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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081479
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】排便予報装置及び排便予報方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240611BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240611BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240611BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H10/00
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195131
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】古川 暁史
(72)【発明者】
【氏名】白木 正孝
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L099AA11
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】被介護者の排便時刻を予測することが可能な排便予報装置を実現する。
【解決手段】排便予報装置(1)は、プロセッサ(11)を備えている。プロセッサ(11)は、被介護者(Ua)に下剤を投与した時刻、及び、下剤を投与する前後に被介護者(Ua)が実施した排便関連行為をユーザ操作に基づいて特定する特定処理と、下剤を投与してから被介護者(Ua)が排便を行うまでの時間を、特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する推定処理と、特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻を、排便予定時刻として介護者に通知するための通知処理と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者に下剤を投与した時刻と、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為、及び、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為の一方又は両方とを特定する特定処理と、
下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を、前記特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する推定処理と、
前記特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻である排便予定時刻の到来を介護者に通知するための通知処理と、を実行する少なくとも1つのプロセッサを備えている、
ことを特徴とする排便予報装置。
【請求項2】
前記推定処理において、前記プロセッサは、複数の排便関連行為の各々、又は、その組合せの各々に関連付けられた複数の時間の中から、前記特定処理において特定された排便関連行為に関連付けられた時間を選択することによって、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の排便予報装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間の履歴を、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為若しくはその組合せごと、又は、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為若しくはその組合せごとに集計することによって、前記複数の時間の何れかを算出して設定する設定処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の排便予報装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記複数の時間の何れかを、ユーザ操作に基づいて設定する設定処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の排便予報装置。
【請求項5】
前記通知処理において、前記プロセッサは、排便予定時刻の到来を介護者に通知するアラームの出力を指示する命令を、当該排便予報装置と通信可能に構成された通知端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の排便予報装置。
【請求項6】
前記通知処理において、前記プロセッサは、排便予定時刻の到来を介護者に通知するアラームを、当該排便予報装置に内蔵された出力装置から出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の排便予報装置。
【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサが、被介護者に下剤を投与した時刻と、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為、及び、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為の一方又は両方とを特定する特定処理と、
前記プロセッサが、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を、前記特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する推定処理と、
前記プロセッサが、前記特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻である排便予定時刻の到来を介護者に通知するための通知処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする排便予報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療/介護施設等において被介護者の排便を予報するための排便予報装置及び排便予報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護サービス又は医療サービスにおいては、被介護者の排泄ケアが重要な業務のひとつとなっている。被介護者の排便を予測し、介護者に通知することが出来れば、介護者の排泄ケアの負担を大幅に軽減することができる。
【0003】
介護者の排泄ケアの負担を軽減するための技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、匂いセンサの出力信号と湿度センサの出力信号とに基づいて、被介護者の排泄を検知し、介護者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-33745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、センサ端末を被介護者に装着するため、被介護者に不快感を与え、場合によってはセンサ端末を外してしまい検知不能となる可能性を有するという問題がある。また、被介護者の排便後に通知をするため、介護者側の準備が整っていないことに起因して、排泄ケアを行うまでに時間を要する可能性がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサ端末を被介護者に装着することなく、排便時刻を介護者に予報することが可能な排便予報装置又は排便予報方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による排便予報装置は、特定処理と推定処理と通知処理とを実行するプロセッサを含んでいる。また、本発明の一態様にかかる排便予報方法は、特定処理と推定処理と通知処理とを含んでいる。ここで特定処理は、プロセッサが、被介護者に下剤を投与した時刻、及び、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為、又は、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為を、ユーザ操作に基づいて特定する処理である。推定処理は、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を前記特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する処理である。通知処理は、前記特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻を排便予定時刻として介護者に通知する処理である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、センサ端末を使用することなく、被介護者の排便予定時刻を推定し、介護者に通知することが可能な排便予報装置又は排便予報方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る排便予報システムの構成を示す模式図である。
図2図1に示す排便予報システムに含まれる排便予報装置の構成を示すブロック図である。
図3図2に示す排便予報装置において実施する排便予報方法の流れを示すフロー図である。
図4】下剤投与情報を入力する画面の一例を示す図である。
図5】通知端末に表示されるアラーム通知画面の一例を示す図である。
図6図3に示す排便予報方法の変形例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(排便予報システムの構成)
排便予報システムSの構成について、図1を参照して説明する。図1は、排便予報システムSの構成を示す模式図である。
【0011】
排便予報システムSは、介護サービス又は医療サービスの提供を目的とする施設において、被介護者Uaの排便予定時刻を推定し、推定した排便予定時刻の到来を介護者Ubに通知するためのシステムである。
【0012】
排便予報システムSは、図1に示すように、排便予報装置1と、通知端末2と、を含んでいる。排便予報装置1は、例えば、管理システムSを使用する施設外に配置される。通知端末2は、例えば、介護者Ubに携帯される。排便予報装置1と通知端末2とは、ネットワーク3を介して通信可能に構成されている。
【0013】
介護者Ubは、被介護者Uaに下剤を投与した時刻T0(以下、「下剤投与時刻T0」とも記載する)、及び、下剤を投与される前に被介護者Uaが実施した排便を誘発する行為(以下、「排便関連行為A」とも記載する)を、通知端末2に入力する。下剤投与時刻T0及び排便関連行為Aが入力されると、通知端末2は、下剤投与時刻T0及び排便関連行為Aを示す下剤投与情報を、排便予報装置1に送信する。排便関連行為Aの具体例としては、入浴、運動、睡眠、食事、マッサージ(例えば、腹部マッサージ)、体位変換、浣腸(例えば、肛門に指を入れて肛門を刺激する行為)、摘便(例えば、直腸に溜まっている便を指で掻き出す行為)等が挙げられる。
【0014】
下剤投与情報を受信すると、排便予報装置1は、下剤投与情報が示す排便関連行為Aに基づき、下剤投与時刻T0から被介護者Uaが排便を行う時刻までの時間ΔTを推定する。また、下剤投与情報が示す下剤投与時刻T0から推定した時間ΔTが経過した時刻T=T0+ΔT(以下、「排便予定時刻T」とも記載する)が到来すると、排便予報装置1は、アラームの出力を指示する命令(以下、「アラーム出力命令」とも記載する)を、通知端末2に送信する。
【0015】
アラーム出力命令を受信すると、通知端末2は、被介護者Uaの排便予定時刻Tが到来したことを介護者Ubに通知するためのアラームを出力する。アラームの出力は、通知端末2に内蔵されたディスプレイからアラーム画面を出力することによって実現してもよいし、通知端末2に内蔵されたスピーカからアラーム音声を出力することによって実現してもよい。また、通知端末2に内蔵されたバイブレータを所定のパターンで振動させることによって、上述したアラームの出力を実現してもよい。通知端末2からアラームが出力されると、介護者Ubは、被介護者Uaの排泄ケアを実施する。
【0016】
なお、本実施形態においては、排便予報装置1として、施設外(例えば、データセンタ)に配置されたワークステーションを想定するが、本発明は、これに限定されない。例えば、施設内に配置されたデスクトップPC(Personal Computer)を排便予報装置1として用いてもよい。また、本実施形態においては、通知端末2として、介護者Ubが携帯するスマートフォンを想定するが、本発明は、これに限定されない。例えば、施設内(例えば、ナースステーション)に配置されたタブレットPC、デスクトップPC、ノートブックPC、又は、本発明の実施において必要となる通信機能及び通知機能を有し、その他の機能を省略した専用端末を通知端末2として用いてもよい。通知端末2として用いることができるこれらの装置が排便予報システムS内に混在していてもよい。
【0017】
また、排便予報装置1の機能と通知端末2の機能との両方を、単一の装置に担わせてもよい。例えば、排便予報装置1が通知端末2の機能を担う場合、アラームを出力するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ、又はバイブレータなど)が排便予報装置1に内蔵されることになる。この場合、排便予報装置1は、排便予報装置1に内蔵された出力装置を用いて、被介護者Uaの排便予定時刻Tが到来したことを介護者Ubに通知するためのアラームを出力する。
【0018】
(排便予報装置の構成)
排便予報装置1の構成について、図2を参照して説明する。図2は、排便予報装置1の構成を示すブロック図である。
【0019】
排便予報装置1は、図2に示すように、プロセッサ11と、一次メモリ12と、二次メモリ13と、入出力インタフェース14と、通信インタフェース15と、バス16と、を備えている。プロセッサ11、一次メモリ12、二次メモリ13、入出力インタフェース14、及び通信インタフェース15は、バス16を介して相互に接続されている。排便予報装置1として利用可能なデバイスは、例えば、クラウドサーバを構成するワークステーションを挙げることができる。
【0020】
二次メモリ13には、排便予報プログラムPが格納されている。プロセッサ11は、二次メモリ13に格納されている排便予報プログラムPを一次メモリ12上に展開する。そして、プロセッサ11は、一次メモリ12上に展開された排便予報プログラムPに含まれる命令に従って、後述する排便予報方法M1に含まれる各処理を実行する。プロセッサ11として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、一次メモリ12として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。また、二次メモリ13として利用可能なデバイスとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を挙げることができる。
【0021】
入出力インタフェース14は、排便予報装置1に下剤投与情報を入力するための入力装置、及び排便予報装置1が排便予報アラートを出力するための出力装置を排便予報装置1と接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース14として利用可能なデバイスのとしては、例えば、シリアルインタフェースを挙げることができる。また、入力装置として利用可能なデバイスとしては、例えば、キーボードを挙げることができ、出力装置として利用可能なデバイスとしては、例えば、ディスプレイを挙げることができる。
【0022】
通信インタフェース15は、ネットワーク3を介して通知端末2と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース15として利用可能なデバイスとしては、例えば、イーサネット(登録商標)インタフェースを挙げることができる。また、利用可能なネットワークとしては、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)、又は、これらのネットワークを含むインターネットワークを挙げることができる。インターネットワークは、イントラネットであってもよいし、エクストラネットであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0023】
なお、プロセッサ11に排便予報方法M1を実行させるための排便予報プログラムPは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録され得る。この記録媒体は、二次メモリ13であってもよいし、その他の記録媒体であってもよい。例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などが、その他の記録媒体として利用可能である。
【0024】
(排便予報方法の流れ)
排便予報装置1が実施する排便予報方法M1について、図3を参照して説明する。図3は、排便予報方法M1の流れを示すフロー図である。
【0025】
排便予報方法M1は、図3に示すように、特定処理M11と、推定処理M12と、通知処理M13と、を含んでいる。これらの処理は、排便予報装置1が下剤投与情報を通知端末2から受信する度に実施される。ここで、下剤投与情報とは、上述したとおり、被介護者Uaに下剤を投与した時刻T0、及び、下剤を投与される前に被介護者Uaが実施した排便関連行為Aを示す情報である。
【0026】
特定処理M11は、被介護者Uaに下剤を投与した時刻T0及び下剤を投与する前に被介護者Uaが実施した排便関連行為を特定するための処理である。特定処理M11において、排便予報装置1のプロセッサ11は、通知端末2から受信した下剤投与情報に基づいて、被介護者Uaに下剤を投与した時刻T0及び下剤を投与する前に被介護者Uaが実施した排便関連行為Aを特定する。
【0027】
推定処理M12は、被介護者Uaに下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間ΔTを推定するための処理である。推定処理M12において、排便予報装置1のプロセッサ11は、特定処理M11において特定された排便関連行為Aに基づいて、被介護者Uaに下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間ΔTを推定する。特定処理M11にて特定した時刻T0から推定処理M12にて推定した時間ΔTが経過した時刻T0+ΔTが被介護者Uaの排便予定時刻Tである。
【0028】
なお、時間ΔTの推定は、例えば、複数の排便関連行為A1,A2,…,Anの各々に関連付けられた時間ΔT1,ΔT2,…,ΔTnの中から、特定処理M11において特定された排便関連行為A=Aiに関連付けられた時間ΔT=ΔTiを選択することによって実現される。例えば、排便関連行為A入浴に時間ΔT入浴が関連付けられ、排便関連行為A運動に時間ΔT運動が関連付けられているとする。この場合、特定処理M11において特定された排便関連行為AがA入浴であれば、推定処理M12において推定される時間ΔTは時間ΔT入浴になる。また、特定処理M11において特定された排便関連行為AがA運動であれば、推定処理M12において推定される時間ΔTは時間ΔT運動になる。
【0029】
被介護者Uaの排便予定時刻Tが到来すると、通知処理M13が実行される。通知処理M13は、被介護者Uaの排便予定時刻の到来を介護者Ubに通知するための処理である。通知処理M13において、排便予報装置1のプロセッサは、アラーム出力命令を通知端末2に送信する。ここで、アラーム出力命令とは、上述したとおり、被介護者Uaの排便予定時刻Tの到来を介護者Ubに通知するためのアラームの出力を、通知端末2に指示する命令である。
【0030】
(設定処理)
排便予報装置1において、各排便関連行為Aiに関連付ける時間ΔTi(下剤を投与されてから排便を行うまでの時間)を設定するための処理(以下、「設定処理」と記載する)の具体例について説明する。設定処理は、上述した排便予報方法M1を実施する前に、排便予報装置1のプロセッサ11により実施される。
【0031】
<設定処理の具体例1>
本具体例に係る設定処理において、排便予報装置1のプロセッサ11は、下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間ΔTの履歴を、下剤を投与する前に被介護者Uaが実施した排便関連行為Aごとに集計することによって、各排便関連行為Aiに関連付ける時間ΔTiを算出する。例えば、排便予報装置1のプロセッサ11は、下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間ΔTの履歴から、入浴後に下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間を抽出する。そして、排便予報装置1のプロセッサ11は、抽出した時間の代表値を取ることによって、排便関連行為A入浴に関連付ける時間ΔT入浴を算出する。また、排便予報装置1のプロセッサ11は、下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間ΔTの履歴から、運動及び入浴を行った後に下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間を抽出する。そして、排便予報装置1のプロセッサ11は、抽出した時間の代表値を取ることによって、排便関連行為A運動と排便関連行為A入浴との組合せに関連付ける時間ΔT運動・入浴を算出する。代表値の具体例としては、平均値、最頻値、中央値等が挙げられる。
【0032】
なお、排便関連行為A1~Anに関連付ける時間ΔT1~ΔTnの全てを本具体例に係る設定処理により設定する必要はない。排便関連行為A1~Anに関連付ける時間ΔT1~ΔTnの少なくとも何れか1つを本具体例に係る設定処理により設定し、残りを他の設定処理(例えば、後述する具体例2に係る設定処理)により設定してもよい。
【0033】
<設定処理の具体例2>
本具体例に係る設定処理において、排便予報装置1のプロセッサ11は、各排便関連行為Aiに関連付けるΔTiを、ユーザ操作に基づいて設定する。例えば、介護者Ubは、入浴後に下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間(介護者Ubの経験に基づき介護者Ubが決定した時間)を入力するためのユーザ操作を行う。そして、排便予報装置1のプロセッサ11は、排便関連行為A入浴に関連付ける時間ΔT入浴を、介護者Ubにより入力された時間に設定する。また、介護者Ubは、運動後に下剤を投与してから被介護者Uaが排便を行うまでの時間(介護者Ubの経験に基づき介護者Ubが決定した時間)を入力するためのユーザ操作を行う。そして、排便予報装置1のプロセッサ11は、排便関連行為A運動に関連付ける時間ΔT運動を、介護者Ubにより入力された時間に設定する。
【0034】
なお、排便関連行為A1~Anに関連付ける時間ΔT1~ΔTnの全てを本具体例に係る設定処理により設定する必要はない。排便関連行為A1~Anに関連付ける時間ΔT1~ΔTnの少なくとも何れか1つを本具体例に係る設定処理により設定し、残りを他の設定処理(例えば、前述した具体例1に係る設定処理)により設定してもよい。
【0035】
(入力画面の具体例)
下剤投与情報を介護者Ubに入力させるために通知端末2のディスプレイに表示される入力画面の具体例について、図4を参照して説明する。図4は、入力画面の一具体例を示す図である。
【0036】
図4に示すように、入力画面には、排便関連行為ボタンと、下剤投与ボタンと、登録ボタンと、が表示される。図4に示す具体例においては、入浴ボタン、運動ボタン、睡眠ボタン、及び食事ボタンの各々が排便関連行為ボタンに該当する。
【0037】
介護者Ubは、被介護者Uaに下剤を投与したときに、排便関連行為ボタンと下剤投与ボタンとをタップし、最後に登録ボタンをタップする。登録ボタンがタップされると、通知端末2は、下剤投与情報を生成し、生成した下剤投与情報を排便予報装置1に送信する。この場合、下剤投与情報が表す下剤投与時刻T0は、介護者Ubが下剤投与ボタンをタップした時刻になる。また、下剤投与情報が表す排便関連行為Aは、介護者Ubがタップした排便関連行為ボタンに対応する排便関連行為になる。例えば、介護者Ubが入浴ボタンをタップした場合、下剤投与情報が表す排便関連行為Aは入浴になり、介護者Ubが運動ボタンをタップした場合、下剤投与情報が表す排便関連行為Aは運動になる。
【0038】
(アラーム画面の具体例)
排便予定時刻Tの到来を介護者Ubに通知するために通知端末2のディスプレイに表示されるアラーム画面の具体例について、図5を参照して説明する。図5は、アラーム画面の一具体例を示す図である。
【0039】
図5に示すように、アラーム画面には、被介護者Uaの排便予定時刻Tが到来したことを示し、介護者Ubに排泄ケアの実施を促すメッセージと、排便ありボタンと、排便なしボタンと、が表示される。
【0040】
排泄ケアを実施した介護者Ubは、被介護者Uaの排便が行われていた場合には、排便ありボタンをタップし、被介護者Uaの排便が行われていない場合には、排便なしボタンをタップする。通知端末2は、排便ありボタン又は排便なしボタンの何れがタップされたかを、排便予報装置1に通知する。排便予報装置1は、この通知に基づき、排便予定時刻Tの推定の正誤を判断する。そして、排便予定時刻Tの推定が誤っていた場合(すなわち、排便なしボタンがタップされた場合)、その推定の基礎となる排便関連行為Aiに対応する時間ΔTiを補正する(例えば、時間ΔTiを長くする)。
【0041】
(排便予報方法の変形例1)
排便予報装置1が実施する排便予報方法M1の変形例(以下、「排便予報方法M2」と記載する)について、図6を参照して説明する。図6は、排便予報方法M2の流れを示すフロー図である。
【0042】
排便予報方法M2は、被介護者Uaが下剤を投与した後に排便関連行為Bを実施した場合に、推定処理M12において推定した時間ΔTを補正する処理を、排便予報方法M1に追加したものである。図6に示す処理のうち、補正処理M21が、推定処理M12において推定した時間ΔTを補正する処理に該当する。排便関連行為Bの具体例としては、排便関連行為Aと同様の入浴、運動、睡眠、食事、マッサージ、体位変換、浣腸、摘便等に加えて追加の下剤投与が挙げられる。
【0043】
被介護者Uaが下剤を投与した後に排便関連行為Bを実施した場合、通知端末2は、排便関連行為Bを表す排便関連行為情報を排便予報装置1に送信する。排便関連行為情報を受信した場合、排便予報装置1のプロセッサ11は、排便関連行為情報が表す排便関連行為Bに応じて、推定処理M12において推定した時間ΔTをΔT’に補正する。この場合、特定処理M11にて特定した時刻T0から補正処理M21にて補正した時間ΔT’が経過した時刻T0+ΔT’が被介護者Uaの排便予定時刻Tになる。被介護者Uaの排便予定時刻Tが到来すると、通知処理M13が実行される。
【0044】
なお、補正処理M21における補正方法は、特に限定されないが、例えば、次のように実現される。すなわち、下剤投与後に実施される排便関連行為B1,B2,…,Bnの各々に正又は負の補正量τ1,τ2,…,τnを予め関連付けておく。そして、補正量τ1,τ2,…,τnの中から、排便関連行為情報が表す排便関連行為B=Biに関連付けられた補正量τiを選択し、選択した補正量τiを推定処理M12において推定した時間ΔTに加算する。これにより、補正後の時間ΔT’=ΔT+τiが得られる。
【0045】
(排便予報方法の変形例2)
図3に示す排便予報方法M1においては、下剤投与前に被介護者Uaが実施した排便関連行為Aのみに基づいて、下剤投与から排便までの時間ΔTが推定される。また、図6に示す排便予報方法M2においては、下剤投与前に被介護者Uaが実施した排便関連行為A及び下剤投与後に被介護者Uaが実施した排便関連行為Bの両方に基づいて、下剤投与から排便までの時間ΔT’が推定される。ただし、本発明に係る排便予報方法は、これらに限定されない。
【0046】
すなわち、下剤投与後に被介護者Uaが実施した排便関連行為Bのみに基づいて、下剤投与から排便までの時間ΔT”が推定されてもよい。この場合、通知端末2は、排便関連行為Bが行われた時点で、下剤投与時刻T0及び排便関連行為Bを表す下剤投与情報を排便予報装置1に送信する。そして、排便予報装置1は、下剤投与情報を受信した時点で、特定処理M11及び推定処理M12を実施する。下剤投与後に被介護者Uaが実施した排便関連行為Bに基づいて時間ΔT”を推定する方法は、下剤投与前に被介護者Uaが実施した排便関連行為Aに基づいて時間Tを推定する方法と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
【0047】
(まとめ)
本実施形態の態様1に係る排便予報装置は、被介護者に下剤を投与した時刻と、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為、及び、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為の一方又は両方とを特定する特定処理と、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を、前記特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する推定処理と、前記特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻である排便予定時刻の到来を介護者に通知するための通知処理と、を実行する少なくとも1つのプロセッサを備えている。
【0048】
上記の構成により、センサ端末等を被介護者に装着することなく、排便予定時刻を推定し、介護者に通知することができる。これにより、介護者は、被介護者の排泄ケアを迅速に行うことができる。
【0049】
本実施形態の態様2に係る排便予報装置は、上記態様1において、前記推定処理において、前記プロセッサは、複数の排便関連行為の各々、又は、その組合せの各々に関連付けられた複数の時間の中から、前記特定処理において特定された排便関連行為に関連付けられた時間を選択することによって、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を推定する。
【0050】
上記の構成により、被介護者が実施した排便関連行為に対応する排便予定時刻を推定することができる。これにより、より高い精度での推定が可能である。
【0051】
本実施形態の態様3に係る排便予報装置は、上記態様1又は2において、前記プロセッサは、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間の履歴を、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為若しくはその組合せごと、又は、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為若しくはその組合せごとに集計することによって、前記複数の時間の何れかを算出して設定する設定処理を更に実行する。
【0052】
上記の構成により、履歴情報の分析に基づいて被介護者の排便予定時刻を推定することができる。これにより、より高い精度での推定が可能である。
【0053】
本実施形態の態様4に係る排便予報装置は、上記態様1~3の何れか1つにおいて、前記プロセッサは、前記複数の時間の何れかを、ユーザ操作に基づいて設定する設定処理を更に実行する。
【0054】
上記の構成により、介護者の知見に基づいて被介護者の排便予定時刻を推定することができる。これにより、より高い精度での推定が可能である。
【0055】
本実施形態の態様5に係る排便予報装置は、上記の態様1~4の何れか1つにおいて、前記通知処理において、前記プロセッサは、排便予定時刻の到来を介護者に通知するアラームの出力を指示する命令を、当該排便予報装置と通信可能に構成された通知端末に送信する。
【0056】
上記の構成により、1つの排便予報装置に対して通信可能な通知端末の数を調整することが容易であるため、各施設及び介護者の状況に合わせた排便予報をすることができる。これにより、業務を効率化し、介護者の負担を軽減することができる。
【0057】
本実施形態の態様6に係る排便予報装置は、上記の態様1~5の何れか1つにおいて、前記通知処理において、前記プロセッサは、排便予定時刻の到来を介護者に通知するアラームを、当該排便予報装置に内蔵された出力装置から出力する。
【0058】
上記の構成により、1つ排便予報装置にて排便予報を完結することができる。これにより、施設への導入コストを削減しつつ、業務の効率化を図ることができる。
【0059】
本実施形態の態様7に係る排便予報方法は、少なくとも1つのプロセッサが、被介護者に下剤を投与した時刻と、下剤を投与する前に前記被介護者が実施した排便関連行為、及び、下剤を投与した後に前記被介護者が実施した排便関連行為の一方又は両方とを特定する特定処理と、前記プロセッサが、下剤を投与してから前記被介護者が排便を行うまでの時間を、前記特定処理にて特定した排便関連行為に基づいて推定する推定処理と、前記プロセッサが、前記特定処理にて特定した時刻から前記推定処理にて推定した時間が経過した時刻である排便予定時刻の到来を介護者に通知するための通知処理と、を含んでいる。
【0060】
上記の構成により、態様1と同様の効果を奏する。
【0061】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 排便予報装置
2 通知端末
11 プロセッサ
12 一次メモリ
13 二次メモリ
14 入出力インタフェース
15 通信インタフェース
16 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6