(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081685
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】移動媒体の推進翼、およびそのような推進翼を備える移動媒体
(51)【国際特許分類】
B63H 9/061 20200101AFI20240611BHJP
【FI】
B63H9/061
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043151
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2022532038の分割
【原出願日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】1913358
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522211438
【氏名又は名称】セードゥブルベエス モレル
【氏名又は名称原語表記】CWS MOREL
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】デュカルヌ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】モレル,ジュリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マストを構成せず、迅速かつ容易にその高さを変化させることができ、異なる風の状態に適応することができる非対称剛性推進翼を提供する。
【解決手段】移動媒体用の剛性推進翼(1)に関し、少なくとも1つの第1セクション(2)および1つの第2セクション(3)と、第1の端部(6)および第2の端部(7)それぞれが前記移動媒体に可逆的に接続するための取付手段(8)を備え、前記第1セクション(2)および前記第2セクション(3)は、前記推進翼(1)が仮定するように、連接手段(5)によって互いに対して可動であり、その展開位置において、前記第1および第2のセクション(2、3)は、実質的に垂直に、互いの延長線上に配置され、前記第1の端部(6)またはそれぞれ前記第2の端部(7)は、前記取り付け手段(8)によって前記移動媒体に可逆的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動媒体用の剛性推進翼(1)であって、少なくとも1つの第1セクション(2)および1つの第2セクション(3)と、前記第1セクション(2)の端部の1つによって形成される第1の端部(6)と、前記第2セクション(3)の端部の1つによって形成される第2の端部(7)とを備え、前記端部(6、7)はそれぞれ、前記移動媒体に可逆的に接続するための取り付け手段(8)を備え、前記第1セクション(2)および前記第2セクション(3)は、前記推進翼(1)が想定するように、連接手段(5)により互いに対して移動可能であり、その展開位置において、前記第1セクション(2)および前記第2セクション(3)は、互いの延長線上に、実質的に垂直に配置され、前記第1の端部(6)またはそれぞれ前記第2の端部(7)は、その取り付け手段(8)によって前記移動媒体に可逆的に接続される、少なくとも第1の展開位置から第2の展開位置、またはその逆に移動する、移動媒体用の剛性推進翼(1)。
【請求項2】
前記第1セクション(2)と前記第2セクション(3)の間に配置され、連接手段(5)を用いて前記第1セクション(2)と前記第2セクション(3)に対して移動可能な中間セクション(4)をさらに備える、請求項1に記載の推進翼(1)。
【請求項3】
前記第1セクション(2)、前記第2セクション(3)、および存在する場合は中間セクションが、連接手段(5)を使用して互いに移動可能であり、前記推進翼(1)が、前記第1セクション(2)および第2セクション(3)が実質的に平行に配置されている第1および第2の展開位置との間の中間位置を想定し、通過するように,実質的に垂直な対称面のいずれかの側で、第1の端部(6)および第2の端部(7)の両方が、その取り付け手段(8)を使用して、移動媒体に可逆的に接続されている、請求項1または2に記載の推進翼(1)。
【請求項4】
前記第1セクション(2)、前記第2セクション(3)、および任意に存在する場合は中間セクション(4)が、非対称な空力プロファイルを有する事を特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項5】
前記連接手段(5)は、前記第1セクション(2)および前記第2セクション(3)にそれぞれ取り付けられた2つのシリンダ(24、25)の可動ロッド(22、23)に係合する連結ロッド(18)からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項6】
前記連接手段(5)のロック手段(28)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項7】
前記推進翼(1)の前記セクション(2、3、4)を運動させるために前記連接手段(5)を作動させる手段をさらに備え、バラストケーブル(33)が走行し、その各端がウィンチ(34、35)に接続されている一組の滑車(32)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項8】
移動媒体に対して移動可能であり、前記推進翼(1)の前記第1の端部(6)の前記取り付け手段(8)および前記第2の端部(7)の前記取り付け手段(8)をそれぞれ受け入れるための第1の手段(38)および第2の手段(39)を備え、少なくとも1つのベース(9)をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項9】
前記第1の端部(6)の前記取り付け手段(8)および前記第2の端部(7)の前記取り付け手段(8)がそれぞれ、2つの溝(42、43)を備える取り付けプレート(44)からなり、前記取り付け手段(8)を受け入れるための前記第1の手段および前記第2の手段(38、39)が、前記ベース(9)に取り付けられて、動作中に前記溝(42、43)に係合し、係合することを目的とする2つのスタッド(40、41)からなる、請求項8に記載の推進翼(1)。
【請求項10】
前記第1の端部(6)および前記第2の端部(7)の前記取り付け手段(8)をそれぞれ遮断するための第1および第2のロック手段(50)をさらに備え、前記ロック手段(50)はそれぞれ、ばね仕掛けのアクチュエータ(51)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項11】
前記第1および前記第2のロック手段(50)の同時開放を禁止する手段(56)をさらに備える、またはこれと協働する、請求項10に記載の推進翼(1)。
【請求項12】
前記推進翼(1)の前記セクション(2、3、4)の1つの下に配置されたセンターボード(59)、および/または前記第1の端部(6)および/または前記第2の端部(7)に配置された、1または複数のフィン(60、61)をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項13】
前記連接手段(5)の制御手段および/または風の方向に対する前記推進翼(1)の入射を制御するための手段の制御手段をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の推進翼(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の推進翼(1)の、移動媒体の主推進、または予備推進としての使用方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の1つまたは複数の推進翼を備える、海上または陸上の移動媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上、氷上または水上の移動媒体の推進翼、特に風による推進翼、およびそのような推進翼を構成または実装する移動媒体、例えばボートに関する。
【背景技術】
【0002】
人や物を運ぶための移動媒体は、一般に、例えばエンジンまたは風の力から生じる駆動力を従来通り実施する推進手段によって動かされる。
【0003】
特にボートの場合、モータを備えているかどうかに関係なく、主な推進手段として柔軟な帆を使用することが知られており、帆の風の作用によって駆動力が発生する。
【0004】
このような柔軟な帆には、風の影響を受けて連続的に変形するため、推進効率がかなり変動し、移動媒体の後方に向いた大きな抗力が発生するという欠点がある。
【0005】
そこで提案されたのが、「推進翼」とも呼ばれる硬い帆で、柔軟な帆よりも大きな揚力を得られ、抗力も小さくできる。
【0006】
このような推進翼は、いわゆる「対称型」の空力プロファイルを持つことができ、翼の側面のキャンバは、翼の中心面と垂直面に関して対称である。
【0007】
例えば、国際公開第2013/070070号には、ボート用の剛体翼が記載されており、この剛体翼は、ボートに固定された足を構成するマストからなるが、風の迎角を調整するために、ボートに対して実質的に垂直である回転軸を中心として回転することができる。マストが翼の下部のみに固定され、翼の他の2つの上部は傾けることで折りたたむことができるため、ドッキングや係留の際にスペースを取らないよう、翼を風上に固定することができる。このような翼は、非対称の翼に比べて空力性能が大幅に低下する。
【0008】
しかしながら、対称プロファイル推進翼は、いわゆる「非対称」プロファイル翼、すなわち、凸状または反りのある第1の面、および平坦または凹状の第2の面を有するよりも少ない揚力を生成する。それにもかかわらず、非対称の翼には、風の方向に関係なく使用できないという欠点がある。
【0009】
そこで、米国特許出願公開第2015/000578号明細書に記載されているように、船の両側に2つの剛性の高い非対称の推進翼を配置し、A字型のマストに取り付けることが提案されているが、この解決策にはかさばり、実施が容易でないという欠点がある。
【0010】
国際公開第2017/006315号は、順に、マストの上端に、翼の実質的に中央に位置する傾斜軸に沿って枢動可能に取り付けられた剛性の非対称翼を記載し、マストの下部はベースに取り付けられており、このベースは順にボートに枢動可能に取り付けられている。このような翼は、ボートを大きく不安定にし、側面の変化に耐えるという欠点がある。
【0011】
さらに、例えば国際公開第2015/193617号に記載されているように、推進翼が第1の非対称プロファイルから対称プロファイルを経て第2の非対称プロファイルになることを可能にする、関節内側プロファイル構造を用いて変形可能な剛性推進翼を使用することも提案されている。
【0012】
しかし、これらの推進翼はいずれも、実装が複雑で、すべての風況に対応できるわけではないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2013/070070号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/000578号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/006315号
【特許文献4】国際公開第2015/193617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、最先端技術の欠点を持たない剛性の推進翼および移動媒体を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、最先端の既存の解決策に代わるものを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、異なる風の状態に適応することができる剛性推進翼を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、推進効率が向上し、風向に関係なく使用できる非対称剛性推進翼を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、マストを構成せず、迅速かつ容易にその高さを変化させることができる剛性翼を提供することを目的とする。
【0019】
本発明はまた、フェザリングが発生する力を最小限に抑え、受動的に行われる剛性翼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、少なくとも1つの第1セクションと1つの第2セクションと、第1セクションの端部の1つによって形成される第1の端部と、第2セクションの端部の1つによって形成される第2の端部とを備え、推進翼の端部はそれぞれ、移動媒体に可逆的に接続するための取り付け手段を備え、第1セクションと第2セクションは、推進翼が仮定するように連接手段によって互いに対して可動である移動媒体用の硬質推進翼に関するものである。その展開位置において、第1のセクションと第2のセクションは、実質的に垂直に、互いの延長線上に配置され、第1の端部、またはそれぞれ第2の端部は、その取り付け手段によって移動する媒体に可逆的に接続される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による推進翼は、以下の特徴のうち少なくとも1つ、または任意の適切な組み合わせを備える。
- 前記推進翼は、前記第1セクションと前記第2セクションとの間に配置され、前記連結手段を用いて前記第2セクションに対して移動可能な中間セクションをさらに有し、
- 第1セクション、第2セクション、および中間セクションは、推進翼が第1展開位置と第2展開位置との間の中間位置を取り、そこを移動するように、連接手段を用いて互いに対して移動可能であり、第1セクションおよび第2セクションは、実質的に垂直な対称面の両側に、互いに平行に配置され、第1端および第2端がともに、その取り付け手段を用いて移動媒体に可逆的に接続され、
- 第1のセクション、第2のセクション、及び任意選択で中間セクションが存在する場合には、非対称な空力プロファイルを有し、
- 前記連接手段は、前記第1のセクション及び前記第2のセクションに取り付けられた2つの円筒の可動ロッドを係合するコネクティングロッドを備え、
- 前記推進翼は、前記連接手段のロック手段をさらに備え、
- 前記推進翼は、前記連接手段を作動させて前記推進翼の各部を運動中に設定する手段をさらに備え、バラスト付きケーブルが移動するプーリのセットを備え、その両端がウインチに接続され、
- 前記推進翼は、少なくとも1つのベースをさらに備え、前記移動媒体に対して可動し、前記推進翼の第1端の取付手段と前記第2端の取付手段とをそれぞれ受ける第1手段及び第2手段を備え、
- 前記第1の端部の取付手段と前記第2の端部の取付手段と、それぞれ、2つの溝を設けた取付板を備え、前記取付手段を受ける第1の手段及び前記第2の手段は、2つのスタッドを備え、前記ベースに取り付けられ、かつ動作中、溝と係合するものであり、
- 前記推進翼は、前記第1の端部及び前記第2の端部の取付手段をそれぞれ遮断する第1及び第2のロック手段をさらに備え又は協働し、前記ロック手段は、それぞれバネ式アクチュエータを備え、
- 前記推進翼は、前記第1および第2のロック手段の同時開放を禁止する手段をさらに備える、またはそれと協働し、
- 前記推進翼は、前記推進翼のセクションの1つの下に配置されたセンターボードおよび/または第1の端部および/または第2の端部に配置された1つまたは複数のフィンをさらに備え、
- 前記推進翼は、前記風の方向に対する前記推進翼の入射を制御する手段の連接手段及び/又は前記制御手段の制御手段をさらに備え、又は協同する。
【0022】
本発明はまた、移動媒体の主推進、またはバックアップのための本発明による推進翼の使用に関する。
【0023】
本発明はまた、海上または陸上のいずれであろうと、本発明による1つまたは複数の推進翼を備える移動媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の展開位置を採用した本発明による推進翼の第1の実施形態の斜視図の概略図である。
【
図2】本発明による推進翼の底面図の概略図である。
【
図3】その後退位置を採用した実施の形態1に係る推進翼の、斜視図の概略図である。
【
図4】その後退位置を採用した第1実施形態に係る推進翼の縦断面図の概略図である。
【
図5】本発明による推進翼の上面図を、その後退位置を採用した概略図である。
【
図6】本発明による推進翼を形成する各部のロック手段を、ロック解除した形態で見た斜視図の概略図である。
【
図7】本発明による推進翼を形成する各部のロック手段をロック形態で見た斜視図である。
【
図8】第1の後退位置を採用した、本発明による推進翼の第2実施形態の斜視図の概略図である。
【
図9】実施の形態2に係る推進翼の後退時の中間位置の斜視図の概略図である。
【
図10】実施の形態2に係る推進翼を後退・展開するために実現される手段の正面図の概略図である。
【
図11】その後退位置を採用した第2実施形態に係る推進翼の斜視図の概略図である。
【
図12】その第2の後退位置を採用した、本発明による推進翼の第2実施形態の斜視図の概略図である。
【
図13】本発明による推進翼のロック手段をそのベースに施錠する斜視図の概略図である。
【
図14】本発明による推進翼をそのベースに、ロック位置にロックする手段の概略図である。
【
図15】本発明による推進翼をそのベース上に、ロック解除位置でロックする手段の概略図である。
【
図16】移動媒体上の推進翼の端部のロック手段の同時解除を防止する手段の正面図の概略図である。
【
図17】空力安定化手段を構成する第1の実施形態に係る推進翼の透視図を模式的に示す図である。
【
図18】可変空力プロファイルを備える本発明による推進翼の第2実施形態の斜視図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書および特許請求の範囲の残りの部分では、用語「長さ」は、本発明による推進翼1、またはその構成要素の寸法のうち最大のものを説明するために用いられ、用語「幅」は、本発明による推進翼1、またはその構成要素の寸法のうち最小のものを、その形状に関係なく説明するために用いられ、用語「長さ」および「幅」は、本発明による推進翼1、またはその構成要素が実質的に四角形の形を有する場合に、区別なく使用することが可能である。
【0026】
「最上部」、「底部」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「縦」または「横」という用語は、
図1から18に示すように、本発明による推進翼1、およびその構成要素の水平方向の位置を指す。
【0027】
本発明による推進翼1は、風を基礎にした推進翼であり、風の力を利用して、それを支える媒体の動きを可能にする。媒体を離陸させるための翼ではないため、地面や水面に接触することはない。
【0028】
推進翼1は剛性があり、風の作用で大きく変形せず、自重で曲がらないことから「自立性」といわれている。
【0029】
この推進翼1は、「セクション」であると言われ、少なくとも1つの第1のセクション2および1つの第2のセクション3(
図1~4)を備える、またはそれらから構成されているので、好ましくは中間セクション4と、第1のセクション2と第2のセクション3(
図8~12)の間に配置され、有利には多数のセクションと、切片は、連接手段5を用いて互いに相対的に移動可能である。
【0030】
また、断面2、3、及び中間セクション4が存在する場合には、構造単位を形成する。これは、マストタイプの不動および支持構造の使用を必要としないという利点を有する。
【0031】
好ましくは、セクション2、3および4は、リブ付き金属表皮または複合材料からなる、またはそれらから作られた中空筐体からなるか、またはそれらから構成されており、筐体は任意に内側補強構造を構成することができ、これは重量を抑制した翼を有するという利点を有する。
【0032】
好ましくは、セクション2、3および4の一方、他方、またはすべてが伸縮式である。
【0033】
推進翼1は、第1のセクション2の端部の1つによって形成される第1の端部6と、第2のセクション3の端部の1つによって形成される第2の端部7とを備える。推進翼1の端部6および7の各々は、移動媒体に可逆的に取り付けられる手段8、好ましくは移動媒体に接続されるかまたは連結される1つまたは複数のベース9によって好ましくは移動可能に、有利には推進翼1の端部6、7によってベース9を備える。
【0034】
前記推進翼1は、前記第1の展開位置(
図1、8、12、17)を採用することができ、前記移動媒体の一方の側面の風を拾い上げ、かつ最適な揚力を有するように、第2の展開位置(
図12)に、前記第1の展開位置に対して対称的な、平面X-Yにおける対称の平面に沿って、移動媒体の反対側の風を拾うように、また最適な揚力で、またはその逆で、推進翼は、第2の展開位置からその第1の展開位置に移動することができ、一方、第1または第2の展開位置の間の中間位置のすべてを採用することができ、各極端または中間位置は、好ましくはロック可能およびロック解除可能である。このように推進翼1は、風の向きによらずに使用することができるという利点を有する。
【0035】
これらの展開位置において、第1のセクション2、第2のセクション3、および任意にそれが存在する場合には中間セクション4は、軸Yに実質的に平行な軸に沿って、実質的に垂直に、互いの延長上に配置され、推進翼1は、第1の展開位置においてその第1の端6によって、および第2の展開位置においてその第2の端7によって、好ましくはベース9によって移動媒体に取り付けられている。
【0036】
前記第1の展開位置において、前記第1のセクション2は、前記推進翼1の下側区画であって、前記移動媒体の近く、又は前記ベース9の、前記移動媒体に取り付けられた下端、又は前記ベース9に、その上端が前記主翼1の上部を構成する第2のセクション3に接続され、移動媒体やベース9には取り付けられていない。
【0037】
第2の展開位置において、第2の部分3は、推進翼1の下側部分であり、その一端が移動媒体またはベース9に取り付けられ、一方、第1の部分2は、翼の上側部分、移動媒体またはベース9に取り付けられない部分を構成している。
【0038】
一方の展開位置から他方の展開位置へ移動する場合、推進翼1は、平面X-Yに実質的に平行な平面に対して、180°の角度で傾斜している。これにより、端部6,7は、推進翼1の最上部および底部とを交互に形成する。
【0039】
セクション2、3、および任意選択で中間セクション4が伸縮している実施形態では、それらは、2つを折り畳むことができるように、それらの空気力学的プロファイルに沿って連結された2つの壁を備えることができ、またはそれらで構成され、2つの壁のうちの1つは、他方の2つの壁の一方は、移動媒体に対して、上部セクションの壁は、それらの下のセクションの壁に折り畳まれ、これは、展開された位置の1つから、推進翼1がより少ないスペース要件を有する風束位置まで移動することができる推進翼1を有するという利点を有する。
【0040】
これらの展開位置において、推進翼1、したがってその構成要素セクション2、3および4は、非対称の一般的な空気力学的プロファイルを有し、これは推進翼1の長さにわたって可変であり得る。好ましくは、第1の断面2および第2の断面3は、平面X-Zに平行な対称面に対して互いに対称であるが(
図8)、それらは、推進翼1に非対称な一般的な空気力学的プロファイルを付与しながら、互いに異なる空力プロファイルを有することもできる(
図17)。
【0041】
推進翼1は、前縁10と、後縁11と、前縁と対向する、凸面12及び凹面13とを備える(
図2)。
【0042】
推進翼1はまた、2つの展開位置の中間に位置する後退位置(
図3、11、18)を採用することができ、すなわち、推進翼1は、2つの展開位置間の遷移中にこの中間位置を採用し、移動することができる。
【0043】
その中間位置において、第1セクション2と第2セクション3は、好ましくは互いに実質的に平行に、平面X-Yに平行な垂直対称面の両側に配置され、推進翼1は移動媒体に取り付けられ、推進翼1の第1端6と第2端7は共に移動媒体上またはベース9上に、またはそれぞれ別のベース9上に取り付けられる。
【0044】
推進翼1の中間位置では、第1セクション2および第2セクション3は非対称な空力プロファイルを有するが、それらの配置により、推進翼1が実質的に対称な空力プロファイルを形成し、採用することができる(
図3および
図11)。好ましくは、NACAタイプのプロファイルと一般的な形状が実質的に同一、または同等である空力プロファイルである。
【0045】
推進翼1の中間位置は、風面の表面積を減らし、対称な空力プロファイルに対して揚力が減少し、したがって推進翼1の推力を大幅に減少させるという利点を有し、それにもかかわらず、例えば操縦の必要性から、必要に応じて風の両方の方向で推力を発生させることができる。これにより、スペース要件の低減、特に高さの低減、および移動媒体のダンネージの軽減が可能になります。
【0046】
このように、推進翼1は、異なる空気力学的プロファイルを採用することができ、あるプロファイルから別のプロファイルに容易に移動することができ、それを運ぶ媒体がより反応的な挙動を有することを可能にする一方で、それを運ぶ移動媒体の移動または操縦中に、異なる風条件および方向に対応することができるという利点を有する。
【0047】
推進翼1の異なる展開位置と格納位置の間の通過は、好ましくはヒンジ形成手段である連接手段5によって行われる。
【0048】
推進翼1が2つのセクション2および3(
図1)で構成されている実施形態では、推進翼1がある位置から別の位置に移動するときに移動媒体を不安定にしないように、後者は実質的に同じ長さを有している。連接手段5は、推進翼1の中長に配置されることが好ましく、各断面2,3を互いに180°の角度だけ枢動させることができ、推進翼1を推進装置又はベース9の一方の側から他方の側に傾斜させることができる。
【0049】
好ましくは、連接手段5は、平面X-Zに実質的に平行な平面内で2つのセクション2および3の回転を可能にすることができ、これは、推進翼1の入射をその長さにわたって変化させることを可能にするという利点を有する。
【0050】
好ましくは、連接手段5は、実質的に連結部分14、15の中心に配置されたスペーサ16によって連結された2つの連結部分14、15からなり、または実装され、スペーサ16は回転軸17を受け、それに対して回転可能であり、後者は下側の枢動点19で好ましくは三角形の連結ロッド18の端部に係合する。コンロッド18は、さらに、2つの上部枢動点20,21を備え、2つのシリンダ24,25の可動ロッド22,23の端部がそれぞれ取り付けられた状態で、各可動ロッド22,23がそれぞれ連結部14,15のそれぞれに形成された開口部26,27を貫通する。各シリンダ24,25は、各セクション2,3の内部に取り付けられ、それらの凸側で、好ましくは支持体またはフレーム(
図3~
図5)によって取り付けられる。
【0051】
ひとつ以上のシリンダ24,25を作動させることにより、一方の接続部14または15を他方の接続部14または15に接近させ、一方の部2または3を他方の部2または3に対して傾斜させ、それらの位置合わせを行わせることができる。
【0052】
好ましくは、これらの展開位置において、推進翼1は、これらの位置をロックするように、ロック手段28を構成するか、または実装する。
【0053】
好ましくは、
図6および
図7に示すように、これらのロック手段28は、例えば、各セクション2、3の端部、好ましくは、接続部14、15の端部にそれぞれ配置された1つまたは複数の締結タブのオリフィスに噛み合う電気機械または油圧の押し片29、または1つまたは複数のスペーサ30、31から構成される。各接続部14、15の締結タブまたはスペーサ30、31は、オリフィスを合わせるように互いに相対的に位置決めし、好ましくは互いに介在される(
図7)。
【0054】
推進翼1が第1のセクション2、第2のセクション3、及び中間セクション4を備える実施形態において(
図9~
図13)、中間セクション4は、好ましくは、実質的に推進翼1の略中間の長さに配置される。
【0055】
推進翼1の格納位置では、中間部4は、平面X-Zと平行な面内で、実質的に水平に配置される。
【0056】
中間部4は適切な幅を有し、第1部2および第2部3が、平面X-Yに平行な対称面の両側に配置されていることに起因して、推進翼1が実質的に対称な空力プロファイル、好ましくはその一般形状においてNACAタイプのプロファイルと実質的に同一、または同等のものを形成し、採用することを可能にする。
【0057】
連接手段5は、一方では中間部4と第1の区間2と、他方では第2の区間3との間に配置される。これらは、軸Xに実質的に平行な回転軸に対して90°までの角度でセクション2、3、4を傾けるためのヒンジを形成する任意の適切な手段である、またはそれらから構成される。
【0058】
例えば、隣接する切片2、3または4の凹面上の一連のヨークと、各ヨーク内を通過する軸とを伴ってもよい。
【0059】
好ましくは、これらの連接手段5は、セクション2、3、4の移動を作動させる手段を備え、実施または協働して、有利には、プーリ32の組を含み、または3~6本のストランドを有する1つもしくは複数のホイスト、例えば、ケーブル33を受信する中間セクション4に位置し、搬送し、各セクション2および3において、ケーブル33であって、ここで、第1の端部は、第1のセクション2の近く、または内側に位置する第1のウインチ34に接続され、ケーブル33の他端は、第2のセクション3またはベース9の近く、または内側に位置する第2のウインチ35に接続されている。ケーブル33は、第1および/または第2ウインチ34、35によって作動するように設定することができる。好ましくは、ケーブル33は、ケーブル33に固定された1つまたは複数の重り36、例えばリード線を用いて緊張状態に保たれ、有利には、セクション2、3に形成されたケーブル通路33に形成された狭窄部37に詰まるまでセクション2、3内で移動するように配置されていて、これによりケーブルを巻き取るウインチ34または35の側でより大きなケーブル張力33が得られ、セクション2または3を引き上げることが可能になる(
図10参照)。
【0060】
展開位置とその後退位置に加えて、推進翼1は、例えば
図9に示すような、セクション2または3の1つが実質的に垂直に配置され、一方、他のセクション2または3および中間セクション4が実質的に水平に、互いの延長上に配置される、追加の中間位置を採用することが可能である。これにより、推進翼1のスペース要件が低減され、完全に減少または完全に増加していない風面とすることができる。
【0061】
推進翼1の実施形態にかかわらず、またそれが採用する位置にかかわらず、推進翼1は常に、これらの端部6および/または7の少なくとも一方によって移動媒体、好ましくはベース9、または端部6、7によるベース9に取り付けられる。
【0062】
移動媒体は、この端に基台9またはベース9を可逆的に受信する手段と、推進翼1を移動媒体に取り付ける取付手段8とを備える。これらの手段は、第1の手段38を受け取り、動作中に、推進翼1(
図13)の第1の端部6を取り付けるための取り付け手段8を可逆的に受け取り、第2の手段39は、これもまた可逆的に、推進翼1の第2の端部7を取り付ける第1および第2の取り付け手段38、39は、平面X-Zに実質的に平行な平面内に、水平方向にオフセットして、互いに距離を置いて配置される。
【0063】
特定の一実施形態では、推進翼1の取り付け手段8を可逆的に受けるための第1および第2の手段38、39は、スタッド40、好ましくは2つのスタッド40、41を、ベース9に任意の適切な手段によって備えているまたは備え、溝42、好ましくは2つの溝42、43にそれぞれ、端部6に取り付けるための取り付け手段8上または内部に形成され、推進翼1の
図7は、好ましくは、取り付け板44と、プレート44の下面に沿って伸延する溝42,43である、又は備えている(
図2)。これは、ベース9が存在する場合、セクション2および3の垂直方向および横方向の動きを、したがって移動媒体に対する相対的な動きを防止する利点がある。
【0064】
好ましくは、スタッド40、41は、溝42、43の底部に対して停止部を形成する手段45を構成し、また、任意に、減衰を提供すること、および/またはスタッド40、41が溝42、43の底部で当接する場合、圧縮されるばねの力に抗して溝42、43から離脱させる手段であることが可能なものである。
【0065】
好ましくは、推進翼1の取り付け手段8を可逆的に受け入れるための手段38、39は、好ましくは停止形成手段47、48からなるスタッド46をさらに備え、スタッド46は、スタッド40、41が溝42、43に係合する場合、またはそれらが溝42、43の底部で当接する場合、プレート44の縁に形成された溝49に係合するように、スタッド40、41から適切な距離でベース9に任意の適切な手段で取り付けられる。
【0066】
好ましくは、スタッド46の停止形成手段47、48は、任意選択で、スタッド46が溝49の底部に当接するときに圧縮されるバネの力に対して、スタッド46を溝49から切り離すための減衰および/または手段を提供することもできる。
【0067】
好ましくは、推進翼1の取り付け手段8を受けるための第1および第2の手段38、39は、端部6、7の取り付け手段8、特にプレート44の、移動媒体上、ベース9またはベース9上でのスライドを容易にする手段から構成される、またはそれと協働している。これらの手段は、好ましくは、少なくとも1つの摺動ストリップ62、有利にはスタッド40、41に隣接して配置された第1の摺動ストリップ62と、停止形成手段47、48に隣接して配置された第2の摺動ストリップ62とから構成される。
【0068】
好ましくは、推進翼1の取り付け手段8を受けるための第1および第2の手段38、39は、推進装置上またはベース9上の、セクション2、3の2系列のロック手段50と協働し、推進翼1のセクション2、3ごとに1系列の手段50が設けられている。
【0069】
これらのロック手段50は、好ましくは移動媒体内またはベース9内に配置され、軸Xに実質的に平行な軸上で移動可能で、ばね53の力に抗して移動可能で、ロック位置(
図14)からロック解除または部分ロック解除位置(
図15)およびその逆に動き、これら2位置間のすべての中間位置を採用可能な遮断部52、例えばばね仕掛けのアクチュエータ51、またはそれから構成される。
【0070】
ロック位置において、遮断部52は、軸Xに実質的に平行な軸に沿って、推進翼1の第1のセクション2の端部6から、または第2のセクション3の端部7から、すべての横方向の動きを遮断するように、移動媒体またはベース9の上面に対して、から、および超えて、垂直に伸延している。この位置では、バネ53は弛緩している。
【0071】
ロック解除位置の1つでは、遮断部52は垂直方向に伸延していない。移動媒体またはベース9の上方で斜めに延びるか、移動媒体またはベース9の上面と同一平面となるように実質的に水平に延びるか、または移動体またはベース9の内部で伸延する。これらの位置では、ばね53が圧縮される。
【0072】
好ましくは、遮断部52は、平面Y-Zに実質的に平行な平面において、実質的に三角形の断面を有し、セクション2または3の、端部6または7が、推進翼1の取り付け手段8を可逆的に受け入れるための手段38、39に接近することによって推進媒体の側に向く斜めの壁を備えている。前記端部6又は7は、この斜めの壁に接触し、前記遮断部52の回転を生じさせ、前記バネ53を実質的にまた、略水平に横たわるように圧縮し、前記端部6又は7が一旦それを通過すると、前記バネ53の解放により自動的に立ち上がるようにし、 このように推進翼1の取付手段8を可逆的に受信する手段38,39で端部6又は7を遮断する。
【0073】
好ましくは、推進装置上またはベース9上の、セクション2、3の2系列のロック手段50は、ロック手段50のロックを制御するための手段54を構成するかまたはそれと協働している。例えば、推進翼1の端部6または7の一方に開口アクチュエータが配置され、端部6または7の他方に配置されたパルススイッチ55によって電気的に制御される。したがって、一方の端部6または7が推進翼1の取付手段8を受けるための手段38または39に係合すれば、押し片が押し込まれ、他方の端部6または7の開放操作部に動力を与えることができ、そうでなければ、一方の端部6または7が取付手段8を受けるための手段38または39に係合しなければ、押し片は押し込まれずパルススイッチ55は開放状態となり、偶然にも他方の端部6または7をロック解除させることができなくなる。
【0074】
好ましくは、セクション2、3の2つの一連のロック手段50は、推進装置上またはベース9上において、2つのロック手段50の同時開放を禁止する手段56を備える,または協働する。これらの手段56は、例えば、貫通孔58、好ましくは長方形の貫通孔58を備える連結ロッド57を備え、2つのアクチュエータ51に固定されたピンが係合する。連結ロッドの長さ及び長方形の穴の長さは、一度に1つのアクチュエータ51のみの開口部に対応する再生を可能にするが、同時に開口部には対応しない。
【0075】
推進翼1の実施形態にかかわらず、後者は好ましくは、風に対する推進翼1の入射、向き、その展開形態またはその後退形態の一方または他方を採用したか否かを制御する手段を備える。推進翼1は、それを搭載する移動媒体に対して移動可能に搭載され、好ましくは3次元すべてにおいて移動可能であり、有利には、平面X-Zに実質的に平行な平面において回転可能に、および/または平面Y-Zに実質的に平行な平面において傾斜して移動可能に、搭載されている。
【0076】
このような入射を制御する手段は、推進翼1がこれらの展開位置の一方又は他方を採用する場合に推進翼1の位置を最適化するという利点を有するが、風に対してそれらの自由な位置付けを可能にする、したがって構造力を制限しながら移動媒体の推進力を最適化するという利点を有する。
【0077】
好ましくは、入射を制御するためのこれらの手段は、推進媒体に対して、3次元すべてにおいて、有利には平面X-Zに実質的に平行な平面内で回転可能に、および/または平面Y-Zに実質的に平行な平面内で傾斜して移動可能に取り付けられているベース(複数可)9である、またはそれを備えて構成されている。
【0078】
好ましくは、ベース9の回転は、移動媒体に対するベース9の傾斜動作に追従する回転軸に沿って行われる。したがって、ベース9が推進装置の上面に対して傾斜しているかどうかに応じて、軸Yに対して実質的に平行または軸Yに対して略斜めにすることができる。
【0079】
好ましくは、ベース9の回転軸は、推進翼1の端部6および7の取り付け手段8を受ける手段38および39の間に位置する。有利には、ベース9の回転軸Rは、推進翼のプロファイルに対してオフセットして配置され、これにより後者は、より少ない力を発生する位置でフェザー自体を安定させることができる。
【0080】
推進翼1がその後退位置を採用するとき、ベース9の回転軸Rは、推進翼1の取り付け手段8を受けるための手段38、39(
図11)により形成される軸の前方にオフセットして、2つのセクション2、3間の対称平面内にあり、好ましくはコードの20または30%の位置にある。手段38、39は、2つのセクション2、3の間の対称面の両側に配置されているので、凹側への回転軸Rのこのオフセットは、完全に展開された位置での推進翼1のフェザリング挙動を改善するという利点を有する。
【0081】
好ましくは、推進翼の入射を制御するための手段は、推進翼1またはベース9の動きをロック解除するための手段で構成されるか、またはそれと協働する。
【0082】
推進翼1の実施形態にかかわらず、後者は、これらの部分2、3および/または4、あるいはこれらの端部6、7に配置された追加の空力手段、空力付属物をさらに備えることができる。
【0083】
例えば、推進翼1は、好ましくは中間部4に配置されたセンターボード59(
図17)を構成してもよく、このセンターボードは、潜水モーメントを生じさせ、推進翼1が展開位置または後退位置のいずれかにおいて安定するのを促進させるという利点を有している。
【0084】
推進翼1は、その端部6,7の一方または他方または両方に配置された1つまたは複数のフィン60,61で構成することができる。
【0085】
推進翼1の実施形態にかかわらず、後者はさらに吸引手段または送風手段を備えてもよく、空気力学的特性を変更することができる。
【0086】
例えば、吸引または送風手段は、推進翼1の近傍または内部に配置された少なくとも1つのファンからなり、その送風または吸引軸は、推進翼1の長手軸と平行であり、推進翼1の内側に向かって空気をその全長にわたって吸引し、移動媒体またはベース9に取り付けられていない端6または7に向かってそれを排出するようにしてもよい。または、推進翼1の凸側に位置する1つまたは複数のオリフィスから空気を吸引し、凸側または後縁に位置するそのオリフィスを通して空気を排出するように、これにより、特にプロファイル上の空気の流れの境界層に作用して、空気力学的プロファイルの揚力および抗力を修正し、したがって失速が発生する角度を増加させて推進翼の揚力/抗力曲線を修正することが可能となる。
【0087】
推進翼1の実施形態にかかわらず、後者は、以下と構成または協働することができる:
- 推進装置上またはベース9またはベース9上の、推進翼1の取り付け手段8および/またはセクション2、3のロック手段50を受けるための手段38、39の制御手段、および/または
- これらの極端な位置または中間位置の一方または他方における推進翼1の展開または収縮のための制御手段、したがって、連接手段5または作動アセンブリの制御、および/または
- 風の方向に対する推進翼1の入射を制御する手段、及び/又は、推進翼1若しくはベース9若しくはベース9の動きのためのロック手段であり、
これらの各種制御手段は、好ましくは風の力および向き、有利には、移動している表面に対する移動媒体の位置も考慮にいれる。有利なことに、これらの異なる制御手段は、固有の制御手段にまとめられている。
【0088】
好ましくは、これらの制御手段は、ソフトウェアおよびハードウェア手段、従来はコンピュータによって実施および管理され、好ましくは、本発明による推進翼1を切り替えるための1つまたは複数の予めプログラムされた手順が格納されたメモリから構成される。
【0089】
本発明による推進翼1は、陸上移動媒体、例えばサンセーラーやウィンドスケート、または海上ボートや船舶の主推進または予備推進に、娯楽用、運動用または商業用として使用することができる。
【0090】
また、本発明は、本発明による少なくとも1つの、好ましくは多数の推進翼1を備える移動媒体に関するものである。
【0091】
移動媒体は、陸上、氷上、水上を移動する媒体が好ましく、ボートやセイルボード、浮き輪やスケートボードなどでもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 移動体用の剛性推進翼
2 第1セクション
3 第2セクション
4 中間セクション
5 連接手段
6 第1の端部
7 第2の端部
8 取付手段
9 ベース
18 連結ロッド
22、23 可動ロッド
24、25 シリンダ
28 ロック手段
33 バラストケーブル
34、35 ウィンチ
40、41 スタッド
42、43 溝
44 取り付けプレート
50 第1および第2のロック手段