(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081467
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】税理士・社会保険労務士・中小企業診断士の共有認識としての企業の経営理念を作成する作業を支援する装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240611BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195113
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】520475713
【氏名又は名称】創ビジネスコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 弘毅
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049BB54
(57)【要約】
【課題】 企業の経営理念を作成する作業を支援する。
【解決手段】 支援装置は、データベースと、データベースに接続されたプロセッサとを備える。データベースには、少なくとも一つの経営理念テーブルが記憶されている。経営理念テーブルには、経営理念を特定するための複数の質問が用意されているとともに、複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。プロセッサは、経営理念テーブルに対して用意された複数の質問を提示する処理と、複数の質問の回答を受け付けるとともに、当該回答の組み合わせに対応付けて前記経営理念テーブルに記述された経営理念サンプルを提示する処理とを実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業の経営理念を作成する作業を支援する装置であって、
データベースと、
前記データベースに接続されたプロセッサと、を備え、
前記データベースには、前記企業を分類するための複数のカテゴリのそれぞれに対して、少なくとも一つの経営理念テーブルが記憶されており、
各々の経営理念テーブルには、前記経営理念を特定するための複数の質問が用意されているとともに、前記複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されており、
前記プロセッサは、
前記経営理念に反映されるべき内容を記述する文章のテキストデータを取得する処理と、
前記テキストデータに対して、複数の登録済みキーワードを用いたキーワードマッチングを実行することにより、前記複数のカテゴリのなかから前記企業のカテゴリを決定する処理と、
決定されたカテゴリに対応する経営理念テーブルを前記データベースから読み出すとともに、当該経営理念テーブルに対して用意された前記複数の質問を提示する処理と、
前記複数の質問に対する回答を受け付けるとともに、当該回答の組み合わせに対応付けて前記経営理念テーブルに記述された経営理念サンプルを提示する処理と、を実行する、
装置。
【請求項2】
前記テキストデータは、前記企業の経営者によって作成され、前記企業のパンフレット又はホームページに掲載された文章である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のカテゴリは、「パイオニア型」、「リーダー型」、「クリエイター型」及び「サポーター型」を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記「パイオニア型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「創造性」、「QOL」、「問題解決」、「時間的志向」及び「多様性」のうちの少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記「リーダー型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「エリア」、「資産」、「リーダーシップ」、「創造性」及び「変革の方法」のうちの少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記「クリエイター型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「時間的志向」、「課題解決」、「目標」、「資産」及び「イノベーション・ポイント」の少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記「サポーター型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「バリュー」、「優位ステークホルダ」、「コミュニケーション・スタイル」、「エリア」及び「時間的志向」の少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答される数値の組み合わせで決定される座標点に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答される数値の組み合わせで決定されるレーダーチャートの特徴点の位置及び数に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されている、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答される数値の組み合わせで決定されるレーダーチャートの形状に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記データベースには、前記複数のカテゴリのそれぞれに対して、少なくとも一つのカラーテーブルがさらに記憶されており、
各々のカラーテーブルには、コーポレートカラーを特定するための複数の質問が用意されているとともに、前記複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数のカラーサンプルが記述されており、
前記プロセッサは、
決定されたカテゴリに対応する前記カラーテーブルを前記データベースから読み出すとともに、当該カラーテーブルに対して用意された前記複数の質問を提示する処理と、
前記複数の質問に対する回答を受け付けるとともに、当該回答の組み合わせに対応付けて前記カラーテーブルに記述されたカラーサンプルを提示する処理と、を実行する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、企業の経営理念を作成する作業を支援する技術に関する。なお、本明細書でいう企業とは、営利目的の有無に限らず、一定の計画に従って継続的に経済活動を行うことを目的とする独立の経済主体を広く意味し、例えば民間企業、公企業、国、地方公共団体を含むものとする。
【0002】
企業の経営理念は、企業の経営や活動に関する基本的な「考え方」、「価値観」、「思い」、そして「企業の存在意義」(以下、企業思想という)を、言語化したものである。企業の創業者や経営者は、簡潔に表現された経営理念を示すことにより、社員、顧客及び社会に対して、企業思想やそれに基づく行動指針を強く印象付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願人は、「社長の三銃士」という登録商標の下、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士の三者がチームを構成することにより、企業に対するコンサルティングサービスをワンストップで提供する事業を実施している。専門分野の異なる三者が協業する上で、企業に対する認識を三者の間で共有しておくことは、極めて重要である。この点に関して、企業の経営者等によって明確に示された経営理念は、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士の三者が共有認識を形成する上で、大いに役立つものである。
【0004】
しかしながら、企業の創業者や経営者には、企業の経営に関して様々な考えがあり、企業思想を簡潔に言語化することは難しい。本明細書は、そのような企業の創業者や経営者に対して、経営理念を作成する作業を支援するための技術を提供し、もって税理士・社会保険労務士・中小企業診断士の三者が、当該企業に対して共有認識を形成するための手段を提供する。なお、ここでいう企業の経営者とは、当該企業の経営に関わる者(例えば役員)を広く意味し、当該企業の代表権を有する者に限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、企業の経営理念を作成する作業を支援する装置に具現化される。この装置は、データベースと、前記データベースに接続されたプロセッサとを備える。前記データベースには、前記企業を分類するための複数のカテゴリのそれぞれに対して、少なくとも一つの経営理念テーブルが記憶されている。また、各々の経営理念テーブルには、前記経営理念を特定するための複数の質問が用意されているとともに、前記複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。
【0006】
前記プロセッサは、前記経営理念に反映されるべき内容を記述する文章のテキストデータを取得する処理と、前記テキストデータに対して、複数の登録済みキーワードを用いたキーワードマッチングを実行することにより、前記複数のカテゴリのなかから前記企業のカテゴリを決定する処理と、決定されたカテゴリに対応する前記経営理念テーブルをデータベースから読み出すとともに、当該経営理念テーブルに対して用意された前記複数の質問を提示する処理と、前記複数の質問の回答を受け付けるとともに、当該回答の組み合わせに対応付けて前記経営理念テーブルに記述された経営理念サンプルを提示する処理と、を実行する。
【0007】
本技術の一実施形態において、前記テキストデータは、前記企業の経営者によって作成され、前記企業のパンフレット又はホームページに掲載された文章であってもよい。
【0008】
本技術の一実施形態において、前記複数のカテゴリは、「パイオニア型」、「リーダー型」、「クリエイター型」及び「サポーター型」を含んでもよい。
【0009】
本技術の一実施形態において、前記「パイオニア型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「創造性」、「QOL」、「問題解決」、「時間的志向」及び「多様性」のうちの少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されていてもよい。
【0010】
本技術の一実施形態において、前記「リーダー型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「エリア」、「資産」、「リーダーシップ」、「創造性」及び「変革の方法」のうちの少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されていてもよい。
【0011】
本技術の一実施形態において、前記「クリエイター型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「時間的志向」、「課題解決」、「目標」、「資産」及び「イノベーション・ポイント」の少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されていてもよい。
【0012】
本技術の一実施形態において、前記「サポーター型」に対する前記経営理念テーブルには、前記複数の質問として、「バリュー」、「優位ステークホルダ」、「コミュニケーション・スタイル」、「エリア」及び「時間的志向」の少なくとも二つに関する各指向性を、それぞれ数値で回答する質問が用意されていてもよい。
【0013】
本技術の一実施形態において、前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答される数値の組み合わせで決定される座標点に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されていてもよい。
【0014】
本技術の一実施形態において、前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答である数値の組み合わせで決定されるレーダーチャートの特徴点の位置及び数に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されていてもよい。なお、ここでいうレーダーチャートの特徴点とは、当該レーダーチャートにおいて局所的に突出する点であり、具体的には、回答の数値が所定値以上である点を特徴点とすることができる。
【0015】
本技術の一実施形態において、前記経営理念テーブルでは、前記複数の質問に対して回答される数値の組み合わせで決定されるレーダーチャートの形状に対応付けて、前記複数の経営理念サンプルが記述されていてもよい。
【0016】
本技術の一実施形態において、前記データベースには、前記複数のカテゴリのそれぞれに対して、少なくとも一つのカラーテーブルがさらに記憶されていてもよい。この場合、各々のカラーテーブルには、コーポレートカラーを特定するための複数の質問が用意されているとともに、前記複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数のカラーサンプルが記述されていてもよい。そして、前記プロセッサは、決定されたカテゴリに対応する前記カラーテーブルを前記データベースから読み出すとともに、当該カラーテーブルに対して用意された前記複数の質問を提示する処理と、前記複数の質問に対する回答を受け付けるとともに、当該回答の組み合わせに対応付けて前記カラーテーブルに記述されたカラーサンプルを提示する処理とをさらに実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例の支援装置10の構成を模式的に示す。
【
図2】四つのカテゴリの相対的な関係を模式的に示す。
【
図3】パイオニア型の経営理念テーブル30aの構造を模式的に示す。
【
図4】パイオニア型の経営理念テーブル30aに記述された経営理念サンプルを例示する。
【
図5】リーダー型の経営理念テーブル30bの構造を模式的に示す。
【
図6】リーダー型の経営理念テーブル30bに記述された経営理念サンプルを例示する。
【
図7】クリエイター型の経営理念テーブル30cの構造を模式的に示す。
【
図8】クリエイター型の経営理念テーブル30cに記述された経営理念サンプルを例示する。
【
図9】サポーター型の経営理念テーブル30dの構造を模式的に示す。
【
図10】サポーター型の経営理念テーブル30dに記述された経営理念サンプルを例示する。
【
図11】プロセッサ16が実行する処理の流れを示すフローチャート。
【
図12】プロセッサ16が表示装置18に表示する画面の一例を示す(回答前)。
【
図13】プロセッサ16が表示装置18に表示する画面の一例を示す(回答後)。
【
図14】第1変形例に係るパイオニア型の経営理念テーブル130aの構造を模式的に示す。
【
図15】第1変形例の上記経営理念テーブル130aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンA)。
【
図16】第1変形例の上記経営理念テーブル130aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンM)。
【
図17】第1変形例の上記経営理念テーブル130aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンW)。
【
図18】第2変形例に係るパイオニア型の経営理念テーブル230aの構造を模式的に示す。
【
図19】第2変形例の上記経営理念テーブル230aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンAlpha)。
【
図20】第2変形例の上記経営理念テーブル230aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンBeta)。
【
図21】第2変形例の上記経営理念テーブル230aに記述された経営理念サンプルを例示する(パターンGamma)。
【
図22】第3変形例に係るカラーテーブル40の構造を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)図面を参照して、実施例1の支援装置10について説明する。本実施例の支援装置10は、主に、企業の経営者等に対してコンサルティングサービスを提供する者によって使用され、経営者等が自己の企業の経営理念を作成する作業を支援するために用いられる。コンサルティングサービスを提供する者は、前述したように、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士の三者で構成されたチームであってもよい。以下に説明するように、支援装置10は、企業やその経営者等からいくつかの情報を取得することにより、具体的な経営理念を提示することができる。企業の経営者等は、提示された経営理念をそのまま採用することもできるし、それを参考として自らの経営理念を作成することも考えられる。
【0019】
図1に示すように、支援装置10は、コンピュータ12を用いて構成されている。コンピュータ12は、データベース14とプロセッサ16とを内蔵する。データベース14は、各種のデータやプログラムを記録可能な記憶装置である。プロセッサ16は、データベース14と通信可能に接続されており、データベース14内のデータやプログラムを用いて各種の処理を実行することができる。また、コンピュータ12は、無線又は有線により、外部の通信ネットワーク2(例えばインターネット)に接続されており、通信ネットワーク2を介して各種の情報を取得することができる。
【0020】
コンピュータ12には、表示装置18やユーザインターフェース20が接続されている。表示装置18は、例えば液晶ディスプレイであって、各種の情報を可視的に表示する。ユーザインターフェース20は、特に限定されないが、キーボード、マウス、タッチパネル等であってよい。なお、コンピュータ12は、デスクトップコンピュータに限られず、ラップトップコンピュータであってもよい。あるいは、コンピュータ12は、タブレットやスマートフォンといった、携帯情報端末であってもよい。
【0021】
コンピュータ12のデータベース14には、複数の経営理念テーブル30が記憶されている。複数の経営理念テーブル30には、複数のカテゴリのそれぞれに対して、少なくとも一つの経営理念テーブル30が含まれている。ここでいう複数のカテゴリとは、支援対象である企業を、その企業思想に基づいて分類するための区分である。特に限定されないが、本実施例における複数のカテゴリには、「パイオニア型」、「リーダー型」、「クリエイター型」及び「サポーター型」が含まれている。即ち、複数の経営理念テーブル30には、パイオニア型に対する経営理念テーブル30aと、リーダー型に対する経営理念テーブル30bと、クリエイター型に対する経営理念テーブル30cと、パイオニア型に対する経営理念テーブル30dとのそれぞれが、少なくとも一つずつ含まれている。
【0022】
図2は、パイオニア型、リーダー型、クリエイター型及びサポーター型という四つのカテゴリについて、それぞれの特徴を相対的に示すチャートである。パイオニア型の企業とは、これまでなかった分野や領域で事業展開したり、新しい技術開発などをもって、業界や関係グループの発展を志向するタイプの企業である。リーダー型の企業とは、所属するグループ(業界、コミュニティ等)や社会を、より良い方向に発展させることを志向するタイプの企業である。クリエイター型の企業とは、新しい技術の開発やサービスの提供により、関係者の生活向上や精神的な充足を志向するタイプの企業である。そして、サポーター型の企業とは、「マイノリティ」とされるグループ(子供、女性、地方等)を含め、人々の生活の支援やサポート、伝統文化の継承・保全などを志向するタイプの企業である。
【0023】
本発明者は、日本国内の有名企業約500社を対象として、各企業の経営理念を分析した。先ず、分析対象の約500社を、各企業の実績、企業ホームページや企業パンフレットの情報、消費者イメージ等に基づいて、パイオニア型、リーダー型、クリエイター型又はサポーター型のいずれかのカテゴリに分類した。その上で、各企業の経営理念を分析したところ、同じカテゴリに属する企業の経営理念には、同一又は類似のキーワード(一定のフレーズも含む)が頻出することが判明した。例えば、パイオニア型の企業の経営理念には、「新たな価値」、「未来」、「生み出す」、「創造」といったキーワードが頻出する。リーダー型の企業の経営理念には、「発展」、「明日」、「促進」、「高める」といったキーワードが頻出する。クリエイター型の企業の経営理念には、「新しい価値」、「生活」、「奉仕」、「提供」といったキーワードが頻出する。そして、サポーター型の企業の経営理念には、「お客様」、「暮らし」、「貢献」、「寄与」といったキーワードが頻出する。
【0024】
本発明者はさらに分析を続け、上記した経営理念に頻出するキーワードが、企業ホームページや企業パンフレットに記載された文章、特に、経営者によって作成された「経営者あいさつ」や「会社概要」にも多用されていることを見出した。この知見に基づくと、支援対象である企業の経営理念を作成する際は、当該企業のホームページ又はパンフレットに記載された文章(特に、「経営者あいさつ」、「会社概要」やこれらに相当する文章)のテキストデータを分析し、上記のキーワードを用いたキーワードマッチングを行うことによって、支援対象の企業が目指すカテゴリを一義的に定めることができる。即ち、例えば、企業ホームページに記載された「経営者あいさつ」に、「新たな価値」、「未来」、「生み出す」、「創造」といったキーワードが頻出する場合、当該企業の目指す姿はパイオニア型であると決定することができる。詳しくは後述するが、本実施例の支援装置10は、この知見を利用することによって、支援対象の企業を、パイオニア型、リーダー型、クリエイター型又はサポーター型のいずれかに分類する。
【0025】
次に、
図3-
図10を参照して、経営理念テーブル30について説明する。各々の経営理念テーブル30には、複数の質問が用意されているとともに、複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。詳しくは後述するが、支援装置10は、各種の処理を実行することによって、複数の経営理念テーブル30に記述された多数の経営理念サンプルのなかから一つを選択して、支援対象である企業の経営者に提示するように構成されている。ここでいう経営理念サンプルとは、例えば、「想像を超える商品・サービスで、ひとりひとりが生き生きと暮らせる新しい未来を創造します。」や、「従業員ひとりひとりが成長し、地域のみなさまの幸せと活力ある暮らしと発展を目指します。」といったフレーズである。
【0026】
図3は、パイオニア型の経営理念テーブル30aの構造を模式的に示す。
図3(A)に示すように、パイオニア型の経営理念テーブル30aには、「創造性」、「QOL」(Quality Of Life)、「時間的志向」、「問題解決」及び「多様性」という五つの質問が用意されている。これらの質問は、支援対象である企業の経営者に対する質問であり、それぞれの質問に関する志向性(例えば「創造性」という質問に関して、「発明」を志向するのか、「革新」を志向するのか)を、数値で回答されるように構成されている。
【0027】
加えて、
図3(B)に示すように、パイオニア型の経営理念テーブル30aには、上記五つの質問のうちの二つを座標軸とするXYグラフ(二次元グラフ)が記憶されており、それぞれの座標点に対応付けて複数の経営理念サンプルが記述されている。
図3(B)に例示されるXYグラフは、「創造性」と「QOL」とを座標軸とするXYグラフである。一例ではあるが、このXYグラフの座標点(-7,8)には、「想像を超える商品・サービスで、ひとりひとりが生き生きと暮らせる新しい未来を創造します。」という経営理念サンプルが記述されている。また、その他の座標点には、「私たちは既存の価値を見つめ直し、生活文化の向上と新しい未来を創造します。」や「新しい商品・サービスの開発を通して、誰もが幸せを感じられる新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されている。
図4に、当該XYグラフに記述された他の経営理念サンプルを例示する。
【0028】
パイオニア型の経営理念テーブル30aには、パイオニア型の企業に適した経営理念サンプルが記述されている。これらの経営理念サンプルには、パイオニア型の企業に合わせて、「・・・新しい未来を創造します」や「新しい価値の創造で・・・・」といった共通のテンプレートが使用されている。企業のカテゴリに応じて共通のフォーマットを使用することで、当該カテゴリの企業に適した多数の経営理念サンプルを、比較的容易に準備することができる。なお、ここで使用されたフォーマットは、前述した有名企業約500社の経営理念を分析した結果に基づくものである。
【0029】
経営理念テーブル30aには、5つの質問が準備されていることから、全部で10通りのXYグラフが記憶されている。そして、それぞれのXYグラフには、座標点毎に異なる経営理念サンプルが記述されている。なお、他の実施形態として、経営理念テーブル30aには、上述したXYグラフに代えて、又は加えて、三つの質問を座標軸とするXYZグラフ(三次元グラフ)や、四以上の質問を座標軸とする多次元のグラフを用いて、複数の経営理念サンプルが記述されていてもよい。この点は、以下に説明する他のカテゴリの経営理念テーブル30b、30c、30dについても同様である。
【0030】
図5は、リーダー型の経営理念テーブル30bの構造を模式的に示す。
図5(A)に示すように、リーダー型の経営理念テーブル30bには、「エリア」、「資産」、「リーダーシップ」、「創造性」及び「変革の方法」という五つの質問が用意されている。これらの質問についても、支援対象である企業の経営者が、それぞれの志向性を数値で回答するように構成されている。そして、
図5(B)に示すように、リーダー型の経営理念テーブル30bにも、上記五つの質問のうちの二つを座標軸とするXYグラフ(二次元グラフ)が記憶されており、それぞれの座標点に対応付けて複数の経営理念サンプルが記述されている。例えば、リーダー型の経営理念テーブル30bには、「地域の明るい明日のため、従業員一同が地域のみなさまに愛される店づくりを目指します。」や、「次世代の開発技術を日本から世界へ発信し、世界の明るい発展を目指します。」といった経営理念が記述されている。
図6に、当該XYグラフに記述された他の経営理念サンプルを例示する。
【0031】
リーダー型の経営理念テーブル30bにも、五つという質問の数に合わせて、全10通りのXYグラフが記憶されている。そして、10通りのXYグラフのそれぞれにおいて、座標点毎に異なる経営理念フレーズが記述されている。これらの経営理念サンプルでは、リーダー型の企業に合わせて、「・・・発展を目指します」や「・・・明るい明日のため・・・」といった共通のフォーマットが使用されている。ここで使用されたフォーマットも、前述した有名企業約500社の経営理念を分析した結果に基づくものである。
【0032】
図7は、クリエイター型の経営理念テーブル30cの構造を模式的に示す。
図7(A)に示すように、クリエイター型の経営理念テーブル30cには、「時間的志向」、「課題解決」、「目標」、「資産」及び「イノベーション・ポイント」という五つの質問が用意されている。これらの質問についても、支援対象である企業の経営者が、それぞれの志向性を数値で回答するように構成されている。そして、
図7(B)に示すように、クリエイター型の経営理念テーブル30cにも、上記五つの質問のうちの二つを座標軸とするXYグラフ(二次元グラフ)が記憶されており、それぞれの座標点に対応付けて複数の経営理念サンプルが記述されている。例えば、クリエイター型の経営理念テーブル30cには、「創造力で新しい価値を生み出し、元気な未来に続く豊かな生活を提供します。」や、「進化したテクノロジーの力で、現代に生きる人々に豊かな生活を提供します。」といった経営理念が記述されている。
図8に、当該XYグラフに記述された他の経営理念サンプルを例示する。
【0033】
クリエイター型の経営理念テーブル30cにも、五つという質問の数に合わせて、全10通りのXYグラフが記憶されている。そして、10通りのXYグラフのそれぞれにおいて、座標点毎に異なる経営理念サンプルが記述されている。これらの経営理念サンプルでは、クリエイター型の企業に合わせて、「・・新しい価値を生み出し・・・」や「・・・豊か生活を提供します」といった共通のフォーマットが使用されている。ここで使用されたフォーマットも、前述した有名企業約500社の経営理念を分析した結果に基づくものである。
【0034】
図9は、サポーター型の経営理念テーブル30dの構造を模式的に示す。
図9(A)に示すように、サポーター型の経営理念テーブル30dには、「バリュー」、「優位ステークホルダ」、「コミュニケーション・スタイル」、「エリア」及び「時間的志向」という五つの質問が用意されている。これらの質問についても、支援対象である企業の経営者が、それぞれの志向性を数値で回答するように構成されている。そして、
図9(B)に示すように、サポーター型の経営理念テーブル30cにも、上記五つの質問のうちの二つを座標軸とするXYグラフ(二次元グラフ)が記憶されており、それぞれの座標点に対応付けて複数の経営理念サンプルが記述されている。例えば、サポーター型の経営理念テーブル30dには、「上質なものづくりを目指し、従業員ひとりひとりが技術を磨き、地域社会の発展に寄与します。」や、「お客様の生活を支え続けるため、価格を下げ、企業価値を高め続けます。」といった経営理念が記述されている。
図10に、当該XYグラフに記述された他の経営理念サンプルを例示する。
【0035】
サポーター型の経営理念テーブル30dにも、五つという質問の数に合わせて、全10通りのXYグラフが記憶されている。そして、10通りのXYグラフのそれぞれにおいて、座標点毎に異なる経営理念サンプルが記述されている。これらの経営理念サンプルでは、サポーター型の企業に合わせて、「お客様の生活を支え続けるため・・・」や「・・・地域社会の発展に寄与します」といった共通のフォーマットが使用されている。ここで使用されたフォーマットも、前述した有名企業約500社の経営理念を分析した結果に基づくものである。
【0036】
次に、
図11を参照して、支援装置10のプロセッサ16が実行する処理の流れについて説明する。先ず、プロセッサ16は、経営理念に反映されるべき内容を記述する文章のテキストデータを取得する(ステップS10)。このテキストデータは、例えば「経営者あいさつ」や「会社概要」のように、支援対象である企業の経営者によって作成され、当該企業のホームページ又はパンフレットに記載された文章(特に、対外的なメッセージ)であってよい。プロセッサ16は、このようなテキストデータを、例えば通信ネットワーク2を介して取得したり、ユーザインターフェースを介して取得することができる。
【0037】
次いで、プロセッサ16は、上述したテキストデータに対して、複数の登録済みキーワードを用いたキーワードマッチングを実行する(ステップS12)。これにより、プロセッサ16は、パイオニア型、リーダー型、クリエイター型及びサポーター型という四つのカテゴリのなかから、支援対象の企業が属するカテゴリを決定する。前述したように、有名企業約500社の経営理念を分析した結果、経営者によって作成された文章(対外的なメッセージ)には、当該企業のカテゴリに応じたキーワードが頻出する。そのことから、プロセッサ16には、それらのキーワードが予め登録されており、それを用いたキーワードマッチングを行うことによって、支援対象の企業が属するカテゴリを決定する。キーワードマッチングの詳細については、公知の手法を適宜採用することができ、ここでは特に限定されない。
【0038】
次いで、プロセッサ16は、決定されたカテゴリに応じた経営理念テーブル30を、表示装置18に表示する(ステップS14)。
図12は、パイオニア型の経営理念テーブル30aの表示例を示す。
図12に示すように、表示装置18には、パイオニア型の経営理念テーブル30aに用意されている五つの質問と、それに対する経営者の回答を図示するXYグラフと、経営者に提示する経営理念サンプルの表示窓とが、初期設定の状態で表示される。なお、
図12に示す表示例は一例であり、その態様は適宜変更されることができる。
【0039】
次に、プロセッサ16は、表示装置18に表示された五つの質問に対する回答を、経営者から受け付ける(ステップS16)。経営者は、例えばユーザインターフェース20を使用することにより、各質問に対する回答(志向性)を数値で決定することができる。
図13は、経営者による回答の一例を示す。この例では、「創造性」と「QOL」の二つの質問に対して、その他の質問よりも強い志向性を示す回答が得られたとする。この場合、プロセッサ16は、その二つの質問を座標軸とするXYグラフをさらに表示するとともに、それに対する回答の組み合わせで定まる座標点と、その座標点に対応付けて記述された経営理念サンプルを表示装置18に表示する(ステップS18)。企業の経営者は、支援装置10によって提示された経営理念サンプルをそのまま採用することもできるし、それを参考として自らの経営理念を作成することもできる。
【0040】
あるいは、企業の経営者は、提示された経営理念サンプルが、自己の有する企業思想に一致しない場合、自己の有する企業思想を見つめなおすこともできる。その結果、企業の経営者は、自己の有する企業思想のなかに、不明瞭な部分の存在を認識することができることもある。この場合、企業の経営者は、支援装置1による支援を継続し(ステップS20でYES)、五つの質問に対して再回答してもよい(S16に戻る)。経営者が質問に対する回答を修正するたびに、プロセッサ4は上述した処理を繰り返し実行し、その結果、表示装置18の表示画面、即ち、提示される経営理念サンプルが更新されていく。
【0041】
(第1変形例)支援装置10の第1変形例について説明する。本変形例では、上述した支援装置10と比較して、経営理念テーブルのデータ構造が変更されている。即ち、上述した支援装置10の経営理念テーブル30(30a-30d)では、複数の質問に対する回答で決定される座標点に対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されていた(
図3-
図10参照)。これに対して、本変形例の経営理念テーブルでは、複数の質問に対する回答(数値)の組み合わせで決定されるレーダーチャートの特徴点の位置及び数に対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。
【0042】
図14-
図17に、パイオニア型を一例として、本変形例における経営理念テーブル130aの構造を模式的に示す。
図14(A)に示すように、本変形例における経営理念テーブル130aにおいても、例えば「創造性」、「QOL」、「時間的志向」、「問題解決」及び「多様性」といった、五つの質問が用意されている。この点については、上述した支援装置10と共通している。その一方で、
図14(B)に示すように、本変形例における経営理念テーブル130aでは、複数の質問に対する回答(数値)の組み合わせが、レーダーチャートの形態で認識されるように構成されている。そして、回答の数値が所定値(例えば、7点)以上の点を特徴点とし、特徴点の位置及び数に基づいて複数の経営理念サンプルが記述されている。
【0043】
例えば、
図14(B)に示すレーダーチャートは、「精神的満足度」、「現在志向」、「ユニバーサル」の三項目において、7点以上の高い数値を示している。このようなレーダーチャートは、「パターンW(精神的満足度+現在志向+ユニバーサル)タイプ」として分類され、例えば「新しい価値の創造で、現代社会の問題を解決し、今を生きる誰もが生き生きと暮らせる優しい社会の実現に貢献します。」といった経営理念サンプルが対応付けて記述されている。
【0044】
図15-
図17は、本変形例におけるパイオニア型の経営理念テーブル130aに記述された他の経営理念サンプルの例を示す。
図15に示すように、レーダーチャートに存在する特徴点が一つの場合、当該レーダーチャートはパターンAとして分類される。そして、その特徴点の位置に応じて(即ち、高い数値を示す項目に応じて)、レーダーチャートのタイプがさらに分類されている。例えば、「発明」に対して高い数値を示すレーダーチャート(図中の実線)は、「パターンA(発明)タイプ」と分類されており、例えば「挑戦的な発明による商品を実現させ、新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されている。あるいは、「現在志向」に対して高い数値を示すレーダーチャート(図中の破線)は、「パターンA(現在志向)タイプ」と分類されており、例えば「新しい価値の創造で今を生きる人々が抱える問題を解決し、現代社会に貢献します。」といった経営理念サンプルが記述されている。
【0045】
図16に示すように、レーダーチャートに存在する特徴点が二つの場合、当該レーダーチャートはパターンMとして分類される。そして、それらの特徴点の位置に応じて(即ち、高い数値を示す項目に応じて)、レーダーチャートのタイプがさらに分類されている。例えば、「精神的満足度」及び「現在志向」に対して高い数値を示すレーダーチャート(図中の実線)は、「パターンM(精神的満足度+現在志向)タイプ」と分類されており、例えば「新しい価値の創造で、今を生きる人々に心穏やかで彩り豊かな生活を提供します。」といった経営理念サンプルが記述されている。あるいは、「現在志向」及び「テクノロジー」に対して高い数値を示すレーダーチャート(図中の破線)は、「パターンM(現在志向+テクノロジー)タイプ」と分類されており、例えば「最新テクノロジーをさらに発展させ、人々の生活をより豊かにし、さらに続く新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されている。
【0046】
図17に示すように、レーダーチャートに存在する特徴点が三つの場合、当該レーダーチャートはパターンWとして分類される。そして、それらの特徴点の位置に応じて(即ち、高い数値を示す項目に応じて)、レーダーチャートのタイプがさらに分類されている。例えば、「精神的満足度」、「ユニバーサル」及び「現在志向」に対して高い数値を示すレーダ-チャート(図中の実線)は、「パターンW(精神的満足度+ユニバーサル+現在志向)タイプ」と分類されており、例えば「今を生きる人々だれにもやさしく、心穏やかに暮らせるよう、現代の課題を解決し新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されている。あるいは、「発明」、「アイデア」及び「現在志向」に対して高い数値を示すレーダーチャート(図中の破線)は、「パターンW(発明+アイデア+現在志向)タイプ」と分類されており、例えば「独創的なアイデアから画期的な発明を実現させ、現代社会の人々の生活の進歩・発展に貢献し、新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されている。
【0047】
図示省略するが、他のカテゴリの経営理念テーブルにおいても、複数の質問に対する回答(数値)の組み合わせで決定されるレーダーチャートの特徴点の位置及び数に対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。
【0048】
(第2変形例)支援装置10の第2変形例について説明する。本変形例においても、上述した支援装置10と比較して、経営理念テーブルのデータ構造が変更されている。本変形例の経営理念テーブルでは、複数の質問に対する回答(数値)の組み合わせで決定されるレーダーチャートの形状に対応付けて、複数の経営理念サンプルが記述されている。
【0049】
図18-
図21に、パイオニア型を一例として、本変形例における経営理念テーブル230aの構造を模式的に示す。
図18(A)に示すように、本変形例における経営理念テーブル230aでは、レーダーチャートに関して12種類の代表形状(Alpha-Mu)が記憶されており、それらの代表形状に対応付けて複数の経営理念サンプルが記述されている。例えば
図18(B)に示すように、複数の質問に対する回答をレーダーチャートで示したときに、当該レーダーチャートの形状が、第1の代表形状Alphaに最も類似したとする。この場合、支援装置10のプロセッサ16は、第1の代表形状Alphに対応付けて記述された経営理念サンプルを、支援対象である企業の経営者に提示する。なお、12種類の代表形状(Alpha-Mu)のなかから、レーダーチャートの形状に最も類似するものを抽出する処理については、特に限定されず、公知の手法を適宜採用することができる。
【0050】
図19-
図21は、本変形例におけるパイオニア型の経営理念テーブル230aに記述された他の経営理念サンプルの例を示す。
図19に示すように、第1の代表形状Alphaに対しては、例えば「未知の価値を持つ発明を通して、新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されてもよい。
図19に示す<例1>、<例2>は、第1の代表形状Alphaに類似すると判断されるレーダーチャートの例である。
図20に示すように、第2の代表形状Betaに対しては、例えば「ひとりひとりにやさしく、生き生きと輝いて生きられる商品を開発し、新しい未来を創造します。」といった経営理念サンプルが記述されてもよい。
図20の<例3>、<例4>は、第2の代表形状Betaに類似すると判断されるレーダーチャートの例である。そして、
図21に示すように、第3の代表形状Gammaに対しては、例えば「新しい価値の創造で、今を生きる人々の個性を認め合える夢のある社会の実現に貢献します。」といった経営理念サンプルが記述されてもよい。
図21の<例5>、<例6>は、第3の代表形状Gammaに類似すると判断されるレーダーチャートの例である。
【0051】
(第3変形例)支援装置10の第3変形例について説明する。本変形例では、上述した支援装置10と比較して、支援対象である企業の経営者に、コーポレートカラーをさらに提示することができる。そのために、本変形例の支援装置10では、コンピュータ12のデータベース14に、
図22に示すカラーテーブル40がさらに記憶されている。前述した経営理念テーブル30と同様に、カラーテーブル40についても、例えば「パイオニア型」、「リーダー型」、「クリエイター型」及び「サポーター型」といった、複数のカテゴリ毎に用意されている。
【0052】
図22は、パイオニア型のカラーテーブル40の構造を例示している。
図22(A)に示すように、カラーテーブル40には、経営理念テーブル30と同様に、複数の質問が用意されている。そして、カラーテーブル40では、
図22(B)に示すように、複数の質問に対する回答の組み合わせに対応付けて、複数のカラーサンプルが記述されている。詳しくは、複数の質問のうちの二つを座標軸とするXYグラフ(二次元グラフ)が記憶されており、それぞれの座標点に対応付けて複数のカラーサンプルが記述されている。例えば、
図22(B)に例示するXYグラフでは、X軸(横軸)が「QOL」に関して「精神的満足度」への志向性を示しており、Y軸(縦軸)が「創造性」に関して「発明」への志向性を示している。
【0053】
ここで、カラーテーブル40に記述されるカラーサンプルの具体的な色については特に限定されない。一例ではあるが、
図22(B)に例示するXYグラフでは、X軸(横軸)に黄色が設定されており、Y軸(縦軸)に赤色が設定されている。従って、X軸(横軸)に近い座標点には黄みの強い色が記述されており、Y軸(縦軸)に近い座標点には赤みの強い色が記述されている。即ち、各座標点を極座標(r,α)で表現した場合、角度αが45度を下回る範囲では、黄みの強い色が記述されており、角度αが45度を上回る範囲では、赤みの強い色が記述されている。また、各座標点までの距離rは、カラーサンプルの再度に対応しており、距離rが大きい座標点には彩度の高い色が記述されており、距離rが小さい座標点には彩度の低い色が記述されている。
【0054】
次に、本変形例においてプロセッサ16が実行する処理について説明する。前述したように、プロセッサ16は、
図11に示すステップS10-S16の処理によって、経営理念テーブル30を表示装置18に表示する。このとき、プロセッサ16は、経営理念テーブル30に加えて、又は代えて、決定したカテゴリに対応するカラーテーブル40を表示装置18に表示する。プロセッサ16は、経営者による回答を受け付けると(
図11のS16)、前述した経営理念テーブル30のXYグラフ(
図3-
図10参照)を表示したときと同様に、経営者の志向性をより強く示す二つの質問を特定する。そして、
図22(B)に示すように、それらの質問を座標軸とするXYグラフを表示するとともに、経営者の回答(数値)に対応するカラーサンプルを、例えば図形CC等を用いて強調表示する。企業の経営者は、支援装置10によって提示されたカラーサンプルをそのままコーポレートカラーとして採用することもできるし、それを参考として自らのコーポレートカラーを作成することもできる。
【0055】
以上、本技術の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。例えば、上記実施例の支援装置10では、テキストマッチングを実行することによって、企業のカテゴリを決定するように構成されている。しかしながら、他の実施形態として、支援装置は、テキストマッチングを実行することなく、例えばユーザインターフェース20を用いて、企業の属するカテゴリが直接入力されてもよい。
【0056】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
10:支援装置
12:コンピュータ
14:データベース
16:プロセッサ
18:表示装置
20:ユーザインターフェース
30、30a、30b、30c、30d:経営理念テーブル
40:カラーテーブル