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特開2024-81546オブジェクトの配置方法、音声の再生方法、オブジェクトの配置装置、音声の再生装置および演奏装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081546
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】オブジェクトの配置方法、音声の再生方法、オブジェクトの配置装置、音声の再生装置および演奏装置
(51)【国際特許分類】
   G10L 21/10 20130101AFI20240611BHJP
   G10G 1/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G10L21/10
G10G1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195249
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】入山 達也
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182AA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音声を表すオブジェクトを省スペースで配置するオブジェクトの配置方法、音声の再生方法、オブジェクトの配置装置、音声の再生装置及び演奏装置を提供する。
【解決手段】音声オブジェクトの表示領域における位置決定方法であって、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域上の第1方向と交差する第2方向に配置する。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を表す複数のオブジェクトをコンピュータを用いて表示領域に配置する方法であって、
前記音声の第1部分に対応し、前記第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの前記表示領域における位置を取得することと、
前記音声の前記第1部分の後続の第2部分に対応し、前記第2部分の前記代表音高を有する第2オブジェクトを前記表示領域の決定された位置に配置することと、
を含み、
前記表示領域の決定された位置に配置することは、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高より高い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の第1方向に関して正の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高より低い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記第1方向に関して負の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の前記第1方向と交差する第2方向に配置する、オブジェクトの配置方法。
【請求項2】
前記第2の方向は、前記第1の方向と垂直に交わる方向である、請求項1に記載のオブジェクトの配置方法。
【請求項3】
前記第1方向は前記表示領域における垂直方向であり、前記第2方向は前記表示領域における水平方向である、請求項1に記載のオブジェクトの配置方法。
【請求項4】
2以上の音節が時間的に近接している場合、または、2以上の音節が1拍で発音される場合、これら2以上の音節を1つのオブジェクトで表す、請求項1に記載のオブジェクトの配置方法。
【請求項5】
前記複数のオブジェクトは、前記表示領域上にフレーズ単位でまとまった領域に表示される、請求項1に記載のオブジェクトの配置方法。
【請求項6】
音声を表す複数のオブジェクトをコンピュータを用いて表示領域に配置することと、
前記音声を再生することと、
を含み、
前記表示領域に配置することは、
前記音声の第1部分に対応し、前記第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの前記表示領域における位置を取得することと、
前記音声の前記第1部分の後続の第2部分に対応し、前記第2部分の前記代表音高を有する第2オブジェクトを前記表示領域の決定された位置に配置することと、
を含み、
前記表示領域の決定された位置に配置することは、
前記第2部分の代表音高が前記第1部分の前記代表音高より高い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の第1方向に関して正の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高より低い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記第1方向に関して負の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の前記第1方向と交差する第2方向に配置し、
前記再生することは、
前記表示領域上に配置された前記複数のオブジェクトのいずれかが選択される操作に応じて、各オブジェクトに対応付けられた部分音声を再生すること、
を含む、音声の再生方法。
【請求項7】
音声を表す複数のオブジェクトを表示領域に配置させる装置であって、
前記音声の第1部分に対応し、前記第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの前記表示領域における位置を取得する位置取得部と、
前記音声の前記第1部分の後続の第2部分に対応し、前記第2部分の前記代表音高を有する第2オブジェクトを前記表示領域の決定された位置に配置する配置部と、
を備え、
前記配置部は、
前記第2部分の代表音高が前記第1部分の前記代表音高より高い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の第1方向に関して正の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高より低い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記第1方向に関して負の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の前記第1方向と交差する第2方向に配置する、オブジェクトの配置装置。
【請求項8】
音声を表す複数のオブジェクトをコンピュータの表示領域に配置する配置制御部と、
前記音声を再生する再生部と、
を備え、
前記配置制御部は、
前記音声の第1部分に対応し、前記第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの前記表示領域における位置を取得する位置取得部と、
前記音声の前記第1部分の後続の第2部分に対応し、前記第2部分の前記代表音高を有する第2オブジェクトを前記表示領域の決定された位置に配置する配置部と、
を含み、
前記配置部は、
前記第2部分の代表音高が前記第1部分の前記代表音高より高い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の第1方向に関して正の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高より低い場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記第1方向に関して負の方向に配置し、
前記第2部分の前記代表音高が前記第1部分の前記代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトに対して前記表示領域上の前記第1方向と交差する第2方向に配置し、
前記再生部は、
前記表示領域上に配置された前記複数のオブジェクトのいずれかが選択される操作に応じて、各オブジェクトに対応付けられた部分音声を再生する、音声の再生装置。
【請求項9】
コンピュータの表示領域において、音高が高くなる方向に対応する第1方向に関する正の方向、音高が低くなる方向に対応する前記第1方向に関する負の方向および時間方向に対応する前記第1方向と交差する第2方向に複数のオブジェクトを配置する配置制御部と、
前記複数のオブジェクトに対する選択操作に応答して、楽曲の再生を行う再生部と、
を備え、
前記複数のオブジェクトは、前記楽曲を構成する複数の部分に対応しており、前記複数のオブジェクトを順に選択する操作に応じて楽曲が再生される、演奏装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの配置方法、音声の再生方法、オブジェクトの配置装置、音声の再生装置および演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、演奏の知識や技術を有しない人であっても楽曲を演奏可能とすることを目的とした音楽療法具が開示されている。演奏者は、表示部に表示された歌詞を操作することで、楽曲の演奏を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2700874公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された音楽療法具を用いた場合、楽曲の音域が広くなれば、それだけ楽曲を表示させるための領域の面積が広くなる。また、楽曲の長さが長くなればなるほど楽曲を表示させるために広い面積が必要である。
【0005】
本発明の目的は、音声を表すオブジェクトを省スペースで配置することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に従うオブジェクトの配置方法は、音声を表す複数のオブジェクトをコンピュータを用いて表示領域に配置する方法であって、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域における位置を取得することと、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域の決定された位置に配置することとを含み、表示領域の決定された位置に配置することは、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域上の第1方向と交差する第2方向に配置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、音声を表すオブジェクトを省スペースで配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る演奏装置の構成図である。
図2】実施の形態に係る演奏装置の機能ブロック図である。
図3】音声オブジェクトの基本配置ルールを示す図である。
図4】音声オブジェクトの基本配置ルールを示す図である。
図5】音声オブジェクトの基本配置ルールを示す図である。
図6】音声オブジェクトの基本配置ルールを示す図である。
図7】音声オブジェクトの基本配置ルールを示す図である。
図8】複数音節に対応した音声オブジェクトを示す図である。
図9】複数音節に対応した音声オブジェクトを示す図である。
図10】複数音節に対応した音声オブジェクトを示す図である。
図11】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図12】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図13】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図14】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図15】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図16】省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセスを示す図である。
図17】音声オブジェクトの配置態様の別の例を示す図である。
図18】音声オブジェクトの配置態様の別の例を示す図である。
図19】音声オブジェクトの配置方法を示すフローチャートである。
図20】音声オブジェクトの表示領域における位置決定方法を示すフローチャートである。
図21】音声の再生方法を示すフローチャートである。
図22】ディスプレイに表示された音声オブジェクトの具体例を示す図である。
図23】ディスプレイに表示された音声オブジェクトの具体例を示す図である。
図24】ユーザが楽曲を演奏している様子を示す図である。
図25】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図26】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図27】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図28】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図29】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図30】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
図31】音声オブジェクトの配置方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態に係るオブジェクトの配置方法、音声の再生方法、オブジェクトの配置装置、音声の再生装置および演奏装置について説明する。
【0010】
{1.システムの構成}
図1は、本実施の形態に係る演奏装置1の構成を示すブロック図である。演奏装置1は、本発明に係るオブジェクトの配置装置および音声の再生装置としても機能する。演奏装置1は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成される。図1に示すように演奏装置1は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶装置23、操作部24、ディスプレイ25、音源部26、サウンドシステム27、通信インタフェース(I/F)28およびデバイスインタフェース(I/F)29を備える。これら各装置がシステムバス30を介して接続される。
【0011】
CPU20は、演奏装置1の全体的な動作を制御する。ROM21には、CPU20が実行する制御プログラムや、各種のデータが記憶される。RAM22は、CPU20のワークエリアとして使用される。記憶装置23には、プログラムPR、音声オブジェクトSJおよび音声データSDが保存される。ここでは、説明を分かりやすくするために、音声オブジェクトSJが記憶装置16に保存されているとしているが、実際には、音声データSDが読み込まれたときに、複数の音声オブジェクトSJを構成するための定義データが保存される。この定義データが読み込まれることにより、オブジェクトが作成され、オブジェクトの配置ルールに従ってディスプレイ25にオブジェクトが配置される。記憶装置23は、ハードディスク、半導体メモリなど、様々な記憶媒体で構成可能である。プログラムPRは、音声オブジェクトSJを表す画像を表示領域に配置する処理、音声オブジェクトSJに対する操作に応答して、音声データSDを再生する処理などを実行する。音声オブジェクトSJの内容については後述する。
【0012】
操作部24は、ユーザが、音声の再生などに関する各種操作を行うためのインタフェースである。ディスプレイ25は、音声オブジェクトSJを表す画像の表示などに用いられる。音源部26およびサウンドシステム27は、ユーザによる音声オブジェクトSJの操作に応じて、音声データSDの再生を実行する機能部である。通信インタフェース28は、他のコンピュータとの間で有線または無線による通信を行うインタフェースである。デバイスインタフェース29は、CD、DVD、半導体メモリなどの記憶媒体31にアクセスするインタフェースである。
【0013】
{2.機能構成}
図2は、演奏装置1の機能構成を示すブロック図である。図2において、制御部10は、CPU20がRAM22をワークエリアとして使用しつつ、プログラムPRを実行することにより実現される機能部である。制御部10は、配置制御部11および再生部12を備える。配置制御部11は、位置取得部111および配置部112を備える。配置制御部11、位置取得部111、配置部112および再生部12は、プログラムPRの実行により実現される機能部である。言い換えると、各機能部11,111,112,12は、CPU20が備える機能部である。
【0014】
位置取得部111は、音声を時間軸上のある期間で切り取った部分(第1部分とする。)に対応する音声オブジェクトSJ(第1オブジェクト)を表す画像の表示領域における位置を取得する。配置部112は、音声の第1部分の時間軸上で後続の第2部分に対応する音声オブジェクトSJ(第2オブジェクト)を表す画像の表示領域における位置を決定し、第2オブジェクトを表す画像を決定された位置に配置する。再生部12は、表示領域上に配置された複数の音声オブジェクトSJのいずれかが選択される操作に応じて、各音声オブジェクトSJに対応付けられた音声データSDを再生する。
【0015】
プログラムPRは、記憶装置23に保存されている場合を例として説明する。他の実施の形態として、プログラムPRは、記憶媒体31に保存されて提供されてもよい。CPU20は、デバイスインタフェース29を介して記憶媒体31にアクセスし、記憶媒体31に保存されたプログラムPRを、記憶装置23またはROM21に保存するようにしてもよい。あるいは、CPU20は、デバイスインタフェース29を介して記憶媒体31にアクセスし、記憶媒体31に保存されたプログラムPRを実行するようにしてもよい。あるいは、CPU20は、通信インタフェース28を介してネットワーク上のサーバからプログラムPRをダウンロードし、ダウンロードしたプログラムPRを、記憶装置23またはROM21に保存するようにしてもよい。あるいは、CPU20は、通信インタフェース28を介して、ネットワーク上のサーバに保存されたプログラムPRを直接実行してもよい。
【0016】
{3.音声オブジェクト}
音声オブジェクトSJは、楽曲の一部に対応するオブジェクトデータである。1つの楽曲は、複数の楽曲部分(楽曲部分は、時間軸上のある期間で切り取った部分)で構成され、複数の楽曲部分がそれぞれ複数の音声オブジェクトSJ,SJ・・・に対応する。各音声オブジェクトSJは、対応する楽曲部分の音声データSD(部分音声)と対応付けられている。つまり、複数の音声オブジェクトSJ1,SJ2・・・がそれぞれ複数の音声データSD1,SD2・・・に対応する。音声データSDは、例えばWAVファイルなどである。各音声オブジェクトSJを表す画像が、配置部112によってディスプレイ25上の表示領域に表示される。以下の説明において、音声オブジェクトSJを表す“画像”を表示領域に配置することを、適宜、「音声オブジェクトSJを表示領域に配置する」、「音声オブジェクトSJを表示する」などと表現する。
【0017】
各音声オブジェクトSJは、対応する楽曲部分の代表音高の情報を有している。例えば、音声オブジェクトSJが1音節からなる楽曲部分に対応している場合、代表音高は、1音節を構成する音高である。音声オブジェクトSJが2以上の音節からなる楽曲部分に対応している場合、代表音高は、2以上の音節を構成する2以上の音高から決定される音高である。例えば、2以上の音高の平均音高が代表音高とされる。あるいは、2以上の音高のうち、最初に発音される音高が代表音高とされる。あるいは、2以上の音高のうち、最も高い音高や最も低い音高が代表音高とされる。各音声オブジェクトSJは、また、対応する楽曲部分の歌詞の情報を有している。各音声オブジェクトSJの表示領域における位置情報は、各音声オブジェクトSJが保有してもよいし、別の定義ファイルに記録されてもよい。
【0018】
{4.配置ルール}
次に、配置部112によって実行される、音声オブジェクトSJの表示領域における位置の決定方法について説明する。以下の説明では、楽曲部分として第1部分と第2部分を例に説明する。第1部分とは、楽曲全体を複数の部分に分割したときの、ある1つの部分を示す。第1オブジェクトは、第1部分に対応する音声オブジェクトSJであり、第2オブジェクトは、第2部分に対応する音声オブジェクトSJである。第2部分は第1部分の後続の楽曲部分である。配置部112が第2オブジェクトの位置を決定するために、位置取得部111が、第1オブジェクトの表示領域における位置を取得する。配置部112は、第1部分の代表音高と第2部分の代表音高の関係に基づき、第2オブジェクトの位置を決定する。これにより、配置部112は、先頭となる楽曲部分に対応する音声オブジェクトSJの位置が与えられると、全ての楽曲部分に対応する音声オブジェクトSJの位置を決定することができる。
【0019】
図3図16は、音声オブジェクトSJの配置ルールを示す図である。図3図16において、符号SJ,SJ(n)で示すブロックは、音声オブジェクトSJを表す画像の表示領域DAにおける位置を示している。符号SJ(n)において、数字nは、音声オブジェクトSJに対応する楽曲部分の順番を示している。表示領域DAは、ディスプレイ25に設定される領域である。また、図3図16において、符号SJまたはSJ(n)で示すブロックには、音階が示されているが、音階の表示は任意である。音階に変えて歌詞などを表示させてもよい。
【0020】
図3図16において、表示領域DAにおける垂直方向を第1方向、水平方向に関して右方向を第2方向とする。また、表示領域DAにおける垂直方向に関して上方向を、第1方向に関して正の方向とし、垂直方向に関して下方向を、第1の方向に関して負の方向とする。
【0021】
(4-1:基本配置ルール)
まず、配置部112より決定される第2オブジェクトの配置の基本ルールについて説明する。配置部112は、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高よりも高い場合、表示領域DAにおいて、第2オブジェクトを第1オブジェクトの上方向(第1方向に関して正の方向)に近接して配置する。ここで、実施の形態においては、各オブジェクトを接触させて配置させているが、オブジェクト同士が接触している必要はない。オブジェクト同士が少し間隔を空けて配置されてもよい。図3は、表示領域DAに配置された3つの音声オブジェクトSJ(1)~SJ(3)を示す。この例では、代表音高がド、レ、ミの3つの楽曲部分に対応する3つの音声オブジェクトSJ(1)~SJ(3)が第1方向に関して正の方向に順に近接して配置される。
【0022】
ここで、第2オブジェクトを第1オブジェクトの第1方向に関して正の方向に配置するとは、第2オブジェクトを表す画像と第1オブジェクトを表す画像とが少なくとも第1の方向から見たときにオーバーラップして配置されることを含む。本実施の形態では、第1部分の代表音高と第2部分の代表音高との音高の差によらず、あるいは、第1部分と第2部分との間の時間差によらず、音声オブジェクトSJは第1方向に関して正の方向に一定の距離(図3の例では接触させているので、距離0)で近接して配置される。
【0023】
配置部112は、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高よりも低い場合、表示領域DAにおいて、第2オブジェクトを第1オブジェクトの下方向(第1方向に関して負の方向)に近接して配置する。図4は、表示領域DAに配置された3つの音声オブジェクトSJ(1)~SJ(3)を示す。この例では、代表音高がド、シ、ラの3つの楽曲部分に対応する3つの音声オブジェクトSJ(1)~SJ(3)が第1方向に関して負の方向に順に近接して配置される。
【0024】
ここで、第2オブジェクトを第1オブジェクトの第1方向に関して負の方向に配置するとは、第2オブジェクトを表す画像と第1オブジェクトを表す画像とが少なくとも第1の方向から見たときにオーバーラップして配置されることを含む。本実施の形態では、第1部分の代表音高と第2部分の代表音高との音高の差によらず、あるいは、第1部分と第2部分との間の時間差によらず、音声オブジェクトSJは第1方向に関して負の方向に一定の距離(図4の例では接触させているので、距離0)で近接して配置される。
【0025】
配置部112は、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合、表示領域DAにおいて、第2オブジェクトを第1オブジェクトの右方向(第2方向)に近接して配置する。図5は、表示領域DAに配置された2つの音声オブジェクトSJ(1),SJ(2)を示す。この例では、代表音高がド、ドの2つの楽曲部分に対応する2つの音声オブジェクトSJ(1),SJ(2)が第2方向に順に近接して配置される。
【0026】
ここで、第2オブジェクトを第1オブジェクトの第2方向に配置するとは、第2オブジェクトを表す画像と第1オブジェクトを表す画像とが少なくとも第2の方向から見たときにオーバーラップして配置されることを含む。本実施の形態では、第1部分と第2部分との間の時間差によらず、音声オブジェクトSJは一定の距離(図5の例では接触させているので、距離0)で近接して配置される。
【0027】
配置部112は、決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、表示領域DAにおいて、第2オブジェクトを第1オブジェクトの右方向(第2方向)に近接して配置する。図6において、音声オブジェクトSJ(3),SJ(4)が有する代表音高は、ミ、レであり、図4で示したルールに従えば、音声オブジェクトSJ(4)は、音声オブジェクトSJ(3)の下方向(第1方向に関して負の方向)に隣接して配置される。しかし、その位置には既に音声オブジェクトSJ(2)が配置されている。そこで、音声オブジェクトSJ(4)は、音声オブジェクトSJ(3)の右方向(第2方向)に配置される。
【0028】
図7において、音声オブジェクトSJ(2),SJ(3)が有する代表音高は、ド、レであり、図3で示したルールに従えば、音声オブジェクトSJ(3)は、音声オブジェクトSJ(2)の上方向(第1方向に関して正の方向)に隣接して配置される。しかし、その位置には既に音声オブジェクトSJ(1)が配置されている。そこで、音声オブジェクトSJ(3)は、音声オブジェクトSJ(2)の右方向(第2方向)に配置される。
【0029】
ここで、第2オブジェクトを第1オブジェクトの第2方向に配置するとは、第2オブジェクトを表す画像と第1オブジェクトを表す画像とが少なくとも第2の方向から見たときにオーバーラップして配置されることを含む。本実施の形態では、第1部分の代表音高と第2部分の代表音高との音高の差によらず、あるいは、第1部分と第2部分との間の時間差によらず、音声オブジェクトSJは一定の距離(図6図7の例では接触させているので、距離0)で近接して配置される。
【0030】
(4-2:複数音節に対応した音声オブジェクト)
配置部112は、2以上の音節が時間的に近接している場合、または、2以上の音節が1拍で発音される場合、これら2以上の音節を1つの音声オブジェクトSJで表す。図8において、音声オブジェクトSJ(1)に対応する楽曲部分の次には、代表音高ラを有する楽曲部分と代表音高ファを有する楽曲部分が時間的に近接している、または、これら2つの楽曲部分が1拍で発音される。そこで、この2つの楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJ(2)で表されている。
【0031】
図9においては、音声オブジェクトSJ(1),SJ(2),SJ(4)のそれぞれが、2つの楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJとして表されている。なお、音声オブジェクトSJ(4)は2つの音高ラ・ファを有しているが、ここでは代表音高がラに設定されるため、音声オブジェクトSJ(4)は、音声オブジェクトSJ(3)の上方向(第1方向に関して正の方向)に配置される。
【0032】
図10においても、音声オブジェクトSJ(1),SJ(2),SJ(4)のそれぞれが、2つの楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJとして表されている。なお、音声オブジェクトSJ(4)は2つの音高ラ・ファを有しているが、ここでは代表音高が音高ラ・ファの平均音高としてソに設定されるため、音声オブジェクトSJ(4)は、音声オブジェクトSJ(3)の右方向(第2方向)に配置される。図8図10で示した例では、2つの音節からなる2つの楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJに統合される場合を例に説明したが、3つ以上の音節からなる3つ以上の楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJに統合されてもよい。
【0033】
(4-3:省スペース化のための音声オブジェクトの配置プロセス)
次に、本発明における音声オブジェクトSJの配置によって、どのようにして省スペース化を実現しているかについて複数のプロセスに分けて説明する。図11の上側は、従来のピアノロールと同様、音高と音の長さを考慮した音声オブジェクトSJの配置を示す。ドとレの間など全音に相当する音階の間隔は、ミとファの間などの半音に相当する音階の間隔より広くなるように、音声オブジェクトSJが垂直方向に間隔を空けて配置される。また、音声オブジェクトSJの水平方向の幅は音の長さに対応しているため、ソの音に対応する音声オブジェクトSJの水平方向の幅が長くなっている。
【0034】
図11の上側の音声オブジェクトSJの配置より省スペース化を図るため、配置部112は、図11の下側に示すように音声オブジェクトSJを配置する(プロセス1)。図11の下側に示すように、音階の間隔が全音であるか半音であるかに関わらず、音声オブジェクトSJは垂直方向に近接して配置される。これにより、垂直方向に関して音声オブジェクトSJを省スペースで配置することができる。このように、配置部112は、音声オブジェクトSJを表す画像を音高方向(垂直方向)に圧縮して表示する。
【0035】
プロセス1の次に、配置部112は、図12に示すように音声オブジェクトSJを配置する(プロセス2)。図12に示す例は、図8図10で示した例と同様であり、連続して現れる時間の短い複数の楽曲部分が1つの音声オブジェクトSJにまとめられる。
【0036】
プロセス2の次に、配置部112は、図13に示すように音声オブジェクトSJを表す画像の幅(水平方向の長さ)を均一化する(プロセス3)。図13で示す例では、楽曲部分の音の長さに関わらず音声オブジェクトSJを表す画像の水平方向の長さを均一化させている。
【0037】
プロセス3の次に、配置部112は、図14で示すように音声オブジェクトSJを表す画像を時間方向(水平方向)に圧縮して配置する(プロセス4)。プロセス4の次に、配置部112は、図15で示すように音声オブジェクトSJを表す画像を音高方向(垂直方向)にさらに圧縮して配置する(プロセス5)。このプロセス4,5は、上述により、上述の基本配置ルールが適用される。
【0038】
プロセス5の次に、配置部112は、図16で示すように、フレーズごとに音声オブジェクトSJを配置する(プロセス6)。図16で示す例では、フレーズ1~フレーズ4の4つのフレーズにまとめて音声オブジェクトSJが配置される。プロセス1~5が、省スペース化を目的としたプロセスであるのに対して、プロセス6はユーザが楽曲の構成を理解し易いようにすることを目的としている。
【0039】
図17は、図16で示した音声オブジェクトSJの配置態様の別の例である。図16とは異なり、図17では音声オブジェクトSJを表す画像の横の幅に対する縦の高さの比率が大きくなっている。これにより、ユーザは、音声オブジェクトSJの操作が行い易いというメリットがある。図18は、図16で示した音声オブジェクトSJの配置態様のさらに別の例である。図18においては、音声オブジェクトSJが円形の画像として表示されており、ユーザは音声オブジェクトSJの操作が行い易い。
【0040】
{5.オブジェクト配置方法および音声の再生方法}
次に、図19図20を参照しながら音声オブジェクトSJの配置方法について説明する。図19図20で示すフローチャートは、プログラムPRがCPU20上で実行されることにより実現される処理である。図19を参照する。まず、ステップS1において、位置取得部111が、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域DAにおける位置を取得する。次に、ステップS2において、配置部112が、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域DAの決定された位置に配置する。
【0041】
図20は、図19で示すステップS2を詳細に説明するフローチャートである。配置部112は、ステップS21において、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高いか否かを判定する。第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、配置部112は、ステップS22において、第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に既に他のオブジェクトが配置されているか否かを判定する。既に他のオブジェクトが配置されていない場合、配置部112は、ステップS23において、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置する。
【0042】
ステップS21において、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高くないと判定された場合、配置部112は、ステップS24において、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低いか否かを判定する。第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、配置部112は、ステップS25において、第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して負の方向に既に他のオブジェクトが配置されているか否かを判定する。既に他のオブジェクトが配置されていない場合、配置部112は、ステップS26において、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して負の方向に配置する。
【0043】
ステップS24において、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低くないと判定された場合、つまり、第1部分と第2部分の代表音高が同じ場合、処理はステップS27に移行する。また、ステップS22,25において、既に他のオブジェクトが配置されていると判定された場合、処理はステップS27に移行する。配置部112は、ステップS27において、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向と交差する第2方向に配置する。
【0044】
次に、図21を参照しながら音声の再生方法について説明する。図21で示すフローチャートは、プログラムPRがCPU20上で実行されることにより実現される処理である。ステップS3において、再生部12は、表示領域DA上に配置された複数の音声オブジェクトSJのいずれかが選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部24を用いた操作により、いずれかの音声オブジェクトSJが選択された場合、再生部12は、ステップS4において、選択された音声オブジェクトSJに対応付けられた音声データSD(部分音声)を再生する。
【0045】
{6.具体例}
図22図23は、演奏装置1のディスプレイ25に表示された音声オブジェクトSJの配置態様の具体例を示す図である。図22は、図18で示した配置態様と同様の態様で、音声オブジェクトSJをディスプレイ25に表示した例を示す。音声オブジェクトSJは、ディスプレイ25に表示されたウィンドウWDを表示領域として配置されている。ユーザは、操作部24(例えばマウスなどのポインティングデバイス)を操作して、いずれかの音声オブジェクトSJにポインタを合わせることで、音声オブジェクトSJに対応する音声データSDを再生させることができる。ユーザは、左下に位置する楽曲の先頭部分に対応する音声オブジェクトSJから順番にマウスのポインタを合わせることで、部分音声である音声データSDを順番に再生させることができる。これによりユーザは、簡単な操作で楽曲を演奏することが可能である。あるいは、タッチパネルディスプレイを利用することにより、ユーザは、指やペンで音声オブジェクトSJをタッチすることで、音声データSDを順番に再生させることができる。あるいは、ジャスチャーや視線の認識デバイスを利用することで、ユーザの指示に応じて楽曲を演奏させてもよい。なお、ユーザが、音声オブジェクトSJを元の楽曲と同じ順番で辿る操作(一筆書きのように辿る操作)を行うことで、元の楽曲を正しく演奏できる。
【0046】
図23は、楽曲「きよしこの夜」の音声オブジェクトSJが、ディスプレイ25に表示されたウィンドウWDを表示領域として配置されている。この例では、音声オブジェクトSJには、各楽曲部分の歌詞が表示されている。また、楽曲の先頭部分には、先頭であることを示す「S」のフラグが表示され、楽曲の終了部分には、終了であることを示す「G」のフラグが表示されている。音声オブジェクトSJが上述したルールに従って配置されているので、ユーザは、例えばマウスを操作して、フラグ「S」に対応する楽曲の先頭部分に対応する音声オブジェクトSJから一筆書きの経路を順に辿るようにマウスのポインタMPを合わせることで、楽曲を演奏することが可能である。図23において、ユーザが矢印DLに沿ってマウスを操作することで、楽曲が演奏される。音声オブジェクトSJには、歌詞が表示されているので、ユーザは、楽曲の進行を理解し易い。図24は、図23で示したウィンドウWDがディスプレイ25に表示され、ユーザが楽曲を演奏している様子を示す図である。ユーザは、マウスを操作して順番に音声オブジェクトSJを選択することで、楽曲の演奏を楽しんでいる。
【0047】
{7.実施の形態の特徴と効果}
本発明の一態様に係るオブジェクトの配置方法は、音声を表す複数の音声オブジェクトSJをコンピュータを用いて表示領域DAに配置する方法であって、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域DAにおける位置を取得することと、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域DAの決定された位置に配置することとを含み、表示領域DAの決定された位置に配置することは、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向と交差する第2方向に配置する。
【0048】
第1~2方向において省スペースでオブジェクトが配置されるので、音声全体を表示させる領域を小さくすることができる。
【0049】
第2の方向は、第1の方向と垂直に交わる方向であってもよい。
【0050】
時間方向と音高方向が視覚的に表現されるので、ユーザは音声の構造を理解し易い。
【0051】
第1方向は表示領域DAにおける垂直方向であり、第2方向は表示領域DAにおける水平方向であってもよい。
【0052】
時間方向と音高方向が視覚的に表現されるので、ユーザは音声の構造を理解し易い。
【0053】
2以上の音節が時間的に近接している場合、または、2以上の音節が1拍で発音される場合、これら2以上の音節を1つのオブジェクトで表してもよい。
【0054】
音声が発音されるタイミングが分かりやすく表示される。
【0055】
複数の音声オブジェクトSJは、表示領域DA上にフレーズ単位でまとまった領域に表示されてもよい。
【0056】
音声が発音されるまとまりが分かりやすく表示される。
【0057】
本発明の他の態様に係る音声の再生方法は、音声を表す複数のオブジェクトSJをコンピュータを用いて表示領域DAに配置することと、音声を再生することとを含み、表示領域DAに配置することは、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域DAにおける位置を取得することと、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域DAの決定された位置に配置することとを含み、表示領域DAの決定された位置に配置することは、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向と交差する第2方向に配置し、再生することは、表示領域DA上に配置された複数のオブジェクトSJのいずれかが選択される操作に応じて、各オブジェクトに対応付けられた音声データSDを再生することを含む。
【0058】
省スペースで配置されたオブジェクトを選択することにより、音声が再生される。ユーザは、一筆書きのような操作でオブジェクトを選択する操作を行うことで音声を再生することができる。
【0059】
本発明の他の態様に係るオブジェクトの配置装置は、音声を表す複数のオブジェクトを表示領域DAに配置させる装置であって、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域DAにおける位置を取得する位置取得部と、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域DAの決定された位置に配置する配置部とを備え、配置部は、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向と交差する第2方向に配置する、オブジェクトの配置装置。
【0060】
第1~2方向において省スペースでオブジェクトが配置されるので、音声全体を表示させる領域を小さくすることができる。
【0061】
本発明の他の態様に係る音声の再生装置は、音声を表す複数のオブジェクトをコンピュータの表示領域DAに配置する配置制御部と、音声を再生する再生部とを備え、配置制御部は、音声の第1部分に対応し、第1部分の代表音高を有する第1オブジェクトの表示領域DAにおける位置を取得する位置取得部と、音声の第1部分の後続の第2部分に対応し、第2部分の代表音高を有する第2オブジェクトを表示領域DAの決定された位置に配置する配置部とを含み、配置部は、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向に関して正の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して第1方向に関して負の方向に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して表示領域DA上の第1方向と交差する第2方向に配置し、再生部は、表示領域DA上に配置された複数のオブジェクトのいずれかが選択される操作に応じて、各オブジェクトに対応付けられた部分音声を再生する、音声の再生装置。
【0062】
省スペースで配置されたオブジェクトを選択することにより、音声が再生される。
【0063】
本発明の他の態様に係る演奏装置は、コンピュータの表示領域DAにおいて、音高が高くなる方向に対応する第1方向に関する正の方向、音高が低くなる方向に対応する第1方向に関する負の方向および時間方向に対応する第1方向と交差する第2方向に複数のオブジェクトを配置する配置制御部と、複数のオブジェクトに対する選択操作に応答して、楽曲の再生を行う再生部とを備え、複数のオブジェクトは、楽曲を構成する複数の部分に対応しており、複数のオブジェクトを順に選択する操作に応じて楽曲が再生される、演奏装置。
【0064】
隣接して配置されたオブジェクトを操作することにより楽曲が再生される。
【0065】
{8.その他の実施の形態}
上記実施の形態においては、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い(または低い)場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトの垂直方向で上または下(第1方向に関して正または負の方向に)配置するようにした。第1方向として、垂直方向は一例であり、垂直方向から傾いた方向であってもよいし、第1方向が水平方向であってもよい。
【0066】
上記実施の形態にいては、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高と同じ場合または決定された位置に既に他のオブジェクトが配置されている場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトに対して水平方向に関して右方向(第2方向)に配置した。第2方向として、水平方向に関して右方向(垂直方向と直角に交わる方向)は一例であり、第1方向と交差する他の方向であってもよい。第1方向が水平方向である場合、第2方向を垂直方向に関して上方向または下方向としてもよい。
【0067】
図3図10で示した例では、音声オブジェクトSJを接触させて配置させた。音声オブジェクトSJは、接触させて配置させるのは一例であり、楽曲の連続性が把握し易いように近接して配置させればよい。例えば、図22図23で示したように、音声オブジェクトSJ間に少しスペースを空けて近接し配置させてもよい。いずれにしても、音声オブジェクトSJを近接して配置させることで、省スペース化を向上させることができる。
【0068】
図22図23で示した例では、音声オブジェクトSJを表す画像に歌詞を表示させている。他の実施の形態として、音声オブジェクトSJを表す画像の近傍に楽曲のコード進行を示すコード名を表示させてもよい。
【0069】
図3図4を用いて説明した基本ルールでは、音声オブジェクトSJを垂直方向で上または下(第1方向に関して正または負の方向)に配置した。他の実施の形態として、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より高い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトの右斜め上に配置し、第2部分の代表音高が第1部分の代表音高より低い場合、第2オブジェクトを第1オブジェクトの右斜め下に配置してもよい。これにより、ユーザにとって楽曲の進行が視覚的に理解し易くなる。図25で示す例では、音声オブジェクトSJ(2)が、音声オブジェクトSJ(1)の右斜め上に配置され、音声オブジェクトSJ(5)が、音声オブジェクトSJ(4)の右斜め下に配置されている。なお、音声オブジェクトSJ(4)については、音声オブジェクトSJ(3)の垂直方向で下に配置することで省スペース化を図っているが、音声オブジェクトSJ(4)を、音声オブジェクトSJ(3)の右斜め下に配置してもよい
【0070】
他の実施の形態として、連続して音高が上がる場合、または、連続して音高が下がる場合に、変則ルールを適用させてもよい。図26で示す例では、音声オブジェクトSJ(1)~SJ(3)に対応する音高は、ド、レ、ミと連続して上がる。このため、音声オブジェクトSJ(2)は、音声オブジェクトSJ(1)の右に配置し、垂直方向について省スペース化を図っている。同様に、音声オブジェクトSJ(4)~SJ(6)に対応する音高は、ド、シ、ラと連続して下がる。このため、音声オブジェクトSJ(5)は、音声オブジェクトSJ(4)の右に配置し、垂直方向について省スペース化を図っている。
【0071】
図27図32を参照して、変形例に係るオブジェクトの配置方法について説明する。図27は、分岐経路を有するオブジェクト配置を示す。「How」に対応する音声オブジェクトSJ(B)の代表音高は、「-star」に対応する音声オブジェクトSJ(A)の代表音高よりも低いため、音声オブジェクトSJ(B)は、基本配置ルールに従い、音声オブジェクトSJ(A)の下方向(第1方向に関して負の方向)に配置される。これに対して、「Hoooow」(音を延ばすリズム)に対応する音声オブジェクトSJ(C)が、音声オブジェクトSJ(A)の右方向(第2方向)に配置され、別経路を形成している。ユーザは、SJ(A)→SJ(B)を通る経路(図で白矢印で示す経路)とSJ(A)→SJ(C)(図で黒矢印で示す経路)を通るルートを選択して演奏を行うことができる。
【0072】
図27においては、さらに、音声オブジェクトSJ(K)→SJ(L)を通る経路(図で白矢印で示す経路)と、音声オブジェクトSJ(K)→SJ(M)を通る経路(図で黒矢印で示す経路)とが配置されている。ユーザは、「chu」と発音する音声オブジェクトSJ(L)と「you」と発音する音声オブジェクトSJ(M)を選択して演奏を実行することができる。
【0073】
図28は、複数の経路を有するオブジェクト配置を別の例を示す。「lost」に対応する音声オブジェクトSJ(A)に続く音声オブジェクトとして、SJ(B)とSJ(C)の2通りの経路が用意される。音声オブジェクトSJ(B),SJ(C)は、いずれも「lost」に続く歌詞「but」に対応しているが、それぞれの代表音高が異なる。音声オブジェクトSJ(B)の代表音高は、音声オブジェクトSJ(A)の代表音高より低いため、基本配置ルールに従い、音声オブジェクトSJ(A)の下方向(第1方向に関して負の方向)に配置される。これに対して、音声オブジェクトSJ(A)の次に、音声オブジェクトSJ(C)を選択することにより、「lost」に続く「but」を同じ音高で歌うようなアドリブ演奏を行うことができる。「lost」、「but」、「now」と全て同じ音高で歌いたい場合には、SJ(A)→SJ(C)→SJ(D)を通る経路(図で白矢印で示す経路)を辿ればよい。あるいは、音声オブジェクトを、SJ(A)→SJ(C)→SJ(E)→SJ(F)を通る経路(図で黒矢印で示す経路)で辿ることで、「lost」、「but」は同じ音程で、その後、「now」、「I’m」と音高が下降するように歌うことができる。図29は、複数の経路を有する音声オブジェクト配置の変形例である。図28に比べて音声オブジェクトが斜め右方向に配置される。
【0074】
図30図31は、音声オブジェクトの配置方法の別の例を示す。例えば、ユーザインタフェースのスペースが限られており、3×3のオブジェクトしか配置できないようなケースでは、音声オブジェクトの再配置を行ってもよい。図30は、再配置の具体例を示す。「now」に対応する最下段の音声オブジェクトSJ(B)がユーザにより選択された後、最下段には、新たな次の音声オブジェクトSJ(C)が配置される。これに伴い、音声オブジェクトSJ(A),SJ(B)は、上段に再配置される。これにより、図31に示すように、音声オブジェクトを、3×3のテンキー配列のように限られたスペースで配置することができる。図31の上段の状態で、「now」に対応する音声オブジェクトSJ(B)が選択されると、図31の下段に示すように、3×3の配列の中で、音声オブジェクトの再配置が行われる。このようにして、順に音声オブジェクトがスクロールするように再配置され、ユーザの操作に応じて楽曲が進行していく。
【符号の説明】
【0075】
1…演奏装置(オブジェクトの配置装置,音声の再生装置)、20…CPU、21…ROM、22…RAM、23…記憶装置、24…操作部、25…ディスプレイ、26…音源部、27…サウンドシステム、10…制御部、11…配置制御部、111…位置取得部、112…配置部、12…再生部、PR…プログラム、SJ,SJ(n)…音声オブジェクト、SD…音声データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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