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特開2024-815半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000815
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20231226BHJP
   H10B 43/50 20230101ALI20231226BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231226BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231226BHJP
   H10B 43/40 20230101ALI20231226BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11575
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/11573
H01L27/00 301B
H01L27/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099738
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 裕子
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC03
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】複数の構成同士の接触を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体と、積層体の積層方向と積層方向に交差する第1の方向とに沿って延び、積層方向と第1の方向とに交差する第2の方向に積層体の少なくとも一部を分割する板状部と、積層体の少なくとも一部を貫通し、積層方向に沿って延びるピラーと、を備え、板状部は、積層体の積層方向の一端側から一端側の反対方向である他端側へと向かって第1の方向における第1の幅が小さくなるテーパ部分を有しており、ピラーは、一端側から他端側へと向かって第1の方向における第2の幅が大きくなるテーパ部分を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに沿って延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体の少なくとも一部を分割する板状部と、
前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向に沿って延びるピラーと、を備え、
前記板状部は、
前記積層体の前記積層方向の一端側から前記一端側の反対方向である他端側へと向かって前記第1の方向における第1の幅が小さくなるテーパ部分を有しており、
前記ピラーは、
前記一端側から前記他端側へと向かって前記第1の方向における第2の幅が大きくなるテーパ部分を有している、
半導体記憶装置。
【請求項2】
複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに沿って延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体の少なくとも一部を分割する板状部と、
前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向に沿って延びるピラーと、を備え、
前記積層体は、
前記積層体の前記積層方向の一端側に配置された第1の積層体と、
前記第1の積層体よりも前記積層体の前記一端側の反対方向である他端側に配置された第2の積層体と、を有し、
前記板状部は、
前記一端側から前記他端側へと向かって前記第1の方向における第1の幅が小さくなる第1のテーパ部分を有しており、
前記ピラーは、
前記第1の積層体を前記積層方向に延び、前記一端側から前記他端側へと向かって前記第1の方向における第3の幅が大きくなる第2のテーパ部分を有する第1のピラーと、
前記第2の積層体を前記積層方向に延び、前記一端側から前記他端側へと向かって前記第1の方向における第4の幅が大きくなる第3のテーパ部分を有する第2のピラーと、を有する、
半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ピラーは、
前記複数の導電層とのそれぞれの交差部にメモリセルが形成されるメモリピラーである、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記他端側に、トランジスタを含む周辺回路を更に備える、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに沿って延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体の少なくとも一部を分割する板状部と、
前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向に沿って延びるピラーと、を備え、
前記板状部は、
前記第1の方向における第1の幅がテーパ形状となる第1のテーパ部分を有し、
前記ピラーの少なくとも一部は、
前記第1の方向における第2の幅がテーパ形状となる第2のテーパ部分を有し、
前記第1のテーパ部分と前記第2のテーパ部分とは、テーパの向きが逆である、
半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1のテーパ部分は、
前記積層体の前記積層方向の一端側から前記一端側の反対方向である他端側に向かって、前記第1の幅がテーパ形状となり、
前記第2のテーパ部分は、
前記他端側から前記一端側に向かって、前記第2の幅がテーパ形状となる
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体を形成し、
前記積層体の積層方向の一端側から前記積層体を加工して、前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向に沿って延びるピラーを形成し、
前記積層方向の他端側から前記積層体を加工して、前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに沿って延びる板状部を形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記積層体を形成するときは、
前記複数の第1及び第2の絶縁層を第1の基板の上方に積層し、
前記ピラーを形成するときは、
前記第1の基板で前記積層体を支持しつつ、前記積層体の上面である前記一端側から前記積層体を加工し、
前記板状部を形成するときは、
前記積層体の前記一端側を第2の基板に貼り合わせ、前記第2の基板で前記積層体を支持しつつ、前記積層体の上面である前記他端側から前記積層体を加工する、
請求項7に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記積層体の上面である前記一端側と、トランジスタを含む周辺回路が形成された前記第2の基板とを前記周辺回路を介して貼り合わせ、
前記第2の基板側から離れた側に位置する前記他端側から板状部を形成する、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体中に3次元にメモリセルを形成するために、様々な構成が高密度に配置される。このため、これらの構成が互いに接触し、半導体記憶装置の特性に悪影響を及ぼしてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-246554号公報
【特許文献2】特開2011-151138号公報
【特許文献3】特開2022-040975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、複数の構成同士の接触を抑制することができる半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体と、前記積層体の積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに沿って延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体の少なくとも一部を分割する板状部と、前記積層体の少なくとも一部を貫通し、前記積層方向に沿って延びるピラーと、を備え、前記板状部は、前記積層体の前記積層方向の一端側から前記一端側の反対方向である他端側へと向かって前記第1の方向における第1の幅が小さくなるテーパ部分を有しており、前記ピラーは、前記一端側から前記他端側へと向かって前記第1の方向における第2の幅が大きくなるテーパ部分を有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示すX方向に沿う断面図。
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図6】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図8】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図9】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図10】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図11】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図12】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図13】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図14】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図15】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図16】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示すX方向に沿う断面図である。ただし、図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0009】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、後述するワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、後述するワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0010】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、半導体基板SBの上方に、周辺回路CBA、複数のワード線WL、ソース線SL、及び導電層20をこの順に備える。なお、半導体記憶装置1の構成例の説明においては、半導体基板SBが配置される側を半導体記憶装置1の下方側とする。
【0011】
半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。周辺回路CBAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。
【0012】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われている。絶縁層40の上方には複数のワード線WLが積層されている。複数のワード線WLは絶縁層50を介して周辺回路CBAを覆う絶縁層40と接合されている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。複数のワード線WLの中央部にはメモリ領域MRが配置され、X方向両端部には階段領域SRが配置されている。
【0013】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部にはメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0014】
階段領域SRでは、複数のワード線WLのX方向両端部が階段状に加工されている。これにより、複数のワード線WLのX方向両端部は、ソース線SLへと向かうにつれて広がっていく。複数のワード線WLの各層のX方向両端部には、各層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0015】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。 コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。
【0016】
複数のワード線WLの上方にはソース線SLが配置されている。ソース線SLの上には絶縁層60を介して導電層20が配置されている。絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと導電層20とが導通を保っている。これにより、半導体記憶装置1の外部から、導電層20及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0017】
次に、図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
【0018】
図2(a)はメモリ領域MRを含むY方向に沿う断面図である。図2(b)は階段領域SRを含むY方向に沿う断面図である。ただし、図2(a)(b)においては、半導体基板SB及び周辺回路CBA等の絶縁層40下方の構造、及び導電層20等の絶縁層60上方の構造が省略されている。
【0019】
図2(c)は、メモリ領域MRに配置されるピラーPLの断面を示す部分拡大図である。図2(d)は、階段領域SRに配置される柱状部HRの断面を示す部分拡大図である。
【0020】
図2(a)(b)に示すように、周辺回路CBAを覆う絶縁層40の上方には、絶縁層54,53,52がこの順に配置されている。また、図2(b)に示すように、これらの絶縁層54,53,52と階段領域SRにおける積層体LM(図2(a))との間には絶縁層51が介在されている。これらの絶縁層51~54は図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0021】
絶縁層52の上方には、一部領域で絶縁層51を介在しつつ、積層体LMが配置されている。積層体LMには、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層されている。
【0022】
より詳細には、積層体LMは、積層体LMaと積層体LMbとを備える。積層体LMbは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に絶縁層52上に積層された第2の積層体である。積層体LMaは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層体LMb上に積層された第1の積層体である。
【0023】
積層体LMbの最下層のワード線WLの更に下層、及び積層体LMaの最上層のワード線WLの更に上層に、絶縁層OLを介して選択ゲート線が積層されていてもよい。積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線の積層数は任意である。
【0024】
積層体LMにおける複数の導電層としてのワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。積層体LMにおける複数の絶縁層としての絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0025】
積層体LM上にはソース線SLが配置される。ソース線SLは、例えばソース線DSLb、中間ソース線BSLまたは中間絶縁層SCO、及びソース線DSLaが、積層体LM側からこの順に積層された多層構造を有する。
【0026】
ソース線DSLb、中間ソース線BSL、及びソース線DSLaは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MRの上方に配置される。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。中間絶縁層SCOは、メモリ領域MRを除く積層体LMの階段領域SR等の上方に配置される。
【0027】
積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0028】
板状部としての板状コンタクトLIは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。つまり、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。これにより、積層体LMがY方向に分割される。
【0029】
より詳細には、板状コンタクトLIは、メモリ領域MRにおいて、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LM、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。また、階段領域SRにおいては、板状コンタクトLIは、ソース線DSLa中から、中間絶縁層SCO、ソース線DSLb、積層体LMの少なくとも一部、絶縁層51、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。
【0030】
また、板状コンタクトLIは、例えば上端部から下端部に向かって、第1の幅としてのY方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、板状コンタクトLIは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において、Y方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。この場合、板状コンタクトLIのY方向における最大幅を有する部分からは、下端部へと向かってY方向の幅が小さくなっていく。
【0031】
したがって、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、板状コンタクトLIは、積層体LMのソース線SL寄りの一端側から絶縁層52寄りの他端側へと向かう第1のテーパ部分としてのテーパ部分を有している。また、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、板状コンタクトLIは、積層体LMの上記一端側に、Y方向における最大幅を有する。
【0032】
また、板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層55と導電層21とを含む。絶縁層55は例えば酸化シリコン層等である。導電層21は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0033】
絶縁層55は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層21は絶縁層55の内側に充填され、図2(a)に示すように、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。また、導電層21は、図2(b)に示すように、絶縁層53中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層54中に配置される配線MXと接続される。
【0034】
配線MXは、図示しない電極パッド等を介して、絶縁層40で覆われた周辺回路CBA(図1参照)に電気的に接続されている。このような構成により、板状コンタクトLIはソース線コンタクトとして機能することとなる。
【0035】
図2(a)に示すように、メモリ領域MRの個々の板状コンタクトLI間には、積層体LMの積層方向に積層体LM内を延びる複数のメモリピラーとしてのピラーPLが分散して配置されている。つまり、ピラーPLは、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LM、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。
【0036】
より詳細には、ピラーPLは、積層体LMa内を延びる第1のピラーとしてのピラーPLaと、積層体LMb内を延びる第2のピラーとしてのピラーPLbとを含む。
【0037】
ピラーPLaは、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、及び積層体LMaを貫通して積層体LMbに到達している。ピラーPLaは、例えば上端部から下端部に向かって、第2または第3の幅としてのY方向の幅が大きくなるテーパ形状を有する。あるいは、ピラーPLaは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において、Y方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。この場合、ピラーPLaの上端部からY方向における最大幅を有する部分までは、その最大幅を有する部分へと向かってY方向の幅が大きくなっていく。
【0038】
したがって、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、ピラーPLaは、ソース線SL寄りの積層体LMaの一端側から積層体LMb寄りの積層体LMaの他端側へと向かう第2のテーパ部分としてのテーパ部分を有している。また、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、ピラーPLaは、積層体LMaの上記一端部から離れた上記他端側に、Y方向における最大幅を有する。
【0039】
ピラーPLbは、積層体LMa側の積層体LMbの端部から、積層体LMb及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。ピラーPLbは、例えば上端部から下端部に向かって、第4の幅としてのY方向の幅が大きくなるテーパ形状を有する。あるいは、ピラーPLbは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において、Y方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。この場合、ピラーPLbの上端部からY方向における最大幅を有する部分までは、その最大幅を有する部分へと向かってY方向の幅が大きくなっていく。
【0040】
したがって、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、ピラーPLbは、積層体LMa寄りの積層体LMbの一端側から絶縁層52寄りの積層体LMbの他端側へと向かう第3のテーパ部分としてのテーパ部分を有している。また、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、ピラーPLbは、積層体LMbの上記一端部から離れた上記他端側に、Y方向における最大幅を有する。
【0041】
このように、板状コンタクトLIがY方向に最大幅を有する部分と、個々のピラーPLa,PLbがY方向に最大幅を有する部分とは、積層方向の異なる位置に配置されている。これにより、板状コンタクトLI間に分散配置される複数のピラーPLのうち、板状コンタクトLIに隣接するピラーPLであっても、板状コンタクトLIとの接触等の干渉が抑制される。
【0042】
複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0043】
したがって、ピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径もまた、ピラーPLa,PLbの形状に合わせて積層体LMの積層方向において変化する。つまり、ピラーPLa,PLbのY方向の幅が小さくなるにつれ、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた小さくなっていく。また、ピラーPLa,PLbのY方向の幅が大きくなるにつれ、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた大きくなっていく。ピラーPLa,PLbのY方向の幅が最大となる部分では、ピラーPLa,PLbのそれぞれにおいて、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた最大となる。
【0044】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LMを貫通して積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LMを貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。これらの多層構造のうち、メモリ層ME及びチャネル層CNは、ピラーPLのソース線SL側の端部をも覆っている。これにより、ピラーPLが、ソース線SL側に閉塞端を有することが判る。また、ピラーPLの絶縁層53側の端部は、これらの多層構造のいずれもが開放された開放端である。
【0045】
図2(c)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。より詳細には、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、ソース線DSLa高さまで到達するピラーPLの上面にも配置されている。これに対し、メモリ層MEは、絶縁層53側のピラーPLの下面には配置されておらず、ピラーPLの下面側では絶縁層53に対して開放された形状を有している。
【0046】
チャネル層CNはメモリ層MEの内側で、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LM、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。また、チャネル層CNは、ソース線DSLa高さまで到達するピラーPLの上面にも配置されている。これに対し、チャネル層CNは、絶縁層53側のピラーPLの下面には配置されておらず、ピラーPLの下面側では絶縁層53に対して開放された形状を有している。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0047】
チャネル層CNは、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNは、53中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層54中をY方向に沿う方向に延びるビット線BLと接続される。
【0048】
ビット線BLは、絶縁層54中に配置される電極パッドPDbを介して、絶縁層40中に配置される電極パッドPDcと接続されている。電極パッドPDcは、絶縁層40で覆われた周辺回路CBA(図1参照)に電気的に接続されている。これにより、ピラーPLのチャネル層CNが、周辺回路CBAに電気的に接続される。
【0049】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0050】
以上のような構成によって、ピラーPL側面のワード線WLと対向する部分には、メモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0051】
階段領域SRは階段部SP(図1)を有する。階段部SPは、複数のワード線WL及び複数の絶縁層OLが階段状に加工された階段形状を有する。図2(b)は、ソース線SL側の最上層のワード線WLから3番目のワード線WLが階段状に加工された部分を示す。
【0052】
図2(b)の断面よりも積層体LMのX方向外側へ向かうにつれ、最上層のワード線WLから2番目のワード線WL、及び最上層のワード線WLが階段状に加工された部分へと至る。
【0053】
図2(b)の断面よりも、積層体LMのX方向中央部側へと近づくにつれ、最上層のワード線WLから4番目のワード線WL、5番目のワード線WLが階段状に加工された部分へと至る。さらには、それらの更に下層の積層体LMbのワード線WLが順次階段状に加工された部分へと至る。
【0054】
このように、階段部SPは、積層体LM中央部のメモリ領域MRから離れるにつれ、ソース線SL側へと向かって降段していく。上述のように、階段部SPと絶縁層52との間には絶縁層51が配置される。
【0055】
階段部SPの各層を構成するワード線WLには、絶縁層52,51を貫通するコンタクトCCが接続されている。
【0056】
コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層56と、絶縁層56の内側に充填されるタングステン層または銅層等の導電層22とを有する。導電層22は、絶縁層53中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層54中に配置される配線MXと接続される。配線MXは、例えば電極パッドPDb,PDc等を介して周辺回路CBA(図1参照)に電気的に接続されている。
【0057】
このような構成により、各層のワード線WLを電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、電極パッドPDc,PDb、コンタクトCC、及びワード線WLを介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0058】
また、階段領域SRの個々の板状コンタクトLI間には、積層体LM及び絶縁層51を積層体LMの積層方向に延びる複数の柱状部HRが分散して配置されている。つまり、柱状部HRは、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LM、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。
【0059】
より詳細には、柱状部HRは、積層体LMa内を延びる第1のピラーとしての柱状部HRaと、積層体LMb内を延びる第2のピラーとしての柱状部HRbとを含む。
【0060】
柱状部HRaは、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LMaを貫通して積層体LMbに到達している。柱状部HRaは、例えば上端部から下端部に向かって、第2または第3の幅としてのY方向の幅が大きくなるテーパ形状を有する。あるいは、柱状部HRaは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において、Y方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。この場合、柱状部HRaの上端部からY方向における最大幅を有する部分までは、その最大幅を有する部分へと向かってY方向の幅が大きくなっていく。
【0061】
したがって、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、柱状部HRaは、ソース線SL寄りの積層体LMaの一端側から積層体LMb寄りの積層体LMaの他端側へと向かう第2のテーパ部分としてのテーパ部分を有している。また、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、柱状部HRaは、積層体LMaの上記一端部から離れた上記他端側に、Y方向における最大幅を有する。
【0062】
柱状部HRbは、図示しない積層体LMb及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。柱状部HRbは、例えば上端部から下端部に向かって、第4の幅としてのY方向の幅が大きくなるテーパ形状を有する。あるいは、柱状部HRbは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において、Y方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。この場合、柱状部HRbの上端部からY方向における最大幅を有する部分までは、その最大幅を有する部分へと向かってY方向の幅が大きくなっていく。
【0063】
したがって、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、柱状部HRbは、積層体LMa寄りの積層体LMbの一端側から絶縁層52寄りの積層体LMbの他端側へと向かう第3のテーパ部分としてのテーパ部分を有している。また、テーパ形状またはボーイング形状のいずれを有する場合であっても、柱状部HRbは、積層体LMbの上記他端側に、Y方向における最大幅を有する。
【0064】
このように、板状コンタクトLIがY方向に最大幅を有する部分と、個々の柱状部HRa,HRbがY方向に最大幅を有する部分とは、積層方向の異なる位置に配置されている。これにより、板状コンタクトLI間に分散配置される複数の柱状部HRのうち、板状コンタクトLIに隣接する柱状部HRであっても、板状コンタクトLIとの接触等の干渉が抑制される。
【0065】
複数の柱状部HRは、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状またはグリッド状の配置を取る。個々の柱状部HRは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0066】
したがって、柱状部HRのXY平面に沿う方向の断面積および径もまた、柱状部HRa,HRbの形状に合わせて積層体LMの積層方向において変化する。つまり、柱状部HRa,HRbのY方向の幅が小さくなるにつれ、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた小さくなっていく。また、柱状部HRa,HRbのY方向の幅が大きくなるにつれ、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた大きくなっていく。柱状部HRa,HRbのY方向の幅が最大となる部分では、柱状部HRa,HRbのそれぞれにおいて、XY平面に沿う方向の断面積および径もまた最大となる。
【0067】
複数の柱状部HRのそれぞれは、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。しかし、複数の柱状部HRは、全体としてフローティング状態となっており、半導体記憶装置1の機能には寄与しないダミーピラーである。後述するように、柱状部HRは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持つ。
【0068】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部HRは、積層体LM内を積層方向に延びるダミー層MEd,CNd,CRdを有する。これらの多層構造のうち、ダミー層MEd,CNdは、柱状部HRのソース線SL側の端部をも覆っている。これにより、柱状部HRが、ソース線SL側に閉塞端を有することが判る。また、柱状部HRの絶縁層53側の端部は、これらの多層構造のいずれもが開放された開放端である。
【0069】
図2(d)に示すように、ダミー層MEdは、柱状部HRの外周側から、ダミー層BKd,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。つまり、ダミー層MEdは上述のピラーPLのメモリ層MEに相当する。また、ダミー層MEdに含まれるダミー層BKd,CTd,TNdは、それぞれピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNに相当する。
【0070】
ただし、ダミー層MEdは、ソース線DSLbからソース線DSLaに至る柱状部HRの側面に途切れることなく配置される。また、ダミー層MEdは、ソース線DSLa高さまで到達する柱状部HRの上面にも配置されている。これに対し、ダミー層MEdは、絶縁層53側の柱状部HRの下面には配置されておらず、柱状部HRの下面側では絶縁層53に対して開放された形状を有している。
【0071】
ダミー層CNdは、ダミー層MEdの内側で、ソース線DSLa中から、中間ソース線BSL、ソース線DSLb、積層体LM、及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。つまり、ダミー層CNdは、上述のピラーPLのチャネル層CNに相当する。
【0072】
また、ダミー層CNdは、ソース線DSLa高さまで到達する柱状部HRの上面にも配置されている。これに対し、ダミー層CNdは、絶縁層53側の柱状部HRの下面には配置されておらず、柱状部HRの下面側では絶縁層53に対して開放された形状を有している。
【0073】
ダミー層CNdの更に内側には、柱状部HRの芯材となるダミー層CRdが充填されている。つまり、ダミー層CRdは、上述のピラーPLのコア層CRに相当する。
【0074】
柱状部HRに含まれる各層は、対応するピラーPLの各層と同種の材料を含む。つまり、ダミー層MEdのダミー層BKd,TNd、並びにダミー層CRdは、例えば酸化シリコン層等である。ダミー層CTdは例えば窒化シリコン層等である。ダミー層CNdは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0075】
なお、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRのXY平面に沿う方向の断面積は、例えばピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積より大きくともよい。また、複数の柱状部HR間のピッチは、例えば複数のピラーPL間のピッチより大きくともよい。XY平面において、積層体LMにおけるワード線WLの単位面積あたりの柱状部HRの配置密度は、ワード線WLの単位面積あたりのピラーPLの配置密度より低くともよい。
【0076】
このように、例えば柱状部HRに比べて、ピラーPLの断面積を小さく構成し、狭ピッチとすることで、所定サイズの積層体LM内に高密度に多数のメモリセルMCを形成することができ、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることができる。一方、柱状部HRは、専ら積層体LMを支持するために用いられるので、例えばピラーPLのように断面積が小さく狭ピッチの精密な構成としないことで、製造負荷を減らすことができる。
【0077】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図3図16を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。図3図16は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。なお、半導体記憶装置1の製造方法の説明においては、各工程における処理面が向いた方向を上方側とする。図3図16の各図においても、各工程における半導体記憶装置1の向きと紙面の向きとを一致させている。
【0078】
まずは、後に階段部SPの一部となる部分SPaが形成される様子を図3に示す。図3は、製造途中の階段領域SRのX方向に沿う断面を示している。
【0079】
図3(a)に示すように、第1の基板としての支持基板SSの上方に、ソース線DSLa、中間絶縁層SCO、及びソース線DSLbをこの順に形成する。支持基板SSは、例えばシリコン基板等の半導体基板、セラミック基板または石英基板等の絶縁性基板、サファイア基板等の導電性基板等であってよい。ソース線DSLa,DSLbは、例えばポリシリコン層等である。中間絶縁層SCOは、例えば酸化シリコン層等である。
【0080】
ソース線DSLb上に、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後にワード線WLとなる導電材料に置き換えられる犠牲層として機能する。積層体LMsaは、このような置き換え処理によって後に積層体LMaとなる部分である。
【0081】
積層体LMsa上には、積層体LMsaの一部を覆うマスクパターン71を形成する。マスクパターン71は、例えばフォトレジスト層等を露光、現像して形成される。
【0082】
図3(b)(c)に示すように、マスクパターン71のスリミングと、積層体LMsaの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返す。
【0083】
すなわち、階段部SPの形成予定位置に端部を有するマスクパターン71を形成する。また、マスクパターン71から露出する積層体LMsaを加工して、例えば絶縁層NLと絶縁層OLとを1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターン71の端部を後退させて積層体LMsaを新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。
【0084】
このような処理を複数回繰り返すことで、マスクパターン71の端部位置において、絶縁層NLと絶縁層OLとが階段状に加工され、後に階段部SPの一部となる部分SPaが形成される。積層体LMsaの積層方向の全体に亘って階段形状が形成された後、酸素プラズマ等を用いたアッシングによりマスクパターン71を除去する。
【0085】
次に、後にピラーPLaとなる構成が形成される様子を図4に示す。図4は、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0086】
図3(a)の階段領域SRにおけるソース線DSLa、中間絶縁層SCO、ソース線DSLb、及び積層体LMsaの形成と並行して、図4(a)に示すように、メモリ領域MRにおいて、支持基板SSの上方には、ソース線DSLa、中間犠牲層SCN、ソース線DSLb、及び積層体LMsaがこの順に形成される。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電性のポリシリコン等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる部分である。
【0087】
図4(b)に示すように、積層体LMsaの上面から、積層体LMsa、ソース線DSLb、中間犠牲層SCNを貫通し、ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHaを形成する。積層体LMsaの上面は、積層体LMsaの積層方向における、ソース線DSLa、中間犠牲層SCN、ソース線DSLbとは反対側の積層体LMsaの端部である。
【0088】
複数のメモリホールMHaは、例えば積層体LMsaの上面側から下面側へ向かってY方向の幅、メモリホールMHaの径、及びメモリホールMHaのXY断面の面積が小さくなるテーパ形状を有するように形成される。
【0089】
複数のメモリホールMHaが、積層体LMsaの上面側の端部と下面側の端部との間に、Y方向における最大幅を有するボーイング形状となる場合もある。この場合、複数のメモリホールMHaは、Y方向における最大幅を有する部分から下端部へと向かって、Y方向の幅、並びにメモリホールMHaの径およびXY断面の面積が小さくなるよう形成される。
【0090】
図4(c)に示すように、例えばアモルファスシリコン層等の犠牲層でメモリホールMHa内を充填し、複数のピラーPLsを形成する。
【0091】
次に、階段部SPの残りの一部となる部分SPbが形成される様子を図5に示す。図5は、上述の図3と同様、製造途中の階段領域SRのX方向に沿う断面を示している。
【0092】
図5(a)に示すように、後に階段部SPの一部となる部分SPbを形成後、階段領域SRには階段形状を覆う絶縁層51が形成される。
【0093】
また、図4のメモリ領域MEにおけるピラーPLsの形成と並行して、階段領域SRの積層体LMsaには、複数の柱状部HRsが形成される。柱状部HRsは、後に柱状部HRaとなる部分である。
【0094】
柱状部HRsが形成された積層体LMsa上には、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsbが形成される。積層体LMsbは後に積層体LMbとなる部分である。
【0095】
積層体LMsb上には、積層体LMsbの一部を覆うマスクパターン72を形成する。マスクパターン72は、例えばフォトレジスト層等を露光、現像して形成される。マスクパターン72は、積層体LMsaに形成された階段部SPの一部となる部分SPbと積層方向に重なる位置に端部を有する。
【0096】
図5(b)に示すように、上述の図3(b)(c)の処理と同様、マスクパターン72のスリミングと、積層体LMsbの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返す。これにより、マスクパターン72の端部位置において、絶縁層NLと絶縁層OLとが階段状に加工される。積層体LMsbの積層方向の全体に亘って階段形状が形成された後、酸素プラズマ等を用いたアッシングによりマスクパターン72を除去する。
【0097】
次に、ピラーPLが形成される様子を図6及び図7に示す。図6及び図7は、上述の図4と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0098】
図5(a)の階段領域SRにおける積層体LMsbの形成と並行して、図6(a)に示すように、メモリ領域MRの積層体LMsa上にも、積層体LMsbが形成される。また、積層体LMsb上には、積層体LMsbを覆う絶縁層52が形成される。
【0099】
図6(b)に示すように、積層体LMsbの上面、つまり、積層体LMsbの積層体LMsaとは反対側の端部から絶縁層52及び積層体LMsbを貫通し、積層体LMsaに形成されたピラーPLsにそれぞれ到達する複数のメモリホールMHbを形成する。
【0100】
複数のメモリホールMHbは、例えば積層体LMsbの上面側から下面側へ向かってY方向の幅、メモリホールMHbの径、及びメモリホールMHbのXY断面の面積が小さくなるテーパ形状を有するように形成される。
【0101】
複数のメモリホールMHbが、積層体LMsaの上面側の端部と下面側の端部との間に、Y方向における最大幅を有するボーイング形状となる場合もある。この場合、複数のメモリホールMHbは、Y方向における最大幅を有する部分から下端部へと向かって、Y方向の幅、並びにメモリホールMHbの径およびXY断面の面積が小さくなるよう形成される。
【0102】
図7(a)に示すように、メモリホールMHbを介してメモリホールMHaに充填された犠牲層を除去する。これにより、絶縁層52、積層体LMsb,LMsa、ソース線DSLb、中間犠牲層SCNを貫通し、ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成される。
【0103】
図7(b)に示すように、メモリホールMH内にメモリ層MEを形成する。メモリ層MEにおいて、メモリホールMHの外周側から順に、図示しないブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNが積層される。メモリ層MEはメモリホールのMHの底面にも形成される。上述のように、ブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TNは例えば酸化シリコン層等であり、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。
【0104】
また、メモリ層MEの内側に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等のチャネル層CNを形成する。チャネル層CNは、メモリ層MEを介してメモリホールのMHの底面にも形成される。また、チャネル層CNの更に内側に、酸化シリコン層等のコア層CRを充填する。
【0105】
以上により、複数のピラーPLが形成される。ただし、この段階では、メモリ層MEは、中間犠牲層SCNの高さ位置にも形成されており、チャネル層CNの側面全体を覆っている。
【0106】
上記のように、ピラーPLa,PLbを個々に含む複数のピラーPLは、積層体LMsa,LMsbの上面側から積層体LMsa,LMsb等を加工することにより形成される。また、複数のピラーPLの下端部は、底面がメモリ層ME及びチャネル層CNで覆われた閉塞端となる。また、複数のピラーPLの上端部は、メモリ層ME及びチャネル層CNのいずれもが開放された開放端となる。
【0107】
複数のピラーPLが、積層体LMsa,LMsbの積層方向の一端側に閉塞端を有し、他端側に開放端を有することにより、積層体LMsa,LMsbの上下面のいずれの側から加工がなされたかが判る。つまり、ピラーPLは、開放端を有する側から閉塞端を有する側へ向かって加工される。
【0108】
次に、階段部SPとなる階段形状にコンタクトCCが形成される様子を図8及び図9に示す。図8及び図9は、上述の図3及び図5と同様、製造途中の階段領域SRのX方向に沿う断面を示している。
【0109】
図8(a)に示すように、後に階段部SPの残りの一部となる部分SPbを形成後、階段領域SRには階段形状の全体を覆う絶縁層51が形成されている。絶縁層51上には、メモリ領域MRと同様、絶縁層52が形成されている。
【0110】
また、図6及び図7のメモリ領域MEにおけるピラーPLの形成と並行して、階段領域SRの積層体LMsa,LMbsには、複数の柱状部HRが形成される。
【0111】
ピラーPLと同様、柱状部HRa,HRbを個々に含む複数の柱状部HRもまた、積層体LMsa,LMsbの上面側から積層体LMsa,LMsb等を加工することにより形成される。また、複数の柱状部HRの下端部は、底面がダミー層MEd,CNdで覆われた閉塞端となる。また、複数の柱状部HRの上端部は、ダミー層MEd,CNdのいずれもが開放された開放端となる。このことから、柱状部HRが、開放端を有する側から閉塞端を有する側へ向かって加工されたことが判る。
【0112】
図8(b)に示すように、絶縁層52,51を貫通し、階段状に加工された個々の絶縁層NLの上面に到達する複数のコンタクトホールCLを形成する。図8(b)では、階段領域SRに形成された柱状部HRとコンタクトホールCLとの両方を示すため、複数の絶縁層NLのひとつおきに形成されたコンタクトホールCLを示している。しかし、コンタクトホールCLは、実際には全ての絶縁層NLに対応して形成される。
【0113】
図9(a)に示すように、コンタクトホールCLの側壁を覆う絶縁層56を形成する。
【0114】
図9(b)に示すように、コンタクトホールCL側壁の絶縁層56の更に内側を充填する導電層22を形成する。以上により、複数の絶縁層NLにそれぞれ接続される複数のコンタクトCCが形成される。
【0115】
次に、積層体LMa,LMbに周辺回路CBAが形成される様子を図10図12に示す。図10図12は、上述の図4図6、及び図7と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0116】
図10(a)に示すように、周辺回路CBAを形成するにあたり、積層体LMa,LMb上の絶縁層52を覆う絶縁層53を形成する。
【0117】
図10(b)に示すように、絶縁層53を貫通し、ピラーPLのチャネル層CNに接続されるプラグCHを形成する。また、絶縁層53上にプラグCHに接続されるビット線BLを形成する。また、絶縁層53及びビット線BLを覆う絶縁層54を形成し、絶縁層54中に、絶縁層54の上面に露出する複数の電極パッドPDbを形成する。
【0118】
また、階段領域SRにおいては、上記の処理と並行して、絶縁層53中に配置されるプラグV0、及び絶縁層54中に配置され、プラグV0と接続される配線MX等が形成される(図2参照)。プラグV0は、複数のコンタクトCCのそれぞれと対応する位置に形成され、これらのコンタクトCCと接続される。また、プラグV0は、後に板状コンタクトLIが形成されることとなる位置にも形成される。
【0119】
図11に示すように、別途、第2の基板としての半導体基板SB上に、トランジスタTRを含む周辺回路CBAを形成する。また、半導体基板SB上に、周辺回路CBAを覆う絶縁層40を形成する。絶縁層40中には、周辺回路CBAに接続されるコンタクト、ビア、及び配線等を形成する。また、絶縁層40の表面に露出する複数の電極パッドPDcを絶縁層40中に形成する。これらの構成を介して、メモリセルは周辺回路CBAに電気的に接続されることが可能である。
【0120】
また、周辺回路CBA、絶縁層40、及び複数の電極パッドPDc等が形成された半導体基板SBに、支持基板SSの積層体LMsa,LMb等が形成された面を対向させて配置する。
【0121】
また、支持基板SS側の絶縁層54と、半導体基板SB側の絶縁層40とを接合する。これらの絶縁層54,40は、例えば予めプラズマ処理等により活性化させておくことで接合することができる。また、絶縁層54,40を接合する際には、絶縁層54に形成された電極パッドPDbと、絶縁層40に形成された電極パッドPDcとが重なるように、支持基板SSと半導体基板SBとの位置合わせをする。
【0122】
絶縁層54,40を接合した後、アニール処理を行って、電極パッドPDb,PDcを例えばCu-Cu接合により接合させる。以上により、貼り合わせ構造体が得られる。
【0123】
その後、図12に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって、貼り合わせ構造体から支持基板SSを除去してソース線DSLaを露出させる。これ以降、新たに露出したソース線DSLa側を上面として各種処理が行われる。
【0124】
次に、ソース線SLが形成される様子を図13及び図14に示す。図13及び図14は、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。なお、図13及び図14を含むこれ以降の図面においては、半導体基板SB及び周辺回路CBA等の絶縁層40下方の構造が省略されている。
【0125】
図13(a)に示すように、メモリ領域MRの板状コンタクトLIが形成される位置に、ソース線DSLaを貫通して中間犠牲層SCNに到達する複数の浅溝STsを形成する。
【0126】
図13(b)に示すように、複数の浅溝STsから、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、中間犠牲層SCNを除去する。これにより、ソース線DSLa,DSLb間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPsに露出する。
【0127】
図14(a)に示すように、複数の浅溝STsを介してギャップ層GPs内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPsに露出したメモリ層MEを除去する。これにより、内側のチャネル層CNの一部側壁がギャップ層GPsに露出する。
【0128】
図14(b)に示すように、複数の浅溝STsから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、半導体基板SBを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0129】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0130】
なお、ダミーピラーである柱状部HRは、ソース線SLと導通を有さないことが好ましい。上述のように、メモリ領域MRを除く階段領域SR等では、ソース線DSLa及びソース線DSLb間に中間犠牲層SCNは配置されず、中間絶縁層SCOが配置されている。このため、図13及び図14の処理に際しては、階段領域SRでは、中間犠牲層SCNの除去、柱状部HRのダミー層MEdの除去、及び中間ソース線BSLの形成等は行われない。
【0131】
次に、ワード線WL及び板状コンタクトLIが形成される様子を図15及び図16に示す。図15及び図16もまた、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0132】
図15(a)に示すように、ソース線SLの上面から、ソース線SL、積層体LMsa,LMbs、絶縁層52を貫通して、絶縁層53に到達する複数のスリットSTを、浅溝STsが形成された位置に形成する。複数のスリットSTは、積層体LMsa,LMbs内をX方向に沿う方向にも延びている。
【0133】
複数のスリットSTは、例えばソース線SLの上面側から積層体LMsbの下面側へ向かってY方向の幅が小さくなるテーパ形状を有するように形成される。
【0134】
複数のスリットSTが、ソース線SLの上面側の端部と、積層体LMsbの下面側の端部との間に、Y方向における最大幅を有するボーイング形状となる場合もある。この場合、複数のスリットSTは、Y方向における最大幅を有する部分から下端部へと向かって、Y方向の幅が小さくなるよう形成される。
【0135】
図15(b)に示すように、積層体LMsa,LMsbを貫通するスリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0136】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。メモリ領域MRでは、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。階段領域SRでは、複数の柱状部HRが積層体LMga,LMgbを支持する。このようなピラーPL及び柱状部HRの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgbが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0137】
図16(a)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgb内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WLを形成する。これにより、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMが形成される。
【0138】
また、階段領域SRにおいても絶縁層NLからワード線WLが形成されることで、複数のコンタクトCCと、これらに対応する複数のワード線WLとが電気的に接続された状態となる。
【0139】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0140】
図16(b)に示すように、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層55を形成し、絶縁層55の内側に導電層21を充填する。これにより、板状コンタクトLIが形成される。
【0141】
板状コンタクトLIは、階段領域SRにおいて、絶縁層53中に形成されたプラグV0を介して、絶縁層54中に形成された配線MXと電気的に接続される。
【0142】
上記のように、板状コンタクトLIは、ソース線SLの上面から、積層体LMsa,LMsb等を加工することにより形成される。また、このように、板状コンタクトLIとピラーPLとは、積層体LMsa,LMsb等に対して積層方向の異なる側から加工がなされる。
【0143】
その後、ソース線DSLa上にポリシリコン層等を形成してソース線DSLaを積み増す。これにより、板状コンタクトLIの上面がソース線DSLaに覆われることとなり、板状コンタクトLIの上面とソース線SLとを電気的に接続することができる。
【0144】
また、ソース線SL上に絶縁層60を形成し、絶縁層60を貫通するプラグPG(図2参照)を形成する。また、絶縁層60上に導電層20(図1参照)を形成する。これにより、ソース線SLと導電層20とがプラグPGを介して電気的に接続される。
【0145】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0146】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置は、メモリセルが形成されるピラー、積層体を支持する柱状部、リプレース処理を行うための板状部等を有する。半導体記憶装置を小型化するため、これらの構成は積層体内に高密度に配置される。
【0147】
これらのピラー、柱状部、及び板状部となるメモリホール、ホール、及びスリットは、通常、積層体の積層方向の同じ側から形成される。しかしながら、メモリホール、ホール、及びスリットを形成する際、これらがテーパ形状またはボーイング形状となることがある。このため、これらが最大幅となる部分が積層体の同じ階層位置に並んで配置され、スリット近傍に形成されるピラー及び柱状部の最大幅部分が、スリットの最大幅部分と接触してしまうことがある。
【0148】
スリット形成時、スリットがピラー及び柱状部に接触し、ピラー及び柱状部に含まれる電荷蓄積層等の窒化シリコン層がスリット内に露出した場合、リプレース処理によって窒化シリコン層が導電層に置き換わってしまい、ピラー及び柱状部近傍のワード線と短絡してしまう恐れがある。さらに、スリット内に導電層を埋め込んで板状コンタクトを形成すると、リプレースされたピラー及び柱状部の導電層が、板状コンタクトと短絡してしまう恐れもある。
【0149】
スリット形成時、スリットがピラー及び柱状部に接触し、ピラー及び柱状部に含まれるチャネル層等の半導体層がスリット内に露出した場合には、スリット内に埋め込まれた導電層と短絡してしまう恐れも生じる。
【0150】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、板状コンタクトLIは、積層体LMの積層方向の一端側にY方向における最大幅を有し、ピラーPL及び柱状部HRは、積層体LMの上記一端側から積層方向に離れた位置にY方向における最大幅を有している。換言すれば、板状コンタクトLIが有するテーパ部分と、ピラーPL及び柱状部HRが有するテーパ部分とはテーパの向きが逆である。
【0151】
このように、板状コンタクトLIと、ピラーPL及び柱状部HRとにおいて、Y方向において最大幅となる部分が積層体LMの同じ階層位置から互いにずれた位置に配置される。これにより、複数の構成同士の接触を抑制することができる。
【0152】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、板状コンタクトLIは、積層体LMaの積層方向の一端側から、積層体LMbの積層方向の他端側へと向かってY方向における幅が小さくなるテーパ部分を有し、ピラーPLは、積層体LMaを積層方向に延び、積層体LMaの一端側から他端側へと向かってY方向における幅が大きくなるテーパ部分を有するピラーPLaと、積層体LMbを積層方向に延び、積層体LMbの一端側から他端側へと向かってY方向における幅が大きくなるテーパ部分を有するピラーPLbと、を有する。
【0153】
近年、ピラーPLが2段に構成されて、複数のピラーPLa,PLbを有する2Tier構造が用いられることがある。この場合であっても、これらのピラーPLa,PLbにおける最大幅部分は、いずれも板状コンタクトLIにおける最大幅部分とは、積層体LMの同じ階層位置からずれた位置に配置される。この点は、柱状部HRが2段に構成されて、複数の柱状部HRa,HRbを有する場合も同様である。これにより、複数の構成同士の接触を抑制することができる。
【0154】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、積層体LMsa,LMsbの積層方向の一端側から積層体LMsa,LMsbを加工して、積層体LMsa,LMsbを積層方向に延びるピラーPL及び柱状部HRを形成する。また、積層体LMsa,LMsbの積層方向の他端側から積層体LMsa,LMsbを加工して、積層体LMsa,LMsbの積層方向とX方向に沿う方向とに延びる板状コンタクトLIを形成する。
【0155】
このように、異なる側から積層体LMsa,LMsbを加工して板状コンタクトLIと、ピラーPL及び柱状部HRとを形成することで、板状コンタクトLIと、ピラーPL及び柱状部HRとの最大幅部分を、積層体LMの同じ階層位置から互いにずれた位置に配置することができる。これにより、複数の構成同士の接触を抑制することができる。
【0156】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、ピラーPLを形成するときは、支持基板SSで積層体LMsa,LMsbを支持しつつ、積層体LMsa,LMsbの上面である一端側から積層体LMsa,LMsbを加工する。板状コンタクトLIを形成するときは、積層体LMsa,LMsbの一端側を、周辺回路CBAを介して半導体基板SBに貼り合わせ、半導体基板SBで積層体LMsa,LMsbを支持しつつ、積層体LMsa,LMsbの上面である他端側から積層体LMsa,LMsbを加工する。
【0157】
このように、貼り合わせ技術を利用することで、異なる側から積層体LMsa,LMsbを加工して板状コンタクトLIと、ピラーPL及び柱状部HRとを形成することができる。
【0158】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、トランジスタTRを含む周辺回路CBAを半導体基板SB上に形成し、積層体LMsa,LMsbの一端側を、周辺回路CBAを介して半導体基板SBに貼り合わせる。
【0159】
このように、例えば貼り合わせ技術を用いて、3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置を製造する手法が検討されている。貼り合わせ技術により製造される半導体記憶装置に、異なる側から積層体LMsa,LMsbを加工して板状コンタクトLIと、ピラーPL及び柱状部HRとを形成する実施形態の手法を適用することで、工程数を増やすことなく複数の構成同士の接触を抑制して、半導体記憶装置1を安価に製造することができる。
【0160】
(その他の変形例)
上述の実施形態では、ピラーPLは、チャネル層CNの側面でソース線SLと接続していることとしたが、これに限られない。例えばピラー底面のメモリ層を除去してチャネル層の下端部でソース線と接続するようにピラーを構成してもよい。この場合、ピラーは、チャネル層により端部が覆われた閉塞端をソース線側に有することとなる。
【0161】
また、上述の実施形態では、半導体記憶装置1が板状コンタクトLIを備えることとした。しかし、リプレース処理後のスリットSTを例えば絶縁層等で充填し、ソース線コンタクトとしての機能を有さない板状部を形成してもよい。この場合であっても、上記手法により板状部とピラーPL及び柱状部HRとの接触を抑制することで、リプレース処理時に生じる上記課題を解決することができる。
【0162】
なお、板状部を絶縁層等で構成した場合、上述のソース線DSLaを積み増して、板状部の上面を覆う処理は行わなくともよい。
【0163】
また、上述の実施形態では、柱状部HRがピラーPLと同じ層構造を有することとした。しかし、ピラーPLと異なる層構造を有する柱状部によって、積層体LMg等を支持するようにしてもよい。ピラーPLと異なる層構造として、例えば酸化シリコン層等の単体の絶縁層で柱状部を構成することができる。
【0164】
この場合、絶縁層が不完全に充填されることで、柱状部の内部にはボイドが形成されることがある。ボイドを有する柱状部とスリットSTとが接触して、柱状部のボイドがスリットST内に露出すると、リプレース処理時に柱状部の内部にタングステン層等の導電層が形成され、周囲のワード線WLとの短絡が生じてしまう恐れがある。また、スリットSTから板状コンタクトLIを形成する際、板状コンタクトLIの導電層21が柱状部のボイド内にも形成され、これによっても、周囲のワード線WLとの短絡が生じてしまう恐れがある。
【0165】
したがって、柱状部を絶縁層の単体等で構成した場合であっても、上記手法を適用することで、柱状部と板状コンタクトLIとの接触を抑制することができ、半導体記憶装置の電気特性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0166】
また、上述の実施形態では、絶縁層NL,OLを2回に分けて積層し、積層体LMa,LMbを含む2Tier構造の積層体LMを有することとした。しかし、積層体は、1Tier構造を有していてもよく、あるいは、3Tier以上の構造を有していてもよい。Tier数を増やしていくことで、ワード線WLの積層数を更に増加させることができる。
【0167】
積層体が1Tier構造を有する場合、板状コンタクトは、積層体の一端側から他端側へと向かってY方向における幅が小さくなるテーパ部分を有し、ピラー及び柱状部は、積層体の一端側から他端側へと向かってY方向における幅が大きくなるテーパ部分を有することとなる。このような構成においても、板状コンタクトと、ピラー及び柱状部とにおいて、Y方向に最大幅となる部分を積層体の同じ階層位置から互いにずれた位置に配置することができる。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0169】
1…半導体記憶装置、CBA…周辺回路、CC…コンタクト、HR,HRa,HRb…柱状部、LI…板状コンタクト、LM,LMa,LMb,LMga,LMgb,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、PL,PLa,PLb…ピラー、SB…半導体基板、SP…階段部、SR…階段領域、SS…支持基板、ST…スリット、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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