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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081594
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】段ボール原紙
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/10 20060101AFI20240611BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240611BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240611BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20240611BHJP
【FI】
B32B27/10
B65D65/40 D
B32B27/00 H
B32B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182595
(22)【出願日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2022195122
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502247341
【氏名又は名称】プランティック・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】片倉 剛志
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA22
3E086AD02
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB85
3E086CA15
4F100AJ07
4F100AJ07A
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK21
4F100AK21A
4F100BA02
4F100BA07
4F100DG10
4F100DG10B
4F100EH17
4F100EJ42
4F100EJ86
4F100GB15
4F100JA13
4F100JA13B
4F100JB09
4F100JB09A
4F100JD03
(57)【要約】
【課題】落下等の衝撃を受けても、内部に保管した青果物の鮮度を保持でき、かつ離解性に優れた青果物用段ボール箱を形成できる青果物用段ボール原紙を提供する。
【解決手段】変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)と、紙(II)とを含み、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さは3μm以下であり、JIS K 7126-2に準拠して、温度20℃、湿度65%下で測定される酸素透過度は、20cc/(m・day・atm)以下である、青果物用段ボール原紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)と、紙(II)とを含み、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さは3μm以下であり、JIS K 7126-2に準拠して、温度20℃、湿度65%下で測定される酸素透過度は、20cc/(m・day・atm)以下である、青果物用段ボール原紙。
【請求項2】
Cepi-2020法に準拠した離解試験における離解度は90%以上である、請求項1に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項3】
樹脂組成物層(I)は、変性デンプン(A)及び水溶性高分子(B)を含む、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項4】
変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計100質量部を基準に、変性デンプン(A)の含有量は40~98質量部であり、水溶性高分子(B)の含有量は2~60質量部である、請求項3に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項5】
水溶性高分子(B)は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はポリオキシアルキレンである、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項6】
樹脂組成物層(I)の厚みは、10μm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項7】
樹脂組成物層(I)は無機粒子を含まない、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項8】
樹脂組成物層(I)は押出コート層である、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項9】
紙(II)の坪量は、100g/m未満である、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項10】
紙(II)の密度は、1.00g/cm未満である、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項11】
樹脂組成物層(I)及び紙(II)のみからなる、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項12】
紙(II)、樹脂組成物層(I)及び紙(II)をこの順に含む、請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の青果物用段ボール原紙を含む、青果物用段ボール箱。
【請求項14】
ライナー及び/又は中芯は、前記青果物用段ボール原紙を含んでなる、請求項13に記載の青果物用段ボール箱。
【請求項15】
前記青果物用段ボール箱の上下面は、H状又はI状に貼付されたテープにより密閉されている、請求項13に記載の青果物用段ボール箱。
【請求項16】
前記青果物用段ボール箱を構成する全6面のうち、少なくとも5面は、前記青果物用段ボール原紙を含んでなる、請求項13に記載の青果物用段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物包装等に用いられる段ボール原紙、並びに該段ボール原紙を含む段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
青果物を保管し、輸送するにあたって段ボール箱が用いられる。収穫後の青果物は呼吸を続けており、一般的な紙のみから構成される段ボール箱は外気と同様のガス環境が保たれる。一方で、段ボール内の二酸化炭素濃度を適切に調整することで、青果物が休眠状態となり、鮮度を長く保持することが知られている。二酸化炭素濃度を調整する上では、段ボール原紙にガスバリア性材料を用いる方法が挙げられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―023274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボールなどの紙は生分解性が高いことが利点であるが、例えばガスバリア材料として生分解性や紙との離解性が低いプラスチック材料を用いてしまうと生分解性の利点を阻害することとなるため、好ましくない。一方、水溶性高分子は、紙と複合化することで、バリア性が付与されるだけでなく、紙と共にリサイクル(離解)することができ、他のバリア性材料に対してメリットがある。しかしながら、本発明者の検討によれば、水溶性高分子からなるバリア層と紙層とを含む段ボール原紙は、段ボール箱に適用した場合に、内部に保管した青果物の変色や臭気の変化が生じることがあり、特に落下等の衝撃を受けた後にこれらの変色や変化が生じやすい。このように離解性と、内部に保管した青果物の鮮度保持とを両立することは困難であることがわかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、落下等の衝撃を受けても、内部に保管した青果物の鮮度を保持でき、かつ離解性に優れた青果物用段ボール箱を形成できる青果物用段ボール原紙、及び該青果物用段ボール箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂組成物層(I)と紙(II)とを含む青果物用段ボール原紙において、変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透厚みが特定の範囲であり、酸素透過度が特定の範囲である場合、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明には、以下の態様が含まれる。
【0007】
[1]変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)と、紙(II)とを含み、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さは3μm以下であり、JIS K 7126-2に準拠して、温度20℃、湿度65%下で測定される酸素透過度は、20cc/(m・day・atm)以下である、青果物用段ボール原紙。
[2]Cepi-2020法に準拠した離解試験における離解度は90%以上である、[1]に記載の青果物用段ボール原紙。
[3]樹脂組成物層(I)は、変性デンプン(A)及び水溶性高分子(B)を含む、[1]又は[2]に記載の青果物用段ボール原紙。
[4]変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計100質量部を基準に、変性デンプン(A)の含有量は40~98質量部であり、水溶性高分子(B)の含有量は2~60質量部である、[3]に記載の青果物用段ボール原紙。
[5]水溶性高分子(B)は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はポリオキシアルキレンである、[1]~[4]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[6]樹脂組成物層(I)の厚みは、10μm以上50μm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[7]樹脂組成物層(I)は無機粒子を含まない、[1]~[6]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[8]樹脂組成物層(I)は押出コート層である、[1]~[7]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[9]紙(II)の坪量は、100g/m未満である、[1]~[8]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[10]紙(II)の密度は、1.00g/cm未満である、[1]~[9]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[11]樹脂組成物層(I)及び紙(II)のみからなる、[1]~[10]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[12]紙(II)、樹脂組成物層(I)及び紙(II)をこの順に含む、[1]~[11]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の青果物用段ボール原紙を含む、青果物用段ボール箱。
[14]ライナー及び/又は中芯は、前記青果物用段ボール原紙を含んでなる、[13]に記載の青果物用段ボール箱。
[15]前記青果物用段ボール箱の上下面は、H状又はI状に貼付されたテープにより密閉されている、[13]又は[14]に記載の青果物用段ボール箱。
[16]前記青果物用段ボール箱を構成する全6面のうち、少なくとも5面は、前記青果物用段ボール原紙を含んでなる、[13]~[15]のいずれかに記載の青果物用段ボール箱。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、落下等の衝撃を受けても、内部に保管した青果物の鮮度を保持でき、かつ離解性に優れた青果物用段ボール箱を形成可能な青果物用段ボール原紙を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例で使用された二軸押出機の概略図である。
図2】実施例で使用された青果物用段ボール原紙の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[青果物用段ボール原紙]
本発明の青果物用段ボール原紙は、変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)と、紙(II)とを含み、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さは3μm以下であり、JIS K 7126-2に準拠して、温度20℃、湿度65%下で測定される酸素透過度は、20cc/(m・day・atm)以下である。
本発明者は、段ボール箱に保管した青果物の鮮度や段ボール箱の離解性に着目して検討を進めた結果、変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物層(I)の酸素透過度が20cc/(m・day・atm)以下であり、かつ樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さが3μm以下であると、落下等の衝撃を受けた場合であっても内部に保管した青果物の鮮度を保持できるとともに、離解性にも優れる青果物用段ボール箱を形成できることを見出した。
【0011】
<樹脂組成物層(I)>
本発明の青果物用段ボール原紙における樹脂組成物層(I)は、バリア性を有する層であり、変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含む。樹脂組成物層(I)は、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性、離解性、耐変形性及び生分解性を高めやすい観点から、変性デンプン(A)及び水溶性高分子(B)を含むことが好ましい。なお、本明細書において、青果物用段ボール原紙を用いて形成された青果物用段ボールにおいて、内部に保管した青果物の変色や臭気の変化を抑制できる特性を「青果物の鮮度保持性」と称する。また、本明細書において、数値範囲の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
【0012】
(変性デンプン(A))
変性デンプン(A)は、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性、耐変形性及び生分解性を高めやすい観点から、例えばエーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプン及び架橋デンプンからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0013】
デンプンとしては、キャッサバ、トウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、サゴ、タピオカ、モロコシ、豆、ワラビ、ハス、ヒシ、小麦、コメ、オート麦、クズウコン、エンドウ等に由来するデンプンが挙げられる。中でもトウモロコシ、キャッサバに由来するデンプンが好ましく、高アミロースのトウモロコシに由来するデンプンがさらに好ましい。デンプンは単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
エーテル化デンプンとしては、例えばメチルエーテル化デンプン等のアルキルエーテル化デンプン;例えばカルボキシメチルエーテル化デンプン等のカルボキシアルキルエーテル化デンプン;例えば炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン等のヒドロキシアルキルエーテル化デンプン等が挙げられる。また、アリルエーテル化デンプン等も用いることができる。
【0015】
エステル化デンプンとしては、例えば酢酸由来の構造単位を有するエステル化デンプン等のカルボン酸由来の構造単位を有するエステル化デンプン;例えばマレイン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、フタル酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、オクテニルスクシン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン等のジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン;例えば硝酸エステル化デンプン、リン酸エステル化デンプン、尿素リン酸エステル化デンプン等のオキソ酸由来の構造単位を有するエステル化デンプンが挙げられる。他の例としては、キサントゲン酸エステル化デンプン、アセト酢酸エステル化デンプン等が挙げられる。
【0016】
カチオン化デンプンとしては、デンプンと2-ジエチルアミノエチルクロライドとの反応物、デンプンと2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドとの反応物等が挙げられる。
【0017】
架橋デンプンとしては、ホルムアルデヒド架橋デンプン、エピクロルヒドリン架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、アクロレイン架橋デンプン等が挙げられる。
【0018】
変性デンプン(A)としては、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性、耐変形性及び生分解性を高めやすい観点から、炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン及びジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプンからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン、ヒドロキシブチルエーテル化デンプン、マレイン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、フタル酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン及びオクテニルスクシン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプンからなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましく、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン、及びヒドロキシブチルエーテル化デンプンからなる群から選択される少なくとも1つであることがさらに好ましい。変性デンプン(A)は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、本明細書において、「デンプン」の前に記載された炭素原子数は、デンプン中の1つの水酸基に置換した基(デンプン中の1つの水酸基を変性して形成された基)の炭素原子数を表す。例えば炭素原子数2~5のヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプンは、該デンプン中の1つの水酸基を変性して形成されたヒドロキシアルキル基の炭素原子数が2~5であることを示す。
【0019】
炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプンは、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキシドとデンプンとの反応により得られるものであってよい。変性に用いられるヒドロキシ基の平均数は、デンプン中の1グルコースユニット当たり好ましくは0.05~2である。
【0020】
樹脂組成物層(I)に含まれる変性デンプン(A)の平均アミロース含有量は、バリア性及び青果物の鮮度保持性を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらにより好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。平均アミロース含有量が上記の下限以上であると、バリア性及び耐変形性が向上しやすい。変性デンプン(A)中の平均アミロースの含有量は、通常90質量%以下である。本明細書において、アミロース含有量は、例えば「Starch 50 No.4 158-163(1998)」に記載のヨウ素呈色法により測定できる。なお、平均アミロース含有量は、変性デンプンが1種類の場合は、該1種類の変性デンプンのアミロース含有量を示し、変性デンプンを2種類以上使用する場合は、2種以上の変性デンプンのアミロース含有量を加重平均したものである。
【0021】
変性デンプン(A)中の含水率は5~15質量%であってもよい。
【0022】
変性デンプン(A)は、市販されているものを用いることもできる。変性デンプン(A)の代表的市販品の例としては、例えばIngrediоn社製のヒドロキシプロピルエーテル化デンプンである、ECOFILM(商標)やNational1658(商標)などが挙げられる。
【0023】
変性デンプン(A)の含有量は、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計100質量部を基準に、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上、さらにより好ましくは60質量部以上、特に好ましくは70質量部以上、特により好ましくは75質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは99質量部以下、さらに好ましくは98質量部以下、特に好ましくは95質量部以下である。変性デンプン(A)の含有量が上記の下限以上であると、生分解性及び離解性を高めやすく、また変性デンプン(A)の含有量が上記の上限以下であると、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐油性及び耐変形性を高めやすい。樹脂組成物層(I)を構成する樹脂成分は変性デンプン(A)のみから構成されていてもよい。なお、変性デンプンの含有量は、樹脂組成物層(I)の質量を基準とした場合でも上記の範囲から選択できる。
【0024】
(水溶性高分子(B))
水溶性高分子(B)は、変性デンプン(A)と相容性のあるポリマーであることが好ましい。水溶性高分子(B)は、特に限定されないが、変性デンプン(A)の加工温度に適した融点を有することが好ましく、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい観点から、ポリビニルアルコール及び/又はポリオキシアルキレンであることが好ましく、ポリビニルアルコールであることがより好ましい。
【0025】
前記ポリビニルアルコールは、鹸化度が好ましくは80モル%以上であり、100モル%以下、99.9モル%以下又は99.8モル%以下であってもよい。ポリビニルアルコールの鹸化度が上記範囲内である場合には、バリア性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい。鹸化度は、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは88モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。なお、鹸化度は、ポリビニルアルコールにおける水酸基とエステル基との合計に対する水酸基のモル分率を示す。鹸化度は、JIS K 6726(ポリビニルアルコール試験方法)に準拠して測定できる。
【0026】
ポリビニルアルコールは、JIS Z 8803に準拠して測定したポリビニルアルコールの4%水溶液の20℃での粘度が好ましくは1~50mPa・sである。ポリビニルアルコールの粘度が上記範囲内である場合には、バリア性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい傾向がある。前記粘度は、より好ましくは2mPa・s以上、さらに好ましくは3mPa・s以上であり、より好ましくは45mPa・s以下、さらに好ましくは40mPa・s以下である。
【0027】
ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位以外の他の単量体単位を更に含むことができる。他の単量体単位としては、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセンなどのα-オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3-ジアセトキシ-1-ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3-ジアセトキシ-1-アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩又はエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カルリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル単量体が例示される。他の単量体単位の含有量は、ポリビニルアルコールを構成する構成単位の合計モル量に対して、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
【0028】
ポリビニルアルコールの製造方法は特に限定されない。例えば酢酸ビニル単量体と、任意に他の単量体とを重合し、得られたポリマーを鹸化してビニルアルコール単位に変換する方法が挙げられる。重合する際の重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合等が挙げられる。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。ポリマーの鹸化は、公知の方法を適用できる。例えばアルコール又は含水アルコールに当該ポリマーが溶解した状態で行うことができる。このとき使用できるアルコールは、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコールである。ポリビニルアルコールは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
ポリオキシアルキレンは、ポリアルキレンオキサイド及びポリアルキレングリコールを示し、下記式(2):
【化1】
[式中、Rはアルキレン基であり、nは1以上である]
で表される構成単位(構成単位(2)ともいう)を有する。ポリオキシアルキレンは異なる構成単位(2)を2種以上有していてもよい。
【0030】
式(2)において、アルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等の炭素原子数が2~10個であるアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高める観点から、炭素原子数が2~6個であるアルキレン基が好ましく、エチレン基及び/又はプロピレン基がより好ましい。nが2以上の場合、これらのアルキレン基は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0031】
式(2)中のnは、好ましくは5以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上であり、好ましくは120,000以下、より好ましくは70,000以下である。nが上記範囲内であると、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい。ポリオキシアルキレンが異なる構成単位(2)を含む場合、各構成単位の繰り返し数nは同一であっても、異なっていてもよい。
【0032】
ポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、炭素原子数が2~6個であるアルキレンオキサイド由来の構成単位を有するポリマーが挙げられ、具体的にはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリトリメチレンオキサイド(ポリオキセタン)、ポリブチレンオキサイド、ポリイソブチレンオキサイド、又はこれらを構成するモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、炭素原子数が2~6個であるアルキレングリコール由来の構成単位を有するポリマーが挙げられ、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリイソブチレングリコール、又はこれらを構成するモノマーの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい観点から、ポリオキシアルキレンは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はこれらを構成するモノマーの共重合体であることが好ましい。該共重合体としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体などが好ましい。
【0033】
ポリオキシアルキレンは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、構成単位(2)以外の他のモノマー由来の構成単位を含んでいてよい。ポリオキシアルキレンが共重合体である場合、共重合体の重合形態は特に限定されず、ランダム状、ブロック状、グラフト状、又はテイパード状のいずれであってもよい。
【0034】
ポリオキシアルキレンの重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上であり、好ましくは5,000,000以下、より好ましくは3,000,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内であると、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい。
【0035】
ポリオキシアルキレンは、市販されているものを用いることもできる。ポリオキシアルキレンの代表的市販品の例としては、明成化学工業株式会社製のアルコックス(商標)E-75G、アルコックス(商標)L-11、アルコックス(商標)L-6、アルコックス(商標)EP1010N、住友精化株式会社製のペオ(商標)PEO-1、PEO-2などが挙げられる。
【0036】
水溶性高分子(B)の含有量は、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計100質量部を基準に、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、特に好ましくは5質量部以上、特により好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらにより好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下、特により好ましくは25質量部以下である。水溶性高分子(B)の含有量が上記の下限以上であると、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐油性及び耐変形性を高めやすく、また水溶性高分子(B)の含有量が上記の上限以下であると、生分解性及び離解性を高めやすい。樹脂組成物層(I)を構成する樹脂は、水溶性高分子(B)のみからなっていてもよい。なお、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、バリア層(C)の質量を基準とした場合でも上記の範囲から選択できる。
【0037】
樹脂組成物層(I)において、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計割合は、該樹脂組成物層(I)の質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、90質量%以上、95質量%以上又は98質量%以上であってもよい。また、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計割合は100質量%以下であってもよい。樹脂組成物層(I)変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計割合が上記の範囲内であると、バリア性、耐発泡性、耐変形性及び生分解性を高めやすい。
【0038】
樹脂組成物層(I)変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計割合は、該樹脂組成物層(I)を構成する樹脂の質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は99質量%以上であってもよい。また、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)との合計割合は100質量%以下であってもよい。
【0039】
(他の成分)
本発明の青果物用段ボール原紙において、樹脂組成物層(I)は、炭素原子数が12~22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸塩をさらに含んでいてよい。炭素原子数が12~22の脂肪酸及びその脂肪酸塩としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リノレイン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。これらの中でも加工性の観点から、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウムが好ましい。炭素原子数が12~22の脂肪酸及びその脂肪酸塩はそれぞれ単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0040】
樹脂組成物層(I)が、炭素原子数が12~22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸塩を含有する場合、樹脂組成物層(I)中の含有量は、該樹脂組成物層(I)の質量に対して、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.03~2質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。炭素原子数が12~22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸塩の含有量が上記の範囲内であると加工性の点で有利となる傾向がある。
【0041】
樹脂組成物層(I)は、粘土をさらに含んでいてもよい。粘土としては、合成又は天然層状ケイ酸塩粘土、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、雲母(マイカ)、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、ケニヤアイト、スチーブンサイト、ヴォルコンスコイトなどが挙げられる。粘土は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
樹脂組成物層(I)が粘土を含有する場合、樹脂組成物層(I)中の含有量は、該樹脂組成物層(I)の質量に対して、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%である。粘土の含有量が上記の範囲内であると、透明性及び強度の点で有利となる傾向がある。
【0043】
樹脂組成物層(I)は可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、例えば水、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、トリオレイン酸グリセロール、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリ酢酸グリセリル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチラート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールが挙げられる。可塑剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの可塑剤の中でも、バリア性を高めやすい観点から、水が好ましい。樹脂組成物層(I)が水を含む場合、樹脂組成物層(I)において、変性デンプン(A)と水溶性高分子(B)と水との合計割合は、該樹脂組成物層(I)の質量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上又は99.9質量%以上であってもよい。
【0044】
樹脂組成物層(I)中の含水率(含水量)は、樹脂組成物層(I)の質量に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。含水率が上記の下限以上であると、樹脂組成物層(I)が適正な屈曲耐性を有しやすく、また含水率が上記の上限以下であると、耐発泡性、耐変形性、バリア性及び青果物の鮮度保持性を高めやすい。なお、含水率は、ワンダーブレンダーWB-1で最大粒径1mm以下に粉砕し、加熱乾燥式水分計を用いて、温度130℃で60分間測定したときの含水率である。
【0045】
樹脂組成物層(I)は、必要に応じて、充填剤、加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤をさらに含むことができる。これらの添加剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0046】
本発明の一実施形態では、樹脂組成物層(I)は無機粒子を含まないことが好ましい。本発明の青果物用段ボール原紙は、無機粒子を含まなくても、落下衝撃後の青果物の鮮度保持性及びガスバリア性を発現できる。
【0047】
本発明の一実施形態では、本発明の樹脂組成物層(I)は、青果物の鮮度保持性及びガスバリア性を高める観点から、押出コート層、すなわち、押出コートにより形成された(又は設けられた)層であることが好ましい。押出コートは、後述の[青果物用段ボール原紙の製造方法]に記載の押出コートであることが好ましく、溶融押出コートであることがより好ましい。
【0048】
樹脂組成物層(I)は、1つ又は2つ以上設けられていてもよく、単層又は多層であってもよい。樹脂組成物層(I)が2つ以上の場合、各層の厚みや種類は異なっていても、同じであってもよい。
【0049】
樹脂組成物層(I)の形態は、フィルム又はシート状であることが好ましい。樹脂組成物層(I)の厚みは、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性、耐変形性、離解性及び生分解性を高めやすい観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下、さらにより好ましくは300μm以下、特に好ましくは250μm以下、特により好ましくは150μm以下、特にさらに好ましくは100μm以下、特にさらにより好ましくは50μm以下である。青果物用段ボール原紙が樹脂組成物層(I)を2つ以上有する場合、上記樹脂組成物層(I)の厚みは、1つの樹脂組成物層(I)の厚みを示す。樹脂組成物層(I)の厚みは、顕微鏡観察で測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
【0050】
<紙(II)>
本発明の青果物用段ボール原紙は、紙(II)を含む。樹脂組成物層(I)及び紙(II)は、直接積層していることが好ましい。紙は、例えばパルプ、填料、薬剤、顔料を含んでなるフィルム又はシートであってよい。パルプとしては、例えば、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプ等の化学パルプ;ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;脱墨パルプ、古紙パルプ等の木材繊維;ケナフ、竹、麻等から得られた非木材繊維などが挙げられる。これらのパルプは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、原紙中への異物混入の発生及び使用後の紙容器をリサイクル使用する際の経時変色の発生を抑制しやすく、また印刷時の面感が良好となりやすい観点から、化学パルプ、機械パルプ、木材繊維が好ましく、化学パルプがより好ましい。
【0051】
填料としては、例えばホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料が挙げられる。填料は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。薬剤としては、例えば酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤(例えば中性サイズ剤)、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等が挙げられ、これらを単独又は二種以上組み合わせて使用してもよい。歩留まり向上剤としては、例えば、硫酸アルミニウムや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性或いは、両性のものが挙げられる。乾燥紙力増強剤としては、例えばポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などが挙げられ、湿潤紙力増強剤としては、例えばポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬剤は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。中性サイズ剤としては、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。顔料としては、例えばカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料及び密実型、中空型、又はコアーシェル型等の有機顔料などが挙げられ、これらを単独又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。なお、紙の表面を各種薬剤や顔料で処理してもよい。
【0052】
紙の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、公知の長網フォーマー、オントップハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマーマシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙方式で抄紙して紙を製造することができる。
【0053】
紙の表面処理の方法は特に限定されないが、例えばロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなどの公知の塗工装置を使用できる。
【0054】
このようにして得られる紙としては、例えば上質紙、中質紙、塗工紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、片艶晒クラフト紙、レーヨン紙、薄葉紙、グラシン紙、板紙、白板紙、防水紙、セロハン、ライナーなどが挙げられる。紙は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0055】
紙は、上述した原紙の片面又は両面に、紙の一部として透明塗工層を有していてよい。原紙上に透明塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上しやすく、また、顔料を塗工する際の塗工性を向上しやすい。該透明塗工層は、バインダーとして、澱粉由来の高分子化合物を含んでいてよい。透明塗工の量は、片面あたり固形分で0.1~4.0g/mが好ましく、0.5~2.5g/mがより好ましい。例えば、サイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレス、カーテンコーター、スプレーコーター等のコーター(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉等の各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を主成分とする塗布液を原紙上に塗布してよい。また、オンラインソフトカレンダー、オンラインチルドカレンダーなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。
【0056】
紙は、必要に応じて平滑化処理してよい。平滑化処理には、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
【0057】
紙(II)の坪量は、青果物の鮮度保持性や段ボールシートの成形性を高める観点から、好ましくは100g/m未満、より好ましくは80g/m以下、さらに好ましくは60g/m以下、さらにより好ましくは50g/m以下であることが好ましい。紙(II)の坪量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは10g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上、さらにより好ましくは30g/m以上である。紙(II)の坪量が上記の範囲内であると、バリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性、耐変形性及び生分解性を高めやすい。なお、紙(II)の坪量は、紙(II)を2つ以上有する場合、1つの紙(II)の坪量を意味する。紙(II)の坪量は実施例に記載の方法により測定できる。
【0058】
紙層(B)の密度は、段ボールシートの成形性を高める観点から、好ましくは1.00g/cm未満、より好ましくは0.90g/cm以下、さらに好ましくは0.80g/cm以下、さらにより好ましくは0.75g/cm以下である。また、紙層(B)の密度は、青果物の鮮度保持性や青果物の臭気漏れを抑制する観点から、0.30g/cm以上が好ましく、0.40g/cm以上がより好ましく、0.50g/cm以上がさらに好ましい。紙(II)の密度は実施例に記載の方法により測定できる。
【0059】
紙(II)は、1又は2つ以上設けられていてもよく、単層又は多層であってもよい。例えば、青果物用段ボール原紙が紙(II)を2つ有する場合、樹脂組成物層(I)の両面に隣接して紙(II)が配置されていてもよい。また、紙(II)が2つ以上設けられている場合、各層の厚みや種類は異なっていても、同じであってもよい。
【0060】
<青果物用段ボール原紙>
本発明の青果物用段ボール原紙は、樹脂組成物層(I)及び紙(II)を含み、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸透深さが3μm以下である。前記浸漬深さが3μm超であると、青果物の鮮度保持性が十分でない場合があり、特に落下衝撃時にバリア性が低下し、青果物の鮮度保持性が低下する場合がある。樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸漬深さを調整する手段としては、例えば、樹脂組成物層(I)の組成、厚み及び積層方法(又は形成方法)、紙(II)の種類、坪量及び密度、青果物用段ボール原紙の製造方法などにより適宜調整でき、例えば後述する樹脂組成物層(I)の積層方法などにより調整してもよい。樹脂組成物層(I)及び紙(II)は直接積層していることが好ましい。また、本発明の好適な実施形態では、本発明の青果物用段ボール原紙は、紙(II)、樹脂組成物層(I)及び紙(II)をこの順に含むことが好ましい。
【0061】
本発明の青果物用段ボール原紙は、樹脂組成物層(I)、紙(II)以外の他の層を含んでいてもよい。
他の層としては、例えば接着剤層、プライマー層、無機蒸着層、熱シール層、防湿層、遮光層などが挙げられる。接着剤層やプライマー層を設ける場合は、樹脂組成物層(I)と紙(II)との間に設けてもよい。
【0062】
本発明の一実施形態では、本発明の青果物用段ボール原紙は、離解性、青果物の鮮度保持性及び成形性を高める観点から、樹脂組成物層(I)及び紙(II)のみからなることが好ましい。
【0063】
本発明の青果物用段ボール原紙は、JIS K 7126-2に準拠して、温度20℃、湿度65%下で測定される酸素透過度が20cc/(m・day・atm)以下である。かかるバリア性を有することで内容物の段ボール箱とした際に青果物の劣化を抑制でき、青果物の鮮度保持性を高めることができる。前記酸素透過度は、15cc/(m・day・atm)以下が好ましく、9cc/(m・day・atm)以下がより好ましく、6cc/(m・day・atm)以下がさらに好ましい。また、前記酸素透過度は0.5cc/(m・day・atm)以上であってもよい。青果物用段ボール原紙の酸素透過度が上記範囲であることで、青果物の品質の低下を抑制できる。青果物用段ボール原紙の酸素透過度は実施例に記載の方法により測定できる。
【0064】
本発明の青果物用段ボール原紙はCEPI recyclability laboratory test method- Version 2020に準拠する方法で測定される離解度が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
【0065】
[青果物用段ボール原紙の製造方法]
本発明の青果物用段ボール原紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば紙(II)に樹脂組成物層(I)を押出コート(好ましくは溶融押出コート)により直接積層する工程を含む方法が挙げられる。
【0066】
紙(II)に樹脂組成物層(I)を溶融押出コートにより直接積層する工程では、紙(II)に前記変性デンプン(A)及び/又は前記水溶性高分子(B)を含む含水組成物を溶融押出コートする工程を含むことが好ましく、押出機を用いて、該含水組成物を引取機で搬送された紙(II)に被覆する工程を含むことがより好ましい。このような工程を含むと、得られる青果物用段ボール原紙のバリア性、青果物の鮮度保持性、耐発泡性及び耐変形性を高めやすい。一方で、紙(II)に樹脂組成物層(I)を直接積層する工程で紙(II)に変性デンプン(A)及び/又は水溶性高分子(B)を含む溶液を塗工した場合、樹脂組成物層(I)の紙(II)への浸漬深さが3μm超となる傾向となるため、好ましくない。他の積層手段としては、例えば接着層等を介して樹脂組成物層(I)及び紙(II)をラミネートして積層させてもよい。
【0067】
(含水組成物の製造)
含水組成物は、前記変性デンプン(A)及び前記水溶性高分子(B)を含有する樹脂組成物を含み、含水率が1~50質量%の組成物である。該含水率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。含水率が上記の範囲内であると、紙(II)に含水組成物をコートする際の塗布性及び成膜性を向上しやすく、得られる青果物用段ボール原紙における紙(II)と樹脂組成物層(I)との間の密着性を高めやすい。なお、含水組成物の含水率は、例えば加熱乾燥式水分計を用いて温度130℃で60間測定したときの含水率であり、実施例に記載の方法により測定できる。なお、本明細書において、含水組成物は、水を含む樹脂組成物において上記方法で測定した含水率が1~50質量%のものを全て含む意味である。すなわち、含水組成物は、樹脂組成物に水を加えて含水率を上記範囲に調整したものであることが好ましいが、製造時点で含水率が上記範囲である樹脂組成物も含む。
【0068】
前記樹脂組成物は、例えば、少なくとも、前記変性デンプン(A)及び前記水溶性高分子(B)を混合して混合物を得る工程(1)、該混合物を押出す工程(2)、及び押出された混合物を冷却及び乾燥する工程(3)を含む方法により製造されることが好ましい。なお、樹脂組成物に含まれる成分は、樹脂組成物層(I)に含まれる成分と同じであるが、その含水率は互いに同一又は異なっていてもよく、好ましくは樹脂組成物層(I)の含水率と同様の範囲から選択できる。
【0069】
工程(1)は、少なくとも変性デンプン(A)及び水溶性高分子(B)を混合する工程であり、任意に他の成分、例えば前記炭素原子数が12~22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸塩、前記粘土、前記可塑剤、及び前記添加剤等を共に混合することができる。
【0070】
工程(1)は通常、押出機を用いて行う。押出機中において、各成分にスクリューによりせん断応力を与え、バレルへの外部熱の適用により加熱しながら均質に混合する。
【0071】
押出機としては、例えば二軸スクリュー押出機を用いることができる。二軸スクリュー押出機は、共回転又は逆回転のいずれであってもよい。スクリュー直径は、例えば20~150mm、押出機長さ(L)とスクリュー直径(D)の比L/D比は、例えば20~50であってよい。スクリューの回転速度は、好ましくは80rpm以上、より好ましくは100rpm以上である。また、押出成形圧力は、好ましくは5バール(0.5MPa)以上、より好ましくは10バール(1.0MPa)以上である。各成分はそれぞれ直接、押出機中へ導入することができる。また、これらの各成分を、ミキサーを用いて予備混合したものを押出機中へ導入してもよい。
【0072】
工程(1)において、成膜性とガスバリア性を高めやすい観点から、混合物の質量に対して、下限として好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上、上限として好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下の可塑剤、好ましくは水を混合することが好ましい。ここで、該混合物の質量は可塑剤を含む混合物の総質量を示す。工程(1)において、押出の初期段階に可塑剤を導入してもよく、上記加熱温度に達する前、例えば100℃以下のときに可塑剤を導入することができる。変性デンプン(A)は、水分、熱及びせん断応力の組み合わせによりクッキング処理が施され、ゼラチン(ゲル)化させることができる。また、別途可塑剤、好ましくは水を導入することにより、水溶性高分子(B)を溶解し、樹脂組成物を軟化し、モジュラス及び脆性を低下させることができる。
【0073】
工程(1)において、好ましくは100℃超150℃以下、より好ましくは115℃以上140℃以下の温度に加熱してクッキング処理を行う。ここで、クッキング処理とは、デンプン粒を破砕し、ゲル化させる処理である。加熱は押出機のバレルに外部から熱を適用することにより行うことができる。各バレルへは、段階的に変えた温度を適用することにより、目的とする温度まで加熱できる。120℃超の温度においてクッキング処理を行う場合、加工性の点で有利となる。
【0074】
クッキング処理した混合物は、発泡を防止するため、好ましくは85~120℃、より好ましくは90~110℃の温度へ低下しながら、ダイの方へ押し進めることが好ましい。また、バレルから排気することにより発泡を防止し、水分を除去できる。
【0075】
押出機中の滞留時間は、温度プロファイルやスクリュー速度に応じて設定可能であり、好ましくは1~2.5分である。
【0076】
混合物を押出す工程(2)では、溶融混練されながら押出機中を押し進められてきた溶融した混合物をダイから押出す。ダイの温度は好ましくは85~120℃、より好ましくは90~110℃の温度である。
【0077】
押出された混合物(溶融物)を冷却及び乾燥する工程(3)では、混合物(溶融物)はフィルム状若しくはシート状、又はストランド状に押出すことができる。
【0078】
混合物をフィルム状に押出す場合、混合物はフィルム成形用ダイから押出し、次いで引取りローラーで巻取りながら冷却及び乾燥することができる。ダイ及びローラーの間では、混合物がローラーに付着するのを防ぐように冷却するのが好ましい。ダイ及びローラーの間に成形用のロールを設置してもよい。成形用のロールの材質は例えば、ゴム製、樹脂製、金属製である。乾燥のために、ロールは加温してもよく、巻取の際に脱湿空気を供給してもよい。脱湿空気は、吹込チューブ法の場合、フィルムがダイを退出するときにフィルムを膨張させるために使用できる。タルクを空気流中に同伴させてフィルムのブロッキングを防ぐこともできる。
【0079】
混合物をストランド状に押出す場合、複数穴のストランドノズルから押出し、回転カッターで切断することでストランドをペレット形状にできる。ペレットの膠着を防ぐために、振動を定期的もしくは定常的に与え、熱風、脱湿空気又は赤外線ヒーターによりペレット中の水分を除去することができる。
【0080】
本発明の好適な実施態様では、樹脂組成物の形成後、水を加えて含水組成物を形成するため、樹脂組成物の形態はペレット状であることが好ましい。
【0081】
本発明の好適な一実施態様では、得られた樹脂組成物(好ましくはペレット状の樹脂組成物)に水を添加し、例えば撹拌混合することにより含水組成物を得ることができる。樹脂組成物同士の膠着を防ぎ、ペレット全体に水を吸着させるために、水を2回以上に分けて添加しながら撹拌を行うことが好ましい。また、含水率を一定に保つために、含水組成物は密閉容器内で保管してもよい。
【0082】
(青果物用段ボール原紙の製造)
次に得られた含水樹脂組成物を用いて、紙(II)上に樹脂組成物層(I)を形成する。溶融押出に使用する押出機としては、例えば単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などが挙げられる。押出機のスクリュー直径は例えば20~150mmであり、押出機長さ(L)とスクリュー直径(D)の比L/D比は例えば15~50であり、スクリューの回転速度は、好ましくは80rpm以上、より好ましくは100rpm以上である。押出機中のシリンダー温度は例えば80~120℃、好ましくは90~110℃であってよい。
【0083】
押出機に投入された含水組成物は可塑化され、ダイ出口から吐出される。一方、引取機、好ましくはローラー式引取機で紙(II)を搬送させる。該搬送させた紙(II)上にダイ出口から吐出した含水組成物をコートすることで青果物用段ボール原紙が得られる。得られた青果物用段ボール原紙は、金属ロールを含む複数のロールの間で紙(II)と圧着されつつ搬送され、巻取機でロール状に巻き取ることができる。複数のロールとしては、例えば加圧ロール、キャストロール、タッチロールなどが挙げられる。このようにして、樹脂組成物層(I)と、該樹脂組成物層(I)に隣接する紙(II)とを有する青果物用段ボール原紙を得ることができる。なお、本発明では、上記製造過程で、含水組成物の水が蒸発するため、得られる青果物用段ボール原紙中の樹脂組成物層(I)の含水率は、含水組成物よりも低減される。また、得られた青果物用段ボール原紙を乾燥して含水率を調整してもよい。紙(II)を2層含む場合は、一方の紙(II)が搬送される側とは反対側からもう一方の紙(II)を搬送して樹脂組成物層(I)を挟むように積層する以外は、上記と同様の方法で青果物用段ボール原紙(紙(II)/樹脂組成物層(I)/紙(II))を作製できる。
【0084】
[段ボールシート]
本発明の青果物用段ボール原紙は、段ボールシートのライナー及び/又は中芯として用いることが好ましい。ライナーとして使用する場合は、内面であっても外面であってもよく、内面及び外面のライナーとして使用されていてもよいが、いずれか一方の面に使用されていることが好ましい。また、中芯として使用する場合は、ライナーも本発明の青果物用段ボール原紙を含む段ボールシートであってもよいが、ライナーは本発明の青果物用段ボール原紙を含む段ボールシートではないことが好ましい。本発明の青果物用段ボール原紙を中芯として成形する方法は特に限定されず公知の方法を用いることができるが、例えば、実施例記載の方法にて成形することができる。段ボールシートとして成形する場合の成形性を良好にする観点から、紙(II)は樹脂組成物層(I)の両面に配置されていることが好ましい。
【0085】
[青果物用段ボール箱]
本発明は、本発明の青果物用段ボール原紙を含む青果物用段ボール箱を包含する。本発明の青果物用段ボール箱は、本発明の青果物用段ボール原紙を含むため、落下等の衝撃を受けても、内部に保管した青果物の鮮度を保持でき、かつ離解性に優れている。また、本発明の青果物用段ボール箱は、バリア性、青果物の鮮度保持性、及び離解性を高める観点から、ライナー及び/又は中芯が、本発明の青果物用段ボール原紙を含むことが好ましく、中芯が本発明の青果物用段ボール原紙を含むことがより好ましい。青果物用段ボール箱は、上記で得られた段ボールシートを裁断して組み立てることで、作製することができる。本発明の青果物用段ボール箱を構成する全6面のうち、少なくとも1面が本発明の青果物用段ボール原紙を含んでいれば特に限定されないが、内部に保管した青果物の鮮度保持性を向上する観点から、好ましくは少なくとも4面、より好ましくは少なくとも5面、さらに好ましくは全面(6面)が本発明の青果物用段ボール原紙を含む。段ボール箱を密封する方法は、一般的に用いられる方法で密封すればよく、開封部をH状又はI状にテープで貼り付けて密閉すればよい。すなわち、青果物用段ボール箱の上下面は、H状又はI状に貼付されたテープにより密閉されていることが好ましい。このように密閉されていると、内部に保管した青果物の鮮度保持性を向上できる。テープの種類は特に限定されないが、紙テープが好ましい。
【0086】
本発明の青果物用段ボール箱の中にエチレンを分解する物質を含んでいてもよい。このような物質を含むことで、内容物として青果物を含む場合に青果物の鮮度をより長期間維持できる傾向となる。
【0087】
本発明を構成している上記段ボール箱内の環境は、二酸化炭素濃度が4%未満であることが好ましく、2%未満であるとより好ましく、1%未満であるとさらに好ましい。二酸化炭素濃度が4%未満であると青果物が行う嫌気呼吸が無視出来る程度となり、品質を維持しやすいため、保存期間中は常にこの環境を維持していることが望ましい。
【0088】
本発明の青果物用段ボール箱が青果物を含む場合、青果物の種類は特に限定されず、例えば、リンゴ、ナシ、バナナ、青ウメ、ブロッコリー、西洋ナシ、カキ、モモ、メロン、トマト、ネクタリン、スモモ、アンズ、キウイフルーツ、アボカド、マンゴー、パパイヤ、パイナップル、グアバ、ナツメヤシ、キュウリ、キャベツ、レタス、ニンジン、カボチャなどが挙げられる。
【実施例0089】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
〔試験方法〕
(1)塗工厚み及び紙への浸透厚み
実施例及び比較例で得られた青果物用段ボール原紙から1×1cmの小片を切り出し、ミクロトームで断面を平滑に切削した。電解放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテク社製SU-8010)を用いてサンプル片の断面を測定し、塗工厚み及び浸透厚みを計測した。界面が不明瞭な場合はヨウ化カリウム染色によって樹脂組成物層(I)を前処理した後に計測を実施した。なお、塗工厚みとは樹脂組成物層(I)の厚みと浸透厚みとを合計した連続層の厚みのことを意味する。
【0091】
(2)紙の坪量
実施例及び比較例における紙(II)の坪量はISO 536:2019(紙及び板紙-坪量測定方法)に準拠する方法で測定した。
【0092】
(3)紙の密度
実施例及び比較例における紙(II)の密度はISO 534:2011(紙及び板紙-厚さ、密度及び比容積の測定)に準拠する方法で測定した。
【0093】
(4)酸素透過度
実施例及び比較例で得られた青果物用段ボール原紙を、20℃、65%RHの条件下で2週間保管した後、酸素透過量測定装置に取り付け、酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:モダンコントロール社製「MOCON OX-TRAN2/20」
温度:20℃
酸素供給側及びキャリアガス側の湿度:65%RH
酸素圧:1.0atm
キャリアガス圧力:1.0atm
【0094】
(5)離解性
実施例及び比較例で得られた青果物用段ボール原紙をCEPI recyclability laboratory test method- Version 2020に準拠する方法で離解性を評価した。下記の式で離解度を定義した。
離解度(%)=100-Coarse reject(%)-Fine reject(%)
【0095】
(6)段ボールシート成形性
JIS P 3902に準拠する坪量180g/mのKライナーを表ライナー及び裏ライナーの標準とし、JIS P 3904に準拠する坪量120g/mの古紙由来の特芯を中芯の標準とし、ベルトプレス方式のコルゲータを用い、JIS Z 1516に準拠するAフルート両面段ボール(段ボールシート)を成形した。貼り合わせ用接着剤には生コーンスターチに苛性ソーダ、ホウ酸を温水で混合した澱粉糊を使用した。得られた標準の段ボールシートと、実施例及び比較例で得られた段ボールシートとを目視で比較して、下記基準で成形性を評価した。
A:標準紙と同様の品位である
B:0.1%以上の段成形不良がある。
C:0.5%以上の段成形不良もしくはライナーの層切れがある
【0096】
(7)ブロッコリーの保存試験
実施例及び比較例で作製した段ボールシートを内容積1L(内寸10cm×10cm×10cm)のみかん箱形状になるように裁断し、段ボール箱を組み立て、底部は粘着性紙テープでH字貼した。200g以上のブロッコリー一株を入れ、蓋をした後、上部を紙テープでH字貼した。ブロッコリーを入れた後の段ボールの内の一部のサンプルは1mの高さから3回落下させた。落下させなかった段ボール及び落下させた段ボールについて、20℃で5日間保管後の変色及び臭気を下記の指標に従って評価した。
<変色>
5:全く変色無し
4:僅かに変色が見られた
3:変色が明白となり実用上問題があった
2:根、茎、果肉のいずれかの変色が著しく実用不可
1:全体の変色が著しく実用不可
<臭気>
5:保管当初と同じ香りを保持
4:初期の香が低下しているが、僅かに臭気に変化がみられる
3:明らかな異臭が認められる
2:臭気が酷く不快感がある
1:著しい腐敗臭がする
【0097】
〔用いた材料〕
(1)澱粉(変性デンプン(A))
・ECOFILM(商標):プロピレンオキサイドにより変性されたトウモロコシデンプン、アミロース含有量70質量%、Ingredion社製
【0098】
(2)PVOH(水溶性高分子(B))
・クラレポバール(商標)4-98:ポリビニルアルコール樹脂、鹸化度98mol%、粘度4mPa・s(20℃、4%水溶液)、株式会社クラレ社製
【0099】
(3)炭酸カルシウム(CaCO3)ナノ粒子
・NP-112:炭酸カルシウムナノ粒子、ナノマテリアルズ・テクノロジー社製
【0100】
(4)PVDC系エマルジョン
・サランテックス(商標)L411A:ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系エマルジョン、固形分49.8%、旭化成株式会社製
【0101】
(5)アクリル系エマルジョン
・HYDRECT:アクリル系エマルジョン、不揮発分40%、DICグラフィックス株式会社製
【0102】
(6)PE
・ノバテック(登録商標)LC600A:低密度ポリエチレン樹脂、日本ポリエチレン株式会社製
【0103】
(7)PVDC
・サラン(商標)フィルム700:ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム、43μm厚、旭化成株式会社製
【0104】
(8)紙(II)
・未晒クラフト紙、坪量40g/m、密度0.69g/cm
・未晒クラフト紙、坪量100g/m、密度0.69g/cm
・晒クラフト紙、坪量100g/m、密度0.84g/cm
・未晒クラフト紙、坪量30g/m、密度0.62g/cm
・グラシン紙、坪量40g/cm、密度1.00g/cm
【0105】
<実施例1>
(樹脂組成物)
原料としてECOFILM(商標)(8.000kg)、クラレポバール(商標)4-98(2.000kg)をタンブラーミキサー内で2時間混合し、得られた混合物を、液体ポンプを接続した二軸押出機に供した。図1に実施例1で用いられた二軸押出機の概略図を示し、押出機のスクリュー直径、L/D比、スクリュー回転速度、運転方式、及び温度プロファイル(表1)を以下に示した。
【0106】
【表1】
【0107】
スクリュー直径:27mm
L/D比:48
スクリュー回転速度500rpm
運転方式:共回転(かみ合せ自己ワイピング)方式
【0108】
具体的には、得られた混合物を二軸押出機の重量フィーダーを経由して3.5kg/時間の速度でC1におけるホッパーを通ってバレル内に供給した。水をC4における液体ポンプ(L)を通して、26g/分の流速でバレル内に噴射した。C5~C9の温度域はクッキング域であり、これらの帯域内でデンプンの完全なアルファー化を完了した。C11以後に設置した複数穴のストランドノズルから押出、回転カッターで切断することでペレット形状に成形した。ペレットは過剰の水分を含有するため、膠着を防ぐために振動を定常的に与えながら、熱風で水分を除去した。
【0109】
(青果物用段ボール原紙)
得られたペレット形状の樹脂組成物に、樹脂組成物の質量に対して35質量%となるまで水を添加した。水の添加時はペレット同士の膠着を防ぎ、かつペレット全体に水を均一に吸収させるために、水を複数回に分けて添加しながらタンブラーミキサーで15分間撹拌した。撹拌後は水分が揮散しないようにポリエチレン袋に入れて密封し6時間室温で静置した。このようにして、含水率が35質量%の含水組成物(含水ペレット)を得た。なお、含水率は、メトラー・トレド社製加熱乾燥式水分計「HR73」を用いて、130℃で60分間測定することで確認した。
【0110】
続いて、得られた含水ペレットを、図2に記載の単軸押出機2に投入し、製膜用ダイス3から押出した。次いで、ダイス3出口から押し出された含水組成物4をローラー式引取機(図示せず)で搬送させた紙5並びに紙5’の間にコートし、樹脂組成物層(I)の厚みが40μmとなるよう引取速度を調整した。コートして得られた青果物用段ボール原紙6は直ちに加圧ロール(ゴム製)7a、キャストロール(金属製)7b及びタッチロール(ゴム製)7cを通じて圧着させた後、巻取機(図示せず)でロール状に巻き取った。このようにして、紙層(II)/樹脂組成物層(I)/紙層(II)がこの順に積層された青果物用段ボール原紙を得た。使用した単軸押出機及び運転条件の詳細と、温度プロファイル(表2)を以下に示す。
・単軸押出機:プラスチック工学研究所製押出機(40mm径、L/D=25)
・設定温度:
【表2】

・吐出量:20kg/hr
・ダイス:450mm幅コートハンガーダイ、リップ開度0.2mm
・ダイス-キャストロール間の距離(エアーギャップ):150mm
・紙:未晒クラフト紙、坪量40g/m、密度0.69g/m
【0111】
得られた青果物用段ボール原紙は偏肉や異物等は見られず、良好な外観であった。得られた青果物用段ボール原紙について、上記試験方法(1)~(5)に記載の方法に従って、塗工厚み及び紙への浸透厚み、紙の坪量、紙の密度、酸素透過度並びに離解性について評価した。結果を表3に示す。
【0112】
得られた青果物用段ボール原紙を中芯の材料として用い、JIS P 3902に準拠する坪量180g/mのKライナーを表ライナー及び裏ライナーの材料として用い、ベルトプレス方式のコルゲータを用い、JIS Z 1516に準拠するAフルート両面段ボール(段ボールシート)を成形した。得られた段ボールシートについて、上記試験方法(6)及び(7)に記載の方法に従って、段ボールシートの成形性及びブロッコリーの保存試験について評価した。結果を表3に示す。
【0113】
<実施例2~11>
樹脂組成物層(I)の塗工厚み、樹脂組成物層(I)の種類、青果物用段ボール原紙の層構成、段ボールシート中の青果物用段ボール原紙の使用箇所、段ボール箱作製時の青果物用段ボール原紙の使用面、紙(II)の種類を変更した以外は、実施例1と同様の方法で青果物用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。なお、青果物用段ボール原紙をライナーとして用いる場合は、中芯の材料としてJIS P 3904に準拠する坪量120g/mの古紙由来の特芯を用いた。
【0114】
<比較例1>
実施例1で得られた樹脂組成物のペレットを80℃の熱水中で3時間撹拌することで12重量%の水溶液を得た。得られた12質量%の水溶液を紙(II)上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布した後にもう一枚の紙(II)を重ねラミネーターを通して圧着させた後に80℃で2分熱風乾燥させることで青果用段ボール原紙(紙(II)/樹脂組成物層(I)/紙(II))を得た以外は、実施例1と同様の方法で段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0115】
<比較例2>
紙(II)を一枚しか用いなかった以外は、比較例1と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0116】
<比較例3>
クラレポバール(商標)4-98(PVOH)を95℃の熱水中で1時間撹拌することで作製した18重量%の水溶液を、紙(II)に塗工する水溶液として使用した以外は、比較例1と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0117】
<比較例4>
クラレポバール(商標)4-98(PVOH)83質量部に対して炭酸カルシウムナノ粒子を17質量部添加して溶液を作製した以外は、比較例3と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0118】
<比較例5>
紙(II)に塗工する水溶液の代わりにサランテックス(商標)L411A(PVDC系エマルジョン)を使用した以外は、比較例1と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0119】
<比較例6>
紙(II)に塗工する水溶液の代わりにHYDRECT(アクリル系エマルジョン)を使用した以外は比較例1と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0120】
<比較例7及び8>
樹脂組成物層(I)の乾燥後の厚みが表3の通りとなるように、溶液の塗工量を変更した以外は、比較例3と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0121】
<比較例9>
樹脂組成物ペレットの代わりにノバテック(登録商標)LC600A(PE)を用い、320℃の溶融温度で押出コートした以外は、実施例1と同様の方法で青果用段ボール原紙及び段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0122】
<比較例10>
サラン(商標)フィルム700(PVDC)の片面に接着剤(三井化学株式会社製タケラック(商標)A520とタケネート(商標)A50の10:1(重量比)混合物)を塗布後、60℃で1分間熱風乾燥させて溶剤を除去した後、クラフト紙と貼り合わせることで、樹脂組成物層(I)/接着剤層/紙(II)からなる青果物用段ボール原紙を得た。同様の方法にして反対面の樹脂組成物層(I)にもクラフト紙を貼り合わせることで紙(II)/接着剤層/樹脂組成物層(I)/接着剤層/紙(II)からなる青果用段ボール原紙を得た。得られた青果用段ボール原紙を用いた以外は、実施例1と同様の方法で段ボールシートを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0123】

【表3-1】

【表3-2】
【0124】
表3に示されるように、実施例1~11で得られた青果物用段ボール原紙は、落下試験を含めたブロッコリーの保管試験の結果、鮮度保持性が確認された。一方で比較例1~10は、離解度、ブロッコリーの保管試験の少なくともいずれかで劣っていることが確認された。したがって、実施例1~11で得られた青果物用段ボール原紙は、離解性があり、かつ落下衝撃を含めた青果物の鮮度保持性に優れることが示された。
【0125】
<実施例12>
実施例2で作製した段ボールシートを内容積1L(内寸10cm×10cm×10cm)のみかん箱形状になるように裁断し、段ボール箱を組み立て、底部は粘着性紙テープでH字貼した。温州みかん(品種:石地)を10個入れ、蓋をした後、上部を紙テープでH字貼して封入した。温州みかんを封入した段ボール箱を23℃、50%RHの環境下で保管する保管試験を実施し、保管前、保管1週間後及び保管2週間後のGABA値を、下記GABA値の測定方法に従って測定した。結果を表4に示す。また、同様の保管試験を4週間実施し、保管前の重量と保管試験4週間実施後の重量とを比較し、重量減少率を算出した。結果を表4に示す。
【0126】
(GABA値の測定方法)
測定対象の温州みかんを剥皮し、ジューサーで搾汁し試料果汁とした。前記試料果汁より2.5g分取し、80%エタノールを用い、50mlに定容した。次いで50℃の恒温槽で1時間保持し、放冷後、ろ過(No5B)することで抽出サンプルを得た。得られた抽出サンプルより20mLを分取して、エバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで4回脱色した。次いでpH2.2のクエン酸リチウム緩衝液で10mLに定容したものを、0.20μmフィルタでろ過することで、分析サンプルを作製した。前記分析サンプルのGABA値を、アミノ酸自動分析計(日立ハイテクノロジー性)で測定した。
【0127】
<比較例11>
実施例2で得られた段ボール原紙を用いた段ボール箱の代わりに市販の段ボール(内容積1L)を用いた以外は、実施例12と同様の方法で評価した。結果を表4に示す。
【0128】
【表4】
【0129】
表4に示されるように、実施例2で得られた青果物用段ボール原紙を用いた段ボール箱による温州みかんの保管試験の結果、GABA値が1週間後に増加し、2週間後に保持できていることが確認でき、市販の段ボール箱に比べてGABA値が短期間で上昇し、かつ、高いレベルで維持できることが確認できた。また、4週間後の重量減を抑制する鮮度保持性の効果が確認できた。
【符号の説明】
【0130】
1…含水組成物(ペレット状)
2…単軸押出機
3…ダイ
4…含水組成物
5,5’…紙
6…青果物用段ボール原紙
7a…加圧ロール
7b…キャストロール
7c…タッチロール
8…二軸押出機
9…ホッパー
10…液添ノズル
11…樹脂温計
12…樹脂圧計
13…アダプタ
14…ダイ
図1
図2