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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081550
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/124 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A47G29/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195254
(22)【出願日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】小栗 知英
(72)【発明者】
【氏名】高田 昌彦
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA45
3K100CA49
3K100CB05
3K100CC03
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】扉体3に取り付けられる施錠部5が、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造の何れにも使用可能な共用部品によって構成する。
【解決手段】開口20を有し荷物を収容可能な函体2と、第1の方向(Z方向)に延伸する回動軸回りを回動することにより開口20を開閉可能とする扉体3と、扉体3を回動可能に函体2に取り付ける取付具4と、扉体3に配された施錠部5とを備え、取付具4は、開口20に対して第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)の両側に配設可能であり、扉体3は、取付具4が第2の方向における一方側に配設されると第1の向きに回動して開口20を閉じ、取付具4が第2の方向における他方側に配設されると第1の向きと反対の第2の向きに回動して開口20を閉じ、施錠部5は、取付具が第2の方向における両側の何れに配設されても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能である。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し荷物を収容可能な函体と、
第1の方向に延伸する回動軸回りを回動することにより前記開口を開閉可能とする扉体と、
前記扉体を回動可能に前記函体に取り付ける取付具と、
前記扉体に配された施錠部とを備え、
前記取付具は、前記開口に対して前記第1の方向と直交する第2の方向における両側に配設可能であり、
前記扉体は、前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設されると第1の向きに回動して前記開口を閉じ、前記取付具が前記第2の方向における他方側に配設されると前記第1の向きと反対の第2の向きに回動して前記開口を閉じ、
前記施錠部は、前記取付具が前記第2の方向における両側の何れに配設されても、前記扉体を前記函体に施錠又は解錠可能である、
宅配ボックス。
【請求項2】
前記施錠部は、前記扉体の表面に配される操作入力部と、前記扉体の裏面に配される施錠駆動部を有し、
前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設される場合と他方側に配設される場合とで、前記操作入力部は前記扉体に対して前記第1の方向における相対的な向きが反対に配され、前記施錠駆動部は前記扉体に対する前記第1の方向における相対的な向きが同じに配される
請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記操作入力部は、テンキーと、前記テンキーを上方又は側方から照光する光源部とを有する
請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記施錠駆動部は、外表面における上方向及び下方向における端部近傍にセンサ取付部を有し、
前記センサ取付部のうち下方向における縁部近傍のセンサ取付部に、前記函体の荷受け面に載設された荷物を検出可能な距離センサが配設されている
請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記センサ取付部のうち上方向における縁部近傍のセンサ取付部に、防塵カバーが配設されている
請求項4に記載の宅配ボックス。
【請求項6】
前記施錠部に、
加速度センサと、
前記加速度センサの出力変化に基づいて作動するアラーム手段とを備えた
請求項1~5の何れか1項に記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンラインショッピング、宅配サービスなどの普及に伴い、宅配荷物を非対面、非接触で受取可能な宅配ボックスが広く利用されている。この宅配ボックスには、設置場所に応じて、左開き扉・右開き扉の両方への対応が可能な製品が提案されている。例えば、特許文献1には、荷物を収容可能な函体の開口の縁に取り付けられる補強枠にヒンジを介して扉体を取り付ける構造の宅配ボックスにおいて、補強枠に左開き扉・右開き扉の両方への対応が可能なように、ヒンジの取付部が左開き用・右開き用にそれぞれ設けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-171293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来の宅配ボックスでは、施錠部と施錠部を扉体に取り付ける部材には、右開き用・左開き用それぞれにおいて異なる形状の部品が用いられる構成であったことから、全体として部品や金型の種類が増し、製造コストが増加するという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、扉体に取り付けられる施錠部が、例えば、右開き用・左開き用など、相対する開扉方向に対応する可能な宅配ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る宅配ボックスは、開口を有し荷物を収容可能な函体と、第1の方向に延伸する回動軸回りを回動することにより前記開口を開閉可能とする扉体と、前記扉体を回動可能に前記函体に取り付ける取付具と、前記扉体に配された施錠部とを備え、前記取付具は、前記開口に対して前記第1の方向と直交する第2の方向における両側に配設可能であり、前記扉体は、前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設されると第1の向きに回動して前記開口を閉じ、前記取付具が前記第2の方向における他方側に配設されると前記第1の向きと反対の第2の向きに回動して前記開口を閉じ、前記施錠部は、前記取付具が前記第2の方向における両側の何れに配設されても、前記扉体を前記函体に施錠又は解錠可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る宅配ボックスによれば、扉体に取り付けられる施錠部が、例えば、右開き用・左開き用など、相対する開扉方向に対応する可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る宅配ボックス1を右開き用に構成した第1の態様の正面図である。
図2】(a)は第1の態様の扉体が閉じた状態の斜視図であり、(b)は扉体が開いた状態の斜視図である。
図3】第1の態様における設置状態の一例を示す斜視図である。
図4】第1の態様の分解斜視図である。
図5】操作入力部6の分解斜視図である。
図6】操作入力部6を扉体3の前面30の正面斜め右方から見た外観図である。
図7】施錠駆動部7の分解斜視図である。
図8】(a)は施錠駆動部7の背面図であり、(b)は施錠駆動部7の筐体を外した状態の背面図である。
図9】第1の態様における扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す分解斜視図である。
図10】(a)は第1の態様における扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す正面図であり、(b)は背面図である。
図11】実施形態1に係る宅配ボックス1を左開き用に構成した第2の態様の正面図である。
図12】(a)は第2の態様の扉体が閉じた状態の斜視図であり、(b)は扉体が開いた状態の斜視図である。
図13】第2の態様の分解斜視図である。
図14】第2の態様における扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す分解斜視図である。
図15】(a)は、第2の態様における扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す正面図であり、(b)は背面図である。
図16】実施の形態2に係る宅配ボックス保安システム10の機能的構成を示すシステム構成図である。
図17】実施の形態3に係る保安システム11の機能的構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施の形態の一態様に係る第1の宅配ボックスは、開口を有し荷物を収容可能な函体と、第1の方向に延伸する回動軸回りを回動することにより前記開口を開閉可能とする扉体と、前記扉体を回動可能に前記函体に取り付ける取付具と、前記扉体に配された施錠部とを備え、前記取付具は、前記開口に対して前記第1の方向と直交する第2の方向における両側に配設可能であり、前記扉体は、前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設されると第1の向きに回動して前記開口を閉じ、前記取付具が前記第2の方向における他方側に配設されると前記第1の向きと反対の第2の向きに回動して前記開口を閉じ、前記施錠部は、前記取付具が前記第2の方向における両側の何れに配設されても、前記扉体を前記函体に施錠又は解錠可能であることを特徴とする。
これにより、宅配ボックスでは、すべての構成要素が、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造にも使用可能な共用部品によって構成することができ、専用部品が不要となり部品や金型の種類を減少でき、安価に製造可能な構成を実現できる。
【0009】
別の態様では、第2の宅配ボックスは、第1の宅配ボックスにおいて、前記施錠部は、前記扉体の表面に配される操作入力部と、前記扉体の裏面に配される施錠駆動部を有し、前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設される場合と他方側に配設される場合とで、前記操作入力部は前記扉体に対して前記第1の方向における相対的な向きが反対に配され、前記施錠駆動部は前記扉体に対する前記第1の方向における相対的な向きが同じに配される構成としてもよい。
ここでいう「前記取付具が前記第2の方向における一方側に配設される場合と他方側に配設される場合とで、前記操作入力部は前記扉体に対して前記第1の方向における相対的な向きが反対に配され、前記施錠駆動部は前記扉体に対する前記第1の方向における相対的な向きが同じに配される」とは、(A)取付具が一方側に配される場合を基準とすると、他方側に配された取付具に扉体を取り付ける場合、施錠部付きの扉体の向きを第1方向に反対にし、操作入力部は、第1方向に反対にした扉体に対して上下方向の向きを反対とし、施錠駆動は、第1方向に反対にした扉体に対して上下の向きを同じにすることと、(B)取付具が他方側に配される場合を基準とすると、一方側に配された取付具に扉体を取り付ける場合、施錠部付きの扉体の向きを第1方向に反対にし、操作入力部は、第1方向に反対にした扉体に対して上下方向の向きを反対とし、施錠駆動は、第1方向に反対にした扉体に対して上下の向きを同じにすることとの両方を含んだ意味である。
これにより、施錠駆動部は、取付具が函体における第2の方向における両側の何れに配設されていても、扉体を函体に施錠又は解錠可能に構成される。また、扉体の函体への取り付けの際に、扉体の上下を反転させても、操作入力部は文字を読める正姿勢を維持できる。このように、宅配ボックスは、例えば、右開き用・左開き用など、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造の何れにも適合することができる。
【0010】
別の態様では、第3の宅配ボックスは、第1又は第2の宅配ボックスにおいて、前記操作入力部は、テンキーと、前記テンキーを上方又は側方から照光する光源部とを有する構成としてもよい。
これにより、扉体の函体への取り付けの際に、扉体の上下を反転させても、テンキーに対する光源部の照射方向を維持できる。
また、別の態様では、第4の宅配ボックスは、第1~第3の宅配ボックスにおいて、前記施錠駆動部は、外表面における上方向及び下方向における端部近傍にセンサ取付部を有し、前記センサ取付部のうち下方向における縁部近傍のセンサ取付部に、前記函体の荷受け面に載設された荷物を検出可能な距離センサが配設されている構成としてもよい。
これにより、函体の荷受け面に載設された荷物の有無を効果的に検知することができる。
【0011】
別の態様では、第5の宅配ボックスは、第1~第4の宅配ボックスにおいて、前記センサ取付部のうち上方向における縁部近傍のセンサ取付部に、防塵カバーが配設されている構成としてもよい。
これにより、埃や水の進入を防ぎ施錠駆動部を保護することができる。
【0012】
別の態様では、第6の宅配ボックスは、第1~第5の宅配ボックスにおいて、前記施錠部に、加速度センサと、前記加速度センサの出力変化に基づいて作動するアラーム手段とを備えた構成としてもよい。
これにより、宅配ボックスの振動が生じたことを検出することができ、宅配ボックスが荷物ごと盗難に遭うことを抑制できる。
【0013】
≪実施の形態1≫
実施の形態1に係る宅配ボックス1の構成について図面を用いて説明する。
ここで、本明細書では、各図におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ、幅方向、奥行き方向、高さ方向とする場合があり、幅方向における正方向を「右」方向、負方向を「左」方向とする場合があり、奥行き方向における正方向を「後」方向、負方向を「前」方向とする場合があり、高さ方向における正方向を「上」方向、負方向を「下」方向とする場合がある。また、Y方向において正方向に視したX-Z面を「正面」とする場合がある。
また、各図面における部材の縮尺は必ずしも実際のものと同じであるとは限らない。また、本明細書において、数値範囲を示す際に用いる符号「~」は、その両端の数値を含む。
また、本実施形態で記載している材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。また、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。また、他の実施形態との構成の一部同士の組み合わせは、矛盾が生じない範囲で可能である。
【0014】
<宅配ボックス1の構成について>
(全体構成)
実施の形態1に係る宅配ボックス1の全体構成について図面を用いて説明する。
宅配ボックス1は、宅配される荷物を非対面、非接触で受け取ることができように構成された収容庫であり、例えば、戸建て住宅の戸外において玄関の近くや、集合住宅のエントランス付近に設置される。この宅配ボックス1は、荷物の配達員が荷物を宅配ボックス1の庫内に収容して施錠し、荷物の受取人は宅配ボックス1を開錠して庫内から荷物を取り出すことができるように構成されている。
【0015】
図1は実施形態に係る宅配ボックス1を右開き用に構成したときの正面図であり、図2(a)(b)は、それぞれ扉体が閉じた状態の斜視図、扉体が開いた状態の斜視図である。なお、ここでは、宅配ボックス1を右開き用に構成したときの態様を第1の態様と呼称し、先ず、第1の態様について説明する。
ここで、本明細書では、「右開き」とは、宅配ボックス1を正面方向から見た状態において、回動軸が右側にあり、扉体が開くときに扉体が回動軸周りを右方向に向かって移動する構成を指し、「左開き」とは、回動軸が左側にあり、扉体が開くときに扉体が回動軸周りを左方向に向かって移動する構成を指すものとする。
【0016】
宅配ボックス1は、図1図2(a)(b)に示すように、荷受け口となる開口20を有する函体2と、函体2の開口20を開閉可能とする扉体3と、扉体3を回動可能に函体2に取り付ける取付具4と、扉体3に配された施錠部5とを有する。宅配ボックス1によれば、扉体3が開かれた状態において配達人が荷物を開口20から函体2内に取り入れたのち、扉体3により開口20を閉じて施錠部5を施錠し、荷受人は施錠部5を開錠して扉体3を開いて内部の荷物を取り出すように構成されている。
【0017】
図3は第1の態様における設置状態の一例を示す斜視図である。函体2の側面21には、図2(a)(b)に示すように、宅配ボックス1を設置するときに用いる貫通孔21aが開設されている。図3に示すように、宅配ボックス1は、設置基盤Bsに所定の間隔をおいて立設された一対のフレームFr1の間に設置される。このとき、対向するフレームFr1の内側壁Fr11と函体2の側面21とを接触させた状態で、貫通孔21aにねじ(不図示)を挿入してフレームFr1に締結することにより、函体2をフレームFr1に固定することができる。
一対のフレームFr1は上端部の近傍を幅方向に延伸するフレームFr2によって接続されている。また、フレームFr2の正面Fr21にはインターホン装置のインターホン子機Ipが配設されていてもよい。
なお、本明細書では、扉体3の回動軸の延伸する第1の方向(図3におけるZ方向)に対し、第1の方向とで開口20に平行な面(図3におけるXZ面)を構成する方向を第2の方向(図3におけるX方向)とする。
【0018】
宅配ボックス1では、一例として「右開き」「左開き」などの相対する向きに扉体3を開けるために、取付具4は、開口20に対して第2の方向における両側に配設可能に構成され、施錠部5は、取付具4が第2の方向における両側の何れに配設されても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能に構成されている。
【0019】
本実施の形態1は、先ず、第1の態様として、宅配ボックス1を右開き用に構成したときの態様として、右開き用における位置関係について説明する。
(各構成の概要)
以下、宅配ボックス1における各構成の概要について、宅配ボックス1を右開き用に構成した第1の態様を例に説明する。
図4は、第1の態様の分解斜視図である。
【0020】
(1)函体2
函体2は、荷受け口となる開口20を有し、内方の荷受け面25に荷物を載設して収容可能な立方体又は直方体形状のボックスであって、金属、樹脂又はこれらの複合材により構成される。
函体2は、正面から見ると、高さ方向に長い矩形状をしている。函体2の側面21には、宅配ボックス1を設置するときに用いる貫通孔21aが開設されている。
函体2は、図4に示すように、開口20側の端縁から内側に張り出す枠状の張出部分22と、張出部分22から扉体3側に外広がりの「L」字状に屈曲する屈曲部分23とを有する。この屈曲部分23は雨水の浸入を抑制する。
函体2は、取付具4が着脱可能に取り付けられる被取付部24が設けられている。被取付部24は、図4に示すように、函体2の張出部分22の上下領域に設けられている。ここでの被取付部24は、張出部分22の上下領域の幅方向における両側であって、幅方向における中央を通り高さ方向に延伸する中心線CLhに対して左右対称(中心に対して点対称でもある)に設けられている。つまり、函体2には被取付部24が4か所設けられている。これにより、扉体3を上下反転することで、右開き又は左開きの両仕様で扉体3を取り付けることができる。
被取付部24は、ここでは、図4に示すように、例えば、一対の雌ねじ24aにより構成されていてもよい。左右対称に設けられている被取付部24において、各被取付部24において雌ねじ24aは左右対称に設けられている。これにより、取付具4を回動軸に対して直交する状態で取り付けることができる。なお、図4では、右側の被取付部24の雌ねじ24aにはねじ(雄ねじ)81が螺合するように構成されている。
【0021】
(2)扉体3
扉体3は、取付具4により函体2に取り付けられ、第1の方向に延伸する回動軸回りを回動することにより、函体2の開口20を塞ぎ開閉可能な平板状の部材である。
扉体3は、正面から見ると、開口20に対応して高さ方向に長い矩形状をしている。扉体3の前面30において、幅方向における一端の周辺には施錠部5を取り付けるための施錠部領域31が設けられており、施錠部領域31には、施錠部5のワイヤハーネス67を通すための1個又は複数個の孔31aと、後述する非常用の機械錠76の鍵穴を前面30の外表面に露出させるための孔31bと、施錠部5を取り付けるための締結具(不図示)用の孔31c,31dが開設されている(図9参照)。なお、孔31aは、高さ方向に長い施錠部5に対応して、高さ方向に間隔をおいて2領域に形成されている。
また、扉体3の高さ方向に垂直な端面32において、幅方向における一端と反対側の端部の近傍には、扉体3の回動軸となる取付具4のヒンジ軸部43を挿入するためのヒンジ挿通部32aが設けられている。ヒンジ挿通部32aは貫通孔又は凹部により構成されていてもよい。
第1の態様では、宅配ボックス1を右開き用に構成したときの態様であるため、扉体3は、正面から見た状態において、施錠部領域31は幅方向における左端の周辺に位置し、ヒンジ挿通部32aは幅方向における右側の端部に位置する態様となる。
扉体3の裏側面の縁部近傍にはクッション材(不図示)が設けられていてもよい。
扉体3が閉状態の場合、扉体3の端面32の内側に、函体2の屈曲部分23が位置(嵌合)する。これにより函体2内への雨水の浸入を抑制する。
【0022】
(3)取付具4
取付具4は、扉体3を函体2に回動可能に保持する連結部材である。第1の方向に対向する一対の取付具4の間に、扉体3が第1の方向に延伸する回動軸回りを回動可能な状態で、扉体3を保持する。
第1の態様では、一例として、第1の方向は高さ方向であって、一対の取付具4は高さ方向に対向して配されている。
具体的には、取付具4は、ねじ81により函体2の被取付部24に固定される(図4参照)。ここでの取付具4は扉体3の上下に合計2個配されている。
取付具4は、板材が稜線を折れ線として折れ曲がった形の、L字型断面を有する板状部材であり、扉体3の上下の端面32と対向する扉側板部41と、函体2の張出部分22における上下領域の被取付部24と対向する函側板部42とを有する。
扉側板部41における幅方向の外側の端部周辺には、高さ方向の内方に向かって延伸するヒンジ軸部43が設けられている。すなわち、上方に位置する取付具4ではヒンジ軸部43は下方に向かって、下方に位置する取付具4ではヒンジ軸部43は上方に向かってそれぞれ延伸し、ヒンジ軸部43は扉体3の高さ方向に垂直な端面32に開設されたヒンジ挿通部32aに挿通されている。
これにより、扉体3が上下のヒンジ軸部43に回動可能に支持され、扉体3が、回動軸(ヒンジ軸部43)周りに回動できる。なお、上下のヒンジ軸部43の中心軸は、同一仮想線上に存在し、当該同一仮想線が回動軸と一致する。
函側板部42には、被取付部24の雌ねじ24aに螺合させるねじ81を挿通させる孔42aが開設されている。
高さ方向に相対する一対の取付具4の各部は、高さ方向における中央を通り幅方向に延伸する中心線CLv(高さ方向における中心線)に対して線対称(上下対称)となるように構成されている。これにより、左開きにする際にも、中心点に対して点対象となる位置に配置することで、左開きにも対応可能となる。
取付具4は、図1図2(a)(b)、図4に示すように、宅配ボックス1を右開き用に構成する態様では、開口20に対して幅方向における右側に配設され、扉体3は右方向に回動して開口することができる。
【0023】
(4)施錠部5
施錠部5は、扉体3に配され、扉体3が開口20を閉じた状態において、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能に構成されている。
施錠部5は、前方に位置する操作入力部6と後方に位置する施錠駆動部7が扉体3を間に挟んだ状態で奥行き方向に概ね重ね合わせられて構成される。
具体的には、扉体3を間に挟んだ状態で操作入力部6と施錠駆動部7が締結具(不図示)によって、例えば、共締めされ、施錠部5が扉体3に固定されている。さらに、操作入力部6は、扉体3及び施錠駆動部7に対して、扉体3の表面に直交する仮想軸周りに180°回転させて(換言すると、上下反転させて)取り付けられる。
【0024】
以下、施錠部5を構成する操作入力部6と施錠駆動部7の概要について説明する。
[操作入力部6]
操作入力部6は、配達人又は荷受人である操作者が、施錠部5を開錠又は施錠する際に、識別情報などを操作入力するための操作パネルである。識別情報としては荷物の受付番号の一部又は全部を用いてもよい。あるいは、荷受人の電話番号の一部など荷受人による固有の情報として暗証番号を用いてもよい。例えば、一定期間、一定の暗証番号を用いることにより、その間、何回でも扉を開閉できるので、異なる配達人による複数の荷物を受け取ることができる。
図5は、操作入力部6の分解斜視図である。図5に示すように、操作入力部6は、筐体61の底面61aに、制御回路基板62、ワイヤハーネス67、メンブレンスイッチ63、スピーカ68、タッチパネル64、透明保護シート65が構成部材として当該順で積層され、開口66aを有する枠体66を利用して保持されている。なお、筐体61と枠体66とは、シール部材69を介して結合されることにより、ユニットとして構成されている。
筐体61の底面61aには施錠駆動部7との締結具を螺合させるためのねじ穴61bが設けられている。ここでは、幅方向に間隔をおいた2個を一組として、上下に間隔をおいて一対ある。つまり、ねじ穴61bは4個ある。なお、上側の2個のねじ穴61bと、下側の2個のねじ穴61bとは、高さ方向の中間点を幅方向に延伸する仮想線に対して線対称の位置にある。上側のねじ穴61bと、下側のねじ穴61bとの高さ方向の間には貫通孔61dが1個又は複数個(例えば3個)形成され、少なくとも1個の貫通孔61dがワイヤハーネス67用に利用される。
図6は、操作入力部6を扉体3の前面30の正面斜め右方から見た外観図である。図6に示すように、操作入力部6は、外観に現れる構成部材として、扉体3の前面30に配された枠体66と、枠体66の開口66a内に配されたテンキー641を含むタッチパネル64と、タッチパネル64を上方から照光する光源部631とを有する。タッチパネル64は文字を読める正姿勢で取り付けられている。操作者はタッチパネル64を概ね斜め上方から視認するため、光源部631はタッチパネル64を側方から照光する構成としてもよい。
また、扉体3の前面30における枠体66の外縁近傍には、後述する施錠駆動部7の一部である機械錠76の鍵穴が露出している。
【0025】
[施錠駆動部7]
施錠駆動部7は、操作入力部6からの操作入力に基づき電子錠を動作させて扉体3を開錠又は施錠する駆動ユニットである。また、非常用の機械錠を具備していてもよい。
図7は、施錠駆動部7の分解斜視図である。図7に示すように、施錠駆動部7は、筐体71の底面71aの裏側にバッテリユニット73が、表側に駆動機構74、回路基板751、機械錠76、防塵カバー791、距離センサ792が、それぞれ構成部材として配置され、ユニットとして構成されている。
バッテリユニット73は、底面71aの一部から表側に凹入するバッテリ収容部71eに収容され、カバー72により着脱可能に覆われる。これにより、バッテリユニット73が交換可能となる。
駆動機構74や回路基板75はフレーム772に取り付けられ、フレーム772が筐体71に固定される。なお、回路基板75は、操作入力部6の制御回路基板62とワイヤハーネス67で取り外し可能に接続される。
筐体71は、取付け板78を介して扉体3に取り付けられる。取付け板78には開口78aが開設されている。機械錠76は、鍵穴部分が扉体3の孔31bを通して扉体3の外表面に露出するように、扉体3の孔31bと取付け板78の開口78aとを利用して取り付けられている。
取付け板78は、扉体3へ固定するための締結具用の貫通孔78b、筐体71を取付け板78に固定するための締結具用のねじ孔78c、施錠駆動部7(筐体71)と操作入力部6とを連結するための締結用の貫通孔78d、ワイヤハーネス67用の貫通孔78f,78gを有している。
駆動機構74は、幅方向に挿抜されて函体2の張出部分22と係合するデットボルト742と、例えば、モータ等の駆動力によってデットボルト742の挿抜させる駆動機構741と、幅方向に可逆的に挿抜方向に移動可能に構成され、張出部分22と係合するラッチボルト743とを備える。駆動機構741は、ワイヤハーネス67によって制御回路基板62、バッテリユニット73に電気的に接続されている。制御回路基板62に構成された制御回路は、操作入力部6からの操作入力に基づき駆動機構741を動作させてデットボルト742を幅方向に移動させて、デットボルト742の先端を函体2の張出部分22に係合又は解除させることにより扉体3を施錠又は開錠させる。
【0026】
ラッチボルト743は、先端側に付勢される力によって可逆的に挿抜方向に移動可能に構成され、扉体3の開閉動作に伴って操作者にクリック感を与えることができる。
また、駆動機構74は、ラッチボルト743の幅方向における位置を検出して閉め忘れの検出に用いるセンサ(不図示)をセンサ基板752に備えていてもよい。電子錠が施錠動作したときに、ラッチボルト743の幅方向における位置変化の有無をセンサ(不図示)によって検出することにより扉体3の閉め忘れを検出することができる。
例えば、施錠動作がされラッチボルト743の位置変化が検出されない場合に扉体3の閉め忘れが発生しているものと検出することができる。この場合には、制御回路は、例えば、操作入力部6に設けられたスピーカ68をアラーム手段として用い、スピーカ68からアラーム音を発する動作を行ってもよい。これにより、操作者の誤操作に伴う扉体3の閉め忘れを抑制できる。
【0027】
距離センサ792は、所定距離範囲内における対象部の有無を検知する。距離センサ792には、例えば、赤外線等の光学素子を備えた反射型の光学センサを用いることができ、距離センサ792はワイヤハーネス(不図示)によってセンサ基板752に電気的に接続されている。
図8(a)は、施錠駆動部7の背面図、(b)は施錠駆動部7の筐体を外した状態の背面図である。図8(a)(b)に示すように、施錠駆動部7は、筐体71の底面71aの高さ方向における上端周辺と下端周辺の両方に、距離センサ792を装着可能な2つのセンサ取付部71bを有している。
このうち、距離センサ792は、施錠駆動部7の筐体71の底面71aにおける荷受け面25に近い下端周辺のセンサ取付部71bに装着され、光学素子を函体2の荷受け面25に向けて配される。つまり、施錠部5は、幅方向における回動軸側の端部と反対側の端部周辺に配置されているため、距離センサ792は光学素子を荷受け面25の中央に向けるために、高さ方向において下方向きであって、かつ、幅方向において中央又はその周辺を向くように配されている。そのため、筐体71の底面71aのセンサ取付部71bは、筐体71の底面71aを庫内から見た状態において、右下がりに傾斜して設けられている。
これにより、函体2の荷受け面25に載設された荷物の有無を効果的に検知することができ、例えば、所定時間又は日数を過ぎても扉体3が開くことなく荷物が庫内に存在し続けている場合には、操作入力部6に設けられたスピーカ68をアラーム手段として用い、スピーカ68からアラーム音を発する動作を行ってもよい。これにより、荷受人による荷物の取り忘れを抑制できる。
【0028】
また、距離センサ792を装着しない方のセンサ取付部71bには、埃や水の進入を防ぎ施錠駆動部7を保護する防塵カバー791を取り付けてもよい。
後述するように、施錠駆動部7は、第1の態様と左開き用に構成した第2の態様とでは、函体2に対し高さ方向における向きを反転した状態で用いられる。
しかしながら、施錠駆動部7の筐体71の底面71aにおける上端周辺又は下端周辺のセンサ取付部71bのうち、函体2の荷受け面25に近い方のセンサ取付部71bに距離センサ792を装着することで、第1の態様及び第2の態様からなる何れの場合にも、距離センサ792を荷受け面25に近い位置において、光学素子を荷受け面25の方向に向けた状態、すなわち下向きに配することができ、荷受け面25に載設された荷物の有無を効果的に検知することができる。
【0029】
また、施錠駆動部7は、センサ基板752に加速度センサ(不図示)を備えていてもよい。電子錠が施錠状態にあるときに、加速度センサの出力信号の変化によって、宅配ボックス1の振動が生じたことを検出することができる。例えば、加速度センサが宅配ボックス1の振動を検知した場合には、何者かによって移送された可能性があるものと推定し、制御回路基板62は、操作入力部6に設けられたスピーカ68をアラーム手段として用い、スピーカ68からアラーム音を発する動作を行ってもよい。これにより、宅配ボックス1が荷物ごと盗難に遭うことを抑制できる。
【0030】
以上の構成により、施錠部5によれば、操作者はタッチパネル64のテンキー641を用いて荷物の識別情報を入力してメンブレンスイッチ63を操作することにより電子錠を動作させて扉体3を開錠又は施錠することができる。
また、電池切れ等の非常の場合に、扉体3の前面30における枠体66の外縁近傍において、孔31bを通して外部に露出した鍵穴に鍵を差し込んで機械錠76を手動で回すことによって、扉体3を開錠又は施錠することができる。
【0031】
<宅配ボックス1の組み立て方法>
以下、宅配ボックス1の組み立て方法の概要について説明する。
(1)施錠部の扉体への取り付け
扉体3の施錠部領域31に開設された孔31cを表側から挿通する締結具(不図示)により、施錠駆動部7の取付け板78を扉体3に固定した後に、筐体71の孔71gを挿通する締結具(不図示)を取付け板78のねじ孔78cに螺合させることで、施錠駆動部7を扉体3に固定する。
次に、締結具(不図示)を、施錠駆動部7の筐体71の孔71c、取付け板78の貫通孔78dや欠け部78e、扉体3の孔31dを裏側から挿通させて、操作入力部6のねじ穴61bに螺合させる。これにより、扉体3を間に挟んだ状態で操作入力部6と施錠駆動部7とが締結具によって共締めされて、施錠部5が扉体3に固定される。
【0032】
(2)扉体の函体への取り付け
(2-1)取付具の扉体への取り付け
上下の取付具4のヒンジ軸部43を、扉体3の高さ方向における外方から、扉体3のヒンジ挿通部32aに挿入して、取付具4を扉体3へ取り付ける。
(2-2)取付具の函体への取り付け
函体2における、2個の取付具4が取り付けられる被取付部24の雌ねじ24aに、上下に2個ずつねじ81を螺合させて、扉体3に取り付けられた取付具4を函体2へ取り付ける。
以上により、扉体3の函体2への取り付けが終了する。
なお、宅配ボックス1の組み立ては、施工場所で行ってもよいし、施工前にあらかじめ行ってもよい。扉体3の開き方向が施工場所まで不明な場合は、扉体3への施錠駆動部7の取り付けだけをあらかじめ行ってもよい。
以上、宅配ボックス1を右開き用に構成した第1の態様を例に、各構成の概要について説明した。
【0033】
<扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係>
次に、宅配ボックス1を右開き用に構成した第1の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係について説明する。
図9は、第1の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す分解斜視図である。図9に示すように、第1の態様では、宅配ボックス1は右開き用に構成した態様であるため、取付具4は函体2の開口20に対して幅方向における右側に位置する被取付部24に配設される。そのため、扉体3では、正面から見た状態において、ヒンジ挿通部32aが幅方向における右側の端部に位置するように、施錠部領域31が幅方向における左端の周辺に位置するように、X-Z面内の角度を調整し、取付具4を介して扉体3が函体2に取り付けられる。
図10(a)は、第1の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す正面図、(b)は背面図である。図10(a)に示すように、扉体3を表面側から見た状態では操作入力部6は文字を読める正姿勢を維持した状態で幅方向における左端の周辺に配されている。
【0034】
また、図10(b)に示すように、扉体3を裏面側から見た状態では施錠駆動部7は幅方向における右端(表面側から見た左端)の周辺に配されており、扉体3の幅方向における右端(表面側から見た左端)から、デットボルト742、ラッチボルト743が突出するように構成される。
このような構成により、第1の態様に係る宅配ボックス1によれば、扉体3は右方向に回動して開口20を開けることができるとともに、扉体3が開口20を閉じた状態においてデットボルト742の先端が扉体3の幅方向における端から突出して函体2の張出部分22に嵌合することにより扉体3を施錠できる。また、デットボルト742の突出を解除することにより扉体3を開錠できる。
以上、宅配ボックス1を右開き用に構成した第1の態様を例として、宅配ボックス1の各構成の概要について説明した。
【0035】
<左開き用に構成した第2の態様について>
以下では、実施の形態1に係る宅配ボックス1における各構成の概要について、宅配ボックス1を左開き用に構成した第2の態様を例に説明する。
図11は第2の態様の正面図であり、図12(a)(b)は、それぞれ扉体が閉じた状態の斜視図、扉体が開いた状態の斜視図であり、図13は分解斜視図である。
宅配ボックス1は第2の態様とした場合でも、第1の態様と同じ、函体2、扉体3、取付具4、施錠部5によって構成される。
実施の形態1に係る宅配ボックス1では、「右開き」「左開き」などの相対する向きに扉体3を開けるために、取付具4は、開口20に対して第2の方向における両側に配設可能に構成され、施錠部5は、取付具4が第2の方向における両側の何れに配設されても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能に構成されている。
そのため、宅配ボックス1では、取付具4の函体2の幅方向における取り付け位置に応じて、操作入力部6の扉体3に対する相対的な位置関係を変更することにより、例えば、右開き用・左開き用何れにも適合することができ、すべての構成要素が、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造にも使用可能な共用部品によって構成されている。
すなわち、第2の態様(左開き用)に含まれる構成要素は、第1の態様(右開き用)に含まれる構成要素と同じものになるため、各構成要素についての説明は省略し、以下では、第2の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係について説明する。
【0036】
図14は、第2の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す分解斜視図である。図14に示すように、第2の態様では、宅配ボックス1は左開き用に構成した態様であるため、取付具4は函体2の開口20に対して幅方向における左側に位置する被取付部24に配設される。そのため、扉体3では、正面から見た状態において、ヒンジ挿通部32aが幅方向における左側の端部に位置するように、施錠部領域31が幅方向における右端の周辺に位置するように、X-Z面内の角度を調整し(180°回転させる)、取付具4を介して函体2に取り付けられる。
【0037】
図15(a)は、第2の態様における、扉体3、操作入力部6、及び施錠駆動部7の位置関係を示す正面図、(b)は背面図である。図15(a)に示すように、扉体3を表面側から見た状態では操作入力部6は幅方向における右端の周辺に文字を読める正姿勢を維持した状態で配されている。また、図15(b)に示すように、扉体3を裏面側から見た状態では施錠駆動部7は幅方向における左端(表面側から見た右端)の周辺に配されており、扉体3の幅方向における左端(表面側から見た右端)から、デットボルト742、ラッチボルト743が突出するように構成される。
このような構成により、第2の態様に係る宅配ボックス1によれば、扉体3は左方向に回動して開口20を開けることができるとともに、扉体3が開口20を閉じた状態においてデットボルト742の先端が扉体3の幅方向における端から突出して函体2の張出部分22に嵌合することにより扉体3を施錠できる。また、デットボルト742の突出を解除することにより扉体3を開錠できる。
【0038】
<宅配ボックス1の扉体の付け換え方法>
以下、宅配ボックス1の扉体の付け換え方法の概要について説明する。
(1)扉体の函体からの取り外し
取付具4用のねじ81を緩めて取り外し、扉体3を奥行き方向における前方へとスライドさせることで、扉体3を函体2から取り外すことができる。
【0039】
(2)施錠部の扉体への付け換え
扉体3を間に挟んだ状態で操作入力部6と施錠駆動部7を共締めして扉体3に固定している締結具(不図示)を緩めて、操作入力部6を扉体3から取り外す。このとき、施錠駆動部7は扉体3に固定されている。これにより、付け換え作業を効率よく行える。
次に、取り外した操作入力部6を扉体3に対してX-Z面内で180°、施錠部領域31の中で回転させて操作入力部6の扉体3の面内における相対的な向きを反転させて、締結具を、施錠駆動部7の筐体71の孔71c、取付け板78の貫通孔78dや欠け部78e、扉体3の孔31dを裏側から挿通させて操作入力部6のねじ穴61bに螺合させることで、反転させた操作入力部6を扉体3に固定する。これにより、扉体3の函体2への取り付けの際に、扉体3の上下を反転させても、操作入力部6は文字を読める正姿勢を維持することができる。同様に、操作入力部6の枠体66に設けられている光源部631もタッチパネル64を上方から照光する姿勢を維持することができる。
次に、施錠駆動部7は、筐体71の底面71aの高さ方向における上端周辺と下端周辺の2つのセンサ取付部71bそれぞれに対し1個ずつ装着されている距離センサ792と防塵カバー791を、それぞれ当初装着されていたセンサ取付部71bと反対側のセンサ取付部71bに相互に入れ替える。このとき、筐体71を取り外した状態で入れ替え作業を行ってもよい。
【0040】
(3)扉体と取付具の函体への取り付け
取り外した扉体3と取付具4を一体としてX-Z面内で180°、回転させて扉体3の上下を反転させて、反転させた扉体3付きの上下の取付具4を幅方向における反対側に位置する被取付部24に対し位置合わせし、被取付部24の雌ねじ24aに、上下に2個ずつねじ81を螺合させて、取付具4を函体2へ取り付けて扉体を付け換える。
このように、扉体3の開閉向きを反転させて扉体の付け換える場合でも、取付具4を扉体3から取り外すことなく、扉体3を函体2に取り付けることができる。
また、取付具4が函体2における第2の方向における両側の何れに配設されたかに適合させて、操作入力部6の扉体3の面内における相対的な向きを反転することにより、例えば、右開き用の宅配ボックスを左開き用の宅配ボックスに変更するなど、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造に変換することができる。
なお、扉体の付け換えの順序は、上述以外の順序でも取り換え可能である。
【0041】
<まとめ>
以上のとおり、実施の形態1に係る宅配ボックス1では、開口20を有し荷物を収容可能な函体2と、第1の方向(Z方向)に延伸する回動軸回りを回動することにより開口20を開閉可能とする扉体3と、扉体3を回動可能に函体2に取り付ける取付具4と、扉体3に配された施錠部5とを備え、取付具4は、開口20に対して第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)の両側に配設可能であり、扉体3は、取付具4が第2の方向における一方側に配設されると第1の向きに回動して開口20を閉じ、取付具4が第2の方向における他方側に配設されると第1の向きと反対の第2の向きに回動して開口20を閉じ、施錠部5は、取付具が第2の方向における両側の何れに配設されても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能である構成としている。
すなわち、宅配ボックス1では、取付具4は、開口20に対して第2の方向における両側に配設可能に構成され、施錠部5を構成する施錠駆動部7は、取付具4が函体2における第2の方向における両側の何れに配設されていても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能に構成される。
【0042】
より具体的には、取付具4の取付け用の雌ねじ24aが函体2の張出部分22の幅方向の両端から同じ距離の位置に設けられ、2つの取付具4のヒンジ軸部43は、雌ねじ24aから同じ位置に設けられ且つ第1の方向(高さ方向)の同一直線上に位置する。なお、ここでの同一直線は、扉体3の上下のヒンジ挿通部32aを通る直線である。
操作入力部6と施錠駆動部7を扉体3に固定する際に供締めする態様では、操作入力部6のねじ穴61bと、扉体3の孔31dと、施錠駆動部7の取付け板78の貫通孔78d及び欠け部78eと、施錠駆動部7の筐体71の孔71cとの関係が、これらの高さ方向の中点を通り且つ左右方向に延伸する仮想線を基準にして上下対称の関係を有している。
操作入力部6と施錠駆動部7の少なくとも一方は、ワイヤハーネス67用の複数の貫通孔を高さ方向に間隔をおいて有し、操作入力部6を180°回転させる際の回転中心を通り且つ高さ方向(上下方向)と直交する仮想線(幅方向に延伸することになる)を基準線とし、操作入力部6と施錠駆動部7の他方であってワイヤハーネス67が挿通する第1の孔が基準線から高さ方向に第1の位置に形成され、操作入力部6と施錠駆動部7の一方の複数の貫通孔の少なくとも2つ貫通孔は、基準線に対して上方向及び下方向に第1の位置と重なる第2の位置に形成されている。
以上の構成により、操作入力部6と施錠駆動部7が、例えば、右開き用に取り付けられた扉体3を、左開き用にする際に、扉体3をX-Z面内において180°回転させ、さらに、操作入力部6を扉体3に対し高さ方向に反転させることができる。
これにより、宅配ボックス1では、取付具4が函体2における第2の方向における両側の何れに配設されたかに適合させて、操作入力部6の扉体3の面内における向きを反転することにより、扉体の函体への取り付けの際に、扉体3の上下を反転させても、操作入力部6は文字を読める正姿勢を維持できる。また、テンキーに対する光源部の照射方向を維持できる。その結果、宅配ボックス1は、例えば、右開き用・左開き用など、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造の何れにも適合することができる。
したがって、宅配ボックス1では、すべての構成要素が、相対する開扉方向に対応する宅配ボックス構造にも使用可能な共用部品によって構成することができ、専用部品が不要となり部品や金型の種類を減少でき、安価に製造可能な構成を実現できる。
【0043】
≪実施の形態2≫
実施の形態1では、取付具4は、開口20に対して第2の方向(幅方向)における両側に配設可能に構成され、施錠部5を構成する施錠駆動部7は、取付具4が函体2における第2の方向における両側の何れに配設されていても、扉体3を函体2に施錠又は解錠可能に構成されている宅配ボックス1について説明した。
実施の形態2では、宅配ボックス1と、宅配ボックス1と連動して動作するインターホン装置を含む宅配ボックス保安システムである点で実施の形態1と相違する。
以下、実施の形態2に係る宅配ボックス保安システム10について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態2の宅配ボックス1は、扉体の開閉向きを変更可能であってもよいし、変更不可能であってもよい。
【0044】
<宅配ボックス保安システム10の構成>
図16は、実施の形態2に係る宅配ボックス保安システム10の機能的構成と信号の流れを示すシステム構成図である。なお、信号の流れを破線で示す。
図16に示すように、宅配ボックス保安システム10は、宅配ボックス100と、通信ネットワークNに接続されたインターホン装置600を含んで構成され、通信ネットワークNに接続された無線通信手段400、端末装置501、502(まとめて「端末装置500」と記す場合がある)とともに利用され機能を実現する。
通信ネットワークNは、例えば、インターネットであり、インターホン装置600と端末装置500とが情報交換できるように接続されている。
【0045】
(宅配ボックス100)
宅配ボックス100は、宅配ボックス保安システム10の機能を実現するための構成として、スピーカ101と加速度センサ102と無線通信部103と制御部104を含む。なお、宅配ボックス1の機構的な構成及び単体で成し得る機能的構成については、図1~15に示した実施の形態1に係る宅配ボックス1と同じであるため説明を省略する。
スピーカ101は、操作入力部6に設けられたスピーカ68に相当する。
加速度センサ102は、操作入力部6に設けられる加速度センサ(不図示)に相当する。
無線通信部103は、加速度センサ102により検出された加速度に応じた電気信号をインターホン子機200に出力する無線通信回路である。
制御部104は、宅配ボックス1の動作を制御する制御回路である。本例では、スピーカ101、加速度センサ102、無線通信部103と電気的に接続されこれらの動作を制御する。制御部104は、操作入力部6に設けられた制御回路基板62に構成された制御回路によって実現される。
【0046】
(インターホン装置600)
インターホン装置600は室外に配されたインターホン子機200と、インターホン子機200と電気的に接続され室内に配されたインターホン親機300を含む。
(1)インターホン子機200
インターホン子機200は、インターホン装置600の室外子機であり、例えば、戸建て住宅の戸外において玄関の近くや、集合住宅のエントランス付近に設置される宅配ボックス1の近くに設置される。このインターホン子機200は、例えば、図3に示すように、宅配ボックス1が設置された一対のフレームFr1を幅方向に接続するフレームFr2に配されたインターホン子機Ipによって実現される。
インターホン子機200は、図16に示すように、マイク201、スピーカ202、呼出しベル203、カメラ204、変換部205、無線通信部207と制御部206を含む。
マイク201、スピーカ202、呼出しベル203、カメラ204は、例えば、特開2021-61553号公報に記載された公知の構成を用いてもよい。
変換部205は、インターホン親機300に有線接続され相互に制御情報を交換する通信回路である。
無線通信部207は、宅配ボックス100の無線通信部103と無線接続され、加速度センサ102から発せられる出力信号を取得するインターフェイス回路である。無線通信規格としては、例えば、IEEE802.11規格などによる無線LAN(Local Area Network:所謂、WiFi(登録商標)である)、Bluetooth(登録商標)通信や赤外線通信などの近距離無線通信規格を用いてもよい。あるいは、宅配ボックス100と有線接続される構成であってもよい。
制御部206は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより各要素の動作を制御しインターホン子機200の機能を実現する。
【0047】
(2)インターホン親機300
インターホン親機300は、インターホン装置の室内親機である。
インターホン親機300は、図16に示すように、マイク301、スピーカ302、表示部304、変換部305、無線通信部307、制御部306と記憶部308を含む。
マイク301、スピーカ302は公知の構成を用いてもよい。
表示部304は、例えば液晶パネルなどの表示装置であり、カメラ204により撮像された画像を表示画面に表示する。
変換部305は、インターホン子機200に有線接続され相互に制御情報を交換する通信回路である。
無線通信部307は、無線通信手段400と無線接続され、端末装置500と情報を交換するためのインターフェイス回路である。無線通信規格としては、例えば、IEEE802.11規格などによる無線LANなどの近距離無線通信規格を用いてもよい。
制御部306は、CPUであり、記憶部308からプログラム読み出して実行することにより各要素の動作を制御しインターホン子機200の機能を実現する。
記憶部308は、取得された出力信号や画像を保存する記憶領域として機能する。また、処理に係る情報を一時的に格納する一時記憶領域として機能を有する。また、必要なプログラムなどを記憶している。記憶部308は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ、不揮発性メモリにより実現される。
【0048】
<動作について>
宅配ボックス保安システム10の動作について説明する。
先ず、宅配ボックス100の加速度センサ102は、宅配ボックス1の振動に応じた電気信号を制御部104に出力する。
次に、制御部104は、電子錠が施錠状態にあるときに加速度センサ102の出力信号の変化を受信すると、宅配ボックス1の振動が生じたことを検出し、無線通信部103に制御信号を出力し、無線通信部103により振動検知信号を発信させる(Sg1)。
次に、インターホン子機200の無線通信部207は、無線通信部103が発する振動検知信号を受信し、制御部206にこれを出力する。
次に、制御部206は、無線通信部207から振動検知信号を受信すると、変換部205を介して、インターホン親機300の変換部305に振動検知信号に基づく警告信号に関する制御信号を出力し(Sg2)、変換部305は制御信号の受信に基づいて制御部306にこれを出力する。
次に、インターホン親機300の制御部306はこの制御信号を受信すると、無線通信部307により通信ネットワークNに接続された無線通信手段400を介して、通信ネットワークN上の端末装置500に振動検知信号に基づく警告信号を発信させる(Sg3)。
端末装置500は通信ネットワークNを介して振動検知信号に基づく警告信号を受信することにより、宅配ボックス100が何者かによって宅配ボックス1が移送されている可能性があることを知り、宅配ボックス1が荷物ごと盗難に遭う可能性があることを認識することができる。
【0049】
<まとめ>
従来の宅配ボックスでは、宅配ボックス1が荷物ごと盗難に遭うことを荷受人に認識させるための手段は備えておらず、宅配ボックス1が荷物ごと盗難に遭うことを未然に防止することは困難であった。
これに対し、実施の形態2係る態様は、宅配ボックス100と、通信ネットワークNに接続されたインターホン装置600を備えた宅配ボックス保安システムであって、宅配ボックス100は加速度センサ102を有し、宅配ボックス100は加速度センサ102が宅配ボックス100の振動を検知すると振動検知信号をインターホン装置600に出力し、インターホン装置600は振動検知信号に基づく警告信号を通信ネットワークNに接続された端末装置500に向けて発信する構成を採る。
また、別の態様では、上記構成において、インターホン装置600は室外に配されたインターホン子機200と、インターホン子機200と電気的に接続され、通信ネットワークNに接続される室内に配されたインターホン親機300を含む構成としてもよい。
このような構成により、荷受人は外出し自宅に不在である場合においても、通信ネットワークN上の端末装置500を介して、警告信号の通知を受け、何者かによって宅配ボックス1が移送されている可能性があること認識することができ、例えば、警備会社や警察に電話等による通報を行うなどの緊急措置を取ることが可能となる。その結果、宅配ボックス1が荷物ごと盗難に遭うことを未然に抑制できる。
【0050】
≪実施の形態3≫
実施の形態2では、加速度センサ102が宅配ボックス100の振動を検知すると荷受人は外出し自宅に不在である場合においても、通信ネットワークN上の端末装置500を介して警告信号の通知を受け取る保安システムについて説明した。
実施の形態3に係る保安システム11では、通知を受け取った荷受人が、通信ネットワークN上の端末装置500によりインターホン装置600又は宅配ボックス1にフィードバックを行う点で実施の形態2と相違する。
以下、実施の形態3に係る保安システム11について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態3の宅配ボックス1は、扉体の開閉向きを変更可能であってもよいし、変更不可能であってもよい。
【0051】
<保安システム11の構成>
図17は、実施の形態2に係る保安システム11の機能的構成と信号の流れを示すシステム構成図である。
図17に示すように、保安システム11は、宅配ボックス100と、通信ネットワークNに接続されたインターホン装置600を含んで構成され、通信ネットワークNに接続された無線通信手段400、端末装置500とともに利用され機能を実現する。保安システム11を構成するそれぞれの要素は、実施の形態2に係る宅配ボックス保安システム10の構成のものと同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
<保安システム11の動作について>
保安システム11の動作について説明する。
先ず、インターホン子機200は呼出しベル203が押されたとき、呼出しベル203は、呼出し信号を制御部206に出力する(Sg10)。
次に、インターホン子機200の制御部206は、呼出し信号を取得すると、カメラ204を起動させて画像を撮像させ、撮像された画像信号を取得して無線通信部207に出力し、変換部205を介して、インターホン親機300の変換部305に画像信号を出力し(Sg11)、変換部305は画像信号の受信に基づいて制御部306にこれを出力する。
次に、インターホン親機300の制御部306はこの画像信号を受信すると、無線通信部307により通信ネットワークNに接続された無線通信手段400を介して、通信ネットワークN上の端末装置500に画像信号を送信させる(Sg12)。
端末装置500は通信ネットワークNを介して画像信号を受信するとことにより、荷受人は画像を端末装置500に表示させて確認し荷物が届いたことを認識することができる。
次に、荷受人は、画像信号の確認に基づく端末装置500からの応答信号を発信し、インターホン親機300の無線通信部307はこれを受信する(Sg13)。
次に、インターホン親機300の制御部306はこの応答信号を取得して変換部305を介して、インターホン子機200の変換部205に応答信号を出力し(Sg14)、変換部205は応答信号の受信に基づいて制御部206にこれを出力する。
次に、インターホン子機200の制御部206は、応答信号に基づく音声信号をスピーカ202から音声として発する(Sg15)。
さらに、制御部306は、応答信号に基づいてカメラ204により撮像された画像を記憶部308に保存して録画してもよい(Sg16)。
【0053】
<まとめ>
従来の宅配ボックスでは、荷受人が在宅である場合には、インターホン子機200の呼出しベル203が押されたとき、カメラ204により撮像された画像をインターホン親機300の表示部304に表示させて確認し、これにインターホン親機300から呼応して、インターホン子機200のスピーカ202を介して、宅配ボックス1への荷物の配達人に向けて音声などを伝達することができた。
ところが、荷受人が外出し自宅に不在である場合には、宅配ボックス1への荷物の配達人に対し情報を連絡することが困難であった。
これに対し、実施の形態2係る態様は、呼出しベル203とカメラ204を有し通信ネットワークNに接続されたインターホン装置600を備えた保安システム11であって、インターホン装置600は呼出しベル203が押されたとき、カメラ204により画像を撮像し、撮像された画像信号を通信ネットワークNに接続された端末装置500に向けて送信するとともに、画像信号の受信に基づく端末装置500からの応答信号を受信して、応答信号に基づく情報をスピーカ202から音声として発する構成を採る。
また、別の態様では、上記構成において、インターホン装置600は、応答信号に基づいてカメラにより撮像された画像を録画する構成としてもよい。
また、別の態様では、上記構成において、インターホン装置600は、呼出しベル203とカメラ204を有し室外に配されたインターホン子機200と、インターホン子機200と電気的に接続され、通信ネットワークNに接続される室内に配されたインターホン親機300を含む構成としてもよい。
このような構成により、荷受人は外出し自宅に不在である場合にも、通信ネットワークN上の端末装置500を介して宅配ボックス1への荷物の配達人に向けて、例えば、電子錠の暗証番号など、必要な情報を伝達することができる。その結果、荷受人の不在に伴う再配達や置配に伴う盗難を抑制できる。
【0054】
≪変形例≫
実施の形態1に係る宅配ボックスを説明したが、本発明は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態1に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態1に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態1における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。以下では、そのような形態の一例として変形例を説明する。
(1)実施の形態1では、扉体の回動軸は高さ方向に延伸していたが、回動軸は左右方向に延伸してもよい。この場合、扉体は、被扉取付体(函体)に対して、上開き・下開き状に開閉することとなる。
(2)実施の形態1では、扉体3を開閉して、宅配品の受取、取り出しを行っているが、例えば、函体における扉体と対向する部位に開口と扉体とを設け、裏側の扉体を開閉して宅配品を取り出すように構成してもよい。
(3)実施の形態1では、扉体は、扉体が回動(回転)軸周りに回動(回転)して函体の開口を開閉する機能を有していればよく、他の構成は特に限定するものではない。
(4)実施の形態1では、扉体を正面から見た形状は、函体の開口と同じ形状をしていたが、開口を塞ぐことができればよく、開口と異なる形状であってもよい。
(5)実施の形態1では、取付具4はヒンジ軸部43を有しているが、例えば、回動軸の延伸する方向における外方又は内方へと延伸するヒンジ軸を扉体に設け、当該ヒンジ軸部が挿入する貫通孔を取付具に設けてもよい。
(6)取付具が函体に取り付けられる場合、函体は、取り付け予定部位に被取付部を有していればよく、他の構成は特に限定するものではない。
(7)実施の形態1では、扉体3に施錠部5を取り付ける方法について、締結具(不図示)が扉体3の孔31cに裏側から挿通され、扉体3を間に挟んだ状態で操作入力部6と施錠駆動部7が締結具によって共締めされ、施錠部5が扉体3に固定されている態様を一例として説明した。しかしながら、操作入力部6と施錠駆動部7がそれぞれ独立して扉体3に固定されている態様としてもよい。操作入力部6と施錠駆動部7の何れかを扉体3から取り外す場合に作業が容易となる。
(8)実施の形態1では、宅配ボックス1の設置状態の一例として、図3の例を示した。しかしながら、宅配ボックス1の設置態様として、例えば、壁に後部側が埋まるように配置してもよいし、載置台に配置されてもよく、設置方法等は特に限定するものではない。
(9)実施の形態1では、扉体3は、ワイヤハーネス67用の孔31aを高さ方向に間隔をおいて2個形成されていたが、操作入力部6を上下反転(180°回転)させた場合に、扉体3の孔31a、施錠駆動部7の貫通孔78f,78gとでワイヤハーネスを挿通できれば、1個でもよいし、3個以上でもよい。
なお、1個の場合、180°回転させる中心軸を含んだ領域に、操作入力部6の貫通孔61d、扉体3の孔31a、施錠駆動部7(取付け板78)の貫通孔78g,78fを設けることで、実施できる。
また、孔31a、貫通孔78f,78gの形状は特に限定するものではない。
(10)実施の形態1では、扉体3は、ワイヤハーネス67用の孔31aを2個有し、この2個の孔31aは、操作入力部6の底面61aの3個の貫通孔61dうち、2個の貫通孔61dと一致するが、扉体3への操作入力部6の取り付け方法によっては、上記(9)のように、扉体3と操作入力部6とに設ける貫通孔は1個とすることも可能である。
(11)実施の形態1では、操作入力部6を締結具で施錠駆動部7に固定しているが、例えば、操作入力部6の筐体61の底面61aと扉体3とを両面テープで貼り着けてもよいし、さらに、実施形態1のように締結具で固定してもよい。両面テープを利用する場合、ワイヤハーネス67が挿通する貫通孔61dや孔31a以外の貫通孔や孔を塞いでもよい。なお、操作入力部6の貫通孔61d及び施錠駆動部7の貫通孔78dは、1個、2個、3個、更に4個以上であってもよい。
(12)別の態様では、実施の形態2又は実施の形態3において、加速度センサ102による振動検知信号に基づいて、スピーカ101、スピーカ202及びスピーカ302から選択される何れか又は全部からアラーム音を発する構成としてもよい。
(13)実施の形態3では、インターホン子機200は呼出しベル203が押されたときカメラ204を起動させて画像を撮像させ、撮像された画像信号がインターホン親機300を介して端末装置500に送信される構成とした。これに対し、宅配ボックス1の電子錠が開錠された場合にカメラ204を起動させて画像を撮像させ、撮像された画像信号が端末装置500に送信される構成としてもよい。これにより、荷物が届いたことを荷受人が知ることができる。
(14)また、別の態様では、操作入力部6と、施錠駆動部7を別々に設けてもよい。
(15)また、別の態様では、インターホン子機200と、操作入力部6とを一体としてもよい。この場合、門柱に設けてもよいし、扉体3に設けてもよい。
(16)また、別の態様では、施錠部5から端末装置500に、加速度センサ102による振動検知信号出力(送信)してもよい。
(17)また、別の態様では、加速度センサ102による振動検知信号を警備会社に送信してもよい。
(18)また、別の態様では、函体2の前面の一部に開口20を設け、前面の残部に施錠部5や操作入力部6を設ける構成としてもよい。操作入力部6を除いて、函体2を第1の方向に反転させることで、扉体3を第1の向きと第2の向きとの両方に対応できる。
(19)また、別の態様では、扉体3が閉まっていないときに、スピーカ101からアラーム音を発する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 宅配ボックス
2 函体
20 開口
21 側面
22 張出部分
23 屈曲部分
24 被取付部
25 荷受け面
3 扉体
31 施錠部領域
32 端面
4 取付具
41 扉側板部
42 函側板部
43 ヒンジ軸部
5 施錠部
6 操作入力部
61 筐体
62 制御回路基板
63 メンブレンスイッチ
64 タッチパネル
65 透明保護シート
66 枠体
67 ワイヤハーネス
68 スピーカ
69 シール部材
7 施錠駆動部
71 筐体
72 バッテリホルダ
73 バッテリユニット
74 駆動機構
75 センサ基板
76 機械錠
771 スペーサ部材
772 フレーム
791 防塵カバー
792 距離センサ
100 宅配ボックス
600 インターホン装置
200 インターホン子機
300 インターホン親機
400 無線通信手段
500、501、502 端末装置
Fr1、Fr2 設置フレーム
Bs 設置基盤
Ip インターホン子機

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17