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特開2024-81602医療用超音波におけるエイリアスのないスペクトルドップラーエンベロープトレーシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081602
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】医療用超音波におけるエイリアスのないスペクトルドップラーエンベロープトレーシング
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196459
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】18/062,154
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】キン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チァンヅォン ハァン
(72)【発明者】
【氏名】パウル ドナルド フライブルガー
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DE03
4C601EE06
4C601HH13
4C601JB16
4C601JB34
4C601JB49
4C601JB50
4C601JC07
4C601KK17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エイリアシングを回避できるように、バンドをよりよく分離するスペクトル・ドップラー・イメージングのための方法を提供する。
【解決手段】スペクトル・ドップラー・イメージングでは、スペクトルエンベロープをトレースするためのサーチ範囲は動的に設定される。前記エンベロープをサーチするための制限は、バンド間のスペクトルごとの配置によって設定される。このサーチは、0から2πまでスペクトルをプロットすることによって補助されてもよい。この制限は、後続のトレースがエイリアシングを回避できるように、バンドをよりよく分離するために経時的に変化する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法であって、
前記方法は、
レンジゲートからの応答を表すサンプルを超音波システムで取得するステップと 、
ドップラー推定器により、前記サンプルから前記レンジゲートについて経時的にスペクトルを推定するステップと 、
0から2πまで経時的に前記スペクトルをプロットするステップと、
各スペクトルについて、第1の信号と第2の信号、0、または2πとの間のノイズ領域内のポイントを特定するステップと、
スペクトルエンベロープを経時的にトレースするステップであって、前記トレースは前記スペクトルについての前記ポイントによって制限されるステップと、および
前記スペクトルエンベロープまたは画像内における前記スペクトルエンベロープから得られた情報を表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
取得するステップは、パルス繰返し周波数で送信すること、および、各繰返しへの応答として前記サンプルの1つを取得することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
推定するステップは、前記サンプルにフーリエ変換を適用することを含み、前記スペクトルの各スペクトルは一定期間における周波数の関数としてのエネルギーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロットするステップは、負の信号が2πから0へと延伸し、正の信号が0から2πへと延伸するように、0で始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
特定するステップは、前記第1の信号と第2の信号、0、または2πとの中間に前記ポイントを配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特定するステップは、前記スペクトル内で前記第1の信号の帯域と前記第2の信号の帯域とをサーチすること、および、
前記第1の信号と、(1)前記サーチで前記第2の信号が見つかった場合の前記第2の信号、または、(2)前記第2の信号が見つからなかった場合の0または2π、との間の前記ノイズ領域に前記ポイントを位置付けること、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
特定するステップは、前記スペクトルの少なくとも一部からノイズレベルを決定すること、および、前記第1および前記第2の信号をサーチするために前記ノイズレベルを使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
特定するステップは、経時的に境界を位置決めすることを含み、前記境界は、前記スペクトルの前記ポイントによって形成され、0および2πに関して変化する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
トレースするステップは、前記ノイズ領域を有する前記第1の信号のエッジを位置決めすることと、前記ノイズ領域を有する前記第2の信号のエッジを位置決めすることとを含み、前記エッジを位置決めすることは経時的に行われ、かつ、前記エッジが前記スペクトルエンベロープを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
トレースするステップは、前記ノイズ領域が、0または2πまで延伸するスペクトル、および、前記ノイズ領域が0または2πに延伸しない前記第1または第2の信号について0または2πを使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トレースするステップは、0から前記スペクトルの前記ポイントまでの間のように正の信号として前記第1の信号をトレースすることと、2πと前記スペクトルの前記ポイントとの間のように負の信号として前記第2の信号をトレースすることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
表示するステップは、ベースラインより上に正の、ベースラインより下に負の前記スペクトルエンベロープを表示することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
表示するステップは前記情報を表示することを含み、前記情報は前記スペクトルエンベロープのピーク速度に基づくものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法であって、
前記方法は、
レンジゲートからの応答を表すサンプルを、超音波システムを用いて取得するステップと、
ドップラー推定器を用いて、前記サンプルから前記レンジゲートについて経時的にスペクトルを推定するステップと、
0から2πまで経時的に前記スペクトルをプロットするステップと、
0から2πまでプロットされた前記スペクトルに基づいて経時的に正および/または負のスペクトルエンベロープを検出するステップと、
前記スペクトルエンベロープから得られる情報を画像内に表示するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
プロットするステップは、負の信号が2πから0へと延伸し正の信号が0から2πへと延伸するように、0で始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
検出するステップは、スペクトルごとに前記0から2πまでのスペクトルに沿って変化する境界を設定することと、前記境界の一方の側で正のスペクトルエンベロープをサーチし前記境界の他方の側で負のスペクトルエンベロープをサーチすることとを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記境界を設定することは、帯域に信号のないスペクトルに対する前記信号の代わりに0または2πが使用される、異なる帯域信号の中間に前記境界を設定することを含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
スペクトル・ドップラー・イメージングのためのシステムであって、
前記システムは、
速度スケールに応答して確立されるパルス繰返し間隔でゲートをサンプリングするように構成されたビームフォーマと、
前記ゲートの前記サンプリングから複数のスペクトルを生成するように構成されたドップラー推定器と、
前記ゲートのサンプリングから複数のスペクトルを生成するように構成されたドップラー推定器と、
2つの帯域または前記帯域の1つと0と2πとの間のノイズ領域におけるラインを特定するように構成された信号プロセッサであって、前記ラインは前記スペクトルのスペクトルごとに経時的に変化し、前記ラインによって前記スペクトルのスペクトルエンベロープのサーチを制限するように構成された信号プロセッサと、および、
前記スペクトルエンベロープまたは前記スペクトルエンベロープから得られた情報を表示するように構成されたディスプレイと、
を含むシステム。
【請求項19】
前記信号プロセッサは、2つの帯域の一方が2πに近くなり前記2つの帯域の他方が0に近くなるように0から2πまで前記スペクトルをプロットし、ノイズ領域でプロットされた前記スペクトルから前記ラインを特定するように構成される請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記信号プロセッサは、前記2つの帯域間の中間にスペクトルごとに前記ラインを位置決めするように構成されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ドップラーモード(例えば、スペクトル)イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
ある位置での複数のパルス(例えばパルス波(PW))を送信することにより、ドップラー応答が生成される。スペクトルドップラーでは、1つの空間領域に対する物体の動きや流れの周波数スペクトルが推定され、時間の関数として表示される。スペクトラルドップラー超音波イメージングは、ゲートに対する時間(横軸)の関数としてのエネルギーによって調整された速度値(縦軸)として、スペクトルの画像を提供する。スペクトルは、患者内の流体の流れや組織の動きの研究に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スペクトルドップラーは、エイリアシングに悩まされることがある。スペクトルのエイリアシングがあると、エンベロープ(包絡線)が正しく表示されないことがある。スペクトルエイリアシングがあるスペクトル・エンベロープ・トレーシングでは、トレースはピークを正しく追従しない。代わりに、トレースは、ナイキスト、ベースライン、またはスペクトルの帯域幅と信号対雑音比(SNR)に応じて、その中間でクリップされる。エイリアシングは、ベースラインシフトで補正できる場合もあるが、サンプリング周波数が最大ドップラーシフトより小さくても補正できるとは限らない。これは、トレーシングのサーチ範囲が、通常、ベースラインの位置によって決まるナイキスト制限に固定されているためである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
はじめに、以下に説明する好ましい実施形態は、スペクトル・ドップラー・イメージングの、方法、システム、コンピュータ可読媒体、および命令を含む。スペクトルエンベロープをトレースするためのサーチ範囲は動的に設定される。エンベロープをサーチするための制限は、バンド間のスペクトル毎の配置によって確定される。このサーチは、0から2πまでのスペクトルをプロットすることによって補助されてもよい。この制限は、後続のトレースがエイリアシングを回避できるように、バンドをよりよく分離するために経時的に変化する。
【0005】
第1の態様では、スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法が提供される。超音波システムはレンジゲートからの応答を表すサンプルを取得する。ドップラー推定器はサンプルからレンジゲートのスペクトルを経時的に推定する。スペクトルは0から2πまでの時間にわたってプロットされる。スペクトルの各スペクトルについて、第1の信号と第2の信号、0または2πの間のノイズ領域の点が特定される。スペクトルエンベロープが時間と共にトレースされる。トレースはスペクトルの点によって制限される。スペクトルエンベロープまたはスペクトルエンベロープから得られる情報が画像に表示される。
【0006】
一実施形態では、サンプルは、パルス繰返し周波数で送信し、各繰り返しに応答してサンプルの1つを取得することによって、取得される。別の実施形態では、フーリエ変換をサンプルに適用して推定する。スペクトルの各スペクトルは、周期の周波数の関数としてのエネルギーである。
【0007】
一実施形態によれば、プロットは、負の信号が2πから0へと延び、正の信号が0から2πへと延伸するように、0で始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすること、を含む。
【0008】
様々な実施形態において、点(ポイント)は、第1の信号と、第2の信号、0、または2πとの中間にポイントの位置決めを行うことにより特定され、
スペクトルにおいて第1の信号がある帯域と第2の信号がある帯域とをサーチし、第1の信号と、(1)サーチで第2の信号が見つかった場合は第2の信号、または、(2)第2の信号が見つからなかった場合は0または2π、との間のノイズ領域で、ポイントの位置決めを行い、
スペクトルの少なくとも一部からノイズレベルを決定し、ノイズレベルを使用して第1および第2の信号をサーチし、および/または、経時的に境界の位置付けを行い、この境界は、スペクトルのポイントによって形成され、0および2πに対して変化する。
【0009】
別の実施形態では、トレースするステップは、ノイズ領域と第1の信号のエッジの位置を特定することと、ノイズ領域と第2の信号のエッジの位置を特定することとを含み、エッジの位置特定は経時的であり、エッジはスペクトルエンベロープである。さらに別の実施形態では、トレースは、ノイズ領域が0または2πに延伸するスペクトルおよびノイズ領域が0または2πに延伸しない第2または第2の信号に対して0または2πを使用することを含む。別の実施形態として、トレースするステップは、第1の信号を0からスペクトルのポイントまでの間の正の信号としてトレースし、第2の信号を2πからスペクトルの点ポイントまでの間の負の信号としてトレースすること、を含む。
【0010】
一実施形態によれば、表示するステップは、スペクトルエンベロープをベースラインより上に正、ベースラインより下に負で表示することを含む。別の実施形態では、表示するステップは、情報を表示することを含み、この情報はスペクトルエンベロープのピーク速度に基づく。
【0011】
第2の態様では、スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法が提供される。超音波システムは、レンジゲートからの応答を表すサンプルを取得する。ドップラー推定器はサンプルからレンジゲートのスペクトルを経時的に推定する。スペクトルは0から2πまでの時間にわたってプロットされる。0から2πにプロットされたスペクトルに基づいて、正および/または負のスペクトルエンベロープが経時的に検出されます。スペクトルエンベロープまたはスペクトルエンベロープから得られる情報は画像で表示されます。
【0012】
一実施形態では、プロットすることは、負の信号が2πから0へと延伸し、正の信号が0から2πへと延伸するように、各スペクトルを0から始まり2πで終わるようにプロットすることを含む。一実施形態では、検出することは、スペクトルごとに0から2πのスペクトルに沿って変化する境界を設定することと、境界の一方の側で正のスペクトルエンベロープをサーチし、境界の別の側で負のスペクトルエンベロープをサーチすることとを含む。別の実施形態によれば、境界を設定することは、帯域内の信号がないスペクトルの信号の代わりに0または2πが使用される異なる帯域の信号間の中間に境界を設定することを含む。
【0013】
第3の態様では、スペクトル・ドップラー・イメージングのためのシステムが提供される。ビームフォーマは、速度スケールに応答して確立されるパルス繰返し間隔でゲートをサンプリングするように構成される。ドップラー推定器は、ゲートのサンプリングから複数のスペクトルを生成するように構成される。信号プロセッサは、2つの帯域または帯域の一方と0と2πの間のノイズ領域におけるラインを特定するように構成され、ラインはスペクトルのスペクトルごとに時間的に変化し、ラインによってスペクトルのスペクトルエンベロープのサーチを制限する。ディスプレイは、スペクトルエンベロープまたはスペクトルエンベロープから得られる情報を表示するように構成される。
【0014】
一実施形態として、信号処理装置は、2つの帯域の一方が2πで、2つの帯域の他方が0であるように、0から2πまでのスペクトルをプロットし、ノイズ領域にプロットされたスペクトルからラインを識別するように構成される。さらに別の実施形態では、信号プロセッサは、スペクトルごとのラインを2つの帯域の中間に配置するように構成される。
【0015】
本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、本項のいかなる記載も、これらの特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本発明のさらなる態様および利点については、好ましい実施形態と併せて以下に説明する。
【0016】
構成要素および図は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。さらに、図において、同様の参照数字は、異なる図全体を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、スペクトル・ドップラー・イメージングにおけるエイリアシングを示す図である。
図2図2は、エイリアシングを回避するためにトレースにおける制限を改善したスペクトル・ドップラー・イメージングのための方法の一実施形態のフローチャート図である。
図3図3は、0から2πまでのスペクトルのプロットの例を示す図である。
図4図4は、図3のプロットに対して識別された動的境界または探索制限の例を示す。
図5図5は、エイリアシングを低減したスペクトル・ドップラー・イメージングのためのシステムの一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ベースラインの設定を変えた3つのスペクトルドップラー画像である。各画像の各列はスペクトルを表す。時間の経過に伴うスペクトルは、スペクトルを形成するために使用されたサンプリングレートを考慮したナイキスト基準に基づく速度スケールでプロットされている。その結果、正の信号の一部がストリップの負の部分(つまりベースラインより下)に配置されるエイリアシング100が発生する。中央のストリップは、ベースラインを-0.25シフト(25%マイナスシフト)している。その結果、負の信号が正の領域にエイリアシングされる。トレース110が検出されると、この負の信号は正のピークとしてトレースされる。一番下のストリップは、ベースラインをさらに-0.5シフト(50%マイナスシフト)することで、さらにエイリアシングが発生することを示している。同様に、ベースラインをプラスにシフトすると、プラス信号のマイナスへのエイリアシングが大きくなる。
【0019】
本アプローチはエイリアシングを回避する。ベースラインシフトが機能しない場合でも、エイリアシングなしにスペクトル・ドップラー・エンベロープがトレースされる。正の流れと負の流れのピークのサーチ範囲は、ベースラインの位置によって固定されるのではなく、動的に調整される。ポジティブフローとネガティブフローの境界は、各スペクトル列に対して動的に決定され、その後のポジティブサーチとネガティブサーチのナイキストリミットとして使用される。サーチリミットは、帯域幅や信号対雑音比(SNR)などのスペクトル特性に基づいて動的に決定される。このようにして、既存のピークサーチは正しく機能し、スペクトルの内容と一致したエンベロープを生成する。サーチ範囲を動的に調整することにより、スペクトルのエイリアシングがあっても、どちらかの方向の真のピーク速度を正しく検出することができる。同様に、エンベロープも正しく表示することができる。スペクトルエイリアシングがあっても、正負両方のフローエンベロープが正しくトレースされる。ドップラー信号自体のエイリアシングによりエンベロープが混乱する状況が処理され、既存技術を用いたエンベロープトレースと比較して、診断上有用な情報を抽出する能力が向上する。最大ドップラーシフトがサンプリングレートより小さい場合、正負両方のエンベロープがエイリアシングアーチファクトなしに正しく表示される。
【0020】
図2は、スペクトル・ドップラー・イメージング法のフローチャートの一実施形態を示す。正信号と負信号を区別する方法でスペクトルをプロットすることにより、スペクトルの2つの帯域間の可変制限が特定される。この制限値を用いて正信号および/または負信号をトレースし、エイリアシングを回避する。
【0021】
本方法は、図5のシステム500または別のシステムによって実施される。例えば、ビームフォーマ(形成部)及びトランスデューサなどの超音波システム、又は別の超音波スキャナがサンプルを取得する。ドップラー推定器などのプロセッサが、スペクトルを推定し、プロットし、検出/識別し、スペクトルからトレースする。超音波システムまたはスキャナは、トレースされたスペクトルエンベロープの画像またはスペクトルエンベロープからの情報を表示する。つまたは複数の動作は、ユーザとの対話を通じて実行される場合がある(例えば、サンプリングのためのゲート配置)。他の動作または全ての動作は、初期起動またはゲート位置決定以外のユーザ入力なしに自動的に行われてもよい。
【0022】
前記動作は、示された順序で行われるが、他の順序も可能である。追加の、異なる、または、より少ない動作が行われてもよい。例えば、動作250は実行されない。別の例として、動作230および/または232は実行されない。別の例では、動作220は実行されない。さらに別の例では、ゲート配置、ゲートサイジング、速度スケール設定、パルス繰返し周波数設定、フィルタリング、処理、経時最大速度決定、または他のドップラー機能のための動作が行われる。
【0023】
本方法は、パルス波(PW)スペクトルドップラー用に実装されている。PWでは、ゲート位置は、エコー受信とインターリーブされたパルス波送信(例えば、1~50サイクルの波形を使用する各パルス)を使用してサンプリングされる。PWは、Bモードやフローモードなどの他の撮像モードとインターリーブしてもよい。あるいは、連続波ドップラーが使用される。連続波ドップラーでは、サンプルを作成し、そのサンプルを変換してスペクトルを作成することができる。
【0024】
スペクトル・ドップラー・イメージングでは、サンプルゲート、レンジゲート、スペクトル・ドップラーゲートが配置される。例えば、Bモードスキャンやフローモードスキャンが実行されます。ユーザは得られた画像上でゲートの位置を指示する。他の例では、ゲートは、フローモードデータから決定されたドップラー速度またはエネルギーが最大となる位置などに自動的に配置される。ユーザ又は自動化されたプロセスは、深さ又は範囲内の長さなど、ゲートのサイズも決定する。横方向範囲および/またはレンジ範囲は、デフォルト、データに基づく、ユーザ設定、または他の方法で選択することができる。
【0025】
動作200では、超音波システムはレンジゲートの位置を表すサンプルを取得する。これらのサンプルは、ビームフォーミングされたサンプルであるが、他の生データ(例えば、チャネルデータ)であってもよい。代替の実施形態では、サンプルは、メモリからのロードや他のデバイスからの転送によって取得される。
【0026】
スキャンによる取得のために、トランスデューサは、音響エネルギーのビームを連続して複数送信する。各送信の音響または超音波エネルギーは、ゲートの近くまたはその場所に焦点を合わせる。送信のシーケンスが実行される。この繰り返しにより、スペクトルまたは他のドップラー解析を行うために十分なサンプルの受信が可能となる。3~512などの任意のアンサンブル数の送信ビームが送信され、ドップラーゲートからの応答のスペクトルが推定されるようになる。
【0027】
追加送信を行うことにより、他の時間または期間におけるスペクトルを推定するための追加情報が得られる。各スペクトルの生成には、受信した応答またはサンプルの移動ウィンドウが使用されるなど、所定のビームに対する所定の応答が、異なるスペクトル(すなわち異なる時間)に使用される場合がある。
【0028】
スペクトルドップラー画像用に設定された速度スケールのために十分な数のサンプルが取得される。超音波診断装置では、この速度スケールを用いて画像処理を行う。速度スケールは、スペクトルまたは速度が推定され表示される周波数範囲を定義する。速度スケールは、ユーザによって選択され、システムのデフォルト値または所定の値であり、および/または超音波システムによって適応的に決定される。速度スケールに基づき、送信は、ゲート位置での動きまたは流れ信号をサンプリングするパルス繰返し周波数または間隔で実行される。
【0029】
送信に応答して、トランスデューサは音響エコーを受信する。受信ビームフォーマがエコーをサンプリングし、ゲート用の受信信号を取得する。受信ビームは、ゲートを表すデータをコヒーレントに結合するために受信信号を集束することによって形成される。この結合されたゲートを表すデータがビームフォーミングされた信号またはサンプルである。
【0030】
受信動作は、繰返し送信に応答して繰返し発生する。異なる時刻にゲート位置からビームフォーミングされたサンプルが受信される。各送信に応答してサンプルが受信される。同じ位置のサンプルはアンサンブルで経時的に取得される。ドップラー解析では、同じ位置からのサンプルのアンサンブルを取得する。サンプルは、スペクトルを推定するために使用される任意のステップサイズ(例えば、サンプルごとまたは3つ目のサンプル毎)の移動ウィンドウ(例えば、アンサンブルまたはフローサンプル数)が使用されるように、継続的な方法で取得することができる。
【0031】
動作210において、ドップラー推定器はアンサンブルまたはフローサンプル数のサンプルからドップラーゲートのスペクトルを推定する。他のアンサンブルまたはフローサンプル数について繰返すことにより、複数のスペクトルが、対応する複数の時間または期間について(すなわち、時間にわたって)推定される。
【0032】
各スペクトルは、同じ周期の周波数または速度の関数としてエネルギーを表している。周波数は速度と既知の関係にあるため、周波数で表すと速度になり、速度で表すと周波数になる。
【0033】
スペクトルは、一連の超音波応答またはサンプルにフーリエ変換、ウェーブレット変換、またはウィグナービル分布を適用することによって推定される。各スペクトルを決定するためにどのような変換を適用してもよい。
【0034】
スペクトルは、速度スケールを用いて推定される。流体や組織からの信号は、正と負の速度範囲にある。推定に使用される範囲は速度スケールである。速度スケールを超える速度はラップアラウンドまたはエイリアシングされる。スペクトルは、速度スケールで設定された周波数範囲にわたって、周波数の関数としてエネルギーを提供する。ベースラインは、速度スケール内のバンド範囲を決定する。
【0035】
スペクトルはドップラーゲートに対して推定される。スペクトルは、ドップラーゲートからの一連のサンプル中の超音波サンプルから推定される。各スペクトルは、サンプルが取得された期間に対応する。
【0036】
動作200と動作210は、異なる時間または期間について繰返される。スペクトルストリップを作成するには、異なる時間ごとにスペクトルを決定する。スペクトルストリップの所与の時間(期間)のスペクトルは、縦軸に速度、強度を調整するエネルギーでマッピングされる。スペクトルは横軸に沿って時間的に分布する。他のマッピングを使用してもよい。
【0037】
この動作を繰り返すことで、異なる時間のスペクトルが取得される。さらにサンプルを取得すると、そのサンプルがグループに追加され、古いサンプルは削除される。一連のスペクトルは、異なる時間におけるドップラーゲートを表す。他のスペクトルは、取得の異なる期間またはアンサンブルに対応する他の期間または異なる時間について推定することができる。アンサンブル周期より小さいステップサイズの移動ウィンドウを使用する場合など、周期は重複してもよいし、一意であってもよい。サンプルの取得と異なる期間の推定が繰り返され、経時的なスペクトルが得られる。スペクトルストリップの場合、プロセスとそれに対応する繰返しは継続的に行われるか、複数回行われる。
【0038】
動作220では、信号処理装置が0から2πまでの時間にわたってスペクトルをプロットする。ベースライン0またはベースラインの100%未満(例えば、25%または-50%)のシフト(例えば、-0.75πから1.25π)で-πからπを使用するのではなく、スペクトルは0から2πまでプロットされる。スペクトルは実質的に0から2πまでプロットされることがあり、ここで実質的にとは10%以下のシフトを意味する。
【0039】
図3はその例である。図3において、y軸の“0”は2π、y軸の“256”は0である。黒または暗い領域は、ノイズを表し、白または灰色の領域は信号を表す。
【0040】
0から始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすることにより、負の信号は上部領域(すなわち、2πに沿って又は2πから0へと延伸する)にあり、正の信号は下部領域(すなわち、0に沿って又は0から2πへと延伸する)にある。代替の実施形態では、プロットは2πから0までであり、プラスが上部領域にあり、マイナスが下部領域にあるようにする。0から2πまたは2πから0のいずれかは、0から2πまでの時間にわたってプロットされる。
【0041】
典型的なスペクトルストリップでは、このプロットは使用されない。スペクトルストリップは、上半分に正信号、下半分に負信号を表示するものであり、エイリアシングを避けるためにベースラインシフトにより半分以外の分離が使用されることがある。この典型的なものとは異なり、動作220のプロットは、ノイズを挟んで正と負をよりよく分離するものである。この0から2πまたは2πから0へのプロットは、ノイズ領域340を信号の間に配置し、エイリアシングを回避する。
【0042】
実質的に0から2πまたは2πから0へのプロットは、エイリアシングのないバンド分離を支援する。別の実施形態では、速度スケールは任意の位置でベースラインとともにプロットされる。機械学習されたモデルまたは信号処理がバンドを区別するために適用され、どのようにプロットされても境界が設定される。境界はバンドを分離するため、時間またはスペクトルごとに変化する。
【0043】
図2の動作230において、信号プロセッサは、0から2πまでプロットされたスペクトルに基づいて、時間経過に伴う正および/または負のスペクトルエンベロープを検出する。ノイズを含む信号のエッジが検出される。図3の例では、2つの帯域(正と負)がある。それぞれの帯域のエッジが別々に検出される。スペクトルまたはスペクトルで1つのバンドのみが示されている場合は、その1つのバンドについてエンベロープが検出される(例えば、正のみまたは負のみ)。1つ以上のバンドが検出される場合もある。
【0044】
動作232は、スペクトルエンベロープまたはバンドを個別に検出するための1つのアプローチを表している。各スペクトルは、ノイズ領域340の制限値で囲まれたバンド領域に分割される。他の実施形態では、スペクトルがノイズなしでバンドに分割されるように、ノイズに基づく閾値処理が使用される。
【0045】
動作232において、信号処理装置は、スペクトルの各スペクトルについて、ある信号と別の信号との間のノイズ領域のポイント、0または2π、を特定する。スペクトルを横切るポイント(経時的な)は、経時的な境界を定義する。境界はスペクトルのポイントによって形成される。ポイントはスペクトルごとに配置されるため、スペクトルのポイントによって形成される境界は0と2πに対して変化する。
【0046】
境界の各ポイントを特定するために、信号プロセッサは各スペクトルを検索する。信号プロセッサは、正信号の帯域や負信号の帯域など、1つ以上の帯域を検索する。帯域の端を検索するために、ノイズと信号を区別するためにノイズレベルが決定される。エネルギー変調の振幅を使用してノイズレベルを定義する。統計的分析によりノイズフロアを見つける。例えば、エネルギーは大きさでソートされる。ソートされたエネルギーから、例えば傾きによって、大きさの推移が決定される。強い信号と弱い信号が識別され、信号とノイズを区別するノイズレベルまたは閾値が設定される。
【0047】
次に、強い信号とノイズ信号(つまり閾値ノイズレベル)を分離するエッジを見つける。エッジを見つけるには、一列に並んだノイズ以上のエネルギーの数を使用することができる。エッジは別々の領域に分かれる。別のアプローチでは、一群または全スペクトルのエネルギーがローパスフィルタでフィルタリングされ、外れ値が除去される。その後、信号領域またはノイズ領域340を識別するために閾値が適用される。信号または異なるバンドを検索するためにノイズレベルを使用する他のアプローチも使用できる。
【0048】
スペクトルのエッジが特定されると、ポイントは信号、バンド、またはエッジの間のノイズ領域340に配置される。図4に例を示す。正と負の信号420、410のスペクトルエッジは、ノイズ領域340に境界400を形成する、スペクトルごとのポイントを設定するために使用される。この例では、各ポイントとその結果の境界400は、2つの帯域のエッジまたはエンベロープの中間に配置される。例えば、時刻400のポイントは、負信号のエッジ410が10で、正信号のエッジ420が125であることに基づいて、約57である。別の例として、マイナス信号のエッジ410が100、プラス信号のエッジが256の場合、時刻1のポイントは178となる。半分以外の分割を使用してもよい。 複数の境界を使用してもよく、例えば、各帯域を一定の範囲だけ離して、または%単位で(例えば、エッジ410からノイズ帯域の1/3、エッジ420からノイズ帯域の1/3で、1/3は間のノイズの1/3)ポイントを設定してもよい。
【0049】
あるスペクトルに対して正または負の信号が存在しない場合、0または2πがエンベロープまたはエッジ410、420として使用される。図4の例では、0は約時刻0-75、125-375、525-630、700-950、1075-1225、および1275-1500からの正のエッジ420に使用され、2πは75-125、700-725、950-1050、および1225-1275からの負のエッジ410に使用される。各スペクトルについて、ポイントは、正信号または負信号と、(1)他方の信号が検索で見つかった場合の負信号または正信号の他方、又は(2)他方の信号が見つからない場合の0又は2πとの間のノイズ領域340に位置付けされる。
【0050】
境界線400は、トレースの検索に使用される制限(リミット)である。バンドを分離するために設定されたベースラインを使用するのではなく、スペクトルエンベロープのサーチは、境界400によって定義された制限または速度を使用する。境界400は、異なる時間に対して異なる値(ポイント)を持つダイナミックまたは可変ナイキストリミットとして機能し、エイリアシングを回避する。
【0051】
図2の動作240において、信号プロセッサは、スペクトルエンベロープを経時的にトレースする。動作230でスペクトルエンベロープを検出する、または、そうでなければ帯域または信号のエッジを見つけるのと同じアプローチを使用してもよい。異なるアプローチを用いてもよい。例えば、より処理効率は高いが精度の低い帯域エッジまたは信号とノイズの境界検出が動作230で実行され、動作232で境界を見つけ、より処理集約的で精度の高い帯域エッジまたは信号とノイズの境界検出が動作240で実行され、トレースする。別の例として、動作230の検出は、0と2π以外の制限なしに実行され、動作240のトレーシングは、エッジのサーチが発生する位置を制限する。現在知られている、または後に開発されるスペクトル・エンベロープ・トレーシングを使用してもよい。
【0052】
別の実施形態では、ピーク速度サーチが実行される。トレーシングは、すべての時間または一部の時間(1つまたは少数のスペクトル)に対してのみ実行される。トレーシングはすべてのスペクトルに対して行われるよりも少なくてもよい。
【0053】
トレーシングは、時間的またはある時間における信号のエッジを特定する。例えば、1心周期以上の最大正信号および/または最大負信号が決定される。ノイズ閾値はスペクトルから求められ、信号を識別するための閾値として使用される。トレースは、信号がトレースの片側に多く、ノイズがトレースの反対側に多い場所に配置される。トレースはスペクトル上の信号のエッジを特定する。そして、このトレースの最大値を求められる。
【0054】
動作240のトレースは、バンド分離を形成するポイントによって制限される。プラスとマイナスがどこで分離されるかを定義するためにベースラインの位置決めに依存するのではなく、動作232で特定された動的または可変的な境界が使用される。この境界はスペクトルによって変化するので、境界の正信号側には正信号のみが供給され、境界の負信号側には負信号のみが供給される。正のスペクトルエンベロープのサーチは境界の片側で行われ、負のスペクトルエンベロープのサーチは境界の別の側で行われる。エイリアシングは避けられる。
【0055】
信号プロセッサは、各バンドのエッジ(例えば、正の信号と負の信号)をノイズ領域またはノイズ領域内で特定する。エッジは、時間またはスペクトルにわたって延伸する。特定されたエッジがスペクトルエンベロープである。図4をトレースの例として使用し、境界400を特定するのではなく、トレース410と420がスペクトルエッジとして位置づけられる。スペクトルは、例えば、ベースライン位置に基づいて再プロットされてもよい(例えば、ベースライン0なので、-πからπまで再プロットされる)。境界400は、トレースを制限するために使用され、再プロットしてもエイリアシングが回避される。エイリアスされた信号は、境界400が実際のバンドのメンバーシップを示しているため、誤った信号には含まれない。正の信号は0からポイントまたは境界400までとしてトレースされ、負の信号は2πからポイントまたは境界400までとしてトレースされ、ベースライン位置に関係なく、エイリアシングのないスペクトルエンベロープが得られる。
【0056】
図2の動作250では、信号プロセッサはディスプレイ上に画像を生成する。この画像は、スペクトルエンベロープの画像であるか、またはスペクトルエンベロープの機能に関連する情報の画像である。
【0057】
一実施形態では、ドップラーゲートのためのスペクトルストリップまたはスペクトルドップラー画像が生成される。スムーズなスペクトルを得るために、時間および/または周波数の次元またはエネルギーにわたってフィルタリングが適用されてもよい。スペクトルストリップは、時間の関数としてエネルギーによって変調された周波数を示す。現在知られている、または後に開発されるスペクトルストリップマッピング、例えば、エネルギーを表す強度のグレースケールマッピングが使用されてもよい。エネルギーは、ピクセルを調整する。グレースケールまたは色は、エネルギー値からマッピングされる。
【0058】
トレースされたスペクトルエンベロープも表示される。トレースされたスペクトルエンベロープは画像に含まれる。例えば、色付けや重ねられたグラフィック(例えば、エッジに沿った曲線または線)によって強調される。異なるバンドには異なる色が使用されてもよい。追加情報、例えば、バンドの一つまたは複数の最大値を示す英数字テキストを含む注釈(例えば、最大の正の速度)が含まれてもよい。
【0059】
速度スケールは、スペクトルストリップ上の垂直範囲を定義する。ベースラインは、速度スケール内の正と負の分離を定義する。スペクトラルエンベロープは、正がベースラインの上、負がベースラインの下に表示される。追加のサンプルが取得されると、異なる時間の結果としてのスペクトルがスペクトラルストリップに追加される。例えば、ストリップの右側にスペクトルを追加し、残りのスペクトルを左へ1時間ステップシフトし、最も左のスペクトラルストリップを除去するような方法である。他のスペクトラルストリップの更新またはスクロールが使用されてもよい。
【0060】
スペクトルストリップは、空間イメージとともに表示されてもよく、表示されなくてもよい。例えば、1次元Mモード、2次元Bモード、2次元Fモード(フローモード)、またはその組み合わせのイメージなど。ゲートの位置は、画像内で、例えば、表示範囲内に、円、二重線、またはその他のグラフィックによって表される場合のように、グラフィカルに示されてもよい。
【0061】
別のまたは代替の実施形態では、スペクトルエンベロープから導出された情報が画像に表示される。例えば、スペクトルエンベロープは、最大正の、および/または、負の速度を検出するために使用される。最大値は任意の画像内で英数字テキストとして表示されるか、グラフィカルに表現される(例えば、病気のグレーディングおよび/または人口チャートに対する患者の最大値)。別の例として、エネルギーおよび/または速度の最大値および/または他の統計情報(例えば、標準偏差)が決定され表示される。さらに別の例では、スペクトルエンベロープからの統計情報が、病気のグレーディングや他の診断または予後評価、例えば、ストランドネス基準、のために使用される。グレーディング、診断、または予後の結果が表示される。
【0062】
図5は、スペクトル・ドップラー・イメージングのためのシステム500を示している。システム500は、概して0から2πまでのスペクトルをマッピングまたはプロットすることに基づく境界などの動的に決定される境界を使用して、スペクトルエンベロープをトレースする。エイリアシングは、動的に決定された境界および/または概して0から2πのプロットを使用することで回避され得る。
【0063】
システム500は、医療診断用超音波イメージングシステムである。他のイメージングシステム、例えば、メモリや他のソースからサンプルをロードするワークステーションが使用されてもよい。
【0064】
システム500は、送信ビームフォーマ510、トランスデューサ520、受信ビームフォーマ530、ドップラープロセッサ540、ディスプレイ550、信号プロセッサ560、およびメモリ570を含む。追加の、異なる、または少ないコンポーネント、例えば、フロントエンドビームフォーマ510、530および/またはトランスデューサ520がないシステム500や、スキャンコンバータを備えたシステム500などが提供されてもよい。ドップラープロセッサ540と信号プロセッサ560は、両方のプロセッサとして機能する1つのデバイスに組み合わされるか、または連続的または並列処理のための追加のプロセッサが使用されてもよい。ゲートの配置および/またはゲートのサイズを設定するためのユーザ入力が提供されてもよい。
【0065】
システム500は、図1の方法を実行する。ビームフォーマ510、530およびトランスデューサ520は、サンプルの取得に使用される。ドップラープロセッサ540は、サンプルからゲートのスペクトルを推定する。ドップラープロセッサ540および/または信号プロセッサ560は、実質的に0から2πまでプロットし、及び/またはバンド間の境界を決定し、トレースし、トレースされたスペクトルエンベロープまたはそこから得られる情報の表示が行われる。他の方法を実施してもよい。ドップラー処理は、CINEの前または後に実行されてもよい。
【0066】
トランスデューサ520は、複数の要素のアレイである。送信ビームフォーマ510は、受信ビームフォーマ530と別に示される。もしくは、送信および受信ビームフォーマ510、530は共通のコンポーネントを持つように提供されてもよい。単独または一緒に動作し、送信および受信ビームフォーマ510、530は、レンジゲート522のサンプリング、および/または、1次元、2次元、または3次元領域のスキャンのための音響エネルギーのビーム524を形成する。
【0067】
送信ビームフォーマ510は、超音波エネルギーの送信ビーム524のシーケンスを送信するように設定されている。音響エネルギーは、ドップラーゲート522に向けられるが、他の位置(例えば、ドップラーゲートがスキャンラインに沿っているが、焦点ではない位置)に焦点を合わせてもよい。音響エネルギーのビーム524は、ドップラーゲート522または他の位置に送信される。
【0068】
送信ビーム524の進行中のシーケンスがPRFで生成される。PRFは、時間的に隣接する送信または送信ビーム524間の間隔を決定する。PRFは、伝搬時間に必要でない非送信の期間を持つほど低く設定される場合があり、他のイメージングモードとのインターリーブや残響の低減に利用される。一実施形態では、PRFは、速度スケール、伝搬時間、インターリーブ、および残響の低減に基づいて設定される。他の実施形態では、PRFは、速度スケールおよびナイキスト基準に基づいて設定される。
【0069】
受信ビームフォーマ530は、各送信ビーム524に対応して1つ以上の受信ビーム526を形成する。平行に示されているが、受信ビーム526は、送信ビーム524と同軸であるか、または送信ビーム524対する角度を持っていてもよい。音響エコーは、送信された音響エネルギーに応答して、トランスデューサ520によって受信される。エコーはトランスデューサ520によって電気信号に変換され、受信ビームフォーマ530は電気信号から受信ビーム526を形成し、レンジゲート522内の位置または複数の位置を表すサンプルを生成する。
【0070】
それぞれの位置におけるPRFまたはPRI(パルス繰返し間隔)で進行中の送信ビーム524が与えられると、サンプルも同様に進行中の方法で生成される。経時的な応答が取得される。これらの応答は、同じ期間を表すスペクトルを推定するために使用されるサンプルのアンサンブルまたは累積を生成する。
【0071】
ドップラープロセッサ540は、スペクトルドップラー推定器である。Bモード検出器のような他のイメージング検出器が含まれることもある。ひとつの実施形態において、ドップラープロセッサ540は、デジタル信号プロセッサまたは受信ビームサンプルデータに変換を適用するための他のデバイスである。送信と受信のイベントのシーケンスが、一定期間にわたって実行される。バッファ(例えば、コーナーターニングメモリ)またはメモリ570は、各送信および受信イベントからの受信ビーム形成データを保存する。組織と流体の動きを区別するためのプログラム可能なフィルタなどのウォールフィルタが、変換の適用前にサンプルをフィルタリングしてもよい。スペクトルを決定するために使用される送信および受信イベントの数は、いくつであっても、例えば3以上であってもよい。ドップラープロセッサ540は、ゲートのスペクトルを推定する。同じゲートのための超音波サンプルに離散または高速フーリエ変換、または他の変換を適用することにより、ゲートからの応答を表すスペクトルが決定される。期間にわたってサンプルを取得するための異なる周波数でのエネルギーレベルを表すヒストグラムまたはデータが得られる。速度は周波数から決定されるか、または速度に変換せずに周波数が使用される。
【0072】
このプロセスを繰り返すことにより、ドップラープロセッサ540は、異なる時刻において所与のゲートについて異なるスペクトルを得ることができる。重複するデータは、例えば、選択された超音波サンプルの移動ウィンドウで各スペクトルを計算するように、使用されてもよい。あるいは、各超音波サンプルは、単一の期間および対応するスペクトルについて使用される。
【0073】
ドップラープロセッサ540は、周波数の範囲について変換を適用する。周波数の範囲または速度スケールは、推定から生じる正と負の速度を制限する。さまざまな速度スケールが使用されてもよく、送信PRFに等しい速度スケールまで含まれる。スペクトルは、与えられた速度スケールを使用して推定される。同様に、速度スケールのベースラインまたは中心が設定されてもよい。
【0074】
信号プロセッサ560は、ドップラープロセッサ540の一部、または、別のプロセッサであってもよい。信号プロセッサ560は、一般のプロセッサ、制御プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、アプリケーション特化型集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、アナログ回路、デジタル回路、それらの組み合わせ、または現在知られている又は将来開発される処理用デバイスである。信号プロセッサ560は、ソフトウェア、ファームウェア、および/または、ハードウェアによって構成される。
【0075】
信号プロセッサ560は、2つのバンド間、または、そのバンドのうちの1つと0と2πとの間、のノイズ領域でラインを特定するように構成されている。他のラインは、他のバンド間、または速度スケールの制限間で特定されてもよい。ラインは、他のプロット間、例えば-πからπまでの間、で決定されてもよい。
【0076】
信号プロセッサ560は、ラインを曲線として特定する(つまり、ラインは時間の経過とともに速度スケール内で変化する)。ラインは連続的であるが、不連続である可能性もある。ラインのフィッティングが行われることがあってもよい。ラインのフィルタリングが使用されることがあってもよい。ラインは時間の経過とともにスペクトルごとに変化するが、スペクトルのグループごとに変化することもある。エイリアシングを避けるために、ラインはバンド間のノイズやバンドと速度スケールの制限(例えば、0または2π)の間に配置される。ラインは、2つのバンド(バンドのエッジ間)やバンドと速度スケールの制限(例えば、0または2π)の中間に配置される。他の位置、例えば一方のバンドよりも他方に近い間隔で配置することも可能である。
【0077】
信号プロセッサ560は、スペクトルを0から2πまでプロットすることができ、その際、2つのバンドのうちの1つは2πに、もう1つは0に位置するようになる。これはバンドを分離するラインの特定を助けることがある。プロットされたスペクトルは、ノイズ領域内でラインを位置付けるために使用される。
【0078】
信号プロセッサ560は、スペクトルのスペクトルエンベロープのサーチをそのラインによって制限するように構成されている。このラインは、異なるバンドを定義する、または分離する。所与の速度スケールに対するベースライン位置に基づいてトレースするのではなく、動的なラインがサーチ領域を定義するために使用される。ベースラインの上に1つのバンド、下に別のバンドをサーチするのではなく、特定されたラインまたは境界が各バンドのサーチを制限するために使用される。その結果、サーチまたはトレースはエイリアシングを含まないようになる。
【0079】
表示装置18は、CRT、モニター、LCD、プラズマスクリーン、プロジェクタ、プリンタ、または現在知られているか将来開発される他の表示装置であり、スペクトルエンベロープの画像またはスペクトルエンベロープから得られた情報を表示するためのものである。スペクトルドップラー画像では、各速度がエネルギーの関数として調整された速度の範囲は、時間の関数として提供される。
【0080】
スペクトルエンベロープは、スペクトルドップラー画像上に、トレースまたはグラフィックとして表示される。ピーク速度またはスペクトルエンベロープから得られた他の情報は、スペクトルドップラー画像上で表示されてもよく(例えば、注釈として)または、別の画像として表示されてもよい。
【0081】
他の画像構成も提供されてもよく、これにはカラー化されたスペクトルドップラー画像が含まれる。カラーまたはフローモードの画像が生成されてもよく、例えば、関心領域内の位置に応じた平均速度をグレースケールBモードで示すことができる。
【0082】
メモリ570は、超音波サンプル、推定されたスペクトル、設定、画像データ、スペクトルプロット、動的なラインを形成する分割線または点、信号のエッジ、トレース、注釈、および/またはその他の情報を保存する。メモリ570は、処理の任意の段階の情報、または表示生成のために使用される情報を保存することができる。
【0083】
ある実施形態において、メモリ570は、ドップラープロセッサ540および/または信号プロセッサ560によって実行可能なドップラーイメージングのための指示を表すデータが保存されている非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体である。ここで議論されるプロセス、方法、および/または技術を実装するための指示は、キャッシュ、バッファ、RAM、リムーバブルメディア、ハードドライブ、またはその他のコンピュータ読取可能記憶媒体などのコンピュータ読取可能記憶メディアまたはメモリ上に提供される。コンピュータ可読記憶媒体には、さまざまなタイプの揮発性および不揮発性の記憶媒体が含まれる。図に示されている機能、行為、またはタスク、またはここで説明されているものは、コンピュータ可読記憶媒体内またはコンピュータ可読記憶媒体上に保存されている1つ以上の指示セットに応答して実行される。これらの機能、行為、またはタスクは、特定のタイプの指示セット、記憶媒体、プロセッサ、または処理方策に依存せず、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコードなどによって、単独または組み合わせて実行されてもよい。同様に、処理方策には、マルチプロセス、マルチタスキング、並列処理などが含まれてもよい。
【0084】
ある実施形態では、指示は、ローカルまたはリモートシステムによる読み取りのために取り外し可能なメディアデバイスに保存される。他の実施形態では、指示はコンピュータネットワークを介するまたは電話回線を通じての転送ためにリモートの場所に保存される。さらに他の実施形態では、指示は特定のコンピュータ、CPU、GPU、またはシステム内に保存される。
【0085】
この発明は、さまざまな実施形態に基づいて上述のように説明されているが、発明の範囲から逸脱することなく多くの変更や修正が可能であることを理解されたい。したがって、前述の詳細な説明は、限定的なものではなく、説明的なものとして考えられるべきであり、また、この発明の精神と範囲を定義するものは、すべての等価物を含む以下の請求の範囲であることが理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法であって、
前記方法は、
レンジゲートからの応答を表すサンプルを超音波システムで取得するステップと、
ドップラー推定器により、前記サンプルから前記レンジゲートについて経時的にスペクトルを推定するステップと
0から2πまで経時的に前記スペクトルをプロットするステップと、
前記スペクトルの各スペクトルについて、第1の信号と第2の信号、0、または2πとの間のノイズ領域内のポイントを特定するステップと、
スペクトルエンベロープを経時的にトレースするステップであって、前記トレースは前記スペクトルについての前記ポイントによって制限されるステップと、および
前記スペクトルエンベロープまたは画像内における前記スペクトルエンベロープから得られた情報を表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
取得するステップは、パルス繰返し周波数で送信すること、および、各繰返しへの応答として前記サンプルの1つを取得することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
推定するステップは、前記サンプルにフーリエ変換を適用することを含み、前記スペクトルの各スペクトルは一定期間における周波数の関数としてのエネルギーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロットするステップは、負の信号が2πから0へと延伸し、正の信号が0から2πへと延伸するように、0で始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
特定するステップは、前記第1の信号と第2の信号、0、または2πとの中間に前記ポイントを配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特定するステップは、前記スペクトル内で前記第1の信号の帯域と前記第2の信号の帯域とをサーチすること、および、
前記第1の信号と、(1)前記サーチで前記第2の信号が見つかった場合の前記第2の信号、または、(2)前記第2の信号が見つからなかった場合の0または2π、との間の前記ノイズ領域に前記ポイントを位置付けること、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
特定するステップは、前記スペクトルの少なくとも一部からノイズレベルを決定すること、および、前記第1および前記第2の信号をサーチするために前記ノイズレベルを使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
特定するステップは、経時的に境界を位置決めすることを含み、前記境界は、前記スペクトルの前記ポイントによって形成され、0および2πに関して変化する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
トレースするステップは、前記ノイズ領域を有する前記第1の信号のエッジを位置決めすることと、前記ノイズ領域を有する前記第2の信号のエッジを位置決めすることとを含み、前記エッジを位置決めすることは経時的に行われ、かつ、前記エッジが前記スペクトルエンベロープを構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
トレースするステップは、前記ノイズ領域が、0または2πまで延伸する前記スペクトル、および、前記ノイズ領域が0または2πに延伸しない前記第1または第2の信号について0または2πを使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トレースするステップは、0から前記スペクトルの前記ポイントまでの間の正の信号として前記第1の信号をトレースすることと、2πと前記スペクトルの前記ポイントとの間の負の信号として前記第2の信号をトレースすることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
表示するステップは、ベースラインより上に正の、前記ベースラインより下に負の前記スペクトルエンベロープを表示することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
表示するステップは前記情報を表示することを含み、前記情報は前記スペクトルエンベロープのピーク速度に基づくものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
スペクトル・ドップラー・イメージングのための方法であって、
前記方法は、
レンジゲートからの応答を表すサンプルを、超音波システムを用いて取得するステップと、
ドップラー推定器を用いて、前記サンプルから前記レンジゲートについて経時的にスペクトルを推定するステップと、
0から2πまで経時的に前記スペクトルをプロットするステップと、
0から2πまでプロットされた前記スペクトルに基づいて経時的に正または負のスペクトルエンベロープを検出するステップと、
前記スペクトルエンベロープから得られる情報を画像内に表示するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
プロットするステップは、前記負の信号が2πから0へと延伸し前記正の信号が0から2πへと延伸するように、0で始まり2πで終わるように各スペクトルをプロットすることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
検出するステップは、スペクトルごとに前記0から2πまでのスペクトルに沿って変化する境界を設定することと、前記境界の一方の側で前記正のスペクトルエンベロープをサーチし前記境界の他方の側で前記負のスペクトルエンベロープをサーチすることとを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記境界を設定することは、帯域内に信号のないスペクトルに対する前記信号の代わりに0または2πが使用される、異なる帯域の信号の中間に前記境界を設定することを含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
スペクトル・ドップラー・イメージングのためのシステムであって、
前記システムは、
速度スケールに応答して確立されるパルス繰返し間隔でゲートをサンプリングするように構成されたビームフォーマと、
前記ゲートの前記サンプリングから複数のスペクトルを生成するように構成されたドップラー推定器と
2つの帯域または前記帯域の1つと0と2πとの間のノイズ領域におけるラインを特定するように構成された信号プロセッサであって、前記ラインは前記スペクトルのスペクトルごとに経時的に変化し、前記ラインによって前記スペクトルのスペクトルエンベロープのサーチを制限するように構成された信号プロセッサと、および、
前記スペクトルエンベロープまたは前記スペクトルエンベロープから得られた情報を表示するように構成されたディスプレイと、
を含むシステム。
【請求項19】
前記信号プロセッサは、2つの帯域の一方が2πに近くなり前記2つの帯域の他方が0に近くなるように0から2πまで前記スペクトルをプロットし、ノイズ領域でプロットされた前記スペクトルから前記ラインを特定するように構成される請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記信号プロセッサは、前記2つの帯域間の中間にスペクトルごとに前記ラインを位置決めするように構成されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【外国語明細書】