁性を確保し易い。
【0016】
第1固定端子は、第1固定接点を含む第1導電部と、第1導電部に接続され、少なくとも一部が可動接触片の第1方向の側方に配置される第2導電部と、第2導電部に接続され、第1可動接点から第2可動接点に向かう方向に延びる第3導電部とを含んでもよい。この場合は、第1固定端子の第2導電部に流れる電流により発生する磁界が可動接触片の第1接点支持部に流れる電流に作用して、第3ローレンツ力が発生する。第3ローレンツ力は、第1固定接点と第1可動接点との接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として電磁反発力をさらに抑制することができる。
【0017】
複数の接点組は、第1接点組と、第2接点組とを含んでもよい。第1接点組は、通電時に第1接点組の第1可動接点が第1接点組の第1固定接点に接触するように構成されてもよい。第2接点組は、通電時に第2接点組の第1可動接点が第2接点組の第1固定接点から開離するように構成されてもよい。この場合は、いわゆるa接点の接点組と、いわゆるb接点の接点組とを有する電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制することができる。
【0018】
本発明によれば、1対の固定接点と1対の可動接点を含む可動接触片との接点組を複数含む接点装置を備える電磁継電器において、電磁継電器の大型化を抑制しつつ、電磁反発力による接点の開離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】開状態における第1接点組を上方から見た図である。
【
図5】閉状態における第1接点組を上下方向と直交する平面で切断した断面図である。
【
図6】閉状態における第1接点組を上方から見た図である。
【
図7】第1接点組及び第2接点組を上方から見た図である。
【
図10】変形例に係る接点装置を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、Xが示す方向(第2方向の一例)を左右方向、Yが示す方向(第1方向の一例)を前後方向、Zが示す方向(第3方向の一例)を上下方向として説明する。また、X1が示す方向を右方、X2が示す方向を左方(接触方向の一例)、Y1が示す方向を前方、Y2が示す方向を後方、Z1が示す方向を上向、Z2が示す方向を下方として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0021】
図1から
図3に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、区画部材3と、接点装置4と、駆動装置5とを備えている。
【0022】
ベース2及び区画部材3は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース2は、左右方向及び前後方向に延びている。区画部材3は、ベース2の上方に配置されている。区画部材3は、接点装置4と駆動装置5との間に配置されている。区画部材3は、電磁継電器1において、接点装置4が配置される空間と駆動装置5が配置される空間とを区画する。区画部材3の上方は、図示しないケースによって覆われる。
【0023】
接点装置4は、ベース2と区画部材3とによって形成される内部空間に収容されている。接点装置4は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と接点ばね9との接点組10を複数含む。複数の接点組10は、互いに左右方向に並んで配置されている。複数の接点組10は、互いに左右方向に離れている。
【0024】
本実施形態では、複数の接点組10は、4つ接点組10a~10dを含む。詳細には、複数の接点組10は、第1接点組10aと、第2接点組10bと、第3接点組10cと、第4接点組10dとを含む。第2接点組10bは、第1接点組10aと接触方向に隣接して配置される。第3接点組10bは、第2接点組10aと接触方向に隣接して配置される。第4接点組10bは、第3接点組10aと接触方向に隣接して配置される。第1~第4接点組10a~10dは、右から左に向かって第1接点組10a、第2接点組10b、第3接点組10c、第4接点組10dの順に並んでいる。
【0025】
第1~第4接点組10a~10dは、互いに同様に構成を有している。すなわち、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれは、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、接点ばね9とを含む。ここでは、複数の接点組10のうち、第1接点組10aの第1固定端子6、第2固定端子7、可動接触片8及び接点ばね9の詳細についてのみ説明する。
【0026】
第1固定端子6は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子6は、ベース2に支持されている。第1固定端子6は、例えば、ベース2に圧入固定されている。第1固定端子6は、前後方向における可動接触片8の中心よりも後方に配置されている。
【0027】
図4及び
図5に示すように、第1固定端子6は、第1固定接点6aと、第1接点支持部6bと、第1中間部6cと、第1外部接続部6d(
図1参照)とを含む。
【0028】
第1固定接点6aは、可動接触片8の左方に配置されている。第1固定接点6aは、第1接点支持部6bの右面に配置されている。第1固定接点6aは、第1接点支持部6bにかしめ固定されている。第1固定接点6aは、第1かしめ突起6eを含む。第1かしめ突起6eは、第1接点支持部6bの左面から左方に突出している。なお、第1固定接点6aは、第1接点支持部6bと一体であってもよい。
【0029】
第1接点支持部6bは、固定接点支持部の一例である。第1接点支持部6bは、第1固定接点6aを支持する。第1接点支持部6bは、左右方向と交差する方向に延びている。第1中間部6cは、第1接点支持部6bと第1外部接続部6dの間に配置されている。第1中間部6cは、上下方向と交差する方向に延びている。第1中間部6cは、第1接点支持部6bの下端から右方に延びている。第1中間部6cは、ベース2の底部2bに載置されている。第1外部接続部6dは、左右方向と交差する方向に延びている。第1外部接続部6dは、第1中間部6cの右端から下方に延びている。第1外部接続部6dは、ベース2から下方に突出する。第1外部接続部6dは、バスバーなどの図示しない外部端子に接続される。
【0030】
第2固定端子7は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第2固定端子7は、ベース2に支持されている。第2固定端子7は、例えば、ベース2に圧入固定されている。第2固定端子7は、前後方向における可動接触片8の中心よりも前方に配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と前後方向に離れている。第2固定端子7は、第1固定端子6の前方に配置されている。
【0031】
第2固定端子7は、第1固定端子6と対称に配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と前後に対称な形状を有している。第2固定端子7は、第2固定接点7aと、第2接点支持部7bと、第2中間部7cと、第2外部接続部(
図1参照)とを含む。第2固定接点7aは、第2かしめ突起7eを含む。第2固定端子7の各構成は、第1固定端子6の各構成と同様であるため説明を省略する。
【0032】
可動接触片8は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片8は、前後方向に延びている。可動接触片8は、前後方向における中央付近が左方に向かって凸に湾曲した形状を有している。可動接触片8の長手方向は、前後方向と一致する。可動接触片8の短手方向は、上下方向と一致する。
【0033】
可動接触片8は、第1可動接点21と、第2可動接点22と、第1接点支持部23と、第2接点支持部24と、中央部25と、第1延伸部26と、第2延伸部27と、位置決め部28とを含む。
【0034】
第1可動接点21は、第1接点支持部23の左面に配置されている。第1可動接点21は、第1固定接点6aと左右方向に対向する。第1可動接点21は、第1接点支持部23にかしめ固定されている。第1可動接点21は、第1接点支持部23と一体であってもよい。
【0035】
第2可動接点22は、第2接点支持部24の左面に配置されている。第2可動接点22は、第2固定接点7aと左右方向に対向する。第2可動接点22は、第2接点支持部24にかしめ固定されている。第2可動接点22は、第2接点支持部24と一体であってもよい。
【0036】
第1接点支持部23は、第1可動接点支持部の一例である。第1接点支持部23は、第1可動接点21を支持する。第1接点支持部23は、前後方向と平行な方向に延びている。第1接点支持部23は、前後方向における可動接触片8の後端に位置する。第1接点支持部23は、第1固定端子6の第1接点支持部6bの右方に配置されている。第1接点支持部23は、第1固定端子6の第1中間部6cの上方に配置されている。
【0037】
第2接点支持部24は、第2可動接点支持部の一例である。第2接点支持部24は、第2可動接点22を支持する。第2接点支持部24は、前後方向と平行な方向に延びている。第2接点支持部24は、前後方向における可動接触片8の前端に位置する。第2接点支持部24は、第2固定端子7の第2接点支持部7bの右方に配置されている。第2接点支持部24は、第2固定端子7の第2中間部7cの上方に配置されている。
【0038】
可動接触片8は、左右方向に移動可能に構成される。詳細には、可動接触片8は、第1可動接点21から第1固定接点6aに向かう接触方向と、接触方向と反対の開離方向とに移動可能に構成される。本実施形態において、接触方向は、左方であり、開離方向は、右方に対応する。
【0039】
可動接触片8は、
図2から
図4に示す開位置と、
図5から
図7に示す閉位置との間で移動可能である。開位置において、第1可動接点21は、第1固定接点6aから開離し、第2可動接点22は、第2固定接点7aから開離している。閉位置において、第1可動接点21は、第1固定接点6aに接触し、第2可動接点22は、第2固定接点7aに接触する。以下の説明において、開状態は、可動接触片8が開位置にある状態を意味し、閉状態は、可動接触片8が閉位置にある状態を意味する。
【0040】
中央部25は、前後方向における可動接触片8の中央に位置する。中央部25は、前後方向と平行な方向に延びている。中央部25は、左右方向と直交する方向に延びている。
中央部25は、左右方向から見て、第1固定端子6と第2固定端子7の間に配置されている。中央部25は、左右方向から見て、第1固定端子6及び第2固定端子7と重ならない。閉状態において、中央部25は、前後方向から見て、第1固定接点6a及び第2固定接点7aと重なる。閉状態において、中央部25は、前後方向から見て第1固定端子6の第1接点支持部6b及び第2固定端子7の第2接点支持部7bと重なる。開状態において、中央部25は、前後方向から見て第1固定端子6の第1接点支持部6b及び第2固定端子7の第2接点支持部7bと重ならない。
【0041】
中央部25は、第1面25aと、第2面25bとを含む。第1面25aは、中央部25の左面であり、中央部25の接触方向の面である。第2面25bは、第1面25aと反対側の面である。第2面25bは、中央部25の右面であり、中央部25の開離方向の面である。第1面25a及び第2面25bは、左右方向と直交する方向に延びている。
【0042】
閉状態において、第1かしめ突起6e及び第2かしめ突起7eは、第1面25aに対して接触方向に突出している。閉状態において、第1面25aは、第1かしめ突起6e及び第2かしめ突起7eよりも開離方向に位置する。閉状態において、第1面25aは、前後方向から見て第1固定端子6の第1接点支持部6b及び第2固定端子7の第2接点支持部7bと重なる。
【0043】
第2面25bは、第1可動接点21及び第2可動接点22を接触方向に超えた位置に配置されている。すなわち、中央部25の全体は、第1可動接点21及び第2可動接点22を接触方向に超えた位置に配置されている。第2面25bは、閉状態において、左右方向から見て、第1固定接点6a及び第2固定接点7aと重なる。
【0044】
第1延伸部26は、前後方向と交差する方向に延びている。第1延伸部26は、第1接点支持部23と中央部25との間に位置する。第1延伸部26は、第1接点支持部23と中央部25とを接続する。第1延伸部26は、第1接点支持部23の前端から左方かつ前方に延びている。第1延伸部26は、第1接点支持部23から接触方向(左方)に向かって湾曲した形状を有する。第1延伸部26は、前後方向から見て、第1可動接点21及び第2可動接点22と重なる。第1延伸部26は、閉状態において、前後方向から見て、第1固定接点6a及び第1接点支持部6bと重なる。
【0045】
第2延伸部27は、前後方向と交差する方向に延びている。第2延伸部27は、第2接点支持部24と中央部25との間に位置する。第2延伸部27は、第2接点支持部24と中央部25とを接続する。第2延伸部27は、第2接点支持部24の後端から右方かつ前方に延びている。第2延伸部27は、第2接点支持部24から接触方向(左方)に向かって湾曲した形状を有する。第2延伸部27は、前後方向から見て、第1可動接点21及び第2可動接点22と重なる。第2延伸部27は、閉状態において、前後方向から見て、第1固定接点6a及び第1接点支持部6bと重なる。
【0046】
位置決め部28は、接点ばね9を位置決めする。位置決め部28は、中央部25の第2面25bに配置されている。位置決め部28は、前後方向における可動接触片8の中央に配置されている。位置決め部28は、中央部25の第2面25bから右方に突出する突起によって構成されている。
【0047】
接点ばね9は、可動接触片8を第1固定接点6a及び第2固定接点7aに向けて付勢する。本実施形態では、接点ばね9は、可動接触片8の中央部25の第2面25bに配置され、可動接触片8を接触方向に付勢する。接点ばね9は、位置決め部28に位置決めされる。
【0048】
駆動装置5は、区画部材3とケースとによって形成される内部空間に配置されている。駆動装置5は、接点装置4の上方に配置されている。駆動装置5は、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8を左右方向に移動させる。駆動装置5は、電磁力によって第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8を開位置から閉位置に移動させる。
【0049】
駆動装置5は、
図1及び
図2に示すように、コイル51と、ボビン52と、固定鉄心53と、ヨーク54と、可動鉄片55と、ヒンジばね56と、カード57と、復帰ばね58とを含む。コイル51は、ボビン52に巻回されている。ボビン52の軸線は、左右方向に延びている。固定鉄心53は、ボビン52内に配置されている。本実施形態では、固定鉄心53は、複数の板材を積層して形成されている。ヨーク54は、L字状に屈曲した形状を有している。ヨーク54は、コイル51の上方とボビン52の左方とに配置されている。ヨーク54は、固定鉄心53の左端に接続されている。
【0050】
可動鉄片55は、ヨーク54の右端に連結されている。可動鉄片55は、ヒンジばね56を介してヨーク54に回動可能に支持されている。可動鉄片55は、ヨーク54の右端を支点として回動する。可動鉄片55は、固定鉄心53の右方に配置されている。可動鉄片55の下端は、カード57に連結されている。ヒンジばね56は、可動鉄片55を固定鉄心53から離れる方向に付勢する。
【0051】
カード57は、樹脂などの絶縁材で形成されている。カード57は、可動鉄片55の回動に伴い、可動鉄片55に押圧されて、左右方向に移動する。カード57は、ベース2に載置されており、ベース2の底部2bに形成される図示しないガイド溝によって左右方向の移動がガイドされる。ガイド溝は、左右方向に延びている。
【0052】
図2及び
図3に示すように、カード57は、カード本体57aと、カバー部57bと、挿入孔57cとを含む。
図3に示すように、カード本体57aは、第1~第4接点組10dの可動接触片8及び接点ばね9がそれぞれ収容される4つの空間が形成されている。4つの空間は、左右方向に並んでいる。
図2に示すように、カバー部57bは、カード本体57aの上部に固定されており、4つの空間の上方を塞ぐ。挿入孔57cは、カバー部57bの右端上部に形成されている。挿入孔57cは、上方に向かって開口しており、可動鉄片55の一部が挿入される。
【0053】
復帰ばね58は、カード57の左端に配置されており、カード57を開離方向に付勢する。
【0054】
コイル51に電圧が印加されていない状態では、ヒンジばね56及び復帰ばね58の弾性力によってカード57が開離方向に押圧されており、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれの可動接触片8は、開位置に位置している。コイル51に電圧が印加されて駆動装置5が励磁されると、可動鉄片55が固定鉄心53に吸引されて回動し、カード57が接触方向に押圧される。これにより、カード57が復帰ばね58の弾性力に抗して接触方向に移動する。カード57の接触方向の移動に伴い、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片8が閉位置に移動する。これにより、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれにおいて、第1可動接点21が第1固定接点6aに接触し、第2可動接点22が第2固定接点7aに接触する。コイル51の電圧の印加が停止されると、カード57は、ヒンジばね56及び復帰ばね58の弾性力によって開離方向に移動する。これにより、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれの可動接触片8が開位置に戻る。
【0055】
図6では、通電時において、第1固定端子6、第2固定端子7及び可動接触片8を流れる電流の経路の一例を鎖線の矢印で模式的に示している。ここでは、第1固定端子6、可動接触片8、第2固定端子7の順に電流が流れる。
【0056】
図6に示すように、第1延伸部26に流れる電流C1により発生する磁界が可動接触片8に流れる電流C2に作用して、第1ローレンツ力F1が発生する。第2延伸部27に流れる電流C3により発生する磁界が可動接触片8に流れる電流C2に作用して、第2ローレンツ力F2が発生する。第1ローレンツ力F1及び第2ローレンツ力F2は、可動接触片8に対して接触方向に作用する。第1ローレンツ力F1及び第2ローレンツ力F2は、第1固定接点6aと第1可動接点21との接点間、並びに第2固定接点7aと第2可動接点22との接点間の電磁反発力と反対方向に作用するので、結果として可動接触片8に作用する電磁反発力を抑制することができる。これにより、例えば、駆動装置5の電磁力を増加させて第1固定接点6aと第1可動接点21の開離、並びに第2固定接点7aと第2可動接点22との開離を抑制する場合と比べて、電磁継電器1の大型化を抑制できる。また、例えば、可動接触片8が前後方向に一直線状に延びている場合と比べて、第1固定接点6aと第1可動接点21とに必要な接点間隔、並びに第2固定接点7aと第2可動接点22とに必要な接点間隔を省スペースで確保することができる。
【0057】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
可動接触片8の中央部25の第1面25aは、閉状態において、第1かしめ突起6e及び第2かしめ突起7eよりも接触方向に配置されてもよい。可動接触片8の中央部25の第2面25bは、閉状態において、左右方向から見て、第1固定端子6の第1接点支持部6b及び第2固定端子7の第2接点支持部7bと重なるように配置されてもよい。
【0059】
図7に示すように、第1接点組10aの可動接触片8の中央部25の第1面25aは、閉状態において、第2接点組10bの第1固定端子6及び第2固定端子7を接触方向に超えない位置に配置されることが好ましい。
【0060】
第1延伸部26及び第2延伸部27は、前後方向と平行な方向に延びていてもよい。位置決め部28は、中央部25の第2面25bにおいて、接触方向に凹む形状であってもよい。
【0061】
第1固定端子6及び第2固定端子7の形状は、変更されてもよい。第1固定端子6及び第2固定端子7は、上下方向に一直線状に延びる形状であってもよい。
図8に示すように、第1固定端子6及び第2固定端子7は、少なくとも一部が可動接触片8の前後方向の側方に配置される形状であってもよい。
図8に示す第1固定端子6は、第1固定接点6aを含む第1導電部31と、第2導電部32と、第1外部接続部6dを含む第3導電部33とを含む。第1導電部31は、第1接点支持部6bに相当する構成である。第2導電部32は、第1導電部31接続され、可動接触片8の後側方に配置される。第3導電部33は、第2導電部32に接続され、第2導電部32の右端から前方に延びている。第3導電部33は、左右方向から見て第1導電部31と重なる。
図8に示す第2固定端子7は、第1導電部41と、第2導電部42と、第33導電部34とを含む。
【0062】
図9に示すように、第3導電部33は、切り欠き形状を有してもよい。
図8に示すように、第1固定端子6の第3導電部33は、左右方向から見て第1固定接点6aと重ならなくてもよい。第1固定端子6の第3導電部33は、左右方向から見て第1導電部31と重ならなくてもよい。
【0063】
複数の接点組10の数は変更されてもよい。複数の接点組10は、2つ以上の接点組を含んでいればよい。
【0064】
前記実施形態では、通電時に複数の接点組10のそれぞれが閉状態となり、非通電時に複数の接点組10のそれぞれが開状態となる構成であった。しかしながら、
図10に示すように、複数の接点組10の少なくとも1つ(ここでは第4接点組10b)は、通電時に開状態となり、非通電時に閉状態となる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 電磁継電器。
6 第1固定端子
6a 第1固定接点
6b 第1接点支持部(固定接点支持部の一例)
7 第2固定端子
7a 第2固定接点
8 可動接触片
9 接点ばね
10 複数の接点組
10a 第1接点組
10b 第2接点組
21 第1可動接点
22 第2可動接点
23 第1接点支持部(第1可動接点支持部の一例)
24 第2接点支持部(第2可動接点支持部の一例)
25 中央部
25a 第1面
25b 第2面
26 第1延伸部
27 第2延伸部
28 位置決め部
31 第1導電部
32 第2導電部
33 第3導電部