(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081482
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240611BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240611BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H05K5/00 A
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195134
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
(72)【発明者】
【氏名】上山 基希
(72)【発明者】
【氏名】榊原 彰人
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【テーマコード(参考)】
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB06
4E360AB13
4E360AB33
4E360AB64
4E360CA02
4E360EA05
4E360EA24
4E360EB02
4E360ED02
4E360GA29
4E360GB28
4E360GC08
5K023AA05
5K023BB25
5K023EE05
5K023LL06
(57)【要約】
【課題】マイク部から本体ケース内へ水が浸入する事態を従来よりも確実に抑制することができるインターホン機器を提供する。
【解決手段】化粧カバー4に開設されたカバーマイク孔11と、前ケース2に開設されたケースマイク孔12とが正面視で左右にずれていて、カバーマイク孔11内にケースマイク孔12が露出しないようになっている。したがって、化粧カバー4の外側からケースマイク孔12を介して本体ケース内へ水が浸入する事態を効果的に防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前ケースと後ケースとを組み付けてなる本体ケースと、前記本体ケースの前方を覆うように組み付けられる化粧カバーとを有するとともに、前記本体ケース内にマイクが設置されてなるインターホン機器であって、
前記化粧カバーに開設されたカバーマイク孔と、前記前ケースに開設されたケースマイク孔とが正面視でずれていて、前記カバーマイク孔内に前記ケースマイク孔が露出しないことを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記本体ケースの前面に、前記本体ケースと前記化粧カバーとの間を埋めるパッキンが取り付けられているとともに、
前記パッキンにより、前記カバーマイク孔及び前記ケースマイク孔の上側及び左右両側が囲まれていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば来訪者が居住者と通話するためのマイク部を備えたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般的なインターホン機器には、たとえば来訪者と居住者との間で通話するためのマイク部が設けられている。そして、特に屋外に設置されるインターホン子機のようなインターホン機器では、マイク部から本体ケース内への水の浸入が課題となっている。そのため、マイク部に水の浸入を抑制するための構造を備えてなるインターホン機器が考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターホン機器において、マイク部からの水の浸入抑制は依然として解決すべき課題となっており、更に効果的な浸入抑制構造が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、マイク部から本体ケース内へ水が浸入する事態を従来よりも確実に抑制することができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前ケースと後ケースとを組み付けてなる本体ケースと、本体ケースの前方を覆うように組み付けられる化粧カバーとを有するとともに、本体ケース内にマイクが設置されてなるインターホン機器であって、化粧カバーに開設されたカバーマイク孔と、前ケースに開設されたケースマイク孔とが正面視でずれていて、カバーマイク孔内にケースマイク孔が露出しないことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、本体ケースの前面に、本体ケースと化粧カバーとの間を埋めるパッキンが取り付けられているとともに、パッキンにより、カバーマイク孔及びケースマイク孔の上側及び左右両側が囲まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、化粧カバーに開設されたカバーマイク孔と、前ケースに開設されたケースマイク孔とが正面視でずれていて、カバーマイク孔内にケースマイク孔が露出しないようになっている。したがって、化粧カバーの外側からケースマイク孔を介して本体ケース内へ水が浸入する事態を効果的に防止することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、本体ケースの前面に、本体ケースと化粧カバーとの間を埋めるパッキンをが取り付るとともに、パッキンにより、カバーマイク孔及びケースマイク孔の上側及び左右両側を囲んでいるため、化粧カバーの外側から本体ケース内へ水が浸入する事態を一層効果的に防止することができるとともに、カバーマイク孔及びケースマイク孔から下方への排水は阻害されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】インターホン子機を正面から示した説明図である。
【
図2】化粧カバーが取り外された状態を正面から示した説明図である。
【
図3】分解状態にあるインターホン子機の斜視説明図である。
【
図4】前ケースを前側から示した斜視説明図である。
【
図5】前ケースを後側から示した斜視説明図である。
【
図6】マイク及びマイク基板を前側から示した斜視説明図である。
【
図7】マイク及びマイク基板を後側から示した斜視説明図である。
【
図8】
図1中のA-A線断面におけるマイク部近傍を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン子機1を正面から示した説明図である。
図2は、化粧カバー4が取り外された状態を正面から示した説明図である。
図3は、分解状態にあるインターホン子機1の斜視説明図である。
図4は、前ケース2を前側から示した斜視説明図である。
図5は、前ケース2を後側から示した斜視説明図である。
図6は、マイク17及びマイク基板16を前側から示した斜視説明図である。
図7は、マイク17及びマイク基板16を後側から示した斜視説明図である。
図8は、
図1中のA-A線断面におけるマイク部10近傍を拡大して示した説明図である。
【0011】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2及び後側に配置される後ケース3を組み付けた本体ケースと、その本体ケースを前方から覆うように組み付けられた化粧カバー4とを有してなる。また、インターホン子機1の前面上部には、インターホン子機1の前方を撮像するためのカメラ部5が設けられている。さらに、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の右側には、通話のためのマイク部10が設けられている。加えて、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の下側には、居住者の氏名等を表示可能であるとともに通話のためのスピーカ部としての機能や夜間照明としての機能をも兼ね備えたネーム表示部7と、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン8とが設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン8が操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラ部5を作動させて来訪者等を含んだインターホン子機1前方の映像を撮像する。また、インターホン親機において応答ボタンが操作される等の応答操作がなされると、マイク部10及びスピーカ部を作動させ、インターホン親機との間で通話可能な状態とする。
【0012】
ここで、本発明の要部となるマイク部10について説明する。
化粧カバー4は、前ケース2の前方を覆うカバー前板4aを有しており、カバー前板4aの前面上部で右寄りとなる箇所に、マイク部10を構成する要素の一つであるカバーマイク孔11が開設されている。該カバーマイク孔11は、上下方向に長い長孔状に成形されている。
【0013】
また、上記カバー前板4aにより覆われる前ケース2のケース前板2aの前面には、マイク部10を構成する要素の一つであるケースマイク孔12と排水溝13とが設けられている。ケースマイク孔12は、前ケース2に化粧カバー4を取り付けた際、カバーマイク孔11よりも右側となる位置に開設されており、カバーマイク孔11と前後で重ならないようになっている。排水溝13は、ケースマイク孔12に溜まろうとする水滴を下方へ排水するためのものである。該排水溝13は、後側へ凹んだ凹部とされ、ケースマイク孔12から鉛直下方へ延びており、ケースマイク孔12同様、カバーマイク孔11と前後で重ならないようになっている。また、排水溝13の前後方向の深さは、ケースマイク孔12から下方へ向かって徐々に浅くなっている。すなわち、排水溝13の背面は、下方へ向かって徐々に前方へせり出す傾斜面とされている。
【0014】
さらに、ケース前板2aの前面には、パッキン30が貼着されている。パッキン30は、左側辺部、上辺部、及び右側辺部を有して下方に開口する正面視門形に成形され、ケースマイク孔12及び排水溝13の上側と左右両側とを囲んでいる。また、化粧カバー4を前ケース2に組み付けると、カバーマイク孔11についてもパッキン30により囲まれた(すなわち、カバーマイク孔11の左側にパッキン30の左側辺部が、上側にパッキン30の上辺部が夫々位置した)状態で、パッキン30が前ケース2と化粧カバー4との間を埋めるようになっている。したがって、パッキン30は、マイク部10へ上側及び左右両側から水が浸入する事態を防ぐとともに、ケースマイク孔12及び排水溝13からの排水を阻害しないようになっている。また、後述するようなマイク17への音声伝達についても阻害しない。
【0015】
さらに、本体ケース内には、前面にマイク17が搭載されたマイク基板16がマイク部10を構成する要素の一つとして設置されている。また、マイク17には、マイク部10を構成する要素の一つであるマイクキャップ15が取り付けられている。マイクキャップ15は、マイク17が収納されるキャップ部18と、キャップ部18から外側へ張り出す防水片19と、マイク基板16を貫通可能な位置決め突起20とを一体的に備えてなる合成樹脂製の部材である。
【0016】
キャップ部18は、前後の両端面が上下方向へ長い長円状に成形されたブロック体の後面に前方へ凹んだ凹部が設けられてなり、該凹部内にマイク17を収納可能となっている。また、キャップ部18の前面には、キャップマイク孔21と集音溝22とが設けられている。キャップマイク孔21は、キャップ部18の前面上寄りとなる箇所に開設されており、マイク17が収納される凹部内に連通している。また、集音溝22は、外部からマイク17へ音声を伝えるための空間で、後側へ凹んだ凹部とされ、キャップマイク孔21からキャップ部18の前面下端にかけて延設されている。一方、防水片19は、キャップ部18の後端の外周縁に沿って周設されており、キャップ部18の中心から放射方向外側へ鍔状に突出している。また、位置決め突起20は、キャップ部18よりも下側において防水片19の後面から後方へ突設されており、マイク基板16に穿設されている位置決め孔23に挿通可能となっている。なお、24は、マイク基板16を前ケース2のケース前板2a後面にネジ止めするためのネジ止め部である。また、マイク基板9は、図示しないケーブルを介して、インターホン子機1の主たる動作(インターホン親機との間での通話や映像の送信に係る動作)を制御するメイン基板29と接続されている。
【0017】
加えて、前ケース2のケース前板2a後面には、マイク部10を構成する要素の一つであるマイク保持筒14が後方へ突設されている。マイク保持筒14は、マイクキャップ15のキャップ部18と同じ上下方向へ長い長円筒状に成形され、キャップ部18の外周面を自身の内面に近接させた状態でキャップ部18を挿入可能となっている。また、マイク保持筒14内の下端にケースマイク孔12が位置しており、マイク保持筒14にキャップ部18を挿入した際、集音溝22の正面にケースマイク孔12が位置するようになっている。なお、ケース前板2a後面におけるマイク保持筒14の近傍には、マイク基板16をネジ止めするための固定ボス28、28が設けられている。
【0018】
そして、上述したようなマイク部10の組み立てに関しては、まずマイク17にマイクキャップ15を取り付ける。このとき位置決め突起20を位置決め孔23に挿通させれば、自動的にマイク17がキャップ部18に収納される。また、マイクキャップ15を取り付けると、防水片19の後面がマイク基板16の表面に当接した状態となる。次に、前ケース2の後方からキャップ部18をマイク保持筒14に挿入するとともに、その状態のままマイク基板16を固定ボス28、28にネジ止めする。すると、防水片19の前面がマイク保持筒14の後端に押し当てられ、防水片19がマイク保持筒14とマイク基板16とにより前後から挟持された格好となる。最後に、後ケース3を組み付けてて本体ケースを組み立てるとともにケース前板2aの前面にパッキン30を貼着した上で、化粧カバー4を組み付ければ、マイク部10の組み立ては完了となる。
【0019】
そして、このように組み立てられたマイク部10では、カバーマイク孔11とケースマイク孔12とが正面視で左右にずれており、カバーマイク孔11内にケースマイク孔12が露出していない。また、ケースマイク孔12とキャップマイク孔21とが正面視で上下にずれており、ケースマイク孔12内にキャップマイク孔21が露出していない。また、来訪者等の音声は、カバーマイク孔11からパッキン30により囲まれた空間、ケースマイク孔12、集音溝22、キャップマイク孔21を通って、キャップ部18内のマイク17に到達する。
【0020】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、マイク17に、マイク17を収納するキャップ部18と、キャップ部18から外側へ突出する鍔状の防水片19とを備えた合成樹脂製のマイクキャップ15を取り付け、キャップ部18にキャップマイク孔21を開設する一方、前ケース2のケース前板2aに、ケースマイク孔12を開設し、ケース前板2aの後面に、ケースマイク孔12を囲む筒状のマイク保持筒14を後方へ突設するとともに、マイク基板16が固定される固定ボス28、28を設けた。そして、キャップ部18をマイク保持筒14に挿入した状態でマイク基板16を固定ボス28、28に固定することにより、防水片19が、マイク保持筒14の後端とマイク基板16の表面とにより前後から挟持されるようにした。したがって、ケースマイク孔12から本体ケース内、特にマイク保持筒14外へ水が浸入する事態を効果的に防止することができる。また、マイク保持筒14にキャップ部18を挿入するとともにマイク基板16を固定するだけで防水効果を期待することができるため、従来のようにシート部材を挟み込む必要がなく、組み立て作業性も良い。
【0021】
また、化粧カバー4に開設されたカバーマイク孔11と、ケース前板2aに開設されたケースマイク孔12とが正面視で左右にずれており、カバーマイク孔11内にケースマイク孔12が露出していない。加えて、ケースマイク孔12とキャップ部18の前面に開設されたキャップマイク孔21とが正面視で上下にずれており、ケースマイク孔12内にキャップマイク孔21が露出していない。したがって、マイク17まで水が到達してしまう事態を確実に防止することができ、極めて防水性の高いインターホン子機1とすることができる。
【0022】
さらに、ケース前板2aの前面に、左側辺部、上辺部、及び右側辺部を有して下方に開口する正面視門形に成形され、前ケース2と化粧カバー4と間を埋めた状態でカバーマイク孔11、ケースマイク孔12、及び排水溝13の上側と左右両側とを囲むパッキン30が貼着されている。したがって、ケースマイク孔12から本体ケース内へ水が浸入する事態を効果的に防ぐことができるとともに、カバーマイク孔11、ケースマイク孔12、及び排水溝13から下方への排水については阻害されない。
【0023】
加えて、キャップ部18の前面に、キャップマイク孔21から所定方向へ延びる凹状の集音溝22を設けるとともに、マイク保持筒14にキャップ部18を挿入した際、集音溝22の正面にケースマイク孔12が位置するようにしている。したがって、来訪者等の音声をケースマイク孔12から集音溝22、キャップマイク孔21を介してマイク17へと効率良く到達させることができる。
【0024】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、マイク部の防水に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
たとえば、上記実施形態では、カバーマイク孔とケースマイク孔とを正面視で左右にずらしているが、カバーマイク孔の上方にケースマイク孔を開設する等のように正面視で上下にずらすことも可能であり、カバーマイク孔とケースマイク孔とをどのようにずらすかについては適宜設計変更可能である。
また、同様に、ケースマイク孔とキャップマイク孔とを正面視で上下にずらすのではなく、左右にずらすように構成してもよく、ケースマイク孔とキャップマイク孔とをどのようにずらすかについても適宜設計変更可能であるし、そもそもケースマイク孔内にキャップマイク孔が露出するように構成してもよい。
【0026】
さらに、パッキンの有無やマイクキャップにおける集音溝の有無等については、言うまでもなく適宜設計変更可能である。
加えて、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、本発明は、マイク部さえ備えていれば、インターホン親機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、4・・化粧カバー、10・・マイク部、11・・カバーマイク孔、12・・ケースマイク孔、13・・排水溝、14・・マイク保持筒、15・・マイクキャップ、16・・マイク基板、17・・マイク、18・・キャップ部、19・・防水片、20・・位置決め突起、21・・キャップマイク孔、22・・集音溝、23・・位置決め孔、24・・ネジ止め部、28・・固定ボス、30・・パッキン。