(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081609
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】パッケージ上のスロットボウタイアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240611BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20240611BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20240611BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/12 301Z
H01Q23/00
H01Q13/10
H01Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202384
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】18/072,026
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】イキ タン
(72)【発明者】
【氏名】ラジェン エム ムルガン
(72)【発明者】
【氏名】アディトヤ ナイティン ジョガルカール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンテナオンパッケージ(AOP)を有し、機能を統合した半導体パッケージ及び集積回路を提供する。
【解決手段】スロットボウタイAOP構成を有する半導体パッケージ101は、頂部表面を有する半導体ダイ102と、頂部表面の上のパッシベーション層と、パッシベーション層上の第1の金属層と、第1の金属層内に形成され、半導体ダイからオフセットされスロットボウタイ構成を有するアンテナ105と、第1の金属層内に形成され、半導体ダイをアンテナに結合する伝送ライン106と、第1の金属層を第2の金属層から分離する絶縁材料と、を含む。第2の金属層は、アンテナのための接地反射器として機能し、アンテナ及び半導体ダイの下方へ延在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージであって、
頂部表面を有する半導体ダイと、
前記頂部表面の上のパッシベーション層と、
前記第1のパッシベーション層上の第1の金属層と、
前記第1の金属層内に形成され、前記半導体ダイからオフセットされるアンテナであって、スロットボウタイ構成を有する、前記アンテナと、
前記第1の金属層内に形成され、前記半導体ダイを前記アンテナに結合する伝送ラインと、
前記第1の金属層を第2の金属層から分離する絶縁材料であって、前記第2の金属層が前記アンテナのための接地反射器として機能するように構成される、前記絶縁材料と、
を含む、半導体パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、
前記半導体ダイの前記頂部表面上の導電パッドと、
前記導電パッドを露出させるための前記パッシベーション層における開口と、
を更に含み、
前記第1の金属層における前記伝送ラインが、前記第1の開口を介して前記導電パッドと接する、
半導体パッケージ。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記伝送ラインが共面導波路である、半導体パッケージ。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記伝送ラインが、前記第1の金属層において3つの平行ストリップを含み得、前記3つの平行ストリップが接地信号接地構成を有する、半導体パッケージ。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記第2の金属層が、前記アンテナ及び前記半導体ダイの下方に延在する、半導体パッケージ。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記アンテナがミリメートル波長を有する周波数帯において動作するように構成される、半導体パッケージ。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記アンテナが、前記第1の金属層において、直接大気中放射を提供するように構成される、半導体パッケージ。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記伝送ラインが、50Ωのインピーダンスを有する、半導体パッケージ。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、
前記第1の金属層内に形成されるインピーダンス変換器を更に含み、前記インピーダンス変換器が、アンテナフィードと前記伝送ラインとの間に結合される、半導体パッケージ。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体パッケージであって、前記インピーダンス変換器が75Ωのインピーダンスを有する、半導体パッケージ。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、前記アンテナが、2つの三角開口を有する金属平面を含み、前記開口が各々、アンテナフィード近くに配置された頂点と、前記頂点の反対側の底辺側とを有し、前記底辺側間の距離が前記アンテナの共振周波数を決定する、半導体パッケージ。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、
前記第1の金属層を覆う第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層を覆う第3の金属層と、
前記第1の誘電体層における第1のバイアであって、前記第1のバイアが前記第1の金属層を前記第3の金属層に結合する、第1のバイアと、
を更に含む、半導体パッケージ。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体パッケージであって、
前記第2の金属層を覆う第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層を覆う第4の金属層と、
前記第2の誘電体層における第2のバイアであって、前記第2のバイアが前記第2の金属層を前記第4の金属層に結合する、前記第2のバイアと、
を更に含む、半導体パッケージ。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体パッケージであって、
前記第1の金属層の上の第1のはんだマスク層と、
前記第2の金属層の下の第2のはんだマスク層と、
を更に含む、半導体パッケージ。
【請求項15】
集積回路(IC)であって、
埋め込みダイ構造であって、
開口を含む有機パネルフレーム、
前記開口内に配置される半導体ダイ、及び
前記有機パネルフレームの前記開口内に前記半導体ダイを埋め込む充填材料、
を含む、前記埋め込みダイ構造と、
前記半導体ダイの上に配置され、前記半導体ダイ上のコンタクトに電気的に接続される導電構造を有する、第1の再分配層(RDL)構造と、
前記第1のRDL構造内に形成され、前記半導体ダイからオフセットされ、スロットボウタイ構成を有する、アンテナと、
前記アンテナのための接地反射器として前記半導体ダイの下方に配置される第2のRDL構造と、
を含む、集積回路(IC)。
【請求項16】
請求項15に記載のICであって、前記第1のRDL構造内に形成される伝送ラインを更に含み、前記伝送ラインが、前記半導体ダイを前記アンテナに結合する、IC。
【請求項17】
請求項15に記載のICであって、前記第1のRDL構造における導波路を更に含み、前記導波路が、前記第1の金属層内に3つの平行ストリップを有し、前記3つの平行ストリップが接地信号接地構成を有する、IC。
【請求項18】
請求項15に記載のICであって、前記第2のRDL構造が、前記アンテナ及び前記半導体ダイの下方に延在し、前記アンテナが、ミリ波長を有する周波数帯において動作するように構成され、前記アンテナが、前記第1のRDL構造において直接大気中放射を提供するように構成される、IC。
【請求項19】
請求項15に記載のICであって、前記第1のRDL構造内に形成されるインピーダンス変換器を更に含み、
前記インピーダンス変換器がアンテナフィードと前記伝送ラインとの間に結合され、
前記伝送ラインが、50Ωのインピーダンスを有し、及び、
前記インピーダンス変換器が75Ωのインピーダンスを有する、
IC。
【請求項20】
請求項15に記載のICであって、
前記第1のRDL構造を覆う第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層を覆う第3のRDL構造と、
前記第1の誘電体層における第1のバイアであって、前記第1のRDL構造を前記第3のRDL構造に結合する、前記第1のバイアと、
前記第2のRDL構造を覆う第2の誘電体層と、
前記第2のRDL構造を覆う第4のRDL構造と、
前記第2の誘電体層内の第2のバイアであって、前記第2のRDL構造を前記第4のRDL構造に結合する、前記第2のバイアと、
を更に含む、IC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
能動構成要素及び/又は受動構成要素を含む半導体デバイスは、半導体要素又は化合物の細長いシリンダ形状の単結晶から薄切りされた円形ウェハに製造され得る。これらのソリッドステートウェハの直径は、12インチ又はそれ以上まで達し得る。個々の半導体ダイは、典型的に、ウェハから矩形の個別片をつくるために、ウェハを介したX方向及びY方向の鋸引き路によって円形ウェハから個片化される。
【0002】
各半導体ダイは、少なくとも1つの能動構成要素及び/又は受動構成要素と、半導体ダイの構成要素への電気接続を容易にする働きをするダイパッドとを含む。半導体ダイは、電子構成要素の多くの大規模ファミリーを含み、例には、電界効果トランジスタのようなダイオード及びトランジスタなどの能動デバイス、抵抗器及びキャパシタなどの受動デバイス、並びに、百万をはるかに超える能動及び受動構成要素を含むことが可能な集積回路が含まれる。
【0003】
個片化の後、一つ又は複数の半導体ダイが、金属リードフレームなどの個別の支持基板、又は、複数の金属性層及び絶縁層から積層される硬い多層基板に取り付けられる。リードフレーム及び基板の導電トレースは、典型的に、ボンディングワイヤ、又ははんだバンプなどの金属バンプを用いて、ダイパッドに接続される。
【0004】
組み立てられた半導体ダイ、リードフレーム、及び/又は基板は、しばしば硬化高分子化合物を採用し、トランスファー成形などの技法によって形成される、個別のロバストなパッケージを形成するために、封止され得る。組み立て及びパッケージングプロセスは、リードフレームの対応するストリップ又はアレイ上の半導体ダイのストリップ又はアレイを含む、及び/又は、成形プレスの単一ローディングを介して、個別に、又はバッチプロセスの一部として、行われる。
【0005】
半導体技術は、小型化、統合、及び速度に向かう傾向が続いている。共通パッケージ内でのアンテナ及び機能回路要素の統合は、時に、アンテナオンパッケージ(AOP)又はアンテナインパッケージ(AIP)と呼ばれる。無線周波数(RF)集積回路は、ボール又はピンなどのコンタクトを介してRF信号をアンテナモジュールに伝送するのではなく、パッケージ自体の頂部表面上にアンテナが提供されるように、パッケージングされ得る。これは、AOP構成と呼ばれる。AOPデバイスは、一つ又は複数の送信器アンテナ及び/又は受信器アンテナなどの、半導体又は集積回路(IC)ダイに結合されたいくつかのアンテナを含み得る。AIPデバイスは、アンテナが、ワイヤレスデバイスを提供するために、半導体、又は、RF ICダイなどのICダイと共にパッケージ内に統合される半導体パッケージ配置である。この構成において、アンテナはワイヤレスデバイス内に配置される別個の構成要素ではないが、代わりに、ICダイと共にパッケージ内に直接統合される。この手法は、時に、ディスクリートアンテナ手法と呼ばれる。他の典型的なAIP構成要素には、RF/ミリメートル(mm)波構築ブロック、送信器及び受信器のためのアナログベースバンド信号チェーン、並びに、顧客プログラム可能マイクロコントローラユニット(MCU)及びデジタル信号プロセッサ(DSP)が含まれる。集積アンテナを備えるパッケージは、様々な異なるワイヤレス感知及び/又は伝送規格を組み込むように拡縮され得る。しかしながら、集積アンテナを備えるパッケージの利点は、Wi-Fi、近視野通信(NFC)、及びミリ波(mmWave)アプリケーションなどの、相対的に小型のアンテナを必要とする適用例について、最も明らかである。
【0006】
従来、mmWaveアンテナは、高精度感知を果たすために、ポリテトラフルオロエチレンベースの基板などの、高周波数における効率性をサポートする先端材料を備える基板を用いる、プリント回路板(PCB)上に設計されてきた。こうしたシステム設計は、効果的ではあるが、センサと共に働くようにアンテナを設計及び製造するためにRFの専門知識を必要とする。集積アンテナを備えるパッケージは、スタンドアロンアンテナの必要性を無くすことによって、システムの複雑さ及び製造コストを低減させ得る。こうした感知システムは、ロボット工学、工業用3D感知、並びに、運転支援及び自動運転システムを含む自動車用途に、利用され得る。
【0007】
mmWaveシステムは、一般に、24GHz~300GHzの間のスペクトルにおいて動作する。様々な適用例において、mmWaveシステムは、例えば、セルラーネットワークを用いるか、又は、物体の検出のためのレーダー感知技術におけるなどの、データ伝送に利用され得る。
【発明の概要】
【0008】
或る配置において、半導体パッケージが、頂部表面を有する半導体ダイと、頂部表面の上のパッシベーション層と、第1のパッシベーション層上の第1の金属層と、第1の金属層内に形成され、半導体ダイからオフセットされるアンテナであって、スロットボウタイ構成を有する、アンテナと、第1の金属層に形成される伝送ラインであって、半導体ダイをアンテナに結合する、伝送ラインと、第1の金属層を第2の金属層から分離する絶縁材料であって、第2の金属層がアンテナのための接地反射器として機能するように構成されている、絶縁材料とを含む。第2の金属層は、アンテナ及び半導体ダイの下方へ延在する。
【0009】
半導体パッケージは、半導体ダイの頂部表面上の導電パッドと、導電パッドを露出させるためのパッシベーション層における開口とを更に含み得、第1の金属層における伝送ラインは第1の開口を介して導電パッドと接する。
【0010】
伝送ラインは、裏面導体付き共面導波路であり得る。伝送ラインは第1の金属層において3つの平行ストリップを含み得、3つの平行ストリップは接地信号接地構成を有する。
【0011】
半導体パッケージは、第1の金属層に形成されるインピーダンス変換器を更に含み得、インピーダンス変換器は、アンテナフィードと伝送ラインとの間に結合される。伝送ラインは、50Ωのインピーダンスを有し得、インピーダンス変換器は75Ωのインピーダンスを有し得る。
【0012】
アンテナは、ミリメートル波長を有する周波数帯において動作するように構成され得る。アンテナは、第1の金属層において、直接大気中放射を提供するように構成され得る。
【0013】
アンテナは、2つの三角開口を有する金属平面を含み得、開口は各々、アンテナフィード近くに置かれる頂点と、頂点の反対側の基部側とを有し、基部側間の距離によってアンテナの共振周波数が決まる。
【0014】
半導体パッケージは付加的な層を更に含み得る。第1の誘電体層が第1の金属層を覆い得、第3の金属層が第1の誘電体層を覆い得、第1の誘電体層における第1のバイアが、第1の金属層を第3の金属層に結合し得る。第2の誘電体層が第2の金属層を覆い得、第4の金属層が第2の誘電体層を覆い得、第2の誘電体層における第2のバイアが、第2の金属層を第4の金属層に結合し得る。
【0015】
半導体パッケージは更に、第1の金属層の上の第1のはんだマスク層と、第2の金属層の下の第2のはんだマスク層とを含み得る。
【0016】
別の配置において、集積回路(IC)が埋め込みダイ構造を含み、埋め込みダイ構造は、開口を含む有機パネルフレームと、開口内に置かれる半導体ダイと、有機パネルフレームの開口内に半導体ダイを埋め込む充填材料とを含む。第1の再分配層(RDL)構造が、半導体ダイの上に置かれ、半導体ダイ上のコンタクトに電気的に接続される導電構造を有する。アンテナが、第1のRDL構造に形成され、半導体ダイからオフセットされる。アンテナは、スロットボウタイ構成を有する。第2のRDL構造が、アンテナのための接地反射器として半導体ダイの下に置かれる。
【0017】
ICは、第1のRDL構造内に形成される伝送ラインを更に含み得る。伝送ラインは、半導体ダイをアンテナに結合する。伝送ラインは、第1のRDL構造における導波路であり得る。導波路は、第1の金属層内に3つの平行ストリップを有し得、3つの平行ストリップは接地信号接地構成を有する。
【0018】
第2のRDL構造は、アンテナ及び半導体ダイの下方へ延在し得る。アンテナは、ミリ波長を有する周波数帯において動作するように構成され得、アンテナは、第1のRDL構造において直接大気中放射を提供するように構成され得る。
【0019】
ICは、第1のRDL構造内に形成されるインピーダンス変換器を更に含み得、インピーダンス変換器はアンテナフィードと伝送ラインとの間に結合される。伝送ラインは50Ωのインピーダンスを有し得、インピーダンス変換器は75Ωのインピーダンスを有し得る。
【0020】
ICは更に、第1のRDL構造を覆う第1の誘電体層と、第1の誘電体層を覆う第3のRDL構造と、第1の誘電体層における第1のバイアとを含み得、第1のバイアは第1のRDL構造を第3のRDL構造に結合する。第2の誘電体層が第2のRDL構造を覆い得、第4のRDL構造が第2のRDL構造を覆い得、第2の誘電体層内の第2のバイアが、第2のRDL構造を第4のRDL構造に結合し得る。
【0021】
このように本発明を一般的な用語で説明してきたが、次に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一配置に従った、スロットボウタイアンテナオンパッケージ構成を有する半導体パッケージを図示する。
【0023】
【
図2】アンテナオンパッケージ構成を有する半導体パッケージ内の半導体ダイに結合される伝送ライン構造の詳細図である。
【0024】
【
図3】一配置に従った、システムインパッケージ構成において用いられるスロットボウタイアンテナを図示する。
【0025】
【
図4】アンテナオンパッケージ配置を有する半導体パッケージの長さに沿った断面図である。
【0026】
【
図5】例示の配置に従った、スロットボウタイアンテナのためのアンテナオンパッケージデバイスについての反射減衰量プロットを示すグラフである。
【0027】
【
図6】例示の配置に従った、スロットボウタイアンテナについての利得及び効率測定値を列挙する表である。
【0028】
【
図7A】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて測される放射パターンを図示する。
【
図7B】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。
【
図7C】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。
【
図7D】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。
【
図7E】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。
【
図7F】スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。
【0029】
【
図8A】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8B】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8C】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8D】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8E】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8F】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8G】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8H】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8I】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8J】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8K】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8L】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8M】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【
図8N】一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。
【0030】
【
図9】別の配置に従って形成される、スロットボウタイアンテナを有するパッケージデバイスにおける4層システムを図示する。
【0031】
【
図10】様々な要素の厚みを示す、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示を、添付の図面を参照しながら説明する。図面は一定の縮尺で描画されておらず、本開示を単に例示するために提供されている。本開示のいくつかの態様を、例示のための適用例を参照しながら下記で説明する。多く特定の詳細、関係、及び方法が、本開示の理解のために示されていることを理解されたい。本開示は、いくつかの行為が、異なる順で、及び/又は、他の行為又は事象と同時に成され得るため、行為又は事象の示される順に限定されない。また、本開示に従った方法体系を実装するために、例示されるすべての行為又は事象が必要なわけではない。
【0033】
異なる図面において対応する数字及び記号は概して、別途記載のない限り、対応する部分を指す。図面において、同様の参照番号は全体を通じて同様の要素を指し、様々な特徴は必ずしも一定の縮尺で描画されていない。下記の考察及び特許請求の範囲において、「含む(including)、(includes)」、「有する(having)、(has)」、「備える(with)」という用語、又はそれらの変形は、「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図され、したがって、「~を含むがそれに限定されない」ことを意味するものと解釈されるべきである。また、「結合される」、「結合する(couple)」、及び/又は「結合する(couples)」という用語は、間接的又は直接の電気的又は機械的接続、或いはそれらの組み合わせを含むことが意図される。例えば、第1のデバイスが第2のデバイスに結合するか、又は電気的に結合される場合、その接続は、直接電気接続を介し得るか、或いは、一つ又は複数の介在デバイス及び/又は接続を介する間接的電気接続を介し得る。介在ワイヤ又は他の導体と電気的に接続された要素は、結合されていると見なされる。本開示において、「頂部」、「底部」、「前」、「後」、「の上」、「の上方」、「の下」、「下方」などの用語が用いられ得る。これらの用語は、構造又は要素の位置又は方位を限定するものと解釈されるべきではなく、構造又は要素間の空間的関係を提供するために用いられるべきである。
【0034】
本明細書において「半導体ダイ」という用語が用いられている。半導体デバイスは、バイポーラトランジスタなどのディスクリート半導体デバイス、単一の半導体ダイ上に共に作製される一対のパワーFETスイッチなどの少数のディスクリートデバイスでありっもよく、或いは、半導体ダイは、A/Dコンバータにおける複数のキャパシタなどの複数の半導体デバイスを備える集積回路であってもよい。半導体デバイスは、抵抗器、インダクタ、フィルタ、センサなどの受動デバイス、又は、トランジスタなどの能動デバイスを含み得る。半導体デバイスは、例えばマイクロプロセッサ又はメモリデバイスなどの機能回路を形成するために結合される、数百又は数千のトランジスタを備える集積回路であり得る。半導体デバイスは、本明細書では、半導体デバイス又は集積回路(IC)ダイとも呼ばれ得る。
【0035】
本明細書において「半導体パッケージ」という用語が用いられている。半導体パッケージは、端子に電気的に結合される少なくとも1つの半導体ダイを有し、半導体ダイを保護及び覆うパッケージボディを有する。いくつかの配置において、複数の半導体ダイが共にパッケージングされ得る。例えば、パワー金属酸化膜半導体(MOS)電界効果トランジスタ(FET)半導体デバイス、及び第2の半導体デバイス(ゲートドライバダイ、又はコントローラダイなど)が、単一のパッケージングされた電子デバイスを形成するために、共にパッケージングされ得る。キャパシタ、抵抗器、及びインダクタ又はコイルなどの能動構成要素などの付加的な構成要素を、パッケージングされた電子デバイス内に含めることができる。半導体ダイには、導電リードを提供するパッケージ基板が搭載されている。導電リードの一部が、パッケージングされたデバイスのための端子を形成する。ワイヤボンディングされた集積回路パッケージでは、ボンドワイヤが、半導体ダイ上のパッドをボンディングするためのパッケージ基板の導電リードを結合する。半導体ダイは、デバイス側部表面が基板に背を向けており、裏側表面がパッケージ基板のダイパッドに向けて搭載されるパッケージ基板に搭載可能である。半導体パッケージは、成形プロセスにおいて、熱硬化性エポキシ樹脂モールド化合物によって、又は、室温で液体であり、その後硬化する、エポキシ、プラスチック、又は樹脂を用いることによって形成されるパッケージボディを有することができる。パッケージボディは、パッケージングされたデバイスのために密閉パッケージを提供し得る。パッケージボディは封止プロセスを用いてモールド内に形成され得るが、パッケージ基板のリードの一部が封止の間覆われず、これらの露出されたリード部分が、半導体パッケージのための端子を形成する。半導体パッケージは、「集積回路パッケージ」、「マイクロ電子デバイスパッケージ」、又は「半導体デバイスパッケージ」とも呼ばれ得る。
【0036】
本明細書において「再分配層(RDL)」という用語が用いられている。RDL構造は、半導体ダイ又は他の構成要素に電気的に接続され得る導電構造である。パッケージングされた電子デバイスが、RDL構造内に形成される、アンテナ、伝送ライン、導波路、及び/又はインピーダンス変換器などの要素を含み得る。一例において、パッケージングされた電子デバイスが、RDL層内に形成されるスロットボウタイアンテナを含む。スロットボウタイアンテナは、同じくRDL構造内に形成される伝送ライン及びインピーダンス変換器によって、半導体ダイ回路に結合される。
【0037】
本明細書において「スロットボウタイアンテナ」という用語が用いられている。スロットアンテナは、表面から切り取られた一つ又は複数の穴を備える、平坦金属プレートなどの金属表面で構成される。金属プレートがRF電流によって駆動されるとき、スロットは電磁波を放射する。スロットアンテナの放射パターンは、ダイポールアンテナと同様に全方向性である。本明細書において説明するようなスロットボウタイアンテナは、概して2つの鏡像三角形を有する、ボウタイの形状で形成されるスロットを有するスロットアンテナである。いくつかの配置において、ボウタイ形状は蝶型アンテナとも呼ばれ得る。
【0038】
本明細書において「接地反射器」という用語が用いられている。接地反射器は、アンテナからの電磁波を反射するデバイスである。接地反射器は、RFエネルギーを向け直すためのスタンドアロンデバイスとすることができ、又は、アンテナアッセンブリの一部として集積されてもよい。本明細書において説明する接地反射器は、スロットボウタイアンテナの放射パターンを改変する働き、及び、接地面と反対の方向に利得を増加させる働きをする。
【0039】
本明細書において「共面導波路」という用語が用いられている。共面導波路は、マイクロ波周波数信号を搬送するために用いることが可能な、一種の電気平面伝送ラインである。共面導波路伝送ラインは、モノリシックマイクロ波集積回路に内蔵される。共面導波路は、誘電体基板上の単一の導電トラック又はストリップ、及び、導電トラックの片側又は両側の一対の戻り導電トラック又はストリップで構成される。3つすべての導体が基板の同じ側にあり、したがって共面である。戻り導体は、ラインの長さに沿った不変の幅を有する小さな空隙によって中央導電トラックから分離される。中央導体から離れた側部上で、戻り導体は、各々が概念上半無限平面であるように無限距離まで延在可能である。いくつかの配置において、共面導波路は、接地との共面導波路としても知られ得る、裏面導体付き共面導波路である。裏面導体付き共面導波路の変形には、基板の裏面全体を覆う接地平面を有するものがある。接地平面は第3の戻り導体として働く。
【0040】
図1は、一配置に従った、スロットボウタイアンテナオンパッケージ(AOP)構成を有する半導体パッケージ101を図示する。他の配置において、この配置はアンテナインパッケージ(AIP)として構成されてもよい。半導体パッケージ101は、両面RDLビルドアップ構造で2つの再分配層(RDL)103、104を有する。半導体パッケージ101は、2つの導電体103、104の間に埋め込まれる半導体ダイ102を含む。頂部RDL 103はスロットボウタイアンテナ金属として用いられる。底部RDL 104は、アンテナシステムの一部として接地反射器として用いられる。代替の配置において、底部RDL 104は、スロットボウタイアンテナのための反射器として、PCBベースの接地で置換されてもよい。頂部RDL 103は、スロットボウタイアンテナ105及び伝送ライン構造106を形成するように堆積される。埋め込まれるシリコンダイ102は、アンテナ基板として用いられる。
【0041】
半導体パッケージ101は、直接大気中放射パターンを備える固有のパッケージトップ放射AOP構造を可能にするアンテナオンパッケージ集積を備える、システムインパッケージ(SiP)埋め込みダイ技術を提供する。本明細書において開示される配置は、SiP埋め込みダイ技術を用いる直接大気中放射及び基板強化利得を備える、140~220GHz(WR5)周波数帯において動作する、最適化されたスロットボウタイアンテナを提示する。
【0042】
図2は、半導体ダイ102に結合される伝送ライン構造106の詳細な例示である。伝送ライン構造106は、接地信号接地構成を有する共面導波路である。中間の導電ストリップ201が、2つの接地ストリップ202、203の間に配置される。伝送ライン構造106のインピーダンスは、フィードストリップ201の幅、及び、フィードストリップ201と接地ストリップ202、203との間の間隔に依存する。一配置において、伝送ライン構造106は、50Ωの公称インピーダンスを有する。伝送ライン構造106のストリップ201~203は、半導体ダイ102のアクティブ表面上の導電パッド204~206にボンディングされ、これにより伝送ライン構造106を介して信号を送信及び受信することが可能となる。導電パッド205及び206は、いくつかの配置において、ストリップ202、203への一貫した接地基準電圧を保証するために、互いに結合される。
図2に示される共面導波路配置は、低信号分散及び広帯域性能の利点を有する。半導体パッケージ101内の伝送ライン構造106は頂部RDL 103のエッチングのみを必要とし、シンプルな設計の実現が可能となる。
【0043】
図3は、一配置に従った、SiP構成において用いられるスロットボウタイアンテナ105を図示する。半導体パッケージ101のRDL 103におけるスロットボウタイアンテナ105の統合は、接地RDL 014からの分離を提供するために、半導体ダイ102を封入する基板高さを用いる。アンテナ105を収容するために、より大きな(すなわち、半導体ダイ102の専有面積より大きい)パッケージサイズが必要とされる。半導体パッケージ101はまた、信号I/O及び電力を配路するための付加的な空間を提供する。接地対アンテナの分離は、4分の1波長より下の出発値を用いて所望のアンテナ性能を達成するように調整される。アンテナ105は、より高いか又はより低い周波数帯において働くように改変可能である。一配置において、RDL 104における接地反射器は、アンテナRDL 103よりも155μm下方である。RDL 103におけるスロットボウタイアンテナ105は、最大アンテナ効率のためにパッケージ頂部に近接し、直接大気中放射を提供する。
【0044】
図示された構成において、接地RDL 104は半導体ダイの片側を越えて延在し、幅Wgnd及び長さLgndを有する。一配置において、Wgndは2000μmであり、Lgndは1425μmである。半導体ダイ102を含む基板が、接地RDL 104をアンテナRDL 103から分離する。スロットボウタイアンテナ105の形状は、基板の頂部表面上にRDL 103としてパターン化される。スロットボウタイアンテナ105の外側寸法は、概して、幅Wout及び長さLoutを有する矩形である。一配置において、Woutは1625μmであり、Loutは1000μmである。アンテナ105は、長さLbaseの底辺及び長さLsideの2つの辺を有する、2つの鏡像三角形開口又はスロット301、302を有する。スロットの底辺301、302は、アンテナフィードチャネルから距離Dbaseの間隔が空けられる。開口301、302は、二等辺三角形、正三角形、又は不等辺三角形の形状を有する。一配置において、140~220GHz周波数動作レンジ(WR5)に向けられると、Lbaseは600μmであり、Lsideは623.87μmであり、Dbaseは560μmである。
【0045】
共面導波路伝送ライン構造106は、半導体ダイ102をスロットボウタイアンテナ105に接続する。フィードストリップ201は、幅Wfeedを有し、接地ストリップ202、203から距離Dgndだけ離間される。接地ストリップ202、203の幅は、フィードストリップ201の幅Wfeedと同じであり得るか、又は別の幅であり得る。伝送ライン構造106は、半導体ダイ102とアンテナ構造105の縁部303との間に長さLfeedを有する。アンテナフィード305におけるインピーダンス要件を補償するために、4分の1波変換器304が用いられる。例えば、4分の1波変換器は、75Ωのインピーダンスを有し得る。4分の1波変換器304は、スロットボウタイアンテナ105から距離Dqtrだけ離間された幅Wqtrのストリップを含む。4分の1波変換器304は長さLqtrを有する。アンテナフィード305は、スロットボウタイアンテナ構造105への取り付けのその最も広いポイントにおいて幅Wantを有し、長さLantを有する。一配置において、Wfeedは40μmであり、Dfeedは20μmであり、Wqtrは20μmであり、Dqtrは30μmであり、Lqtrは475μmである。アンテナフィード305は、100μmの寸法Want及び50μmのLantを有し得る。
【0046】
スロットボウタイアンテナは、広帯域幅及び高効率を生み出すことが知られている。スロットボウタイアンテナ幅に沿った線形偏波アンテナ放射は、2つのそれぞれのアパーチャ301、302を励振することによって生成される。スロットボウタイアンテナ105の共振周波数は、幅Wsbtを変えることによって調節され得る。例えば、スロットボウタイ幅Wsbtを増大させることで、スロット共振長を増加させ、より長い電流経路及びより低い共振周波数となる。アパーチャ底辺の長さLbaseは、所望の周波数に合致する入力に調整可能である。
【0047】
図4は、半導体パッケージ101の長さに沿った断面図である。
図4は、それぞれ、アンテナ構造及び接地を形成する、RDL層103と104の間に埋め込まれた半導体ダイ102を図示する。二酸化ケイ素(SiO
2)又は酸化アルミニウム(Al
2O
3)などのパッシベーション層401が、半導体ダイ102の表面に付けられ得る。ポリイミド層402が、RDL 103の下方でパッシベーション層401に取り付けられ得る。導電パッド204は、半導体ダイ102とRDL 103との間の接続を提供する。半導体ダイ102は、RDL 103と104の間に、エポキシ樹脂を含む味の素ビルドアップフィルム(ABF)などの充填材料403に埋め込まれる。はんだマスク404が、酸化からの保護のために、及び、密集した構成要素間にはんだブリッジが形成されることを防ぐために、半導体パッケージ101の頂部及び底部表面に付けられ得る。
【0048】
図5は、上記で列挙された例示の寸法を有するスロットボウタイアンテナのための、アンテナオンパッケージデバイスについての反射減衰量プロットを示すグラフ500である。およそ55GHzの帯域幅が、例示のパラメータを用いてWR5周波数帯において観測されており、反射減衰量は、およそ165GHz(501)~220GHz(502)で-10dBであった。
【0049】
図6は、上記で列挙された例示の寸法を有するスロットボウタイアンテナについての、利得及び効率測定値を列挙する表600である。観測された最大実現利得は、73.5%の最大放射効率を伴い、180GHzでおよそ8.87dBiである。全体として、観測されたピーク実現利得は、56%の最小放射効率を伴い、WR5周波数帯で6dBiより上である。
【0050】
図7A~
図7Fは、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスについて観測される放射パターンを図示する。周波数帯域幅160~200GHzにわたって良好な放射パターンが達成される。最良の放射は、180~200GHz周波数レンジにおいて観測される(
図7C~
図7E)。放射パターンは、図示された例において、大き過ぎるアンテナサイズに起因して、210GHzより上の周波数で分散される。
【0051】
図7Aにおいて、プロット701a及び702aは、164GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701aは、x-y又は方位面(すなわち、φ=0度)を表す。プロット702aは、y-z又は仰角面(すなわち、φ=90度)を表す。
図7Bにおいて、プロット701b及び702bは、170GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701bは、φ=0度における放射パターンを表す。プロット702bは、φ=90度における放射パターンを表す。
図7Cにおいて、プロット701c及び702cは、180GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701cは、φ=0度における放射パターンを表す。プロット702cは、φ=90度における放射パターンを表す。
【0052】
図7Dにおいて、プロット701d及び702dは、190GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701dは、φ=0度における放射パターンを表す。プロット702dは、φ=90度における放射パターンを表す。
図7Eにおいて、プロット701e及び702eは、200GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701eは、φ=0度における放射パターンを表す。プロット702eは、φ=90度における放射パターンを表す。
図7Fにおいて、プロット701f及び702fは、210GHzにおける放射パターンを図示する。プロット701fは、φ=0度における放射パターンを表す。プロット702fは、φ=90度における放射パターンを表す。
【0053】
図8A~
図8Nは、一配置に従った、スロットボウタイアンテナを有するアンテナオンパッケージデバイスのための半導体パッケージを作製するための工程を図示する。これらの工程は、前述のデバイス101を作製するために一実装において用いることができる。工程は、パネル化されたバッチプロセスにおいて複数のパッケージ化された電子デバイスを同時に作製するために用いられ得、個々のパッケージ化された電子デバイスは、プロセスの後又はプロセスの終わり近くに分離される。
【0054】
図8Aにおいて、有機パネルフレーム801が、(粘着性テープと呼ばれる)接着性キャリア構造802に取り付けられる。パネルフレーム801は、半導体ダイ又は他の構成要素を搭載するためのキャビティ803を有する。一例において、有機パネルフレーム801は、接着性キャリア構造802の接着側上に押し付けられる。図示された配置において、半導体ダイ805は、接着性キャリア構造802に取り付けられるアクティブ側805aを有する。有機パネルフレーム801は、一つ又は複数の導電バイア又はめっきスルーホール(PTH)804を有し得、これにより、有機パネルフレーム801の両側間にリード又は他の接続を作ることが可能になる。導電バイア又はPTH804は、パネルフレーム801を介して形成される開口(図示せず)内に銅を電気めっきするために、一つ又は複数の処理工程を用いて形成され得る。導電バイア804は、パネルフレーム801の第1の側801aから第2の側801bへ延在する。
【0055】
図8Bにおいて、一つ又は複数の半導体ダイ805が、有機パネルフレーム801のキャビティ803内の接着性キャリア構造802に取り付けられる。半導体ダイ805は、半導体ダイ805を接着性キャリア構造802に取り付ける機械的プロセス(例えば、ピックアンドプレースプロセス)によって配置され得る。
【0056】
図8Cにおいて、有機パネルフレーム801と半導体ダイ805の間の空隙内に充填材料806が形成される。充填材料806は、空隙内にビルドアップ材料を形成することによってつくられる。一例において、ABFなどのビルドアップ材料はシートとして始まり、作製プロセスは、材料の一つ又は複数のシートを、キャビティ803内の有機パネルフレーム801と半導体ダイ805との間の空隙内にプレスすること又はその他の方式で設置することを含む。次いで、充填材料806は硬化される。過剰な充填材料806aは、充填材料806の過成形などに起因して、有機パネルフレーム801の頂部表面801aを覆い得る。
【0057】
図8Dにおいて、過剰な充填材料806aを除去するため、及び、有機パネルフレーム801の第1の側801aを露出させるために、プラズマエッチングが用いられる。
【0058】
図8Eにおいて、この構造は、パネルフレーム801の第2の側801bが上になるように、ひっくり返されている。接着性キャリア構造802も除去されており、これにより半導体ダイ805のアクティブ側805aが露出される。
【0059】
図8Fにおいて、有機パネルフレーム801の第1の側801aに銅シード層807aを堆積させるため、及び、有機パネルフレーム801の第2の側801bに銅シード層807bを堆積させるために、スパッタ堆積プロセスが行われる。銅シード層807aは、充填材料806の表面808aも覆う。銅シード層807bは、半導体ダイ805のアクティブ側805a並びに充填材料806の露出された表面806bも覆う。
【0060】
図8Gにおいて、銅シード層807a、807bの上にドライフィルム(DF)フォトレジスト層809a、809bが積層される。
【0061】
図8Hにおいて、フォトレジスト層809a、809bは露出及び現像される。これにより、構造の頂部及び底部のレジストのセグメント810を形成するために、フォトレジスト材料がパターン化される。フォトレジスト層809a、809bが現像されるとき、シード層807a、807bの一部が露出される。
【0062】
図8Iにおいて、RDL層812a、812bを形成するために、構造の両方の表面上に導電めっきが堆積される。一配置において、RDL層812a、812bは、パターン化されたレジスト810の開口内で、銅シード層811の露出部分の上に導電銅材料を堆積する電気めっきプロセスにおいて銅を用いて形成され得る。
図8Iの断面図には示されていないが、一配置において、RDL層812aは接地層の形状に形成され得、RDL層812bはスロットボウタイアンテナの形状に形成され得る。
【0063】
図8Jにおいて、DFフォトレジスト層の残りのセグメント810は除去され、下にあるシード層材料807a、807bの一部813を露出させる。
【0064】
図8Kにおいて、下にあるシード層材料807a、807bの露出部分813はエッチングされている。これにより、構造の第1及び第2の側の選択部分上又は選択部分の上に延在する、めっきされた銅構造812a、812bが残る。
【0065】
図8Lにおいて、構造の頂部表面及び底面にはんだマスク814が付けられる。
【0066】
図8Mにおいて、RDL層812a、812bの一部を露出させるために、はんだマスク814内にパッド開口815がつくられる。
【0067】
図8Nにおいて、RDL層812a、812bの露出部分に薄膜金属層816が付けられる。薄膜金属層816は、半導体ダイ805と構造の他の構成要素とへのコンタクトをサポートするために用いられ得る、アンダーバンプ金属被覆(UBM)であり得る。
【0068】
図8A~
図8Nに示されるプロセスは構造の両方の側を同時に処理することを図示しているが、他の配置において、一方の側をまず処理し、その後、構造をひっくり返して他方の側を処理してもよいことを理解されよう。
【0069】
図8Nは、一配置に従った、RDL層812b内に形成されるスロットボウタイアンテナを有するパッケージデバイス800内のシステムを図示する。デバイス800は、RDL層812a、812bを備える2層構造である。
【0070】
図9は、別の配置に従った、RDL層812b内に形成されるスロットボウタイアンテナを有する、パッケージデバイス900内の4層システムを図示する。半導体ダイ901が、銅パッドなどの一つ又は複数のコンタクトパッド903を備えるアクティブ面902を有する。パッシベーション層904が、アクティブ表面902の上に形成されるが、コンタクトパッド903は覆わない。ポリイミド層905が、パッシベーション層904の頂部上に形成される。半導体デバイス901は、ABF又はエポキシ樹脂などの充填材料906内に埋め込まれる。第1のRDL層907が、充填材料906の頂部表面上に形成され、半導体デバイス901上のパッド903と接している。RDL層907は、一構成において、スロットボウタイアンテナの形状で形成され得る。第2のRDL層908が、充填材料906の底部表面上に形成される。一配置において、RDL908は、RDL907内に形成されるアンテナ構造のための接地平面として機能する。
【0071】
絶縁誘電体層909が、RDL907の頂部上に形成される。誘電体層909は、層909の頂部上に形成される導電層910をRDL907から分離する。導電層910は、誘電体層909を介して穿孔され得る一つ又は複数のバイア911によって、RDL907に電気的に結合される。薄い金属コンタクト912が、導電層910上に形成され、外部デバイスへのコンタクトを搭載するためのアンダーバンプ材料(UBM)として機能し得る。はんだマスク913又は他の保護材料が誘電体層909及び導電層910上に堆積されて、デバイス900の頂部表面上でコンタクト912のみが露出されるようにする。
【0072】
同様に、RDL908の底部上に絶縁誘電体層914が形成される。誘電体層914は、層914の底部上に形成される導電層915からRDL908を分離する。導電層915は、誘電体層914を介して穿孔され得る一つ又は複数のバイア916によって、RDL908に電気的に結合される。薄い金属コンタクト916が、導電層915上に形成され、外部デバイスへのコンタクトを搭載するためのアンダーバンプ材料として機能し得る。はんだマスク917又は他の保護材料が、誘電体層914及び導電層915上に堆積されて、デバイス900の底部表面上でコンタクト916のみが露出されるようにする。
【0073】
図10は、一配置における様々な要素の厚みを示す、
図8A~
図8Nに図示されたプロセスを用いて製造されるデバイスなどの、スロットボウタイアンテナを有するAOPデバイス1000の断面図である。半導体ダイ1001は、アクティブ表面1001a上の任意のパッシベーション及びポリイミド層と共に、65~150μmの厚みT1を有する。有機材料1002は100~180μmの厚みT2を有する。頂部RDL層1003は8~20μmの厚みT3を有し、底部RDL層1004は同様に8~20μmの厚みT4を有する。頂部及び底部はんだマスク層1005、1006は各々、10~20μmの厚みT5、T6を有する。
【0074】
導電バイア又はPTH1007は、105~150μmの幅T7を有し、半導体ダイ1001の縁部から150~200μm離れた距離T8に配置される。頂部及び底部RDL層は、パッケージ1000の縁部1008から距離T9離間されている。
【0075】
上記で本開示の様々な例を説明してきたが、これらは単なる例として提示されており、限定するものではないことを理解されたい。本明細書における開示に従い、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、開示された例に対する多くの変更が可能である。特許請求の範囲内で、説明した実施例における改変が可能であり、また他の実施例が可能である。したがって、本発明の幅及び範囲は前述のいずれの例によっても限定されるものではない。そうではなく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従って定義されるものとする。
【外国語明細書】