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特開2024-81513通信装置、システム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081513
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】通信装置、システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 5/16 20060101AFI20240611BHJP
   H04L 5/22 20060101ALI20240611BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04L5/16
H04L5/22 Z
H01Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195185
(22)【出願日】2022-12-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G研究開発促進事業/次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
【テーマコード(参考)】
5J020
5K028
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA06
5J020BA10
5J020BC02
5J020BC03
5J020BC06
5J020DA09
5K028BB05
5K028CC02
(57)【要約】
【課題】長距離TDD(Time Division Duplex)通信方式において、スループットを向上させることが可能な通信装置、システム、方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る通信装置11は、上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末12から送信された上りデータを、端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部111と、下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に端末12が下りデータを受信するように、端末受信開始時刻よりも伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に下りデータを送信する送信部112と、を備え、自装置受信期間の一部期間と自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
通信装置。
【請求項2】
一次放射器とアンテナ受信器と反射鏡とを有する送受信兼用反射型アンテナをさらに備え、
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記反射鏡に入射するように構成され、
前記反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記下りデータが反射する前記反射鏡の反射点であって、前記上りデータが反射する前記反射鏡の前記反射点において、前記送信反射角と前記受信入射角は、同一の角度であり、前記送信入射角と前記受信反射角は、異なる角度である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送受信兼用反射型アンテナは、前記送信反射角および前記受信反射角を電気的に制御する前記反射鏡であるRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)を有する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記反射鏡の反射面は、平面または曲面を有する、
請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
一次放射器と送信用反射鏡とを有する送信用反射型アンテナと、
アンテナ受信器と受信用反射鏡とを有する受信用反射型アンテナと、
をさらに備え、
前記送信部から送信された前記下りデータは、前記一次放射器を介して前記送信用反射鏡で反射されて前記端末に送信され、
前記端末から送信された前記上りデータは、前記受信用反射鏡で反射されて前記アンテナ受信器を介して前記受信部に送信され、
前記送信用反射鏡と前記受信用反射鏡は、前記送信用反射型アンテナから前記受信用反射型アンテナへの回り込み電力が所定の電力値以下となるような位置にそれぞれ設置される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記送信用反射鏡に入射するように構成され、
前記送信用反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、
前記受信用反射鏡は、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記上りデータが反射する前記受信用反射鏡の反射点における前記受信入射角は、前記下りデータが反射する前記送信用反射鏡の反射点における前記送信反射角と同一の角度であり、
前記受信用反射鏡の前記反射点における前記受信反射角は、前記送信用反射鏡の前記反射点における前記送信入射角と同一の角度である、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
通信装置と、前記通信装置と通信する端末と、を備え、
前記通信装置は、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に前記端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、を有し、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数であり、
前記端末は、
前記上りデータを前記上り期間に送信する端末送信部と、
前記下りデータを前記下り期間に受信する端末受信部と、を有する、
システム。
【請求項8】
一次放射器とアンテナ受信器と反射鏡とを有する送受信兼用反射型アンテナをさらに備え、
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記反射鏡に入射するように構成され、
前記反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記下りデータが反射する前記反射鏡の反射点であって、前記上りデータが反射する前記反射鏡の前記反射点において、前記送信反射角と前記受信入射角は、同一の角度であり、前記送信入射角と前記受信反射角は、異なる角度である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
方法。
【請求項10】
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
をコンピュータに実行させ、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、システム、方法、及びプログラムに関し、特に、長距離TDD(Time Division Duplex)通信方式において、スループットを向上させることが可能な通信装置、システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Beyond 5Gのモバイルネットワークとして、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)への注目が高まっている。NTNの地上-衛星間の通信は、FDD(Frequency Division Duplex)通信方式が主流であったが、今後はTDD通信方式の適用が想定される。しかしながら、伝搬遅延時間を考慮したガードタイム(GT:Guard Time)を設けたTDD通信方式を、地上-衛星間に適用する場合、1スロット(slot)中のGTの占める割合が増加し、通信容量(スループット)が低下するという課題があった。
【0003】
GTに関する技術について、特許文献1の段落0036には、「本例の無線通信システムは、BSからMSに送信する下り信号のタイムスロットと、MSからBSに送信する上り信号のタイムスロットとの間にギャップタイムを有する無線フレームを使用して無線通信を行い、MSは、下り信号の伝搬遅延時間を測定してBSに通知し、BSは、MSから通知された下り信号の伝搬遅延時間に基づいて、下り信号のタイムスロットとギャップタイムを変化させるように構成されている」と記載されている。また、特許文献1の段落0037には、「本例では、下り信号のタイムスロットとギャップタイムの合計時間を一定とし、下り信号の伝搬遅延時間の2倍をギャップタイムに設定し、上記の合計時間からギャップタイムを差し引いた時間を下り信号のタイムスロットに設定するように構成されている。」と記載されている。特許文献1には、TDD通信方式において伝搬遅延時間が長くなった場合にスループットを向上させる方法について開示されていない。
【0004】
特許文献2には、無指向性で速度光行差の補正が行えるレーザ遠隔測定用キューブコーナ再帰反射器について開示されている。特許文献2には、TDD通信方式において伝搬遅延時間が長くなった場合にスループットを向上させる方法について開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-022849号公報
【特許文献2】特開平7-253463号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Weicong.Chen, Wei.Xiang.Jiang, Wankai.Tang, “Angle-Dependent Phase Shifter Model for Reconfigurable Intelligent Surfaces: Does the Angle-Reciprocity Hold?”, Article in IEEE Communications Letters May 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のとおり、伝搬遅延時間を考慮したガードタイム(GT:Guard Time)を設けたTDD通信方式を、地上-衛星間に適用する場合、1スロット(slot)中のGTの占める割合が増加し、通信容量(スループット)が低下するという課題があった。
【0008】
本開示の目的は、上述した課題を解決する通信装置、システム、方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る通信装置は、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である。
【0010】
本開示に係るシステムは、
通信装置と、前記通信装置と通信する端末と、を備え、
前記通信装置は、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に前記端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、を有し、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数であり、
前記端末は、
前記上りデータを前記上り期間に送信する端末送信部と、
前記下りデータを前記下り期間に受信する端末受信部と、を有する。
【0011】
本開示に係る方法は、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である。
【0012】
本開示に係るプログラムは、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
をコンピュータに実行させ、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、長距離TDD(Time Division Duplex)通信方式において、スループットを向上させることが可能な通信装置、システム、方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る通信装置を例示するブロック図である。
図2】実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
図3】実施の形態1に係るTDD通信方式のタイムスロットを例示する図である。
図4】実施の形態1の比較例に係るTDD通信方式のタイムスロットを例示する図である。
図5】実施の形態1に係る通信装置の通信を例示するブロック図である。
図6】実施の形態1に係るRISを例示する模式図である。
図7】実施の形態1に係る通信装置のアンテナを例示するブロック図である。
図8】実施の形態2に係る通信装置のアンテナを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0016】
[実施の形態1]
<通信装置およびシステム>
図1は、実施の形態1に係る通信装置を例示するブロック図である。
図1は、通信装置の最小構成を示す。
図2は、実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
図3は、実施の形態1に係るTDD通信方式のタイムスロットを例示する図である。
【0017】
図1および図2に示すように、実施の形態1に係るシステム10は、通信装置11と、通信装置11と通信する端末12と、端末12と通信する地上基地局13と、を備える。通信装置11は、受信部111と送信部112とを有する。この例では、通信装置11として、地球低軌道(LEО:Low Earth Orbit)衛星に搭載される通信装置を例に挙げて説明するが、これには限定されない。
【0018】
端末12と通信装置11との間の距離は、500km(キロメートル)~2000kmである。端末12と通信装置11との間の電波の伝搬遅延時間ΔTbは、1.7ms(ミリ秒)~6.7msである。また、端末12と地上基地局13との間の距離は、数百m(メートル)~数kmである。端末12と地上基地局13との間の電波の伝搬遅延時間ΔTaは、最大で0.01ms程度である。このように、端末12と通信装置11との間の距離は、端末12と地上基地局13との間の距離と比べて長いので、伝搬遅延時間ΔTも長くなる。なお、端末12から通信装置11、または端末12から地上基地局13に向かう通信の方向を、上り、上りリンクまたはアップリンク(UL:Up Link)と称する。また、通信装置11から端末12、または地上基地局13から端末12に向かう通信の方向を、下り、下りリンクまたはダウンリンク(DL:Down Link)と称する。
【0019】
図3に示すように、端末12は、上りデータを、上りスロット内の端末送信開始時刻tu1から端末送信終了時刻tu2までの上り期間Tuに送信する。通信装置11の受信部111は、端末12から送信された上りデータを、端末送信開始時刻tu1から伝搬遅延時間ΔTだけ後の自装置受信開始時刻tu1dから上り期間Tuと同一の長さの期間である自装置受信期間Tuに受信する。
【0020】
端末12は、下りデータを、下りスロット内の端末受信開始時刻td1から端末受信終了時刻td2までの下り期間Tdに受信する。通信装置11の送信部112は、端末12が下りデータを下り期間Tdに受信するようにするため、端末受信開始時刻td1よりも伝搬遅延時間ΔTだけ前である自装置送信開始時刻td1bから下り期間Tdと同一の長さの期間である自装置送信期間Tdに下りデータを送信する。
【0021】
通信装置11は、伝搬遅延時間ΔTを、例えば、端末12の位置と通信装置11の位置とに基づいて求める。自装置受信期間Tuの一部期間と自装置送信期間Tdの一部期間とは、時間的に重なり合う。また、上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である。すなわち、通信装置11は、TDD通信方式で通信を行う。
【0022】
端末12は、上りデータを上り期間Tuに送信する端末送信部(図示しない)と、下りデータを下り期間Tdに受信する端末受信部(図示しない)と、を有する。地上基地局13は、端末12との間で4G、5G等の移動通信を行う。
【0023】
<効果>
図4は、実施の形態1の比較例に係るTDD通信方式のタイムスロットを例示する図である。
図4では、端末12と地上基地局13との間のタイムスロット、および、端末12と通信装置51との間のタイムスロットを示す。
【0024】
通信装置51は、比較例に係る通信装置である。通信装置51は、通信装置11と比べて、自装置受信期間Tuの一部期間と自装置送信期間Tdの一部期間とが時間的に重なり合っていない点が異なる。
【0025】
図4に示すように、比較例に係るTDD通信方式では、1タイムスロット(Time Slot)中(例えば、上りスロット)中に、最低でも伝搬遅延時間ΔTb以上のガードタイムGTが必要である。通信間距離が長くなるに従い伝搬遅延時間ΔTbが長くなるため、ガードタイムGT長も長くなる。端末12と通信装置51との間の距離(図2参照)は長いので、それに伴って伝搬遅延時間ΔTbも長くなる。伝搬遅延時間ΔTbが長くなると、ガードタイムGTも長くなる。ガードタイムGTが長くなると、データを送受信するための時間、すなわち、上り期間Tuが短くなるので、スループットが低下する(通信容量が低下する)。下りも同様である。
【0026】
一方、実施の形態1に係る通信装置11では、図3に示すように、自装置受信期間Tuの一部期間と自装置送信期間Tdの一部期間とが、時間的に重なり合っている。これにより、伝搬遅延時間以上のガードタイムGTが必要でなくなり、上りデータを送信するための上り期間Tuを長くすることができる。下りも同様である。
【0027】
その結果、実施の形態1によれば、長距離TDD(Time Division Duplex)通信方式において、スループットを向上させることが可能な通信装置、システム、方法、及びプログラムを提供することができる。なお、伝搬遅延時間を、電波伝搬遅延時間と称することもある。
【0028】
なお、図3に示すような送信動作と受信動作を同時に行うためには、通信装置11は、送信部112と受信部111とを独立に動作させる必要がある。通信装置11は、送信部112と受信部111とを独立に動作させることで、下りデータを端末12に送信しながら、上りデータを端末12から受信するように動作させることができる。
【0029】
<アンテナ>
図5は、実施の形態1に係る通信装置の通信を例示するブロック図である。
【0030】
通信装置11では、スループットを向上させるため、自装置受信期間Tuの一部期間と自装置送信期間Tdの一部期間とを、時間的に重なるようにしている(図3参照)。このとき、通信装置11はTDD通信方式を使用しているので、図5に示すように、送信用反射型アンテナ113tから出力した下りデータの一部が受信用反射型アンテナ113rに回り込む。回り込んだ下りデータの受信用反射型アンテナ113rでの(受信)電力が、所定の電力以上の場合、上りデータに対する干渉による影響が大きく、上りデータのスループットを低下させる。
【0031】
そこで、通信装置11は、反射鏡に非角度相反性の性質を持つRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)を使用し、送信電波と受信電波の経路を分離する。これにより、1枚の反射鏡を有する1つのアンテナにより送信と受信の併用を実現できる。
【0032】
<RIS>
図6は、実施の形態1に係るRISを例示する模式図である。
図7は、実施の形態1に係る通信装置のアンテナを例示するブロック図である。
なお、非特許文献1には、RISの詳細が記載されているので、RISの動作原理等の詳細は、ここでは省略する。
【0033】
図6に示すように、RISは、電子制御により反射時の指向性を操作可能な反射板(反射鏡)である。RISは、入射波と反射波の角度相反性が成り立たなくなるという特性を有する。具体的には、第1の電波W1が入射角θ1で入射し反射角θ2で反射する、一方で、第2の電波W2が入射角θ2で入射し、反射角θ1ではなく、反射角θ3で反射する。通信装置11は、この性質を使用して、送信電波(下り)と受信電波(上り)とを分離する。
【0034】
具体的には、図7に示すように、通信装置11は、一次放射器113aとアンテナ受信器113bと反射鏡113cとを有する送受信兼用反射型アンテナ113を備える。
【0035】
一次放射器113aは、送信部112から送信された下りデータを送信入射角θt1で反射鏡113cに入射するように構成される。なお、一次放射器をホーンアンテナと称することもある。
【0036】
反射鏡113cは、送信入射角θt1で入射した下りデータを送信反射角θt2で反射して端末12に送信する。また、反射鏡113cは、端末12から受信入射角θr1で入射した上りデータを受信反射角θr2で反射してアンテナ受信器113bに送信する。
【0037】
アンテナ受信器113bは、受信反射角θr2で反射した上りデータを受信し、受信部111に送信する。また、アンテナ受信器113bは、一次放射器113aのサイドローブの影響を受けにくい位置に設置する。アンテナ受信器113bは、例えば、一次放射器113aの指向性がヌルとなるような位置に設置する。また、アンテナ受信器113bは、例えば、一次放射器113aからアンテナ受信器113bへの回り込み電力が所定の電力値以下となるような位置に設置されてもよい。
【0038】
下りデータが反射する反射鏡113cの反射点であって、上りデータが反射する反射鏡113cの当該反射点において、送信反射角θt2と受信入射角θr1は、同一の角度であり、送信入射角θt1と受信反射角θr2は、異なる角度である。送信入射角θt1と受信反射角θr2とが異なる角度となることにより、1つの反射鏡で送信と受信とを兼用することができる。
【0039】
送受信兼用反射型アンテナ113は、送信反射角θt2および受信反射角θr2を電気的に制御する反射鏡113cであるRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)を有する。すなわち、送受信兼用反射型アンテナ113は、電子制御により反射時の指向性を操作可能な反射鏡であるRISを有する。送受信兼用反射型アンテナ113は、RISを使用することにより、送信電波と受信電波の経路が異なる反射鏡を構築することができる。
【0040】
なお、反射鏡113cの反射面は、平面または曲面を有し、この面で入射波を反射する。また、送受信兼用反射型アンテナ113は、平面アンテナまたはパラボラアンテナである。
【0041】
<効果>
通信装置11は、反射鏡に非角度相反性の性質を持つRISを使用することで、送信電波と受信電波の経路を分離することができる。これにより、下りデータの上りデータへの回り込みを抑制することができ、通信容量の低下を抑制できスループットを向上させることができる。
【0042】
また、通信装置11は、RISを使用することで、1枚の反射鏡で送信と受信を兼用できるので、コストの低下と装置の軽量化を実現することができる。
【0043】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2に係る通信装置を例示するブロック図である。
実施の形態2に係る通信装置21は、実施の形態1に係る通信装置11と比べて、アンテナの構成が異なる。
【0044】
図8に示すように、通信装置21は、送信用反射型アンテナ213tと、受信用反射型アンテナ213rと、を備える。送信用反射型アンテナ213tは、一次放射器213taと送信用反射鏡213tcとを有する。受信用反射型アンテナ213rは、アンテナ受信器213rbと受信用反射鏡213rcとを有する。
【0045】
送信部212から送信された下りデータは、一次放射器213taを介して送信用反射鏡213tcで反射されて端末12に送信される。端末12から送信された上りデータは、受信用反射鏡213rcで反射されてアンテナ受信器213rbを介して受信部211に送信される。
【0046】
送信用反射鏡213tcと受信用反射鏡213rcは、送信用反射型アンテナ213tから受信用反射型アンテナ213rへの回り込み電力が所定の電力値以下となるような位置にそれぞれ設置される。
【0047】
一次放射器213taは、送信部212から送信された下りデータを送信入射角で送信用反射鏡213tcに入射するように構成される。送信用反射鏡213tcは、送信入射角で入射した下りデータを送信反射角で反射して端末12に送信する。受信用反射鏡213rcは、端末12から受信入射角で入射した上りデータを受信反射角で反射してアンテナ受信器213rbに送信する。アンテナ受信器213rbは、受信反射角で反射した上りデータを受信し、受信部211に送信する。上りデータが反射する受信用反射鏡213rcの反射点における受信入射角は、下りデータが反射する送信用反射鏡213tcの反射点における送信反射角と同一の角度である。受信用反射鏡213rcの反射点における受信反射角は、送信用反射鏡213tcの反射点における送信入射角と同一の角度である。また、下りデータが反射する送信用反射鏡213tcの反射点において、送信入射角は、送信反射角と同一の角度である。また、上りデータが反射する受信用反射鏡213rcの反射点において、受信入射角は、受信反射角と同一の角度である。
【0048】
なお、送信用反射鏡213tcの反射面は、平面または曲面を有し、受信用反射鏡213rcの反射面も、平面または曲面を有する。送信用反射型アンテナ213tは、平面アンテナまたはパラボラアンテナであり、受信用反射型アンテナ213rは、平面アンテナまたはパラボラアンテナである。
【0049】
<特徴>
ここで、実施の形態2に係る通信装置21の特徴を以下に示す。
送信系および受信系のそれぞれに指向性の鋭い反射鏡アンテナを設置することで、下りデータの回り込みを抑制する。
受信用反射型アンテナ213rを、例えば、送信用反射型アンテナ213tの後方(図8において左方向)に設置することで、下りデータの回り込み抑制効果を大きくすることができる。
【0050】
尚、上記の実施の形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0051】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0052】
さらに、動作は特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。同様に、いくつかの特定の実施の形態の詳細が上記の議論に含まれているが、これらは本開示の範囲に対する制限としてではなく、特定の実施の形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施の形態の文脈で説明される特定の特徴は、単一の実施の形態に組合せて実装されてもよい。逆に、単一の実施の形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施の形態で別々にまたは任意の適切な組合せで実装されてもよい。
【0053】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0054】
尚、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
通信装置。
(付記2)
一次放射器とアンテナ受信器と反射鏡とを有する送受信兼用反射型アンテナをさらに備え、
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記反射鏡に入射するように構成され、
前記反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記下りデータが反射する前記反射鏡の反射点であって、前記上りデータが反射する前記反射鏡の前記反射点において、前記送信反射角と前記受信入射角は、同一の角度であり、前記送信入射角と前記受信反射角は、異なる角度である、
付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記送受信兼用反射型アンテナは、前記送信反射角および前記受信反射角を電気的に制御する前記反射鏡であるRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)を有する、
付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記反射鏡の反射面は、平面または曲面を有する、
付記2または3に記載の通信装置。
(付記5)
一次放射器と送信用反射鏡とを有する送信用反射型アンテナと、
アンテナ受信器と受信用反射鏡とを有する受信用反射型アンテナと、
をさらに備え、
前記送信部から送信された前記下りデータは、前記一次放射器を介して前記送信用反射鏡で反射されて前記端末に送信され、
前記端末から送信された前記上りデータは、前記受信用反射鏡で反射されて前記アンテナ受信器を介して前記受信部に送信され、
前記送信用反射鏡と前記受信用反射鏡は、前記送信用反射型アンテナから前記受信用反射型アンテナへの回り込み電力が所定の電力値以下となるような位置にそれぞれ設置される、
付記1に記載の通信装置。
(付記6)
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記送信用反射鏡に入射するように構成され、
前記送信用反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、
前記受信用反射鏡は、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記上りデータが反射する前記受信用反射鏡の反射点における前記受信入射角は、前記下りデータが反射する前記送信用反射鏡の反射点における前記送信反射角と同一の角度であり、
前記受信用反射鏡の前記反射点における前記受信反射角は、前記送信用反射鏡の前記反射点における前記送信入射角と同一の角度である、
付記5に記載の通信装置。
(付記7)
前記送信用反射鏡の反射面は、平面または曲面を有し、
前記受信用反射鏡の反射面は、平面または曲面を有する、
付記5または6に記載の通信装置。
(付記8)
通信装置と、前記通信装置と通信する端末と、を備え、
前記通信装置は、
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に前記端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信する受信部と、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信する送信部と、を有し、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数であり、
前記端末は、
前記上りデータを前記上り期間に送信する端末送信部と、
前記下りデータを前記下り期間に受信する端末受信部と、を有する、
システム。
(付記9)
一次放射器とアンテナ受信器と反射鏡とを有する送受信兼用反射型アンテナをさらに備え、
前記一次放射器は、前記送信部から送信された前記下りデータを送信入射角で前記反射鏡に入射するように構成され、
前記反射鏡は、前記送信入射角で入射した前記下りデータを送信反射角で反射して前記端末に送信し、前記端末から受信入射角で入射した前記上りデータを受信反射角で反射して前記アンテナ受信器に送信し、
前記アンテナ受信器は、前記受信反射角で反射した前記上りデータを受信し、前記受信部に送信し、
前記下りデータが反射する前記反射鏡の反射点であって、前記上りデータが反射する前記反射鏡の前記反射点において、前記送信反射角と前記受信入射角は、同一の角度であり、前記送信入射角と前記受信反射角は、異なる角度である、
付記8に記載のシステム。
(付記10)
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
を備え、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
方法。
(付記11)
上りスロット内の端末送信開始時刻から端末送信終了時刻までの上り期間に端末から送信された上りデータを、前記端末送信開始時刻から伝搬遅延時間だけ後の自装置受信開始時刻から前記上り期間と同一の長さの期間である自装置受信期間に受信することと、
下りスロット内の端末受信開始時刻から端末受信終了時刻までの下り期間に前記端末が下りデータを受信するように、前記端末受信開始時刻よりも前記伝搬遅延時間だけ前である自装置送信開始時刻から前記下り期間と同一の長さの期間である自装置送信期間に前記下りデータを送信することと、
をコンピュータに実行させ、
前記伝搬遅延時間は、前記端末の位置と自装置の位置とに基づいて求められ、
前記自装置受信期間の一部期間と前記自装置送信期間の一部期間とは、時間的に重なり合い、
前記上りデータを搬送する上り搬送波の周波数と前記下りデータを搬送する下り搬送波の周波数とは、同一の周波数である、
プログラム。
【符号の説明】
【0056】
10…システム
11、21、51…通信装置
12…端末
13…地上基地局
111、211…受信部
112、212…送信部
113…送受信兼用反射型アンテナ
113a、213ta…一次放射器
113b、213rb…アンテナ受信器
113c…反射鏡
213tc…送信用反射鏡
213rc…受信用反射鏡
113t、213t…送信用反射型アンテナ
113r、213r…受信用反射型アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8