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特開2024-81708フランジ付き軸受、組立体、並びにその製造及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081708
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】フランジ付き軸受、組立体、並びにその製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/28 20060101AFI20240611BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240611BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16C33/28
F16C17/02 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024047043
(22)【出願日】2024-03-22
(62)【分割の表示】P 2022524686の分割
【原出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】62/944,732
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲゲ
(72)【発明者】
【氏名】スー、カイボ
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー、ハンス - ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フリュッゲ、ヤン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より長い寿命、改善された有効性、改善された腐食保護、及び組立体内の全体的な改善された性能を有する軸受を提供する。
【解決手段】低摩擦材料に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を含む側壁を含む軸受であって、側壁がさらに、略円筒形本体と、略円筒形本体の軸方向端部に隣接し、軸方向端部から延在するフランジとを含み、1)フランジが、フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触している複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を含むか、又は、2)側壁若しくはフランジが外方導電性領域と内方導電性領域とを有するか、のうちの少なくとも一方である、軸受。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受であって、
前記軸受は、低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有する側
壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジと
をさらに有し、
1)前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接
触する複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を有すること、或いは、2)前記側壁又は
前記フランジが、外方導電性領域及び内方導電性領域を有すること、のうちの少なくとも
一方である、軸受。
【請求項2】
内側構成要素と、
外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素の径方向の間に配置された軸受と
を有する組立体であって、
前記軸受は、低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有する側
壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジと
をさらに有し、
1)前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接
触する複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を有すること、或いは、2)前記側壁又は
前記フランジが、外方導電性領域及び内方導電性領域を有すること、のうちの少なくとも
一方である、組立体。
【請求項3】
低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有するブランクを提供
するステップと、
前記ブランクから軸受を形成するステップと
を含む方法であって、
前記軸受は、側壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジと
をさらに有し、
1)前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接
触する複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を有すること、或いは、2)前記側壁又は
前記フランジが、外方導電性領域及び内方導電性領域を有すること、のうちの少なくとも
一方である、方法。
【請求項4】
前記外方導電性領域又は前記内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、少なくとも部
分的に低摩擦材料を含まない変形ノッチであって、前記側壁から径方向内側又は径方向外
側に後退する変形ノッチを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組
立体、又は方法。
【請求項5】
前記外方導電性領域又は前記内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、少なくとも部
分的に低摩擦材料を含まない突起であって、前記側壁から径方向内側又は径方向外側に延
びる突起を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法
【請求項6】
前記低摩擦材料が前記基材の表面を覆っている、請求項1から5までのいずれか一項に
記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項7】
前記低摩擦材料が、前記基材の径方向外面及び径方向内面の両方を覆っている、請求項
6に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項8】
前記基材が、織られたメタルメッシュ又はエキスパンドメタルを有する、請求項1から7ま
でのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項9】
前記低摩擦材料がポリマーを有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の軸受
、組立体、又は方法。
【請求項10】
前記外方導電性領域又は前記内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、前記略円筒形
本体に位置する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項11】
前記外方導電性領域又は前記内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、前記フランジ
に位置する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項12】
前記外方導電性領域又は前記内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、前記基材を露
出させる、請求項1から11までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項13】
前記フランジが、前記軸受の円周の少なくとも180°の周りに多重壁構造を有する、
請求項1から12までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項14】
前記フランジが、最も外側の軸方向表面に面する低摩擦材料で形成される、請求項1か
ら13までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項15】
前記基材は、前記低摩擦材料が前記基材の前記径方向内面及び径方向外面の少なくとも
一部に沿って延びるように、前記低摩擦材料に完全に埋め込まれている、請求項1から1
4までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、軸受、特にフランジ又は複数層軸受側壁のうちの少なくとも一方を
備えた滑り軸受、並びにそれらの製造方法及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受は一般に、嵌合した構成要素間の滑り界面を提供する。軸受は、組立体内で相互に
対して移動可能な2つ以上の構成要素間に接続する低摩擦材料を含むことができる。さら
に、いくつかの軸受は、1つ又は2つのフランジを有するフランジ付き軸受を含む。軸受
は、たとえばドア、フード、及びエンジン室のヒンジ、座席、ステアリング・コラム、フ
ライホイール、バランサ・シャフト軸受など、自動車業界での用途に応じた組立体の中で
使用され得るか、又は自動車以外の用途で使用され得る。いくつかのヒンジ組立体は、電
子塗装又は他の方法によって行われ得る塗装コーティングを含むがこれらに限定されない
コーティングを含み得る。一部の領域では、ヒンジ組立体の軸受及びその他の構成要素に
間隙を含む場合があり、これにより、オーバーコーティングが発生し、ヒンジ組立体に腐
食や破片/汚染が発生し得る。したがって、当技術分野の進歩にもかかわらず、より長い
寿命、改善された有効性、改善された腐食保護、及び組立体内の全体的な改善された性能
を有する改善された軸受に対する継続的な必要性が存在する。
【0003】
本開示は、添付図面を参照することによって、当業者によりよく理解され、本開示の多
数の特徴及び利点が明らかにされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】段階的な製造工程の説明図である。
図2A】いくつかの実施例による、軸受の層構造の説明図である。
図2B】いくつかの実施例による、軸受の層構造の説明図である。
図3A】いくつかの実施例による、軸受の斜視上面図である。
図3B】いくつかの実施例による、軸受の径方向断面図である。
図3C】いくつかの実施例による、軸受の径方向断面図である。
図4】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
図5】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
図6】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
図7】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
図8】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図の要素が話を単純且つ明快にするために示され、必ずしも原寸に比例して
描かれていないことを理解されよう。たとえば、図のいくつかの要素の寸法は、本発明の
実施例の理解を高める助けとなるように、他の要素と比べて誇張され得る。相異なる図面
での同じ参照記号の使用は、類似の、又は同一のものを示している。
【0006】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのに役立つよう
提示されている。以下の考察では、本教示の特定の実施態様及び実施例に焦点を合わせる
ことにする。この焦点は、本教示を説明するのに役立つよう提示されており、本教示の範
囲又は適用性について限定するものと解釈されるべきではない。しかし、この出願で開示
された教示に基づいて、他の実施例が使用され得る。
【0007】
用語「備える、有する(comprises)」、「備えている、有している(com
prising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(includin
g)」、「有する(has)」、「有している(having)」、又はこれらの他の任
意の変形形態は、非排他的な包含を網羅することを意図している。たとえば、特徴のリス
トを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそうした特徴だけに限定されるものではなく
、明示的に列挙されていないか又はかかる方法、物品、若しくは装置に固有の、他の特徴
を含むことができる。さらに、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「又は
(or)」は、排他的な又は(or)ではなく、包含的な又は(or)を指す。たとえば
、A又はBという状態は、Aが真(又は存在する)且つBが偽(又は存在しない)、Aが
偽(又は存在しない)且つBが真(又は存在する)、並びにAとBとの両方が真(又は存
在する)のうちのいずれか1つによって満たされる。
【0008】
また、「ある(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の要素及び構
成要素を説明するために使用される。これは単に便宜上、且つ本発明の範囲の一般的な意
味を与えるために使用されている。この記述は、そういう意味でないことが明らかでない
限り、1つ、少なくとも1つ、又は複数も含む単数若しくはその逆を包含するものと、読
み取られるべきである。たとえば、本明細書でただ1つの実施例が説明されているとき、
ただ1つの実施例の代わりに複数の実施例が使用されることがある。同様に、本明細書で
複数の実施例が説明されている場合、ただ1つの実施例が、その複数の実施例の代わりに
用いられることがある。
【0009】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本
発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、
方法、及び実例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に
記載されていない範囲で、特定の材料及び加工行為に関する多くの詳細は従来通りであり
、軸受及び軸受組立体の技術分野内の、教科書及び他の情報源の中に見出すことができる
【0010】
説明の目的で、図1は、軸受を形成するための製造工程10を示す概略図を含む。製造
工程10は、基礎材料(base material)を準備する第1のステップ12、
複合材料を形成するために基礎材料を、低摩擦コーティングを使ってコーティングする第
2のステップ14、及び複合材料を軸受に形成する第3のステップ16を含むことができ
る。
【0011】
第1のステップ12を参照すると、基礎材料は基材(substrate)であり得る
。一実施例では、基材は、少なくとも部分的に金属担体(metal support)
を含むことができる。特定の実施例によれば、金属担体は、鉄、銅、チタン、青銅、スズ
、ニッケル、アルミニウム、これらの合金を含むことができ、又は別の種類の金属であっ
てもよい。より具体的には、基材は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はばね鋼などの鋼を、少
なくとも部分的に含むことができる。たとえば、基材は、少なくとも部分的に、301ス
テンレス鋼を含むことができる。301ステンレス鋼は、焼き鈍しされたもの、1/4硬
質、1/2硬質、3/4硬質、又は硬質(full hard)であり得る。いくつかの
実施例では、基礎材料は、別の金属でコーティングされた金属担体であり得、これは、耐
食性又は摩擦特性を改善し得る。
【0012】
基材は、開放金属基材(open metal substrate)を含み得る。開
放金属基材は、基材の径方向表面に複数の開口を有する金属を含み得る。基材の径方向表
面は、径方向表面積を有し得、複数の開口は、基材の径方向表面積において複数の開口が
占める表面積として定められる空隙面積を有し得る。開放金属基材は、開放金属表面の径
方向表面の表面積の少なくとも30%の空隙面積を有すると定められ得る。いくつかの実
施例では、開放金属基材は、たとえば開放金属基材の径方向の表面積の少なくとも40%
、たとえば開放金属基材の径方向の表面積の少なくとも50%、たとえば開放金属基材の
径方向の表面積の少なくとも60%、たとえば開放金属基材の径方向の表面積の少なくと
も70%、たとえば開放金属基材の径方向の表面積の少なくとも80%、又は、たとえば
開放金属基材の径方向の表面積の少なくとも90%など、開放金属表面の径方向表面の表
面積の少なくとも30%の空隙面積を有し得る。空隙面積は、開放金属基材の径方向の表
面積の95%以下、開放金属基材の径方向の表面積の90%以下、開放金属基材の径方向
の表面積の80%以下、開放金属基材の径方向の表面積の70%以下、開放金属基材の径
方向の表面積の60%以下、開放金属基材の径方向の表面積の50%以下、開放金属基材
の径方向の表面積の40%以下、又は、開放金属基材の径方向の表面積の30%以下など
、開放金属基材の径方向の表面積の99%以下をカバーし得る。
【0013】
開放金属基材は、織成金属若しくは不織金属、エキスパンドメタルグリッド、又は穴開
き金属シートを含むことができ、或いはその径方向表面に複数の開口を含む別のタイプの
金属を含んでもよい。
【0014】
一実施例では、開放金属基材は、織られたメタルメッシュを含み得る。織られたメタルメッシュ
は、開口又は空隙を生成するために織り合わされた第1のフィラメント及び第2のフィラ
メントなどのフィラメントを含むように製造され得る。一実施例では、第1のフィラメン
ト及び第2のフィラメントは、同じ厚さを有することができる。或いは、それらは異なる
厚さを有していてもよい。織られたメタルメッシュは、織られたネット、インタークリンプ、ロッ
ククリンプ、平織り、フラットトップ織り、フラットスタンプ、又は溶接を含むがこれら
に限定されない様々な織りタイプを有していてもよい。メタルメッシュの織り方は、正方
形織り、オランダ織り、綾織りオランダ織り、逆オランダ織り、又は別の方法で織られて
いてもよい。
【0015】
一実施例では、開放金属基材は、不織布メタルメッシュを含み得る。不織布メタルメッ
シュは、化学的、機械的、熱、又は溶媒処理によって互いに結合されて開口又は空隙を生
成する第1のフィラメント及び第2のフィラメントなどのフィラメントを含むように製造
され得る。一実施例では、第1のフィラメント及び第2のフィラメントは、同じ厚さを有
することができる。或いは、それらは異なる厚さを有していてもよい。
【0016】
一実施例では、開放金属基材は、エキスパンドメタルグリッドを含み得る。エキスパン
ドメタルグリッドは、いくつかの異なるプロセスによって製造され得る。たとえば、複数
の開口を金属シートにスタンプして、金属シートにいくつかのフィラメント及び空隙を生
成してもよい。スタンプは、材料の除去、又は材料を大幅に除去せずにシート内に開口を
作成することを含み得る。いくつかの実施例では、エキスパンドメタルグリッドは、織ら
れていないが、平面の主面を有するシートから調製され得る。エキスパンドシートは、金
属を伸ばして金属格子を作成した後に維持される少なくとも1つの主面の平面性を有し得
る。一実施例では、開口は、互いに等間隔に配置され得る。別の実施例では、開口は、異
なる空間間隔で互いに離間され得る。特定の実施例では、シートは、スタンプ中に拡張又
は伸長され得る。たとえば、鋸歯状のプレスが、開位置と閉位置の間で往復運動し、開口
を形成し、同時にシートの起伏のある表面プロファイルを作成してもよい。或いは、シー
トをスタンプして、第1のステップで開口を形成し、次いで第2のステップで拡張しても
よい。シートの拡張は、一方向又は双方向又は他の複数方向の方法で発生し得る。たとえ
ば、一実施例では、シートは、反対方向、たとえば、第1の方向及び第1の方向から18
0°オフセットされた第2の方向に拡張され得る。別の実施例では、シートは、双方向に
拡張されてもよく、たとえば、第1、第2、第3、及び第4の方向に拡張され得る。第1
及び第3の方向は互いに反対であり得、第2及び第4の方向は互いに反対であり得る。よ
り具体的には、第1及び第3の方向のそれぞれは、第2及び第4の方向のそれぞれから9
0°オフセットされていてもよい。
【0017】
一実施例では、開放金属基材は、穴開き金属シートを含み得る。穴開き金属シートは、
いくつかの異なるプロセスによって製造され得る。たとえば、複数の開口を金属シートに
形成して、金属シートにいくつかのフィラメント及び空隙を生成してもよい。開口は、切
断、穴開け、スタンプ、のこ引き、せん断、旋削、フライス加工、研削、燃焼、液圧成形
、研磨材流切削、光化学切削、放電、やすり掛けによって形成するか、又は別の方法で形
成され得る。
【0018】
図2A図2Bは、形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に
従って形成され得る複合材料1000の図を含む。説明のために、図2A図2Bは、第
2のステップ14の後の複合材料1000の層ごとの構成を示している。いくつかの実施
例では、複合材料1000は、基材1119(すなわち、上記の、第1のステップ12で
準備された基礎材料)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布され
た低摩擦コーティング)を備えることができる。いくつかの実施例では、基材1119は
、複合材料1000の長さに沿って、少なくとも部分的に延在することができる。図2A
に示されているように、低摩擦層1104は、基材1119の少なくとも一領域に結合さ
れ得る。特定の実施例では、低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦接
合部を形成するように、基材1119の表面に結合され得る。低摩擦層1104は、別の
構成要素の別の表面と低摩擦の界面を形成するために、低摩擦層が基材1119の径方向
内面に存在するか、又はその上にあるように、その中に基材1119を結合、積層、又は
埋め込むことができる。低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面と低摩擦の界面を
形成するために、低摩擦層が基材1119の径方向外面に存在するか、又はその上にある
ように、その中に基材1119を結合、積層、又は埋め込むことができる。他の実施例で
は、低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面と低摩擦の界面を形成するために、低
摩擦層が基材1119の径方向内面と径方向外面の両方に存在するか、又は重なるように
、その中に基材1119を結合、積層、又は埋め込むことができる。一実施例では、開放
金属基材としての基材1119は、低摩擦層1104内に部分的に埋め込まれ得る。一実
施例では、開放金属基材としての基材1119は、低摩擦材料が、基材1119の径方向
外面及び径方向内面に沿って基材1119の少なくともいくつかの部分に沿って延在する
ように、低摩擦層1104内に完全に埋め込まれ得る。一実施例では、図2Bに最もよく
示されるように、開放金属基材としての基材1119は、第1の低摩擦層1104、及び
第2の低摩擦層1104’を形成するように、低摩擦層1104内に少なくとも部分的に
埋め込まれ得る。いくつかの実施例では、複合材料1000は、任意選択で、第2の基材
1119’を含み得る。一実施例では、第2の基材1119’は、鋼基材などの金属含有
基材であり得、上記のように、開放金属基材を含み得る。
【0019】
基材1119は、約50ミクロンから約1500ミクロンの間など、約100ミクロン
から約1000ミクロンの間など、約150ミクロンから約500ミクロンの間などの、
約10ミクロンから約2000ミクロンの間の厚さTを有することができる。いくつか
の実施例では、基材1119は、約200から600ミクロンの間の厚さTを有し得る
。いくつかの実施例では、基材1119は、約250から450ミクロンの間の厚さT
を有し得る。基材1119の厚さTは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかと
の間の、任意の値であり得ることがさらに理解されよう。基材1119の厚さは、均一で
あり得る。すなわち、基材1119の第1の位置での厚さは、基材に沿った第2の位置で
の厚さに等しくなり得る。基材1119の厚さは、不均一であり得る。すなわち、基材1
119の第1の位置での厚さは、基材に沿った第2の位置での厚さと相異なり得る。
【0020】
いくつかの実施例では、低摩擦層1104は、低摩擦材料を含むことができる。低摩擦
材料は、たとえば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエー
テルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、
フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエ
ーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリ
スルホン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド
(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、又はこれらの任意
の組合せなどの、ポリマーを含むことができる。一実例では、低摩擦層1104は、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン
、ポリエーテルケトンエーテルケトン、これらの誘導体、又はこれらの組合せなどの、ポ
リケトンを含む。さらなる実例では、低摩擦層1104は、超高分子量ポリエチレンを含
むことができる。別の実例では、低摩擦層1104は、フッ素化エチレンプロピレン(F
EP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
、パーフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピ
レン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、又はエチ
レンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)を含む、フルオロポリマーを
含むことができる。低摩擦層1104は、リチウム石鹸、グラファイト、窒化ホウ素、二
硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タ
ングステン、若しくはダイヤモンド様炭素を含む固体ベースの材料、金属(アルミニウム
、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、プラチナ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ば
ね鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙されている金属を含む)、陽極酸化金属(列
挙されている金属を含む)、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施
例によれば、フルオロポリマーが使用され得る。
【0021】
いくつかの実施例では、低摩擦層1104は、ガラス、炭素、珪素、PEEK、芳香族
ポリエステル、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミ
ドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO)、LCP、芳香族
ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、グラフェン、発
泡グラファイト、タルク、フッ化カルシウム、又はこれらの任意の組合せを含む、充填剤
をさらに含むことができる。充填剤は、さらに、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ
化カルシウム、窒化ホウ素、雲母、ウォラストナイト、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア
、カーボン・ブラック、顔料、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。充填剤は
、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はこれらの任意の組合せの形態であり得る。充填剤
は、低摩擦層の総重量を基準として、少なくとも15重量%、20重量%、25重量%、
さらには30重量%など、少なくとも10重量%であり得る。いくつかの実施例では、低
摩擦層1104は、基材1119の電気伝導率よりも低い電気伝導率を有し得る。
【0022】
一実施例では、低摩擦層1104(又は第2の低摩擦層1104’)は、たとえば約1
0ミクロンから約400ミクロンの間、たとえば約30ミクロンから約300ミクロンの
間、たとえば約50ミクロンから約250ミクロンの間など、約1ミクロンから約500
ミクロンの間の厚さTFL(TFL’)を有し得る。いくつかの実施例では、低摩擦層1
104(又は第2の低摩擦層1104’)は、約100~350ミクロンの厚さTFL
FL’)を有し得る。低摩擦層1104(又は第2の低摩擦層1104’)の厚さT
(TFL’)は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の任意の値であり得ることがさ
らに理解されよう。低摩擦1104(又は第2の低摩擦層1104’)の厚さは均一であ
ってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の位置での厚さは、それに沿った第2の
位置での厚さに等しくてもよい。低摩擦1104(又は第2の低摩擦層1104’)の厚
さは不均一であってもよく、すなわち、低摩擦層1104の第1の位置での厚さは、それ
に沿った第2の位置での厚さと異なっていてもよい。低摩擦層1104(又は第2の低摩
擦層1104’)は、図示の基材1119の1つの主面を覆うか、又は両方の主面を覆っ
てもよい。基材1119は、低摩擦層1104及び第2の低摩擦層1104’によって少
なくとも部分的にカプセル化され得る。すなわち、低摩擦層1104は、基材1119の
少なくとも一領域を被覆することができる。基材1119の軸方向表面は、低摩擦層11
04から露出されていてもよく、露出されていなくてもよい。摩擦層1104の厚さは、
第2の低摩擦層1104’の厚さと同じであってもよい。摩擦層1104の厚さは、第2
の低摩擦層1104’の厚さとは異なっていてもよい。
【0023】
一実施例では、複合材料1000は、0.2mmから3mmの範囲、さらには0.3m
mから2mmの範囲などの、0.1mmから5mmの範囲の厚さTSWを有することがで
きる。複合材料1000の厚さTSWは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかと
の間の任意の値であり得ることが、さらに理解されよう。複合材料1000の厚さTSW
は均一であってもよく、すなわち、複合材料1000の第1の位置での厚さは、それに沿
った第2の位置での厚さに等しくてもよい。複合材料1000の厚さ、TSWは不均一で
あってもよく、すなわち、複合材料1000の第1の位置での厚さは、それに沿った第2
の位置での厚さと異なっていてもよい。
【0024】
上記の実施例では、図1のステップ14の下で、基材材料は、低摩擦材料の層又は低摩
擦層1104に部分的又は完全に埋め込まれ得る。複合材料の製造に使用される可能性の
あるプロセスは、フライス加工、プレス、押出成形、成形、焼結であるか、又は別の方法
で埋め込まれ得る。上記の複合材料1000の任意の層は、一緒に積層されるか、そうで
なければ、上記のように、それらが少なくとも部分的に互いに重なり合うように形成され
得る。低摩擦層1104、1104’は、上記のように、基材1119又は別の介在層の
表面上に積層されるか、そうでなければ上に重ねられ得る。シートは、放射状の内面及び
外面を有する基材1119に形成され得る。低摩擦層1104、1104’は、基材11
19の放射状の内面及び外面のうちの少なくとも一方が、低摩擦層1104、1104’
内に位置することができるように、基材1119を封止することができる。いくつかの実
施例では、低摩擦層1104、1104’の充填剤に応じて、複合材料1000は、複合
材料1000の少なくとも片側に向かって非導電性表面までのより低い表面関連導電率を
有し得る。
【0025】
ここで、図1に示されている製造工程10の第3のステップ16を参照すると、特定の
実施例によれば、複合材料1000を軸受に形成することは、プリフォームを形成するた
めに、低摩擦層1104、1104’又は介在する任意の層を、溶融接着剤を使用して基
材1119に接着することを、含むことができる。プリフォームは、軸受に成形され得る
ブランクに切断され得る。プリフォームをブランクに切断することは、スタンプ、プレス
、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができるか、又は別のやり方で機械加工され得る
。プリフォームをブランクに切断すると、基材1119の露出領域を含む切断された縁部
を作り出すことができる。ブランクは、プリフォームを圧延及びフランジ成形して、所望
の形状の半製品の軸受を形成することなどによって、軸受に形成され得る。ブランクから
軸受を形成することは、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができ
るか、又は別のやり方で機械加工され得る。いくつかの実施例では、ブランクの縁部が、
2次作業でフランジに曲げられ得る。他の実施例では、軸受は、フランジの形成を含むた
だ1つの作業工程で形成され得る。軸受は、ただ1つのユニット又は単一の材料片として
形成され得る。
【0026】
説明の目的で、図3A~Cは、ブランクから形成され得る軸受(全体として、300と
表されている)を示している。いくつかの実施例では、図3A~Cに示されている軸受3
00は、上記のように最初にブランクとして存在し得る、複合材料1000の適切に寸法
決めされた断片の圧延によって生産され得る。図3Aは、上記の形成工程で説明されたよ
うに形成され得る、軸受300の上面斜視図を示している。図3Bは、上記の形成工程で
説明されたように形成され得る、軸受300の径方向断面図を示している。図3Cは、上
記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受300の近接径方向断面図を示して
いる。
【0027】
ここで図3A図3Cを参照すると、いくつかの特定の実施例では、軸受は平軸受(す
べり軸受)300であり得る。いくつかの実施例では、軸受300は滑り軸受であり得る
。軸受300は、中心軸3000に対して軸方向に延在することができる。中心軸300
0は、軸受100の長さに沿って長手方向に延在するように、向きを合わせられている。
軸受300は、軸受の側壁308を備えることができる。側壁308は、図2A図2C
に示されるように、基材1119及び複合材料1000の少なくとも1つの低摩擦層11
04を含み得る。いくつかの実施例では、側壁308は、外面312及び内面314を含
み得る。側壁308は、長手方向断面で見られるように、第1の軸方向端部303及び第
2の軸方向端部305を有する環状形状を形成し得る略円筒形本体310を含み得る。本
明細書で使用される場合、「略円筒形」は、軸の周りの回転体を有する最適な円筒に配置
されたときに、任意の位置で最適な円筒から15%以下、任意の位置で10%以下、任意
の位置で5%以下、任意の位置で4%以下、任意の位置で3%以下、任意の位置で2%以
下、又は任意の位置で1%以下、逸脱する形状を指す。一実施例では、「略円筒形」は、
内側構成要素と外側構成要素との間で組み立てられた、すなわち設置状態において略円筒
形本体310を指し得る。別の実施例では、「略円筒形」は、内側構成要素と外部構成要
素との間で組み立てられる前の、すなわち、未設置状態において、略円筒形本体310を
指し得る。特定の実施例では、略円筒形の側壁は、2つの長手方向の平面端部を有する軸
の周りの回転に対応する形状を有する円筒形の側壁であり得る。特定の実施例では、円筒
形の側壁は、たとえば、典型的な機械加工及び製造プロセス中に引き起こされるような公
称表面粗さを有し得る。
【0028】
軸受300は、外側径方向端部307及び内側径方向端部306を有することができる
。軸受300は、実質的にL字型である環状形状を有することができる。言い換えれば、
軸受300は、図3Cに最もよく示されているように、径方向及び軸方向に延在するL字
型軸受断面を有することができる。軸受の、他の環状形状も可能である。軸受300を形
成する複合材料1000の圧延片の両端は、略円筒形本体310に沿って軸方向に延在す
る軸方向間隙330において結合され得る。図3Bに最もよく示されているように、軸受
300の中心軸3000に対して非線形及び/又は斜めに(すなわち、対角線的に)延在
する軸方向間隙330も可能である。いくつかの特定の実施例では、軸方向間隙330は
、他の手段によって溶接又は他の方法で結合されて、閉じた軸受300を形成することが
できる。いくつかの実施例では、軸方向間隙330は、結合されないままにしておかれて
もよい。軸受300は、軸受300の軸方向長さに沿って延在し、組立体の内部構成要素
を収容するように適合されたボア350を含み得る。ボア350は、中心軸3000に対
して平行又は非平行であり得る。ボア350は、平面複合材料1000を略円筒形に曲げ
て、略円筒形本体310及び側壁308を形成することによって形成され得る。
【0029】
軸受300の側壁308は、少なくとも1つのフランジ322をさらに含み得る。フラ
ンジ322は、中心軸3000の周りで略環状であり得る。フランジ322は、第1の軸
方向端部303又は第2の軸方向端部305のうちの少なくとも一方から径方向外向きに
突出し得る。フランジ322は、内側径方向端部306から外側径方向端部307まで径
方向外向きに延在し得る。或いは、フランジ322は、外側径方向端部307から径方向
内側端部307(図示せず)まで径方向内側に延在し得る。いくつかの実施例では、フラ
ンジ322は、軸受300の外側径方向端部307において、略平面の最も外側の軸方向
表面を形成し得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、軸受300の外側径方向
端部307の最も外側の軸方向表面に形成された低摩擦層1104又は低摩擦材料を有し
て形成され得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、軸受300の第2の軸方向
端部305に配置され得る。いくつかの実施例では、外側径方向端部307は、中心軸3
000から径方向に測定されたときに、軸受300の外側半径ORを形成することができ
る。いくつかの実施例では、内側径方向端部306は、中心軸3000から径方向に測定
されたときに、軸受300の内側半径IRを形成することができる。言い換えれば、フラ
ンジ322の径方向幅WRFは、外側半径ORと内側半径IRとの距離の差に基づく、距
離であり得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、軸方向分割部327を有する
ことができる。軸方向分割部327は、フランジ322に間隙を設けることができる。い
くつかの実施例では、フランジ322は、セグメント化されたフランジ(図示せず)を提
供する複数の軸方向分割327を含み得る。特定の実施例では、図3A図3Bに示され
るように、軸方向分割327は、略円筒形本体310内の軸方向間隙330と隣接し得る
。他の実施例では、軸方向分割327は、略円筒形本体310内の軸方向間隙330と非
隣接であり得る。
【0030】
いくつかの実施例では、図3A図3Bに示されているように、軸受300は、中心軸
3000から内側径方向端部306までの全体的な内側半径IRを有することができ、I
Rは、≧5mm、≧10mm、≧15mm、≧20mm、又は≧50mmなどの、≧1m
mであり得る。内側半径IRは、≦50mm、≦25mm、≦10mm、≦5mm、又は
≦1mmなどの、≦100mmであり得る。内側半径IRは、軸受300の周縁に沿って
変化し得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約2から50mmの間の、全体的な
内側半径IRを有することができる。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値の
いずれかとの間の範囲内にあり得る、全体的な内側半径IRを有し得ることが理解されよ
う。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり
得る、全体的な内側半径IRを有し得ることがさらに理解されよう。
【0031】
いくつかの実施例では、図3A図3Bに示されているように、軸受300は、中心軸
3000から外側径方向端部307までの全体的な外側半径ORを有することができ、O
Rは、≧5mm、≧10mm、≧20mm、≧40mm、又は≧70mmなどの、≧1.
5mmであり得る。外側半径ORは、≦100mm、≦75mm、≦50mm、≦25m
m、又は≦10mmなどの、≦125mmであり得る。全体的な外側半径ORは、軸受3
00の周縁に沿って変化し得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約3から60m
mの間の、全体的な外側半径ORを有することができる。軸受300は、上記の最小値の
いずれかと最大値のいずれかとの間の範囲内にあり得る、全体的な外側半径ORを有し得
ることが理解されよう。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの
間の任意の値であり得る、全体的な外側半径ORを有し得ることがさらに理解されよう。
さらに、上記のように、フランジ322の径方向幅WRFは、外側半径ORと内側半径I
Rとの距離の差に基づく、距離であり得る。
【0032】
いくつかの実施例では、図3A図3Cに示されているように、軸受300は、第1の
軸方向端部303から第2の軸方向端部305までの全高Hを有することができ、Hは、
≧0.5mm、≧1mm、≧2mm、≧5mm、≧10mm、又は≧50mmであり得る
。高さHは、≦250mm、≦150mm、≦100mm、又は≦50mmなどの、≦5
00mmであり得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約5から50mmの間の全
高Hを有することができる。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれか
との間の範囲内であり得る、全高Hを有し得ることが理解されよう。軸受300は、上記
の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、全高Hを有し得る
ことがさらに理解されよう。
【0033】
いくつかの実施例では、図3Bに示されているように、少なくとも1つのフランジ32
2は、軸受300の略円筒形本体310の軸方向端部303、305と隣接し、それから
延在することができる。一実施例では、フランジ322は、略円筒形本体310と直角に
突出するように配置され得る。他の実施例では、フランジ322は、略円筒形本体310
と非直角に突出するように配置され得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、略
円筒形本体310(及び中心軸方向3000)と角度αをなすことができる。角度αは、
少なくとも0°から180°の範囲であり得る。角度αは、45°以上、55°以上、又
は85°以上などの、30°以上であり得る。角度αは、135°以下、120°以下、
90°以下、又は60°以下などの、150°以下であり得る。いくつかの特定の実施例
では、角度αは、60°から120°の範囲であり得る。
【0034】
ここで図3A図3Cを参照すると、軸受300は、全体的に、1つ又は複数のフラン
ジ側壁342、344を定める多重壁構造を有し得るフランジ322を含み得る。いくつ
かの実施例では、軸受300の第1の軸方向端部303は、フランジ側壁342、344
を有するフランジ322を含み得る。或いは、軸受の第2の軸方向端部305は、フラン
ジ側壁342、344を有するフランジ322を含み得る。或いは、軸受の両方の軸方向
端部303、305は、フランジ側壁342、344を有するフランジ322を含み得る
。本明細書で使用される場合、「多重壁構造」は、互いに重なる複数のフランジ側壁を含
む側壁を指す。一実施例では、複数の側壁が互いに接触する。多重壁構造は、軸受300
の中心軸3000に軸方向に平行に延在する線が、中心軸300に垂直な少なくとも1つ
の径方向位置に沿って2つ以上の別個のフランジ側壁342、344と交差するように形
成され得る。換言すれば、フランジ322は、それ自体の上に折り畳まれて、複数のフラ
ンジ側壁342、344を形成し得る。フランジ側壁342、344は、側壁308の一
部を形成することによって形成され得る。より具体的には、フランジ側壁342、344
は、側壁308の軸方向端部を側壁308の反対の軸方向端部に向かって折り畳むことに
よって少なくとも部分的に形成され得る。1つ又は複数の実施例によれば、フランジ側壁
342、344は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端部305のうちの少なく
とも一方に向かって折り畳まれ得る。或いは、フランジ側壁342、344は、軸受30
0の軸方向中心346に向かって折り畳まれ得る。
【0035】
フランジ側壁342、344が、たとえば、基材1119及び低摩擦層1104を含む
複合材料1000から形成され得る実施例では、プリフォームは、1つの別個のフランジ
側壁342、444と見なされる。多重壁構造は、3つの軸方向に隣接するフランジ側壁
、4つの軸方向に隣接するフランジ側壁、5つの軸方向に隣接するフランジ側壁、又はさ
らには6つの軸方向に隣接するフランジ側壁を含み得る。一実施例によれば、多重壁構造
は、軸方向に隣接するフランジ側壁が5個以下、又は軸方向に隣接するフランジ側壁が3
個以下など、軸方向に隣接するフランジ側壁を10個以下含み得る。一実施例では、軸受
300は、フランジ側壁342、344がフランジ322の径方向長さの少なくとも25
%に沿って、たとえばフランジ322の径方向長さの少なくとも50%に沿って、フラン
ジ322の径方向長さの少なくとも60%、フランジ322の径方向長さの少なくとも7
5%に沿って、フランジ322の径方向長さの少なくとも80%、又はフランジ322の
径方向長さの少なくとも85%までも、互いに接触し得るように、多重壁構造を有し得る
。別の実施例では、軸受300は、フランジ側壁342、344がフランジ322の径方
向長さの100%未満に沿って、たとえば軸方向長さの99%以下、フランジ322の径
方向長さの98%以下、フランジ322の径方向長さの97%以下、径方向長さの96%
以下、フランジ322の径方向長さの95%以下、又はフランジ322の径方向長さの9
0%以下までも、互いに接触し得るように、多重壁構造を有し得る。いくつかの実施例で
は、フランジ322は、フランジ側壁342、344が軸受300の円周の少なくとも1
80°、たとえば軸受300の円周の少なくとも210°、軸受300の円周の240°
、軸受300の円周の270°、軸受300の円周の300°、又は軸受300の円周の
360°までも、の周りで互いに接触し得るように、多重壁構造を有し得る。
【0036】
一実施例では、フランジ322のフランジ側壁342、344のうちの少なくとも一方
は、ばね効果を有する少なくとも1つの圧縮特徴を定めることができ、すなわち、フラン
ジ側壁342、344は、内側構成要素と外側構成要素との間、たとえば、シャフトとボ
アとの間の公差又は不整合の吸収を可能にすることができる。一実施例では、ばね効果は
、フランジ側壁342、344の材料特性を含む、側壁308の材料特性から導出され得
る。
【0037】
いくつかの実施例では、図3Bに示されているように、フランジ322は、約0.75
mmから約8mmの間など、約1mmから約5mmの間など、約1.5mmから約4mm
の間などの、約0.2mmから約10mmの間の厚さTRFを有することができる。いく
つかの実施例では、フランジ322は、約0.7から5mmの間の厚さTRFを有するこ
とができる。フランジ322は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の範
囲内であり得る、厚さTRFを有し得ることが理解されよう。フランジ322は、上記の
最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、厚さTRFを有し得
ることがさらに理解されよう。フランジ322の厚さTRFは、軸受300の周縁の周り
で変化し得ることも理解されよう。
【0038】
いくつかの実施例では、図3A図3Cに示されるように、略円筒形本体310は、径
方向に配向され得る少なくとも1つの圧印領域366を含み得る。少なくとも1つの圧印
領域366は、略円筒形本体310又はフランジ322に、より高い剛性をもたらし得る
。いくつかの実施例では、圧印領域366は、略円筒形本体310又はフランジ322の
うちの少なくとも一方に対して容易な組立て及び剛性支持のための引き込み支持を提供し
得る。圧印領域366は、軸方向に少なくとも1つのうねり、凹み、溝、窪み、高平部、
勾配、突部、又は変形を有することができる。圧印領域366は、円形、多角形、楕円形
、又は半円形の断面形状を有することができる。いくつかの実施例では、圧印領域366
は、略円筒形本体310上に配置され得る。いくつかの実施例では、圧印領域366は、
第1の軸方向端部303と第2の軸方向端部305との間の軸方向距離に配置され得る。
いくつかの実施例では、圧印領域366は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端
部305にあり得る。言い換えれば、圧印領域366は、略円筒形本体310の円周に沿
ってどこにでも延在し得る。一実施例では、圧印領域366は、径方向の変形の形状であ
り得、その結果、図3Aに示されるように、略円筒形本体310は、軸受300の中心軸
3000に非平行であり得る。圧印領域366は、中心軸3000に平行な線から径方向
外向き又は径方向内向きに変形され得る。
【0039】
図3Bに最もよく示されているように、圧印領域366は、高さHCRを有することが
できる。高さHCRは、軸受300の高さHと、≧0.25H、≧0.20H、≧0.1
5H、≧0.10H、又は≧0.05Hなど、HCR≧0.3Hなどとなるような関係を
有することができる。別の態様では、高さHCRは、≦0.45H、≦0.40H、≦0
.35H、≦0.30H、≦0.25H、≦0.20H、≦0.15H、≦0.10H、
又は≦0.01Hなどの、≦0.5Hであり得る。圧印領域366の高さHCRは、中心
軸3000の周りで、軸受300の周縁に沿って変化し得る。
【0040】
いくつかの実施例では、軸受300の側壁308又は軸受自体は、低摩擦層1104又
は低摩擦材料が、側壁308の径方向内面314及び径方向外面312のうちの少なくと
も1つの金属層を覆うことができるようにコーティングされ得る。いくつかの実施例では
、軸受300の側壁308は、少なくとも1つの導電性領域380を含み得る。導電性領
域380は、低摩擦層1104又は低摩擦材料を含まなくてもよい。導電性領域380は
、軸受300と組立体の他の構成要素の1つとの間の導電性を可能にし得る。導電性領域
380は、複数の導電性領域を含み得る。一実施例では、導電性領域380は、側壁30
8上に外方導電性領域382を含み得る。一実施例では、導電性領域380は、側壁30
8上に内方導電性領域384を含み得る。一実施例では、導電性領域380は、内方導電
性領域384及び外方導電性領域382の両方を含み得る。導電性領域380、内方導電
性領域384、又は外方導電性領域382は、低摩擦材料/層1104を少なくとも部分
的に含まず、側壁308から径方向内側又は径方向外側に後退する変形ノッチを含み得る
。いくつかの実施例では、導電性領域380、内方導電性領域384、又は外方導電性領
域382のうちの少なくとも1つは、基材1119を露出させ得る。本明細書で使用され
る場合、「径方向内側」は、外側径方向端部307(たとえば、側壁308の径方向内面
314)において第1の軸方向端部303から第2の軸方向308までボア350に面す
る軸受300の内側の側壁308として定められ得る。本明細書で使用される場合、「径
方向外部」は、軸受300の外側の側壁308が、外側径方向端部307(たとえば、側
壁308の径方向外面312)において第1の軸方向端部303から第2の軸方向308
までボア350に面していないこととして定められ得る。いくつかの実施例では、導電性
領域380、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382のうちの少なくとも1つ
は、低摩擦層1104又は低摩擦材料を少なくとも部分的に含まず、側壁308から径方
向内側又は径方向外側に延在する突起を含み得る。いくつかの実施例では、導電性領域3
80、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382の少なくとも1つは、低摩擦層
1104又は低摩擦材料を少なくとも部分的に含まず、側壁308から径方向内側又は径
方向外側に後退する変形ノッチを含み得る。少なくとも1つの実施例では、導電性領域3
80、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382のうちの少なくとも1つは、略
円筒形本体310に沿って配置され得る。
【0041】
導電性領域380、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382は、切断、スカ
イビング、スタンプ、プレス、打抜き(punching)、のこ引き、深絞り、面取り
、フライス加工の使用を含み得る機械加工プロセスを介して複合材料1000から形成さ
れ得、又は別の方法によって機械加工され得る。いくつかの実施例では、導電性領域38
0、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382は、単一の操作プロセス又は複数
の操作プロセスによって形成され得る。非限定的な例により、打抜きを使用して、略円筒
形本体310を径方向内向き又は外向きのいずれかに塑性変形させ、基材1119を露出
させる低摩擦材料を除去して、導電性領域380を作成することができる。
【0042】
導電性領域380、内方導電性領域384、又は外方導電性領域382は、0.5mm
以上、1mm以上、5mm以上、25mm以上、又は50mm以上など、0.
1mm以上であり得る軸受側壁308の表面積を有し得る。導電性領域380、内方導
電性領域384、又は外方導電性領域382は、100mm以下、50mm以下、2
5mm以下、10mm以下、又は1mm以下など、200mm以下であり得る軸
受側壁308の表面積を有し得る。導電性領域380、内方導電性領域384、又は外方
導電性領域382は、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内であり得る軸受側
壁308の表面積を有し得ることが理解されよう。さらに、導電性領域380、内方導電
性領域384、又は外方導電性領域382は、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の
任意の値であり得る軸受側壁308の表面積を有し得ることがさらに理解されよう。
【0043】
いくつかの実施例では、上記のように、軸受300は、組立体2000に含まれ得る。
組立体2000は、シャフト28などの内側構成要素をさらに含み得る。組立体2000
は、ハウジング30などの外側構成要素をさらに含み得る。組立体2000は、内側構成
要素と外部構成要素との間に径方向に配置された軸受300を含み得る。いくつかの実施
例では、軸受300は、軸受が内側構成要素又はシャフト28を取り囲むように、内側構
成要素28と外側構成要素30との間に配置され得る。軸受300は、側壁308の径方
向内面314及び径方向外面312に沿って延在する基材1119及び低摩擦材料110
4を有する側壁308を有し得る。側壁308は、略円筒形本体310と、略円筒形本体
310の軸方向端部303、305に隣接し、軸方向端部303、305から延在する少
なくとも1つのフランジ322とを有し得る。フランジ322は、フランジ322の径方
向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触している複数のフランジ側壁342、34
4を含む多重壁構造を有していてもよく、及び/又は側壁308は、外方導電性領域38
2及び内方導電性領域384を含み得る。
【0044】
図4及び図5は、自動車ドア・ヒンジ、フード・ヒンジ、エンジン室ヒンジなどの、例
示的なヒンジ400の形態の組立体2000を示している。ヒンジ400は、内側構成要
素28(内側ヒンジ領域402など)及び外側ヒンジ領域404を備えることができる。
ヒンジ領域402及び404は、外側構成要素30(リベット406及び408など)並
びに軸受410及び412によって取り付けられ得る。軸受410及び412は、本明細
書で以前に説明され、300とラベルづけされた軸受であり得る。図5は、ヒンジ400
の断面を示しており、リベット408及び軸受412をより詳細に示している。
【0045】
図6は、別の例示的なヒンジ600の形態の組立体2000を示している。ヒンジ60
0は、ピン606及び軸受608によって取り付けられた第1のヒンジ領域602及び第
2のヒンジ領域604を備えることができる。軸受608は、本明細書で以前に説明され
、300とラベルづけされた軸受であり得る。
【0046】
例示的な実施例では、図7は、軸受704を含む、分解された自動車ドア・ヒンジの部
品を備える別のヒンジ組立体700の実施例の形態の、組立体2000の非限定的な実例
を示している。図7は、プロファイル・ヒンジの実例である。軸受704は、ヒンジのド
ア部分706に挿入され得る。軸受704は、本明細書で以前に説明され、300とラベ
ルづけされた軸受であり得る。リベット708は、ヒンジのドア部分706をヒンジ略円
筒形本体部分710と橋渡しする。リベット708は、止めねじ712によってヒンジ略
円筒形本体部分710に固定され、ワッシャ702を通してヒンジのドア部分706と所
定の位置で保持され得る。
【0047】
図8は、自転車又はオートバイなどの二輪車両用の例示的なヘッドセット組立体800
の形態の組立体2000を示している。操縦管802は、ヘッド管804を通して挿入さ
れ得る。軸受806及び808は、操縦管802とヘッド管804との間の整列状態を維
持し、接触を防ぐために、操縦管802とヘッド管804との間に配置され得る。軸受8
06及び808は、本明細書で以前に説明され、300とラベルづけされた軸受であり得
る。さらに、シール810及び812は、埃及び他の微粒子状物質による、軸受の滑り面
の汚れを防ぐことができる。
【0048】
上記のかかる組立体は、すべて例示的なものであり、可能性のある他の組立体における
軸受300の使用を制限することを意図するものではない。たとえば、軸受300は、動
力伝達系組立体用途(ベルト・テンショナなど)又は限られた空間を有する他の組立体用
途のための組立体2000で使用され得る。
【0049】
一実施例では、軸受300は、内側構成要素又は外部構成要素に対して軸方向に少なく
とも0.01mm、たとえば少なくとも0.05mm、少なくとも0.1mm、少なくと
も0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、又はさらには少なくとも5mm、
の軸方向公差補償を提供し得る。「軸方向公差補償」は、軸受300のフランジ322が
隣接する軸方向構成要素間のサイズの軸方向調整において提供する距離として定められ得
る。
【0050】
軸受300を形成する方法は、ブランクを提供することを含み得る。軸受300は、基
材1119を含むプリフォームと、基材1119を覆う低摩擦層1104とを含むブラン
クから形成され得る。本方法は、ブランクから軸受300を形成するステップをさらに含
んでもよく、軸受が側壁308を有し、低摩擦材料1104が、側壁308の径方向内面
314及び径方向外面312に沿って延在し、側壁がさらに、略円筒形本体310と、略
円筒形本体310の軸方向端部に隣接し、軸方向端部から延在するフランジ322とを含
み、1)フランジ322が、フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接
触している複数のフランジ側壁342、344を含む多重壁構造を有し得るか、又は、2
)側壁308が、外方導電性領域382と内方導電性領域384とを含むか、のうちの少
なくとも一方である。
【0051】
いくつかの実施例では、組立体2000は、コーティングプロセスを使用してコーティ
ングされ得る。コーティングプロセスは、電子塗装プロセスなどの塗装プロセスを含み得
る。コーティングプロセスは、組立体2000の少なくとも1つの構成要素(たとえば、
軸受300、内部構成要素28、外部構成要素30)の外面に堆積されたコーティング9
5を提供し得る。いくつかの実施例では、外方導電性領域及び内方導電性領域を含む軸受
は、個々の構成要素間に適切な導電性を提供することによって、コーティングが組立体2
000の構成要素に付着することを可能にし得る。たとえば、多重壁構造(multip
le wall construction)を有するフランジ322、並びに/又は外
方導電性領域382及び内方導電性領域384を含む側壁308を有する軸受300は、
車のドア(外側構成要素30)と残りの車体(内側構成要素28)との間に導電性をもた
らし得る。
【0052】
かかる実施例の用途は、たとえば、ヒンジ及び他の車両構成要素用組立体1000を含
む。さらに、軸受300又は組立体2000の使用は、これらに限定されるものではない
が、車両後尾扉、ドア枠、座席組立体、動力伝達系用途(ベルト・テンショナなど)、又
は他の種類の用途などの、いくつかの用途において、利益を増加させることができる。本
明細書の実施例によれば、軸受のフランジは、当技術分野で知られている既存の軸受と比
較して、所望の軸方向予圧及び改善された軸方向の公差補償を可能にすることができる。
さらに、本明細書の実施例によれば、軸受は、過剰な破片を生成することなく、組立体の
効率的なコーティング/電子塗装のために、組立体の異なる構成要素間に適切な導電性を
提供し得る。さらに、本明細書の実施例によれば、軸受は、設置が簡単であり得、後づけ
することができ、様々な複雑度のいくつかの可能性のある組立体にわたって、高い費用効
果をもたらす。その結果、こうした設計は、騒音、耳障り感、効果的でない塗装設計、及
び振動特性を大幅に低減しながらも、トルク性能を向上させ、それにより寿命を延ばし、
組立体、軸受、及び組立体の他の構成要素の有効性及び性能を向上させることができる。
【0053】
多くの様々な態様及び実施例が可能である。そうした態様及び実施例のいくつかが、以
下に説明されている。当業者は、この明細書を読んだ後、そうした態様及び実施例が例示
にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解されよう。実施例は、以下に列挙されて
いる実施例のいずれか1つ又は複数に準拠することができる。
【0054】
「実施例1」
低摩擦材料に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有する側壁を有する軸受
であって、側壁がさらに、略円筒形本体と、略円筒形本体の軸方向端部に隣接し、軸方向
端部から延在するフランジとを有し、1)フランジが、フランジの径方向長さの少なくと
も25%に沿って互いに接触している複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を有するか
、又は、2)側壁若しくはフランジが外方導電性領域と内方導電性領域とを有するか、の
うちの少なくとも一方である、軸受。
【0055】
「実施例2」
内側構成要素と、外側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間に径方向に配置
された軸受とを有する組立体であって、軸受が、低摩擦材料に少なくとも部分的に埋め込
まれた開放金属基材を有する側壁を有し、側壁がさらに、略円筒形本体と、略円筒形本体
の軸方向端部に隣接し、軸方向端部から延在するフランジとを有し、1)フランジが、フ
ランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触している複数のフランジ側壁
を有する多重壁構造を有するか、又は、2)側壁若しくはフランジが外方導電性領域と内
方導電性領域とを有するか、のうちの少なくとも一方である、組立体。
【0056】
「実施例3」
低摩擦材料に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有するブランクを準備す
るステップと、ブランクから軸受を形成するステップとを有する方法であって、軸受が側
壁を有し、側壁が、略円筒形本体と、略円筒形本体の軸方向端部に隣接し、軸方向端部か
ら延在するフランジとを有し、1)フランジが、フランジの径方向長さの少なくとも25
%に沿って互いに接触している複数のフランジ側壁を有する多重壁構造を有するか、又は
、2)側壁若しくはフランジが外方導電性領域と内方導電性領域とを有するか、のうちの
少なくとも一方である、方法。
【0057】
「実施例4」
外方導電性領域又は内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、低摩擦材料を少なくと
も部分的に含まず、側壁から径方向内側又は径方向外側に後退する変形ノッチを有する、
前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0058】
「実施例5」
外方導電性領域又は内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、低摩擦材料を少なくと
も部分的に含まず、側壁から径方向内側又は径方向外側に延在する突起を有する、前述の
実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0059】
「実施例6」
低摩擦材料が基材の表面を覆う、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、
又は方法。
【0060】
「実施例7」
低摩擦材料が、基材の径方向外面及び径方向内面の両方を覆う、実施例6に記載の軸受
、組立体、又は方法。
【0061】
「実施例8」
基材が、織られたメタルメッシュ又はエキスパンドメタルを有する、前述の実施例のいずれ
か1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0062】
「実施例9」
基材の金属は、青銅、銅、アルミニウム、メッシング、又はステンレス鋼のグループか
ら選択される、実施例8に記載の軸受、組立体、又は方法。
【0063】
「実施例10」
低摩擦材料がポリマーを有する、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、
又は方法。
【0064】
「実施例11」
外方導電性領域又は内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、略円筒形本体上に位置
する、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0065】
「実施例12」
外方導電性領域又は内方導電性領域のうちの少なくとも一方がフランジ上に位置する、
前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0066】
「実施例13」
外方導電性領域又は内方導電性領域のうちの少なくとも一方が、基材を露出させる、前
述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0067】
「実施例14」
略円筒形本体は、軸受の第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間に少なくとも部分
的に延在する間隙を有する、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方
法。
【0068】
「実施例15」
フランジが分割部を有する、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は
方法。
【0069】
「実施例16」
多重壁構造は、2つのフランジ側壁を有する、前述の実施例のいずれか1つに記載の軸
受、組立体、又は方法。
【0070】
「実施例17」
多重壁構造は、少なくとも4つのフランジ側壁又はさらには少なくとも5つのフランジ
側壁など、少なくとも3つのフランジ側壁を有する、実施例16に記載の軸受、組立体、
又は方法。
【0071】
「実施例18」
多重壁構造は、4つ以下のフランジ側壁又はさらには3つ以下のフランジ側壁など、5
つ以下のフランジ側壁を有する、実施例16に記載の軸受、組立体、又は方法。
【0072】
「実施例19」
フランジが、軸受の円周の少なくとも180°の周りに多重壁構造を有する、前述の実
施例のいずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0073】
「実施例20」
フランジは、略平面の最も外側の軸方向表面を有する、前述の実施例のいずれか1つに
記載の軸受、組立体、又は方法。
【0074】
「実施例21」
フランジが、最も外側の軸方向表面に面する低摩擦材料で形成される、前述の実施例の
いずれか1つに記載の軸受、組立体、又は方法。
【0075】
「実施例22」
基材は、低摩擦材料が基材の径方向内面及び径方向外面の少なくとも一部に沿って延在
するように、低摩擦材料に完全に埋め込まれている、前述の実施例のいずれか1つに記載
の軸受、組立体、又は方法。
【0076】
上記のすべての特徴が必要なわけではなく、特定の特徴の領域が不要な場合があり、ま
た説明された特徴に加えて、1つ又は複数の特徴が提供され得ることに留意されたい。さ
らに、特徴が説明された順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0077】
明確にするために、本明細書に別個の実施例の文脈で説明されているいくつかの特徴も
また、ただ1つの実施例において組み合わせて実現され得る。逆に、簡潔にするために、
ただ1つの実施例の文脈で説明されている様々な特徴もまた、別々に又は任意の部分的組
合せで実現され得る。
【0078】
利益、他の利点、及び問題の解決策が、特定の実施例に関して上記で説明されてきた。
しかし、利益、利点、問題の解決策、及びどんな利益、利点、又は解決策をも生じさせる
ことができる、又はより顕著にさせることができるいかなる特徴も、一切の特許請求の範
囲の重要な、必要な、又は不可欠な特徴として解釈されるべきではない。
【0079】
本明細書に記載の実施例の仕様及び説明図は、様々な実施例の構造の全体的な理解をも
たらすことを意図している。仕様及び説明図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用す
る装置及びシステムのすべての要素及び特徴の、網羅的且つ包括的な説明として役立つこ
とを意図するものではない。別個の実施例もまた、ただ1つの実施例において組み合わせ
て実現でき、逆に、簡潔にするために、ただ1つの実施例の文脈で記載されている様々な
特徴もまた、別々に又は任意の部分的組合せで実現され得る。さらに、範囲内として記載
されている値への参照には、その範囲内のいずれの値も含まれる。当業者には、他の多く
の実施例が、この明細書を読んだ後にのみ明らかとなり得る。他の実施例が使用でき、本
開示から導くことができ、それにより本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、
論理的置換、又は任意の変更が行われ得る。したがって、本開示は、限定的ではなく例示
的と見なされるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受であって、
前記軸受は、低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有する側壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジとをさらに有し、
1)前記フランジが、前記側壁の前記軸方向端部を前記側壁の反対の軸方向端部に向かって折り畳むことによって少なくとも部分的に形成された多重壁構造を有し、前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触する複数のフランジ側壁を有すると、或いは、2)前記開放金属基材が、前記側壁に沿った1つの点で径方向内側および径方向外側に露出されること、のうちの少なくとも一方である、軸受。
【請求項2】
内側構成要素と、
外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素の径方向の間に配置された軸受と
を有する組立体であって、
前記軸受は、低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有する側壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジとをさらに有し、
1)前記フランジが、前記側壁の前記軸方向端部を前記側壁の反対の軸方向端部に向かって折り畳むことによって少なくとも部分的に形成された多重壁構造を有し、前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触する複数のフランジ側壁を有すると、或いは、2)前記開放金属基材が、前記側壁に沿った1つの点で径方向内側および径方向外側に露出されること、のうちの少なくとも一方である、組立体。
【請求項3】
低摩擦材料内に少なくとも部分的に埋め込まれた開放金属基材を有するブランクを提供するステップと、
前記ブランクから軸受を形成するステップと
を含む方法であって、
前記軸受は、側壁を有し、前記側壁は、
略円筒形本体と、
前記略円筒形本体の軸方向端部に隣接し且つ前記軸方向端部から延びるフランジとをさらに有し、
1)前記フランジが、前記側壁の前記軸方向端部を前記側壁の反対の軸方向端部に向かって折り畳むことによって少なくとも部分的に形成された多重壁構造を有し、前記フランジが、前記フランジの径方向長さの少なくとも25%に沿って互いに接触する複数のフランジ側壁を有すると、或いは、2)前記開放金属基材が、前記側壁に沿った1つの点で径方向内側および径方向外側に露出されること、のうちの少なくとも一方である、方法。
【請求項4】
前記低摩擦材料が前記基材の表面を覆っている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項5】
前記低摩擦材料が、前記基材の径方向外面及び径方向内面の両方を覆っている、請求項4に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項6】
前記基材が、織られたメタルメッシュ又はエキスパンドメタルを有する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項7】
前記低摩擦材料がポリマーを有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項8】
前記フランジが、前記軸受の円周の少なくとも180°の周りに多重壁構造を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項9】
前記フランジが、最も外側の軸方向表面に面する前記低摩擦材料で形成される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項10】
前記基材は、前記低摩擦材料が前記基材の径方向内面及び径方向外面の少なくとも一部に沿って延びるように、前記低摩擦材料に完全に埋め込まれている、請求項1から9までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【外国語明細書】