(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081475
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】蓋材、包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65D77/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195127
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】出水 敏博
(72)【発明者】
【氏名】鹿倉 善和
(72)【発明者】
【氏名】榎谷 幸敏
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB99
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067EA04
3E067EB11
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】プラスチック素材の使用量を低減することが可能な蓋材を提供する。
【解決手段】物品を収納する包装体(1)の本体(2)の表面に、該物品を取り出すための取出口(22)を再封可能に貼付される蓋材(3)であって、蓋材(3)は、第1基材(30)と、第1基材(30)が積層され、本体(2)の表面に貼付される第2基材(40)とを備え、第1基材(30)と第2基材(40)とは、再封可能に接着され、第2基材(40)は、紙からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する包材の表面に、該物品を取り出すための取出口を再封可能に貼付される蓋材であって、
第1基材と、前記第1基材が積層され、前記包材の表面に貼付される第2基材とを備え、
前記第1基材と前記第2基材とは、再封可能に接着され、
前記第2基材は、紙からなる蓋材。
【請求項2】
前記第2基材は、透光性を有している、請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
前記第1基材には、前記第2基材との接着を可能とする接着剤が塗布されており、
前記第2基材には、前記接着剤による前記第1基材と前記第2基材との接着力を低減する剥離調整層が塗布されている、請求項1または2に記載の蓋材。
【請求項4】
物品を収納する包材と、
前記包材の表面に位置する、請求項1または2に記載の蓋材と、を有する、包装体。
【請求項5】
少なくとも前記包材の一部が紙からなり、かつ、前記第1基材が紙からなる、請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記第2基材が有する長軸方向における2つの端部のうち、前記第1基材と前記第2基材との剥離の始点となる端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部とし、
前記第2基材は、前記第1端部が位置する第1領域と、前記第2端部が位置する第2領域とに前記第2基材を分割する切れ込みを有するとともに、前記第2基材と前記包材との間の接着力を弱める機能領域を、前記第2領域において前記切れ込みに沿って有する、請求項4に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓋材及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋材の接着作業を簡素化でき、開封の有無を容易に判別できる包装体が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の包装体は、取出口を有する包材と、取出口を覆うように保形シートの表面に再剥離再接着可能に貼付された蓋材であって、一端部に摘み部が設けられ且つ一端部から剥離可能な蓋材と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-256299号公報(2021年4月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今は、SDGs(持続可能な開発目標)が世界的に注目を集めており、環境問題への配慮から、プラスチック素材の使用量を低減することが望まれている。
【0006】
本開示は、プラスチック素材の使用量を低減することが可能な、蓋材および蓋材付きの包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る蓋材は、物品を収納する包材の表面に、該物品を取り出すための取出口を再封可能に貼付される蓋材であって、第1基材と、前記第1基材が積層され、前記包材の表面に貼付される第2基材とを備え、前記第1基材と前記第2基材とは、再封可能に接着され、前記第2基材は、紙からなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、プラスチック素材の使用量を低減することが可能な蓋材および蓋材付きの包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る包装体を説明するための斜視図である。
【
図2】本開示に係る包装体の断面図であって、
図1の符号100に示す図に記載されたAA線の矢視断面図である。
【
図3】本開示に係る蓋材を説明するための上面図である。
【
図4】本開示に係る蓋材の断面図であって、
図3に記載されたBB線の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態〕
以下、本開示に係る実施形態について
図1等を参照しながら説明する。
【0011】
なお、本開示において、「上(表)」及び「下(裏)」は、重力方向を下側(裏側)、
重力方向と反対側を上側(表側)とする。「下限値XXX~上限値YYY」で表される数値範囲は、下限値XXX以上上限値YYY以下を意味する。
【0012】
(包装体)
図1は、本開示に係る包装体1を説明するための斜視図である。
図1の符号100に示す図は第1基材30が閉じられているときの包装体1の様子を示し、
図1の符号110に示す図は第1基材30が開かれているときの包装体1の様子を示す。
【0013】
図1を参照して、包装体1は、物品を収納する本体2(包材)と、本体2の表面に接着された蓋材3(開封材)と、を有する。物品は、特に限定されず、菓子などの食品、ネジなどの機械部品、クリップなどの文房具類、ナプキンなどの医薬部外品、ウェットシートなどの液体含有品などが挙げられる。
【0014】
液体含有品としては、含浸させる液体及びその液体を含浸させる支持体の材質に応じて、様々なものが知られており、例えば、お手拭き、掃除用シート、ふきん、おしり拭き、油取りシート、化粧落としシートなどが挙げられる。
【0015】
(本体)
本体2は、物品を収納可能であって物品を取り出すための取出口22を有するものであれば特に限定されないが、取出口22を塞ぐ蓋材3と協働して、物品を密封状(液漏れ及び空気が侵入しない密封状態)に包装できるものが好ましい。本体2は、紙、樹脂成形品などのような外力によって簡単に変形しない容器、又は、ピロー包装袋などのような柔軟なフィルム袋などを用いることができる。本体2は、紙である場合に、その内側がバリアコーティングされていてよい。
【0016】
本体2は、上面21に取出口22を有する。取出口22は、その位置は特に限定されないが、本体2に収納された物品を取り出しやすくするために、例えば上面21の中央付近に形成される。取出口22は、その大きさ及び/又は形状は特に限定されず、本体2から物品を取り出しやすい大きさ及び/又は形状であればよい。
【0017】
本体2の上面21には蓋材3が接着される。以下、蓋材3について説明する。
【0018】
(蓋材)
図1を参照して、蓋材3は、物品を収納する包装体1の本体2の表面に、該物品を取り出すための取出口22を再封可能に貼付され、第1基材30と、第1基材30が積層され、本体2の表面に貼付される第2基材40とを備える。第1基材30と第2基材40とは再封可能に接着され、第2基材40は紙からなる。
【0019】
上述したように、第1基材30は、第2基材40に再封可能に接着される。再封可能に接着されるとは、第1基材30を第2基材40から剥離でき、剥離した後、再び第1基材30を第2基材40に接着でき、この剥離と接着を繰り返して行うことが可能であることをいう。なお、第1基材30を第2基材40から剥離する方向を「剥離方向」という場合がある。
【0020】
第1基材30の材質は、特に限定されず、紙、又はフィルム等を用いることができる。紙の種類は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、アート紙、グロス紙、コート紙、クラフト紙、又はこれらにバリアコーティングされているコーティング紙、グラシン紙などの30~120g/m2の紙が用いられてよい。フィルムの種類は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、合成樹脂フィルムを用いることができる。
【0021】
第1基材30と接着層50(後述)との間に、樹脂層(フィルム層等)、バリア層となる蒸着層(アルミ蒸着等)、及び/又は、金属箔(アルミ箔等)が含まれてもよい。
【0022】
第1基材30は、第2基材40に接着されることから、包装体1を上面視したときに第2基材40の外縁の内側に収まる大きさであることが好ましい。第1基材30の形状は、特に限定されず、例えば、略矩形状、略五角形状、略三角形状、略円形状、略楕円形状などの任意の平面視形状に形成することができる。
【0023】
第1基材30の厚みは、特に限定されないが、例えば、50μm~200μmである。
【0024】
第1基材30は、一端に摘み部33を有してよい。ユーザは、摘み部33を摘むことにより、第1基材30を第2基材40に再封可能に接着しやすくなる。摘み部33は、第1基材30を第2基材40に再封可能に接着しやすくする位置及び/又は形状に形成されてよい。
【0025】
第1基材30は、裏面32に接着層50(後述)が塗布されている。接着層50には、保護層35が形成されていてよい。保護層35は、第1基材30が第2基材40に接着されたときに、本体2の取出口22を覆うように設けられている。保護層35は、本体2に収納された物品(例えば、液体含有品であるウェットシート)が第1基材30に接触することによる第1基材30の劣化等を防止し、第1基材30を保護する。例えば、第1基材30が紙製であるとき、保護層35は、合成樹脂フィルムにより構成されてよい。
【0026】
第2基材40は、紙からなり、第1基材30が再封可能に接着される。第2基材40は、特に限定されず、従来公知の紙を用いることができる。第2基材40は、例えば、アート紙、グロス紙、コート紙、クラフト紙、又はこれらにバリアコーティングされているコーティング紙、グラシン紙、ワックスペーパー、又は打ち紙等などの30~120g/m
2の紙が用いられてよい。第2基材40は、第1基材30が剥離されるときの材料破壊を生じさせないために、コーティング又はインキ塗布したものが好ましい(
図2を参照して後述)。
【0027】
第2基材40の厚みは、特に限定されないが、例えば、50μm~200μmである。第2基材40は、透光性を有することが好ましい。これにより、第2基材40は、本体2に接着されたときに、第2基材40を通して、本体2に印刷されたデザインをユーザに視認させやすくできる。なお、透光性を有するとは、不透明度(JIS P 8149に準じた方法で測定)が70%以下であることを言うものとする。
【0028】
第2基材40は、第1基材30の全体が第2基材40に接着されるように、包装体1を上面視したときに第2基材40の外縁の内側に第1基材30を収める大きさであることが好ましい。
【0029】
第2基材40は、本体2の取出口22に対応する位置に開口が形成されており、本体2に収納された物品を取り出せるようにしている。
【0030】
第2基材40は、表面41に剥離調整層60(後述)が塗布されている。
【0031】
次に、包装体1の断面形状を
図2により説明する。
図2は、本開示に係る包装体1の断面図であって、
図1の符号100に示す図に記載されたAA線の矢視断面図である。
【0032】
図2を参照して、包装体1は、第1基材30が第2基材40に接着した状態において、
上から順に、第1基材30、接着層50、剥離調整層60、第2基材40、接着層70、本体2が設けられている。以下、各層について説明する。なお、
図1を参照して説明した内容については、その説明を省略する。
【0033】
第1基材30の裏面32には、第2基材40との接着を可能とする接着層50が塗布されている。接着層50は、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、又はポリエステル系樹脂を用いた接着剤等であってよい。接着層50は、例えば、20~30μmの厚みであってよい。
【0034】
第2基材40の表面41、即ち、第2基材40の、第1基材30が位置する側の面には、接着層50による第1基材30と第2基材40との接着力を低減する剥離調整層60が塗布されている。剥離調整層60は、インキ層またはニス層などの剥離調整に寄与する層である。剥離調整層60は、例えば、0.5~2μmの厚みであってよい。厚みが0.5μm未満であると、厚みが薄く剥離調整層に掠れが発生し、第1基材30と第2基材40との接着力を低減する効果が減少する。厚みが2μmよりも大きいとコストアップにつながる。剥離調整層60は、例えば、フレキソ印刷又は凸版印刷により塗布されてよい。剥離調整層60は、第2基材40に塗布されることにより、第2基材40の平滑性を高める効果も有する。
【0035】
第1基材30と第2基材40との接着力(粘着力)は、限定されないが、1.0~7.0N/25mmであることが好ましい。1.0N/25mm未満の場合、輸送時または店頭での陳列時において、第1基材30と第2基材40との剥離が生じやすくなる。7.0N/25mmより大きい場合、第1基材30と第2基材40とを剥離しにくく、第1基材30又は第2基材40に材料破壊の可能性が生ずる。
【0036】
なお、本明細書における接着強度は、JIS Z 0237に規定される試験方法(剥離角度:180°、貼付24時間後の強度測定)に基づき測定された数値を示す。
【0037】
第2基材40の裏面42には、本体2との接着を可能とする接着層70が塗布されている。接着層70は、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いた接着剤等であってよい。接着層50は、例えば、20~30μmの厚みであってよい。
【0038】
接着層50及び接着層70は、互いに同じ接着剤であってもよいし、互いに異なる接着剤であってもよい。接着層50及び接着層70が互いに同じ接着剤である場合、第1基材30と第2基材40との間の接着力は剥離調整層60により低減するため、第1基材30と第2基材40との間の接着強度は、第2基材40と本体2との間の接着強度よりも低くなる。そのため、第1基材30を剥離方向に引っ張ると、より接着強度の低い第1基材30と第2基材40との間が剥離する。
【0039】
接着層50及び接着層70が互いに異なる接着剤である場合、剥離調整層60による接着力の低減効果を考慮した上で、第1基材30と第2基材40との間の接着強度が第2基材40と本体2との間の接着強度よりも低くなるように接着層50及び/又は接着層70を選定する。これにより、第1基材30を剥離方向に引っ張ると、第1基材30と第2基材40との間が剥離する。
【0040】
剥離調整層60による接着力の低減効果を考慮した第1基材30と第2基材40との接着力(「第1粘着力」と称する)と、第2基材40と本体2との接着力(「第2粘着力」と称する)との差は、限定されないが、「第2粘着力-第1粘着力≧2N/25mm」であることが好ましい。2N/25mm未満の場合、第1基材30ではなく第2基材40が
剥離してしまい、本体2の破壊につながる惧れがある。そこで、「第2粘着力-第1粘着力≧2N/25mm」とすることにより、本体2が破壊されて包装体1が再封可能とならない、といった事態の発生を低減ができる。
【0041】
包装体1は、前記の構成を備えることにより、種々の効果を奏する。以下、説明する。
【0042】
包装体1は、第1基材30と第2基材40とを備え、第1基材30と第2基材40とは、再封可能に接着され、第2基材40は、紙からなる。これにより、包装体1は、第2基材40がプラスチック素材により形成されている場合と比較して、プラスチック素材の使用量を低減できる。
【0043】
また、第1基材30には、第2基材40との接着を可能とする接着層50が塗布されており、第2基材40には、接着層50による第1基材30と第2基材40との接着力を低減する剥離調整層60が塗布されている。これにより、包装体1は、第1基材30と第2基材40との間の接着強度を、第2基材40と本体2との間の接着強度よりも低くできる。これにより、第2基材40と本体2とを接着させつつ、第1基材30を第2基材40から剥離できる。
【0044】
さらに、包装体1は、第1基材30及び第2基材40という2層構造を有しており、該構造では、第1基材30は、本体2からではなく第2基材40から剥離される。これにより、包装体1は、本体2を破壊することのない、再封可能な包装体を実現できる。
【0045】
また、第2基材40は、パラフィン紙、グロス紙、グラシン紙、ワックスペーパー、打ち紙等を使用することができるため、第2基材40の毛羽立ち、又は材料破壊を軽減できる。
【0046】
さらに、第2基材40は、透光性を有してよく、第2基材40を通して、本体2に印刷されたデザインを視認しやすくする。これにより、包装体1は、本体2のデザイン性を損なうことなく、再封性を有するタックラベルを実現できる。
【0047】
以上、蓋材3が第1基材30と第2基材40との2層構造を有する構成を説明したが、第1基材30のみを備える1層構造の蓋材も考えられる。このような1層構造の蓋材を備える包装体は、具体的には、上から順に、第1基材30、接着層50、剥離調整層60、及び本体2により構成され、第2基材40を含まない。しかしながら、このような包装体を製造するためには、本体2に剥離調整層60を印刷する必要がある。すると、剥離調整層60の露出が増えることにより、剥離調整層60の損傷、及び/又は、剥離調整層60の印刷位置のずれなどが発生しうる。さらに、製造工程上の理由により、第1基材30を製造するための原紙にロスが発生しやすくなる。それゆえ、品質又は紙の有効活用という観点では、2層構造の蓋材3を備える包装体1が1層構造の蓋材を備える包装体よりも有利である。
【0048】
(紙剥け評価)
次に、表1に基づいて、包装体における紙剥け評価について説明する。
【0049】
【表1】
表1は、第2基材40の特徴及び種類、剥離調整層60の有無、及び接着層50の種類を変化させたときの、包装体の紙剥け評価の結果を示す。ここで、紙剥けとは、第1基材30を剥離するときに生じる、第2基材40の破れ、及び第2基材40の繊維剥がれをいう。以下、表1について説明する。
【0050】
第2基材40は、半透明の、グラシン紙及び耐油紙と、不透明の、アート紙及び未晒クラフト紙を用いた。
【0051】
剥離調整層60は、ニス層である。表1において、「None」は剥離調整層60を設けていないことを示す。「Yes(1)」は、剥離調整層60と接着層50(粘着剤1)
(後述)とを積層したときの、第1基材30と第2基材40との間の接着強度が2~2.5N/2mmであることを示す。「Yes(2)」は、剥離調整層60と接着層50(粘着剤2)(後述)とを積層したときの、第1基材30と第2基材40との間の接着強度が4~4.5N/25mmであることを示す。接着強度の測定方法は、JIS Z 0237に規定される試験方法に準じている。
【0052】
接着層50は、「接着剤1」(接着強度:5.0N/25mm)、及び、「接着剤2」(接着強度:2.5N/25mm)の2種類を用いた。接着強度は、JIS Z 0237に規定される試験方法に準じており、このとき、被着体はステンレス板とした。
【0053】
表1において、Aは、20回開封を繰り返した後で、第2基材40に破れ、又は、繊維剥がれ等の異常が発生しなかったことを示す。Bは、20回開封を繰り返した後で、第2基材40に破れは無いが、繊維剥がれが一部発生したことを示す、Cは、20回開封を繰り返しときに第2基材40に破れが発生したことを示す。つまり、A、B、Cの順に望ましい結果であることを示す。
【0054】
表1の結果より、以下の結果が示される。
【0055】
剥離調整層60は、Yes(1)、Yes2(2)である方がNoneであるよりも好ましい結果を示した。例えば、半透明のグラシン紙を用いた場合、剥離調整層60がNoneのときは接着剤1において「B」となり、剥離調整層60がYes(1)のときは接着剤1において「A」となっている。従って、剥離調整層60は、第2基材40の紙剥け防止に有用であることが分かる。
【0056】
次に、接着剤1、2に注目すると、概ね、接着剤2の方が接着剤1よりも紙剥け防止に有用であることが分かる。このことは、接着剤1が接着層50として不適であることを示すのではなく、接着層50として使用する接着剤の接着強度も紙剥けの発生に影響を与える因子であることを示す。
【0057】
続いて、第2基材40が半透明のグラシン紙を使用し、かつ、剥離調整層60がYes(1)の場合と、第2基材40が不透明のアート紙を使用し、かつ、剥離調整層60がYes(1)の場合とを比較すると、結果はいずれも「A」であった。このことから、第2基材40が半透明であるか不透明であるかは、紙剥けの発生において大きな因子にならないものと考えられる。
【0058】
このような結果より、本開示に係る包装体1及び蓋材3は、複数回の開封を行っても紙剥けの発生を軽減でき、しかも、第2基材40等の種類などを幅広く選択しうることが理解される。
【0059】
(機能層)
次に、本開示の一態様に係る蓋材5を、
図3及び
図4により説明する。
図3は、本開示に係る蓋材5を説明するための上面図である。
図4は、本開示に係る蓋材5の断面図であって、
図3に記載されたBB線の矢視断面図である。
【0060】
図3および
図4に示すように、蓋材5は、包装体1において切れ込み46及び糊抑え層48(機能層)が設けられた構成を有する。蓋材5を平面視した場合には、実際には糊抑え層48を視認できないが、便宜上、糊抑え層48の形成範囲を
図3において示している。ここで、第2基材40が有する長軸方向(
図3のXY座標軸におけるX軸方向)における2つの端部のうち、第1基材30と第2基材40との剥離の始点となる端部を第1端部41aとし、他方の端部を第2端部41bとする。第2基材40は、第1端部41aが位置する第1領域R1と第2端部41bが位置する第2領域R2とに第2基材40を分割する切れ込み46を有し、第2基材40と本体2との間の接着力を弱める糊抑え層48(機能層)を、第2領域R2において切れ込み46に沿って有する。
【0061】
図3において、第1領域R1は、第1端部41aから、Y軸方向に延びる切れ込み46までの領域に対応する。第2領域R2は、切れ込み46から第2端部41bまでの領域に対応する。
【0062】
切れ込み46は、第2基材40を、第1領域R1と第2領域R2とに分割する。切れ込み46は、限定されないが、Y軸方向と平行に形成されている。
【0063】
糊抑え層48は、第2基材40と本体2との間の接着力を弱める層である。糊抑え層48は、例えば接着層70に塗布されたインキ層またはニス層である。糊抑え層48は、限定されないが、接着層70に印刷されることにより形成される。糊抑え層48を形成する代わりに、第2基材40において接着層70が形成されていない領域(機能領域)を形成してもよい。蓋材5が糊抑え層48または機能領域を備えることにより、第1領域R1では、第1基材30と第2基材40との間は第2基材40と本体2との間よりも接着力を弱くする。そして、第2領域R2では、第1基材30と第2基材40との間は第2基材40と本体2との間よりも接着力を強くする。
【0064】
前記構成によれば、第1基材30を第2基材40から剥離させる開封動作において、第1基材30を切れ込み46まで剥離させたときに、第1基材30を第2基材40から剥離させる動作から、第2基材40を包装体1の本体2表面から剥離させる動作に切り替わる
。このとき、切れ込み46に沿って接着力を弱める糊抑え層48が形成されていることから、第2基材40と包装体1の本体2表面との間の接着力は、低減されており、剥離に要する力は急減する。そのため、開封動作を行っているユーザは、剥離のための力を無意識に弱めることになり、それ以上、第1基材30および第2基材40が剥がされる可能性を低減できる。その結果、第1基材30すべてが第2基材40から剥離される事態を軽減できる。
【0065】
その様子が
図4の符号400、410、420に示されている。
図4の符号400に示す図は、第1基材30の全体が第2基材40に接着されているときの蓋材5の様子を示す。
図4の符号410に示す図は、第1基材30の一部が第2基材40から剥離されているときの蓋材5の様子を示す。
図4の符号420に示す図は、第2基材40の第2領域R2まで第1基材30が剥離されたときの蓋材5の様子を示す。
【0066】
図4の符号410の図に示すように、第1領域R1では、第1基材30と第2基材40との間が剥離する。しかしながら、第1基材30と第2基材40との間の剥離が切れ込み46まで進むと、切れ込み46を境として、
図4の符号420の図に示すように、第2領域R2では、第2基材40と本体2との間が剥離する。そして、第2基材40と本体2とが完全に剥離する前に、ユーザによる第1基材30の剥離動作が終了する。
【0067】
第1基材30すべてが第2基材40から剥離した場合、次に第1基材30を第2基材40に張り付けたときに、第1基材30及び/又は第2基材40に皺が寄る、あるいは、第1基材30が斜めを向く、といった場合がある。その結果、包装体の美観及び蓋材5による封止機能を損ないやすくなる問題点が発生しうる。その点、蓋材5は、切れ込み46及び糊抑え層48を備えることにより、前記問題点を解消できる。
【0068】
また、蓋材5は、切れ込み46及び糊抑え層48を備えることにより、第1基材30を剥離するときの接着力の蓋材5内における強度ギャップを簡単な構成で実現できる。この構成は、プラスチック素材のような強度を有しておらず、破損しやすいという紙素材ならではの工夫と言える。
【0069】
(包装箱)
次に、本開示に係る包装体8を
図5により説明する。
図5は、本開示に係る包装体8の斜視図である。
図5の符号500に示す図は、箱80に第1基材30が接着されていないときの様子を示す。
図5の符号510に示す図は、箱80に第1基材30が接着されたときの様子を示す。なお、
図1を参照して説明した内容については、その説明を省略する。
【0070】
図5の符号500を参照して、箱80は、直方形状、又は円錐体等の様々な形状の箱であってよい。箱80は物品を収納する箱内部空間81(開口)が形成されており、箱内部空間81は、側壁により周囲を囲われている。箱内部空間81は、その大きさ、形状、又は深さ等が適宜に決められてよい。側壁の上面には、蓋材30の構成要素である第2基材82が貼付されている。
【0071】
第2基材82は、紙からなり、第1基材30が再封可能に接着される。第2基材82は、特に限定されず、
図1を参照して説明した第2基材40と同一の構成により実現されてよい。
【0072】
図5の符号510を参照して、第2基材82には第1基材30が再封可能に接着される。第1基材30が第2基材82に接着されることにより、箱内部空間81に収納された物品(例えば、化粧品等)を密閉できる。
【0073】
包装体8は、前記の構成を備えることにより、包装体1と同様に、プラスチック素材の使用量を低減できる。また、包装体8を一例として、本開示に係る包装体は、様々な形状により実現できる。
【0074】
(まとめ)
本開示の態様1に係る蓋材は、物品を収納する包材の表面に、該物品を取り出すための取出口を再封可能に貼付される蓋材であって、第1基材と、前記第1基材が積層され、前記包材の表面に貼付される第2基材とを備え、前記第1基材と前記第2基材とは、再封可能に接着され、前記第2基材は、紙からなる。
【0075】
本開示の態様1に係る蓋材は、前記第2基材を紙とすることにより、プラスチック素材の使用量を低減できる。
【0076】
本開示の態様2に係る蓋材は、前記の態様1において、前記第2基材は、透光性を有している。
【0077】
本開示の態様2に係る蓋材は、前記第2基材が前記蓋材の接着対象(例えば、包装体の表面)に接着される場合には、前記第2基材が透光性を有することにより、前記第2基材を通して、前記接着対象に印刷されたデザインを視認しやすくなる。
【0078】
本開示の態様3に係る蓋材は、前記の態様1または2において、前記第1基材には、前記第2基材との接着を可能とする接着剤が塗布されており、前記第2基材には、前記接着剤による前記第1基材と前記第2基材との接着力を低減する剥離調整層が塗布されている。
【0079】
本開示の態様3に係る蓋材は、前記構成を備えることにより、前記第2基材が蓋材の接着対象(例えば、包装体の表面)に接着される場合には、前記第1基材と前記第2基材との間の接着強度を、前記第2基材と包装体との間の接着強度よりも低くできる。これにより、前記第2基材と接着対象とを接着させつつ、前記第1基材を前記第2基材から剥離しやすくできる。
【0080】
本開示の態様4に係る包装体は、物品を収納する包材と、前記包材の表面に位置する、態様1から3の何れかに記載の蓋材と、を有する。
【0081】
本開示の態様4に係る包装体は、プラスチック素材の使用量を低減する、蓋材付きの包装体を提供できる。
【0082】
本開示の態様5に係る包装体は、前記の態様4において、少なくとも前記包材の一部が紙からなり、かつ、前記第1基材が紙からなる。
【0083】
本開示の態様5に係る包装体は、前記第2基材に加え、前記第1基材、及び前記包装体の前記包材の少なくとも一部が紙からなるため、紙のリサイクル割合を高めることができ、かつ、環境負荷を低減できる。
【0084】
本開示の態様6に係る包装体は、前記の態様4または5において、前記第2基材が有する長軸方向における2つの端部のうち、前記第1基材と前記第2基材との剥離の始点となる端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部とし、前記第2基材は、前記第2基材を前記第1端部が位置する第1領域と、前記第2端部が位置する第2領域とに分割する切れ込みを有するとともに、前記第2基材と前記包材との間の接着力を弱める機能領域を、前記第2領域において前記切れ込みに沿って有する。
【0085】
本開示の態様6に係る包装体は、前記第2基材を第1領域と第2領域とに分断する切れ込みが形成されており、前記第2基材の、前記包装体の前記本体と対向する側かつ前記第2領域において、接着力を弱める機能領域が前記切れ込みに沿って位置している。
【0086】
そのため、前記第1基材を前記第2基材から剥離させる開封動作において、前記切れ込みまで剥離させたときに、前記第1基材を前記第2基材から剥離させる動作から、前記第2基材を前記包装体の前記本体表面から剥離させる動作に切り替わる。このとき、前記切れ込みに沿って接着力を弱める機能領域が形成されていることから、前記第2基材と前記包装体の前記本体表面との間の接着力は、低減されており、剥離に要する力は急減する。そのため、開封動作を行っているユーザは、剥離のための力を無意識に弱めることになり、それ以上、前記第1基材および前記第2基材が剥がされる可能性が低減する。その結果、前記第1基材すべてが前記第2基材から剥離される事態を軽減できる。
【0087】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、それぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0088】
1、8 包装体
2 本体
3、5 蓋材
22 取出口
30 第1基材
35 保護層
40、82 第2基材
41a 第1端部
41b 第2端部
50、70 接着層
60 剥離調整層
R1 第1領域
R2 第2領域