(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081631
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】三次元印刷された器官、デバイス、およびマトリックス
(51)【国際特許分類】
C12P 21/08 20060101AFI20240611BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240611BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240611BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240611BHJP
C12N 11/04 20060101ALN20240611BHJP
C12N 5/0781 20100101ALN20240611BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240611BHJP
C12N 5/0784 20100101ALN20240611BHJP
【FI】
C12P21/08
C07K16/00
C12P21/02 Z
C12P21/02 C
C12M1/00 A
C12N11/04
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N5/0784
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006987
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2019561143の分割
【原出願日】2018-05-24
(31)【優先権主張番号】62/511,205
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/511,275
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/556,242
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】519327412
【氏名又は名称】プレリス バイオロジクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マテウ,メラニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン,キャサリン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モールトン,エマ アール.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B033
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA09
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC03
4B029CC05
4B029CC08
4B029CC10
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4B033NA16
4B033NB58
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4B033NC07
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4B065AA92X
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4B065BC46
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4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】免疫タンパク質を産生する方法を提供する。
【解決手段】1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;(b)(i)前記複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)前記1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)リンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ内の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(c)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも前記一部を晒す工程を含む。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法であって、前記方法は:
(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;
(b)(i)前記複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)前記1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)リンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ内の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(c)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも前記一部を晒す工程を含む、
方法。
【請求項2】
(c)において、前記条件は、前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法はさらに、
(d)前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の細胞は被験体からのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部の前記ポリマーはネットワークを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ネットワークは、細網状、アモルファス、またはネットである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アモルファスネットワークは、細胞のニッチ間の、または、細胞のニッチ内での移動を促すように設計される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法であって、(i)複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)前記1つ以上の免疫タンパク質を産生するため前記3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む、方法。
【請求項14】
前記免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法であって、前記方法は:
(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、前記第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;
(b)三次元(3D)リンパ系オルガノイドの第1の部分を形成するべく前記培地チャンバにおける前記第1の培地の少なくとも一部をさらすために、コンピュータメモリにおける前記3Dリンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバにおける前記第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(c)前記培地チャンバにおける第2の培地を提供する工程であって、前記第2の培地は第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み、前記第2の複数の細胞は前記第1の複数の細胞とは異なるタイプである、工程と;
(d)前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく前記培地チャンバにおける前記第2の培地の一部をさらすために、前記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバにおける前記第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(e)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記第1の部分と前記第2の部分を晒す工程を含む、方法。
【請求項19】
(e)において、前記条件は、前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記第1の部分と前記第2の部分を、抗原に晒すことを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法はさらに、
(f)前記3Dリンパ系オルガノイドの前記第1の部分と前記第2の部分から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は被験体からのものである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部のポリマーはネットワークを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記ネットワークは、細網状、アモルファス、またはネットである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アモルファスネットワークは、細胞のニッチ間の、または、細胞のニッチ内での移動を促すように設計される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法であって、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)前記1つ以上の免疫タンパク質を産生するために前記3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む、方法。
【請求項31】
前記免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用するための方法であって、前記方法は:
(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;
(b)(i)前記複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)前記1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)細胞含有マトリックスの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける前記3Dの細胞含有医療デバイスを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ中の前記培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(c)被験体中に前記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む、
方法。
【請求項36】
前記複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法であって、(i)複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程と、(ii)被験体中で前記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む、方法。
【請求項44】
前記複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用するための方法であって、前記方法は:
(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、前記第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;
(b)前記3D細胞含有マトリックスの第1の部分を形成するべく前記培地チャンバ内の前記第1の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータメモリ中の前記3D細胞含有マトリックスを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ内の前記第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(c)前記培地チャンバにおける第2の培地を提供する工程であって、前記第2の培地は第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み、前記第2の複数の細胞は前記第1の複数の細胞とは異なるタイプである、工程と;
(d)前記3D細胞含有マトリックスの少なくとも第2の部分を形成するべく前記培地チャンバにおける前記第2の培地の一部をさらすために、前記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバにおける前記第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;
(e)被験体中で前記3D細胞含有マトリックスの前記第1の部分と前記第2の部分を位置づける工程を含む、方法。
【請求項52】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法であって、前記方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程であって、前記第1の複数の細胞が前記第2の複数の細胞とは異なる、工程と、(ii)被験体中で前記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む、方法。
【請求項60】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は前記被験体からのものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の複数の細胞と前記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムであって、前記システムは:
(a)複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバ;
(b)前記培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、
(c)前記少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、前記1つ以上のコンピュータプロセッサは、
(i)コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;
(ii)前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく前記ポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、前記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ中の前記培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように前記少なくとも1つのエネルギー源を向け;および、
(iii)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも前記一部を晒す;ように個々にあるいはまとめてプログラムされる、システム。
【請求項68】
前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムであって、前記システムは:
(a)第1の複数の細胞と第1の複数のポリマー前駆体を含む第1の培地を含むように構成された培地チャンバ;
(b)前記培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、
、(c)前記少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、前記1つ以上のコンピュータプロセッサは、
(i)コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;
(ii)前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく前記第1の複数のポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、前記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ中の前記培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように前記少なくとも1つのエネルギー源を向け;
(iii)前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく前記培地チャンバ中の前記第2の培地の少なくとも一部を晒すために、前記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って前記培地チャンバ中の第2の培地へ前記少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けることであって、前記第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、前記第2の複数の細胞が前記第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである、こと;
(iv)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記第1の部分と前記第2の部分を晒すこと、を行うように個々にあるいはまとめてプログラムされる、システム。
【請求項70】
前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記第1の部分と前記第2の部分を、抗原に晒すことを含む、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
ヒト免疫タンパク質の集団を産生する方法であって、前記方法は:
(a)三次元リンパ系オルガノイドをバイオプリントするために多光子レーザーバイオプリンティングシステムを使用する工程;
(b)ヒト免疫タンパク質の前記集団の産生を刺激するために前記三次元リンパ系オルガノイドを抗原に晒す工程;および、
(c)前記三次元リンパ系オルガノイドからヒト免疫タンパク質の集団を抽出する工程を含む、方法。
【請求項72】
ヒト免疫タンパク質の集団を産生する方法であって、前記方法は:
(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を提供する工程と;
(b)基質上に前記培地の少なくとも1つの層を堆積させる工程と;
(c)(i)前記複数の細胞の少なくとも部分集合と、(ii)前記1つ以上のポリマー前駆体から形成されたバイオゲルとを含む前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、前記培地の少なくとも1つの層をエネルギー源に晒す工程と;
(d)前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、前記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも前記一部を晒す工程を含む、方法。
【請求項73】
(c)において、前記条件は、前記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記方法はさらに、
(d)前記3Dリンパ系オルガノイドの前記少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記複数の細胞は被験体からのものである、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項79】
前記培地は、光重合開始剤、架橋剤、コラーゲン、ヒアルロン酸および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項80】
前記エネルギー源は、レーザー、熱源、光源、あるいはこれらの任意の組み合わせである、請求項72に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/511,205号、2017年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/511,275号、および、2017年9月8日に出願された米国仮特許出願第62/556,242号の利益を主張するものであり、これらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
細胞生物学、マイクロ流体工学、工学、および三次元印刷の分野における著しい進歩にもかかわらず、従来の手法は、現在に至るまで、ヒトの臓器を構築するのに必要な厚い組織を供給かつ支持する機能性キャピラリーを再生成することができなかった。現在まで、組織工学におけるこのような手法は、恒久的な血管新生を達成するために組織工学デバイスへの血管の内部成長に依存している。この戦略は、膀胱壁置換などの非常に薄い組織、または、機能に脈管構造を必要としない骨置換などの組織である、一部の組織では機能している。しかし、現在の組織工学技術は、肝臓、腎臓、厚皮、および心臓を含む大型の重要な臓器などの複合組織の作成には至っていない。大型の組織は、小さめの組織サブユニットの組織化と考えられることもあり;例えば、腎臓は数十万のネフロンユニットで構成され、肺の機能ユニット、すなわち、肺胞腔は、70~80平方メートル(m2)の組み合わせた表面積を有しているが、1つの細胞壁、すなわち、5~10マイクロメートル(μm)の厚みしかない。現行の組織印刷方法は、300マイクロメートル(μm)よりも厚い組織を支持するのに必要な細かい微小血管系を再生成できないだけでなく、臓器機能に必要な構造的配向およびニッチへと細胞を組織化することもできない。
【0003】
抗体は、免疫応答中にB細胞によって産生・分泌されたタンパク質である。抗体は潜在的な感染因子に対する高い結合特異性と親和性を備えることもあり、ゆえに、これを用いて、他のタンパク質、ウイルス、細菌、化学物質-タンパク質の組み合わせ、または炭水化物分子に結合、および、これらを単離、中和、あるいはこれらの効果を改変することもある。これにより、抗体は、病原体からの保護、および、感染性またはそうでなければ病理学的な因子またはタンパク質の単離または中和において、貴重なタンパク質となる。加えて、抗体を用いて、他のタンパク質間相互作用の破壊あるいは増強のいずれかによる修飾によって、食作用のオプソニン作用によって、免疫応答を再配向して、免疫認識と病原性または病理学的な因子の破壊の可能性を大幅に増大させることもある。
【0004】
B細胞が高親和性または高アビディティ抗体を産生するためには、親和性成熟と呼ばれる複数工程プロセスが必要とされる。親和性成熟中に、B細胞受容体(BCR)に遺伝学的な変化が現われる。こうした遺伝学的な変化の後に、予測とチェック(guess-and-check)の、進化のようなプロセスが生じる。これは、高い結合強度が補助細胞とのより多くの接触をもたらし、陽性の生存シグナルを与える、競合的なプロセスである。補助細胞としては、限定されないが、以下が挙げられる:T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞など。ヌルBCR再構成は、親和性成熟のプロセスを終了させ、それは、追加の正のフィードバックを提供することができるそれ自体のBCRの抗原または架橋結合を示す補助細胞から、生存シグナルをもはや受け取らない。したがって、高親和性のBCR再構成と突然変異は、B細胞の正のフィードバックを与え、B細胞分裂、より多くの受容体再構成、およびより多くの突然変異を促し、その一方で、低親和性のBCR再構成は細胞死またはアネルギーを引き起こすこともある。この試行錯誤順での数ラウンドの選択後、高親和性B細胞は差別的に生き残り、形質細胞へと移行する。形質細胞は血流で循環して大量の抗体を分泌することで、免疫応答を促進する。親和性成熟はほとんど、数日間にわたってリンパ節器官で生じる。
【0005】
リンパ節は、網状のネットワーク内の免疫細胞、主としてB細胞、T細胞、および濾胞樹状細胞(FDC)の大きな集合物からなる。リンパ節は、細胞の互いに対する近接度を増大させることによって完全なスケールでの免疫応答に必要とされる広範囲の細胞間の相互作用を可能にする。B細胞受容体再構成は補助細胞の第2の生存シグナルにより支持される。これらの近接度に基づく細胞間相互作用は、リンパ節内で見られる特定の三次元(3D)時空間配置を要求するか、あるいはこの特定の三次元(3D)時空間配置によって大幅に改善される。
【0006】
細胞の三次元細胞運動と時空間配置は、外部または内部の刺激の細胞分化と細胞応答を含む、複数の細胞ベースのプロセスにとって必要不可欠である。B細胞の親和性成熟中に、物理的に関与する免疫細胞は、
図16に示されるように、リンパ節を、分割B細胞(すなわち暗領域)、無分裂B細胞(すなわち、明領域)、および支持的な補助細胞を含む領域に分ける。免疫細胞の区画化とその後の活性化中の再構成は、高親和性抗体の適切な発達に関するこの組織化への依存を示す。B細胞は、親和性成熟の間、
図17に示されるように、他の細胞やコラーゲンネットワークをゆっくりと動きながらリンパ節の区画間を移動する。本開示は、有限細胞区画を有する他の細胞型を含むリンパ器官またはオルガノイドが、限定されないが抗体の生成を含む目的のために作製され得るように、1ミリメートル、1ミクロン、または1サブミクロン分解能での細胞含有コラーゲンネットワークの非毒性の印刷プロセスについて記載している。
【0007】
抗原負荷あるいはオルガノイドの予防接種後のデノボの合成組織中の抗原特異的抗体の発達は、機能的な細胞間相互作用と、数日間、数週間、数か月間にわたって複雑な細胞間相互作用を支持することができる機能的な反応組織とを示す。
【0008】
抗体は、標的に、中和、癌、自己免疫疾患、および、感染症を含む多くの疾患に関連する生物学的因子の標的化、中和、および/または、オプソニン化における高い効果と万能性ゆえに、治療目的に活用されている。しかしながら、治療用途または研究用途のための抗体の発見と産生のための現在の方法は、時間がかかるうえに高価である。抗体産生の標準的な方法は、免疫応答を示した後にB細胞を収集するために、抗原を注入されて放血された動物、しばしばマウスまたは他のげっ歯類、ウサギ、トリ、ウマ、またはヒト以外の霊長類の使用を必要とする。(例えば、治療目的のために)ヒト標的に対する使用を意図してこの方法によって産生された抗体はさらに面倒なヒト化工程を必要としており、これは、ヒトに対する安全性または有効性を保証することなく、標的の結合親和性を変えることもある。ファージディスプレーなどの他の方法は、あらかじめ定められた抗体ライブラリ、または、所望のタンパク質の複数の選択方法と結び付いた配列のセットを使用する。多くの場合、これらのライブラリは固有の配列または高親和性配列をもたらさない。さらに、タンパク質のあらかじめ定められた群として、それらは、新規な感染因子に対応する能力をもたらさないこともある。我々の技術は、(a)抗体発見のための動物モデルに依存していること、および(b)ヒトに由来するハイスループットモデルを使用して、高親和性の固有の抗体を産生する能力がないことの両方の問題を解決する。
【0009】
記載された方法は、限定されないが、任意の波長の 白色光、青色光、緑色光、および、任意の波長の単一光子または複数光子のレーザー源を含む、光源の使用を含んでいる。光は二次元または三次元で投影されてもよい。
【0010】
二次元(2D)投影は、物質の重合が望ましい特定の領域にのみ置かれた光を有する、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)あるいは空間光変調器(SLM)を用いて単一の軸面の二次元投影によって達成される。
【0011】
三次元投影は、使用時、参照により本明細書に組み込まれる、一般的に発明されたMULTI-PHOTON TISSUE PRINTINGという表題の米国仮特許出願第62/469,948号に開示されるように、直列の2つの光調節システムの使用を介して光のホログラフィック投影によって達成されることもある。生体材料の重合は、細胞足場のための材料のバイオ印刷での使用について記載・実施されてきた。本明細書に記載された方法は、重合が生じる際に細胞をカプセル化するための重合性材料を含む浴槽へと光源を投影する工程を含む。比較して、代替的な培地内重合ベースの組織工学アプローチは、後に細胞を播種され得る3D足場を生成するために光の投影を用いる。播種よりもむしろ重合工程の間に細胞をカプセル化することは、細胞を置く精度を増大させ;重合空間内で達成され得る分解能は、標準的な単一光子光源ではなく二光子光源を使用することによりさらに増大する。重合を引き起こすための二光子光源の使用は、細胞に対する光の毒性を排除するか大幅に減少させ、かつ、細胞の生存率と増殖を改善するために印刷の速度を上げる。多光子と単光子のレーザー方法は、到達可能な分解能と、大きなまたは複雑な構造を印刷可能な速度の観点から、押出印刷よりも優れている。代替的に、長い波長の光子は細胞に対する損傷を減らすために使用されることもあれば、および/または、さほど強くない光あるいは短い光曝露が使用されることもある。さらに、所望の重合パターンでの光源のホログラフィック投影による三次元での同時印刷は、印刷時間を大幅に減少させ、光曝露あるいはインキュベータの外側での時間の結果、細胞に対するストレスも減少させる。
【0012】
創傷閉鎖、ステントなどでの傷あて、癒合、骨と皮膚を含む組織の融合のため最も一般的に使用されている医療デバイスは、生物学的に不活性な材料から作製される。これらの材料の多くは経時的に溶けることもあるが、その多くが手術後、長年にわたって永続的な特徴のまま残ることもあれば、合併症を誘発したり、あるいは。治癒プロセスを妨害したりすることもある。
【0013】
外科的な創傷閉鎖または組織修復のために使用される複数の高度な材料および医療デバイスは、創傷の治癒または閉塞に有益であり得る幹細胞または他の細胞型を導入するために、三次元押出印刷後に細胞播種される。しかしながら、生物学的に不活性な材料への細胞播種では、細胞の生存率が低く、生存プロファイルも低いため、有益な細胞の送達は不完全である。
【0014】
組織の治癒または機能の改善を促すための組織移植片はしばしば、酸素、栄養素、および廃棄物について200-300マイクロメートルの拡散限界に違反しない細胞懸濁液注射液または小型デバイスの形態であるか、ほとんどの場合細胞を含まない。さらに、組織移植片は、印刷材料を改造して、かつ、印刷された材料内部で成長することができる、適当な位置で印刷された細胞を含まず、移植片環境に組み込まれ得る機能的な組織挿入物の発達を著しく妨害するものである。
【0015】
改造可能である細胞を含む医療デバイスの操作、および、埋め込みデバイス内での成長は、印刷解像度、押出印刷で使用され得る構造的に弾性の生体材料が欠けていること、高分解能押出印刷の細胞毒性、および印刷後に3D印刷医療デバイスに細胞を導入するための技術によって制限されている。加えて、高複雑度デバイスの三次元押出印刷は遅く、単一の印刷サイクルを完了するためにしばしば数時間または数日間かかる。これにより、オンデマンドの細胞含有デバイスの製造とスケールアップを成し遂げることは困難である。
【0016】
本開示は、細胞を含有する構造および材料をバイオプリントする目的で光波面成形と呼ばれる技術を駆使してホログラフィー光投影によって可能となった三次元リソグラフィーの開発と使用について記載している。細胞を含有する構造および材料は、完全に生体適合性である一方で、引っ張り強さ、せん断および圧縮力抵抗、圧縮性、あるいは手術手技、特異化、天然の組織および臓器構造との適合性を可能にする他の特性などの構造的特性を維持するために具体的に設計される。生体材料の硬化あるいは重合は、三次元空間の特定の時点で印刷材料による光またはレーザーの相互作用によって開始されてもよい。印刷材料は、モノマーである生体材料と、非細胞毒性であるが光または特定の波長の光に反応するドープ剤または作動剤との両方を含む。埋め込まれた細胞あるいは閉じ込められた細胞を含有して印刷された生体適合性デバイスまたは構造は、限定されないが、組織機能の回復、または増強、または交換などの目的で、所望の部位に細胞を送達するために用いられる埋め込みデバイスのリモデリングおよび分解または吸収を可能にする。
【発明の概要】
【0017】
一態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法を提供し、該方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;(b)(i)複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)リンパ系オルガノイド(lymphoid organoid)の少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;および、(c)1つ以上免疫のタンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す工程を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、該条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、(d)3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ(thymic-like development niches)、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部の高分子がネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0019】
他の態様では、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法を提供し、上記方法は、(i)複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)1つ以上の免疫タンパク質を産生するために3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。別の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法を提供し、該方法は:(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;(b)3Dリンパ系オルガノイドの第1の部分を形成するべく培地チャンバ内の第1の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータメモリ中の三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(c)培地チャンバ内に第2の培地を提供する工程であって、第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである、工程と;(d)3Dリンパ系オルガノイドの第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地に少なくとも2つのエネルギービームを向ける工程と;(e)1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分を晒す工程を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、該条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、(f)3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤から選択される。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部の高分子がネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0022】
他の態様では、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法を提供し、上記方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)1つ以上の免疫タンパク質を産生するために3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。
【0023】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)の細胞含有マトリックスを使用するための方法を提供し、上記方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;(b)(i)複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)の細胞含有マトリックスの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3D細胞含有医療デバイスを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;および、(c)被験体中に3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0025】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法を提供し、上記方法は、(i)複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程と、(ii)被験体中で3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0027】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)の細胞含有マトリックスを使用するための方法を提供し、上記方法は:(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;(b)3D細胞含有マトリックスの第1の部分を形成するべく培地チャンバ内の第1の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータメモリ中の3D細胞含有マトリックスを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(c)培地チャンバ内に第2の培地を提供する工程であって、第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである、工程と;(d)3D細胞含有マトリックスの第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地に少なくとも2つのエネルギービームを向ける工程と;(e)被験体中で3D細胞含有マトリックスの第1と第2の部分を位置づける工程を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0029】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法を提供し、上記方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程であって、第1の複数の細胞が第2の複数の細胞とは異なる、工程と、(ii)被験体中で3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0031】
別の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは:(a)複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバ;(b)培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、(c)少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリの三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;(ii)3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向け;および、(iii)1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す;ように個別にあるいはまとめてプログラムされる。
【0032】
いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む。
【0033】
別の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは:(a)第1の複数の細胞と第1の複数のポリマー前駆体を含む第1の培地を含むように構成された培地チャンバ;(b)培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、(c)少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、ここで、1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取る;(ii)3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく第1のポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第1の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向ける;(iii)3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けることであって、第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである、こと;および、(iv)1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分を晒すことを行うように個別にあるいはまとめてプログラムされる。
【0034】
いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第1と第2の部分を、抗原に晒すことを含む。
【0035】
別の態様において、本開示は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供し、該方法は:三次元リンパ系オルガノイドをバイオプリントするために多光子レーザーバイオプリンティングシステムを使用する工程と;ヒト免疫タンパク質の集団の産生を刺激するために三次元リンパ系オルガノイドを抗原に晒す工程と;および、三次元リンパ系オルガノイドからヒト免疫タンパク質の集団を抽出する工程を含む。
【0036】
別の態様において、本開示は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供し、該方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を提供する工程と;(b)基質上に培地の少なくとも1つの層を堆積させる工程と;(c)(i)複数の細胞の少なくとも部分集合と、(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたバイオゲルとを含む3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、培地の少なくとも1つの層をエネルギー源に晒す工程と;および、(d)1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す工程を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、該条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、(d)3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、培地は、光重合開始剤、架橋剤、コラーゲン、ヒアルロン酸および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、エネルギー源は、レーザー、熱源、光源、あるいはこれらの任意の組み合わせである。
【0038】
本開示は、多光子励起源の空間的光変調を使用した細胞含有構造の血管組織の急速な生成のための方法およびシステムを提供する。いくつかの実施形態において、細胞含有構造は、多層の血管組織、細胞含有デバイス、あるいは細胞含有材料であってもよい。この手法を使用して、細胞含有構造の急速な作成のための方法は、微小血管系などの機械的および/または生物学的な要素が埋め込まれた、細胞のサイズに特異的なネットを層にすることによって提供される。コラーゲン、または別の生物適合可能なあるいは不活性の物質のネットに含まれる細胞の堆積は、三次元(ホログラフィック)投影、二次元投影に基づき、および/またはx、y、x、z、あるいはy、zなどの平面軸における、急速で反復的なプロセスであり、多光子レーザー励起のスキャンと組み合わせてもよい。三次元スキャン、二次元スキャン、およびラスタースキャンは、完全な構造の急速な作成を達成するために様々な組み合わせで同時に使用されてもよい。レーザー投影のモード間での動的な推移は、大きな視野で複雑な構造の急速な作成を可能にしつつ、マイクロメートル~ナノメートルの微細な分解能を維持する。この方法は、大きな(例えば、最大約5センチメートル(cm))の多層並びに小さな脈管構造(例えば、1-10マイクロメートル(μm))の単細胞層の脈管構造の、急速な生成を可能にする。
【0039】
本開示は、複数の細胞型、サイズ、または複雑性によっては限定されない手法で組織が構築され得るように、二次元および/または三次元で複数の細胞型の層状化を可能にする。場合によっては、これは、例えば、レーザーによって提供され得るように、多光子(例えば二光子)の励起光を使用して達成される。
【0040】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行に際し、上記または本明細書のどこかに記載の方法のいずれかを実行する、機械実行可能コードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0041】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサ、およびそれに接続されたコンピュータメモリを含む、システムを提供する。コンピュータメモリは、1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行に際し、上記または本明細書のどこかに記載の方法のいずれかを実行する、機械実行可能コードを含む。
【0042】
本開示の別の態様は、白色光、単一光子励起、あるいは二次元の連続する面あるいは三次元ホログラムで投影された多光子レーザー励起を使用して、フォトリソグラフィによってリンパ器官とオルガノイドの生成をもたらす。リンパ節の器官とオルガノイドは、コラーゲンあるいは他の生体適合性材料から印刷されてもよい。活性の反応性の合成のヒト免疫組織は本明細書に開示される方法によって生成されてもよい。免疫学的反応性組織は本明細書に開示される方法によって生成されてもよい。本明細書に開示される方法によって生成された合成の免疫学的反応性組織は、生物個体の新規な生成物とクエリ免疫応答を開発するために使用されることがある。このアプローチを使用して、新規の抗体を迅速に生成するための方法は、最適な抗原にリンパ器官を晒すことと、抗体クローン選択と拡張の生理学的なプロセスを生じさせることによって提供される。本明細書に開示される方法によって生成された合成の免疫学的反応性組織は、96ウェルプレートの単一のセットでの抗体産生のために数百の動物あるいはヒトの代替物を置き換えて、1回の献血から新規な抗体を作製するために使用されてもよい。本明細書に開示された方法によって産生された合成の免疫学的反応性の組織は、ハイスループットな手法で免疫システム反応の抗体ライブラリまたはクエリーを生成する。本明細書に開示された方法によって産生された合成オルガノイドは、生物学的および/または非生物学的な薬物化合物または薬物の組み合わせを薬学的に試験することがある。
【0043】
本開示の他の態様は、医療目的に対して、多様な細胞含有デバイスまたは材料を作製する方法を提供する。限定されないが、外科的な創傷閉鎖および組織修復を含む、多光子あるいは単光子あるいは白色光リソグラフィーにより三次元印刷される。デバイスおよび材料は、縫合糸、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、ねじ、および、生きている被験体での使用を意図された同様の構造類似構造を含んでもよい。こうしたデバイスおよび材料は、生きている被験体に、幹細胞を含む細胞を送達することを可能にし、潜在的には、創傷治癒および/または組織修復を促進するか、あるいは、所望のやりかたで使用部位の細胞組成物を改変する。
【0044】
本開示の別の態様は、生きている被験体の自然発生の機能を補足するために、天然の器官およびオルガノイドの機能を複製する機能を含む所望の生理機能を備えた、多光子三次元印刷された細胞含有デバイスあるいは構造の移植のための方法を提供する。この反復では、デバイスは、細胞の送達、あるいは、天然の構造あるいは機能の再生を意図していないが、天然の機能と組み合わせて、機能を増強するか支援するにせよ、あるいは天然の組織機能の独立的な置き換えを作動させるにせよ、むしろそれ自体で組織の天然の機能を繰り返すことを目的としている。
【0045】
本開示のさらなる態様および利点は、以下の詳細な記載から当業者に容易に明白となり、ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、記載されている。実現されるように、本開示は、他のおよび異なる実施形態においても可能であり、その様々な詳細は、全てが本開示から逸脱することなく、様々な明白な点において改変することができる。従って、図面と記載は事実上例示的とみなされ、限定的とは見なされない。
【0046】
引用による組み込み
本明細書で挙げられる全ての出版物、特許、および特許出願は、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【
図1】所望の組織の急速な多光子印刷のためのシステムの実施形態を例証する。
【
図2A】培地チャンバ内の所望の組織の生成のステージの例を例証する。
図2Aは、第1の細胞群を含む培地を含有している培地チャンバを例証する。
【
図2B】培地チャンバ内の所望の組織の生成のステージの例を例証する。
図2Bは、第2の細胞群を含む培地を含有している培地チャンバを例証する。
【
図2C】培地チャンバ内の所望の組織の生成のステージの例を例証する。
図2Cは、培地への多光子レーザービームのパルスの送達を例証する。
【
図2D】培地チャンバ内の所望の組織の生成のステージの例を例証する。
図2Dは、細胞を含有する足場が培地を含む培地チャンバの底部に沿って印刷される実施形態を例証する。
【
図3A】レーザーシステムの様々な実施形態を例証する。
図3Aは、単一の多光子レーザー源を持つレーザーシステムの実施形態を例証する。
【
図3B】レーザーシステムの様々な実施形態を例証する。
図3Bは、多数のレーザーラインを持つレーザーシステムの実施形態を例証する。
【
図3C】レーザーシステムの様々な実施形態を例証する。
図3Cは、多数のレーザーライン、光電子増倍管(PMT)、および対物レンズを含むレーザーシステムの実施形態を例証する。
【
図4A】印刷システムの様々な実施形態を例証する。
図4Aは、ビームエクスパンダ、光集束レンズ、付加的なレーザー集束レンズを含み、およびアキシコンレンズあるいはTAGレンズを含まない、印刷システムの実施形態を例証する。
【
図4B】印刷システムの様々な実施形態を例証する。
図4Bは、ビームエクスパンダ、光集束レンズ、付加的なレーザー集束レンズ、およびアキシコンレンズあるいはTAGレンズを含む、印刷システムの実施形態を例証する。
【
図4C】印刷システムの様々な実施形態を例証する。
図4Cは、周辺の細胞、および与えられたZ工程により印刷された結果として生じる構造を印刷するための、2D、x、yシート、またはホログラム投影に対する単一のSLMまたはDMDを含むZ工程投影印刷設定を例証する。
【
図5A】多光子組織印刷ヘッドの様々な実施形態を例証する。
図5Aは、単一の直立した対物レンズを含む多光子組織印刷ヘッドの実施形態を例証する。
【
図5B】多光子組織印刷ヘッドの様々な実施形態を例証する。
図5Bは、構造を画像化するためにオプティックスを逆にした多光子組織印刷ヘッドの実施形態を例証する。
【
図6A】着脱自在の光ファイバーケーブルアクセサリの実施形態を例証する。
図6Aは、光ファイバーケーブルアクセサリおよび光ファイバケーブルを例証する。
【
図6B】着脱自在の光ファイバーケーブルアクセサリの実施形態を例証する。
図6Bは、所望の複合組織構造を印刷するために使用されている光ファイバーケーブルアクセサリを例証する。
【
図7】印刷ヘッドオプティックスが少なくとも3つの対物レンズを含む実施形態を例示し、各対物レンズは単一の培地チャンバへと配向された光ファイバーケーブルアクセサリを含む。
【
図8】印刷ヘッドオプティックスが少なくとも6つの対物レンズを含む実施形態を例示し、各対物レンズは、マルチウェルプレートの別のウェルなどの別の培地チャンバへと配向された光ファイバーケーブルアクセサリを含む。
【
図9】印刷ヘッドとして作用する一連の対物レンズを持つ印刷ヘッドオプティックスの実施形態を例証する。
【
図10】レーザービーム投影を各ウェルに送達するためにXおよびYの方向にマルチウェルプレート上を移動するようにプログラムされた対物レンズを例証する。
【
図11】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムまたは構成されるコンピュータ制御システムを示す。
【
図12】時間的集束(temporal focusing)のない印刷システムの実施形態の光学コンポーネントおよび光学経路を例証する。
【
図13】時間的集束を含む印刷システムの追加の実施形態の光学コンポーネントおよび光学経路を例証する。
【
図14】時間的集束のない印刷システムのまた別の実施形態の光学コンポーネントおよび光学経路を例証する。
【
図16】リンパ節における複数のタイプのリンパ球の区画化および構成を例示しており、さらに主要な構造および標識された細胞型を備えた断面で描かれている。
【
図17】B細胞が増殖する暗領域と、B細胞が抗原提示細胞と補助細胞に相互作用する明領域を含む、B細胞胚中心を例証する。
【
図18A】B細胞胚中心と胸腺様発達ニッチ。
図18Aは抗原に対応するB細胞胚中心を例示しており、ここでは、B細胞は、高度親和性抗体の発達の成熟と選択のプロセスの一部として暗領域および明領域として知られている区分けされた領域間を移動する。
【
図18B】B細胞胚中心と胸腺様発達ニッチ。
図18Bは、T細胞が皮質様胸腺組織から骨髄様胸腺組織まで移る際に、T細胞が一連の連続する工程で選別と成熟を経験する胸腺様発達ニッチを例示している。
【
図19】免疫応答中に現われる細胞ニッチの形成および関連細胞間相互作用を促す目的で設計された、リンパ節オルガノイドの様々な構造的な実施例を例証する。
【
図20】非対称の涙滴形状で印刷され得るリンパ節オルガノイドまたはリンパ球含有器官を例証する。
【
図21】リンパ節オルガノイドを構築する目的でリンパ球を含有するバイオゲルの層を堆積させる連続するプロセスを例証する。
【
図22】印刷されたリンパ系オルガノイドにおけるジカ抗体生成試験の酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)結果を示す。
【
図23】本明細書に開示される方法によって生成された三次元印刷されたリンパ節オルガノイドの顕微鏡画像を示す。T細胞領域は、T細胞と支持的な補助細胞の混合物とを含む組織の領域を示す。B細胞領域は、B細胞と支持的な補助細胞の混合物とを含む組織の領域を示す。
【
図24】組織への溶解と取り込み、あるいは、組織治癒の促進の両方のための細胞を含有する、ステープル、縫合糸、ステント、および、クリップの例を例証する。
【
図25】細胞を含み得る3D印刷された骨吸収性のねじ、ピン、および移植片の例を例証する。
【
図26】移植された細胞部位に最も近い細胞と細胞系との相互作用によって機能強化を果たす機能的な組織移植片の例を説明する。
【
図28A】ホログラフィック印刷によってカプセル化されたヒトの多分化能性幹細胞に由来するインスリン産生細胞のクラスタを示す。増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)を発現する、カプセル化された細胞のクラスタの画像を示す。
【
図28B】ホログラフィック印刷によってカプセル化されたヒトの多分化能性幹細胞に由来するインスリン産生細胞のクラスタを示す。カプセル化された細胞によって生成されたヒトC-ペプチドの量に対応するグラフを示す。
【
図28C】ホログラフィック印刷によってカプセル化されたヒトの多分化能性幹細胞に由来するインスリン産生細胞のクラスタを示す。カプセル化5日目の、eGFPを発現するカプセル化された細胞の第1の画像を示す。
【
図28D】ホログラフィック印刷によってカプセル化されたヒトの多分化能性幹細胞に由来するインスリン産生細胞のクラスタを示す。カプセル化5日目の、eGFPを発現するカプセル化された細胞の第2の画像を示す。
【
図28E】ホログラフィック印刷によってカプセル化されたヒトの多分化能性幹細胞に由来するインスリン産生細胞のクラスタを示す。カプセル化構造の画像を示す。
【
図29A】ホログラフィック印刷によって生成された生体適合性のマイクロステント構造を示す。マイクロステントの代表的なコンピュータで作成されたレンダリングを示す。
【
図29B】ホログラフィック印刷によって生成された生体適合性のマイクロステント構造を示す。印刷されたマイクロステントの側面図の画像を示す。
【
図29C】ホログラフィック印刷によって生成された生体適合性のマイクロステント構造を示す。印刷されたマイクロステントの断面図の画像を示す。
【
図30A】ホログラフィック印刷されたマイクロステントの圧縮性と弾力性の試験の画像を示す。固形表面に対するマイクロステントの反復的な圧縮を実証する一連の画像を示す。
【
図30B】ホログラフィック印刷されたマイクロステントの圧縮性と弾力性の試験の画像を示す。マイクロステントの弾力性を実証する一連の画像を示す。
【
図31A】三次元のホログラフィック印刷されたマイクロメッシュネットワークを示す。マイクロメッシュネットワークのコンピュータで作成された画像を示す。
【
図31B】三次元のホログラフィック印刷されたマイクロメッシュネットワークを示す。マイクロメッシュネットワークの画像を示す。
【
図31C】三次元のホログラフィック印刷されたマイクロメッシュネットワークを示す。マイクロメッシュネットワークのクローズアップ画像を示す。
【
図31D】三次元のホログラフィック印刷されたマイクロメッシュネットワークを示す。側方圧縮を受けるマイクロメッシュネットワークの一連の画像を示す。
【
図31E】三次元のホログラフィック印刷されたマイクロメッシュネットワークを示す。ピンセットを用いる取扱いの間のマイクロメッシュネットワークの一連の画像を示す。
【
図32A】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。B細胞、T細胞、および抗原提示細胞(APC)を含有している、印刷されたコラーゲンマトリックスの画像を示す。
【
図32B】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。印刷されたコラーゲンマトリックス中のB細胞、T細胞、およびAPCの混成細胞集団を表す画像を示す。
【
図32C】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。印刷されたコラーゲンマトリックス中ではなく、組織培養ウェル中のB細胞、T細胞、およびAPCの集団の画像を示す。
【
図32D】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。抗原の添加後24時間のLNOと細胞のクラスタの画像を示す。
【
図32E】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。抗原パルスの添加後72時間の印刷されたリンパ節オルガノイドと細胞のクラスタの画像を示す。
【
図32F】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。抗原の添加後120時間の印刷されたLNOと細胞クラスタの画像を示す。
【
図32G】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。LNOによるインターロイキン-4(IL-4)の産生を表すグラフを示す。
【
図32H】印刷されたリンパ節オルガノイド(LNO)とその機能の特徴づけの画像を示す。LNOによるIL-2の産生を表すグラフを示す。
【
図33A】印刷されたLNOから精製されたヒト免疫グロブリン(IgG)を示す。LNOサンプル中のタンパク質の濃度を表すグラフを示す。
【
図33B】印刷されたLNOから精製されたヒト免疫グロブリン(IgG)を示す。印刷されたLNO培地から単離された精製されたヒトIgGを含有しているSDS-PAGEゲルの画像を示す。
【
図33C】印刷されたLNOから精製されたヒト免疫グロブリン(IgG)を示す。印刷されたLNO培地から単離された未精製のヒトIgGを含有しているSDS-PAGEゲルの画像を示す。
【
図34A】抗原負荷で使用された抗原を用いてヒトIgGの反応性に関して試験された印刷されたLNO培地アリコートを示す。ELISAを使用して試験されたサンプルの450ナノメートル(nm)と570nmでの吸光度を表すグラフを示す。
【
図34B】抗原負荷で使用された抗原を用いてヒトIgGの反応性に関して試験された印刷されたLNO培地アリコートを示す。特異抗原反応性のヒトIgGの存在についてさらに分析されたサブクローン化された特有のハイブリドーマを表す2つのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の実施形態が本明細書中で示されかつ記載されているが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到され得る。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が利用され得ることを理解されたい。
【0049】
定義
本明細書で使用される用語は、特定の事例のみを記載することを目的としており、本発明を制限することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明白に示していない限り、同様に複数形を含むように意図される。さらに、用語「含むこと(including)」、「含む(includes)」「有すること(having)」、「有する(has)」、「とともに(with)」、またはその変形が、詳細な記載および/または請求項のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、用語「含む(comprising)」に類似した方法で含まれるように意図される。
【0050】
用語「約」または「およそ」は、その増分を含む、約10%、5%、または1%、明示された量に近い量を指す。例えば、「約」または「およそ」は、特定の値を含み、かつ、その値の10%以下から10%以上に及ぶ、範囲を意味し得る。
【0051】
用語「生体材料」は、本明細書で使用されるように、化学的または生物学的な機能を果たすことができる任意の物質を一般的に指す。生体材料は、生物学的機能性組織、または機能性組織であり、生体力学または生物学的な機能を果たすことが可能な生体構造であり得る。生物学的機能性組織は、互いに拡散距離内にある細胞を含み、各細胞が毛細管または血管のネットワーク構成成分の拡散距離内にある少なくとも1つの細胞型を含み、タンパク質機能の遂行を促進および/または阻害し、あるいはこれらの任意の組み合わせを行うことがある。生物学的機能性組織は、重要臓器などの組織または臓器の少なくとも一部であり得る。いくつかの例では、生体材料は、例えば、異なる治療剤を用いて多くの細胞または組織をスクリーニングすることによって薬剤開発を進行させることもある。
【0052】
生体材料は、細胞などの物質の1つ以上の他のタイプを含む、高分子マトリックス、バイオゲル、ヒドロゲル、あるいは高分子足場などのマトリックスを含み得る。生体材料はリンパ器官とオルガノイドを含むことがある。生体材料は、初代細胞、細胞株、幹細胞、幹細胞株、分化した幹細胞、分化転換された幹細胞、自己由来細胞、同種異系細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、あるいはこれらの任意の組み合わせのヒトあるいは動物源に由来することがある。生体材料は様々な形状、サイズ、または構成であってもよい。いくつかの例において、生体材料は、肉または肉の様な材料など、被験体(例えば動物)によって消費可能であってもよい。
【0053】
用語「三次元印刷」(また「3D印刷」)とは、本明細書で使用されるように、3D部分(または物体)を生成するためのプロセスまたは方法を一般的に指す。そのようなプロセスは、3D生体材料などの3D部分(または物体)を形成するために使用され得る。
【0054】
用語「エネルギービーム」とは、本明細書で使用されるように、エネルギーのビームを一般的に指す。エネルギービームは電磁エネルギーまたは電磁放射線のビームであり得る。エネルギービームは粒子ビームでもよい。エネルギービームは、光線(例えばγ波、X線、紫外線、可視光、赤外線、マイクロ波、または無線電波)でもよい。輻射の誘導放出による光増幅(「レーザー」)によって提供され得るように、光線はコヒーレント光ビームでもよい。いくつかの例において、光線はレーザーダイオードまたは多数のダイオードレーザーによって生成される。
【0055】
本明細書で使用されるように、「同種異系」との用語は、複数の細胞が遺伝学的に同一でないドナーから得られることを指す。例えば、同種異型細胞はドナーから抽出され、および遺伝学的に同一ではない別のレシピエントに戻される。
【0056】
本明細書で使用されるように、「自己由来」との用語は、複数の細胞が遺伝学的に同一のドナーから得られることを指す。例えば、自己由来の細胞は患者から抽出され、同じ遺伝学的に同一の個体(例えばドナー)に戻される。
【0057】
用語「多能性幹細胞」(PSC)とは、本明細書で使用されるように、3つの胚層(つまり、内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のすべての誘導体である様々な細胞型を適切な条件下で生成することができる細胞を指す。多能性幹細胞の定義には、ヒト胚性幹(hES)細胞、ヒト胚性生殖(hEG)細胞;アカゲザル幹細胞、マーモセット幹細胞などの他の霊長類の胚性幹細胞などのヒト以外の胚性幹細胞;マウス幹細胞;人工多能性幹細胞(iPSCs)と同様に核移植技術によって作製された幹細胞を含む様々な型の胚性幹細胞が含まれている。
【0058】
「胚性幹細胞」(ESC)との用語は、本明細書で使用されるように、3つの胚葉(つまり内胚葉、中胚葉、および外胚葉)への細胞の実質的な分化の前に胚盤胞に由来する多能性幹細胞を指す。ESCは、H9、H1、H7、またはSA002などの、市販の、または、定評のある任意のESC細胞株を含む。
【0059】
「人工多能性幹細胞」あるいは「iPSCs」との用語は、本明細書で使用されるように、胚性幹細胞の多能性状態に類似する多能性状態へ再プログラムされた体細胞を指す。iPSCの定義には、霊長類体細胞またはマウス体細胞である体細胞に由来するiPSCなどの、ヒトiPSCおよび非ヒトiPSCを含む様々な種類のiPSCが含まれている。
【0060】
用語「エネルギー源」は、本明細書で使用されるように、ファイバーレーザー、短パルスレーザーあるいはフェムト秒パルスレーザーなどのレーザー;サーマルプレート、ランプ、オーブン、温水浴槽、細胞培養インキュベータ、加熱チャンバ、炉、あるいは乾燥炉などの熱源;白色光、赤外光、紫外線(UV)光、近赤外線(NIR)光、可視光、あるいは発光ダイオード(LED)などの光源;超音波プローブ、ソニケーター、あるいは超音波洗浄機などの音響エネルギー源;マイクロ波源などの電磁放射線源;または、これらの組み合わせを指す。
【0061】
用語「バイオゲル」とは、本明細書で使用されるように、ヒドロゲル、生体適合性のヒドロゲル、高分子ヒドロゲル、ヒドロゲルビーズ、ヒドロゲルナノ粒子、ヒドロゲル微小液滴、摂氏25度(°C)で測定時に少なくとも約10x10-4パスカル秒(Pa・s)~約100Pa・s以上までの粘度を備えた溶液、非ヒドロゲルビーズ、ナノ粒子、微粒子、ナノロッド、ナノシェル、リポソーム、ナノワイヤー、ナノチューブ、あるいはこれらの組み合わせを含むヒドロゲル;液体成分が水であるゲル;分解性のヒドロゲル;非分解性のヒドロゲル;吸収性のヒドロゲル;天然由来の高分子を含むヒドロゲル;または、これらの組み合わせを指す。
【0062】
本開示は、三次元(3D)生体材料を印刷するための方法およびシステムを提供する。一態様において、3D生体材料を印刷するための方法は、(i)複数の細胞、および、(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程を含む。次に、少なくとも1つのエネルギービームは、コンピュータメモリにおける3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って、培地チャンバにおける培地に向けられ得る。これは、(i)少なくとも2つの異なるタイプの複数の細胞の少なくとも部分集合を含む、複数の細胞の少なくとも部分集合、および(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、3D生体材料の少なくとも一部を形成することができる。
【0063】
本開示の方法およびシステムは、3D生体材料などの3D物体の多層を同時に印刷するために使用されてもよい。そのような3D物体は、ポリマー材料、金属、金属合金、複合材料、またはこれらの任意の組み合わせから形成され得る。いくつかの例において、3D物体は、場合によっては生体材料(例えば1つ以上の細胞または細胞構成成分)を含む、高分子材料から形成される。場合によっては、3D物体は、3D物体の少なくとも一部を形成するべく重合および/または架橋結合を誘導するために、ポリマー材料の1つ以上の前駆体に3D投影(例えばホログラム)としてエネルギービーム(例えば、レーザー)を向けることによって形成され得る。これは、3D物体の多層を同時に形成するために使用されてもよい。
【0064】
代替手段として、3D物体は、例えば金、銀、白金、タングステン、チタン、またはこれらの任意の組み合わせなどの、金属または金属合金から形成され得る。そのような場合、3D物体は、例えば金属または金属合金の粒子を含む粉末ベッドにエネルギービーム(例えば、レーザービーム)を向けることによって達成され得るように、金属粒子を焼結または融解することにより形成され得る。場合によっては、3D物体は、粒子の焼結または融解を促進するために粉末ベッドへと3D投影(例えばホログラム)としてエネルギービームを向けることにより形成され得る。これは、3D物体の多層を同時に形成するために使用されてもよい。3D物体は、グラフェンなどの有機材料から形成され得る。3D物体は、シリコーンなどの無機材料から形成され得る。この場合、3D物体は、例えば有機材料および/または無機材料の粒子を含む粉末ベッドにエネルギービーム(例えば、レーザービーム)を向けることによって達成され得るように、有機粒子および/または無機粒子を焼結または融解することにより形成され得る。場合によっては、3D物体は、有機粒子および/または無機粒子の焼結または融解を促進するために粉末ベッドへと3D投影(例えばホログラム)としてエネルギービームを向けることにより形成され得る。
【0065】
エネルギービーム浸透の深度は、ビーム波長と、所定の金属、金属合金、無機材料、および/または有機材料の電界との相互作用によって決定され得る。有機材料はグラフェンであり得る。無機材料はシリコーンであり得る。これらの粒子は、所定のエネルギービームとの強いまたは弱い相互作用を可能にするために、機能化されることもあれば、組み合わされることもある。
【0066】
いくつかの例において、少なくとも1つのエネルギービームは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、またはそれ以上のエネルギービームである。少なくとも1つのエネルギービームはコヒーレント光であるか、またはそれを含み得る。場合によっては、少なくとも1つのエネルギービームはレーザービームである。
【0067】
少なくとも1つのエネルギービームは、画像または画像セットとして配向され得る。画像は、経時的に固定され、または経時的に変化され得る。少なくとも1つのエネルギービームは、映像として配向され得る。
【0068】
コンピュータ命令は、3D生体材料のコンピュータモデルまたは表現に対応し得る。コンピュータ命令はコンピュータモデルの一部であり得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ命令は、3D生体材料に対応する画像のセットを含み得る。
【0069】
少なくとも1つのエネルギービームは、ホログラフィック画像または映像として配向され得る。これは、例えば多層にて(例えば重合により)ポリマーマトリックスの形成を同時に誘導するために、培地における様々な点を少なくとも1つのエネルギービームに同時にさらすことを可能にし得る。場合によっては、3D画像または映像は、例えば空間光変調器(SLM)使用して、異なる焦点で培地へと投影され得る。
【0070】
コンピュータ命令は、例えば、少なくとも1つのエネルギービームの源への電力の適用(例えば、レーザーオン/オフ)など、3D生体材料の形成中に時間に応じて少なくとも1つのエネルギービームの1つ以上のパラメータの調整を含み、および/またはそれを配向することもある。そのような調整は、3D生体材料に相当する画像または映像(例えばホログラフィック画像または映像)に従って行われてもよい。代替的に、または、付加的に、コンピュータ命令は、3D生体材料が形成されるステージの位置の調整を含む、および/またはその調整を配向することもある。
【0071】
場合によっては、3D生体材料の形成中またはその後に、複数の細胞の少なくとも部分集合の少なくとも一部は、少なくとも2つの異なるタイプの細胞を形成するために分化に晒されることもある。これは、例えば、薬剤に細胞をさらす、または分化を引き起こす条件に細胞をさらすことによって、利用され得る。代替的に、または、付加的に、細胞は脱分化または細胞静止の誘導に晒されることがある。
【0072】
本開示の別の態様は3D生体材料を印刷するための方法を提供し、上記方法は、第1の培地を含む培地チャンバを提供する。第1の培地は、第1の複数の細胞および第1のポリマー前駆体を含み得る。少なくとも1つのエネルギービームは、3D生体材料の第1の部分を形成するべく培地チャンバにおける第1の培地の少なくとも一部をさらすために、3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令に従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける第1の培地に向けることができる。次に、第2の培地が培地チャンバに提供され得る。第2の培地は、第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み得る。第2の複数の細胞は、第1の複数の細胞とは異なるタイプであり得る。次に、少なくとも1つのエネルギービームは、3D生体材料の少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバにおける第2の培地の少なくとも一部をさらすために、コンピュータ命令に従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける第2の培地に向けること向けることができる。
【0073】
本開示の他の態様において、3D生体材料を印刷するためのシステムは、少なくとも2つの異なるタイプの細胞を含む複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体とを含む培地を含むように構成された培地チャンバ;培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;および、(ii)3D生体材料の少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向ける;ように個別にあるいはまとめてプログラムされる。
【0074】
他の態様において、3D生体材料を印刷するためのシステムは、複数の細胞と複数のポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバ;培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;(ii)3D生体材料の少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向ける;および、(iii)3D生体材料の少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバにおける第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ、第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである。
【0075】
本開示の別の態様において、三次元(3D)物体を印刷するための方法は、1つ以上の前駆体から形成された材料を含む3D物体を生成するために、1つ以上の前駆体を含む培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含んでもよく、ここで、少なくとも1つのエネルギービームは3D物体に対応する3D投影として培地へ向けられる。
【0076】
他の態様では、三次元(3D)生体材料を印刷するための方法は、3D生体材料の第1の部分と3D生体材料の第2の部分を生成するために、1)第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体とを含む第1の培地、および、2)第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体とを含む第2の培地へ、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含むこともある。
【0077】
別の態様において、本開示は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供し、該方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を提供する工程と;(b)基質上に培地の少なくとも1つの層を堆積させる工程と;(c)(i)複数の細胞の少なくとも部分集合と、(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたバイオゲルとを含む3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、培地の少なくとも1つの層をエネルギー源に晒す工程と;および、(d)1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す工程を含む。
【0078】
図1を参照すると、所望の組織の急速な多光子印刷のためのシステム(100)の実施形態が例証される。ここで、システム(100)は、ソリッドモデルのコンピュータ利用設計(CAD)モデリングシステム(112)によって駆動されるレーザー印刷システム(110)を含む。本実施形態において、CADモデリングシステム(112)は、所望の組織および追加のパラメータのCADモデルに基づいてレーザー印刷システム(110)を制御するコンピュータ(114)を含む。レーザー印刷システム(110)は、完全な部分または特定の部分において所望の構造に一致するために培地チャンバ(122)へと多光子レーザービーム(120)の波形を投影する、多光子組織印刷ヘッド(118)と通信状態のレーザーシステム(116)を含む。多光子組織印刷ヘッド(118)は、培地チャンバ(122)内にCADモデル化組織の二次元および/または三次元の、かつ従ってホログラフィック投影を提供するために、培地チャンバ(122)の側面および軸面において多光子レーザービーム(120)を送達する、少なくとも1つの対物レンズ(124)を含む。対物レンズ(124)は、水浸(water dipping)対物レンズ、空気対物レンズ、または油浸対物レンズでもよい。二次元および三次元のホログラフィック投影は、同時に生成され、かつレンズ制御によって異なる領域へと投影され得る。培地チャンバ(122)は、細胞、重合性材料、および培養培地で構成された培地を含有している。重合性材料は、生物適合性であり、溶解可能であり、場合によっては生物学的に不活性である、重合化可能なモノマー単位を含み得る。モノマー単位(またはサブユニット)は、生成される組織に特異的な細胞基質および基底膜構造などの、細胞含有構造を作成するために、多光子レーザービーム(120)に応じて重合し、架橋し、または反応し得る。モノマー単位は、マトリックスを形成するために重合および/または架橋し得る。場合によっては、重合化可能なモノマー単位は、所望の組織マトリックスに応じてパーセンテージを変動させるために、エラスチンおよびヒアルロン酸を含むがこれらに限定されない他の細胞外マトリックス構成成分とコラーゲンとの混合物を含み得る。
【0079】
細胞含有構造を作製するために使用される細胞外マトリックス構成成分の非限定的な例は、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびケラタン硫酸などのプロテオグリカン、ヒアルロン酸、コラーゲン、およびエラスチンなどの非プロテオグリカン多糖、フィブロネクチン、ラミニン、ニドゲン、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。これらの細胞外マトリックス構成成分は、多光子励起により、または1つ以上の化学的なドープ剤の多光子励起により直接引き起こされた架橋結合を促進するために、アクリラート、ジアクリラート、メタクリラート、シンナモイル、クマリン、チミン、または他の側鎖基、あるいは化学的に反応性の部分により官能化され得る。場合によっては、光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーは、細胞含有構造を作成するために細胞外マトリックス構成成分と合わせて使用され得る。光重合性マクロマーの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)アクリラート誘導体、PEGメタクリラート誘導体、およびポリビニルアルコール(PVA)誘導体を含み得る。いくつかの例において、細胞含有構造を作成するために使用されるコラーゲンは、I、II、III、V、およびX型のコラーゲンなどの原繊維性コラーゲン、IX、XII、およびXIV型のコラーゲンなどのFACITコラーゲン、VIIIおよびX型のコラーゲンなどの短鎖コラーゲン、IV型コラーゲンなどの基底膜コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0080】
モノマー単位の特定の混合物は、重合されたバイオゲルの最終的な特性を変えるために作製され得る。このベース印刷混合物は、合成され、かつ生体材料と合成材料のハイブリッドを含む哺乳動物組織に固有ではない、他の重合性モノマーを含有することもある。混合物の一例は、約50%w/vのポリエチレングリコールジアクリラート(PEGDA)を加えた約0.4%w/vのコラーゲンメタクリラートを含み得る。重合を引き起こす光重合開始剤は、紫外線(UV)、赤外線(IR)、または可視光線範囲において反応性であり得る。こうした2つの光重合開始剤の例は、エオシンY(EY)とトリエタノールアミン(TEA)であり、これらは、組み合わせられると、可視光(例えば、約390~700ナノメートルの波長)への露出に反応して重合することがある。光重合開始剤の非限定的な例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイン誘導体、ベンジケタール(benziketals)、ヒドロキシアルキルフェノン、アセトフェノン誘導体、トリメチロールプロパントリアクリラート(TPT)、アクリロイルクロライド、過酸化ベンゾイル、カンファーキノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、および2-ヒドロキシ-1-[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノンを含み得る。ヒドロキシアルキルフェノンは、4-(2-ヒドロキシエチルエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)295)、1-ヒドロキシシクロヘキシル-1-フェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(登録商標)651)を含み得る。アセトフェノン誘導体は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)を含み得る。チオキサントンはイソプロピルチオキサントンを含み得る。
【0081】
生体材料のモノマー単位の特定の混合物は、重合されたバイオゲルの最終的な特性を改変するために作製されることもあり、混合物の例は、約1mg/mLのI型コラーゲン-メタクリラート、約0.5mg/mLのIII型コラーゲン、約0.2mg/mLのメタクリル化ヒアルロン酸、約0.1%のエオシンY、および約0.1%のトリエタノールアミンを含み得る。
【0082】
場合によっては、重合されたバイオゲルは、少なくとも約0.01%の光重合開始剤を含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約10%以上の光重合開始剤を含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約0.1%の光重合開始剤を含む。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約0.01%~約0.05%、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.2%、約0.01%~約0.3%、約0.01%~約0.4%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.6%、約0.7%~約0.8%、約0.9%~約1%、約0.01%~約2%、約0.01%~約3%、約0.01%~約4%、約0.01%~約5%、約0.01%~約6%、約0.01%~約7%、約0.01%~約8%、約0.01%~約9%、または約0.01%%~約10%の光重合開始剤を含み得る。
【0083】
重合されたバイオゲルは、約0.05%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.1%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.2%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.3%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.4%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.6%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.7%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.8%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、0.9%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.1%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.2%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.3%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.4%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.6%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.7%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.8%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、1.9%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、2%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、2.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、3%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、3.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、4%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、4.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、5.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、6%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、6.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、7%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、7.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、8%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、8.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、9%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、9.5%の光重合開始剤を含み得る。重合されたバイオゲルは、10%の光重合開始剤を含み得る。
【0084】
場合によっては、重合されたバイオゲルは、少なくとも約10%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約99%以上の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約50%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約10%~約55%、約10%~約60%、約10%~約65%、約10%~約70%、約10%~約75%、約10%~約80%、約10%~約85%、約10%~約90%、約10%~約95%、または約10%~約99%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。
【0085】
重合されたバイオゲルは、約10%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約15%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約20%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約25%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約30%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約35%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約40%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約45%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約50%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約55%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約60%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約65%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約70%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約75%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約80%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約85%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約90%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約95%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約96%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約97%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約98%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。場合によっては、重合されたバイオゲルは、約99%の光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーを含み得る。
【0086】
二光子吸収は非線形であり、かつ、化学物質の単一光子吸収特性に基づいて正確に予測または算出することができない。光反応性の化学物質は、単一光子吸収の二倍または約二倍のピーク二光子吸収を持つ、あるいは、吸収スペクトルにおいてわずかに赤方偏移され得る。それ故、900ナノメートルまたは約900ナノメートル~約1400ナノメートルの波長は、重合反応の触媒、例えばEYまたはTEAの混合を刺激することによるモノマー物質の重合のために使用され得る。単一波長重合は全ての構造要素の作成に十分かもしれないが、印刷プロセスの速度をさらに上げるために、多波長が、同じ印刷装置を通ってかつ同じ印刷チャンバへと同時に利用されてもよい。
【0087】
重合化可能なモノマー単位を、異なる吸収帯を含む触媒と事前に混合させるか、事前に反応させることで、培地チャンバ(122)内で異なる基質ベースの構造要素を同時に形成するために異なる波長での印刷を可能にすることもある。ゆえに、特定の構造要素は、特定の波長にレーザーの励起波長を合わせることにより生成され、その後、他の構造要素は、より高い効率で1つの物質基部の重合を開始する異なる光重合開始剤に相互作用し得る異なる励起波長に、別のまたは同じレーザーを合わせることにより、既存の要素のまわりで生成され得る。同様に、異なる波長は異なる構造要素のために使用されてもよく、剛性の増加はある位置では望ましく、軟性または弾性の構造は他の位置では望ましい。重合性材料の物理的性質が異なることから、単にレーザーの励起波長を電子的に合わせること、異なるレーザー間で切り替えること、または2つの異なる波長を同時に投影することによって、潜在的により剛性、軟性、または弾性の構造を、同じ細胞を用いる同じ印刷工程で作製することができる。
【0088】
図2A-
図2Cは、培地チャンバ(122)内の所望の組織の生成のステージの例を例証する。
図2Aは、第1の細胞群、重合性材料、および培養培地で構成された培地(126)を含有している培地チャンバ(122)を例証する。本実施形態において、多光子レーザービーム(120)のパルスは、所望の組織の血管構造物および微小血管系に相当するCADモデルに従い、培地(126)に送達され得る。いくつかの例において、第1の細胞群は、内皮細胞、毛細血管の内皮細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、内皮の始原細胞、幹細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、血管および/または毛細血管の細胞を含み得る。ゆえに、培地(126)の部分は、所望の組織の脈管構造および微小血管系を表す細胞を含む足場(128)を形成するように、重合、架橋、または反応することがある。その後、本実施形態において、培地(126)は、第1の細胞群および関連する培地を取り除くために、第1のポート(130a)、第2のポート(130b)、第3のポート(130c)、第4のポート(130d)、および第5のポート(130e)を介して排出され得る。いくつかの例において、培地チャンバ(122)は少なくとも1つのポートを含み得る。いくつかの例において、培地チャンバ(122)は、少なくとも1つのポートから最大100のポートに及ぶ複数のポートを含み得る。培地チャンバ(122)は少なくとも2つのポートを含み得る。培地チャンバ(122)は少なくとも3つのポートを含み得る。培地チャンバ(122)は少なくとも4つのポートを含み得る。培地チャンバ(122)は少なくとも5つのポートを含み得る。
【0089】
図2Bを参照すると、培地チャンバ(122)は、ポート(130)を介して、第2の細胞群、重合性材料、および培養培地を含有する培地(126)で充填されてもよい。この第2の細胞群は、既存の細胞を含む足場(128)のまわりに組織構造を生成するために使用され得る。いくつかの例において、細胞を含む足場(128)は血管足場でもよい。印刷された血管足場は、内皮細胞、血管内皮細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、内皮の始原細胞、幹細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0090】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、内皮細胞、毛細血管の内皮細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、内皮の始原細胞、リンパ細胞、ヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞などのT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細網細胞、肝細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。第1の細胞群および/または第2の細胞群は、外分泌腺の分泌性上皮細胞、ホルモン分泌細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞、腎臓細胞、膵細胞、肺細胞、細胞外マトリックス細胞、筋細胞、血液細胞、免疫細胞、生殖細胞、間質細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0091】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、唾液腺粘液細胞、乳腺細胞、エクリン腺細胞およびアポクリン汗腺細胞などの汗腺細胞、皮脂腺細胞、II型肺細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、外分泌腺の分泌性上皮細胞を含み得る。
【0092】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、下垂体前葉製剤細胞、脳下垂体中葉細胞、大細胞神経分泌細胞、腸管細胞、気道細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、ライディッヒ細胞、内莢膜細胞、黄体細胞、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、周極細胞、メサンギウム細胞、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞、および、イプシロン細胞などの膵島細胞、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、ホルモン分泌細胞を含み得る。
【0093】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、ケラチノサイト、基底細胞、および毛幹細胞などの角質化上皮細胞、重層偏平上皮の表面上皮細胞、角膜上皮の基底細胞、および泌尿器系の上皮細胞などの階層化された障壁上皮細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む上皮細胞を含み得る。
【0094】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、感覚変換器細胞、自律神経性ニューロン細胞、末梢性ニューロン支持細胞、介在ニューロン、紡錘体ニューロンなどの中枢神経系ニューロン、錐体細胞、星細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、グリア細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、神経細胞またはニューロンを含み得る。
【0095】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、壁細胞、有足細胞、メサンギウム細胞、遠位尿細管細胞、近位尿細管細胞、ヘンレ係蹄の薄いセグメント細胞(Loop of Henle thin segment cells)、集合管細胞、間質腎臓細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、腎臓細胞を含み得る。
【0096】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、I型肺細胞、肺胞細胞、毛細管内皮細胞、肺胞マクロファージ、気管支上皮細胞、気管支平滑筋細胞、気管上皮細胞、小気道上皮細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、肺細胞を含み得る。
【0097】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、上皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、骨原性細胞、星細胞、肝臓星細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、細胞外マトリックス細胞を含み得る。
【0098】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、骨格筋細胞、心筋細胞、プルキニエ繊維細胞、平滑筋細胞、筋上皮細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、筋細胞を含み得る。
【0099】
第1の細胞群および/または第2の細胞群は、限定されないが、赤血球、巨核球、単球、マクロファージ、破骨細胞、樹状細胞、小膠細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、網状赤血球、またはこれらの任意の組み合わせを含む、血液細胞および/または免疫細胞を含み得る。
【0100】
図2Cは、残りの組織のCADモデルに従った、培地(126)への多光子レーザービーム(120)のパルスの送達を例証する。ゆえに、培地(126)の追加の部分は、既存の血管足場(128)を傷つけたり影響を及ぼしたりすることなく、既存の細胞を含む足場(128)(これ以上視認できない)のまわりに細胞含有構造(132)を形成するために、重合、架橋、または反応することがある。培地(126)を排出する工程、新たな培地(126)で再充填する工程、およびレーザーエネルギーを送達する工程は、所望の複合組織を作製するために任意の回数を繰り返され得る。
【0101】
図2Dは、細胞を含む足場(128)が、培地(126)を含む培地チャンバ(122)の底部に沿って印刷され得る実施形態を例証する。ゆえに、足場(128)は、それ自体で独立していないか、あるいは、自由に動けない場合がある。多チャネル入力は、一方向からのバルク流、バルク流が小さな特徴から望ましくない細胞を洗浄しない際の微細構造の不均一な洗浄、および組織印刷チャンバへと循環される際の新たな細胞含有培地の不均一な分布に関連付けられる剪断力を減少させることがある。多数の入力は、上部、底部、側面、または3つ全てから同時に生じ得る。多数の入力は、細胞含有構造が比較的脆弱であり、かつチャンバを介した培地交換に関連付けられる流体力の適用によって潜在的に分裂されるので、組織印刷に特に望ましい。
図2Dは、組織が培地チャンバの底プレートの上で印刷され得ることを示す。いくつかの実施形態において、細胞および組織は、培地チャンバの底部に対してフラッシュ印刷され得る。加えて、この設計は、印刷組織の容易な輸送、およびレーザー印刷ヘッド(焦点対物レンズ)下で位置決めすることを可能にし、および、培地交換および印刷が室内の空気への暴露無しに行われることを可能にするクローズドシステムである。これは、室内の空気への曝露が、有用な組織の発達を妨害したり、完全に破壊したりすることがある細胞培養培地へと感染因子を導入することができるため、望ましい場合がある。
【0102】
レーザー印刷システム
一態様において、本開示は、三次元(3D)生体材料を印刷するためのシステムを提供する。x、y、およびz次元は、本明細書で提供されるシステムによって同時にアクセスされ得る。3D生体材料を印刷するためのシステムは、細胞含む複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体とを含む培地を含有するように構成された培地チャンバを含み得る。複数の細胞は、少なくとも1つのタイプの細胞を含み得る。複数の細胞は、少なくとも2つの異なるタイプの細胞を含み得る。上記システムは、培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。上記システムは、培地チャンバおよび/または細胞含有チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含んでもよく、ここで、1つ以上のコンピュータプロセッサは、コンピュータメモリから3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;および3D生体材料の少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部をさらすために、コンピュータ命令に従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける培地に少なくとも1つのエネルギービームを向けるように、少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされる。
【0103】
他の態様において、本開示は、複数の細胞と複数のポリマー前駆体を含む培地を含有するように構成された培地チャンバを含む、3D生体材料を印刷するための追加のシステムを提供する。上記システムは、培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。加えて、上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続され得る1つ以上のコンピュータプロセッサを含み得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;(ii)3D生体材料の少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向ける;および、(iii)3D生体材料の少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバにおける第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ、第2の培地が第2の複数の細胞と第2の高分子前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである。
【0104】
1つ以上のコンピュータプロセッサは、コンピュータメモリにおける3D生体材料のポイントクラウド表現またはラインベース表現を生成し、かつ、コンピュータメモリにおける3D生体材料を印刷するためのコンピュータ命令を生成するべく上記ポイントクラウド表現または上記ラインベース表現を使用するように、個別にあるいはまとめてプログラムされる。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の少なくとも他の部分を形成するべく少なくとも1つのエネルギービームを1つ以上の追加のエネルギービーム経路に沿って向けるために、少なくとも1つのエネルギー源を方向づけるように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。
【0105】
上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源および/または少なくとも1つの光パターン化要素に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み得る。コンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現は、ホログラフィックポイントクラウド表現またはホログラフィックラインベース表現であり得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、少なくとも1つのエネルギー源によって照射されるようにホログラフィック画像を再投影するために、光パターン化要素を使用するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。
【0106】
場合によっては、1つ以上のコンピュータプロセッサは、ポイントクラウド表現または上記ラインベース表現を画像に変換するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、ホログラフィック様式で画像を投影するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、ホログラムとして画像を投影するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、部分的なホログラムとして画像を投影するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。場合によっては、1つ以上のコンピュータプロセッサは、アルゴリズムの変換を介して一連のホログラフィック画像へと完全な画像セットのポイントクラウド表現またはラインベース表現を変換するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。その後、この変換された画像セットは、システムを介して、空間光変調器(SLM)またはデジタルミラーデバイス(DMD)などの光パターン化要素によって順に投影され、印刷チャンバ内の投影画像を、2Dおよび/または3Dで同時に分布される投影光と反応させる。拡大されたまたは広げられたレーザービームは、ホログラフィック画像の投影システムとして機能する、SLMおよび/またはDMD上へ投影され得る。場合によっては1つ以上のコンピュータプロセッサは、ホログラフィック様式で画像を投影するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。場合によっては、1つ以上のコンピュータプロセッサは、一度にすべての画像を投影するために個別にあるいはまとめてプログラムされ得るか、あるいは、ホログラフィック様式でより大きな3D構造を形成するために映像として順番に再生され得る。
【0107】
ホログラフィーは、多次元(例えば、2Dおよび/または3D)ホログラフィック画像またはホログラムを投影する技術である。培地を光重合することができるレーザーがホログラムとして投影されると、レーザーは、光重合し、凝固し、架橋し、結合し、硬化し、および/または、投影されたレーザー光路に沿って培地の物理特性を変化させ;ゆえに、レーザーは、3D構造の印刷を可能にすることがある。ホログラフィーは、ホログラフィック画像を作成するためにレーザー光線またはコヒーレント光源などの光源を必要とすることがある。ホログラフィック画像は、経時的に一定であるか、あるいは、時間とともに変動し得る(例えば、ホログラフィック映像)。さらに、ホログラフィーは、レーザー光路を開くか移動させるためのシャッタ、レーザー光を別の経路に分割するビームスプリッター、レーザー光路を配向するためのミラー、ビームを拡大するための発散レンズ、および追加のパターン化要素または光配向要素を必要とすることがある。
【0108】
物体のホログラフィック画像は、発散レンズでレーザービームを拡大すること、および、拡大したレーザービームを、ホログラム、および/または、例えば、空間光変調器あるいはSLMなどの少なくとも1つのパターン形成要素へと向けることによって、作成され得る。パターン形成要素は、ホログラフィック画像を含むパターンを、レーザービーム経路へコードしてもよい。パターン形成要素は、部分的なホログラムを含むパターンを、レーザービーム経路へとコードしてもよい。次に、上記パターンは、印刷材料(すなわち、複数の細胞とポリマー前駆体を含む培地)を含む培地チャンバの方へ向けられ、かつ、そこに焦点を合わせられてもよく、ここで、パターンは、印刷材料(すなわち、培地)で発見された光反応性の光重合開始剤を励起させることもある。次に、光反応性の光重合開始剤の励起は、ポリマーベースの印刷材料の光重合を引き起こすこともあり、所望のパターン(すなわち、ホログラフィック画像)で構造を形成する。場合によっては、1つ以上のコンピュータプロセッサは、別のエネルギービーム経路に沿ってエネルギー源を向けることによってホログラフィック画像を投影するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。
【0109】
場合によっては、少なくとも1つのエネルギー源は複数のエネルギー源であり得る。複数のエネルギー源は、複数の少なくとも1つのエネルギービームを配向し得る。エネルギー源はレーザーであり得る。いくつかの例において、レーザーはファイバーレーザーでもよい。例えば、ファイバーレーザーは、例えば、エルビウム、イッテルビウム、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、ツリウム、および/またはホルミウムなどの、希土類元素でドープされた光ファイバーを含む、活性利得媒質を伴うレーザーでもよい。エネルギー源は短パルスレーザーでもよい。エネルギー源はフェムト秒パルスレーザーでもよい。フェムト秒パルスレーザーは、約500フェムト秒(fs)、250、240、230、220、210、200、150、100、50fs、40fs、30fs、20fs、10fs、9fs、8fs、7fs、6fs、5fs、4fs、3fs、2fs、1fs以下のパルス幅を有し得る。フェムト秒パルスレーザーは、例えばチタン:サファイア(Ti:Sa)レーザーでもよい。少なくとも1つのエネルギー源は、コヒーレント光源に由来し得る。
【0110】
コヒーレント光源は、約300ナノメートル(nm)~約5ミリメートル(mm)の波長を持つ光を提供することがある。コヒーレント光源は、約350nm~約1800nm、または約1800nm~約5mmの波長を含み得る。コヒーレント光源は、少なくとも約300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、3mm、4mm、5mm、またはそれ以上の波長を持つ光を提供することができる。
【0111】
コンピュータプロセッサは、3D生体材料の少なくとも他の部分を形成するべく、少なくとも1つのエネルギービームを、1つ以上の追加のエネルギービーム経路に沿って向けるために、少なくとも1つのエネルギー源を方向づけるように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加のエネルギービーム経路は、x軸、xおよびy面、またはx、y、およびz面に沿ってもよい。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はx軸に沿ってもよい。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はy軸に沿ってもよい。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はz軸に沿ってもよい。エネルギービーム経路は、同じ軸上で1つ以上の他のビームと集束することがある。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はxおよびy面に存在することがある。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はxおよびz面に存在することがある。1つ以上の追加のエネルギービーム経路はyおよびz面に存在することがある。1つ以上の追加のエネルギービーム経路は、x、y、およびz面に存在することがある。
【0112】
上記システムは、培地チャンバ内の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向けるための少なくとも1つの対物レンズをさらに含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つの対物レンズは水浸対物レンズを含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つの対物レンズは水浸対物レンズを含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つの対物レンズは水浸(water dipping)対物レンズを含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つの対物レンズは油浸対物レンズを含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つの対物レンズレンズは、色消し対物レンズレンズ、セミアポクロマート対物レンズ、プラン対物レンズレンズ、液浸対物レンズ、ホイヘンス対物レンズレンズ、ラムスデン対物レンズレンズ、ペリプラン対物レンズ、補償対物レンズレンズ、広視野対物レンズレンズ、超視野対物レンズレンズ、コンデンサ対物レンズレンズ、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。コンデンサ対物レンズの非限定的な例は、アッベ集光レンズ、非染色性コンデンサ、および一般的なコンデンサを含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の縁の画像を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の外部表面の画像を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の内部表面の画像を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の内部の画像を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D生体材料の他の組織との結合を誘導するように個別にあるいはまとめてプログラムされ、上記結合は上記コンピュータ命令に従い得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3D印刷材料をすでに印刷された構造と直接連結し、統合し、結合し、または接合させるように個別にあるいはまとめてプログラムされ、上記結合は上記コンピュータ命令に従い得る。場合によっては、3D生体材料の他の組織との結合は、化学的架橋、機械的結合、および/または凝集的カップリングを含み得る。
【0115】
他の態様において、上記システムは、複数の細胞と複数のポリマー前駆体を含む培地を含有するように構成された培地チャンバを含み得る。上記システムは、培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、1つ以上のコンピュータプロセッサは、コンピュータメモリ内の3D生体材料のコンピュータモデルを受け取り;コンピュータメモリ内の3D生体材料のコンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現を生成し;3D生体材料の少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部をさらすために、3D生体材料のコンピュータモデルに従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける培地に少なくとも1つのエネルギービームを向けるように、少なくとも1つのエネルギー源を向け;および、3D生体材料の少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバにおける第2の培地の少なくとも一部を晒すために、3D生体材料のコンピュータモデルに従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ、第2の培地が第2の複数の細胞と第2の高分子前駆体を含み、第2の複数の細胞が第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである。
【0116】
細胞構造のレーザー印刷において、最小限に毒性のレーザー励起を使用する急速な三次元構造生成は、細胞の生存率の維持に必要不可欠であり、かつ、機能性組織の印刷の場合には、大判、高分解能、多細胞組織生成に必要である。二光子印刷の他の方法は、二次元平面(x、y)における二光子励起のラスタースキャン(例えば、選択的なレーザー)に依存しつつ、三次元構造を作るためにz方向に顕微鏡またはステージを動かすことができる。この技術は、細胞生存率が複雑な構造の印刷中に維持することができない可能性が高くなるように、大判の組織印刷を極端に遅らせることがある。ある構造の1つのスライスがx、y、またはz面において各工程で投影されるように、高い重合速度を持つ特定のヒドロゲルも、時間が指定された組織シートの二次元投影に利用され得る。加えて、シートを表すまたは直交スライスを含む混合平面角も利用され得る。ヒドロゲルを急速に重合させる場合、これらの投影は、組織印刷に適合可能な時間スケールで作用し、一方でレーザー焼結またはラスタースキャン(例えば、層ごとの堆積)は、複雑な構造の構築を極端に遅らせることがある。
【0117】
本開示のレーザー印刷システム(110)は、細胞含有構造の急速な作製のために側面および軸面における三次元または二次元のホログラフィック投影の集束化を可能にし得る、対物レンズ(124)を備えてもよい。対物レンズ(124)は、水浸対物レンズ、空気対物レンズ、または油浸対物レンズでもよい。場合によっては、レーザー印刷システム(110)は、多数のレーザーラインを持つレーザーシステム(116)を含み、かつ、細胞含有培地へのホログラフィック投影を介したフォトリソグラフィのために画像の三次元ホログラフィック投影を可能にし得る。
【0118】
図3Aは、第1の多光子レーザー源(140a)を持つレーザーシステム(116)の実施形態を例証する。ここで、レーザーライン、多光子レーザービームは、投影されている三次元構造の急速な変化を可能とするために、画像投影のためのビデオレートまたはより速いリフレッシュレートで空間光変調器(SLM)によって反射され得る。
【0119】
場合によっては、空間光変調器(SLM)は3D生体材料を印刷するために使用され得る。場合によっては、本明細書で提供される方法は、コンピュータメモリにおける3D生体材料のコンピュータモデルを受け取る工程、および、コンピュータモデルが層へと「スライス」されて各層の二次元(2D)モデルを作成するように、コンピュータモデルをさらに処理する工程を含み得る。コンピュータモデルはコンピュータ利用設計(CAD)モデルでもよい。本明細書に開示されるシステムは、印刷される3D生体材料の境界輪郭を判定し、および/または、印刷される3D生体材料の配列を充填する、「スライスされた」コンピュータモデルに基づいてレーザースキャン経路を算出するように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る、少なくとも1つのコンピュータプロセッサを含み得る。ホログラフィック3D印刷は、本明細書に記載された1つ以上のポリマー前駆体と共に使用され得る。SLMは、本明細書に記載された2つ以上のポリマー前駆体と共に使用され得る。
【0120】
空間光変調器(SLM)は、固定された空間的(すなわち、ピクセル)パターンに従って空間および時間における光波の振幅、位相、極性化、伝播方向、強度、またはこれらの任意の組み合わせを調節することができる電気的にプログラム可能なデバイスである。SLMは、半透明、例えば液晶ディスプレイ(LCD)マイクロディスプレイに基づき得る。SLMは、反射型、例えばシリコン基板上の反射型液晶(LCOS)マイクロディスプレイに基づき得る。SLMは、マイクロチャネル空間光変調器(MSLM)、平行配向ネマチック液晶空間光変調器(PAL-SLM)、プログラム可能な位相モジュレータ(PPM)、位相空間光変調器(LCOS-SLM)、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。LCOS-SLMは、シリコン基板の上部に配置された液晶層を含むチップを含み得る。回路は、半導体技術の使用によりチップのシリコン基板上に構築され得る。LCOS-SLMチップの上部層は、それらの電位を独立して制御することができるアルミニウム電極を含有し得る。ガラス基板は、液晶物質により充填される一定の間隙を維持しながらシリコン基板に配置され得る。液晶分子は、シリコンおよびガラスの基板に設けられる位置合わせ制御技術によって並列に位置合わせされ得る。この液晶層にわたる電場は、ピクセルごとに制御され得る。光の位相は、電場の制御により調節することができ;電場の変化は、液晶分子を適宜傾かせる場合がある。液晶分子が傾斜すると、液晶屈折率は変化し、さらに光路長を変化させ、ゆえに位相差を引き起こすことがある。
【0121】
SLMは3D生体材料を印刷するために使用され得る。シリコン基板上の反射型液晶(LCOS)-SLMは3D生体材料を印刷するために使用され得る。液晶SLMは3D生体材料を印刷するために使用され得る。SLMは、3D生体材料のコンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現を投影するために使用され得る。本明細書に開示される方法は、ポイントクラウド表現またはラインベース表現をホログラフィック画像に変換する工程を含み得る。SLMは、3D生体材料のコンピュータモデルのホログラフィック画像を投影するために使用され得る。SLMは、3D生体材料のコンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現の光の位相を調節するために使用され得る。SLMは、3D生体材料のコンピュータモデルのホログラフィック画像の光の位相を調節するために使用され得る。
【0122】
三次元での多光子励起の投影は、デュアルデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)システムのみを用いて、あるいは、空間光変調器(SLM)と組み合わせて使用することにより、達成されることもある。一対のDMDは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために一対のSLMと共に使用され得る。少なくとも1つのSLMおよび少なくとも1つのDMDは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために使用され得る。一対のSMLは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために使用され得る。一対のDMDは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのDMDは、本明細書に記載される方法を使用して3D物質を印刷するために使用され得る。DMDは、高速の、効率的な、信頼できる空間的光変調を可能にする、電気入力の、光出力の、微小電気機械システム(MEMS)である。DMDは、長方形の配列で配置された複数の顕微鏡ミラー(通常、数十万または数百万ほど)を含み得る。DMDの各顕微鏡ミラーは、表示される画像のピクセルに対応することがあり、かつ、例えば、約10-12°で「オン」または「オフ」状態に回転され得る「オン」状態において、プロジェクタバルブからの光は、顕微鏡ミラーへと反射され、その対応するピクセルをスクリーン上で明るく見せることができる。「オフ」状態において、光は、他の場所に(通常、ヒートシンク上)に向けられ、顕微鏡ミラーの相当するピクセルを暗く見せることができる。DMDの顕微鏡ミラーは、高度に反射的なアルミニウムで構成され、その全長はおよそ16マイクロメートル(μm)である。各顕微鏡ミラーは、関連する半導体メモリーセルの上部に構築され、かつ、順にトーションヒンジを介して一対のサポートポストに接続されるヨークへと取り付けられ得る。各顕微鏡ミラーの動きの程度は、「1」または「0」をそれぞれの基礎的な半導体メモリーセルに搭載することにより制御され得る。次に、電圧が印加され、これにより、各顕微鏡ミラーは、トーションヒンジの周囲で静電引力を介して関連する+/-程度の状態に静電気学的に偏向され得る。
【0123】
図3A-3Cを参照すると、随意のビームエクスパンダの追加と、その後の、固定されたアキシコンまたは調整可能な音響勾配(TAG)レンズのいずれかであるベッセルビーム生成レンズの追加は、とりわけ、混濁液において、より高い分解能とより深い組織印刷深度を達成するべく、レーザーの特性を改質するために追加され得る。随意のビームエクスパンダおよび/またはベッセルビーム生成レンズを含み得るレーザーラインは、組織印刷に関連付けられる特定の構造の形成に都合の良い物質を備えた別の投影システムへ、高速切替ミラーによって配向される。場合によっては、SLMシステムと協働する高分解能DMDミラーは、2つのSLMシステムで達成することができるよりも高い軸方向分解能を達成可能である。最後に、レーザーラインは、軸面のいずれにおいても二次元画像のスキャンレス投影を可能とするために、ミラーと協働して単一のDMDまたはSLMシステムと共に使用され得る。3D投影パターンは、スキャンミラーによって大きな視野にわたってラスタースキャン可能であり、ここで、レーザーの放射パターン、波長、および/またはパワーは、凝集性かつ複雑な構造が堆積され得るようにラスタースキャン速度を一致させるために制御される。1より多くのレーザーラインを含むシステム内で、構成は、二重のSLM、二重のDMD、単一のSLM、単一のDMD、または単純な平面のスキャンの任意の組み合わせであり得る。
【0124】
場合によっては、
図3A-3Cに示される光路などの1つ以上の光路は、独立してまたは一斉に使用され得る。
図3Aに記載されるように、光路内で光またはエネルギービームを集束かつ分配するレンズ、回折格子、およびミラーは、主要要素を通って光を分配するために、または回折格子の場合には入射光を調節するために必要とされる主要な波面形成要素間に配され得る。少なくとも1つの回折格子またはミラーは、入力レーザー光を集束し、分配し、または切り取る(clipping)ために、波面形成要素「F」間(すなわち、SLM、DMD、および/またはTAGレンズの間)に配され得る。光波面形成デバイスFは、SLM、LCOS-SLM、DMD、TAGレンズ、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0125】
場合によっては、DMDは3D生体材料を印刷するために使用され得る。DMDは、3D生体材料のコンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現を投影するために使用され得る。本明細書に開示される方法は、ポイントクラウド表現またはラインベース表現をホログラフィック画像に変換する工程を含み得る。DMDは、3D生体材料のコンピュータモデルのホログラフィック画像を投影するために使用され得る。DMDは3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0126】
場合によっては、少なくとも1つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために本明細書で開示される方法で使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、直列に配置され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、並列に配置され得る。3D生体材料を印刷するために使用されるとき、任意の数のSLMと任意の数のDMDの組み合わせは、直列に配置され得る。3D生体材料を印刷するために使用されるとき、任意の数のSLMと任意の数のDMDの組み合わせは、並列に配置され得る。
【0127】
少なくとも2つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも3つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも4つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも5つのSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも10のSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも20のSLMと少なくとも1つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0128】
少なくとも1つのSLMと少なくとも2つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも3つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも4つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも5つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも10のDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1つのSLMと少なくとも20のDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0129】
少なくとも2つのSLMと少なくとも2つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも3つのSLMと少なくとも3つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも4つのSLMと少なくとも4つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも5つのSLMと少なくとも5つのDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも10のSLMと少なくとも10のDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも20のSLMと少なくとも20のDMDの組み合わせは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0130】
液晶SLMは3D生体材料を印刷するために使用され得る。複数のSLMは3D生体材料を印刷するために使用され得る。複数のSLMは直列に配置され得る。複数のSLMは並列に配置され得る。少なくとも1つ以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも2つ以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも3つ以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも4つ以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも5つ以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも10以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも20以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約50以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約20以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約15以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約10以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約5以上のSLMは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0131】
複数のDMDは3D生体材料を印刷するために使用され得る。複数のDMDは直列に配置され得る。複数のDMDは並列に配置され得る。少なくとも1つ以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも2つ以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも3つ以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも4つ以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも5つ以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも10以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも20以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約50以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約20以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約15以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約10以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。少なくとも1~約5以上のDMDは、3D生体材料を印刷するために使用され得る。
【0132】
この設計において、SLMは液晶SLMを指し、DMDの機能はSLMと同様であり得る。これらのレーザーは、多数のレーザーラインの位置および印刷タイミングに対処するべく1つ以上のコンピュータ入力によって制御され得る。随意の一連の励起経路を含む、光路の全体設計の一例は、表1に提供される要素の更なる記載とともに、
図3Aに例証される。二光子励起光のパケット間のパルス幅が広いことから、非干渉的なこれらのレーザーラインの任意の組み合わせは、印刷と同時の画像化を伴う印刷に同時に使用され得る。これにより、ビームが交差しないようにビーム間の干渉が実質的に低くすることができる。ゆえに、表1で提供される要素のさらなる記載とともに、
図3B-3Cで例示されるように、最小~ゼロの干渉を伴う多数のレーザーラインの使用が可能である。この構成における群遅延分散光学素子は、ピーク電力出力が特定の構成で使用される場合に光ファイバケーブルを破損しないように、二光子パケットを分散させるために使用され得る。加えて、群遅延分散は、より多くのエネルギーが焦点に与えられるか、あるいは、迅速な印刷を可能にする投影画像において与えられるように、より短いパルス幅へと光子を集中させることができる。
【0133】
二光子励起パルスは、単一スポットでの励起がフェムト秒~ナノ秒の長さの範囲のパルスで生じるように一時的に制御され、その一方で、これらの光子パケット間のタイミングは、そのパルス幅よりも3~6桁だけ長い。これにより、直列の多数のレーザーラインを使用する際に可能な同時印刷のために、多数のレーザーを使用するレーザー励起の最小の交差経路干渉が可能となる。構造の堆積の目的で3つの異なる理論的波長での多数のレーザー投影の一例が
図3Bに示されている。多光子レーザーは調整可能であり;ゆえに、これらは、波長の範囲が選択されることを可能にする。このことは組織印刷に都合の良いものであり、ここで、異なる波長に反応する重合に対する異なる光重合開始剤は、余剰の材料の望ましくない重合を防ぐべく、組み合わせて、あるいは、連続して使用されてもよい。ゆえに、これらのレーザーラインの各々は、異なる多光子出力波長に合わせられ、異なるピーク電力出力を持ち、および、組織構造を含むCAD画像の異なる要素を投影することがある。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
図4A-4Bは、アキシコンまたは調整可能な音響勾配(TAG)レンズの前の随意のビームエクスパンダの配置を実証する。これによって、焦点忠実度を損なうことなく印刷中に組織および混濁培地における深度浸透を増加させる目的でベッセルビームの生成が可能となることもある。この特徴は、電力を損失することなく混濁培地またはすでに形成された組織を介した印刷の深度を改善することがある。
【0139】
レンズは、デュアルSLMまたはDMDの組み合わせの後にレーザーを広げるか、あるいは事前に集束させるために使用され得る。加えて、コンピュータ制御されるレーザー減衰デバイスまたはフィルタリングホイールは、印刷の部位でレーザーパワー出力を制御するために、オプティックスを集束させる前に追加されてもよい。
【0140】
図4Cは、ビームコレクタ(B)にレーザービームを投影するレーザー源(A)を例証する。ビームコレクタ(B)を出ると、レーザービームは、所定のZ工程で印刷された細胞と結果として生じる構造付近でのコラーゲンネット印刷のために、光TAGまたはアキシコン(C)に向けられ、さらに、2Dのx、yシート投影用の移動可能な単一のSLMまたはDMD(D)に向けられる。レーザービームは、SLMまたはDMD(D)からミラー(G)に向けられ、その後、印刷ヘッドオプティックス(H)へ反射され得る。この例において、二次元(2D)投影は、投影のフレームレートに一致するz-運動-段階的動作を伴う単一のSLMで作成され得る。z-スタックスライスの二次元映像投影は、各工程が2D画像を上下に印刷する別個の画像を投影するように、z-運動で時間調整される単一のDMDまたは単一のSLMにより達成され得る。別の実施形態において、複雑な構造は、横から、下から上、あるいは異なるアーティキュレーション(articulation)から、および、スライスごとに投影され、多光子または代替的なレーザー励起源を使用して2D投影および印刷されることもある。CAD画像の源(F)は、コンピュータ(E)からシステムに向けられ得る。システムは、Z投影の工程レート(ミリ秒~秒)と工程サイズに一致し得る、モーター駆動ステージ(I)を含み得る。工程サイズは、ミクロン~ナノメートルほどであり得る。
図4Cにおいて、1、2、および3は、平面の投影構築工程の例を例証する。
【0141】
図12は、三次元印刷システムの実施形態の光学コンポーネントと光学経路を例証する。
図12に示される光学コンポーネントと光学経路は、時間的集束を使用しない三次元印刷システムを提供し得る。三次元印刷システムはエネルギー源(1000)を含み得る。エネルギー源(1000)はコヒーレント光源であり得る。エネルギー源(1000)はレーザー光であり得る。エネルギー源(1000)はフェムト秒パルスレーザー光源であり得る。エネルギー源(1000)は、第1のレーザー源(140a)、第2のレーザー源(140b)、または第3のレーザー源(140c)であり得る。エネルギー源(1000)は多光子レーザービーム(120)であり得る。エネルギー源(1000)は二光子レーザービームであり得る。エネルギー源(1000)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。エネルギー源(1000)はコンピュータシステム(1101)によって調整され得る。コンピュータシステム(1101)は、印刷プロセスの前またはその最中に、エネルギー源(1000)のエネルギー波長を制御および/または設定することもある。こうしたコンピュータシステム(1101)は、エネルギー源(1000)の波長を設定することにより異なる励起波長を生成することがある。
【0142】
エネルギー源(1000)はパルス化され得る。エネルギー源(1000)は約500キロヘルツ(kHz)のレートでパルス化され得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約10マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から20μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約40マイクロジュール(μJ)から80μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約120マイクロジュール(μJ)から160μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0143】
エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約10μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約20μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約30μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約40μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約50μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約60μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約70μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約80μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約90μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約100μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約110μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約120μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約130μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約140μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約150μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約160μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約170μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約180μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約190μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約200μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約20,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約100,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1,000,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0144】
エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、例えば、少なくとも約300nm~約5mm以上の波長を持つエネルギービーム(例えば、光線)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約600~約1500nm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約350nm~約1800nm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1800nm~約5mm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約300nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約400nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約600nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約700nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約800nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約900nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1100nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1200nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1300nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1400nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1500nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1600nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1700nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1800nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約1900nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約2000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約3000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約4000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1000)(例えば、レーザー)は、約5000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0145】
図12で示されるように、エネルギー源(1000)は、シャッター(1004)を介してレーザービーム(1002)を投影し得る。いったん、レーザービーム(1002)がシャッター(1004)を出ると、レーザービーム(1002)は回転する1/2波長板(1006)を介して配向され得る。回転する1/2波長板は、大半が光線の偏光状態を操作するために使用され得る特定の量の複屈折を持つ透明なプレートであり得る。回転する1/2波長板は、共にレーザービーム(1002)の方向に垂直である、遅い軸および速い軸(すなわち、2つの偏光方向)を有し得る。回転する1/2波長板(1006)は、2つの直線偏光方向間の位相遅延の差がπとなるように、レーザービーム(1002)の偏光状態を変えることができる。位相遅延の差は、λ/2の距離以上の伝播位相シフトに対応することがある。他のタイプの波長板は本明細書に開示されるシステムで利用され;例えば、回転する4分の1波長板が使用されてもよい。回転する1/2波長板(1006)は、真ゼロ次波長板、低位波長板、または多オーダー波長板でもよい。回転する1/2波長板(1006)は、結晶性のクオーツ(SiO
2)、方解石(CaCO
3)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、サファイア(Al
2O
3)、雲母、または複屈折ポリマーで構成され得る。
【0146】
レーザービーム(1002)は、回転する1/2波長板(1006)を出て、偏光ビームスプリッタ(1008)を介して配向され得る。偏光ビームスプリッタ(1008)は、レーザービーム(1002)を第1のレーザービーム(1002a)および第2のレーザービーム(1002b)へと分割し得る。第1のレーザービーム(1002a)はビームダンプ(1010)に向けられ得る。ビームダンプ(1010)は、レーザービームの迷光部分を吸収するために使用され得る光学素子である。ビームダンプ(1010)は第1のレーザービーム(1002a)を吸収し得る。第1のレーザービーム(1002a)は迷光レーザービームであり得る。ビームダンプ(1010)は第2のレーザービーム(1002b)を吸収し得る。第2のレーザービーム(1002b)は迷光レーザービームであり得る。レーザービーム(1002)は、ビームダンプ(1010)へそのまま向けられ、ゆえに、印刷システムのデフォルトの「オフ」状態として機能し得る。第2のレーザービーム(1002b)はビームエクスパンダ(1012)に向けられ得る。ビームエクスパンダ(1012)は、レーザービーム(1002b)のサイズを拡大することができる。ビームエクスパンダ(1012)は、入力された第2のレーザービーム(1002b)の直径を、出力された拡大レーザービーム(1054)のより大きな直径に増加させることができる。ビームエクスパンダ(1012)はプリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1012)は伸縮自在なビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1012)は多プリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1012)はガリレオ式ビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1012)は、約2X、3X、5X、10X、20X、または40Xのビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1012)は、約2X~約5Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1012)は、約2X~約5Xの連続ビーム拡大を提供し得る。ビームエクスパンダ(1012)は、約5X~約10Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1012)は、約5X~約10Xの連続ビーム拡大を提供し得る。拡大レーザービーム(1054)はビームエクスパンダ(1012)を出る際にコリメートされる。
【0147】
ビームエクスパンダ(1012)を出た後、拡大レーザービーム(1054)は、第1のミラー(1014a)に向けられ、これは、空間光変調器(SLM)(1016)に拡大レーザービーム(1054)を再配向することがある。SLM(1016)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。SLM(1016)は、特定の画像または本明細書に開示される方法およびシステムを使用して印刷される特定画像あるいは物質の画像の特定部分を投影するために配向され得る。印刷される材料は生体材料であり得る。生体材料は三次元生体材料であり得る。特定の画像または画像の特定の部分は、一次元、二次元、および/または三次元であり得る。SLM(1016)は、異なる波長の光において少なくとも1つの画像を同時に投影するために配向され得る。SLM(1016)は、コンピュータシステム(1101)の代わりにミラーを使用することにより印刷される物質の異なる態様を投影するために配向され得る。場合によっては、少なくとも1つのミラーは、印刷される物質の異なる態様または部分を印刷するために、特定の光路またはレーザービームを再配向するべく、あるいはそれらを「オフ」または「オン」にするべく、使用され得る。
【0148】
SLM(1016)を出た後、拡大レーザービーム(1054)は、f1レンズ(1018)に向けられ得る。f1レンズ(1018)は集束レンズであり得る。f1レンズ(1018)を出た後、拡大レーザービーム(1054)は、遮断要素(1020)に向けられ得る。遮断要素(1020)は固定され得る。遮断要素(1020)は、ゼロ次スポットからの照射を抑えることができる。ゼロ次は、回折されず、かつ、反射と屈折の法則に従って挙動する拡大レーザービーム(1054)からのエネルギーの一部であり得る。遮断要素(1020)を出た後、拡大エネルギービーム(1054)は、f2レンズ(1022)に向けられ得る。f2レンズは集束レンズであり得る。
【0149】
f2レンズ(1022)を出た後、拡大レーザービーム(1054)は第2のミラー(1014b)に向けられ、続いて第3のミラー(1014c)に向けられ得る。第3のミラー(1014c)は、ロングパスダイクロイックミラー(1024)を介して拡大レーザービーム(1054)を再配向することがある。第1のミラー(1014a)、第2のミラー(1014b)、および/または第3のミラー(1014c)は、反射率を改善するために赤外線(IR)コーティングを含み得る。第1のミラー(1014a)、第2のミラー(1014b)、および/または第3のミラー(1014c)は、赤外線(IR)コーティングを含まない場合もある。IRコーティングの非限定的な例は、保護された金ベースのコーティング、および保護された銀ベースのコーティングを含む。第1のミラー(1014a)、第2のミラー(1014b)、および/または第3のミラー(1014c)は、コンピュータシステム(1101)で制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、望ましいように、拡大レーザービーム(1054)を再配向するために、第1のミラー(1014a)、第2のミラー(1014b)、および/または第3のミラー(1014c)を「オン」または「オフ」にすることができる。
【0150】
ダイクロイックミラーはショートパスダイクロイックミラーでもよい。ロングパスダイクロイックミラー(1024)は、拡大レーザービーム(1054)を焦点対物レンズ(1032)へと反射し得る。いくつかの例において、ロングパスダイクロイックミラー(1024)を使用する代わりに、拡大レーザービーム(1054)を焦点対物レンズ(1032)へ再配向するために、ビームコンバイナーが使用され得る。ロングパスダイクロイックミラー(1024)は、焦点対物レンズ(1032)へ拡大レーザービーム(1054)を再配向するためにコンピュータシステム(1101)により制御され得る。焦点対物レンズ(1032)は、印刷チャンバ(1034)へ投影されると拡大レーザービーム(1054)を集束させることがある。印刷チャンバ(1034)は培地チャンバ(122)であり得る。印刷チャンバ(1034)は、細胞含有培地、複数の細胞、細胞構成成分(例えば、細胞小器官)、および/または少なくとも1つのポリマー前駆体を含み得る。
【0151】
発光ダイオード(LED)コリメーター(1040)は、コリメートされたLED光(1056)の源として使用され得る。LEDコリメーター(1040)は、コリメータレンズおよびLEDエミッタを含み得る。LEDは、無機LED、高輝度LED、量子ドットLED、または有機LEDであり得る。LEDは、単色LED、二色LED、または三色LEDであり得る。LEDは、青色LED、紫外線LED、白色LED、赤外線LED、赤色LED、オレンジ色LED、黄色LED、緑色LED、スミレ色LED、ピンク色LED、または紫色LEDであり得る。LEDコリメーター(1040)は、f4レンズ(1038)を介してコリメートされたLED光(1056)のビームを投影し得る。f4レンズ(1038)は集束レンズであり得る。いったん、コリメートされたLED光(1056)がf4レンズ(1038)を介して伝えられると、コリメートされたLED光(1056)は集光対物レンズ(1036)へ向けられ得る。集光対物レンズ(1036)は、印刷チャンバ(1034)へ、コリメートされたLED光(1056)を集束させることができる。集光対物レンズ(1036)は、サンプル培地におけるコリメートされたLED光(1056)を集束させることができる。集光対物レンズ(1036)は、細胞含有培地においてコリメートされたLED光(1056)を集束させることができる。コリメートされたLED光(1056)は、印刷チャンバ(1034)を通って焦点対物レンズ(1032)へと伝えられ得る。いったん、コリメートされたLED光(1056)が焦点対物レンズ(1032)を出ると、コリメートされたLED光(1056)はロングパスダイクロイックミラー(1024)へと向けられ得る。ロングパスダイクロイックミラー(1024)から反射されるコリメートされたLED光(1056)は、サンプル放出物(1026)であり得る。ロングパスダイクロイックミラー(1024)は、f3レンズ(1028)へとサンプル放出物(1026)を再配向し得る。f3レンズ(1028)は集束レンズであり得る。いったん、サンプル放出物(1026)がf3レンズ(1028)を介して送られると、検出システム(1030)は画像化のためにサンプル放出物(1026)を検出および/または収集する。検出システム(1030)は少なくとも1つの光電子増倍管(PMT)を含み得る。検出システム(1030)は少なくとも1つのカメラを含み得る。カメラは、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、科学的CMOSカメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、または電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)であり得る。検出システム(1030)は少なくとも1つのアレイベースの検出器を含み得る。
【0152】
図13は、三次元印刷システムのさらに別の実施形態の光学コンポーネントおよび光学経路を例証する。
図13に示される光学コンポーネントおよび光学経路は、時間的集束を使用しない三次元印刷システムを提供し得る。三次元印刷システムはエネルギー源(1100)を含み得る。エネルギー源(1100)はコヒーレント光源であり得る。エネルギー源(1100)はレーザー光であり得る。エネルギー源(1100)はフェムト秒パルスレーザー光源であり得る。エネルギー源(1100)は、第1のレーザー源(140a)、第2のレーザー源(140b)、または第3のレーザー源(140c)であり得る。エネルギー源(1100)は多光子レーザービーム(120)であり得る。エネルギー源(1100)は二光子レーザービームであり得る。エネルギー源(1100)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。エネルギー源(1100)はコンピュータシステム(1101)によって調整され得る。コンピュータシステム(1101)は、印刷プロセスの前またはその最中に、エネルギー源(1100)のエネルギー波長を制御および/または設定することもある。こうしたコンピュータシステム(1101)は、エネルギー源(1100)の波長を設定することにより異なる励起波長を生成することがある。
【0153】
エネルギー源(1100)はパルス化され得る。エネルギー源(1100)は約500キロヘルツ(kHz)のレートでパルス化され得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約10マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から20μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約40マイクロジュール(μJ)から80μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約120マイクロジュール(μJ)から160μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0154】
エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約10μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約20μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約30μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約40μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約50μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約60μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約70μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約80μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約90μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約100μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約110μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約120μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約130μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約140μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約150μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約160μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約170μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約180μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約190μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約200μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約20000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約100000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、パルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0155】
エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、約300nm~5mm、600nm~1500nm、350nm~1800nm、または1800nm~5mmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1100)(例えば、レーザー)は、少なくとも約300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、3mm、4mm、5mm、またはそれ以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0156】
図13に示されるように、エネルギー源(1100)は、シャッター(1104)を介してレーザービーム(1102)を投影することがある。いったん、レーザービーム(1102)がシャッター(1104)を出ると、レーザービーム(1102)は回転する1/2波長板(1106)を介して配向され得る。回転する1/2波長板(1106)は、2つの直線偏光方向間の位相遅延の差がπとなるように、レーザービーム(1102)の偏光状態を変えることができる。位相遅延の差は、λ/2の距離以上の伝播位相シフトに対応することがある。他のタイプの波長板は本明細書に開示されるシステムで利用され;例えば、回転する4分の1波長板が使用されてもよい。回転する1/2波長板(1106)は、真ゼロオーダー波長板、低位波長板、または多オーダー波長板でもよい。回転する1/2波長板(1106)は、結晶性のクオーツ(SiO
2)、方解石(CaCO
3)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、サファイア(Al
2O
3)、雲母、または複屈折ポリマーで構成され得る。
【0157】
レーザービーム(1102)は、回転する1/2波長板(1106)を出て、偏光ビームスプリッタ(1108)を介して配向され得る。偏光ビームスプリッタ(1108)は、レーザービーム(1102)を第1のレーザービーム(1102a)および第2のレーザービーム(1102b)へと分割し得る。第1のレーザービーム(1102a)はビームダンプ(1110)に向けられ得る。ビームダンプ(1110)は、レーザービームの迷走部分を吸収するために使用され得る光学素子である。ビームダンプ(1110)は第1のレーザービーム(1102a)を吸収し得る。第1のレーザービーム(1102a)は迷光レーザービームであり得る。ビームダンプ(1110)は第2のレーザービーム(1102b)を吸収し得る。第2のレーザービーム(1102b)は迷光レーザービームであり得る。レーザービーム(1102)は、ビームダンプ(1110)へそのまま向けられ、ゆえに、印刷システムのデフォルトの「オフ」状態として機能し得る。第2のレーザービーム(1102b)はビームエクスパンダ(1112)に向けられ得る。ビームエクスパンダ(1112)は、2レーザービーム(1102b)のサイズを拡大することができる。ビームエクスパンダ(1112)は、入力された第2のレーザービーム(1102b)の直径を、出力された拡大レーザービーム(1154)のより大きな直径に増加させることができる。ビームエクスパンダ(1112)はプリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1112)は伸縮自在なビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1112)は多プリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1112)はガリレオ式ビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1112)は、約2X、3X、5X、10X、20X、または40Xのビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1112)は、約2X~約5Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1112)は、約2X~約5Xの連続ビーム拡大を提供し得る。ビームエクスパンダ(1112)は、約5X~約10Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1112)は、約5X~約10Xの連続ビーム拡大を提供し得る。拡大レーザービーム(1154)はビームエクスパンダ(1112)を出る際にコリメートされる。
【0158】
ビームエクスパンダ(1112)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は、第1のミラー(1114a)に向けられ、これは、第1の空間光変調器(SLM)(1116a)に拡大レーザービーム(1154)を再配向することがある。第1のSLM(1116)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は、f1レンズ(1118)に向けられ得る。f1レンズ(1118)は集束レンズであり得る。f1レンズ(1118)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は、回折格子(1142)に向けられ得る。回折格子(1142)は回折レーザービームスプリッタであり得る。回折格子(1142)はホログラフィック回折格子であり得る。回折格子(1142)は規定された回折格子であり得る。回折格子(1142)はサブ波長回折格子であり得る。回折格子(1142)は、拡大レーザービーム(1154)を複数の拡大レーザービームへ分割および/または回折することがある(
図13には示されず)。回折格子(1142)は分散素子として作用し得る。いったん、拡大レーザービーム(1154)が回折格子(1142)によって分割され、回折され、および/または分散されると、拡大レーザービーム(1154)はf2レンズ(1122)を介して伝えられ得る。f2レンズ(1122)は集束レンズであり得る。f2レンズ(1122)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は、第2のSLM(1116b)に向けられ得る。SLM(すなわち、第1のSLM(1116a)および第2のSLM(1116b))は、コンピュータシステム(1101)によって制御され得る。SMLは、上述のように、
図12に示されたSLM(1016)の機能をすべて実行し得る。
【0159】
第2のSLM(1116b)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は、f3レンズ(1128)に向けられ得る。f3レンズ(1128)は集束レンズであり得る。f3レンズを出た後、拡大レーザービーム(1154)は、遮断要素(1120)に向けられ得る。遮断要素(1120)は固定され得る。遮断要素(1120)は、ゼロ次スポットからの照射を抑えるために使用され得る。遮断要素(1120)を出た後、拡大エネルギービーム(1154)は、f4レンズ(1138)に向けられ得る。f4レンズ(1138)は集束レンズであり得る。f4レンズ(1138)を出た後、拡大レーザービーム(1154)は第2のミラー(1114b)に向けられ、続いて第3のミラー(1114c)に向けられ得る。第3のミラー(1114c)は、ロングパスダイクロイックミラー(1124)を介して拡大レーザービーム(1154)を再配向することがある。第1のミラー(1114a)、第2のミラー(1114b)、および/または第3のミラー(1114c)は、コンピュータシステム(1101)で制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、望ましいように、拡大レーザービーム(1154)を再配向するために、第1のミラー(1114a)、第2のミラー(1114b)、および/または第3のミラー(1114c)を「オン」または「オフ」にすることができる。ダイクロイックミラーはショートパスダイクロイックミラーでもよい。ロングパスダイクロイックミラー(1124)は、拡大レーザービーム(1154)を焦点対物レンズ(1132)へと反射し得る。いくつかの例において、ロングパスダイクロイックミラー(1124)を使用する代わりに、拡大レーザービーム(1154)を焦点対物レンズ(1132)へ再配向するために、ビームコンバイナーが使用され得る。ロングパスダイクロイックミラー(1124)は、焦点対物レンズ(1132)へ拡大レーザービーム(1154)を再配向するためにコンピュータシステム(1101)により制御され得る。焦点対物レンズ(1132)は、印刷チャンバ(1134)へ投影されると拡大レーザービーム(1154)を集束させることがある。印刷チャンバ(1134)は培地チャンバ(122)であり得る。印刷チャンバ(1134)は、細胞含有培地、複数の細胞、細胞構成成分(例えば、細胞小器官)、および/または少なくとも1つのポリマー前駆体を含み得る。
【0160】
印刷チャンバ(1134)は移動可能ステージ(1146)に取り付けられ得る。移動可能ステージ(1146)は、xyステージ、zステージ、および/またはxyzステージであり得る。移動可能ステージ(1146)は手動で位置決めされ得る。移動可能ステージ(1146)は自動的に位置決めされ得る。移動可能ステージ(1146)はモーター駆動ステージであり得る。移動可能ステージ(1146)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、x、y、および/またはz方向での移動可能ステージ(1146)の動きを制御し得る。コンピュータシステム(1101)は、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1146)を自動的に位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約3μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1146)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約2μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1146)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約1μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1146)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、三次元印刷の前、またはその間に、移動可能ステージ(1146)の位置を自動的に調整し得る。コンピュータシステム(1101)は、コンピュータ制御のZ軸(すなわち、垂直方向)の位置決め、および動的な位置フィードバックを提供するために、圧電気(ピエゾ)制御装置を含み得る。コンピュータシステム(1101)は、ユーザーが移動可能ステージ(1146)の位置を制御することができるようにジョイスティックコンソールを含み得る。ジョイスティックコンソールは、z軸コンソールおよび/またはX軸およびY軸コンソールであり得る。移動可能ステージ(1146)は印刷チャンバホルダーを含み得る。印刷チャンバホルダーは、ブラケット、クリップ、および/または凹型サンプルホルダーであり得る。移動可能ステージ(1146)は、多スライドホルダー、スライドホルダー、および/または、ペトリ皿ホルダーを含み得る。移動可能ステージ(1146)は、位置フィードバックを提供するためのセンサを含み得る。センサは容量センサであり得る。センサはピエゾ抵抗センサであり得る。移動可能ステージ(1146)は、移動可能ステージ(1146)を移動させる(または位置決めする)、少なくとも1つのアクチュエーター(例えば圧電アクチュエーター)を含み得る。
【0161】
発光ダイオード(LED)コリメーター(1140)は、コリメートされたLED光(1156)の源として使用され得る。LEDコリメーター(1140)は、コリメータレンズおよびLEDエミッタを含み得る。LEDは、無機LED、高輝度LED、量子ドットLED、または有機LEDであり得る。LEDは、単色LED、二色LED、または三色LEDであり得る。LEDは、青色LED、紫外線LED、白色LED、赤外線LED、赤色LED、オレンジ色LED、黄色LED、緑色LED、スミレ色LED、ピンク色LED、または紫色LEDであり得る。LEDコリメーター(1140)は、f6レンズ(1148)を介してコリメートされたLED光(1156)のビームを投影し得る。f6レンズ(1148)は集束レンズであり得る。いったん、コリメートされたLED光(1156)がf6レンズ(1148)を介して伝えられると、コリメートされたLED光(1156)は集光対物レンズ(1136)へ向けられ得る。集光対物レンズ(1136)は、印刷チャンバ(1134)へ、コリメートされたLED光(1156)を集束させることができる。集光対物レンズ(1136)は、サンプル培地におけるコリメートされたLED光(1156)を集束させることができる。集光対物レンズ(1136)は、細胞含有培地においてコリメートされたLED光(1156)を集束させることができる。コリメートされたLED光(1156)は、印刷チャンバ(1134)を通って焦点対物レンズ(1132)へと伝えられ得る。いったん、コリメートされたLED光(1156)が焦点対物レンズ(1132)を出ると、コリメートされたLED光(1156)はロングパスダイクロイックミラー(1124)へと向けられ得る。ロングパスダイクロイックミラー(1124)から反射されるコリメートされたLED光(1156)は、サンプル放出物(1126)であり得る。ロングパスダイクロイックミラー(1124)は、f5レンズ(1144)へとサンプル放出物(1126)を再配向し得る。f5レンズ(1144)は集束レンズであり得る。いったん、サンプル放出物(1126)がf5レンズ(1144)を介して送られると、検出システム(1130)は画像化のためにサンプル放出物(1126)を検出および/または収集する。検出システム(1130)は少なくとも1つの光電子増倍管(PMT)を含み得る。検出システム(1130)は少なくとも1つのカメラを含み得る。カメラは、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、科学的CMOSカメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、または電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)であり得る。検出システム(1130)は少なくとも1つのアレイベースの検出器を含み得る。
【0162】
図14は、三次元印刷システムの追加の実施形態の光学コンポーネントおよび光学経路を例証する。
図14に示される光学コンポーネントおよび光学経路は、時間的集束を使用しないこともある三次元印刷システムを提供する。三次元印刷システムはエネルギー源(1200)を含み得る。エネルギー源(1200)はコヒーレント光源であり得る。エネルギー源(1200)はレーザー光であり得る。エネルギー源(1200)はフェムト秒パルスレーザー光源であり得る。エネルギー源(1200)は、第1のレーザー源(140a)、第2のレーザー源(140b)、または第3のレーザー源(140c)であり得る。エネルギー源(1200)は多光子レーザービーム(120)であり得る。エネルギー源(1200)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。エネルギー源(1200)はコンピュータシステム(1101)によって調整され得る。コンピュータシステム(1101)は、印刷プロセスの前またはその最中に、エネルギー源(1200)のエネルギー波長を制御および/または設定することもある。こうしたコンピュータシステム(1101)は、エネルギー源(1200)の波長を設定することにより異なる励起波長を生成することがある。
【0163】
エネルギー源(1200)はパルス化され得る。エネルギー源(1200)は約500キロヘルツ(kHz)のレートでパルス化され得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000,000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から1,000μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約10マイクロジュール(μJ)から100μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から20μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1マイクロジュール(μJ)から50μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約40マイクロジュール(μJ)から80μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約120マイクロジュール(μJ)から160μJ以上のパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0164】
エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約10μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約20μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約30μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約40μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約50μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約60μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約70μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約80μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約90μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約100μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約110μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約120μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約130μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約140μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約150μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約160μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約170μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約180μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約190μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約200μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約20000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約100000μJのパルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、パルスエネルギー(1つのパケット当たり)を伴うエネルギーパケットを持つ、エネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0165】
エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、例えば、少なくとも約300nm~約5mm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約600~約1500nm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約350nm~約1800nm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、少なくとも約1800nm~約5mm以上の波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約300nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約400nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約600nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約700nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約800nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約900nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1200nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1200nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1200nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1300nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1400nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1500nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1600nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1700nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1800nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約1900nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約2000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約3000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約4000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。エネルギー源(1200)(例えば、レーザー)は、約5000nmの波長を持つエネルギー(例えば、レーザービーム)を提供し得る。
【0166】
図14に示されるように、エネルギー源(1200)は、シャッター(1104)を介してレーザービーム(1202)を投影し得る。いったん、レーザービーム(1202)がシャッター(1204)を出ると、レーザービーム(1202)は回転する1/2波長板(1206)を介して配向され得る。回転する1/2波長板(1206)は、2つの直線偏光方向間の位相遅延における差がπとなるように、レーザービーム(1202)の偏光状態を変えることができる。位相遅延の差は、λ/2の距離にわたって伝播位相シフトに対応することがある。他のタイプの波長板は本明細書に開示されるシステムで利用され;例えば、回転する4分の1波長板が使用されてもよい。回転する1/2波長板(1206)は、真ゼロ次波長板、低位波長板、または多オーダー波長板でもよい。回転する1/2波長板(1206)は、結晶性のクオーツ(SiO
2)、方解石(CaCO
3)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、サファイア(Al
2O
3)、雲母、または複屈折ポリマーで構成され得る。
【0167】
レーザービーム(1202)は、回転する1/2波長板(1206)を出て、偏光ビームスプリッタ(1208)を介して配向され得る。偏光ビームスプリッタ(1208)は、レーザービーム(1202)を第1のレーザービーム(1202a)および第2のレーザービーム(1202b)へと分割し得る。第1のレーザービーム(1202a)はビームダンプ(1210)に向けられ得る。ビームダンプ(1210)は、レーザービームの迷走部分を吸収するために使用され得る光学素子である。ビームダンプ(1210)は第1のレーザービーム(1202a)を吸収し得る。第1のレーザービーム(1202a)は迷光レーザービームであり得る。ビームダンプ(1210)は第2のレーザービーム(1202b)を吸収し得る。第2のレーザービーム(1202b)は迷光レーザービームであり得る。レーザービーム(1202)は、ビームダンプ(1210)へそのまま向けられ、ゆえに、印刷システムのデフォルトの「オフ」状態として機能し得る。第2のレーザービーム(1202b)はビームエクスパンダ(1212)に向けられ得る。ビームエクスパンダ(1212)は、2レーザービーム(1202b)のサイズを拡大することができる。ビームエクスパンダ(1212)は、入力された第2のレーザービーム(1202b)の直径を、出力された拡大レーザービーム(1254)のより大きな直径に増加させることができる。ビームエクスパンダ(1212)はプリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1212)は伸縮自在なビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1212)は多プリズムビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1212)はガリレオ式ビームエクスパンダであり得る。ビームエクスパンダ(1212)は、約2X、3X、5X、10X、20X、または40Xのビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1212)は、約2X~約5Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1212)は、約2X~約5Xの連続ビーム拡大を提供し得る。ビームエクスパンダ(1212)は、約5X~約10Xに及ぶビームエクスパンダ能力を提供し得る。ビームエクスパンダ(1212)は、約5X~約10Xの連続ビーム拡大を提供し得る。拡大レーザービーム(1254)はビームエクスパンダ(1212)を出る際にコリメートされる。
【0168】
ビームエクスパンダ(1212)を出た後、拡大レーザービーム(1254)は、第1のミラー(1214a)に向けられ、これは、第1の空間光変調器(SLM)(1216a)に拡大レーザービーム(1254)を再配向することがある。第1のSLM(1216)を出た後、拡大レーザービーム(1254)は、f1レンズ(1218)に向けられ得る。f1レンズ(1218)は集束レンズであり得る。f1レンズを出た後、拡大レーザービーム(1254)は、遮断要素(1250)を備えたミラーに向けられ得る。遮断要素(1250)を備えたミラーは、ゼロ次スポットからの照射を抑えるために使用され得る。
【0169】
いったん、拡大レーザービーム(1254)が遮断要素(1250)を備えたミラーによって反射されると、拡大レーザービーム(1254)はf2レンズ(1222)を介して伝達され得る。f2レンズ(1222)は集束レンズであり得る。f2レンズ(1222)を出た後、拡大レーザービーム(1254)は、第2のSLM(1216b)に向けられ得る。SLM(すなわち、第1のSLM(1216a)および第2のSLM(1216b))は、コンピュータシステム(1101)によって制御され得る。
図44および45それぞれに示されるように、SMLは、SLM(1016)とSLM(1116)の上述のような機能を全て実行し得る。
【0170】
第2のSLM(1216b)を出た後、拡大レーザービーム(1254)は、f3レンズ(1228)に向けられ得る。f3レンズを出た後、拡大レーザービーム(1254)は、遮断要素(1220)に向けられ得る。遮断要素(1220)は固定され得る。遮断要素(1220)は、ゼロ次スポットからの照射を抑えるために使用され得る。遮断要素(1220)を出た後、拡大エネルギービーム(1254)は、f4レンズ(1238)に向けられ得る。f4レンズ(1238)は集束レンズであり得る。f4レンズ(1238)を出た後、拡大レーザービーム(1254)は第2のミラー(1214b)に向けられ、続いて第3のミラー(1214c)に向けられ得る。第3のミラー(1214c)は、ロングパスダイクロイックミラー(1224)を介して拡大レーザービーム(1254)を再配向することがある。第1のミラー(1214a)、第2のミラー(1214b)、および/または第3のミラー(1214c)は、コンピュータシステム(1101)で制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、望ましいように、拡大レーザービーム(1254)を再配向するために、第1のミラー(1214a)、第2のミラー(1214b)、および/または第3のミラー(1214c)を「オン」または「オフ」にすることができる。ダイクロイックミラーはショートパスダイクロイックミラーでもよい。ロングパスダイクロイックミラー(1224)は、拡大レーザービーム(1254)を焦点対物レンズ(1232)へと反射し得る。いくつかの例において、ロングパスダイクロイックミラー(1224)を使用する代わりに、拡大レーザービーム(1254)を焦点対物レンズ(1232)へ再配向するために、ビームコンバイナーが使用され得る。ロングパスダイクロイックミラー(1224)は、焦点対物レンズ(1232)へ拡大レーザービーム(1254)を再配向するためにコンピュータシステム(1101)により制御され得る。焦点対物レンズ(1232)は、印刷チャンバ(1234)へ投影されると拡大レーザービーム(1254)を集束させることがある。印刷チャンバ(1234)は培地チャンバ(122)であり得る。印刷チャンバ(1234)は、細胞含有培地、複数の細胞、細胞構成成分(例えば、細胞小器官)、および/または少なくとも1つのポリマー前駆体を含み得る。
【0171】
印刷チャンバ(1134)は移動可能ステージ(1246)に取り付けられ得る。移動可能ステージ(1246)は、xyステージ、zステージ、および/またはxyzステージであり得る。移動可能ステージ(1246)は手動で位置決めされ得る。移動可能ステージ(1246)は自動的に位置決めされ得る。移動可能ステージ(1246)はモーター駆動ステージであり得る。移動可能ステージ(1246)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、x、y、および/またはz方向での移動可能ステージ(1246)の動きを制御し得る。コンピュータシステム(1101)は、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1246)を自動的に位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約3μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1246)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約2μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1246)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、最大約1μmの位置精度で、所望のx、y、および/またはz位置で移動可能ステージ(1246)を位置決めしてもよい。コンピュータシステム(1101)は、三次元印刷の前、またはその間に、移動可能ステージ(1246)の位置を自動的に調整することがある。コンピュータシステム(1101)は、コンピュータ制御のz軸(すなわち、垂直方向)の位置決め、および動的な位置フィードバックを提供するために、圧電気(ピエゾ制御装置を含み得る。コンピュータシステム(1101)は、ユーザーが移動可能ステージ(1246)の位置を制御することができるようにジョイスティックコンソールを含み得る。ジョイスティックコンソールは、z軸コンソールおよび/またはX軸およびY軸コンソールであり得る。移動可能ステージ(1246)は印刷チャンバホルダーを含み得る。印刷チャンバホルダーは、ブラケット、クリップ、および/または凹型サンプルホルダーであり得る。移動可能ステージ(1246)は、多スライドホルダー、スライドホルダー、および/または、ペトリ皿ホルダーを含み得る。移動可能ステージ(1246)は、位置フィードバックを提供するためのセンサを含み得る。センサは容量センサであり得る。センサはピエゾ抵抗センサであり得る。移動可能ステージ(1246)は、移動可能ステージ(1246)を移動させる(または位置決めする)、少なくとも1つのアクチュエーター(例えば、圧電アクチュエーター)を含み得る。
【0172】
発光ダイオード(LED)コリメーター(1240)は、コリメートされたLED光(1256)の源として使用され得る。LEDコリメーター(1240)は、コリメータレンズおよびLEDエミッタを含み得る。LEDは、無機LED、高輝度LED、量子ドットLED、または有機LEDであり得る。LEDは、単色LED、二色LED、または三色LEDであり得る。LEDは、青色LED、紫外線LED、白色LED、赤外線LED、赤色LED、オレンジ色LED、黄色LED、緑色LED、スミレ色LED、ピンク色LED、または紫色LEDであり得る。LEDコリメーター(1240)は、f6レンズ(1248)を介してコリメートされたLED光(1256)のビームを投影し得る。f6レンズ(1248)は集束レンズであり得る。いったん、コリメートされたLED光(1256)がf6レンズ(1248)を介して伝えられると、コリメートされたLED光(1156)は集光対物レンズ(1236)へ向けられ得る。集光対物レンズ(1236)は、印刷チャンバ(1234)へ、コリメートされたLED光(1256)を集束させることができる。集光対物レンズ(1236)は、サンプル培地におけるコリメートされたLED光(1256)を集束させることができる。集光対物レンズ(1236)は、細胞含有培地においてコリメートされたLED光(1256)を集束させることができる。コリメートされたLED光(1256)は、印刷チャンバ(1234)を通って焦点対物レンズ(1232)へと伝えられ得る。いったん、コリメートされたLED光(1256)が焦点対物レンズ(1232)を出ると、コリメートされたLED光(1256)はロングパスダイクロイックミラー(1224)へと向けられ得る。ロングパスダイクロイックミラー(1224)から反射されるコリメートされたLED光(1256)は、サンプル放出物(1226)であり得る。ロングパスダイクロイックミラー(1224)は、f5レンズ(1244)へとサンプル放出物(1226)を再配向し得る。f5レンズは集束レンズであり得る。いったん、サンプル放出物(1226)がf5レンズ(1244)を介して送られると、検出システム(1230)は画像化のためにサンプル放出物(1226)を検出および/または収集する。検出システム(1230)は少なくとも1つの光電子増倍管(PMT)を含み得る。検出システム(1230)は少なくとも1つのカメラを含み得る。カメラは、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、科学的CMOSカメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、または電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)であり得る。検出システム(1230)は少なくとも1つのアレイベースの検出器を含み得る。
【0173】
図15は光検出システム(1330)を例証する。光検出システム(1330)は、直列に配置された複数のロングパスダイクロイックミラーを含み得る。光検出システム(1330)は、並列に配置された複数のロングパスダイクロイックミラーを含み得る。光検出システム(1330)は、直列および並列に配置された複数のロングパスダイクロイックミラーを含み得る。
図44-46で示されるように、光学経路は、焦点対物レンズ上にコリメートされたLED光(1356)のビームを投影するLEDコリメーターを含み得る。いったん、コリメートされたLED光(1356)が第1のロングパスダイクロイックミラー(1324a)から反射されると、コリメートされたLED光(1356)はサンプル放出物(1326)に変換され得る。サンプル放出物(1326)はf5レンズ(1344)を介して配向され得る。f5レンズ(1344)は集束レンズであり得る。サンプル放出物(1326)がf5レンズ(1344)を出た後、サンプル放出物(1326)は、
図15に示されるように、第2のロングパスダイクロイックミラー(1324b)、第3のロングパスダイクロイックミラー(1324c)、第4のロングパスダイクロイックミラー(1324d)、および第5のロングパスダイクロイックミラー(1324e)を含む、一連のロングパスダイクロイックミラーに向けられ得る。サンプル放出物(1326)は、第2のロングパスダイクロイックミラー(1324b)から、第1の光検出器(1352a)へと反射され得る。サンプル放出物(1326)は、第3のロングパスダイクロイックミラー(1324c)から、第2の光検出器(1352b)へと反射され得る。サンプル放出物(1326)は、第4のロングパスダイクロイックミラー(1324d)から、第3の光検出器(1352c)へと反射され得る。サンプル放出物(1326)は、第5のロングパスダイクロイックミラー(1324e)から、第4の光検出器(1352d)へと反射され得る。サンプル放出物(1326)は、第5のロングパスダイクロイックミラー(1324e)から、第5の光検出器(1352e)へと反射され得る。光検出器は光電子増倍管(PMT)であり得る。光検出器はカメラであり得る。光検出器は、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、科学的CMOSカメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、または電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)であり得る。光検出器はアレイベースの検出器であり得る。光検出システム(1330)は、次第に赤色に推移したカットオフ波長を持つ複数のロングパスダイクロイックミラーを含み得る。いくつかの例において、第2のロングパスダイクロイックミラー(1324b)は約460nmのカットオフ波長を有し、第3のロングパスダイクロイックミラー(1324c)は約500nmのカットオフ波長を有し、第4のロングパスダイクロイックミラー(1324d)は約540nmのカットオフ波長を有し、第5のロングパスダイクロイックミラー(1324e)は約570nmのカットオフ波長を有することがある。光検出システム(1330)はコンピュータシステム(1101)によって制御され得る。コンピュータシステム(1101)は、第1の光検出器(1352a)、第2の光検出器(1352b)、第3の光検出器(1352c)、および第4の光検出器(1352d)によって得られた信号を集めて、および/または、処理することができる。コンピュータシステム(1101)は、コンピュータシステム(1101)によって収集および/または処理され得る、光検出システム(1330)の光検出器信号に基づいて三次元印刷システムに制御フィードバックを提供することができる。コンピュータシステム(1101)は、
図44-46に記載される光学経路の光学コンポーネントおよび/またはハードウェアにわたって制御フィードバックを備え得る。コンピュータシステム(1101)は、
図15に示される光検出システム(1330)の光学コンポーネントおよび/またはハードウェアにわたって制御フィードバックを備え得る。コンピュータシステム(1101)は、光検出システム(1330)からの信号に応じて、例えば、SLM、シャッタ、移動可能ステージ、ミラー、レンズ、焦点対物レンズ、ビームエクスパンダ、LEDコリメーター、回折格子、および/または遮断要素を制御することができる。
【0174】
図5Aは、多光子組織印刷ヘッド(118)の実施形態を例証する。多光子印刷ヘッド(118)は、レーザーシステム(116)から多光子レーザービーム(120)(1つ以上の波長を含む)を受け取ることができ、かつ、最終的な光学経路を介してビーム(120)を集束させることができ、最終的な光学経路は、随意のスキャンヘッド、後方散乱光の収集および記録用のロングパスミラー、および焦点対物レンズ(200)から成るフィニッシングオプティックス(finishing optics)で構成され、ビーム(120)を培地チャンバ(122)に投影する。光は、印刷に使用されるのと同じ対物レンズにより集められ、その後、ロングパスミラーを介して、単一または一揃いのPMT、あるいはCCDカメラにそらされる。
【0175】
いくつかの設計において、オプティックスは、光が組織印刷管に堆積する場所を容易に制御するために光ファイバケーブルを介してレーザーを送ることができる。
【0176】
本明細書に開示されるシステムは、例えば、さらに低倍率の様々な焦点対物レンズを利用することができ;視野は徐々に大きくなり得る。場合によっては、視野は、単一の投影領域において、顕微鏡で可能な印刷領域であり得る。場合によっては、5x、10x、または20xの対物レンズが利用され得る。場合によっては、少なくとも約0.6~約1.2以上に及ぶ大きな開口数を持つ対物レンズが利用され得る。本明細書に開示されるシステムは、例えば、約1x~約100xに及ぶ倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約1xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約2xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約3xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約4xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約10xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約20xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約40xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約60xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、約100xの倍率を有する対物レンズを使用することができる。
【0177】
印刷された組織の構造的な忠実度を維持するためには、細胞含有液体バイオゲル培地(126)内で入射角に実質的に一致するのに水浸対物レンズが理想的であり得る。印刷が大気とは大幅に異なる屈折率を持つ液体培地で生じると、屈折率変化を補正した水浸対物レンズが使用され得る。
【0178】
図5Bは、第1の対物レンズ(200a)および第2の対物レンズ(200b)を含む印刷ヘッド(118)を例証する。
図5Bは、構造を画像化するための反転したオプティックスを例証する。本実施形態において、光は、反転したオプティックスによって集められ、
図5Bに示されるように、CCDカメラ、単一のPMT、あるいは一揃いのPMTに導かれることで、多色画像が生成され得る。いくつかの実施形態において、第2の対物レンズヘッドを反転させてもよく、画像は組織の下側から集められ、入射光は一連のロングパスミラーまたはバンドパスミラーを備えたPMTにより読み取られてもよい。
【0179】
多光子ベースのプリンタを印刷モードから画像化モードへ切り替えるために、x、yラスタースキャンが行われ、DMDまたはSLMの経路はバイパスされ、デバイスはオフまたは不活性な位置にレンダリングされ、あるいは、x、yスキャンオプティックスに当たるレーザーラインが1つだけ存在するようにそれらを光路から取り除く。DMDまたはSLMの経路は、場合によっては画像化に使用され得る。
【0180】
画像化モードへの切り替えは、印刷プロセス中に様々な用途を備え得る:1)画像化は、二光子励起が構造にわたってスキャンされるときのプロセスである、第2の高調波発生を介してコラーゲンが自然に放射をもたらす際に、コラーゲン生成率をモニタリングするために使用可能である、2)印刷された組織の縁は、投影空間の縁に沿って血管と他の組織構造の適切な結合を促す画像化モードを使用して、見つけることが可能である、3)印刷された組織構造は、リアルタイムで投影された画像に対する構造的一体性と忠実度について検証可能である、および、4)一時的に標識された細胞が使用される場合、検証またはモニタリングのプロセスのために、上記細胞を印刷された組織内に位置決めすることができる。上記実施形態のレーザーシステム(116)は、限定されないが、以下を含むソフトウェア制御の様々な点を備え得ることが認識できる:CAD画像は、SLMおよび/またはDMDデバイスに接続された変更をプログラムすることにより投影され得る;TAGレンズがベッセルビームを作成するために使用される場合、TAGレンズの調整可能な音響勾配(TAG)を引き起こすために生成された電流は、コンピュータソフトウェアの制御下にある;単一ビームの形でレーザー励起を配向し、かつ、マルチレーザー設計用のオン/オフスイッチとして作用し得るミラーは、コンピュータソフトウェアによって制御され得る;減衰ホイールおよび異なる周波数への調整を介したレーザー強度は、ソフトウェア入力によって制御され得る;顕微鏡ステージの移動はソフトウェア制御下にある;顕微鏡対物レンズまたは関連する光ファイバーの動作はソフトウェア制御下にある;動作またはオン/オフ状態による反転させた対物レンズ(inverted objective)のエッジ検出、照射、および制御は、ソフトウェア制御下にある;画像化または光路制御部(ミラー、シャッタ、スキャンオプティックス、SLM、DMDなど)も、ソフトウェア制御下にある。
【0181】
急速な印刷を適合させるために、対物レンズ(200)は光ファイバケーブルを搭載してもよい。
図6Aは、着脱自在の光ファイバケーブルアクセサリ(250)の実施形態を例証する。本実施形態において、アクセサリ(250)は、光ファイバケーブル(252)、および、多光子組織印刷の印刷ヘッド(6A-6Bに示されない)に取り付け可能な取り付け器具(
図6A-6Bには示されず)を含み得る。その後、光ファイバケーブル(252)は、
図6Bに例証されるように、培地チャンバ(122)の培地(126)内に位置決めされ得る。ゆえに、多光子レーザービーム(120)は、対物レンズ(200)および光ファイバケーブル(252)を通過して、レーザーエネルギーを培地(126)に送達し、所望の複合組織構造(260)を作成する。印刷プロセス中に顕微鏡の対物レンズ、あるいは、微細な組織構造を含む印刷管を動かさないようにするために、組織の大きな領域を印刷する必要がある場合には光ファイバケーブル自体を動かすこともある。場合によっては、培地(126)に対する直接挿入が無菌性を損なわないように、かつ、印刷された細胞を交差汚染しないように、アクセサリ(250)を滅菌するまたは置き換えることができる。
【0182】
光ファイバケーブルへのパワー入力に依存して、多光子レーザーは、光ファイバケーブルのコアへの回復不能な損傷を誘導することができる。ゆえに、場合によっては、群遅延分散(GDD)により誘導された波長チャーピングは、レーザーパルスを延ばすために光子を効果的に分散させることにより、この潜在的な損傷を最小化するために提供され得る。これを用いて、印刷培地における細胞への損傷を最小化するか、または、光ファイバケーブルの寿命を延ばすこともある。そのような場合、GDDデバイスは、SLMまたはDMDの後、および印刷ヘッドオプティックス(118)への進入前に、レーザーシステム(116)内に設けられ得る。
【0183】
場合によっては、所望の組織の三次元印刷は、単一の対物レンズ(200)、または光ファイバーアクセサリ(250)が付属する対物レンズ(200)により実行することができ、ここで、それぞれが別のレーザーラインに関連付けられ、かつ、組織の別の形状または部分を表す1~3つの異なる構成は、同じ対物レンズ(200)を介してパルス化され得る。この場合、時間調整されたシャッターシステムは、投影されている画像間の干渉がなくなるか、最小になるように、設置され得る。ゆえに、レーザー多重化を採用することで、多くの点で組織構造の部分を同時に生成しつつ、組織構造の同じCADモデルを利用することが可能である。同様に、レーザー多重化は、異なるが隣接するCADベースの組織モデルを利用し、より大きな構造印刷に必要な動作を最小限に抑え、その一方で全体的な印刷時間をさらに減らすことができる。例えば、血管床には、正常な循環で静脈の逆流を妨げる、より大きな血管における弁などの内部構造があり得る。こうした弁構造は血管壁と同時に印刷され得る。そのような場合、弁構造および/または血管壁に関連付けられる足場は、個々に印刷するのが困難な場合がある。
【0184】
瞬間的に形成された三次元構造は、1回の印刷中に印刷空間の至る所で反復され得る。生物系において、小単位は多くの場合、構造全体にわたって反復され得る。それゆえ、1回の印刷での同じ構造の反復された生成は、機能性組織を生成するのに有用であり得る。同じ細胞印刷材料からの追加の、非反復的で、細かな特別の構造およびその後の構造は、印刷された第1の構造と並んでまたはそれに連結して作成され得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、多光子組織印刷の印刷ヘッド(118)は、
図7-8に例証されるように、第1のレーザー対物レンズ(200a)、第2のレーザー対物レンズ(200b)、および第3のレーザー対物レンズ(200c)を介して多光子励起の多くの印刷「ヘッド」またはソースを含み得る。
図7はある実施形態を例証しており、ここでは、多光子組織印刷の印刷ヘッド(118)が、第1のレーザー対物レンズ(200a)、第2のレーザー対物レンズ(200b)、および第3のレーザー対物レンズ(200c)を含み、第1のレーザー対物レンズ(200a)が第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)を含み、第2のレーザー対物レンズ(200b)が第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)を含み、第3のレーザー対物レンズ(200c)が第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)を含み得る。第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、および第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)は、単一の培地チャンバ(122)へ向けられ得る。培地チャンバ(122)は、各光ファイバーケーブルアクセサリによって(すなわち、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、および第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)を介して)アクセスされるポートを持つ開放上部または密閉上部を有し得る。この配置は、大きく急速な組織印刷の速度を上げつつ、最終的な組織構造に対する制御を維持することができる。場合によっては、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、および第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)は、同じ組織構造の投影を送達することができる。その他の場合、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、および第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)はそれぞれ、異なる組織構造の第1のレーザービーム投影(120a)、第2のレーザービーム投影(120b)、および第3のレーザービーム投影(120c)をそれぞれ送達することができる。複数のレーザー対物レンズの柔軟な配置と、培地チャンバ(122)内の同じ領域へ光ファイバケーブルを配向する能力を考慮すれば、組織構造は同時に印刷され得る。結果として生じる組織構造は一体的に結合されることもあれば、結合されないこともある。所定の組織構造の印刷時間は、動作制限を考慮して、および、それぞれの追加の励起源とともに説明される考慮事項ゆえに、レーザー送達要素の数に対して反比例の関係を有することがある。
【0186】
図8はある実施形態を例証しており、ここでは、多光子組織印刷ヘッド(118)は、第1の対物レンズ(200a)、第2の対物レンズ(200b)、第3の対物レンズ(200c)、第4の対物レンズ(200d)、第5の対物レンズ(200e)、および第6の対物レンズ(200f)を含んでもよく、ここで、それぞれの対物レンズは、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)、第4の光ファイバーケーブルアクセサリ(250d)、第5の光ファイバーケーブルアクセサリ(250e)、および第6の光ファイバーケーブルアクセサリ(250f)を含み、これらはそれぞれ別の第1の培地チャンバ(122a)、第2の培地チャンバ(122b)、第3の培地チャンバ(122c)、第4の培地チャンバ(122d)、第5の培地チャンバ(122e)、および第6の培地チャンバ(122f)に向けられる。複数の培地チャンバはマルチウェルプレートであってもよく、マルチウェルプレートの各ウェルは別の個々の培地チャンバである。場合によっては、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)、第4の光ファイバーケーブルアクセサリ(250d)、第5の光ファイバーケーブルアクセサリ(250e)、および第6の光ファイバーケーブルアクセサリ(250f)は、同じ組織構造の少なくとも1つの投影を送達することができる。これは、組織構造の複数の複製を同時にもたらす。その他の場合、第1の光ファイバーケーブルアクセサリ(250a)、第2の光ファイバーケーブルアクセサリ(250b)、第3の光ファイバーケーブルアクセサリ(250c)、第4の光ファイバーケーブルアクセサリ(250d)、第5の光ファイバーケーブルアクセサリ(250e)、および第6の光ファイバーケーブルアクセサリ(250f)は、異なる組織構造の第1の多光子レーザービーム投影(120a)、第2の多光子レーザービーム投影(120b)、および第3の多光子レーザービーム投影(120c)を送達することができる。場合によっては、印刷時間は、複数の複製を同時にもたらす能力のため、大幅に減少され得る。
【0187】
いくつかの実施形態において、多光子組織印刷の印刷ヘッド(118)は、
図9に例示されるように、第1の対物レンズ(200a)、第2の対物レンズ(200b)、および第3の対物レンズ(200c)を含む対物レンズの連続配列を含み得る。本実施形態において、各対物レンズは別の培地チャンバと位置合わせされ得る。例えば、第1の対物レンズ(200a)は第1の培地チャンバ(122a)と位置合わせされ、第2の対物レンズ(200b)は第2の培地チャンバ(122b)と位置合わせされ、第3の対物レンズ(200c)は第3の培地チャンバ(122c)と位置合わせされてもよい。いくつかの例において、複数の培地チャンバは、マルチウェルプレート(300)のウェルであり得る。いくつかの実施形態において、第1の対物レンズ(200a)、第2の対物レンズ(200b)、および第3の対物レンズ(200c)は、同じ組織構造の投影を送達することができる。その他の場合、レーザービーム投影は1つのウェルごとに相違することがある。第1の対物レンズ(200a)、第2の対物レンズ(200b)(
図10に示されない)、および第3の対物レンズ(200c)(
図10に示されない)は、レーザービーム投影を各ウェルに送達するために、
図10に例証されるように、xおよびyの方向でマルチウェルプレート(300)上を動くようにプログラムされ得る。代替的に、対物レンズが静止したままである一方、マルチウェルプレート(300)がxおよびyの方向に動くことが認識できる。したがって、例えば、3つの対物レンズを有する連続したアレイは、2つの工程:3つの組織構造を同時に、および、その後、3つの組織構造を同時に、6つのウェルプレート中の組織を印刷することができる。限定されないが、少なくとも約96ウェル~約394ウェル以上を含む、任意の数のウェルを有するプレートが使用され得ることが、認識できる。マルチウェルプレート(300)は少なくとも第1の培地チャンバ(122a)を含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも1ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも4ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも6ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも8ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも12ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも16ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも24ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも48ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも96ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも384ウェルを含み得る。マルチウェルプレート(300)は少なくとも1536ウェルを含み得る。本明細書に記載される実施形態において、より大きな空間を印刷するために、顕微鏡ステージは移動することができ、顕微鏡ヘッドは移動することができ、および/または、印刷物体に取り付けられた関連する光ファイバケーブルは移動することができることが認識されよう。
【0188】
器官とオルガノイドを印刷する方法
本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法とシステムを提供する。一態様では、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法は、培地を含む媒体チャンバを提供する工程を含み、培地は:(i)複数の細胞と(ii)1つ以上のポリマー前駆体とを含む。次に、少なくとも1つのエネルギービームは、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従って、三次元(3D)投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って、培地チャンバ内の培地に向けられ得る。これは、(i)複数の細胞の少なくとも部分集合、および、(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、少なくとも3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成することがある。次に、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法は、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも1つの部分を1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に晒すことを含み得る。
【0189】
他の態様では、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法は、(i)複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)1つ以上の免疫タンパク質を産生するために3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。
【0190】
別の態様において、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法は:第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程を含む。第1の培地は、第1の複数の細胞および第1のポリマー前駆体を含み得る。次に、少なくとも1つのエネルギービームは、3Dリンパ系オルガノイドの第1の部分を形成するべく培地チャンバにおける第1の培地の少なくとも一部をさらすために、コンピュータメモリにおける三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける第1の培地に向けられ得る。次に、上記方法は、培地チャンバにおける第2の培地を提供することがある。第2の培地は、第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み得る。第2の複数の細胞は、第1の複数の細胞とは異なるタイプであり得る。次に、上記方法は、3Dリンパ系オルガノイドの第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含む。次に、上記方法は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分を晒す工程を含み得る。
【0191】
他の態様では、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)1つ以上の免疫タンパク質を産生するために3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。
【0192】
本開示の別の態様は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは、複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバを含んでいる。上記システムは、培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒すように個々にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部から1つ以上の免疫タンパク質を抽出するように個々にあるいはまとめてさらにプログラムされ得る。
【0193】
本開示の別の態様は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供し、該方法は:三次元リンパ系オルガノイドをバイオプリントするために多光子レーザーバイオプリンティングシステムを使用する工程を含む。次に、上記方法は、ヒト免疫タンパク質の集団の産生を刺激するために三次元リンパ系オルガノイドを抗原に晒す工程を含み得る。次に、上記方法は、三次元リンパ系オルガノイドからヒト免疫タンパク質の集団を抽出する工程を含み得る。
【0194】
1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を、抗原に晒す工程を含み得る。抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択されてもよい。抗原は、外因性の抗原、内因性の抗原、自己抗原、ネオ抗原、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。ネオ抗原は、正常なヒトゲノムにない抗原として本明細書で定義される。ネオ抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、改変された抗原、あるいは合成抗原であってもよい。
【0195】
本開示の方法は、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部から1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程をさらに含み得る。1つ以上の免疫タンパク質はヒト免疫タンパク質であってもよい。免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択されてもよい。抗体は免疫グロブリンG(IgG)抗体であってもよい。IgG抗体はヒトIgG抗体であってもよい。免疫タンパク質は、IgM、IgA、IgE、IgDの抗体、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。免疫タンパク質は、抗体フラグメント、抗体ドメイン、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。抗体フラグメントは、抗原結合フラグメント(Fab)、単鎖可変フラグメント(scFv)、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。免疫タンパク質は多価組換え抗体であってもよい。多価組換え抗体は、ダイアボディ(つまり、小さな組み換え体二重特異性抗体)、ミニボディ(つまり、操作された抗体フラグメント)、トリアボディ、テトラボディ、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。免疫タンパク質は、操作された免疫タンパク質、合成の免疫タンパク質、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。合成の免疫タンパク質は、核酸アプタマー、非免疫グロブリンタンパク質足場、非免疫グロブリンペプチドアプタマー、アフィマー(affimer)タンパク質、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0196】
複数の細胞は被験体からのものであってもよい。複数の細胞は自己由来のものであってもよい。複数の細胞は同種異系のものであってもよい。複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択されてもよい。B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択されてもよい。T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択されてもよい。
【0197】
3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択されてもよい。3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択されてもよい。3Dリンパ系オルガノイドの形状は涙滴形状であってもよい。
【0198】
3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部のポリマーがネットワークを形成してもよい。ポリマーは、コラーゲン、ヒアルロン酸、および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。ポリマーは細胞外マトリックス成分を含むことがある。3Dリンパ系オルガノイドを作製するために使用される細胞外マトリックス構成成分の非限定的な例は、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびケラタン硫酸などのプロテオグリカン、ヒアルロン酸、コラーゲン、およびエラスチンなどの非プロテオグリカン多糖、フィブロネクチン、ラミニン、ニドゲン、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。これらの細胞外マトリックス構成成分は、多光子励起により、または1つ以上の化学的なドープ剤の多光子励起により直接引き起こされた架橋結合を促進するために、アクリラート、ジアクリラート、メタクリラート、シンナモイル、クマリン、チミン、または他の側鎖基、あるいは化学的に反応性の部分により官能化され得る。場合によっては、光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーは、細胞含有構造を作成するために細胞外マトリックス構成成分と合わせて使用され得る。光重合性マクロマーの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)アクリラート誘導体、PEGメタクリラート誘導体、およびポリビニルアルコール(PVA)誘導体を含み得る。いくつかの例において、細胞含有構造を作成するために使用されるコラーゲンは、I、II、III、V、およびX型のコラーゲンなどの原繊維性コラーゲン、IX、XII、およびXIV型のコラーゲンなどのFACITコラーゲン、VIIIおよびX型のコラーゲンなどの短鎖コラーゲン、IV型コラーゲンなどの基底膜コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0199】
少なくとも3Dリンパ系オルガノイドのポリマー部分は、生体材料と合成材料のハイブリッドを含む、合成され、かつ、哺乳動物組織に固有でない他の重合性モノマーを含有してもよい。混合物の一例は、約50%w/vのポリエチレングリコールジアクリラート(PEGDA)を加えた約0.4%w/vのコラーゲンメタクリラートを含み得る。重合を引き起こす光重合開始剤は、紫外線(UV)、赤外線(IR)、または可視光線範囲において反応性であり得る。こうした2つの光重合開始剤の例は、エオシンY(EY)とトリエタノールアミン(TEA)であり、これらは、組み合わせられると、可視光(例えば、約390~700ナノメートルの波長)への露出に反応して重合することがある。光重合開始剤の非限定的な例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイン誘導体、ベンジケタール(benziketals)、ヒドロキシアルキルフェノン、アセトフェノン誘導体、トリメチロールプロパントリアクリラート(TPT)、アクリロイルクロライド、過酸化ベンゾイル、カンファーキノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、および2-ヒドロキシ-1-[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノンを含み得る。ヒドロキシアルキルフェノンは、4-(2-ヒドロキシエチルエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)295)、1-ヒドロキシシクロヘキシル-1-フェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(登録商標)651)を含み得る。アセトフェノン誘導体は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)を含み得る。チオキサントンはイソプロピルチオキサントンを含み得る。
【0200】
ポリマーによって形成されたネットワークは細網状、アモルファス、またはネットであってもよい。ネットは組織化されたネットであってもよい。組織化されたネットは反復パターンを含み得る。ネットワークは構造化したネットワークであってもよい。ネットワークは構造化されていないネットワークであってもよい。ネットワークはハイブリッド格子であってもよく、それは構造化された部分と構造化されていない部分の混合物を含む。ネットワークは二次元ネットワークであってもよい。ネットワークは三次元ネットワークであってもよい。三次元ネットワークは、四面体ネットワーク、ピラミッド形状のネットワーク、六面体ネットワーク、多面体ネットワーク、またはこれらの組み合わせであってもよい。ポリマーによって形成されたネットワークはメッシュであってもよい。メッシュは、三角形のメッシュ、八角形のメッシュ、六角形のメッシュ、長方形のメッシュ、四角形のメッシュ、ダイヤモンドのメッシュ、環状のメッシュ、またはこれらの組み合わせであってもよい。メッシュは、単位面積当たり可変サイズの各細胞を有してもよい。アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促すように設計されてもよい。細胞間相互作用は、B細胞とT細胞の複合体形成、B細胞とB細胞の相互作用、B細胞とマクロファージ、T細胞と樹状細胞の相互作用、T細胞との間質細胞の相互作用、B細胞との間質細胞の相互作用、あるいは、樹状細胞との間質細胞の相互作用であってもよい。アモルファスネットワークは、細胞のニッチ間の、または、細胞のニッチ内での移動を促すように設計されてもよい。
【0201】
一態様では、本開示は、器官および/またはオルガノイドを印刷する方法を提供する。方法は、レーザー光線源によって光重合性材料の重合を含み得る。器官および/またはオルガノイドは二次元または三次元であってもよい。器官および/またはオルガノイドはリンパ節であってもよい。オルガノイドはランゲルハンス島であってもよい。オルガノイドは毛包であってもよい。器官および/またはオルガノイドは、腫瘍および/または腫瘍スフェロイドであってもよい。オルガノイドは、限定されないが、衛星細胞、嗅神経鞘細胞、腸内グリア、乏枝神経膠、星状膠細胞、および/またはミクログリアを含む、シュワン細胞および膠細胞などの神経束および支持細胞であってもよい。オルガノイドはネフロンであってもよい。オルガノイドは肝臓オルガノイドであってもよい。オルガノイドは腸陰窩であってもよい。器官および/またはオルガノイドは、一次リンパ器官、脾臓、肝臓、膵臓、胆嚢、垂、脳、小腸、大腸、心臓、肺、膀胱、腎臓、骨、蝸牛、卵巣、胸腺、気管、角膜、心臓弁、皮膚、靭帯、腱、筋肉、甲状腺、神経、および/または、血管などの二次リンパ器官であってもよい。
【0202】
本明細書に開示される印刷プロセスによる器官またはオルガノイドの組織化は、細胞の少なくとも約1、10、50、100、200、300、500、600、700、800、900、1000、10000、100000、あるいは1000000以上の層の連続的な堆積を必要とすることもあれば、上記堆積によって実行されることもある。印刷プロセスによるリンパ器官の組織化は、細胞の1~100の層の連続的な堆積を必要とすることもあれば、上記堆積によって実行されることもある。細胞の層のサイズは組織に依存することもある。細胞の層のサイズはより大きな三次元構造を含むこともあり、こっれは、細胞の1つの層であることもあれば、細胞の複数の層を含むこともある。細胞の層は、少なくとも10、102、103、104、105、106、107、108、109、1010、あるいはそれ以上の細胞を含むことがある。他方に対しするそれぞれの細胞型の正確な配置が望ましい場合、あらかじめ使用された培地を除去するために、細胞は、間に洗浄工程を挟む連続的な工程で印刷されなければならない。代替的に、大型の細胞型が大きなサイズの孔でカプセル化され、小型の細胞型が小さなサイズの孔でカプセル化されるように、様々なサイズの2つ以上の細胞型は、異なる重合波長および孔径の2つの光重合性材料を同時に使用して印刷されることがある。細胞骨格は利用可能な空間に基づいてリモデリングすることができるので、細胞はその核のサイズに合わせて孔中でカプセル化される。
【0203】
レーザー光線源は、光重合性材料の重合を引き起こすために紫外線の高エネルギーの緑、青、白、または低い周波数を使用することもあれば、任意の波長の高解像度多光子光源が使用されることもある。高解像度で無毒な多光子投影技術は、天然のB細胞親和性成熟を繰り返す明暗領域の進行を可能にする詳細な胚中心を印刷するように一意的に適している。この方法はリンパ節オルガノイドなどの機能性コラーゲンベースの器官および/またはオルガノイドを作製するために、リンパであれ循環系であれ、血管系のマイクロ流体の操作と組み合わせて使用されてもよい。可視光と紫外線光の無毒な波長は、細胞とともに播種される細胞を含有している構造あるいはバイオゲルを印刷するために代替的に使用されることもある。
【0204】
本開示は、エネルギー源(1000)(つまり、レーザー、とりわけ、高解像度多光子レーザー光線であるが他の可能性のある光源を含む)のレーザー光線(1002)の2次元あるいは三次元の投影によってリンパ器官またはオルガノイドを印刷することを包含する。レーザー光線(1002)は、天然の構造または機能、とりわけヒトのリンパ器官あるいはオルガノイドに似ている最終生成物を生成するためにあらかじめ定められたパターンで細胞含有培地(126)の重合を引き起こすことを目的としている。リンパ器官は、抗体の産生、抗原に対する化学的(例えば、サイトカイン)反応、あるいは細胞応答として定義される、機能的で完全な免疫応答を開始および実行することができる小さく、完全に機能的な免疫細胞含有構造として本明細書で定義される。リンパ系オルガノイドは、細胞のレベルでの任意のタイプの免疫活性を実証することができる部分的に完全なリンパ器官として本明細書で定義される。免疫活性は、限定されないが、以下を含む:(a)細胞表面タンパク質のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションによって定義されるような細胞活性化;(b)有糸分裂細胞分裂;(c)細胞運動の変化;(d)印刷された構造内の機能細胞運動;(e)抗体、サイトカイン、またはケモカインなどのタンパク質産生における変化によって測定されるような免疫応答の発生;および、(f)B細胞の典型的な体細胞超変異などの活性化に関連付けられる突然変異による新規なタンパク質の発生。
【0205】
リンパ節オルガノイド、あるいは、リンパ球含有構造は、塩基性リンパ節機能を繰り返すように、かつ、リンパ球相互作用と、複数工程における単一単位として印刷された、B細胞胚中心(GC;
図18A)と胸腺様発達ニッチ(
図18B)の形成などの、機能的な免疫応答の発生とを支持するための細胞ニッチとマイクロ構造を提供するように設計される。リンパ系オルガノイドは、
図18Aと18Bで描かれた免疫細胞の部分的な構造を含む免疫細胞の任意の半機能的な集合体であってもよい。
【0206】
図18Aを参照すると、B細胞胚中心(105)は、B細胞の密集した暗領域(106)と明領域(108)に機能的に分離されることがあり、暗領域では、B細胞(107)が増殖して体細胞超変異に晒され、明領域では、B細胞が、限定されないが機能的な受容体の突然変異あるいは再構成の後に可溶性因子およびリガンドベースの細胞表面相互作用(112)を含む正のシグナルを受け取るために、限定されないが樹状細胞、単球、他のB細胞(103)、を含む全抗原保有細胞および/または補助支持細胞(109)と相互作用するか、および/または、T細胞(111)と相互作用する。正のシグナル(112)いったん受け取られると、B細胞(107)は暗領域(106)に戻り、増殖と受容体突然変異のプロセスを継続する。支配的なB細胞クローンが、血漿B細胞(113)、秘密成熟した、クラススイッチした、高度に特異的な抗体(114)に選択され、かつ、この抗体になるまで、このプロセスは繰り返される。明領域と暗領域との間の移動は、補助細胞および/またはバイオプリントマトリックス(115)に含まれる材料によって設定された内因性のケモカイン勾配によって誘導された単一の細胞移動により生じる。
【0207】
図18Bは胸腺様発生ニッチを描く。印刷された構造は、遊走増殖および成熟する際に胸腺オルガノイド中の皮質組織から骨髄組織に向かって移動する、胸腺中のT細胞の連続的な発達を模倣することがある。この移動の方向は
図18Bの矢印(230)によって表される。こうした移動は、局所的な細胞集団によって確立された局所的なケモカイン勾配を感知する細胞と、細胞ニッチの確立を助けるために細胞の印刷マトリックスへの薬剤の導入とによってガイドされる。限定されないが、皮質の上皮細胞(216)、髄質上皮細胞(117)、樹状細胞(218)、および、マクロファージ(119)を含む補助細胞の混合の分布は、T細胞がT細胞の発生のその段階で最も重要な補助細胞に近接していることを保証する。この構造は、胸腺カプセル(220)、皮質領域(121)、および骨髄領域(123)で構成される。未成熟の胸腺細胞、ダブルネガティブT細胞、およびマクロファージ(
図18Bでは示されず)は、アポトーシスの胸腺細胞をきれいにするために皮質全体に分散されることもある。胸腺の深いとろこでは、髄質上皮細胞、多量のマクロファージ、および骨髄起原の樹状細胞は、成熟胸腺細胞と密接に関連しており、さらなる発生を促す。発展のプロセスの間、ダブルネガティブ未成熟胸腺細胞(125)は、皮質構造(131)と補助細胞(216)を通って髄質(123)へ移動し、単一のポジティブ胸腺細胞(135)、骨髄領域へ分化して、正のCD4あるいはCD8である成熟胸腺細胞(137)になる。このプロセスの間に、複数の細胞は細胞死を経て、アポトーシス細胞(133)になることがある。
【0208】
図19で描かれるように、こうした印刷された構造の形状は、平らまたは円環面のような底部を有し、かつ、可変の表面積構成を可能にするために中空またはくぼんだ中心を含み得る、球状、楕円形、卵形、あるいは卵形(134);正方形、長方形、立方形、あるいは任意の多角形形状(135);自由形状、とりわけ、自由形状の設計が多細胞のニッチの非対称球体の形成を促すことを意図しているとき(136);または、任意の方向から来る長い尾を有する涙滴形状(137)であってもよい。
【0209】
B細胞(138)が球体または半スフェロイド構造の構造(139)のより大きな端部でクラスタ化され、補助細胞(143)が一方または両方の端部で先細りになるように、リンパ器官とオルガノイドは涙滴形状(137)で
図20で示されるように印刷されてもよい。B細胞は、親和性成熟プロセスの間に、組織化された細胞ニッチを介する局所的なケモカイン勾配に応答した独立した運動型であってもよい。図は、非対称の涙滴のような形状、1つのテール(141)、および、2つのテール(142)の上から見た図の3D構造の断面として例証される。
【0210】
リンパ器官とオルガノイドは
図23に示されるように印刷されてもよい。
図23は、本明細書に開示される方法によって生成された三次元印刷されたリンパ節オルガノイドの顕微鏡画像を示す。T細胞とB細胞は、リンパ節オルガノイドの別の領域へと物理的に区画されることが示されている。T細胞領域は、T細胞と支持的な補助細胞の混合物とを含む組織の領域を示す。B細胞領域は、B細胞と支持的な補助細胞の混合物とを含む組織の領域を示す。
【0211】
ケモカイン勾配は、カプセル化された細胞ネットワークの一部である細胞によって確立されることがあり、あるいは、ケモカイン勾配は印刷プロセスの一部として堆積することがある。
【0212】
B細胞、T細胞、濾胞樹状細胞、および他の細胞型は、懸濁状態で印刷され、培養皿/ウェルプレートの底部あるいは側部に固定され、あるいは、コラーゲンまたは別の生体材料、生体適合性材料、あるいはバイオ不活性材料のネットワーク内で印刷されてもよい。
【0213】
細胞がネットワーク内で印刷される場合、ネットワークは細網状、アモルファス、あるいは組織化されたネットで配置されてもよい。組織化されたネットは、反復された幾何学的パターン、あるいは、六角形、正方形/長方形、菱形、円形、半円形、球状、半球状、または本明細書の形状の任意の組み合わせを含む他のパターンを備えた任意のネットである。細網状またはアモルファスのネットは、幾何学模様をさほど考慮せず作製され、主たる目的は、迅速な作製と、細胞をカプセル化して封じ込めることができるということである。さらに、複数のネットは訓練されていない観察者にはアモルファスに見えることがあるが、実際には、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内部での細胞間相互作用あるいは細胞の移動を促すように設計された特定の形状あるいは設計を有する。
【0214】
天然の構造は撮像データから得られ、定められた縁、および/または、正確には画定されていないが、重合性ヒドロゲルへ投影される指定範囲内のどこかに含まれる縁である灰色領域を有する、二次元-三次元の画像へとレンダリングされてもよい。そのような画像データは、免疫応答中に細胞間の相互作用を支持する多細胞ニッチの正確な再形成を可能にする十分な詳細をもたらすことがある。多細胞ニッチは、外来性の病原体または材料の受容体認識に基づき、単一のB細胞あるいはT細胞選択のための免疫系において発達する。受容体の高い反応性、あるいは、免疫応答中の高親和性認識は、そのB細胞あるいはT細胞に関する選択と、さらなる細胞分裂、および高反応性の受容体を発現する細胞の数の拡大を引き起こす。これらの多細胞ニッチにおける高反応性の受容体によって送信された生存シグナルを巡る争いは、最も反応性のB細胞あるいはT細胞の正の選択を引き起こす。天然のリンパ節構造は、高反応性の細胞の選択と増殖を支持する特定の細胞間相互作用の配列に依存しているこの選択プロセスの発達を支持することができる。したがって、細胞間相互作用と独立した細胞移動を可能にする三次元の天然の構造は、B細胞とT細胞のクローナル選択プロセスの必要不可欠な構成要素である。したがって、この構造は印刷されたリンパ節の重要な成分であり、特に印刷プロセス中に多光子レーザーの使用によって与えられるものであるが、波面形状の多光子レーザー光線の投影によって達成された解像度のこのレベルでは印刷することなく、機能を達成することが可能である。
【0215】
多細胞ニッチ内に生じ得る細胞間相互作用は、限定されないが、以下を含む:B細胞-T細胞複合体形成、B細胞B細胞相互作用、B細胞-マクロファージ、T細胞ー樹状細胞の相互作用)、および、T細胞、B細胞、ならびに樹状細胞との間質細胞の相互作用。相互作用は明確に対になった相互作用ではなく、様々な型の細胞のクラスタまたは塊がしばしば、免疫反応の間に、とりわけ、確立された細胞ニッチまたは組織のような構造中で形成される。
【0216】
T細胞は、本明細書で使用されるように、限定されないが、CD8+またはCD4+T細胞を含む、T細胞の任意の形状を指すことがある。B細胞は、限定されないが、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、あるいはB2B細胞を含む、任意の発達相のB細胞を指すことがある。
【0217】
図17は、構造が現時点で理解されているような一般化された詳細なリンパ器官を描いており、画像データから得られ得るすべての構造的な詳細を必ずしも含むわけではなく、最終生成物がすべての描かれた構造的な詳細を必ずしも含むわけではなく、リンパ器官とオルガノイドは本明細書ではその機能によって最終的には定義されている。
【0218】
複数のオルガノイド単位は、大きな器官、最大で完全サイズの器官を生成するために単一構造内で印刷され得る。複数のリンパ性の単位は、大きな免疫器官、最大で完全サイズのリンパ節または胸腺を生成するために単一構造内で印刷され得る。サイズの制限因子は血管新生であり、これはほとんどの気体と栄養素の拡散限界により、幅200ミクロンよりも大きな組織に必要不可欠である。完成したリンパ器官またはオルガノイドは血管新生なしで50~200ミクロンの厚みであり得る。血管新生化する場合、組織は50ミクロン~10cmの厚さであってもよく、任意の形状あるいはサイズであってもよく、循環血管系およびリンパ管系の両方を含み得る。血管系は弁および/または括約筋を含み得る。いくつかの実施形態において、血管系は、天然の微小血管系に類似するように意図されたネット(500)内の内皮細胞あるいはその前駆体を印刷することにより達成され得るが、その構造は高解像度画像データから得られる。毛細血管床は、大きな細動脈と細静脈から分岐することがあり、および、関連する解剖学的構造に合わせて細静脈や静脈へ分岐することがある。
【0219】
別の態様において、本開示は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供する。上記方法は培地を提供する工程を含み得る。培地は複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体を含み得る。ポリマー前駆体はバイオゲル前駆体であってもよい。上記方法は、基質上に培地の少なくとも1つの層を堆積させる工程を含み得る。基質は媒体チャンバであってもよい。基質は組織培養プレートまたはウェルであってもよい。基質はマイクロ流体チャンバであってもよい。基質はマイクロ流体チップであってもよい。基質はポリマー足場であってもよい。
【0220】
上記方法は、複数の細胞の少なくとも部分集合と、1つ以上のポリマー前駆体から形成されたバイオゲルとを含む3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、培地の少なくとも1つの層をエネルギー源に晒す工程を含み得る。上記方法は、三次元(3D)投影に従ってパターン化された培地の層ごとの堆積を含み得る。3D投影は、コンピュータメモリ中の3Dリンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従うこともある。三次元(3D)投影に従ってパターン化された培地の層ごとの堆積とバイオゲルの形成は、エネルギー源(例えば、レーザー)に培地を晒すことにより行われ得る。例えば、レーザーは、培地中のポリマー前駆体を重合するために、および、複数の細胞とバイオゲルを含む3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、3D投影に従って光路に沿って投影されてもよい。他の態様では、上記方法は、基質上に培地の少なくとも1つの微小液滴を堆積させるために、ピペットまたは毛細管を用いる、手動での培地の層ごとの堆積を含み得る。この例では、印刷されるパターンを含む3D投影は、必要とされるわけではなく、むしろ、培地の微小液滴は、バイオゲルと複数の細胞を含む3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するために、いったん堆積すると、エネルギー源(例えば、熱または光源)に晒され得る。さらに別の態様では、上記方法は、マイクロ流体デバイスの使用による培地の層ごとの堆積を含み得る。マイクロ流体デバイスは、基質上に層ごとに堆積する培地の微小液滴の総量を制御することがある。マイクロ流体デバイスは、基質上に層ごとに堆積する培地の各微小液滴あたりの細胞の総数を制御することがある。さらに別の態様では、上記方法は、プリンターの使用による培地の層ごとの堆積を含み得る。プリンターは、レーザープリンター、層ごとのインクジェット・プリンター(例えば、サーマルインクジェット・プリンターあるいは圧電インクジェット・プリンター)、層ごとの押し出し3Dプリンター(例えば、空気押し出し式バイオプリンターあるいは機械押し出し式バイオプリンター)、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。細胞が機能性多細胞の組織ニッチへと組織化され得るように、培地の微小液滴は他の微小液滴と組み合わされてもよい。
【0221】
層状の微小液滴は、エネルギー源を使用して、あるいは、化学物質(例えば、架橋剤または光重合開始剤)を介して、順番に、あるいは、一度に全て、硬化、縮合、凝固、ゲル化、架橋、重合、あるいは光重合され得る。エネルギー源は、エネルギービーム、熱源、あるいは光源であってもよい。エネルギー源は、ファイバーレーザー、短パルスレーザー、あるいはフェムト秒パルスレーザーなどのレーザーであってもよい。エネルギー源は、サーマルプレート、ランプ、オーブン、温水浴槽、細胞培養インキュベータ、加熱チャンバ、炉、乾燥炉、あるいは、これらの任意の組み合わせなどの熱源であってもよい。エネルギー源は、白色光、赤外光、紫外線(UV)光、近赤外線(NIR)光、可視光、発光ダイオード(LED)、あるいはこれらの任意の組み合わせなどの光源であってもよい。エネルギー源は、超音波プローブ、ソニケーター、超音波洗浄機、あるいはこれらの任意の組み合わせなどの音響エネルギー源であってもよい。エネルギー源は、マイクロ波源あるいはこれらの任意の組み合わせなどの電磁放射線源であってもよい。
【0222】
培地はバイオゲルを形成するために物理的に重合されてもよい。培地はバイオゲルを形成するために熱源によって重合されてもよい。培地は、例えば、架橋剤の使用によって、バイオゲルを形成するために化学的に重合されてもよい。架橋剤の非限定的な例は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDC)、グルタルアルデヒド、および1-エチル-3-3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を含む。培地は、光重合開始剤、架橋剤、コラーゲン、ヒアルロン酸および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの任意の組み合わせを含み得る。バイオゲルは、光重合開始剤、架橋剤、コラーゲン、ヒアルロン酸および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの任意の組み合わせを含み得る。ポリマー前駆体は、コラーゲン、ヒアルロン酸、および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0223】
バイオゲルはヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは生体適合性ヒドロゲルであってもよい。バイオゲルはポリマーヒドロゲルであってもよい。バイオゲルはヒドロゲル・ビーズであってもよい。バイオゲルはヒドロゲル・ナノ粒子であってもよい。バイオゲルはヒドロゲル液滴であってもよい。バイオゲルはヒドロゲル微小液滴であってもよい。
【0224】
微小液滴は、少なくとも約10ミクロン(μm)~約1000μmの直径を有することがある。微小液滴は、少なくとも約10μmの直径を有することがある。微小液滴は、せいぜい約1000μmの直径を有することがある。微小液滴は、約10μm~約50μm、約10μm~約100μm、約10μm~約200μm、約10μm~約300μm、約10μm~約400μm、約10μm~約500μm、約10μm~約600μm、約10μm~約700μm、約10μm~約800μm、約10μm~約900μm、約10μm~約1,000μm、約50μm~約100μm、約50μm~約200μm、約50μm~約300μm、約50μm~約400μm、約50μm~約500μm、約50μm~約600μm、約50μm~約700μm、約50μm~約800μm、約50μm~約900μm、約50μm~約1,000μm、約100μm~約200μm、約100μm~約300μm、約100μm~約400μm、約100μm~約500μm、約100μm~約600μm、約100μm~約700μm、約100μm~約800μm、約100μm~約900μm、約100μm~約1,000μm、約200μm~約300μm、約200μm~約400μm、約200μm~約500μm、約200μm~約600μm、約200μm~約700μm、約200μm~約800μm、約200μm~約900μm、約200μm~約1,000μm、約300μm~約400μm、約300μm~約500μm、約300μm~約600μm、約300μm~約700μm、約300μm~約800μm、約300μm~約900μm、約300μm~約1,000μm、約400μm~約500μm、約400μm~約600μm、約400μm~約700μm、約400μm~約800μm、約400μm~約900μm、約400μm~約1,000μm、約500μm~約600μm、約500μm~約700μm、約500μm~約800μm、約500μm~約900μm、約500μm~約1,000μm、約600μm~約700μm、約600μm~約800μm、約600μm~約900μm、約600μm~約1,000μm、約700μm~約800μm、約700μm~約900μm、約700μm~約1,000μm、約800μm~約900μm、約800μm~約1,000μm、あるいは、約900μm~約1,000μmの直径を有することがある。微小液滴は約10μm、約50μm、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、あるいは約1,000μmの直径を有することがある。
【0225】
微小液滴は、約1マイクロリットル(μl)~約500μlの体積を有することがある。微小液滴は、少なくとも約1μlの体積を有することがある。微小液滴は、せいぜい約500μlの体積を有することがある。微小液滴は、約1μl~約2μl、約1μl~約3μl、約1μl~約4μl、約1μl~約5μl、約1μl~約10μl、約1μl~約20μl、約1μl~約25μl、約1μl~約50μl、約1μl~約75μl、約1μl~約100μl、約1μl~約500μl、約2μl~約3μl、約2μl~約4μl、約2μl~約5μl、約2μl~約10μl、約2μl~約20μl、約2μl~約25μl、約2μl~約50μl、約2μl~約75μl、約2μl~約100μl、約2μl~約500μl、約3μl~約4μl、約3μl~約5μl、約3μl~約10μl、約3μl~約20μl、約3μl~約25μl、約3μl~約50μl、約3μl~約75μl、約3μl~約100μl、約3μl~約500μl、約4μl~約5μl、約4μl~約10μl、約4μl~約20μl、約4μl~約25μl、約4μl~約50μl、約4μl~約75μl、約4μl~約100μl、約4μl~約500μl、約5μl~約10μl、約5μl~約20μl、約5μl~約25μl、約5μl~約50μl、約5μl~約75μl、約5μl~約100μl、約5μl~約500μl、約10μl~約20μl、約10μl~約25μl、約10μl~約50μl、約10μl~約75μl、約10μl~約100μl、約10μl~約500μl、約20μl~約25μl、約20μl~約50μl、約20μl~約75μl、約20μl~約100μl、約20μl~約500μl、約25μl~約50μl、約25μl~約75μl、約25μl~約100μl、約25μl~約500μl、約50μl~約75μl、約50μl~約100μl、約50μl~約500μl、約75μl~約100μl、約75μl~約500μl、あるいは約100μl~約500μlの体積を有することがある。微小液滴は、約1μl、2μl、約3μl、約4μl、約5μl、約10μl、約20μl、約25μl、約50μl、約75μl、約100μl、あるいは500μlの体積を有することがある。
【0226】
バイオゲルは、摂氏約25度(°C)で測定された時の少なくとも約1x10-3パスカル秒(Pa・s)~約100,000Pa・s以上の幅の粘度の溶液であってもよい。摂氏約25度(°C)で測定された時、バイオゲルは約0.001Pa・s~約100,000Pa・sの粘度を有することがある。摂氏約25度(°C)で測定された時、バイオゲルは少なくとも0.001Pa・sの粘度を有することがある。摂氏約25度(°C)で測定された時、バイオゲルはせいぜい約100,000Pa・sの粘度を有することがある。摂氏約25度(°C)で測定された時、バイオゲルは、約0.001Pa・s~約0.01Pa・s、約0.001Pa・s~約0.1Pa・s、約0.001Pa・s~約1Pa・s、約0.001Pa・s~約10Pa・s、約0.001Pa・s~約100Pa・s、約0.001Pa・s~約1,000Pa・s、約0.001Pa・s~約10,000Pa・s、約0.001Pa・s~約50,000Pa・s、約0.001Pa・s~約100,000Pa・s、約0.01Pa・s~約0.1Pa・s、約0.01Pa・s~約1Pa・s、約0.01Pa・s~約10Pa・s、約0.01Pa・s~約100Pa・s、約0.01Pa・s~約1,000Pa・s、約0.01Pa・s~約10,000Pa・s、約0.01Pa・s~約50,000Pa・s、約0.01Pa・s~約100,000Pa・s、約0.1Pa・s~約1Pa・s、約0.1Pa・s~約10Pa・s、約0.1Pa・s~約100Pa・s、約0.1Pa・s~約1,000Pa・s、約0.1Pa・s~約10,000Pa・s、約0.1Pa・s~約50,000Pa・s、約0.1Pa・s~約100,000Pa・s、約1Pa・s~約10Pa・s、約1Pa・s~約100Pa・s、約1Pa・s~約1,000Pa・s、約1Pa・s~約10,000Pa・s、約1Pa・s~約50,000Pa・s、約1Pa・s~約100,000Pa・s、約10Pa・s~約100Pa・s、約10Pa・s~約1,000Pa・s、約10Pa・s~約10,000Pa・s、約10Pa・s~約50,000Pa・s、約10Pa・s~約100,000Pa・s、約100Pa・s~約1,000Pa・s、約100Pa・s~約10,000Pa・s、約100Pa・s~約50,000Pa・s、約100Pa・s~約100,000Pa・s、約1,000Pa・s~約10,000Pa・s、約1,000Pa・s~約50,000Pa・s、約1,000Pa・s~約100,000Pa・s、約10,000Pa・s~約50,000Pa・s、約10,000Pa・s~約100,000Pa・s、あるいは、約50,000Pa・s~約100,000Pa・sの粘度を有することがある。摂氏約25℃(°C)で測定されたとき、バイオゲルは、約0.001Pa・s、0.01Pa・s、約0.1 Pa・s、約1 Pa・s、約10Pa・s、約100Pa・s、約1,000Pa・s、約10,000Pa・s、約50,000Pa・s、または100,000Pa・sの粘度を有することがある。
【0227】
バイオゲルは複数の細胞を含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルビーズを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルナノ粒子を含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲル微粒子を含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルナノロッドを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルナノシェルを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数のリポソームを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルナノワイヤーを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは複数の非ヒドロゲルナノチューブを含むヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは液体成分が水であるゲルであってもよい。バイオゲルは水が分散媒であるポリマ鎖のネットワークであってもよい。ポリマー鎖のネットワークは、親水性ポリマー鎖のネットワークであってもよい。ポリマー鎖のネットワークは、疎水性ポリマー鎖のネットワークであってもよい。バイオゲルは分解性のヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは非分解性のヒドロゲルであってもよい。バイオゲルは吸収性のヒドロゲルであってもよい。バイオゲルはコラーゲンなどの天然由来の誘導ポリマーを含むヒドロゲルであってもよい。
【0228】
上記方法は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す工程を含み得る。1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を晒す工程を含み得る。上記方法は、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程をさらに含む。免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択されてもよい。培地中の複数の細胞は被験体からのものであってもよい。複数の細胞は自己由来の細胞であってもよい。複数の細胞は同種異系の細胞であってもよい。複数の細胞は幹細胞であってもよい。複数の細胞は、人工多能性幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。複数の細胞は、B細胞、T細胞、あるいはこれらの組み合わせへ分化することがある幹細胞であってもよい。複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択されてもよい。
【0229】
3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択されてもよい。
【0230】
図21は、バイオゲルが、限定されないが、白色光、リンパ節オルガノイドあるいはリンパ球含有器官(146)を印刷するための単光子または多光子レーザー光線を含むエネルギー源によって重合される、4工程プロセスを例証する。
【0231】
図21に示されるように、連続した順番で、基底層(147)、2つの細胞層、基本細胞層(148)、および第2の細胞層(149)が印刷される。バイオゲル層の層ごとの堆積は、それぞれのバイオゲル層を互いに融合させるために白色光あるいは熱などのエネルギー源を使用することがある。第2の細胞層は1つ以上の連続する層を含むことがある。第2の細胞層(149)は、補助細胞、T細胞、および抗原の混合物を含むことがある。第2の細胞層(149)は保護カプセル(150)を含むことがある。
図21では、工程1は基底層(147)を示す。基底層(147)は、コラーゲンあるいは他の生体材料、バイオ不活性材料、あるいは生体適合性材料を含むことがある。基底層(147)は細胞を含むことがある。基底層(147)は細胞を含まないことがある。基底層(147)は光源(1000)によって重合されることがある。いくつかの実施形態において、バイオゲルは基底層(147)を含まないことがある。基底層(147)は、基底細胞層(148)および第2の細胞層(149)などの後の層のためのアンカーまたはリンクとして作用することがある。
【0232】
図21では、工程2はモノマー形態(つまり、光重合性ポリマー前駆体)の1つ以上の新しい光重合性のバイオポリマーを示す。光重合性のポリマー前駆体は1つ以上の細胞型を含むことがある。いくつかの実施形態において、1つ以上の細胞型はリンパ球または他の真核生物の起原である。光重合性のバイオポリマーは、成長因子あるいは細胞反応タンパク質の任意の組み合わせを含むことがある。光重合性のバイオポリマーは、装置によって投影され得る前に記載されたエネルギー源のうちのいずれか1つによって印刷されることがある。抗原はこの段階では印刷培地に含まれることがある。抗原はこの段階では印刷培地に含まれないことがある。
【0233】
工程3は、所望の数の細胞層/細胞型が達成されるまで工程2を繰り返すことを含み得る。異なる細胞型、培地条件、および/または、光重合性のバイオポリマーが使用されてもよい。
図21では、工程3は、第2の細胞層(149)を生成する1回の反復を示す。
図21では、工程4は、リンパ節オルガノイドあるいはリンパ球含有器官(146)が、細胞をほとんどまたはまったく含まないメッシュ(150)でカプセル化され得ることを示す。この構造は、培養プロセスおよび発達プロセスの間にリンパ節オルガノイドまたはリンパ球含有器官の完全性を維持することを対象とすることもある。いかなる生体材料を用いてメッシュ(150)を生成することもある。細胞はメッシュ(150)でカプセル化されることがある。カプセル化された細胞は、限定されないが、抗原提示細胞、間質細胞、あるいは抗原にあらかじめ露出され、抗原提示のために活性化される細胞を含む、任意の起原であってもよい。この最終的な印刷工程は、密封および固定されたリンパ器官を作るために、固定されたコラーゲンあるいは生体材料の第1の層に隣接した構造を堆積させるために使用されてもよい。
【0234】
細胞を含有しておらず、かつ、印刷可能な材料ではない培地を使用する洗浄工程は、完全なすすぎを保証する任意の所定の工程と、前の細胞と重合性材料の除去との間で生じることがある。すべてのプロセスの最終工程は、望ましくないバイオゲルを除去し、かつ、培養のための組織構造を調製するために1つ以上の洗浄工程を必要とすることがある。
【0235】
1~100の異なる工程の間に、リンパ節器官あるいはオルガノイドの印刷に含まれることがある。少なくとも1、10、50、100、200、300、500、600、700、800、900、1000、10000、100000、1000000、あるいはそれ以上の操作が、リンパ節器官あるいはオルガノイドの印刷に含まれることがある。少なくとも1、10、50、100、200、300、500、600、700、800、900、1000、10000、100000、1000000、あるいはそれ以上の操作が、器官および/またはオルガノイドの印刷に含まれることがある。
【0236】
リンパ器官とオルガノイドは、1、6、12、48、96、および、384のウェルプレートを含めるために、ハイスループット抗体/受容体産生およびスクリーニングに適したフォーマットで印刷されてもよい。ヒト組織からの多細胞環境の二次元または三次元の投影印刷によるハイスループットフォーマットでのリンパ器官のデノボインビトロ発達のいかなる方法も、B細胞またはT細胞の発達と受容体スクリーニングにはまだ使用されていない。こうしたハイスループットプロセスの導入は、抗体の産生とスクリーニングのプロセスを大幅に促す可能性がある。しかしながら、より大きな構造が特定の目的のために必要とされることもあれば、ハイスループット方法は必ずしも必要とされないこともある。したがって、本開示の範囲も有用性もハイスループットフォーマットに限定されない。
【0237】
少なくとも10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、10000、あるいはそれ以上の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドは、本明細書に開示される方法によって印刷されることがある。約200の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが本明細書で開示される方法によって印刷されることがある。約300~約500の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが本明細書で開示される方法によって印刷されることがある。約500~約1000の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが本明細書で開示される方法によって印刷されることがある。ドナーから単離されるリンパ球または他の真核生物の起原の1つ以上の細胞型は、リンパ器管および/またはオルガノイドを印刷するために使用されてもよい。単一のドナーは、彼の、彼女の、あるいはその遺伝形質、病歴、性別、および/または品種に基づいて選択され得る。少なくとも200、300、400、500、600、700、800、900、10000、あるいはそれ以上の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドは、一人のドナーから産生されてもよい。約200の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが一人のドナーから産生されてもよい。約300~約500の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが一人のドナーから産生されてもよい。約500~約1000の試験可能なリンパ器管および/またはオルガノイドが一人のドナーから産生されてもよい。
【0238】
印刷された構造内では、細胞は最も典型的には生体材料、生体適合性材料、バイオ不活性ゲル成形用材料、あるいはバイオゲル内でカプセル化されることもあれば、あるいはこれらの上で足場が設けられることもある。材料は合成、部分的に合成、あるいは天然のこともある。これらの材料は独立して光重合性であってもよく、重合するために光重合開始剤を必要としてもよく、あるいは、光重合開始剤を用いてまたは用いずに、レーザー源の存在下において重合するのに修飾されてもよい。バイオゲルへ取り込まれ得る材料は、単独で、その第1の補足成分、第2の補足成分、あるいはその他の補足成分として、限定されないが、以下を含む:コラーゲン、ヒアルロン酸、および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、および、寒天。
【0239】
印刷される細胞のネットの変動する引っ張り強度および構造は、細胞運動、細胞間相互作用、および再組織化を促すために、異なる領域で使用されてもよい。ゆっくりと動くおよび細胞間の挙動に関与することができる細胞は、抗原を取り入れ、処理し、応答する免疫細胞に送達することができる。したがって、天然のリンパ節構造を一致するか、あるいは、メッシュフレームワークを呈する構造は、細胞間相互作用と運動性を促すために印刷されてもよい。ネット開口部の直径で、あるいは、鎖の間の距離として、2マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲の構造は、細胞間相互作用と運動性を促すために印刷されてもよい。
【0240】
印刷された構造または周囲の培地内に含まれ得る細胞型は、限定されないが、以下を含む:間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD8+T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合。
【0241】
これらの細胞型の各々は、一人のドナーからの血液または組織の提供によって単離され、リンパ様組織を印刷するためのインビトロのプロトコルを介して十分な数に拡大され得る。所定のドナーから不死化されたこれらの細胞型のいくつかは、タンパク質産生のための拡張と使用を促すために不死化されてもよい。細胞は、動物ベースの実験の場合、細胞株または動物源から入手されてもよい。細胞は、血液中の循環細胞、リンパ節、脾臓、骨髄、あるいは他の組織からの生検から供給されることがある。細胞は、ペット、げっ歯動物、大型哺乳動物、および、ヒトを含む任意の脊椎動物から供給されてもよい。細胞が高反応性抗体を有し得る可能性を増大させるために、単一のハイスループット・アッセイ用の細胞は、別の個々のドナーから供給されてもよい。細胞は、陽性であれ、陰性であれ、望ましい免疫学的応答の可能性を増大させるために、診療歴または病歴、遺伝子型、抗体反応または滴定、あるいは進行中または誘発された免疫反応によって定義される望ましい免疫反応の能力を有するドナーから供給されてもよい。細胞は、ドナーの年齢、遺伝形質、病歴、性別、および/または人種に基づいてドナーから供給されてもよい。
【0242】
複数の細胞層は、ケモカイン、自由に動くまたは係留された細胞シグナル分子、成長因子、サイトカイン、タンパク質、生物学的因子、あるいは、印刷培地に添加されるアジュバントまたは小分子などの非生物学的因子を用いてまたは用いずに印刷されてもよい。こうした因子は刺激的または抑制的であり得る。因子は、印刷媒体への導入の前の架橋によって、コラーゲンあるいは他のバイオゲルモノマーに係留されてもよい。オルガノイドの特定の層あるいは周囲の培地への細胞反応性のタンパク質の添加は、細胞組織化、細胞発達、細胞移動、および、他の望ましい事象を促す目的に役立つことがある。
【0243】
成長因子、炎症促進性サイトカイン、抗炎症性ケモカイン、細胞反応性タンパク質、溶解可能な受容体、および、他のシグナル伝達因子は、印刷培地、印刷足場、および/または培養培地/成長培地に取り込まれ得る。上記のような因子としては、限定されないが、以下が挙げられる:IFN-ガンマ、TNF-α、TGF-β、IL-lα、IL-1β、IL-1ra、IL-2 IL-4、IL-6、IL-10、IL-11、IL-13、IL-21、IL-23、溶解可能なTNF受容体p55、溶解可能なTNF受容体p75、溶解可能なIL-12型受容体、IL-18結合タンパク質、CCL2、CCL1、CCL22、CCL17、CXCR3、CXCL9、CXCL10、CXCL11など。培地条件は、特定の免疫学的事象を促すために印刷および/または培養プロセス全体において異なる時点で変更されてもよい。
【0244】
免疫学的事象は、細胞培養培地の変化、あるいは、細胞培養培地に添加された成分によって引き起こされ得る。誘導可能な免疫学的事象の例は、細胞増殖;特定のサイトカインおよび/またはケモカインの放出;抗体を含む受容体および細胞により分泌されたタンパク質の分泌;抗体を含む受容体および細胞により分泌されたタンパク質の進化;あるいは、限定されないが、細胞の健康、細胞の形態、発現されたタンパク質、および、細胞の発達状態を含む細胞の変化を含む。
【0245】
抗体、T細胞受容体、免疫学的産物、あるいは免疫応答の生成と評価のための印刷されたリンパ節の使用
リンパ器官とオルガノイドは、抗体とT細胞受容体を含む、新規な細胞により分泌されたおよび/または膜結合型の免疫タンパク質を産生するために使用されてもよい。これらをさらに使用することで、そのタンパク質および/または遺伝子配列を発現する、ハイブリドーマを含む細胞あるいは細胞株を生成させてもよい。本明細書に記載される方法によって生成されるリンパ器官および/またはオルガノイドは、癌免疫療法剤を生成するために使用されてもよい。本明細書に記載される方法によって生成されるリンパ器官および/またはオルガノイドは、T細胞を生成するために使用されてもよい。本明細書に記載される方法によって生成されるリンパ器官および/またはオルガノイドはサイトカイン放出を予測するために使用されてもよい。本明細書に記載される方法によって生成されるリンパ器官および/またはオルガノイドは、抗体親和性成熟のために必要とされるインビボの細胞の組織化をもたらすことがある。
【0246】
抗体および他の受容体、それらを生成する細胞あるいは細胞株、および/または、それらをコードする遺伝子配列は、抗原負荷によって産生されることがある。抗体および他の受容体は単一の献血サンプルから生成されることがある。抗体および他の受容体は複数の献血サンプルから生成されることがある。本明細書に開示される方法によって産生された抗体または受容体は、少なくとも1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週またはそれ以上の間に生成されることがある。本明細書に開示された方法によって産生された抗体または受容体は、約6週間で生成されることがある。本明細書に開示された方法によって産生された抗体または受容体は、約10週間で生成されることがある。本明細書に開示される方法によって産生された抗体あるいは受容体は、約4週間~約12週間で生成されることがある。本明細書に開示された方法によって産生された抗体または受容体は、動物および/またはヒトの代替物の不在下で生成されることがある。本明細書に開示された方法によって産生された抗体は完全なヒトIgG抗体であってもよい。本明細書に開示される方法によって産生された抗体は、タンパク質ベースの標的抗原に反応性であってもよい。本明細書に開示される方法によって産生された抗体は、少なくとも0.01pM、0.1pM、1pM、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM 700nM、800nM、900nM、1000nMまたはそれ以上の標的抗原に対する親和性を有することもある。本明細書に開示される方法によって産生された抗体は、約500nMの標的抗原に対する親和性を有することもある。抗原は、印刷プロセスの間の任意の段階において、細胞媒体および/または印刷された足場へ導入されてもよく;濾胞樹状細胞などの抗原提示細胞を含む、印刷される細胞型または複数の細胞型を用いてあらかじめインキュベートされてもよく;あるいは、リンパ性の構造の発達中の任意の時点で印刷されたリンパ構造へ導入されてもよい。
【0247】
同じ抗原はリンパ構造の印刷と発達のプロセスで複数の時点および/または段階で導入され得る。さらに、複数の別の抗原は、リンパ構造の印刷と発達プロセスにおいて同じまたは異なる時点および/または段階で同じリンパ構造へ導入されてもよい。
【0248】
抗原は、限定されないが、以下を含む様々な方法で導入されてもよい:注射、抗原を用いて培養された細胞の送達、パッチ内のリンパ節オルガノイドの表面上への抗原の沈着、リンパ系または循環系微小血管系(存在する場合)による抗原の導入、あるいはリンパ節を囲む培地中の可溶性抗原の導入。
【0249】
導入され得る抗原としては、限定されないが、天然または操作された:全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞を含む。抗原は理論上無害の刺激(例えば、アレルギーの場合)であることもあれば、自己抗原(例えば、自己免疫疾患または癌の場合)であることもある。抗体ライブラリの生成は、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、および追加の抗体により方向付けられた進化技術と適合するものであってもよい。
【0250】
免疫応答を促進、延長、加速、開始させることを意図した生物学的および/または非生物学的免疫アジュバントは、抗原の導入と共に、上記導入の前または後に開始されてもよい。可能性のあるアジュバントとしては、限定されないが、ミョウバン、および、トール様受容体(TLR)-刺激化合物が挙げられる。アジュバントは抗原として同じまたは異なる導入手段で導入されてもよい。
【0251】
免疫応答を弱め、遅延させ、速度を落とさせ、停止させることを意図した生物学的および/または非生物学的薬剤は、抗原の導入と共に、上記導入の前または後に開始されてもよい。アジュバントは、そのような阻害剤とともに、上記阻害剤の前または後に導入されることもあれば、阻害剤に関連して導入されないこともある。こうした薬剤は、小分子、遮断抗体、および他の阻害剤を含む、アポトーシス促進性の薬剤および/または受容体阻害剤を含み得る。
【0252】
抗体、分泌された受容体、部分的な細胞、あるいは全細胞は、免疫学的応答の完了または部分的な完了後に集められてもよい。抽出の方法は印刷されたリンパ構造の破壊を結果的に引き起こすこともあれば、リンパ構造を無傷のまま残して、さらなる使用あるいは分析に用いられるようにすることもある。所望の生成物の抽出の方法としては、限定されないが、以下が挙げられる:フローサイトメトリーベースの細胞選別(FACS)、培養物からの単細胞の希釈、表面抗体発現に基づく選択、および、マイクロ流体方法とチャネルに基づく選択。分泌された生成物は培地採取によって集められてもよい。
【0253】
印刷されたリンパ器官および/またはオルガノイドは、限定されないが、以下を含む目的で、交互にあるいはさらに使用されることで、免疫学的事象、細胞間相互作用、細胞の変化、および他の測定可能または知覚可能な事象を評価することもある:ワクチン開発;免疫系に対する損傷の可能性(例えば、安全性試験)と、ワクチンが作用することを意図された抗原の導入を伴うまたは伴わない免疫応答の評価(例えば、有効性評価)の両方を含むワクチン評価;免疫系に対する損傷の可能性(例えば、安全性試験)と、意図的であれ(例えば、有効性評価)非意図的であれ(例えば、副作用試験)、免疫系に対する薬物の効果の評価とを含む、生物学的および/または非生物学的な薬物化合物あるいは薬物の組み合わせの薬剤師件;治療用途または他の用途、とりわけ、ハイスループット印刷設計が使用される場合のために意図された、潜在的に免疫作用性の生物学的および非生物学的薬剤のスクリーニング;様々な検査により誘導される条件あるいは自然発生条件下での免疫学的応答および細胞間相互作用の基礎研究;および、限定されないが、例えば、外来性または自己由来の薬剤あるいは抗原に対する移植適合性および反応を評価するための、混合ドナーのリンパ球反応を含む診断評価;癌免疫療法予測スクリーニングアッセイ;T細胞胸腺選択アッセイ;天然のレパートリーからのT細胞クローナル択アッセイ;および/または、サイトカインストーム予測アッセイを含む。患者の免疫系の移植評価および反応性のための抗原は、アレルギー、自己免疫疾患、癌、有益な微生物とウイルス、および/または、有害なあるいは場合によっては有害な微生物とウイルスに関連する抗原を含むことがある。
【0254】
こうした目的のために測定または観察され得る免疫学的事象としては、限定されないが以下が挙げられる:リンパ球の挙動、活性化状態、表現型、増殖速度、細胞間相互作用、細胞間相互作用の変化、細胞活性化の内部マーカーおよび/または外部マーカーの発現。
【0255】
こうした免疫学的事象を評価するために行うことができる測定としては、限定されないが以下が挙げられる:免疫学的事象を評価するための既存またはまだ存在していないプロトコルに従う、抗体のクラススイッチ;サイトカインベースの応答;細胞分化;予防接種のためのアジュバントに対する反応;ワクチンに対する反応;細胞増殖;細胞致死;細胞表現型;引き起こされたものであるにせよ、天然の発達プロセスの一部としてであるにせよ、細胞表現型の変化;記憶細胞の発達;記憶細胞の記憶;ドナーに内因性の記憶細胞集団の評価;アレルギー応答の薬剤試験あるいは評価に関する免疫応答を含む任意の予測的な測定;など。
【0256】
本明細書に記載される方法によって生成される印刷されたリンパ器官およびオルガノイドはサイトカイン放出を予測するために使用されてもよい。サイトカインストーム予測アッセイは、治療薬によって誘発されたサイトカイン放出を予測することもある。このストーム予測アッセイは、抗体ベースの治療薬、小分子治療薬、細胞ベースの治療薬、ペプチド、核酸、あるいはこれらの任意の組み合わせによって引き起こされたサイトカイン放出を予測することがある。サイトカインストーム予測アッセイは、ヒト、霊長類、および/またはげっ歯動物においてサイトカイン放出を予測することがある。サイトカインストーム予測アッセイは、サイトカイン類、酸素フリーラジカル、および凝固因子などの炎症性メディエーターのレベルを測定することがある。サイトカインストーム予測アッセイは、炎症促進性サイトカイン、抗炎症性サイトカイン、コロニー刺激因子、インターフェロン、インターロイキン、および/またはサイトカインストームの結果として放出される腫瘍壊死因子を測定することがあるサイトカインストーム予測アッセイによって測定されたサイトカインは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-α、IL-1β、およびIL-1受容体アンタゴニスト、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、および果粒球コロニー刺激因子(g-CSF)、CXCR3、CXCL9、CXCL10、および/またはCXCL11であってもよい。
【0257】
免疫応答の測定は、限定されないが、以下を含む方法によって実施可能である:全細胞の使用;形態および/または受容体発現プロフィールを含み得る、その細胞表現型に基づく細胞の選別または単離;および、分泌速度あるいは特定の分泌された分子の評価を含む目的のための血清あるいは培地の採取。
【0258】
細胞の状態、あるいは、遺伝子および表現型の評価を含む細胞の状態の変化を評価するために使用され得る方法としては、限定されないが以下が挙げられる:酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)、特定のゲノム遺伝子座の部分的な遺伝子配列決定あるいは配列決定、完全なゲノム配列決定、タンパク質または核酸のゲル電気泳動、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量PCR、逆転写PCR、ウェスタンブロット、細胞表現型あるいは活性化状態の分析のためのフローサイトメトリー、抗体選択、質量分析法など。細胞含有構造を印刷する方法
【0259】
本開示は、三次元細胞含有マトリックスを印刷および使用する方法とシステムを提供する。一態様では、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法は:(i)複数の細胞と(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程を含んでいる。次に、上記方法は、(i)複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)の細胞含有マトリックスの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3D細胞含有医療デバイスを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含み得る。次に、上記方法は、被験体中で3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含み得る。
【0260】
他の態様では、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法は、(i)複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程と、(ii)被験体中で3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0261】
別の態様では、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用するための方法は、第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程を含む。第1の培地は、第1の複数の細胞および第1のポリマー前駆体を含み得る。次に、上記方法は、3D細胞含有マトリックスの第1の部分を形成するべく培地チャンバ内の第1の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータメモリ中の3D細胞含有マトリックスを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含み得る。次に、上記方法は、培地チャンバ内の第2の培地を提供する工程を含み得る。第2の培地は、第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み得る。第2の複数の細胞は、第1の複数の細胞とは異なるタイプであり得る。次に、上記方法は、3D細胞含有マトリックスの第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程を含み得る。次に、上記方法は、被験体中で3D細胞含有マトリックスの第1と第2の部分を位置づける工程を含み得る。
【0262】
他の態様では、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程を含む。第1の複数の細胞は、第2の複数の細胞とは異なることもある。次に、上記方法は、(ii)被験体中で3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含み得る。
【0263】
複数の細胞は被験体からのものであってもよい。複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択されてもよい。B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択されてもよい。T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択されてもよい。3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成することもある。移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択されてもよい。
【0264】
3D細胞含有マトリックスは、約1マイクロメートル(μm)~約10センチメートル(cm)であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約5μm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約10μm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約100μm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約500μm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約1000μm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約1cm~約10cmまたはそれ以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは、少なくとも約5~約10cmまたはそれ以上であってもよい。
【0265】
3D細胞含有マトリックスは約1μm~約1,000μmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約1μmであってもよい。3D細胞含有マトリックスはせいぜい約1,000μmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは、約1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約1μm~約100μm、約1μm~約1,000μm、約5μm~約10μm、約5μm~約100μm、約5μm~約1,000μm、約10μm~約100μm、約10μm~約1,000μm、あるいは、約100μm~約1,000μmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは、約1μm、5μm、約10μm、約100μm、または1,000μmであってもよい。
【0266】
3D細胞含有マトリックスは約0.5cm~約10cmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約0.5cmであってもよい。3D細胞含有マトリックスはせいぜい約10cmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは、約0.5 cm~約1cm、約0.5 cm~約2cm、約0.5 cm~約3cm、約0.5 cm~約4cm、約0.5 cm~約5cm、約0.5 cm~約6cm、約0.5 cm~約7cm、約0.5 cm~約8cm、約0.5 cm~約9cm、約0.5 cm~約10 cm、約1 cm~約2cm、約1 cm~約3cm、約1 cm~約4cm、約1 cm~約5cm、約1 cm~約6cm、約1 cm~約7cm、約1 cm~約8cm、約1 cm~約9cm、約1 cm~約10cm、約2 cm~約3cm、約2 cm~約4 cm、約2 cm~約5cm、約2 cm~約6cm、約2 cm~約7cm、約2 cm~約8cm、約2 cm~約9cm、約2 cm~約10 cm、約3 cm~約4cm、約3 cm~約5cm、約3 cm~約6cm、約3 cm~約7cm、約3 cm~約8cm、約3 cm~約9cm、約3 cm~約10cm、約4 cm~約5cm、約4 cm~約6cm、約4 cm~約7cm、約4 cm~約8 cm、約4 cm~約9cm、約4 cm~約10cm、約5 cm~約6cm、約5 cm~約7cm、約5 cm~約8cm、約5 cm~約9cm、約5 cm~約10cm、約6 cm~約7cm、約6 cm~約8cm、約6 cm~約9cm、約6 cm~約10 cm、約7 cm~約8cm、約7 cm~約9cm、約7 cm~約10cm、約8 cm~約9cm、約8 cm~約10 cm, or 約9 cm~約10 cmであってもよい。3D細胞含有マトリックスは、約0.5cm、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、または約10cmであってもよい。
【0267】
3D細胞含有マトリックスは少なくとも約1μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約5μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約10μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約50μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約100μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約1000μm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約0.5cm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約1cm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約5cm以上であってもよい。3D細胞含有マトリックスは少なくとも約10cm以上であってもよい。
【0268】
3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含み得る。薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択されてもよい。
【0269】
本開示の別の態様は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは、第1の複数の細胞および第1の複数の1つのポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバを含んでいる。上記システムは、培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源を含み得る。上記システムは、少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取るように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく、第1のポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第1の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく培地チャンバ内の第2の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ内の第2の培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けるように個別にあるいはまとめてプログラムされ得る。第2の培地は、第2の複数の細胞および第2の複数のポリマー前駆体を含み得る。第2の複数の細胞は、第1の複数の細胞とは異なるタイプであり得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分を晒すように個々にあるいはまとめてプログラムされ得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、3Dリンパ系オルガノイドの第1と第2の部分から1つ以上の免疫タンパク質を抽出するように個々にあるいはまとめてさらにプログラムされ得る。
【0270】
図24はデバイスと材料を例証しており、これらは、デバイスを含む材料内に埋め込まれた細胞(400)を含み得る。3D細胞含有細胞外マトリックスあるいはデバイスを印刷するために使用され得る材料は、分解性ポリマー、非分解性ポリマー、生体適合性ポリマー、細胞外マトリックス成分、生体吸収性ポリマー、ヒドロゲル、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。生体吸収性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリウレタン、およびポリカーボネートが挙げられる。生体適合性ポリマーの非限定的な例は、コラーゲン、ヒアルロン酸、および他のグリコサミノグリカン、ポリ-dl-lactic-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ-1-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、あるいはこれらの組み合わせを含む。生体適合性ポリマーは細胞外マトリックス成分を含むことがある。細胞外マトリックス構成成分の非限定的な例は、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびケラタン硫酸などのプロテオグリカン、ヒアルロン酸、コラーゲン、およびエラスチンなどの非プロテオグリカン多糖、フィブロネクチン、ラミニン、ニドゲン、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。これらの細胞外マトリックス構成成分は、多光子励起により、または1つ以上の化学的なドープ剤の多光子励起により直接引き起こされた架橋結合を促進するために、アクリラート、ジアクリラート、メタクリラート、シンナモイル、クマリン、チミン、または他の側鎖基、あるいは化学的に反応性の部分により官能化され得る。場合によっては、光重合性マクロマーおよび/または光重合性モノマーは、細胞含有構造を作成するために細胞外マトリックス構成成分と合わせて使用され得る。光重合性マクロマーの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)アクリラート誘導体、PEGメタクリラート誘導体、およびポリビニルアルコール(PVA)誘導体を含み得る。いくつかの例において、細胞含有構造を作成するために使用されるコラーゲンは、I、II、III、V、およびX型のコラーゲンなどの原繊維性コラーゲン、IX、XII、およびXIV型のコラーゲンなどのFACITコラーゲン、VIIIおよびX型のコラーゲンなどの短鎖コラーゲン、IV型コラーゲンなどの基底膜コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0271】
生体適合性ポリマーは、合成され、かつ生体材料と合成材料のハイブリッドを含む哺乳動物組織に固有ではない、他の重合性モノマーを含むこともある。生体適合性ポリマーは光重合開始剤を含むことがある。光重合開始剤の非限定的な例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイン誘導体、ベンジケタール(benziketals)、ヒドロキシアルキルフェノン、アセトフェノン誘導体、トリメチロールプロパントリアクリラート(TPT)、アクリロイルクロライド、過酸化ベンゾイル、カンファーキノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、および2-ヒドロキシ-1-[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノンを含み得る。ヒドロキシアルキルフェノンは、4-(2-ヒドロキシエチルエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)295)、1-ヒドロキシシクロヘキシル-1-フェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(登録商標)651)を含み得る。アセトフェノン誘導体は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)を含み得る。チオキサントンはイソプロピルチオキサントンを含み得る。
【0272】
いったん適所に置かれると、デバイスは2片の組織を集めることもあり、細胞はデバイス内で移動することもあれば、デバイスから外に出ることもあり、細胞含有生体吸収デバイス周辺またはその内部での治癒と組織リモデリングを促進するために他の細胞に局所的に相互作用することもある。細胞含有生体吸収医療デバイスは、任意の長さあるいは幅の縫合糸(401)、ステープル(402)、任意の長さあるいは幅ののステント(403)、ロック式または圧縮可能なクリップ(404)、任意の形状およびサイズのパッチおよび移植片(405)、ならびに/あるいは、生きている被験体の中での使用を意図した類似の構造であってもよい。任意の形状およびサイズの単層または多層状のパッチ移植片(406)は、組織の発達を促進し、組織機能および/または治癒を増強するために、複数の異なる細胞型から作製可能である。パッチと移植片は、潅流を介した埋め込まれた細胞のための適切な栄養分の送達を可能にするために、構造において多孔性または管状である印刷された足場から作られてもよい。メッシュパッチは、リンパ管、血管系、および神経に対する弾性と構造的な支持を改善するために使用することができ、それによって移植された組織の機能を改善することができる。移植片としては、限定されないが、以下が挙げられる:皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、網膜組織、あるいはこれらの任意の組み合わせ。デバイスは、天然の細胞外マトリックス足場を模倣することもあれば模倣しないこともある合成材料または生体材料を使用して印刷され得る。材料は、限定されないが、ポリエチレングリコールジアクリレート、コラーゲン、ゼラチンラミニン、フィブリン、および/またはアルギン酸塩を含む。
【0273】
図25は、身体内で移植されたまま組織を保持しながらの創傷治癒を目的として、骨再吸収可能なねじ(407)、ピン(408)、および、他のサイズと形状の移植片を例証している。
図25に例証された例は細胞を含むことがある。ホログラフィー印刷された移植片および/またはパッチは、限定されないが、長円形、長方形、楕円形、他の多角形形状、あるいは損傷または疾患の部位を治療または強化するために必要とされる任意のアモルファス形状などの様々な形状を含み得る。
図26は、第1の混合された細胞播種ホログラフィー印刷パッチ(410a)と、第2の混合された細胞播種ホログラフィー印刷パッチ(410b)を例証している。第1と第2の混合された細胞播種ホログラフィー印刷パッチ(つまり、それぞれ(410a)と(410b))は、
図26に示されたように、心筋細胞(411)および/または幹細胞(412)を含み得る。細胞播種ホログラフィー印刷パッチは、限定されないが、様々な分化状態の単球、線維芽細胞、内皮細胞、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む補助細胞を含み得る。
【0274】
複数のデバイスの構造的完全性を増強するために、三次元印刷された材料は厚くなることもあれば濃くなることもあり、すべての部位で細胞を含むこともあれば含まないこともある。こうした細胞は印刷時、適所で保持するために任意のサイズの開口に閉じ込められ、あるいは、最初に印刷された場所まで移動して、それ自体の層内の他の細胞、その後にまたはそれよりも前に印刷された層の細胞、あるいは、それらが最終的に移植されるを天然の組織中の細胞と相互作用する。発達中に開口を通って細胞を移動させるか、適所で細胞を捕らえる、任意の開口のサイズ(413)または密度のメッシュネット、格子、マトリックス(414)、フレームワーク内で、細胞はカプセル化され(
図27)、埋め込まれ、捕らえられ、あるいは、収容される(400)。これは、より大きな構造的な建築の基礎構成要素を構成する。
【0275】
三次元リソグラフィーは、移植の部位に必ずしも依存しない増強性または独立した生理学的機能の役割を果たすこともある、機能性の部分的な器官あるいはオルガノイドを生成するために使用されてもよい。こうした三次元リソグラフィーは、参照により本明細書に組み込まれる、一般的に発明されたMULTI-PHOTON TISSUE PRINTINGという表題の米国仮特許出願第62/469,948号に開示されるように、直列の2光調節システムの使用を介する光のホログラフィック投影によって達成可能である。
【0276】
機能の増強または交換のための組織の非限定的な例としては、腎臓あるいは腎臓組織の生成モデル、肺組織あるいは部分的または完全な肺葉あるいはその生成モデル、神経組織、膵臓組織、インスリン産生β島および関連する組織、甲状腺組織、脾臓組織、肝臓組織、皮膚組織、および、胃腸管の組織が挙げられる。列挙されたすべての組織は、限定されないが、リンパ排出系と同様に大きなおよび小さな血管系と、全ての関連する中空の構造、および、神経、または、機能的な能力を与えるのに必要な免疫細胞を含む、機能的な能力を与えるのに必要なすべての構造的な構成要素と補助細胞を含む。
【0277】
いくつかの実施形態において、印刷された腎臓生成モデルは、本明細書に開示される方法によって生成される。限定されないが、尿集合管、尿集合管を囲む血管化組織および高密度組織、ならびに腎臓カプセル剤を含む、腎臓の基本的な構造的な構成要素は、別のコンピュータ支援設計(CAD)ファイルへ分離され、自動計算機制御プログラム(1101)によって、順次に、ただし、任意の順番で印刷されてもよい。印刷はレーザー印刷システム(110)へコンピュータ・ファイルを示すことにより達成されてもよく、CADファイルを模倣する構造は順次、ただし、必要とされる順序で、バイオゲルと培地チャンバ(122)に堆積することもある。
【0278】
移植のための三次元印刷された構造は、体積が約1ミクロン~数十センチメートル以上であり得る。肺などの複合組織構造の表面積は、数平方メートルに及び、したがって大きな印刷された器官の外部寸法は、機能単位の表面積とは必ず異なる。したがって、本明細書で提供される方法とシステムは、機能性サイズと表面積対体積比の生理学的な範囲内のすべての構造的な構成要素を包含するように設計されてもよい。
【0279】
レーザーベースのホログラフィーは、空間光変調器またはデジタルミラーデバイスによってコンピュータ支援設計(CAD)ファイルから投影された設定パターンのバイオマトリックス材料をほぼ瞬時に重合するために使用されてもよい。複数の印刷工程と位置は完全な生成モデルを作るために必要とされることがある。
【0280】
細胞は、未分化、部分的な分化、完全な文化を含む、遺伝的分化または表現型分化の任意の状態であってもよい。分化状態の例は限定されないが、多能性幹細胞、全能性幹細胞を含む。細胞は、一致したドナー、臍帯血、細胞および組織バンク、あるいは樹立細胞株から供給された自己由来細胞であってもよい。同じおよび/または異なる分化状態の複数の細胞型は、単一の印刷層および/または複数の反復印刷層の内部で使用されてもよい。細胞は、光スイッチ技術、クラスタ化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)技術、ウイルスの導入、あるいは遺伝子操作の他の手段を介して、印刷プロセスの前、最中、あるいは後に遺伝子操作され得る。遺伝子操作は核DNAに限定されず、ミトコンドリアDNA、あるいは、核DNAへの取り込みを意図していない浮遊プラスミドまたはウイルスDNAを含むことがある。
【0281】
印刷された構造は、デバイスの特定の部位での細胞の拡張とニッチ発達を促すために、偏った細胞密度、制御された細胞密度を含む、高密度または可変密度の細胞を含み得る。高いまたは低い細胞密度は組織生成物のニーズに依存して使用されてもよい。低い細胞密度は、印刷材料の1立方センチメートル当たり10,000細胞と同じくらい低くてもよく、印刷材料の1立方センチメートル当たり10億の細胞と同じくらい高くてもよい。細胞は1つの型であるか混合型であってもよく、印刷は多層中で実行されてもよい。
【0282】
バイオプリント材料は、微小血管系を含む血管系と神経の、プリントされた構造あるいは周囲の天然の建築物への成長を促進することを意図した薬剤を含み得る。さらに、プリントされた生体材料は、幹細胞または前駆細胞の指定された系譜への分化を促進することを意図した薬剤を含み得る。こうした薬剤としては、限定されないが、以下が挙げられる:成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイドまたは非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および/または幹細胞増殖剤。
【0283】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされるコンピュータ制御システムを提供する。
図11は、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスのコンピュータモデルを受け取り;コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスのコンピュータモデルのポイントクラウド表現またはラインベース表現を生成し;および、3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスのコンピュータモデルに従って少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバにおける培地にエネルギービームを向けるために、並びに、3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスの少なくとも一部を形成するべくポリマー前駆体の少なくとも一部をさらすために、少なくとも1つのエネルギー源を向けるようにプログラムされるまたは構成される、コンピュータシステム(1101)を示す。コンピュータシステム(1101)は、例えば、3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスなどの、プリントされる所望の三次元(3D)生体材料構造のコンピュータ支援設計(CAD)モデルを受け取るか生成するためなどの、本開示のコンピュータモデル生成および設計、画像生成、ホログラフィック投影、および光変調の様々な態様を規制することができる。コンピュータシステム(1101)は、ポイントクラウドモデルまたはラインベースモデルなどのコンピュータモデルのCADモデルまたは他のあらゆるタイプを、印刷される所望の3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスの画像へ変換することができる。コンピュータシステム(1101)は、所望の3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスの画像をホログラフィーで投影することができる。コンピュータシステム(1101)は、光路またはエネルギービーム経路がコンピュータシステム(1101)によって作成されるように、光源、エネルギー源、またはエネルギービームを調節することができる。コンピュータシステム(1101)は、光路またはエネルギービーム経路に沿って光源、エネルギー源、またはエネルギービームを配向することができる。コンピュータシステム(1101)はユーザーまたはコンピュータシステムの電子デバイスであり、ユーザーまたはコンピュータシステムは電子デバイスに対して遠隔に位置付けられる。電子デバイスはモバイル電子デバイスでもよい。
【0284】
コンピュータシステム(1101)は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」とも称される)(1105)を含み、これは、シングルコアまたはマルチコアのプロセッサ、あるいは並行処理のための複数のプロセッサをであり得る。コンピュータシステム(1101)は、メモリまたは記憶場所(1110)(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(1115)(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(1120)(例えば、ネットワークアダプタ)、およびキャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、および/または電子ディスプレイアダプターなどの周辺機器(1125)も含む。メモリ(1110)、記憶装置(1115)、インターフェース(1120)、および周辺機器(1125)は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU(1105)と通信する。記憶装置(1115)は、データを保存するためのデータ記憶装置(またはデータレポジトリ)であり得る。コンピュータシステム(1101)は、通信インターフェース(1120)の助けによってコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)(1130)に動作可能に接続され得る。ネットワーク(1130)は、インターネットおよび/またはエクストラネット、インターネットと通信状態にあるイントラネットおよび/またはエクストラネットであり得る。場合によってはネットワーク(1130)は、電気通信および/またはデータのネットワークである。ネットワーク(1130)は、1つ以上のコンピュータサーバーを含むことができ、これはクラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる。ネットワーク(1130)は、場合によってはコンピュータシステム(1101)の助けにより、ピアツーピア・ネットワークを実施することができ、これは、コンピュータシステム(1101)に連結されたデバイスが、クライアントまたはサーバーとして動くことを可能にし得る。
【0285】
CPU(1105)は、プログラムまたはソフトウェアで統合可能な一連の機械可読命令を実行することができる。この命令は、メモリ(1110)などのメモリ位置に保存され得る。この命令は、CPU(1105)に向けることができ、これは後に、本開示の方法を実施するようにCPU(1105)をプログラムまたは構成することができる。CPU(1105)により実行される動作の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを含み得る。
【0286】
CPU(1105)は、集積回路など回路の一部であり得る。システム(1101)の1つ以上の他のコンポーネントを回路に含めることができる。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0287】
記憶装置(1115)は、ドライバー、ライブラリ、およびセーブされたプログラムなどのファイルを保存することができる。記憶装置(1115)は、ユーザーデータ、例えばユーザーの嗜好性およびユーザーのプログラムを保存することができる。コンピュータシステム(1101)は、場合によっては、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピュータシステム(1101)と通信状態にあるリモートサーバー上に位置付けられるなどした、コンピュータシステム(1101)の外側にある1つ以上の追加のデータ記憶装置を含み得る。
【0288】
コンピュータシステム(1101)は、ネットワーク(1130)を介して1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム(1101)はユーザーのリモートコンピュータシステムと通信できる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、持ち運び可能なPC)、スレートまたはタブレットPC(例えばApple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えばApple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android-enabledデバイス、Blackberry(登録商標))、クラウドベースのコンピューティングサービス(例えばAmazon Web Services)、または携帯情報端末を含む。ユーザーは、ネットワーク(1130)を介してコンピュータシステム(1101)にアクセスすることができる。
【0289】
本明細書に記載されるような方法は、例えば、メモリ(1110)または電子記憶装置(1115)上などの、コンピュータシステム(1101)の電子記憶場所に保存された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実行可能である。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアの形で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ(1105)により実行され得る。場合によっては、コードは、記憶装置(1115)から検索され、かつプロセッサ(1105)による即時のアクセスのためにメモリ(1110)に保存することができる。いくつかの状況において、電子記憶装置(1115)は除外することができ、機械実行可能命令がメモリ(1110)に保存される。
【0290】
コードは、コードを実行するのに適したプロセッサを有する機械とともに使用されるようにあらかじめコンパイルされかつ構成され得るか、あるいは、実行時間中にコンパイルされ得る。コードは、あらかじめコンパイルされたまたはアズコンパイルされた(as-compiled)様式でコードが実行を可能にするために選択され得るプログラミング言語で供給され得る。
【0291】
コンピュータシステム(1101)などの本明細書で提供されるシステムと方法の態様は、プログラミングの際に統合することができる。この技術の様々な態様は、典型的に一種の機械可読媒体上で運ばれるまたはそれに埋め込まれる機械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または関連データの形で、「製品」または「製造用品」として考慮され得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に記憶することができる。「記憶」型の媒体は、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータやプロセッサの有形メモリ、あるいはその関連するモジュールのいずれかまたは全てを含むことができ、これらは、ソフトウェアのプログラミングのためにいかなる時も非一時的な記憶を提供し得る。ソフトウェアの全てまたは一部は、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワークを介して時々通信される。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。ゆえに、ソフトウェア要素を持ち得る別のタイプの媒体は、有線および光地上通信線ネットワークを通じた、および様々なエアリンク(air-links)上での、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって使用されるものなどの、光波、電波、および電磁波を含む。有線または無線リンク、光リンクなどの、そのような波を運ぶ物理要素はまた、ソフトウェアを持つ培地と考慮され得る。本明細書で使用されるように、非一時的で有形の「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する媒体を指す。
【0292】
従って、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、限定されないが、有形記憶媒体、キャリア波媒体、または物理送信媒体を含む、多くの形態をとってもよい。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示されるデータベースなどを実施するために使用され得るものなど、コンピュータなどにおける記憶デバイスのいずれかといった、光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。有形送信媒体は、同軸ケーブル;コンピュータシステム内のバスを含むワイヤーを含む、銅線および光ファイバーを含んでいる。搬送波送信媒体は、無線周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されたものなどの、電気信号または電磁気信号、あるいは音波または光波の形態をとり得る。それゆえ、コンピュータ可読媒体の共通の形態は、例えば:フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的な記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を伝達するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングのコードおよび/またはデータを読み取り得る他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のためにプロセッサに1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを運ぶことに関与することがある。
【0293】
コンピュータシステム(1101)は、電子ディスプレイ(1135)を含むことができるか、あるいは、電子ディスプレイ(1135)と通信することができ、該電子ディスプレイ(1135)は、例えば、印刷プロセスの状態(例えば、プロセスの完了前に印刷された3D組織部分を表す3Dリンパ系オルガノイドおよび/または3D細胞含有マトリックスのイラストを表示する)を提供するためのユーザーインターフェース(UI)(1140)、エネルギービームの手動制御部(例えば、エネルギービームのオン/オフ状態を制御する非常停止ボタン)、および、例えば培地チャンバ内で遠隔の酸素濃度、二酸化炭素濃度、湿度測定、および温度測定を表示するように設計されたディスプレイインジケーターを含む。UIの例は、限定されないが、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースを含む。
【0294】
<好ましい実施形態>
一態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法を提供し、該方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;(b)(i)複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)リンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける3Dリンパ系オルガノイドを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って培地チャンバ中の培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;および、(c)上記1つ以上の免疫のタンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも上記一部を晒す工程を含む。
【0295】
いくつかの実施形態において、該条件は、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態において、抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、(d)上記3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質はヒト免疫タンパク質である。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは涙滴形状である。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも1つの部分のポリマーはネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、ネットは組織化されたネットである。いくつかの実施形態において、組織化されたネットは繰り返しパターンを含む。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、細胞間相互作用は、B細胞とT細胞の複合体形成、B細胞とB細胞の相互作用、B細胞とマクロファージ、T細胞と樹状細胞の相互作用、T細胞との間質細胞の相互作用、B細胞との間質細胞の相互作用、あるいは、樹状細胞との間質細胞の相互作用である。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0296】
他の態様では、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法を提供し、上記方法は、(i)複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)上記1つ以上の免疫タンパク質を産生するために上記3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。
【0297】
いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態では、複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。
【0298】
他の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するための方法を提供し、該方法は:(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、上記第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;(b)三次元(3D)リンパ系オルガノイドの第1の部分を形成するべく上記培地チャンバにおける上記第1の培地の少なくとも一部をさらすために、コンピュータメモリにおける上記3Dリンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバにおける上記第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(c)上記培地チャンバにおける第2の培地を提供する工程であって、上記第2の培地は第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み、上記第2の複数の細胞は上記第1の複数の細胞とは異なるタイプである、工程と;(d)上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく上記培地チャンバにおける上記第2の培地の一部をさらすために、上記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバにおける上記第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;および、(e)上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分を晒す工程を含む。
【0299】
いくつかの実施形態において、該条件は、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態において、抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、上記方法はさらに、(f)上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分から、1つ以上の免疫タンパク質を抽出する工程を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質はヒト免疫タンパク質である。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤から選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と上記第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と上記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、上記3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は涙滴形状である。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部のポリマーはネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、ネットは組織化されたネットである。いくつかの実施形態において、組織化されたネットは繰り返しパターンを含む。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、細胞間相互作用は、B細胞とT細胞の複合体形成、B細胞とB細胞の相互作用、B細胞とマクロファージ、T細胞と樹状細胞の相互作用、T細胞との間質細胞の相互作用、B細胞との間質細胞の相互作用、あるいは、樹状細胞との間質細胞の相互作用である。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0300】
他の態様では、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生する方法を提供し、上記方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含むマトリックスを含む三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷する工程と、(ii)上記1つ以上の免疫タンパク質を産生するために上記3Dリンパ系オルガノイドを処理する工程とを含む。
【0301】
いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1と上記第2の複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と上記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。
【0302】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)の細胞含有マトリックスを使用するための方法を提供し、上記方法は:(a)(i)複数の細胞および(ii)1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含む、培地チャンバを提供する工程と;(b)(i)上記複数の細胞の少なくとも1つの部分集合、および(ii)上記1つ以上のポリマー前駆体から形成されたポリマーを含む、三次元(3D)の細胞含有マトリックスの少なくとも一部を形成するべく、コンピュータメモリにおける上記3D細胞含有医療デバイスを印刷するコンピュータ命令に従って、3D投影へとパターン化される少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバ中の上記培地へと、少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;および、(c)被験体中に上記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0304】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法を提供し、上記方法は、(i)複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程と、(ii)被験体中で上記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態では、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD8+T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0306】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用するための方法を提供し、上記方法は:(a)第1の培地を含む培地チャンバを提供する工程であって、上記第1の培地が第1の複数の細胞と第1のポリマー前駆体を含む、工程と;(b)上記3D細胞含有マトリックスの第1の部分を形成するべく上記培地チャンバ内の上記第1の培地の少なくとも一部を晒すために、コンピュータメモリ中の上記3D細胞含有マトリックスを印刷するためのコンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバ内の上記第1の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(c)上記培地チャンバにおける第2の培地を提供する工程であって、上記第2の培地は第2の複数の細胞および第2のポリマー前駆体を含み、上記第2の複数の細胞は上記第1の複数の細胞とは異なるタイプである、工程と;(d)上記3D細胞含有マトリックスの少なくとも第2の部分を形成するべく上記培地チャンバにおける上記第2の培地の一部をさらすために、上記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバにおける上記第2の培地に少なくとも1つのエネルギービームを向ける工程と;(e)被験体中で上記3D細胞含有マトリックスの上記第1と第2の部分を位置づける工程を含む。
【0307】
いくつかの実施形態において、第1と上記第2の複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と上記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0308】
他の態様では、本開示は、三次元(3D)細胞含有マトリックスを使用する方法を提供し、上記方法は、(i)第1の複数の細胞と第2の複数の細胞を含む3D細胞含有マトリックスを印刷する工程であって、上記第1の複数の細胞が上記第2の複数の細胞とは異なる、工程と、(ii)被験体中で上記3D細胞含有マトリックスを位置づける工程を含む。
【0309】
いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は上記被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1と第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは、縫合糸、ステント、ステープル、クリップ、ストランド、パッチ、移植片、シート、チューブ、ピン、あるいはねじを形成する。いくつかの実施形態において、移植片は、皮膚移植片、子宮内膜、神経組織移植片、膀胱壁、腸組織、食道内膜、胃内膜、毛包包埋皮膚、および網膜組織からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは約1μmから約10cmまでである。いくつかの実施形態において、3D細胞含有マトリックスは血管系または神経の成長を促すための薬剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン類、ケモカイン類、抗生物質、抗凝固剤、抗炎症薬、オピオイド鎮痛剤、非オピオイド鎮痛剤、免疫抑制剤、免疫誘導剤、モノクローナル抗体、および幹細胞増殖剤からなる群から選択される。
【0310】
別の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは:(a)複数の細胞と1つ以上のポリマー前駆体を含む培地を含むように構成された培地チャンバ;(b)上記培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および(c)上記少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、上記1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;(ii)上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく上記ポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、上記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバ中の上記培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように上記少なくとも1つのエネルギー源を向け;および、(iii)上記1つ以上の免疫のタンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも上記一部を晒す;ように個々にあるいはまとめてプログラムされる。
【0311】
いくつかの実施形態において、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態において、抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部から1つ以上の免疫タンパク質を抽出するように個々にあるいはまとめてさらにプログラムされる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質はヒト免疫タンパク質である。いくつかの実施形態において、免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態では、複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、上記3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は涙滴形状である。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部のポリマーはネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、ネットは組織化されたネットである。いくつかの実施形態において、組織化されたネットは繰り返しパターンを含む。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、細胞間相互作用は、B細胞とT細胞の複合体形成、B細胞とB細胞の相互作用、B細胞とマクロファージ、T細胞と樹状細胞の相互作用、T細胞との間質細胞の相互作用、B細胞との間質細胞の相互作用、あるいは、樹状細胞との間質細胞の相互作用である。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0312】
別の態様において、本開示は、1つ以上の免疫タンパク質を産生するためのシステムを提供し、該システムは:(a)第1の複数の細胞と第1の複数のポリマー前駆体を含む第1の培地を含むように構成された培地チャンバ;(b)上記培地チャンバに少なくとも1つのエネルギービームを向けるように構成された少なくとも1つのエネルギー源;および、(c)上記少なくとも1つのエネルギー源に動作可能に接続された1つ以上のコンピュータプロセッサを含み、上記1つ以上のコンピュータプロセッサは、(i)コンピュータメモリから三次元(3D)リンパ系オルガノイドを印刷するためのコンピュータ命令を受け取り;(ii)上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも一部を形成するべく上記ポリマー前駆体の少なくとも一部を晒すために、上記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバ中の上記培地へ少なくとも1つのエネルギービームを向けるように上記少なくとも1つのエネルギー源を向け;(iii)上記3Dリンパ系オルガノイドの少なくとも第2の部分を形成するべく上記培地チャンバ中の上記第2の培地の少なくとも一部を晒すために、上記コンピュータ命令に従って、少なくとも1つのエネルギービーム経路に沿って上記培地チャンバ内の第2の培地へ上記少なくとも1つのエネルギービームを向けるように少なくとも1つのエネルギー源を向けることであって、上記第2の培地が第2の複数の細胞と第2のポリマー前駆体を含み、上記第2の複数の細胞が上記第1の複数の細胞とは異なるタイプのものである、こと;および、(e)上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件に、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分を晒すこと、を行うように個々にあるいはまとめてプログラムされる。
【0313】
いくつかの実施形態において、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するのに十分な条件は、上記1つ以上の免疫タンパク質の産生を刺激するために、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分を、抗原に晒すことを含む。いくつかの実施形態において、抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のコンピュータプロセッサは、上記3Dリンパ系オルガノイドの上記第1と第2の部分から上記1つ以上の免疫タンパク質を抽出するように個々にあるいはまとめてさらにプログラムされる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質はヒト免疫タンパク質である。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫タンパク質は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤から選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、IgG抗体はヒトIgG抗体である。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と上記第2の複数の細胞は被験体からのものである。いくつかの実施形態において、第1の複数の細胞と上記第2の複数の細胞は、間質性内皮細胞、内皮細胞、濾胞細網細胞あるいはその前駆体、ナイーブB細胞あるいは他の未成熟B細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、ヘルパーT細胞およびその部分集合、エフェクターT細胞およびその部分集合、CD+8T細胞、CD4+T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナイーブT細胞あるいは他の未成熟T細胞、樹状細胞およびその部分集合、濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞、皮膚由来樹状細胞、樹状細胞前駆体、単球由来樹状細胞、単球およびその部分集合、マクロファージおよびその部分集合、白血球およびその部分集合からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、B細胞は、ナイーブB細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、B1B細胞、およびB2B細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、T細胞はCD8+およびCD4+からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、上記3Dリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの形状は涙滴形状である。いくつかの実施形態において、3Dリンパ系オルガノイドの上記少なくとも一部のポリマーはネットワークを形成する。いくつかの実施形態において、ネットワークは細網状、アモルファス、またはネットである。いくつかの実施形態において、ネットは組織化されたネットである。いくつかの実施形態において、組織化されたネットは繰り返しパターンを含む。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞間相互作用を促進するように設計される。いくつかの実施形態において、細胞間相互作用は、B細胞とT細胞の複合体形成、B細胞とB細胞の相互作用、B細胞とマクロファージ、T細胞と樹状細胞の相互作用、T細胞との間質細胞の相互作用、B細胞との間質細胞の相互作用、あるいは、樹状細胞との間質細胞の相互作用である。いくつかの実施形態において、アモルファスネットワークは、細胞ニッチ間あるいは細胞ニッチ内の動きを促すように設計される。
【0314】
別の態様において、本開示は、ヒトの免疫タンパク質の集団を生成する方法を提供し、該方法は:三次元リンパ系オルガノイドをバイオプリントするために多光子レーザーバイオプリンティングシステムを使用する工程;ヒト免疫タンパク質の上記集団の産生を刺激するために上記三次元リンパ系オルガノイドを抗原に晒す工程;および、上記三次元リンパ系オルガノイドからヒト免疫タンパク質の集団を抽出する工程を含む。
【0315】
いくつかの実施形態において、抗原は、全ペプチド、部分ペプチド、グリコペプチド、総タンパク質またはタンパク質サブユニット、炭水化物、核酸、生ウイルス、熱殺菌したウイルス、ウイルス粒子、膜結合型タンパク質または安定化タンパク質、ファージディスプレイ抗原、および全細胞からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、ヒト免疫タンパク質の集団は、抗体、T細胞受容体、および癌免疫療法剤からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、抗体はIgG抗体である。いくつかの実施形態において、三次元のリンパ系オルガノイドは、B細胞胚中心、胸腺様発達ニッチ、リンパ節、ランゲルハンス島、毛包、腫瘍、腫瘍スフェロイド、神経束あるいは支持細胞、ネフロン、肝臓オルガノイド、腸陰窩、一次リンパ器官、および二次リンパ器官からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、上記三次元のリンパ系オルガノイドの形状は、球状、楕円形、卵形、卵状、正方形、長方形、立方形、任意の多角形形状、自由形態、および、涙滴形状からなるリストから選択される。いくつかの実施形態において、上記三次元のリンパ系オルガノイドの形状は涙滴形状である。
【実施例0316】
以下の実施例は説明の目的のために提供される。これらの実施例は、制限することを意図したものではない。
【0317】
実施例1-印刷されたリンパ系オルガノイドにおけるジカウイルス抗体生成
一例では、本明細書に開示される方法において記載されているように、印刷されたリンパ系オルガノイドを使用して、ジカ-ウイルスを標的とする抗体を生成するためのインビトロの研究が行われた。合計で50のリンパ節オルガノイドがジカウイルス抗体を生成するために使用された。ハイブリドーマ細胞株は6週間以内に生成された。
【0318】
図22に示されるように、24の異なる抗体(サンプルA1-A6、B1-B6、C-1~C-6、およびD1-D6)をELISAプレートに晒して、450nmと680nmの波長でのそれらの吸光度を測定した。サンプルA1-A6、B1、B2、B6、C6、D1、D3、および、D4は、陰性対照よりも高い吸光度を示した。サンプルD3は陽性対照よりも高い吸光度を示した。この研究は、本明細書に記載される方法によって生成されたリンパ系オルガノイドが抗体生成において動物の使用を回避する抗体ライブラリのハイスループット生成に成功することができること実証した。
【0319】
実施例2-ジカウイルス抗体のインビボ研究
別の例では、本明細書に開示される方法によって生成されたリンパ節オルガノイドによって産生された抗体の感染性のウイルス中和反応能力を評価するために、ネズミのインビボ研究が行われた。最初に、抗体のライブラリが、印刷されたリンパ節オルガノイドで産生される。最良の抗体候補はELISA試験を介して選択される(すなわち、最も高い吸光度を有するサンプル)。最良の抗体候補の遺伝学的な配列決定が実行される。加えて、全ジカウイルスに対する抗体親和性が、表面プラズモン共鳴(SPR)(Biacore(商標)8K, GE Healthcare)を介して決定される。ジカウイルスに対する最良の結合親和性を示す抗体は、ジカウイルスに感染したマウスで試験され、強力な中和活性を示す。
【0320】
実施例3-カプセル化されたヒトの多能性幹細胞由来のインシュリン分泌細胞のクラスタ
別の例では、ヒト由来のインスリン産生細胞のクラスタは、本明細書に記載されたホログラフィー印刷方法によってカプセル化された。ヒト由来のインスリン産生細胞の3D印刷クラスタは、内分泌細胞の送達または移植のために使用されてもよい。
図28Aは、インスリンプロモーター下で増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)を発現する、約1,500のヒト多能性幹細胞(PSC)由来のインスリン産生細胞のクラスタを示す。ヒトのPSC由来のインスリン産生細胞を、提供された三次元ホログラフィー印刷方法およびシステムを使用して、カプセル化して回復させた。カプセル化された細胞は、
図28Aの左のパネルの明るいフィールドの顕微鏡画像で示される。カプセル化された細胞は、
図28Aの右パネルの蛍光顕微鏡画像(緑色のチャネルの蛍光)で示され、ここでは、構造と細胞の両方が、カプセル化を示すある蛍光を放射していた。細胞は画像化の5日前にカプセル化され、堅調なeGFP蛍光を実証した。
図28Bに示されるように、カプセル化の5日後のカプセル化された細胞におけるヒトCペプチドの量(1ミリリットル当たりのナノモル)が、平均10のカプセル化されたインスリン産生細胞を含む培地で測定された。Cペプチドは通常、インスリンと共にβ細胞によって産生される。
図28Cと28Dは、カプセル化の5日後のカプセル化された細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。カプセル化された細胞はインスリンプロモーターの下でeGFP蛍光を発現しており、カプセル化は5日後にはまだ無傷であることを実証している。
図28Eは、細胞の送達と維持のためのカプセル化構造の高分解能蛍光顕微鏡画像を示す。スケールバーは200μmである。
【0321】
実施例4-3Dホログラフィー印刷された生体適合性のマイクロステント
別の例では、生体適合性マイクロステントは本明細書に記載された方法とシステムを使用して印刷された。
図29Aは、様々な長さの小さな生体適合性ステント構造を印刷するために使用することができる積み重ね可能なステント構造の代表的な3Dレンダリングを示す。
図29Bは、本明細書で提供される方法とシステムを使用して印刷された1ミリメートル(mm)長の柔軟で多孔性のステント構造の側面図を示す顕微鏡画像である。スケールバーは500μmである。
図29Cは、円形の完全性と中空の設計を実証する柔軟なステント構造の断面を示す顕微鏡画像である。画像はステント構造の中空内部の中心を通して撮影された。スケールバーは500μmである。
【0322】
実施例5-3Dホログラフィー印刷されたマイクロステントの圧縮性と弾性の試験
別の例では、本明細書に記載される方法とシステムを使用して印刷された生体適合性マイクロステントを、その圧縮性と弾性について試験した。
図30Aは、固体表面に対する500ミクロン(μm)の直径のステントの反復圧縮を描いた映像からの一連の5つの静止画像を示す。スケールバーは200μmである。
図30Aは
図30Aからの同じ一連の5つの静止画像を示す;しかしながら、ステントの圧縮と弾性の程度を実証するために、バーが画像に加えられている。ステントは、少なくとも約200ミクロンから変動する変動度合いに圧縮された。
図30Aと30Bで示されるように構造的な欠損の観察されない圧縮の後に、ステント構造はそのもともとの寸法(つまり、直径)戻った。スケールバーは200マイクロメートル(μm)である。
【0323】
実施例6-3Dホログラフィー印刷されたマイクロメッシュ
別の例では、マイクロメッシュは本明細書に記載された方法とシステムを使用して印刷された。
図31Aは、ホログラフィー印刷されるマイクロメッシュネットワークのコンピュータで作成された画像を示す。
図31Bは、ホログラフィー印刷されたメッシュネットワークを示す。スケールバーは500μmである。
図31Cは、
図31Bで示されるメッシュネットワークのクローズアップ画像を示す。スケールバーは250μmである。
図31Dは、マイクロメッシュが側方圧縮を受けた映像からの一連の静止画像を示す。ゆえに、
図31Dはマイクロメッシュの柔軟性と弾性を実証する。
図31Eは、ピンセットで取り扱われる際のマイクロメッシュを示す動画からの一連の静止画像を示す。
図31Eは、マイクロメッシュの柔軟性と弾性を実証する。
【0324】
実施例7-区画化された抗原反応性のヒト免疫組織:リンパ節オルガノイド
別の例では、本明細書で提供される方法とシステムを使用するリンパ節オルガノイドとその機能が評価された。
図32Aは、重合された1.5mg/mLのコラーゲンマトリックス中で1ミリリットル当たり2000万の細胞の密度での分離した免疫細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。抗原提示細胞(APC)とT細胞の混合物は、同じドナーからのB細胞を含む印刷されたコラーゲンマトリックスと接続する方法で印刷された。
図32Bは、印刷されたコラーゲンマトリックス中の混合された細胞集団を表す蛍光顕微鏡画像を示す。混合された細胞集団はB細胞とT細胞を含んでおり、コラーゲンマトリックスは1.5mg/mLのコラーゲン濃度で印刷された。
図32Cは、組織培養ウェル中での混合細胞の集団の蛍光顕微鏡画像を示す。混合細胞のこの集団はコラーゲンあるいは他の材料のマトリックス中では印刷されなかった;したがって、低濃度の細胞と混合分布を実証している。
図32Dは、リンパ節オルガノイドへの抗原添加の24時間後のリンパ節オルガノイドと細胞のクラスタの蛍光顕微鏡画像を示す。異なる色によって表されるT細胞領域とB細胞領域の両方からの細胞のクラスタが相互作用を示して形成され、直接的な細胞間接触がリンパ節オルガノイド内で生じる(細胞クラスタは
図32Dで囲まれている)。
図32Eは、単一の抗原パルスの添加後72時間の印刷されたリンパ節オルガノイドと細胞クラスタの蛍光蛍光顕微鏡画像を示す。
図32Fは、単一の抗原パルスの添加後120時間の印刷されたリンパ節オルガノイドと細胞クラスタの蛍光顕微鏡画像を示す。細胞クラスタは、抗原添加の72時間後と120時間後、形成されたままであり、位置を変えており、このことは動的細胞と運動性細胞がオルガノイド内にあったことを示す(細胞集団は
図32E-32Fにおいて囲まれている)。
図32Gは、酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)によって測定されるように1ミリリットル(pg/mL)当たりのピコグラムでインターロイキン-4(IL-4)の産生を表すグラフを示す。サイトカインIL-4は、抗原負荷の5日後にオルガノイドを囲む培地中で測定された。IL-4は、その増殖中と抗原に対する反応時に、B細胞、T細胞、および、樹状細胞によって産生可能である。オルガノイドを培養するために使用された培地のみがブランクであり、対照の読み取りである。サンプル名4A3、4C1、1A4、3B4、1B2、1B3、2A1、および2A2は、
図32Gと
図32Hの両方における異なるサンプリング位置(つまり、組織培養プレートの異なるウェル)を指す。
図32Hは、抗原負荷の5日後のオルガノイドを囲む培地中のpg/mLでのIL-2の産生を表すグラフを示す。IL-2で補足された細胞培養培地を用いて、抗原負荷の0日目に印刷されたリンパ節オルガノイドを培養した。結果は、ウェルあたりのIL-2の量の変動を示した。IL-2の量における変動は、抗原応答の経過中のIL-2の消費とIL-2の産生の両方を表すこともある。抗原負荷後5日間(つまり、IL-4とIL-2の産生が測定されたとき)、培地を変更せず、印刷されたリンパ節オルガノイドにも添加しなかった。
【0325】
実施例8-抗原負荷応答時のヒトリンパ節オルガノイドによるヒトIgGの産生
別の例では、リンパ節オルガノイドは印刷され、インビトロで培養された。ヒト免疫グロブリン(IgG)はリンパ節オルガノイド培地から精製され、タンパク質の存在について試験された。
図33Aは、対照(つまり、ブランクと基準)および様々なサンプルについて、1ミリリットル当たりのマイクログラム(μg/mL)でタンパク質の濃度を表すグラフを示す。大量のタンパク質は、分泌されたヒトIgG抗体の存在を示した;したがって、機能的免疫応答であることを示している。印刷されたリンパ節オルガノイド培地から単離された、精製済(
図33B)および未精製(
図33C)のヒトIgGの例は、タンパク質分離に、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して、ポリアクリルアミドゲル上で実行された。
図33Bと
図33Cは、印刷されたリンパ節オルガノイド培地から単離された、精製されたヒトIgG(
図33B)と精製されたヒトIgG(
図33C)を含むゲルの画像を示す。画像は、ヒトIgG軽鎖で約25キロダルトン(kDa)、および、ヒトIgG重鎖で約55kDaの予想分子量で透明な帯域を実証した。
【0326】
実施例9-ヒトIgGの抗原特異的結合の確認
別の例では、実施例7に記載された抗原負荷で使用された抗原を有するヒトIgGの反応性について、印刷されたリンパ節オルガノイド培地アリコートを試験した。酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)は、リンパ節オルガノイドに負荷を与えるために使用された特異的な抗原に反応性だったクラススイッチヒトIgGを検知するために使用された。
図34Aは、ELISAを使用して試験されたサンプルの450ナノメートル(nm)と570nmでの吸光度(つまり、光学密度)を表すグラフを示す。高い吸光度は、ヒトIgGを含有するサンプルが抗原負荷で使用された特異的な抗原に高反応性であったことを示した。ELISAは、最初の抗原負荷後21日目に得られた印刷されたリンパ節オルガノイド培地の直接的なアリコートであったサンプルと対照とを用いて実行された。その後、ウェルを含む陽性の抗体からのオルガノイドがハイブリドーマの生成のために選択された。市販のキットによって表示されるように、点線は陽性の抗体の読み取りに関するカットオフを表す。プラスの記号(+)は、
図34Aにおける特有の抗原特異的な陽性のウェルを表示する。
図34Bは、特異抗原反応性のヒトIgGの存在についてさらに分析されたサブクローン化された特有のハイブリドーマを表す2つのグラフを示す。複数の陽性のクローンは、サブクローンセット2、サブクローンセット6、および、サブクローンセット7などと同定された。使用される市販のキットによって表示されるように、点線は陽性の抗体の読み取りに関するカットオフを表す。プラスの記号(+)は、
図34Bにおける特有の抗原特異的なIgG陽性のサブクローン化されたハイブリドーマを表示する。
【0327】
実施例10-操作された皮膚移植片を改善するための印刷された細胞含有メッシュパッチ
別の例では、パッチの印刷されたメッシュネットワークは、無血管の階層化表皮層および血管化皮層を含む、高階層化および高多層化された皮膚組織を支持するために使用される。細胞含有コラーゲン(1型)メッシュネットワークの層は皮層を操作するために使用される。メッシュネットワークで播種された細胞としては、限定されないが、線維芽細胞、ケラチノサイト、および表皮細胞が挙げられる。メッシュネットワークは、潅流を介して皮層へ栄養素の送達を可能にするために、多孔性かつ管状の構造を含む。構造は血管系、神経束、およびリンパ管を支持するメッシュネットワーク支持へ取り込まれ、階層化表皮層を支持する機能的で生存可能な真皮の生成が可能となる。上部のほとんどの層では、構造は、表皮幹細胞が集合した毛包と皮脂腺のマイクロニッチを支持するために取り込まれる。ケラチノサイトは皮膚のメッシュパッチの上部で培養され、確立されたプロトコルによって増殖するように誘導される。ケラチノサイトの増殖は、限定されないが、カルシウム、血清、およびホルボールエステルを含む外因性の因子の添加によって引き起こされる。ケラチノサイトは気相液相界面で成長して、毛包と皮脂腺のマイクロニッチを含む、基底の、棘状の、粒状の、および、角質化した皮膚を含む、完全に階層化された表皮の分化を引き起こす。細胞外マトリックス成分、成長因子、および上皮細胞は、再現性の高いやり方で(例えば、3Dホログラフィックパターニングおよび印刷を介して)印刷されたメッシュパッチ内、あるいは該メッシュパッチ上の所望の位置に置かれる。加えて、血管のネットワークはメッシュパッチ内で印刷される。血管の印刷されたネットワークの封じ込めにより、皮膚移植片の長期生存が改善される。
【0328】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者には明らかであろう。本発明が明細書内で提供される特異的な例によって制限されることは、意図されていない。本発明は前述の明細書に関して記載されているが、本明細書中の実施形態の記載および例示は、限定的な意味で解釈されることを目的としていない。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書で述べられた特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことが理解されるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。それ故、本発明は、任意のそのような代替案、修正、変形、または同等物にも及ぶことが考えられる。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造は、それにより包含されることが、意図されている。