(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081502
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】テルピリジン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/22 20060101AFI20240611BHJP
C07D 213/38 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C07D213/22
C07D213/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195173
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 務
【テーマコード(参考)】
4C055
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA25
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA06
4C055DA01
4C055DA25
4C055DB02
4C055EA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法の提供。
【解決手段】第1の原料化合物であるピリジン誘導体と、第2の原料化合物であるベンズアルデヒド誘導体とを、アンモニアの低級アルコール溶液の存在下で反応させることによって、下記式で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される第1の原料化合物と、
下記式(2):
【化2】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、mは0~5の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。)
で表される第2の原料化合物とを、アンモニアの低級アルコール溶液の存在下で反応させることによって、
下記式(3):
【化3】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、R
3およびmは、式(2)と同様である。)
で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含む、テルピリジン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記低級アルコールが、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アンモニアの低級アルコール溶液の水分含有量が、2000ppm以下である、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記反応系内の水分含有量が、2000ppm以下である、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記反応が、-30℃以上100℃以下の温度下で行われる、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記第1の原料化合物を、下記式(4):
【化4】
(式(4)中、R
1およびnは、式(1)と同様である。)
で表される化合物を、ジアルキルアセトアミドおよび有機リチウム化合物の存在下で、反応させることによって得る工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項7】
前記有機リチウム化合物が、ブチルリチウムである、請求項6に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルピリジン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テルピリジン化合物は、例えば、蛍光体や金属錯体の配位子等の様々な原料に幅広く使用されている化学物質である。
【0003】
例えば、非特許文献1では、クレーンケ ピリジン合成法を用いたテルピリジン化合物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem.Commun.,2019,55,2023-2026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1に記載のテルピリジン化合物の製造方法は、アンモニア水溶液を用いた高含水条件下で反応を行っているが、反応時間が長いため、製造コストが高くなり、実用化には改善の余地があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、反応工程を工夫することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 下記式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される第1の原料化合物と、
下記式(2):
【化2】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、mは0~5の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。)
で表される第2の原料化合物とを、アンモニアの低級アルコール溶液の存在下で反応させることによって、
下記式(3):
【化3】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、R
3およびmは、式(2)と同様である。)
で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含む、テルピリジン化合物の製造方法。
[2] 前記低級アルコールが、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[3] 前記アンモニアの低級アルコール溶液の水分含有量が、2000ppm以下である、[1]または[2]に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[4] 前記反応系内の水分含有量が、2000ppm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[5] 前記反応が、-30℃以上100℃以下の温度下で行われる、[1]~[4]のいずれかに記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[6] 前記第1の原料化合物を、下記式(4):
【化4】
(式(4)中、R
1およびnは、式(1)と同様である。)
で表される化合物を、ジアルキルアセトアミドおよび有機リチウム化合物の存在下で、反応させることによって得る工程を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[7] 前記有機リチウム化合物が、ブチルリチウムである、[6]に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1で合成したテルピリジン化合物の
13C-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[テルピリジン化合物の製造方法]
本発明によるテルピリジン化合物の製造方法は、下記の第1の原料化合物と、下記の第2の原料化合物とをアンモニアの低級アルコール溶液の存在下で合成する反応工程を含むものである。
【0012】
(反応工程)
本発明においては、アンモニアの低級アルコール溶液の存在下でテルピリジン化合物の合成反応を行うことで、反応効率を向上させることができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等が挙げられる。これらの低級アルコールは、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの低級アルコールの中でもイソプロパノールを用いることが好ましい。
【0013】
また、反応を効率的に行うためには、反応系内の水分含有量を低減させることが好ましく、反応を低含水条件下で行うことがより好ましく、無水条件下で行うことがさらに好ましい。例えば、アンモニアの低級アルコール溶液の水分含有量は、好ましくは2000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは200ppm以下であり、さらにより好ましくは100ppm以下である。上記のアンモニアの低級アルコール溶液を用いることで、反応系内の水分含有量を好ましくは2000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下、さらにより好ましくは100ppm以下に調節することができ、最も好ましくは無水状態(検出限界以下)に調節することができる。
【0014】
テルピリジン化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは-30℃以上150℃以下であり、より好ましくは0℃以上130℃以下であり、さらに好ましくは30℃以上110℃以下であり、さらにより好ましくは50℃以上90℃以下である。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1分間以上120分間以下であり、より好ましくは2分間以上60分間以下であり、さらに好ましくは3分間以上30分間以下である。
【0015】
(第1の原料化合物)
本発明で用いる第1の原料化合物は、下記式(1):
【化5】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される。
上記式(1)中、R
1は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~4のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示す。nは、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0~2の整数である。
R
2は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
【0016】
第1の原料化合物の好ましい実施形態としては、以下の化合物が挙げられる。下記式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、tBuはターシャリーブチル基を示す。第1の原料化合物は、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化6】
【化7】
【0017】
第1の原料化合物の製造方法は、特に限定されないが、本発明の好ましい実施態様によれば、下記式(4):
【化8】
(式(4)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、好ましい態様も式(1)と同様である。)
で表される化合物を、ジアルキルアセトアミドおよび有機リチウム化合物の存在下で、反応させることによって得ることができる。
【0018】
上記式(4)で表される化合物の好ましい実施形態としては、以下の化合物が挙げられる。上記式(4)で表される化合物は、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化9】
【0019】
上記のジアルキルアセトアミドのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。アルキル基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。ジアルキルアセトアミドとしては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ジメチルアセトアミドを用いることが好ましい。
【0020】
上記の有機リチウム化合物としては、アルキルリチウムを用いることが好ましい。アルキルリチウムのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。アルキル基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。アルキルリチウムとしては、例えば、メチルリチウム、ブチルリチウム(n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム)が挙げられる。ブチルリチウムの中でも、反応性の観点から、n-ブチルリチウムを用いることが好ましい。
【0021】
上記第1の原料化合物の合成反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o-,m-,p-キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、グライム、ジグライム等のエーテル系溶媒;ヘキサフルオロベンゼン、m-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α-トリフルオロメチルベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン等の含フッ素有機溶媒等を用いることができる。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、o-,m-,p-キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)、ヘキサフルオロベンゼン、m-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α-トリフルオロメチルベンゼン等、及びこれらの混合物が好ましい。
【0022】
上記第1の原料化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは―100℃以上120℃以下であり、より好ましくは―90℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは―80℃以上80℃以下である。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは30分間以上12時間以下であり、より好ましくは40分以上6時間以下であり、さらに好ましくは1時間以上3時間以下である。
【0023】
(第2の原料化合物)
本発明で用いる第2の原料化合物は、下記式(2):
【化10】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、mは0~5の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。)
で表される。
上記式(2)中、R
3は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または1以上の炭素数1~4のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示す。nは、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0~2の整数である。
【0024】
第2の原料化合物の好ましい実施形態としては、以下の化合物が挙げられる。下記式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、tBuはターシャリーブチル基を示す。第2の原料化合物は、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化11】
【0025】
(テルピリジン化合物)
上記の合成反応により得られるテルピリジン化合物は、下記式(3):
【化12】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、好ましい態様も式(1)と同様であり、
R
3およびmは、式(2)と同様であり、好ましい態様も式(2)と同様である。)
【0026】
テルピリジン化合物の好ましい実施形態としては、以下の化合物が挙げられる。下記式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、tBuはターシャリーブチル基を示す。
【化13】
【化14】
【0027】
(用途)
本発明の製造方法により得られたテルピリジン化合物は、例えば、触媒用の金属錯体の配位子として好適に使用することができる。特に、フッ素化アレーン(医薬原料)のメタ選択的C-Hホウ素化(鈴木カップリング用)のCo触媒の配位子として好適に使用することができる。
【0028】
(精製工程)
本発明の製造方法は、上記で合成したテルピリジン化合物をさらに精製する工程を含んでもよい。精製方法は、特に限定されず、従来公知の精製方法を適用することができる。精製方法としては、例えば、再結晶、分液、減圧ろ過、溶媒留去、有機溶媒による洗浄、および超音波洗浄等が挙げられる。
【実施例0029】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
<分析条件>
下記で得られたテルピリジン化合物の構造は、下記条件で13C-NMRを用いて分析した。
(13C-NMR条件)
・NMR測定装置:BRUKER JAPAN社製
・13C-NMR測定条件:周波数150.89MHz、CDCl3溶媒
・本化合物の検出ピーク(TMS内部基準):δ155.8,154.3,151.1,149.9,149.5,137.3,133.2,128.1,125.8,120.9,117.0,112.3,40.4,18.4
【0031】
[実施例1]
反応容器の中に、2-ブロモ-5-メチルピリジン19.11g(1等量)の脱水THF溶液およびn-ブチルリチウム7.12g(1等量)を加え、窒素雰囲気下、-78℃で1時間反応させた。続いて、反応容器の中に、ジメチルアセトアミド(DMA)10.44g(1.08等量)を加え、室温(20℃)で1時間反応させた。その後、反応温度を上げ、THFの還流温度(約66℃)で1時間還流させて、5-メチル-2-アセチルピリジンを合成した(下記反応式I)。
【化15】
【0032】
続いて、反応容器の中に、飽和アンモニア水を加えて、反応を失活させた。得られた反応生成物に塩化メチレンを加えて溶媒抽出を行い、さらに硫酸ナトリウムを加えて脱水を行った。この溶媒抽出および脱水操作を2回繰り返した。その後、有機層の有機溶媒を減圧下で蒸発させて、5-メチル-2-アセチルピリジンの結晶を得た。得られた、5-メチル-2-アセチルピリジンの単離収率は約100%(微量の不純物を含む)であった。
【0033】
次に、反応容器の中に、上記で得た5-メチル-2-アセチルピリジン7.67g(2.1等量)、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド4.03g(1等量)、水酸化カリウム3.02g(2等量)、および4%アンモニア/イソプロパノール混合溶液(水分含有量:91ppm)90.0mL(6.7等量)を加えた。その後、反応温度を上げ、イソプロパノールの還流温度(約83℃)で約10分間還流させて、テルピリジン化合物を合成した(下記反応式II、反応系内の水分含有量:91ppm未満)。
【化16】
【0034】
続いて、得られたテルピリジン化合物をメタノールで洗浄した後、ヘキサンで洗浄し、精製を行った。精製後のテルピリジン化合物を上記の分析条件で
13C-NMR測定を行い、
図1に示す
13C-NMRスペクトルを得た。スペクトル解析の結果、上記式のテルピリジン化合物であることを確認した。なお、収率は34%であった。
【0035】
本発明では、テルピリジン化合物の合成工程(反応式II)における反応効率を向上し、反応時間を短縮することができた。なお、反応式Iでは収率が約100%であり、最終的な収率には影響を及ぼしていないため、反応式IIの収率を向上させることが製造コストの削減には重要である。したがって、本発明の製造方法によれば、製造コストを削減することができる。