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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081610
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】熱交換強化モジュールシェル
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240611BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20240611BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01R13/46 D
H01R13/533 A
H05K7/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203532
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】63/430,352
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】タオルー チャン
(72)【発明者】
【氏名】ナバンシュル サトラ
(72)【発明者】
【氏名】サイード ムハンマド ハサン アリ
(72)【発明者】
【氏名】ピールーズ アムレシ
【テーマコード(参考)】
5E087
5E322
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE14
5E087JJ08
5E087MM02
5E087MM05
5E087PP06
5E087QQ01
5E087RR49
5E322AA01
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラガブルトランシーバモジュール用の嵌合コネクタ又はケージにおいてヒートシンクにより効果的に伝達され得る熱交換強化モジュールシェルを提供する。
【解決手段】プラガブルトランシーバモジュール102は、上部シェル112及び下部シェル114を含む。上部シェルは、平坦な内面と、平坦な内面に形成された凹状エリアとを含む。モジュール102はまた、PCB120と、PCB120上に実装された半導体チップ122と、上部シェル112と半導体チップ122との間の凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダとを含む。ヒートスプレッダは、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、又は関連する熱拡散構造とすることができる。ヒートスプレッダは、モジュール102の上部シェル112のより広いエリアにわたって半導体チップ122から熱を伝達するのを助け、熱は、ヒートシンク170により効果的に伝達され得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラガブルトランシーバモジュールであって、
上部シェルと下部シェルとを備え、前記上部シェルが、平坦な内面と、該平坦な内面に形成された凹状エリアとを備えるモジュールシェルと、
プリント回路基板と、
該プリント回路基板上に実装されたチップと、
前記上部シェルと前記チップとの間の前記凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダと、を備える、モジュール。
【請求項2】
前記チップと前記ヒートスプレッダとの間に位置決めされた熱パッドを更に備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記ヒートスプレッダは、該ヒートスプレッダの表面が前記上部シェルの前記平坦な内面と実質的に同一平面上にある状態で、前記凹状エリア内に固定されている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記ヒートスプレッダが、前記上部シェルに溶接されている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記ヒートスプレッダが、銀焼結ダイアタッチを用いて前記上部シェルに焼結されている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記上部シェルが、ダイカスト上部シェルであり、
前記ヒートスプレッダが、前記ダイカスト上部シェル内のダイカストインサートである、請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
前記ヒートスプレッダが、インターロックレッジを備え、
前記上部シェルが、前記インターロックレッジとの機械的干渉によって、前記ヒートスプレッダを前記凹状エリア内に固定する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
前記ヒートスプレッダが、位置決め戻り止めを備え、
前記上部シェルが、凹部ノッチを備え、
前記ヒートスプレッダは、前記位置決め戻り止めが前記凹部ノッチ内に延びる状態で、前記凹状エリア内に固定されている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
前記ヒートスプレッダの少なくとも一部の上に延びる絶縁シートを更に備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項10】
前記ヒートスプレッダが、長さ方向において、前記上部シェルの長手方向軸に沿って、前記上部シェルの長さの少なくとも半分にわたって延びている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項11】
前記ヒートスプレッダが、ヒートパイプを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項12】
前記ヒートスプレッダが、蒸気チャンバを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項13】
前記凹状エリアは、凹状内面を備え、
該凹状内面は、前記上部シェルの平坦な外面と実質的に同一平面上にある、請求項1に記載のモジュール。
【請求項14】
トランシーバモジュールであって
平坦な内面と、該平坦な内面に形成された凹状エリアとを備えるモジュールシェルと、
プリント回路基板上に実装されたチップと、
前記モジュールシェルと前記チップとの間の前記凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダと、を備える、モジュール。
【請求項15】
前記ヒートスプレッダは、前記ヒートスプレッダの表面が前記モジュールシェルの前記平坦な内面と実質的に同一平面上にある状態で、前記凹状エリア内に固定されている、請求項14に記載のモジュール。
【請求項16】
前記ヒートスプレッダが、前記モジュールシェルの前記凹状エリア内に溶接されている、請求項14に記載のモジュール。
【請求項17】
前記ヒートスプレッダが、銀焼結ダイアタッチを用いて前記モジュールシェルの前記凹状エリア内に焼結されている、請求項14に記載のモジュール。
【請求項18】
前記モジュールシェルが、ダイカストモジュールシェルを含み、
前記ヒートスプレッダが、前記ダイカストモジュールシェル内のダイカストインサートである、請求項14に記載のモジュール。
【請求項19】
前記ヒートスプレッダが、インターロックレッジを備え、
前記モジュールシェルが、前記インターロックレッジとの機械的干渉によって、前記ヒートスプレッダを前記凹状エリア内に固定する、請求項14に記載のモジュール。
【請求項20】
前記ヒートスプレッダが、位置決め戻り止めを備え、
前記モジュールシェルが、凹部ノッチを備え、
前記ヒートスプレッダは、前記位置決め戻り止めが前記凹部ノッチ内に延びる状態で、前記凹状エリア内に固定されている、請求項14に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータ、コンピューティングシステム、及びコンピューティング環境によって処理されるデータの量は増加し続けている。例えば、データセンタは、光ケーブル、銅ケーブル、並びに様々なコネクタ、ケーブルアセンブリ、及びそれらの間の終端を使用して相互接続された何百ものコンピューティング及びネットワーキングシステムを含み得る。これらの相互接続のデータスループットは高く、増加している。例として、多くのデータセンタが、10ギガビットイーサネット(10GbE、10 Gigabit Ethernet )、25GbE、50GbE、及び100GbEのネットワークインターフェース及び相互接続の組み合わせを組み込んでいる。200GbE、400GbE、及び800GbEの相互接続技術も開発され展開されている。他の相互接続ソリューションは、56ギガビット/秒(Gigabit per second、Gb/s)及び112Gb/sのネットワークインターフェース及び相互接続に依存し、224Gb/sの相互接続技術が開発されている。種々のケーブルアセンブリがデータ相互接続に利用可能である。コネクタが使用されるデータ通信環境の要件に応じて、それぞれのケーブルアセンブリに対して様々な設計が存在する。
【0002】
スモールフォームファクタプラガブル(small form-factor pluggable 、SFP)モジュールフォーマットは、データ相互接続に使用されるコンパクトホットプラガブルネットワークインターフェースモジュールフォーマットである。コンピューティング又はネットワーキングシステム上のSFPインターフェースは、光ファイバ又は銅ケーブルなどのメディア固有トランシーバのためのモジュール式スロットである。ケーブルアセンブリは、銅、光ファイバ、又は他のタイプの相互接続ケーブルの一端又は両端にSFPプラガブルトランシーバモジュールを含むことができる。SFPプラガブルトランシーバモジュールは、データ相互接続のためにSFPインターフェースに挿入することができる。クワッドスモールフォームファクタプラガブル(quad small form-factor pluggable、QSFP)モジュールフォーマットは、高密度SFPケーブル配線相互接続システムの一例である。QSFPケーブルアセンブリは、高性能データセンタ相互接続用途に合うように設計される。
【発明の概要】
【0003】
プラガブルトランシーバモジュール用の熱交換強化モジュールシェルの態様が説明される。一例では、プラガブルトランシーバモジュールはモジュールシェルを含む。モジュールシェルは、上部シェル及び下部シェルを含む。上部シェルは、平坦な内面と、平坦な内面に形成された凹状エリアとを含む。モジュールはまた、プリント回路基板と、プリント回路基板上に実装された半導体チップと、上部シェルと半導体チップとの間の凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダとを含む。場合によっては、半導体チップとヒートスプレッダとの間に熱パッドが位置決めされている。ヒートスプレッダは、関連するタイプのヒートスプレッダの中でも、ヒートパイプ又は蒸気チャンバとして具現化され得る。
【0004】
一例では、ヒートスプレッダは上部シェルに溶接されている。別の例では、ヒートスプレッダは、銀焼結ダイアタッチを用いて上部シェルに焼結されている。別の場合では、モジュールシェルはダイカストモジュールシェルを含み、ヒートスプレッダはダイカストモジュールシェル内のダイカストインサートである。更に別の例では、ヒートスプレッダはインターロックレッジを含み、上部シェルは、インターロックレッジとの機械的干渉によって、ヒートスプレッダを凹状エリア内に固定する。ヒートスプレッダは、ヒートスプレッダの表面が上部シェルの平坦な内面と実質的に同一平面上にある状態で、凹状エリア内に固定することができる。
【0005】
他の態様では、ヒートスプレッダは位置決め戻り止めを含み、上部シェルは凹部ノッチを備え、ヒートスプレッダは、位置決め戻り止めが凹部ノッチ内に延びる状態で、凹状エリア内に固定されている。モジュールはまた、場合によっては、ヒートスプレッダの少なくとも一部の上に延びる絶縁シートを含むことができる。他の態様では、ヒートスプレッダは、長さ方向において、上部シェルの長手方向軸に沿って、上部シェルの長さの少なくとも半分にわたって延びている。
【0006】
別の実施形態では、トランシーバモジュールは、平坦な内面と、平坦な内面に形成された凹状エリアとを備えるモジュールシェルと、プリント回路基板上に実装された半導体チップと、モジュールシェルと半導体チップとの間の凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダと、を含む。ヒートスプレッダは、ヒートスプレッダの表面がモジュールシェルの平坦な内面と実質的に同一平面上にある状態で、凹状エリア内に固定することができる。
【0007】
一態様では、ヒートスプレッダは、モジュールシェルの凹状エリア内に溶接されている。他の場合には、ヒートスプレッダは、銀焼結ダイアタッチを用いてモジュールシェルの凹状エリア内で焼結されている。別の場合では、モジュールシェルはダイカストモジュールシェルを含み、ヒートスプレッダはダイカストモジュールシェル内のダイカストインサートである。更に別の例では、ヒートスプレッダはインターロックレッジを含み、上部シェルは、インターロックレッジとの機械的干渉によって、ヒートスプレッダを凹状エリア内に固定する。ヒートスプレッダは、ヒートスプレッダの表面が上部シェルの平坦な内面と実質的に同一平面上にある状態で、凹状エリア内に固定することができる。
【0008】
他の態様では、ヒートスプレッダは位置決め戻り止めを含み、モジュールシェルは凹部ノッチを備え、ヒートスプレッダは、位置決め戻り止めが凹部ノッチ内に延びる状態で、凹状エリア内に固定されている。モジュールはまた、場合によっては、ヒートスプレッダの少なくとも一部の上に延びる絶縁シートを含むことができる。他の態様では、ヒートスプレッダは、長さ方向において、モジュールシェルの長手方向軸に沿って、モジュールシェルの長さの少なくとも半分にわたって延びている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。更に、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【0010】
図1】本開示の様々な実施形態による相互接続アセンブリの斜視図を示す。
図2】本開示の様々な実施形態による、ヒートシンクが省略された、図1に示される相互接続アセンブリの斜視図を示す。
図3】本開示の態様による、図1に示されるケーブルアセンブリの斜視図を示す。
図4】本開示の態様による、図1においてI-Iで示されるケーブルアセンブリの断面図を示す。
図5】本開示の態様による、図3に示されるモジュールの上部シェルの底面図を示す。
図6A】本開示の様々な実施形態による別のケーブルアセンブリの上部シェルの底面図を示す。
図6B】本開示の様々な実施形態による、ヒートパイプを含む、図6Aに示される上部シェルを図示する。
図7】本開示の様々な実施形態によるヒートパイプを示す。
図8】本開示の態様による、図6Bに示される上部シェル及びヒートパイプを含むケーブルアセンブリの断面図を示す。
図9A】本開示の態様による、図6BにおいてII-IIで示された上部シェル及びヒートパイプの断面図を示す。
図9B】本開示の態様による別の上部シェル及びヒートパイプの断面図を示す。
図10A】本開示の様々な実施形態による別のケーブルアセンブリの上部シェルの底面図を示す。
図10B】本開示の様々な実施形態による、蒸気チャンバを含む、図10Aに示される上部シェルを図示する。
図11】本開示の様々な実施形態による蒸気チャンバを示す。
図12】本開示の態様による、図10Bに示される上部シェル及びヒートパイプを含むケーブルアセンブリの断面図を示す。
図13A】本開示の態様による、図10BにおいてIII-IIIで示された上部シェル及びヒートパイプの断面図を示す。
図13B】本開示の態様による別の上部シェル及びヒートパイプの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
コンピュータ、コンピューティングシステム、及びコンピューティング環境によって処理されるデータの量は増加し続けている。例えば、データセンタは、光ケーブル、銅ケーブル、並びに様々なコネクタ、ケーブルアセンブリ、及びそれらの間の終端を使用して相互接続された何百ものコンピューティング及びネットワーキングシステムを含み得る。スモールフォームファクタプラガブル(SFP)モジュールフォーマットは、データ相互接続に使用されるコンパクトホットプラガブルネットワークインターフェースモジュールフォーマットである。コンピューティング又はネットワーキングシステム上のSFPインターフェースは、光ファイバ又は銅ケーブルなどのメディア固有トランシーバのためのモジュール式スロットである。ケーブルアセンブリは、銅、光ファイバ、又は他のタイプの相互接続ケーブルの一端又は両端にSFPプラガブルトランシーバモジュールを含むことができる。SFPプラガブルトランシーバモジュールは、データ相互接続のためにSFPインターフェースに挿入することができる。
【0012】
倍密度スモールフォームファクタプラガブル(small form-factor pluggable double density、SFP-DD)、コンパクトスモールフォームファクタプラガブル(compact small form-factor pluggable 、cSFP)、SFP+、クアッドスモールフォームファクタプラガブル(QSFP)、倍密度クアッドスモールフォームファクタプラガブル(quad small form-factor pluggable double density 、QSFP-DD)などを含む、多様なSFPプラガブルトランシーバモジュールが現在利用可能である。SFPプラガブルトランシーバモジュールは、1つ又は複数のパッケージ化された半導体回路デバイス又はチップを含むことが多い。SFPプラガブルトランシーバモジュールを有するアクティブ電気ケーブル(active electrical cable 、AEC)アセンブリは、例えば、信号リタイミングのためのパッケージ化された半導体チップを含み得る。AECアセンブリ半導体チップは、他の機能の中でも、データ信号の損失及びタイミングプレーンをリセットし、雑音を除去し、信号完全性を改善し得る。例えば、SFPプラガブルトランシーバモジュールを有するアクティブ光ケーブル(active optical cable、AOC)アセンブリは、光信号を電気信号に変換するためのパッケージ化された半導体チップを含み得る。AOC内の半導体チップは、送信機用光サブアセンブリ(transmitter optical subassemblies 、TOSA)によって送信された光信号を受信するように構成された受信機用光サブアセンブリ(receiver optical subassemblies、ROSA)を含み得る。ROSAは、光信号を変換して電気信号に戻すように構成されている。
【0013】
SFPプラガブルトランシーバモジュール内の半導体チップは、電力を消費し、熱を放散させる。新しいケーブルアセンブリは、より高いレートでデータを送信するように設計されているので、半導体チップが、より多くの電力を消費するか、より多くの熱を放散させるか、又はその両方が生じることがあり、半導体チップを故障から保護するために、半導体チップから熱を放散させることが重要になる場合がある。SFPプラガブルトランシーバモジュール用の多くのコネクタ及びケージは、モジュールから熱を除去及び放散させるためのヒートシンク及び他の手段を含む。しかしながら、SFPモジュールは、モジュール内の半導体チップからSFPコネクタ及びケージ上のヒートシンクへの熱伝達に対して必ずしも最適化されているわけではない。
【0014】
上記で概説した文脈において、プラガブルトランシーバモジュール用の熱交換強化モジュールシェルの態様が説明される。一例では、プラガブルトランシーバモジュールはモジュールシェルを含む。モジュールシェルは、上部シェル及び下部シェルを含む。上部シェルは、平坦な内面と、平坦な内面に形成された凹状エリアとを含む。モジュールはまた、プリント回路基板と、プリント回路基板上に実装された半導体チップ又はデバイスと、上部シェルと半導体チップとの間の凹状エリア内に固定されたヒートスプレッダとを含む。ヒートスプレッダは、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、又は関連する熱拡散構造とすることができる。ヒートスプレッダは、モジュールの上部シェルのより広いエリアにわたって半導体チップからの熱を伝達するのに役立つ。熱は、プラガブルトランシーバモジュール用の嵌合コネクタ又はケージのヒートシンクにより効果的に伝達され得る。
【0015】
図面を参照すると、図1は、本開示の様々な実施形態による例示的な相互接続アセンブリ10の斜視図を示す。相互接続アセンブリ10は、ケーブルアセンブリ100と、ケージ160と、を含む。ケージ160は、他の構成要素の中でも、金属ハウジング162と、ヒートシンク170と、ヒートシンク170をケージ160の上に固定するクリップ180とを含む。クリップ180は、ケージ160の側壁に係合して、ヒートシンク170をケージ160上に固定する。ケーブルアセンブリ100は、ケーブル104の一端にプラガブルトランシーバモジュール102(「モジュール102」とも称する)を含む。ケージ160の金属ハウジング162は、以下で更に詳細に説明するように、中にモジュール102を挿入することができる開放空間を取り囲む。ヒートシンク170は、熱放散を可能にする、互いに離隔された垂直配向フィンを含むことができる。
【0016】
相互接続アセンブリ10は代表的なものであり、いかなる特定のスケールにも描かれておらず、強化された熱交換のための特徴を備えたモジュールシェルを有するプラガブルトランシーバモジュールの概念の文脈を提供するために示されている。ケーブルアセンブリ100は、任意の特定のタイプのケーブル又はケーブルアセンブリに限定されることを意図されず、ケーブル104は、光ファイバ、銅、又は他のタイプのケーブルとして具現化することができる。したがって、ケーブルアセンブリ100は、AEC、及びAOC、又は関連するタイプのケーブルの一例である。以下で更に詳細に説明されるモジュール102は、代表的なものであり、本明細書で説明する概念は、SFP、SFP-DD、cSFP、SFP+、QSFP、QSFP-DD、及び関連するタイプのプラガブルモジュールを含む、種々のプラガブルモジュールに適用され得る。ケージ160は、コンピューティング、ネットワーキング、又は関連するシステムのプリント回路基板(printed circuit board 、PCB)(図示せず)に実装することができる。ケージ160は、モジュール102のタイプ、スタイル、及びサイズに応じて、図示のものと比較してサイズ及びスタイルを変更することができる。ケージ160内のコネクタは、図1に示すように、モジュール102がケージ160内に完全に挿入されたときに、モジュール102の端部のPCB型チップと嵌合するように設計されている。
【0017】
図2は、ヒートシンク170が省略された、図1に示される相互接続アセンブリ10の斜視図を示す。図3は、ケージ160から分離された、図1に示されるケーブルアセンブリ100の斜視図を示す。ケージ160の金属ハウジング162は、図2に示すように、開口部164を含む。モジュール102は、PCB、PCB上に実装された1つ以上の半導体チップ、及び他の構成要素など、いくつかの構成要素を囲い込むモジュールシェルを含む。モジュール102のモジュールシェルは、上部シェル112、下部シェル114、及び他の構成要素を含む。上部シェル112の領域113は、図2及び図3に示されるように、金属ハウジング162の開口部164を通して露出され、それによって、上部シェル112の頂部外面112Aは、開口部164を通して露出されている。頂部外面112Aは、図示の例では、特に開口部164を通して露出されている場合、平面である。
【0018】
モジュール102の上部シェル112及び下部シェル114は、金属又は金属合金として具現化されるか、又は金属又は金属合金から形成され得る。一例では、上部シェル112及び下部シェル114は、ダイカスト亜鉛、亜鉛合金、又は他の金属若しくは金属合金として具現化することができる。上部シェル112及び下部シェル114は、場合によっては、1つ以上の銅、ニッケル、又は他のめっき層などを用いて外面上にめっきすることができる。しかしながら、モジュール102のモジュールシェルを形成する材料は限定されず、モジュールシェルは、種々の材料及び製造技術から形成することができる。
【0019】
モジュール102内の1つ以上の半導体チップは、電力を消費し、熱を放散させる。熱は、少なくとも部分的に、モジュール102の上部シェル112を通して伝導される。ヒートシンク170の底面は、ハウジング162の上部の開口164を通して上部シェル112の頂部外面112Aに接触する。クリップ180は、ケージ160の側壁に係合して、ヒートシンク170の底面が上部シェル112の頂部外面112Aと平面接触した状態で、ヒートシンク170をケージ160の上に固定する。したがって、ヒートシンク170は、熱を、モジュール102の上部シェル112から引き出して放散させるように位置決めされている。
【0020】
図4は、図1においてI-Iで示されたケーブルアセンブリの断面図を示す。図4に示すように、モジュール102は、PCB120を含む。半導体チップ122は、PCB120上に実装され、PCB120上の金属トレースに電気的に結合される。シールドケーブル124などのいくつかのシールドケーブルは、PCB120に電気的に結合され、終端される導体を有する。PCB120はまた、モジュール102の端部にPCB型チップを含み、このチップは、図示の例では、金属ハウジング162内のコネクタ166に挿入される。半導体チップ122と上部シェル112との間に熱パッド128が位置決めされ、熱パッド128は、熱「H」を半導体チップ122から上部シェル112に伝導する。ヒートシンク170の底面は、モジュール102の上部シェル112の頂面と、ヒートシンクと上部シェルとの間の界面168にわたって接触する。場合によっては、熱パッド128を省略することができ、半導体チップ122の頂面は、上部シェル112の底部内面に直接接触することができる。あるいは、熱ペーストを半導体チップ122の頂面と上部シェル112の底部内面との間に広げることができ、他の構成も実施形態の範囲内である。
【0021】
半導体チップ122は、電力を消費し、熱「H」を放散させる。熱は、少なくとも部分的に、熱パッド128を通って上部シェル112に伝導され、上部シェル112を通ってヒートシンク170の底面に伝導される。ヒートシンク170は、熱「H」を、モジュール102の上部シェル112から引き出して放散させるように位置決めされている。モジュール102の動作のために、モジュール102から熱を抽出して放散させることが重要である場合がある。しかしながら、モジュール102のような多くのプラガブルモジュールは、SFPケージ上のヒートシンクへの熱伝達に対して最適化されていない。例えば、熱は、モジュール102内の半導体チップ122から上部シェル112を通してヒートシンク170に伝達されるが、上部シェル112は、熱を伝達するために必ずしも最適化されていない。様々な実施形態が代表的な半導体チップ122に関して本明細書で説明されるが、了解され得るように、同じ原理が、熱を発生させる他のチップ又は処理回路に関して使用され得ることが理解される。
【0022】
図5は、図3に示すモジュール102の上部シェル112の底面図を示す。上部シェル112は、上部シェル112の長手方向軸「L」に沿って長さ「L1」にわたって延びている。上部シェル112は、平坦な底部内面112Bを含む。底部内面112Bは、上部シェル112の頂部外面112A(図3参照)が延びる平面に平行な平面内に延びることができる。内面112Bは、長手方向軸「L」に沿って長さ「L2」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「W」にわたって延びている。内面112Bの長さ「L2」は、図示の例では、上部シェル112の全長「L1」の半分未満にわたって延びている。上部シェル112は、モジュール102内の半導体チップ122の上方に位置決めされている。内面112Bの領域116は、モジュール102が組み立てられたときに、半導体チップ122の上方に位置決めされる領域を表す。
【0023】
実施形態の態様によれば、シェル、上部シェル、又はプラガブルトランシーバモジュールの他のハウジングは、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、又は他のヒートスプレッダなどのヒートスプレッダを含めることによって改善される。ヒートスプレッダは、プラガブルトランシーバモジュールのモジュールシェル又はハウジングのより大きな領域にわたって、プラガブルモジュール内の半導体チップ又はデバイスから熱をより効果的に伝達する手段を提供する。次に、モジュールシェルは、モジュールからの熱伝達を改善するか又は向上させるために、シェルの外面のより広いエリアにわたって熱を伝導及び伝達する。
【0024】
図6Aは、本開示の様々な実施形態による別のケーブルアセンブリの上部シェル212の底面図を示し、図6Bは、ヒートパイプ300を有する、図6Aに示す上部シェル212を示す。ヒートパイプ300は、本明細書で説明する概念によるプラガブルトランシーバモジュールの上部シェルに組み込むことができるヒートスプレッダの一例である。ヒートパイプ300は代表的なものであり、原寸に比例して描かれておらず、図示されているヒートパイプと比較して、形状、サイズ、又は形状及びサイズを変更することができる。加えて、上部シェル212も代表的なものであり、縮尺通りに描かれておらず、図示された上部シェルと比較して、形状、サイズ、又は形状及びサイズを変更することができる。上部シェル212は、図2に示され上述されたモジュール102の上部シェル112と同様に、プラガブルトランシーバモジュールのモジュールシェルの一部として利用され得る。
【0025】
上部シェル212は、金属又は金属合金として具現化されるか、又は金属又は金属合金から形成され得る。一例では、上部シェル212は、ダイカスト亜鉛、亜鉛合金、又は他の金属若しくは金属合金として具現化され得る。上部シェル212は、場合によっては、1つ以上の銅、ニッケル、又は他のめっき層などを用いて外面上にめっきすることができる。しかしながら、上部シェル212を形成する材料は限定されず、上部シェル212は、種々の材料、並びに鋳造、付加製造、除去製造、及び関連する製造技法から形成することができる。
【0026】
図6A及び図6Bを参照すると、上部シェル212は、上部シェル212の長手方向軸「L」に沿って長さ「L1」にわたって延びている。上部シェル212は、平坦な底部内面212Bを含む。底部内面212Bは、上部シェル212の頂部外面が延びる平面に平行な平面内に延びることができる。内面212Bは、長手方向軸「L」に沿って長さ「L3」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「W」にわたって延びている。内面212Bの長さ「L3」は、示される例では、上部シェル212の全長「L1」の半分を超えて延びている。内面212Bの長さ「L3」は、図6A及び図6Bに例として示されているが、内面212Bは、他の長さ、幅、及び関連する寸法に形成することができる。他の場合には、内面212Bの長さ「L3」は、上部シェル212の全長「L1」の35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%を超えて延びることができるが、より小さい及びより大きい「L」寸法を利用することができる。内面212Bの長さ「L3」は、好ましくは、以下に説明するように、比較的大きい凹状エリアを収容するために可能な限り長く形成することができる。
【0027】
上部シェル212は、凹状エリア220を含む。凹状エリア220は、深さ又は高さ方向において、底部内面212Bにおける開口部から凹状エリア220の底部凹状内面222まで延びている。一例では、上部シェル212の底部内面212B及び凹状エリア220の底部凹状内面222は両方とも、上部シェル212の頂部外面212Aと実質的に同一平面上にある。凹状エリア220は、凹状エリア220の対向する遠位端にテーパ状端部223及び224を含む。凹状エリア220は、長手方向軸「L」に沿って長さ「Lr」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「Wr」にわたって延びている。凹状エリア220の「Lr」、「Wr」、及び深さ寸法は、場合によっては、ヒートパイプ300を、凹状エリアとヒートパイプとの間のクリアランスを最小限に抑えて収容するように定寸することができる。他の場合には、上部シェル212は、以下に説明するように、ヒートパイプ300の1つ以上のインターロックレッジと連結し、インターロックレッジに機械的に干渉し得る。凹状エリア220の「Lr」寸法は、好ましくは、内面212Bの長さ「L3」の実質的な部分にわたって延びることができる。例として、「Lr」は、内面212Bの長さ「L3」の95%、90%、85%、又は80%にわたって延びることができるが、場合によっては、「Lr」をより小さくすることができる。
【0028】
図6Bに示すように、ヒートパイプ300は、凹状エリア220内に固定されている。ヒートパイプ300の底面302は、凹状エリア220内に固定されたときには、上部シェル212の底部内面212Bと実質的に同一平面上にある。ヒートパイプ300は、いくつかの異なる方法で上部シェル212の凹状エリア220内に固定することができる。例えば、ヒートパイプ300は、上部シェル212の凹状エリア220内に溶接又ははんだ付けされ得る。ヒートパイプ300はまた、例えば、銀焼結ダイアタッチ、又は別のダイアタッチ若しくは焼結ダイアタッチを用いて、上部シェルに焼結することができる。他の場合には、凹状エリア220の底部凹状内面222とヒートパイプ300との間に熱伝導性ペーストを位置決めすることができ、熱伝導性ペーストは、ヒートパイプ300を内面222に接着することができる。更に他の場合には、上部シェル212は、ダイカストモジュールシェルを含むことができ、ヒートパイプ300は、上部シェル212内のダイカストインサートとすることができる。
【0029】
プラグ接続可能トランシーバモジュールに組み立てられるとき、上部シェル212は、図4に示される半導体チップ122と同様の半導体チップの上に位置決めされ得る。図6Bに示される領域216は、上部シェル212がプラガブルトランシーバモジュールに組み立てられるときに、半導体チップの上又は上方に位置決めされるエリアを表す。図示のように、領域216は、上部シェル212の底部内面212B及びヒートパイプ300の底面302の両方にわたって延びている。これにより、半導体チップからヒートパイプ300に熱を伝達することができる。
【0030】
絶縁シート340はまた、場合によっては、上部シェル212の底部内面212B及びヒートパイプ300の底面302の少なくとも一部にわたって、かつその上に配置することができる。絶縁シート340は、他の利点の中でも、モジュール内の構成要素をヒートパイプ300による熱拡散から電気的及び熱的に隔離するのを助けることができる。絶縁シート340の形状及びサイズを変更することができるが、絶縁シート340は、領域216上を延びていない。
【0031】
図7は、本開示の様々な実施形態による、図6Bに示すヒートパイプ300を示す。ヒートパイプ300は、底面302と、頂面304と、側面306と、テーパ端部310及び312とを含む。ヒートパイプ300は、図示の例では、扁平なパイプ又はチューブの一種である。ヒートパイプ300は、長手方向軸「L」に沿って長さ「Lh」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「Wh」にわたって延びている。ヒートパイプ300はまた、深さ「Dh」を有する。ヒートパイプ300の例示的な寸法は、長さ40~100mm、幅4~10mm、深さ1.5~5mmの範囲とすることができる。1つの特定の例では、ヒートパイプ300は、長さ約70mm、幅約5.4mm、深さ約2mmとすることができるが、ヒートパイプ300は、他の寸法に形成することができる。
【0032】
ヒートパイプ300は、ヒートパイプ300内に囲い込まれた作動流体と適合性のある金属で作られた密封パイプ又はチューブとして具現化することができる。例として、ヒートパイプ300の密封パイプは、銅又はアルミニウムから形成することができるが、他の金属又は金属合金を使用することもできる。ヒートパイプ300内の作動流体は、ヒートパイプ300内の真空中の水、アンモニア、又は別の作動流体であり得る。密封パイプの内面に接触する作動流体は、密封パイプ内のより高温の内面から熱を吸収することによって蒸気に遷移することができる。次いで、蒸気は、ヒートパイプ300内においてより低温の内部界面又は表面領域に移動し、凝縮して液体に戻り、熱の伝達を促進することができる。次に、作動液体は、例えば、毛管作用によって高温界面に戻ることができる。沸騰及び凝縮についての熱伝達係数が比較的高いため、ヒートパイプ300は効果的な熱伝導体である。全体として、ヒートパイプ300は、上部シェル212単独よりも熱伝達においてより効果的かつ効率的である。
【0033】
図8は、図6Bに示される上部シェル212及びヒートパイプ300を含むケーブルアセンブリの断面図を示す。半導体チップ122とヒートパイプ300との間に熱パッド128が位置決めされ、ヒートパイプは上部シェル212内に凹状に配置されている。熱パッド128は、半導体チップ122からの熱「H」をヒートパイプ300に伝導する。場合によっては、熱パッド128を省略することができ、半導体チップ122の頂面をヒートパイプ300の底面に直接接触させることができる。あるいは、熱ペーストを半導体チップ122の頂面とヒートパイプ300との間に広げることができ、他の構成も実施形態の範囲内である。
【0034】
半導体チップ122は、電力を消費し、熱「H」を放散させる。熱は、熱パッド128を通して、ヒートパイプ300及び上部シェル212に伝導され、ヒートパイプ300及び上部シェル212を通して、ヒートシンク170の底面に伝導される。ヒートシンク170は、熱「H」を、上部シェル212からヒートシンクと上部シェルとの間の界面168に沿って引き出して放散させるように位置決めされている。しかしながら、図4に示される例と比較すると、ヒートパイプ300に起因して、上部シェル212は、上部シェル112よりも効果的に半導体チップ122からの熱を伝達する。ヒートパイプ300の熱伝導率は、上部シェル212(及び上部シェル112)よりも著しく高く、上部シェル212の全体の熱伝達係数は、上部シェル112の熱伝達係数よりも著しく大きい。加えて、ヒートパイプ300は、インターフェース168の長さの大部分に沿って延び、熱をより迅速かつ効果的にヒートシンク170に移動させるのを助ける。
【0035】
図9Aは、本開示の態様による、図6BにおいてII-IIで示された上部シェル212及びヒートパイプ300の断面図を示す。図示のように、ヒートパイプ300の底面302は、上部シェル212の底部内面212Bと実質的に同一平面上にある。加えて、上部シェル212の比較的小さな領域218のみが、凹状エリア220の底部凹状内面222と上部シェル212の頂部外面212Aとの間に残る。上部シェル212の領域218は、ヒートパイプ300からヒートシンク170への熱伝達を可能にするのに十分に小さくすることができる。しかしながら、領域218は、モジュールハウジングの寸法仕様を維持しながら、上部シェル212の構造的完全性を維持するのに十分な大きさであることが好ましい。したがって、ヒートパイプ300の深さ「Dh」(図7も参照)は、部分的に、領域218の最小厚さに基づいて制限又は決定され得る。
【0036】
図9Bは、本開示の態様による別の上部シェル213及びヒートパイプ300Bの断面図を示す。図示の例では、上部シェル213は、インターロックリッジ226及び227を含み、ヒートパイプ300Bは、インターロックレッジ314及び315を含む。上部シェル213のインターロックリッジ226及び227はそれぞれ、ヒートパイプ300のインターロックレッジ314及び315とインターロックし、インターロックレッジ314及び315に機械的に干渉する。図9Bに示す組み立て技術は、上部シェル213をダイカストモジュールシェルとして形成することによって達成することができる。ヒートパイプ300Bは、上部シェル213を形成するために使用される金属合金が金型内に流される前に、上部シェル213を形成するために使用される金型内に挿入され得る。図示の例では、ヒートパイプ300Bは、上部シェル213内のダイカストインサートの一種である。このインサート鋳造技術は、ヒートパイプ300Bと上部シェル213との間の自由空間を最小限に抑えることができ、またヒートパイプ300Bを固定することができる。
【0037】
図10Aは、本開示の様々な実施形態による別のケーブルアセンブリの上部シェル412の底面図を示し、図10Bは、蒸気チャンバ400を含む、図10Aに示される上部シェル412を示す。蒸気チャンバ400は、本明細書で説明する概念によるプラガブルトランシーバモジュールの上部シェルに組み込むことができるヒートスプレッダの一例である。蒸気チャンバ400は代表的なものであり、一定の縮尺で描かれておらず、図示された蒸気チャンバと比較して、形状、サイズ、又は形状及びサイズを変更することができる。加えて、上部シェル412も代表的なものであり、縮尺通りに描かれておらず、図示された上部シェルと比較して、形状、サイズ、又は形状及びサイズを変更することができる。上部シェル412は、図2に示され上述されたモジュール102の上部シェル112と同様に、プラガブルトランシーバモジュールのモジュールシェルの一部として利用され得る。
【0038】
上部シェル412は、金属又は金属合金として具現化されるか、又は金属又は金属合金から形成され得る。一例では、上部シェル412は、ダイカスト亜鉛、亜鉛合金、又は他の金属若しくは金属合金として具現化され得る。上部シェル412は、場合によっては、1つ以上の銅、ニッケル、又は他のめっき層などを用いて外面上にめっきすることができる。しかしながら、上部シェル412を形成する材料は限定されず、上部シェル412は、種々の材料、並びに鋳造、付加製造、除去製造、及び関連する製造技法から形成することができる。
【0039】
図10A及び図10Bを参照すると、上部シェル412は、上部シェル412の長手方向軸「L」に沿って長さ「L1」にわたって延びている。上部シェル412は、平坦な底部内面412Bを含む。底部内面412Bは、上部シェル412の頂部外面が延びる平面に平行な平面内に延びることができる。内面412Bは、長手方向軸「L」に沿って長さ「L4」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「W」にわたって延びている。内面412Bの長さ「L4」は、図示の例では、上部シェル412の全長「L1」の半分を超えて延びている。内面412Bの長さ「L4」は、図10A及び図10Bに例として示されているが、内面412Bは、他の長さ、幅、及び関連する寸法に形成することができる。他の場合には、内面412Bの長さ「L4」は、上部シェル412の全長「L1」の35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%を超えて延びることができるが、より小さい及びより大きい「L」寸法を利用することができる。内面412Bの長さ「L4」は、好ましくは、以下に説明するように、比較的大きい凹状エリアを収容するように、可能な限り長く形成することができる。
【0040】
上部シェル412は、凹状エリア420を含む。凹状エリア420は、深さ又は高さ方向において、底部内面412Bにおける開口部から凹状エリア420の底部凹状内面422まで延びている。凹状エリア420は、以下に説明するように、蒸気チャンバ400の位置決め及び固定を助けるために使用することができる凹部ノッチ424を含む。凹状エリア420は、長手方向軸「L」に沿って長さ「Lr1」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「Wr1」にわたって延びている。凹状エリア420の「Lr1」、「Wr1」、及び深さ寸法は、場合によっては、蒸気チャンバ400を、凹状エリアと蒸気チャンバとの間のクリアランスを最小限に抑えて収容するように定寸することができる。他の場合には、上部シェル412は、以下に説明するように、蒸気チャンバ400の1つ以上のインターロックレッジとインターロックし、それらのインターロックレッジに機械的に干渉し得る。凹状エリア420の「Lr1」寸法は、好ましくは、内面412Bの長さ「L4」の実質的な部分にわたって延びることができる。例として、「Lr1」は、内面412Bの長さ「L4」の95%、90%、85%、又は80%にわたって延びることができるが、場合によっては、「Lr1」をより小さくすることができる。
【0041】
図10Bに示すように、蒸気チャンバ400は、凹状エリア420内に固定されている。蒸気チャンバ400の底面402は、凹状エリア420内に固定されたときには、上部シェル412の底部内面412Bと実質的に同一平面上にある。蒸気チャンバ400は、いくつかの異なる方法で上部シェル412の凹状エリア420内に固定することができる。例えば、蒸気チャンバ400は、上部シェル412の凹状エリア420内に溶接又ははんだ付けされ得る。蒸気チャンバ400はまた、例えば、銀焼結ダイアタッチ、又は別のダイアタッチ若しくは焼結ダイアタッチを用いて、上部シェルに焼結することができる。他の場合には、凹状エリア420の底部凹状内面422と蒸気チャンバ400との間に熱伝導性ペーストを位置決めすることができ、熱伝導性ペーストは、蒸気チャンバ400を内面422に接着することができる。更に他の場合には、上部シェル412は、ダイカストモジュールシェルを含むことができ、蒸気チャンバ400は、上部シェル412内のダイカストインサートとすることができる。
【0042】
プラグ接続可能トランシーバモジュールに組み立てられるとき、上部シェル412は、図4に示される半導体チップ122と同様の半導体チップの上方に位置決めされ得る。図10Bに示される領域216は、上部シェル412がプラガブルトランシーバモジュールに組み立てられたときに、半導体チップの上又は上方に位置決めされるエリアを表す。図示のように、領域216は、蒸気チャンバ400の底面402の上に延びている。これにより、半導体チップから蒸気チャンバ400に熱を伝達することができる。
【0043】
場合によっては、絶縁シート340を、上部シェル412の底部内面412Bの少なくとも一部及び蒸気チャンバ400の底面402にわたって、かつその上に配置することもできる。絶縁シート340は、他の利点の中でも、モジュール内の構成要素を蒸気チャンバ400による熱拡散から電気的及び熱的に隔離するのを助けることができる。絶縁シート340の形状及びサイズを変更することができるが、絶縁シート340は、領域216上を延びていない。
【0044】
図11は、本開示の様々な実施形態による、図10Bに示される蒸気チャンバ400を示す。蒸気チャンバ400は、底面402、頂面404、及び側面406を含む。蒸気チャンバ400はまた、位置決め戻り止め425を含む。位置決め戻り止め425は、図10Bに示すように、蒸気チャンバ400を上部シェル412の凹状エリア420内に位置決めして固定するのを助けるために、凹状エリア420の凹部ノッチ424に適合することができる。
【0045】
蒸気チャンバ400は、長手方向軸「L」に沿って長さ「Lv」にわたって延び、長手方向軸「L」に対して垂直に測定された幅「Wv」にわたって延びている。蒸気チャンバ400は、深さ「Dv」も有する。蒸気チャンバ400の例示的な寸法は、長さ30~100mm、幅8~12mm、深さ1~3mmの範囲とすることができる。1つの特定の例では、蒸気チャンバ400は、長さ約35mm、幅約10mm、深さ約1mmとすることができるが、蒸気チャンバ400は、他の寸法に形成することができる。
【0046】
蒸気チャンバ400は、蒸気チャンバ400内に囲い込まれる作動流体と適合性のある金属の平面チャンバとして具現化することができる。例として、蒸気チャンバ400の密封チャンバは、銅又はアルミニウムから形成することができるが、他の金属又は金属合金を使用することもできる。蒸気チャンバ400内の作動流体は、蒸気チャンバ400内の真空中の水、アンモニア、又は別の作動流体とすることができる。密封チャンバの内面に接触する作動流体は、密封チャンバ内のより高温の内面から熱を吸収することによって蒸気に遷移することができる。次いで、蒸気は、蒸気チャンバ400内においてより冷たい内部界面又は表面領域に移動し、凝縮して液体に戻り、熱の伝達を促進することができる。次に、作動液体は、例えば、毛管作用によって高温界面に戻ることができる。沸騰及び凝縮の熱伝達係数が比較的高いため、蒸気チャンバ400は効果的な熱伝導体である。概して、蒸気チャンバ400は、上部シェル412単独よりも熱伝達においてより効果的かつ効率的である。
【0047】
図12は、図10Bに示される上部シェル412及び蒸気チャンバ400を含むケーブルアセンブリの断面図を示す。半導体チップ122と蒸気チャンバ400との間に熱パッド128が位置決めされ、蒸気チャンバは、上部シェル412内に凹状に配置されている。熱パッド128は、半導体チップ122から蒸気チャンバ400に熱「H」を伝導する。場合によっては、熱パッド128を省略することができ、半導体チップ122の頂面は、蒸気チャンバ400の底面に直接接触することができる。あるいは、熱ペーストを半導体チップ122の上面と蒸気チャンバ400との間に広げることができ、他の構成も本実施形態の範囲内である。
【0048】
半導体チップ122は電力を消費し、熱「H」を放散させる。熱は、熱パッド128を通して蒸気チャンバ400に伝導され、蒸気チャンバ400及び上部シェル412を通して、ヒートシンク170の底面に伝導される。ヒートシンク170は、熱「H」を、上部シェル412からヒートシンクと上部シェルとの間の界面168に沿って引き出して放散させるように位置決めされている。しかしながら、図4に示される例と比較すると、上部シェル412は、蒸気チャンバ400に起因して、上部シェル112よりも効果的に半導体チップ122からの熱を伝達する。蒸気チャンバ400の熱伝導率は、上部シェル412(及び上部シェル112)よりも著しく高く、上部シェル412の全体的な熱伝達係数は、上部シェル112の熱伝達係数よりも著しく大きい。加えて、蒸気チャンバ400は、インターフェース168の長さの大部分に沿って延び、熱をより迅速かつ効果的にヒートシンク170に移動させるのを助ける。
【0049】
図13Aは、本開示の態様による、図10BにおいてIII-IIIで示された上部シェル412及び蒸気チャンバ400の断面図を示す。図示のように、蒸気チャンバ400の底面402は、上部シェル412の底部内面412Bと実質的に同一平面上にある。図13Bは、本開示の他の態様による別の上部シェル413及び蒸気チャンバ400Bの断面図を示す。図示の例では、上部シェル413は、インターロックリッジ426及び427を含み、蒸気チャンバ400Bは、インターロックレッジ414及び415を含む。上部シェル413のインターロックリッジ426及び427はそれぞれ、蒸気チャンバ400Bのインターロックレッジ414及び415とインターロックし、インターロックレッジ414及び415に機械的に干渉する。図13Bに示す組み立て技術は、上部シェル413をダイカストモジュールシェルとして形成することによって達成することができる。蒸気チャンバ400Bは、上部シェル413を形成するために使用される金属合金が金型内に流される前に、上部シェル413を形成するために使用される金型内に挿入され得る。図示の例では、蒸気チャンバ400Bは、上部シェル413内のダイカストインサートの一種である。このインサート鋳造技術は、蒸気チャンバ400Bと上部シェル413との間の自由空間を最小限に抑えることができ、また蒸気チャンバ400Bを固定することができる。
【0050】
「頂部」、「底部」、「側部」、「前部」、「後部」、「右」、及び「左」などの用語は、絶対的な基準系を提供することを意図していない。むしろ、これらの用語は相対的なものであり、本明細書に記載される構造の向きが変更され得るので、特定の特徴を互いに対して特定することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including )」、「有する(having)」などの用語は同義であり、オープンエンド方式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを除外しない。また、「又は」という用語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味で使用され、したがって、例えば、要素のリストを接続するために使用されるとき、「又は」という用語は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味する。
【0051】
「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」又は「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」などの組み合わせ言語は、概して、別段の指示がない限り、X及びXのみ、Y及びYのみ、並びにZ及びZのみ、XとY、XとZ、並びにYとZの組み合わせ、並びにX、Y、及びZの全てなど、それらのうちの1つ、任意の2つの組み合わせ、又は3つ全て(又はより大きい群が識別される場合は4つ以上)を識別するために使用される。かかる組み合わせ言語は、概して、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つを識別するか、又はこれらが含まれることを必要とすることを意図するものではなく、かつ指定されていない限り、これらを識別しないか、又はこれらが含まれることを必要としない。
【0052】
「約」及び「実質的に」という用語は、特定の範囲、パーセンテージ、又は関連する偏差の測定基準と関連付けられるように本明細書において別段に定義されない限り、American Society of Mechanical Engineers(ASME(登録商標))Y14.5に記載された幾何学的寸法及び公差基準、及び関連するInternational Organization for Standardization(ISO(登録商標))の標準などの、理論的設計と製造された製品又はアセンブリとの間の少なくともいくつかの製造公差を説明する。当業者が了解するように、幾何学的「垂直」、「直交」、「頂点」、「同一線上」、「同一平面上」、及び他の用語などの理論的用語の使用に関連する場合にも、「約」、「実質的に」、又は関連する用語は明示的に参照されないが、そのような製造公差は依然として想定される。
【0053】
本開示の上述の実施形態は、本開示の原理を明確に理解するための実装形態の例にすぎない。本開示の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができる。加えて、一実施形態に関して説明される構成要素及び特徴は、別の実施形態に含まれ得る。全てのそのような修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B