(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081645
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】apo(a)を標的化するコンジュゲートアンチセンス化合物を用いて心血管事象のリスクを低減する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7125 20060101AFI20240611BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240611BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240611BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240611BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240611BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240611BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240611BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240611BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240611BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240611BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20240611BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240611BHJP
【FI】
A61K31/7125
A61P9/00 ZNA
A61P9/04
A61P9/10
A61P25/00
A61P27/02
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K47/02
A61K48/00
A61K45/00
A61K31/397
A61K31/197
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031803
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2021524019の分割
【原出願日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】62/758,323
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,459
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】レソゴール,アナスタシア
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,キング
(72)【発明者】
【氏名】スレン,トム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】apo(a)を標的化するコンジュゲートアンチセンス化合物を用いて心血管事象のリスクを低減する方法を提供する。
【解決手段】確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回又は4週間に1回の皮下注射により、約75mg~約85mgの化合物ISIS 681257を含む単位用量を前記患者に投与することを含み、前記患者は、前記化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、方法による。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減する方法であっ
て、1ヶ月に1回又は4週間に1回の皮下注射により、約75mg~約85mgの化合物
ISIS 681257を含む単位用量を前記患者に投与することを含み、前記患者は、
前記化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、方法。
【請求項2】
前記心血管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(C
HD)死、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因
する死及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択される、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記主要有害心血管事象(MACE)は、心血管(CV)死、非致死性心筋梗塞、非致
死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術から選択される、請求項1又は2に記
載の方法。
【請求項4】
前記主要有害心血管事象(MACE)は、心血管死である、請求項1~3のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項5】
前記主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性心筋梗塞である、請求項1~4のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性脳卒中である、請求項1~5のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記主要有害心血管事象(MACE)は、緊急冠動脈血行再建術である、請求項1~6
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記心血管事象は、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)
死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死及び虚血のための緊急下肢血
行再建術又は切断から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記心血管事象は、全死因死亡である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記心血管事象は、冠動脈心疾患(CHD)死である、請求項1~9のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項11】
冠動脈心疾患(CHD)死は、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死及び心臓
手術の即時合併症に起因する死を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記心血管事象は、虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断である、請求項1~11
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記確立された心血管疾患を有する患者は、(i)特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚
血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患の少なくとも1つ
を有する患者である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者は、前記化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生した特発性
心筋梗塞の病歴を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者は、前記化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生した虚血性
脳卒中の病歴を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記虚血性脳卒中は、中枢神経系組織の梗塞に起因する限局性の脳、脊髄又は網膜機能
障害の急性エピソードであった、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患は、(i)0.90以下の足首上腕血圧比、及
び(ii)下肢虚血のための下肢切断又は血行再建術の少なくとも1つを伴う間欠性跛行
によって証明される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を
有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記単位用量は、75mg~85mgの前記化合物を含む、請求項1~18のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項20】
単位用量は、約80mgの前記化合物を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項21】
前記単位用量は、80mg以下の前記化合物を含む、請求項1~20のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項22】
前記単位用量は、80mgの前記化合物を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項23】
前記化合物は、滅菌液体に配合され、前記化合物の各単位用量は、1mLを超える前記
滅菌液体を含まない、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物の各単位用量は、0.8mLを超える前記滅菌液体を含まない、請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物の各単位用量は、0.5mLを超える前記滅菌液体を含まない、請求項1~
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物の各単位用量は、0.4mLを超える前記滅菌液体を含まない、請求項1~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物の各単位用量は、0.25mLを超える前記滅菌液体を含まない、請求項1
~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物の各単位用量は、0.2mLを超える前記滅菌液体を含まない、請求項1~
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記滅菌液体は、水である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記滅菌液体は、リン酸ナトリウム緩衝液を含む水である、請求項1~29のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項31】
前記滅菌液体は、リン酸ナトリウム緩衝液及び塩化ナトリウムを含む水である、請求項
1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、前記患者が前記化合物を投与される期間
(投与期間)の開始及び終了時に前記患者の前記血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、
少なくとも50%だけ低減される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の前記平均/中央血漿Lp(a)濃度は、前記投与期間の開始及び終了時に前
記患者の前記血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも60%だけ低減される、
請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の前記平均/中央血漿Lp(a)濃度は、前記投与期間の開始及び終了時に前
記患者の前記血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも70%だけ低減される、
請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者の前記平均/中央血漿Lp(a)濃度は、前記投与期間の開始及び終了時に前
記患者の前記血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも75%だけ低減される、
請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
主要有害心血管事象(MACE)を経験する前記患者の全体的なリスクは、前記化合物
を投与されなかった患者と比較して、前記投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減
される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
以下の事象:
(i)心血管(CV)死、非致死性MI及び非致死性脳卒中の複合;
(ii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI及び入院を要する緊急冠動脈血行再建
術の複合;
(iii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI、入院を要する緊急冠動脈血行再建
術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;及び
(iv)全死因死亡の比率
の1つを経験する前記患者の全体的なリスクは、前記化合物を投与されなかった患者と比
較して、前記投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される、請求項1~36のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
以下の事象:
(i)全死因死亡、非致死性MI及び非致死性脳卒中の複合;
(ii)全血管事象:CV死、非致死性MI、非致死性脳卒中、入院を要する緊急冠動脈
血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;
(iii)全死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行
再建術の複合;
(iv)致死性及び非致死性脳卒中の複合、
(v)末梢動脈疾患(PAD)の病歴を有する患者における主要有害四肢事象(MALE
)の比率、
(vi)不安定狭心症のための入院率、及び
(vii)心不全のための入院率
の1つを経験する前記患者の全体的なリスクは、前記化合物を投与されなかった患者と比
較して、前記投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減され、前記患者は、前記化合
物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、請求項1~37
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
相対リスク低減率(すなわち前記全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)
は、前記事象のいずれか1つについて少なくとも15%である、請求項1~38のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項40】
前記事象のいずれか1つについての前記相対リスク低減率は、
(i)前記化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患
者について、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくと
も25%;及び
(ii)前記化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する
患者について、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なく
とも30%
である、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記事象のいずれか1つについての絶対リスク低減率(すなわち前記全体的なリスクが
低減される統計的に有意な絶対量)は、
(i)前記化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患
者について、少なくとも2.0%、好ましくは少なくとも2.5%;
(ii)前記化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する
患者について、少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも3.5%
である、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者は、以下の事象又は特性:
(i)治療開始後、1、2、3、4、5、6、9、12、13、15、18、21、24
及び27ヶ月から選択される指定された時点でのベースラインからのLp(a)の変化(
mg/dL及びnmol/L単位)、
(ii)拡張脂質プロファイルパラメータ(総コレステロール、LDL-C、apoB、
HDL-C、非HDL-C、トリグリセリド)及びhsCRPの変化、
(iii)新たに発症した2型真性糖尿病の発生率、
(iv)SF-12質問票によって評価される生活の質、及び
(v)大動脈弁置換術(開カテーテル若しくは経カテーテル)又は大動脈弁狭窄症のため
の入院が最初に発生するまでの時間
のいずれか1つにおいて、前記化合物を投与されなかった患者と比較して、前記投与期間
の終了時に統計的に有意な量だけの改善を示し、前記患者は、前記化合物の初回投与時前
に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、請求項1~41のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項43】
相対改善率(すなわち前記事象又は特性が改善される統計的に有意な相対量)は、前記
事象又は特性のいずれか1つについて少なくとも15%である、請求項1~42のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項44】
前記投与期間は、少なくとも6ヶ月である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項45】
前記投与期間は、少なくとも1年である、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項46】
前記投与期間は、少なくとも2年である、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項47】
前記投与期間は、少なくとも3年である、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項48】
前記患者は、ガイドラインで定義された標的低密度リポタンパク質コレステロール(L
DL-コレステロール)レベルを達成するためにバックグラウンド療法を受ける、請求項
1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記バックグラウンド療法は、(i)スタチン、(ii)エゼチミブ、及び(iii)
PCSK9阻害剤の少なくとも1つを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項50】
前記バックグラウンド療法は、スタチンを含み、及び前記患者は、前記化合物の初回投
与前に前記スタチンの最適用量を受ける、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記患者は、180mmHg未満の座位収縮期血圧(SBP)及び/又は110mmH
g未満の拡張期BP(DBP)を有する、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前の3ヶ月の期間内にナイアシンで治療されてい
ない、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記患者は、前記化合物の初回投与時において心不全ニューヨーク心臓協会(NYHA
)クラスIVと診断されていない、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に出血性脳卒中又は他の大出血の病歴を有して
いない、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者は、前記化合物の初回投与時から3ヶ月以内に心筋梗塞、脳卒中、冠動脈若し
くは下肢血行再建術、主要な心臓若しくは非心臓手術又はリポタンパク質アフェレーシス
を有していない、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者は、既知の活動性感染症又は主要な血液、腎臓、代謝、胃腸若しくは内分泌機
能障害を有していない、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m2を超える推定糸
球体濾過速度(eGFR)を有する、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m2未満の推定糸球
体濾過速度(eGFR)を有していない、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に、正常上限(ULN)の2倍を超えるアスパ
ラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(
ALT)血清レベルとして定義される活動性肝疾患又は肝機能障害を有していない、請求
項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記患者は、前記化合物の初回投与時前に正常上限(ULN)の1.5倍を超える総ビ
リルビンを有していない、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される、2018年1
1月9日に出願された米国仮特許出願第62/758,323号明細書及び2019年7
月15日に出願された米国仮特許出願第62/874,459号明細書の利益及びそれら
に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、apo(a)を標的化するコンジュゲートアンチセンス化合物を用いて心血
管事象のリスクを低減する方法に関する。具体的には、コンジュゲートアンチセンス化合
物ISIS 681257又はその塩を用いて、確立された心血管疾患を有する患者にお
ける心血管事象のリスクを低減する方法である。
【背景技術】
【0003】
アンチセンス技術の背後にある原理は、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリッド
形成して、標的核酸の量、活性及び/又は機能を調節することである。例えば、特定の場
合、アンチセンス化合物は、標的の転写又は翻訳の変化をもたらす。このような発現の調
節は、例えば、標的mRNA分解又は占有に基づく阻害によって達成され得る。分解によ
るRNA標的機能の調節の一例は、DNA様アンチセンス化合物とのハイブリダイゼーシ
ョン時の標的RNAのRNase Hベースの分解である。標的分解による遺伝子発現の
調節の別の例は、RNA干渉(RNAi)である。RNAiは、RNA誘導サイレンシン
グ複合体(RISC)を利用する機序を通した、アンチセンスを介する遺伝子サイレンシ
ングを指す。RNA標的機能の調節の追加的な例は、マイクロRNAによって自然に使用
されるような占有に基づく機序によるものである。マイクロRNAは、タンパク質をコー
ドするRNAの発現を調節する小型の非コードRNAである。アンチセンス化合物のマイ
クロRNAへの結合は、マイクロRNAがそのメッセンジャーRNAターゲットに結合す
ることを防ぎ、したがってマイクロRNAの機能を妨げる。マイクロRNA模倣体は、天
然マイクロRNA機能を強化し得る。特定のアンチセンス化合物は、mRNA前駆体のス
プライシングを変化させる。特定の機序に関係なく、配列特異性は、アンチセンス化合物
を、標的の妥当性検証及び遺伝子機能化のためのツールとして、且つ疾患の病態形成に関
与する遺伝子の発現を選択的に調節するための治療法として魅力的なものにする。
【0004】
アンチセンス技術は、1つ又は複数の特定の遺伝子産物の発現を調節するための効果的
な手段であり、したがっていくつかの治療、診断及び研究用途で独自に有用であることが
明らかであり得る。化学的に修飾されたヌクレオシドは、アンチセンス化合物に組み込ま
れて、ヌクレアーゼ耐性、薬物動態又は標的核酸に対する親和性などの1つ又は複数の特
性が増強され得る。1998年に、アンチセンス化合物であるVitravene(登録
商標)(fomivirsen;Isis Pharmaceuticals Inc.
,Carlsbad,CAによって開発された)は、米国食品医薬品局(FDA)からの
販売許可を取得した最初のアンチセンス薬であり、現在、エイズ患者におけるサイトメガ
ロウイルス(CMV)誘発性網膜炎の治療薬である。
【0005】
新しい化学修飾により、アンチセンス化合物の効力及び有効性が改善され、経口送達の
可能性が明らかになり、且つ皮下投与が強化され、副作用の可能性が減少し、患者の利便
性が向上した。アンチセンス化合物の効力を高める化学修飾は、低用量の投与を可能にし
、それは、毒性の可能性を減少させ、且つ治療の全体的なコストを削減する。分解耐性を
高める修飾は、身体からのより緩慢なクリアランスをもたらし、より低頻度の投与を可能
にする。様々な種類の化学修飾が1つの化合物に組み合わされ、化合物の有効性がさらに
最適化され得る。
【0006】
リポタンパク質は、タンパク質、リン脂質及びコレステロールの両親媒性コーティング
で取り囲まれた、アシルグリセロール及びコレステリルエステルの非極性コアからなる球
状のミセル様粒子である。リポタンパク質は、その機能的及び物理的特性に基づいて、乳
状脂粒、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低
密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク(HDL)の5つの広義のカテゴ
リーに分類される。乳状脂粒は、食餌性脂質を腸から組織に輸送する。VLDL、IDL
及びLDLは、全てトリアシルグリセロールとコレステロールを肝臓から組織に輸送する
。HDLは、内因性コレステロールを組織から肝臓に輸送する。
【0007】
リポタンパク質粒子は、連続的な代謝プロセスを経て様々な特性及び組成を有する。リ
ポタンパク質の密度は、外側のコーティングの密度が内側のコアの密度よりも小さいため
、粒子径を大きくすることなく増加する。リポタンパク質のタンパク質成分は、アポリポ
タンパク質として知られている。少なくとも9つのアポリポタンパク質が様々なヒトリポ
タンパク質に顕著な量で分布している。
【0008】
リポタンパク質(a)(Lp(a))粒子は、約50年前に同定され、1つのアポリポ
タンパク質B(apoB)タンパク質が1つのアポリポタンパク質(a)(apo(a)
)タンパク質とジスルフィド結合を介して連結されている、非常にユニークなLDL粒子
で構成されている。apo(a)タンパク質は、特にクリングルIVタイプ2反復ドメイ
ン内でプラスミノーゲンとの高度な相同性を共有している。循環Lp(a)のレベルは、
分子内に存在するクリングルIVタイプ2可変リピートの数に反比例し、両方の対立遺伝
子が個人内で同時発現されることから、ヘテロ接合型血漿イソ型プロファイルを提示し得
る(Kraft et al.,Eur J Hum.Genet,1996;4(2)
:74-87)。apo(a)中のこのクリングル反復ドメインは、その血栓形成促進性
及び抗線維素溶解性の特性に関与し、潜在的にアテローム硬化性の進行を促進し得ると考
えられている。
【0009】
Apo(a)は、IL-6によって転写的に調節され、IL-6阻害剤(トシリズマブ
)で治療されたリウマチ様関節炎患者における研究では3ヶ月間の治療後に血漿レベルが
30%減少した(Schultz et al.,PLoS One 2010;5:e
l4328)。
【0010】
Apo(a)は、酸化型リン脂質に優先的に結合し、血管の炎症を増強することが示さ
れている(Bergmark et al.,J Lipid Res 2008;49
:2230-2239;Tsimikas et al.,Circulation.2
009;119(13):1711-1719)。
【0011】
さらに、研究は、Lp(a)粒子が内皮透過性を刺激し、プラスミノーゲンアクチベー
ター阻害剤I型の発現を誘導し、マクロファージインターロイキン-8分泌を活性化し得
ることを示唆している(Koschinsky and Marcovina,Curr
.Opin.Lipidol 2004;15:167-174)。重要なことに、最近
の遺伝的関連研究は、Lp(a)が心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患及び腹部大動脈瘤の
独立した及びリスク因子であることを明らかにした(Rifai et al.,Cli
n.Chem.2004;50:1364-71;Erqou et al.,JAMA
2009;302:412-23;Kamstrup et al.,Circula
tion 2008;117:176-84)。さらに、最近の早発性冠動脈疾患(PR
OCARDIS)の研究において、Clarke et al.(Clarke et
al.,NEJM(2009)361;2518-2528)は、冠動脈心疾患と血漿L
p(a)濃度との間の強固で独立した関連性を説明した。さらに、Solfrizzi
et al.は、血清Lp(a)の増加がアルツハイマー病(AD)のリスク増加に関連
し得ることを示唆した(Solfrizzi et al.,J Neural Neu
rosurg Psychiatry 2002,72:732-736)。現在、臨床
現場では、心血管疾患を治療するための間接的なapo(a)阻害剤の例として、アスピ
リン、ニアスパン、ミポメルセン、アナセトラピブ、エプロチローム及びロミタピドが挙
げられ、これらは、血漿Lp(a)レベルをそれぞれ18%、39%、32%、36%、
43%及び17%低下させる。さらに、Lp(a)粒子を含有するapo(a)を減少さ
せるために、Lp(a)アフェレーシスがクリニックで使用されている。
【0012】
これまで、apo(a)レベルを直接標的化することによって心血管疾患を治療するた
めの治療戦略は、限られていた。リボザイムオリゴヌクレオチド(米国特許第5,877
,022号明細書)及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(国際公開第2005/000
201号パンフレット;国際公開第2003/014397号パンフレット;国際公開第
2013/177468号パンフレット;米国特許出願公開第20040242516号
明細書;米国特許第8,138,328号明細書、米国特許第8,673,632号明細
書及び米国特許第7,259,150号明細書;Merki et al.,J Am
Coll Cardiol 2011;57:1611-1621;各刊行物は、その全
体が参照により援用される)が開発されているが、商用利用が承認されたものはない。
【0013】
Tsimikas et al.(Lancet.2015 Oct 10;386:
1472-83)は、ヒトApo(a)を標的化するアンチセンス化合物であるISIS
494372(ISIS-APO(a)Rxとしても知られている)を用いた無作為化
二重盲検プラセボ対照第1相試験の結果を開示している。
【0014】
Apo(a)標的化化合物をはじめとするRNAse H依存性(ギャップマー)アン
チセンス化合物の活性を生体内で改善するために使用される1つの化学修飾は、GalN
Acクラスターなどのコンジュゲート基への結合である。コンジュゲート基への結合は、
例えば、国際公開第2014/179620号パンフレットで開示されるようなGalN
Acクラスターに結合したRNAse H依存性(ギャップマー)アンチセンス化合物の
使用をはじめとして、非ヒト対象における生体内効力を改善することが示されている。本
発明の以前には、GalNAcクラスターに結合したRNAse H依存性(ギャップマ
ー)アンチセンス化合物は、標的の減少を達成するためにヒトで試験されていなかった。
【0015】
国際公開第2014/179625号パンフレットは、ISI 681257をはじめ
とするApo(a)を標的化するGalNAcクラスターに結合したアンチセンス化合物
を開示している。
【0016】
化合物コード「ISIS 681257」は、以下の構造を有する化合物を指し、その
コードISIS 681257は、化合物並びにその塩を含む。
【化1】
【0017】
以下の図は、ISIS 681257の塩の一例である。
【化2】
【0018】
ISIS 681257は、核酸塩基配列TGCTCCGTTGGTGCTTGTTC
(配列番号1)、5-10-5ギャップマーモチーフ及びGalNAcコンジュゲートを
有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。
【0019】
国際公開第2017/079739号パンフレットは、特定の用量及び特定の投与レジ
メンにおいてISIS 681257を使用する治療方法を開示している。国際公開第2
017/079739号パンフレットは、ISIS 681257がヒトに投与された場
合、その効力及び作用持続時間の両方の観点から、Apo(a)mRNA及び血漿Lp(
a)レベルを低下させるのに特に効果的であることを開示している。特に、ISIS 6
81257は、同一の核酸塩基配列及び同一の5-10-5ギャップマーモチーフを有す
るが、GalNAcコンジュゲートを欠く修飾オリゴヌクレオチド、すなわちISIS
494372と比較して、ヒトにおいて30倍を超える増加を示した。ISIS 681
257は、Apo(a)mR A及び血漿Lp(a)の優れた減少をもたらし、週に1回
、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回又は3ヶ月に1回の効果的な投与を可能にすることが開示
された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、慢性的に上昇した血漿中のLp(a)濃度のために心血管事象のリスクが高ま
っている患者をはじめとして、最適化された投与スキームで最低限必要な用量のみに患者
を曝露させる一方、ヒトにおけるApo(a)濃度を強力且つ選択的に低下させるSIS
681257を用いた最適化された治療法に対する満たされていない医学的必要性が依
然として残っている。このような最適化された治療の利点としては、例えば、治療費の削
減、患者コンプライアンスの改善、投与される医薬品の量の削減及び/又は低用量投与レ
ジメンを介した潜在的有害事象のリスクの潜在的低下が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減する
方法であって、特定の投与間隔で特定の投与量において患者にオリゴマー化合物ISIS
681257を投与することを含む方法に関する。
【0022】
ISIS 681257を使用した第2B相試験(臨床試験NCT03070782)
は、化合物が、確立された心血管疾患(CVD)を有する患者のLp(a)レベルを大幅
に低下させ、リポタンパク質(a)のレベルを上昇させ、安全性及び忍容性プロファイル
が良好であることを示した。
【0023】
第2相試験は、ISIS 681257の安全性及び忍容性を評価し、計画された第3
相心血管転帰試験の適切な投与量を決定するように設計された。無作為化二重盲検プラセ
ボ対照用量設定第2相試験は、確立されたCVD及び高いLp(a)レベル(正常上限の
3倍を超えるおよそ100mg/dL[250nmol/L]のベースライン平均値)を
有する286人の患者を含んだ。
【0024】
治験は、20mg(4週間毎)、40mg(4週間毎)、60(4週間毎)、20mg
(2週間毎)及び20mg(毎週)の5つのコホートを有した。
【0025】
主要有効性評価項目は、プラセボと比較した、一次解析時点(6ヶ月)におけるベース
ラインからのLp(a)のパーセント変化であった。
【0026】
副次有効性評価項目は、LDL-C、apoB、OxPL-apoB、OxPL-ap
o(a)の平均パーセント変化及び<125nmol/L(<50mg/dL)又は<7
5nmol/L(<30mg/dL)の事前に特定された閾値に達した患者の数であった
。
【0027】
全ての患者は、少なくとも6ヶ月間治療され、一部の患者は、最長1年治療された。
【0028】
この試験は、6ヶ月目に解析された全ての主要及び副次有効性評価項目を満たした。
【0029】
この試験からの結果は、Lp(a)レベルのベースラインからの統計的に有意で用量依
存的な減少を示す。
【0030】
【0031】
・毎週20mgのコホートの患者のおよそ98%及び4週間毎に60mgのコホートの
患者の約81%は、臨床的に有意なLp(a)レベルの低下を達成し、CVD事象のリス
クの推奨閾値(50mg/dL未満)未満になった。
・ISIS 681257による治療は、LDL-C、apoB、OxPL-apoB、
OxPL-apo(a)の減少に関連していた。
・ほとんどの有害事象は、軽度であった。最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(I
SR)であった。ISRは、患者の26%で発生し、大部分が軽度であり、1人の患者は
、ISRのために中断した。
・血小板数、肝機能又は腎機能に関連する安全性の懸念はなかった。
・この試験では、血小板数が100,000/mm3未満であることが確認された患者は
いなかった。正常(140,000/mm3)を下回る血小板レベルの発生率は、実薬群
(10.5%)とプラセボ群(14.9%)との間で同等であった。
・患者のおよそ90%が治療を完了し、中止率は、実薬群(12.1%)とプラセボ群(
14.9%)との間で同等であった。
【0032】
これらのデータは、ISIS 681257が、Lp(a)レベルの上昇により、既存
の心血管疾患を有する患者のLp(a)を有意に低下させることを示した。ISIS 6
81257は、この遺伝的病状を有する患者において、臨床的に有意なLp(a)レベル
の低下並びに良好な安全性及び忍容性プロファイルを示す初めての唯一の薬物である。
【0033】
ここで、これらの結果に基づいて、例えば80mgなど、新しい75mg~85mgの
ISIS 681257の投与量は、許容可能な安全性プロファイルで最大の有効性を提
供するために選択された。この投与量の毎月1回のレジメンは、より頻繁な投与に関連す
る患者への全体的な負担を軽減し、より良い局所忍容性を提供する。
【0034】
第2b相試験で評価された最大用量は、毎週1回(QW)20mgであった(月間総曝
露量80mg)。全体的な月間曝露量は、同等であることから、80mgの毎月1回(Q
M)用量は、20mgのQWレジメンと同様の有効性を提供すると予測される。これは、
40mgのQ4W及び20mgのQ2Wの用量で観察されたISIS 681257の有
効性の類似性によって裏付けられる。これらのレジメン間の全体的な曝露及びLp(a)
の低下は、類似しており;したがって、ISIS 681257の月間総曝露量は、薬物
の有効性を説明すると考えられる。安全性に関して、プラセボに対して20mg/月~2
0mg/週(80mg/月相当、総投与量260~1040mg)の用量では、ヒトにお
いてISIS 681257に関連した安全性シグナルの変化はなかった。
【0035】
したがって、第1の態様では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における
心血管事象のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回又は4週間に1回の皮下注射
により、約75mg~約85mgの化合物ISIS 681257(化合物自体又はその
塩)を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記患者は、化合物の初回投与時前に
70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、方法に関する。
【0036】
毎月1回又は4週間に1回のわずか75mg~約85mgの化合物ISIS 6812
57の低減用量によるこの新規治療レジメンは、許容可能な安全性プロファイルで最大の
有効性を提供することが示されている。毎月1回のレジメンはまた、より頻繁な投薬に関
連する患者への全体的な負担を軽減し、より良い局所忍容性を提供する。
【0037】
第2b相試験で評価された最大用量は、毎週1回(QW)の20mgであったため、こ
の投薬スケジュールは、驚くべきものである(月間総曝露量80mgに相当する)。現在
説明されている80mgの毎月1回(QM)用量は、20mgのQWレジメンと同様の有
効性を提供する。全体的な月間曝露が同等であることは、必ずしも予測されていなかった
が、40mgのQ4W及び20mgのQ2Wの用量で観察された化合物の有効性の類似性
によって裏付けられる。第2b相は、これらのレジメン間の全体的な曝露及びLp(a)
の低下が類似していることを示し;したがって、化合物の月間総曝露量は、薬物の有効性
を説明すると考えられる。次に、この月間総曝露量により、注射頻度を毎週1回ではなく
毎月1回に減らすことが可能になる。
【0038】
この新規治療レジメンは、例えば、治療費の削減、患者のコンプライアンスの改善、投
与される医薬品の量の削減及び/又は低用量投与レジメンを介した潜在的な有害事象のリ
スクの低減など、ヒトの治療において1つ又は複数の非常に顕著な改善を提供する。
【0039】
本開示は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、心血管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死
亡(あらゆる原因による死亡)、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)死
、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死及び虚血のための緊急下肢血行
再建術又は切断から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、心血管(CV)死、非
致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術から選択される
。別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、心血管(CV)死である。な
おも別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性心筋梗塞である。
別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性脳卒中である。なおも
別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、入院を要する緊急冠動脈血行再
建術である。
【0042】
いくつかの実施形態では、心血管事象は、全死因死亡(あらゆる原因による死亡)、冠
動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即
時合併症に起因する死及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択される。
【0043】
一実施形態では、心血管事象は、全死因死亡(あらゆる原因による死)である。
【0044】
別の実施形態では、心血管事象は、冠動脈心疾患(CHD)死である。一実施形態では
、冠動脈心疾患(CHD)死は、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死及び心臓
手術の即時合併症に起因する死を含む。
【0045】
別の実施形態では、心血管事象は、虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断である。
【0046】
いくつかの実施形態では、確立された心血管疾患を有する患者は、(i)特発性心筋梗
塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床的に有意な症候性末梢動脈
疾患の少なくとも1つを有する患者である。
【0047】
一実施形態では、特発性心筋梗塞の病歴は、化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10
年以下前に発生している。
【0048】
一実施形態では、虚血性脳卒中の病歴は、化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10年
以下前に発生している。
【0049】
一実施形態では、虚血性脳卒中の病歴は、中枢神経系組織の梗塞に起因する限局性の脳
、脊髄又は網膜機能不全の急性エピソードである。
【0050】
一実施形態では、臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患は、(i)0.90以下の足首上
腕血圧比、(ii)下肢虚血のための下肢切断又は血行再建術の少なくとも1つを伴う間
欠性跛行によって証明される。
【0051】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿
Lp(a)濃度を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、単位用量は、75mg~85mgの化合物を含む。
【0053】
一実施形態では、単位用量は、約80mgの化合物を含む。別の実施形態では、単位用
量は、80mg以下の化合物を含む。なおも別の実施形態では、単位用量は、80mgの
化合物を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物は、滅菌液体に配合され、化合物の各単位用量は、1
mLを超える滅菌液体を含まない。
【0055】
一実施形態では、化合物の各単位用量は、0.8mLを超える滅菌液体を含まない。別
の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.5mLを超える滅菌液体を含まない。なお
も別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.4mLを超える滅菌液体を含まない。
別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.25mLを超える滅菌液体を含まない。
なおも別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.2mLを超える滅菌液体を含まな
い。
【0056】
一実施形態では、滅菌液体は、水である。別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸ナト
リウム緩衝液を含む水である。なおも別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸ナトリウム
緩衝液及び塩化ナトリウムを含む水である。
【0057】
いくつかの実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、患者が化合物を投
与される期間(投与期間)の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されると
き、少なくとも50%だけ低減される。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(
a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、
少なくとも60%だけ低減される。なおも別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp
(a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき
、少なくとも70%だけ低減される。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a
)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少
なくとも75%だけ低減される。
【0058】
いくつかの実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)を経験する患者の全体的な
リスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意
な量だけ低減される。
【0059】
他の実施形態では、以下の事象:(i)心血管(CV)死、非致死性MI及び非致死性
脳卒中の複合;(ii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI及び入院を要する緊急
冠動脈血行再建術の複合;(iii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI、入院を
要する緊急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;及び
(iv)全死因死亡の比率の1つを経験する患者の全体的なリスクは、化合物を投与され
なかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0060】
他の実施形態では、以下の事象:(i)全死因死亡、非致死性MI及び非致死性脳卒中
の複合;(ii)全血管事象:CV死、非致死性MI、非致死性脳卒中、入院を要する緊
急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;(iii)全
死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術の複合
;(iv)致死性及び非致死性脳卒中の複合、(v)末梢動脈疾患(PAD)の病歴を有
する患者における主要有害四肢事象(MALE)の比率、(vi)不安定狭心症のための
入院率、及び(vii)心不全のための入院率の1つを経験する患者の全体的なリスクは
、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ
低減され、患者は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を
有する。
【0061】
一実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を
有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に
有意な相対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも15%である。別の実施形態
では、事象のいずれか1つについての相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減
される統計的に有意な相対量)は、(i)化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の
血漿Lp(a)濃度を有する患者について、少なくとも15%、好ましくは少なくとも2
0%、より好ましくは少なくとも25%;(ii)化合物の初回投与時前に90mg/d
L以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、少なくとも20%、好ましくは少な
くとも25%、より好ましくは少なくとも30%である。
【0062】
上記の実施形態の一実施形態では、事象のいずれか1つについての絶対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、(i)化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、少なくとも2
.0%、好ましくは少なくとも2.5%;(ii)化合物の初回投与時前に90mg/d
L以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、少なくとも3.0%、好ましくは少
なくとも3.5%である。
【0063】
他の実施形態では、患者は、以下の事象又は特性:(i)治療開始後、1、2、3、4
、5、6、9、12、13、15、18、21、24及び27ヶ月から選択される指定さ
れた時点でのベースラインからのLp(a)の変化(mg/dL及びnmol/L単位)
、(ii)拡張脂質プロファイルパラメータ(総コレステロール、LDL-C、apoB
、HDL-C、非HDL-C、トリグリセリド)及びhsCRPの変化、(iii)新た
に発症した2型真性糖尿病の発生率、(iv)SF-12質問票によって評価される生活
の質、及び(v)大動脈弁置換術(開カテーテル若しくは経カテーテル)又は大動脈弁狭
窄症のための入院が最初に発生するまでの時間のいずれか1つにおいて、化合物を投与さ
れなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけの改善を示し、患
者は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する。
【0064】
一実施形態では、相対改善率(すなわち事象又は特性が改善される統計的に有意な相対
量)は、事象又は特性のいずれか1つについて少なくとも15%である。
【0065】
いくつかの実施形態では、投与期間は、少なくとも6ヶ月である。別の実施形態では、
投与期間は、少なくとも1年である。なおも別の実施形態では、投与期間は、少なくとも
2年である。別の実施形態では、投与期間は、少なくとも3年である。
【0066】
いくつかの実施形態では、患者は、ガイドラインで定義された標的低密度リポタンパク
質コレステロール(LDL-コレステロール)レベルを達成するためにバックグラウンド
療法を受ける。
【0067】
いくつかの実施形態では、バックグラウンド療法は、(i)スタチン、(ii)エゼチ
ミブ、及び(iii)PCSK9阻害剤の少なくとも1つを含む。
【0068】
一実施形態では、バックグラウンド療法は、スタチンを含み、及び患者は、化合物の初
回投与前にスタチンの最適用量を受ける。
【0069】
いくつかの実施形態では、患者は、180mmHg未満の座位収縮期血圧(SBP)及
び/又は110mmHg未満の拡張期BP(DBP)を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前の3ヶ月の期間内にナイアシ
ンで治療されていない。
【0071】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時において心不全ニューヨーク心
臓協会(New York Heart Association)(NYHA)クラス
IVと診断されていない。
【0072】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に出血性脳卒中又は他の大出
血の病歴を有していない。
【0073】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時から3ヶ月以内に心筋梗塞、脳
卒中、冠動脈若しくは下肢血行再建術、主要な心臓若しくは非心臓手術又はリポタンパク
質アフェレーシスを有していない。
【0074】
いくつかの実施形態では、患者は、既知の活動性感染症又は主要な血液、腎臓、代謝、
胃腸若しくは内分泌機能障害を有していない。
【0075】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m
2を超える推定糸球体濾過速度(eGFR)を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m
2未満の推定糸球体濾過速度(eGFR)を有していない。
【0077】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に、正常上限(ULN)の2
倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトラ
ンスフェラーゼ(ALT)血清レベルとして定義される活動性肝疾患又は肝機能障害を有
していない。
【0078】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に正常上限(ULN)の1.
5倍を超える総ビリルビンを有していない。
【0079】
本開示は、それを必要とする患者にISIS 681257を投与することを含む方法
を提供する。特定の実施形態では、それを必要とする患者は、例えば、30mg/dL以
上、35mg/dL以上、40mg/dL以上、50mg/dL以上、60mg/dL以
上、70mg/dL以上、80mg/dL以上、90mg/dL以上、100mg/dL
以上、110mg/dL以上、120mg/dL以上、130mg/dL以上、140m
g/dL以上、150mg/dL以上、160mg/dL以上、170mg/dL、17
5mg/dL以上、180mg/dL以上、190mg/dL又は200mg/dL以上
のapo(a)レベルを有するヒトなど、上昇したApo(a)レベルを有するヒトであ
る。Lp(a)は、1リットルあたりのナノモル数でも表され得る。例えば、75ナノモ
ル/リットル(nmol/L)以上又は30mg/dL以上を有するヒト対象は、1つ又
は複数の心血管事象のリスクがあると見なされる。
【0080】
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が
属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書では
、文脈上例外が明記されていない限り、単数形には複数形も含まれる。本明細書に記載さ
れたものと同様の又は均等な方法及び材料が本開示の実施及び試験に使用され得るが、適
切な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に記載の本明細書で言及される全ての刊行
物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照により援用される。本明細書で引用される
参考文献は、特許請求される本開示の先行技術であると認められない。矛盾する場合、定
義を含めて本明細書が優先される。加えて、材料、方法及び実施例は、例証のみを意図し
、限定を意図されない。
【0081】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる
であろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【発明を実施するための形態】
【0083】
本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減する
方法であって、特定の指定された制限のある患者にオリゴマー化合物ISIS 6812
57の投与することを含む方法に関する。
【0084】
本開示の詳細は、以下の添付の説明に記載される。本明細書に記載されるものと同様の
又は均等な方法及び材料が本開示の実施又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び材
料をここで記載する。本開示の他の特徴、目的及び利点は、説明及び特許請求の範囲から
明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈上例外が明記
されていない限り、単数形には複数形も含まれる。特に断りのない限り、本明細書で使用
される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に
理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、それ
らの全体が参照により本明細書に援用される。
【0085】
使用される用語及び規則の定義
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載の分析化学、合成有機化学及び医薬品
化学に関連して使用される命名法並びにその手順及び技術は、当技術分野で周知であり、
一般的に使用されるものである。化学合成及び化学分析には、標準的な手法が用いられ得
る。特定のこのような技術及び手順は、例えば、任意の目的のために参照により本明細書
に援用される“Carbohydrate Modifications in Ant
isense Research”Edited by Sangvi and Coo
k,American Chemical Society,Washington D
.C.,1994;“Remington’s Pharmaceutical Sci
ences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,21
st edition,2005;及び“Antisense Drug Techno
logy,Principles,Strategies,and Applicati
ons”Edited by Stanley T.Crooke,CRC Press
,Boca Raton,Florida;及びSambrook et al.,“M
olecular Cloning,A laboratory Manual,”2n
d Edition,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,1989に見出され得る。許可される場合、本開示全体で言及される全ての
特許、出願、公開出願並びに他の刊行物及び他のデータは、参照によりその全体が本明細
書に援用される。
【0086】
別段の指示がない限り、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0087】
本明細書の用法では、「投与期間」は、ヒト対象が初回投与を受けたときから最終投与
を受けるまでの期間を意味する。最初の投与期間後、同一の又は異なる投与レジメンを使
用する1つ又は複数のさらなる投与期間が続くように、投与期間の終了後も患者の投与を
継続し得ることが想定される。例えば、ヒト対象は、初回投与及び最終投与が4週間間隔
である最初の投与期間に6回の投与を受け得る。引き続いて、ヒト対象は、次に、ヒト対
象が一定の間隔で投与を受ける第2の投与期間を開始し得る(例えば、1週間毎に1単位
用量、1ヶ月毎に1単位用量又は四半期毎に1単位用量)。
【0088】
本明細書の用法では、「単位用量」という用語は、特定の時点でヒトに投与される特定
量のオリゴマー化合物(例えば、単回の皮下注射でヒトに投与される特定量のオリゴマー
化合物)を指す。本明細書に記載されるように、各単位用量は、複数用量レジメンの一部
を形成する。
【0089】
本明細書の用法では、「単位剤形」という用語は、各単位用量が投与のために提示され
る物理的形態を意味する。
【0090】
本明細書の用法では、「滅菌液体」という用語は、ヒト対象への投与に適した液体を意
味する。特定の実施形態では、滅菌液体は、生存能力がある微生物又は細菌を実質的に含
まない液体を含む。特定の実施形態では、滅菌液体は、USP等級の水又はUSP等級の
生理食塩水を含む。
【0091】
本明細書の用法では、「ヌクレオシド」は、核酸塩基部分及び糖部分を含む化合物を意
味する。ヌクレオシドとしては、これらに限定されるものではないが、天然ヌクレオシド
(DNA及びRNAで見られるような)及び修飾ヌクレオシドが挙げられる。ヌクレオシ
ドは、リン酸部分で連結され得る。
【0092】
本明細書の用法では、「化学修飾」は、天然に存在する対応物と比較した場合の化合物
の化学的差異を意味する。オリゴヌクレオチドの化学修飾としては、ヌクレオシド修飾(
糖部分修飾及び核酸塩基修飾をはじめとする)及びヌクレオシド間結合修飾が挙げられる
。オリゴヌクレオチドに関して、化学修飾は、核酸塩基配列のみの違いを含まない。
【0093】
本明細書の用法では、「フラノシル」は、4つの炭素原子及び1つの酸素原子を含む5
員環を含む構造を意味する。
【0094】
本明細書の用法では、「天然糖部分」は、天然に存在するRNAで見られるようなリボ
フラノシル又は天然に存在するDNAで見られるようなデオキシリボフラノシルを意味す
る。
【0095】
本明細書の用法では、「糖部分」は、ヌクレオシドの天然糖部分又は修飾糖部分を意味
する。
【0096】
本明細書の用法では、「修飾糖部分」は、置換糖部分又は糖サロゲートを意味する。
【0097】
本明細書の用法では、「置換糖部分」は、天然糖部分ではないフラノシルを意味する。
置換糖部分としては、2’位、3’位、5’位及び/又は4’位に置換基を含むフラノシ
ルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の置換糖部分は、二環式糖部
分である。
【0098】
本明細書の用法では、「2’置換糖部分」は、2’位にH又はOH以外の置換基を含む
フラノシルを意味する。別段の指示がない限り、2’置換糖部分は、二環式糖部分でない
(すなわち2’置換糖部分の2’置換基は、フラノシル環の別の原子への架橋を形成しな
い。)
【0099】
本明細書の用法では、「MOE」は、-OCH2CH2OCH3を意味する。
【0100】
本明細書の用法では、「核酸」は、単量体ヌクレオチドから構成される分子を指す。核
酸としては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸(ssDN
A)、二本鎖核酸(dsDNA)、低分子干渉リボ核酸(siRNA)及びマイクロRN
A(miRNA)が挙げられる。核酸は、単一分子内にこれらの要素の任意の組み合わせ
も含み得る。
【0101】
本明細書の用法では、「ヌクレオチド」は、リン酸連結基をさらに含むヌクレオシドを
意味する。本明細書の用法では、「連結ヌクレオシド」は、リン酸結合によって連結され
ていてもされていなくてもよく、したがって「連結ヌクレオチド」を含むが、これに限定
されない。本明細書の用法では、「連結ヌクレオシド」は、連続配列で連結されているヌ
クレオシドである(すなわち連結されているヌクレオシド間に追加のヌクレオシドが存在
しない)。
【0102】
本明細書の用法では、「核酸塩基」は、糖部分に連結されて、オリゴヌクレオチドに組
み込まれ得るヌクレオシドを生成できる原子群を意味し、原子群は、別のオリゴヌクレオ
チド又は核酸の相補的な天然核酸塩基と結合できる。核酸塩基は、天然であるか又は修飾
され得る。本明細書の用法では、「核酸塩基配列列」は、いかなる糖、結合又は核酸塩基
修飾とも独立した、連続する核酸塩基の順序を意味する。
【0103】
本明細書の用法では、「未修飾核酸塩基」又は「天然核酸塩基」という用語は、RNA
又はDNAの天然複素環式核酸塩基である、プリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(
G)、ピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)(5-メチルCを含む)及びウラ
シル(U)を意味する。
【0104】
本明細書の用法では、「修飾核酸塩基」は、天然核酸塩基ではない任意の核酸塩基を意
味する。
【0105】
本明細書の用法では、「修飾ヌクレオシド」は、天然RNA又はDNAヌクレオシドと
比較して少なくとも1つの化学修飾を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは
、修飾糖部分及び/又は修飾核酸塩基を含む。
【0106】
本明細書の用法では、「2’置換ヌクレオシド」は、2’位にH又はOH以外の置換基
を含むヌクレオシドを意味する。別段の指示がない限り、2’置換ヌクレオシドは、二環
式ヌクレオシドでない。
【0107】
本明細書の用法では、「デオキシヌクレオシド」は、天然デオキシリボヌクレオシド(
DNA)で見られるような、2’-Hフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含み得るか又はR
NA核酸塩基(例えば、ウラシル)を含み得る。
【0108】
本明細書の用法では、「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結ヌクレオシドを含む化合
物を意味する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ若しくは複数の未修飾
リボヌクレオシド(RNA)及び/若しくは未修飾デオキシリボヌクレオシド(DNA)
並びに/又は1つ若しくは複数の修飾ヌクレオシドを含む。
【0109】
本明細書の用法では、「オリゴヌクレオシド」は、いずれのヌクレオシド間結合もリン
原子を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書の用法では、オリゴヌクレオチ
ドにはオリゴヌクレオシドが含まれる。
【0110】
本明細書の用法では、「修飾オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つの修飾ヌクレオ
シド及び/又は少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを意
味する。
【0111】
本明細書の用法では、「結合」又は「結合基」は、2つ以上の他の原子群を一緒に連結
する原子群を意味する。
【0112】
本明細書の用法では、「ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド中の連続するヌ
クレオシド間の共有結合を意味する。
【0113】
本明細書の用法では、「天然ヌクレオシド間結合」は、3’→5’のリン酸ジエステル
結合を意味する。
【0114】
本明細書の用法では、「修飾ヌクレオシド間結合」は、天然ヌクレオシド間結合以外の
任意のヌクレオシド間結合を意味する。
【0115】
本明細書の用法では、「末端ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド又はその定
義された領域の最後の2つのヌクレオシド間の結合を意味する。
【0116】
本明細書の用法では、「リン連結基」は、リン原子を含む連結基を意味する。リン連結
基としては、限定されることなく、式:
【化3】
を有する基が挙げられ、式中、
R
a及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、CH
2、NH又はNJ
1であり、J
1は、
C
1~C
6アルキル又は置換C
1~C
6アルキルであり;
R
bは、O又はSであり;
R
cは、OH、SH、C
1~C
6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコ
キシ、置換C
1~C
6アルコキシ、アミノ又は置換アミノである。
【0117】
リン連結基としては、限定されることなく、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、
ホスホロジチオエート、ホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロチオアミデート、
チオノアルキルホスホネート、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル
及びボラノホスフェートが挙げられる。
【0118】
本明細書の用法では、「ヌクレオシド間リン連結基」は、2つのヌクレオシドを直接連
結するリン連結基を意味する。
【0119】
本明細書の用法では、「非ヌクレオシド間リン連結基」は、2つのヌクレオシドを直接
連結しないリン連結基を意味する。特定の実施形態では、非ヌクレオシド間リン連結基は
、ヌクレオシド以外の基にヌクレオシドを連結する。特定の実施形態では、非ヌクレオシ
ド間リン連結基は、いずれもヌクレオシドではない2つの基を連結する。
【0120】
本明細書の用法では、「中性連結基」は、帯電していない連結基を意味する。中性連結
基としては、限定されることなく、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(
-CH2-N(CH3)-O-)、アミド-3(-CH2-C(=O)-N(H)-)、
アミド-4(-CH2-N(H)-C(=O)-)、ホルムアセタール(-O-CH2-
O-)及びチオホルムアセタール(-S-CH2-O-)が挙げられる。さらなる中性連
結基としては、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサ
ミド、硫化物、スルホン酸エステル及びアミドを含む非イオン性結合が挙げられる(例え
ば、Carbohydrate Modifications in Antisens
e Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook Eds.
ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and
4,(pp.40-65)を参照されたい)。さらなる中性連結基としては、混合された
N、O、S及びCH2の構成要素を含む非イオン性結合が挙げられる。
【0121】
本明細書の用法では、「ヌクレオシド間中性連結基」は、2つのヌクレオシドを直接連
結する中性連結基を意味する。
【0122】
本明細書の用法では、「オリゴマー化合物」は、2つ以上の下部構造を含むポリマー構
造を意味する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドを含む。
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ又は複数のコンジュゲート基及び/又は
末端基を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドからなる
。オリゴマー化合物には天然核酸も含まれる。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は
、1つ又は複数の連結された単量体サブユニットの主鎖を含み、ここで、各連結された単
量体サブユニットは、複素環式塩基部分に直接又は間接的に結合している。特定の実施形
態では、オリゴマー化合物は、複素環塩基部分に連結されていない単量体サブユニットも
含み得、それによって塩基脱落部位を提供する。特定の実施形態では、単量体サブユニッ
ト、糖部分又はサロゲート及び複素環式塩基部分を連結する結合は、独立して修飾され得
る。特定の実施形態では、複素環式塩基を含んでいても含んでいなくてもよい結合糖単位
は、ペプチド核酸中のモノマーなどの模倣物で置換され得る。
【0123】
本明細書の用法では、「末端基」は、オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端のい
ずれか又は両方に付着した1つ又は複数の原子を意味する。特定の実施形態では、末端基
は、コンジュゲート基である。特定の実施形態では、末端基は、1つ又は複数の末端基ヌ
クレオシドを含む。
【0124】
本明細書の用法では、「コンジュゲート」又は「コンジュゲート基」は、オリゴヌクレ
オチド又はオリゴマー化合物に結合した原子又は原子群を意味する。一般に、コンジュゲ
ート基は、薬力学、薬物動態学、結合、吸収、細胞分布、細胞内取り込み、電荷及び/又
はクリアランス特性が挙げられるが、これらに限定されるものではない、それらが付着す
る化合物の1つ又は複数の特性を改変する。
【0125】
本明細書の用法では、コンジュゲート基に関連して、「コンジュゲートリンカー」又は
「リンカー」は、任意の原子又は原子群を含み、(1)オリゴヌクレオチドを共役基の別
の部分に共有結合させるか、又は(2)コンジュゲート基の2つ以上の部分を共有結合さ
せる共役基の部分を意味する。
【0126】
コンジュゲート基は、本明細書ではラジカルとして示され、アンチセンスオリゴヌクレ
オチドなどのオリゴマー化合物への共有結合を形成するための結合を提供する。特定の実
施形態では、オリゴマー化合物上の付着点は、オリゴマー化合物の3’末端ヌクレオシド
の3’-ヒドロキシル基の3’-酸素原子である。特定の実施形態では、オリゴマー化合
物上の付着点は、オリゴマー化合物の5’末端ヌクレオシドの5’-ヒドロキシル基の5
’-酸素原子である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物への付着を形成するための
結合は、切断可能な結合である。特定のこのような実施形態では、このような切断可能な
結合は、切断可能な部分の全部又は一部を構成する。
【0127】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、切断可能な部分(例えば、切断可能な結合
又は切断可能なヌクレオシド)及びGalNAcクラスター部分などの炭水化物クラスタ
ー部分を含む。このような炭水化物クラスター部分は、標的化部分及び任意選択的にコン
ジュゲートリンカーを含む。特定の実施形態では、炭水化物クラスター部分は、リガンド
の数及び同一性によって同定される。例えば、特定の実施形態では、炭水化物クラスター
部分は、3つのGalNAc基を含み、「GalNAc3」と称される。特定の炭水化物
クラスター部分(特定のテザー、分岐及びコンジュゲートリンカー基を有する)は、本明
細書に記載されており、ローマ数字及びそれに続く下付き文字「a」で表記される。した
がって、「GaINac3-la」は、3つのGalNac基と、特異的に同定されたテ
ザー基、分岐基及び連結基とを有するコンジュゲート基の特定の炭水化物クラスター部分
を指す。このような炭水化物クラスター断片は、切断可能な結合又は切断可能なヌクレオ
シドなどの切断可能な部分を介してオリゴマー化合物に付着している。
【0128】
本明細書の用法では、「切断可能な部分」は、生理的条件下で分割できる結合又は基を
意味する。特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞又は細胞内区
画の内部で切断される。特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内
因性酵素によって切断される。特定の実施形態では、開裂可能な部分は、1つ、2つ、3
つ、4つ又は5つ以上の開裂可能な結合を有する原子群を含む。
【0129】
本明細書の用法では、「切断可能な結合」は、分割ができる任意の化学結合を意味する
。特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、ポリアミド、エステル、エーテル、
ホスホジエステルの一方又は両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、ジスルフ
ィド又はペプチドの中から選択される。
【0130】
本明細書の用法では、「炭水化物クラスター」は、スキャフォールド又はリンカー基に
付着した1つ又は複数の炭水化物残基を有する化合物を意味する。(例えば、その全体が
参照により本明細書に援用されるMaier et al.,“Synthesis o
f Antisense Oligonucleotides Conjugated
to a Multivalent Carbohydrate Cluster fo
r Cellular Targeting,”Bioconjugate Chemi
stry,2003,(14):18-29又は炭水化物複合体クラスターの例としてR
ensen et al.,“Design and Synthesis of No
vel N-Acetylgalactosamine-Terminated Gly
colipids for Targeting of Lipoproteins t
o the Hepatic Asiaglycoprotein Receptor,
”J Med.Chem.2004,(47):5798-5808を参照されたい)。
【0131】
本明細書の用法では、「一本鎖」は、その相補体とハイブリッド形成せず、安定な自己
二重鎖を形成するのに十分な自己相補性を欠くオリゴマー化合物を意味する。
【0132】
本明細書の用法では、「二本鎖」は、互いにハイブリッド形成するオリゴマー化合物の
対又はヘアピン構造を形成する単一の自己相補的オリゴマー化合物を意味する。特定の実
施形態では、二本鎖オリゴマー化合物は、第1及び第2のオリゴマー化合物を含む。
【0133】
本明細書の用法では、「アンチセンス化合物」は、その少なくとも一部がハイブリッド
形成できる標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを含むか又はそれからなる化合物を意
味し、その結果、少なくとも1つのアンチセンス活性がもたらされる。
【0134】
本明細書の用法では、「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物のその標的核酸へ
のハイブリダイゼーションに帰せられる任意の検出可能及び/又は測定可能な変化を意味
する。特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸転写物(例えば、mRNA)
の量又は活性の調節を含む。特定の実施形態では、アンチセンス活性は、mRNA前駆体
のスプライシングの調節を含む。
【0135】
本明細書の用法では、「RNase Hベースのアンチセンス化合物」とは、アンチセ
ンス化合物のアンチセンス活性の少なくとも一部が、アンチセンス化合物の標的核酸への
ハイブリダイゼーション及び引き続くRNase Hによる標的核酸の切断に帰せられる
アンチセンス化合物を意味する。
【0136】
本明細書の用法では、「検出する」又は「測定する」は、検出又は測定のための試験又
はアッセイが行われることを意味する。このような検出及び/又は測定は、ゼロの値をも
たらし得る。したがって、検出又は測定試験の結果、活性がない(活性がゼロ)と判明し
た場合でも、活性を検出又は測定するステップは、実行されている。
【0137】
本明細書の用法では、「検出可能及び/又は測定可能な活性」は、ゼロではない統計的
に有意な活性を意味する。
【0138】
本明細書の用法では、「本質的に無変化」は、特に、はるかにより大きく変化する別の
パラメータと比較して、特定のパラメータの変化がわずか又は皆無であることを意味する
。特定の実施形態では、パラメータの変化が5%未満である場合、そのパラメータは、本
質的に無変化である。特定の実施形態では、パラメータは、別のパラメータが少なくとも
10倍変化する一方、それが2倍未満のみ変化する場合、本質的に無変化である。例えば
、特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸の量の変化である。特定のこのよ
うな実施形態では、非標的核酸の量は、それが標的核酸を大幅に下回る変化である場合、
本質的に無変化であるが、変化は、ゼロである必要はない。
【0139】
本明細書の用法では、「発現」は、遺伝子が最終的にタンパク質をもたらすプロセスを
意味する。発現には、転写、転写後修飾(例えば、スプライシング、ポリアデニル化、5
’キャップの付加)及び翻訳が含まれるが、これらに限定されない。
【0140】
本明細書の用法では、「標的核酸」は、アンチセンス化合物がハイブリッド形成して所
望のアンチセンス活性をもたらすことが意図されている核酸分子を意味する。アンチセン
スオリゴヌクレオチドは、それらの標的核酸に対して十分な相補性を有して、生理的条件
下におけるハイブリダイゼーションを可能にする。
【0141】
本明細書の用法では、核酸塩基に関して、「核酸塩基相補性」又は「相補性」は、別の
核酸塩基と塩基対形成できる核酸塩基を意味する。例えば、DNAでは、アデニン(A)
は、チミン(T)に相補的である。例えば、RNAでは、アデニン(A)は、ウラシル(
U)に相補的である。特定の実施形態では、相補的な核酸塩基は、その標的核酸の核酸塩
基と塩基対形成できるアンチセンス化合物の核酸塩基を意味する。例えば、アンチセンス
化合物の特定の位置にある核酸塩基が、標的核酸の特定の位置にある核酸塩基と水素結合
できる場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は、その核酸塩基対
で相補的であると考えられる。特定の修飾を含む核酸塩基は、対応する核酸塩基と対形成
する能力を維持し得、したがって核酸塩基相補性が依然として可能である。
【0142】
本明細書の用法では、核酸塩基に関して、「非相補的」とは、互いに水素結合を形成し
ない核酸塩基の対を意味する。
【0143】
本明細書の用法では、オリゴマー化合物(例えば、連結ヌクレオシド、オリゴヌクレオ
チド又は核酸)に関して、「相補的」は、核酸塩基相補性を介して別のオリゴマー化合物
又はその領域とハイブリッド形成するこのようなオリゴマー化合物又はその領域の能力を
意味する。相補的なオリゴマー化合物は、各ヌクレオシドで核酸塩基の相補性を有する必
要はない。むしろ、いくらかのミスマッチが許容される。特定の実施形態では、相補的な
オリゴマー化合物又は領域は、核酸塩基の70%で相補的である(70%相補的)。特定
の実施形態では、相補的オリゴマー化合物又は領域は、80%相補的である。特定の実施
形態では、相補的オリゴマー化合物又は領域は、90%相補的である。特定の実施形態で
は、相補的オリゴマー化合物又は領域は、95%相補的である。特定の実施形態では、相
補的オリゴマー化合物又は領域は、100%相補的である。
【0144】
本明細書の用法では、「ミスマッチ」は、第1及び第2のオリゴマー化合物を整列させ
たとき、第1のオリゴマー化合物の核酸塩基が第2のオリゴマー化合物の対応する位置の
核酸塩基と対形成できないことを意味する。第1及び第2のオリゴマー化合物のいずれか
又は両方がオリゴヌクレオチドであり得る。
【0145】
本明細書の用法では、「ハイブリダイゼーション」は、相補的なオリゴマー化合物(例
えば、アンチセンス化合物及びその標的核酸)の対形成を意味する。特定の機序に限定さ
れない一方、対形成の最も一般的な機序は、ワトソン・クリック、フーグスティーン又は
逆フーグスティーン水素結合であり得る、相補的な核酸塩基間の水素結合である。
【0146】
本明細書の用法では、「特異的にハイブリッド形成する」とは、オリゴマー化合物が、
別の核酸部位とハイブリッド形成するよりも高い親和性で1つの核酸部位とハイブリッド
形成する能力を意味する。
【0147】
本明細書の用法では、オリゴヌクレオチド又はその一部に関して、「完全に相補的」と
は、オリゴヌクレオチド又はその部分の各核酸塩基が相補的核酸又はその連続部分の核酸
塩基と対形成できることを意味する。したがって、完全に相補的な領域は、いずれの鎖に
もミスマッチ又はハイブリッド形成していない核酸塩基を含まない。
【0148】
本明細書の用法では、「パーセント相補性」は、標的核酸の等しい長さの部分に相補的
であるオリゴマー化合物の核酸塩基の百分率を意味する。パーセント相補性は、標的核酸
中の対応する位置で核酸塩基に相補的であるオリゴマー化合物の核酸塩基の数をオリゴマ
ー化合物の全長で除算することによって計算される。
【0149】
本明細書の用法では、「パーセント同一性」は、第2の核酸中の対応する位置にある核
酸塩基と同一タイプ(化学修飾から独立して)の第1の核酸中の核酸塩基の数を第1の核
酸中の核酸塩基の総数で除したものを意味する。
【0150】
本明細書の用法では、「調節」は、調節前の分子、機能又は活性の量又は質と比較した
場合の分子、機能又は活性の量又は質の変化を意味する。例えば、調節には、遺伝子発現
の増加(刺激又は誘導)又は減少(阻害又は減少)のいずれかの変化が含まれる。さらな
る例として、発現の調節は、mRNA前駆体プロセシングのスプライス部位選択の変化を
含み得、調節がない場合の量と比較して特定のスプライス変種の絶対量又は相対量の変化
をもたらす。
【0151】
本明細書の用法では、「化学モチーフ」は、オリゴヌクレオチド又はその領域における
化学修飾のパターンを意味する。モチーフは、特定のヌクレオシド及び/又はオリゴヌク
レオチドの特定の連結基における修飾によって定義され得る。
【0152】
本明細書の用法では、「ヌクレオシドモチーフ」は、オリゴヌクレオチド又はその領域
におけるヌクレオシド修飾のパターンを意味する。このようなオリゴヌクレオチドの結合
は、修飾されているか又は未修飾であり得る。別段の指示がない限り、ヌクレオシドのみ
を記載する本明細書のモチーフは、ヌクレオシドモチーフであることが意図される。した
がって、このような場合、結合は、制限されない。
【0153】
本明細書の用法では、「糖モチーフ」は、オリゴヌクレオチド又はその領域における糖
修飾のパターンを意味する。
【0154】
本明細書の用法では、「結合モチーフ」は、オリゴヌクレオチド又はその領域における
結合修飾のパターンを意味する。このようなオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、修飾
されているか又は未修飾であり得る。別段の指示がない限り、結合のみを記載する本明細
書のモチーフは、結合モチーフであることが意図される。したがって、このような場合、
ヌクレオシドは、制限されない。
【0155】
本明細書の用法では、「核酸塩基修飾モチーフ」は、オリゴヌクレオチドに沿った核酸
塩基の修飾のパターンを意味する。別段の指示がない限り、核酸塩基修飾モチーフは、核
酸塩基配列から独立している。
【0156】
本明細書の用法では、「配列モチーフ」は、オリゴヌクレオチド又はその一部に沿って
配置された核酸塩基のパターンを意味する。別段の指示がない限り、配列モチーフは、化
学修飾とは独立しており、したがって化学修飾の不在を含めて化学修飾の任意の組み合わ
せを有し得る。
【0157】
本明細書の用法では、ヌクレオシド又は「タイプ」のヌクレオシドに関して、「修飾の
タイプ」は、ヌクレオシドの化学的修飾を意味し、修飾及び未修飾ヌクレオシドを含む。
したがって、別段の指示がない限り、「第1のタイプの修飾を有するヌクレオシド」は、
未修飾ヌクレオシドであり得る。
【0158】
本明細書の用法では、「異なって修飾」されているとは、修飾の不在を含めて、互いに
異なる化学修飾又は化学置換基を意味する。したがって、例えば、MOEヌクレオシド及
び未修飾DNAヌクレオシドは、たとえDNAヌクレオシドが未修飾であっても「異なっ
て修飾」されている。同様に、DNA及びRNAは、いずれも天然に存在する未修飾ヌク
レオシドであっても「異なって修飾」されている。同じヌクレオシドであっても異なる核
酸塩基を含むものは、異なって修飾されていない。例えば、2’-OMe修飾糖及び未修
飾アデニン核酸塩基を含むヌクレオシドと、2’-OMe修飾糖及び未修飾チミン核酸塩
基を含むヌクレオシドとは、異なって修飾されていない。
【0159】
本明細書の用法では、「同じタイプの修飾」は、修飾の不在を含めて、互いに同じであ
る修飾更を指す。したがって、例えば、2つの未修飾のDNAヌクレオシドは、たとえD
NAヌクレオシド未修飾であっても「同じタイプの修飾」を有する。同じタイプの修飾を
有するこのようなヌクレオシドは、異なる核酸塩基を含み得る。
【0160】
本明細書の用法では、「別個の領域」は、任意の隣接部分の化学修飾又は化学修飾のモ
チーフが、別個の領域を互いに区別できるようにする少なくとも1つの差異を含むオリゴ
ヌクレオチドの部分を意味する。
【0161】
本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な担体又は希釈剤」は、動物への投与で使用
するのに適した任意の物質を意味する。特定の実施形態では、薬学的に許容可能な担体又
は希釈剤は、滅菌生理食塩水である。特定の実施形態では、このような滅菌生理食塩水は
、医薬品等級生理食塩水である。
【0162】
本明細書の用法では、「代謝障害」という用語は、エネルギーを産生するための食物の
分解に関連する一連の複雑な化学反応である代謝の調節不全を主に特徴とする疾患又は病
状を意味する。
【0163】
本明細書の用法では、「心血管障害」という用語は、主に心臓又は血管の機能低下を特
徴とする疾患又は病状を意味する。
【0164】
本明細書の用法では、「プロドラッグ」は、対象に投与されると代謝されて活性な又は
より活性な化合物(例えば、薬物)を形成する化合物の不活性又はより活性の低い形態を
意味する。
【0165】
本明細書の用法では、「SF-12」は、広く使用されている検証済みの一般的な健康
関連生活の質(HRQOL)測定法を指し、それは、年齢層、疾患状態及び治療タイプ全
体に関連すると考えられる一般的な健康概念を包含する。測定は、12項目を含み、総体
的な健康(1項目)、身体的機能(2項目)、身体的健康による役割制限(2項目)、肉
体的苦痛(1項目)、活力度(1項目)、社会的機能(1項目)、情緒的問題による役割
制限(2項目)、精神的健康(2項目)の8つのドメインを有する。さらに、SF-12
の個々のドメインに基づいて導出される2つの複合サマリースコアがある:
・身体的側面のサマリー(PCS)
・精神的側面のサマリー(MCS)。
【0166】
本明細書の用法では、別段の指示がないか又は修飾されていない限り、「二本鎖」とい
う用語は、互いにハイブリッド形成する2つの別個のオリゴマー化合物を指す。このよう
な二本鎖化合物は、生理学的に適切な条件下でハイブリダイゼーションを維持するのに十
分な相補性がある限り、一方又は両方の鎖の一端又は両端に1つ若しくは複数の非ハイブ
リッド形成ヌクレオシド(オーバーハング)及び/又は1つ若しくは複数の内部非ハイブ
リッド形成ヌクレオシド(ミスマッチ)を有し得る。
【0167】
本明細書の用法では、「5’標的部位」は、特定のアンチセンス化合物の5’末端ヌク
レオチドに相補的な標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0168】
本明細書の用法では、「約」は、ある値の±10%以内を意味する。例えば、「マーカ
ーは、約50%増加し得る」と記載されている場合、マーカーは、45%~55%増加し
得ることが示唆される。
【0169】
本明細書の用法では、「同時に投与される」とは、両方の薬理学的効果が同時に患者に
顕在化するような任意の方法での2つの薬剤の同時投与を指す。同時投与は、両方の薬剤
が単一の医薬組成物中において、同一剤形中において又は同一投与経路によって投与され
ることを必要としない。両方の薬剤の効果が同時に顕在化する必要はない。効果は、一定
期間にわたって重なり得、同時進行する必要はない。
【0170】
本明細書の用法では、「投与する」又は「投与」は、個人に医薬品を提供することを意
味し、これらに限定されるものではないが、医療専門家による投与及び自己投与が含まれ
る。個人への医薬品の投与は、継続的、慢性的、短期的又は断続的であり得る。投与は、
非経口又は経口であり得る。
【0171】
本明細書の用法では、「薬剤」は、動物に投与されたときに治療上の利益を提供し得る
活性物質を意味する。「第1の薬剤」は、本発明の治療用化合物を意味する。例えば、第
1の薬剤は、apo(a)を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。「
第2の薬剤」は、本発明の第2の治療用化合物(例えば、apo(a)を標的化する第2
のアンチセンスオリゴヌクレオチド)及び/又は非apo(a)治療用化合物を意味する
。
【0172】
本明細書の用法では、「改善」、又は「改善する」、又は「改善すること」は、関連す
る疾患、障害又は病状の少なくとも1つの指標、徴候又は症状の軽減を指す。指標の重症
度は、当業者に知られている主観的又は客観的尺度によって決定され得る。
【0173】
本明細書で使用される場合、「apo(a)」は、apo(a)をコード化する任意の
核酸又はタンパク質配列を意味する。例えば、特定の実施形態では、apo(a)として
は、apo(a)をコードするDNA配列、apo(a)をコードするDNA(イントロ
ン及びエクソンを含むゲノムDNAをはじめとする)から転写されたRNA配列、apo
(a)をコード化するmRNA配列又はapo(a)をコード化するペプチド配列が挙げ
られる。
【0174】
本明細書の用法では、「apo(a)核酸」は、apo(a)をコード化する任意の核
酸を意味する。例えば、ある実施形態では、apo(a)核酸としては、apo(a)を
コード化するDNA配列、apo(a)をコード化するDNA(イントロン及びエクソン
を含むゲノムDNAをはじめとする)から転写されたRNA配列及びapo(a)をコー
ド化するmRNA配列が挙げられる。
【0175】
本明細書の用法では、「apo(a)mRNA」は、apo(a)タンパク質をコード
化するmRNAを意味する。
【0176】
本明細書の用法では、「apo(a)タンパク質」は、Apo(a)をコード化する任
意のタンパク質配列を意味する。
【0177】
本明細書の用法では、「apo(a)特異的阻害剤」は、apo(a)核酸及び/又は
apo(a)タンパク質の発現を特異的に阻害できる任意の薬剤を指す。例えば、apo
(a)特異的阻害剤としては、apo(a)核酸及び/又はapo(a)タンパク質の発
現を阻害できる核酸(アンチセンス化合物をはじめとする)、ペプチド、抗体、小分子及
び他の薬剤が挙げられる。特定の実施形態では、apo(a)核酸発現及び/又はapo
(a)タンパク質発現を特異的に調節することにより、apo(a)特異的阻害剤は、下
流成分をはじめとする脂質輸送系の他の成分に影響を及ぼし得る。同様に、特定の実施形
態では、apo(a)特異的阻害剤は、動物における他の分子プロセスに影響を及ぼし得
る。
【0178】
本明細書の用法では、「スタチンの最適用量」は、Blood Cholestero
l to Reduce Atherosclerotic Cardiovascul
ar Risk in Adultsの治療に関する米国心臓病学会(American
College of Cardiology)(ACC)/米国心臓協会(Amer
ican Heart Association)(AHA)ガイドラインから適合され
た用量を意味する(Stone,Neil J.et al.,“2013 ACC/A
HA Guideline on the Treatment of Blood C
holesterol to Reduce Atherosclerotic Car
diovascular Risk in Adults,A Report of t
he American College of Cardiology/Americ
an Heart Association Task Force on Pract
ice Guidelines,”Circulation,June 24,2014
,S1-S45を参照されたい)。
【0179】
本明細書の用法では、「アテローム性動脈硬化症」は、大動脈及び中動脈に影響を及ぼ
す動脈の硬化を意味し、脂肪沈着の存在によって特徴付けられる。脂肪沈着物は、「アテ
ローム」又は「プラーク」と称され、主にコレステロール及び他の脂肪、カルシウム、瘢
痕組織で構成され、動脈の内壁を損傷する。
【0180】
本明細書の用法では、「冠動脈心臓病(CHD)」は、心臓に血液と酸素を供給する小
血管の狭窄を意味し、これは、多くの場合、アテローム性動脈硬化症の結果である。
【0181】
本明細書の用法では、「真性糖尿病」又は「糖尿病」は、不十分なレベルのインスリン
又はインスリン感受性の低下に起因する代謝障害及び異常に高い血糖(高血糖)を特徴と
する症候群である。特徴的な症状は、高血糖に起因する過剰な尿生成(多尿)、尿量の増
加の代償としての過度の喉の渇き及び水分摂取の増加(多飲)、眼の光学系に対する高血
糖の影響に起因するかすみ目、原因不明の体重減少並びに無気力である。
【0182】
本明細書の用法では、「糖尿病性脂質異常症」又は「脂質異常症を伴う2型糖尿病」は
、2型糖尿病、HDL-Cの低下、トリグリセリド(TG)の上昇及び小型高密度のLD
L粒子の上昇を特徴とする病状を意味する。
【0183】
本明細書の用法では、「希釈剤」は、薬理学的活性を欠くが、薬学的に必要である又は
望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注射される組成物中の希釈剤は、例えば、
生理食塩水などの液体であり得る。
【0184】
本明細書の用法では、「脂質異常症」は、脂質及び/又はリポタンパク質の過剰産生又
は欠乏をはじめとする脂質及び/又はリポタンパク質代謝の障害を指す。脂質異常症は、
カイロミクロン、コレステロール及びトリグリセリドなどの脂質並びに低密度リポタンパ
ク質(LDL)コレステロールなどのリポタンパク質の上昇によって顕在化し得る。
【0185】
本明細書の用法では、「用量」は、単回投与中又は指定された期間内に提供される所定
量の医薬品を意味する。特定の実施形態では、1用量は、1つ、2つ又はそれを超えるボ
ーラス、錠剤又は注射で投与され得る。例えば、皮下投与が望ましい特定の実施形態では
、所望の用量は、単回注射で容易に収容できない量を必要とし、したがって2回以上の注
射を使用して所望の用量を達成できる。特定の実施形態では、医薬品は、長時間又は継続
的注入によって投与される。用量は、1時間、1日、1週間又は1ヶ月あたりの医薬品の
量として記載され得る。用量は、mg/kg又はg/kgとしても記載され得る。
【0186】
本明細書の用法では、「有効量」又は「治療有効量」は、薬剤を必要とする個人におい
て所望の生理学的結果を実現するのに十分な活性医薬品の量を意味する。有効量は、治療
される個人の健康状態及び体調、治療される個人の分類学的グループ、組成物の処方、個
人の病状の評価及び他の関連する要因に応じて個人間で異なり得る。
【0187】
本明細書の用法では、「完全に相補的」又は「100%相補的」は、第1の核酸の核酸
塩基配列の各核酸塩基が第2の核酸の第2の核酸塩基配列に相補的な核酸塩基を有するこ
とを意味する。特定の実施形態では、第1の核酸は、アンチセンス化合物であり、第2の
核酸は、標的核酸である。
【0188】
本明細書の用法では、「グルコース」は、エネルギー源及び炎症性中間体として細胞に
よって使用される単糖である。「血漿グルコース」は、血漿中に存在するグルコースを指
す。
【0189】
本明細書の用法では、「高密度リポタンパク質-C」又は「HDL-C」は、高密度リ
ポタンパク質粒子に関連するコレステロールを意味する。血清(又は血漿)中のHDL-
Cの濃度は、典型的には、mg/dL又はnmol/Lで定量化される。「血清HDL-
C」及び「血漿HDL-C」は、それぞれ血清及び血漿中のHDL-Cを意味する。
【0190】
本明細書の用法では、「HMG-CoA還元酵素阻害剤」は、アトルバスタチン、ロス
バスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン及びシンバスタチンなどの
酵素HMG-CoA還元酵素の阻害を介して作用する薬剤を意味する。
【0191】
本明細書の用法では、「高コレステロール血症」は、成人における高コレステロールの
検出、評価、治療に関する米国コレステロール教育プログラム(NCEP)の専門家パネ
ル報告書のガイドラインに従い、コレステロール又は循環(血漿)コレステロール、LD
L-コレステロール及びVLDL-コレステロールの上昇を特徴とする病状を意味する(
Arch.Int.Med.(1988)148,36-39を参照されたい)。
【0192】
本明細書の用法では、「高脂血症(hyperlipidemia)」又は「高脂血症
(hyperlipemia)」は、血清脂質又は循環(血漿)脂質の上昇を特徴とする
病状である。この病状は、異常に高濃度の脂肪を顕在化する。循環血液中の脂質画分は、
コレステロール、低密度リポタンパク質、超低密度リポタンパク質、カイロミクロン及び
トリグリセリドである。高脂血症のFredrickson分類は、電気泳動又は超遠心
分離によって測定された、TG及びコレステロールに富むリポタンパク質粒子のパターン
に基づいており、高トリグリセリド血症などの高脂血症の主な原因を特徴付けるために一
般的に使用される(Fredrickson and Lee,Circulation
,1965,31:321-327;Fredrickson et al.,New
Eng J Med,1967,276(1):34-42)。
【0193】
本明細書の用法では、「高トリグリセリド血症」は、トリグリセリドレベルの上昇を特
徴とする病状を意味する。その病因としては、一次性(遺伝的原因)及び二次性(糖尿病
、メタボリックシンドローム/インスリン抵抗性、肥満、運動不足、喫煙、過度のアルコ
ール、炭水化物の多い食事などの他の基礎的な原因)が挙げられ、ほとんどの場合、その
両方が組み合わさっている(Yuan et al.,CMAJ,2007,176:1
113-1120)。
【0194】
本明細書の用法では、「代謝疾患又は心血管疾患を有する動物を同定する」又は「選択
する」とは、代謝疾患、心血管疾患又は代謝症候群に罹患し易いか、又はそれを有すると
診断された対象を同定又は選択すること;又は高コレステロール血症、高血糖症、高脂血
症、高トリグリセリド血症、高血圧症、インスリン抵抗性の増加、インスリン感受性の低
下、超過体重及び/若しくは超過体脂肪含有量又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ
るが、これらに限定されるものではない代謝障害、心血管疾患又は代謝症候群の任意の症
状を有する対象を同定又は選択することを意味する。このような同定は、これらに限定さ
れるものではないが、血清又は循環(血漿)コレステロールを測定すること、血清又は循
環(血漿)グルコースを測定すること、血清又は循環(血漿)トリグリセリドを測定する
こと、血圧を測定すること、体脂肪含有量を測定すること、体重を測定することなどの標
準的な臨床検査又は評価をはじめとする任意の方法によって達成され得る。
【0195】
本明細書の用法では、「改善された心血管転帰」は、有害な心血管事象の発生又はその
リスクの減少を意味する。有害な心血管事象の例としては、限定されることなく、死亡、
再梗塞、脳卒中、心臓性ショック、肺水腫、心停止及び心房性不整脈が挙げられる。
【0196】
本明細書の用法では、「HDLの増加」又は「HDLの上昇」は、化合物を投与されて
いない動物のHDLレベルと比較して、少なくとも1つの本発明の化合物の投与後、動物
のHDLのレベルが増加することを意味する。
【0197】
本明細書の用法では、「個人」、「患者」又は「対象」は、治療又は治療法のために選
択されたヒトを意味する。
【0198】
本明細書の用法では、「それを必要とする個人」は、治療又は治療法のために選択され
た、このような治療又は治療法を必要とするヒト又は非ヒト動物を指す。
【0199】
本明細書の用法では、「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、
「増加させる」、「減少させる」、「減少させる」などは、2つの状態間の定量的差異を
示す。例えば、「apo(a)の活性又は発現を阻害するのに有効な量」は、処置された
サンプルにおけるapo(a)の活性又は発現のレベルが未処置のサンプルにおけるap
o(a)の活性又は発現のレベルと異なることを意味する。このような用語は、例えば、
発現のレベル及び活性のレベルに適用される。
【0200】
「低下させる」、「低減させる」、「低減」、「減少させる」又は「阻害する」という
用語の全ては、本明細書では、一般に統計的に有意な量の減少を意味するために使用され
る。しかし、疑念を避けるために、「低下させる」、「低減させる」、「低減」又は「減
少させる」又は「阻害する」は、基準レベルと比較して、例えば少なくとも約10%、若
しくは少なくとも約15%、若しくは少なくとも約20%、若しくは少なくとも約25%
、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約35%、若しくは少なくとも約4
0%、若しくは少なくとも約50%の減少など、少なくとも10%の減少(すなわち基準
サンプルと比較した不在のレベル)又は基準レベルと比較して10~50%の任意の減少
を意味する。
【0201】
本明細書の用法では、「炎症状態」は、炎症をもたらす疾患、病態、症候群又は他の病
状を指す。例えば、リウマチ様関節炎及び肝臓線維症は、炎症状態である。炎症状態の他
の例としては、敗血症、心筋虚血/再灌流傷害、成人呼吸窮迫症候群、腎炎、移植片拒絶
、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症及び脈管炎が挙げ
られる。
【0202】
本明細書の用法では、「発現又は活性を阻害する」は、RNA又はタンパク質の発現又
は活性の低下又は遮断を指し、必ずしも発現又は活性の完全な排除を示すわけではない。
【0203】
本明細書の用法では、「インスリン抵抗性」は、正常な量のインスリンが、脂肪、筋肉
及び肝臓細胞から正常なインスリン応答を生じるのに不十分である病状として定義される
。脂肪細胞のインスリン抵抗性は、貯蔵されたトリグリセリドの加水分解を引き起こし、
血漿中の遊離脂肪酸を上昇させる。筋肉のインスリン抵抗性は、グルコース取り込みを低
減する一方、肝臓のインスリン抵抗性は、グルコースの貯蔵を低減し、いずれの影響も血
糖値を上昇させる役割を果たす。インスリン抵抗性によるインスリン及びグルコースの高
い血漿レベルは、多くの場合、代謝症候群及び型2糖尿病につながる。
【0204】
本明細書の用法では、「インスリン感受性」は、個人がどの程度効果的にグルコースを
処理するかを示す尺度である。高いインスリン感受性を有する個人は、グルコースを効果
的に処理する一方、低いインスリン感受性を有する個人は、グルコースを効果的に処理し
ない。
【0205】
本明細書の用法では、「脂質低下」は、対象における1つ又は複数の脂質(例えば、L
DL、VLDL)の減少を意味する。「脂質上昇」は、対象における脂質(例えば、HD
L)の増加を意味する。脂質低下又は脂質上昇は、時間経過と共に1回又は複数の投与に
よって生じ得る。
【0206】
本明細書の用法では、「脂質低下療法」又は「脂質低下剤」は、対象における1つ又は
複数の脂質を低減するために対象に提供される治療レジメンを意味する。特定の実施形態
では、対象において、apo(a)、CETP、apoB、総コレステロール、LDL-
C、VLDL-C、IDL-C、非HDL-C、トリグリセリド、小型高密度LDL粒子
及びLp(a)の1つ又は複数を減少させる脂質低下療法が提供される。脂質低下療法の
例としては、これらに限定されるものではないが、apoB阻害剤、スタチン、フィブラ
ート及びMTP阻害剤が挙げられる。
【0207】
本明細書の用法では、VLDL、LDL及びHDLなどの「リポタンパク質」は、血清
、血漿及びリンパ液に見られるタンパク質の群を指し、脂質輸送に重要である。各リポタ
ンパク質の化学組成は、異なり、例えば、HDLは、タンパク質と脂質の比率がより高い
一方、VLDLは、タンパク質と脂質の比率がより低い。
【0208】
本明細書の用法では、「Lp(a)」は、apo(a)及びapoB含有LDL様粒子
を含む。apo(a)は、ジスルフィド結合によってapoBに結合している。
【0209】
本明細書の用法では、「低密度リポタンパク質-コレステロール(LDL-C)」は、
低密度リポタンパク質粒子中に保有されるコレステロールを意味する。血清(又は血漿)
中のLDL-Cの濃度は、典型的には、mg/dL又はnmol/Lで定量化される。「
血清LDL-C」及び「血漿LDL-C」は、それぞれ血清及び血漿中のLDL-Cを意
味する。
【0210】
本明細書の用法では、「主要リスク因子」は、特定の疾患又は病状に対する高リスクに
寄与する因子を指す。特定の実施形態では、冠動脈性心臓病の主要リスク因子としては、
限定されることなく、喫煙、高血圧、高LDL、低HDL-C、冠動脈心疾患の家族歴、
年齢及び本明細書で開示される他の因子が挙げられる。
【0211】
本明細書の用法では、「代謝障害」又は「代謝疾患」は、代謝機能の変化又は障害を特
徴とする病状を指す。「代謝の」及び「代謝」は、当技術分野で周知の用語であり、一般
に、生体内で起こる生化学的プロセスの全範囲を含む。代謝障害としては、これらに限定
されるものではないが、高血糖、前糖尿病状態、糖尿病(1型及び2型)、肥満、インス
リン抵抗性、代謝症候群及び2型糖尿病による脂質異常症が挙げられる。
【0212】
本明細書の用法では、「代謝症候群」は、代謝起源の脂質及び非脂質心血管リスク因子
のクラスター化を特徴とする病状を意味する。特定の実施形態では、代謝症候群は、以下
の要因のいずれか3つの存在によって同定される:男性では102cm超又は女性では8
8cm超の胴囲;少なくとも150mg/dLの血清トリグリセリド;男性では40mg
/dL未満又は女性では50mg/dL未満のHDL-C;少なくとも130/85mm
Hgの血圧;及び少なくとも110mg/dLの空腹時血糖値。これらの決定因子は、臨
床診療で容易に測定され得る(JAMA,2001,285:2486-2497)。
【0213】
「非経口投与」は、注射又は注入による投与を意味する。非経口投与としては、皮下投
与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与又は例えばくも膜下腔内又は脳室
内投与などの頭蓋内投与が挙げられる。投与は、継続的、慢性的、短期的又は断続的であ
り得る。
【0214】
本明細書の用法では、「医薬品」は、個人に投与されたときに治療上の利益を提供する
物質を意味する。例えば、特定の実施形態では、apo(a)アポを標的化するアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、医薬品である。
【0215】
本明細書の用法では、「医薬組成物」又は「組成物」は、個人に投与するのに適した物
質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、1つ又は複数の活性剤と、例えば滅菌水
溶液などの薬学的担体とを含み得る。
【0216】
本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な誘導体」は、溶媒和化合物、水和物、エス
テル、プロドラッグ、多形体、異性体、同位体標識された変異型、薬学的に許容可能な塩
及び当技術分野で公知の他の誘導体などの本明細書に記載の化合物の誘導体を包含する。
【0217】
本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」は、アンチセンス化合物の生理学的及
び薬学的に許容可能な塩、すなわち親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、それに望
ましくない毒性学的影響を与えない塩を意味する。「薬学的に許容可能な塩」又は「塩」
という用語には、無機又は有機の酸及び塩基をはじめとする、薬学的に許容可能な非毒性
の酸又は塩基から調製された塩が含まれる。本明細書に記載の化合物の「薬学的に許容可
能な塩」は、当技術分野で周知の方法によって調製され得る。薬学的に許容可能な塩のレ
ビューについては、Stahl and Wermuth,Handbook of P
harmaceutical Salts:Properties,Selection
and Use(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002
)を参照されたい。アンチセンスオリゴヌクレオチドのナトリウム塩は、有用であり、ヒ
トへの治療的投与に広く受け入れられている。したがって、一実施形態では、本明細書に
記載の化合物は、ナトリウム塩の形態である。
【0218】
本明細書の用法では、「部分」は、核酸の定義された数の連続する(すなわち連結され
た)核酸塩基を意味する。特定の実施形態では、部分は、標的核酸の定義された数の連続
する核酸塩基である。特定の実施形態では、部分は、アンチセンス化合物の定義された数
の連続する核酸塩基である。
【0219】
本明細書の用法では、「予防する」又は「予防すること」は、数分間から無期限までの
一定期間にわたり、疾患、障害又は病状の発症又は発生を遅延させるか又は未然に防ぐこ
とを指す。予防するとは、疾患、障害又は病状を発症するリスクを減少させることも意味
する。
【0220】
本明細書の用法では、「上昇させる」とは、量を増加させことを意味する。例えば、血
漿HDLレベルを上昇させることは、血漿中のHDLの量を増加させることを意味する。
【0221】
本明細書の用法では、「減少させる」とは、より小さい程度、サイズ、量又は数に減ら
すことを意味する。例えば、血漿トリグリセリドレベルを減少させることは、血漿中のト
リグリセリドの量を減少させることを意味する。
【0222】
本明細書の用法では、「領域」又は「標的領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造
、機能又は特性を有する標的核酸の一部として定義される。例えば、標的領域は、3’U
TR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン接合部、コード領域、
翻訳開始領域、翻訳終結領域又は他の定義された核酸領域を包含し得る。apo(a)の
構造的に定義された領域は、NCBIなどの配列データベースから受入れ番号によって得
ることができ、このような情報は、参照により本明細書に援用される。特定の実施形態で
は、標的領域は、標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から標的領域内の別
の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含し得る。
【0223】
本明細書の用法では、「第2の薬剤」又は「第2の治療薬」は、「第1の薬剤」と組み
合わせて使用され得る薬剤を意味する。第2の治療薬には、これらに限定されるものでは
ないが、apo(a)又はapoBを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドが含ま
れ得る。第2の薬剤は、抗apo(a)抗体、apo(a)ペプチド阻害剤、コレステロ
ール低下剤、脂質低下剤、グルコース低下剤及び抗炎症剤も含み得る。
【0224】
本明細書の用法では、「セグメント」は、核酸内の領域のより小さい下位部分として定
義される。例えば、「標的セグメント」は、それに対して1つ又は複数のアンチセンス化
合物が標的化される、標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」は、
標的セグメントの5’末端のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」は、標的セグメント
の3’末端のヌクレオチドを指す。代わりに、「開始部位」は、標的セグメントの5’末
端のヌクレオチドを指し得、「停止部位」は、標的セグメントの3’末端のヌクレオチド
を指す。標的セグメントは、1つの配列の「開始部位」で開始し、別の配列の「停止部位
」で終了し得る。
【0225】
本明細書の用法では、「スタチン」は、HMG-CoA還元酵素の活性を阻害する薬剤
を意味する。
【0226】
本明細書の用法では、「皮下投与」は、皮膚直下の投与を意味する。
【0227】
本明細書の用法では、「対象」は、治療又は治療法のために選択されたヒトを意味する
。
【0228】
本明細書の用法では、「心血管疾患又は障害の症状」は、心血管疾患又は障害から生じ
、それに付随し、それの指標として機能する現象を意味する。例えば、狭心症;胸痛;息
切れ;動悸;脱力;目眩;悪心;発汗;頻脈;徐脈;不整脈;心房細動;下肢の腫れ;チ
アノーゼ;疲労;失神;顔のしびれ;手足のしびれ;筋肉の跛行若しくは痙攣;腹部の膨
満部;又は発熱は、心血管疾患又は障害の症状である。
【0229】
本明細書の用法では、「標的化する」又は「標的化された」は、標的核酸と特異的にハ
イブリッド形成して所望の効果を誘導する、アンチセンス化合物の設計及び選択のプロセ
スを意味する。
【0230】
本明細書の用法では、「治療的有効量」は、個人に治療上の利益を提供する医薬品の量
を意味する。
【0231】
本明細書の用法では、「治療的生活習慣の変化」は、脂肪/脂肪組織量及び/又はコレ
ステロールを低下させることを目的とした食餌及び生活習慣の変化を意味する。このよう
な変化は、心疾患の発症リスクを低減し得、1日の総カロリー、総脂肪、飽和脂肪、多価
不飽和脂肪、一価不飽和脂肪、炭水化物、タンパク質、コレステロール、不溶性食物繊維
の食餌摂取量並びに身体活動などの推奨事項が含まれ得る。
【0232】
本明細書の用法では、「治療する」又は「治療すること」は、疾患、障害又は病状の変
化又は改善をもたらすために、本明細書に記載の化合物を投与することを指す。
【0233】
本明細書の用法では、「予防する」又は「予防すること」は、本明細書に記載の疾患、
障害又は病状の1つ又は複数の症状を阻害するか又は遅延させることを指す。例えば、特
定の実施形態では、対象へのISIS 681257の投与は、心血管障害の1つ又は複
数の症状を予防し、例えば、対象へのISIS 681257の投与は、心血管障害に伴
う1つ又は複数の症状を阻害するか又は遅延させる。
【0234】
本明細書の用法では、「トリグリセリド」又は「TG」は、3つの脂肪酸分子と組み合
わされたグリセロールからなる脂質又は中性脂肪を意味する。
【0235】
本明細書の用法では、「2型糖尿病」(「2型真性糖尿病」、「真性糖尿病、2型」、
「非インスリン依存性糖尿病」、「NIDDM」、「肥満関連糖尿病」又は「成人発症型
糖尿病」としても知られている)は、主にインスリン抵抗性、相対的インスリン欠乏症及
び高血糖を特徴とする代謝障害である。
【0236】
化学命名法、用語及び規則
特に明記されない限り、全ての化学式及び基において、従来の用語の定義が優先され、
従来の安定した原子価が推定及び達成される。
【0237】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本開示において、冠詞の文法的目的
語の1つ又は複数(例えば、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「
要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0238】
特に明記されない限り「及び/又は」という用語は、本開示において、「及び」又は「
又は」のいずれかを意味するために使用される。
【0239】
特定の実施形態
本発明の様々な実施形態は、本明細書に記載される。各実施形態で指定された特徴は、
他の実施形態の他の指定された特徴と組み合わされて、さらなる実施形態が提供され得る
ことが認識されるであろう。
【0240】
第1の態様では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象の
リスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約75mg~約85m
gの化合物ISIS 681257又はその塩を含む単位用量を患者に投与することを含
み、前記患者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する、方法に関する。
【0241】
いくつかの実施形態では、心血管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死
亡(あらゆる原因による死亡)、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)死
、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死及び虚血のための緊急下肢血行
再建術又は切断から選択される。
【0242】
いくつかの実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、心血管(CV)死、非
致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術から選択される
。別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、心血管(CV)死である。な
おも別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性心筋梗塞である。
別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、非致死性脳卒中である。なおも
別の実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)は、入院を要する緊急冠動脈血行再
建術である。
【0243】
いくつかの実施形態では、心血管事象は、全死因死亡(あらゆる原因による死亡)、冠
動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即
時合併症に起因する死及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択される。
【0244】
一実施形態では、心血管事象は、全死因死亡(あらゆる原因による死)である。
【0245】
別の実施形態では、心血管事象は、冠動脈心疾患(CHD)死である。一実施形態では
、冠動脈心疾患(CHD)死は、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死及び心臓
手術の即時合併症に起因する死を含む。
【0246】
別の実施形態では、心血管事象は、虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断である。
【0247】
いくつかの実施形態では、確立された心血管疾患を有する患者は、(i)特発性心筋梗
塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床的に有意な症候性末梢動脈
疾患の少なくとも1つを有する患者である。
【0248】
一実施形態では、特発性心筋梗塞の病歴は、化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10
年以下前に発生している。
【0249】
一実施形態では、虚血性脳卒中の病歴は、化合物の初回投与時の3ヶ月以上且つ10年
以下前に発生している。
【0250】
一実施形態では、虚血性脳卒中の病歴は、中枢神経系組織の梗塞に起因する限局性の脳
、脊髄又は網膜機能不全の急性エピソードである。
【0251】
一実施形態では、臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患は、(i)0.90以下の足首上
腕血圧比、及び(ii)下肢虚血のための下肢切断又は血行再建術の少なくとも1つを伴
う間欠性跛行によって証明される。
【0252】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿
Lp(a)濃度を有する。
【0253】
いくつかの実施形態では、化合物は、滅菌液体に配合され、化合物の各単位用量は、1
mLを超える滅菌液体を含まない。
【0254】
一実施形態では、化合物の各単位用量は、0.8mLを超える滅菌液体を含まない。別
の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.5mLを超える滅菌液体を含まない。なお
も別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.4mLを超える滅菌液体を含まない。
別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.25mLを超える滅菌液体を含まない。
なおも別の実施形態では、化合物の各単位用量は、0.2mLを超える滅菌液体を含まな
い。
【0255】
一実施形態では、滅菌液体は、水である。別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸ナト
リウム緩衝液を含む水である。なおも別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸ナトリウム
緩衝液及び塩化ナトリウムを含む水である。
【0256】
いくつかの実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及
び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも50%だけ低減され
る。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び終
了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも60%だけ低減される。
なおも別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び
終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも70%だけ低減される
。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び終了
時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも75%だけ低減される。
【0257】
いくつかの実施形態では、患者の平均/中央値血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始
及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、約30%、約35%、約40
%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80
%、約85%又は約90%だけ低減される。
【0258】
いくつかの実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及
び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも約40%~約50%
だけ低減される。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間
の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも約45%~
約55%だけ低減される。別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、
投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも約
50%~約60%だけ低減される。なおも別の実施形態では、患者の平均/中央血漿Lp
(a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が測定されるとき
、少なくとも約55%~約65%だけ低減される。なおも別の実施形態では、患者の平均
/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a)濃度が
測定されるとき、少なくとも約60%~約70%だけ低減される。別の実施形態では、患
者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿Lp(a
)濃度が測定されるとき、少なくとも約65%~約75%だけ低減される。別の実施形態
では、患者の平均/中央血漿Lp(a)濃度は、投与期間の開始及び終了時に患者の血漿
Lp(a)濃度が測定されるとき、少なくとも約70%~約85%だけ低減される。
【0259】
いくつかの実施形態では、主要有害心血管事象(MACE)を経験する患者の全体的な
リスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意
な量だけ低減される。
【0260】
他の実施形態では、以下の事象:(i)心血管(CV)死、非致死性MI及び非致死性
脳卒中の複合;(ii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI及び入院を要する緊急
冠動脈血行再建術の複合;(iii)冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI、入院を
要する緊急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;及び
(iv)全死因死亡の比率の1つを経験する患者の全体的なリスクは、化合物を投与され
なかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0261】
その一実施形態では、以下の事象:心血管(CV)死、非致死性MI及び非致死性脳卒
中の複合を経験する患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して
、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0262】
その一実施形態では、以下の事象:冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI及び入院
を要する緊急冠動脈血行再建術の複合を経験する患者の全体的なリスクは、化合物を投与
されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0263】
その一実施形態では、以下の事象:冠動脈心疾患(CHD)死、非致死性MI、入院を
要する緊急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合を経験
する患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終
了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0264】
その一実施形態では、以下の事象:全死因死亡の比率を経験する患者の全体的なリスク
は、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だ
け低減される。
【0265】
他の実施形態では、以下の事象:(i)全死因死亡、非致死性MI及び非致死性脳卒中
の複合;(ii)全血管事象:CV死、非致死性MI、非致死性脳卒中、入院を要する緊
急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の複合;(iii)全
死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術の複合
;(iv)致死性及び非致死性脳卒中の複合、(v)末梢動脈疾患(PAD)の病歴を有
する患者における主要有害四肢事象(MALE)の比率、(vi)不安定狭心症のための
入院率、及び(vii)心不全のための入院率の事象の1つを経験する患者の全体的なリ
スクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な
量だけ低減され、患者は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)
濃度を有する。
【0266】
その一実施形態では、以下の事象:全死因死亡、非致死性MI及び非致死性脳卒中の複
合を経験する、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有す
る患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了
時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0267】
その一実施形態では、以下の事象:全血管事象:CV死、非致死性MI、非致死性脳卒
中、入院を要する緊急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断の
複合を経験する、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終
了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0268】
その一実施形態では、以下の事象:全死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入
院を要する緊急冠動脈血行再建術の複合を経験する、化合物の初回投与時前に90mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなか
った患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0269】
その一実施形態では、以下の事象:致死性及び非致死性脳卒中の複合を経験する、化合
物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者の全体的なリ
スクは、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な
量だけ低減される。
【0270】
その一実施形態では、以下の事象:末梢動脈疾患(PAD)の病歴を有する患者におけ
る主要有害四肢事象(MALE)の比率を経験する、化合物の初回投与時前に90mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者の全体的なリスクは、化合物を投与されなか
った患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減される。
【0271】
その一実施形態では、以下の事象:不安定狭心症のための入院率を経験する、化合物の
初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者の全体的なリスク
は、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だ
け低減される。
【0272】
その一実施形態では、以下の事象:心不全のための入院率を経験する、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者の全体的なリスクは、化
合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量だけ低減
される。
【0273】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも15%である。別の実施形態では、事象のいずれか1つについて
の相対リスク低減率は、(i)化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(
a)濃度を有する患者について、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より
好ましくは少なくとも25%;(ii)化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血
漿Lp(a)濃度を有する患者について、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25
%、より好ましくは少なくとも30%である。
【0274】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%又は約40
%である。
【0275】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10%~約20%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象につ
いての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つについて約15%~約25%である。別
の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、約20%~約3
0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp
(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、
約25%~約35%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL
以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リ
スク低減率は、約30%~約40%である。
【0276】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10%~約15%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象につ
いての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つについて約15%~約20%である。別
の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、約20%~約2
5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp
(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、
約25%~約30%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL
以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リ
スク低減率は、約30%~約35%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に
70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象に
ついての相対リスク低減率は、約35%~約40%である。
【0277】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/d
L以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対
リスク低減率は、事象のいずれか1つについて約15%である。別の実施形態では、化合
物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、い
ずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つについて約20%
である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a
)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、約2
5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp
(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、
約30%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿
Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率
は、事象のいずれか1つについて約35%である。
【0278】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約10%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象につ
いての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つについて少なくとも約15%である。別
の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約20%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象につ
いての相対リスク低減率は、少なくとも約25%である。別の実施形態では、化合物の初
回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか
1つの事象についての相対リスク低減率は、少なくとも約30%である。別の実施形態で
は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者につ
いて、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、少なくとも約35%である。
【0279】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも10%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70
mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象につい
ての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つについて少なくとも15%である。別の実
施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する
患者について、いずれか1つの事象についての相対リスク低減率は、事象のいずれか1つ
について少なくとも20%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg
/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事象についての
相対リスク低減率は、少なくとも25%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時
前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いずれか1つの事
象についての相対リスク低減率は、少なくとも30%である。別の実施形態では、化合物
の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、いず
れか1つの事象についての相対リスク低減率は、少なくとも35%である。
【0280】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率は、事象のいずれか1つについて約10%、約15%、約20%、約25%、約30
%、約35%又は約40%である。
【0281】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10~約20%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約15~約25%であ
る。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計
的に有意な相対量)は、約20~約30%である。なおも別の実施形態では、化合物の初
回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リス
ク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約25~約
35%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿L
p(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減
される統計的に有意な相対量)は、約30~約40%である。
【0282】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約10~約15%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約15~約20%であ
る。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計
的に有意な相対量)は、約20~約25%である。なおも別の実施形態では、化合物の初
回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リス
ク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約25~約
30%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿L
p(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減
される統計的に有意な相対量)は、約30~約35%である。別の実施形態では、化合物
の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対
リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約35
~約40%である。
【0283】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて約15%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち
全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約20%である。別の実施形態
では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者に
ついて、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量
)は、約25%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/d
L以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的
なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、約30%である。別の実施形態では、
化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について
、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、
約35%である。
【0284】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約15%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時
前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率
(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、少なくとも約20%
である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a
)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される
統計的に有意な相対量)は、少なくとも約25%である。なおも別の実施形態では、化合
物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相
対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、少な
くとも約30%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上
の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリス
クが低減される統計的に有意な相対量)は、少なくとも約35%である。
【0285】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも15%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、少なくとも20%であ
る。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計
的に有意な相対量)は、少なくとも25%である。なおも別の実施形態では、化合物の初
回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、相対リス
ク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な相対量)は、少なくとも
30%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿L
p(a)濃度を有する患者について、相対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減
される統計的に有意な相対量)は、少なくとも35%である。
【0286】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、事象のいずれか
1つについての絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な
絶対量)は、(i)化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を
有する患者について、少なくとも2.0%、好ましくは少なくとも2.5%;(ii)化
合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、
少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも3.5%である。
【0287】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて約1.5%、約1.8%、約2.0%、約2.2%、約2.5%、約2.8
%、約3.0%、約3.2%、約3.5%、約3.8%、約4.0%、約4.2%、約4
.5%、約4.8%又は約5.0%である。
【0288】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約1.5%、約1.8%、約2.0%、約2.2%、約2.5%
、約2.8%、約3.0%、約3.2%、約3.5%、約3.8%、約4.0%、約4.
2%、約4.5%、約4.8%又は約5.0%である。
【0289】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて約1.5%~約2.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つに
ついて約2.0%~約3.0%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つに
ついて約2.5%~約3.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70
mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわ
ち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて
約3.0%~約4.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約3.
5%~約4.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約4.
0%~約5.0%である。
【0290】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて約1.5%~約2.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つに
ついて約2.0%~約2.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前
に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(
すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つに
ついて約2.5%~約3.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70
mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわ
ち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて
約3.0%~約3.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約3.
5%~約4.0%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約4.
0%~約4.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以
上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリ
スクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約4.5%~
約5.0%である。
【0291】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて約1.8%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約2.
0%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血
漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが
低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約2.5%である。
別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を
有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に
有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて約3.0%である。別の実施形態では、
化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について
、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、
事象のいずれか1つについて約3.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回
投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク
低減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれ
か1つについて約4.5%である。
【0292】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約1.8%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に
70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(す
なわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つにつ
いて少なくとも約2.0%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すな
わち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについ
て少なくとも約2.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なく
とも約3.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上
の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリス
クが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも約3
.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の
血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスク
が低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも約4.
5%である。
【0293】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも1.8%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に7
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すな
わち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについ
て少なくとも2.0%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち
全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少
なくとも2.5%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以
上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリ
スクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも3
.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿L
p(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減
される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも3.5%であ
る。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(
a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスクが低減され
る統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも4.5%である。
【0294】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも約2.8%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与
時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減
率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1
つについて少なくとも約3.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に9
0mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すな
わち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについ
て少なくとも約3.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90
mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわ
ち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて
少なくとも約4.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/d
L以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的
なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくと
も約4.5%である。
【0295】
リスク低減率に関する上記実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投
与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低
減率(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか
1つについて少なくとも2.8%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時
前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率
(すなわち全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つ
について少なくとも3.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち
全体的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少
なくとも3.5%である。なおも別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体
的なリスクが低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なく
とも4.0%である。別の実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の
血漿Lp(a)濃度を有する患者について、絶対リスク低減率(すなわち全体的なリスク
が低減される統計的に有意な絶対量)は、事象のいずれか1つについて少なくとも4.5
%である。
【0296】
他の実施形態では、患者は、(i)治療開始から1、2、3、4、5、6、9、12、
13、15、18、21、24及び27ヶ月後の指定された時点での、ベースラインから
のLp(a)の変化(mg/dL及びnmol/L単位)、(ii)拡張脂質プロファイ
ルパラメータ(総コレステロール、LDL-C、apoB、HDL-C、非HDL-C、
トリグリセリド)及びhsCRPの変化、(iii)新たに発症した2型真性糖尿病の発
生率、(iv)SF-12質問票によって評価された生活の質、及び(v)大動脈弁置換
術(開カテーテル若しくは経カテーテル)又は大動脈弁狭窄症のための入院が最初に発生
するまでの時間の事象又は特性のいずれか1つに、化合物を投与されなかった患者と比較
して、投与期間の終了時に統計的に有意な量で改善を示し、患者は、化合物の初回投与時
前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する。
【0297】
その一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者は、治療開始から1、2、3、4、5、6、9、12、13、15、18
、21、24及び27ヶ月後の指定された時点での、ベースラインからのLp(a)の変
化(mg/dL及びnmol/L単位)の事象又は特性に、化合物を投与されなかった患
者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量で改善を示す。
【0298】
その一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者は、拡張脂質プロファイルパラメータ(総コレステロール、LDL-C、
apoB、HDL-C、非HDL-C、トリグリセリド)及びhsCRPの変化の事象又
は特性に、化合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意
な量で改善を示す。
【0299】
その一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者は、新たに発症した2型真性糖尿病の発生率の事象又は特性に、化合物を
投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量で改善を示す。
【0300】
その一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者は、SF-12質問票によって評価された生活の質の事象又は特性に、化
合物を投与されなかった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量で改善を
示す。
【0301】
その一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者は、大動脈弁置換術(開カテーテル若しくは経カテーテル)又は大動脈弁
狭窄症のための入院が最初に発生するまでの時間の事象又は特性に、化合物を投与されな
かった患者と比較して、投与期間の終了時に統計的に有意な量で改善を示す。
【0302】
その一実施形態では、相対改善率(すなわち事象又は特性が改善される統計的に有意な
相対量)は、事象又は特性のいずれか1つについて少なくとも15%である。
【0303】
相対改善率(すなわち事象又は特性が改善される統計的に有意な相対量)に関する上記
実施形態のいずれか1つの一実施形態では、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上
の血漿Lp(a)濃度を有する患者について、事象のいずれか1つについて少なくとも1
5%である。なおも別の実施形態では、相対改善率(すなわち事象又は特性が改善される
統計的に有意な相対量)は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a
)濃度を有する患者について少なくとも20%である。別の実施形態では、相対改善率(
すなわち事象又は特性が改善される統計的に有意な相対量)は、化合物の初回投与時前に
90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について少なくとも25%である
。なおも別の実施形態では、相対改善率(すなわち事象又は特性が改善される統計的に有
意な相対量)は、化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有
する患者について少なくとも30%である。別の実施形態では、相対改善率(すなわち事
象又は特性が改善される統計的に有意な相対量)は、化合物の初回投与時前に90mg/
dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する患者について少なくとも35%である。
【0304】
いくつかの実施形態では、投与期間は、少なくとも6ヶ月である。別の実施形態では、
投与期間は、少なくとも1年である。なおも別の実施形態では、投与期間は、少なくとも
2年である。別の実施形態では、投与期間は、少なくとも3年である。
【0305】
いくつかの実施形態では、患者は、ガイドラインで定義された標的低密度リポタンパク
質コレステロール(LDL-コレステロール)レベルを達成するためにバックグラウンド
療法を受ける。
【0306】
いくつかの実施形態では、バックグラウンド療法は、(i)スタチン、(ii)エゼチ
ミブ、及び(iii)PCSK9阻害剤の少なくとも1つを含む。
【0307】
一実施形態では、バックグラウンド療法は、スタチンを含み、及び患者は、化合物の初
回投与前にスタチンの最適用量を受ける。
【0308】
いくつかの実施形態では、患者は、180mmHg未満の座位収縮期血圧(SBP)及
び/又は110mmHg未満の拡張期BP(DBP)を有する。
【0309】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前の3ヶ月の期間内にナイアシ
ンで治療されていない。
【0310】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時において心不全ニューヨーク心
臓協会(NYHA)クラスIVと診断されていない。
【0311】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に出血性脳卒中又は他の大出
血の病歴を有していない。
【0312】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時から3ヶ月以内に心筋梗塞、脳
卒中、冠動脈若しくは下肢血行再建術、主要な心臓若しくは非心臓手術又はリポタンパク
質アフェレーシスを有していない。
【0313】
いくつかの実施形態では、患者は、既知の活動性感染症又は主要な血液、腎臓、代謝、
胃腸若しくは内分泌機能障害を有していない。
【0314】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m
2を超える推定糸球体濾過速度(eGFR)を有する。
【0315】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m
2未満の推定糸球体濾過速度(eGFR)を有していない。
【0316】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に、正常上限(ULN)の2
倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトラ
ンスフェラーゼ(ALT)血清レベルとして定義される活動性肝疾患又は肝機能障害を有
していない。
【0317】
いくつかの実施形態では、患者は、化合物の初回投与時前に正常上限(ULN)の1.
5倍を超える総ビリルビンを有していない。
【0318】
本開示は、本明細書に記載されるような疾患、障害又は病状を治療、予防又は改善する
ためのキットも提供し、キットは、(i)ISIS 681257;及び任意選択的に(
ii)本明細書に記載の第2の薬剤又は治療法を含む。
【0319】
本発明のキットは、本明細書に記載の組み合わせ療法により、本明細書に記載の疾患、
障害又は病状を治療、予防又は改善するためにキットを使用するための取扱説明書をさら
に含み得る。
【0320】
Apo(a)治療適応症
本開示は、対象におけるapo(a)の発現を調節するためのapo(a)核酸を標的
化するコンジュゲートアンチセンス化合物であるISIS 681257を使用する方法
を提供する。ヒトに投与されたとき、ISIS 681257は、apo(a)の発現を
減少させる。
【0321】
特定の実施形態では、本発明は、対象を治療するための医薬組成物においてISIS
681257を使用する方法を提供する。特定の実施形態では、個人は、apo(a)関
連疾患を有する。特定の実施形態では、個人は、Lp(a)関連疾患を有する。特定の実
施形態では、個人は、炎症性、心血管性及び/又は代謝性の疾患、障害又は病状を有する
。特定の実施形態では、対象は、炎症性、心血管性及び/又は代謝性の疾患、障害又は病
状を有する。
【0322】
特定の実施形態では、心血管疾患、障害又は病状(CVD)としては、これらに限定さ
れるものではないが、Lp(a)関連CVDリスクの上昇、Lp(a)の上昇を伴う再発
性心血管事象、大動脈弁狭窄症(例えば、高Lp(a)関連石灰化大動脈弁狭窄症)、動
脈瘤(例えば、腹部大動脈瘤)、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患
、冠動脈疾患、冠動脈性心臓病(CHD)、急性心筋梗塞(AMI)、慢性CHD、動脈
性高血圧(HT)、脳血管性脳卒中異脂肪血症、高コレステロール血症、高脂血症、高血
圧、高トリグリセリド血症、心筋梗塞、末梢血管疾患(例えば、末梢動脈疾患)、脳卒中
などが挙げられる。
【0323】
特定の実施形態では、心血管事象としては、これらに限定されるものではないが、主要
有害心血管事象(MACE)(例えば、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中及
び入院を要する緊急冠動脈血行再建術など)、あらゆる原因による死亡、冠動脈心疾患(
CHD)死、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起
因する死及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断などが挙げられる。
【0324】
特定の実施形態では、ISIS 681257は、心血管疾患、障害又は病状の生理学
的マーカー又は表現型を調節する。例えば、ISIS 681257がヒトに投与される
と、未治療の対象と比較して、Lp(a)、LDL及びコレステロールのレベルが低減し
得る。特定の実施形態では、生理学的マーカー又は表現型の調節は、ISIS 6812
57によるapo(a)の阻害に関連し得る。
【0325】
特定の実施形態では、心血管疾患、障害又は病状の生理学的マーカーは、定量化可能で
あり得る。例えば、Lp(a)、LDL又はコレステロールレベルは、例えば、標準的な
脂質試験によって測定及び定量化され得る。このようなマーカーについて、特定の実施形
態では、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、
65、70、75、80、85、90、95若しくは99%又はこれらの値のいずれか2
つによって定義される範囲でマーカーを低下させ得る。
【0326】
また、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象における心血管疾患、障害又
は病状に関連する症状を予防、治療又は改善する方法である。特定の実施形態では、提供
されるのは、心血管疾患、障害又は病状に関連する症状の発症率を低下させる方法である
。特定の実施形態では、提供されるのは、心血管疾患、障害又は病状に関連する症状の重
症度を軽減する方法である。このような実施形態では、方法は、ISIS 681257
の治療的有効量を、それを必要とする個人に投与することを含む。
【0327】
心血管疾患、障害又は病状は、多くの身体的症状によって特徴付けられ得る。心血管疾
患、障害又は症状に関連することが当業者に知られている任意の症状は、本明細書に記載
の化合物及び方法で予防、治療、改善又は他の方法で調節され得る。特定の実施形態では
、症状は、これらに限定されるものではないが、狭心症、胸痛、息切れ、動悸、脱力、目
眩、悪心、発汗、頻脈、徐脈、不整脈、心房性細動、下肢の腫れ、チアノーゼ、疲労、失
神、顔のしびれ、四肢のしびれ、筋肉の跛行若しくは痙攣、腹部の膨満又は発熱のいずれ
かであり得る。
【0328】
特定の実施形態では、代謝疾患、障害又は病状としては、これらに限定されるものでは
ないが、高血糖、前糖尿病状態、糖尿病(I型及びII型)、肥満、インスリン抵抗性、
代謝症候群及び糖尿病性脂質異常症が挙げられる。
【0329】
特定の実施形態では、ISIS 681257は、代謝疾患、障害又は病状の生理学的
マーカー又は表現型を調節する。例えば、ヒトへのISIS 681257の投与は、未
治療の対象と比較して、これらの対象のグルコース及びインスリン抵抗性レベルを低下さ
せ得る。特定の実施形態では、生理学的マーカー又は表現型の調節は、ISIS 681
257によるapo(a)の阻害に関連し得る。
【0330】
特定の実施形態では、代謝疾患、障害又は病状の生理学的マーカーは、定量化可能であ
り得る。例えば、グルコースレベル又はインスリン抵抗性は、当技術分野で公知の標準的
な試験によって測定及び定量化され得る。このようなマーカーについて、特定の実施形態
では、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、6
5、70、75、80、85、90、95若しくは99%又はこれらの値のいずれか2つ
によって定義される範囲でマーカーを低下させ得る。別の例では、インスリン感受性は、
当技術分野で公知の標準的な試験によって測定及び定量化され得る。このようなマーカー
について、特定の実施形態では、マーカーは、約5、10、15、20、25、30、3
5、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しく
は99%又はこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲で増加し得る。
【0331】
また、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象における代謝疾患、障害又は
病状に関連する症状を予防、治療又は改善する方法である。特定の実施形態では、提供さ
れるのは、代謝疾患、障害又は病状に関連する症状の発症率を低下させる方法である。特
定の実施形態では、提供されるのは、代謝疾患、障害又は病状に関連する症状の重症度を
軽減する方法である。このような実施形態では、方法は、ISIS 681257の治療
的有効量を、それを必要とする個人に投与することを含む。
【0332】
代謝疾患、障害又は病状は、多くの身体的症状によって特徴付けられ得る。代謝疾患、
障害又は症状に関連することが当業者に知られている任意の症状は、本明細書に記載の化
合物及び方法で予防、治療、改善又は他の方法で調節され得る。特定の実施形態では、症
状は、これらに限定されるものではないが、過度の尿生産量(多尿)、過度の喉の渇き及
び水分摂取の増加昇(多飲)、かすみ目、原因不明の体重減少並びに無気力のいずれかで
あり得る。
【0333】
特定の実施形態では、炎症性疾患、障害又は病状としては、これらに限定されるもので
はないが、Lp(a)関連CVDリスクの上昇、Lp(a)の上昇を伴う再発性心血管事
象、大動脈弁狭窄(例えば、高Lp(a)関連石灰化大動脈弁狭窄症)、冠動脈疾患(C
AD)、アルツハイマー病及び血栓塞栓性疾患、障害又は病状が挙げられる。特定の血栓
塞栓性の病気、障害又は条件としては、これらに限定されるものではないが、脳卒中、血
栓症、心筋梗塞及び末梢血管疾患が挙げられる。
【0334】
特定の実施形態では、ISIS 681257は、炎症性疾患、障害又は病状の生理学
的マーカー又は表現型を調節する。例えば、ヒトへのISIS 681257の投与は、
未治療の対象と比較して、炎症性サイトカイン又は他の炎症性マーカーのレベルを低下さ
せ得る。特定の実施形態では、生理学的マーカー又は表現型の調節は、ISIS 681
257によるapo(a)の阻害に関連し得る。
【0335】
特定の実施形態では、炎症性疾患、障害又は病状の生理学的マーカーは、定量化可能で
あり得る。例えば、サイトカインレベルは、当技術分野で公知の標準的な試験によって測
定及び定量化され得る。このようなマーカーについて、特定の実施形態では、少なくとも
約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、
55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは9
9%又はこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲でマーカーを低下させ得る。
【0336】
また、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象における炎症性疾患、障害又
は病状に関連する症状を予防、治療又は改善する方法である。特定の実施形態では、提供
されるのは、炎症性疾患、障害又は病状に関連する症状の発症率を低下させる方法である
。特定の実施形態では、提供されるのは、炎症性疾患、障害又は病状に関連する症状の重
症度を軽減する方法である。このような実施形態では、方法は、ISIS 681257
の治療的有効量を、それを必要とする個人に投与することを含む。
【0337】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療的有効量の1つ又は複数の医薬組成物を投
与することを含む、apo(a)関連の疾患、障害又は病状を有する個人を治療する方法
が提供される。特定の実施形態では、個人は、apo(a)レベルの上昇を有する。特定
の実施形態では、本明細書に記載の治療的有効量の1つ又は複数の医薬組成物を投与する
ことを含む、Lp(a)関連の疾患、障害又は病状を有する個人を治療する方法が提供さ
れる。特定の実施形態では、個人は、Lp(a)レベルの上昇を有する。特定の実施形態
では、個人は、炎症性、心血管性及び/又は代謝性の疾患、障害又は病状を有する。特定
の実施形態では、治療的有効量のISIS 681257の投与は、apo(a)又はL
p(a)レベルのモニタリングを伴う。特定の実施形態では、治療的有効量のISIS
681257の投与は、炎症性、心血管性及び/又は代謝性の疾患のマーカー又はapo
(a)の発現に関連する他の疾患プロセスのモニタリングを伴い、ISIS 68125
7に対する個人の応答が判定される。ISIS 681257の投与に対する個人の応答
は、医師がISIS 681257による治療的介入の量と期間を決定するために使用さ
れ得る。
【0338】
特定の実施形態では、ISIS 681257の投与は、少なくとも約15%、20%
、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%
、75%、80%、85%、90%、95%若しくは99%又はこれらの値のいずれか2
つによって定義される範囲のapo(a)発現の減少をもたらす。特定の実施形態では、
apo(a)発現は、少なくとも100mg/dL以上、90mg/dL以上、80mg
/dL以上、70mg/dL以上、60mg/dL以上、50mg/dL以上、40mg
/dL以上、30mg/dL以上、20mg/dL以上又は10mg/dL以上に減少す
る。
【0339】
特定の実施形態では、ISIS 681257の投与は、少なくとも約15%、20%
、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%
、75%、80%、85%、90%、95%若しくは99%又はこれらの値のいずれか2
つによって定義される範囲のLp(a)発現の減少をもたらす。特定の実施形態では、L
p(a)発現は、少なくとも200mg/dL以上、190mg/dL以上、180mg
/dL以上、175mg/dL以上、170mg/dL以上、160mg/dL以上、1
50mg/dL以上、140mg/dL以上、130mg/dL以上、120mg/dL
以上、110mg/dL以上、100mg/dL以上、90mg/dL以上、80mg/
dL以上、70mg/dL以上、60mg/dL以上、55mg/dL以上、50mg/
dL以上、45mg/dL以上、40mg/dL以上、35mg/dL以上、30mg/
dL以上、25mg/dL以上、20mg/dL以上、15mg/dL以上又は10mg
/dL以上に減少する。
【0340】
特定の実施形態では、本発明は、薬剤の調製においてISIS 681257を使用す
る方法を提供する。特定の実施形態では、ISIS 681257を含む医薬組成物は、
炎症性、心血管性及び/又は代謝性の疾患、障害又は病状に罹患しているか又は罹患しや
すい患者を治療するための薬剤の調製に使用される。
【0341】
Apo(a)治療対象集団
高いLp(a)レベルを有する特定の対象には、様々な疾患の重大なリスクがある(L
ippi et al.,Clinica Chimica Acta,2011,41
2:797-801;Solfrizz et al.)。例えば、75ナノモル/リッ
トル(nmol/L)又は30mg/dL以上のLp(a)レベルを有する対象者は、様
々な病気のリスク増加を有すると考えられる。高いLp(a)レベルを有する多くの対象
において、現在の治療法ではLp(a)レベルを安全なレベルまで低下させ得ない。Ap
o(a)は、Lp(a)の形成に重要な役割を果たし、そのため、apo(a)を低減す
ることは、Lp(a)を低減し、Lp(a)関連気疾患を予防、治療又は改善し得る。
【0342】
特定の実施形態では、本明細書で開示される化合物及び方法による治療は、上昇したa
po(a)レベル及び/又はLp(a)レベルを有するヒトに対して示される。特定の実
施形態では、ヒトは、10mg/dL以上、20mg/dL以上、30mg/dL以上、
40mg/dL以上、50mg/dL以上、60mg/dL以上、70mg/dL以上、
80mg/dL以上、90mg/dL以上又は100mg/dL以上のapo(a)レベ
ルを有する。
【0343】
特定の実施形態では、ヒトは、70mg/dL以上、80mg/dL以上、90mg/
dL以上、100mg/dL以上、110mg/dL以上、120mg/dL以上、13
0mg/dL以上、140mg/dL以上、150mg/dL以上、160mg/dL以
上、170mg/dL以上、175mg/dL以上、180mg/dL以上、190mg
/dL以上又は200mg/dL以上のLp(a)レベルを有する。
【0344】
特定の実施形態では、ヒトは、正常上限を超えるapo(a)レベルを有し、例えば、
ヒトは、30mg/dL以上、35mg/dL以上、40mg/dL以上、50mg/d
L以上、60mg/dL以上、70mg/dL以上、80mg/dL以上、90mg/d
L以上、100mg/dL以上、110mg/dL以上、120mg/dL以上、130
mg/dL以上、140mg/dL以上、150mg/dL以上、160mg/dL以上
、170mg/dL、175mg/dL以上、180mg/dL以上、190mg/dL
以上又は200mg/dL以上のapo(a)レベルを有する。
【0345】
特定の実施形態では、ヒト患者は、化合物の初回投与時前(すなわ治療開始前)に70
mg/dL以上のLp(a)レベルを有する。
【0346】
特定の実施形態では、ヒト患者は、以下のようなLDL-コレステロール低下治療を受
ける:
- 地域の慣行/ガイドラインに従った目標とするLDL-Cレベルを満たすための最適
なLDL-C低下治療、又は
- スタチンの最高耐量及び/又は他の最適化されたLDL低下治療(例えば、エゼチミ
ブ、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、PCSK9阻害剤)、又は
- 地域の慣行/ガイドラインに従った別の最適化されたLDL低下療法(例えば、エゼ
チミブ、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、PCSK9阻害剤)。
【0347】
特定の実施形態では、ヒト患者は、確立された心血管疾患を有する。確立されたCV疾
患は、次の3つの病状のいずれかとして定義される:
1.スクリーニング受診の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生し、以下のように記録され
ている特発性心筋梗塞(PCI又はCABGに起因しない)の病歴:
(i)急性心MI(入院記録):少なくとも1つの値が基準上限(URL)の99パーセ
ンタイル値を超える心臓バイオマーカー(好ましくは心筋トロポニン)の上昇及び/又は
下降並びに以下の少なくとも1つの記録を要する:
a.虚血の症状、
b.急性心筋虚血を示唆するECGの変化(新規ST-T変化又は新新規LBBB;ST
及びT波の変化については、付録2を参照されたい)、
c.病理学的Q波の発生(病理学的Q波の定義については、付録2を参照されたい)、
d.虚血性病因と一致するパターンでの生存心筋の新規喪失又は新規局所心壁運動異常の
画像による証拠、
e.冠動脈内イメージングをはじめとする血管造影による冠動脈血栓の同定、
(ii)以前のMI(急性期事象に関する完全な病院記録はない):以下のいずれかの記
録を要する:
a.症状の有無にかかわらず、非虚血性の原因の非存在下での病的なQ波、
b.非虚血性の原因の非存在下での、薄くなり収縮できない生存心筋の喪失領域の画像に
よる証拠、
2.CTスキャン、MRI又は他の可視化法によって記録されている、スクリーニング受
診の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生した、虚血性脳卒中(中枢神経系組織の梗塞に起
因する限局性な脳、脊髄又は網膜機能障害の急性エピソード)の病歴。一過性脳虚血発作
又は塞栓性脳卒中(アテローム性動脈硬化症由来でない)は、適格な事象ではない。
3.0.90以下の足首上腕血圧比を伴う間欠性跛行及び/又は下肢虚血のための手足の
切断又は血行再建術によって証明される、臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患。閉塞性血
栓血管炎は、適格な事象ではない。
【0348】
特定のApo(a)投与レジメン
特定の実施形態では、約75~約85mgのISIS 681257は、本明細書で定
義されるように、それを必要とするヒト対象に毎月1回投与される。
【0349】
特定の実施形態では、約75~約85mgのISIS 681257は、本明細書で定
義されるように、それを必要とするヒト対象に4週間に1回投与される。
【0350】
特定の実施形態では、約80mgのISIS 681257は、本明細書で定義される
ように、それを必要とするヒト対象に毎月1回投与される。
【0351】
特定の実施形態では、約80mgのISIS 681257は、本明細書で定義される
ように、それを必要とするヒト対象に4週間に1回投与される。
【0352】
特定の実施形態では、上記の量のISIS 681257は、本明細書で定義されるよ
うに、それを必要とするヒト対象に投与期間中に投与される。
【0353】
特定の実施形態では、投与期間は、少なくとも6ヶ月である。別の実施形態では、投与
期間は、少なくとも1年である。なおも別の実施形態では、投与期間は、少なくとも2年
である。別の実施形態では、投与期間は、3年である。別の実施形態では、投与期間は、
少なくとも4年である。
【0354】
特定の実施形態では、80mgのISIS 681257は、定義されたように投与期
間中に4週間毎に、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80m
gのISIS 681257は、定義されたように4週間毎に少なくとも6ヶ月間、それ
を必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80mgのISIS 6812
57は、定義されたように4週間毎に少なくとも1年間、それを必要とするヒト対象に投
与される。別の実施形態では、80mgのISIS 681257は、定義されたように
4週間毎に少なくとも2年間、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態で
は、80mgのISIS 681257は、定義されたように4週間毎に少なくとも3年
間、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80mgのISIS
681257は、定義されたように4週間毎に少なくとも4年間、それを必要とするヒト
対象に投与される。
【0355】
特定の実施形態では、80mgのISIS 681257は、定義されたように投与期
間中に1ヶ月に1回、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80
mgのISIS 681257は、定義されたように1ヶ月に1回少なくとも6ヶ月間、
それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80mgのISIS 68
1257は、定義されたように1ヶ月に1回少なくとも1年間、それを必要とするヒト対
象に投与される。別の実施形態では、80mgのISIS 681257は、定義された
ように1ヶ月に1回少なくとも2年間、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実
施形態では、80mgのISIS 681257は、定義されたように1ヶ月に1回少な
くとも3年間、それを必要とするヒト対象に投与される。別の実施形態では、80mgの
ISIS 681257は、定義されたように1ヶ月に1回少なくとも4年間、それを必
要とするヒト対象に投与される。
【0356】
特定の治療及び投与レジメン
特定の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事
象のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約75mg~約8
5mgの化合物ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前
記患者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心
血管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死
、急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死及
び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択される、方法に関する。
【0357】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約75mg~約85
mgの化合物ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記
患者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、確立
された心血管疾患を有する患者は、(i)特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中
の病歴、及び(iii)臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患
者である、方法に関する。
【0358】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約75mg~約85
mgの化合物ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記
患者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心血
管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、
急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死及び
虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択され;確立された心血管疾患を有する
患者は、(i)特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨
床的に有意な症候性末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患者である、方法に関する。
【0359】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約77mg~約82
mgの化合物ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記
患者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心血
管事象は、主要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、
急性心筋梗塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死、虚
血のための緊急下肢血行再建術又は切断から選択され;確立された心血管疾患を有する患
者は、(i)特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床
的に有意な症候性末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患者である、方法に関する。
【0360】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約80mgの化合物
ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記患者は、化合
物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心血管事象は、主
要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞
(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死、虚血のための緊
急下肢血行再建術又は切断から選択され;確立された心血管疾患を有する患者は、(i)
特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床的に有意な症
候性末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患者である、方法に関する。
【0361】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、約80mgの化合物
ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記患者は、化合
物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心血管事象は、主
要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗塞
(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死、虚血のための緊
急下肢血行再建術又は切断から選択され;確立された心血管疾患を有する患者は、(i)
特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、(iii)臨床的に有意な症候性
末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患者であり;いずれか1つの事象についての相対
リスク低減率は、(i)化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃
度を有する患者について、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好まし
くは少なくとも25%;(ii)化合物の初回投与時前に90mg/dL以上の血漿Lp
(a)濃度を有する患者について、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、よ
り好ましくは少なくとも30%である、方法に関する。
【0362】
別の実施形態では、本開示は、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象
のリスクを低減する方法であって、1ヶ月に1回の皮下注射により、80mg以下の化合
物ISIS 681257を含む単位用量を患者に投与することを含み、前記患者は、化
合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有し、心血管事象は、
主要有害心血管事象(MACE)、全死因死亡、冠動脈心疾患(CHD)死、急性心筋梗
塞(AMI)死、心不全(HF)死、心臓手術の即時合併症に起因する死、虚血のための
緊急下肢血行再建術又は切断から選択され;確立された心血管疾患を有する患者は、(i
)特発性心筋梗塞の病歴、(ii)虚血性脳卒中の病歴、及び(iii)臨床的に有意な
症候性末梢動脈疾患の少なくとも1つを有する患者である、方法に関する。
【0363】
特定の実施形態では、患者は、ガイドラインで定義された標的低密度リポタンパク質コ
レステロール(LDL-コレステロール)レベルを達成するためにバックグラウンド療法
を受け;患者は、180mmHg未満の座位収縮期血圧(SBP)及び/又は110mm
Hg未満の拡張期BP(DBP)を有し、患者は、化合物の初回投与時前の3ヶ月の期間
内にナイアシンで治療されておらず;患者は、化合物の初回投与時において心不全ニュー
ヨーク心臓協会(NYHA)クラスIVと診断されておらず;患者は、化合物の初回投与
時前に出血性脳卒中又は他の大出血の病歴を有しておらず;患者は、化合物の初回投与時
から3ヶ月以内に心筋梗塞、脳卒中、冠動脈若しくは下肢血行再建術、主要な心臓若しく
は非心臓手術又はリポタンパク質アフェレーシスを有しておらず;患者は、既知の活動性
感染症又は主要な血液学的、腎臓、代謝、胃腸若しくは内分泌機能障害を有しておらず;
患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m2を超える推定糸球体濾過速
度(eGFR)を有し;患者は、化合物の初回投与時前に30mL/分/1.73m2未
満の推定糸球体濾過速度(eGFR)を有しておらず;患者は、化合物の初回投与時前に
、正常上限(ULN)の2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST
)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)血清レベルとして定義される活動性
肝疾患又は肝機能障害を有しておらず;又は患者は、化合物の初回投与時前に正常上限(
ULN)の1.5倍を超える総ビリルビンを有していないか或いはそれらの組み合わせで
ある。
【0364】
特定の医薬組成物
特定の実施形態では、本開示は、1つ又は複数のアンチセンス化合物を含む医薬組成物
を提供する。特定の実施形態では、このような医薬組成物は、適切な薬学的に許容可能な
希釈剤又は担体を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、滅菌生理食塩水及び1つ又
は複数のアンチセンス化合物を含む。特定の実施形態では、このような医薬組成物は、滅
菌生理食塩水溶液及び1つ又は複数のアンチセンス化合物からなる。特定の実施形態では
、滅菌生理食塩水は、医薬品等級生理食塩水である。特定の実施形態では、医薬組成物は
、1つ又は複数のアンチセンス化合物及び滅菌水を含む。特定の実施形態では、医薬組成
物は、1つ又は複数のアンチセンス化合物及び滅菌水からなる。特定の実施形態では、滅
菌生理食塩水は、医薬品等級水である。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ又は複
数のアンチセンス化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。特定の実施形態で
は、医薬組成物は、1つ又は複数のアンチセンス化合物及び滅菌リン酸緩衝生理食塩水(
PBS)からなる。特定の実施形態では、滅菌生理食塩水は、医薬品等級PBSである。
【0365】
特定の実施形態では、滅菌液体は、水である。別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸
ナトリウム緩衝液を含む水である。別の実施形態では、滅菌液体は、リン酸ナトリウム緩
衝液及び塩化ナトリウムを含む水である。
【0366】
特定の実施形態では、化合物は、1.3mL以下の滅菌液体に配合される。別の実施形
態では、化合物は、1.2mL以下の滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物
は、1.2mL以下の滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、1.0mL
以下の滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、0.8mL以下の滅菌液体
に配合される。別の実施形態では、化合物は、0.5mL以下の滅菌液体に配合される。
別の実施形態では、化合物は、0.4mL以下の滅菌液体に配合される。別の実施形態で
は、化合物は、0.25mL以下の滅菌液体に配合される。なおも別の実施形態では、化
合物は、0.2mL以下の滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、0.1
mL以下の滅菌液体に配合される。なおも別の実施形態では、化合物は、0.05mL以
下の滅菌液体に配合される。
【0367】
特定の実施形態では、化合物は、約1.3mLの滅菌液体に配合される。別の実施形態
では、化合物は、約1.2mLの滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、
約1.2mLの滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、約1.0mLの滅
菌液体に配合される。別の実施形態では、化合物は、約0.8mLの滅菌液体に配合され
る。別の実施形態では、化合物は、約0.5mLの滅菌液体に配合される。なおも別の実
施形態では、化合物は、約0.4mLの滅菌液体に配合される。別の実施形態では、化合
物は、約0.25mLの滅菌液体に配合される。なおも別の実施形態では、化合物は、約
0.2mLの滅菌液体に配合される。
【0368】
特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、医薬組成物又は製剤を調製するために、
薬学的に許容可能な活性及び/又は不活性物質と混合され得る。医薬組成物を処方するた
めの組成物及び方法は、これらに限定されるものではないが、投与経路、疾患の程度又は
投与される用量をはじめとするいくつかの基準に依存する。
【0369】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、1つ又は複数の修飾オリゴ
ヌクレオチド及び1つ又は複数の賦形剤を含む。特定のこのような実施形態では、賦形剤
は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミラーゼ、
ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘質パラフィン、ヒドロキシメチルセルロー
ス及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0370】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、送達システムを含む。送達
システムの例としては、これらに限定されるものではないが、リポソーム及びエマルショ
ンが挙げられる。特定の送達システムは、疎水性化合物を含むものをはじめとする、特定
の医薬組成物を調製するのに有用である。特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドな
どの特定の有機溶剤が使用される。
【0371】
特定の実施形態では、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)によ
る投与のために調製される。特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、担体を含み
、水などの水溶液又はハンクス液、リンゲル液若しくは生理食塩水緩衝液などの生理学的
適合性緩衝液に配合される。特定の実施形態では、他の成分が含まれる(例えば、溶解性
を促進するか又は保存料として機能する成分)。特定の実施形態では、注射可能な懸濁液
は、適切な液体担体、懸濁剤などを使用して調製される。注射のための特定の医薬組成物
は、例えば、アンプル又は複数回投与容器などの単位剤形で提示される。特定の注射のた
めの医薬組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションであり、懸
濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有し得る。注射用医薬組成物での使用
に適した特定の溶剤としては、これらに限定されるものではないが、親油性溶剤及びゴマ
油などの脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル及びリ
ポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソ
ルビトール又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選
択的に、このような懸濁液は、医薬品の溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にす
る適切な安定剤又は薬剤も含有し得る。
【0372】
特定の実施形態では、本開示は、本開示のオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を対象
に投与する方法を提供する。適切な投与経路としては、非経口(例えば、静脈内、筋肉内
、髄内及び皮下)が挙げられる。
【0373】
使用される化合物
本発明による治療方法に関する前述の全ての実施形態は、以下に等しく適用可能である
:
- 本発明に従って使用するための薬剤を製造するための、本明細書で定義される化合物
ISIS 681257の使用又は本明細書で定義される化合物ISIS 681257
を含む医薬組成物の使用、
- 本発明に従った、本明細書で定義される化合物ISIS 681257の使用又は本
明細書で定義される化合物ISIS 681257を含む医薬組成物の使用、
- 本発明に従って使用するための、本明細書で定義される化合物ISIS 68125
7又は本明細書で定義される化合物ISIS 681257を含む医薬組成物。
【0374】
特に、確立された心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減する方法
であって、1ヶ月に1回又は4週間に1回の皮下注射により、約75mg~約85mgの
化合物ISIS 681257を含む単位用量を前記患者に投与することを含み、前記患
者は、化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、方法
に関する前述の全ての実施形態は、以下に等しく適用可能である。
- 1ヶ月に1回又は4週間に1回の皮下注射により、約75mg~約85mgの化合物
ISIS 681257を含む単位用量を前記患者に投与することを含み、前記患者は、
化合物の初回投与時前に70mg/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、確立された
心血管疾患を有する患者における心血管事象のリスクを低減するための本明細書で定義さ
れる化合物ISIS 681257の使用又は本明細書で定義される化合物ISIS 6
81257を含む医薬組成物、
- 心血管事象のリスクを低減するために、1ヶ月に1回又は4週間に1回、確立された
心血管疾患を有する患者に薬剤が投与され、前記患者は、化合物の初回投与時前に70m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、約75mg~約85mgの化合物ISIS
681257を含む皮下注射のための単位用量の形態の薬剤の製造における、本明細書
で定義される化合物ISIS 681257の使用又は本明細書で定義される化合物IS
IS 681257を含む医薬組成物の使用、
- 心血管事象のリスクを低減するために、1ヶ月に1回又は4週間に1回、確立された
心血管疾患を有する患者に薬剤が投与され、前記患者は、化合物の初回投与時前に70m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、約75mg~約85mgの化合物ISIS
681257を含む皮下注射のための単位用量の形態の薬剤として使用するための、本
明細書で定義される化合物ISIS 681257又は本明細書で定義される化合物IS
IS 681257を含む医薬組成物、
- 心血管事象のリスクを低減するために、1ヶ月に1回又は4週間に1回、確立された
心血管疾患を有する患者に薬剤が投与され、前記患者は、化合物の初回投与時前に70m
g/dL以上の血漿Lp(a)濃度を有する、約75mg~約85mgの化合物ISIS
681257を含む皮下注射のための単位用量の形態の薬剤としての、本明細書で定義
される化合物ISIS 681257の使用又は本明細書で定義される化合物ISIS
681257を含む医薬組成物の使用。
【0375】
非限定的開示及び参照による援用
本明細書に記載の特定の化合物、組成物及び方法は、特定の実施形態に従って特異的に
記載されている一方、以下の実施例は、本明細書に記載の化合物を説明するためにのみ役
立つものであり、同じものに限定することを意図されない。本出願に記載されている参考
文献、GenBank受入番号などのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用
される。
【0376】
本出願に添付されている配列リストでは、必要に応じて各配列が「RNA」又は「DN
A」とされているが、実際には、これらの配列は、化学修飾の任意の組み合わせで修飾さ
れ得る。当業者は、修飾オリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」又は「DNA」
などの名称が場合により任意であることを容易に理解するであろう。例えば、2’-OH
糖部分を含むヌクレオシドとチミン塩基とを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖を有する
DNA(DNAの天然の2’-Hの代わりに2’-OH)又は修飾塩基(RNAの天然の
ウラシルの代わりにチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAとして記載され得る。
【0377】
したがって、配列リストのものが挙げられるが、これらに限定されるものではない、本
明細書で提供される核酸配列は、修飾核酸塩基を有する核酸が挙げられるが、これらに限
定されるものではない、天然又は修飾RNA及び/又はDNAの任意の組み合わせを含有
する核酸を包含することが意図される。さらなる例として、限定することなく、核酸塩基
配列「ATCGATCG」を有するオリゴヌクレオチドは、修飾されているか否かにかか
わらず、配列「AUCGAUCG」を有するものなどのRNA塩基を含む化合物、並びに
いくつかのDNA塩基及び「AUCGATCG」などのいくつかのRNA塩基を有するも
の、並びに「ATmeCGAUCG」(式中、meCは、5位にメチル基を含むシトシン
塩基を示す)などの他の修飾塩基を有するオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに
限定されるものではない、このような核酸塩基配列を有するあらゆるオリゴヌクレオチド
を包含する。
【実施例0378】
本開示は、範囲又は趣旨において本開示を本明細書に記載の特定の手順に限定するもの
として解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、特定
の実施形態を説明するために提供され、それによって本開示の範囲への限定を意図されな
いことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱
することなく、当業者にそれ自体を示唆し得る様々な他の実施形態、修正形態及び均等物
に依存しなければならないこともあることをさらに理解されたい。
【0379】
実施例1:確立された心血管疾患を有する患者の主要心血管事象に対するISIS 68
1257によるリポタンパク質(a)低下の影響を評価する無作為化二重盲検プラセボ対
照多施設共同研究
略語のリスト
【0380】
【0381】
【0382】
用語解説
【0383】
【0384】
【0385】
目的
本試験は、ISIS 681257の80mgの毎月1回(QM)の皮下投与による治
療が、確立されたCVDと上昇したLp(a)を有する患者の心血管リスクの低減に関す
る地域のガイドラインに従い、Lp(a)以外のCVリスク因子に対する治療を受けてい
る、確立されたCVD及び上昇したLp(a)を有する患者において、MACE、すなわ
ちCV死、非致死性心筋梗塞(MI)、非致死性脳卒中及び緊急冠動脈血行再建術のリス
クを有意に低減させるという仮説を検証するように設計されたピボタル第3相試験である
。
【0386】
目的及び評価項目
概要:この試験の主要目的は、1)確立されたCVD(70mg/dL以上のLp(a
))を有する全研究対象集団、及び/又は2)確立されたCVD(90mg/dL以上の
Lp)を有する亜集団において、拡張MACE(心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒
中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術)のリスクを低減する上でのプラセボと比較し
たTQJ230の優位性を実証することである。全治験対象集団及び亜集団(90mg/
dL以上)における副次目的は、(i)CV死、非致死性MI及び非致死性脳卒中のMA
CE複合のリスクを低減する上でのプラセボと比較したTQJ230の優位性を実証する
こと、(ii)冠動脈性心臓病(CHD)の転帰(CHDによる死亡、非致死性MI及び
入院を要する緊急冠動脈血行再建術)の複合リスクを低減する上でのプラセボと比較した
TQJ230の優位性を実証すること、及び(iii)全死因死亡の比率を評価すること
である。
【0387】
本試験では、同じ科学的仮説に基づいて、1つは、CV事象のリスクが高い全研究対象
集団において、もう1つは、リスクがより高いと予測される亜集団、すなわち90mg/
dL以上のLp(a)値を有する患者において、2つの主要目的が設定されている。主要
目的の成功裏の達成には、2つの主要目的のいずれか又は両方を満たす必要がある。独立
した臨床評価項目委員会(CEC)が全ての主要及び副次評価項目を判定する。全ての評
価項目の定義は、CEC憲章及び評価項目手順書に含まれ、それぞれCEC及び治験責任
医師に提供される。
【0388】
主要目的及び評価項目:
確立されたCVD及び(70mg/dL以上のLp(a))がある全研究対象集団にお
いて、拡張MACE(心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠
動脈血行再建術)のリスクを低減する上でのプラセボと比較したISIS 681257
の優位性を実証する。評価項目:70mg/dL以上の上昇したLp(a)を有する患者
の対象集団において、拡張MACE(心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院
を要する緊急冠動脈血行再建術)が確認されたCECが最初に発生するまでの時間を評価
し;及び/又は
確立されたCVD及び90mg/dL以上のLp(a)がある亜集団において、拡張MA
CE(心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術
)のリスクを低減する上でのプラセボと比較したISIS 681257の優位性を実証
する。評価項目:90mg/dL以上の上昇したLp(a)を有する患者の対象集団にお
いて、CECが確認した拡張MACE(心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入
院を要する緊急冠動脈血行再建術)が最初に発生するまでの時間を評価する。
【0389】
副次目的及び評価項目:
全治験対象集団及び亜集団(90mg/dL以上)における:
CV死、非致死性MI及び非致死性脳卒中のMACE複合のリスクを低減する上でのプ
ラセボと比較したISIS 681257の優位性を実証する。評価項目:CECが確認
したMACEの複合評価項目(CV死、非致死性MI及び非致死性脳卒中)が最初に発生
するまでの時間。
【0390】
冠動脈心疾患(CHD)の転帰(CHDによる死亡、非致死性MI及び入院を要する緊
急冠動脈血行再建術)の複合リスクを低減する上でのプラセボと比較したISIS 68
1257の優位性を実証する。評価項目:CECが確認したCHDの複合評価項目(CH
D死、非致死性MI、入院を要する緊急冠動脈血行再建術)が最初に発生するまでの時間
。
【0391】
全死因死亡の比率を評価する。
【0392】
評価項目:CECは、無作為化から試験終了までの全ての死因を確認した。
【0393】
探索目的及び評価項目:
全治験対象集団及び亜集団(90mg/dL以上)における:
全死因死亡、非致死性MI及び非致死性脳卒中の複合リスクを低減する上でのプラセボ
と比較してISIS 681257を評価する。評価項目:全死因死亡、非致死性MI及
び非致死性脳卒中の複合が最初に発生するまでの時間。
【0394】
全血管事象の複合(CV死、非致死性MI、非致死性脳卒中、入院を要する緊急冠動脈
血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建術又は切断)について、プラセボと比較し
てISIS 681257を評価する。評価項目:全血管事象(CV死、非致死性MI、
非致死性脳卒中、入院を要する緊急冠動脈血行再建術及び虚血のための緊急下肢血行再建
術又は切断)の複合評価項目が最初に発生するまでの時間。
【0395】
全死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術の
複合評価項目について、プラセボと比較してISIS 681257を評価する。評価項
目:全死因死亡、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術
の複合評価項目が最初に発生するまでの時間。
【0396】
致死性及び非致死性脳卒中の複合におけるリスクを低減する上でプラセボと比較してI
SIS 681257を評価する。評価項目:CECが確認した致死性及び非致死性脳卒
中が最初に発生するまでの時間。
【0397】
末梢動脈疾患(PAD)の病歴を有する患者における主要有害四肢事象(MALE)の
比率を評価する。評価項目:急性下肢虚血、虚血のための下肢切断又は虚血のための緊急
下肢血行再建術が最初に発生するまでの時間。
【0398】
不安定狭心症のための入院率を評価する。評価項目:不安定狭心症のための入院が最初
に発生するまでの時間。
【0399】
心不全のための入院率を評価する。評価項目:心不全のための入院が最初に発生するま
での時間。
【0400】
Lp(a)の変化を評価する。評価項目:選択された時点におけるベースラインからの
Lp(a)の変化。
【0401】
拡張脂質プロファイルパラメータ及びhsCRPの変化を評価する。評価項目:指定さ
れた時点でのベースラインからの総コレステロール、LDL-C、apoB、HDL-C
、非HDL-C、トリグリセリド及びhsCRPの変化。
【0402】
新たに発症した2型真性糖尿病の発生率を評価する。評価項目:2型真性糖尿病の診断
までの時間。
【0403】
生活の質を評価する。評価項目:指定された時点でのベースラインからの健康及び幸福
度の変化(SF-12質問票)。
【0404】
患者のサブセットにおける薬物動態及び免疫原性を探索する。評価項目:ISIS 6
81257薬物曝露及び抗薬物抗体形成。
【0405】
大動脈弁狭窄症の臨床評価項目に対するISIS 681257の効果を評価する。評
価項目:大動脈弁手術(経皮的バルーン大動脈弁形成術、外科的(開心)大動脈弁(AV
)置換術、経大腿経カテーテルAV置換術、経心尖/経大動脈AV置換術、弁内弁、その
他)又は大動脈弁狭窄症のための入院が最初に発生するまでの時間。
【0406】
研究設計
これは、心筋梗塞の病歴、虚血性脳卒中又は症候性末梢動脈疾患(PAD)の病歴及び
上昇したLp(a)レベルによって証明された、確立されたCVDがある対象における、
80mgのs.c.QMのISIS 681257とプラセボとを比較する無作為化二重
盲検並行群プラセボ対照多施設共同研究である。無作為化された対象の約30%が、無作
為の3ヶ月前以上およそ12ヶ月以内に、指標とする心筋梗塞を発症していることを目標
に募集を行う。試験は、およそ2週間のスクリーニング期間と、それに続くおよそ4~1
2週間のCVリスク因子療法の最適化期間、必要に応じて二重盲検治療期間とからなる。
二重盲検期間の最短追跡期間は、2.5年であることが要求され、全体的な試験期間は、
およそ4.25年と予測され、その間に993件の主要評価項目事象が蓄積すると予測さ
れる。試験は、993件の主要CV事象が蓄積した時点又は全ての対象が少なくとも2.
5年間の追跡調査を行った時点のいずれか遅い方で終了する(
図1を参照されたい)。
【0407】
スクリーニング期間及びスクリーニング期間後の無作為化
スクリーニング受診後の治験受診では、対象の適格性及びCVリスク因子(例えば、血
圧、LDL-コレステロール及び2型糖尿病)の治療の最適化に対する必要性を判定する
。適格基準を満たし、地域の慣行/ガイドラインに従い、LDL-コレステロール治療及
び/又は他のCVリスク因子に対する治療をさらに最適化する必要がない対象は、無作為
化され、すなわち1日目の受診に直接進む。
【0408】
化治療のCVリスク因子の最適化(必要な場合)及び無作為化
地域の慣行/ガイドラインに従い、LDL-コレステロール(LDL-C)治療及び/
又は他のCVリスク因子の治療をさらに最適化する必要がある対象のみが「CVリスク因
子療法の最適化」期間中に追加の受診を完了する必要がある。CVリスク因子療法最適化
の受診では、対象は、国際的な推奨事項又は均等な地域の推奨事項に従い、生活習慣的の
変更を遵守するように指示される。CVリスク因子の治療は、地域の慣行/ガイドライン
に基づいて最適化される。
【0409】
対象は、およそ4週間後に定期的受診のために施設に戻る。治験責任医師は、最適化さ
れた治療法の有効性及び安全性/忍容性を評価する。CVリスク因子の治療又は他の治療
は、必要に応じて調整し得る。
【0410】
・地域の慣行/ガイドラインに従い、CVリスク因子の治療をさらに最適化する必要が
なく、適格基準を満たす対象は、無作為化に進み得る(1日目の受診)。
・CVリスク因子治療のさらなる最適化が必要であると考えられる場合、患者は、追加の
受診を完了する。
【0411】
およそ4週間後、対象は、別の治験受診のために戻る:
・地域の慣行/ガイドラインに従い、CVリスク因子の治療をさらに最適化する必要がな
く、適格基準を満たす対象は、無作為化に進み得る(1日目の受診)。
・CVリスク因子治療のさらなる最適化が必要であると考えられる場合、CV療法の最適
化の期間は、さらに4週間延長され、およそ12週間の全治療最適化になる。これらの追
加的な受診が完了した後、適格な対象は、無作為化に進む(1日目の受診)。
【0412】
二重盲検による治療期間
適格な対象は、スクリーニング後又は「CVリスク因子治療の最適化」期間後、およそ
30日ごとに自己投与されるか又は介護者又は施設の担当者よって投与される、80mg
のISIS 681257のQM又はプラセボの皮下注射に無作為化される。スクリーニ
ング時の90mg/dL以上又は未満のLp(a)値及び地理的地域に基づく層別化は、
無作為化時に行う。対象は、有効性、安全性及び他の研究関連の評価のための評価スケジ
ュールに従って追跡する。
【0413】
LDL-C低下療法に対する以下の用量調整は、二重盲検期間中に行い得る:
・LDL-C低下治療の中断、用量の減少又は中止は、そのような変更を要する有害事象
の場合に行い得る。
・用量の増加又は他のLDL-C低下治療の追加:脂質評価は、無作為化受診問後に盲検
化されるが、LDL-Cがあらかじめ定められたアルゴリズムの閾値を超えて無作為化受
診から(又はこの値が欠落している場合にはそれ以前から)上昇した場合、中央検査室か
ら治験責任医師に警告が出され、LDL療法の調整を可能にする。この閾値アルゴリズム
は、治験の手順明書で提供され定義される。この治験の実施に携わる治験責任医師と、施
設スタッフ及び対象のケアと、管理に携わる全ての医療従事者とは、無作為化(1日目)
から試験完了までの間、脂質パネルの入手を控えるべきである。脂質パネルを入手する場
合、試験対象に結果を知らせないようにあらゆる合理的な措置を講じなければならない。
【0414】
さらに、高血圧及び真性糖尿病などのアテローム硬化性疾患の他のリスク因子は、地域
の慣行/ガイドラインに従い、二重盲検期間中に最適に治療されなければならない。有害
事象のために用量調整が必要でない限り、併用されるCVリスク低減薬及びIL-6阻害
剤の治療用量は、安定していなければならない。
【0415】
対象集団
適格基準を満たした18歳~80歳までのおよそ7,680名の患者(男女)を無作為
化する。
【0416】
組み入れ及び排除基準
主要組み入れ基準:
・スクリーニング受診時に70mg/dL以上のLp(a)
・最適LDL-コレステロール低下治療
・他のCVリスク因子の最適治療
・心筋梗塞:スクリーニング受診の3ヶ月以上且つ10年以下前、及び/又は
・虚血性脳卒中:スクリーニング受診の3ヶ月以上且つ10年以下前、及び/又は
・臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患
【0417】
主要除外基準:
・管理不良の高血圧
・心不全ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIV
・いずれかの臓器系の悪性腫瘍の病歴
・出血性脳卒中又は他の大出血の病歴
・1μLあたり140,000未満の血小板数
・活動性の肝疾患又は肝臓の機能障害
・重大な腎臓病
・妊娠中又は授乳中の女性
【0418】
詳細な組み入れ基準
この試験に適格な対象は、以下の基準を全て満たす必要がある:
1.評価を実施する前に、告知に基づく同意書を得る必要がある。
2.18歳~80歳以下の男女
3.スクリーニング受診時の中央検査室で測定された70mg/dL以上のLp(a)
4.無作為化時点の次のようなLDL-コレステロール低下治療:
・対象は、地域の慣行/ガイドラインに従って目標とするLDL-Cレベルを満たすため
に、最適なLDL-C低下治療を受けている必要があるか、又は
・対象が、地域の慣行/ガイドラインに従った目標とするLDL-Cレベルを満たしてい
ない場合、最高耐量のスタチン及び/又は他の最適化されたLDL低下療法(例えば、エ
ゼチミブ、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、PCSK9阻害剤)で治療されて
いなければならないか、又は
・対象が禁忌を有するか又はスタチン治療を容認しない場合、地元の慣行/ガイドライン
に従い、他の最適化されたLDL低下治療(例えば、エゼチミブ、コレステロール吸収阻
害剤、フィブラート、PCSK9阻害剤)で治療されている必要がある。
5.無作為化受診時、対象は、地域の慣行/ガイドラインに従い、他のCVリスク因子に
対して最適に治療されている必要がある。
6.確立されたCV疾患は、次の3つの病状のいずれかとして定義される:
1)スクリーニング受診の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生し、以下のように記録され
ている特発性心筋梗塞(PCI又はCABGに起因しない)の病歴(Thygesen
et al.,“Fourth Universal Definition of M
yocardial Infarction”,Circulation,p.e618
-e651,2018):
・急性心MI(入院記録):少なくとも1つの値が基準上限(URL)の99パーセンタ
イル値を超える心臓バイオマーカー(好ましくは心筋トロポニン)の上昇及び/又は下降
並びに以下の少なくとも1つの記録を要する:
・虚血の症状、
・急性心筋虚血を示唆するECGの変化(新規ST-T変化又は新新規LBBB;ST及
びT波の変化については、付録2を参照されたい)、
・病理学的Q波の発生(病理学的Q波の定義については、付録2を参照されたい)、
・虚血性病因と一致するパターンでの生存心筋の新規喪失又は新規局所心壁運動異常の画
像による証拠、
・冠動脈内イメージングをはじめとする血管造影による冠動脈血栓の同定、
・以前のMI(急性期事象に関する完全な病院記録はない):以下のいずれかの記録を要
する:
○症状の有無にかかわらず、非虚血性の原因の非存在下での病的なQ波(病理学的Q波の
定義については、付録2を参照されたい)、
○非虚血性の原因の非存在下での、薄くなり収縮できない生存心筋の喪失領域の画像によ
る証拠、
2)CTスキャン、MRI又は他の可視化法によって記録されている、スクリーニング受
診の3ヶ月以上且つ10年以下前に発生した、虚血性脳卒中(中枢神経系組織の梗塞に起
因する限局性な脳、脊髄又は視力機能障害の急性エピソード)の病歴。一過性脳虚血発作
又は塞栓性脳卒中(アテローム性動脈硬化症由来でない)は、適格な事象ではない。
3)0.90以下の足首上腕血圧比を伴う間欠性跛行及び/又は下肢虚血のための手足の
切断又は血行再建術によって証明される、臨床的に有意な症候性末梢動脈疾患。閉塞性血
栓血管炎は、適格な事象ではない。
【0419】
詳細な除外基準
以下の基準のいずれかに該当する対象は、この試験に適格でない。
1.スクリーニング時における、160mmHg以上の座位収縮期血圧(SBP)及び/
又は100mmHg以上の拡張期血圧(DBP)(SBP及びDBPの各評価における3
回の測定値の平均値)と定義される管理不良の高血圧。
2.スクリーニング受診前の3ヶ月におけるナイアシンによる治療;マルチビタミンに含
まれるナイアシンは、許容される
3.無作為化の12週間未満前の安定した用量のPCSK9阻害剤(エボロクマブ、アリ
ロクマブ)による治療
4.リポタンパク質アフェレーシススによる治療を受けているか、又は試験中に既にリポ
タンパク質のアフェレーシスを開始する予定である
5.スクリーニングから3ヶ月以内及びスクリーニング受診と無作為受診(1日目)との
間:心筋梗塞、脳卒中、冠動脈若しくは下肢血行再建術、主要な心臓又は非心臓手術。対
象は、関連する事象/措置の3ヶ月後に再スクリーニングされ得る。
6.無作為化受診(1日目)後の心臓、脳血管又は末梢動脈の手術又は冠動脈の血行再建
術が計画又は予測されている
7.スクリーニング受診又は無作為化受診時点(1日目)の心不全ニューヨーク心臓協会
(NYHA)クラスIV
8.出血性脳卒中又は他の大出血の病歴又はスクリーニング受診と無作為化受診との間に
発生した場合
9.スクリーニング受診時又は無作為化受診時(1日目)における、余命を5年未満にす
ると予測される重度の非CV疾患の併発
10.スクリーニング受診時又は無作為化受診時(1日目)における、治験責任医師の判
断による、既知の活動性の重篤な感染症又は重大な血液、代謝、胃腸若しくは内分泌系の
機能障害(例えば、管理不良の甲状腺機能障害又は管理不良の真性糖尿病など)
11.局所再発や転移の証拠があるかどうかにかかわりなく、過去5年以内又はスクリー
ニング受診と無作為化受診(1日目)との間の治療された又は未治療のいずれかの臓器系
の悪性腫瘍の病歴(限局性基底細胞がん又は皮膚の扁平上皮細胞がん又は原位置子宮頸が
んを除く)。
12.無作為化受診(1日目)前に2回目の中央検査室検査によって確認された、1回目
の受診時の中央検査室検査からの1μLあたり140,000未満の血小板数
13.無作為化受診(1日目)前に2回目の中央検査室検査によって確認された、1回目
の受診時の中央検査室検査からの30mL/分/1.73m2以下のeGFR;又は透析
を受けている患者
14.無作為化受診(1日目)前に2回目の中央検査室検査によって確認された、1回目
の受診時の500mg/g(50mg/mmol)を超える尿タンパク質-クレアチニン
比(PCR)がある、重大な糸球体疾患(IgA腎障害、糖尿病性腎障害、全身性エリテ
マトーデス紅斑性狼蒼などが挙げられるが、これらに限定されるものではない)
15.無作為化受診(1日目)前に2回目の中央検査室検査によって確認された、スクリ
ーニング受診時における中央臨床検査からのULNの2倍以上のAST又はALTとして
定義される活動性の肝疾患又は肝臓の機能障害
16.無作為化受診(1日目)前に2回目の中央検査室検査によって確認された、中央臨
床検査スクリーニング受診時からのULNの1.5倍以上の総ビリルビン
17.スクリーニング受診時中央検査室検査からの陽性HIV、C型肝炎スクリーニング
又はB型肝炎表面抗原試験
18.治験責任医師が患者を組み入れに不適であると判断するか、又は患者が試験に参加
又は完了することに支障をきたし得る、スクリーニング受診時又はスクリーニング受診か
ら無作為化受診(1日目)までの間のあらゆる他の疾患
19.スクリーニング受診から9ヶ月以内のオリゴヌクレオチド又はSiRNAによる治
療例外は、GalNacオリゴヌクレオチド又はGalNac siRNAであり、保健
当局によって承認され、スポンサーによって試験での使用が許可されている場合に使用さ
れ得る。
20.治験薬又はそれらの賦形剤又は同様の化学クラスの薬物に対する過敏症の病歴
21.スクリーニング受診の5半減期内又は30日以内のいずれか長い方の期間内の他の
被験薬の使用
22.試験手順及び薬物投与(注射)及びスケジュールを遵守する意思がないか又は遵守
できない(例えば、身体的又は認知的不能)
23.妊娠中又は授乳中(泌乳中の)女性
24.被験薬投与中に効果の高い避妊法を使用している場合を除き、生理学的に妊娠でき
るあらゆる女性として定義される妊娠可能な女性このような方法としては、以下が挙げら
れる:
・完全な禁欲(これが対象の好ましい通常の生活習慣的と一致している場合)。定期的な
禁欲(例えば、カレンダー、排卵、症候性、排卵後の方法)及び離脱は、避妊の許容可能
な方法ではない
・治験治療を受ける少なくとも6週間前の女性の不妊手術(子宮摘出術を伴う又は伴わな
い外科的両側卵巣摘出術を受けた)、子宮全摘出術又は両側卵管結紮術。卵巣摘出術のみ
の場合、追跡ホルモンレベル評価によって女性の生殖状態が確認された場合に限られる
・男性の不妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヶ月前)。試験における女性対象につ
いて、精管切除された男性パートナーが唯一のパートナーでなければならない
・経口、(エストロゲン及びプロゲステロン)、注射又は移植されたホルモン避妊法又は
子宮内避妊器具(IUD)又は子宮内避妊システム(IUS)の配置又は同等の有効性(
失敗率<1%)を有する他の形態のホルモン避妊法、例えばホルモン膣リング又は経皮ホ
ルモン避妊法の使用
経口避妊薬を使用する場合、女性は、治験治療を受ける前に最低3ヶ月間同じピルで安定
していなければならない。
【0420】
適切な臨床的プロファイル(例えば、年齢、血管運動症状の適切な病歴)を有し、12
ヶ月間の自然な(自然発生的)無月経を経験した女性又は少なくとも6週間前に外科的な
両側卵巣摘出術(子宮摘出術を伴う又は伴わない)、子宮全摘出術又は両側卵管結紮術を
受けた女性は、閉経後で出産の可能性がないと見なされる。卵巣摘出術のみの場合、追跡
ホルモンレベル評価によって女性の生殖状態が確認された場合にのみ、出産の可能性がな
いと見なされる。
【0421】
妊娠を防ぐための上記の避妊方法から地域の規制が逸脱している場合、地域の規制が適
用され、告知に基づく同意書(ICF)に記載される。
【0422】
治療
対象は、80mg s.c.QMの化合物ISIS 681257又はプラセボの皮下
注射の投与について1:1で無作為化される。注射は、自己注射又は介護者による月1回
の皮下投与とし、注射器には化合物ISIS 681257 針先保護具(NSD)を使
用する。注射の実施方法の詳細については、以下を参照されたい。治験治療の処方及び服
用に関する指示。
【0423】
本試験で使用した被験薬及び対照薬を以下の表1に示す。
【0424】
【0425】
治療期間
試験期間は、およそ4.25年、最低追跡期間は、およそ2.5年と予測される(死亡
又は同意の撤回がない限り);この期間中、確認された主要評価項目事象の必要な数が蓄
積されると予測される。試験は、993件の主要CV事象が蓄積した時点又は全ての対象
が少なくとも2.5年間の追跡調査を行った時点のいずれか遅い方で完了する。対象は、
安全上の理由のため且つ/又は治験責任医師又は対象の裁量によって治験薬の投与を中断
し得る。対象が告知に基づく同意を撤回しない限り、継続して追跡調査を行う。
【0426】
他の治療
無作為化前の3ヶ月で対象が使用した全ての薬物療法、措置及び重要な非薬物療法は、
これらが試験中に継続されるかどうかとは独立して、以前の/併用薬物療法/重要な非薬
物療法又は手順の電子症例報告書(eCRF)ページに記録する必要がある。各併用薬は
、全ての除外基準に対して個別に評価する必要がある。
【0427】
対象が試験に登録された後に投与された全ての薬物療法、措置及び重要な非薬物療法(
理学療法、生活指導、輸血をはじめとする)も、対応するeCRFページに記録する必要
がある。新しい併用薬は、その開始前に禁止薬物に対して評価する必要がある。脂質低下
薬及び抗血小板薬の用量は、試験の全期間を通して記録する必要がある。
【0428】
疑問がある場合、治験責任医師は、対象を無作為化する前又は新しい投薬の開始を許可
する前にNovartisの医療モニターに連絡する必要がある。対象が既に登録されて
いる場合、Novartisに連絡し、対象が薬物試験を継続すべきかどうかを判断する
。
【0429】
治験に参加する対象又はその介護者は、血小板減少症及び/又は出血を引き起こす可能
性のある併用療法(例えば、ヘパリン、経口抗凝固剤、直接トロンビン阻害剤、第Xa因
子阻害剤及びナイアシン)が適切に管理され、対象が慎重にモニターされるように、血小
板減少症の潜在的なリスクについて、本治験に関与していない医療従事者に伝えることが
推奨される。潜在的な出血のリスクに関する情報が記載された対象カードが無作為化受診
時(1日目)に対象に提供される。
【0430】
禁止されている薬剤
以下の表2に提示される治療法の使用は、許可されない。
【0431】
【0432】
用量漸増及び用量変更
用量漸増及び用量変更 - 安全上の理由がない限り、調査的治療の中断は、認められ
ない。
【0433】
スクリーニング
スクリーニング活動は、患者が告知に基づく同意書(ICF)に署名した後にのみ開始
しなければならない。再スクリーニングは、スクリーニング受診(1回目の受診時)から
6ヶ月後までに1回許可される。
【0434】
除外基準で指定された範囲外のスクリーニングでの安全性検査室評価の場合、除外基準
で必要とされる評価を事前に1回繰り返し得る。繰り返しの値が指定された範囲外のまま
である場合、対象は、試験に適格でない。
【0435】
対象の人口統計学的/他のベースライン特性
全ての対象について収集される患者の人口統計学的及びベースラインの特性データとし
ては、年齢、性別、人種、民族、患者の紹介元、関連する家族及び個人の病歴/告知に基
づく同意に署名する前の現在の医学的状態(可能な場合、症状ではなく、診断を記録する
)及びスクリーニング時の関連する検査室検査が挙げられる。
【0436】
治験責任医師は、告知に基づく同意署名前に検査異常が発生したと判断した場合には常
に、病歴eCRFに異常な検査所見を記録する裁量権を有する。
【0437】
有効性
有効性は、臨床評価項目委員会が判定するCV死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中
、入院を要する緊急冠動脈再建術によって評価する。
【0438】
有効性評価は、各評価がいつ実行されるかを詳細に説明する評価スケジュールと共に以
下に指定される。
有効性評価1 - 治療の割り当てについて盲検化された独立したCECは、主要及び副
次複合評価項目を構成する全ての臨床事象をレビューし、判定する。
有効性評価2 - 有効性バイオマーカーLp(a)、hsCRP、ApoB及び総コレ
ステロール、LDL-コレステロール、非HDL-コレステロール、HDL-コレステロ
ール、トリグリセリドの試験評価項目のベースラインからの変化を評価する。無作為化(
1日目)後、Lp(a)及び全ての脂質(総コレステロール、LDL-コレステロール、
非HDL-コレステロール、HDL-コレステロール及びトリグリセリド)の結果につい
て、対象、研究スタッフ、評価を実施する人々及びCTTは、盲検化されている必要があ
る。
【0439】
あらかじめ定められたアルゴリズムの閾値を超えてLDL-Cが無作為化値から増加し
た場合又は無作為値が欠如しているとき、中央検査室で測定された無作為化前の最新の値
から増加した場合、治験責任医師は、中央検査室から警告を受ける。さらに、この治験の
実施に携わる治験責任医師と、施設スタッフ及び対象のケア及び管理に携わる全ての医療
従事者とは、無作為化(1日目)から試験完了までの間、脂質パネルの入手を控えるべき
である。脂質パネルを入手する場合、試験対象に結果を知らせないようにあらゆる合理的
な措置を講じなければならない。
【0440】
安全性
主要安全性評価には、有害事象のモニタリング、理学的検査、検査室評価及びECG測
定が含まれる。
【0441】
スクリーニング受診(1回目の受診時)では、完全な理学的検査を行い、その後の受診
では、短い理学的検査のみを行い、残りの研究施設受診では、簡単な理学的検査のみを行
う。
【0442】
追加的な評価
臨床転帰評価(COA)
二重盲検治療期間中に登録された対象の健康状態及び幸福度は、SF-12質問票バー
ジョン2(SF-12 v2)で評価される。SF-12 v2は、SF-36と同じ8
つの健康領域をカバーし、質問が大幅に少ないため、慢性的病状のある患者にとってより
実用的な研究ツールとなる。
【0443】
ドメイン固有のスコア及び2つの要約スコアの絶対値及びベースラインからの変化は、
受診及び治療によって記述的に要約される。また、2つの要約スコアのBL後のベースラ
インからの変化に関する統計的モデルに基づき、治療間分析も提供される。
【0444】
上記の分析は、SF-12データが収集されたFAS患者を対象に実施する。
【0445】
バイオマーカー
Lp(a)を評価するための血液サンプルは、特定の試験受診時に収集する。有効性評
価に使用される他の血液バイオマーカーは、hsCRPとapoBである。
【0446】
データ解析
主要有効性変数(主要評価項目の事象が最初に発生するまでの時間)は、治療、地域、
亜集団指標(90mg/dL未満又は以上のベースラインのLp(a)レベル)及び亜集
団指標による治療の相互作用項を因子として、コックス比例ハザードモデルを用いて解析
する。2つの主要評価項目仮説は、Glimm et al.の原則に従い、加重ダネッ
ト検定を用いて検定する。
【0447】
副次評価項目は、一次解析モデルと同じコックス回帰モデルを用いて解析する。
【0448】
これらのコックス回帰モデルからの完全及び亜集団の推定ハザード比並びに対応する両
側信頼区間及びp値は、別々に提供される。
【0449】
全集団及び亜集団中のMACE複合(CV死、非致死性MI及び非致死性脳卒中)及び
冠動脈複合(CHD事象による死亡、非致死性MI及び入院を要する緊急冠動脈再建術)
の主要評価項目及び副次評価項目は、第一種過誤を抑えるために、閉じた多重検定手順に
含まれている。
【0450】
試験全体の第一種過誤は、2.5%(片側)に抑えられている。最終解析に使用される
片側αレベルは、2つの中間有効性解析で使用されるαを考慮した後、2.45%になる
。
【0451】
完全集団及び亜集団中の全死因死亡の仮説は、完全なα(片側2.5%)で別々に試験
する。有効性解析は、完全解析セット(FAS)で行う。
【0452】
詳細:
主要評価項目の解析
試験の主な目的は、拡張主要有害心血管事象のリスク(心血管死、非致死性MI、非致
死性脳卒中及び入院を要する緊急冠動脈血行再建術)を低減する上でのプラセボと比較し
たISIS 681257の優位性を実証することである。特に明記されない限り、事象
までの時間の解析は、全て試験の二重盲検治療期間中に発生した判定された事象に基づく
。
【0453】
提案された解析が適用される主要患者集団は、FAS中の全ての対象(全対象集団)及
びベースラインLp(a)レベルが90mg/dL以上のFAS中の対象(亜集団)であ
る。以下に定義する主要評価項目は、試験の中止又は非CV原因による死亡に対応する同
時発生事象を無作為と見なし、原因固有のハザード比を推定する。推定では、治験薬の順
守に関係なく、関心のある事象の発生まで又はそれ以外の場合には打ち切り時間までに利
用可能な追跡データを使用する。解析がそれに基づく解析セットは、完全解析セット(F
AS)である。
【0454】
この患者集団では、対象となる推定値は、地域の影響も含めて、組み入れ基準で定義さ
れた確立されたCV疾患並びに70mg/dL以上のLp(a)(全研究対象集団)及び
/又は90mg/dL以上のLp(a)(関心のある亜集団)がある対象における主要M
ACE率の低下に関する。関心のある評価項目並びに提案された推定値をサポートする全
対象集団及び関心のある亜集団における治療の便益の提案された評価の下に詳細が示され
ている。
【0455】
主要評価項目の定義
主要有効性変数は、心血管死、非致死性MI、非致死性脳卒中及び入院を要する緊急冠
動脈血行再建術からなる複合評価項目である、拡張主要有害心血管事象(MACE)が最
初に発生するまでの時間である。独立したCECは、主要評価項目の複合を構成する臨床
事象を盲検ベースでレビューし、判定する。
【0456】
事象までの時間は、無作為化から主要評価項目の開始までの日数として計算する。試験
終了日までに主要評価項目に到達しない対象に関するデータは、試験でリスクがあること
がわかっている最新の日に打ち切る。
【0457】
統計モデル、仮説及び解析方法
試験する2つの一次統計学的帰無仮説は、次の通りである:
・H10:λ12/λ11≧1対H1a:λ12/λ11<1(1)
・H20:λ22/λ21≧1対H2a:λ22/λ21<1(2)
式中、λ11、λ12及びλ21、λ22は、最初にCECが確認した、全対象集団及び
亜集団におけるISIS 681257群とプラセボ群の拡大MACEのハザードをそれ
ぞれ示す。
【0458】
主要有効性変数は、治療、地域、亜集団の指標(90mg/dL未満又は以上のベース
ラインLp(a)レベル)及び治療と亜集団の指標との交互作用項を因子として、コック
スの比例ハザードモデルを用いて解析する。Glimm et al.(Glimm e
t al.,“An approach to confirmatory testi
ng of subpopulations in clinical trials,
Biom J.,p.897-913,2015)に記載されるようなモデルベースのダ
ネット検定アプローチを用いて、2つの主要仮説が検証する。上記のコックス比例ハザー
ドモデルは、次のように表され得る。
λ(t)=λ0(t)*exp(β1*x1+β2*x2+β3*x3+β4*x1*x
3) (3)
式中、λ(t)は、時間tにおけるハザード、λ0(t)は、ベースラインハザード、x
i(i=1、2、3)は、共変量である。より具体的には、x1は、治療群の指標、x2
は、地域の指標、x3は、亜集団の指標(90mg/dL未満又は以上のLp(a))及
びx1*x3は、亜集団の指標による治療の相互作用項である。モデルは、β1+β4が
亜集団におけるISIS 681257対プラセボの対数ハザード比、β1+wβ4が全
対象集団におけるISIS 681257対プラセボの対数ハザード比となるようにパラ
メータ化され得、式中、wは、Lp(a)が90mg/dL以上の亜集団の患者の比率で
ある。
【0459】
モデル(3)では、2つの主要仮説(1)及び(2)は、次のように均等に表され得る
。
・H10:β1+wβ4≧0対H1a:β1+wβ4<0(4)
・H20:β1+β4≧0対H2a:β1+β4<0(5)
【0460】
Glimm et al.(2015)に示されるように、2つの仮説(4)及び(5
)のモデル(3)から導出された2つの検定統計量は、漸近的に2変量正規分布に従う。
これらの2つの検定統計量に基づいて、ダネット検定臨界値及び2つの主要仮説の補正片
側p値を計算する。試験全体の第一種過誤は、2.5%(片側)に抑えられる。最終解析
に用いられる片側有意水準αは、中間解析計画に基づき、中間解析で用いられたαを考慮
した上で2.45%とする。
【0461】
検定手順を
図3に示し、以下のステップで概説する:
・最初に、2つの主要仮説(H10及びH20)のそれぞれに等しい重みが割り当てられ
た加重ダネット検定を実施する。この検定では、主要評価項目の全集団と亜集団との間の
相関関係を利用し、検定統計量は、上記のように一次解析モデルから導出する。
・1つの主要仮説が棄却された場合、その有意水準の一部は、別の主要仮説に渡される一
方、残りのαは、グラフに示されるようにあらかじめ定められた重みに従い、同じ母集団
の副次評価項目のファミリーに伝播される。
・副次評価項目のファミリー(H1i又はH2i)内では、重み付けされたSimes検
定手順を使用する。
・全対象集団で両方の二次仮説が棄却された場合、αは、亜集団の主要評価項目に伝播さ
れ;H2iからH10へのαの伝搬について逆である。(
図3を参照されたい)
副次(H1i又はH2i)のノードは、全集団と亜集団の最初の2つの副次評価項目に関
連する帰無仮説のファミリーを表す。全対象集団と亜集団における全死因死亡の副次評価
項目は、多重検定手順に含まれない。
【0462】
上記の検定手順で2つの主要仮説の少なくとも1つが棄却された場合、試験は、成功し
たと主張し得る。
【0463】
コックス回帰モデル(3)からの全集団と亜集団における推定ハザード比と対応する未
調整の両側信頼区間とが別々に提供される。一次解析ではFASを使用する。
【0464】
副次評価項目の解析
副次評価項目
定義された3つの副次評価項目があり、これらの3つの副次評価項目について、それぞ
れ全集団と亜集団で試験される6つの二次仮説がある:
・CECが確認したMACEの複合評価項目が最初に発生するまでの時間:CV死、非致
死性MI及び非致死性脳卒中 - H11及びH21は、全集団及び亜集団における関連
する二次仮説である。
・CECが確認したCHD転帰の複合評価項目が最初に発生するまでの時間:CHD死、
非致死性MI、入院を要する緊急冠動脈血行再建術 - H12及びH22は、全集団及
び亜集団における関連する二次仮説である。
・無作為化から試験終了時までの全死因死亡までの時間 - H13及びH23は、完全
集団と亜集団に関連する二次仮説である。
【0465】
全ての副次評価項目は、上記の一次解析モデルと同じコックス回帰モデルを使用して、
FASで解析する。これらのコックス回帰モデルからの完全及び亜集団の推定ハザード比
並びに対応する両側信頼区間及びp値は、別々に提供される。
【0466】
上記のように、二次仮説H1i(H11及びH12を含む)及びH2i(H21及びH
22を含む)の2つのファミリーは、
図3に提示される多重検定手順に含まれる。加重S
imes検定法を使用して、次のステップで各ファミリー(H1i又はH2i)内の2つ
の二次仮説を別々に検定する。
・最初に、1つのファミリーの2つの副次評価項目に対する上記コックス回帰モデルから
の2つの名目上のp値(例えば、全対象集団における、MACEに対するp11及び冠動
脈複合評価項目に対するp12)を、
図3で指定されたこのファミリーに渡されたαと比
較する。両方の名目上のp値がこの局限的α以下である場合、このファミリー内の両方の
二次仮説が棄却され、そうでない場合には続行される。
・あらかじめ定められた加重0.8及び0.2を使用して、個々の名目上のp値を、それ
ぞれ重み付けされたローカルαと比較する。MACEのp値がローカルαの80%以下で
あれば、MACEの帰無仮説は、棄却され;冠動脈複合評価項目のp値がローカルαの2
0%以下であれば、冠動脈複合評価項目の帰無仮説は、棄却される。
【0467】
全集団及び亜集団(H13及びH23)の全死因死亡に対応する仮説は、多重検定手順
に含まれず、完全α(片側2.5%)で別々に検定する。治療によるカプラン・マイヤー
プロットは、全集団及び亜集団の各副次評価項目に別々に提供される。複合副次評価項目
の構成要素も、一次解析と同じコックス回帰モデルを使用して別々に解析する。副次複合
評価項目に到達した患者の頻度及び百分率は、FASで治療群毎に提供される。治験責任
医師が報告した事象に基づく複合副次評価項目及びそれらの構成要素も同様に解析され、
提示される。
【0468】
症例数計算
主要評価項目
以下の症例数の推定は、計画された有効性中間解析を補正した後の、ISIS 681
257とプラセボとの間の1:1の無作為化及び0.0245の片側有意水準に基づく。
計算は、2つのステップで行われた。最初に、MACEの主要評価項目について、全対象
集団における主要仮説に対して0.01225の片側有意水準で従来の対数順位検定を用
いて計算を実行した(2つの主要な仮説間により保守的なボンフェローニα分割を仮定す
る)。
【0469】
無作為化後最初の12ヶ月間のハザード比を0.90、次に12ヶ月後のハザード比を
0.764で一定とする、ISIS 681257群に有利となる、区分的指数分布に従
った遅延治療効果があると仮定する。この仮定下において、993件の主要評価項目MA
CE事象(すなわち二重盲検期間中にMACE事象がある993人の対象)は、0.01
225の片側αレベルで約88%の検出力を提供する。
【0470】
プラセボ群における年換算の主要評価項目のMACE事象率を4.6%、登録期間を1
.5年、最長追跡期間を4.25年及び追跡不能又は非心血管系死亡による主要評価項目
事象の累積打ち切り率を10%と仮定すると、993件の主要評価項目MACE事象を得
るために7,680人の症例数が必要となる。
【0471】
主要複合評価項目事象の年間事象率が4.6%であるという仮定は、FOURIER試
験のデータに基づいた(Sabatine et al.,“Evolocumab a
nd Clinical Outcomes in Patients with Ca
rdiovascular Disease”,N.Engl.J.Med.,p.17
13-1722,2017)。無作為化後の最初の12ヶ月間のハザード比を0.90と
し、12ヶ月後のハザード比を0.764で一定と仮定すると、登録期間が1.5年、最
長追跡期間が4.25年であることは、二重盲検期間全体の0.805のハザード比に対
応する(すなわちプラセボと比較したISIS 681257の19.5%のハザード比
低下)。
【0472】
次に、上記の検定手順を用いて、試験全体及び2つの主要仮説の検出力を評価した。表
3は、上記ステップ1で算出した7,680人の症例数並びに主要評価項目事象数993
件及び最初の2列で想定したプラセボと比較したTQJ230の潜在的な真の効果の大き
さに関する様々なシナリオを考慮した、片側α値2.45%における試験の検出力を示す
。
【0473】
【0474】
プラセボ群における年換算の主要評価項目事象率は、全対象集団で4.6%、Lp(a
)が90mg/dL以上の対象では5.06%、Lp(a)が90mg/dL未満の対象
では4.14%と仮定した。
【0475】
計算は、ソフトウェアパッケージR(バージョン3.4.3)を使用して行った。
【0476】
許容可能な期間内に必要な事象数を達成し、試験の目標検出力を維持するために、必要
に応じて無作為化する対象者数及び追跡期間の長さを調節し得るように、主要評価項目の
事象率を盲検化様式でモニターする。無作為化された最後の対象を最低2.5年間追跡す
ることを確実にする試験プロトコルの意図を考慮すると、試験で発生した主要評価項目事
象の数は、症例数計算で導出された事象の数よりも大きくなり得ることが予想される。
【0477】
均等物
当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態
の多数の均等物を認識又は確認することができるであろう。このような均等物は、以下の
特許請求の範囲に包含されることが意図される。