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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008147
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0255 20060101AFI20240112BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240112BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240112BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B5/0255 Z
A61B5/0245 100C
A61B5/02 310J
A61B5/022 200G
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109760
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 皓介
(72)【発明者】
【氏名】西山 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】湯本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】田邊 友香
(72)【発明者】
【氏名】藤野 稔
(72)【発明者】
【氏名】平澤 麻
(72)【発明者】
【氏名】濱口 貴広
(72)【発明者】
【氏名】井波 良和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 里佳
(72)【発明者】
【氏名】神田 寛行
(72)【発明者】
【氏名】工藤 優汰
(72)【発明者】
【氏名】野々山 正章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】金原 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 春菜
(72)【発明者】
【氏名】本多 晋
(72)【発明者】
【氏名】神山 将人
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA10
4C017AB01
4C017AC03
4C017BC21
4C017BD04
4C017CC04
4C017DD17
(57)【要約】
【課題】医学的な知見が無いユーザーであっても、脈拍を検出可能な計測機器を用いて、容易に不整脈を把握して自己の不整脈に対する認知を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】人体の脈拍を検出する脈拍取得手段と、前記脈拍に基づいて、一の拍動とその直前の拍動との脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、前記脈拍間隔、または、前記脈拍間隔の直前の他の脈拍間隔からの変化量、の少なくともいずれかを視覚的に示すレベルインジケータを表示する表示手段と、を有する生体情報測定装置であって、前記レベルインジケータは、検出される前記脈拍の一拍ごとに前記脈拍間隔または前記変化量を示す、ことを特徴とする、生体情報測定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の脈拍を検出する脈拍取得手段と、
前記脈拍に基づいて、一の拍動とその直前の拍動との脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈拍間隔、または、前記脈拍間隔の直前の他の脈拍間隔からの変化量、の少なくともいずれかを視覚的に示すレベルインジケータを表示する表示手段と、を有する生体情報測定装置であって、
前記レベルインジケータは、検出される前記脈拍の一拍ごとに前記脈拍間隔または前記変化量を示す、
ことを特徴とする、生体情報測定装置。
【請求項2】
前記レベルインジケータは、前記表示手段において表示が活性化される領域の、長さ、面積、角度、数、の少なくともいずれかによって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記レベルインジケータは、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示領域が示すサイズによって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示す、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記レベルインジケータは、複数の表示セグメントによって構成されており、表示が活性化される前記表示セグメントの数の多寡によって、前記表示領域のサイズを表現する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量の表示の後、次の前記脈拍間隔または前記変化量の表示までの間は、前記一の前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示の活性化を維持する、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記レベルインジケータの前記複数の表示セグメントに対応する、複数のサブ表示セグメントを備える、サブインジケータをさらに表示するものであって、
前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量の表示の後、次の前記脈拍間隔または前記変化量の表示までの間は、前記一の前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示の活性化を維持し、
前記サブインジケータは、前記レベルインジケータが一拍ごとに示す前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示に対応する前記サブ表示セグメントの表示を前記一拍ごとに活性化するとともに、前記脈拍取得手段による前記検出が終了するまでの間、活性化した各前記サブ表示セグメントの表示を維持する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記レベルインジケータは、複数の表示セグメントによって構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが遷移し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔または前記変化量を示す、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量を示す前記表示セグメントの遷移ごとに、前記遷移した距離の終端で前記活性化される表示セグメントを強調表示することにより、前記遷移した距離の長さを表現する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量を示す前記表示セグメントの前記遷移の終端を示す前記表示セグメントの表示が活性化されるまでの間は、少なくともその直前の前記脈拍間隔または前記変化量に係る前記遷移の終端を示す前記表示セグメントの活性化を維持する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
前記レベルインジケータは、全体の表示領域が環状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示す、
ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、左右方向に延在する帯状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに左右方向の一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示す、
ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項12】
前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、上下方向に延在する帯状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに上下方向の一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示す、
ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項13】
前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、円周の少なくとも一部と前記円周の内側から前記円周に向けて延在する指針とを備える形状に構成されており、前記指針が指し示す前記円周上の位置によって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項14】
前記レベルインジケータは、検出される前記脈拍の波形に同期して前記脈拍間隔または前記変化量を示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項15】
前記レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、前記脈拍間隔または前記変化量に応じて線形に変化する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項16】
前記レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、前記脈拍間隔または前記変化量に応じて、単調増加の非線形に変化する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項17】
前記検出される前記脈拍の一拍ごとに前記脈拍間隔または前記変化量を示す音声を、前記レベルインジケータの表示と同期して出力する音声出力手段をさらに有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項18】
前記音声出力手段は、出力する音の高低の違いにより、前記脈拍間隔または前記変化量の違いを示す、
ことを特徴とする、請求項17に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の脈拍を測定する生体情報測定装置に関し、特に、測定した脈拍の間隔に関する情報を提供する生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値などの個人の身体・健康に関する情報を計測機器によって計測し、当該計測結果を記録・分析することで、健康管理を行うことが普及しつつある。特に、心房細動(AF:Atrial Fibrillation)などの不整脈は、脳・心血管疾患に繋がるおそれがあるため、上記のような機器によって脈拍間隔の変動を検出し、ユーザー本人が容易に認識できるように報知することが有効である。
【0003】
従来から、血圧計を用いて血圧測定を行う際に取得した生体情報に基づいて、このような脈拍間隔に関する情報を提供することは公知となっており、例えば特許文献1には、血圧値の測定に用いられる脈波を保存し、血圧値と同時に脈波グラフを表示することができる血圧計が開示されている。また、血圧値算定中に、画面に表示されるハートマークが拍動に合わせて点滅することも開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の血圧計によれば、ユーザーは血圧測定中に、拍動に併せて点滅するハートマークの明滅間隔を確認するによって、脈拍の間隔を認識することができる。また、事後的に脈波の信号レベルの時系列グラフを時系列脈波グラフとして表示するので、そのようなグラフを読み取ることでも、脈拍の間隔(及びその変動)を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-98003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように、ハートマークが拍動に併せて明滅するだけでは脈拍間隔の変動を認識し難く、重要な脈拍間隔の変動を見落としてしまうという問題がある。また、事後的に脈波の信号レベルの時系列グラフが表示されたとしても、医学的な知見を有しない一般的なユーザーが当該時系列グラフから正しく不整脈の情報を読み取ることは困難である。さらに、仮に時系列グラフから不整脈の情報を読み取ることができたとしても、不整脈の存在を直感的・感覚的に捉えることはできず、実感の乏しい客観的な情報として把握するにとどまり、ユーザーが危機感を覚えないおそれがある。
【0007】
本発明は上記のような事情に鑑み、医学的な知見が無いユーザーであっても、脈拍を検出可能な計測機器を用いて容易に不整脈を把握し、自己の不整脈に対する認知を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。即ち、
人体の脈拍を検出する脈拍取得手段と、
前記脈拍に基づいて、一の拍動とその直前の拍動との脈拍間隔を算出する脈拍間隔算出手段と、
前記脈拍間隔、または、前記脈拍間隔の直前の他の脈拍間隔からの変化量、の少なくともいずれかを視覚的に示すレベルインジケータを表示する表示手段と、を有する生体情報測定装置であって、
前記レベルインジケータは、検出される前記脈拍の一拍ごとに前記脈拍間隔または前記変化量を示す、
ことを特徴とする、生体情報測定装置である。
【0009】
なお、ここでいうレベルインジケータは、所定の特徴量を数値ではない表示(例えば表示領域の大小など)によって示すものであればよく、その形状・表示態様に限定は無い。例えば、前記レベルインジケータは、前記表示手段において表示が活性化される領域の、長さ、面積、角度、数、の少なくともいずれかによって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示すものであってもよい。このような構成であれば、一拍ごとに脈拍間隔または前記脈拍間隔の直前の他の脈拍間隔からの変化量を、容易に認知することができる。このため、医学的な知識が無いユーザーであっても、一拍ごとの脈拍間隔の変化の程度を感覚的に認識し、特に異常がある場合には直感的にその違和感を感得することが可能になる。
【0010】
また、前記レベルインジケータは、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示領域が示すサイズによって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示す、ものであってもよい。また、前記レベルインジケータは、複数の表示セグメントによって構成されており、表示が活性化される前記表示セグメントの数の多寡によって、前記表示領域のサイズが表現されるものであってもよい。
【0011】
なお、ここでいう「表示の活性化」とは、表示状態/非表示状態の切り換えが可能な領域において、表示状態となることを指す(即ち、表示の非活性化は、非表示状態になることを指す)。例えば、表示手段がLCDであればそのディスプレイ上の表示領域に表示が出力されることに相当し、表示手段がLEDライトなどであれば該ライトが点灯状態になることに相当する。また、表示セグメントは、個別に表示の活性化/非活性化を切り換え可能な表示領域の単位を指しており、その形状は特に限定されない。
【0012】
このような構成であれば、表示領域の大小の別によって脈拍間隔又はその変化量の差異を示すことができるため、ユーザーは容易に脈拍間隔の変化の程度を認識することが可能になる。
【0013】
また、前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量の表示の後、次の前記脈拍間隔または前記変化量の表示までの間は、前記一の前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示が活性化されたままであってもよい。
【0014】
このような構成であれば、前の脈拍間隔またはその変化量を示すピークレベル部分が、次の脈拍間隔またはその変化量が表示される直前まで表示されているため、ユーザーはより明確に脈拍間隔の変化の程度を認識することが可能になる。
【0015】
また、前記表示手段は、前記レベルインジケータの前記複数の表示セグメントに対応する、複数のサブ表示セグメントを備える、サブインジケータをさらに表示するものであって、
前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量の表示の後、次の前記脈拍間隔または前記変化量の表示までの間は、前記一の前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示の活性化を維持し、
前記サブインジケータは、前記レベルインジケータが一拍ごとに示す前記脈拍間隔または前記変化量のピークレベル部の表示に対応する前記サブ表示セグメントの表示を前記一
拍ごとに活性化するとともに、前記脈拍取得手段による前記検出が終了するまでの間、活性化した各前記サブ表示セグメントの表示を維持するものであってもよい。
【0016】
このような表示態様であると、脈拍間隔のバラツキ具合を容易に把握することができる。即ち、血圧測定装置による血圧の測定が終了した際、即ち脈拍の取得が終了した際に、サブインジケータにおいて表示が活性化されているサブ表示セグメントの数が多いほど、また表示されている位置が広範囲であるほど、脈拍間隔のバラツキが大きいということになる。そして、血圧測定時に心房細動が発生しているような場合には、脈拍間隔のバラツキが大きくなるため、サブインジケータのサブ表示セグメントの表示の活性化の態様を確認することで、ユーザーは心房細動の虞があるか否かを、感覚的に把握することができる。
【0017】
また、前記レベルインジケータは、複数の表示セグメントによって構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが遷移し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔または前記変化量を示すものであってもよい。
【0018】
このような構成であれば、表示が活性化された表示セグメントの遷移した距離の長さによって脈拍間隔又はその変化量の差異を示すことができるため、ユーザーは容易に脈拍間隔の変化の程度を認識することが可能になる。
【0019】
また、前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量を示す前記表示セグメントの遷移ごとに、前記遷移した距離の終端で前記活性化される表示セグメントを強調表示することにより、前記遷移した距離の長さが表現されるものであってもよい。このような構成であれば、ユーザーはより明確に遷移した距離の長さを認識することができる。
【0020】
また、前記レベルインジケータは、一の前記脈拍間隔または前記変化量を示す前記表示セグメントの前記遷移の終端を示す前記表示セグメントの表示が活性化されるまでの間は、少なくともその直前の前記脈拍間隔または前記変化量に係る前記遷移の終端を示す前記表示セグメントの活性化が維持される、ものであってもよい。このような構成であれば、前の脈拍間隔または変化量を示す遷移距離の終端と、次の脈拍間隔または変化量を示す遷移距離の終端との対比が明確になるため、ユーザーはより容易に脈拍間隔の変化の程度を認識することが可能になる。
【0021】
また、前記レベルインジケータは、全体の表示領域が環状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示すものであってもよい。
【0022】
また、前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、左右方向に延在する帯状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに左右方向の一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示すものであってもよい。また、前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、上下方向に延在する帯状に構成されており、該レベルインジケータ内において表示が活性化される表示セグメントが、一拍ごとに上下方向の一定方向に遷移を繰り返し、該遷移した距離の長さによって前記脈拍間隔を示すものであってもよい。
【0023】
また、前記レベルインジケータは、全体の表示領域が、円周の少なくとも一部と前記円周の内側から前記円周に向けて延在する指針とを備える形状に構成されており、前記指針が指し示す前記円周上の位置によって、前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示すものであってもよい。
【0024】
また、前記レベルインジケータは、検出される前記脈拍の波形に同期して前記脈拍間隔または前記変化量を示すものであってもよい。これによれば、実際の脈動に合わせた表示となるため、ユーザーはより体感的に脈拍間隔の変化の程度を把握することができ、脈拍に異常があった場合に、これをより容易に認識することができる。
【0025】
また、前記レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、前記脈拍間隔または前記変化量に応じて線形に変化するのであってもよい。レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域が、前記脈拍間隔または前記変化量に比例するように変化することで、ユーザーは直感的に脈拍間隔又は脈拍間隔の変化量の変動を視認することができる。
【0026】
また、前記レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、前記脈拍間隔または前記変化量に応じて、単調増加の非線形に変化するのであってもよい。これによれば、脈拍数の大小の違いによるバラツキを抑制して、適切な表示の変化により前記脈拍間隔または前記変化量を視覚的に示すことが可能になる。
【0027】
また、前記生体情報計測手段は、前記検出される前記脈拍の一拍ごとに前記脈拍間隔または前記変化量を示す音声を、前記レベルインジケータの表示と同期して出力する音声出力手段をさらに有していてもよい。また、前記音声出力手段は、出力する音の高低の違いにより、前記脈拍間隔または前記変化量の違いを示すものであってもよい。
【0028】
このような構成によれば、ユーザーは視覚に加えて聴覚によっても、脈拍間隔またはその変化量を把握することができ、より明瞭に脈拍間隔の変化の程度を認識することが可能になる。
【0029】
前記脈拍間隔算出手段は、算出した前記脈拍間隔、または前記脈拍間隔を用いて求める前記変化量に対して所定の演算を行い、前記レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域は、前記演算によって算出された値に基づいて定まるものであってもよい。
【0030】
なお、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、医学的な知見が無いユーザーであっても、脈拍を検出可能な計測機器を用いて、容易に不整脈を把握して自己の不整脈に対する認知を向上させることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例1に係る血圧測定装置の装置構成及び機能構成の概略を示す概略図である。
図2図2Aは、実施例1に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第1の図である。図2Bは、実施例1に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第2の図である。図2Cは、実施例1に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第3の図である。
図3図3は、血圧測定中に検出される脈波信号と脈波間隔について説明する説明図である。
図4図4Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第1の図である。図4Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第2の図である。図4Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第3の図である。
図5図5Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第4の図である。図5Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第5の図である。図5Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第6の図である。
図6図6Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第7の図である。図6Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第8の図である。図6Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第9の図である。
図7図7Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第10の図である。図7Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第11の図である。図7Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第12の図である。
図8図8Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第13の図である。図8Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第14の図である。図8Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第15の図である。図8Dは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第16の図である。
図9図9Aは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第17の図である。図9Bは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第18の図である。図9Cは、血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第19の図である。
図10図10は、実施例2に係る血圧測定装置の装置構成及び機能構成の概略を示す概略図である。
図11図11Aは、実施例2に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第1の図である。図11Bは、実施例2に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第2の図である。図11Cは、実施例2に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータの例を示す第3の図である。
図12図12Aは、実施例1に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す第20の図である。図12Bは、実施例2に係る血圧測定装置の画像表示手段に表示されるレベルインジケータのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<実施例1>
以下、本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。ただし、この実施例に記載されている各構成の材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0034】
本発明は、例えば、図1に示すような血圧測定装置1に適用することができる。図1は、本実施例における血圧測定装置1の装置構成及び機能構成の概略を示す概略図である。図1に示すように、血圧測定装置1は、概略、本体部11、カフ部12、及びエアチュー
ブ13からなる構成である。また血圧測定装置1は、図1の機能ブロックで示すように、制御部100、センサ部110、カフ圧制御系120、記憶部130、操作部140、画像表示部150、音声出力部160、の各機能部を備えている。
【0035】
本体部11は、図示しないが、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの画像表示手段151、各種操作ボタン、スピーカなどの音声出力手段、バッテリーなどの電源部、カフ部に連通するポンプ・弁、これらが収められる筐体、などを有している。また、カフ部12はユーザーの上腕に巻き付けられて用いられる部材であり、本体部11のポンプ・弁とエアチューブ13を介して連通する空気袋(カフ)、当該カフを内蔵するベルト、ベルトに設けられる圧力センサ(いずれも図示せず)、などを有する構成となっている。また、コロトコフ法により血圧測定を行う場合には、マイクを含んでいてもよい。
【0036】
なお、カフ部12のベルトにはカフ部12をユーザーの上腕に固定するための固定手段(例えば、面ファスナー)が設けられており、血圧測定装置1を用いて血圧測定を行う際には、ベルトによってユーザーの上腕にカフ部12を巻き付ける。
【0037】
制御部100は、血圧測定装置1の制御を司る手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部100は、操作部140を介してユーザーの操作を受け付けると、所定のプログラムに従って血圧測定、各種情報の提示など、様々な処理を実行するように血圧測定装置1の各構成要素を制御する。なお、所定のプログラムは後述の記憶部130に保存され、ここから読み出される。また、制御部100は、機能モジュールとして、血圧値算出部101、脈拍間隔算出部102、レベルインジケータ表示内容決定部103を備えている。これらの機能モジュールについては、後に詳述する。
【0038】
センサ部110は、上述のようにカフ部に設けられる圧力センサ(例えば、圧電素子を備えるピエゾ抵抗型センサなど)を含んで構成され、少なくともユーザーの脈波を検出する。なお、センサ部110は、圧力センサ以外のセンサを含んでいてもよく、脈波を光電方式により検出する場合にはPPG(Photoplethysmography)センサを含んでいてもよい。本実施例に係る血圧測定装置1は、センサ部110が検出する脈波に基づいて、ユーザーの脈拍を取得する。即ち、本実施例においてはセンサ部110が脈拍取得手段に該当する。
【0039】
カフ圧制御系120は、血圧測定の際に、本体部11のポンプ・弁を制御し、カフ部12のカフ圧を調節する。具体的には、血圧測定の際には、上腕にカフ部12を巻き付けた状態でポンプを駆動させてカフに空気を送り込みカフを膨張させる(カフ圧を高くする)制御を行う。そのようにして、ユーザーの上腕の血管を圧迫することにより一旦血流を阻害した後、ポンプを停止させて弁を開放し、徐々にカフから空気を放出してカフを収縮させる(カフ圧を低くする)制御を行う。
【0040】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、HDD、フラッシュメモリなどの補助記憶装置を含んで構成され、アプリケーションプログラム、血圧値などの各種の計測結果、脈波、その他取得した生体情報などの各種の情報を記憶する。なお、測定された血圧値、脈波などは、取得時刻や測定時刻などの時刻情報と関連付けて記憶部130に記憶されるようになっていてもよい。時刻情報は、例えばRTC(Real Time Clock)を参照するなどして計時されたものを用いることができる。また、上記補助記憶装置は本体部11に着脱可能に構成されていてもよい。
【0041】
操作部140は、例えば、電源ボタン、測定実行ボタン、選択・決定ボタン、などの要素を含み、ユーザーからの入力操作を受け付け、制御部100に操作に応じた処理を実行させるための機能を果たす。
【0042】
画像表示部150は、本体部11の画像表示手段151を含んで構成され、測定された血圧値、現在時刻、カフの装着状態に係る情報など、各種の情報を画像表示手段151に表示することで、ユーザーに情報を提供する。図2A乃至図2Cに、画像表示手段151の表示内容の一例を示す。図2A乃至図2Cに示すように、画像表示手段151には、後述する脈波間隔についての情報を示すレベルインジケータLI1が表示される領域が設けられている。レベルインジケータLI1については、後にさらに詳細に説明する。
【0043】
音声出力部160は、スピーカなどの音声発生手段を含んで構成され、音声によってユーザーに情報を提示する。具体的には、音声出力部160に血圧測定・開始のアナウンスや、装置の使用に関するガイド音声を発生させるようにしてもよい。また、後述のように脈波間隔についての情報を音声出力してもよい。
【0044】
以下では、制御部100の各機能モジュールについて説明する。血圧値算出部101は、センサ部110が取得した脈波に基づいて、ユーザーの血圧値(及び脈拍数)を算出する。血圧算出の方法は所望の公知技術を用いることができ、例えば圧力センサで圧脈波を検出して血圧を測定するオシロメトリック法を採用することができる。また、カフ部12にマイクを設け、コロトコフ音を検出するコロトコフ法を用いてもよい。血圧値算出部101が算出した血圧値及び脈拍数は、血圧測定時刻と関連付けられて記憶部130に記憶されるようにしてもよい。
【0045】
また、脈拍間隔算出部102は、センサ部110が取得した脈波(例えば、圧力センサによって取得された圧脈波)の波形から、一拍ごとにその波のピーク間の時間間隔を算出する。図3を用いて、脈拍間隔の算出について説明する。図3は脈波信号と時間との関係を模式的に示す説明図である。図3において、ある波のピークが検出される時間をtとし、その次の波のピークが検出される時間をtとすると、ある波とその次の波の間隔はt-t=Tとなる。脈拍間隔算出部102はこのように、t-tx-1=Tを脈拍間隔として算出する。
【0046】
レベルインジケータ表示内容決定部103は、画像表示手段151において表示されるレベルインジケータLI1の表示内容を決定する。ここで、図2A乃至Cを参照して、レベルインジケータLI1の表示内容について説明する。本実施例に係るレベルインジケータLI1は、表示と非表示を切り替え可能な複数の表示セグメントSを備えており、表示が活性化されている状態(非表示ではなく、表示されている状態)の表示セグメントSの数の多寡により、算出された脈拍間隔の大小を示すことができる。そして、レベルインジケータ表示内容決定部103は、一拍ごとに算出される脈拍間隔Tに基づいて活性化される表示セグメントSの数を決定し、レベルインジケータLI1における表示内容を一拍ごとに決定する。
【0047】
ここで、レベルインジケータ表示内容決定部103が活性化される表示セグメントSの数を決定する具体例を説明する。レベルインジケータ表示内容決定部103は、(予め設定されている)脈波間隔の既定最小値をTmin、既定最大値をTmax、表示セグメントSの最大個数をNmaxとし、算出される脈波間隔に応じた表示セグメントSの数Nを、下記式(1)及び式(2)により求める。
【数1】
【数2】
【0048】
即ち、Nは(T-Tmin)/Δt+1の値を超えない最大の整数となる。なお、Δtは都度求める必要はなく、機器ごとに或いはユーザーごとに予め定めた値を記憶部130に記憶しておいてもよい。或いは、Δtの値を定めた式(2)のみを記憶部130に記憶し、一拍ごとに式(2)によりNを求めるようにしてもよい。
【0049】
このようにして求められたN個の表示セグメントSを、レベルインジケータLI部に一拍ごと表示することで、脈拍間隔の変動を示すことができる。具体的には、表示が活性化している表示セグメントSが多いと、レベルインジケータLIの表示活性化領域が大きくなり、逆に表示が活性化している表示セグメントSが少ないと、レベルインジケータLIの表示活性化領域が小さくなる。即ち、脈拍間隔が大きく(長く)なるほど、レベルインジケータLIの表示活性化領域が大きくなり、脈拍間隔が小さく(短く)なるとレベルインジケータLIの表示活性化領域が小さくなるため、ユーザーは当該表示を見ることで、表示活性化領域の大小のバラツキを直感的に把握し、これにより一拍ごとの脈拍間隔の変化量を認識することが可能になる。
【0050】
なお、レベルインジケータLIに表示される表示セグメントSは、表示の態様を工夫することにより、脈拍間隔の変化量をよりユーザーに分かりやすく示すことができる。例えば、図2A乃至Cに示すように、左右方向に延びる直線状に表示セグメントSが配置される態様において、表示セグメントSの表示活性化を左端の1つ目から始めてNx個に至るまで順次右側に1個ずつ表示個数を増やしていき、N個に至った後に、右側から順次非表示にしていくような表示態様にすることができる。
【0051】
図2A乃至図2Cは、このような表示セグメントSの表示の遷移の一例を示している。図2Aは、ある時点における脈拍間隔Tを示すものとして、N個=10個の場合のレベルインジケータLI1を示している。なお、この場合の例ではNmax=13個とする。即ち、レベルインジケータLI1全体としては13個の表示セグメントSが存在しているところ、10個分の表示セグメントSが左詰めで表示(活性化)された状態を示している。
【0052】
また、図2Bは、右側から順次表示セグメントSが非表示になっていく状態を示している。図2Bに示すように、順次非表示にしていく際にN個目(この場合10個目)の表示セグメントSは表示を活性化したまま残しておくことにより、この残された表示セグメントSの位置の変化により脈拍間隔の変動を認識し易くすることができる。ただし、必ずしもこのようにする必要はなく、N個の表示セグメントSは、全て同時に表示を活性化し、次の脈拍間隔が得られるまでの間、全て表示させたままであってもよい。
【0053】
そして、次の脈波のピークが検出され、これに基づいて算出された脈拍間隔TX+1の表示内容がレベルインジケータ表示内容決定部103により決定されると、図2Cに示すようにレベルインジケータLI1に、8個の表示セグメントSが活性化された状態が表示される。なお、本実施例においては、このようなレベルインジケータLI1の表示は、検出される脈拍の波形に同期して変化するようになっている。即ち、脈拍間隔が短ければそれに応じてレベルインジケータLI1の表示が変化するタイミングも早くなり、脈拍間隔が長ければ表示が変化するタイミングが遅くなる。ただし、レベルインジケータLI1の表示が変化するタイミングは、必ずしも脈波と同期している必要はなく、一拍ごとの脈拍間隔を示す表示の開始・終了に係るタイミングは適宜設定することができる。
【0054】
また、上記のようなレベルインジケータLI1の表示の変化と共に、音声出力部160から、脈拍間隔を示す音声(例えば「ピッ、ピッ・・・」というような電子音)を出力させるようにしてもよい。例えば、具体的には、ある時点における脈拍間隔Tが所定の基準よりも長ければ低い周波数の電子音を出力させ、逆に所定の基準よりも短ければ高い周波数の電子音を出力させる。また、脈拍間隔Tが上下限閾値で規定される所定の範囲内の長さであれば、上記の中間に位置するような周波数帯の電子音を出力するのであってもよい。
【0055】
以上のような構成の血圧測定装置1によれば、ユーザーは血圧測定中における脈拍間隔の変動を直感的に認識することができ、脈の拍動をより容易に認知することができる。これにより、不整脈などの異常があった場合にはその違和感から脈拍の異常を容易に把握することができ、日常的な血圧測定を通じて循環器疾患の早期発見に資することができる。
【0056】
(変形例1)
なお、上記の実施例では、レベルインジケータLI1は、左右方向に延びる直線状に表示セグメントSが配置される構成であったが、レベルインジケータは装置形状や画像表示手段151の構造に応じて、様々に構成することができる。図4A乃至C、図5A乃至Cに、実施例1の変形例に係るレベルインジケータの表示態様を示す。
【0057】
レベルインジケータの形状は、例えば図4Aに示すレベルインジケータLI2のように、直線状ではなく円形状とすることができる。また、図4Bに示すレベルインジケータLI3のように、縦方向に延びる直線状に構成されていてもよい。さらに、図4Cに示すように、放射状に複数列配置された表示セグメントSが、内側から外側に向かって表示が活性化されていくような態様のレベルインジケータLI4とすることもできる。また、図5Aに示すように、各表示セグメントSが線状でなく、点状に形成されたレベルインジケータLI5とすることもできる。また、図5B及び図5Cに示すように、レベルインジケータLI6を構成する表示セグメントSの全てが活性化された場合には、何らかの図形(例えばハート形)となるようにレベルインジケータLI6の表示領域を設計することも可能である。図5Bは、表示領域がハート形に形成されたレベルインジケータLI6の一部の表示セグメントの表示が活性化されている状態を示しており、図5Cは全ての表示セグメントの表示が活性化されている状態を示している。
【0058】
(変形例2)
また、レベルインジケータは、必ずしも複数の表示セグメントによって構成されている必要はない。図6A乃至Cにこのような場合のレベルインジケータLI7の例を示す。図6Aは、ある時点における脈拍間隔Tを示すものとして、切れ目のないバーBが左から右に向けて延びている状態を示している。この変形例の場合には、Nは表示セグメントの個数ではなく、レベルインジケータLI7全体の表示可能領域に占める表示活性化領域の長さ(或いは面積)として算出すればよい。また、図6Bは、右側から順次バーが非表示になっていく状態を示している。そして、この際には実施例1の場合と同様に、図6AにおけるバーBのピークレベルの部分の表示が活性化したまま残っている。また、図6Cは脈拍間隔を示すバーが左から右に向けて延び、脈拍間隔Tx+1を表示している状態を示している。
【0059】
(変形例3)
また、上記の各例では、脈拍間隔はレベルインジケータ内における表示活性化領域の大きさ(長さを含む)によって表現されていたが、これ以外の態様で脈拍間隔を表示するようにしてもよい。具体的には例えば、表示が活性化される表示セグメントが順次遷移していき、この活性化された表示セグメントの遷移した距離の長さによって、脈拍間隔を示すようにしてもよい。図7A乃至Cは、このような変形例のレベルインジケータLI8を示
す説明図である。
【0060】
図7A乃至Cに示すレベルインジケータLI8の例では、複数の表示セグメントが円環状に配置されており、血圧測定中は時計回りの一方向に順次活性化される表示セグメントが遷移していく態様となっている。図7A乃至Cの各図では、この遷移の先端に位置する表示セグメントを先端表示セグメントT、一つ分の脈拍間隔の遷移の終点を示す表示セグメントを終端表示セグメントEとして、符号を付している。
【0061】
表示セグメントの遷移についてさらに説明すると、まず脈拍間隔算出部102により脈拍間隔Tが算出されると、これに基づいて表示セグメント何個分進むか(遷移するか)がレベルインジケータ表示内容決定部103により決定される。そして、決定された個数分の遷移が行われて一の脈拍間隔を示す遷移の終端表示セグメントEが活性化される際に、当該終端表示セグメントEは、遷移の通過点とは異なる特別な表示が行われる。具体的には、例えば終端表示セグメントEを少し大きく表示する、終端表示セグメントEの輝度を通常の遷移よりも大きくする、図7Cに示すような表示エフェクトを行う、これらを組み合わせた表示を行う、などとすることができる。このような表示を行うことで、そこが一の脈拍間隔を示す遷移の終端であることを認識し易くすることができる。
【0062】
また、遷移の通過点も含め、一旦活性化された表示セグメントは、活性化される表示セグメントが次に遷移した後もすぐに表示が消えるわけではなく、非表示の状態に向けて徐々に表示の輝度が小さくなるように設定してもよい。これにより、図7A乃至Cに示すように、遷移の先端にある先端表示セグメントTが、残像を残して周回しているような印象を与えることができる。さらに、終端表示セグメントEについては、通過点の表示セグメントよりも長い間、その表示が活性化されるようにしてもよい。これにより、前の脈拍間隔と、次の脈拍間隔との比較を容易に行うことが可能になり、ユーザーは脈拍間隔の変動をより明確に認知することが可能になる。
【0063】
(変形例4)
また、変形例3で示したように、活性化される表示セグメントが一定方向に遷移していく態様は、円環状に構成されたレベルインジケータ以外にも適用することができる。図8A乃至Dにこのような場合の変形例を示す。本変形例においては、血圧測定中は左右に延びるレベルインジケータLI10の左端から右端に向けて、一方向に順次活性化される表示セグメントが遷移していく態様となっている。なお、図8A乃至Dにおいても、遷移の先端に位置する表示セグメントを先端表示セグメントTとして表示し、図8C及びDにおいて、一つ分の脈拍間隔の遷移の終端を示す表示セグメントを終端表示セグメントEとしている。
【0064】
図8A乃至Dに示すように、本変形例に係るレベルインジケータLI10は、左右に延びる表示領域に複数の表示セグメントを有しており、各表示セグメントが常時表示される複数の区切り線Qによって区切られた態様となっている。本変形例においても、変形例3の場合と同様に、算出された脈拍間隔に基づいて表示セグメント何個分遷移するかが決定される。そして、決定された個数分の遷移が行われて一の脈拍間隔を示す遷移の終端表示セグメントEが活性化される(図8A及びB参照)。その後、さらにレベルインジケータLI10の右端に向けて先端表示セグメントTの活性化が順次行われるが、終端表示セグメントEは活性化された状態を維持する(図8C及びD参照)。なお、先端表示セグメントTの遷移がレベルインジケータLI10の右端まで達すると、再度レベルインジケータLI10の左端から表示セグメントが順次活性化される。
【0065】
なお、本変形例では、終端表示セグメントEが表示された後も、先端表示セグメントTはレベルインジケータLI10の右端まで遷移するようになっていたが、終端表示セグメ
ントEの表示が活性化されると、右端に向けた先端表示セグメントTの遷移を中止して、再度左端から表示の活性化を行うようにしてもよい。また、本変形例では、レベルインジケータLI10は左右に延在する帯状に構成されていたが、上下方向に延びるレベルインジケータにおいて、本変形例と同様の表示態様とすることも当然に可能である。
【0066】
(変形例5)
また、実施例1では複数の表示セグメントSを備えるレベルインジケータが表示されていたが、画像表示部150には、これに加えてさらに他のインジケータを表示するようにしてもよい。図9A乃至Cにこのような場合の変形例を示す。本変形例では、図9A乃至Cに示すように、画像表示部には、実施例1のレベルインジケータLI1と同様な構成のレベルインジケータLI11と、その下にレベルインジケータLI11と平行に配置されるサブインジケータSIが表示される。
【0067】
図9A乃至Cに示すように、サブインジケータSIは、複数のサブ表示セグメントSSを備えている。レベルインジケータLI11は、図2A乃至Cに示す実施例1の場合と同様に、一拍ごとに左側から右側に表示セグメントSを活性化し、脈拍間隔に応じた数の表示セグメントSが活性化された後は、ピークレベルの表示セグメントSを活性化させたままで、その左側の表示セグメントを順次非表示にしていく。ここで、サブインジケータSIでは、レベルインジケータLI11のピークレベルの表示セグメントSと左右方向の位置が対応する箇所のサブ表示セグメントSSの表示を活性化する(図9A参照)。なお、サブインジケータSIでは、レベルインジケータLI11とは異なり、ピークレベルの表示セグメントSと対応する箇所のサブ表示セグメントSSのみが活性化される。
【0068】
その後、レベルインジケータLI11では、次の拍に係る脈拍間隔を示す表示セグメントSが活性化され、これに応じてピークレベルを示す表示セグメントSの位置も変動する。即ち、前の拍の脈拍間隔を示すピークレベルの表示セグメントSは非表示となる。一方、サブインジケータSIでは、前の拍のピークレベルに対応する箇所のサブ表示セグメントをSSの表示を活性化させたまま、次の拍のピークレベルの位置に対応する箇所のサブ表示セグメントSSの表示を併せて活性化する(図9B図9C参照)。そして、サブインジケータSIの各サブ表示セグメントSSの表示の活性化は、血圧測定が終了するまで(即ち、脈拍の取得が終了するまで)維持される。
【0069】
このような表示態様であると、脈拍間隔のバラツキ具合を容易に把握することができる。即ち、血圧測定終了時に、サブインジケータSIにおいて活性化されているサブ表示セグメントSSの数が多いほど、また表示されている位置が広範囲であるほど、脈拍間隔のバラツキが大きいということになる。そして、血圧測定時に心房細動が発生しているような場合には、脈拍間隔のバラツキが大きくなるため、サブインジケータSIのサブ表示セグメントSSの表示の活性化の態様を確認することで、ユーザーは心房細動の虞があるか否かを、感覚的に把握することができる。
【0070】
<実施例2>
次に、本発明に係る第2の実施例について説明する。図10は、本実施例における血圧測定装置2の装置構成及び機能構成の概略を示す概略図である。図10に示すように、血圧測定装置2は、制御部200の機能モジュールとして、脈拍間隔変化量算出部204を備えている点において異なる他は実施例1の血圧測定装置1と略同じ構成となっている。このため、血圧測定装置1と同様の構成、機能モジュールについては実施例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0071】
脈拍間隔変化量算出部204は、脈拍間隔算出部102が算出する脈拍間隔に基づいて、脈拍間隔の変化量を算出する。変化量は、最新の脈拍間隔とその一つ前に算出された脈
拍間隔との差又は比、とすることができる。
【0072】
図3を参照して説明すると、例えば脈拍間隔差Dを求める場合、下記式(3)により算出することができる。即ち、ある脈拍間隔Tが算出されると、当該脈拍間隔Tからその一つ前に算出された脈拍間隔Tx-1を減ずることで、最新の脈拍間隔Tとその一つ前の脈拍間隔Tx-1との差分Dを算出する。
【数3】
【0073】
また、脈拍間隔比Rを求める場合、下記式(4)により算出することができる。即ち、ある脈拍間隔Tが算出されると、当該脈拍間隔Tをその一つ前に算出された脈拍間隔Tx-1で除することで、最新の脈拍間隔Tとその一つ前の脈拍間隔Tx-1との比Rを算出する。
【数4】
【0074】
そして、レベルインジケータ表示内容決定部103は、上記のようにして算出されたDまたはRを示す表示内容を決定する。ここで、図11A乃至Cを参照して、本実施例において画像表示手段151に表示されるレベルインジケータLI9の表示内容を説明する。本実施例におけるレベルインジケータLI9は、中央に縦向きの基準線Kが常に表示された状態となっている。そしてその縦向きの基準線Kを挟んで左右方向に延びるように表示セグメントSが配置される構成となっている。
【0075】
そして、レベルインジケータ表示内容決定部103は、例えばDをレベルインジケータLI9で表示する場合、D>0であれば基準線Kの右側に、D<0であれば基準線Kの左側に向かって、|D|に応じた個数の表示セグメントSを表示するように表示内容を決定する。また、また、RをレベルインジケータLI9で表示する場合も同様に、R>1なら基準線Kの右側に、R<1なら基準線Kの左側に向かって、|R|に応じた個数の表示セグメントSを表示させるようにすることができる。
【0076】
図11A乃至図11Cは、このような表示セグメントSの表示の遷移の一例を示している。図11Aは、ある時点における脈拍間隔Tとその直前の脈拍間隔Tx-1の差D(即ち脈拍間隔の変動量)を示すものとして、4つの表示セグメントSが基準線Kの左側に表示された状態のレベルインジケータLI9を示している。即ち、この時点でのDは負の値であり、脈拍間隔Tは直前の脈拍間隔Tx-1と比べて短くなっていることがわかる。
【0077】
また、図11Bは、左端から順次表示セグメントSが非表示になっていく状態を示している。図11Bに示すように、順次非表示にしていく際に、直前のDを示す左端の表示セグメントSは表示を活性化したまま残しておくことにより、この残された表示セグメントSの位置の変化により脈拍間隔の変化量についての変動を認識し易くすることができる。そして、図11Cには、脈拍間隔Tとその次の脈波間隔(Tx+1)との差分(Dx+1=Tx+1-T)が表示された状態のレベルインジケータLI9が示されている。ここでは、3つの表示セグメントSが基準線Kの右側に表示されており、Tx+1はTに比べて脈拍間隔が長くなっていること、及びその程度を容易に認識することができる。
【0078】
このような本実施例に係る血圧測定装置2によれば、レベルインジケータLI9の表示セグメントSの活性化される向き及びその長さを視認することによって、ユーザーは一拍
ごとに脈波間隔の変化量の変動及びその程度を容易かつ直感的に把握することができる。
【0079】
<その他>
なお、上記実施例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。例えば、脈拍間隔の変化量及びその変動の表現方法は、上述のようなレベルインジケータ内における表示領域の増減(表示が活性化する表示セグメント数の多寡、バーの長さや面積)だけに限られない。このようなレベルインジケータの表示態様を図12A及びBに示す。図12A図12Bに示すレベルインジケータは、円周の一部(円弧)と円弧の内側から円弧に向けて延在する指針とを備える形状であり、いわゆるアナログメータのような構成となっている。
【0080】
図12Aは、一拍ごとの脈拍間隔を示す実施例1の変形例を示す図であり、レベルインジケータLI12の指針は、一拍ごとに脈拍間隔に対応する円周上のminからmaxの間のいずれかの位置を指し示すように表示される。即ち、脈拍間隔に応じて一拍ごとに指針の角度が変動することになる。
【0081】
一方、図12Bは、一拍ごとの脈拍間隔の変化量を示す実施例2の変形例を示す図であり、レベルインジケータLI13の指針は、一拍ごとに最新の脈拍間隔とその直前の脈拍間隔との差又は比に対応する円弧上の位置を指し示すように表示される。具体的には、レベルインジケータLI13は、円弧の中央部に配置される基準線Kを標準位置として、脈拍間隔の変化量に応じて指針が基準線Kから右または左に振れる表示となる。即ち、実施例2の説明に倣うと、D>0であれば最新の脈拍間隔は直前の脈拍間隔よりも長くなっているので、指針は基準線Kの右側に|D|に応じた分だけ振れる。また、D<0であれば最新の脈拍間隔は直前の脈拍間隔よりも短くなっているので、指針は基準線Kの左側に|D|に応じた分だけ振れる。また、最新の脈拍間隔とその直前の脈拍間隔との比(上述のR)を示す場合も同様である。
【0082】
また、上記の各実施例では、レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、脈拍間隔またはその変化量に応じて線形に変化するものとすることができる。このように、レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域が、脈拍間隔またはその変化量に比例するように変化することで、ユーザーは直感的に脈拍間隔又は脈拍間隔の変化量の変動を視認することができる。ただし、装置の表示領域の大きさには限界があることから、このように脈拍間隔に比例して表示が活性化される領域を変化させる場合には、ユーザーの脈拍数の大小によって脈拍間隔の変動がわかりにくくなってしまう虞がある。
【0083】
このため、レベルインジケータにおいて表示が活性化される領域の長さ、面積、角度もしくは数は、脈拍間隔またはその変化量に応じて、単調増加の非線形に変化するようにしてもよい。具体的には例えば、算出した脈拍間隔を用いて一拍ごとに演算処理を行い、脈拍間隔の対数に比例して表示が活性化するセグメントの数を変化させるようにしてもよい。これによれば、脈拍数の大小によるバラツキを抑制して適切な表示の変化により脈拍間隔またはその変化量を示すことが可能になる。また、算出される脈拍間隔またはその変化量と、表示が活性化されるセグメント数と、を対応づけたテーブルを予め記憶しておき、一拍ごとに当該テーブルを参照することで、テーブルに応じたセグメント数の表示を活性化するようにしてもよい。これによれば、一拍ごとに演算処理を行う負荷を減らすことができる。
【0084】
また、上記各実施例では、レベルインジケータを、LCDで表示する例を説明したが、これに替えて、表示セグメントを複数のLED表示灯からなる構成とすることができる。
このような場合には、LED表示灯の点灯が、表示セグメントの活性化に相当する。
【0085】
また、上記各実施例では、圧脈波を圧力センサで取得していたが、PPGセンサにより容積脈波を取得するようにしてもよい。また、上記各実施例では血圧測定装置を例に説明したが、脈拍を取得可能なセンサを備えるものであればこれに限らず、その他の生体情報測定装置(例えば、心電計、体組成計など)にも、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1、2・・・血圧測定装置
11・・・本体部
12・・・カフ部
13・・・エアチューブ
151・・・画像表示手段
100、200・・・制御部
110・・・センサ部
120・・・カフ圧制御系
130・・・記憶部
140・・・操作部
150・・・画像表示部
160・・・音声出力部
LI1、LI2、LI3、LI4、LI5、LI6、LI7、LI8、LI9、LI10、LI11、LI12、LI13・・・レベルインジケータ
SI・・・サブインジケータ
S・・・表示セグメント
SS・・・サブ表示セグメント
T・・・先端表示セグメント
E・・・終端表示セグメント
B・・・バー
K・・・基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12