(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081605
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法
(51)【国際特許分類】
D01F 1/10 20060101AFI20240611BHJP
D01F 2/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
D01F1/10
D01F2/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198252
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】202211558998.8
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520409833
【氏名又は名称】青島邦特生態紡織科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO BANGTE ECOLOGICAL TEXTILE TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room 715,Poly Center,No.8 Qingda san Road,Laoshan District,Qingdao,Shandong Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】山 伝雷
(72)【発明者】
【氏名】姜 明亮
(72)【発明者】
【氏名】劉 殷
(72)【発明者】
【氏名】楊 金宇
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA04
4L035BB03
4L035BB08
4L035BB09
4L035DD20
4L035EE11
4L035HH10
4L035JJ01
4L035JJ23
4L035JJ25
(57)【要約】
【課題】極めて強い防ダニ効果がある抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法を提供する。
【解決手段】抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法は、大豆蛋白溶液作製ステップと、温度調整溶液作製ステップと、混合紡糸原液作製ステップと、紡糸前注射ステップと、紡糸・後処理ステップとを備える。抗菌・防ダニの恒温スマート繊維は、大豆分離蛋白の添加により、業界の同種の添加型の機能繊維と比べて、より優れた柔らかさ及び手触りを有し、溶融エンタルピーが44.5~55.6J/gであり、結晶化エンタルピーが42.4~53.1J/gで、よりよい恒温性能を有する。黄色ブドウ球菌に対する抗菌率が98%以上であり、大腸菌に対する抗菌率が94%以上であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率が95%以上であり、検出された粉塵ダニが0であり、回避率が≧99%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法であって、
大豆蛋白溶液作製ステップと、
温度調整溶液作製ステップと、
混合紡糸原液作製ステップと、
紡糸前注射ステップと、
紡糸・後処理ステップとを備え、
前記大豆蛋白溶液作製ステップでは、大豆分離蛋白を超微細粉体粉砕機で10μm以内の粒径に粉砕し、脱イオン水を添加し、20~30min撹拌し、トリポリリン酸ナトリウムを添加し、pHを8~10に調整し、規定温度で30~50min保温して反応させ、大豆蛋白改質溶液を取得し、
前記温度調整溶液作製ステップでは、相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、前記大豆蛋白改質溶液を混合し、混合中にイオン分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、撹拌して温度調整溶液を作製し、
前記混合紡糸原液作製ステップでは、400~550DPのセルロースパルプを原料として、浸漬、圧搾、粉砕、熟成、黄変及び溶解のステップを経て、メチル繊維が9.0~12.0%であり、粘度が65~75sであり、熟成度が18~22ml(10%NH4Cl値)である5.5~7.5%のアルカリ含有のセルロース紡糸原液を作製し、作製された温度調整溶液とセルロース紡糸原液とを混合バレル内で混合することにより、混合紡糸原液を取得し、
前記紡糸前注射ステップでは、混合後に濾過を3回行った後、紡糸前注射ステップでスタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と混合紡糸原液とを混合することにより、紡糸液を作製し、前記漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、
前記紡糸・後処理ステップでは、前記漢方薬植物抽出液が混合される紡糸液を紡糸機に送って紡糸を行い、計量ポンプで糸噴出ヘッドから噴出し、酸浴溝で凝固浴と反応して凝固・再生することにより、一次繊維を形成する、
ことを特徴とする抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項2】
前記トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、大豆分離蛋白の質量に対して0.02~0.03%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項3】
前記保温の温度は、40~45℃であり、前記大豆蛋白改質溶液における大豆分離蛋白の質量比は、5~15%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項4】
前記温度調整溶液作製ステップでは、相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、大豆蛋白改質溶液を混合し、前記温度調整溶液において、相変化材料粉体と遠赤色セラミック粉体と大豆蛋白改質溶液との質量比は、1~3:0.2~0.8:10~20である、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項5】
前記相変化材料粉体の平均粒径は3±1μmであり、前記遠赤外線セラミック粉は市場から購入される3000~3500メッシュのものである、
ことを特徴とする請求項4に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項6】
前記混合紡糸原液における温度調整溶液の添加量は、混合紡糸原液の総重量の5~15wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項7】
前記紡糸前注射ステップでは、スタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と紡糸原液とを混合し、ただし、前記漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、前記漢方薬植物抽出液の添加量は、紡糸液の質量の1~10%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項8】
前記漢方薬植物抽出液におけるヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とタンニン酸水溶液と硫酸銅溶液との質量比は、5~10:3~5:30~60:3~15である、
ことを特徴とする請求項7に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項9】
前記ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物は、いずれも市場から購入され、前記ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物の粒径は、≦10μmである、
ことを特徴とする請求項8に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【請求項10】
前記漢方薬植物抽出液の作製・添加方法は、具体的に、まず、濃度が0.5%~2%であるタンニン酸水溶液を配置し、そして、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物を質量比に従って添加して混合し、混合溶液を10~40℃で10~20min撹拌して均一に混合し、最後に、注射前に0.1~0.5mol/Lの硫酸銅溶液を添加するとともに紡糸前注射システムで紡糸原液を注入することである、
ことを特徴とする請求項7に記載の抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維の技術分野に関し、具体的には、抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマート温度調整繊維は、相変化蓄材料技術と繊維製織技術とを組み合わせて開発されたハイテク製品である。外部環境の温度が上昇する場合には、相変化材料含有の紡織物が熱を吸収し、外部環境の温度が下降する場合には、相変化材料が熱を放出するため、人体により感じられる温度の変化が明らかではなく、快適な「衣内の微気候」が提供され、人体が常に快適な状態にある。
【0003】
繊維の機能に対するお客様の注目は、社会の発展に伴ってますます高まっており、現在、特に、植物抽出物が添加された繊維は、例えば、抗菌・抗ウイルス性能、及び健康的な発熱性能付きの機能繊維の主流となり、このため、植物の機能と相変化材料の温度調整性能とを同時に組み合せることは、現在の研究の焦点となる。
【0004】
出願番号がCN202011451740.9である中国特許出願には、バラの植物抽出物のセルロース、繊維及びその作製方法が開示されており、植物抽出物の損失を減らすために、従来の紡糸浴後、スプレー循環浴が追加され、凝固浴の再利用がより難しくなることだけではなく、ある程度の環境汚染も引き起こしてしまう。
【0005】
要するに、現在、この技術において以下のような課題がある。1.添加型の機能繊維は、植物抽出物及び他の原料が添加された後、繊維成形後の手触りが粗い。2.繊維の後処理中に紡糸、精練などの工程を経る必要があるため、添加された植物抽出物及び温度調整材料が大幅に損失され、総損失率が60%以上に達することもあり、極めて無駄である。3.損失を減らすために複数回の酸浴固化が大体選択して利用されるため、酸浴が乱用され再度リサイクルされなく、複数回の酸浴が環境汚染も引き起こしてしまう。4.相変化材料の損失によっては、繊維の長時間の温度調整・恒温などの性能が劣化になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記欠点を補うために、抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法を提供する。本発明が解決しようとする課題は、
1.温度調整材料、植物抽出物の添加により招かれる作製繊維の粗い手触りを軽減することと、
【0007】
2.繊維の作製工程中に、温度調整材料、植物抽出物の損失を減らすとともに、酸浴の再利用性を改善し、酸浴の回数を最小限に抑え、従来の酸浴に属さない非通常な成分を削減することと、
3.繊維の温度調節の耐久性を向上させることと、にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る技術案は、以下の通りである。
【0009】
抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法であって、大豆蛋白改質溶液作製ステップ(1)と、温度調整溶液作製ステップ(2)と、混合紡糸原液作製ステップ(3)と、紡糸前注射ステップ(4)と、紡糸・後処理ステップ(5)とを備える抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法。
(1)大豆蛋白改質溶液の作製
【0010】
大豆分離蛋白を超微細粉体粉砕機で10μm以内の粒径に粉砕し、脱イオン水を添加し、20~30min撹拌し、トリポリリン酸ナトリウムを添加し、pHを8~10に調整し、規定温度で30~50min保温して反応させることにより、大豆蛋白改質溶液を取得し、
好ましくは、前記トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、(大豆分離蛋白の質量に対して)0.02~0.03%であり、
好ましくは、前記保温の温度は、40~45℃であり、
前記大豆蛋白改質溶液における大豆分離蛋白の質量比は、(大豆蛋白改質溶液の総合質量に対して)5~15%であり、
大豆分離蛋白を添加すると、作製された繊維の手触りが良くなり、また、繊維と機能成分とのよりよい結合に役に立ち、損失を減少することができる。
(2)温度調整溶液の作製
相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、大豆蛋白改質溶液を混合し、混合中にイオン分散剤を添加し、均一に撹拌して温度調整溶液を作製し、
好ましくは、前記イオン分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、シランカップリング剤、及びピロリン酸ナトリウムのうちの1つ又は複数であり、
【0011】
好ましくは、前記温度調整溶液において、相変化材料粉体と遠赤色セラミック粉体と大豆蛋白改質溶液との質量比は、1~3:0.2~0.8:10~20であり、
【0012】
好ましくは、前記相変化材料粉体は広州盛色科技株式会社によって生産されるものであり、相変化材料粉体の平均粒径は3±1μmであり、前記遠赤外線セラミック粉体は市場から購入される3000~3500メッシュのものである。
(3)混合紡糸原液の作製
【0013】
400~550DPのセルロースパルプを原料として、浸漬、圧搾、粉砕、熟成、黄変及び溶解のステップを経て、メチル繊維が9.0~12.0%であり、粘度が65~75sであり、熟成度が18~22ml(10%NH4Cl値)である5.5~7.5%のアルカリ含有のセルロース紡糸原液を作製し、作製された温度調整溶液とセルロース紡糸原液とを混合バレル内で混合することにより、混合紡糸原液を取得し、
好ましくは、前記混合紡糸原液における温度調整溶液の添加量は、混合紡糸原液の総重量の5~15wt%である。
(4)紡糸前の注射
【0014】
混合後に濾過を3回行った後、紡糸前注射ステップでスタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と混合紡糸原液とを混合することにより、紡糸液を作製し、ただし、前記漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ(litsea cubeba)抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、
好ましくは、前記漢方薬植物抽出液の添加量は、紡糸液の質量の1~10%であり、
【0015】
好ましくは、前記漢方薬植物抽出液におけるヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とタンニン酸水溶液と硫酸銅溶液との質量比は、5~10:3~5:30~60:3~15であり、
【0016】
好ましくは、前記ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物は、いずれも市場から購入され、前記ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物の粒径は、≦10μmであり、
【0017】
好ましくは、前記漢方薬植物抽出液の作製・添加方法は、具体的に、まず、濃度が0.5%~2%であるタンニン酸水溶液を配置し、そして、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物を質量比に従って添加して混合し、混合溶液を10~40℃で10~20min撹拌して均一に混合し、最後に、注射前に0.1~0.5mol/Lの硫酸銅溶液を添加するとともに紡糸前注射システムで紡糸原液を注入することにより、紡糸液を作製することである。
(5)紡糸・後処理
【0018】
漢方薬植物抽出液が十分に混合される紡糸液を紡糸機に送って紡糸を行い、計量ポンプで糸噴出ヘッドから噴出し、酸浴溝で凝固浴と反応して凝固・再生することにより、一次繊維を形成し、
【0019】
好ましくは、前記凝固浴において硫酸の濃度は140~145g/Lであり、硫酸ナトリウムの濃度は320~350g/L、硫酸亜鉛の濃度は15~25g/Lであり、
【0020】
一次繊維は、引き張り及び後処理工程を経て繊維を配向して形成し、精練・乾燥して抗菌・防ダニ機能付きの恒温スマート繊維を取得し、前記繊維の乾燥破断強度は2.1~2.6cN/dtexであり、湿潤破断強度は1.1~1.6cN/dtexであり、溶融エンタルピーは44.5~55.6J/gであり、結晶化エンタルピーは42.4~53.1J/gであり、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は98%以上であり、大腸菌に対する抗菌率は94%以上であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率は95%以上であり、極めて強い防ダニ効果があり、検出された粉塵ダニは0であり、回避率は≧99%である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、従来技術と比べて、以下のような有益効果を有する。
【0022】
(1)本発明で作製された抗菌・防ダニの恒温スマート繊維は、大豆蛋白の添加により、業界の同種の温度調節機能繊維と比べて、より優れた柔らかさ及び滑らかな手触りを有し、その利点が明らかである。
【0023】
(2)本発明では、大豆蛋白と、紡糸前の注射で添加される漢方薬植物抽出液とを紡糸原液に順次添加し、ただし、漢方薬植物抽出液には、タンニン酸と少量の硫酸銅とが含まれており、タンニン酸は、紡糸原液における改質後の大豆蛋白の変性・固化を促進するため、相変化材料及び植物抽出物とセルロースとをよりよく結合させることができる。また、植物抽出物及び相変化材料の添加によって招かれた手触りが粗いなどの問題は、大豆蛋白の添加により解消され、繊維の柔らかさと良好な手触りとが達成される。また、硫酸銅溶液における遊離銅イオンとタンニン酸における隣接する2つのフェノール性水酸基とは、酸素アニオンの形で安定した五員環キレートを形成することにより、相変化材料及び植物抽出物をより長く繊維に付着させ、その後の精練、漂白などの過程での損失を回避することができる。液体クロマトグラフィーで測定した結果としては、本発明の繊維作製過程において、ヨモギ抽出物の損失率が3.5~5.0%であり、リセア・クベバ抽出物の損失率が4.0~6.0%であり、従来技術における機能性繊維植物抽出物の損失率よりもはるかに低い。
【0024】
(3)本発明では、大豆蛋白改質溶液と、紡糸前の注射で添加される漢方薬植物抽出液とを紡糸原液に添加することにより、よい手触り、繊維の機能性及び成分損失の低減という技術効果が同時に達成され、凝固浴の利用回数が減少され、凝固浴に不要な成分を添加することが回避され、環境汚染が軽減される。
【0025】
(4)この抗菌・防ダニのスマート恒温繊維及びその作製方法は、規定の質量割合の温度調整材料を添加することにより、繊維の蓄熱恒温作用を向上させることができ、繊維の保温の耐久性・安定性の確保に役に立つ。本発明で作製された抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、「GB/T19466.3-2004」の規格に従って検出された結果、その溶融エンタルピーが44.5~55.6J/gであり、結晶化エンタルピーが42.4~53.1J/gである。
【0026】
(5)紡糸過程前に抗菌・防ダニの成分含有の漢方薬植物抽出液を添加して繊維を改質することにより、繊維の抗菌・防ダニ性能を向上させることができる。本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、「GB/T20944.3-2008」の規格に従って検出された結果、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率が98%以上であり、大腸菌に対する抗菌率が94%以上であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率が95%以上である。本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、極めて強い防ダニ効果があり、検出された粉塵ダニが0であり、回避率が≧99%である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、記載の実施例が本発明の一部の実施例に過ぎずその全体ではないことは、明らかである。当業者であれば、本発明における実施例に基づいて、創造的な労働付かずに取得する他のすべての実施例は、何れも本発明の保護請求範囲に属する。
実施例1
【0028】
抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法は、大豆蛋白改質溶液作製ステップ(1)と、温度調整溶液作製ステップ(2)と、混合紡糸原液作製ステップ(3)と、紡糸前注射ステップ(4)と、紡糸・後処理ステップ(5)とを備える。
(1)大豆蛋白改質溶液の作製
【0029】
大豆分離蛋白を超微細粉体粉砕機で10μm以内の粒径に粉砕し、脱イオン水を添加し、20min撹拌し、トリポリリン酸ナトリウムを添加し、pHを8に調整し、50min保温して反応させることにより、大豆蛋白改質溶液を取得し、ただし、トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、(大豆分離蛋白の質量に対して)0.03%であり、保温の温度は、40℃であり、大豆蛋白改質溶液における大豆分離蛋白の質量比は、10%である。
(2)温度調整溶液の作製
【0030】
相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、大豆蛋白改質溶液を混合し、混合中にイオン分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、均一に撹拌して温度調整溶液を作製し、温度調整溶液において、相変化材料粉体と遠赤色セラミック粉体と大豆蛋白改質溶液との質量比は、1:0.3:10であり、相変化材料粉体は広州盛色科技株式会社によって生産されるものであり、相変化材料粉体の平均粒径は3±1μmであり、遠赤外線セラミック粉体は市場から購入される3000メッシュのものである。
(3)混合紡糸原液の作製
【0031】
400DPのセルロースパルプを原料として、浸漬、圧搾、粉砕、熟成、黄変及び溶解のステップを経て、メチル繊維が10.0%であり、粘度が65sであり、熟成度が22ml(10%NH4Cl値)である5.5%のアルカリ含有のセルロース紡糸原液を作製し、作製された温度調整溶液とセルロース紡糸原液とを混合バレル内で混合することにより、混合紡糸原液を取得し、混合紡糸原液における温度調整溶液の添加量は、混合紡糸原液の総重量の5wt%である。
(4)紡糸前の注射
【0032】
混合後に濾過を3回行った後、紡糸前注射ステップでスタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と紡糸原液とを混合することにより、紡糸液を作製し、ただし、漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、漢方薬植物抽出液の添加量は、紡糸液の質量の5%である。漢方薬植物抽出液におけるヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とタンニン酸水溶液と硫酸銅溶液との質量比は、9:4:50:15であり、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物の粒径は、≦10μmであり、
【0033】
漢方薬植物抽出液の作製・添加方法は、具体的に、まず、濃度が2%であるタンニン酸水溶液を配置し、そして、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物を質量比に従って添加して混合し、混合溶液を30℃で10min撹拌して均一に混合し、最後に、注射前に0.2mol/Lの硫酸銅溶液を添加するとともに紡糸前注射システムで紡糸原液を注入することにより、紡糸液を作製することである。
(5)紡糸・後処理
【0034】
漢方薬植物抽出液が十分に混合される紡糸液を紡糸機に送って紡糸を行い、計量ポンプで糸噴出ヘッドから噴出し、酸浴溝で凝固浴と反応して凝固・再生することにより、一次繊維を形成し、凝固浴において硫酸の濃度は140g/Lであり、硫酸ナトリウムの濃度は320g/L、硫酸亜鉛の濃度は20g/Lである。
【0035】
一次繊維は、引き張り及び後処理工程を経て繊維を配向して形成し、精練・乾燥して抗菌・防ダニ機能付きの恒温スマート繊維を取得し、前記繊維の乾燥破断強度は2.4cN/dtexであり、湿潤破断強度は1.3cN/dtexであり、溶融エンタルピーは44.7J/gであり、結晶化エンタルピーは42.4J/gであり、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は98%であり、大腸菌に対する抗菌率は94%であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率は95%であり、本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、極めて強い防ダニ効果があり、検出された粉塵ダニは0であり、回避率は≧99%である。
実施例2
【0036】
抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法は、大豆蛋白改質溶液作製ステップ(1)と、温度調整溶液作製ステップ(2)と、混合紡糸原液作製ステップ(3)と、紡糸前注射ステップ(4)と、紡紡糸・後処理ステップ(5)とを備える。
(1)大豆蛋白改質溶液の作製
【0037】
大豆分離蛋白を超微細粉体粉砕機で10μm以内の粒径に粉砕し、脱イオン水を添加し、20min撹拌し、トリポリリン酸ナトリウムを添加し、pHを8に調整し、50min温度維持して反応させることにより、大豆蛋白改質溶液を取得し、ただし、トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、(大豆分離蛋白の質量に対して)0.03%であり、温度維持の温度は、40℃であり、大豆蛋白改質溶液における大豆分離蛋白の質量比は、10%である。
(2)温度調整溶液の作製
【0038】
相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、大豆蛋白改質溶液を混合し、混合中にイオン分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、均一に撹拌して温度調整溶液を作製し、温度調整溶液において、相変化材料粉体と遠赤色セラミック粉体と大豆蛋白改質溶液との質量比は、1:0.3:10であり、相変化材料粉体は広州盛色科技株式会社によって生産されるものであり、相変化材料粉体の平均粒径は3±1μmであり、遠赤外線セラミック粉体は市場から購入される3000メッシュのものである。
(3)混合紡糸原液の作製
【0039】
400DPのセルロースパルプを原料として、浸漬、圧搾、粉砕、熟成、黄変及び溶解のステップを経て、メチル繊維が10.0%であり、粘度が65sであり、熟成度が22ml(10%NH4Cl値)である5.5%のアルカリ含有のセルロース紡糸原液を作製し、作製された温度調整溶液とセルロース紡糸原液とを混合バレル内で混合することにより、混合紡糸原液を取得し、混合紡糸原液における温度調整溶液の添加量は、混合紡糸原液の総重量の10wt%である。
(4)紡糸前の注射
【0040】
混合後に濾過を3回行った後、紡糸前注射ステップでスタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と紡糸原液とを混合することにより、紡糸液を作製し、ただし、漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、漢方薬植物抽出液の添加量は、紡糸液の質量の5%である。漢方薬植物抽出液におけるヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とタンニン酸水溶液と硫酸銅溶液との質量比は、10:5:50:15であり、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物の粒径は、≦10μmであり、
【0041】
漢方薬植物抽出液の作製・添加方法は、具体的に、まず、濃度が2%であるタンニン酸水溶液を配置し、そして、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物を質量比に従って添加して混合し、混合溶液を30℃で10min撹拌して均一に混合し、最後に、注射前に0.2mol/Lの硫酸銅溶液を添加するとともに紡糸前注射システムで紡糸原液を注入することにより、紡糸液を作製する。
【0042】
(5)紡糸・後処理
漢方薬植物抽出液が十分に混合される紡糸液を紡糸機に送って紡糸を行い、計量ポンプで糸噴出ヘッドから噴出し、酸浴溝で凝固浴と反応して凝固・再生することにより、一次繊維を形成し、凝固浴において硫酸の濃度は140g/Lであり、硫酸ナトリウムの濃度は320g/L、硫酸亜鉛の濃度は20g/Lである。
【0043】
一次繊維は、引き張り及び後処理工程を経て繊維を配向して形成し、精練・乾燥して抗菌・防ダニ機能付きの恒温スマート繊維を取得し、前記繊維の乾燥破断強度は2.1cN/dtexであり、湿潤破断強度は1.1cN/dtexであり、溶融エンタルピーは55.6J/gであり、結晶化エンタルピーは53.1J/gであり、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は99%であり、大腸菌に対する抗菌率は98%であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率は99%であり、本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、極めて強い防ダニ効果があり、検出された粉塵ダニは0であり、回避率は≧99%である。
【0044】
実施例3
本発明では、以下の実施例によって上記技術案を詳細に説明する。
抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の作製方法は、大豆蛋白改質溶液作製ステップ(1)と、温度調整溶液作製ステップ(2)と、混合紡糸原液作製ステップ(3)と、紡糸前注射ステップ(4)と、紡糸・後処理ステップ(5)とを備える。
(1)大豆蛋白改質溶液の作製
【0045】
大豆分離蛋白を超微細粉体粉砕機で10μm以内の粒径に粉砕し、脱イオン水を添加し、20min撹拌し、トリポリリン酸ナトリウムを添加し、pHを8に調整し、50min温度維持して反応させることにより、大豆蛋白改質溶液を取得し、ただし、トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、(大豆分離蛋白の質量に対して)0.03%であり、温度維持の温度は、40℃であり、大豆蛋白改質溶液における大豆分離蛋白の質量比は、10%である。
(2)温度調整溶液の作製
【0046】
相変化材料粉体、遠赤外線セラミック粉、大豆蛋白改質溶液を混合し、混合中にイオン分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、均一に撹拌して温度調整溶液を作製し、温度調整溶液において、相変化材料粉体と遠赤色セラミック粉体と大豆蛋白改質溶液との質量比は、1:0.3:10であり、相変化材料粉体は広州盛色科技株式会社によって生産されるものであり、相変化材料粉体の平均粒径は3±1μmであり、遠赤外線セラミック粉体は市場から購入される3000メッシュのものである。
(3)混合紡糸原液の作製
【0047】
400DPのセルロースパルプを原料として、浸漬、圧搾、粉砕、熟成、黄変及び溶解のステップを経て、メチル繊維が10.0%であり、粘度が65sであり、熟成度が22ml(10%NH4Cl値)である5.5%のアルカリ含有のセルロース紡糸原液を作製し、作製された温度調整溶液とセルロース紡糸原液とを混合バレル内で混合することにより、混合紡糸原液を取得し、混合紡糸原液における温度調整溶液の添加量は、混合紡糸原液の総重量の5wt%である。
(4)紡糸前の注射
【0048】
混合後に濾過を3回行った後、紡糸前注射ステップでスタティックミキサーにおいて漢方薬抽出液と紡糸原液とを混合することにより、紡糸液を作製し、ただし、漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物、リセア・クベバ抽出物、タンニン酸及び硫酸銅溶液を含み、漢方薬植物抽出液の添加量は、紡糸液の質量の5%である。漢方薬植物抽出液におけるヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とタンニン酸水溶液と硫酸銅溶液との質量比は、8:3:50:15であり、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物の粒径は、≦10μmであり、
【0049】
漢方薬植物抽出液の作製・添加方法は、具体的に、まず、濃度が2%であるタンニン酸水溶液を配置し、そして、ヨモギ抽出物及びリセア・クベバ抽出物を質量比に従って添加して混合し、混合溶液を30℃で10min撹拌して均一に混合し、最後に、注射前に0.2mol/Lの硫酸銅溶液を添加するとともに紡糸前注射システムで紡糸原液を注入することにより、紡糸液を作製する。
(5)紡糸・後処理
【0050】
漢方薬植物抽出液が十分に混合される紡糸液を紡糸機に送って紡糸を行い、計量ポンプで糸噴出ヘッドから噴出し、酸浴溝で凝固浴と反応して凝固・再生することにより、一次繊維を形成し、凝固浴において硫酸の濃度は140g/Lであり、硫酸ナトリウムの濃度は320g/L、硫酸亜鉛の濃度は20g/Lである。
【0051】
一次繊維は、引き張り及び後処理工程を経て繊維を配向して形成し、精練・乾燥して抗菌・防ダニ機能付きの恒温スマート繊維を取得し、前記繊維の乾燥破断強度は2.6cN/dtexであり、湿潤破断強度は1.6cN/dtexであり、溶融エンタルピーは44.5J/gであり、結晶化エンタルピーは42.5J/gであり、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は98%であり、大腸菌に対する抗菌率は94%であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率は95%であり、本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、極めて強い防ダニ効果があり、検出された粉塵ダニは0であり、回避率は≧99%である。
比較例1
本発明では、以下の実施例に従って上記技術案を詳細に説明する。
本比較例と実施例1との区別は、以下の通りである。
【0052】
他の工程条件が変化されない前提で、添加される漢方薬植物抽出液は、ヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物とのみを含み、タンニン酸水溶液と硫酸銅溶液とを含まなく、ただし、ヨモギ抽出物とリセア・クベバ抽出物との質量比は、10:5である。
比較例2
本発明では、以下の実施例に従って上記技術案を詳細に説明する。
本比較例と実施例1との区別は、以下の通りである。
他の工程条件が変化されない前提で、繊維において添加される温度調整溶液の量は、それぞれ1%、3%、16%、20%、及び25%である。
比較例3
本発明では、以下の実施例によって上記技術案を詳細に説明する。
本比較例と実施例1との区別は、以下の通りである。
他の工程条件が変化されない前提で、繊維における温度調整溶液の添加量は、0である。
比較例4
本発明では、以下の実施例によって上記技術案を詳細に説明する。
本比較例と実施例1との区別は、以下の通りである。
他の工程条件が変化されない前提で、紡糸前の注射ステップでビスコース紡糸液に添加される漢方薬植物抽出液の量は0である。
【0053】
実施例1と比較例2、比較例3との区別は、実施例1において5%の温度調整溶液が添加される一方、比較例2においてそれぞれ1%、3%、16%、20%及び25%の温度調整溶液が添加され、また、比較例3において温度調整溶液が添加されないことにあり、その他の条件はいずれも同じである。具体的な操作ステップは、繊維を厚さが1cmである織物に作製して温度レコーダーのプローブの外周に巻き付け、65°Cのオーブンで35min保温し、取り出して室温に置き、この繊維の恒温性能を表すように20s及び30s後の織物の表面温度T1及びT2を測定することであり、具体的には、下表のデータで示される。
【0054】
【0055】
上表に示すように、温度調整溶液の添加によっては、繊維全体の蓄熱・保温性能の向上に役に立ち、且つ、温度調整溶液が添加されない場合に比べてその降温速度が明らかに遅くなる。しかし、温度調整溶液の添加質量が増加するにつれてその恒温効果のバランスがとれるため、実際の生産に応じて好ましい添加量を5~15%としてもよい。しかも、実際の生産中、温度調整溶液の添加量が増加するにつれて繊維の物性への影響が大きくなり、また、コストを考慮すると、温度調整溶液の添加量を5~15%とすることが適当である。
【0056】
実施例1と比較例4との区別は、実施例1において漢方薬植物抽出液が添加されるが比較例4において漢方薬植物抽出液が添加されないことにある。実施例1と比較例1との区別は、実施例1においてタンニン酸水溶液及び硫酸銅溶液が添加されないことにある。
【0057】
本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の優れた抗菌性能を証明するために、GB/T20944.3-2008の国内規格に従って白布を50回洗濯して実施例1~3及び比較例1、4の抗菌性能を検出し、検出結果は下表に示される。
【0058】
【0059】
上表から分かるように、本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率が98%以上であり、大腸菌に対する抗菌率が94%以上であり、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌率が95%以上である。
【0060】
上表に示すように、タンニン酸溶液及び硫酸銅溶液は、漢方薬植物抽出液における有効成分と繊維との混合を促進するのに役に立ち、その結果、損失が減少され、その抗菌・防ダニ性能の耐久性が向上される。ヨモギは、テルペン系、フラボノイド系、芳香性エッセンシャルオイルなどの成分を豊富に含んでおり、病原性細菌、真菌、ウイルスに対する抑制効果を有し、ダニを回避させる効果もある。リセア・クベバは、収量が多く資源が豊富で、主な化学成分が17種類以上確認されており、その特性や用途が異なり、主な成分としてのシトラルが80%以上を占め、優れた抗カビ性と抗菌性を有する。タンニン酸及び硫酸銅溶液は、繊維と植物抽出物における有効成分との結合を強化・促進することができる。タンニン酸及び硫酸銅の含有量が減少した後、対応の抗菌性能がわずかに低下する。タンニン酸及び硫酸銅溶液を添加しない場合、複数回の洗濯を経った後、抗菌性能が明らかに低下する。漢方薬植物抽出液が添加されない繊維と比べて、本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の優れた抗菌性能が明らかに分かる。
比較例5
【0061】
比較例5と実施例1との区別は、大豆蛋白改質溶液の作製ステップを除去し、温度調整溶液の作製中、大豆蛋白改質溶液を添加しないことにある。作製された抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の検出指標は、以下の通りである(損失率は液体クロマトグラフィーによって検出される。)。
【0062】
【0063】
上表から分かるように、本発明に係る繊維の作製過程中には、ヨモギ抽出物の損失率が3.5~5.0%であり、リセア・クベバ抽出物の損失率が4.0~6.0%である。
【0064】
大豆蛋白改質溶液の作製ステップを除去し、温度調整溶液の作製中、大豆蛋白改質溶液を添加しなかった後、作製された抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の抗菌性は大幅に低下し、ヨモギ抽出物の損失率及びリセア・クベバ抽出物の損失率は、大幅に上昇する(≧25%)。
【0065】
本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の優れた防ダニ性能を説明するために、GB/T24253-2009,9.1の回避法に従って実施例1及び比較例4の防ダニ性能を検出し、検出結果は下表に示される。
【0066】
【0067】
上表の試験用ダニの番号:TT059。本発明に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は極めて強い防ダニ効果を有することが分かる。回避率が99%よりも高く、レベルは、防ダニ効果が極めて強い(≧95%は極めて強いことを表し、≧80%はより強いことを表し、≧60%は防ダニ効果を有することを表す。)ことである。
【0068】
次に、本発明の実施例1に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維の溶融温度、溶融エンタルピー、結晶化温度、結晶化エンタルピーを検出し、GB/T19466.3-2004に従って検出し、検出前に試料を105℃で30min乾燥させる。
【0069】
【0070】
上表から分かるように、本発明で作製された抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、溶融エンタルピーが44.5~55.6J/gであり、結晶化エンタルピーが42.4~53.1J/gである。
上表のデータから分かるように、本発明の実施例1に係る抗菌・防ダニのスマート恒温繊維は、溶融エンタルピーが高い。
【0071】
上記には、本発明の基本的な原理、主な特徴及び本発明の利点が記載されている。当業者であれば、本発明が上記実施例によって制限されないことを理解すべきであり、上記実施例及び明細書に記載されているのは、本発明を説明するための好適例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされた様々な変更や改良は、いずれも保護請求の本発明の範囲に属する。本発明の保護請求の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により定義される。