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  • 特開-熱交換換気システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081538
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】熱交換換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20240611BHJP
   F24F 12/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F24F7/08 Z
F24F7/08 101J
F24F7/08 101L
F24F7/08 101M
F24F12/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195233
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】512324498
【氏名又は名称】株式会社オンダ建築デザイン事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】恩田 勇
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外気を室内へ給気する給気流と、室内の空気を外気へ排出する排気流との間で熱交換を行う熱交換換気装置を備えた熱交換換気システムの改良に関する。
【解決手段】建物の北側の外壁面に開口された夏期用外気給気口が設けられ、建物の南側に開口された冬期用外気給気口が設けられて、熱交換換気装置の給気ダクトに接続されており、該給気ダクトには夏期用外気給気口と冬期用外気給気口とを択一的に切り替えて室外側吸込口に一方の外気を取り込む切替装置を設けており、夏期には、夏期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換器に取り入れ、冬期用外気給気口からの給気流を遮断してなり、冬期には、冬期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換換気ユニットに取り入れ、夏期用外気給気口からの給気流を遮断してなることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の北側の外壁面に開口された夏期用外気給気口が設けられ、建物の南側に開口された冬期用外気給気口が設けられて、熱交換換気装置の給気ダクトに接続されており、
該給気ダクトには夏期用外気給気口と冬期用外気給気口とを択一的に切り替えて室外側吸込口に一方の外気を取り込む切替装置を設けており、
熱交換換気装置は、給気ダクトに接続されて外気を取り込む室外側吸込口と、外気を室内に給気する室内側吹出口と、還気である室内空気を取り込む室内側吸込口と、室内空気を屋外へ排気する室外側吹出口とを備えてケーシングの内部で互いに交差する給気風路と排気風路とが形成されており、
夏期には、夏期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換器に取り入れ、冬期用外気給気口からの給気流を遮断してなり、
冬期には、冬期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換換気ユニットに取り入れ、夏期用外気給気口からの給気流を遮断してなることを特徴とする熱交換換気システム。
【請求項2】
熱交換換気装置の給気風路側に、冬期に作動する加熱装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換換気システム。
【請求項3】
夏期用外気給気口と冬期用外気給気口の近傍にそれぞれ取り込む外気温度を計測する温度センサと、該温度センサを基に切替装置を作動させるコントローラが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を室内へ給気する給気流と、室内の空気を外気へ排出する排気流との間で、1台の装置にて室内で空調された温度の熱交換を行い、天井裏ダクトにて全室をまかなう熱交換換気装置を備えた熱交換換気システムの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外気を室内へ給気する給気風路と、室内の空気を室外に排気するための排気風路とを備え、排気風路を流れる排気流と給気風路を流れる給気流とを熱交換装置に通過させることで、気流間での熱交換を行いながら換気を行う熱交換換気装置が知られている。
しかし、外気の給気口は建物の外壁面近傍の一定個所に設けられているので、例えば、外気の給気口が南側外壁面近傍に配置してある場合には、夏期には外気温が35℃前後の高温となる。外壁表面温度においては材質にもよるが50℃~60℃以上の場合もある。
一方、北面側では日陰の外壁表面温度は25℃から30℃位で南面外壁面の半分程度である。
また、外気の給気口が北側外壁面近傍に配置している場合には冬期には外気温が5~10℃前後の低温となる。
しかし、日の当たる南面側の外壁表面温度では、冬期であっても30℃以上の場合もある。
そのため、夏期には北側外壁面近傍の給気口から給気して熱交換後に室内に給気できれば空気の温度を低くすることができるが、南側外壁面近傍の給気口から給気する場合には室内の冷房エネルギーを高くする必要がある。
【0003】
同様に冬期に南側外壁面近傍の給気口から給気して熱交換後に室内に給気できれば空気の温度を高くすることができるが、北側外壁面近傍の給気口から給気する場合には室内の暖房エネルギーを高くする必要がある。
これは、従来、外気の給気口が、建物の一定個所に固定されているため、季節により太陽の位置が異なることによって建物の外壁面にあたる温度が大きく異なってしまい、冷房や暖房のため無駄なエネルギーを浪費することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-235955号公報
【特許文献2】特開2020‐143875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、その解決しようとする問題点は、集熱給気ダクトの位置を夏期用外気給気口と冬期用外気給気口とにそれぞれ設けて、若しくはその地域・敷地条件に合わせて、給気する温度によって夏期と冬期とに外気給気口を切り替えて熱交換換気システムに連結させて、冷房エネルギーや暖房エネルギーの無駄を省くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
建物の北側の外壁面に開口された夏期用外気給気口が設けられ、建物の南側に開口された冬期用外気給気口が設けられて、熱交換換気装置の給気ダクトに接続されており、
該給気ダクトには夏期用外気給気口と冬期用外気給気口とを択一的に切り替えて室外側吸込口に一方の外気を取り込む切替装置を設けており、
熱交換換気装置は、給気ダクトに接続されて外気を取り込む室外側吸込口と、外気を室内に給気する室内側吹出口と、還気である室内空気を取り込む室内側吸込口と、室内空気を屋外へ排気する室外側吹出口とを備えてケーシングの内部で互いに交差する給気風路と排気風路とが形成されており、
夏期には、夏期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換器に取り入れ、冬期用外気給気口からの給気流を遮断してなり、
冬期には、冬期用外気給気口からの給気流を給気ダクトから熱交換換気ユニットに取り入れ、夏期用外気給気口からの給気流を遮断してなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明では、熱交換換気装置の給気風路側に、冬期に作動する加熱装置が設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明では、夏期用外気給気口と冬期用外気給気口の近傍にそれぞれ取り込む外気温度を計測する温度センサと、該温度センサを基に切替装置を作動させるコントローラが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成からなるので、夏期には前記夏期用外気給気口から吸い込んだ外気を熱交換装置に取込み、熱交換後に室内側吹出口に送るので、冷房エネルギーが削減でき、冬期には前記冬期用外気給気口から吸い込んだ外気を熱交換装置に取込み、熱交換後に室内側吹出口に送るので、室内の暖房エネルギーが削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】夏期における熱交換換気システムの概略図である。
図2】冬期における熱交換換気システムの概略図である。
図3】冬期における熱交換換気システムで加熱装置を設けた異なる概略図である。
図4】熱交換換気システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
以下に、この発明の熱交換換気システムの好適実施例について説明する。
図1は冬期用給気口3を封鎖し、夏期用外気給気口2を使用する概略図、図2は冬期用外気給気口3を使用し、夏期用給気ダクトを封鎖する概略図である。
図4に示す熱交換換気装置10は、外気を取り込む室外側吸込口11と、外気を室内に給気する室内側吹出口12と、還気である室内空気を取り込む室内側吸込口13と、室内空気を屋外へ排気する室外側吹出口14を備えており、筐体10aの内部には、内部の熱交換器において互いに交差して熱交換するように設けられた給気風路16と排気風路17とが形成された公知構成からなっている。
【0011】
即ち、室内側吹出口12と室内側吸込口13とは、筐体10aにおける対向する側面の一方に設けられており、室外側吸込口11と室外側吹出口14とは、筐体10aにおける対向する側面の他方に設けられている。
【0012】
また、前記室外側吸込口11および室内側吹出口12と、室内側吸込口13および室外側吹出口14とには、クロスする風路を構成するダクトとして前記給気風路16と排気風路17とが設けられている。
【0013】
室外側吸込口11は、室外側給気ダクト1が接続され、該室外側給気ダクト1の両端には、一端側に建物の北側外壁で開口する夏期用外気給気口2けられ、他端側に建物の南側外壁で開口する冬期用外気給気口3が設けられている。
【0014】
そして、室外側給気ダクト11の中間位置には、前記夏期用外気給気口2と冬期用外気給気口3のいずれかの一方の風路を択一的に切り替えて室外側吸込口11に接続する給気切替ユニット4および切替コントローラ35が設けられている。
【0015】
給気切替ユニット4は、夏期には夏期用外気給気口2からの風路のみを室外側吸込口11に通し冬期用外気給気口3からの風路は遮断し、冬期には冬期用外気給気口3からの風路を室外側吸込口11に通し夏期用外気給気口2からの風路は遮断する。
【0016】
上記給気切替ユニット4は、オペレータによるマニュアル操作でもよいし、予め定めたスケジュールの日付によって夏期期間中では、夏期用外気給気口2からの風路のみを室外側吸込口11に通し、冬期期間中では、冬期用外気給気口3からの風路のみを室外側吸込口11に通すように手動または自動的に切り替えてもよい。
【0017】
前記切替操作は、マニュアルによっての切替では不正確になりうるので、温度センサーS1、S2でそれぞれの外気給気口2,3近傍の外気温度を測定し、測定温度が所定温度の範囲内の場合、または所定の温度差によって、夏期には低温の方の風路2を通して高温の風路3を遮断し、冬期には低温3の方の風路を遮断するように自動制御してもよい。
【0018】
また、温度差が一定の範囲内の場合には、いずれか一方だけの風路を通すようにしてもよいし、双方の風路を遮断せずに、給気切替ユニット4を全開して室外側吸込口11に通すようにしてもよい。
【0019】
また、室内側吹出口12は、室内側給気ダクト22が接続され、室内側給気ダクト22を介して建物の各室内の給気吹出口32と連通している。
室内側吸込口13は、室内側排気ダクト23が接続され、各室または所望の室内や廊下などの場所に設けられた排気取込口33が設けられ、前記室内側排気ダクト23を介して室内側吸込口13から室外側吹出口14を経由して室外側排気ダクト24を通り屋外の排気口5から排気される。
【実施例0020】
図3に示す実施例では、熱交換換気装置10の給気風路12側に、冬期に作動する加熱装置40が設けられている。
これによれば、従来型の熱交換換気装置10に、加熱装置40を組み込むことにより、冬期の暖房負荷を低減させることができる。
上記加熱装置40は、夏期は作動しないように設定することが好ましい。
例えば、給気切替ユニット4で夏期用外気給気口2を室外側吸込口11と接続させる場合には、加熱装置40の作動を停止するように連動させ、同様に給気切替ユニット4で冬期用外気給気口3を室外側吸込口11と接続させる場合には、加熱装置40を作動させるようにしてもよい。
更に、加熱装置に限らず冷暖房装置を組み込んでもよい。
【0021】
上記実施例で、夏期用外気給気口と冬期用外気給気口とは、夏期と冬期で建物の外壁に対する日照温度に差違があり、その温度差が大きい個所がある建物で、夏期と冬期で相対的に温度差が大きい場所が選択され、一般的には夏期用外気給気口は北向きの壁面、冬期用外気給気口は南向きの壁面となるが、建物や周囲の環境によって適宜設定することができる。
また、前記実施例のように夏期用外気給気口と冬期用外気給気口の2つに限定することなく、複数設けてもよい。
その場合は、それぞれの給気口近傍の温度をセンサで比較して夏期には最も低い温度の給気口を選択し、冬期には最も温度の高い給気口を選択して使用する給気口を最適のものに切り替えるようにしてもよい。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その他その要旨を変更しない範囲で種々設計変更することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 室外側給気ダクト
2 夏期用外気給気口
3 冬期用外気給気口
4 給気切替ユニット
5 排気口
10 熱交換換気装置
11 室外側吸込口
12 室内側吹出口
13 室内側吸込口
14 室外側吹出口
16 給気風路
17 排気風路
22 内側給気ダクト
23 室内側排気ダクト
24 室外側排気ダクト
32 給気吹出口
33 排気取込口
35 切替コントローラ
40 加熱装置
図1
図2
図3
図4