(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081544
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G06F9/50 120Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195242
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】清川 達則
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、計算機の稼働において、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減し、稼働条件の最適化を可能とする計算機の稼働計画を決定する演算システム及びその稼働方法、並びに計算機の稼働システム及び稼働方法の提供である。
【解決手段】上記課題を解決するために、バイオガスを用いて電力を発生させる発電部と、発電部における発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、電力を用いる計算機の稼働率を決定する稼働率演算部とを備える計算機の稼働計画を決定する演算システム及びその稼働方法、並びに計算機の稼働システム及び稼働方法を提供する。
本発明によれば、バイオガスを用いて得られる発電量に応じた稼働率の演算により、計算機の稼働に際してバイオガス由来の電力を過不足なく供給・消費できる稼働計画の決定が可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷の低減及び稼働条件の最適化が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオガスを用いて電力を発生させる発電部と、
前記発電部における発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の稼働率を決定する稼働率演算部と、を備えることを特徴とする、計算機の稼働計画を決定する演算システム。
【請求項2】
バイオガスを用いて電力を発生させる発電部と、
前記発電部における発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の消費電力における前記電力の利用率を算出する利用率演算部と、を備えることを特徴とする、計算機の稼働計画を決定する演算システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の演算システムと、
前記発電部に供給するバイオガスを発生する嫌気処理部と、
前記発電部により発生した電力を用いる計算機と、を備え、
前記計算機と前記嫌気処理部との間で熱交換を行うことを特徴とする、計算機の稼働システム。
【請求項4】
バイオガスを用いて電力を発生させる発電ステップと、
前記発電ステップにおける発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の稼働率を決定する稼働率演算ステップと、を備えることを特徴とする、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法。
【請求項5】
バイオガスを用いて電力を発生させる発電ステップと、
前記発電ステップにおける発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の消費電力における前記電力の利用率を算出する利用率演算ステップと、を備えることを特徴とする、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の演算システムの稼働方法と、
前記発電ステップに供給するバイオガスを発生する嫌気処理ステップと、
前記発電ステップにより発生した電力を用いる計算機による計算ステップと、を備え、
前記計算ステップと前記嫌気処理ステップとの間で熱交換を行うことを特徴とする、計算機の稼働方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、データセンタや、仮想通貨の発掘(マイニング)のように、大量の情報処理を低遅延かつ高速で行うために用いられる計算機の情報処理能力向上に伴い、消費する電力量も増大している。
【0003】
例えば、特許文献1には、多数の計算機(物理サーバ)が設置されたデータセンタにおいて、電力供給事業者からの電力削減要請に基づき、計算機の通信速度を所定の速度まで低下させ、稼働する計算機台数を削減することで、データセンタの消費電力を素早く低減させる節電システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、電力供給事業者からの電力削減の要請という一種の緊急事態に対し、計算機の通信速度や稼働台数を制御して消費電力の削減を行うことも重要である。一方で、通常時の計算機稼働においても消費電力の削減や環境負荷への低減を行うことが求められている。このため、計算機の稼働において、発電時における二酸化炭素の排出を抑制した電気エネルギーの利用が検討されている。
【0006】
ここで、発電時における二酸化炭素の排出を抑制した電気エネルギーとしては、太陽光や風力などの自然エネルギーを活用するものが広く知られているが、実際のエネルギー利用に当たっては、発電量が自然現象(気象条件等)に依存することから、安定したエネルギー源としての利用にはまだ課題が多い。
【0007】
また、特に、大量の情報処理・情報通信を実行する計算機の稼働において、電力不足による計算機の完全停止や、計算機の演算能力の低下による影響が甚大であり、環境負荷の少ないエネルギー源を用いることと併せて、計算機を適切に稼働させる必要がある。
【0008】
したがって、本発明の課題は、計算機の稼働において、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化を可能とする計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、計算機に対して、バイオガスにより発生した電力を用いるとともに、このときの発電量に係るパラメータを基に、計算機の稼働計画を決定することで、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システムは、バイオガスを用いて電力を発生させる発電部と、発電部における発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の稼働率を決定する稼働率演算部と、を備えるという特徴を有する。
本発明の演算システムは、計算機の稼働計画を決定するものであり、計算機に供給する電力として、バイオガスを用いて発生した電力を使用するものである。廃棄物処理や排水処理における嫌気処理により発生するバイオガスを用いる発電は、嫌気処理における副生成物の再利用という観点に加え、化石燃料の代替としてバイオガスを用いることになるため、代替した分、二酸化炭素の排出を抑制することが可能となる。したがって、バイオガスを用いた発電により得られる電力(電気エネルギー)は、自然エネルギーを活用した場合と同様に、二酸化炭素の排出を抑制した電気エネルギーとして有用である。また、バイオガスを用いた発電により得られる電気エネルギーは、自然エネルギーを活用する場合と異なり、バイオガスを発生させるための処理工程・処理施設を必要とする一方で、バイオガスの発電量については処理工程における条件等から予測が可能であり、突発的な発電量の変動が生じにくいという利点もある。
そして、本発明の演算システムでは、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機自体をどれだけ稼働させるかという稼働率の演算をすることで、計算機の稼働に際してバイオガス由来の電気エネルギーを過不足なく供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システムは、バイオガスを用いて電力を発生させる発電部と、発電部における発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の消費電力における電力の利用率を算出する利用率演算部と、を備えるという特徴を有する。
本発明の演算システムは、計算機の稼働計画を決定するものであり、計算機に供給する電力として、バイオガスを用いて発生した電力を使用するものである。そして、本発明の演算システムでは、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機が消費する電力のうち、どれだけバイオガス由来の電気エネルギーを用いるかという利用率の演算をすることで、計算機の稼働に際して二酸化炭素の排出量が最小となるようにバイオガス由来の電気エネルギーを供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働システムは、上記演算システムと、発電部に供給するバイオガスを発生する嫌気処理部と、発電部により発生した電力を用いる計算機と、を備え、計算機と嫌気処理部との間で熱交換を行うという特徴を有する。
本発明の稼働システムは、上記演算システムにより決定した計算機の稼働計画を実行するものである。そして、本発明の稼働システムでは、計算機とバイオガスを発生する嫌気処理部との間での熱交換を可能とすることで、計算機の稼働時に発生する熱エネルギーを、嫌気処理部における加熱(加温)工程に利用することが可能となるとともに、計算機の冷却に係るエネルギー消費を削減することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して、稼働条件を最適化した上で、二酸化炭素の排出抑制と併せて、消費エネルギー量自体を削減することも可能となる。
【0013】
そして、上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法は、バイオガスを用いて電力を発生させる発電ステップと、発電ステップにおける発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の稼働率を決定する稼働率演算ステップと、を備えるという特徴を有する。
本発明の演算システムの稼働方法は、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働に係るものであり、計算機の稼働計画を決定する方法に相当するものである。併せて、計算機に供給する電力として、バイオガスを用いて発生した電力を使用するものである。そして、本発明の演算システムの稼働方法では、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機自体をどれだけ稼働させるかという稼働率の演算をすることで、計算機の稼働に際してバイオガス由来の電気エネルギーを過不足なく供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法は、バイオガスを用いて電力を発生させる発電ステップと、発電ステップにおける発電量又は発電量を予測するパラメータに基づいて、前記電力を用いる計算機の消費電力における電力の利用率を算出する利用率演算ステップと、を備えるという特徴を有する。
本発明の演算システムの稼働方法は、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働に係るものであり、計算機の稼働計画を決定する方法に相当するものである。併せて、計算機に供給する電力として、バイオガスを用いて発生した電力を使用するものである。そして、本発明の演算システムの稼働方法では、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機が消費する電力のうち、どれだけバイオガス由来の電気エネルギーを用いるかという利用率の演算をすることで、計算機の稼働に際して二酸化炭素の排出量が最小となるようにバイオガス由来の電気エネルギーを供給・消費することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の計算機の稼働方法は、上記演算システムの稼働方法と、発電ステップに供給するバイオガスを発生する嫌気処理ステップと、発電ステップにより発生した電力を用いる計算機による計算ステップと、を備え、計算ステップと嫌気処理ステップとの間で熱交換を行うという特徴を有する。
本発明の稼働方法は、上記演算システムの稼働方法により決定した計算機の稼働計画を実行するものである。そして、本発明の稼働方法では、計算機による計算ステップとバイオガスを発生する嫌気処理ステップとの間での熱交換を可能とすることで、計算機の稼働時に発生する熱エネルギーを、嫌気処理における加熱(加温)工程に利用することが可能となるとともに、計算機の冷却に係るエネルギー消費を削減することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して、稼働条件を最適化した上で、二酸化炭素の排出抑制と併せて、消費エネルギー量自体を削減することも可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、計算機の稼働において、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化を可能とする計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム及び計算機の稼働システムの概略説明図である。
【
図2】本発明の第2の実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム及び計算機の稼働システムの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法の実施態様を詳細に説明する。ここで、本発明における計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法とは、本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システムを稼働(運用)することで計算機の稼働計画を決定する方法に相当するものであり、本発明における演算システムの作動の説明に置き換えるものとする。また、本発明における計算機の稼働方法は、本発明における計算機の稼働システムの作動の説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法については、本発明に係る計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明における計算機とは、電力を消費し、情報処理や情報通信を行う機器全般を指すものであり、情報処理や情報通信を行うための回路を搭載した筐体からなるものが挙げられる。また、本発明における計算機は、1台からなるものであってもよく、複数台を並列あるいは直列に接続した計算機群として作動させるものであってもよい。このとき、複数台の計算機を接続する手段としては、有線による接続であってもよく、無線(ネットワーク)による接続であってもよい。以下、本発明における「計算機」としては、1台からなる計算機と、複数台の計算機を接続した計算機群の両方を含むものとする。
特に、本発明において、稼働計画を決定する対象となる計算機(または計算機群)としては、大量の情報処理や情報通信を低遅延で実行するために、消費電力あるいは消費電力量が大きいものを対象とすることが好ましい。例えば、消費電力が100W以上、より好ましくは300W以上となる計算機のほか、常時稼働している必要がある計算機が挙げられる。
このような計算機としては、例えば、大容量のデータ送信や演算処理を行うサーバ(データセンター)として利用されるもの、ディープラーニングや機械学習を行うためのもの、仮想通貨の発掘(マイニング)やブロックチェーンの形成に利用されるもの、ハイパフォーマンスコンピューティングを行うために用いられるものなどが挙げられる。これにより、計算機の稼働において、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化を可能とするという本発明の効果を顕著に発揮することができる。
【0020】
また、本発明における計算機の稼働計画とは、計算機の運用に係るものであり、計算機が発揮する処理能力を基準とするもの、あるいは計算機に供給する電力の特性を基準とするものが含まれる。より具体的には、本発明における計算機の稼働計画としては、計算機自体をどれだけ稼働させるかという稼働率に基づくものと、計算機の消費電力におけるバイオガス由来の電力の利用率に基づくものとが挙げられる。
【0021】
〔第1の実施態様〕
図1は、本発明の第1の実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム及び計算機の稼働システムの構造を示す概略説明図である。
本実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム1A(以下、単に「演算システム1A」と呼ぶ)は、複数の計算機C1~C3からなる計算機群Cを稼働させるに当たり、バイオガスを用いて電力を発生させる発電部2からの発電量(発生した電力量)に係るパラメータに基づき、計算機群Cをどれだけ稼働させるかについての稼働計画を決定するためのものである。
また、本実施態様における計算機の稼働システム10A(以下、単に「稼働システム10A」と呼ぶ)は、演算システム1Aによって決定された稼働計画に基づき、計算機群Cを稼働させるためのものである。
【0022】
[演算システム]
図1に基づき、本実施態様における演算システム1Aについて説明する。
図1に示すように、演算システム1Aは、バイオガスを用いて電力Pを発生させる発電部2と、発電部2における発電量(電力Pの発生量)又は発電量を予測するパラメータに基づいて、電力Pを用いる計算機群Cの稼働率を決定する稼働率演算部3とを備えるものである。
ここで、本実施態様における計算機群Cとしては、情報処理や情報通信を行うための回路を搭載した筐体からなる計算機C1~C3を接続してなるものを示しているが、上述のとおり、計算機群Cを構成する計算機の数については特に限定されるものではない。
なお、
図1において、一点鎖線の矢印は、制御可能あるいは入出力可能に接続されていることを示している。
【0023】
発電部2は、バイオガスを用いて電力Pを発生させる発電ステップを行うためのものである。
発電部2は、バイオガス由来の電力P(電気エネルギー)を得ることができるものであればよく、具体的な構造については特に限定されない。例えば、バイオガスを燃焼させて電気エネルギーを取り出すための駆動装置及び発電機を備えるものや、バイオガス(主にメタンガス)を改質して水素ガスとしたものを電気化学的に反応させて電気エネルギーを取り出す燃料電池を備えるものなどが挙げられる。
【0024】
ここで、発電部2で用いるバイオガスについては特に限定されないが、後述する嫌気処理部4のように、嫌気処理による副生成物として生成するものを用いることが挙げられる。これにより、嫌気処理による副生成物の再利用という観点に加え、従来の発電(火力発電等)で必要となる化石燃料の代替としてバイオガスを用いることになるため、代替した分、二酸化炭素の排出を抑制することが可能となる。
【0025】
稼働率演算部3は、発電部2における発電量(電力Pの発生量)に係るパラメータに基づいて、電力Pを用いる計算機群C自体をどれだけ稼働させるかという稼働率を決定する稼働率演算ステップを行うためのものである。
ここで、決定する稼働率は、計算機群Cを構成する各計算機(計算機C1~C3)の稼働台数のほか、計算機群Cとして発揮する処理能力(演算速度・情報処理速度・通信速度)について、最大能力(理論値含む)に対する割合(例えば、最大情報処理速度の7割となるように各計算機C1~C3の稼働を制限すること等)などを表す指標となる値である。
【0026】
稼働率演算部3としては、発電部2における発電量(電力Pの発生量)に係るパラメータを取得する発電量情報取得部31と、発電量情報取得部31により得られた情報に基づき、稼働率の演算・決定を行う稼働率決定部32と、決定した稼働率を外部出力する稼働率出力部33を備えることが挙げられる。
図1に示すように、発電量情報取得部31と稼働率決定部32は入出力可能に接続されている。また、稼働率決定部32と稼働率出力部33が入出力可能に接続されている。
【0027】
発電量情報取得部31は、発電部2における発電量(電力Pの発生量)又は発電量を予測するパラメータに係る情報を取得するためのものである。
ここで、発電部2における発電量(電力Pの発生量)又は発電量を予測するパラメータに係る情報とは、発電部2から計算機(本実施態様における計算機群C)に対して供給可能な電力Pに係る情報を取得するためのものである。
発電量情報取得部31で取得する情報の具体例としては、発電量(実測値)のほか、発電部2に供給されるバイオガス濃度や流量、発電部2の発電効率に係る情報が挙げられる。
また、発電量情報取得部31で取得する情報のうち、発電量を予測するパラメータとしては、発電部2内のバイオガスに係る情報ではなく、発電部2に供給される前のバイオガスに係る情報、すなわち発電部2に供給するバイオガスを発生させる嫌気処理部4における処理条件(バイオガス発生条件)を用いることが挙げられる。嫌気処理部4については後述するが、発電量情報取得部31で取得する嫌気処理部4の処理条件としては、処理対象物の濃度・流入量、処理pH、処理温度、薬剤使用量、嫌気処理部4の稼働時間などが挙げられる。これにより、計算機(計算機群C)に供給可能な電力Pについての早い段階での事前予測が可能となり、計算機(計算機群C)の稼働計画の決定に係る精度向上や、計算機(計算機群C)の稼働条件の最適化を図るまでの時間的猶予を得ることが可能となる。
【0028】
稼働率決定部32は、発電量情報取得部31で取得した情報に基づき、計算機群C自体をどれだけ稼働させるかという稼働率の演算・決定を行うためのものである。
稼働率決定部32における稼働率の演算・決定の一例としては、計算機群Cの消費電力又は予定される消費電力量と、発電量情報取得部31で取得した情報に基づく発電部2からの電力Pを基に、安定に稼働させることができる計算機群Cを構成する各計算機(本実施態様における計算機C1~C3)の稼働台数を決定することが挙げられる。これにより、計算機群Cの稼働に際して、バイオガス由来の電気エネルギーを過不足なく供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。
【0029】
稼働率出力部33は、稼働率決定部32で決定した稼働率に係る情報を外部出力するためのものである。決定した稼働率に係る情報を外部出力する手段については特に限定されない。例えば、稼働率に係る情報を数値として表示する手段を設けることや、稼働率に係る情報をデータや制御信号として出力する手段を設けることなどが挙げられる。
【0030】
稼働率演算部3における発電量情報取得部31、稼働率決定部32、稼働率出力部33は、それぞれを実行するための手段は特に限定されない。例えば、作業者や管理者等、人による操作や判断を行うもの以外に、ネットワーク回線を介したデータの送受信装置や、データの整理、演算を行う計算装置等、あらかじめ設定されたプログラムなどに基づき、操作や演算を自動化するものなどが挙げられる。特に、稼働率演算部3における一連の操作について必要なプログラムを作成し、CPU等のプロセッサにより実行するものとすることが好ましい。これにより、計算機Cの稼働率の決定に係る複数のデータについての取得、整理、演算を迅速かつ正確に行うことができ、計算機Cの稼働条件の最適化に係る精度を高めることができる。
【0031】
なお、稼働率演算部3によって決定した稼働率に基づき、計算機群Cを稼働させる手段については特に限定されない。稼働率出力部33からのデータを基に、作業者や管理者等による手動操作を行うものとしてもよく、計算機群Cの稼働を制御する稼働制御部を設け、計算機群Cの稼働に係る操作を稼働率出力部33からのデータに沿って自動的に行うものとしてもよい。
【0032】
以上のように、本実施態様における演算システム1Aは、バイオガスを用いて発生した電力を使用する計算機の稼働計画を決定するものであり、バイオガスを用いて発生した電力は、二酸化炭素の排出を抑制した電気エネルギーとして有用であるとともに、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機自体をどれだけ稼働させるかという稼働率の演算をすることで、計算機の稼働に際してバイオガス由来の電気エネルギーを過不足なく供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0033】
[稼働システム]
図1に基づき、本実施態様における稼働システム10Aについて説明する。
図1に示すように、稼働システム10Aは、上述した演算システム1Aと、発電部2に供給するバイオガスを発生する嫌気処理部4と、発電部2で発生した電力Pを用いる計算機群Cを備えるものであり、さらに、嫌気処理部4と計算機群Cとの間で熱交換を行うための熱交換部5を備えている。
【0034】
本実施態様における嫌気処理部4は、発電部2に供給するバイオガスを発生させるためのものである。
嫌気処理部4で行う処理としては、酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵や、脱窒菌により硝酸・亜硝酸の還元を行う脱窒処理や、硫酸還元菌により硫酸の還元を行う硫酸還元処理等が挙げられる。生成するバイオガス成分の有用性の観点から、特に、メタンを生成するメタン発酵が特に好ましい。
【0035】
また、嫌気処理部4で処理を行う処理対象物については、嫌気処理が可能なものであれば特に限定されず、固体あるいは液体のいずれであってもよい。具体的な処理対象物の例としては、例えば、食品工場、化学工場、紙パルプ工場等の各種工場から排出される工業排水や、下水などの生活排水などのような排水(廃水)が挙げられる。また、処理対象物の他の例としては、例えば、家庭や各種工場から排出する生ごみや食品廃棄物、木などバイオマスのほか、各種工場から排出される工業排水や下水などの生活排水を処理した後の余剰汚泥などのような固体廃棄物が挙げられる。
【0036】
また、嫌気処理部4としては、処理対象物の処理工程の一部に嫌気処理を含むものであればよく、1つ又は複数の槽からなる設備であってもよく、複数の槽・設備からなる施設であってもよい。より具体的には、本実施態様における嫌気処理部4としては、固体成分に対して嫌気処理を行う消化設備(消化槽)や、液体成分に対して嫌気処理を行うメタン発酵設備(メタン発酵槽単独、あるいは酸生成槽及びメタン発酵槽)のほか、これらの消化設備又はメタン発酵設備を備える廃棄物処理施設、排水処理設備、下水処理施設などが挙げられる。
【0037】
嫌気処理部4における嫌気処理は、一般的に常温よりも高い温度(37℃又は52℃)が最適温度とされているため、本実施態様における嫌気処理部4は、加熱(加温)手段を備えることが好ましい。加熱手段の具体例については特に限定されないが、後述する熱交換部5を介した熱エネルギーを利用することが好ましい。
【0038】
熱交換部5は、計算機群Cと嫌気処理部4との間で熱交換を行うためのものである。
計算機群Cの稼働により、計算機群Cからは熱エネルギーが放出される。特に、大量の情報処理や情報通信を低遅延で実行する計算機群Cでは、消費電力の増大とともに、放出される熱エネルギーも増大する。計算機群Cが高温化すると、処理能力の低下や機器の短寿命化を招くため、従来の計算機では、冷却するための冷却機構を設け、さらに冷却機構を稼働するために電力を消費する必要があった。
一方、嫌気処理部4は、上述したように、嫌気処理の最適温度が一般的に常温よりも高い温度であるため、加熱手段を設けることが好ましい。
したがって、熱交換部5は、少なくとも、計算機群Cから放出される熱エネルギーを、嫌気処理部4に供給することができるものであればよい。これにより、計算機群Cから放出される熱エネルギーを有効活用することができ、稼働システム10A全体としての消費エネルギー量を低減させることが可能となる。
【0039】
このとき、計算機群Cから放出される熱エネルギーを嫌気処理部4に移動させる熱媒体として、嫌気処理部4で処理された後の排水を用いることが挙げられる。すなわち、嫌気処理部4で排出する排水を、嫌気処理部4と計算機群Cの間で循環移動させ、計算機群Cから放出される熱エネルギーが移動した排水を、嫌気処理部4における加熱手段として用い、熱交換後の排水は、計算機群Cを冷却する冷却水として機能させることが可能となる。このとき、嫌気処理部4と計算機群Cの間で排水を循環移動させる手段については特に限定されない。例えば、熱伝導性の高い材質からなる配管を、計算機群Cを構成する計算機C1~C3の筐体外周あるいは筐体に設けられた放熱板と接触するように配する一方、嫌気処理部4の槽外周あるいは給水配管と接触するように配することで、循環流路を形成し、この循環流路内に嫌気処理部4で排出された排水を流入させることなどが挙げられる。
これにより、嫌気処理部4における加熱(加温)、及び、計算機群Cの冷却に係るエネルギー消費を削減することが可能となる。
【0040】
以上のように、本実施態様における稼働システム10Aは、上述した演算システム1Aにより決定した計算機の稼働計画を実行するものである。そして、稼働システム10Aでは、計算機とバイオガスを発生する嫌気処理部との間での熱交換を可能とすることで、計算機の稼働時に発生する熱エネルギーを、嫌気処理部における加熱(加温)工程に利用することが可能となるとともに、計算機の冷却に係るエネルギー消費を削減することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して、稼働条件を最適化した上で、二酸化炭素の排出抑制と併せて、消費エネルギー量自体を削減することも可能となる。
【0041】
〔第2の実施態様〕
図2は、本発明の第2の実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム及び計算機の稼働システムの構造を示す概略説明図である。
本実施態様における計算機の稼働計画を決定する演算システム1B(以下、単に「演算システム1B」と呼ぶ)は、計算機C1~C3から構成される計算機群Cを稼働させるに当たり、バイオガスを用いて電力を発生させる発電部2からの発電量(発生した電力量)に係るパラメータに基づき、計算機の消費電力において、バイオガス由来の電力をどれだけ利用するかについての稼働計画を決定するためのものである。
また、本実施態様における計算機の稼働システム10B(以下、単に「稼働システム10B」と呼ぶ)は、演算システム1Bによって決定された稼働計画に基づき、計算機群Cを稼働させるためのものである。
なお、第2の実施態様において計算機群Cを構成する計算機の数については、上述した第1の実施態様と同様、特に限定されるものではないが、同時稼働の必要がある計算機の台数が多いものについても適用することが可能である。
【0042】
図2に基づき、本実施態様における演算システム1Bについて説明する。
図2に示すように、演算システム1Bは、第1の実施態様における演算システム1Aにおける稼働率演算部3に代えて、発電部2における発電量(電力Pの発生量)又は発電量を予測するパラメータに基づいて、電力Pを用いる計算機群Cの消費電力における電力Pの利用率を決定する利用率演算部6を備えるものである。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0043】
利用率演算部6は、発電部2における発電量(電力Pの発生量)に係るパラメータに基づいて、電力Pを用いる計算機群Cの消費電力に対し、どれだけバイオガス由来の電力Pを用いるかという利用率を決定する利用率演算ステップを行うためのものである。
ここで、決定する利用率は、計算機群Cを稼働するために必要となる電力のうち、バイオガス由来の電力Pが占める割合を表す指標となる値である。特に、所定の処理能力を発揮した状態で計算機群Cを連続稼働させる際に、安定した稼働のために、バイオガス由来の電力Pと併せて、バイオガス以外の発電による電力を用いる場合において、二酸化炭素の排出量が最小となる電力の組み合わせ(割合)を表す指標となる値である。
なお、利用率演算部6における利用率の決定とは、将来的な予測に係るものを決定することと、過去の結果に基づくもの(実際の利用率)を演算することの双方を含むものである。
【0044】
利用率演算部6としては、発電部2における発電量(電力Pの発生量)に係るパラメータを取得する発電量情報取得部61と、発電量情報取得部61により得られた情報に基づき、利用率の演算・決定を行う利用率決定部62と、決定した利用率を外部出力する利用率出力部63を備えることが挙げられる。
図2に示すように、発電量情報取得部61と利用率決定部62は入出力可能に接続されている。また、利用率決定部62と利用率出力部63が入出力可能に接続されている。
【0045】
発電量情報取得部61は、発電部2における発電量(電力Pの発生量)又は発電量を予測するパラメータに係る情報を取得するためのものであり、第1の実施態様における発電量情報取得部31と同様の構成を用いることができ、説明は省略する。
【0046】
利用率決定部62は、発電量情報取得部61で取得した情報に基づき、計算機群Cが消費する電力のうち、どれだけバイオガス由来の電力Pを用いるかという利用率の演算・決定を行うためのものである。
利用率決定部62における利用率の演算・決定の一例としては、所定の処理能力を維持した状態で計算機群Cを稼働するために必要な計算機群Cの消費電力又は予定される消費電力量と、発電量情報取得部61で取得した情報に基づく発電部2からの電力Pを基に、所定の処理能力を維持した状態で計算機群Cを安定して稼働するために、最大限使用可能な電力Pの割合を決定することが挙げられる。
これにより、計算機群Cの稼働に際して、二酸化炭素の排出量が最小となるようにバイオガス由来の電気エネルギーを供給・消費することが可能となる。
【0047】
利用率出力部63は、利用率決定部62で決定した利用率に係る情報を外部出力するためのものである。決定した利用率に係る情報を外部出力する手段については特に限定されない。例えば、利用率に係る情報を数値として表示する手段を設けることや、利用率に係る情報をデータや制御信号として出力する手段を設けることなどが挙げられる。
【0048】
利用率出力部63は、利用率と併せて、二酸化炭素の排出量に係る情報を出力するものとしてもよい。例えば、バイオガス由来の電力Pは、発電に係る二酸化炭素の排出量はゼロとみなすことができる。また、その他の発電による二酸化炭素の排出量は、二酸化炭素排出係数等を用いて推計することができる。したがって、利用率から、計算機の稼働に用いる電力全体としての二酸化炭素の排出量を算出することが可能であり、この二酸化炭素の排出量に関する情報を出力することで、電力消費に関する環境負荷の低減効果を確認することが可能となる。
また、二酸化炭素の排出量に関する情報を、利用率決定部62における演算パラメータとして用いるものとしてもよい。これにより、電力消費に関する環境負荷の低減効果をより高めた稼働計画を決定することが可能となる。
【0049】
利用率演算部6における発電量情報取得部61、利用率決定部62、利用率出力部63は、それぞれを実行するための手段は特に限定されない。例えば、作業者や管理者等、人による操作や判断を行うもの以外に、ネットワーク回線を介したデータの送受信装置や、データの整理、演算を行う計算装置等、あらかじめ設定されたプログラムなどに基づき、操作や演算を自動化するものなどが挙げられる。特に、利用率演算部6における一連の操作について必要なプログラムを作成し、CPU等のプロセッサにより実行するものとすることが好ましい。これにより、計算機群Cの稼働率の決定に係る複数のデータについての取得、整理、演算を迅速かつ正確に行うことができ、計算機群Cの稼働条件の最適化に係る精度を高めることができる。
【0050】
なお、利用率演算部6によって決定した利用率に基づき、計算機群Cを稼働させる手段については特に限定されない。利用率出力部63からのデータを基に、作業者や管理者等による手動操作を行うものとしてもよく、計算機群Cの稼働を制御する稼働制御部を設け、計算機群Cの稼働に係る操作を利用率出力部63からのデータに沿って自動的に行うものとしてもよい。
【0051】
以上のように、本実施態様における演算システム1Bは、バイオガスを用いて発生した電力を使用する計算機の稼働計画を決定するものであり、バイオガスを用いて発生した電力は、二酸化炭素の排出を抑制した電気エネルギーとして有用であるとともに、バイオガスを用いて得られる発電量に応じて、計算機が消費する電力のうち、どれだけバイオガス由来の電気エネルギーを用いるかという利用率の演算をすることで、計算機の稼働に際して二酸化炭素の排出量が最小となるようにバイオガス由来の電気エネルギーを供給・消費することができる稼働計画を決定することが可能となる。すなわち、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減するとともに、稼働条件の最適化が可能となる。
【0052】
また、本実施態様における稼働システム10Bは、第1の実施態様における稼働システム10Aにおける演算システム1Aに代えて、上述した演算システム1Bを備えたものであり、その他については稼働システム1Aと同様の構成からなる。したがって、演算システムの詳細が異なること以外は、稼働システム1Aと同様の効果を奏するものである。
【0053】
また、上述したように、第2の実施態様における演算システム1B及び稼働システム10Bは、所定の処理能力を維持した状態で計算機群Cを安定して稼働させることと、計算機群Cの稼働に際し排出される二酸化炭素の排出量の最小化を両立させることが可能である。したがって、複数台の計算機を同時に稼働させる必要があるものを、第2の実施態様における計算機群Cとして好適に利用することができる。このような計算機群Cの具体例としては、例えば、無線(ネットワーク)で接続され、互いに通信しながら同時並行的に計算処理を行う、いわゆる分散コンピューティングを行うものなどが挙げられる。
【0054】
なお、上述した実施態様は、計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法の一例を示すものである。本発明に係る計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法を変形してもよい。
【0055】
例えば、本実施態様における演算システムとしては、稼働率演算部と利用率演算部のいずれか一方を備えるものを示したが、両方を備えるものとしてもよい。これにより、計算機の稼働計画決定における演算精度を高めることが可能となり、計算機の稼働に係る最適化に係る精度を高めることが可能となる。
【0056】
また、例えば、本実施態様における計算機として、稼働により収益が発生するものを用い、この収益に係る情報を、発電部からの発電量に係るパラメータと併せ、稼働率演算部や利用率演算部における稼働計画の決定に用いるものとしてもよい。このような計算機としては、仮想通貨の発掘(マイニング)を行うものや、レンタルサーバーなどが挙げられる。これにより、計算機の電力消費に関して環境負荷を低減し、稼働条件の最適化を可能とすることに加え、バイオガス由来の電力を用いた計算機の運用による収益化を図ることができ、併せて化石燃料の代替としてのバイオガスの利用促進を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法は、計算機の運用に際して好適に利用されるものである。また、本発明の計算機の稼働計画を決定する演算システム、計算機の稼働システム、計算機の稼働計画を決定する演算システムの稼働方法、及び計算機の稼働方法は、大量の情報処理や情報通信を低遅延で実行するために消費電力あるいは消費電力量が大きい計算機の運用に対し、特に好適に利用される。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B 演算システム、2 発電部、3 稼働率演算部、31 発電量情報取得部、32 稼働率決定部、33 稼働率出力部、4 嫌気処理部、5 熱交換部、6 利用率演算部、61 発電量情報取得部、62 利用率決定部、63 利用率出力部、C 計算機群、C1~C3 計算機、P 電力