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  • 特開-真空ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081504
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
F04D19/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195175
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕章
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA02
3H131BA09
3H131CA31
3H131CA36
(57)【要約】
【課題】真空ポンプの内部で飛散した部材が外部に飛散することを防止する。
【解決手段】真空ポンプ1は、ロータ4と、吸気口13と、飛散防止部6と、を備える。吸気口13は、ロータ4の回転により吸引された気体を通過させる。飛散防止部6は、吸気口13に設けられ、真空ポンプ1の内部の部材が吸気口13から飛散することを防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを備える真空ポンプであって、
前記ロータの回転により吸引された気体が通過する吸気口と、
前記吸気口に設けられ、前記真空ポンプの内部の部材が前記吸気口から飛散することを防止する飛散防止部と、
を備える、真空ポンプ。
【請求項2】
前記ロータは、所定の向きに傾斜したロータ翼を有し、
前記飛散防止部は、前記ロータにおける前記ロータ翼の配置位置に対応する部分に、前記ロータ翼の傾斜とは反対方向に傾斜したブレードを有する、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記飛散防止部は、前記ロータの前記ロータ翼が配置されていない部分に対応する位置に配置される蓋部を有する、請求項2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記飛散防止部は一体化成形されている、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記ロータを収納し、前記吸気口を形成する外周部分に凹部が形成されたハウジングをさらに備え、
前記飛散防止部の外周部分に凸部が形成され、
前記飛散防止部の前記凸部が前記ハウジングの前記凹部に嵌め込まれることで、前記飛散防止部は前記ハウジングに固定される、請求項1に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプには、回転駆動されるロータを備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。この真空ポンプでは、ロータの回転により排気対象装置の内部を吸引し、吸引した気体を外部に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-139361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の真空ポンプの内部においては、真空ポンプの故障等により内部に所定の部材が発生する可能性がある。例えば、真空ポンプのロータに設けられたロータ翼、及び/又は、ロータに対向するステータに設けられたステータ翼が破損し、破損したロータ翼及び/又はステータ翼(またはこれらの破片)が、真空ポンプの内部に滞在する可能性がある。真空ポンプの内部ではロータが高速回転しているため、真空ポンプの内部に滞在した部材は、高速回転するロータによりエネルギーを与えられ、飛散する可能性がある。真空ポンプの内部で飛散した部材は、排気対象装置の内部を吸引するための吸気口を介して、排気対象装置の内部にまで飛散する可能性がある。排気対象装置の内部に飛散した部材は、排気対象装置の故障を引き起こす可能性がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、真空ポンプの内部で飛散した部材が、真空ポンプの外部に飛散することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る真空ポンプは、ロータと、吸気口と、飛散防止部と、を備える。吸気口は、ロータの回転により吸引された気体を通過させる。飛散防止部は、吸気口に設けられ、真空ポンプの内部の部材が吸気口から飛散することを防止する。
【発明の効果】
【0007】
上述した本発明の一態様に係る真空ポンプでは、ロータの回転により吸引された気体が通過する吸引口に、真空ポンプの内部の部材が吸気口から飛散することを防止する飛散防止部が設けられている。これにより、真空ポンプの故障等により内部で発生した部材は、飛散防止部により、吸気口から外部(例えば、吸気口に接続された排気対象装置の内部)への飛散が妨げられる。この結果、真空ポンプの内部で発生した部材が外部にまで飛散することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る真空ポンプの断面図である。
図2】飛散防止部の斜視図である。
図3】飛散防止部の変形例を示す図である。
図4】飛散防止部の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して一実施形態に係る真空ポンプについて説明する。図1は、実施形態に係る真空ポンプ1の断面図である。図1に示すように、真空ポンプ1は、ハウジング2と、ベース3と、ロータ4と、ステータ5と、を含む。
【0010】
ハウジング2は、第1端部11と、第2端部12と、第1内部空間S1とを含む。第1端部11には吸気口13が設けられている。吸気口13は、排気対象装置(図示せず)の内部と気体流通可能に接続される。排気対象装置は、例えば、半導体製造装置のプロセスチャンバである。第1内部空間S1は、吸気口13に連通している。第2端部12は、ロータ4の軸線方向(以下、単に「軸線方向A1」と呼ぶ)において、第1端部11の反対に位置している。第2端部12は、ベース3に接続される。ベース3は、ベース端部14を含む。ベース端部14は、ハウジング2の第2端部12に接続される。ベース3は、例えば、アルミニウム製の部材である。
【0011】
ロータ4は、ハウジング2の内部空間に収納される。ロータ4は、シャフト21を含む。シャフト21は、軸線方向A1に延びている。シャフト21は、ベース3に回転可能に収納されている。シャフト21の下部には、スラストディスク21Aが設けられる。さらに、シャフト21の下端には、ターゲット21Bがネジ止めされている。
【0012】
ロータ4は、複数段のロータ翼22と、ロータ円筒部23と、を含む。複数段のロータ翼22は、それぞれ、軸線方向A1に対して傾斜してシャフト21に接続されている。複数のロータ翼22は、軸線方向A1に互いに間隔をおいて配置されている。図示を省略するが、複数段のロータ翼22は、それぞれシャフト21を中心として放射状に延びている。なお、図面においては、複数段のロータ翼22の1つのみに符号が付されており、他のロータ翼22の符号は省略されている。ロータ円筒部23は、複数段のロータ翼22の下方に配置されている。ロータ円筒部23は、軸線方向A1に延びている。
【0013】
ステータ5は、ロータ4の外周側に配置されている。ステータ5は、複数段のステータ翼31と、ステータ円筒部32と、を含む。複数段のステータ翼31は、それぞれ、ロータ翼22の傾斜とは反対方向に傾斜してハウジング2の内面に接続されている。例えば、ロータ翼22が吸気側から排気側に傾斜している場合には、ステータ翼31は、排気側から吸気側に傾斜する。一方、ロータ翼22が排気側から吸気側に傾斜している場合には、ステータ翼31は、吸気側から排気側に傾斜する。ロータ翼22及びステータ翼31の傾斜方向は、ロータ4の回転方向等により適宜決定できる。
【0014】
複数段のステータ翼31は、軸線方向A1において、互いに間隔をおいて配置されている。複数段のステータ翼31は、それぞれ複数段のロータ翼22の間に配置されている。図示を省略するが、複数段のステータ翼31は、それぞれシャフト21を中心として放射状に延びている。なお、図面においては、複数段のステータ翼31の2つのみに符号が付されており、他のステータ翼31の符号は省略されている。ステータ円筒部32は、ベース3に接触した状態で固定されている。ステータ円筒部32は、ロータ円筒部23の径方向において、わずかな隙間を空けてロータ円筒部23の外周面と向かい合って配置されている。ロータ円筒部23と向かい合うステータ円筒部32の内周面には、らせん状溝が設けられている。
【0015】
図1に示すように、ロータ円筒部23とステータ円筒部32の排気下流側の端部のさらに下流側には、排気空間S2が形成されている。排気空間S2には、排気対象装置から排気された排気対象気体が導かれる。排気空間S2は、排気口15に連通している。排気口15は、ベース3に設けられる。排気口15には、他の真空ポンプ(図示せず)が接続される。なお、排気下流側とは、軸線方向A1において、排気空間S2により近い側をいう。また、排気下流方向とは、排気空間S2に向かう方向をいう。
【0016】
真空ポンプ1は、軸受41A、41Eと、磁気軸受41B~41Dと、モータ42と、を含む。軸受41A、41Eは、ベース3のシャフト21を収納した位置に取り付けられている。軸受41A、41Eは、シャフト21を回転可能に支持する。軸受41A、41Eは、ボールベアリングである。磁気軸受41B~41Dは、シャフト21を磁力により支持する軸受である。このうち、磁気軸受41B、41Cは、シャフト21を径方向に支持するラジアル磁気軸受である。磁気軸受41Dは、シャフト21を軸方向に支持するスラスト磁気軸受である。
【0017】
モータ42は、ロータ4を回転駆動する。モータ42は、モータロータ42Aとモータステータ42Bとを含む。モータロータ42Aは、シャフト21に取り付けられている。モータステータ42Bは、ベース3に取り付けられている。モータステータ42Bは、モータロータ42Aと向かい合って配置されている。
【0018】
真空ポンプ1では、複数段のロータ翼22と複数段のステータ翼31とは、ターボ分子ポンプ部を構成する。また、ロータ円筒部23とステータ円筒部32とは、ネジ溝ポンプ部を構成する。真空ポンプ1では、モータ42によってロータ4が回転することで、廃棄対象装置の内部から、吸気口13を介して、第1内部空間S1へ排気対象気体が流入する。第1内部空間S1の排気対象気体は、ターボ分子ポンプ部とネジ溝ポンプ部を通過して、排気空間S2に導かれる。排気空間S2の排気対象気体は、排気口15から排気される。この結果、吸気口13に取り付けられた排気対象装置の内部が、高真空状態となる。
【0019】
上記の構成を有する真空ポンプ1(ハウジング2)の内部においては、例えば、ロータ4に設けられたロータ翼22、及び/又は、ステータ5に設けられたステータ翼31が破損し、破損したロータ翼22及び/又はステータ翼31(またはこれらの破片)が、ハウジング2の内部に滞在する可能性がある。真空ポンプ1の運転中、ハウジング2の内部ではロータ4が高速回転しているため、ハウジング2の内部に滞在した部材は、高速回転するロータ4によりエネルギーを与えられ、飛散する可能性がある。ハウジング2の内部で飛散した部材は、吸気口13を介して、真空ポンプ1の外部(排気対象装置の内部)にまで飛散する可能性がある。排気対象装置の内部に飛散した部材は、排気対象装置の故障を引き起こす可能性がある。
【0020】
従って、真空ポンプ1の吸気口13に、図2に示すような飛散防止部6を設ける。図2は、飛散防止部6の斜視図である。飛散防止部6は、ハウジング2の内部に存在し自由に移動できる部材が、ロータ4の回転等によりエネルギーを与えられて飛散し、吸気口13を通過して外部(排気対象装置の内部)に飛散することを防止する部材である。飛散防止部6は、蓋部61と、外周部63と、ブレード65と、を有する。
【0021】
蓋部61は、所定の厚みを有する中実の円板形状を有する。飛散防止部6が吸気口13に固定されたときに、蓋部61は、ロータ4のロータ翼22が配置されていない部分に対応する位置、すなわち、ロータ4の中心に対応する位置に配置される。さらに言い換えると、蓋部61は、ロータ4の中心に対向するよう配置される。飛散防止部6が上記の蓋部61を有することにより、飛散防止部6の強度を向上させることができる。なぜなら、蓋部61は、中実で一体的に形成されているからである。また、上記の蓋部61は、ハウジング2の内部から部材が飛散するのを防止するとともに、排気対象装置の内部の部材、粒子等が、吸気口13を通過して、ハウジング2の内部に進入することを防止できる。
【0022】
外周部63は、飛散防止部6の外周を構成する部材である。外周部63は、所定の厚みを有し、蓋部61の径(半径/直径)よりも大きい径を有するリング形状を有する。外周部63は、蓋部61に対して同心円状に配置される。この結果、蓋部61の外側面と外周部63の内側面との間には、ロータ4の最上段に配置されるロータ翼22に対向するように空間が形成される。
【0023】
図1に示すように、外周部63には、その最外周部分に凸部63aが形成されている。また、ハウジング2の吸気口13を形成する部分、すなわち、第1端部11には凹部2aが形成されている。飛散防止部6は、外周部63の凸部63aがハウジング2の凹部2aに嵌め込まれることで、ハウジング2の第1端部11に固定される。これにより、飛散防止部6がハウジング2の「フレーム」として機能して、ハウジング2の変形に対する耐久性が向上する。例えば、ロータ4が破損したときに、破損したロータ4によりハウジング2が径方向に変形(楕円変形)することを防止できる。
【0024】
ブレード65は、蓋部61の外側面と外周部63の内側面との間に形成された空間において、蓋部61の外側面と外周部63の内側面とを架橋するように配置される。これにより、ブレード65は、ハウジング2の内部の部材が蓋部61と外周部63との間の空間から飛散することを防止する。
【0025】
図2に示すように、ブレード65は、飛散防止部6の厚み方向に対して傾斜している。ブレード65の傾斜方向は、(最上段の)ロータ翼22の上下方向における傾斜方向とは反対となっている。言い換えると、ブレード65の傾斜方向は、ステータ翼31の傾斜方向と同じとなっている。このように傾斜したブレード65は、ロータ4の最上段のロータ翼22と協働して「ターボ分子ポンプ」のように機能し、外部からハウジング2の内部への排気対象気体の吸引を促進する。この結果、吸気口13に、飛散防止部6を配置することによる排気対象気体の吸引能力の低下を抑制できる。
【0026】
ロータ4は高速回転しているため、ハウジング2の内部に存在し自由に移動できる部材に与えられるエネルギーは大きい。そのため、当該部材が飛散防止部6を「突き破って」吸気口13から飛散することを防止するため、飛散防止部6は、ある程度の強度を有していることが好ましい。例えば、飛散防止部6は、ステンレス等の高強度の材料で形成されるか、及び/又は、所定の厚み(例えば、2mm)以上の厚みを有していることが好ましい。
【0027】
飛散防止部6は、一体的に形成されている。具体的には、例えば、1つの材料から、蓋部61と、外周部63と、ブレード65と、を削り出しなどで形成して飛散防止部6を形成できる。飛散防止部6を一体的に形成することで、飛散防止部6の強度をより向上させることができる。なお、飛散防止部6に必要な強度を持たせることができる場合には、蓋部61と、外周部63と、ブレード65と、を別部材にて構成し、溶接等でこれら部材を接続して飛散防止部6を形成することもできる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0029】
飛散防止部6は、上記で説明した以外の構成を有していてもよい。例えば、飛散防止部6の中心部に中実の蓋部61を設ける代わりに、図3に示すように、飛散防止部6の中心部に、外周部63と同心円状に配置されたリング状部61’を設けることもできる。図3は、飛散防止部6の変形例を示す図である。
【0030】
上記の飛散防止部6は、一体の円形を有しているが、これに限られない。例えば、飛散防止部6を、半円形の2つの部材(飛散防止部)により構成してもよい。
【0031】
図4に示すように、飛散防止部6は、その中心に蓋部61、リング状部61’を設けず、外周部63の内側に部材衝突部67を設けた構成としてもよい。部材衝突部67は、ハウジング2の内部で飛散した部材が衝突することで、当該部材が吸気口13から飛散することを防止する。図4は、飛散防止部6の他の変形例を示す図である。図4に示す飛散防止部6においては、部材衝突部67は、円形の外周部63の中心から外周部63の内側壁へ放射状に延びる。
【0032】
部材衝突部67は、図4に示すような形状のものに限られない。例えば、部材衝突部67は、ハニカム構造などの網目構造を有するものであってもよい。また、蓋部61/リング状部61’と外周部63とを有する飛散防止部6において、ブレード65の代わりに、ハニカム構造などの網目構造を有する部分を設けてもよい。
【0033】
上記の実施形態に係る真空ポンプ1は、複数段のロータ翼22と複数段のステータ翼31とにより構成されるターボ分子ポンプと、ロータ円筒部23とステータ円筒部32とにより構成されるネジ溝ポンプとが一体化されたポンプである。しかし、ネジ溝ポンプは省略されてもよい。すなわち、真空ポンプ1は、ターボ分子ポンプであってもよい。或いは、ターボ分子ポンプは省略されてもよい。すなわち、真空ポンプ1は、ネジ溝ポンプであってもよい。
【0034】
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0035】
(第1態様)真空ポンプは、ロータと、吸気口と、飛散防止部と、を備える。吸気口は、ロータの回転により吸引された気体を通過させる。飛散防止部は、吸気口に設けられ、真空ポンプの内部の部材が吸気口から飛散することを防止する。
【0036】
第1態様に係る真空ポンプでは、ロータの回転により吸引された気体が通過する吸引口に、真空ポンプの内部の部材が吸気口から飛散することを防止する飛散防止部が設けられている。これにより、真空ポンプの故障等により内部で発生した部材は、飛散防止部により、吸気口から外部(例えば、吸気口に接続された排気対象装置の内部)への飛散が妨げられる。この結果、真空ポンプの内部で発生した部材が外部にまで飛散することを防止できる。
【0037】
(第2態様)第1態様に係る真空ポンプにおいて、ロータは、所定の向きに傾斜したロータ翼を有してもよい。この場合、飛散防止部は、ロータにおけるロータ翼の配置位置に対応する部分に、ロータ翼の傾斜とは反対方向に傾斜したブレードを有してもよい。第2態様に係る真空ポンプでは、ブレードにより、真空ポンプの内部の部材が排気口から飛散することを防止できるとともに、ロータ翼と協働して「ターボ分子ポンプ」のように機能し、真空ポンプへの気体の吸引を促進できる。この結果、吸引口に飛散防止部を配置することによる気体の吸引能力の低下を抑制できる。
【0038】
(第3態様)第2態様に係る真空ポンプにおいて、飛散防止部は、ロータのロータ翼が配置されていない部分に対応する位置に配置される蓋部を有してもよい。第3態様に係る真空ポンプでは、蓋部により、真空ポンプの内部から部材が飛散するのを防止するとともに、外部の部材、粒子等が、吸気口を通過して真空ポンプ1の内部に進入することを防止できる。また、飛散防止部6の強度を向上させることができる。
【0039】
(第4態様)第1態様~第3態様のいずれかに係る真空ポンプにおいて、飛散防止部は一体的に形成されていてもよい。第4態様に係る真空ポンプでは、飛散防止部の強度をより向上させることができる。
【0040】
(第5態様)第1態様~第4態様のいずれかに係る真空ポンプは、ロータを収納し、吸気口を形成する外周部分に凹部が形成されたハウジングをさらに備えてもよい。この場合、飛散防止部の外周部分に凸部が形成され、飛散防止部の凸部がハウジングの凹部に嵌め込まれることで、飛散防止部がハウジングに固定されてもよい。第5態様に係る真空ポンプでは、飛散防止部がハウジングの「フレーム」として機能して、ハウジングの変形に対する耐久性を向上できる。
【符号の説明】
【0041】
1 :真空ポンプ
2 :ハウジング
2a :凹部
3 :ベース
4 :ロータ
5 :ステータ
6 :飛散防止部
61 :蓋部
61’ :リング状部
63 :外周部
63a :凸部
65 :ブレード
67 :部材衝突部
11 :第1端部
12 :第2端部
13 :吸気口
14 :ベース端部
15 :排気口
21 :シャフト
21A :スラストディスク
21B :ターゲット
22 :ロータ翼
23 :ロータ円筒部
31 :ステータ翼
32 :ステータ円筒部
41A :軸受
41B :磁気軸受
41C :磁気軸受
41D :磁気軸受
41E :軸受
42 :モータ
42A :モータロータ
42B :モータステータ
A1 :軸線方向
S1 :第1内部空間
S2 :排気空間
図1
図2
図3
図4