(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081534
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】食器の浸漬方法及び食器の浸漬装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20240611BHJP
A47L 15/36 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A47L15/24
A47L15/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195228
(22)【出願日】2022-12-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年11月30日に第3回フードテックジャパン東京で展示する旨を記載した展示会案内メールにて公開 (2)令和4年12月1日に株式会社日本経済新聞社へ記事の掲載を依頼する際に送付した省人化食器洗浄システムの提案書及びプレスリリースにて公開 (3)令和4年12月1日に株式会社東洋経済新報社へ記事の掲載を依頼する際に送付した省人化食器洗浄システムの提案書及びプレスリリースにて公開 (4)令和4年12月1日にサイエンスライター森山和道へ記事の掲載を依頼する際に送付した省人化食器洗浄システムの提案書及びプレスリリースにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】嶽北 直昭
(72)【発明者】
【氏名】和田野 誠
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】大谷 宗也
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA02
(57)【要約】
【課題】トレイに載置した喫食後の食器を、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる。
【解決手段】食材を盛り付けた食器DをトレイTに載置して喫食者に提供され、喫食後に、トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、浸漬水供給手段により、表面を上向きとした状態のトレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給し、トレイに載置した食器の表面に浸漬水を貯水した状態とする浸漬水供給ステップS30と、浸漬水供給ステップS30で浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を、搬送手段により少なくとも所定の時間、トレイごと略水平方向に搬送する浸漬洗浄ステップS40と、を含み、浸漬洗浄ステップS40では、トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水によりトレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬方法において、
浸漬水供給手段により、表面を上向きとした状態の前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給し、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を貯水した状態とする浸漬水供給ステップと、
前記浸漬水供給ステップで浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、搬送手段により少なくとも所定の時間、前記トレイごと略水平方向に搬送する浸漬洗浄ステップと、
を含み、
前記浸漬洗浄ステップでは、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする食器の浸漬方法。
【請求項2】
浸漬洗浄ステップでは、
入口昇降部により、浸漬水供給ステップで浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を、前記トレイごと略鉛直方向に昇降させ、略水平方向に搬送し、平面視で少なくとも一部が重なるように上下方向に複数段設けた搬送手段へと移載する第1の昇降ステップと、
前記第1の昇降ステップの後に、前記複数段設けた搬送手段で浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間前記トレイごと略水平方向に搬送する水平搬送ステップと、
を実施し、
前記第1の昇降ステップでは、前記トレイに載置した食器を、
最上段の前記搬送手段から最下段の前記搬送手段、又は、前記最下段の搬送手段から前記最上段の搬送手段へと、異なる段の前記搬送手段に移載する
ことを特徴とする請求項1に記載の食器の浸漬方法。
【請求項3】
浸漬洗浄ステップでは、
出口昇降部により、水平搬送ステップの後に、複数段設けた搬送手段から移載された浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を前記トレイごと昇降させ、略水平方向に搬送する第2の昇降ステップを更に実施し、
前記複数段設けた搬送手段により少なくとも所定の時間搬送した前記トレイに載置した食器を、前記出口昇降部へと順に移載する
ことを特徴とする請求項2に記載の食器の浸漬方法。
【請求項4】
浸漬洗浄ステップでは、
搬送手段により略水平方向に搬送する、浸漬水供給ステップにより供給した浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器へと、更に浸漬水を供給する浸漬水補充ステップを含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の食器の浸漬方法。
【請求項5】
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬装置において、
前記トレイに載置した食器を、前記トレイごと略水平方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段よりも搬送方向の上流側で、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給する浸漬水供給手段と、
を備え、
前記浸漬水供給手段により供給する浸漬水を、表面を上向きとした状態で前記トレイに載置した食器の表面に貯水するとともに、
浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、前記搬送手段により少なくとも所定の時間搬送して、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする食器の浸漬装置。
【請求項6】
浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を、前記トレイごと略水平方向に搬送する搬送手段を複数備え、
前記複数の搬送手段により、浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間搬送する
ことを特徴とする請求項5に記載の食器の浸漬装置。
【請求項7】
複数備える搬送手段を平面視で少なくとも一部が重なるように上下方向に複数段設け、
前記複数段設けた搬送手段の上流側には、
トレイに載置した食器を、前記トレイごと略鉛直方向に昇降可能で前記複数段設けた搬送手段へと略水平方向に搬送する昇降コンベアと、
前記昇降コンベアを略鉛直方向に昇降させる昇降手段と、
を備え、
前記昇降コンベアに載置した前記トレイに載置した食器を、前記昇降手段により昇降させて前記昇降コンベアから前記複数段設けた搬送手段のそれぞれへと移載して、
前記複数段設けた搬送手段ごとに、浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間搬送する
ことを特徴とする請求項6に記載の食器の浸漬装置。
【請求項8】
浸漬水供給手段は、搬送手段よりも搬送方向の上流側でトレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給するとともに、前記搬送手段で搬送する前記トレイに載置した食器の表面に、浸漬水を供給するよう構成される
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の食器の浸漬装置。
【請求項9】
浸漬水供給手段により、所定の温度に加熱した浸漬水を供給するとともに、
少なくとも搬送手段の上方及び両側方を覆う保温筐体を更に備え、
前記搬送手段により搬送するトレイに載置した食器に貯水した前記所定の温度に加熱した浸漬水の温度低下を抑制する
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の食器の浸漬装置。
【請求項10】
複数の搬送手段のそれぞれは、トレイに載置した食器を搬送する所定の時間を略同じとする
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の食器の浸漬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器の浸漬方法及び食器の浸漬装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院、事業所、学校、セルフサービスの食堂等の大量喫食を前提とした施設において、食事を提供する際には、食材は様々な形状の食器に盛り付けられ、トレイ上に載置して喫食者に提供される。喫食に用いられた食器は、残菜等とともにトレイ上に載置されたまま、調理場へと返却される。
【0003】
調理場では、返却された喫食後のトレイと食器とは、再利用するために洗浄装置にて洗浄される。しかし、食器は表面に食材を直接盛り付けることから汚れが多く付着しており、そのまま洗浄装置で洗浄しても、十分に洗浄できないおそれがある。このため、直接食材を盛り付けず比較的汚れが軽微なトレイとは分離され、個別に洗浄される。
【0004】
トレイと分離された食器は、洗浄装置による洗浄の際に汚れを除去しやすくする目的で、洗浄装置にて洗浄する前に、浸漬水を貯水した浸漬槽に投入し、浸漬水により食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄が行われている。そして、浸漬槽から取り出された食器は、洗浄装置にて洗浄水を噴射して洗浄される。このような浸漬洗浄を行う浸漬装置を有する食器洗浄装置として、例えば特許文献1のようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
特許文献1には、食器洗浄装置に有する浸漬水を貯水した浸漬シンク(浸漬槽)に、喫食後の食器を投入し、食器を浸漬槽内に設けた複数の噴流ノズルで発生させた水流により、食器洗浄装置へと接続するコンベアへと誘導し、コンベアにより浸漬槽から取り出して、食器洗浄装置へと搬送する浸漬装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された浸漬装置では、浸漬槽に投入された食器が水流によりコンベアへと到達するまでの時間が食器ごとに異なり、食器間で浸漬時間にばらつきが生じていた。例えば水流により、浸漬洗浄に必要な所定の時間よりも短時間でコンベアへと到達した食器は、食器に付着した汚れが十分に湿潤する前に浸漬槽から取り出されてしまい、後工程の食器洗浄装置で洗浄水を噴射して洗浄しても汚れが除去できないという課題があった。
【0008】
本願では、トレイに載置した喫食後の食器を、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる食器の浸漬方法及び食器の浸漬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る食器の浸漬方法は、
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬方法において、
浸漬水供給手段により、表面を上向きとした状態の前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給し、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を貯水した状態とする浸漬水供給ステップと、
前記浸漬水供給ステップで浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、搬送手段により少なくとも所定の時間、前記トレイごと略水平方向に搬送する浸漬洗浄ステップと、
を含み、
前記浸漬洗浄ステップでは、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る食器の浸漬装置は、
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬装置において、
前記トレイに載置した食器を、前記トレイごと略水平方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段よりも搬送方向の上流側で、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給する浸漬水供給手段と、
を備え、
前記浸漬水供給手段により供給する浸漬水を、表面を上向きとした状態で前記トレイに載置した食器の表面に貯水するとともに、
浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、前記搬送手段により少なくとも所定の時間搬送して、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食器の浸漬方法及び食器の浸漬装置によれば、トレイに載置した喫食後の食器を、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食器の浸漬装置の全体的な概略構成を示す正面図。
【
図2】上記食器の浸漬装置の全体的な概略構成を示す平面図。
【
図3】上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部の全体的なブロック図。
【
図4】上記食器の浸漬装置の振分コンベアの概略構成を示す平面図。
【
図5】上記食器の浸漬装置の合流コンベアの概略構成を示す平面図。
【
図6】上記食器の浸漬装置による食器の浸漬方法を示すステップ図。
【
図7a】(a)~(d)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【
図7b】(e)~(g)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【
図7c】(h)~(j)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【
図7d】(k)~(m)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【
図7e】(n)~(p)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【
図7f】(q)~(s)は上記食器の浸漬装置の浸漬洗浄部でのトレイとトレイに載置した食器の搬送状態を時系列で示す概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬方法において、
浸漬水供給手段により、表面を上向きとした状態の前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給し、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を貯水した状態とする浸漬水供給ステップと、
前記浸漬水供給ステップで浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、搬送手段により少なくとも所定の時間、前記トレイごと略水平方向に搬送する浸漬洗浄ステップと、
を含み、
前記浸漬洗浄ステップでは、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする食器の浸漬方法としたものである。
【0014】
これにより、トレイに載置した喫食後の食器を、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる。そして、浸漬洗浄を終えた食器に洗浄水を噴射して洗浄する際には、食器に付着した汚れをより確実に除去することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
浸漬洗浄ステップでは、
入口昇降部により、浸漬水供給ステップで浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を、前記トレイごと略鉛直方向に昇降させ、略水平方向に搬送し、平面視で少なくとも一部が重なるように上下方向に複数段設けた搬送手段へと移載する第1の昇降ステップと、
前記第1の昇降ステップの後に、前記複数段設けた搬送手段で浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間前記トレイごと略水平方向に搬送する水平搬送ステップと、
を実施し、
前記第1の昇降ステップでは、前記トレイに載置した食器を、
最上段の前記搬送手段から最下段の前記搬送手段、又は、前記最下段の搬送手段から前記最上段の搬送手段へと、異なる段の前記搬送手段に移載する
ことを特徴とする食器の浸漬方法としたものである。
【0016】
これにより、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイに載置した食器の単位時間当たりの処理数を増やしつつ、浸漬装置の設置床面積を低減することができる。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、
浸漬洗浄ステップでは、
出口昇降部により、水平搬送ステップの後に、複数段設けた搬送手段から移載された浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を前記トレイごと昇降させ、略水平方向に搬送する第2の昇降ステップを更に実施し、
前記複数段設けた搬送手段により少なくとも所定の時間搬送した前記トレイに載置した食器を、前記出口昇降部へと順に移載する
ことを特徴とする食器の浸漬方法としたものである。
【0018】
これにより、上下方向に複数段で搬送され浸漬洗浄されたトレイに載置した食器を、人手を介さずに順に搬出することができる。
【0019】
第4の発明は、第1~3のいずれか一つの発明において、
浸漬洗浄ステップでは、
搬送手段により略水平方向に搬送する、浸漬水供給ステップにより供給した浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器へと、更に浸漬水を供給する浸漬水補充ステップを含む
ことを特徴とする食器の浸漬方法としたものである。
【0020】
これにより、搬送手段で搬送されるトレイに載置した食器に貯水した浸漬水を流動させて、汚れを剥離させながら浸漬洗浄することができる。
【0021】
第5の発明は、
食材を盛り付けた食器をトレイに載置して喫食者に提供され、喫食後に、前記トレイに載置した状態のまま返却される食器を洗浄する際に、前記喫食後の食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる浸漬洗浄を行う食器の浸漬装置において、
前記トレイに載置した食器を、前記トレイごと略水平方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段よりも搬送方向の上流側で、前記トレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給する浸漬水供給手段と、
を備え、
前記浸漬水供給手段により供給する浸漬水を、表面を上向きとした状態で前記トレイに載置した食器の表面に貯水するとともに、
浸漬水を貯水した状態の前記トレイに載置した食器を、前記搬送手段により少なくとも所定の時間搬送して、
前記トレイに載置した食器の表面に貯水した浸漬水により、前記トレイに載置した食器に付着した汚れに水分を与えて湿潤させる
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0022】
これにより、トレイに載置した喫食後の食器を、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる。そして、浸漬洗浄を終えた食器に洗浄水を噴射して洗浄する際には、食器に付着した汚れをより確実に除去することができる。
【0023】
第6の発明は、第5の発明において、
浸漬水を貯水した状態のトレイに載置した食器を、前記トレイごと略水平方向に搬送する搬送手段を複数備え、
前記複数の搬送手段により、浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間搬送する
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0024】
これにより、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイに載置した食器の単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0025】
第7の発明は、第6の発明において、
複数備える搬送手段を平面視で少なくとも一部が重なるように上下方向に複数段設け、
前記複数段設けた搬送手段の上流側には、
トレイに載置した食器を、前記トレイごと略鉛直方向に昇降可能で前記複数段設けた搬送手段へと略水平方向に搬送する昇降コンベアと、
前記昇降コンベアを略鉛直方向に昇降させる昇降手段と、
を備え、
前記昇降コンベアに載置した前記トレイに載置した食器を、前記昇降手段により昇降させて前記昇降コンベアから前記複数段設けた搬送手段のそれぞれへと移載して、
前記複数段設けた搬送手段ごとに、浸漬水を貯水した状態の複数の前記トレイに載置した食器を、少なくとも所定の時間搬送する
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0026】
これにより、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイに載置した食器の単位時間当たりの処理数を増やしつつ、浸漬装置の設置床面積を低減することができる。
【0027】
第8の発明は、第5~7のいずれか一つの発明において、
浸漬水供給手段は、搬送手段よりも搬送方向の上流側でトレイに載置した食器の表面に浸漬水を供給するとともに、前記搬送手段で搬送する前記トレイに載置した食器の表面に、浸漬水を供給するよう構成される
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0028】
これにより、搬送手段で搬送されるトレイに載置した食器に貯水した浸漬水を流動させて、汚れを剥離させながら浸漬洗浄することができる。
【0029】
第9の発明は、第5~7のいずれか一つの発明において、
浸漬水供給手段により、所定の温度に加熱した浸漬水を供給するとともに、
少なくとも搬送手段の上方及び両側方を覆う保温筐体を更に備え、
前記搬送手段により搬送するトレイに載置した食器に貯水した前記所定の温度に加熱した浸漬水の温度低下を抑制する
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0030】
これにより、浸漬効果を高めるとともに、浸漬洗浄中の浸漬水の温度低下を抑制し、湿潤作用を高めた状態で浸漬洗浄することができる。
【0031】
第10の発明は、第6又は7の発明において、
複数の搬送手段のそれぞれは、トレイに載置した食器を搬送する所定の時間を略同じとする
ことを特徴とする食器の浸漬装置としたものである。
【0032】
これにより、少なくとも略同じ所定の時間、浸漬洗浄するトレイに載置した食器の単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0033】
(実施形態1)
(食器の浸漬装置の構成)
以下、本発明の一実施形態の食器Dの浸漬装置1について、基本的な構成を説明する。
【0034】
浸漬装置1は、大量喫食を前提とした施設等から返却されたトレイTとトレイTに載置した状態の喫食後の食器Dとに浸漬水を供給して、食器DとトレイTとの表面側に貯水した状態で、少なくとも所定の時間、略水平方向に搬送しながら、食器DとトレイTとに付着した汚れに水分を与え湿潤させる浸漬洗浄を行うものである。
【0035】
本実施形態でいう「トレイT」とは、食器Dを載置する面より周縁が上方に向けて立ち上げられた壁面を有する浅底の皿状のもので、その表面(食器Dを載置する面)側に浸漬水を貯水することができるものを指す。
【0036】
また、以降の説明において、「トレイTとトレイTに載置した食器D」を「トレイセットP」と主に称する。加えて、「浸漬水を貯水した状態のトレイTとトレイTに載置した食器D」を「浸漬水を貯水した状態のトレイセットP」と主に称する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、浸漬装置1は、
返却されたトレイセットPを2列に整列させ、浸漬洗浄を行うハウジング(保温筐体)2内へと搬入口3から搬入する搬入部10と、
ハウジング2内へと搬入されたトレイセットPに浸漬水を供給して、食器DとトレイTとの表面に浸漬水を貯水する浸漬水供給部20と、
浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、少なくとも所定の時間、略水平方向に搬送しつつ浸漬洗浄を行う浸漬洗浄部40と、
浸漬洗浄が終了し、ハウジング2に設けられた搬出口4から搬送された浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、2列から1列に整列させつつ、浸漬装置1から搬出する搬出部70と、
浸漬水供給部20及び浸漬洗浄部40の下方に設けられ、トレイセットPから流下する浸漬水を受け、図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して浸漬タンク21へと浸漬水を流動させる流司5と、
浸漬装置1に備える各機器と電気的に接続され制御する制御部80と、
を備える。
【0038】
ハウジング2は、板金等で形成された筐体であり、浸漬水供給部20及び浸漬洗浄部40の上方及び両側方を覆うように構成されている。ハウジング2には、トレイセットPをハウジング2内へと搬入する開口である搬入口3と、ハウジング2内から搬出する開口である搬出口4とが設けられている。
【0039】
流司5は、板金等により形成され、浸漬水供給部20及び浸漬洗浄部40で、トレイセットPから溢れて、またはこぼれて流下した浸漬水を受ける部材である。流司5の底面には、図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して、後述する浸漬水供給部20の浸漬タンク21が接続されている。そして、流司5で受けた浸漬水は、浸漬タンク21へと流動させて循環使用される。(
図3参照)
【0040】
ハウジング2と流司5とで囲われて形成される浸漬洗浄空間W内にて、トレイセットPが浸漬洗浄される。
【0041】
(搬入部)
次に、浸漬装置1の各部の構成について説明する。
【0042】
まず、搬入部10について説明する。
図1及び
図2に示すように、搬入部10は、ハウジング2内に配置される浸漬水供給部20及び浸漬洗浄部40の搬送方向の上流側に配置されており、例えば、後述する浸漬洗浄部40でのトレイセットPの搬送状態(搬送方向に沿って複数列に並列)に合わせて、1列で浸漬装置1へと搬送されるトレイセットPを複数列に整列しハウジング2内へと搬入するものである。
【0043】
図1及び
図2に示すように、搬入部10は、
浸漬装置1へと1列で搬送されるトレイセットPを、2列に整列しつつハウジング2内へと搬入口3から搬入する第1のコンベア11aと第2のコンベア11bとで構成された振分コンベア11と、
第2のコンベア11bで搬送されるトレイセットPの搬送を遮るガイド板12と、
第1のコンベア11aで搬送されるトレイセットPの搬送を所定のタイミングで遮る昇降ガイド板13と、
昇降ガイド板13を昇降させる昇降手段14と、
第1のコンベア11a上に載置されたトレイセットPの有無を検知する第1の載置センサ15aと、
第2のコンベア11b上に載置されたトレイセットPの有無を検知する第2の載置センサ15bと、
を備える。
【0044】
振分コンベア11は、主たる搬送方向(以下、「主搬送方向」という。)と、主搬送方向と水平方向で直交する方向(以下、「副搬送方向」という。)とに、搬送方向を変換可能な公知の搬送方向変換型コンベアを2つ組み合わせて構成している。この搬送方向変換型コンベアは、ローラコンベアにより主搬送方向に搬送されるワークが、ストッパ機構であるガイド板により主搬送方向への搬送が遮られると、副搬送方向に搬送されるよう構成されている。
【0045】
図4に示すように、振分コンベア11を構成する第1のコンベア11aは主搬送方向(黒矢印の方向)が搬入口3へ向かう方向に沿うとともに、副搬送方向(白抜き矢印の方向)が搬入口3へ向かう方向と直交する水平方向に沿うように配置される。第2のコンベア11bは第1のコンベア11aの副搬送方向側に、それぞれの搬送面が略同じ高さ位置で、主搬送方向(黒矢印の方向)が搬入口3へ向かう方向と直交する水平方向に沿うとともに、副搬送方向(白抜き矢印の方向)が搬入口3へ向かう方向に沿うように配置される。つまり、第1のコンベア11aの主搬送方向と第2のコンベア11bの副搬送方向とは、ハウジング2の搬入口3へ向かう方向に沿うよう配置されている。そして、図中の斜線入り矢印の方向で浸漬装置1へと1列で搬送されるトレイセットPは、第1のコンベア11aに移載されるように構成されている。
【0046】
第1のコンベア11a及び第2のコンベア11bは、それぞれ図示しない例えばローラコンベアに内蔵された電動モータ等により駆動するよう構成されている。
【0047】
第2のコンベア11bの主搬送方向の下流側端部には、ガイド板12が第2のコンベア11bで主搬送方向に搬送するトレイTの縁が接する高さ位置に設けられており、第2のコンベア11bによる主搬送方向へのトレイセットPの搬送を遮る。
【0048】
図1及び
図4に示すように、第1のコンベア11aの主搬送方向の下流側端部には、昇降手段14により昇降可能な昇降ガイド板13が設けられている。第1のコンベア11aで搬送するトレイセットPを副搬送方向に搬送する場合は、昇降手段14により昇降ガイド板13を第1のコンベア11a上のトレイTの縁と接触する高さ位置である上昇位置へと上昇させて、主搬送方向へのトレイセットPの搬送を遮る。また、第1のコンベア11aで搬送するトレイセットPを主搬送方向に搬送する場合は、昇降手段14により昇降ガイド板13を第1のコンベア11a上のトレイTの縁と接触しない高さ位置である下降位置へと下降して、主搬送方向へのトレイセットPの搬送を遮らないよう退避する。
【0049】
ガイド板12及び昇降ガイド板13は、少なくともトレイTと接触する箇所が滑り性を有する樹脂等である、例えば超高分子量ポリエチレン等により構成され、トレイセットPが接触したまま摺動して移動可能に構成されている。
【0050】
第1の載置センサ15aは、第1のコンベア11aの主搬送方向の下流側端部で、昇降ガイド板13よりも搬送方向の下流側で、トレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。また、第2の載置センサ15bは、第2のコンベア11bの副搬送方向の下流側端部で、トレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。第1の載置センサ15a及び第2の載置センサ15bは、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されている。なお、第1の載置センサ15a及び第2の載置センサ15bは、機械式のセンサとしてもよい。
【0051】
(浸漬水供給部)
次に、浸漬水供給部20の構成について説明する。
【0052】
図1、
図2及び
図3に示すように、浸漬水供給部20は、ハウジング2内に配置され、搬入部10から搬入されるトレイセットPに浸漬水を供給して、食器DとトレイTとの表面に貯水し、浸漬洗浄の準備を行う。
【0053】
浸漬水供給部20は、
浸漬水を貯水する浸漬タンク21と、
浸漬タンク21に貯水した浸漬水を吸い込んで第1の配管23へと吐出する第1のポンプ(浸漬水供給手段)22と、
第1の配管23を流動する浸漬水に微細気泡を混入させる微細気泡混入手段24と、
第1の配管23を流動する浸漬水を、トレイセットPの表面に供給する浸漬水供給ノズル(浸漬水供給手段)25と、
水道等に接続され、バルブ27aを開くことにより浸漬タンク21に水を供給する給水管27と、
トレイセットPを略水平方向に搬送するコンベア28と、
コンベア28にトレイセットPが載置されたことを検知する載置センサ26と、
を備える。
【0054】
浸漬水供給部20は、更に、後述する浸漬洗浄部40へと浸漬タンク21に貯水した浸漬水を供給するよう構成されており、
浸漬タンク21に貯水した浸漬水を吸い込んで、浸漬洗浄部40に延出する第2の配管33へと吐出する第2のポンプ(浸漬水供給手段)32と、
第2の配管33を流動する浸漬水を、浸漬洗浄部40の水平搬送部51である浸漬コンベア(搬送手段)52で搬送するトレイセットPの表面に供給する浸漬水補充ノズル(浸漬水供給手段)35と、
を備える。
【0055】
そして、ハウジング2内において、浸漬水供給部20には少なくとも浸漬水供給ノズル25、コンベア28、載置センサ26が配置され、浸漬洗浄部40には少なくとも浸漬水補充ノズル35が配置されるよう構成している。
【0056】
浸漬タンク21に貯水した浸漬水は、浸漬水中に高温蒸気を供給する加熱手段(図示なし)により所定の温度、例えば、40℃~55℃に加熱される。
【0057】
本実施形態において、微細気泡とは、例えば日本産業規格(B8741-1:2019)で規格化されている体積相当の直径が100μm未満の微細気泡であるファインバブル(登録商標)や、体積相当の直径が1μm未満の微細気泡であるウルトラファインバブル(登録商標)を指す。浸漬水に微細気泡を混入させることで、喫食後の食器DやトレイTに付着した汚れの剥離を促進させる。
【0058】
コンベア28は、例えばローラコンベアであり、その搬送面が搬入部10の振分コンベア11の搬送面と略同じ高さ位置でトレイセットPを2列で略水平方向に搬送可能に構成されており、図示しない例えばローラコンベアに内蔵された電動モータ等により駆動するよう構成されている。
【0059】
載置センサ26は、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されており、コンベア28上のトレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。なお、載置センサ26は、機械式のセンサとしてもよい。
【0060】
(浸漬洗浄部)
次に、浸漬洗浄部40の構成について説明する。
【0061】
図1及び
図2に示すように、浸漬洗浄部40は、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、少なくとも所定の時間、略水平方向に搬送して浸漬洗浄を行う。
【0062】
浸漬洗浄部40は、
浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、載置した状態で昇降させ、水平搬送部51へと搬送する入口昇降部41と、
入口昇降部41から搬送された浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、少なくとも所定の時間、略水平方向に搬送しつつ浸漬洗浄を行う水平搬送部51と、
少なくとも所定の時間、搬送しつつ浸漬洗浄を行った浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、載置した状態で昇降させ、搬出部70へと搬送する出口昇降部61と、
を備える。
【0063】
(入口昇降部)
図1及び
図2に示すように、入口昇降部41は、
浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、載置して略鉛直方向に昇降可能で水平搬送部51へと略水平方向に搬送する入口昇降コンベア(昇降コンベア)42と、
入口昇降コンベア42を昇降させる昇降手段43と、
複数のガイドローラ45を介して、入口昇降コンベア42の昇降移動を案内する略鉛直方向に沿ったガイド部44と、
入口昇降コンベア42にトレイセットPが載置されたことを検知する載置センサ46と、
を備える。
【0064】
入口昇降コンベア42は、例えばローラコンベアであり、トレイセットPを2列で略水平方向に搬送可能で、図示しない例えばローラコンベアに内蔵された電動モータ等により駆動するよう構成されている。入口昇降コンベア42は、昇降手段43と接続されており、その搬送面が後述する水平搬送部51の浸漬コンベア52の搬送面と略同じ高さ位置となるよう、2列でトレイセットPを載置したまま昇降可能に構成されている。入口昇降コンベア42は、平面視略方形状に形成され、四隅にはそれぞれ複数のガイドローラ45が取り付けられている。
【0065】
ガイド部44は、板金等により形成されたレール状の部材であり、入口昇降コンベア42に取付けられた複数のガイドローラ45を介して、入口昇降コンベア42の姿勢を安定させた状態で略鉛直方向に昇降移動可能とする位置に設けられている。
【0066】
載置センサ46は、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されており、入口昇降コンベア42上からはみ出さずに所定の位置に載置されたトレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。なお、載置センサ46は、機械式のセンサとしてもよい。
【0067】
(水平搬送部)
図1及び
図2に示すように、水平搬送部51は、
浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、複数載置して略水平方向に搬送する浸漬コンベア52と、
浸漬コンベア52を駆動する駆動手段53と、
浸漬コンベア52の搬送方向の上流側でトレイセットPの有無を検知する上流側センサ55と、
浸漬コンベア52の搬送方向の下流側でトレイセットPの有無を検知する下流側センサ56と、
浸漬コンベア52の搬送方向の上流側端部からのトレイセットPのはみ出しの有無を検知する上流側はみ出しセンサ57と、
浸漬コンベア52の搬送方向の下流側端部からのトレイセットPのはみ出しの有無を検知する下流側はみ出しセンサ58と、
を備える。
【0068】
浸漬コンベア52は、例えば無端状のチェーンコンベアで搬送方向に複数のトレイセットPを載置可能に構成されており、駆動手段53に接続された駆動軸に取付けたスプロケットを介して駆動し、トレイセットPを2列で搬送可能に構成されている。
【0069】
上流側センサ55は、浸漬コンベア52の搬送方向の上流側端部からはみ出さない状態で浸漬コンベア52上の上流側に載置されるトレイセットPを検出可能な位置に設けられている。また、下流側センサ56は、浸漬コンベア52の搬送方向の下流側端部からはみ出さない状態で浸漬コンベア52上の下流側に載置されているトレイセットPを検出可能な位置に設けられている。
【0070】
上流側センサ55及び下流側センサ56は、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されている。なお、上流側センサ55及び下流側センサ56は、機械式のセンサとしてもよい。
【0071】
上流側はみ出しセンサ57及び下流側はみ出しセンサ58は、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されている。上流側はみ出しセンサ57は浸漬コンベア52の搬送方向の上流側端部で、下流側はみ出しセンサ58は浸漬コンベア52の搬送方向の下流側端部で、浸漬コンベア52からはみ出したトレイセットPを検出可能な位置に設けられている。
【0072】
また浸漬コンベア52には、浸漬コンベア52上の搬送方向の所定の箇所に位置するトレイセットPに浸漬水を供給する、浸漬水供給部20の浸漬水補充ノズル35が設けられている。
【0073】
本実施形態では、浸漬コンベア52は、搬送方向に1列で3つのトレイセットP、つまり2列で6つのトレイセットPを載置して搬送可能としており、浸漬水補充ノズル35は、各列の3つのトレイセットPの内、中央のトレイセットPに浸漬水を供給できる位置に設けられている。
【0074】
これにより、浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPに貯水した浸漬水を流動させて、食器DとトレイTとに付着した汚れに水流を作用させ、汚れを剥離させながら浸漬洗浄することができる。また、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPが、搬送により浸漬水がこぼれて貯水量が減少しても、浸漬水を補充することができ、食器DとトレイTの表面の少しでも広い部分の浸漬洗浄をすることができる。
【0075】
水平搬送部51は、浸漬コンベア52が上下方向に複数段設けられており、本実施形態では3段設けられている。3段の浸漬コンベア52の内、最下段の浸漬コンベア52の搬送面が、浸漬水供給部20のコンベア28の搬送面と略同じ高さ位置となるよう配置している。それぞれの段の浸漬コンベア52には、駆動手段53、上流側センサ55、下流側センサ56、上流側はみ出しセンサ57、下流側はみ出しセンサ58、浸漬水供給部20の浸漬水補充ノズル35が設けられている。
【0076】
なお、浸漬コンベア52は、搬送可能なトレイセットPの数を各列で3つ、段数を3段とする構成で説明したが、これに限定されるものではなく、浸漬洗浄するトレイセットPの単位時間当たりの処理数や浸漬装置1を設置する場所に応じて、適宜設定することができる。
【0077】
また、最下段の浸漬コンベア52の搬送面がコンベア28の搬送面と略同じ高さ位置となる構成で説明したが、どの段の浸漬コンベア52の搬送面がコンベア28の搬送面と略同じ高さ位置となるように構成してもよく、いずれの段の浸漬コンベア52の搬送面もコンベア28の搬送面と略同じ高さ位置とならないよう構成してもよい。
【0078】
なお、浸漬水補充ノズル35は、浸漬コンベア52で搬送する各列で3つのトレイセットPの内、中央に位置するトレイセットPに浸漬水が供給できる位置で説明したが、これに限定されず、例えば上流側のトレイセットPに供給できる位置としてもよい。また、浸漬水補充ノズル35を複数設け、複数のトレイセットPもしくは全てのトレイセットPに浸漬水を供給できるよう構成してもよく、浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPに浸漬水が供給できるのであれば、浸漬水補充ノズル35の位置や数は特に限定されない。
【0079】
これにより、浸漬コンベア52上で所定の温度の浸漬水を食器DとトレイTとの表面に補充して、浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPに貯水した浸漬水を流動させて、食器DとトレイTとに付着した汚れに水流を作用させ、汚れを剥離させながら浸漬洗浄することができる。
【0080】
なお、水平搬送部51の浸漬コンベア52は、平面視で完全に一致するように上下方向に複数段設けられる必要はなく、平面視で一部重なるように設けられていればよい。これにより、水平搬送部51の設置床面積を可能な限り小さくすることができる。
【0081】
なお、浸漬コンベア52は、チェーンコンベアで構成する例で説明したが、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを略水平方向に搬送できればよく、例えば、ネットコンベアやローラコンベア等で構成してもよい。
【0082】
浸漬コンベア52を、ローラコンベアで構成する場合は、後述するトレイセットP間の所定の隙間Gに対応する箇所において、例えばローラ間の間隔が所定の隙間Gと略同じに構成するのが好ましい。
【0083】
(出口昇降部)
図1及び
図2に示すように、出口昇降部61は、
浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、載置して略鉛直方向に昇降可能で搬出部70へと略水平方向に搬送する出口昇降コンベア(昇降コンベア)62と、
出口昇降コンベア62を昇降させる昇降手段63と、
複数のガイドローラ65を介して、出口昇降コンベア62の昇降移動を案内する略鉛直方向に沿ったガイド部64と、
出口昇降コンベア62にトレイセットPが載置されたことを検知する載置センサ66と、
を備える。
【0084】
出口昇降コンベア62は、例えばローラコンベアであり、トレイセットPを2列で略水平方向に搬送可能で、図示しない例えばローラコンベアに内蔵された電動モータ等により駆動するよう構成されている。出口昇降コンベア62は、昇降手段63と接続されており、その搬送面が水平搬送部51の浸漬コンベア52の搬送面と略同じ高さ位置となるよう、2列でトレイセットPを載置したまま昇降可能に構成されている。出口昇降コンベア62は、平面視略方形状に形成され、四隅にはそれぞれ複数のガイドローラ65が取り付けられている。
【0085】
ガイド部64は、板金等により形成されたレール状の部材であり、出口昇降コンベア62に取付けられた複数のガイドローラ65を介して、出口昇降コンベア62の姿勢を安定させた状態で昇降可能とする位置に設けられている。
【0086】
載置センサ66は、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されており、出口昇降コンベア62上からはみ出さずに所定の位置に載置されたトレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。なお、載置センサ66は、機械式のセンサとしてもよい。
【0087】
(搬出部)
次に、搬出部70の構成について説明する。
【0088】
図1及び
図2に示すように、搬出部70は、ハウジング2内に配置される浸漬水供給部20及び浸漬洗浄部40の搬送方向の下流側に配置されており、浸漬洗浄部40でのトレイセットPの搬送状態(搬送方向に沿って複数列に並列)に合わせて、複数列で浸漬洗浄部40から搬出されるトレイセットPを1列に整列するものである。
【0089】
図1、
図2及び
図5に示すように、搬出部70は、
2列で搬送されるトレイセットPを、1列に整列しつつ浸漬装置1の下流側へと搬出する第1のコンベア71aと第2のコンベア71bとで構成された合流コンベア71と、
第1のコンベア71aで搬送されるトレイセットPの搬送を遮る第1のガイド板72aと、
第2のコンベア71bで搬送されるトレイセットPの搬送を遮る第2のガイド板72bと、
第1のコンベア71a上に載置されたトレイセットPの有無を検知する第1の載置センサ75aと、
第2のコンベア71b上に載置されたトレイセットPの有無を検知する第2の載置センサ75bと、
を備える。
【0090】
合流コンベア71は、搬入部10の振分コンベア11と同様に、公知の搬送方向変換型コンベアを2つ組み合わせて構成している。
【0091】
図5に示すように、合流コンベア71を構成する第1のコンベア71aは主搬送方向(黒矢印の方向)が搬出口4から搬出されるトレイセットPの搬送方向に沿うとともに、副搬送方向(白抜き矢印の方向)が搬出口4から搬出されるトレイセットPの搬送方向と直交する水平方向に沿うように配置される。第2のコンベア71bは第1のコンベア71aの副搬送方向側に、それぞれの搬送面が略同じ高さ位置で、主搬送方向(黒矢印の方向)が搬出口4から搬出されるトレイセットPの搬送方向と直交する水平方向に沿うとともに、副搬送方向(白抜き矢印の方向)が搬出口4から搬出されるトレイセットPの搬送方向に沿うように配置される。そして、図中の斜線入り矢印の方向で、浸漬装置1から1列で下流側へと搬送可能としている。
【0092】
第1のコンベア71a及び第2のコンベア71bは、それぞれ図示しない例えばローラコンベアに内蔵された電動モータ等により駆動するよう構成されている。
【0093】
第1のコンベア71aの主搬送方向の下流側端部には、第1のガイド板72aが、第1のコンベア71aで主搬送方向に搬送するトレイTの縁が接する高さ位置に設けられており、第1のコンベア71aによる主搬送方向へのトレイセットPの搬送を遮る。
【0094】
また、第2のコンベア71bの主搬送方向の下流側端部には、第2のガイド板72bが、第2のコンベア71bで主搬送方向に搬送するトレイTの縁が接する高さ位置に設けられており、第2のコンベア71bによる主搬送方向へのトレイセットPの搬送を遮る。
【0095】
第1のガイド板72a及び第2のガイド板72bは、少なくともトレイTと接触する箇所が滑り性を有する樹脂等である、例えば超高分子量ポリエチレン等により構成され、トレイTの縁が接する高さ位置に設けられており、トレイセットPが接触したまま摺動して移動可能に構成されている。
【0096】
第1の載置センサ75a及び第2の載置センサ75bは、例えば、赤外線センサなどの光学センサで構成されている。第1の載置センサ75aは第1のコンベア71aの副搬送方向の下流側で、第2の載置センサ75bは第2のコンベア71bの副搬送方向の下流側で、トレイセットPの有無を検知できる位置に設けられている。なお、第1の載置センサ75a及び第2の載置センサ75bは、機械式のセンサとしてもよい。
【0097】
なお、浸漬コンベア52に対する合流コンベア71の搬送面の高さ位置は特に限定していないが、浸漬コンベア52に対する合流コンベア71の搬送面の高さ位置は、いずれの浸漬コンベア52の搬送面とも同じ高さ位置とならないよう構成してもよい。この場合、浸漬コンベア52の搬送面の高さ位置に関係なく、浸漬装置1からトレイセットPを搬出する搬送面の高さを自由に設定することができる。
【0098】
また、複数段の浸漬コンベア52の内、いずれか1つの浸漬コンベア52の搬送面と略同じ高さ位置となるように構成してもよく、例えば、最下段の浸漬コンベア52の搬送面と略同じ高さ位置としてもよい。詳細は後述する。
【0099】
(制御部)
図1に示す制御部80は、搬入部10の振分コンベア11、昇降手段14、第1の載置センサ15a、第2の載置センサ15b、浸漬水供給部20の第1のポンプ22、第2のポンプ32、バルブ27a、コンベア28、載置センサ26、浸漬洗浄部40の昇降コンベア42,62、昇降手段43,63、載置センサ46,66、駆動手段53、上流側センサ55、下流側センサ56、上流側はみ出しセンサ57、下流側はみ出しセンサ58、搬出部70の合流コンベア71、第1の載置センサ75a及び第2の載置センサ75bと電気的に接続されている。
【0100】
なお、浸漬水供給部20の微細気泡混入手段24は、返却される喫食後の食器DとトレイTとに付着した汚れの状態に応じて設けるものであり、汚れが軽微な場合は設けなくてもよい。
【0101】
なお、浸漬タンク21内の浸漬水の加熱手段は、浸漬水中に高温蒸気を供給する加熱手段を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば電気ヒータ等の熱交換器としてもよい。この場合、電気ヒータは、制御部80と電気的に接続される。また、浸漬タンク21に加熱手段を設けず、所定の温度の温水を給水管27から供給してもよい。
【0102】
なお、浸漬タンク21への給水は、水道等に接続された給水管27を通じて行う例で説明したが、これに限定されない。例えば浸漬装置1の下流側に食器洗浄装置を設けている場合は、食器洗浄装置で使用する水をラインポンプ等により給水管27を通じて浸漬タンク21へと給水してもよい。この場合、給水管27にはバルブ27aを設けなくてもよく、ラインポンプは制御部80と電気的に接続するよう構成する。
【0103】
(食器の浸漬装置の動作)
次に、本実施形態に係る食器Dの浸漬装置1の動作について説明する。
【0104】
本実施形態に係る食器Dの浸漬装置1の動作は、
図6に示すように、
浸漬装置1の運転準備を行うとともに浸漬水供給部20にて浸漬水を供給可能な状態に運転準備を行う準備ステップS10と、
準備ステップS10を終えた浸漬装置1へと搬送される複数のトレイセットPを、複数の列に振り分けて浸漬水供給部20へと搬入口3を通じて搬入する搬入ステップS20と、
浸漬水供給部20により、トレイセットPに浸漬水を供給し、食器DとトレイTとの表面に浸漬水を貯水した状態とする浸漬水供給ステップS30と、
浸漬水供給ステップS30で浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、浸漬コンベア52により少なくとも所定の時間略水平方向に搬送する浸漬洗浄ステップS40と、
浸漬洗浄ステップS40により、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄したトレイセットPを、浸漬洗浄部40から搬出口4を通じて搬出し、複数の列のトレイセットPを、合流させて1列で浸漬装置1から搬出する搬出ステップS50と、
を含む。
【0105】
更に浸漬洗浄ステップS40は、
浸漬水供給ステップS30で浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを入口昇降部41により昇降させて、上下方向に複数段設けられた浸漬コンベア52のそれぞれへと移載する第1の昇降ステップS41と、
第1の昇降ステップS41にて移載されたトレイセットPを、浸漬コンベア52で略水平方向に搬送する水平搬送ステップS42と、
水平搬送ステップS42の最中に浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPに、浸漬水を供給する浸漬水補充ステップS43と、
水平搬送ステップS42の後、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、複数段設けられた浸漬コンベア52のそれぞれから出口昇降部61へと移載し昇降させる第2の昇降ステップS44と、
に細分化される。
【0106】
以降の説明において、振分コンベア11、コンベア28、昇降コンベア42,62、浸漬コンベア52、合流コンベア71に対する「略同じ高さ」という表現は、「搬送面が略同じ高さ」であることを意味する。
【0107】
(準備ステップ)
まずは、最初に行う準備ステップS10について説明する。
【0108】
図3に示すように、給水管27のバルブ27aを開いて、浸漬タンク21に浸漬水となる水を水位センサ(図示なし)が検知する所定の水位となるまで供給し貯水する。浸漬タンク21に貯水された水を浸漬水と称する。
【0109】
浸漬タンク21に貯水する浸漬水が所定の水位となったことを水位センサが検知すると、制御部80は、浸漬タンク21に備えた加熱手段(図示なし)を稼働して、浸漬水を所定の温度、例えば40℃~55℃となるように加熱する。
【0110】
浸漬タンク21に貯水する浸漬水が所定の温度となったことを温度センサ(図示なし)が検知すると、制御部80は第1のポンプ22を駆動し、浸漬タンク21から第1の配管23へと送水して、浸漬水供給ノズル25から浸漬水が吐出される。このとき、第1の配管23を流動する浸漬水には、微細気泡混入手段24により微細気泡が混入される。
【0111】
そして、浸漬水供給ノズル25から吐出された浸漬水は、コンベア28の隙間から流司5へと流下して受けられる。流司5で受けられた浸漬水は、ストレーナ(図示なし)を取付けた排水開口5aを介して浸漬タンク21へと流動する。これを所定の時間継続することで、浸漬タンク21に貯水する浸漬水は、微細気泡が混入したものとなる。
【0112】
また、制御部80は、第2のポンプ32を駆動し、浸漬タンク21に貯水する浸漬水を第2の配管33へと送水して、浸漬洗浄部40に設けた浸漬水補充ノズル35から吐出する。そして、浸漬水補充ノズル35から吐出された浸漬水は、浸漬コンベア52の隙間から流司5へと流下して受けられる。流司5で受けられた浸漬水は、図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して浸漬タンク21へと流動する。
【0113】
このように、所定の温度の浸漬水をハウジング2内で吐出することで、浸漬洗浄空間W内の空気を予め昇温させておくことができる。これにより、後述する浸漬洗浄ステップS40において、ハウジング2内で食器DとトレイTとを保温しやすい状態とすることができる。
【0114】
また、制御部80は、搬入部10の昇降手段14を駆動して、昇降ガイド板13を上昇位置に上昇させる。加えて、入口昇降部41の入口昇降コンベア42を、コンベア28と略同じ高さ位置に位置させる。
【0115】
(搬入ステップ)
次に、準備ステップS10の後に行う搬入ステップS20について説明する。
【0116】
喫食に用いられた食器Dは、食器Dの蓋、箸、残菜やゴミ等とともにトレイT上に載置されたまま、例えば下膳カート等の運搬車に収納された状態で調理場へと返却される。調理場では、これらをトレイTごと運搬車から取り出す。そして、浸漬装置1へと搬送する前に、作業員の手により、トレイセットPから食器Dの蓋、箸、ゴミ等が予め取り除かれる。
【0117】
図4に示すように、作業員は、予め食器Dの蓋、箸、ゴミなどが取り除かれたトレイセットPを、振分コンベア11の第1のコンベア11aに載置する。なお、トレイセットPの第1のコンベア11aへの載置は、別途設けた搬送コンベア等の搬送手段により行ってもよい。
【0118】
制御部80は、第1のコンベア11a及び第2のコンベア11bをともに駆動し、トレイセットPは、まず第1のコンベア11aにより主搬送方向(黒矢印の方向)に搬送される。
【0119】
このとき、第1の載置センサ15a及び第2の載置センサ15bは、第1のコンベア11a及び第2のコンベア11b上にトレイセットPが無いことを検知して、昇降ガイド板13を上昇位置に移動させている。
【0120】
そして、第1のコンベア11aは、主搬送方向にトレイセットPを搬送するが、トレイセットPは昇降ガイド板13に当接し、主搬送方向への搬送が遮られる。そして、トレイセットPは昇降ガイド板13に当接したまま摺動して、副搬送方向(白抜き矢印の方向)へと直角に方向を変えて搬送され、第2のコンベア11bへと移載される。
【0121】
第2のコンベア11bに移載されたトレイセットPは、第2のコンベア11bの主搬送方向(黒矢印の方向)に搬送されるが、ガイド板12に当接し、主搬送方向への搬送が遮られる。そして、トレイセットPはガイド板12に当接したまま摺動して、副搬送方向(白抜き矢印の方向)へと直角に方向を変えて搬入口3に向かって搬送される。
【0122】
第2の載置センサ15bにより第2のコンベア11b上にトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は、第2のコンベア11bの駆動を停止する。このようにして、第2のコンベア11b上にトレイセットPが1つ載置された状態で待機する。
【0123】
また、制御部80は、第2の載置センサ15bによりトレイセットPが有ることを検知したときに、昇降手段14を駆動して、昇降ガイド板13を下降位置へと退避させる。
【0124】
そして、次のトレイセットPが第1のコンベア11aに搬送されると、第1のコンベア11aは主搬送方向にトレイセットPを搬送する。そして、載置センサ26により浸漬水供給部20のコンベア28上にトレイセットPが無いことを検知するとともに、第1の載置センサ15aによりトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は、第1のコンベア11aを駆動したまま、トレイセットPを待機させている第2のコンベア11bを駆動するとともに、浸漬水供給部20のコンベア28を駆動する。
【0125】
第1のコンベア11aと第2のコンベア11bとに載置されたトレイセットPは、2列となった状態で搬送され、搬入口3からハウジング2内の浸漬水供給部20へと搬入される。
【0126】
制御部80は、第1の載置センサ15a及び第2の載置センサ15bによりトレイセットPが無いことを検知すると、昇降手段14を駆動して昇降ガイド板13を上昇位置へと移動させ、次のトレイセットPの搬送に備える。
【0127】
(浸漬水供給ステップ)
次に、搬入ステップS20の後に行う浸漬水供給ステップS30について説明する。
【0128】
搬入口3からハウジング2内へと2列で搬入されたトレイセットPは、浸漬水供給部20のコンベア28に移載され搬送される。
【0129】
図1、
図2及び
図3に示すように、コンベア28により2列で搬送されるトレイセットPには、浸漬水供給ノズル25から吐出される浸漬水が供給され、食器DとトレイTとの表面に貯水される。そして、載置センサ26によりコンベア28上にトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は、コンベア28の駆動を停止する。そして、コンベア28上に載置された状態のトレイセットPには、可能な限り多く浸漬水が貯水できる所定の時間、浸漬水供給ノズル25からの浸漬水の供給が継続される。
【0130】
このとき、トレイセットPから溢れた浸漬水は、コンベア28の隙間から流司5へと流下し、図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して浸漬タンク21へと流動して、循環使用される。
【0131】
そして制御部80は、所定の時間経過した上で、載置センサ46により入口昇降部41の入口昇降コンベア42上にトレイセットPが無いことを検知すると、コンベア28を駆動して、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、入口昇降コンベア42へと2列で搬送し移載する。このとき、制御部80は、コンベア28を駆動するとともに入口昇降コンベア42も駆動している。
【0132】
なお、浸漬水供給ノズル25からの浸漬水の供給は、載置センサ26によりトレイセットPが有ることを検知したときに、第1のポンプ22を駆動して行うようにしてもよい。これにより、トレイセットPがコンベア28上に無い間、第1のポンプ22を停止して、駆動に要する電気エネルギーを節約することができる。
【0133】
なお、喫食後に返却されたトレイセットPには、食器D以外のもの、例えば喫食時にでたゴミ等が残されたままとなっている場合がある。これを浸漬装置1へと搬送する際に作業員により予め取り除くが、例えば大きさが小さなゴミ等は、十分に取り除くことができずにトレイセットPの食器D内、若しくはトレイT上に残ったまま、浸漬装置1へ搬送され浸漬洗浄することとなる場合がある。
【0134】
その場合でも、トレイセットPの食器D内、若しくはトレイT上に残ったゴミ等を浸漬水とともにトレイTの縁から流し落とすことができる。
【0135】
(浸漬洗浄ステップ)
次に、浸漬水供給ステップS30の後に行う浸漬洗浄ステップS40について、第1の昇降ステップS41、水平搬送ステップS42、浸漬水補充ステップS43、第2の昇降ステップS44に分けて順に説明する。
【0136】
ここでは、まず水平搬送部51の3段ある浸漬コンベア52の内、1つの所定の段の浸漬コンベア52(
図1の最上段もしくは中段の浸漬コンベア52)で浸漬洗浄する場合について説明したあと、3段ある浸漬コンベア52全てで浸漬洗浄する場合について説明する。また、説明の分かり易さを考慮し、平面視2列で搬送されるトレイセットPを、正面視で見た状態である1つのトレイセットPとして説明する。
【0137】
(第1の昇降ステップ)
図1に示すように、コンベア28により入口昇降コンベア42へと2列で搬送し移載された浸漬水を貯水した状態のトレイセットPは、入口昇降コンベア42により略水平方向に搬送され、載置センサ46によりトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は入口昇降コンベア42の駆動を停止する。これにより、入口昇降コンベア42からはみ出さない位置にトレイセットPが載置され、トレイセットPを安全に昇降移動させることができる。
【0138】
そして、上流側はみ出しセンサ57により浸漬コンベア52の搬送方向の上流側端部からのトレイセットPのはみ出しが無いことを検知すると、制御部80は複数段ある浸漬コンベア52の内、所定の段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置となるよう、昇降手段43を駆動して入口昇降コンベア42を昇降させる。
【0139】
これにより、万が一、入口昇降コンベア42または浸漬コンベア52からはみ出した食器DやトレイTが、昇降移動する入口昇降コンベア42と浸漬コンベア52とで挟み込まれて、食器DやトレイT、浸漬洗浄部40の機器等が破損することを防止することができる。
【0140】
そして、制御部80は、入口昇降コンベア42が所定の段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置となると、昇降手段43の駆動を停止する。
【0141】
このとき、入口昇降コンベア42は、ガイド部44と複数のガイドローラ45とにより、姿勢が安定した状態で昇降するため、入口昇降コンベア42に載置したトレイセットPに貯水した浸漬水を、可能な限りこぼさずに昇降させることができる。
【0142】
略同じ高さ位置となった入口昇降コンベア42を駆動して、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、所定の段の浸漬コンベア52の搬送方向の上流側へと搬送し移載する。このとき、制御部80は、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53も駆動しており、入口昇降コンベア42と所定の段の浸漬コンベア52とを略同じ搬送スピードで搬送して移載する。
【0143】
そして、制御部80は、載置センサ46によりトレイセットPが無いことを検知するとともに、上流側はみ出しセンサ57によりトレイセットPのはみ出しが無いことを検知すると、トレイセットPが浸漬コンベア52に移載されたと判断して、入口昇降コンベア42の駆動を停止する。
【0144】
そして、制御部80は、昇降手段43を駆動して、コンベア28と略同じ高さ位置まで下降させる。以降、トレイセットPの昇降と所定の段の浸漬コンベア52への移載を繰り返し行う。
【0145】
(水平搬送ステップ)
入口昇降コンベア42から浸漬コンベア52の搬送方向の上流側に移載された浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、所定の段の浸漬コンベア52により略水平方向に搬送する。
【0146】
そして、所定の段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止する。このようにして、所定の段の浸漬コンベア52に、1つ目のトレイセットPが載置される。
【0147】
そして、入口昇降コンベア42をコンベア28と略同じ高さとなるまで下降させる。
【0148】
所定の段の浸漬コンベア52の搬送方向の上流側に載置された1つ目のトレイセットPは、上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知して、駆動手段53が停止してから所定の時間、例えば100秒間経過するまで、そのままの位置で待機する。そして、食器DとトレイTとは、表面に貯水した浸漬水により食器DとトレイTの表面に付着した汚れに水分を与え湿潤させ、浸漬洗浄される。
【0149】
制御部80は、上流側センサ55により1つ目のトレイセットPを検知して、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53が停止してから所定の時間、例えば100秒間経過すると、次の2つ目のトレイセットPを所定の段の浸漬コンベア52へ移載可能と判断する。
【0150】
もし、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53が停止してから所定の時間、例えば100秒間経過していない場合、制御部80は、所定の時間経過するまで、次の2つ目のトレイセットPをコンベア28上で浸漬水の供給を継続したまま待機させる。以降、制御部80は、同様の制御を行う。
【0151】
このとき、入口昇降コンベア42へと移載する浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、浸漬水供給部20のコンベア28で待機させている。これにより、食器DとトレイTに浸漬水供給ノズル25から浸漬水を供給する時間を長くし、貯水する浸漬水の量を多くすることができる。また、食器DとトレイTとに付着した汚れに水流を作用させ、汚れを剥離させることができる。
【0152】
そして、第1の昇降ステップS41により、次に入口昇降コンベア42から移載された2つ目のトレイセットPを、所定の段の浸漬コンベア52により略水平方向に搬送する。そして、所定の段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知すると、制御部80は、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止する。このようにして、所定の段の浸漬コンベア52に、2つ目のトレイセットPの載置が完了する。
【0153】
このとき、所定の段の浸漬コンベア52上で待機していた1つ目のトレイセットPは、所定の段の浸漬コンベア52により搬送される2つ目のトレイセットPとともに、略水平方向に搬送される。そして、上流側センサ55により2つ目のトレイセットPが有ることを検知して駆動手段53が停止すると、2つ目のトレイセットPが浸漬コンベア52の搬送方向の上流側に位置するとともに、1つ目のトレイセットPが搬送方向に移動した位置(
図1において所定の段の浸漬コンベア52の搬送方向の中央のトレイセットPの位置)に位置する。このように、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPは、少なくとも1つのトレイセットPを載置可能となる搬送方向の距離を1ピッチとして、間欠搬送される。
【0154】
そして、1つ目のトレイセットPと2つ目のトレイセットPとは、所定の時間、例えば100秒間経過した上で、次の3つ目のトレイセットPが所定の段の浸漬コンベア52へと移載されるまで、そのままの位置で待機し、浸漬洗浄される。つまり、1つ目のトレイセットPは200秒間、2つ目のトレイセットPは100秒間、浸漬洗浄されたこととなる。
【0155】
同様に、第1の昇降ステップS41により、次に入口昇降コンベア42から移載される3つ目のトレイセットPを、所定の段の浸漬コンベア52に載置する際に、1つ目のトレイセットPと2つ目のトレイセットPとは、搬送方向に1ピッチ分搬送され、所定の段の浸漬コンベア52には搬送方向に3つのトレイセットPが載置され満載となる。このようにして、浸漬コンベア52へと移載された浸漬水を貯水した状態のトレイセットPとは、順次、浸漬コンベア52により略水平方向に間欠搬送される。
【0156】
そして、所定の段の浸漬コンベア52に載置された3つのトレイセットPは、所定の時間、例えば100秒間経過した上で、次の4つ目のトレイセットPが所定の段の浸漬コンベア52へと移載されるまで、そのままの位置で待機し、浸漬洗浄される。これにより、1つ目のトレイセットPは300秒間、2つ目のトレイセットPは200秒間、3つ目のトレイセットPは100秒間、浸漬洗浄されたこととなる。このとき、1つ目のトレイセットPは、下流側センサ56によりトレイセットPが有ることを検知された状態となっている。
【0157】
制御部80は、下流側センサ56により1つ目のトレイセットPを検知しており、3つ目のトレイセットPを載置して駆動手段53を停止してから所定の時間、例えば100秒間経過している場合に、所定の段の浸漬コンベア52から出口昇降部61の出口昇降コンベア62へと搬送可能と判断する。そして、駆動手段53を駆動して、所定の段の浸漬コンベア52上の搬送方向の下流側に位置する1つ目のトレイセットPを、出口昇降コンベア62へと搬送し移載する。
【0158】
このように、1つ目のトレイセットPが浸漬コンベア52の搬送方向の上流側に移載されてから、下流側へと間欠搬送され、出口昇降コンベア62へと搬送されるまでの時間を、所定の時間、例えば300秒間、つまり5分間かけて行うことにより、1つ目のトレイセットPは、貯水する浸漬水により少なくとも所定の時間、例えば5分間浸漬洗浄されることとなる。加えて、1つ目のトレイセットPは、浸漬水供給部20で浸漬水が供給され貯水してから浸漬コンベア52へ載置されるまでの間の時間も浸漬洗浄されている。
【0159】
これにより、トレイセットPであるトレイTとトレイTに載置した喫食後の食器Dを、少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄することができる。
【0160】
また、浸漬コンベア52を複数列で、搬送方向に複数のトレイセットPを搬送可能に構成することにより、複数のトレイセットPを同時に浸漬洗浄することで、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイセットPの単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0161】
(浸漬水補充ステップ)
水平搬送ステップS42を行っている最中に、浸漬コンベア52により略水平方向へと所定の時間、例えば5分間かけて搬送する浸漬水を貯水した状態のトレイセットPに、更に浸漬水を供給して貯水する浸漬水を補充する。
【0162】
具体的には、
図1及び
図3に示すように、所定の段の浸漬コンベア52の
図1における搬送方向の中央に位置するトレイセットPに、第2のポンプ32により浸漬タンク21に貯水する所定の温度の浸漬水を、浸漬水補充ノズル35から供給し、食器DとトレイTとの表面に貯水する。
【0163】
浸漬コンベア52で搬送する食器DとトレイTとには、すでに浸漬水供給ノズル25において供給された浸漬水が貯水されており、そこに更に所定の温度の浸漬水を供給することとなる。
【0164】
これにより、浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPに貯水した浸漬水を流動させて、食器DとトレイTとに付着した汚れに水流を作用させ、汚れを剥離させながら浸漬洗浄することができる。
【0165】
また、浸漬洗浄中に、再び所定の温度の浸漬水を供給することで、食器DとトレイTとに貯水する浸漬水の温度を可能な限り維持して、湿潤作用を高めた状態で浸漬洗浄を行うことができる。
【0166】
また、浸漬水供給部20から浸漬コンベア52へと移載される過程で、振動等により一部がこぼれて減少した食器DとトレイTとに貯水していた浸漬水を補充することができ、食器DとトレイTの表面の少しでも広い部分の浸漬洗浄を継続することができる。
【0167】
また、喫食時にでたゴミ等が残されたままのトレイセットPを浸漬装置1へと搬入する際、十分に取り除くことができずに食器D内、若しくはトレイT上に残ったゴミ等が、浸漬水供給ステップS30を行っても尚、十分に流し落とされずに残ったまま、浸漬コンベア52上に載置され浸漬洗浄される場合がある。
【0168】
その場合でも、浸漬水補充ノズル35から食器DとトレイTとに浸漬水を供給することで、食器D内、若しくはトレイTの上に残っていたゴミ等を浸漬水とともにトレイTの縁から流し落とすことができる。このように、浸漬水補充ステップS43では、浸漬洗浄することと、食器DとトレイTとからゴミ等を流し落として排出することとを、並行して実施することができる。
【0169】
そして、食器DとトレイTとから溢れた浸漬水は流司5へと流下し、図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して浸漬タンク21へと流動して、循環使用される。
【0170】
このとき、食器DとトレイTとに付着していた汚れの一部は、溢れる浸漬水とともに流司5へと流下する。これにより、汚れの一部を排出することができ、食器DとトレイTとの洗浄性を向上させることができる。
【0171】
なお、浸漬水補充ノズル35は、後述する浸漬コンベア52で搬送するトレイセットPとトレイセットPとの隙間である所定の隙間Gに位置するよう設けてもよい。この場合は、浸漬コンベア52で間欠搬送される移動中のトレイセットPに浸漬水を供給することになる。
【0172】
これにより、浸漬コンベア52で搬送する食器DとトレイTとに可能な限り多くの浸漬水を貯水した状態とし、食器DとトレイTの表面の少しでも広い部分の浸漬洗浄を継続することができる。
【0173】
そして、浸漬水補充ノズル35から浸漬水を供給したトレイセットPから溢れて下方へと流れ落ちる浸漬水を少なくして、浸漬水とともに流れ落ちる残菜やゴミ等が、下方に位置するトレイセットPへと落下することを抑制することができる。
【0174】
なお、浸漬水補充ノズル35からの浸漬水の供給は、いずれかの段の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知してから、第2のポンプ32を駆動して行うようにしてもよい。これにより、水平搬送部51にトレイセットPが1つも無い間は、第2のポンプ32を停止して、駆動に要する電気エネルギーを節約することができる。
【0175】
(第2の昇降ステップ)
図1に示すように、載置センサ66により出口昇降コンベア62上にトレイセットPが無いことを検知している状態で、所定の段の浸漬コンベア52の下流側センサ56により所定の時間浸漬洗浄を終えたトレイセットPが有ることを検知するとともに、下流側はみ出しセンサ58によりトレイセットPのはみ出しが無いことを検知すると、制御部80は、昇降手段63を駆動して出口昇降コンベア62を昇降させる。所定の段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置まで昇降すると、昇降手段63の駆動を停止する。
【0176】
制御部80は、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53と出口昇降コンベア62とを駆動して、所定の段の浸漬コンベア52の下流側にあるトレイセットP、つまり所定の時間浸漬洗浄を終えた1つ目のトレイセットPを、出口昇降コンベア62へと移載して略水平方向に搬送する。
【0177】
そして、載置センサ66によりトレイセットPがあることを検知すると、制御部80は、出口昇降コンベア62の駆動を停止する。そして、制御部80は所定の段の浸漬コンベア52の下流側はみ出しセンサ58によりトレイセットPのはみ出しが無いことを検知すると、所定の段の浸漬コンベア52から出口昇降コンベア62へとトレイセットPが移載されたと判断する。これにより、出口昇降コンベア62からはみ出さない位置にトレイセットPが載置され、トレイセットPを安全に昇降移動させることができる。このようにして、浸漬洗浄を終えたトレイセットPを、出口昇降コンベア62へと移載する。このとき、制御部80は、所定の段の浸漬コンベア52の駆動手段53も停止する。
【0178】
そして、制御部80は、昇降手段63を駆動して、出口昇降コンベア62を搬出部70の合流コンベア71と略同じ高さ位置となるよう昇降させる。制御部80は、出口昇降コンベア62が合流コンベア71と略同じ高さ位置となると、昇降手段63の駆動を停止する。
【0179】
このとき、出口昇降コンベア62は、ガイド部64と複数のガイドローラ65とにより、姿勢が安定した状態で移動するため、出口昇降コンベア62に載置した、トレイセットPに貯水した浸漬水を、可能な限りこぼさずに昇降させることができる。
【0180】
そして、制御部80は、出口昇降コンベア62を駆動して、トレイセットPを合流コンベア71へと搬送し移載する。このとき、制御部80は合流コンベア71も駆動している。そして、載置センサ66によりトレイセットPが無いことを検知すると、制御部80は、出口昇降コンベア62の駆動を停止する。以降、所定の時間浸漬洗浄を終えたトレイセットPの昇降と合流コンベア71への移載を繰り返し行う。
【0181】
(浸漬洗浄部でのトレイセットの搬送について)
次に、水平搬送部51が上下方向に3段の浸漬コンベア52を備えた場合の浸漬洗浄ステップS40でのトレイセットPの搬送について、
図7a~
図7fを用いて具体的に説明する。
【0182】
図7aは、浸漬水供給ステップS30の後に、水平搬送部51にトレイセットPが1つも載置されていない状態から、第1の昇降ステップS41により水平搬送部51の各浸漬コンベア52の上流側に1つずつトレイセットPを載置するまでの様子を時系列で記載している。同様に
図7bは、各浸漬コンベア52にトレイセットPを2つずつ、
図7cは、トレイセットPを3つずつ載置して満載となるまでの様子を時系列で記載している。
図7dは、水平搬送部51にトレイセットPが満載となった状態から最初に浸漬コンベア52上に載置した1つ目のトレイセットP(最下段の浸漬コンベア52の下流側に位置するトレイセットP)を搬出するまでの様子を時系列で記載している。同様に
図7eは、2つ目のトレイセットP(中段の浸漬コンベア52の下流側に位置するトレイセットP)を、
図7fは、3つ目のトレイセットP(最上段の浸漬コンベア52の下流側に位置するトレイセットP)を搬出するまでの様子を時系列で記載している。以下、順に説明する。
【0183】
図7a(a)に示すように、まず、入口昇降コンベア42は、浸漬水供給ステップS30において浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、コンベア28から移載された状態で、コンベア28と略同じ高さ位置で待機している。
【0184】
そして、入口昇降コンベア42に載置したトレイセットPを、水平搬送部51の最下段にある浸漬コンベア52へと移載する。このとき、コンベア28と最下段の浸漬コンベア52とは、略同じ高さ位置に設けられているため、入口昇降コンベア42を昇降させない。入口昇降コンベア42を駆動させるとともに最下段の浸漬コンベア52を駆動して、最下段の浸漬コンベア52にトレイセットPを移載する。入口昇降コンベア42の載置センサ46によりトレイセットPが無いことを検知するとともに、最下段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知するまで、入口昇降コンベア42と最下段の浸漬コンベア52との駆動を継続した後、停止する。
【0185】
次に入口昇降コンベア42へと移載されたトレイセットPは、
図7a(b)に示すように、中段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置に入口昇降コンベア42を上昇させたあと、入口昇降コンベア42と中段の浸漬コンベア52とを駆動して、中段の浸漬コンベア52にトレイセットPを移載する。入口昇降コンベア42の載置センサ46によりトレイセットPが無いことを検知するとともに、中段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知するまで、入口昇降コンベア42と中段の浸漬コンベア52との駆動を継続した後、停止する。
【0186】
そして、入口昇降コンベア42をコンベア28と略同じ高さとなるまで下降させる。
【0187】
次に入口昇降コンベア42へと移載されたトレイセットPは、
図7a(c)に示すように、最上段の浸漬コンベア52と略同じ高さとなるまで入口昇降コンベア42を上昇させたあと、入口昇降コンベア42と最上段の浸漬コンベア52とを駆動して、最上段の浸漬コンベア52にトレイセットPを移載する。入口昇降コンベア42の載置センサ46によりトレイセットPが無いことを検知するとともに、最上段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知するまで、入口昇降コンベア42と最上段の浸漬コンベア52との駆動を継続した後、停止する。
【0188】
そして、入口昇降コンベア42をコンベア28と略同じ高さとなるまで下降させる。
【0189】
このように、3段の浸漬コンベア52の搬送方向の上流側に、最下段から最上段にかけて順にトレイセットPを1つずつ移載していく。
【0190】
そして、最下段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止してから所定の時間、例えば100秒間経過している場合に、浸漬水供給部20のコンベア28から浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを入口昇降コンベア42へと移載する。
【0191】
このとき、入口昇降コンベア42へと移載する浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、浸漬水供給部20のコンベア28で待機させている。これにより、食器DとトレイTに浸漬水供給ノズル25から浸漬水を供給する時間を長くし、貯水する浸漬水の量を多くすることができる。また、食器DとトレイTとに付着した汚れに水流を作用させ、汚れを剥離させることができる。
【0192】
次に、
図7a(d)に示すように、入口昇降コンベア42へと移載されたトレイセットPは、入口昇降コンベア42を昇降させずに、入口昇降コンベア42と最下段の浸漬コンベア52とを駆動して、浸漬コンベア52にトレイセットPを移載する。入口昇降コンベア42の載置センサ46によりトレイセットPが無いことを検知するとともに、最下段の浸漬コンベア52の上流側センサ55によりトレイセットPが有ることを検知するまで、入口昇降コンベア42と最下段の浸漬コンベア52との駆動を継続した後、停止する。
【0193】
以降、同様に、
図7b、
図7cに示すように、3段の浸漬コンベア52のそれぞれに、トレイセットPが3つずつ載置されるまで、つまり満載となるまで、入口昇降コンベア42による浸漬コンベア52へのトレイセットPの移載を繰り返す。
【0194】
そして、最下段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止してから所定の時間、例えば100秒間経過しているとき、最下段の浸漬コンベア52の下流側の1つ目のトレイセットPは、所定の時間、例えば300秒間経過した状態であり、所定の時間浸漬洗浄を終えている。
【0195】
このように、最初に水平搬送部51へと移載した1つ目のトレイセットP、つまり最下段の浸漬コンベア52の下流側に位置するトレイセットPは、浸漬水を貯水した状態で少なくとも所定の時間である5分間(300秒間)は確実に浸漬洗浄される。
【0196】
これにより、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、水平搬送部51で所定の時間かけて略水平方向に搬送することにより、トレイセットPであるトレイTとトレイTに載置した食器Dとを少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄を行うことができる。
【0197】
次に、
図7c(j)に示すように、水平搬送部51にトレイセットPが満載となった状態で、入口昇降コンベア42に新たにトレイセットPが移載される。このとき、出口昇降コンベア62は最下段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置にあり、入口昇降コンベア42と出口昇降コンベア62とは、最下段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置に配置されている。
【0198】
そして、
図7d(k)及び
図7d(l)に示すように、入口昇降コンベア42、最下段の浸漬コンベア52、出口昇降コンベア62を駆動して、入口昇降コンベア42から最下段の浸漬コンベア52の上流側に新たなトレイセットPを移載するとともに、下流側から出口昇降コンベア62に所定の時間浸漬洗浄を終えた1つ目のトレイセットPを移載する。このように、水平搬送部51から浸漬洗浄を終えたトレイセットPを押し出すように出口昇降コンベア62へ移載するとともに、新たに浸漬洗浄するトレイセットPを水平搬送部51へと移載する。そして再び水平搬送部51にトレイセットPが満載となった状態となる。
【0199】
そして、
図7d(m)に示すように、所定の時間浸漬洗浄を終えた1つ目のトレイセットPを載置した出口昇降コンベア62を、合流コンベア71と略同じ高さ位置へと上昇させて、合流コンベア71に1つ目のトレイセットPを移載する。
【0200】
そして、中段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止してから所定の時間、例えば100秒間経過している場合に、浸漬水供給部20のコンベア28から入口昇降コンベア42へと、新たに浸漬洗浄するトレイセットPを移載する。
【0201】
次に、
図7e(n)及び
図7e(o)に示すように、合流コンベア71に1つ目のトレイセットPを移載し終えた出口昇降コンベア62と、新たに浸漬洗浄するトレイセットPを載置した入口昇降コンベア42とを、中段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置へと移動する。
【0202】
そして、入口昇降コンベア42、中段の浸漬コンベア52、出口昇降コンベア62を駆動して、入口昇降コンベア42から中段の浸漬コンベア52の上流側に新たに浸漬洗浄するトレイセットPを移載するとともに、下流側から出口昇降コンベア62に所定の時間浸漬洗浄を終えた2つ目のトレイセットPを移載する。
【0203】
そして、
図7e(p)に示すように、所定の時間浸漬洗浄を終えた2つ目のトレイセットPを載置した出口昇降コンベア62を、合流コンベア71と略同じ高さ位置へと下降させて、合流コンベア71へ2つ目のトレイセットPを移載し、入口昇降コンベア42をコンベア28と略同じ高さとなるまで下降させる。
【0204】
そして、最上段の浸漬コンベア52の駆動手段53を停止してから所定の時間、例えば100秒間経過している場合に、浸漬水供給部20のコンベア28から入口昇降コンベア42へと、新たに浸漬洗浄するトレイセットPを移載する。
【0205】
次に、
図7f(q)及び
図7f(r)に示すように、合流コンベア71に2つ目のトレイセットPを移載し終えた出口昇降コンベア62と、新たに浸漬洗浄するトレイセットPを載置した入口昇降コンベア42とを、最上段の浸漬コンベア52と略同じ高さ位置へと移動する。
【0206】
そして、入口昇降コンベア42、最上段の浸漬コンベア52、出口昇降コンベア62を駆動して、入口昇降コンベア42から最上段の浸漬コンベア52の上流側にトレイセットPを移載するとともに、下流側から出口昇降コンベア62に所定の時間浸漬洗浄を終えた3つ目のトレイセットPを移載する。
【0207】
そして、
図7f(s)に示すように、所定の時間浸漬洗浄を終えた3つ目のトレイセットPを載置した出口昇降コンベア62を、合流コンベア71と略同じ高さ位置へと下降させて、合流コンベア71へ3つ目のトレイセットPを移載し、入口昇降コンベア42をコンベア28と略同じ高さとなるまで下降させる。以降、これら動作を繰り返す。
【0208】
このように、水平搬送部51へと移載した順番に、水平搬送部51からトレイセットPを搬出することで、全てのトレイセットPを、少なくとも所定の時間である5分間、確実に浸漬洗浄することができる。
【0209】
これにより、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、水平搬送部51で所定の時間かけて略水平方向に搬送することにより、トレイセットPであるトレイTとトレイTに載置した食器Dとを少なくとも所定の時間、確実に浸漬洗浄を行うことができる。
【0210】
そして、浸漬洗浄すべき全てのトレイセットPを水平搬送部51へ移載した以降は、例えば制御部80と接続されたボタン等を作業員が操作して、トレイセットPの搬入が終了したことの信号を制御部80へと送る。制御部80は、振分コンベア11、コンベア28、入口昇降コンベア42を停止した状態として、浸漬コンベア52のそれぞれの駆動手段53を、所定の時間、例えば100秒間停止した後、1ピッチ分だけ駆動する間欠運転を行うよう制御する。
【0211】
制御部80は、駆動手段53の停止時間が所定の時間、例えば100秒間を経過している場合に、浸漬コンベア52の下流側のトレイセットPが搬出可能であると判断する。
【0212】
そして、下流側センサ56によりトレイセットPが有ることを検知しており、駆動手段53の停止時間が所定の時間経過している浸漬コンベア52から、水平搬送部51へ移載した順番に、浸漬コンベア52のそれぞれと、出口昇降コンベア62を駆動して、浸漬洗浄を終えたトレイセットPを合流コンベア71へと移載する。以降、水平搬送部51のトレイセットPが無くなるまで繰り返す。
【0213】
このように、水平搬送部51に複数の浸漬コンベア52を備えるよう構成することにより、複数の浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、それぞれの浸漬コンベア52に載置し並行して浸漬洗浄することにより、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイセットPの単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0214】
また、水平搬送部51を上下方向に複数段の浸漬コンベア52を備えるよう構成することにより、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄するトレイセットPの単位時間当たりの処理数を増やしつつ、浸漬装置1の設置床面積を低減することができる。
【0215】
また、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPを、複数段の浸漬コンベア52のそれぞれへと、入口昇降コンベア42から移載する順番と、複数段の浸漬コンベア52のそれぞれから、出口昇降コンベア62へと移載する順番とを同じとすることで、浸漬洗浄するトレイセットPの先入れ先出しを確実に行うことができる。いずれの浸漬コンベア52においても、トレイセットPを略同じ時間かけて搬送することができる。
【0216】
これにより、少なくとも略同じ所定の時間、浸漬洗浄するトレイセットPの単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0217】
また、上下方向に複数段設けた浸漬コンベア52で搬送され、少なくとも所定の時間、浸漬洗浄されたトレイセットPを、人手を介さずに順に搬出することができる。
【0218】
入口昇降コンベア42、浸漬コンベア52、出口昇降コンベア62は、ハウジング2に形成された浸漬洗浄空間W内にあるため、浸漬洗浄ステップS40を行っている間は、少なくとも浸漬コンベア52により搬送されるトレイセットPに貯水した所定の温度の浸漬水により、浸漬洗浄空間W内の空気を昇温させ、食器DとトレイTが保温される。
【0219】
加えて、ハウジング2の下部は流司5から図示しないストレーナを取付けた排水開口5aを介して、浸漬タンク21へと接続されている。そのため、浸漬タンク21に貯水した図示しない加熱手段により所定の温度に加熱された浸漬水から立ち上る湯気により、ハウジング2内である浸漬洗浄空間W内を昇温させ、食器DとトレイTが保温される。
【0220】
これにより、浸漬洗浄中のトレイセットPに貯水した浸漬水の温度低下を抑制し、湿潤作用を高めた状態で浸漬洗浄することができる。
【0221】
また、入口昇降コンベア42で昇降されるトレイセットPは、入口昇降コンベア42からはみ出さない位置で載置されており、また、浸漬コンベア52の上流側のトレイセットPは、浸漬コンベア52の上流側端部からはみ出さない位置で載置されている。つまり、入口昇降コンベア42上のトレイセットPの搬送方向の下流側のトレイTの縁と、浸漬コンベア52上の上流側のトレイセットPの搬送方向の上流側のトレイTの縁とは、間隔を空けて位置している。そして、入口昇降コンベア42から所定の段の浸漬コンベア52へとトレイセットPを移載するとき、入口昇降コンベア42と浸漬コンベア52とをともに略同じ搬送スピードで駆動して移載するため、浸漬コンベア52により略水平方向に搬送される複数のトレイセットP間には搬送方向に所定の隙間Gが形成される。この所定の隙間Gは、複数段の浸漬コンベア52のそれぞれにおいて、同様に形成される。
【0222】
そして、水平搬送部51にトレイセットPが満載となった状態(
図7c(j)参照)では、複数段の浸漬コンベア52で搬送する複数のトレイセットP間の隙間Gが、浸漬洗浄空間W内で略鉛直方向で直線状に連通するように形成される。このことから、浸漬水補充ノズル35から供給される所定の温度の浸漬水と、浸漬洗浄中の食器DとトレイTとに貯水した浸漬水とにより昇温した空気や、排水開口5aを介して浸漬タンク21から立ち上る浸漬水の湯気が、複数のトレイセットP間の隙間Gを流通しやすくなり、浸漬洗浄空間W内の空気をより昇温させやすくなるため、食器DとトレイTの温度低下を抑制することができる。
【0223】
加えて、隙間Gが浸漬洗浄空間W内で略鉛直方向で直線状に連通するように形成されることから、浸漬水補充ステップS43では、食器D内、若しくはトレイTの上に残っていた喫食後にでたゴミ等を浸漬水とともにトレイTの縁から流し落とすことができる。その際には、その隙間Gを通じて、より下方に位置する他のトレイセットP内へと落下させることなく流し落とすことができる。
【0224】
また、水平搬送ステップS42では、水平搬送部51の複数段設けた浸漬コンベア52のそれぞれにおいて、搬送方向のトレイセットPの位置が平面視で略同じとなる。このため、水平搬送部51にトレイセットPが満載となった状態(
図7c(j)参照)では、最下段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPは、中段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPのトレイTの底面が上方にあり、中段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPは、最上段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPのトレイTの底面が上方にあり、最上段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPは、ハウジング2の天面が上方にある状態となる。つまり、ハウジング2内において、浸漬水を貯水した状態のトレイセットPの上方は、トレイTの底面、若しくはハウジング2の天面が覆った状態となる。
【0225】
そして、各段の浸漬コンベア52で搬送されるトレイセットPには、それぞれの段に設けられた浸漬水補充ノズル35から所定の温度、例えば40℃~55℃の浸漬水が供給される。
【0226】
これにより、浸漬水補充ノズル35から供給される所定の温度の浸漬水と、浸漬洗浄中の食器DとトレイTとに貯水した浸漬水から立ち上がる湯気とが、上下方向におけるトレイT間、若しくはトレイTとハウジング2の天面との間に滞留しやすくなり、トレイセットPに貯水した浸漬水の保温効果を高めた状態とすることができる。これにより、浸漬洗浄中のトレイセットPに貯水した浸漬水の温度低下を抑制し、湿潤作用を高めた状態で浸漬洗浄することができる。
【0227】
この場合、所定の隙間Gは可能な限り小さくするのが好ましい。所定の隙間Gは、例えば、入口昇降コンベア42から浸漬コンベア52へとトレイセットPを移載する際、入口昇降コンベア42と浸漬コンベア52の駆動手段53との駆動を開始するタイミングを変更することで、大きさを変えることができる。
【0228】
具体的には、入口昇降コンベア42を駆動手段53よりも遅いタイミングで駆動することで、所定の隙間Gを大きくすることができる。逆に、入口昇降コンベア42を駆動手段53よりも早いタイミングで駆動することで、所定の隙間Gを小さくすることができる。このように制御部80で運転を制御すればよい。これにより、浸漬洗浄すべきトレイセットPの状態に応じて、食器DとトレイTとに付着した汚れの湿潤効果を高める、またトレイセットPに残ったゴミ等を浸漬水ととともに排出する効果を高める、ことを適宜調整することができる。
【0229】
また、浸漬水を用いる箇所となる浸漬水供給部20、浸漬洗浄部40がハウジング2に覆われているため、浸漬水の熱気や湿気が浸漬装置1を使用する作業空間内に拡散することを抑制し、作業環境を良好に保つことができる。
【0230】
(搬出ステップ)
次に、浸漬洗浄ステップS40の後に行う搬出ステップS50について説明する。
【0231】
図5に示すように、制御部80は、第2の昇降ステップS44を行うことにより出口昇降コンベア62が合流コンベア71と略同じ高さ位置で、出口昇降コンベア62とともに合流コンベア71を駆動して、出口昇降コンベア62に載置された所定の時間浸漬洗浄を終えたトレイセットPを、合流コンベア71の第1のコンベア71aと第2のコンベア71bとに2列で搬送し移載する。
【0232】
そして、載置センサ66によりトレイセットPが無いことを検知すると、制御部80は、出口昇降コンベア62の駆動を停止する。
【0233】
出口昇降コンベア62から第1のコンベア71aに移載されたトレイセットPは、第1のコンベア71aにより主搬送方向(黒矢印の方向)に搬送され、第1のガイド板72aに当接し、主搬送方向への搬送が遮られる。
【0234】
第1のガイド板72aにより、主搬送方向への搬送が遮られると、トレイセットPは第1のガイド板72aに当接したまま摺動して、副搬送方向(白抜き矢印の方向)へと直角に方向を変えて搬送され、第1の載置センサ75aによりトレイセットPを検知して、制御部80は第1のコンベア71aの駆動を停止する。このようにして、第1のコンベア71a上にトレイセットPが1つ載置された状態で待機する。
【0235】
出口昇降コンベア62から第2のコンベア71bに移載されたトレイセットPは、第2のガイド板72bに沿って移載される。第2のガイド板72bに当接し、主搬送方向(黒矢印の方向)への搬送が遮られた状態となる。
【0236】
第2のガイド板72bにより、主搬送方向への搬送が遮られていることにより、トレイセットPは第2のガイド板72bに当接したまま摺動して、副搬送方向(白抜き矢印の方向)へと搬送され、図中の斜線入り矢印の方向で浸漬装置1から搬出される。
【0237】
そして、第2の載置センサ75bが第2のコンベア71bにトレイセットPが無いことを検知すると、制御部80は、第1のコンベア71aと第2のコンベア71bとを駆動して、第1のコンベア71a上で待機しているトレイセットPを第2のコンベア71bへと移載する。
【0238】
第2のコンベア71bに移載されたトレイセットPは、第2のコンベア71bにより主搬送方向に搬送され、第2のガイド板72bに当接し、主搬送方向への搬送が遮られる。そして、トレイセットPは第2のガイド板72bに当接したまま摺動して、副搬送方向へと直角に方向を変えて搬送され、図中の斜線入り矢印の方向で浸漬装置1から搬出される。
【0239】
そして、制御部80は、出口昇降コンベア62の載置センサ66、第1のセンサ75a及び第2のセンサ75bによりトレイセットPが無いことを検知すると、合流コンベア71の駆動を停止する。
【0240】
このように、出口昇降部61から2列で合流コンベア71へと移載されたトレイセットPは、1列で浸漬装置1から搬出される。以降、これら動作を繰り返す。
【0241】
浸漬装置1で浸漬洗浄され、浸漬装置1の下流側へと搬送されたトレイセットPは、食器DとトレイTとに分離されたあと、1枚ずつ搬送しながら表裏面に向けてポンプにより加圧された洗浄水を噴射して洗浄する公知の食器洗浄装置及びトレイ洗浄装置により洗浄される。
【0242】
例えば、浸漬装置1の下流側へと搬送されたトレイセットPを、作業員により食器DとトレイTとに分離する。分離された食器DとトレイTとを、作業員により1枚ずつ食器洗浄装置、トレイ洗浄装置へと搬入して、それぞれ洗浄する。
【0243】
浸漬装置1により浸漬洗浄された食器DとトレイTとは、付着する汚れが十分に湿潤し除去しやすくなっている。このため、食器洗浄装置及びトレイ洗浄装置にて洗浄水を噴射して洗浄する際に、食器DとトレイTとに付着した汚れをより確実に除去することができる。
【0244】
また、浸漬装置1により浸漬洗浄された食器DとトレイTとは、その表面を上向きとした状態で、食器DとトレイTの向きが揃った状態で浸漬装置1から搬送される。また、浸漬洗浄ステップS40で、浸漬水が溢れることにより食器DやトレイTから流出する残菜もあるが、浸漬水と残菜の多くが食器DとトレイTの表面に保持された状態で浸漬装置1から搬送される。このため、浸漬装置1から搬送されて食器洗浄装置及びトレイ洗浄装置にて洗浄するまでの間で、貯水された浸漬水とともに残菜を流すことで食器DとトレイTから残菜を容易に剥離し、残菜を回収することができる。
【0245】
食器洗浄装置及びトレイ洗浄装置により洗浄された食器DとトレイTとは、種類ごとに分けて整理され、例えば熱風が循環する消毒保管庫や、消毒乾燥可能な条件で空調された保管室等にて、消毒乾燥されて保管される。そして、次の使用に備える。
【0246】
なお、食器DとトレイTの分離、食器洗浄装置及びトレイ洗浄装置への搬入は、公知の装置等を用いて自動で行うようにしてもよい。
【0247】
なお、浸漬コンベア52に対する合流コンベア71の高さ位置は、複数段の浸漬コンベア52の内、いずれか1つの浸漬コンベア52と略同じ高さとしてもよい。この場合、合流コンベア71と略同じ高さ位置の浸漬コンベア52から出口昇降コンベア62へとトレイセットPを移載した後、出口昇降コンベア62を昇降させずにそのままの高さで、トレイセットPを合流コンベア71へと搬送することができる。
【0248】
例えば、合流コンベア71の高さ位置を最下段の浸漬コンベア52と略同じ高さとして、振分コンベア11、コンベア28、最下段の浸漬コンベア52、合流コンベア71が略同じ高さ位置となるよう構成する。こうすることで、入口昇降コンベア42及び出口昇降コンベア62を昇降移動させることなく、振分けコンベア11からコンベア28を経て入口昇降コンベア42へのトレイセットPの移載、入口昇降コンベア42から最下段の浸漬コンベア52へのトレイセットPの移載、最下段の浸漬コンベア52から出口昇降コンベア62へのトレイセットPの移載、出口昇降コンベア62から合流コンベア71へのトレイセットPの移載、を行うことができる。
【0249】
これにより、万が一、トラブル等で昇降コンベア42,62を昇降移動させられない場合でも、最下段の浸漬コンベア52で、トレイセットPを浸漬洗浄して浸漬装置1から搬出することができる。
【0250】
なお、水平搬送部51は、搬送方向にトレイセットPが各列で3つ、搬送方向と直交する水平方向に2列で載置可能な浸漬コンベア52を、3段で構成する例で説明したが、搬送方向に載置可能なトレイセットPの数、搬送方向と直交する水平方向の列数、浸漬コンベア52の段数は、これに限定されず、浸漬洗浄するトレイセットPの処理数に応じて適宜設定することができる。
【0251】
例えば、搬入部10から搬出部70までを1列とする場合は、振分コンベア11及び合流コンベア71に換えて、例えば搬送方向のみに搬送可能なコンベア等の搬送手段としてもよい。
【0252】
また、例えば、搬入部10から搬出部70までを3列とする場合は、振分コンベア11の第1のコンベア11aと第2のコンベア11bとの間に、主搬送方向を同じ方向としたもう1台の第1のコンベア11a、昇降ガイド板13、昇降手段14、第1の載置センサ15aを配置し、第1のコンベア11aともう1台の第1のコンベア11aとの間に、第2の載置センサ15bを追加した構成とする。同様に、合流コンベア71の第1のコンベア71aと第2のコンベア71bとの間に、主搬送方向を同じ方向としたもう1台の第1のコンベア71a、第1のガイド板72a、第1の載置センサ75aを配置した構成とすればよい。ただ上述した構成は一例であり、適宜組合せを設定すればよい。
【0253】
なお、水平搬送部51を1段の浸漬コンベア52で構成する場合は、浸漬洗浄部40の入口昇降部41、出口昇降部61を設けなくてもよい。例えば、コンベア28の下流側端部と浸漬コンベア52の上流側端部とを近接させて、トレイセットPをコンベア28から浸漬コンベア52へ直接搬送し移載できるよう構成する。加えて、トレイセットPを浸漬コンベア52から、浸漬コンベア52と略同じ高さ位置に配置した合流コンベア71へ移載できるよう構成すればよい。
【0254】
なお、水平搬送部51の浸漬コンベア52は、トレイセットPを間欠搬送する例で説明したが、所定の時間かけて搬送できるのであれば連続搬送としてもよい。
【0255】
なお、水平搬送部51の浸漬コンベア52へのトレイセットPの載置順は、最下段から上段に順次移載する例で説明したが、どの段の浸漬コンベア52から移載してもよく、例えば最上段から下段にかけて順次移載するようにしてもよく、略同じ時間浸漬洗浄できるように載置した順に浸漬コンベア52からトレイセットPを搬出すればよい。
【0256】
なお、水平搬送部51の複数段の浸漬コンベア52で浸漬洗浄する所定の時間を、異なるようにしてもよい。例えば、中段・最下段の浸漬コンベア52で略水平方向にトレイセットPを搬送する所定の時間を5分とし、最上段の浸漬コンベア52では所定の時間を8分となるよう制御して運転してもよい。この場合、所定の時間が5分の浸漬コンベア52、所定の時間が8分の浸漬コンベア52のそれぞれで、略同じ時間浸漬洗浄できるように載置した順にトレイセットPを搬出すればよい。
【0257】
また、例えば、浸漬コンベア52の駆動手段53、駆動軸、スプロケットを1列ずつ個別に備えるよう構成して、浸漬コンベア52を平面視1列ずつ個別にトレイセットPを搬送できるようにしてもよい。そして一方の列では略水平方向にトレイセットPを搬送する所定の時間を5分とし、他方の列の所定の時間を8分となるよう制御して運転してもよい。
【0258】
これにより、返却される喫食後の食器DとトレイTとに付着した汚れの種類に合わせて、多様な浸漬洗浄を確実に行うことができる。
【0259】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0260】
1 浸漬装置
2 ハウジング(保温筐体)
3 搬入口
4 搬出口
5 流司
5a 排水開口
10 搬入部
11 振分コンベア
11a 第1のコンベア
11b 第2のコンベア
12 ガイド板
13 昇降ガイド板
14 昇降手段
15a 第1の載置センサ
15b 第2の載置センサ
20 浸漬水供給部
21 浸漬タンク
22 第1のポンプ(浸漬水供給手段)
23 第1の配管
24 微細気泡混入手段
25 浸漬水供給ノズル(浸漬水供給手段)
26 載置センサ
27 給水管
27a バルブ
28 コンベア
32 第2のポンプ(浸漬水供給手段)
33 第2の配管
35 浸漬水補充ノズル(浸漬水供給手段)
40 浸漬洗浄部
41 入口昇降部
42 入口昇降コンベア(昇降コンベア)
43 昇降手段
44 ガイド部
45 ガイドローラ
46 載置センサ
51 水平搬送部
52 浸漬コンベア(搬送手段)
53 駆動手段
55 上流側センサ
56 下流側センサ
57 上流側はみ出しセンサ
58 下流側はみ出しセンサ
61 出口昇降部
62 出口昇降コンベア(昇降コンベア)
63 昇降手段
64 ガイド部
65 ガイドローラ
66 載置センサ
70 搬出部
71 合流コンベア
71a 第1のコンベア
71b 第2のコンベア
72a 第1のガイド板
72b 第2のガイド板
75a 第1の載置センサ
75b 第2の載置センサ
80 制御部
S10 準備ステップ
S20 搬入ステップ
S30 浸漬水供給ステップ
S40 浸漬洗浄ステップ
S41 第1の昇降ステップ
S42 水平搬送ステップ
S43 浸漬水補充ステップ
S44 第2の昇降ステップ
S50 搬出ステップ
W 浸漬洗浄空間
G 隙間
P トレイセット
D 食器
T トレイ