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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081514
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】着磁装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 13/00 20060101AFI20240611BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01F13/00 300
H01F7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195186
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】潮崎 正一
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 文兵
(72)【発明者】
【氏名】塚野 聖仁
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔馬
(57)【要約】
【課題】着磁対象物に対する着磁位置への配置と着磁位置からの除去が容易な着磁装置を提供する。
【解決手段】着磁装置1は、磁石2と、磁石2の磁力による磁石2と着磁対象物4との間の吸引力の少なくとも一部を相殺するように、磁石2と着磁対象物4との間に反発力を与える緩衝機構3とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石と、
前記磁石の磁力による前記磁石と着磁対象物との間の吸引力の少なくとも一部を相殺するように、前記磁石と前記着磁対象物との間に反発力を与える緩衝機構とを有する、着磁装置。
【請求項2】
前記緩衝機構は、接触部と、前記接触部に接触した状態の前記着磁対象物に対して前記磁石が接近側方向と離間側方向に移動する往復動作が可能となるように前記磁石と前記接触部を連結する連結部と、前記磁石と前記着磁対象物との間に反発力を与えるために前記磁石を前記往復動作の前記離間側方向に付勢する付勢部とを有する、請求項1に記載の着磁装置。
【請求項3】
前記接触部は前記着磁対象物に対して転動可能である、請求項2に記載の着磁装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記往復動作における前記接近側方向のストローク限界位置を規定するストッパ部を有する、請求項2に記載の着磁装置。
【請求項5】
前記着磁装置が前記着磁対象物に対して着磁位置に配置された状態において、前記接触部は前記磁石と前記着磁対象物との間の部分以外の部分に位置する、請求項2に記載の着磁装置。
【請求項6】
前記接触部が前記着磁対象物に接触すると、前記磁石による前記吸引力が前記緩衝機構による前記反発力に抗して前記磁石を前記着磁対象物に接近させる、請求項2に記載の着磁装置。
【請求項7】
前記緩衝機構は、所定数の緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記磁石に対して一体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に対して往復移動可能な移動部材と、前記ベース部材に対する前記移動部材の往復移動によって弾性変形可能な弾性部材とを有し、前記移動部材は前記接触部を構成する、請求項2に記載の着磁装置。
【請求項8】
第1の前記磁石と第1の前記緩衝機構とを有する第1の部分と、前記第1の部分に対して回動可能であって第2の前記磁石と第2の前記緩衝機構とを有する第2の部分とで形成される開閉可能な環状部を有する、請求項1に記載の着磁装置。
【請求項9】
前記第1の緩衝機構は、第1の所定数の緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記磁石に対して一体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に対して往復移動可能な移動部材と、前記ベース部材に対する前記移動部材の往復移動によって弾性変形可能な弾性部材とを有し、前記移動部材は前記接触部を構成し、
前記第2の緩衝機構は、第2の所定数の前記緩衝部材を有する、請求項8に記載の着磁装置。
【請求項10】
前記第1の所定数と前記第2の所定数とが相違する、請求項9に記載の着磁装置。
【請求項11】
前記第1の部分と前記第2の部分はそれぞれ半環状をなす、請求項8に記載の着磁装置。
【請求項12】
前記着磁装置が前記着磁対象物に対して着磁位置に配置された状態において、前記第1の部分における前記吸引力から前記反発力を差し引いた第1の差分は、前記第2の部分における前記吸引力から前記反発力を差し引いた第2の差分に対して相違する、請求項8に記載の着磁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は着磁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気探傷法によって配管などの磁性体の異常を検出するために、磁性体を着磁、すなわち残留磁化を与えるように磁化する、着磁装置が知られている(例えば特許文献1~2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-145119号公報
【特許文献2】特開2021-144015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着磁装置は、着磁対象物に対する着磁位置への配置と着磁位置からの除去が容易であることが望ましい。
【0005】
そこで本開示の目的は、着磁対象物に対する着磁位置への配置と着磁位置からの除去が容易な着磁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
磁石と、
前記磁石の磁力による前記磁石と着磁対象物との間の吸引力の少なくとも一部を相殺するように、前記磁石と前記着磁対象物との間に反発力を与える緩衝機構とを有する、着磁装置。
【0008】
[2]
前記緩衝機構は、接触部と、前記接触部に接触した状態の前記着磁対象物に対して前記磁石が接近側方向と離間側方向に移動する往復動作が可能となるように前記磁石と前記接触部を連結する連結部と、前記磁石と前記着磁対象物との間に反発力を与えるために前記磁石を前記往復動作の前記離間側方向に付勢する付勢部とを有する、[1]に記載の着磁装置。
【0009】
[3]
前記接触部は前記着磁対象物に対して転動可能である、[2]に記載の着磁装置。
【0010】
[4]
前記連結部は、前記往復動作における前記接近側方向のストローク限界位置を規定するストッパ部を有する、[2]又は[3]に記載の着磁装置。
【0011】
[5]
前記着磁装置が前記着磁対象物に対して着磁位置に配置された状態において、前記接触部は前記磁石と前記着磁対象物との間の部分以外の部分に位置する、[2]~[4]の何れか1項に記載の着磁装置。
【0012】
[6]
前記接触部が前記着磁対象物に接触すると、前記磁石による前記吸引力が前記緩衝機構による前記反発力に抗して前記磁石を前記着磁対象物に接近させる、[2]~[5]の何れか1項に記載の着磁装置。
【0013】
[7]
前記緩衝機構は、所定数の緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記磁石に対して一体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に対して往復移動可能な移動部材と、前記ベース部材に対する前記移動部材の往復移動によって弾性変形可能な弾性部材とを有し、前記移動部材は前記接触部を構成する、[2]~[6]の何れか1項に記載の着磁装置。
【0014】
[8]
第1の前記磁石と第1の前記緩衝機構とを有する第1の部分と、前記第1の部分に対して回動可能であって第2の前記磁石と第2の前記緩衝機構とを有する第2の部分とで形成される開閉可能な環状部を有する、[1]~[6]の何れか1項に記載の着磁装置。
【0015】
[9]
前記第1の緩衝機構は、第1の所定数の緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記磁石に対して一体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に対して往復移動可能な移動部材と、前記ベース部材に対する前記移動部材の往復移動によって弾性変形可能な弾性部材とを有し、前記移動部材は前記接触部を構成し、
前記第2の緩衝機構は、第2の所定数の前記緩衝部材を有する、[8]に記載の着磁装置。
【0016】
[10]
前記第1の所定数と前記第2の所定数とが相違する、[9]に記載の着磁装置。
【0017】
[11]
前記第1の部分と前記第2の部分はそれぞれ半環状をなす、[8]~[10]の何れか1項に記載の着磁装置。
【0018】
[12]
前記着磁装置が前記着磁対象物に対して着磁位置に配置された状態において、前記第1の部分における前記吸引力から前記反発力を差し引いた第1の差分は、前記第2の部分における前記吸引力から前記反発力を差し引いた第2の差分に対して相違する、[8]~[11]の何れか1項に記載の着磁装置。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、着磁対象物に対する着磁位置への配置と着磁位置からの除去が容易な着磁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る着磁装置の斜視図である。
図2図1に示す着磁装置の平面図である。
図3図1に示す着磁装置を着磁位置に配置した状態を示す斜視図である。
図4A図1に示す着磁装置における定常状態の緩衝部材を示す斜視図である。
図4B図4Aに示す定常状態の緩衝部材を示す平面図である。
図5A図1に示す着磁装置における動作限界状態の緩衝部材を示す斜視図である。
図5B図5Aに示す動作限界状態の緩衝部材を示す平面図である。
図6図1に示す着磁装置の変形例の斜視図である。
図7図6に示す着磁装置を着磁位置に配置した状態を示す斜視図である。
図8A図6に示す着磁装置における定常状態の緩衝部材を示す斜視図である。
図8B図8Aに示す定常状態の緩衝部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0022】
図1図5Bに示すように、一実施形態に係る着磁装置1は、磁石2と、磁石2の磁力による磁石2と着磁対象物4との間の吸引力の少なくとも一部を相殺するように、磁石2と着磁対象物4との間に反発力を与える緩衝機構3とを有する。
【0023】
このような構成によれば、着磁対象物4に対して着磁装置1を着磁位置(つまり着磁対象物4を着磁可能な位置)に配置する時に磁力による吸着の勢いを緩衝機構3によって緩衝でき、また、着磁位置から着磁装置1を除去する時に緩衝機構3による反発力を利用できるので、着磁装置1の着磁位置への配置と着磁位置からの除去を容易に行うことができる。
【0024】
緩衝機構3の反発力は、弾性変形可能な部材による弾性力によって生じる。このような構成によれば、吸引力による吸着の勢いを弾性力に変換して蓄えることができるので、効率的な緩衝を実現できる。しかし、緩衝機構3はこれに限らず、例えば、アクチュエータによる駆動力などによって反発力を生じる構成としてもよい。
【0025】
緩衝機構3は、着磁対象物4に接触可能な接触部3aと、接触部3aに接触した状態の着磁対象物4に対して磁石2が接近側方向と離間側方向に移動する往復動作が可能となるように磁石2と接触部3aを連結する連結部3bと、磁石2と着磁対象物4との間に反発力を与えるために磁石2を往復動作の離間側方向に付勢する付勢部3cとを有する。このような構成によれば、緩衝機構3を簡単に構成できる。しかし、緩衝機構3の構成はこれに限らない。
【0026】
接触部3aは着磁対象物4に対して転動可能である。このような構成によれば、着磁装置1を着磁位置において着磁対象物4に沿って移動させる時に接触部3aを着磁装置1に対して転動させることで着磁対象物4に対する摺動抵抗を低減できるので、着磁対象物4を容易に着磁できる。しかし、接触部3aの構成はこれに限らず、例えば、図6図8Bに示す変形例のように、接触部3aが着磁対象物4に対して転動不能な構成としてもよい。例えば図3に示すように着磁対象物4が管体である場合においては、その転動の一例は、着磁対象物4である管体の外表面を管体の軸方向に転がり移動することである。
【0027】
接触部3aは少なくとも1つの車輪によって転動可能に構成される。このような構成によれば、転動可能な接触部3aを簡単に構成できる。しかし接触部3aはこれに限らず、例えば、少なくとも1つのローラー又はボールによって構成してもよい。
【0028】
連結部3bは、往復動作における接近側方向のストローク限界位置(例えば、着磁対象物4が管体である場合は管体の外表面からの距離等)を規定するストッパ部3b1を有する。このような構成によれば、着磁位置での着磁対象物4に対する磁石2の距離をストッパ部3b1によって規定できるので、安定した着磁を実現できる。しかし連結部3bの構成はこれに限らない。ストッパ部3b1は例えば、磁石2に対して固定された構成とすることができる。
【0029】
着磁装置1が着磁対象物4に対して着磁位置に配置された状態において、接触部3aは磁石2と着磁対象物4との間の部分以外の部分に位置する。このような構成によれば、着磁位置で着磁対象物4に磁力を効率的に与えることができるので、効率的な着磁を実現できる。しかし着磁装置1の構成はこれに限らない。
【0030】
接触部3aが着磁対象物4に接触すると、磁石2による吸引力が緩衝機構3の反発力に抗して磁石2を着磁対象物4に接近させる。このような構成によれば、着磁装置1を着磁対象物4に対して着磁位置に簡単に配置できる。しかし着磁装置1の構成はこれに限らない。
【0031】
緩衝機構3は、所定数の緩衝部材5を有し、緩衝部材5は、磁石2に対して一体に取り付けられるベース部材5aと、ベース部材5aに対して往復移動可能な移動部材5bと、ベース部材5aに対する移動部材5bの往復移動によって弾性変形可能な弾性部材5cとを有し、移動部材5bは接触部3aを構成する。このような構成によれば、緩衝機構3を簡単に構成できる。しかし、緩衝機構3の構成はこれに限らない。なお、連結部3bはベース部材5aと移動部材5bによって構成される。緩衝部材5は、ベース部材5aに対して移動部材5bが定常位置にある定常状態と、ベース部材5aに対して移動部材5bがストッパ部3b1で接触する往復移動における接近側方向のストローク限界位置にある動作限界状態との間で相互に状態を切り替え可能である。なお所定数とは、1つ又は複数を意味する。1つの緩衝部材5に対してベース部材5a、移動部材5b、及び弾性部材5cがそれぞれ1つ又は複数存在してよい。
【0032】
移動部材5bは、ベース部材5aに対して摺動可能な摺動部材5b1と、摺動部材5b1に取り付けられる接触部材5b2とを有し、接触部3aは、所定数の緩衝部材5の接触部材5b2によって構成される。このような構成によれば、緩衝機構3を簡単に構成できる。しかし、緩衝機構3の構成はこれに限らない。
【0033】
接触部材5b2は所定数の転動体としての車輪を有する。このような構成によれば、転動可能な接触部3aを簡単に構成できる。しかし接触部材5b2はこれに限らず、例えば、ローラー、ボールなど、車輪以外の転動体を有する構成としてもよい。車輪等の転動体の一断面形状は、円、楕円、多角形等であってもよい。また、接触部材5b2は、図6図8Bに示す変形例のように、着磁対象物4に対して転動不能且つ摺動可能な摺動部材を有する構成としてもよい。接触部材5b2は、複数の摺動部材を有する構成としてもよいし、所定数の転動体と所定数の摺動部材との両方を有する構成としてもよい。
【0034】
弾性部材5cは引きバネによって構成される。このような構成によれば、緩衝機構3を簡単に構成できる。しかし緩衝機構3はこれに限らず、例えば、圧縮バネ、板バネ、捻じりバネなどによって構成してもよい。弾性部材5cは、ベース部材5aと移動部材5bとが弾性部材5cを介して相互に力を伝達できるように配置される。弾性部材5cを引きバネで構成する場合、引きバネはベース部材5aの一部と移動部材5bの一部との間に架け渡される。弾性部材5cを圧縮バネで構成する場合、圧縮バネはベース部材5aの一部と移動部材5bの一部との間に、これら部分による圧縮が可能となるように配置される。
【0035】
弾性部材5cは金属などの弾性材料の弾性変形によって弾性力を生じる。このような構成によれば、弾性部材5cを簡単に構成できる。しかし弾性部材5cはこれに限らず、例えば、密封した圧縮空気の反発力を利用する空気ばね装置によって弾性力を生じる構成としてもよい。
【0036】
着磁装置1は、第1の磁石2と第1の緩衝機構3とを有する第1の部分6aと、第1の部分6aに対して回動可能であって第2の磁石2と第2の緩衝機構3とを有する第2の部分6bとで形成される開閉可能な環状部6を有する。このような構成によれば、環状部6を開いた状態で環状部6の内側に着磁対象物4としての管体(プラント内の配管など)を配置し、環状部6を閉じることにより、着磁装置1を管体に対して簡単に着磁位置に配置でき、この着磁位置に配置された状態から管体に対して着磁装置1を管体の軸方向に移動させることで管体を着磁し、環状体を開いて着磁位置から着磁装置1を除去できるので、管体の効率的な着磁を実現できる。またこのような構成によれば、緩衝機構3の連結部3bによって様々な径の管体に適応でき、ストッパ部3b1によって管体に対する良好な芯合わせを実現でき、また、転動可能な接触部3aによって摺動抵抗の少ない簡単な着磁操作を実現できる。しかし着磁装置1の構成はこれに限らない。例えば、着磁装置1は、第1の部分6aは有するものの第2の部分6bは有さず、その結果、環状部6を形成しない構成としてもよい。着磁対象物4は管体に限らず、任意の形状の磁性体であってよい。磁石2の形状は半円筒状に限らず、着磁対象物4の形状等に応じて適宜設定できる。例えば、磁石2は着磁対象物4の形状に合わせて湾曲板状又は平板状をなすように構成できる。着磁装置1は大きさの互いに異なる複数の磁石2を有してもよく、例えば、第1の磁石2と第2の磁石2の大きさが異なってもよい。着磁装置1における磁石2の数は1つであっても3以上であってもよい。磁石2は、永久磁石、一時磁石、或いは、電磁石であってもよい。
【0037】
第1の部分6aと第2の部分6bはそれぞれ半環状をなす。このような構成によれば、環状部6の開閉操作を簡単に行うことができる。しかし環状部6の構成はこれに限らない。
【0038】
着磁装置1が着磁対象物4に対して着磁位置に配置された状態において、第1の部分6aにおける第1の磁石2による吸引力から第1の緩衝機構3による反発力を差し引いた第1の差分は、第2の部分6bにおける第2の磁石2による吸引力から第2の緩衝機構3による反発力を差し引いた第2の差分に対して相違する。このような構成によれば、第1の部分6aと第2の部分6bとのうち、環状部6を開いた時に管体に吸着したまま残り易い方を何れか一方に定めることができるので、管体からの着磁装置1の簡単な除去操作を実現できる。しかし着磁装置1の構成はこれに限らない。なお、第1の磁石2による吸引力は、半環状の第1の部分6aにおける周方向中央において管体の径方向に引き合う力である。第1の緩衝機構3による反発力は、半環状の第1の部分6aにおける周方向中央において管体の径方向に反発し合う力である。
【0039】
第1の部分6aは、第1の磁石2の外面に沿って設けられる第1の外郭部材7を有し、第2の部分6bは、第2の磁石2の外面に沿って設けられる第2の外郭部材7を有し、着磁装置1は、第1の外郭部材7の一端部と第2の外郭部材7の一端部とを回動可能に連結するヒンジ部8と、第1の外郭部材7の他端部と第2の外郭部材7の他端部とを着脱可能に接続するロック部9とを有する。このような構成によれば、開閉可能な環状部6を簡単に構成できる。しかし着磁装置1の構成はこれに限らない。
【0040】
第1の部分6aの反発力は、第1の部分6aに設ける第1の緩衝機構3を構成する緩衝部材5(弾性部材5c)の数によって容易に設定できる。図示の例では第1の部分6aに設ける緩衝部材5の数は2であるが、これに限らない。
【0041】
第2の部分6bの反発力は、第2の部分6bに設ける第2の緩衝機構3を構成する緩衝部材5(弾性部材5c)の数によって容易に設定できる。図示の例では第2の部分6bに設ける緩衝部材5の数は2であるが、これに限らない。
【0042】
上記の第1の差分と第2の差分は、例えば、第1の緩衝機構3を構成する緩衝部材5の第1の所定数と、第2の緩衝機構3を構成する緩衝部材5の第2の所定数とを相違させることにより、容易に相違させることができる。
【0043】
第1の部分6aは、環状部6の軸方向の一方側にのみ第1の緩衝機構3を有する。しかし第1の部分6aは、図6図8Bに示す変形例のように、環状部6の軸方向の両側に第1の緩衝機構3を有する構成としてもよい。
【0044】
第2の部分6bは、環状部6の軸方向の一方側にのみ第2の緩衝機構3を有する。しかし第2の部分6bは、図6図8Bに示す変形例のように、環状部6の軸方向の両側に第2の緩衝機構3を有する構成としてもよい。
【0045】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0046】
したがって、前述した実施形態に係る着磁装置1は、磁石2と、磁石2の磁力による磁石2と着磁対象物4との間の吸引力の少なくとも一部を相殺するように、磁石2と着磁対象物4との間に反発力を与える緩衝機構3とを有する限り、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 着磁装置
2 磁石
3 緩衝機構
3a 接触部
3b 連結部
3b1 ストッパ部
3c 付勢部
4 着磁対象物
5 緩衝部材
5a ベース部材
5b 移動部材
5b1 摺動部材
5b2 接触部材
5c 弾性部材
6 環状部
6a 第1の部分
6b 第2の部分
7 外郭部材
8 ヒンジ部
9 ロック部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B