(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081660
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電動式流体インジェクタシステムを使用して血管アクセスを試験するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240611BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240611BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G16H20/10
A61M5/142 530
A61M5/168 500
【審査請求】有
【請求項の数】39
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033923
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2020555349の分割
【原出願日】2019-04-08
(31)【優先権主張番号】62/655,365
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コーリー・ケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】レオナ・マルケイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスを試験するための改良されたシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】患者内へのコントラスト/生理食塩水の注入を動作可能に制御するためのコントローラを有する流体インジェクタシステムにおいて、コントローラは、ユーザが診断注入手順をプログラム可能にし、フェーズに従ってコントラスト/生理食塩水を、画像化手順中に患者の領域の少なくとも1つの関心に強調をもたらすように患者内に注入する。コントローラはまた、ユーザが診断注入手順の前に実行される試験注入手順をプログラム可能にし、当該試験注入の実行前に生理食塩水が送達されるべき流速を選択でき、試験注入の実行中に変えられる、可変シングルフェーズ試験注入202bおよび/または生理食塩水が送達されるべき流速を、マルチフェーズ試験注入の実行前にフェーズ毎に選択できるマルチフェーズ試験注入202cを実行可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流体容器内に入れられた少なくとも1つの流体を患者内に注入できるようにする少なくとも1つの駆動部材と動作可能に関連付けられたコントローラを備える流体インジェクタシステムであって、
前記コントローラが、少なくとも1つの診断注入フェーズを含む少なくとも1つの診断注入手順のプログラミングをイネーブルにするためのプログラミングシステムを含み、前記少なくとも1つの診断注入フェーズに従って、前記少なくとも1つの流体が画像診断手順のスキャン時間にわたって前記患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように前記患者内に注入されることになり、
前記プログラミングシステムが、前記診断注入手順の前に実行されるべき試験注入手順のプログラミングをさらにイネーブルにするためのものであり、前記試験注入手順が、
可変シングルフェーズ試験注入であって、前記少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が前記可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能であり、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行中に変えることができる、可変シングルフェーズ試験注入、
として実行可能である、流体インジェクタシステム。
【請求項2】
前記試験注入手順は、マルチフェーズ試験注入であって、前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速が、前記マルチフェーズ試験注入の実行前に前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに選択可能である、マルチフェーズ試験注入、及び前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速と送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量とが固定される固定シングルフェーズ試験注入のうち少なくとも一方としてさらに実施可能である、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項3】
前記可変シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき前記少なくとも1つの流体が生理食塩水である、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項4】
前記マルチフェーズ試験注入の少なくとも1つのフェーズ中に送達されるべき前記少なくとも1つの流体が生理食塩水である、請求項2に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項5】
前記可変シングルフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項6】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記マルチフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、請求項2に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項7】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、請求項2に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項8】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速が、前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、請求項2に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項9】
前記可変シングルフェーズ試験注入の実行中に前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速が、前記少なくとも1つの駆動部材の速度を変えることによって変えられる、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの駆動部材の速度が、制御要素を使用する手動入力によって変えられる、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項11】
前記制御要素が1つまたは複数のボタンまたはダイヤルである、請求項10に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項12】
前記プログラミングシステムが、前記少なくとも1つの診断注入フェーズ中に前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速を、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行中に決定された所望の流速に基づいて調整することをイネーブルにするようにさらに構成される、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項13】
前記マルチフェーズ試験注入が、少なくとも、第1の流速を有する第1のフェーズと前記第1のフェーズに続く第2のフェーズとを含み、前記第2のフェーズが第2の流速を有する、請求項2に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項14】
前記第2の流速が前記第1の流速とは異なる、請求項13に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項15】
前記第2の流速が前記第1の流速よりも高い、請求項13に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項16】
前記試験注入手順および前記少なくとも1つの診断注入手順が、全体的な注入プロトコルを定義する、請求項1に記載の流体インジェクタシステム。
【請求項17】
診断注入手順の前に流体インジェクタシステムを使用して実行されるべき試験注入手順のプログラミングをイネーブルにするための非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読媒体は1つまたは複数の命令を含み、前記1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
ユーザが、前記流体インジェクタシステムを介して、可変シングルフェーズ試験注入として実行されるべき前記試験注入手順を選択することをイネーブルにさせて、
前記可変シングルフェーズ試験注入を選択すると、前記可変シングルフェーズ試験注入中に前記少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能であり、可変シングルフェーズ試験注入の実行中に変えることができようにする、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、さらに、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記ユーザが、前記流体インジェクタシステムを介して、マルチフェーズ試験注入であって、前記マルチフェーズ試験注入を選択すると、前記マルチフェーズ試験注入中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、前記マルチフェーズ試験注入の実行前に前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに選択可能であるマルチフェーズ試験注入と、固定シングルフェーズ試験注入であって、前記固定シングルフェーズ試験注入を選択すると、前記固定シングルフェーズ試験注入中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速と前記固定シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量とが固定される固定シングルフェーズ試験注入とを選択することをイネーブルにさせる、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記可変シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき前記少なくとも1つの流体が生理食塩水である、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記マルチフェーズ試験注入の少なくとも1つフェーズ中に送達されるべき前記少なくとも1つの流体が生理食塩水である、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記可変シングルフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記マルチフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量が、前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記マルチフェーズ試験注入の場合、前記少なくとも1つの流体が送達されるべき前記流速が、前記マルチフェーズ試験注入のフェーズごと異なる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記可変シングルフェーズ試験注入の実行中に前記少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、前記少なくとも1つの駆動部材の速度を変えることによって変えられる、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記少なくとも1つの駆動部材の速度が、制御要素を使用する手動入力によって変えられる、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記制御要素が1つまたは複数のボタンまたはダイヤルである、請求項26に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記1つまたは複数の命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つの診断注入フェーズ中に前記少なくとも1つの流体が送達されるべき流速を、前記可変シングルフェーズ試験注入の実行中に決定された所望の流速に基づいて調整することをイネーブルにするようにさらに構成される、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記マルチフェーズ試験注入が、少なくとも、第1の流速を有する第1のフェーズと前記第1のフェーズに続く第2のフェーズとを含み、前記第2のフェーズが第2の流速を有する、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記第2の流速が前記第1の流速とは異なる、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
前記第2の流速が前記第1の流速よりも高い、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記試験注入手順および前記少なくとも1つの診断注入手順が全体的な注入プロトコルを定義する、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項33】
少なくとも1つの流体容器内に入れられた少なくとも1つの流体を患者に注入できるようにする少なくとも1つの駆動部材を有する流体インジェクタシステムを使用して試験注入手順を実行するための、コンピュータが実行する方法であって、
少なくとも1つのプロセッサを使用して、前記少なくとも1つの駆動部材を第1の駆動速度で駆動して、前記少なくとも1つの流体を第1の流速で送達するステップと、
前記第1の駆動速度を前記第1の駆動速度とは異なる第2の駆動速度に変えて、前記少なくとも1つの流体が送達される流速を前記第1の流速から第1の流速とは異なる第2の流速に変えるステップと
を含み、
前記第1の駆動速度を前記第2の駆動速度に変化させるステップが、
前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に接続された制御要素を介して、可変シングルフェーズ試験注入中にユーザ入力を受け取るステップ
を含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項34】
前記第1の駆動速度を前記第2の駆動速度に変化させるステップが、前記少なくとも1つのプロセッサを使用して、マルチフェーズ試験注入の次の試験注入フェーズに進むステップであって、前記次の試験注入フェーズが前記第2の駆動速度を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の駆動速度が前記第1の駆動速度よりも高いまたは低い、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのプロセッサを使用して、前記少なくとも1つの駆動部材を駆動する前に送達されるべき前記少なくとも1つの流体の量を選択するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つのプロセッサを使用して、前記少なくとも1つの駆動部材を駆動する前に前記第1の駆動速度を選択するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記試験注入手順に続いて診断注入手順を実行するステップをさらに含み、前記診断注入手順が少なくとも1つの診断注入フェーズを含み、前記少なくとも1つの診断注入フェーズに従って、前記少なくとも1つの流体が、画像診断手順のスキャン時間にわたって前記患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者内に注入されることになる、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの診断注入フェーズ中に前記少なくとも1つの流体が注入されるべき流速が、前記試験注入手順の実行中に決定された所望の流速に基づく、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月10日に出願された米国仮特許出願第62/655,365号明細書の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
開示の背景
本開示は、電動式流体インジェクタ(powered fluid injector)を使用して血管アクセス(blood vessel access)を試験するためのシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム・プロダクトに関し、より詳細には、試験注入手順(test injection procedure)中の流体送達速度(fluid delivery rate)の調整を可能にするために構成された電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスの受容性(acceptability)を試験するためのシステムおよび方法に関する。本開示はさらに、試験注入手順中に複数の注入フェーズ(injection phases)を有するために構成された電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスの受容性を試験するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療手順では、医師などの開業医が患者に1つまたは複数の医療用流体(medical fluids)を注入する。近年、対照液(contrast solution)(しばしば単に「コントラスト(contrast)」または「造影剤(contrast medium)」と呼ばれる)などの流体、生理食塩水(saline)などのフラッシング剤、および他の医療用流体を加圧注入するためのいくつかの医療用流体送達システムは、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、および他のイメージング手順などの手順で使用するために開発されている。一般に、電動式流体インジェクタなどのこれらの医療用流体送達システムは、画像診断手順中に患者の身体内の関心領域を強調するために、1つまたは複数のフェーズをそれぞれ含む1つまたは複数の注入プロトコルによってかかる流体を送達するように設計される。ユーザプログラマブルシングルフェーズまたはマルチフェーズ診断注入手順によってかかる流体を送達することができる電動式流体インジェクタの例としては、MEDRAD(登録商標)Stellant CT Injection SystemおよびMEDRAD(登録商標)MRXperion MR Injection Systemがあり、これらは共に、Bayer HealthCare LLCによって提供される。
【0004】
いくつかの注入手順では、流体は、近位端が電動式流体インジェクタに接続され、遠位端が患者の静脈などの血管内に挿入される脈管アクセス装置(vascular access device)に接続された流体経路セットまたは管類を経由して患者に送達される。針、カニューレ、カテーテル、中心ライン、または他の脈管アクセス装置の適切な配置を確実にするために、場合によっては患者の血管において、血管の端部が明瞭であり(すなわち、凝固していないか、さもなければ閉塞されていない)、血管の壁に穴を開けずに血管内に完全に挿入されることを確実にするために、特別な努力が払われることが多い。場合によっては、コントラストおよび/または生理食塩水などの流体が患者の血管ではなく周囲の組織内に注入されるときに管外溢出が起こり得る。患者の組織内へのコントラストおよび/または生理食塩水の管外溢出を回避するとともに、脈管アクセス装置の端部が閉塞されず、血管と流体流通することを確実にするために、開存性チェックが行われてもよい。
【0005】
開存性チェックにより、流体経路セットおよび関連する脈管アクセス装置が患者の血管に流体接続されていることを確認することができる。試験注入が、一定量の生理食塩水などの流体を定送達速度で使用して、電動式流体インジェクタで実行され得る。MEDRAD(登録商標)Stellant Injection SystemやMEDRAD(登録商標)MRXperion MR Injection Systemなどの先行技術の電動式流体インジェクタは、現在、量または流速を変えることができる試験注入を実行することができないため、あるいは試験注入が2つ以上のフェーズを有することができる場合に、流体の送達量および送達速度は固定される。このような試験注入により、臨床医は血管アクセスポイントの適合性をチェックして、診断注入に使用されるのと同じ流速で流体を受け取ることが可能になる。臨床医は、注入部位の近くの領域を視覚的に観察および/または触診して、脈管アクセス装置が血管内に適切に挿入されていることを確実にするとともに、脈管アクセス装置で使用される管類に漏れがないか確認することができる。いくつかの例または態様では、臨床医は、試験注入中に期待圧力が発生したかどうかを判断するために、電動式インジェクタシステム上の圧力グラフを観察することができる。開存性チェックが完了した後、診断注入手順が、プログラミングするか、または別の方法で所望の診断注入プロトコルを選択することによって実行され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の開存性チェック装置および方法は医療分野で知られているが、改良された開存性チェック装置および方法が引き続き要求されている。したがって、電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスを試験するための改良されたシステムおよび方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、試験注入中に流体が送達され得る速度の調整を可能にするために構成された電動式流体インジェクタシステムを使用して血管アクセスの受容性を試験するためのシステム、コンピュータ・プログラム・プロダクト、および方法に関する。本開示はさらに、複数のフェーズを含む試験注入を実行するために構成された電動式流体インジェクタシステムを使用して血管アクセスの受容性を試験するためのシステム、コンピュータ・プログラム・プロダクト、および方法に関する。本開示の様々な例または態様は、以下の番号付き条項のうちの1つまたは複数によって特徴付けられ得る。
【0008】
条項1.少なくとも1つの流体容器内に入れられた少なくとも1つの流体が患者内に注入できるようにする少なくとも1つの駆動部材と動作可能に関連付けられたコントローラを備える流体インジェクタシステムであって、コントローラが、少なくとも1つの診断注入フェーズを含む少なくとも1つの診断注入手順のプログラミングをイネーブルにするためのプログラミングシステムを含み、少なくとも1つの診断注入フェーズに従って、少なくとも1つの流体が画像診断手順のスキャン時間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者内に注入されることになり、プログラミングシステムが、診断注入手順の前に実行されるべき試験注入手順のプログラミングをさらにイネーブルにするためのものであり、試験注入手順が、(a)可変シングルフェーズ試験注入であって、少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能であり、可変シングルフェーズ試験注入の実行中に変えられ得る、可変シングルフェーズ試験注入、および(b)マルチフェーズ試験注入であって、少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、マルチフェーズ試験注入の実行前にマルチフェーズ試験注入のフェーズごとに選択可能である、マルチフェーズ試験注入、の少なくとも一方として実行可能である、流体インジェクタシステム。
【0009】
条項2.試験注入手順は、少なくとも1つの流体が送達されるべき流速および送達されるべき少なくとも1つの流体の量が固定される固定シングルフェーズ試験注入としてさらに実施可能である、条項1に記載の流体インジェクタシステム。
【0010】
条項3.可変シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき少なくとも1つの流体が生理食塩水である、条項1または2に記載の流体インジェクタシステム。
【0011】
条項4.マルチフェーズ試験注入の少なくとも1つのフェーズ中に送達されるべき少なくとも1つの流体が生理食塩水である、条項1~3のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0012】
条項5.可変シングルフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、条項1~4のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0013】
条項6.マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、マルチフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、条項1~5のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0014】
条項7.マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、条項1~6のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0015】
条項8.マルチフェーズ試験注入の場合、少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、条項1~7のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0016】
条項9.可変シングルフェーズ試験注入の実行中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、少なくとも1つの駆動部材の速度を変えることによって変えられる、条項1~8のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0017】
条項10.少なくとも1つの駆動部材の速度が、制御要素を使用する手動入力によって変えられる、条項1~9のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0018】
条項11.制御要素が1つまたは複数のボタンまたはダイヤルである、条項1~10のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0019】
条項12.プログラミングシステムが、少なくとも1つの診断注入フェーズ中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速を、可変シングルフェーズ試験注入の実行中に決定された所望の流速に基づいて調整することを可能にするようにさらに構成される、条項1~11のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0020】
条項13.マルチフェーズ試験注入が、少なくとも、第1の流速を有する第1のフェーズと第1のフェーズに続く第2のフェーズとを含み、第2のフェーズが第2の流速を有する、条項1~12のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0021】
条項14.第2の流速が第1の流速とは異なる、条項1~13のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0022】
条項15.第2の流速が第1の流速よりも高い、条項1~14のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0023】
条項16.試験注入手順および少なくとも1つの診断注入手順が、全体的な注入プロトコルを定義する、条項1~15のいずれかに記載の流体インジェクタシステム。
【0024】
条項17.診断注入手順の前に流体インジェクタシステムを使用して実行されるべき試験注入手順のプログラミングをイネーブルにするためのコンピュータ・プログラム・プロダクトであって、コンピュータ・プログラム・プロダクトが、1つまたは複数の命令を含む少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体を備え、1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、ユーザが、流体インジェクタシステムを介して、可変シングルフェーズ試験注入およびマルチフェーズ試験注入の一方から実行されるべき試験注入手順を選択することをイネーブルにさせて、(a)可変シングルフェーズ試験注入を選択すると、可変シングルフェーズ試験注入中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能であり、可変シングルフェーズ試験注入の実行中に変えられ得る、(b)マルチフェーズ試験注入を選択すると、マルチフェーズ試験注入中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、マルチフェーズ試験注入の実行前にマルチフェーズ試験注入のフェーズごとに選択可能である、ようにする、コンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0025】
条項18.1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、さらに、少なくとも1つのプロセッサに、ユーザが、流体インジェクタシステムを介して、固定シングルフェーズ試験注入を選択することをイネーブルにさせ、したがって、固定シングルフェーズ試験注入を選択すると、固定シングルフェーズ試験注入中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速と固定シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき少なくとも1つの流体の量とが固定される、条項17に記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0026】
条項19.可変シングルフェーズ試験注入中に送達されるべき少なくとも1つの流体が生理食塩水である、条項17または18に記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0027】
条項20.マルチフェーズ試験注入の少なくとも1つのフェーズ中に送達されるべき少なくとも1つの流体が生理食塩水である、条項17~19のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0028】
条項21.可変シングルフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、可変シングルフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、条項17~20のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0029】
条項22.マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、マルチフェーズ試験注入の実行前に選択可能である、条項17~21のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0030】
条項23.マルチフェーズ試験注入の場合、送達されるべき少なくとも1つの流体の量が、マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、条項17~22のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0031】
条項24.マルチフェーズ試験注入の場合、少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、マルチフェーズ試験注入のフェーズごとに異なる、条項17~23のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0032】
条項25.可変シングルフェーズ試験注入の実行中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速が、少なくとも1つの駆動部材の速度を変えることによって変えられる、条項17~24のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0033】
条項26.少なくとも1つの駆動部材の速度が、制御要素を使用する手動入力によって変えられる、条項17~25のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0034】
条項27.制御要素が1つまたは複数のボタンまたはダイヤルである、条項17~26のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0035】
条項28.1つまたは複数の命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つの診断注入フェーズ中に少なくとも1つの流体が送達されるべき流速を、可変シングルフェーズ試験注入の実行中に決定された所望の流速に基づいて調整することをイネーブルにするようにさらに構成される、条項17~27のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0036】
条項29.マルチフェーズ試験注入が、少なくとも、第1の流速を有する第1のフェーズと第1のフェーズに続く第2のフェーズとを含み、第2のフェーズが第2の流速を有する、条項17~28のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0037】
条項30.第2の流速が第1の流速とは異なる、条項17~29のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0038】
条項31.第2の流速が第1の流速よりも高い、条項17~30のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0039】
条項32.試験注入手順および少なくとも1つの診断注入手順が全体的な注入プロトコルを定義する、条項17~31のいずれかに記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【0040】
条項33.少なくとも1つの流体容器内に入れられた少なくとも1つの流体を患者に注入できるようにする少なくとも1つの駆動部材を有する流体インジェクタシステムを使用して試験注入手順を実行するためのコンピュータ実行方法であって、少なくとも1つのプロセッサを使用して、少なくとも1つの駆動部材を第1の駆動速度で駆動して、少なくとも1つの流体を第1の流速で送達するステップと、第1の駆動速度を第1の駆動速度とは異なる第2の駆動速度に変えて、少なくとも1つの流体が送達される流速を第1の流速から第1の流速とは異なる第2の流速に変えるステップと、を含み、第1の駆動速度を第2の駆動速度に変えるステップが、(a)少なくとも1つのプロセッサに動作可能に接続された制御要素を介して、可変シングルフェーズ試験注入中にユーザ入力を受け取るステップ、および(b)少なくとも1つのプロセッサを使用して、マルチフェーズ試験注入の次の試験注入フェーズに進むステップであって、次の試験注入フェーズが第2の駆動速度を含む、ステップの一方を含む、コンピュータ実行方法。
【0041】
条項34.第2の駆動速度が第1の駆動速度よりも高い、条項33に記載のコンピュータ実行方法。
【0042】
条項35.第2の駆動速度が第1の駆動速度よりも低い、条項33に記載のコンピュータ実行方法。
【0043】
条項36.少なくとも1つのプロセッサを使用して、少なくとも1つの駆動部材を駆動する前に送達されるべき少なくとも1つの流体の量を選択するステップをさらに含む、条項33~34のいずれかに記載のコンピュータ実行方法。
【0044】
条項37.少なくとも1つのプロセッサを使用して、少なくとも1つの駆動部材を駆動する前に第1の駆動速度を選択するステップをさらに含む、条項33~36のいずれかに記載のコンピュータ実行方法。
【0045】
条項38.試験注入手順に続いて診断注入手順を実行するステップをさらに含み、診断注入手順が少なくとも1つの診断注入フェーズを含み、少なくとも1つの診断注入フェーズに従って、少なくとも1つの流体が、画像診断手順のスキャン時間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者内に注入されることになる、条項33~37のいずれかに記載のコンピュータ実行方法。
【0046】
条項39.少なくとも1つの診断注入フェーズ中に少なくとも1つの流体が注入されるべき流速が、試験注入手順の実行中に決定された所望の流速に基づく、条項33~38のいずれかに記載のコンピュータ実行方法。
【0047】
電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスの受容性を試験するためのシステム、コンピュータ・プログラム・プロダクト、および方法のこれらおよびその他の特徴および特性、ならびに、構造の関連要素の操作および機能の方法と製造の部品および経済性の組合せとは、そのすべてが本明細書の一部を形成している添付の図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討すると、より明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例示および説明のみを目的としていることを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本開示のいくつかの例または態様による電動式流体インジェクタシステムの概略図である。
【
図2A】本開示のさらなる例または態様による電動式流体インジェクタシステムの斜視図である。
【
図2B】アクセスパネルが開位置にある、
図2Aの電動式流体インジェクタシステムの斜視図である。
【
図3】
図2Aおよび
図2Bの電動式流体インジェクタシステム内の様々な流体経路の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの例または態様による流体経路セットの概略図である。
【
図5】選ぶ対象となる少なくとも2つの試験注入プロトコル、例えば、可変シングルフェーズ試験注入およびマルチフェーズ試験注入を提供する試験注入手順を有する例示的な注入プロトコルを示す流れ図である。
【
図6】
図5の固定シングルフェーズ試験注入に典型的な固定流速を示す例示的な試験注入手順のグラフである。
【
図7】
図5の可変シングルフェーズ試験注入に典型的な時間の関数としての流体流速の調整を示す例示的な試験注入手順のグラフである。
【
図8】
図5のマルチフェーズ試験注入に典型的な複数の試験注入フェーズを示す例示的な試験注入手順のグラフである。
【
図9A】可変シングルフェーズ試験注入のための例示的なユーザインタフェースの図である。
【
図9B】マルチフェーズ試験注入のための例示的なユーザインタフェースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1~
図10では、別段の記載がない限り、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0050】
上記の図は、一般に、本開示のシステムおよび方法の好ましい非限定的な例または態様を示す。この説明では、装置の様々な例または態様を提示するが、この説明は、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示の例または態様の修正、概念、および応用は、本明細書の図および説明によって包含されるが、これに限定されないものとして当業者によって解釈されるべきである。
【0051】
以下の説明は、当業者が、本開示を実施するために企図される記載されている例または態様を製作し使用できるようにするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、および代替が、依然として当業者には容易に明らかになるであろう。そのような修正、変形、等価物、および代替のありとあらゆるものが、本開示の精神および範囲内にあることが意図されている。
【0052】
以下に説明のために、「上方の(upper)」、「下方の(lower)」、「右の(right)」、「左の(left)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」という用語、およびそれらの派生語は、作図で方向付けられているように本開示に関係するものとする。流体経路セットに関して使用される場合、「近位(proximal)」という用語は、電動式流体インジェクタに最も近いライン上の流体経路セットの一部を指す。流体経路セットに関して使用される場合、「遠位(distal)」という用語は、患者上の注入部位に最も近い流体経路セットの一部を指す。流体経路セットまたは電動式流体インジェクタのシリンジに関して使用される場合、「半径方向の(redial)」という用語は、シリンジまたは投与ラインの縦軸線に垂直な断面平面における方向を指す。流体経路セットまたは電動式流体インジェクタのシリンジに関して使用される場合、「周方向の(circumferential)」という用語は、シリンジまたは投与ラインの側壁の内面または外面の周囲の方向を指す。流体経路セットまたは電動式流体インジェクタのシリンジに関して使用される場合、「軸線方向の(axial)」という用語は、近位端と遠位端との間に延びるシリンジまたは流体経路セットの縦軸線に沿った方向を指す。
【0053】
注入手順について本明細書で使用される場合、「プロトコル(protocol)」という用語は、注入手順中に患者に送達されるべき1個または複数の流体の量を定義する、流速、注入される量、継続時間などのパラメータのグループを指す。そのようなパラメータは、注入手順の過程で変化する可能性がある。本明細書で使用される場合、「フェーズ(phase)」という用語は、一般に、注入手順の全継続時間未満であり得る期間(またはフェーズ継続時間)中に患者に送達されるべき1個または複数の流体の量を定義するパラメータのグループを指す。したがって、フェーズのパラメータは、フェーズの継続時間に対応する時間インスタンスにわたる注入の説明を提供する。特定の注入手順のための注入プロトコルは、例えば、シングルフェーズ、または2つ以上のフェーズ(マルチフェーズ)とすることができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「~の少なくとも1つ(at least one of)」という用語は、「~の1つまたは複数(one or more of)」と同義である。例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つ(at least one of A,B,and C)」という句は、A、B、およびCのいずれか1つ、またはA、B、およびCのいずれか2つ以上の任意の組合せを意味する。例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つ」は、Aのみの1つまたは複数、またはBのみの1つまたは複数、またはCのみの1つまたは複数、またはAの1つまたは複数とBの1つまたは複数、またはAの1つまたは複数とCの1つまたは複数、またはBの1つまたは複数とCの1つまたは複数、またはA、B、およびCのすべての1つまたは複数、を含む。同様に、本明細書で使用される場合、「~の少なくとも2つ(at least two of)」という用語は、「~の2つ以上(two or more of)」と同義である。例えば、「D、E、およびFの少なくとも2つ(at least two of D,E,and F)」という句は、D、E、およびFのいずれか2つ以上の任意の組合せを意味する。例えば、「D、E、およびFの少なくとも2つ」は、Dの1つまたは複数とEの1つまたは複数、またはDの1つまたは複数とFの1つまたは複数、またはEの1つまたは複数とFの1つまたは複数、またはD、E、およびFのすべての1つまたは複数、を含む。
【0055】
また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示されている例に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定するものと見なされるべきではない。
【0056】
本発明は、本明細書では主にMEDRAD(登録商標)Centargo CT Injection Systemに関連して説明されるが、本発明が多種多様な注入システムに適用され得ることは当業者には明らかであろう。この種の注入システムの例としては、MEDRAD(登録商標)Stellant CT Injection System、MEDRAD(登録商標)Stellant FLEX CT Injection System、およびMEDRAD(登録商標)MRXperion MR Injection System(これらはすべてBayer HealthCare LLCによって提供される)、ulrich medicalによって提供されるulrichINJECT CT motion(商標)CT Contrast Media Injector、ならびにBracco Diagnostics Inc.によって提供されるCT Expres(登録商標)3D Contrast Media Delivery Systemがある。
【0057】
同様の参照文字が図面のいくつかの図を通して同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、一般に、本明細書に記載されるように、試験注入フェーズおよび/または複数の試験注入フェーズ中に流体送達速度を調整することにより血管アクセスの受容性を試験するために構成された電動式流体インジェクタシステム100(以下、「流体インジェクタシステム100’’」)を対象とする。一般に、流体インジェクタシステム100は、本明細書に記載されるように、電動式インジェクタアドミニストレータ(powered injector administrator)または装置と、1つまたは複数の流体を圧力下の1つまたは複数の多回投与容器から患者内に送達するためにインジェクタに関連付けられるように意図された流体送達セットと、を有する。流体インジェクタシステム100および流体インジェクタシステム100に関連する流体送達セットの様々な装置、構成要素、および特徴は、同様に本明細書で詳述される。
【0058】
図1を参照すると、流体インジェクタシステム100は、流体経路セット160と流体接続する少なくとも1つのリザーバ132を有する。少なくとも1つのリザーバ132は、造影剤、生理食塩水溶液、または任意の所望の医療用流体など、少なくとも1つの流体Fで充填されるように構成される。少なくとも1つのリザーバ132からの少なくとも1つの流体Fは、流体経路セット160を使用して患者に送達することができる。少なくとも1つのリザーバ132は予め充填されてもよく、または少なくとも1つの流体で充填される能力を有していてもよい。少なくとも1つのリザーバ132は、少なくとも1つのシリンジ、少なくとも1つのローリング・ダイヤフラム・シリンジ、少なくとも1つのボトル、または少なくとも1つの折り畳み式バッグであり得る。
【0059】
システム100は、流体経路セット160を使用して流体Fを少なくとも1つのリザーバ132から患者に送達するように構成された自動または電動式流体インジェクタなどの流体インジェクタ101をさらに含む。例えば、インジェクタ101は、流体Fを少なくとも1つの流体リザーバ132から流体経路セット160を経由して送達するために、少なくとも1つのリザーバ132のプランジャ144をピストンなどの駆動部材103で駆動するように構成され得る。少なくとも1つの駆動部材103は、少なくとも1つのリザーバ132を選択的に充填するか、または少なくとも1つのリザーバ132から流体を送達するために、往復動作可能であり得る。いくつかの例または態様では、インジェクタ101は、少なくとも1つのリザーバ132を解放可能に受容するように構成され得る。インジェクタ101は、マルチシリンジインジェクタとすることができ、複数のシリンジが、並列にまたは別の空間的関係で配向されてもよく、インジェクタ101に関連するそれぞれのピストンによって別々に作動される。
【0060】
引き続き
図1を参照すると、少なくとも1つのリザーバ132からの流体の流れは、様々な弁、ストップコック、および流速調整構造を操作して、注入流速、継続時間、全注入量など、ユーザが選択した注入パラメータに基づいて患者への少なくとも1つの流体Fの送達を調整するように構成される流体制御モジュールまたはコントローラ123によって調整され得る。コントローラ123は、一般に様々な機能を実行するように構成され、コントローラ123の機能は、本明細書に記載されるように、試験注入手順中の流体送達速度および/または試験注入手順中の複数の試験注入フェーズを調整することにより、血管アクセスの受容性を試験するのを助ける能力を有する。
【0061】
図2Aを参照すると、本開示のいくつかの例または態様による流体インジェクタシステム100が示されている。流体インジェクタシステム100は、対向側面104、遠位端または上端106、および近位端または下端108を有するインジェクタハウジング102を備える流体インジェクタ101を含む。ハウジング102は、床面上にハウジング102を回転可能にかつ可動に支持するための1つまたは複数のホイール112を有するベース110上に支持され得る。1つまたは複数のホイール112は、ハウジング102が所望の場所に配置されたときに不注意に移動するのを防ぐためにロック可能であってもよい。流体インジェクタシステム100の移動および位置決めを容易にするために、少なくとも1つのハンドル114が設けられてもよい。他の例または態様では、ハウジング102は、床、天井、壁、または他の構造などの固定表面に取外し可能にまたは取外し不可能に固定され得る。ハウジング102は、様々な機械的駆動構成要素と、機械的駆動構成要素を駆動するために必要な電気および電力構成要素と、本明細書に記載される流体インジェクタシステム100に関連する駆動部材103(
図3に示される)などの往復移動可能な駆動部材の動作を制御するために使用される電子メモリおよび電子制御装置(以下、1個または複数の電子制御装置)などの制御構成要素と、を囲む。そのような駆動部材103は、モータによって駆動されるボールねじシャフト、ボイス・コイル・アクチュエータ、ラックアンドピニオン式歯車駆動部、リニアモータなどの電気機械的駆動構成要素により往復動作可能であり得る。いくつかの例または態様では、機械的駆動構成要素、電気および電力構成要素、および制御構成要素の少なくともいくつかがベース110上に設けられてもよい。
【0062】
図2Bを参照し、引き続き
図2Aを参照すると、流体インジェクタシステム100は、機械的駆動構成要素、電気および電力構成要素、ならびに制御構成要素の少なくともいくつかを囲む少なくとも1つの扉116を有する。扉116は、望ましくは、開位置(
図2Bに示される)と閉位置(
図2Aに示される)との間で矢印Aの方向に移動可能である。いくつかの例または態様では、扉116はロック可能であり得る。
【0063】
流体インジェクタシステム100は、少なくとも1つのバルク流体源120と接続するための少なくとも1つのバルク流体コネクタ118をさらに含む。いくつかの例または態様では、複数のバルク流体コネクタ118が設けられてもよい。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示されるように、3つのバルク流体コネクタ118が並列配置または他の配置で設けられてもよい。いくつかの例または態様では、少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、小瓶、瓶、袋などの少なくとも1つのバルク流体源120に取外し可能に接続するように構成されたスパイクであり得る。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、それぞれの新しいバルク流体源120との再利用可能または再利用不可能なインタフェースを有することができる。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、本明細書に記載されるように、多患者用使い捨てセットを有する管類上に形成されるか、またはそれによって装着され得る。少なくとも1つのバルク流体源120は、流体インジェクタシステム100に送達される生理食塩水、造影対照液、または他の医療用流体などの医療流体を受容するように構成され得る。ハウジング102は、少なくとも1つのバルク流体源120が流体インジェクタシステム100に接続されるとこのバルク流体源120を支持するための少なくとも1つの支持部材122を有することができる。
【0064】
流体インジェクタシステム100は、コントローラ123と動作可能に関連付けられ得る。コントローラ123は、ユーザが注入パラメータを手動で選択すること、または事前定義された注入プロトコルを選択することを可能にすることにより、流体インジェクタシステム100の動作を制御するように適合され得る。いくつかの態様では、コントローラ123は、ユーザ間で注入パラメータを手動で選択するか、または事前定義された注入プロトコルを選択できるようにするために、1つまたは複数のボタン、ノブ、タッチパッド、ディスプレイ、スイッチ、ダイヤル、または他の入力および/または出力装置を有することができる。あるいは、この機能は、外部制御ユニットまたは流体インジェクタシステム100と共に存在していてもよい。いずれの場合でも、コントローラ123は、例えば、以下に限定されるものではないが、注入圧力、患者に送達されるべき様々な流体の量および流速、および/または患者に送達されるべき様々な流体の比率を制御する。
【0065】
図2Aを参照すると、流体インジェクタシステム100は、コントローラ123を介して流体インジェクタシステム100の1つまたは複数の態様を制御するための、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)・ディスプレイ・ウィンドウなどの1つまたは複数のユーザインタフェース124を含む。ユーザインタフェース124は、現在の流速、流体圧力、流体インジェクタシステム100に接続された少なくとも1つのバルク流体源120に残っている量など、流体インジェクタシステム100を対象とする流体注入手順に関連する情報を表示することができる。ユーザインタフェース124は、オペレータが流体インジェクタシステム100の運転のためのコマンドおよび/またはデータを入力することを可能にするタッチスクリーンGUIであり得る。例えば、1つまたは複数のボタン、ノブ、タッチパッド、ディスプレイ、スイッチ、ダイヤル、またはその他の入力および/または出力制御部は、ユーザが注入パラメータを手動で選択するか、または事前定義された注入プロトコルを選択することを可能にするために、タッチスクリーンGUIのユーザ選択可能領域として明示され得る。ユーザインタフェース124は、コントローラ123と共にインジェクタハウジング102上に示されるが、いくつかの例または態様では、ユーザインタフェース124は、ハウジング102に取外し可能に接続され、ハウジング102と有線でまたは無線リンクされて通信するタブレットであり得る。
【0066】
引き続き
図2Aを参照すると、流体インジェクタシステム100および/またはユーザインタフェース124は、流体インジェクタシステム100の付帯オペレータによる触覚操作のための少なくとも1つの制御ボタン126を含むことができる。特定の例または態様では、少なくとも1つの制御ボタン126は、オペレータがコマンドおよび/またはデータを入力するためのキーボードの一部であってもよい。少なくとも1つの制御ボタン126は、1個または複数の電子制御装置への直接入力を可能にするために、流体インジェクタシステム100に関連する1個または複数の電子制御装置に結線で接続され得る。少なくとも1つの制御ボタン126はまた、タッチスクリーンなどのユーザインタフェース124のグラフィック部分であってもよい。いずれの配置構成でも、少なくとも1つの制御ボタン126は、以下に限定されるものではないが、(1)患者、試験注入手順、および/または診断注入手順に関連する情報および/またはデータを入力すること、(2)流体インジェクタシステム100の充填/パージを開始および/または確認すること、(3)試験注入手順または診断注入手順を開始/停止すること、など、流体インジェクタシステム100の付帯オペレータに特定の個別制御機能を提供することが望ましい。本明細書で使用される場合、「試験注入手順」は、注入部位の開存性を試験する目的で流体インジェクタシステム100を使用する流体送達手順を指すが、「診断注入手順」は、画像化手順中にコントラストを送達するときなど、注入部位の開存性を試験する以外の診断評価を目的として流体インジェクタシステム100を使用する流体送達手順を指す。
【0067】
図2Bを参照すると、流体インジェクタシステム100は、1つまたは複数の流体を1つまたは複数のバルク流体源120から患者に送達するために流体インジェクタシステム100に取外し可能に接続される多患者用使い捨てセット(MUDS)130を有することができる。MUDS 130は、本明細書に記載されるように、流体経路セットを使用して流体を送達するために構成され得る。本開示の流体インジェクタシステム100の実施形態のための適切なMUDS 130および流体経路セットの構成の例が、国際特許出願公開第2016/112163号パンフレットおよび国際特許出願公開第2105/106107号パンフレットに記載されており、両パンフレットのそれぞれの開示は、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0068】
流体インジェクタシステム100は、本明細書に記載されるように、単回使用使い捨てセットをMUDS 130に解放可能に接続するための少なくとも1つのスロットまたは接続ポート128(
図2Aに示される)を含む。MUDS 130は、1つまたは複数の流体リザーバまたはシリンジ132を含むことができる。いくつかの例または態様では、シリンジ132の数は、バルク流体源120の数に対応することができる。例えば、
図2Bを参照すると、特定の例または態様では、MUDS 130は、各シリンジ132がバルク流体源120のうちの1つに流体接続できるように並列配置で3つのシリンジ132を有する。1つまたは複数のバルク流体源120が、MUDS 130の1つまたは複数のシリンジ132に接続され得る。各シリンジ132は、対応するバルク流体コネクタ118および関連するMUDS流体経路134により、バルク流体源120のうちの1つに流体接続可能であり得る。MUDS流体経路134は、バルク流体コネクタ118に接続するスパイク要素を有することができる。いくつかの例または態様では、バルク流体コネクタ118は、MUDS 130上に直接設けられてもよい。
【0069】
図3を参照すると、各シリンジ132は、前端または遠位端140および後端または近位端142を有する細長い実質的に円筒形のシリンジ本体138を有する。シリンジプランジャ144がシリンジ本体138内に配置され、流体インジェクタシステム100に関連する駆動部材103の動きにより、シリンジ本体138内で往復移動可能である。シリンジ本体138の遠位端140は、本明細書に記載されるように、略円錐の形をしており、頂点または円錐点にかけて先細になっており、頂点または円錐点は、流体インジェクタシステム100内に画定された凹部に形成される対応する頂点曲線と相互作用するように適合される。シリンジの頂点または円錐点は、シリンジ本体138の中心縦軸線Lに沿って配置される。各シリンジ132は、頂点または円錐点の末端に放出口または導管146を有する。各シリンジ132の放出口146は弁136と流体流通し、弁136は、マニホルド148およびバルク流体コネクタ118との流体流通を行う。マニホルド148は、シリンジ132を単一の一体構造として取り扱うことができるように、シリンジ132に対する支持をすることもできる。シリンジ132は、並列向きに、またはシリンジ132の相対配置を保持する他の向きに配置され得る。
【0070】
引き続き
図3を参照すると、ストップコック弁などの1つまたは複数の弁136は、どの医療用流体または医療用流体の組合せが多回投与バルク流体源120から吸引され、かつ/または各シリンジ132を通って患者に送達されるかを制御するために構成され得る。いくつかの例または態様では、1つまたは複数の弁136は、複数のシリンジ132の遠位端140上またはマニホルド148上に設けられてもよい。マニホルド148は、弁136および/またはシリンジ132を介して、各シリンジ132を対応するバルク流体源120に接続するMUDS流体経路134の第1の端部と流体流通することができる。MUDS流体経路134の反対側の第2の端部は、バルク流体源120と流体接続するために構成された当該バルク流体コネクタ118に接続され得る。
【0071】
1つまたは複数の弁136の位置に応じて、流体は1つまたは複数のシリンジ132内に吸い込まれてもよく、あるいは流体は1つまたは複数のシリンジ132から送達されてもよい。シリンジ132の充填中などの第1の位置では、1つまたは複数の弁136は、流体がバルク流体源120からMUDS流体経路134などの流体入口ライン150を通って所望のシリンジ132内に流入するように方向付けられる。充填手順中、1つまたは複数の弁136は、1つまたは複数の流体出口ライン152またはマニホルド148を通る流体の流れが遮断されるように配置される。流体送達手順中などの第2の位置では、1つまたは複数のシリンジ132からの流体が、1つまたは複数の流体出口ライン152またはシリンジ弁出口ポートを通ってマニホルド148に送達される。
【0072】
流体送達手順中、1つまたは複数の弁136は、1つまたは複数の流体入口ライン150を通る流体の流れが遮断されるように配置され得る。第3の位置では、1つまたは複数のシリンジ132の内外へのすべての流体の流れが、例えば、1つまたは複数の弁136を、シリンジ132の内部と流体入口ライン150か1つまたは複数の流体出口ライン152/マニホルド148のどちらかとの間に流体流通がない位置に向けさせることによって遮断され得る。1つまたは複数の弁136、流体入口ライン150、および/または流体出口ライン152は、マニホルド148に組み込まれてもよい。1つまたは複数の弁136は、手動または自動ハンドリングにより、第1の位置、第2の位置、または第3の位置に選択的に配置され得る。例えば、オペレータは、1つまたは複数の弁136を充填または流体送達のための所望の位置に位置付けることができる。他の例では、流体インジェクタシステム100の少なくとも一部は、本明細書に記載されるように、オペレータによる入力に基づいて1つまたは複数の弁136を充填または流体送達のための所望の位置に自動的に位置付けるために動作可能である。例えば、オペレータ入力は、ユーザインタフェース124を介して入力されてもよい。
【0073】
引き続き
図3を参照すると、いくつかの例または態様では、流体出口ライン152はまた、流体インジェクタシステム100上の廃棄物リザーバ156に接続され得る。廃棄物リザーバ156は、汚染を防止するためにシリンジ132から分離していることが望ましい。いくつかの例または態様では、廃棄物リザーバ156は、例えば、プライミング動作中に、シリンジ132から排出された廃棄物流体を受け入れるように構成される。廃棄物リザーバ156は、廃棄物リザーバ156の内容物を処分するために、ハウジング102から取外し可能であってもよい。他の例では、廃棄物リザーバ156は、ハウジング102から廃棄物リザーバ156を取り外すことなく廃棄物リザーバ156の内容物を空にするための排出ポート(図示せず)を有することができる。いくつかの例または態様では、廃棄物リザーバ156は、MUDS 130とは別の構成要素として設けられる。
【0074】
図4を参照すると、本開示の一例または一態様による流体経路セット160が示されている。流体経路セット160は、MUDS 130および/または流体インジェクタシステム100のハウジング102の少なくとも一部上の接続ポート128(
図2Aに示される)に接続するために構成される。接続ポート128は、MUDS 130上の流体出口ライン152と流体流通していてもよい。望ましくは、流体経路セット160と接続ポート128との間の接続は、流体経路セット160が選択的に接続ポート128から切り離され接続ポート128に接続されることを可能にする解放可能な接続である。いくつかの例または態様では、流体経路セット160は、各流体送達手順の後で接続ポート128から切り離され廃棄されてもよく、新しい流体経路セット160が後続の流体送達手順のために接続ポート128に接続されてもよい。
【0075】
引き続き
図4を参照すると、流体経路セット160は、接続ポート128との解放可能な接続のために構成された流体入口ポート164を有し、流体入口ポート164は、流体インジェクタシステム100から送達された流体を接続ポート128から受け取る。流体経路セット160は、脈管アクセス装置168に接続するために構成された流体出口ポート166をさらに有する。いくつかの例または態様では、流体出口ポート166は、脈管アクセス装置168に接続するために構成されたルアー型取付具または他の接続機構であり得る。流体入口ポート164および流体出口ポート166は、第1の管腔171を有する第1の管類170によって流体接続される。
【0076】
引き続き
図4を参照すると、いくつかの例または態様では、脈管アクセス装置168は、患者の腕または脚の微小血管内に配置するために構成された末梢ラインであり得る。他の例または態様では、脈管アクセス装置168は、患者のより大きな血管内に配置するために構成された中心ラインであり得る。様々な脈管アクセス装置168の例としては、限定するものではないが、末梢静脈カテーテル(PIV)、正中カテーテル、末梢挿入型中心カテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル(CVC)、および埋込みポートがある。いくつかの例または態様では、脈管アクセス装置168は、流体出口ポート166に接続するために構成されたコネクタ172を有することができる。脈管アクセス装置168は、第2の管腔175を有する第2の管類174をさらに備える。脈管アクセス装置168の遠位端176は、血管内に配置され、血管への流体送達を可能にするように構成される。
【0077】
流体インジェクタシステム100の構造を説明してきたので、ここで例示的な注入手順について
図5を参照して説明する。流体インジェクタシステム100によって実行される注入手順は、コンピュータプログラムによってイネーブルにされ得る。コンピュータ・プログラム・プロダクトは、少なくとも1つのプロセッサに注入手順の全部または一部を実行させるために、少なくとも1つのプロセッサで実行可能な1つまたは複数の命令を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。いくつかの例または態様では、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体および少なくとも1つのプロセッサはそれぞれ、
図10を参照してより詳細に後述するように、メモリ206およびプロセッサ204を含むか、またはメモリ206およびプロセッサ204に対応することができる。いくつかの例または態様では、注入手順は、例えば、注入されるべき流体の流速、量、およびタイプなど、事前に選択されたパラメータのグループを有する注入手順プロトコルとして構成され得る。注入手順プロトコルは、試験注入プロトコルや診断注入プロトコルなど、1つまたは複数のサブプロトコルを有することができる。画像化手順に応じて、臨床医は、所望の試験注入サブプロトコルおよび所望の診断注入サブプロトコルを有する注入手順プロトコルを設計することができる。プロトコルの選択および入力、注入パラメータ、注入フェーズ情報および遅延の保存および編集、などは、流体インジェクタシステム101のユーザインタフェース124を介して行われてもよい。
【0078】
注入手順プロトコルは、試験注入手順サブプロトコルが最初に実行されるようにセットアップされてもよく、それにより、臨床医は注入部位の開存性を検証することが可能になる。試験注入手順サブプロトコルの終了後、診断注入手順サブプロトコルが実行されてもよく、その間に少なくとも1つの診断注入フェーズが実行され、この診断注入フェーズに従って、少なくとも1つの流体は、少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者に注入されることになる。いくつかの例または態様では、試験注入手順は、注入手順プロトコルとは無関係にかつ注入手順プロトコルの一部ではなく実行され得る。本明細書に記載されるように、試験注入手順は、臨床医が針、カニューレ、カテーテル、中心ライン、または他の脈管アクセス装置の適切な配置を確実にするのを支援するために、場合によっては、患者の脈管構造において、脈管構造の端部が明瞭であり(すなわち、凝固していないか、さもなければ閉塞されていない)、血管内に、壁に穴を開けずに血管内に完全に挿入されていることを確実にするのを支援するために構成され得る。
【0079】
引き続き
図5を参照すると、ステップ200において、注入手順プロトコルが選択される。いくつかの例または態様では、注入手順プロトコルは、プロトコルライブラリの一部として流体インジェクタシステム100のコントローラ123に保存され得る。所望の注入手順プロトコルが、ユーザインタフェース124を介して呼び出され得る。いくつかの例または態様では、所望の注入手順プロトコルを選択すると、その注入手順用の試験注入プロトコルが自動的に選択される。他の例または態様では、ユーザは、全体的な注入手順プロトコルの一部として実行されるべき所望の試験注入プロトコルを独立に選択することができる。例えば、試験注入手順は、ステップ202において、ハウジング102上のボタン126またはユーザインタフェース124を押すかまたは選択することによって選択され得る。いくつかの例または態様では、ボタン126は、ボタン126を押すかまたは選択すると、開存性チェックを実行するための試験注入手順がイネーブルになることを示すために、「試験注入」などのラベルを有することができる。ボタン126を押すかまたは選択すると、試験注入プロトコルを制御または編集するために、ユーザインタフェース124上に利用可能なコマンドのメニューを表示することができる。
【0080】
引き続き
図5を参照すると、ステップ202a、202b、202cで、複数の試験注入プロトコルのうちの1つが選択され得る。いくつかの例または態様では、試験注入プロトコルの選択は、ステップ200での全体的な注入プロトコルの選択により自動的に行われてもよい。他の例または態様では、ユーザは、所望の試験注入プロトコルを独立に選択することができる。例えば、ユーザインタフェース124は、複数の利用可能な試験注入プロトコルを有するメニューを提示することができる。ユーザは、所望の流体、試験注入手順中の流体の流速、および/または試験注入手順中に送達される流体の量に基づいて、所望の試験注入プロトコルを選ぶことができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、ステップ202で以下の試験注入プロトコル、すなわち(a)固定シングルフェーズ試験注入(202a)、(b)可変シングルフェーズ試験注入(202b)、または(c)マルチフェーズ試験注入(202c)、の1つを選択することができる。
【0081】
固定シングルフェーズ試験注入(202a)では、コントローラ123は、流体インジェクタ101を制御して目標流速で一定量の流体を送達する。引き続き
図5を参照すると、試験注入を開始する前に、ステップ204aで、ユーザは、試験注入手順中に流体が患者に送達されるべき流体の量および流速の少なくとも一方を選択することができる。いくつかの例または態様では、ユーザインタフェース124は、従うべき診断注入手順に対する試験注入条件をシミュレートする提案された量および/または流速の値を表示することができる。この量および流速は事前設定されてもよく、ユーザは、試験注入手順を開始する前に、事前選択された値を変更することが許可されてもよい。固定シングルフェーズ試験注入(202a)の量は、事前設定されたデフォルト、または以前の試験注入手順に使用された履歴量に基づくことができる。いくつかの例または態様では、この量は、試験注入手順を開始する前に変更され得る。例えば、固定シングルフェーズ試験注入(202a)中に送達される流体の量を調整するためのインタフェースが、ユーザインタフェース124上に表示され得るので、ユーザは、ユーザインタフェース124上で適切な選択をすることにより、流体の所望の量を事前設定されたデフォルトから増大または減少させることが可能になる。同様に、固定シングルフェーズ試験注入(202a)の流速は、事前設定されたデフォルト、または以前の試験注入手順に使用された履歴流速に基づくことができる。いくつかの例または態様では、流速は、試験注入手順を開始する前に変更され得る。例えば、固定シングルフェーズ試験注入(202a)中に送達される流体の流速を調整するためのインタフェースが、ユーザインタフェース124上に表示され得るので、ユーザは、ユーザインタフェース124上で適切な選択をすることにより、所望の流速を事前設定されたデフォルトから増大または減少させることが可能になる。
【0082】
引き続き
図5を参照すると、ステップ204aで固定シングルフェーズ試験注入(202a)の所望の量および流速を選択した後、選択された固定シングルフェーズ試験注入(202a)はステップ206aで実行される。このステップでは、少なくとも1つのリザーバ132からの流体Fが、流体インジェクタ101を使用して少なくとも1つのリザーバ132から流体Fを駆動することにより、流体経路セット160を経由して患者に送達される。例えば、固定シングルフェーズ試験注入(202a)は、ステップ204aで選択された事前選択された量および流速での生理食塩水などの1つの流体の注入を含むことができる。固定シングルフェーズ試験注入(202a)は、例えば、ユーザインタフェース124上で「Start」とラベル付けされたラベル付けされたボタン126を選択することによって開始され得る。固定シングルフェーズ試験注入(202a)の流速を時間の関数として示すグラフが
図6に示されている。試験注入の開始を示す時間T
1に、流体インジェクタ101は、流速を目標流速F
1まで急速に増加させる。この目標流速は、所定の量の流体が送達されるまで試験注入全体にわたって維持され、この時点で試験注入は時間T
2に終了する。
【0083】
試験注入中、ユーザは、注入部位を視覚的に観察および/または触診することにより、試験注入を評価する。ユーザはさらに、事前選択された量および流速で達成された画像の品質を観察することができる。所定の量の流体が送達されるときなど、固定シングルフェーズ試験注入(202a)の終わりに、流体インジェクタ101は、ステップ208aで試験注入手順を自動的に終了することができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、例えば、「End」とラベル付けされたボタンを選択するかまたは押して流体インジェクタ101に流体の送達を停止させることにより、試験注入中にいつでも試験注入手順を終了するオプションを有することができる。いくつかの例または態様では、試験注入手順を終了した後、診断注入プロトコルがステップ210aで開始することができる。いくつかの例または態様では、ステップ210aでの診断注入プロトコルは少なくとも1つの診断注入フェーズを含むことができ、この診断注入フェーズに従って、少なくとも1つの流体が、画像診断手順のスキャン時間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者内に注入されことになる。少なくとも1つの診断注入フェーズ中に少なくとも1つの流体が注入されるべき流速は、ステップ206a~208aでの試験注入手順の実行中に決定された所望の流速に基づいて自動的に調整され得る。
【0084】
引き続き
図5を参照すると、可変シングルフェーズ試験注入(202b)では、コントローラ123は、流体インジェクタ101を制御して流体を第1の流速で送達し、試験注入手順中に第1の流速から第2の流速への変化を可能にする。いくつかの例または態様では、第1の流速は、第2の流速より高くても低くてもよい。第2の流速は、診断試験手順中に流体が注入されるべき速度に対応することができる。ユーザは、試験注入が進行するにつれて、流速を第1の流速から第2の流速へ手動で増大または減少させることができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、可変シングルフェーズ試験注入中に流体インジェクタシステム100上の圧力グラフを観察し、圧力グラフの出力に基づいて流速を増大または減少させることができる。
【0085】
試験注入を開始する前に、ステップ204bで、ユーザは、試験注入手順の開始時に流体が患者に送達されるべき流体の量および第1の流速の少なくとも一方を選択することができる。この量および第1の流速は事前設定されてもよく、ユーザは、試験注入手順を開始する前に、事前選択された値を変更することが許可されてもよい。可変シングルフェーズ試験注入(202b)の量は、事前設定されたデフォルト、または以前の試験注入手順に使用された履歴量に基づくことができる。いくつかの例または態様では、この量は、試験注入手順を開始する前に変更され得る。例えば、可変シングルフェーズ試験注入(202b)中に送達される流体の量を調整するためのインタフェースが、ユーザインタフェース124上に表示され得るので、ユーザは、ユーザインタフェース124上で適切な選択をすることにより、流体の所望の量を事前設定されたデフォルトから増大または減少させることが可能になる。同様に、可変シングルフェーズ試験注入(202b)の第1の流速は、事前設定されたデフォルト、または以前の試験注入手順に使用された履歴流速に基づくことができる。いくつかの例または態様では、第1の流速は、試験注入手順を開始する前に変更され得る。例えば、可変シングルフェーズ試験注入(202b)中に送達される流体の第1の流速を調整するためのインタフェースが、ユーザインタフェース124上に表示され得るので、ユーザは、ユーザインタフェース124上で適切な選択をすることにより、所望の第1の流速を事前設定されたデフォルトから増大または減少させることが可能になる。
【0086】
可変シングルフェーズ試験注入(202b)の所望の量および第1の流速を選択した後、選択された可変シングルフェーズ試験注入(202b)はステップ206bで実行される。このステップでは、少なくとも1つのリザーバ132からの流体Fが、流体インジェクタ101を使用して少なくとも1つのリザーバ132から流体Fを駆動することにより、流体経路セット160を経由して患者に送達される。例えば、可変シングルフェーズ試験注入(202b)は、ステップ204bで選択された事前選択された量および第1の流速での生理食塩水などの1つの流体の注入を含むことができる。可変シングルフェーズ試験注入(202b)は、例えば、ユーザインタフェース124上で「Start」とラベル付けされたボタン126を選択することによって開始され得る。
【0087】
試験注入中、ユーザは、注入部位を視覚的に観察および/または触診することにより、試験注入を評価する。ステップ207bで、ユーザは、流体が送達されるときに、流体の流速を第1の流速から第2の流速または目標流速に調整するまたは変えることを選ぶことができる。例えば、ユーザは、流速を第1の流速から第2の流速へ増大または減少させることができる。
図9Aに示されるようないくつかの例または態様では、試験注入中に流速を調整するためのインタフェースが、ユーザインタフェース124上に表示され得るので、ユーザは、ユーザインタフェース124上で適切な選択をすることにより、所望の流速を第1の流速から増大または減少させることが可能になる。例えば、
図9Aに示されるように、ユーザインタフェース124は、試験注入中に流速を増加または減少させるための制御要素127を有することができる。
図9Aは、制御要素127をユーザインタフェース124上に表示されたボタンとして示しているが、制御要素127は物理的要素であってもよい。ユーザはさらに、ユーザインタフェース124上で第1の流速の圧力グラフ129を観察することができる。試験注入中にユーザインタフェース124を通る流速を増加または減少させると、圧力グラフ129に対応する影響を及ぼし、それにより、ユーザは、診断注入手順中に使用されるべき最適流速を決定することが可能になる。言い換えると、流速のライブ調整が、注入部位からの観測済みフィードバック、圧力グラフ129、および患者の反応に基づいて実行することができる。
【0088】
図9Aを参照すると、ユーザインタフェース124の領域131は可変シングルフェーズプロトコルの流速を識別し、領域133は送達されるべき流体の量を識別する。領域135は、送達されるべき流体のタイプを識別する。注入部位が開存していない場合の患者の組織内への生理食塩水の浸潤の厳格さは、コントラストが使用される場合ほど厳格ではないため、通常、生理食塩水が試験注入に使用される。試験注入手順を開始する前に、ユーザは、これらの領域のいずれかを押すことによりこれらのパラメータを変更し、それによりプロトコル編集モードまたはユーザインタフェースに切り替えることができる。このモード/ユーザインタフェースでは、ユーザは、流体の流速、量、およびタイプを所望の流速、量、およびタイプに変更し保存することができる。ユーザインタフェース124は、注入を一時停止するための制御部143および注入を停止するための制御部145をさらに有することができる。
【0089】
他の例または態様では、流体インジェクタ101は、試験注入中に流速を調整するための1つまたは複数の物理的ボタン126またはダイヤルを有することができる。いくつかの例では、ユーザは、流速に対する調整を第1の流速から複数回行うことができる。例えば、ユーザは、最初に、流速を第1の流速から第2の流速に増加(または減少)させ、その後、第2の流速からの1回または複数回の流速調整を続けることができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、圧力グラフ129が所望の圧力値を示すまで、流速を増加(または減少)させ続けることができる。可変シングルフェーズ試験注入(202b)の終わりに、流体インジェクタ101は、ステップ208bで試験注入手順を自動的に終了することができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、例えば、「End」とラベル付けされたボタンを選択するかまたは押して流体インジェクタ101に流体の送達を停止させることにより、試験注入中にいつでも試験注入手順を終了するオプションを有することができる。いくつかの例または態様では、試験注入手順を終了した後、診断注入プロトコルがステップ210bで開始することができる。いくつかの例または態様では、ステップ210bでの診断注入プロトコルは少なくとも1つの診断注入フェーズを含むことができ、この診断注入フェーズに従って、少なくとも1つの流体が、画像診断手順のスキャン時間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の強調をもたらすように患者内に注入されることになる。少なくとも1つの診断注入フェーズ中に少なくとも1つの流体が注入されるべき流速は、ステップ206b~208bでの試験注入手順の実行中に決定された所望の流速に基づいて自動的に調整され得る。
【0090】
試験注入手順の結果に応じて、ユーザは診断注入手順の注入パラメータを調整することができる。例えば、ユーザは、圧力グラフの出力など、試験注入手順中に行われた観察に基づいて、流速を増加または減少させることなどにより、診断注入手順の事前にプログラムされた流速を調整することができる。
【0091】
可変シングルフェーズ試験注入(202b)の流速を時間の関数として示す例示的なグラフが
図7に示されている。試験注入の開始を示す時間T
1に、流体インジェクタ101は、流速を第1の流速F
1まで急速に増加させる。試験注入の過程で、ユーザは、時間T
2に、流速を第1の流速F
1から第2の流速または目標流速F
2に増加させることができる。
図7は、第2の流速または目標流速F
2が第1の流速F
1よりも高いことを示しているが、第2の流速または目標流速F
2は第1の流速F
1より低くてもよい。さらに、各流速は同じ継続時間を有するものとして示されているが、各流速の継続時間は異なっていてもよい。さらに、
図7は、第1の流速F
1から第2の流速または目標流速F
2への変化をステップ関数として示しているが、この変化は、ランプ関数として徐々に達成することができる。試験注入は時間T
3に終了する。
【0092】
図5を参照すると、マルチフェーズ試験注入(202c)では、コントローラ123は、流体インジェクタ101を制御して1つまたは複数の流体を複数のフェーズで送達する。複数のフェーズは、試験注入プロトコルとしてコントローラ123に保存され得る。試験注入を開始する前に、ユーザは、複数の保存済みマルチフェーズ試験注入プロトコルから1つを選択することができる。各マルチフェーズ試験注入プロトコルは少なくとも2つのフェーズを有しており、各フェーズは、流速および継続時間(すなわち、注入されるべき量)を定義する。各フェーズは、事前設定された量および流速を有することができる。いくつかの例または態様では、各フェーズは、徐々に高くなるプログラムされた流速を有することができる。
【0093】
いくつかの例または態様では、ステップ204cで、ユーザは、試験注入手順を開始する前に、各フェーズの事前選択された値を変更することが許可されてもよい。いくつかの例または態様では、ユーザは、マルチフェーズ試験注入の各フェーズで送達されるべき所望の流体、流速、および量を選択することにより、新しい試験注入プロトコルを定義することができる。マルチフェーズ試験注入(202c)は、1つまたは複数の流体を使用することができる。例えば、マルチフェーズ試験注入(202c)は造影剤および生理食塩水を使用し、造影剤の注入の後に生理食塩水フラッシュが続くことができる、あるいは造影剤のボーラスが生理食塩水のスラグによって取り囲まれてもよい。さらなる例では、マルチフェーズ試験注入(202c)は、造影剤のみを用いてまたは生理食塩水のみを用いて行われてもよい。
【0094】
図9Bを参照すると、ユーザインタフェース124は、マルチフェーズ試験注入プロトコルの各フェーズの流速を識別する領域137を有することができ、領域139は、各フェーズ中に送達されるべき流体の量を識別する。領域141は、各フェーズに送達されるべき流体のタイプを識別する。マルチフェーズ試験注入手順を開始する前に、ユーザは、これらの領域のいずれかを押すことによりこれらのパラメータを変更し、それによりプロトコル編集モードまたはユーザインタフェースに切り替えることができる。このモード/ユーザインタフェースでは、ユーザは、流体の流速、量、およびタイプを、マルチフェーズ試験注入プロトコルの各フェーズ用の流体の所望の流速、量、およびタイプに変更し保存することができる。ユーザインタフェース124は、注入を開始するための制御部147、注入を一時停止するための制御部143、および注入を停止するための制御部145をさらに有することができる。
【0095】
所望のマルチフェーズ試験注入(202c)を選択した後、選択されたマルチフェーズ試験注入(202c)はステップ206cで実行される。このステップでは、少なくとも1つのリザーバ132からの流体Fが、流体インジェクタ101を使用して少なくとも1つのリザーバ132から流体Fを駆動することにより、流体経路セット160を経由して患者に送達される。マルチフェーズ試験注入(202c)は、例えば、ユーザインタフェース124上で「Start」とラベル付けされたボタン126を選択することによって開始され得る。
【0096】
試験注入中、ユーザは、注入部位を視覚的に観察および/または触診することにより、試験注入を評価する。ユーザはさらに、選択されたマルチフェーズプロトコルの様々なフェーズで達成された画像の品質を観察することができる。マルチフェーズ試験注入(202c)の終わりに、流体インジェクタ101は、ステップ208cで試験注入手順を自動的に終了することができる。いくつかの例または態様では、ユーザは、例えば、「End」とラベル付けされたボタンを選択するかまたは押して流体インジェクタ101に流体の送達を停止させることにより、試験注入中にいつでも試験注入手順を終了するオプションを有することができる。
【0097】
マルチフェーズ試験注入(202c)の流速を時間の関数として示す例示的なグラフが
図8に示されている。単一流体を使用する3フェーズプロトコルが示されているが、他の試験注入プロトコルは、1つまたは複数の流体を用いるより少ないフェーズまたはより多くのフェーズを有することができる。試験注入の第1のフェーズの開始を示す時間T
1に、流体インジェクタ101は、第1の流体の流速を第1の流速F
1まで急速に増加させる。時間T
2での第1のフェーズの終わりに、第1の流速F
1は、第2のフェーズ中に第2の流速F
2まで自動的に増加され得る。
図8は、第2の流速F
2が第1の流速F
1よりも高いことを示しているが、第2の流速F
2は第1の流速F
1より低くてもよい。時間T
3での第2のフェーズの終わりに、第2の流速F
2は、第3のフェーズ中に第3の流速F
3まで自動的に増加され得る。第3の流速F
3は目標流速であり得る。
図8は、第3の流速F
3が第2の流速F
2よりも高いことを示しているが、第3の流速F
3は第2の流速F
2より低くてもよい。さらに、各流速は同じ継続時間を有するものとして示されているが、各流速の継続時間は異なっていてもよい。さらに、
図8は、第1の流速F
1から第2の流速F
2への変化、および第2の流速F
2から第3の流速F
3への変化をステップ関数として示しているが、これらの変化はランプ関数として徐々に実施することができる。試験注入の第3のフェーズは時間T
4に終了する。
【0098】
可変シングルフェーズ試験注入(202b)およびマルチフェーズ試験注入(202c)は、試験注入手順中にいくつかの利点を提供する。低流速で試験注入手順を開始し、続いて流速を増加させると、手順中の患者の快適さが向上する。患者は、低流速での液体注入の感じ方に慣れているため、患者は、同じ試験注入中の流速の増加によって不安になる可能性は低くなる。可変シングルフェーズ試験注入では、患者が高流速に満足できない場合、ユーザは流速を減らすことができる。マルチフェーズ試験注入は、診断プロトコルに統合され得る全体的な注入プロトコルの一部として複雑な試験注入を可能にする能力を提供し、それにより手順全体の速度と効率を向上させる。
【0099】
ここで
図10を参照すると、
図10は、
図1、
図2A~
図2B、および
図3に示される流体インジェクタシステム100の構成要素例の図である。これらの構成要素には、バス202、プロセッサ204、メモリ206、記憶構成要素208、入力構成要素210、出力構成要素212、および通信インタフェース214が含まれる。
【0100】
バス202は、
図10に示される他の構成要素相互間の通信を可能にする1つまたは複数の構成要素を含むことができる。いくつかの非限定的な実施形態または態様では、プロセッサ204は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せで実装され得る。例えば、プロセッサ204は、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、加速処理装置(APU)など)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または機能を実行するようにプログラムされ得る任意の処理構成要素(例えば、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)を含むことができる。メモリ206は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、および/またはプロセッサ204が使用するための情報および/または命令を格納する別のタイプの動的記憶装置または静的記憶装置(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光メモリなど)を含むことができる。
【0101】
記憶構成要素208は、流体インジェクタシステム100の動作および使用に関連する情報および/またはソフトウェアを保存することができる。例えば、記憶構成要素208は、ハードディスク(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ソリッドステートディスクなど)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、カートリッジ、磁気テープ、および/または別のタイプのコンピュータ可読媒体を、対応する駆動装置と共に含むことができる。
【0102】
入力構成要素210は、流体インジェクタシステム100が、1個または複数のユーザインタフェース124、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、スイッチ、マイクロフォンなどを介して情報を受け取ることを可能にする1つまたは複数の構成要素を含むことができる。加えて、または代替として、入力構成要素210は、情報を感知するためのセンサ(例えば、全地球測位システム(GPS)構成要素、加速度計、ジャイロスコープ、アクチュエーターなど)を含むことができる。出力構成要素212は、流体インジェクタシステム100からの出力情報を提供する1つまたは複数の構成要素(例えば、1個または複数のユーザインタフェース124、スピーカ、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)など)を含むことができる。
【0103】
通信インタフェース214は、流体インジェクタシステム100が有線接続、無線接続、または有線接続と無線接続の組合せなどを介して他の装置と通信することをイネーブルにするトランシーバのような構成要素(例えば、トランシーバ、別個の受信機および送信機など)を含むことができる。通信インタフェース214は、流体インジェクタシステム100が別の装置から情報を受け取ることおよび/または別の装置に情報を提供することを可能にすることができる。例えば、通信インタフェース214は、イーサネットインタフェース、光学インタフェース、同軸インタフェース、赤外線インタフェース、無線周波数(RF)インタフェース、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)インタフェース、Wi-Fi(登録商標)インタフェース、セルラー・ネットワーク・インタフェース、および/または同種のものを含むことができる。
【0104】
流体インジェクタシステム100は、本明細書に記載のプロセスのうちの1つまたは複数を実行することができる。流体インジェクタシステム100は、メモリ206および/または記憶構成要素208などのコンピュータ可読媒体によって保存されたソフトウェア命令を実行するプロセッサ204に基づいて、これらのプロセスを実行することができる。コンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)が、本明細書では非一時的メモリ装置として定義される。メモリ装置は、単一の物理的記憶装置の内部に配置されたメモリ空間、または複数の物理的記憶装置にわたって広がるメモリ空間を含む。
【0105】
ソフトウェア命令は、別のコンピュータ可読媒体から、または通信インタフェース214を介して別の装置からメモリ206および/または記憶構成要素208に読み込まれてもよい。実行されると、メモリ206および/または記憶構成要素208に保存されたソフトウェア命令が、プロセッサ204に、本明細書に記載の1つまたは複数のプロセスを実行させることができる。加えて、または代替として、本明細書に記載の1つまたは複数のプロセスを実行するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて配線による回路が使用されてもよい。したがって、本明細書に記載の実施形態または態様は、ハードウェア回路とソフトウェアの特定の組合せに限定されるものではない。
【0106】
図10に示される構成要素の数および配置構成は、例として提供される。いくつかの非限定的な実施形態または態様では、流体インジェクタシステム100は、
図10に示されるものよりも、追加の構成要素、より少ない構成要素、異なる構成要素、または異なるように配置された構成要素を含むことができる。加えて、または代替として、流体インジェクタシステム100の1組の構成要素(例えば、1つまたは複数の構成要素)は、流体インジェクタシステム100の別の組の構成要素によって実行されるものとして記述される1つまたは複数の機能を実行することができる。
【0107】
電動式流体インジェクタを使用して血管アクセスの受容性を試験するためのシステムおよび方法のいくつかの例または態様が添付の図面に示され、上に詳細に説明されているが、他の例または態様は、当業者には明らかであり、本開示の範囲および精神から逸脱することなく当業者によって容易になされるであろう。例えば、本開示は、可能な限り、任意の例または態様の1つまたは複数の特徴を他の例または態様の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができることを企図していることを理解されたい。したがって、前述の説明は、制限するものではなく例示的するためのものである。
【符号の説明】
【0108】
100 電動式流体インジェクタシステム
100" 流体インジェクタシステム
101 インジェクタ、流体インジェクタ
102 インジェクタハウジング
103 駆動部材
104 対向側面
106 遠位端、上端
108 近位端、下端
110 ベース
112 ホイール
114 ハンドル
116 扉
118 バルク流体コネクタ
120 バルク流体源
122 支持部材
123 流体制御モジュール、コントローラ
124 ユーザインタフェース
126 制御ボタン
127 制御要素
128 スロット、接続ポート
129 圧力グラフ
130 多患者用使い捨てセット(MUDS)
131 領域
132 リザーバ、シリンジ
133 領域
134 MUDS流体経路
135 領域
136 弁
137 領域
138 シリンジ本体
139 領域
140 前端、遠位端
141 領域
142 後端、近位端
143 注入を一時停止するための制御部
144 プランジャ、シリンジプランジャ
145 注入を停止するための制御部
146 放出口または導管
147 注入を開始するための制御部
148 マニホルド
150 流体入口ライン
152 流体出口ライン
156 廃棄物リザーバ
160 流体経路セット
164 流体入口ポート
166 流体出口ポート
168 血管アクセス装置
170 第1の管類
171 第1の管腔
172 コネクタ
174 第2の管類
175 第2の管腔
176 遠位端
204 プロセッサ
206 メモリ
208 記憶構成要素
210 入力構成要素
212 出力構成要素
214 通信インタフェース
【外国語明細書】