(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081710
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ウイルス感染、炎症又は癌の処置におけるバイオマーカー及び使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240611BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240611BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240611BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240611BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240611BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240611BHJP
A61K 31/7012 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/47
A61K45/00
A61K31/4709
A61K31/5377
A61K31/661
A61K31/497
A61K31/506
A61K31/7012
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048768
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2021535247の分割
【原出願日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】18306784.2
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】515048803
【氏名又は名称】アビバックス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(71)【出願人】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ポレッティ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート エールリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ シェラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャマル タツィ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン マンション
(57)【要約】 (修正有)
【課題】或るバイオマーカーを提供し、並びにウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の監視、評価及び/又は処置においてそのバイオマーカーを使用する方法を提供する。
【解決手段】炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとして或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとして或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
【請求項2】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置に対する化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
【請求項3】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する際に化合物又は医療用デバイスをスクリーニングする為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
【請求項4】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為に使用される剤であって、スプライシング変異体lncRNA 0599-205を含み、miR-124-1遺伝子座での該スプライシング変異体lncRNA 0599-205が、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとして或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーの治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用される、前記剤。
【請求項5】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為に使用される剤であって、miR-124を含み、該miR-124が、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとして或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーの治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用される、前記剤。
【請求項6】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
【請求項7】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとして使用する為のmiR-124。
【請求項8】
請求項
4~5のいずれか1項に記載の
剤であって、前記治療的処置が、下記の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、前記剤
【化1】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化2】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-NO
2、-NR
1R
2、(C
1~C
4)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1-SO
2-NR
1R
2、-NR
1-SO
2-R
1、-NR
1-C(=O)-R
1、-NR
1-C(=O)-NR
1R
2、-SO
2-NR
1R
2、-SO
3H、-O-SO
2-OR
3、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-O-CH
2-COOR
3、又は(C
1~C
3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、下記の式(IIa)の基
【化3】
、又は下記の式(IIIa)の基
【化4】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1及びR
2の各々は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4の各々は独立して、水素原子、Li
+、Na
+、K
+、N
+(Ra)
4又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化5】
又は下記の式(IIIa)の基
【化6】
であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1~C
5)アルキル若しくは(C
3~C
6)シクロアルキルであり、又は
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1~C
4)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【請求項9】
前記化合物が、下記の式Ia~Id
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
8に記載の
剤。
【化7】
【請求項10】
前記化合物が、ABX464又はその医薬的に許容される塩である、請求項8又は9に記載の剤。
【請求項11】
前記治療的処置が、下記の式IVの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、請求項
4~5のいずれか1項に記載の
剤
【化8】
ここで、V、Z、R、R’、n及びn’のぞれぞれは、請求項
8で記載された通りである。
【請求項12】
前記化合物が、下記の式IVa~IVdの化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
11に記載の
剤。
【化9】
【請求項13】
請求項6に記載の変異体であって、前記治療的処置が、下記の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、前記変異体
【化10】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化11】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-NO
2、-NR
1R
2、(C
1~C
4)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1-SO
2-NR
1R
2、-NR
1-SO
2-R
1、-NR
1-C(=O)-R
1、-NR
1-C(=O)-NR
1R
2、-SO
2-NR
1R
2、-SO
3H、-O-SO
2-OR
3、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-O-CH
2-COOR
3、又は(C
1~C
3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、下記の式(IIa)の基
【化12】
、又は下記の式(IIIa)の基
【化13】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1及びR
2の各々は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4の各々は独立して、水素原子、Li
+、Na
+、K
+、N
+(Ra)
4又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化14】
又は下記の式(IIIa)の基
【化15】
であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1~C
5)アルキル若しくは(C
3~C
6)シクロアルキルであり、又は
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1~C
4)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【請求項14】
前記化合物が、下記の式Ia~Id
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
13に記載の
変異体。
【化16】
【請求項15】
前記化合物が、ABX464又はその医薬的に許容される塩である、請求項13又は14に記載の変異体。
【請求項16】
請求項6に記載の変異体であって、前記治療的処置が、下記の式IVの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、前記変異体
【化17】
ここで、V、Z、R、R’、n及びn’のぞれぞれは、請求項
8で記載された通りである。
【請求項17】
前記化合物が、下記の式IVa~IVd
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
16に記載の
変異体。
【化18】
【請求項18】
請求項7に記載のmiR-124であって、前記治療的処置が、下記の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、前記miR-124
【化19】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化20】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-NO
2、-NR
1R
2、(C
1~C
4)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1-SO
2-NR
1R
2、-NR
1-SO
2-R
1、-NR
1-C(=O)-R
1、-NR
1-C(=O)-NR
1R
2、-SO
2-NR
1R
2、-SO
3H、-O-SO
2-OR
3、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-O-CH
2-COOR
3、又は(C
1~C
3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、下記の式(IIa)の基
【化21】
、又は下記の式(IIIa)の基
【化22】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1及びR
2の各々は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4の各々は独立して、水素原子、Li
+、Na
+、K
+、N
+(Ra)
4又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化23】
又は下記の式(IIIa)の基
【化24】
であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1~C
5)アルキル若しくは(C
3~C
6)シクロアルキルであり、又は
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1~C
4)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【請求項19】
前記化合物が、下記の式Ia~Id
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
18に記載の
前記miR-124。
【化25】
【請求項20】
前記化合物が、ABX464又はその医薬的に許容される塩である、請求項19に記載の前記miR-124。
【請求項21】
請求項7に記載のmiR-124であって、前記治療的処置が、下記の式IVの化合物又はその医薬的に許容される塩
によって行われる、前記miR-124
【化26】
ここで、V、Z、R、R’、n及びn’のぞれぞれは、請求項
8で記載された通りである。
【請求項22】
前記化合物が、下記の式IVa~IVd
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩から選択される、請求項
21に記載の
miR-124。
【化27】
【請求項23】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項24】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置に対する化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項25】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項26】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカー或いは治療的処置の有効性癌のバイオマーカーとしての、miR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項27】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとしての、miR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項28】
前記治療的処置が、式I、Ia、Ib、Ib’、Ic、Id又はIV、IVa、IVb、IVb’、IVc、IVd、IVの化合物、例えばABX464、又はそれらの医薬的に許容される塩、の投与を含む、請求項23、25、26、又は27のいずれか1項に記載のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項29】
前記化合物が、式I、Ia、Ib、Ib’、Ic、Id又はIV、IVa、IVb、IVb’、IVc、IVの化合物、例えばABX464、又はそれらの医薬的に許容される塩である、請求項24に記載のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【請求項30】
前記miR-124-1遺伝子座での前記スプライシング変異体lncRNA 0599-205又は前記miR-124の、単離された生物学的サンプルにおける、発現の測定されたレベルが、対照参照値と比較される、請求項23~29のいずれか1項に記載のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
キノリン誘導体である8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(「ABX464」としても知られている)は、キャップ結合複合体(CBC:cap binding complex)、すなわち転写及びプロセッシング機構との初期の相互作用を促進するpre-mRNA転写物の5′-末端での複合体、に結合する。該CBCは、m7Gで修飾された転写産物に幾つかの因子を動員して、プロセッシングイベントを仲介し、且つ効率的な細胞性及びウイルス性pre-mRNAスプライシングの為に必要である。転写産物の最初のイントロンの5’スプライス部位でのCBCのU1 snRNPとの相互作用とCBCのU4/U5/U6粒子のタンパク質との直接相互作用とは、スプライシングされたmRNAの形成を促進する。CBCは酵母又はヒトのいずれにおいても生存の為に必須でないけれども、その削除は、幾つかのスプライシング因子の新生転写産物への動員における減少を結果として生じ、共転写スプライセオソームアセンブリー(cotranscriptional spliceosome assembly)の阻害を結果として生じる。該CBC複合体はまた、マイクロRNA(miRNA)の生合成に影響を与えることが示されている。miRNAは、m7Gキャップを保持するプライマリ(pri)-miRNAsとしてRNA pol IIによって転写される。核及び細胞質のプロセッシングイベント中に、pri-miRNAはm7Gキャップを失い、そして成熟した21~23ヌクレオチド長のmiRNAがRISC(RNA誘発されたサイレンシング複合体:RNA-induced silencing complex)に取り込まれて、RNAサイレンシングをガイドする。miRNA遺伝子の大部分はイントロンに配置されているので、該CBC複合体はイントロンのpre-miRNAのプロセッシング間の相互作用に関与している可能性があり得、及びpre-mRNAは、ウイルスRNAの生合成に影響を与えることによってウイルス複製を阻害するが、細胞性ウイルス性のRNA生合成は詳細に分析されていない。ABX464は、プロウイルスDNAが細胞性DNAに組み込まれると、ウイルス複製にのみ作用するであろう。ウイルスゲノムは一旦感染細胞に組み込まれると、前駆体mRNAスプライシングの活性化と阻害の両方を必要とするため、これは重要である。成功裡の感染及び新しい感染性HIV粒子の産生は、HIV-1プライマリーの9キロベース(kb)転写産物のスプライシングによって産生される7つのウイルスタンパク質(Rev、Tat、Nef、Vif、Vpr、Vpu及びEnv)のバランスの取れた発現を必要とし;これらの中で、Tat及びRev因子は、感染細胞における転写レベル及び転写後レベルでのウイルス遺伝子発現に不可欠である。HIV-1のプライマリー転写産物は、子孫ウイルスのゲノムRNAとしてだけでなく、ウイルスのGagタンパク質及びGag-Polタンパク質をコードするmRNAとしても機能する。ほとんどのスプライシングされていない細胞性RNAは核内に保持され、それらはそこで分解されるが、該スプライシングされていないウイルス性RNAの核外輸送は、Rev応答エレメント(RRE:Rev responsive element)への結合とCRM1依存の輸出機構との相互作用とを通じてRevタンパク質によって促進される。それ故に、非効率的な選択的スプライシング(alternative splicing)が、HIV遺伝子発現とウイルス産生とのバランスを維持する為に必要である。このバランスは、HIVの長い末端反復(LTR:long terminal repeat)と、調節配列及び同族のトランス作用性細胞因子によるそれらの認識によって正に調節されている次善のウイルス5’及び3’スプライス部位(5’及び3’ss)の存在によって媒介されると考えられている。ABX464は、CBC複合体に結合することにより、スプライシングされていないRNAのRevを介したエクスポートを妨げることが示されている。しかしながら、CBCへのABX464の結合によるウイルス及び細胞性スプライシング及び/又はmiRNA生合成の変調の背後にある基になるメカニズムは現在不明である。
【0002】
ABX464は、炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)のDSSモデルにおいて強力な抗炎症効果を示しており、HIVウイルスの複製を防ぐことにおいて効果を示す。ABX464はまた、潰瘍性大腸炎を有する患者における第2a相概念実証臨床試験において安全性及び有効性を実証された。しかしながら、ウイルス性及び細胞性のRNA生合成におけるABX464の影響は定量化されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ABX464はウイルスRNAスプライシングを変化させるが細胞スプライシングは変化させず、miR-124遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングを誘発し、それは、抗炎症性miR124の上方制御をもたらすことが今わかった。「miR-124遺伝子座」とは、miR-124-1遺伝子座、miR-124-2遺伝子座、miR-124-3遺伝子座を含むmiR-124遺伝子座のいずれか1つを意味する。従って、本明細書に開示されている、バイオマーカーとしてのmiR-124又はその複数の遺伝子座のうちの1つを含む方法及び使用方法はまた、当業者に知られている特定の複数の遺伝子座のうちのいずれか1つであることができ又は該1つにさらに適用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、1つの観点において、本発明は、ウイルス感染のバイオマーカーとしての又は該ウイルス感染の治療的処置のバイオマーカーとしての、スプライシングされたウイルスRNA変異体のイン・ビトロ(in vitro)又はエクス・ビボ(ex vivo)使用方法を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染のバイオマーカーとしての又は該ウイルス感染の治療的処置のバイオマーカーとしての、スプライシングされたウイルスRNA変異体を使用する方法であって、生物学的サンプルにおけるスプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。幾つかの実施態様において、ウイルス感染の処置は、本明細書で記載された化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む。
【0005】
他の観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌の治療的処置の有効性バイオマーカーとしての、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAのイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌の治療的処置の有効性バイオマーカーとしての、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAを使用する方法であって、生物学的サンプルにおけるmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置は、本明細書において記載された、化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む。
【0006】
1つの観点において、本発明は、HIV感染のバイオマーカーとしての又はHIV感染の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0007】
1つの観点において、本発明は、HIV感染の処置に対する化合物の生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0008】
1つの観点において、本発明は、HIV感染を予防及び/又は処置する際に化合物又はワクチンをスクリーニングする為のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0009】
1つの観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0010】
1つの観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0011】
1つの観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為の患者を選択する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0012】
1つの観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは治療的処置の有効性のバイオマーカーとしてのmiR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0013】
1つの観点において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為の患者を選択する為のバイオマーカーとしてのmiR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用に関する。
【0014】
上記で定義されたイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用の1つの観点において、該治療的処置は、式I、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、又は式IV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc、式IVd、式IVの化合物、例えばABX464、又はその医薬的に許容される塩の投与を含む。
【0015】
上記で定義されたイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用の1つの観点において、該化合物は、式I、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、又はIV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc、式IVの化合物、例えばABX464、又はその医薬的に許容される塩である。
【0016】
上記で定義されたイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用の1つの観点において、上記SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体、miR-124-1遺伝子座での上記スプライシング変異体lncRNA 0599-205、又は上記miR-124の生物学的サンプルにおける発現の測定されたレベルが対照参照値と比較される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1は、ABX464処置後のHIVスプライシングの解析を示す。
図1A.HIV-1ゲノムと様々なmRNAスプライシング生成物の構成。5'ss(D1~D4)及び3'ss(A1~A7)が示されている。各mRNA生成物のコーディングエクソンのORFは、HIVゲノムの対応するエンコードされたタンパク質を示す異なるカラーコードで示されている。非コーディングエクソンは灰色で囲まれている。ます。
【
図1B】
図1は、ABX464処置後のHIVスプライシングの解析を示す。
図1B.6人のドナーからのPBMCにおけるp24産生によって測定されたHIV-1複製の阻害。
【
図1C】
図1は、ABX464処置後のHIVスプライシングの解析を示す。
図1C.感染され且つ処置されていない(DMSO)又はABX464で6日間処置された(464)ところの6人の異なるドナーからのPBMCにおいてRNA CaptureSeqを使用したHIVスプライイベントの定量化。スプラスされたコンティグ(contig)とスプライシングされていないコンティグ(contig)の数が表示されている。様々なスプライシング生成物が、
図1Aの通りに色付けされている。
【
図1D】
図1は、ABX464処置後のHIVスプライシングの解析を示す。
図1D.スプライシングによって生成された新しいウイルスRNAの配列。
【
図2A】
図2は、ABX464が細胞性スプライシング(cellular splicing)に全体的な影響を与えないことを示す。
図2A.感染されたCD4+T細胞及び感染されていないCD4+T細胞に対するABX464の効果は、ハイスループットRNAseqアプローチによって試験された。16のライブラリーが下記の4つの条件を使用して構築された:4つのドナーに対応する、感染されていない(DMSO_NI)、ABX464で処置された感染されていない(ABX464_NI)、感染された(DMSO_I)、及びABX464で処置された感染された(464_I)。約3800万回の読み取り(生の読み取り全体の50%超)が、サンプルのそれぞれのヒトゲノム配列のエクソンにアラインメントされた。
【
図2B】
図2は、ABX464が細胞性スプライシング(cellular splicing)に全体的な影響を与えないことを示す。
図2B.多次元尺度分析(MDS:Multidimensional scaling analysis)が使用されて、データにおける主要な傾向を解釈した。
【
図2C】
図2は、ABX464が細胞性スプライシング(cellular splicing)に全体的な影響を与えないことを示す。
図2C.細胞性遺伝子のイベントの選択的スプライシング(AS:Alternative splicing)が5つの主要なグループ似分類された(左パネル):選択的5’スプライス部位(A5SS:Alternative 5’ splice site,オレンジ色)、選択的3’スプライス部位(A3SS:Alternative 3’ splice site,青色)、スキップされたエクソン(SE:Skipped exon,灰色)、相互に排他的なエクソン(MXE:Mutually exclusive exons,灰色)、及び保持されたエクソン(RI:Retained exon,yellow)。感染されたサンプル対感染されていないサンプル(DMSO_I対DMSO_NI)、感染されていないサンプル対ABX464で処置された感染されていないサンプル(DMSO_NI対464_NI)、感染されたサンプル対ABX464で処置された感染されたサンプル(DMSO_I対464_I)、及びIPS中でCBCが50%枯渇した後(CBCの50%までのIPS枯渇)を比較したASイベントカウント(右パネル)。
【
図2D】
図2は、ABX464が細胞性スプライシング(cellular splicing)に全体的な影響を与えないことを示す。
図2D.4人のドナーにおけるABX464条件とDMSO条件との間で、一般的な高発現遺伝子(common highly expressed gene)(B2M)のエクソンカバレッジの読み取りを比較することにより、本発明者等は、ABX464がB2Mにおけるスプライシングイベントを増加させなかったことを確認した。
【
図2E】
図2は、ABX464が細胞性スプライシング(cellular splicing)に全体的な影響を与えないことを示す。
図2E.DMSO_I対DMSO_NI(上部のパネル)、DMSO_NI対464_NI(中央のパネル)、DMSO_I対464_I(下部のパネル)のボルケーノ(Volcano)プロット。ABX464処置によって生成された遺伝子発現の変動は、感染されたサンプル(6つの下方制御された遺伝子)と感染されていないサンプル(6つの上方制御された遺伝子)において非常に低かった。
【
図3A】
図3は、ABX464が単一のマイクロRNAである抗炎症性miR-124を上方制御することを示す。
図3A.6人のドナーからのPBMCからの小型RNA(small RNA)のマイクロアレイ分析。PBMCはYU-2株(I)又は感染されていない(NI)及びABX464で処置された又は処置されていない(DMSO)。ボルケーノプロットは、感染が小さな非コードRNAの大きな変動につながることを示し(左のパネル)、一方、ABX464は感染された細胞と感染されていない細胞(それぞれ、右のパネル及び中央のパネル)において単一のマイクロRNAであるmiR-124の再現可能な上方制御を誘発した。
【
図3B】
図3は、ABX464が単一のマイクロRNAである抗炎症性miR-124を上方制御することを示す。
図3B.
図3Aと同じ条件下でCD4+T細胞にTaqMan低密度アレイ技術(Low Density Array technology)を使用したmiR-124発現の定量化。
【
図3C】
図3は、ABX464が単一のマイクロRNAである抗炎症性miR-124を上方制御することを示す。
図3C.処置されていない細胞(DMSO,倍数変化)と比較して、PBMC中でqPCRによって測定されたmiR-124の発現、精製されたCD4+及びCD8 T細胞の発現、及びABX464で処置されたマクロファージの発現。
【
図3D】
図3は、ABX464が単一のマイクロRNAである抗炎症性miR-124を上方制御することを示す。
図3D.処置されていない細胞(DMSO,倍数変化)と比較して、抗レトロウイルス薬であるABX464、ABX530、マラビロック、エファビレンツ、ダルナビル及びAZTで処置された、PBMC中におけるmiR-124の発現。
【
図3E】
図3は、ABX464が単一のマイクロRNAである抗炎症性miR-124を上方制御することを示す。
図3E.健康な参加者(n=10)及びABX464での処置の1日目及び28日目にARTを受けているHIV患者(n=9)の直腸生検におけるmiR-124の定量化。個々のグラフは、健康な参加者についての結果と比較した各患者についての結果を示す。
【
図4A】
図4は、ABX464によるmiR-124の上方制御がmiR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングから発生することを示す。
図4A.ヒトゲノムの8番染色体と20番染色体に配置された、miR-124、miR-124-1、miR-124-2及びmiR-124-3をコードする3つの遺伝子がある。
【
図4B】
図4は、ABX464によるmiR-124の上方制御がmiR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングから発生することを示す。
図4B.本発明者等は、どの遺伝子がABX464によって誘発されたかを決定する為に、ターゲットを絞ったRNA捕捉及びシーケンス戦略を採用した。感染された細胞と感染されていない細胞との両方で、ABX464での処置は、miR-124-1遺伝子座からのmiR-124の上方制御をもたらし、一方、対照遺伝子座であるmiR-429は影響を受けない。
【
図4C】
図4は、ABX464によるmiR-124の上方制御がmiR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングから発生することを示す。
図4C.遺伝子座miR-124-1は、長鎖ノンコーディングRNA(LncRNA 0599-205)を含み、そのスプライシングはABX464によって刺激される。
【
図4D】
図4は、ABX464によるmiR-124の上方制御がmiR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングから発生することを示す。
図4D.ABX464で処置されたPBMCにおけるRNA CaptureSeqによって定量化された、スプライスジャンクション(J1、J2、J3及びJ4)、エクソン-エクソン(J5及びJ6)、並びにmiR-124 75bp領域(miR-124)での読み取りのカウント。
【
図5A】
図5は、LncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の産生の為に必要であることを示す。
図5A.種々の派生RNAを増幅する為に使用されるLncRNA 0599-205前駆体及びプライマーの概略図。
【
図5B】
図5は、LncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の産生の為に必要であることを示す。
図5B.ABX464の存在下又は非存在下におけるスプライシングされたスプライシングされていないLncRNA 0599-205の定量化。
【
図5C】
図5は、LncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の産生の為に必要であることを示す。
図5C.ABX464の存在下又は非存在下におけるHeLa細胞におけるlncRNA 0599-205プラスミドの野生型及びスプライシング変異体の遺伝子導入後のmiR-124の発現の定量化。
【
図5D】
図5は、LncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の産生の為に必要であることを示す。
図5D.ABX464の存在下又は非存在下における全野生型及びスプライシング変異体lncRNA 0599-205の定量化。
【
図7】
図7は、処置されていない2つのサンプル(D5_DMSO及びD8_DMSO)とABX464処置された3つの処理サンプル(D4_464、D5_464及びD8_464)からの組み立てられたコンティグの表現を示す。
【
図8】
図8は、処置されていない(赤色)とABX464で処置された(青色)の両方について、PBMC(2ドナー)及びCD4(4ドナー)のCD45、CCR7、CCR3及びCCR6表面マーカーを使用したFACS分析を示す。
【
図9A】
図9は、miRNA発現におけるABX464処置の効果の分析を示す。
図9A.TaqMan低密度アレイ(TLDA:TaqMan Low Density Array)を使用した6人のドナーからのPBMCのmiRNA発現プロファイリング。ボルケーノプロットは、ABX464で処置された対処置されていない(左のパネル)及び感染された対感染されていない(右のパネル)PBMCにおける差次的miRNA発現を示す。
【
図9B】
図9は、miRNA発現におけるABX464処置の効果の分析を示す。
図9B.TaqManPCRを使用した6人のドナーのマクロファージにおけるmiR-124発現の比較。
【
図9C】
図9は、miRNA発現におけるABX464処置の効果の分析を示す。
図9C.ABX464処置(HIV+1日目)の28日目及び28日後(HIV+28日目)にARTを受けている、健康なボランティア(正常組織)、HIVに感染された患者の生検におけるmiR-124の定量化。
【
図9D】
図9は、miRNA発現におけるABX464処置の効果の分析を示す。
図9D.処置の1日目(D1)と28日目(D28)及び処置を停止してから28日後(D56)にARTを受けているHIV患者の生検におけるmiR-124の定量化。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.バイオマーカー及びその使用の例示的な実施態様:
【0019】
HIV感染及びIBDを処置することにおけるABX464の効果は、同じメカニズム、すなわち高められたpre-mRNAスプライシング、を通じて媒介されることが今見出された。ABX464は、HIVウイルス性RNAのpre-mRNAスプライシングを高めてHIV複製をブロックするだけでなく、抗炎症性miR-124についての遺伝子座の1つを収容する長鎖ノンコーディングRNAのスプライシングをトリガーし、そしてそれによって抗炎症性マイクロRNAmiR-124の発現を増加させる。加えて、ABX464は細胞性遺伝子のpre-mRNAスプライシングに影響を及ぼさないことがわかっている。ABX464は細胞性遺伝子のpre-mRNAスプライシングに影響を与えないが、RNAiによるCBC複合体の枯渇はイントロン保持転写物の蓄積をもたらす。これらの結果は、ABX464がスプライシングにおけるCBCの機能を阻害しなかったが、炎症及びHIV感染のような病的状態下でそれを強化したことを意味する。
【0020】
ウイルス感染
【0021】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染のバイオマーカーとしての又は該ウイルス感染の治療的処置のバイオマーカーとしてのスプライシングされたウイルスRNA変異体を使用する方法であって、生物学的サンプルにおけるスプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0022】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染を処置することに対する化合物の生物学的効果を評価する方法であって、該ウイルス感染のバイオマーカーとしてのスプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0023】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染を予防及び/又は処置することにおいて化合物又はワクチンをスクリーニングする方法であって、該ウイルス感染のバイオマーカーとしてのスプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0024】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染を処置する方法であって、該ウイルス感染のバイオマーカーとしてのスプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法を提供する。
【0025】
幾つかの実施態様において、ウイルス感染は、RNAスプライシングを必要とするウイルス感染である。幾つかの実施態様において、RNAスプライシングを必要とするウイルス感染は、レトロウイルス感染である。幾つかの実施態様において、レトロウイルス感染は、オンコウイルス、レンチウイルス及び/又はスピューマウイルスの感染である。
【0026】
本明細書において使用される場合に、「オンコウイルス」は、癌及び悪性感染症に関連付けられる。幾つかの実施態様において、オンコウイルスは、白血病ウイルス(例えば、トリの白血病ウイルス(ALV:avian leukemia virus)、モロニーウイルスとまた呼ばれるマウスの白血病ウイルス(MULV:murine leukemia virus)、ネコの白血病ウイルス(FELV:feline leukemia virus)、ヒトの白血病ウイルス、例えばHTLV1及びHTLV2、サルの白血病ウイルス、すなわちSTLV(simian leukemia virus)、ウシの白血病ウイルス、すなわちBLV(bovine leukemia virus)、霊長類のオンコウイルスD型、乳腺腫瘍の誘発因子であるオンコウイルスB型、及び急速な乳癌を引き起こすオンコウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス、すなわちRSV(Rous sarcoma virus))から選択される。
【0027】
本明細書において使用される場合に、「スピューマウイルス」は、所与の細胞型又は所与の種に対してかなり低い特異性を示し、及びそれらはときどき免疫抑制現象に関連付けられる。幾つかの実施態様において、スピューマウイルスは、サル泡沫状ウイルス(すなわち、SFV(simian foamy virus))である。
【0028】
本明細書において使用される場合に、「レンチウイルス」は、免疫抑制現象、例えばAIDSを包含する免疫抑制現象、を非常に頻繁に伴う進行の遅い病的状態の原因である。
【0029】
幾つかの実施態様において、レトロウイルス感染は、HIV及びAIDSに関連する状態である。幾つかの実施態様において、HIV及びAIDSに関連する状態は、AIDSに関連する又はAIDSに併存する、炎症性の障害又は状態である。
【0030】
幾つかの実施態様において、スプライシングされたウイルスRNA変異体の存在又は発現レベルは、RNA及び/又はDNA増幅、シーケンシング、同位体、蛍光、発色酵素、スペクトロスコピー、スペクトロメトリー、イムノアッセイ、又は免疫酵素アッセイを使用して測定される。
【0031】
本明細書で記載されている通り、ABX464は、HIV感染細胞において新しいHIVスプライス変異体を生成することが見出されている(
図1D):
GGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAA
GGAAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAG
CGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGAAGAAGCGGAG
ACAGCGACGAAGACCTCCTCAGGACAGTCAGACTCATCAAAGTTCTC
TATCAAAGCA (SEQ.ID.No.1)。
【0032】
従って、幾つかの実施態様において、スプライシングされたウイルスRNA変異体は、HIV感染のバイオマーカーとしてのHIVスプライス変異体である。幾つかの実施態様において、HIVスプライス変異体は、SEQ.ID.No.1のものである。
【0033】
幾つかの実施態様において、本発明は、HIV感染のバイオマーカーとしての又はHIV感染の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしてのSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体を用いる方法であって、生物学的サンプルにおけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0034】
幾つかの実施態様において、単離された生物学的物質におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在が、HIV感染の治療的処置の有効性を示す。
【0035】
幾つかの実施態様において、単離された生物学的サンプルにおけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の測定された発現レベルは、予め単離された生物学的サンプルにおけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の測定された発現レベルと比較され、ここで、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の発現レベルにおける増加は、HIV感染の治療的処置の有効性を示す。
【0036】
幾つかの実施態様において、本発明は、HIV感染の処置に対する化合物の生物学的効果を評価する方法であって、HIV感染のバイオマーカーとしてのSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0037】
幾つかの実施態様において、本発明は、HIV感染を予防及び/又は処置することにおいて化合物又はワクチンをスクリーニングする方法であって、HIV感染のバイオマーカーとしてのSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0038】
幾つかの実施態様において、本発明は、SEQ.ID.No.1を含むHIVスプライス変異体を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、HIVスプライス変異体を含む組成物であって、SEQ.ID.No.1を含む上記組成物を提供する。
【0039】
幾つかの実施態様において、本発明は、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体であるHIVスプライス変異体を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体を含む組成物を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体を含む生物学的サンプルを提供する。
【0040】
幾つかの実施態様において、本発明は、HIV感染を処置する方法であって、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法を提供する。幾つかの実施態様において、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルは、患者の生物学的サンプルにおいて測定される。幾つかの実施態様において、患者の生物学的サンプルは血液サンプルである。幾つかの実施態様において、患者の生物学的サンプルは組織サンプルである。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物を投与する前に、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置の過程の間に、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置の為の患者を選択することを含む。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置から患者を除くことを含む。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、患者に投与されるべき、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物の投与レジメン(例えば、投与量及び/又は投与スケジュール)を調整すること(例えば、増量すること又は減量すること)を含む。幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法はさらに、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の測定された存在及び/又は発現レベルが、処置が一時中止されることができる及び/又は中止されることができる(例えば、HIVスプライス変異体の発現レベルがプラトーである)レベルに達した後に、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物を投与することを一時中止すること及び/又は中止することを含む。
【0041】
幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法は、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の測定された発現レベルを、該患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の予め測定された発現レベルと比較することを含む上記方法を提供する。
【0042】
幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法は、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定及び/又は監視して、投与量をガイドすること又は処置に対する応答を監視することを含む。
【0043】
幾つかの実施態様において、HIV感染を処置する為の本発明の方法は、患者におけるSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体を測定及び/又は監視して、治療をガイドすることを含む。
【0044】
幾つかの実施態様において、本発明の方法はさらに、患者における細胞性遺伝子のpre-mRNAスプライシング又は生物学的サンプルを測定することを含み、ここで、細胞性遺伝子のpre-mRNAスプライシングは、対照サンプルと比較して変更されない。対照サンプルは、様々な起源から取得されることができる。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、処置の前に又は疾病の存在の前に、患者から採取される(例えば、保存血液サンプル又は組織サンプル)。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、集団の正常な、非疾病のメンバーの組から採取される。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置前に、患者から採取される。幾つかの実施態様において、細胞アッセイが、生物学的サンプルにおいて実行されることができる。
【0045】
炎症性の疾病、障害及び状態、並びに癌
【0046】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしてのmiR-124遺伝子座を使用する方法であって、生物学的サンプルにおけるmiR-124の存在又は発現レベルを発現することを含む上記方法を提供する。
【0047】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて、化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0048】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて、化合物又は医療用デバイスをスクリーニングする方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0049】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法を提供する。
【0050】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしてのmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの使用方法であって、生物学的サンプルにおけるmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0051】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて、化合物又は医療用デバイスの生物学的効果の評価をする方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0052】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて、化合物又は医療用デバイスをスクリーニングする方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0053】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する方法であって、上記炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は上記癌のバイオマーカーとしてのmiR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法を提供する。
【0054】
幾つかの実施態様において、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAは、miR-124-1遺伝子座にある。幾つかの実施態様において、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAは、miR-124-2遺伝子座にある。幾つかの実施態様において、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAは、miR-124-3遺伝子座にある。
【0055】
幾つかの実施態様において、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在又は発現レベルは、RNA及び/又はDNA増幅、シーケンシング、同位体、蛍光、発色酵素、スペクトロスコピー、スペクトロメトリー、イムノアッセイ、又は免疫酵素アッセイを使用して測定される。
【0056】
本明細書に記載されている通り、ABX464は、miR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA 0599-205)を誘発することが見出されている(
図4A及び
図4C)。「lncRNA 0599-205」又は「LINC00599-205」としての、本明細書において及び本明細書全体を通じて言及されている長鎖ノンコーディングRNAは、上記miR-124-1遺伝子座を含む第8染色体の9903000の位置から9904500の位置まで、特に9903107の位置から位置9904210の位置まで、の範囲のmiR-124-1遺伝子座の領域に由来する(
図4A及び
図4C)。参照として、転写物lncRNA 0599-205を含む配列の領域は、本明細書においてSEQ.ID.No.15としてさらに参照される。lncRNA 0599-205転写産物に対応する5'から3'までの3つのエクソンの配列が本明細書において、それぞれSEQ.ID.No.16として、SEQ.ID.No.17として及びSEQ.ID.No.18としてさらに参照される。lncRNA 0599-205転写産物の配列は、ENSEMBLデータベースにENST00000521863.1としてさらに登録されている。
【0057】
従って、幾つかの実施態様において、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAは、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205である。
【0058】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性バイオマーカーとしてのmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の使用方法であって、生物学的サンプルにおけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0059】
幾つかの実施態様において、単離された生物学的物質におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性を示す。
【0060】
幾つかの実施態様において、単離された生物学的サンプルにおけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された発現レベルは、予め単離された生物学的サンプルにおけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された発現レベルと比較され、ここで、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の発現レベルにおける増加は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性を示す。
【0061】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて、化合物の生物学的効果を評価する方法であって、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしてのmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0062】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて化合物をスクリーニングする方法であって、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしてのmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法を提供する。
【0063】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又はレベルを測定すること及び/又は監視することを含む。幾つかの実施態様において、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又はレベルは、患者の生物学的サンプルにおいて測定される。幾つかの実施態様において、患者の生物学的サンプルは血液サンプルである。幾つかの実施態様において、患者の生物学的サンプルは組織サンプルである。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物の投与の前に、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置の過程の間に、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置の為の患者を選択することを含む。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置から患者を除くことを含む。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法はさらに、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することによって、患者に投与されるべき、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物の投与レジメン(例えば、投与量及び/又は投与スケジュール)を調整すること(例えば、増量すること又は減量すること)を含む。
【0064】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法は、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された発現レベルを対照参照値と比較することを含む。患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された発現レベルを比較する為に使用されるべき対照参照値は、対照サンプルから得られる。対照サンプルは、様々な起源から取得されることができる。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、処置の前に又は疾病の存在の前に、患者から採取される(例えば、保存血液サンプル又は組織サンプル)。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、集団の正常な、非疾病のメンバーの組から採取される。幾つかの実施態様において、対照サンプルは、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置前に、患者から採取される。幾つかの実施態様において、細胞アッセイが、生物学的サンプルにおいて実行されることができる。
【0065】
幾つかの実施態様において、対照参照値と比較して患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の調節された存在及び/又は発現レベルは、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を示す。幾つかの実施態様において、対照参照値と比較して患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の調節された存在及び/又は発現レベルは、患者に投与される本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物での処置の有効性を示す。語「調節」又は「調節された存在及び/又は発現レベル」は、バイオマーカーの存在又は発現レベルが誘発されるか若しくは増加されるかのいずれかであり、又は、代替的に、抑制されるか若しくは減少されることを意味する。
【0066】
幾つかの実施態様において、対照参照値に相対的な、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の、測定された、減少された若しくは抑制された存在又は減少された発現レベルは、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を示す。幾つかの実施態様において、対照参照値に相対的な、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された、減少された若しくは抑制された存在又は減少された発現レベルは、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物の有効性を示す。幾つかの実施態様において、本明細書に記載された、化合物又は医薬的に許容される塩又はそれらの組成物で処置された患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の測定された発現レベルは、対照参照値に相対的に、2倍、4倍、6倍、8倍、又は10倍の増加である。
【0067】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法は、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定及び/又は監視して、投与量をガイドすること又は処置に対する応答を監視することを含む。
【0068】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の本発明の方法は、患者におけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205を測定及び/又は監視して、治療をガイドすることを含む。
【0069】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の重症度を監視する為に及び/又は処置、例えば本明細書に記載された処置であるがこれらに限定されない処置を包含する処置、の有効性を監視する為に、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205のレベルと、サイトカイン若しくは他のバイオマーカーのレベルとを結び付けるアルゴリズムを提供する。幾つかの実施態様において、本明細書に記載された処置方法は、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205のレベルと、サイトカイン若しくは他のバイオマーカーのレベルとを結び付けるアルゴリズムを使用して、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の重症度を監視すること及び/又は処置の有効性を監視することを含む。
【0070】
2.定義:
【0071】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で又は、医薬的に許容される酸との付加塩の形態で存在しうる。本発明の化合物の好適な生理学的に許容される酸付加塩は、硫酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、フマル酸塩及びスルホン酸塩、特にアルキルスルホン酸塩又はアリールスルホン酸塩、より特には、メシレート、トリフラート、エジシレート、ベシレート及びトシレートを包含する。
【0072】
本発明の化合物及び/又はその塩は、溶媒和物又は水和物を形成し得、且つ本発明は、そのような全ての溶媒和物及び水和物を包含する。語「水和物」及び「溶媒和物」は、本発明に従う化合物が、水和物又は溶媒和物の形態、すなわち1以上の水又は溶媒分子と一緒にされた又は会合された水和物又は溶媒和物の形態であることができることを単に意味する。これは、そのような化合物の化学的特性に過ぎず、それはこのタイプの全ての有機化合物に適用されることができる。
【0073】
本発明の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、それらはエナンチオマーの形態又はジアステレオ異性体の形態で存在することができる。これらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、及び、それらの混合物、例えばラセミ混合物を含むそれらの混合物、は、本発明の範囲内に包含される。
【0074】
本発明の文脈において、以下の語は下記の通りである:
- 「ハロゲン原子」は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味し、特に塩素原子、フッ素原子又は臭素原子、を示すと理解される、
- 「(C1~C5)アルキル」はそれぞれ、本明細書において使用される場合に、C1~C5の直鎖、第2級又は第3級の飽和炭化水素を云う。例が、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルであるがこれらに限定されるものでない、
- 「(C3~C6)シクロアルキル」はそれぞれ、本明細書において使用される場合に、環状飽和炭化水素を云う。例が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルであるがこれらに限定されるものでない、
- 「(C1~C4)アルコキシ」はそれぞれ、本明細書において使用される場合に、O-(C1~C4)アルキル残基を云い、ここで、アルキルは上記に定義された通りである。例が、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシであるがこれらに限定されるものでない、
- 「フルオロアルキル基」及び「フルオロアルコキシ基」はそれぞれ、上記に定義された通りのアルキル基及びアルコキシ基を云い、ここで、該基は少なくとも1つのフッ素原子によって置換されている。例が、ペルフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル又はペルフルオロプロピル、である、
- 「飽和5員又は6員の複素環」はそれぞれ、本明細書において使用される場合に、少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和環を云う。例が、モルホリン、ピペラジン、チオモルホリン、ピペリジン、及びピロリジンであるがこれらに限定されるものでない。
【0075】
本明細書において使用される場合に、語「医薬的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等無しにヒト及び下等動物の組織と接触して使用する為に適しており且つ合理的な利益/リスク比に見合った塩を云う。医薬的に許容される塩は当技術分野において周知である。例えば、S.M.Berge等は、参照により本明細書に取り込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳述されている医薬的に許容される塩を記載する。本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するそれらを包含する。
【0076】
本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものを包含する。医薬的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸で形成されたアミノ基の塩、又は有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸で形成されるアミノ基の塩、或いは当技術分野で使用される他の方法、例えばイオン交換、を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を包含する。
【0077】
適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN+(C1~4アルキル)4塩を包含する。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を包含する。さらに、医薬的に許容される塩は、好適な場合には、無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム、並びに、対イオン、例えばハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩、を使用して形成されるアミンカチオンを包含する。
【0078】
特に言及されない限り、本明細書に示されている構造はまた、外構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体配座))の形態、例えば、各不斉中心のR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びに、Z及びE配座異性体、を包含することを意味する。それ故に、単一の立体化学異性体、並びに本発明の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何学的(又は立体配座的)混合物は、本発明の範囲内にある。特に言及されない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内にある。追加的に、特に言及されない限り、本明細書に示されている構造はまた、1以上の同位体に富む原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素若しくはトリチウムによる水素原子の置換、又は13C-又は14C-に富む炭素による炭素の置換を包含する本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。そのような化合物は例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は本発明に従う治療剤として有用である。
【0079】
3.処置方法の例示的な実施態様:
【0080】
1つの観点において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に下記の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化1】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化2】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-NO
2、-NR
1R
2、(C
1~C
4)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1-SO
2-NR
1R
2、-NR
1-SO
2-R
1、-NR
1-C(=O)-R
1、-NR
1-C(=O)-NR
1R
2、-SO
2-NR
1R
2、-SO
3H、-O-SO
2-OR
3、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-O-CH
2-COOR
3、(C
1~C
3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、又は下記の式(IIa)の基
【化3】
又は、下記の式(IIIa)の基
【化4】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1及びR
2の各々は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4の各々は独立して、水素原子、Li
+、Na
+、K
+、N
+(Ra)
4又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化5】
又は、下記の式(IIIa)の基
【化6】
であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1~C
5)アルキル若しくは(C
3~C
6)シクロアルキルであり、又は、
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1~C
4)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【0081】
上部で一般的に定義されている通り、ZはC又はNである。
【0082】
幾つかの実施態様において、ZはCである。幾つかの実施態様において、ZはNである。
【0083】
幾つかの実施態様において、Zは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0084】
上部で一般的に定義されている通り、VはC又はNである。
【0085】
幾つかの実施態様において、VはCである。幾つかの実施態様において、VはNである。
【0086】
幾つかの実施態様において、Vは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0087】
上部で一般的に定義されている通り、
【化7】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にある。
【0088】
幾つかの実施態様において、
【化8】
は芳香環を意味し、ここで、VはCである。
【0089】
幾つかの実施態様において、
【化9】
は芳香環を意味し、ここで、VはNであり、及びVは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にある。幾つかの実施態様において、VはNであり、及びVは、Zに対してオルト位にある。幾つかの実施態様において、VはNであり、及びVは、Zに対してメタ位にある。幾つかの実施態様において、VはNであり、及びVは、Zに対してパラ位にある。
【0090】
幾つかの実施態様において、
【化10】
はフェニルである。
【0091】
幾つかの実施態様において、
【化11】
は、ピリジンである。
【0092】
幾つかの実施態様において、
【化12】
は、ピリダジンである。
【0093】
幾つかの実施態様において、
【化13】
は、ピリミジンである。
【0094】
幾つかの実施態様において、
【化14】
は、ピラジンである。
【0095】
幾つかの実施態様において、
【化15】
は、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0096】
上記で一般的に説明されている通り、各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C1~C3)フルオロアルキル、(C1~C3)フルオロアルコキシ、(C3~C6)シクロアルキル、-NO2、-NR1R2、(C1~C4)アルコキシ、フェノキシ、-NR1-SO2-NR1R2、-NR1-SO2-R1、-NR1-C(=O)-R1、-NR1-C(=O)-NR1R2、-SO2-NR1R2、-SO3H、-O-SO2-OR3、-O-P(=O)-(OR3)(OR4)、-O-CH2-COOR3、又は(C1~C3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基によって、一又は二置換されていてもよい。
【0097】
幾つかの実施態様において、Rは水素原子である。幾つかの実施態様において、Rはハロゲン原子である。幾つかの実施態様において、Rは-CNである。幾つかの実施態様において、Rはヒドロキシルである。幾つかの実施態様において、Rは(C1~C3)フルオロアルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシルによって、一又は二置換されていてもよい。幾つかの実施態様において、Rは(C1~C3)フルオロアルコキシである。幾つかの実施態様において、Rは(C3~C6)シクロアルキルである。幾つかの実施態様において、Rは-NO2である。幾つかの実施態様において、Rは-NR1R2である。幾つかの実施態様において、Rは(C1~C4)アルコキシである。幾つかの実施態様において、Rはフェノキシである。幾つかの実施態様において、Rは-NR1-SO2-NR1R2である。幾つかの実施態様において、Rは-NR1-SO2-R1である。幾つかの実施態様において、Rは-NR1-C(=O)-R1である。幾つかの実施態様において、Rは-NR1-C(=O)-NR1R2である。幾つかの実施態様において、Rは-SO2-NR1R2である。幾つかの実施態様において、Rは-SO3Hである。幾つかの実施態様において、Rは-O-SO2-OR3である。幾つかの実施態様において、Rは-O-P(=O)-(OR3)(OR4)である。幾つかの実施態様において、Rは-O-CH2-COOR3である。幾つかの実施態様において、Rは(C1~C3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシルによって、一又は二置換されていてもよい。
【0098】
幾つかの実施態様において、各Rは独立して、ハロゲン原子、(C1~C3)フルオロアルキル、(C1~C3)フルオロアルコキシ、-NR1R2、(C1~C4)アルコキシ、又は(C1~C3)アルキルである。
【0099】
幾つかの実施態様において、各Rは独立して、水素原子、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ハロゲン原子又は、-O-P(=O)-(OR3)(OR4)である。幾つかの実施態様において、Rはメチルである。幾つかの実施態様において、Rはメトキシである。幾つかの実施態様において、Rはトリフルオロメチルである。幾つかの実施態様において、Rはトリフルオロメトキシである。幾つかの実施態様において、Rはアミノである。幾つかの実施態様において、Rは-O-P(=O)-(OR3)(OR4)である。
【0100】
幾つかの実施態様において、各Rは独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン原子、トリフルオロメトキシ、又はアミノである。
【0101】
幾つかの実施態様において、Rは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0102】
上記で一般的に説明されている通り、QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R″は存在しない。
【0103】
幾つかの実施態様において、QはNである。幾つかの実施態様において、QがOであり、且つR″が存在しない。
【0104】
幾つかの実施態様において、Qは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0105】
上記で一般的に説明されている通り、R1及びR2の各々は独立して、水素原子又は(C1~C3)アルキルである。
【0106】
幾つかの実施態様において、R1は水素原子である。幾つかの実施態様において、R1は(C1~C3)アルキルである。幾つかの実施態様において、R2は水素原子である。幾つかの実施態様において、R2は(C1~C3)アルキルである。
【0107】
幾つかの実施態様において、R1及びR2の各々は独立して、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0108】
上記で一般的に説明されている通り、R3及びR4の各々は独立して、水素原子、Li+、Na+、K+、N+(Ra)4又はベンジルである。
【0109】
幾つかの実施態様において、R3は水素原子である。幾つかの実施態様において、R3はLi+である。幾つかの実施態様において、R3はNa+である。幾つかの実施態様において、R3はK+である。幾つかの実施態様において、R3はN+(Ra)4である。幾つかの実施態様において、R3はベンジルである。幾つかの実施態様において、R4は水素原子である。幾つかの実施態様において、R4はLi+である。幾つかの実施態様において、R4はNa+である。幾つかの実施態様において、R4はK+である。幾つかの実施態様において、R4はN+(Ra)4である。幾つかの実施態様において、R4はベンジルである。
【0110】
幾つかの実施態様において、R3及びR4の各々は独立して、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0111】
上記で一般的に説明されている通り、nは、1、2又は3である。
【0112】
幾つかの実施態様において、nは、1又は2である。幾つかの実施態様において、nは1である。幾つかの実施態様において、nは2である。幾つかの実施態様において、nは3である。
【0113】
幾つかの実施態様において、nは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0114】
上記で一般的に説明されている通り、n’は、1、2又は3である。
【0115】
幾つかの実施態様において、n’は1又は2である。幾つかの実施態様において、n’は1である。幾つかの実施態様において、n’は2である。幾つかの実施態様において、n’は3である。
【0116】
幾つかの実施態様において、n’は、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0117】
上記で一般的に説明されている通り、各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化16】
又は、下記の式(IIIa)の基
【化17】
である。
【0118】
幾つかの実施態様において、R’は水素原子である。幾つかの実施態様において、R’は(C
1~C
3)アルキルである。幾つかの実施態様において、R’はヒドロキシルである。幾つかの実施態様において、R’はハロゲン原子である。幾つかの実施態様において、R’は-NO
2である。幾つかの実施態様において、R’は-NR
1R
2である。幾つかの実施態様において、R’はモルホリニルである。幾つかの実施態様において、R’はモルホリノである。幾つかの実施態様において、R’はN-メチルピペラジニルである。幾つかの実施態様において、R’は(C
1~C
3)フルオロアルキルである。幾つかの実施態様において、R’は(C
1~C
4)アルコキシである。幾つかの実施態様において、R’は-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)である。幾つかの実施態様において、R’は-CNである。幾つかの実施態様において、R’は、下記の式(IIa)の基
【化18】
である。
【0119】
幾つかの実施態様において、R’は下記の式(IIIa)の基である。
【化19】
【0120】
幾つかの実施態様において、R’はアミノである。幾つかの実施態様において、R’はメチルである。幾つかの実施態様において、R’は下記の式の基である。
【化20】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、R’がそのような基である場合、n’は1又は2であり、及びn’が2である場合、他のR’基は、上記の基と異なる。
【0121】
幾つかの実施態様において、R’は下記の式の基である。
【化21】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、R’がそのような基である場合、n’は1又は2であり、及びn’が2である場合、他のR’基は、上記の基と異なる。
【0122】
幾つかの実施態様において、R’は下記の式の基である。
【化22】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、R’がそのような基である場合、n’は1又は2であり、及びn’が2である場合、他のR’基は、上記の基と異なる。
【0123】
幾つかの実施態様において、各R’は独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、メチル、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、又は下記の式の基である。
【化23】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、R’がそのような基である場合、n’は1又は2であり、及びn’が2である場合、他のR’基は、上記の基と異なる。
【0124】
幾つかの実施態様において、各R’は独立して、水素原子、ハロゲン原子、メチル、又は下記の式の基である。
【化24】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、R’がそのような基である場合、n’は1又は2であり、及びn’が2である場合、他のR’基は、上記の基と異なる。
【0125】
幾つかの実施態様において、各R’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル、ヒドロキシル、-NR1R2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C1~C3)フルオロアルキル、(C1~C4)アルコキシ、又は本明細書に記載された式(IIa)若しくは式(IIIa)の基である。
【0126】
幾つかの実施態様において、R’は、ハロゲン原子又はメチルである。
【0127】
幾つかの実施態様において、各R’は独立して、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0128】
上記で一般的に説明されている通り、Aは、共有結合、酸素原子又はNHである。
【0129】
幾つかの実施態様において、Aは共有結合である。幾つかの実施態様において、Aは、酸素原子である。幾つかの実施態様において、AはNHである。
【0130】
幾つかの実施態様において、Aは下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0131】
上記で一般的に説明されている通り、Bは、共有結合又はNHである。
【0132】
幾つかの実施態様において、Bは共有結合である。幾つかの実施態様において、BはNHである。
【0133】
幾つかの実施態様において、Bは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0134】
上記で一般的に説明されている通り、mは、1、2、3、4又は5である。
【0135】
幾つかの実施態様において、mは1である。幾つかの実施態様において、mは2である。幾つかの実施態様において、mは3である。幾つかの実施態様において、mは4である。幾つかの実施態様において、mは5である。
【0136】
幾つかの実施態様において、mは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0137】
上記で一般的に説明されている通り、pは、1、2又は3である。
【0138】
幾つかの実施態様において、pは1である。幾つかの実施態様において、pは2である。幾つかの実施態様において、pは3である。幾つかの実施態様において、pは4である。幾つかの実施態様において、pは5である。
【0139】
幾つかの実施態様において、pは、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0140】
上記で一般的に説明されている通り、Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル若しくは(C3~C6)シクロアルキルであり、又は、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、該複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる。
【0141】
幾つかの実施態様において、Raは水素原子である。幾つかの実施態様において、Raは(C1~C5)アルキルである。幾つかの実施態様において、Raは(C3~C6)シクロアルキルである。幾つかの実施態様において、Rbは水素原子である。幾つかの実施態様において、Rbは(C1~C5)アルキルである。幾つかの実施態様において、Rbは(C3~C6)シクロアルキルである。
【0142】
幾つかの実施態様において、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成し、ここで、該複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が式(IIa)基又は式(IIIa)基である場合、他のR’基が該式(IIa)基は式(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる。幾つかの実施態様において、上記された通り、Ra及びRbが結合されている窒素原子と一緒になってRa及びRbによって形成された飽和した5員又は6員の複素環は任意的に、N、O及びSから選択される追加のヘテロ原子を有していてもよい。
【0143】
幾つかの実施態様において、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した、N、O及びSから選択される追加のヘテロ原子を有する5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が式(IIa)又は式(IIIa)の基である場合、他のR’基が該式(IIa)又は式(IIIa)の基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる。
【0144】
幾つかの実施態様において、幾つかの実施態様において、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成し、但し、R’が式(IIa)又は式(IIIa)の基である場合、他のR’基が該式(IIa)又は式(IIIa)の基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる。
【0145】
幾つかの実施態様において、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した、N、O及びSから選択される追加のヘテロ原子を有する5員又は6員の複素環を形成し、但し、R’が式(IIa)又は(IIIa)の基である場合、他のR’基が該式(IIa)又は式(IIIa)の基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる。
【0146】
幾つかの実施態様において、Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した、N、O及びSから選択される追加のヘテロ原子を有する5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2でありうる。
【0147】
幾つかの実施態様において、Ra及びRbの各々は独立して、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0148】
上記で一般的に説明されている通り、R”は、水素原子、(C1~C4)アルキル、又は上記で定義された式(IIa)の基である。
【0149】
幾つかの実施態様において、R”は、水素原子又は(C1~C4)アルキルである。幾つかの実施態様において、R”は水素原子である。幾つかの実施態様において、R”は(C1~C4)アルキルである。幾つかの実施態様において、R”は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【0150】
幾つかの実施態様において、R”は、下記の式の基である。
【化25】
ここで、mは2又は3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0151】
幾つかの実施態様において、R”は、下記の表1~3に記載されたそれらから選択される。
【0152】
幾つかの実施態様において、nは1であり、n’は1又は2であり、R”はHであり、Rは、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン原子、トリフルオロメトキシ、及びアミノから選択され、並びに、各R’は独立して、ハロゲン原子、メチル、又は下記の基である。
【化26】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3であり、但し、n’が2である場合に、他のR’基は、上記基と異なる。
【0153】
幾つかの実施態様において、nは1であり、n’は1であり、R”はHであり、Rは、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン原子、及びトリフルオロメトキシから選択され、並びに、R’は、ハロゲン原子又はメチルである。
【0154】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(Ia)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化27】
ここで、変数R、R’、R”、n及びn’は独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0155】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(Ib)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化28】
ここで、変数R、R’、R”、n及びn’は独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0156】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(Ic)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化29】
ここで、変数R、R’、R”、n及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0157】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(Ib’)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化30】
ここで、変数R、R’、R”、及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0158】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Ib)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
ここで、
各Rは独立して、ハロゲン原子、(C1~C3)フルオロアルキル、(C1~C3)フルオロアルコキシ、-NR1R2、(C1~C4)アルコキシ、又は(C1~C3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基によって、一又は二置換されていてもよい、
nは、1又は2であり、
n’は、1又は2であり、
R1及びR2の各々は独立して、水素原子又は(C1~C3)アルキルであり、
各R’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル、ヒドロキシル、-NR1R2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C1~C3)フルオロアルキル、(C1~C4)アルコキシ、又は、本明細書に記載された式(IIa)又は式(IIIa)の基であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル若しくは(C3~C6)シクロアルキルであり、又は、
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した、N、O及びSから選択される追加のヘテロ原子を有する5員又は6員の複素環を形成していてもよく、該複素環は、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2でありうる、並びに、
R”は、水素原子又は(C1~C4)アルキルである。
【0159】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Ib)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
ここで、
各R’は独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル又は(C1~C4)アルコキシ基であり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基によって、一又は二置換されていてもよい、R”は、水素原子又は(C1~C4)アルキルであり、nは、1又は2であり、n’は、1又は2であり、nが1である場合、Rは、(C1~C3)フルオロアルコキシ、NR1R2又はフェノキシであり、ここで、R1及びR2 の各々は独立して、(C1~C3)アルキルであり、並びに、nが2である場合、2つのR基のうちの1つは(C1~C3)フルオロアルコキシであり、及び他のR基は(C1~C3)アルキルである。
【0160】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Ib)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
ここで、
各Rは独立して、(C1~C3)フルオロアルコキシであり、各R’は独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル又は(C1~C4)アルコキシであり、R”は、水素原子又は(C1~C4)アルキルであり、nは1であり、及び、n’は1又は2である。
【0161】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Ib’)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
ここで、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル、-NR1R2、(C1~C3)フルオロアルコキシ、-NO2、フェノキシ又は(C1~C4)アルコキシであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基によって、一又は二置換されていてもよい、R1及びR2 の各々は独立して、水素原子又は(C1~C3)アルキルであり、R’は、水素原子、ハロゲン原子、(C1~C3)アルキル又は(C1~C4)アルコキシであり、但し、R’は、キノリン基の4位でメチル基と異なり、R”は、水素原子又は(C1~C4)アルキルであり、nは、1、2又は3であり、並びに、n’は1又は2である。
【0162】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Id)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化31】
ここで、R及びR’は独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りであり、及びR’’’は、水素原子又は下記の基である。
【化32】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0163】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、式(Id)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
ここで、Rは、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン原子、トリフルオロメトキシ、又はアミノであり、R’は、ハロゲン原子又はメチルであり、及び、R’’’は、水素原子又は下記の基である。
【化33】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及び、X
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0164】
幾つかの実施態様において、R’’’は水素原子である。
【0165】
幾つかの実施態様において、R’’’は、下記の基である。
【化34】
ここで、Aは、O又はNHであり、mは2又は3であり、及び、X
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0166】
幾つかの実施態様において、R’’’は、下記の基である。
【化35】
ここで、AはOであり、mは2又は3であり、及び、X
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0167】
幾つかの実施態様において、R’’’は、下記の基である。
【化36】
ここで、AはNHであり、mは2又は3であり;及び、X
1は、O、CH
2又はN-CH
3である。
【0168】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式の化合物(ABX464)又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化37】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
【0169】
幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩は、非晶質形態である。幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩は、結晶化形態である。幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩の結晶化形態は、120.5℃(±2℃)で融点を有する。
【0170】
幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩の結晶化形態は、x線粉末回折図(XRPD:x-ray powder diffractogram)において、角度7.3、14.6、18.4及び24.9でピークを示す。幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩の結晶化形態は、1以上のXRDピークを、18.0、24.2、28.3及び29.5から選択される角度で示す。幾つかの実施態様において、該化合物ABX464又はその医薬的に許容される塩の結晶化形態は、1以上のXRDピークを、18.6、22.3、23.0及び23.5から選択される角度で示す。
【0171】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の表1から選択される化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【0172】
【0173】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の表2から選択される化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【0174】
【0175】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の表3から選択される化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【0176】
【0177】
幾つかの実施態様において、本明細書に記載されている化合物は、硫酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、及びスルホン酸塩から選択される塩の形態である。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されている化合物は、アルキルスルホン酸塩又はアリールスルホン酸塩としての塩の形態である。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されている化合物は、メシレート、トリフラート、エジシレート、ベシレート及びトシレートとしての塩の形態である。
【0178】
1つの観点において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載されている化合物の代謝物を投与することを含む上記方法を提供する。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されている化合物の代謝物は、N-グルクロニド代謝物である。
【0179】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IV)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化38】
ここで、変数V、Z、R、R’、n及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0180】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IVa)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化39】
ここで、変数R、R’、n及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0181】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IVb)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化40】
ここで、変数R、R’、n及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0182】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IVc)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化41】
ここで、変数R、R’、n及びn’のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0183】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IVb’)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化42】
ここで、変数R、R’及びnのそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0184】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式(IVd)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化43】
ここで、変数R、R’及びR”のそれぞれは独立して、上記で定義された通りであり且つ本明細書の実施態様において、単独及び組み合わせの両方で記載されている通りである。
【0185】
幾つかの実施態様において、本発明は、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、下記の式の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む上記方法を提供する。
【化44】
【0186】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、本明細書において記載された化合物若しくはその医薬的に許容される塩又はその代謝物のレベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本明細書において記載された化合物若しくはその医薬的に許容される塩又はその代謝物のレベルは、患者の生物学的サンプルにおいて測定される。幾つかの実施態様において、患者の生物学的サンプルは、血液、血漿、組織、唾液及び/又は血清のサンプルである。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ib’)、式(Ic)、及び式(Id)の化合物又はその医薬的に許容される塩のレベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(IV)、式(IVa)、式(IVb)、式(IVb’)、式(IVc)及び式(IVd)の化合物又はその医薬的に許容される塩のレベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(I)及び式(IV)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(I)及び式(IV)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(Ia)及び式(IVa)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(Ib)及び式(IVb)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、患者における、式(Ib’)及び式(IVb’)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、式(Ic)及び式(IVc)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、式(Id)及び式(IVd)の化合物又はその医薬的に許容される塩の総レベルを測定することを含む。
【0187】
4.使用、処方及び投与
【0188】
医薬的に許容される組成物
【0189】
他の実施態様に従うと、本発明は、本発明の化合物又はその医薬的に許容される誘導体、及び医薬的に許容される担体、助剤又はビヒクルを含む組成物を提供する。或る実施態様において、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者に投与する為に製剤化される。幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、患者への経口投与の為に製剤化される。
【0190】
本明細書において使用される場合に、語「患者」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト、を意味する。
【0191】
語「医薬的に許容される担体、助剤又はビヒクル」は、製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない、無毒の、担体、助剤又はビヒクルを云う。本発明の組成物において使用されうることができる医薬的に許容される担体、助剤又はビヒクルは、下記を包含するが、これらに限定されるものでない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルローナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂。
【0192】
「医薬的に許容される誘導体」は、レシピエントに投与することに応じて、直接的又は間接的にのいずれかで本発明の化合物又はその活性代謝物若しくは残基を提供することができる、本発明の化合物の任意の、非毒性の、塩、エステル、エステルの塩、又はその他の誘導体を意味する。
【0193】
本発明に好適な「生物学的サンプル」は、生体液、例えば血液、血漿若しくは血清、唾液、間質液、又は尿サンプル;細胞サンプル、例えば細胞培養物、細胞株、又はPBMCサンプル、組織生検、例えば口腔組織、胃腸組織、皮膚、口腔粘膜のサンプル、又は臨床試験からの複数のサンプルであることができる。
【0194】
生物学的サンプルは、粗サンプルであることができ、又は、保管、処理若しくは測定の前に様々な程度に精製されることができる。幾つかの実施態様において、生物学的サンプルは、生物学的組織サンプル、全血サンプル、綿棒サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、唾液サンプル、膣液サンプル、精子サンプル、咽頭液サンプル、気管支液サンプル、糞便液サンプル、脳脊髄液サンプル、涙液サンプル、及び組織培養上清サンプルからなる群から選択される。
【0195】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、鼻腔的に、頬側に、膣内に、又は移植されたリザーバーを介して投与されうる。語「非経口」は、本明細書において使用される場合に、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内の注射又は注入技術を包含する。好ましくは、該組成物は、経口的に、腹腔内に又は静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌注射形態は、水性又は油性の懸濁物でありうる。これらの懸濁物は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野において知られている技術に従って製剤化されることができる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁物でありうる。使用されうる許容可能なビヒクル及び溶媒のうち、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油は慣用的に、溶媒又は懸濁媒体として使用される。
【0196】
この目的の為に、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを包含する任意の刺激の少ない不揮発性油が使用されうる。脂肪酸、例えばオレイン酸、及びそのグリセリド誘導体は、特にポリオキシエチル化されたバージョンにおいて、天然の医薬的に許容される油、例えばオリーブ油又はヒマシ油、として、注射剤の調製において有用である。これらの油性溶液又は懸濁物はまた、乳濁液及び懸濁物を含む医薬的に許容される投与形態の製剤で一般的に使用される、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース又は同様の分散剤、を含みうる。一般的に使用される界面活性剤、例えばツイン(Tweens)、スパン(Spans)、及び他の乳化剤又は、医薬的に許容される固形、液体若しくは他の投与形態の製造においても一般的に使用されるバイオアベイラビリティエンハンサー、がまた、製剤化の目的の為に使用されうる。
【0197】
本発明の医薬的に許容される組成物は、任意の経口的に許容される投与形態、例えばカプセル、錠剤、水性懸濁物又は溶液を含むがこれらに限定されない投与形態、で経口的に投与されうる。経口使用の為の錠剤の場合、一般的に使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチを包含する。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、がまた、典型的に添加される。カプセル形態における経口投与の場合、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥されたコーンスターチを包含する。水性懸濁物が経口使用の為に必要である場合、活性成分は乳化剤及び懸濁剤と組み合わせられる。必要に応じて、或る甘味料、香料又は着色剤がまた、添加されうる。
【0198】
代替的には、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸投与の為の坐剤の形態において投与されうる。これらは、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、それ故に直腸において溶融して薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することによって調製されることができる。そのような材料は、カカオバター、蜜蝋、及びポリエチレングリコールを包含する。
【0199】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、特に、処置の対象が、局所適用、例えば眼、皮膚又は下部腸管の疾患を包含する局所適用、によって容易にアクセス可能な領域又は器官を包含する場合、局所的に投与されうる。好適な局所製剤が、これらの領域又は器官のそれぞれの為に容易に調製される。
【0200】
下部腸管の為の局所施与は、直腸坐剤製剤(上記を参照)において又は好適な浣腸製剤において行われることができる。局所的に経皮パッチがまた使用されうる。
【0201】
局所施与の為に、用意された医薬的に許容される組成物は、1以上の担体中に懸濁された又は溶解された有効成分を含む好適な軟膏において製剤化されうる。本発明の化合物の局所施与の為の担体は、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を包含するが、これらに限定されない。代替的には、用意された医薬的に許容される組成物は、1以上の医薬的に許容される担体中に懸濁された又は溶解された活性成分を含む好適なローション又はクリームにおいて製剤化されることができる。
【0202】
好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を包含するが、これらに限定されない。
【0203】
眼科での使用の為に、用意された医薬的に許容される組成物は、等張のpH調整された滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁物として、又は好ましくは等張のpH調整された滅菌生理食塩水中の溶液として、防腐剤、例えばベンジルアルコニウムクロリド、の有り又は無しのいずれかで製剤化されうる。代替的には、眼科での使用の為に、該医薬的に許容される組成物は、軟膏、例えばワセリン、において製剤化されうる。
【0204】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、鼻エアロゾル又は吸入によって投与されうる。そのような組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製され、且つベンジルアルコール又は他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティを高める吸収促進剤、フルオロカーボン及び/又は他の慣用的な可溶化剤若しくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製されうる。
【0205】
最も好ましくは、本発明の医薬的に許容される組成物は、経口投与の為に製剤化される。そのような製剤は、食物と共に又は食物無しで投与されうる。幾つかの実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物無しで投与される。他の実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物と共に投与される。
【0206】
単一の剤形において組成物を生成する為に担体材料と一緒にされうる本発明の化合物の量は、処置される宿主、投与の特定の様式に依存して変化するであろう。好ましくは、用意される組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の投与量の阻害剤がこれらの組成物を受け取る患者に投与されることができるように製剤化されるべきである。
【0207】
任意の患者についての特定の投与量及び処置計画は、様々な要因、例えば使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の時間、排泄率、薬物の組み合わせ、及び処置を行う医師の判断、並びに処置される特定の疾患の重症度を包含する様々な要因、に依存するであろうことがまた理解されるべきである。該組成物中の本発明の化合物の量はまた、該組成物中の特定の化合物に依存するだろう。
【0208】
化合物及び医薬的に許容される組成物の使用
【0209】
本明細書に記載された化合物及び組成物は一般的に、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置の為に有用である。
【0210】
本明細書において使用される場合に、語「処置」、「処置する」及び「処置している」は、本明細書に記載された疾病若しくは障害又は1以上のそれらの症状の発症を逆転する、緩和する、遅延する、又はそれらの進展を阻止することを云う。幾つかの実施態様において、処置は、1以上の症状が展開された後に施されることができる。他の実施態様において、処置は症状がない場合に施されることができる。例えば、処置は、症状の発症前に、感受性の高い個体に施されうる(例えば、症状の病歴に照らして及び/又は遺伝的若しくは他の感受性因子に照らして)。処置はまた、症状が解消した後、例えばそれらの再発を予防し又は遅延させる為に継続されうる。
【0211】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物又は組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0212】
本発明の方法に従う化合物及び組成物は、本明細書に記載された疾病、障害又は1以上の症状の重症度を処置又は軽減する為に有効な任意の量及び任意の投与の経路を使用して投与されうる。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢及び一般的な状態、疾病若しくは状態の重症度、特定の剤、その投与様式等に依存して、対象ごとに異なるであろう。本明細書に記載された化合物は好ましくは、投与の容易さ及び投与量の均一性の為に投薬単位形態で製剤化される。表現「投薬単位形態」は、本明細書において使用される場合に、処置されるべき患者の為に適切な剤の物理的に別個の単位を云う。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されるであろうことが理解されるであろう。任意の特定の患者又は生物の為の特定の有効用量レベルは、様々な要因、例えば処置されるべき障害、及び障害の重症度;使用されるべき特定の化合物の活性;使用された特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事;投与時間、投与の経路、及び使用される特定の化合物の排泄率;処置の期間;使用される特定の化合物との組み合わせて使用される薬物若しくは同時に使用される薬物;並びに、医学技術において周知の同様の要因を包含する様々な要因、に依存するだろう。
本明細書において使用される場合に、語「患者」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト、を意味する。
【0213】
本発明の医薬的に許容される組成物は、処置される感染症の重症度に依存して、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内的に、膣内的に、腹腔内的に、局所的に(粉末、軟膏又は滴等)、頬側的に、経口若しくは経鼻のスプレー等として、ヒト及び他の動物に投与されることができる。或る実施態様において、本発明の該化合物は、所望の治療効果を得る為に、1日当たり対象の体重の、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kgの用量レベルで、1日1回又は複数回、経口的に又は非経口的に投与されうる。
【0214】
経口投与用の液体剤形は、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ及びエリキシルを包含するが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投与形態は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル等、並びにそれらの混合物を包含しうる。不活性希釈剤に加えて、該経口組成物はまた、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料及び芳香剤を包含することができる。
【0215】
注射可能な調製物、例えば無菌の注射可能な水性又は油性懸濁物は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化されうる。無菌の、注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオールの溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の、注射可能な溶液、懸濁物又は乳濁液でありうる。使用されうる許容可能なビヒクル及び溶媒のうち、水、リンゲル液,米国薬局方(U.S.P.)及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油は、慣用的に、溶媒又は懸濁媒体として使用される。この目的の為に、合成モノグリセリド又はジグリセリドを包含するあらゆる刺激のない不揮発性油が使用されることができる。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸、が、注射剤の調製の為に使用される。
【0216】
注射可能な製剤は、例えば細菌保持フィルターを通じて濾過することによって又は、使用前に滅菌水若しくは他の滅菌注射可能媒体に溶解若しくは分散されることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって、滅菌されることができる。
【0217】
本発明の化合物の効果を長くするために、皮下又は筋肉内の注射からの化合物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶性又はアモルファス性の物質の液体懸濁物の使用によって達成されうる。その上、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、同様に、該溶解速度は結晶サイズ及び結晶形に依存しうる。代替的には、非経口的に投与される化合物形態の遅延された吸収は、該化合物を油ビヒクル中に溶解又は懸濁することによって達成される。注射可能なデポーフォーム(depot forms)は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド、において該化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。ポリマーに対する化合物の比及び使用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出の速度が制御されることができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を包含する。デポ注射可能な製剤(depot injectable formulations)はまた、体組織と適合性のあるリポソーム又はマイクロエマルジョン中に該化合物を封入することによって調製される。
【0218】
直腸又は膣投与の為の組成物は好ましくは、本明細書に記載された化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、それ故に直腸又は膣腔において溶けて活性物質を放出する適切な非刺激性賦形剤又は担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール又は坐剤ワックス、と混合することによって調製されることができる坐剤である。
【0219】
経口投与の為の固形剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末及び顆粒を包含する。そのような固体投与形態において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な、医薬的に許容される賦形剤又は担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム及び/又はa)充填剤若しくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア等、c)吸湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天-寒天(agar--agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、e)溶液緩染剤(solution retarding agents)、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土、並びにi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤及びピルの場合、該剤形はまた、緩衝剤を含みうる。
【0220】
同様のタイプの固体組成物はまた、賦形剤、例えばラクトースすなわち乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコール等、を使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用されうる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒の固形剤形は、コーティング、並びにシェル、例えば腸溶性コーティング、及び医薬製剤分野において周知の他のコーティングを用いて調製されることができる。それらは、任意的に、乳白剤を含み得、及び、それらが、好ましくは腸管の特定の部分において、任意的に遅延する様式において、1以上の有効成分のみをそれらが放出する組成物でありうる。使用されることができる包埋組成物の例は、高分子物質及びワックスを包含する。同様のタイプの固体組成物がまた、賦形剤、例えばラクトースすなわち乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用されうる。
【0221】
該活性化合物はまた、上記された通り、1以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化された形態にありうる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒の固形剤形は、コーティング、並びにシェル、例えば腸溶性コーティング、放出制御コーティング及び医薬製剤分野において周知の他のコーティングを用いて調製されることができる。そのような固体剤形において、該活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、スクロース、ラクトース又はデンプンと混合されうる。
【0222】
そのような剤形はまた、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤及び、他の錠剤化助剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロース、を含みうる。カプセル、錠剤及びピルの場合、該剤形はまた、緩衝剤を含みうる。それらは、任意的に、乳白剤を含み得、及び、それらが、好ましくは腸管の特定の部分において、任意的に遅延する様式において、1以上の有効成分のみをそれらが放出する組成物でありうる。使用されることができる包埋組成物の例は、高分子物質及びワックスを包含する。
【0223】
本発明の化合物の局所又は経皮投与の為の剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤又はパッチを包含する。
【0224】
活性成分は、滅菌条件下で、医薬的に許容される担体及び必要に応じて必要な防腐剤又は緩衝剤と混合される。眼科用製剤、点耳薬及び点眼薬がまた、本発明の範囲内であると考えられる。加えて、本発明は、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加された利点を有する経皮パッチの使用を企図している。そのような剤形は、該化合物を適切な媒体中に溶解又は分配することによって作られることができる。吸収促進剤がまた使用されて、皮膚を横切る化合物の流れを増加させることができる。速度は、速度制御膜を提供することによって、又は該化合物をポリマーマトリックス若しくはゲルに分散させることによってのいずれかで制御されることができる。
【0225】
炎症性の疾病、障害又は状態
【0226】
本明細書に記載された化合物は、炎症性又は閉塞性気道疾病の処置において有用であり、例えば、組織損傷、気道炎症、気管支過敏性、リモデリング又は疾病患進行の減少を結果として生じる。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、炎症性又は閉塞性気道疾病、例えば内因性(非アレルギー性)喘息及び外因性(アレルギー性)喘息の両方を含むあらゆる種類又は起源の喘息、軽度の喘息、中庸度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、及び細菌感染後に誘発される喘息を包含する炎症性又は閉塞性気道疾病、である。喘息の処置はまた、喘鳴症状を示し且つ「喘鳴乳幼児」(主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、且つ現在、初期又は初期段階の喘息患者としてしばしば識別されている)と診断され又は診断可能な、対象者、例えば4歳又は5歳未満の対象者、の処置を包含するものとして理解されるべきである。
【0227】
本明細書に記載された化合物は、異種免疫疾病の処置において有用である。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、異種免疫疾病、例えば移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物花粉、ラテックス、薬物、食品、昆虫毒、動物の毛、動物の鱗屑、ダニのほこり又はゴキブリの萼に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、及びアトピー性皮膚炎を包含するが、これらに限定されない異種免疫疾病、である。
【0228】
喘息の処置における予防効果は、症候性発作の低下された頻度又は重症度、例えば、急性喘息若しくは気管支収縮薬の発作の低下された頻度若しくは重症度、肺機能における改善、又は改善された気道過敏性、によって証明されるだろう。それはさらに、他の対症療法、症候性発作が生じた場合に、症候性発作を制限若しくは中止する為の治療又は該制限若しくは中止を意図された治療、例えば抗炎症薬又は気管支拡張薬、についての低下された必要性によって証明されうる。喘息における予防効果は特に、「モーニングディップ」(morning dipping)を起こしやすい対象に見られうる。「モーニングディップ」は、約午前4時~約午前6時の間、すなわち、以前に投与された症候性喘息療法から通常は実質的に離れた時間で、喘息のかなりの割合に共通し、且つ喘息発作によって特徴付けられる、認識されている喘息症候群である。
【0229】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、急性肺損傷(ALI:acute lung injury)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS:adult/acute respiratory distress syndrome)、慢性閉塞性肺、気道又は肺の疾病(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、COAD(chronic obstructive airways disease)若しくは慢性気管支炎若しくはそれに関連付けられた呼吸困難を包含するCOLD(chronic obstructive lung disease)、肺気腫、並びに他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法、に起因する気道過敏性から選択される。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は気管支炎であり、ここで、該気管支炎は、あらゆる種類又は起源の気管支炎、例えば急性気管支炎、アラキジン酸気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、慢性気管支炎又は結核性気管支炎を包含するが、これらに限定されない気管支炎、である。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、あらゆる種類又は起源の塵肺症(炎症性の、一般的には職業性の、肺の疾病、慢性であろうと急性であろうと、気道閉塞を頻繁に伴い、且つ粉塵の繰り返し吸入によって引き起こされる)、例えばアルミニウム症、炭粉症、アスベスト症(asbestosis)、石粉症(chalicosis)、睫毛脱落症(ptilosis)、鉄沈着症、珪肺症、タバコ中毒症及び綿肺症を包含する塵肺症、である。
【0230】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は好酸球関連障害、例えば好酸球増加症、である。幾つかの実施態様において、好酸球関連障害は、気道の好酸球関連障害(例えば、肺組織の病的な好酸球浸潤を包含する)、例えば気道及び/又は肺に影響を与える高好酸球増加症を包含する好酸球関連障害、並びに、例えばレフラー症候群に起因又は付随する気道の好酸球関連障害、好酸球性肺炎、寄生虫(特に後生動物)の蔓延(熱帯好酸球増加症を包含する)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発動脈炎(チャーグシュトラウス症候群を包含する)、好酸球性肉芽腫、及び薬物反応によって引き起こされる気道に影響を与える好酸球関連障害である。
【0231】
本明細書に記載された化合物はまた、皮膚の炎症性又はアレルギー性の状態の処置において有用である。皮膚の炎症性又はアレルギー性の状態は、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、紅斑性狼瘡、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、及び他の皮膚の炎症性又はアレルギー性の状態から選択される。
【0232】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、炎症性の要素を有する疾病又は状態、例えば、眼の疾病及び状態、例えば眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎、ブドウ膜炎及び春季カタル(uveitis and vernal conjunctivitis)、鼻に影響を与える疾病及び状態(アレルギー性鼻炎を包含する)、自己免疫反応が関与している又は自己免疫成分若しくは病因を有する炎症性疾患(自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血、及び特発性血小板減少症)を包含する)、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性肝炎、重症筋無力症、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー(idiopathic sprue)、自己免疫炎症性腸疾病(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、過敏性腸症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、多発性硬化症、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部及び後部)、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎、ブドウ膜炎、及び春季カタル(vernal keratoconjunctivitis)、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身性若年性特発性関節炎、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群、腎炎、血管炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群の有り又は無し、例えば特発性のネフローゼ症候群又はマイナーチェンジ腎症を包含する)、慢性肉芽腫症、子宮内膜症、レプトスピラ症腎疾患、緑内障、網膜症、加齢、頭痛、痛み、複合性局所疼痛症候群、心肥大、筋消耗、異下障害、肥満、胎児発育遅延、腸不全、高コレステロール血症、心臓病、慢性心不全、中皮腫、無汗性外胚葉性異形成、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、急性又は慢性膵臓炎、遺伝性周期性発熱症候群、喘息(アレルギー性及び非アレルギー性、軽度、中等度、重度、気管支炎、及び運動誘発性)、急性肺損傷、急性呼吸促迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、鼻の副鼻腔炎、眼のアレルギー、シリカ誘発された疾病(silica induced diseases)、COPD(損傷の軽減、気道炎症、気管支過敏性、リモデリング、又は疾病進行)、肺疾患、嚢胞性繊維症、酸誘発された肺損傷、肺高血圧症、多発ニューロパチー、白内障、全身性硬化症に関連する筋肉の炎症、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アディソン病、扁平苔癬、1型糖尿病又は2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶反応、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、肝炎、化膿性汗腺炎、イムノグロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、又は外陰炎である。
【0233】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、腎臓、肝臓、心臓、肺の移植における急性若しくは慢性の移植片拒絶反応、又は骨髄移植における移植片対宿主病である。
【0234】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、皮膚の炎症性の疾病、障害又は状態である。幾つかの実施態様において、皮膚の炎症性の疾病、障害又は状態は、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、及び他の皮膚の炎症性又はアレルギー性の状態から選択される。
【0235】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、急性及び慢性の痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、全身性若年性特発性関節炎(SJIA:Systemic jubenile idiopathic arthritis)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS:Cryopyrin Associated Periodic Syndrome)、マックル・ウェルズ症候群、及び骨関節炎から選択される。
【0236】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、TH17を介在した疾病である。幾つかの実施態様において、TH17を介在した疾病は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、及び炎症性腸疾病(クローン病又は潰瘍性大腸炎を包含する)から選択される。
【0237】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、シェーグレン症候群、アレルギー性障害、骨関節炎、眼の状態、例えば眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎及び春季カタル、並びに鼻に影響を与える疾病、例えばアレルギー性鼻炎、から選択される。
【0238】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、移植に関連付けられる。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、臓器移植、臓器移植拒絶反応及び/又は移植片対宿主病に関連付けられる。
【0239】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、自己免疫障害である。幾つかの実施態様において、自己免疫障害は、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、ベーチェット病、POEMS症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、軸性脊椎関節炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、又は炎症性腸疾病である。
【0240】
幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、炎症性障害である。幾つかの実施態様において、炎症性障害は、リウマチ性関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾病、乾癬、肝腫大、クローン病、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、軸性脊椎関節炎、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、又は炎症性腸疾病である。
【0241】
幾つかの実施態様において、本発明は、膵臓における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、膵臓における、炎症性の疾病、障害又は状態は、1型糖尿病、2型糖尿病、急性膵炎、及び慢性膵炎から選択される。
【0242】
幾つかの実施態様において、本発明は、腎臓における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、腎臓における、炎症性の疾病、障害又は状態は、糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎、急性腎障害、ベルガー病(Berger’s disease)、グッドパスチャー症候群(Goodpasture’s syndrome)、ヴェグナー肉芽腫症(Wegener’s granulomatosis)、及び腎移植の急性又は慢性の拒絶反応から選択される。
【0243】
幾つかの実施態様において、本発明は、肝臓における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害又は状態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾病(NAFLD)、胆汁うっ滞性肝疾病、硬化性胆管炎、及び肝移植の急性又は慢性の拒絶反応から選択される。
【0244】
幾つかの実施態様において、本発明は、肺における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、肺における、炎症性の疾病、障害又は状態は、慢性閉塞性肺疾病(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、喘息、肺線維症、肺高血圧症、サルコイドーシス、及び肺移植の急性又は慢性の拒絶反応から選択される。
【0245】
幾つかの実施態様において、本発明は、皮膚における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、皮膚における、炎症性の疾病、障害又は状態は、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、にきび、ケロイド瘢痕、及び他の皮膚の炎症性又はアレルギー性の状態から選択される。
【0246】
幾つかの実施態様において、本発明は、血管/血液における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、血管/血液における、炎症性の疾病、障害又は状態は、ベーチェット病、血管炎、敗血症、腫瘍血管新生、アテローム性動脈硬化症、増殖性血管疾病、及び再狭窄から選択される。
【0247】
幾つかの実施態様において、本発明は、眼における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、眼における、炎症性の疾病、障害又は状態は、結膜炎、強膜炎、上強膜炎、全ブドウ膜炎、脈絡膜炎、脈絡網膜炎、神経網膜炎、ブドウ膜炎、眼窩炎症性疾病、及び視神経炎から選択される。
【0248】
幾つかの実施態様において、本発明は、中枢神経系又は末梢神経系における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、中枢神経系又は末梢神経系における、炎症性の疾病、障害又は状態は、非ウイルス性及びウイルス性脳炎及び髄膜炎、うつ病、慢性疼痛を包含する神経障害性疼痛、脳卒中を包含する外傷性脳損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、脊髄炎、シャルコー・マリー・トゥース病1型(CMT1A及びCMT1Bを包含する)、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic lateral sclerosis)、クロイツフェルト・ヤコブ病、脱髄性多発神経障害、及び末梢神経障害から選択される。
【0249】
幾つかの実施態様において、本発明は、自己免疫の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、自己免疫の疾病、障害又は状態は、皮膚及び腎臓における狼瘡を包含する狼瘡、ギランバレー症候群、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、特発性紫斑病、再生不良性貧血、レーブス病、及び心筋炎から選択される。
【0250】
幾つかの実施態様において、本発明は、腸における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、腸における、炎症性の疾病、障害又は状態は、腸不全、潰瘍性大腸炎、及びクローン病から選択される。
【0251】
幾つかの実施態様において、本発明は、生殖システムにおける、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、生殖システムにおける、炎症性の疾病、障害又は状態は、子宮内膜症、子宮筋腫、前立腺異形成又は成長、及び子宮頚部異形成から選択される。
【0252】
幾つかの実施態様において、本発明は、骨及び/又は関節における、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法を提供する。幾つかの実施態様において、骨及び/又は関節における、炎症性の疾病、障害又は状態は、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、歯周炎、及び、手、足、足首、膝、腰、肩、肘又は脊柱の関節炎及び/又は脱ミネラル化から選択される。
【0253】
幾つかの実施態様において、本発明は、AIDSに関連する又はAIDSに併存する、炎症性の障害又は状態を処置する為の方法を提供する。
【0254】
炎症性の疾病、障害又は状態の併用療法
【0255】
処置されるべき特定の状態又は疾病に依存して、その状態を処置する為に通常投与される追加の治療剤は、本明細書に記載された化合物及び組成物と組み合わせられて投与されうる。本明細書において使用される場合に、特定の疾病又は状態を処置する為に通常投与される追加の治療剤は、「処置される、疾病又は状態の為に適切である」として知られている。
【0256】
或る実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する為の方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物又は組成物を他の治療剤と組み合わせて投与することを含む上記方法を提供する。
【0257】
それらの追加の剤は、複数の投与レジメンの一部として、用意された併用療法とは別に投与されうる。代替的には、それらの剤は、単一の剤形の一部であり得、単一の組成物中において、本発明の化合物と一緒に混合されうる。複数の投与レジメンの一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に、逐次に、又は互いに一定期間内に、通常は互いに5時間以内に、与えられうる。
【0258】
本明細書において使用される場合に、語「組み合わせ」、語「組み合わせられた」及び関連する語は、本発明に従う剤の同時又は逐次の投与を云う。例えば、本発明の組み合わせは、別の治療剤と、個々の単位剤形で同時に若しくは逐次に、又は単一の単位剤形で一緒に、投与されうる。
【0259】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物において通常投与される量を超えないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中の追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤としてその剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%~約100%の範囲であるだろう。
【0260】
該組み合わせは、相加効果又は相乗効果を結果として生じ得、ここで、化合物の一方若しくは両方のより低い用量が使用されて、同様の有効性を得られうるか、又は同じ用量が有意に改善された有効性を結果として生じうる。
【0261】
幾つかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載された化合物と1以上の追加の治療剤とを含む組成物を提供する。該治療剤は、本明細書に記載された化合物と一緒に投与されうるか、又は本明細書に記載された化合物の投与の前に若しくはその後に投与されうる。好適な治療剤は、以下においてさらに詳細に記載されている。或る実施態様において、本明細書に記載された化合物は、治療剤の5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、又は18時間の前まで投与されうる。或る実施態様において、本明細書に記載された化合物は、治療剤の5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、又は18時間の後まで投与されうる。
【0262】
幾つかの実施態様において、本発明は、炎症性の疾病、障害又は状態の処置を必要とする患者に、本明細書に記載された化合物及び1以上の追加の治療剤を投与することによって、炎症性の疾病、障害又は状態を処置する方法を提供する。そのような追加の治療剤は、小分子又は組換え生物学的薬剤であり得、且つ、例えば、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS:non-steroidal anti-inflammatory drugs)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(商標))及びセレコキシブ、コルヒチン(Colcrys(商標))、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等、プロベネシド、アロプリノール、フェブキソスタット(Uloric(商標))、スルファサラジン(Azulfidine(商標))、抗マラリア薬、例えばヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))及びクロロキン(Aralen(商標))、メトトレキサート(Rheumatrex(商標))、金塩、例えば金チオグルコース(Solganal(商標))、金チオマレート(Myochrysine(商標))及びオーラノフィン(Ridaura(商標))、D-ペニシラミン(Depen(商標)又はCuprimine(商標))、アザチオプリン(Imuran(商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、クロラムブシル(Leukeran(商標))、シクロスポリン(Sandimmune(商標)、Neoral(商標))、タクロリムス、シロリムス、ミコフェノレート、レフルノミド(Arava(商標))及び、「抗TNF」剤、例えばエタネルセプト(Enbrel(商標))、インフリキシマブ(Remicade(商標))、ゴリムマブ(Simponi(商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(商標))及びアダリムマブ(Humira(商標))、「抗IL-1」剤、例えばアナキンラ(Kineret(商標))及びリロナセプト(Arcalyst(商標))、抗T細胞抗体、例えばサイモグロブリン、IVイムノグロブリン(IVIg:IV Immunoglobulins)、カナキヌマブ(Ilaris(商標))、抗ジャック阻害剤(anti-Jak inhibitors)、例えばトファシチニブ、抗体、例えばリツキシマブ(Rituxan(商標))、「抗T-細胞」剤、例えばアバタセプト(Orencia(商標))、「抗-IL-6」剤、例えばトシリズマブ(Actemra(商標))、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(商標)又はHyalgan(商標))、モノクローナル抗体、例えばタネズマブ、抗凝血剤、例えばヘパリン(Calcinparine(商標)又はLiquaemin(商標))及びワルファリン(Coumadin(商標))、止痢薬、例えばジフェノキシレート(Lomotil(商標))及びロペラミド(Imodium(商標))、胆汁酸結合剤、例えばコレスチラミン、アロセトロン(Lotronex(商標))、ルビプロストン(Amitiza(商標))、便通促進剤、例えばマグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(商標))、Dulcolax(商標)、Correctol(商標)及びSenokot(商標)、抗コリン剤(anticholinergics)又は鎮痙薬、例えばジサイクロミン(Bentyl(商標))、Singulair(商標)、β2アゴニスト、例えばアルブテロール(Ventolin(商標) HFA、Proventil(商標) HFA)、レブアルブテロール(Xopenex(商標))、メタプロテレノール(Alupent(商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(商標))及びホルモテロール(Foradil(商標))、抗コリン作用薬(anticholinergic agents)、例えば臭化イプラトロピウム(Atrovent(商標))及びチオトロピウム(Spiriva(商標))、吸入コルチコステロイド、例えばジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(商標)、Qvar(商標)及びVanceril(商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(商標))、モメタゾン(Asthmanex(商標))、ブデソニド(Pulmocort(商標))及びフルニソリド(Aerobid(商標)、Afviar(商標)、Symbicort(商標)、Dulera(商標)、クロモグリク酸ナトリウム(Intal(商標))、メチルキサンチン、例えばテオフィリン(Theo-Dur(商標)、Theolair(商標)、Slo-bid(商標)、Uniphyl(商標)、Theo-24(商標))、及びアミノフィリン、IgE抗体、例えばオマリズマブ(Xolair(商標))、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、例えばジドブジン(Retrovir(商標))、アバカビル(Ziagen(商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(商標))、ジダノシン(Videx(商標))、エムトリシタビン(Emtriva(商標))、ラミブジン(Epivir(商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(商標))、スタブジン(Zerit(商標))及びザルシタビン(Hivid(商標))、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、例えばデラビルジン(Rescriptor(商標))、エファビレンツ(Sustiva(商標))、ネビラピン(nevairapine)(Viramune(商標))及びエトラビリン(Intelence(商標))、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、例えばテノホビル(Viread(商標))、プロテアーゼ阻害剤、例えばアンプレナビル(Agenerase(商標))、アタザナビル(Reyataz(商標))、ダルナビル(Prezista(商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(商標))、インジナビル(Crixivan(商標))、ロピナビル及びリトナビル(Kaletra(商標))、ネルフィナビル(Viracept(商標))、リトナビル(Norvir(商標))、サキナビル(Fortovase(商標)又はInvirase(商標))及びチプラナビル(Aptivus(商標))、侵入阻害剤、例えばエンフビルチド(Fuzeon(商標))及びマラビロック(Selzentry(商標))、インテグラーゼ阻害剤、例えばラルテグラビル(Isentress(商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(商標))、ビンクリスチン(Oncovin(商標))、ボルテゾミブ(Bortezomib)(Velcade(商標))及びレナリドミド(Revlimid(商標))と組み合わせられたデキサメタゾン(Decadron(商標))、抗IL36剤、例えばBI655130、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ阻害剤、例えばIMU-838、抗OX40剤、例えばKHK-4083、マイクロバイオーム剤、例えばRBX2660、SER-287、狭域キナーゼ阻害剤、例えばTOP-1288、抗CD40剤、例えばBI-655064及びFFP-104、グアニル酸シクラーゼアゴニスト、例えばドルカナチド、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤、例えばオパガニブ、抗IL-12/IL-23剤、例えばAK-101、ユビキチン・タンパク質リガーゼ阻害剤、例えばBBT-401、スフィンゴシン受容体モジュレーター、例えばBMS-986166、P38MAPK/PDE4阻害剤、例えばCBS-3595、CCR9アンタゴニスト、例えばCCX-507、FimHアンタゴニスト、例えばEB-8018、HIF-PH阻害剤、例えばFG-6874、HIF-1α安定剤、例えばGB-004、MAP3K8タンパク質阻害剤、例えばGS-4875、LAG-3抗体、例えばGSK-2831781、RIP2キナーゼ阻害剤、例えばGSK-2983559、ファルネソイドX受容体アゴニスト、例えばMET-409、CCK2アンタゴニスト、例えばPNB-001、IL-23受容体アンタゴニスト、例えばPTG-200、プリン作動性のP2X7受容体アンタゴニスト、例えばSGM-1019、PDE4阻害剤、例えばアプレミラスト、ICAM-1阻害剤、例えばアリカホルセンナトリウム、抗IL23剤、例えばグセルクマブ、ブラジクマブ及びミルキズマブ、抗IL-15剤、例えばAMG-714、TYK-2阻害剤、例えばBMS-986165、NK細胞活性化剤、例えばCNDO-201、RIP-1キナーゼ阻害剤、例えばGSK-2982772、抗NKGD2剤、例えばJNJ-4500、CXCL-10抗体、例えばJT-02、IL-22受容体アゴニスト、例えばRG-7880、GATA-3アンタゴニスト、例えばSB-012及びコロニー刺激因子-1受容体阻害剤、例えばエディコチニブ、又はそれらの任意の1以上の組み合わせ、を包含する。
【0263】
他の実施態様において、本発明は、痛風を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(商標))、及びセレコキシブ、コルヒチン(Colcrys(商標))、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等、プロベネシド、アロプリノール、及びフェブキソスタット(Uloric(商標))から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0264】
他の実施態様において、本発明は、リウマチ性関節炎を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(商標))、及びセレコキシブ、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等、スルファサラジン(Azulfidine(商標))、抗マラリア薬、例えばヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))及びクロロキン(Aralen(商標))、メトトレキサート(Rheumatrex(商標))、金塩、例えば金チオグルコース(Solganal(商標))、金チオマレート(Myochrysine(商標))及びオーラノフィン(Ridaura(商標))、D-ペニシラミン(Depen(商標)又はCuprimine(商標))、アザチオプリン(Imuran(商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、クロラムブシル(Leukeran(商標))、シクロスポリン(Sandimmune(商標))、レフルノミド(Arava(商標))、及び「抗TNF」剤、例えばエタネルセプト(Enbrel(商標))、インフリキシマブ(Remicade(商標))、ゴリムマブ(Simponi(商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(商標))及びアダリムマブ(Humira(商標))、「抗IL-1」剤、例えばアナキンラ(Kineret(商標))及びリロナセプト(Arcalyst(商標))、抗体、例えばリツキシマブ(Rituxan(商標))、「抗T-細胞」剤、例えばアバタセプト(Orencia(商標))、及び「抗-IL-6」剤、例えばトシリズマブ(Actemra(商標))、から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0265】
幾つかの実施態様において、本発明は、骨関節炎を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(商標))、及びセレコキシブ、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(商標)又はHyalgan(商標))及びモノクローナル抗体、例えばタネズマブ、から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0266】
幾つかの実施態様において、本発明は、狼瘡を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(商標))、及びセレコキシブ、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等、抗マラリア薬、例えばヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))及びクロロキン(Aralen(商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、メトトレキサート(Rheumatrex(商標))、アザチオプリン(Imuran(商標))、及び抗凝血剤、例えばヘパリン(Calcinparine(商標)又はLiquaemin(商標))及びワルファリン(Coumadin(商標))、から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0267】
幾つかの実施態様において、本発明は、クローン病、潰瘍性大腸炎又は炎症性腸疾病を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、メサラミン(Asacol(商標))スルファサラジン(Azulfidine(商標))、止痢薬、例えばジフェノキシレート(Lomotil(商標))及びロペラミド(Imodium(商標))、胆汁酸結合剤、例えばコレスチラミン、アロセトロン(Lotronex(商標))、ルビプロストン(Amitiza(商標))、便通促進剤、例えばマグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(商標)、Dulcolax(商標)、Correctol(商標)及びSenokot(商標))、及び抗コリン剤又は鎮痙薬、例えばジサイクロミン(Bentyl(商標))、抗TNF療法、ステロイド、及び抗生物質、例えばフラジール又はシプロフロキサシン、から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0268】
幾つかの実施態様において、本発明は、喘息を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、Singulair(商標)、β2アゴニスト、例えばアルブテロール(Ventolin(商標) HFA、Proventil(商標) HFA)、レブアルブテロール(Xopenex(商標))、メタプロテレノール(Alupent(商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(商標))及びホルモテロール(Foradil(商標))、抗コリン作用薬、例えば臭化イプラトロピウム(Atrovent(商標))及びチオトロピウム(Spiriva(商標))、吸入コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(商標)、Qvar(商標)、及びVanceril(商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(商標))、モメタゾン(Asthmanex(商標))、ブデソニド(Pulmocort(商標))、フルニソリド(Aerobid(商標))、Afviar(商標)、Symbicort(商標)、及びDulera(商標)、クロモグリク酸ナトリウム(Intal(商標))、メチルキサンチン、例えばテオフィリン(Theo-Dur(商標)、Theolair(商標)、Slo-bid(商標)、Uniphyl(商標)、Theo-24(商標))、及びアミノフィリン、及びIgE抗体、例えばオマリズマブ(Xolair(商標))、から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0269】
幾つかの実施態様において、本発明は、COPDを処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、β2アゴニスト、例えばアルブテロール(Ventolin(商標) HFA、Proventil(商標) HFA)、レブアルブテロール(Xopenex(商標))、メタプロテレノール(Alupent(商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(商標))andホルモテロール(Foradil(商標))、抗コリン作用薬、例えば臭化イプラトロピウム(Atrovent(商標))及びチオトロピウム(Spiriva(商標))、メチルキサンチン、例えばテオフィリン(Theo-Dur(商標)、Theolair(商標)、Slo-bid(商標)、Uniphyl(商標)、Theo-24(商標))及びアミノフィリン、吸入コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(商標)、Qvar(商標)及びVanceril(商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(商標))、モメタゾン(Asthmanex(商標))、ブデソニド(Pulmocort(商標))、フルニソリド(Aerobid(商標))、Afviar(商標)、Symbicort(商標)及びDulera(商標)から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0270】
幾つかの実施態様において、本発明は、HIVを処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、例えばジドブジン(Retrovir(商標))、アバカビル(Ziagen(商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(商標))、ジダノシン(Videx(商標))、エムトリシタビン(Emtriva(商標))、ラミブジン(Epivir(商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(商標))、スタブジン(Zerit(商標))及びザルシタビン(Hivid(商標))、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、例えばデラビルジン(Rescriptor(商標))、エファビレンツ(Sustiva(商標))、ネビラピン(nevairapine)(Viramune(商標))及びエトラビリン(Intelence(商標))、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、例えばテノホビル(Viread(商標))、プロテアーゼ阻害剤、例えばアンプレナビル(Agenerase(商標))、アタザナビル(Reyataz(商標))、ダルナビル(Prezista(商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(商標))、インジナビル(Crixivan(商標))、ロピナビル及びリトナビル(Kaletra(商標))、ネルフィナビル(Viracept(商標))、リトナビル(Norvir(商標))、サキナビル(Fortovase(商標)orInvirase(商標))、及びチプラナビル(Aptivus(商標))、侵入阻害剤、例えばエンフビルチド(Fuzeon(商標))及びマラビロック(Selzentry(商標))、インテグラーゼ阻害剤、例えばラルテグラビル(Isentress(商標))、並びにそれらの組み合わせから選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0271】
幾つかの実施態様において、本発明は、臓器移植拒絶反応又は移植片対宿主病を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載された化合物と、ステロイド、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/pan-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、及びSYK阻害剤から選択される1以上の追加の治療剤とを投与することを含む上記方法を提供する。
【0272】
本発明の化合物はまた、他の原体、特に閉塞性又は炎症性気道疾病の処置において、例えばそのような薬物の治療活性の増強剤として、又はそのような薬物の必要とされる投薬若しくは潜在的な副作用を低減する手段として、例えば抗炎症性原体、気管支拡張性原体又は抗ヒスタミン性原体、例えば本明細書で上述されたそれら、と組み合わせて使用する為の併用治療化合物として有用である。本発明の化合物は、固定された医薬組成物における他の原体と混合されうるか、又は他の原体の前、同時、又は後に別々に投与されうる。従って、本発明は、本明細書において上記された本発明の化合物と、抗炎症性原体、気管支拡張性原体、抗ヒスタミン性原体若しくは鎮咳性原体との組み合わせを包含し、ここで、本発明の上記化合物及び上記原体は、同じ又は異なる医薬組成物である。
【0273】
好適な抗炎症薬は、ステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸シクレソニド若しくはフロ酸モメタゾン;非ステロイド性糖質コルチコイド受容体アゴニスト;LTB4アンタゴニスト、例えばLY293111、CGS025019C、CP-195543、SC-53228、BIIL 284、ONO 4057、SB 209247;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカスト及びザフィルルカスト;PDE4阻害剤、例えばシロミラスト(Ariflo(商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V-11294A(Napp)、BAY19-8004(Bayer)、SCH-5 351591(Schering-Plough)、Arofylline(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(ParkeDavis)、AWD-12-281(Asta Medica)、CDC-801(Celgene)、SeICID(商標) CC-10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T-440(Tanabe)、KW-4490(Kyowa Hakko Kogyo);A2aアゴニスト;A2bアンタゴニスト;及び、ベータ-2アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、フェノテロール、プロカテロール、特にホルモテロール、並びにそれらの医薬的に許容される塩を包含する。好適な気管支拡張薬には、抗コリン性化合物又は抗ムスカリン性化合物、特に臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム(oxitropium bromide)、チオトロピウム塩及びCHF 422(Chiesi)、並びにグリコピロレートを包含する。
【0274】
好適な抗ヒスタミン薬物質は、セチリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、クレマスチンフマル酸塩、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミン及びフェキソフェナジン塩酸塩、アクリバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチン及びテルフェナジン(tefenadine)を包含する。
【0275】
本発明の化合物と抗炎症薬との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えばCCR-1、CCR-2、CCR-3、CCR-4、CCR-5、CCR-6、CCR-7、CCR-8、CCR-9及びCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR-5アンタゴニスト、例えばシェリング・プラウ(Schering-Plough)アンタゴニストSC-351125、SCH-55700及びSCH-D、並びにタケダ(Takeda)アンタゴニスト、例えばN-[[4-[[[6,7-ジヒドロ-2-(4-メチルフェニル)-5H-ベンゾ-シクロヘプテン-8-イル]カルボニル]アミノ]フェニル]-メチル]テトラヒドロ-N,N-ジメチル-2H-ピラン-4-アンモニウムクロリド(TAK-770)、との組み合わせを有するものである。
【0276】
コード番号、一般名又は商品名によって識別される活性化合物の構造は、標準大要「The Merck Index」の実際版から、又はデータベース、例えばPatents International(例えば、IMS World Publications)から取得されうる。
【0277】
本発明の化合物は、単独で、又は1以上の他の治療化合物と組み合わせて投与されることができ、ここで、ありうる併用療法は、固定された組み合わせの形態を採る、又は本発明の化合物と1以上の他の治療化合物との投与は、ずらされるか若しくは互いに独立して与えられるか、或いは固定された組み合わせと1以上の他の治療用化合物との併用投与で与えられる。
【0278】
これらの追加の剤は、複数の投与レジメンの一部として、本発明の化合物含有組成物とは別に投与されうる。代替的には、それらの薬剤は、単一の剤形の一部であり得、単一の組成物中において、本発明の化合物と一緒に混合されうる。複数の投与レジメンの一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に、逐次に、又は互いに一定期間内に、通常は互いに5時間以内に、与えられうる。
【0279】
本明細書において使用される場合に、語「組み合わせ」、語「組み合わせられる」及び関連する語は、本発明に従う治療剤の同時又は逐次の投与を云う。例えば、本発明の組み合わせは、別の治療剤と、個々の単位剤形で同時に若しくは逐次に、又は単一の単位剤形で一緒に、投与されうる。従って、本発明は、本発明の化合物、追加の治療剤、及び医薬的に許容される担体、助剤又はビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0280】
単一の剤形を生成する為に担体材料と組み合わせられうる、(上記された追加の治療剤を含むそれらの組成物中の)本明細書に記載された化合物及び追加の治療剤の両方の量は、処置される宿主及び特定の投与方法に依存して変化するだろう。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の化合物の0.01~100mg/kg体重/日の投与量が投与されることができるように処方されるべきである。
【0281】
追加の治療剤を含むこれらの組成物において、その追加の治療剤及び本発明の化合物は相乗的に作用しうる。それ故に、そのような組成物中の該追加の治療剤の量は、その治療剤のみを利用する単剤療法において必要とされる量よりも少ないであろう。そのような組成物において、0.01~1,000μg/kg体重/日の該追加の治療剤の投与量が投与されることができる。
【0282】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物に通常投与される量を超えないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中の追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤としてその剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%~約100%の範囲であるだろう。
【0283】
本発明の化合物、又はその医薬組成物はまた、移植可能な医療機器、人工補綴、人工弁、血管移植片、ステント及びカテーテル、をコーティングする為の組成物中に組み込まれうる。血管ステントは例えば、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服する為に使用されてきている。しかしながら、ステント又は他の埋め込み可能なデバイスを使用している患者は、血餅の形成又は血小板の活性化のリスクがある。これらの望ましくない影響は、キナーゼ阻害剤を含む医薬的に許容される組成物で該デバイスをプレコーティングすることによって防止又は軽減されうる。本発明の化合物でコーティングされた埋め込み可能なデバイスは、本発明の別の実施形態である。
【0284】
癌
【0285】
該癌は、1つの実施態様において、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病又は非ホジキン病)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、並びに固形腫瘍、例えば肉腫及び癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌(ovarian cancer)、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫(GBM(glioblastoma multiforme)、神経膠芽腫としてまた知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン腫、神経芽細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫)を包含するが、これらに限定されない。
【0286】
幾つかの実施態様において、該癌は、神経膠腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫(GBM、神経膠芽腫としてまた知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン腫、神経芽細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、又は網膜芽細胞腫である。
【0287】
幾つかの実施態様において、該癌は、聴神経腫瘍、星状細胞腫(例えば、悪性度I-毛様細胞性星状細胞腫、悪性度II-低悪性度の星状細胞腫、悪性度III-悪性星状細胞腫、又は悪性度IV-神経膠芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET:primitive neuroectodermal)腫瘍、又はシュワン腫である。幾つかの実施態様において、該癌は、成人よりも子供に多く見られるタイプ、例えば脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、若年性毛様細胞性星状細胞腫(JPA:juvenile pilocytic astrocytoma)、髄芽腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET:primitive neuroectodermal tumors)、又はラブドイド腫瘍、である。幾つかの実施態様において、該患者は、成人のヒトである。幾つかの実施態様において、該患者は、子供又は小児の患者である。
【0288】
該癌は、他の実施態様におい、中皮腫、肝胆道(肝管及び胆管)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭又は首の癌、皮膚黒色腫若しくは眼内黒色腫、卵巣癌(ovarian cancer)、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌(stomach cancer)、胃腸(胃、結腸直腸、及び十二指腸)、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜の癌、頸部の癌、膣の癌、外陰部の癌、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性又は急性の白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、非ホジキンスリンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管細胞癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、又は上述の癌の1以上の組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0289】
幾つかの実施態様において、該癌は、肝細胞癌、卵巣癌(ovarian cancer)、卵巣上皮癌、若しくは卵管癌;頭状漿液嚢胞腺癌若しくは子宮漿液性乳頭状癌(UPSC:uterine papillary serous carcinoma);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝臓胆管癌;軟部肉腫及び骨肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;組織非形成性甲状腺癌;副腎皮質腺腫;膵臓癌;膵管癌若しくは膵臓腺癌;胃腸/胃(GIST:gastrointestinal/stomach)癌;リンパ腫;頭頸部扁平上皮癌(SCCHN:squamous cell carcinoma of the head and neck);唾液腺癌;神経膠腫、又は脳癌;神経線維腫症-1に関連付けられた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST:malignant peripheral nerve sheath tumors);ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;又は、髄芽腫から選択される。
【0290】
幾つかの実施態様において、該癌は、肝細胞癌(HCC:hepatocellular carcinoma)、肝芽腫、結腸癌、直腸癌、卵巣癌(ovarian cancer)、卵巣上皮癌、卵管癌、頭状漿液嚢胞腺癌、子宮漿液性乳頭状癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部肉腫及び骨肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質腺腫、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1に関連付けられた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、又は髄芽腫から選択される。
【0291】
幾つかの実施態様において、癌は、固形腫瘍、例えば肉腫、固形腫瘍は一般に、嚢腫又は液体領域を典型的に含まない異常な組織の塊を含む。幾つかの実施態様において、該癌は、腎細胞癌、又は腎臓癌(kidney cancer);肝細胞癌(HCC)、又は肝芽腫、又は肝臓癌;黒色腫;乳癌;結腸直腸癌、又は結腸直腸癌;結腸癌;直腸癌;肛門癌;肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)、又は小細胞肺癌(SCLC);卵巣癌(ovarian cancer)、卵巣上皮癌、卵巣癌腫(ovarian carcinoma)、又は卵管癌;頭状漿液嚢胞腺癌、又は子宮漿液性乳頭状癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝臓胆管癌;軟部肉腫及び骨肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;組織非形成性甲状腺癌;副腎皮質癌;膵臓癌;膵管癌若しくは膵臓腺癌;胃腸/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頸部扁平上皮癌(SCCHN:squamous cell carcinoma of the head and neck);唾液腺癌;神経膠腫、又は脳癌;神経線維腫症-1に関連付けられた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;又は髄芽腫から選択される。
【0292】
幾つかの実施態様において、該癌は、腎細胞癌、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸直腸癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、卵巣癌(ovarian cancer)、卵巣上皮癌、卵巣癌腫(ovarian carcinoma)、卵管癌、頭状漿液嚢胞腺癌、子宮漿液性乳頭状癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部肉腫及び骨肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、脳癌、神経線維腫症-1に関連付けられた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、又は髄芽腫から選択される。
【0293】
幾つかの実施態様において、該癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸癌、直腸癌、卵巣癌(ovarian cancer)、卵巣上皮癌、卵巣癌腫(ovarian carcinoma)、卵管癌、頭状漿液嚢胞腺癌、子宮漿液性乳頭状癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部肉腫及び骨肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1に関連付けられた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST:malignant peripheral nerve sheath tumors)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、又は髄芽腫から選択される。
【0294】
幾つかの実施態様において、該癌は肝細胞癌(HCC)である。幾つかの実施態様において、該癌は肝芽腫である。幾つかの実施態様において、該癌は結腸癌である。幾つかの実施態様において、該癌は直腸癌である。幾つかの実施態様において、該癌は、卵巣癌(ovarian cancer)又は卵巣癌腫(ovarian carcinoma)である。幾つかの実施態様において、該癌は卵巣上皮癌である。幾つかの実施態様において、該癌は卵管癌である。幾つかの実施態様において、該癌は頭状漿液嚢胞腺癌である。幾つかの実施態様において、該癌は子宮漿液性乳頭状癌(UPSC)である。幾つかの実施態様において、該癌は肝臓胆管癌である。幾つかの実施態様において、該癌は軟部肉腫及び骨肉腫である。幾つかの実施態様において、該癌は横紋筋肉腫である。幾つかの実施態様において、該癌は骨肉腫である。幾つかの実施態様において、該癌は組織非形成性甲状腺癌である。幾つかの実施態様において、該癌は副腎皮質癌である。幾つかの実施態様において、該癌は、膵臓癌又は膵管癌である。幾つかの実施態様において、該癌は膵臓腺癌である。幾つかの実施態様において、該癌は神経膠腫である。幾つかの実施態様において、該癌は悪性末梢神経鞘腫(MPNST:malignant peripheral nerve sheath tumors)である。幾つかの実施態様において、該癌は、MPNSTに関連付けられた神経線維腫症-1である。幾つかの実施態様において、該癌はワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症である。幾つかの実施態様において、該癌は髄芽腫である。
【0295】
本発明はさらに、ウイルスに関連付けられた癌、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連付けられた固形腫瘍、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)-16陽性の不治の固形腫瘍、及び成人T細胞白血病(ここで、該成人T細胞白血病は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)によって引き起こされ且つ白血病細胞へのHTLV-Iのクローン統合によって特徴付けられるCD4+T細胞白血病の非常に攻撃的な形態である(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02631746を参照))を包含する該ウイルスに関連付けられた癌、並びに胃癌(gastric cancer)、上咽頭癌、子宮頸癌、腟癌、外陰癌、頭頸部の扁平上皮癌及びメルケル細胞癌におけるウイルスに関連付けられた腫瘍の診断、予後及び処置の為の方法及び組成物をさらに特徴とする(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759を参照;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886をまた参照;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02426892)。
【0296】
幾つかの実施態様において、癌は黒色腫癌である。幾つかの実施態様において、癌は乳癌である。幾つかの実施態様において、癌は肺癌である。幾つかの実施態様において、癌は小細胞肺癌(SCLC)である。幾つかの実施態様において、癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0297】
幾つかの実施態様において、癌は、腫瘍の更なる成長を阻止することによって処置される。幾つかの実施態様において、該腫瘍は、腫瘍のサイズ(例えば、体積又は質量)を、処置前の腫瘍のサイズと比較して、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%又は99%縮小することによって処置される。幾つかの実施態様において、腫瘍は、患者における腫瘍の量を、処置前の腫瘍の量に対して少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%又は99%減らすことによって処置される。
【0298】
癌の併用療法
【0299】
幾つかの実施態様において、本発明は、開示された疾病又は状態を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示された化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を投与すること、及び1以上の追加の治療剤、例えば本明細書に記載された追加の治療剤、の有効量を同時に又は逐次に併用投与することを含む上記方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、1つの追加の治療剤を併用投与することを含む。幾つかの実施態様において、該方法は、2つの追加の治療剤を併用投与することを含む。幾つかの実施態様において、開示された化合物と上記1以上の追加の治療剤との組み合わせは、相乗的に作用する。
【0300】
本発明の化合物はまた、既知の治療プロセス、例えばホルモン又は放射線の投与、と組み合わせて使用されうる。或る実施態様において、用意された化合物は、特に放射線療法に対して低い感受性を示す腫瘍の処置の為に、放射線増感剤として使用される。
【0301】
本発明の化合物は、単独で、又は1以上の他の治療化合物と組み合わせて投与されることができ、ここで、ありうる併用療法は、固定された組み合わせの形態を採る、又は本発明の化合物と1以上の他の治療化合物との投与は、ずらされるか若しくは互いに独立して与えられるか、或いは固定された組み合わせと1以上の他の治療用化合物との併用投与で与えられる。その他に又は加えて、本発明の化合物は、特に化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科的介入、又はこれらの組み合わせと組み合わせられた腫瘍治療の為に、投与されることができる。長期療法が、上記された通り、他の治療戦略の文脈において助剤療法と同様に、等しく可能である。他のありうる処置は、腫瘍退縮後の患者の状態を維持する為の治療、又は例えばリスクのある患者における、化学予防療法でさえある。
【0302】
1以上の他の治療剤は、複数の投与レジメンの一部として、本発明の化合物又は組成物とは別に投与されうる。代替的に、1以上の他の治療剤は、単一の剤形の一部であり得、単一の組成物中において、本発明の化合物と一緒に混合されうる。複数の投与レジメンの一部として投与される場合、1以上の他の治療剤及び本発明の化合物又は組成物は、同時に、逐次に、又は互いに一定期間内に、通常は互いに、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20、21、22、23又は24時間以内に、与えられうる。幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤及び本発明の化合物又は組成物は、24時間超離れた範囲内で複数の投与レジメンとして与えられる。
【0303】
本明細書において使用される場合に、語「組み合わせ」、語「組み合わせられた」及び関連する語は、本発明に従う治療剤の同時又は逐次の投与を云う。例えば、本発明の組み合わせは、1以上の他の治療剤と、個々の単位剤形で同時に若しくは逐次に、又は単一の単位剤形で一緒に、投与されうる。従って、本発明は、本発明の化合物、1以上の他の治療剤、及び医薬的に許容される担体、助剤又はビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0304】
単一の剤形を生成する為に担体材料と組み合わせられうる、(上記された追加の治療剤を含むそれらの組成物中の)本発明の化合物及び1以上の他の治療剤の量は、処置される宿主及び特定の投与方法に依存して変化するだろう。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の化合物の0.01~100mg/kg体重/日の投与量が投与されることができるように処方されるべきである。
【0305】
1以上の他の治療剤を含むこれらの組成物において、該1以上の他の治療剤及び本発明の化合物は相乗的に作用しうる。それ故に、そのような組成物中の該1以上の他の治療剤の量は、その治療剤のみを利用する単剤療法において必要とされる量よりも少ないであろう。そのような組成物において、0.01~1,000μg/kg体重/日の該追加の治療剤の投与量が投与されることができる。
【0306】
本発明の組成物中に存在する1以上の他の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物に通常投与される量を超えないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中の1以上の他の治療剤の量は、唯一の治療活性剤としてその剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%~約100%の範囲であるだろう。幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、その剤の為に通常投与される量の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の投与量で投与される。本明細書において使用される場合に、句「通常投与される」は、FDAが承認した治療剤の量は、FDAのラベル挿入物ごとに投与量について承認されていることを意味する。
【0307】
本発明の化合物、又はその医薬組成物はまた、移植可能な医療機器、人工補綴、人工弁、血管移植片、ステント及びカテーテル、をコーティングする為の組成物中に組み込まれうる。血管ステントは例えば、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服する為に使用されてきている。しかしながら、ステント又は他の埋め込み可能なデバイスを使用している患者は、血餅の形成又は血小板の活性化のリスクがある。これらの望ましくない影響は、キナーゼ阻害剤を含む医薬的に許容される組成物で該デバイスをプレコーティングすることによって防止又は軽減されうる。本発明の化合物でコーティングされた埋め込み可能なデバイスは、本発明の別の実施形態である。
【0308】
他の治療剤の例
【0309】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP:Poly ADP ribose polymerase)阻害剤である。幾つかの実施態様において、PARP阻害剤は、オラパリブ(Lynparza(商標),AstraZeneca);ルカパリブ(Rubraca(商標),Clovis Oncology);ニラパリブ(Zejula(商標),Tesaro);タラゾパリブ(MDV3800/BMN 673/LT00673,Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリパリブ(ABT-888,AbbVie);及びBGB-290(BeiGene Inc.)から選択される。
【0310】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はヒストンデアセチラーゼ(HDAC:Histone deacetylase)阻害剤である。幾つかの実施態様において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット(Zolinza(商標),Merck);ロミデプシン(Istodax(商標),Celgene);パノビノスタット(Farydak(商標),Novartis);ベリノスタット(Beleodaq(商標),Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX-275,Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);及びチダミド(Epidaza(商標),HBI-8000,Chipscreen Biosciences,中国)から選択される。
【0311】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はCDK阻害剤、例えばCDK4/CDK6阻害剤である。幾つかの実施態様において、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ(Ibrance(商標),Pfizer);リボシクリブ(Kisqali(商標),Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219,Eli Lilly);及びトリラシクリブ(trilaciclib)(G1T28,G1 Therapeutics)から選択される。
【0312】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K:phosphatidylinositol 3 kinase)阻害剤である。幾つかの実施態様において、PI3K阻害剤は、イデラリシブ(Zydelig(商標),Gilead)、アルペリシブ(BYL719,Novartis)、タセリシブ(GDC-0032,Genentech/Roche);ピクチリシブ(GDC-0941,Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946,Bayer);ヅヴェリシブ(以前は、IPI-145,Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics,スイス);及びTGR1202(以前は、RP5230,TG Therapeutics)から選択される。
【0313】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、プラチナベースの治療薬であり、またプラチン(platins)と呼ばれる。プラチンはDNAの架橋を引き起こし、従ってそれらは、主に急速に再生する細胞、例えば癌細胞、において、DNA修復及び/又はDNA合成を阻害する。幾つかの実施態様において、プラチナベースの治療薬は、シスプラチン(Platinol(商標),Bristol-Myers Squibb);カルボプラチン(Paraplatin(商標),Bristol-Myers Squibb;またTeva;Pfizer);オキサリプラチン(Eloxitin(商標),Sanofi-Aventis);ネダプラチン(Aqupla(商標),Shionogi),ピコプラチン(Poniard Pharmaceuticals);及びサトラプラチン(JM-216,Agennix)から選択される。
【0314】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はタキサン化合物であり、それは、細胞分裂に不可欠である微小管の破壊を引き起こす。幾つかの実施態様において、タキサン化合物は、パクリタキセル(Taxol(商標),Bristol-Myers Squibb),ドセタキセル(Taxotere(商標),Sanofi-Aventis;Docefrez(商標),Sun Pharmaceutical),アルブミン-結合パクリタキセル(Abraxane(商標);Abraxis/Celgene)、カバジタキセル(Jevtana(商標),Sanofi-Aventis)、及びSID530(SK Chemicals Co.)(NCT00931008)から選択される。
【0315】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、ヌクレオシド阻害剤、又は通常のDNA合成、タンパク質合成、細胞複製を妨げる治療剤、又はさもなければ迅速に増殖する細胞を阻害するであろう治療薬である。
【0316】
幾つかの実施態様において、ヌクレオシド阻害剤は、トラベクテジン(グアニジンアルキル化剤,Yondelis(商標),Janssen Oncology)、メクロレタミン(アルキル化剤,Valchlor(商標),Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(Oncovin(商標),Eli Lilly;Vincasar(商標),Teva Pharmaceuticals;Marqibo(商標),Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)-イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)に対するプロドラッグ,Temodar(商標),Merck);シタラビン注射剤(ara-C,代謝拮抗性シチジン類似体,Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤,CeeNU(商標),Bristol-Myers Squibb;Gleostine(商標),NextSource Biotechnology);アザシチジン(ピリミジンヌクレオシドシチジンの類似体,Vidaza(商標),Celgene);オマセタキシン・メペサクシネート(セファロタキシンエステル)(タンパク質合成阻害剤,Synribo(商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(アスパラギンの枯渇の為の酵素,Elspar(商標),Lundbeck;Erwinaze(商標),EUSA Pharma);エリブリンメシル酸塩(微小管阻害剤,チューブリンベースの有糸分裂阻害剤,Halaven(商標),Eisai);カバジタキセル(微小管阻害剤,チューブリンベースの有糸分裂阻害剤,Jevtana(商標),Sanofi-Aventis);カパセトリン(チミジル酸シンターゼ阻害剤,Xeloda(商標),Genentech);ベンダムスチン(二官能性メクロレタミン誘導体,鎖間DNA架橋結合を形成すると考えられている,Treanda(商標),Cephalon/Teva);イクサベピロン(エポチロンBの半合成類似体,微小管阻害剤,チューブリンベースの有糸分裂阻害剤,Ixempra(商標),Bristol-Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシン類似体のプロドラッグ,ヌクレオシド代謝阻害剤,Arranon(商標),Novartis);クロラファビン(リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤のプロドラッグ,デオキシシチジンの競合的阻害剤,Clolar(商標),Sanofi-Aventis);及びトリフルリジン及びチピラシル(チミジンベースのヌクレオシド類似体及びチミジンホスホリラーゼ阻害剤,Lonsurf(商標),Taiho Oncology)から選択される。
【0317】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、キナーゼ阻害剤又はVEGF-Rアンタゴニストである。本発明において有用である、承認済みのVEGF阻害剤及びキナーゼ阻害剤は下記を包含する:ベバシズマブ(Avastin(商標),Genentech/Roche)、抗VEGFモノクローナル抗体;ラムシルマブ(Cyramza(商標),Eli Lilly)、抗VEGFR-2抗体及びziv-アフリベルセプト,VEGF Trapとしてまた知られている(Zaltrap(商標);Regeneron/Sanofi)、VEGFR阻害剤、例えばレゴラフェニブ(Stivarga(商標),Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(商標),AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(商標),Pfizer);及びレンバチニブ(Lenvima(商標),Eisai);Raf阻害剤、例えばソラフェニブ(Nexavar(商標),Bayer AG and Onyx;ダブラフェニブ(Tafinlar(商標),Novartis);及びベムラフェニブ(Zelboraf(商標),Genentech/Roche);MEK阻害剤、例えばコビメタニブ(Cotellic(商標),Exelexis/Genentech/Roche);トラメチニブ(Mekinist(商標),Novartis);Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(Gleevec(商標),Novartis);ニロチニブ(Tasigna(商標),Novartis);ダサチニブ(Sprycel(商標),Bristol-Myers Squibb);ボスチニブ(Bosulif(商標),Pfizer);及びポナチニブ(Inclusig(商標),Ariad Pharmaceuticals);Her2及びEGFR阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(商標),AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(商標),Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(商標),Novartis);アファチニブ(Gilotrif(商標),Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(活性化されたEGFRを標的とする,Tagrisso(商標),AstraZeneca);及びブリグチニブ(Alunbrig(商標),Ariad Pharmaceuticals);c-Met及びVEGFR2阻害剤、例えばカボザニチニブ(Cometriq(商標),Exelexis);及び多種キナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ(Sutent(商標),Pfizer);パゾパニブ(Votrient(商標),Novartis);ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ(Xalkori(商標),Pfizer);セリチニブ(Zykadia(商標),Novartis);及びアレクチニブ(Alecenza(商標),Genentech/Roche);ブルトンの(Bruton’s)チロシンキナーゼ阻害剤、例えばイブルチニブ(Imbruvica(商標),Pharmacyclics/Janssen);及びFlt3受容体阻害剤、例えばミドスタウリン(Rydapt(商標),Novartis)。
【0318】
本発明において開発されており且つ使用されうる、他のキナーゼ阻害剤及びVEGF-Rアンタゴニストは、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);dovitinib(TKI258,Novartis);チアウアニブ(Chiauanib)(Chipscreen Biosciences);CEP-11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI-272,Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(商標),IY5511,Il-Yang Pharmaceuticals,大韓民国);ルキソリチニブ(Jakafi(商標),Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP-547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis,GlaxoSmithKline);キザルチニブ(Daiichi Sankyo)及びモテサニブ(Amgen/Takeda)を包含する。
【0319】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はmTOR阻害剤であり、それは、細胞増殖、血管新生、及びブドウ糖の取り込みを阻害する。幾つかの実施態様において、mTOR阻害剤は、エベロリムス(Afinitor(商標),Novartis);テムシロリムス(Torisel(商標),Pfizer);及びシロリムス(Rapamune(商標),Pfizer)である。
【0320】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はプロテアソーム阻害剤である。本発明において有用である、承認済みのプロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(Velcade(商標),Takeda);カーフィルゾミブ(Kyprolis(商標),Amgen);及びイキサゾミブ(Ninlaro(商標),Takeda)を包含する。
【0321】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は成長因子アンタゴニスト、例えば血小板由来成長因子(PDGF:platelet-derived growth factor)のアンタゴニスト、又は上皮成長因子(EGF:epidermal growth factor)若しくはその受容体(EGFR)である。本発明において使用されうる、承認済みのPDGFアンタゴニストは、オララタマブ(Lartruvo(olaratumab)(商標);Eli Lilly)を包含する。本発明において使用されうる、承認済みのEGFRアンタゴニストは、セツキシマブ(Erbitux(商標),Eli Lilly);ネシツムマブ(Portrazza(商標),Eli Lilly),パニツムマブ(Vectibix(商標),Amgen);及びオシメルチニブ(活性化されたEGFRを標的とする,Tagrisso(商標),AstraZeneca)を包含する。
【0322】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はアロマターゼ阻害剤である。幾つかの実施態様において、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン(Aromasin(商標),Pfizer);アナストロゾール(anastazole)(Arimidex(商標),AstraZeneca)、及びレトロゾール(Femara(商標),Novartis)から選択される。
【0323】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、ヘッジホッグ経路のアンタゴニストである。本発明において使用されうる、承認済みのヘッジホッグ経路阻害剤は、ソニデギブ(Odomzo(商標),Sun Pharmaceuticals);及びビスモデギブ(Erivedge(商標),Genentech)を包含し、両方とも基底細胞癌の処置の為のものである。
【0324】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は葉酸阻害剤である。本発明において有用である、承認済みの葉酸阻害剤は、ペメトレキセド(Alimta(商標),Eli Lilly)を包含する。
【0325】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はCCケモカイン受容体4(CCR4:CC chemokine receptor 4)阻害剤である。本発明において有用でありうる、試験されるCCR4阻害剤は、モガムリズマブ(Poteligeo(商標),Kyowa Hakko Kirin,日本)を包含する。
【0326】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH:Isocitrate dehydrogenase)阻害剤である。本発明において使用されうる、試験されるIDH阻害剤は、AG120(Celgene;NCT02677922);AG221(Celgene,NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer,NCT02746081);IDH305(Novartis,NCT02987010)を包含する。
【0327】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はアルギナーゼ阻害剤である。本発明において使用されうる、試験されるアルギナーゼ阻害剤は、AEB1102(ペグ化された組換えアルギナーゼ,Aeglea Biotherapeutics)、ここで、それは急性骨髄性白血病並びに骨髄異形成症候群(NCT02732184)及び固形腫瘍(NCT02561234)の為の第1相臨床試験で研究されている;並びにCB-1158(Calithera Biosciences)を包含する。
【0328】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はグルタミナーゼ阻害剤である。本発明において使用されうる、試験されるグルタミナーゼ阻害剤は、CB-839(Calithera Biosciences)を包含する。
【0329】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、腫瘍抗原、すなわち腫瘍細胞の細胞表面に発現するタンパク質、に結合する抗体である。本発明において使用されうる腫瘍抗原に結合する、承認済みの抗体は、リツキシマブ(rituximab)(Rituxan(商標),Genentech/BiogenIdec);オファツムマブ(ofatumumab)(抗CD20,Arzerra(商標),GlaxoSmithKline);オビヌツズマブ(obinutuzumab)(抗CD20,Gazyva(商標),Genentech)、イブリツモマブ(ibritumomab)(抗CD20及びYttrium-90,Zevalin(商標),Spectrum Pharmaceuticals);ダラツムマブ(daratumumab)(抗CD38,Darzalex(商標),Janssen Biotech)、ジヌツキシマブ(dinutuximab)(抗糖脂質GD2,Unituxin(商標),United Therapeutics);トラスツズマブ(trastuzumab)(抗HER2,Herceptin(商標),Genentech);アド-トラスツズマブ・エムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)(抗HER2,エムタンシンに融合されている,Kadcyla(商標),Genentech);及びペルツズマブ(pertuzumab)(抗HER2,Perjeta(商標),Genentech);及びブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)(抗CD30-薬物複合体,Adcetris(商標),Seattle Genetics)を包含する。
【0330】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。本発明において有用である、承認済みのトポイソメラーゼ阻害剤は、イリノテカン(Onivyde(商標),Merrimack Pharmaceuticals);トポテカン(Hycamtin(商標),GlaxoSmithKline)を包含する。本発明において使用されうる、試験されるトポイソメラーゼ阻害剤は、ピクサントロン(Pixuvri(商標),CTI Biopharma)を包含する。
【0331】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、抗アポトーシスタンパク質の阻害剤、例えばBCL-2、である。本発明において使用されうる、承認済みの抗アポトーシス薬は、ベネトクラクス(Venclexta(商標),AbbVie/Genentech);及びブリナツモマブ(Blincyto(商標),Amgen)を包含する。臨床試験を受けており且つ本発明において使用されうる、アポトーシスタンパク質を標的とする他の治療剤は、ナビトクラックス(ABT-263,Abbott)、BCL-2阻害剤(NCT02079740)を包含する。
【0332】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤はアンドロゲン受容体阻害剤である。本発明において有用である、承認済みのアンドロゲン受容体阻害剤は、エンザルタミド(Xtandi(商標),Astellas/Medivation)を包含する;承認済みの、アンドロゲン合成の阻害剤は、アビラテロン(Zytiga(商標),Centocor/Ortho)を包含する。承認済みのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH:gonadotropin-releasing hormone)受容体のアンタゴニスト(degaralix,Firmagon(商標),Ferring Pharmaceuticals)。
【0333】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM:selective estrogen receptor modulator)であり、それは、エストロゲンの合成又は活性を妨げる。本発明において有用な、承認済みのSERMは、ラロキシフェン(Evista(商標),Eli Lilly)を包含する。
【0334】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、骨吸収の阻害剤である。骨吸収を阻害する、承認済みの治療剤は、RANKLに結合する抗体であるデノスマブ(Xgeva(商標),Amgen)であり、破骨細胞、その前駆細胞、及び破骨細胞様巨細胞の表面において見られるその受容体RANKへの結合を防ぎ、それは、骨転移を伴う固形腫瘍における骨病変を媒介する。骨吸収を阻害する、承認済みの他の治療剤は、ビスホスホネート、例えばゾレドロン酸(Zometa(商標),Novartis)、を包含する。
【0335】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、2つの主要なp53抑制タンパク質であるMDMXとMDM2との間の相互作用の阻害剤である。本発明において使用されうる、試験されたp53抑制タンパク質の阻害剤は、ALRN-6924(Aileron),すなわちMDMX及びMDM2のp53との相互作用を等効力で結合し且つ破壊するステープルペプチド(stapled peptide)、を包含する。ALRN-6924は現在、AML、進行性骨髄異形成症候群(MDS:advanced myelodysplastic syndrome)及び末梢T細胞リンパ腫(PTCL:peripheral T-cell lymphoma)の処置についての臨床試験で評価されている(NCT02909972;NCT02264613)。
【0336】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-ベータ、すなわちTGFβ)の阻害剤である。本発明において使用されうる、試験された、TGF-ベータタンパク質の阻害剤は、NIS793(Novartis)、様々な癌、例えば乳房癌、肺癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、及び腎臓癌(renal cancer)(NCT 02947165)を包含する癌、の処置の為に臨床において試験された抗TGF-ベータ抗体を包含する。幾つかの実施態様において、TGF-ベータタンパク質の阻害剤は、フレソリムマブ(fresolimumab)(GC1008;Sanofi-Genzyme)であり、それは、黒色腫(NCT00923169);腎細胞癌(NCT00356460);及び非小細胞肺癌(NCT02581787)の為に試験されている。加えて、幾つかの実施態様において、該追加の治療剤は、例えばConnolly et al.(2012) Int’l J.Biological Sciences 8:964-978に記載されている、TGF-ベータトラップである。固形腫瘍の処置の為に現在臨床試験中の1つの治療化合物はM7824(Merck KgaA,以前はMSB0011459X)であり、それは、二重特異性、抗PD-L1/TGFβトラップ化合物(NCT02699515);及び(NCT02517398)である。M7824は、ヒトTGF-受容体IIの細胞外ドメインに融合したPD-L1に対する完全ヒトIgG1抗体で構成されており、それは、TGFβの「トラップ」として機能する。
【0337】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、グレムバツムマブ・ベドチン(glembatumumab vedotin)-モノメチルアウリスタチンE(MMAE:monomethyl auristatin E)(Celldex)が、グレムバツムマブ・ベドチン-モノメチルアウリスタチンE、MMAEに結合された抗糖タンパク質NMB(gpNMB:glycoprotein NMB)抗体(CR011)から選択される。gpNMBは、癌細胞の転移する能力に関連付けられた複数の腫瘍タイプによって過剰発現されるタンパク質である。
【0338】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は、抗増殖化合物である。そのような抗増殖は、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化剤化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗悪性腫瘍性代謝拮抗剤;プラチナ化合物;タンパク質又は脂質キナーゼの活性を標的とする/減少させる化合物並びにさらに抗血管新生化合物;タンパク質又は脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン薬;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生体応答修飾物質;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液系腫瘍の処置に使用される化合物;Flt-3の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;Hsp90阻害剤、例えば17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン(17-allylaminogeldanamycin),NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-dimethylaminoethylamino-17-demethoxy-geldanamycin),NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010(Conforma Therapeuticsから);テモゾロミド (Temodal(商標));キネシン紡錘体タンパク質阻害剤、例えばGlaxoSmithKlineからのSB715992若しくはSB743921、又はCombinatoRxからのペンタミジン/クロールプロマジン;MEK阻害剤、例えばArray BioPharmaからのARRY142886、AstraZenecaからのAZd6244,PfizerからのPD181461、及びロイコボリンを包含するが、これらに限定されない。
【0339】
語「アロマターゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、エストロゲン産生、例えば、基であるアンドロステンジオン及びテストステロンのエストロン及びエストラジオールへのそれぞれの変換を阻害する化合物に関する。該語は、ステロイド、特にアタメスタン、エキセメスタン及びフォルメスタン、特に非ステロイド、特にアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストトラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール及びレトロゾールを包含するが、これらに限定されない。エキセメスタンは、Aromasin(商標)の商品名の下で販売されている。フォルメスタンは、Lentaron(商標)の商品名の下で販売されている。ファドロゾールは、Afema(商標)の商品名の下で販売されている。アナストロゾールは、Arimidex(商標)の商品名の下で販売されている。レトロゾールは、Femara(商標)又はFemar(商標)の商品名の下で販売されている。アミノグルテチミドは、Orimeten(商標)の商品名の下で販売されている。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは特に、ホルモン受容体陽性腫瘍、例えば乳房腫瘍、の処置の為に有用である。
【0340】
語「抗エストロゲン薬」は、本明細書において使用される場合に、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの効果に拮抗する化合物に関する。該語は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン及び塩酸ラロキシフェンを包含するが、これらに限定されない。タモキシフェンは、Nolvadex(商標)の商品名の下で販売されている。塩酸ラロキシフェンは、Evista(商標)の商品名の下で販売されている。フルベストラントは、Faslodex(商標)の商品名の下で販売されている。抗エストロゲン剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、エストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば乳房腫瘍、の処置の為に特に有用である。
【0341】
語「抗アンドロゲン薬」は、本明細書において使用される場合に、アンドロゲンホルモンの生物学的効果を阻害することができる任意の物質に関し、及びビカルタミド(Casodex(商標))を包含するが、これらに限定されない。語「ゴナドレリンアゴニスト」は、本明細書において使用される場合に、アバレリックス、ゴセレリン及び酢酸ゴセレリンを包含するが、これらに限定されない。ゴセレリンは、Zoladex(商標)の商品名の下で投与されることができる。
【0342】
語「トポイソメラーゼI阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、トポテカン、ジャイマテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothecian)及びその類似体である9-ニトロカンプトテシン、並びに高分子カンプトテシンコンジュゲートであるPNU-166148を包含するが、これらに限定されない。イリノテカンは、例えば商標名Camptosar(商標)の下で、例えば市販されている形態で、投与されることができる。トポテカンは、Hycamptin(商標)の商品名の下で市販されている。
【0343】
語「トポイソメラーゼII阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、アントラサイクリン、例えばドキソルビシン(リポソーム製剤を包含する,例えばCaelyx(商標))、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びネモルビシン(nemorubicin)、アンオラキノン、ミトキサントロン及びロソキサントロン、及びポドフィロトキシンエトポシド、並びにテニポシドを包含するが、これらに限定されない。エトポシドは、Etopophos(商標)の商品名の下で市販されている。テニポシドはVM 26-Bristolの商品名の下で市販されている。ドキソルビシンは、Acriblastin(商標)又はAdriamycin(商標)の商品名の下で市販されている。エピルビシンは、Farmorubicin(商標) の商品名の下で市販されている。イダルビシンは、Zavedos(商標)の商品名の下で市販されている。ミトキサントロンは、Novantronの商品名の下で市販されている。
【0344】
語「微小管活性剤」は、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物、及び微小管重合阻害剤に関連し、例えばタキサン類、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン又は硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン又は硫酸ビンクリスチン、及びビノレルビン;ディスコデルモライド;コルヒチン及びエポチロン並びにそれらの誘導体を包含するがこれらに限定されない。パクリタキセルは、Taxol(商標)の商品名の下で販売されている。ドセタキセルは、Taxotere(商標)の商品名の下で販売されている。硫酸ビンブラスチンは、Vinblastin R.P(商標)の商品名の下で販売されている。ビンクリスチン硫酸塩は、Farmistin(商標)の商品名の下で販売されている。
【0345】
語「アルキル化剤」は、本明細書において使用される場合に、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン又はニトロソウレア(BCNU又はギリアデル)を包含するが、これらに限定されない。シクロホスファミドは、Cyclostin(商標)の商品名の下で販売されている。イホスファミドは、Holoxan(商標)の商品名の下で販売されている。
【0346】
語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」(histone deacetylase inhibitors)、すなわち「HDAC阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し且つ抗増殖活性を有する化合物に関する。これは、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA:suberoylanilide hydroxamic acid)を包含するが、これらに限定されない。
【0347】
語「抗悪性腫瘍性代謝拮抗薬」は、5-フルオロウラシル、すなわち5-FU、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化化合物、例えば5-アザシチジン及びデシタビン、メトトレキサート及びエダトレキサート、並びに葉酸アンタゴニスト、例えばペメトレキセド、を包含するが、これらに限定されない。カペシタビンは、Xeloda(商標)の商品名の下で販売されている。ゲムシタビンは、Gemzar(商標)の商品名の下で販売されている。
【0348】
語「プラチン化合物(platin compound)」は、本明細書において使用される場合に、カルボプラチン、スプラチン、シスプラチナム及びオキサリプラチンを包含するが、これらに限定されない。カルボプラチンは、例えばCarboplat(商標)の商品名の下で、例えば市販されている形態で、投与されることができる。オキサリプラチンは、例えばEloxatin(商標)の商品名の下で、例えば市販されている形態で、投与されることができる。
【0349】
語「タンパク質若しくは脂質キナーゼ活性を標的とする/減少させる化合物;又はタンパク質若しくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/減少させる化合物;又はさらに抗血管新生化合物を標的とする/減少させる化合物」は、本明細書において使用される場合に、下記を包含するが、これらに限定されない:タンパク質チロシンキナーゼ及び/又はセリン及び/又はスレオニンキナーゼ阻害剤又は脂質キナーゼ阻害剤、例えば、a) 血小板由来成長因子受容体(PDGFR:platelet-derived growth factor-receptors)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばPDGFRの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特にPDGF受容体を阻害する化合物、例えばN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えばイマチニブ(imatinib)、SU101、SU6668及びGFB-111;b) 線維芽細胞成長因子-受容体(FGFR:fibroblast growth factor-receptors)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;c) インスリン様成長因子受容体I(IGF-IR:insulin-like growth factor receptor)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;例えばIGF-IRの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特にIGF-I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、すなわちIGF-I受容体若しくはその成長因子の細胞外ドメインを標的とする抗体;d) Trk受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、すなわちエフリンB4阻害剤;e) AxI受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;f) Ret受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;g) Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばイマチニブ;h) PDGFRファミリーの一部であるC-kit受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばc-Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特にc-Kit受容体を阻害する化合物、例えばイマチニブ;i) c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、BCR-Abl kinase)及びそれらの変異体の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばc-Ablファミリーメンバー及びそれらの遺伝子融合産物の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えばイマチニブ又はニロチニブ(AMN107);PD180970;AG957;NSC 680410;ParkeDavisからのPD173955;又は、ダサチニブ(BMS-354825);j) プロテインキナーゼC(PKC:protein kinase C)のメンバー及びセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK/pan-JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTK及びTECファミリーのメンバー、スタウロスポリン誘導体を含むサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK:cyclin-dependent kinase family)、例えばスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリン、のメンバーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、更なる化合物の例は、UCN-01、サフィンゴール(safingol)、BAY 43-9006、ブリオスタチン1(Bryostatin 1)、ペリホシン;ルルモフォシン(llmofosine);RO 318220及びRO 320432;GO 6976;lsis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物;FTIs;PD184352又はQAN697(P13K阻害剤)又はAT7519(CDK阻害剤);k) タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))又はチロホスチン(tyrphostin)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を包含する、例えばチロホスチン A23/RG-50810;AG 99;チロホスチン AG 213;チロホスチン AG 1748;チロホスチン AG 490;チロホスチン B44;チロホスチン B44 (+)エナンチオマー;チロホスチン AG 555;AG 494;チロホスチン AG 556,AG957及びアダフォスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410,アダフォスチン);l) 受容体チロシンキナーゼの表皮成長因子ファミリー(ホモ二量体又はヘテロ二量体としてのEGFR1、ErbB2、ErbB3、ErbB4)及びそれらの変異体の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば表皮成長因子受容体ファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は特に、EGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質又は抗体であり、例えばEGF受容体、ErbB2、ErbB3及びErbB4又はEGF若しくはEGF関連リガンドに結合する、CP 358774、ZD 1839、ZM 105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、イレッサ、タルセバ、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3又はE7.6.3、及び7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体;m) c-Met受容体の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばc-Metの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特にc-Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、すなわちc-Metの細胞外ドメインを標的とする抗体若しくはHGFに結合する抗体;n) 1以上のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2及び/又はpan-JAK)のキナーゼ活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばPRT-062070、SB-1578、バリシチニブ(baricitinib)、パクリチニブ(pacritinib)、モメロチニブ(momelotinib)、VX-509、AZD-1480、TG-101348、トファシチニブ及びルキソリチニブを包含するが、これらに限定されない該化合物;o) PI3キナーゼ(PI3K:PI3 kinase)のキナーゼ活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ(buparlisib)、ピクトレリシブ(pictrelisib)、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ(dactolisib)、XL-147、XL-765及びイデラリシブ(idelalisib)を包含するが、これらに限定されない該化合物;及び;並びにq) ヘッジホッグタンパク質(Hh:hedgehog protein)又は滑らかにされた受容体(SMO:smoothened receptor)経路のシグナル伝達効果を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えばシクロパミン、ビスモデギブ(vismodegib)、イトラコナゾール(itraconazole)、エリスモデギブ(erismodegib)及びIPI-926(saridegib)、を包含するが、これらに限定されない。
【0350】
語「PI3K阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼファミリーの1以上の酵素に対して活性を有する化合物、例えばPI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ、Vps34、p110-α、p110-β、p110-γ、p110-δ、p85-α、p85-β、p55-γ、p150、p101及びp87を包含するが、これらに限定されない該化合物、を包含するが、これらに限定されない。本発明において有用であるPI3K阻害剤の例は、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ(buparlisib)、ピクトレリシブ(pictrelisib)、PF-4691502、BYL-719、dactolisib、XL-147、XL-765、及びイデラリシブ(idelalisib)を包含するが、これらに限定されない。
【0351】
語「Bcl-2阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、B細胞リンパ腫2タンパク質(Bcl-2:B-cell lymphoma 2 protein)に対して阻害活性を有する化合物、例えばABT-199、ABT-731、ABT-737、アポゴシポール(apogossypol)、アセンタの(Ascenta’s)pan-Bcl-2阻害剤、クルクミン(及びその類似体)、デュアルBcl-2/Bcl-xL阻害剤(Infinity Pharmaceuticals/Novartis Pharmaceuticals)、ゲナセンス(Genasense)(G3139)、HA14-1(及びその類似体,国際公開第2008118802号パンフレットを参照)、ナビトクラックス(及びその類似体,米国特許第7390799号明細書を参照)、NH-1(Shenayng Pharmaceutical University)、オバトクラックス(obatoclax)(及びその類似体,国際公開第2004106328号パンフレットを参照)、S-001(Gloria Pharmaceuticals)、TWシリーズ化合物(Univ.of Michigan)、及びベネトクラクスを包含するが、これらに限定されない該化合物、を包含するが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、該Bcl-2阻害剤は小分子治療剤である。幾つかの実施態様において、該Bcl-2阻害剤はペプチド模倣剤である。
【0352】
語「BTK阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、ブルトンの(Bruton’s)チロシンキナーゼ(BTK;Bruton’s Tyrosine Kinase)に対する阻害活性を有する化合物、例えばAVL-292及びイブルチニブ(ibrutinib)を包含するが、これらに限定されない該化合物、を包含するが、これらに限定されない。
【0353】
語「SYK阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、脾臓チロシンキナーゼ(SYK:spleen tyrosine kinase)に対する阻害活性を有する化合物、例えばPRT-062070、R-343、R-333、エクセラー(Excellair)、PRT-062607、及びホスタマチニブ(fostamatinib)を包含するが、これらに限定されない該化合物、を包含するが、これらに限定されない。
【0354】
BTK阻害化合物の更なる例、及び本発明の化合物と組み合わせられるそのような化合物によって治療可能な状態は、国際公開第2008039218号パンフレット及び国際公開第2011090760号パンフレットにおいてみられることができ、これらパンフレットの全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。
【0355】
SYK阻害化合物の更なる例、及び本発明の化合物と組み合わせられるそのような化合物によって治療可能な状態は、国際公開第2003063794号パンフレット、国際公開第2005007623号パンフレット及び国際公開第2006078846号パンフレットにおいてみられることができ、これらパンフレットの全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。
【0356】
PI3K阻害化合物の更なる例、及び本発明の化合物と組み合わせられるそのような化合物によって治療可能な状態は、国際公開第2004019973号パンフレット、国際公開第2004089925号パンフレット、国際公開第2007016176号パンフレット、米国特許第8138347号明細書、国際公開第2002088112号パンフレット、国際公開第2007084786号パンフレット、国際公開第2007129161号パンフレット、国際公開第2006122806号パンフレット、国際公開第2005113554号パンフレット及び国際公開第2007044729号パンフレットにおいてみられることができ、これらパンフレットの全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。
【0357】
JAK阻害化合物の更なる例、及び本発明の化合物と組み合わせられるそのような化合物によって治療可能な状態は、国際公開第2009114512号パンフレット、国際公開第2008109943、国際公開第2007053452号パンフレット、国際公開第2000142246号パンフレット及び国際公開第2007070514号パンフレットにおいてみられることができ、これらパンフレットの全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。
【0358】
さらなる抗血管新生化合物は、それらの活性について別のメカニズムを有する化合物、例えばタンパク質又は脂質キナーゼ阻害とは無関係である該化合物、例えばサリドマイド(Thalomid(商標))及びTNP-470を包含する。
【0359】
本発明の化物との組み合わせて使用する為に有用であるプロテアソーム阻害剤の例は、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG:epigallocatechin-3-gallate)、サリノスポラミドA(salinosporamide A)、カーフィルゾミブ、ONX-0912、CEP-18770及びMLN9708を包含するが、これらに限定されない。
【0360】
タンパク質又は脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A又はCDC25、例えばオカダ酸又はその誘導体の阻害剤である。
【0361】
細胞分化プロセスを誘発する化合物は、レチノイン酸、α-γ-若しくはδ-トコフェロール又はα-γ-若しくはδ-トコトリエノールを包含するが、これらに限定されない。
【0362】
語「シクロオキシゲナーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、Cox-2阻害剤、5-アルキル置換された2-アリールアミノフェニル酢酸及びその誘導体、例えばセレコキシブ(celecoxib)(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(rofecoxib)(Vioxx(商標))、エトリコキシブ(etoricoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)又は5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸、例えば5-メチル-2-(2'-クロロ-6'-フルオロアニリノ)フェニル 酢酸、ルミラコキシブ(lumiracoxib)、を包含するが、これらに限定されない。
【0363】
語「ビスホスホネート」は、本明細書において使用される場合に、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸及びゾレドロン酸を包含するが、これらに限定されない。エチドロン酸は、Didronel(商標)の商品名の下で販売されている。クロドロン酸は、Bonefos(商標)の商品名の下で販売されている。チルドロン酸は、Skelid(商標)の商品名の下で販売されている。パミドロン酸は、Aredia(商標)の商品名の下で販売されている。アレンドロン酸は、Fosamax(商標)の商品名の下で販売されている。イバンドロン酸は、Bondranat(商標)の商品名の下で販売されている。リセドロン酸は、Actonel(商標)の商品名の下で販売されている。ゾレドロン酸は、Zometa(商標)の商品名の下で販売されている。語「mTOR阻害剤」は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR:mammalian target of rapamycin)を阻害し且つ抗増殖活性を有する化合物、例えばシロリムス(Rapamune(商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI-779及びABT578、に関する。
【0364】
語「ヘパラナーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、ヘパリン硫酸塩の分解を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を云う。該語は、PI-88を包含するが、これに限定されない。語「生物学的応答調整剤」は、本明細書において使用される場合に、リンホカイン又はインターフェロンを云う。
【0365】
語「Ras発癌性アイソフォームの阻害剤」、例えばH-Ras、K-Ras又はN-Rasは、本明細書において使用される場合に、Rasの発癌活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を云う;「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」例えばL-744832、DK8G557又はR115777(Zarnestra(商標))。語「テロメラーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を云う。テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は特に、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えばテロメスタチン、である。
【0366】
語「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を云う。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、ベンガミド又はその誘導体を包含するが、これらに限定されない。
【0367】
語「プロテアソーム阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、プロテアソームの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を云う。プロテアソームの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、ボルテゾミブ(Velcade(商標))及びMLN 341を包含するが、これらに限定されない。
【0368】
語「マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤」(matrix metalloproteinase inhibitor)、すなわち(「MMP」阻害剤)は、本明細書において使用される場合に、コラーゲンペプチド模倣阻害剤及び非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤 バチマスタット及びその経口的に生物学的に利用可能な類似体マリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC 683551) BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270B、又はAAJ996を包含するが、これらに限定されない。
【0369】
語「血液系腫瘍の処置に使用される化合物」は、本明細書において使用される場合に、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤、それはFMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物である;インターフェロン、1-β-D-アラビノフランシルシトシン(ara-c)及びビスルファン;並びに、ALK阻害剤、それは退形成性リンパ腫キナーゼを標的とする、減少させる又は阻害する化合物である、を包含するが、これらに限定されない。
【0370】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R:FMS-like tyrosine kinase receptors)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は特に、Flt-3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質又は抗体、例えばPKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248及びMLN518、である。
【0371】
語「HSP90阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、SP90の固有のATPase活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;ユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、減少させる又は阻害する化合物を包含するが、これらに限定されない。HSP90の固有のATPase活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は特に、HSP90のATPase活性を阻害する化合物、タンパク質又は抗体、例えば17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG:17-allylamino,17-demethoxygeldanamycin)、ゲルダナマイシン誘導体、他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコール及びHDAC阻害剤である。
【0372】
語「抗増殖抗体」は、本明細書において使用される場合に、トラスツズマブ (Herceptin(商標))、トラスツズマブ(Trastuzumab)-DM1、アービタックス(erbitux)、ベバシズマブ(Bevacizumab)(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituximab)(Rituxan(商標))、PRO64553(抗CD40)、及び2C4抗体を包含するが、これらに限定されない。抗体によって、完全なモノクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成された多重特異性抗体、及び所望の生物学的活性を示す限りの抗体フラグメントが意味される。
【0373】
急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)の処置の為に、本発明の化合物は、標準的な白血病治療と組み合わせられて、特にAMLの処置の為に使用される治療と組み合わせられて、使用されることができる。特に、本発明の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はAMLの処置の為に有用である他の薬物、例えばダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナム及びPKC412、と組み合わせられて投与されることができる。
【0374】
他の抗白血病化合物は例えば、Ara-C、すなわちピリミジン類似体を包含し、それは、デオキシシチジンの2'-アルファーヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体である。ヒポキサンチンのプリン類似体、6-メルカプトプリン(6-MP)及びリン酸フルダラビンがまた包含される。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば酪酸ナトリウム及びスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、ヒストンデアセチラーゼとして知られる酵素の活性を阻害する。特定のHDAC阻害剤は、MS275、SAHA、FK228(以前は、FR901228)、トリコスタチンA及び米国特許第6,552,065号明細書に記載されている化合物、例えばN-ヒドロキシ-3-[4-[[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)-エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペナミド又はその医薬的に許容される塩、及びN-ヒドロキシ-3-[4-[(2-ヒドロキシエチル){2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペナミド又はその医薬的に許容される塩、特に乳酸塩、を包含するが、これらに限定されない化合物、を包含する。ソマトスタチン受容体アンタゴニストは、本明細書において使用される場合に、ソマトスタチン受容体、例えばオクトレオチド、及びSOM230を標的とする、処置する又は阻害する化合物を云う。腫瘍細胞に損傷を与えるアプローチは、アプローチ、例えば電離放射線、を云う。語「電離放射線」は、上記及び下記で言及されている通り、電磁波(例えば、X線及びガンマ線)又は粒子(例えば、アルファー粒子及びベータ粒子)のいずれかとして発生する電離放射線を意味する。電離放射線は、これに限定されないが放射線療法で提供され、且つ当技術分野で知られている。Hellman,Principles of Radiation Therapy,Cancer,in Principles and Practice of Oncology,Devita et al.,Eds.,4th Edition,Vol.1,pp.248-275 (1993)を参照。
【0375】
EDG結合剤及びリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤がまた包含される。語「EDG結合剤」は、本明細書において使用される場合に、リンパ球の再循環を調節する免疫抑制剤のクラス、例えばFTY720、を云う。語「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」は、ピリミジン又は、プリンヌクレオシド類似体、例えばフルダラビン及び/又はシトシンアラビノシド(ara-C)、6-チオグアニン、5-フルオロウラシル、クラドリビン、6-メルカプトプリン(特に、ALLに対するara-Cとの組み合わせ)及び/又はペントスタチンを包含するがこれらに限定されないプリンヌクレオシド類似体、を云う。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は特に、ヒドロキシウレア又は2-ヒドロキシ-1H-イソインドール1,3-ジオン誘導体である。
【0376】
特に、VEGFの化合物、タンパク質又はモノクローナル抗体、例えば、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジン又はその医薬的に許容される塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンスクシナート;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;Zd6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;又は抗VEGF抗体若しくは抗VEGF受容体抗体、例えばrhuMAb及びRHUFab、VEGFアプタマー、例えばマクゴン(Macugon);FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、アンギオザイム(Angiozyme)(RPI 4610)及びベバシズマブ(Avastin(商標))、がまた包含される。
【0377】
光線力学療法は、本明細書において使用される場合に、光増感性化合物として知られている或る化学物質を使用して、癌を処置又は予防する為の治療法を云う。光線力学療法の例は、化合物、例えばVisudyne(商標)及びポルフィマーナトリウム、での処置を包含する。
【0378】
血管新生抑制ステロイドは、本明細書において使用される場合に、血管新生をブロック又は阻害する化合物、例えば、アネコルタベ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-α-エピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、及びデキサメタゾン等、を云う。
【0379】
コルチコステロイドを含むインプラントは、化合物、例えばフルオシノロン及びデキサメタゾン、を云う。
【0380】
他の化学療法化合物は、植物アルカロイド、ホルモン化合物、及びアンタゴニスト;生体応答修飾物質、好ましくはリンホカイン又はインターフェロン;アンチセンスヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド誘導体;shRNA又はsiRNA;又はその他の化合物若しくは他の或いは未知の作用機序を有する化合物を包含するが、これらに限定されない。
【0381】
コード番号、一般名又は商品名によって識別される活性化合物の構造は、標準大要「The Merck Index」の実際版から、又はデータベース、例えばPatents International(例えば、IMS World Publications)から取得されうる。
【0382】
例示的な免疫腫瘍学剤
【0383】
幾つかの実施態様において、1以上の他の治療剤は免疫腫瘍学剤である。本明細書において使用される場合に、語「免疫腫瘍学剤」は、対象における免疫応答を高める為に、刺激する為に、及び/又は上方制御する為に効果的である剤を云う。幾つかの実施態様において、本発明の化合物の免疫腫瘍学剤の投与は、癌を処置する際に相乗効果を有する。
【0384】
免疫腫瘍学剤は例えば、小分子薬物、抗体、又は生物学的分子若しくは小分子であることができる。生物学的免疫腫瘍学剤の例は、癌ワクチン、抗体、及びサイトカインを包含するが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、モノクローナル抗体は、ヒト化されている又はヒトである。
【0385】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、(i)刺激性(共刺激性を包含する)受容体のアゴニスト、又は(ii)T細胞における抑制性(共阻害を包含する)シグナルのアンタゴニストであり、それらの両方が、抗原特異的T細胞応答を増幅することを結果として生じる。
【0386】
或る刺激性分子及び抑制性分子は、イムノグロブリンスーパーファミリー(IgSF:immunoglobulin super family)のメンバーである。共刺激性受容体又は共抑制性受容体に結合する膜結合リガンドの1つの重要なファミリーはB7ファミリーであり、それは、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、及びB7-H6を包含する。共刺激性受容体又は共抑制性受容体に結合する膜結合リガンドの他のファミリーは、同族のTNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、それは、CD40及びCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRを包含する。
【0387】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、免疫応答を刺激する為の、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、及び他の免疫抑制性のサイトカイン)又はT細胞活性化を刺激するサイトカインである。
【0388】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物と免疫腫瘍学剤との組み合わせは、T細胞応答を刺激することができる。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン(Galectin)-9、CEACAM-1、BTLA、CD69、Galectin-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、及びTIM-4;又は(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト、例えばB7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3、及びCD28H、である。
【0389】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、NK細胞における抑制性受容体(inhibitory receptors)のアンタゴニスト、又はNK細胞における活性性受容体(activating receptors)のアンタゴニストである。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、KIRのアンタゴニスト、例えばリリルマブ(lirilumab)、である。
【0390】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、マクロファージ又は単球を阻害又は枯渇させる薬剤、例えばCSF-1Rアンタゴニスト、例えばCSF-1Rアンタゴニスト抗体、例えばRG7155(国際公開第11/70024号パンフレット、国際公開第11/107553号パンフレット、国際公開第11/131407号パンフレット、国際公開第13/87699号パンフレット、国際公開第13/119716号パンフレット、国際公開第13/132044)号パンフレット、又はFPA-008(国際公開第11/140249号パンフレット:国際公開第13169264号パンフレット;国際公開第14/036357号パンフレット)を包含するCSF-1Rアンタゴニスト、を包含するが、これらに限定されない。
【0391】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、生の共刺激受容体をライゲーションスするアゴニスト剤、抑制生受容体を通じてシグナル伝達を減衰させる遮断剤、アンタゴニスト、及び抗腫瘍T細胞の頻度を全体的に増加させる1以上の剤、腫瘍微小環境内の明確な免疫抑制経路を克服する薬剤(例えば、ブロック抑制性受容体エンゲージメント(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)、Tregsを枯渇又は阻害する剤(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ)を使用して、又はエクス・ビボ抗CD25ビーズ枯渇によって)、代謝酵素を阻害する剤、例えばIDO、すなわちT細胞エネルギー若しくは消耗を逆転/予防する剤)、並びに自然免疫の活性化及び/又は主要部位での炎症をトリガーする剤から選択される。
【0392】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はCTLA-4アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニスティックCTLA-4抗体である。幾つかの実施態様において、アンタゴニスティックCTLA-4抗体は、ヤーボイ(イピリムマブ)又はトレメリムマブ(Tremelimumab)である。
【0393】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はPD-1アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、PD-1アンタゴニストは、注入によって投与される。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、プログラム細胞死-1(PD-1:Programmed Death-1)受容体に特異的に結合し且つPD-1活性を阻害する、抗体又はその抗原結合部分である。幾つかの実施態様において、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニスティックPD-1抗体である。幾つかの実施態様において、アンタゴニスティックPD-1抗体は、オプジーボ(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペンブロリズマブ)、又はMEDI-0680(AMP-514;国際公開第2012/145493号パンフレット)である。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、ピディリズマブ(Pidilizumab)(CT-011)でありうる。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc部分に融合されたPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインから構成される組み換えタンパク質である。
【0394】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はPD-L1アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、PD-L1アンタゴニストはアンタゴニスティックPD-L1抗体である。幾つかの実施態様において、PD-L1抗体は、MPDL3280A(RG7446;国際公開第2010/077634号パンフレット)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(国際公開第2007/005874号パンフレット)、及びMSB0010718C(国際公開第2013/79174号パンフレット)である。
【0395】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はLAG-3アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、LAG-3アンタゴニストはアンタゴニスティックLAG-3抗体である。幾つかの実施態様において、LAG3抗体は、BMS-986016(国際公開第10/19570号パンフレット、国際公開第14/08218号パンフレット)、又はIMP-731若しくはIMP-321(国際公開第08/132601号パンフレット、国際公開第009/44273号パンフレット)である。
【0396】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はCD137(4-1BB)アゴニストである。幾つかの実施態様において、CD137(4-1BB)アゴニストは、アゴニスティックCD137抗体である。幾つかの実施態様において、CD137抗体は、ウレルマブ(Urelumab)又はPF-05082566(国際公開第12/32433号パンフレット)である。
【0397】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はGITRアゴニストである。幾つかの実施態様において、GITRアゴニストはアゴニスティックGITR抗体である。幾つかの実施態様において、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(国際公開第006/105021号パンフレット、国際公開第009/009116号パンフレット)、又はMK-4166(国際公開第11/028683号パンフレット)である。
【0398】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はインドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(epacadostat)(INCB024360,Incyte);インドキシモド(indoximod)(NLG-8189,NewLink Genetics Corporation);カプマニチブ(capmanitib)(INC280,Novartis);GDC-0919(Genentech/Roche);PF-06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol-Myers Squibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンをキヌレニンを分解する酵素(Kynase,Kyn Therapeutics);及びNLG-919(国際公開第09/73620号パンフレット、国際公開第09/1156652号パンフレット、国際公開第11/56652号パンフレット、国際公開第12/142237号パンフレット)から選択される。
【0399】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はOX40アゴニストである。幾つかの実施態様において、OX40アゴニストはアゴニスティックOX40抗体である。幾つかの実施態様において、OX40抗体は、MEDI-6383又はMEDI-6469である。
【0400】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はOX40Lアンタゴニストである。幾つかの実施態様において、OX40LアンタゴニストはアンタゴニスティックOX40抗体で或る。幾つかの実施態様において、OX40LアンタゴニストはRG-7888(国際公開第06/029879号パンフレット)である。
【0401】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はCD40アゴニストである。幾つかの実施態様において、CD40アゴニストはアゴニスティックCD40抗体である。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はCD40アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、CD40アンタゴニストはアンタゴニスティックCD40抗体である。幾つかの実施態様において、CD40抗体は、ルカツムマブ(Lucatumumab)又はダセツズマブ(dacetuzumab)である。
【0402】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はCD27アゴニストである。幾つかの実施態様において、CD27アゴニストはアゴニスティックCD27抗体である。幾つかの実施態様において、CD27抗体はヴァルリルマブ(varlilumab)である。
【0403】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤はMGA271(B7H3に対する)(国際公開第11/109400号パンフレット)である。
【0404】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツヅマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アナツモマブ・マフェナトックス(anatumomab mafenatox)、アポリズマブ(apolizumab)、アテゾリズマブ(atezolimab)、アベルマブ(avelumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、BMS-936559、カツマキソマブ(catumaxomab)、デュルバルマブ(durvalumab)、エパカドスタット(epacadostat)、エプラツズマブ(epratuzumab)、インドキシモド(indoximod)、イノツズマブ オゾガマイシン(inotuzumab ozogamicin)、インテルムマブ(intelumumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、イサツキシマブ(isatuximab)、ランブロリズマブ(lambrolizumab)、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ(nivolumab)、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オラタツムマブ(olatatumab)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)、ピディリズマブ(pidilizumab)、リツキシマブ(rituximab)、チシリムマブ(ticilimumab)、サマリズマブ(samalizumab)、又はトレメリムマブ(tremelimumab)である。
【0405】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は免疫刺激剤である。例えば、PD-1及びPD-L1阻害軸をブロックする抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を解き放つことが出来、及び慣用的に免疫療法に敏感でないと考えられていなかった幾つかの腫瘍タイプを包含する、腫瘍組織の数の増加において永続的な抗腫瘍反応を誘発することが臨床試験において示されている(例えば、Okazaki,T.et al.(2013) Nat.Immunol.14,1212-1218;Zou et al.(2016) Sci.Transl.Med.8.)。抗PD-1抗体であるニボルマブ(Opdivo(商標),Bristol-Myers Squibb,ONO-4538としてまた知られている、MDX1106及びBMS-936558)は、以前の抗血管新生療法の間又はその後に疾病進行を経験したRCCを有する患者における全生存期間を改善する可能性を示している。
【0406】
幾つかの実施態様において、免疫調節剤は特に、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する。本発明において使用されうる、承認済みの免疫調節剤は、ポマリドミド (Pomalyst(商標),Celgene);レナリドミド(Revimid(商標),Celgene);インゲノールメブテート(Picato(商標),LEO Pharma)を包含する。
【0407】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は癌ワクチンである。幾つかの実施態様において、該癌ワクチンは、シプロイセル-T(Provenge(商標),Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)、それは、無症候性の又は最小限の症候性の転移性去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺癌の処置の為に承認されている;及び、タリモジーン・ラハーパレプベック(talimogene laherparepvec)(Imlygic(商標),BioVex/Amgen,以前はT-VECとして知られている)、それは、黒色腫における切除不能な、皮膚、皮下及び結節性病変の処置の為に承認された遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルス剤である、から選択される。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、腫瘍溶解性ウイルス剤、例えばペキサスチモジーン・デバシレプベック(pexastimogene devacirepvec)(PexaVec/JX-594,SillaJen/formerly Jennerex Biotherapeutics)、肝細胞癌(NCT02562755)及び黒色腫(NCT00429312)の為の、GM-CSFを発現するように設計されたチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルス;ペラレオレプ(pelareorep)(Reolysin(商標),Oncolytics Biotech),多くの癌、例えば結腸直腸癌(NCT01622543);前立腺癌(NCT01619813);頭頚部扁平細胞(NCT01166542);膵臓腺癌(NCT00998322);及び非小細胞肺癌(NSCLC:non-small cell lung cancer)(NCT00861627)を包含する癌、におけるRAS活性化されていない細胞において複製しない呼吸器腸管オーファンウイルス(respiratory enteric orphan virus)(レオウイルス)の変異体;エナデノツシレブ(enadenotucirev)(NG-348,PsiOxus,以前は、ColoAd1として知られている),完全長CD80及びT細胞受容体CD3タンパク質に特異的な抗体フラグメントを卵巣癌(ovarian cancer)(NCT02028117)において発現するように設計されたアデノウイルス;例えば結腸直腸癌、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌及び唾液腺癌(NCT02636036)における転移性又は進行性の上皮腫瘍;ONCOS-102(Targovax/以前は、Oncos),黒色腫(NCT03003676)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルス;及び腹膜疾病、結腸直腸癌又は卵巣癌(ovarian cancer)(NCT02963831);GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153,Genelux GmbH),ベータ-ガラクトシダーゼ(beta-gal)/ベータ-グルコロニダーゼ又はベータ-gal/ヒトナトリウムヨウ化物共輸送体(hNIS:human sodium iodide symporter)をそれぞれ発現するように設計されたワクシニアウイルスが、癌性腹膜炎(NCT01443260);卵管癌、卵巣癌(ovarian cancer)(NCT02759588);又はCG0070(Cold Genesys)において研究された、膀胱癌(NCT02365818)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルス、から選択される。
【0408】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤が、JX-929(SillaJen/以前は、Jennerex Biotherapeutics),シトシンデアミナーゼを発現するように設計されたTK-及びワクシニア成長因子欠損ワクシニアウィルス、それは、プロドラッグ5-フルオロシトシンを細胞毒性薬5-フルオロウラシルに転化することができる;TG01及びTG02(Targovax/以前は、Oncos),処置が困難なRAS変異を標的とするペプチドベースの免疫療法剤;及び、TILT-123(TILT Biotherapeutics),指定された設計されたアデノウイルス:Ad5/3-E2F-delta24-hTNFα-IRES-hIL20;並びに、VSV-GP(ViraTherapeutics),リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV:lymphocytic choriomeningitis virus)の糖タンパク質(GP:glycoprotein)を発現するように設計された水疱性口内炎ウイルス(VSV:vesicular stomatitis virus),それは、抗原特異的CD8+T細胞応答を高めるように操作された抗原を発現するようにさらに設計されることができる、から選択される。
【0409】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、キメラ抗原受容体、すなわちCAR(chimeric antigen receptor)を発現するように設計されたT細胞である。そのようなキメラ抗原受容体を発現するように操作されたT細胞は、CAR-T細胞と呼ばれる。
【0410】
CARは、天然リガンドに由来しうる結合ドメイン、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv:single chain variable fragments)からなり、T細胞受容体(TCR:T-cell receptor)の機能的末端であるエンドドメイン、例えばTCRからのCD3-ゼータシグナル伝達ドメイン、に融合され、それは、Tリンパ球で活性化シグナルを生成することができる。抗原結合すると、そのようなCARはエフェクター細胞内の内因性シグナル伝達経路にリンクし、そしてTCR複合体によって開始されるそれらと同様の活性化シグナルを生成する。
【0411】
例えば、幾つかの実施態様において、該CAR-T細胞は、米国特許第8,906,682号明細書(6月;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているもののうちの1つであり、それは抗原結合ドメイン(例えば、CD19に結合するドメイン)を有する細胞外ドメインを含むように設計されたCAR-Tを開示し、T細胞抗原受容体複合体ゼータ鎖(例えば、CD3ゼータ)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。T細胞内で発現すると、該CARは、抗原結合特異性に基づいて抗原認識をリダイレクトすることができる。CD19の場合、該抗原は悪性B細胞において発現される。200を超える臨床試験が現在、幅広い適応症でCAR-Tを使用して進行中である[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0412】
幾つかの実施態様において、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連のオーファン受容体g(RORgt:retinoic acid receptor-related orphan receptor g)の活性化因子である。RORgtは、CD4+(Th17)及びCD8+(Tc17)のT細胞の17型エフェクターサブセットの分化及び維持、並びにIL-17を発現する自然免疫細胞サブ集団、例えばNK細胞、の分化に重要な役割を果たす転写因子である。幾つかの実施態様において、RORgtの活性化因子はLYC-55716(Lycera)であり、それは現在、固形腫瘍(NCT02929862)の処置の為の臨床試験において評価されている。
【0413】
幾つかの実施態様において、免疫刺激剤は、トール様受容体(TLR:toll-like receptor)のアゴニスト又は活性化因子である。TLRの好適な活性化因子は、TLR9のアゴニスト又は活性化因子、例えばSD-101(Dynavax)、を包含する。SD-101は、B細胞、濾胞性及び他のリンパ腫(NCT02254772)について研究されている免疫刺激性CpGである。本発明において使用されうる、TLR8のアゴニスト又は活性化因子は、頭頸部の扁平上皮癌(NCT02124850)及び卵巣癌(ovarian cancer)(NCT02431559)について研究されているモトリモド(motolimod)(VTX-2337,VentiRx Pharmaceuticals)を包含する。
【0414】
本発明において使用されうる他の免疫腫瘍学剤は、ウレルマブ(urelumab)(BMS-663513,Bristol-Myers Squibb)、すなわち抗CD137モノクローナル抗体;ヴァルリルマブ(varlilumab)(CDX-1127,Celldex Therapeutics)、すなわち抗CD27モノクローナル抗体;BMS-986178(Bristol-Myers Squibb)、すなわち抗OX40モノクローナル抗体;リリルマブ(lirilumab)(IPH2102/BMS-986015,Innate Pharma,Bristol-Myers Squibb)、すなわち抗KIRモノクローナル抗体;モナリズマブ(monalizumab)(IPH2201,Innate Pharma,AstraZeneca)、すなわち抗NKG2Aモノクローナル抗体;アンデカリキシマブ(andecaliximab)(GS-5745,Gilead Sciences)、すなわち抗MMP9抗体;MK-4166(Merck & Co.)、すなわち抗GITRモノクローナル抗体を包含する。
【0415】
幾つかの実施態様において、免疫刺激剤は、エロツズマブ(elotuzumab)、ミファムルチド、トール様受容体のアゴニスト又は活性化因子、及びRORgtの活性化因子から選択される。
【0416】
幾つかの実施態様において、免疫刺激性治療剤は、組み換えヒトインターロイキン15(rhIL-15:recombinant human interleukin 15)である。rhIL-15は、黒色腫及び腎細胞癌(NCT01021059及びNCT01369888)及び白血病(NCT02689453)についての治療として臨床的に試験されている。幾つかの実施態様において、免疫刺激剤は、組み換えヒトインターロイキン12(rhIL-12:recombinant human interleukin 12)である。幾つかの実施態様において、IL-15に基づく免疫治療剤は、ヘテロ二量体のIL-15(hetIL-15:heterodimeric IL-15,Novartis/Admune)、すなわち可溶性IL-15結合タンパク質IL-15受容体アルファー鎖(IL15:sIL-15RA)を複合体を形成する内因性IL-15の合成形態から構成される融合複合体、であり、それは、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺癌及び頭頸部扁平上皮癌(NCT02452268)についての第1相臨床試験において試験されている。幾つかの実施態様において、組み換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)は、NM-IL-12(Neumedicines Inc.)、NCT02544724又はNCT02542124である。
【0417】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、Jerry L.Adams ET.AL.,“Big opportunities for small molecules in immuno-oncology”,Cancer Therapy 2015,Vol.14,pages 603-622の表1に記載されているそれらから選択され、該文献はその全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、上述のJerry L.Adams ET.AL.,の表2に記載されているそれらから選択される免疫腫瘍標的を標的とする小分子である。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、上述のJerry L.Adams ET.AL.,の表2に記載されているそれらから選択される小分子剤(small molecule agent)である。
【0418】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、Peter L.Toogood,“Small molecule immuno-oncology therapeutic agents”,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018,Vol.28,pages 319-329に記載されている小分子免疫腫瘍学剤から選択され、該文献はその全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、上述のPeter L.Toogoodに記載されている経路を標的とする剤である。
【0419】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、Sandra L.Ross et al.,“Bispecific T cell engager (BiTE(商標)) antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing”,PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されているそれらから選択され、該文献はその全内容が参照により本明細書内に取り込まれる。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物である。幾つかの実施態様において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異性抗体構築物である。幾つかの実施態様において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異性抗体構築物である。幾つかの実施態様において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物は、T細胞を活性化する。幾つかの実施態様において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物はT細胞を活性化し、それは、バイスタンダー(bystander)細胞における細胞間接着分子1(ICAM-1:intercellular adhesion molecule 1)及びFASの上方制御を誘発するサイトカインを放出する。幾つかの実施態様において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(商標))抗体構築物はT細胞を活性化し、それは、誘発されたバイスタンダー細胞溶解を結果として生じる。幾つかの実施態様において、該バイスタンダー細胞は、固形腫瘍中にある。幾つかの実施態様において、溶解された該バイスタンダー細胞は、BiTE(商標)で活性化されたT細胞の近傍にある。幾つかの実施態様において、該バイスタンダー細胞は、腫瘍関連抗原(TAA:tumor-associated antigen)陰性の癌細胞を有する。幾つかの実施態様において、該バイスタンダー細胞は、EGFR陰性の癌細胞を有する。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、PD-L1/PD1軸及び/又はCTLA4をブロックする抗体である。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、エクス・ビボ(ex-vivo)で増殖された腫瘍浸潤T細胞である。幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、T細胞を(TAAs:tumor-associated surface antigens)と直接接続する二重特異性抗体構築物又はキメラ抗原受容体(CARs)である。
【0420】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤
【0421】
幾つかの実施態様において、免疫腫瘍学剤は、本明細書に記載される免疫チェックポイント阻害剤である。
【0422】
語「チェックポイント阻害剤」は、本明細書において使用される場合に、癌細胞が患者の免疫系を回避すること防ぐ為に有用な剤に関する。抗腫瘍免疫破壊(anti-tumor immunity subversion)の主要なメカニズムの1つは、「T細胞枯渇」として知られており、それは、抑制性受容体の上方制御を引き起こす抗原への慢性曝露に起因する。これらの抑制性受容体は、制御されていない免疫反応を防ぐ為の免疫チェックポイントとして機能する。
【0423】
PD-1及び共抑制性受容体、例えば細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA-4:cytotoxic T-lymphocyte antigen 4,Bリンパ球及びTリンパ球のアテニュエーター(BTLA:B and T Lymphocyte Attenuator;CD272)、T細胞イムノグロブリン及びムチンドメイン-3(Tim-3:T cell Immunoglobulin and Mucin domain-3)、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3:Lymphocyte Activation Gene-3;CD223)及びその他のものは、しばししば、チェックポイントレギュレーターと云われる。それらは、細胞外情報が細胞周期進行及び他の細胞内シグナル伝達プロセスを進行させるかどうかを決定することを可能にする、分子の「ゲートキーパー」として機能する。
【0424】
幾つかの実施態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に対する抗体である。PD-1は、プログラムされた細胞死1受容体(PD-1)に結合して、受容体が阻害リガンドPDL-1に結合することを防ぎ、従って、宿主の抗腫瘍免疫応答を抑制する腫瘍の能力を無効にする。
【0425】
1つの観点において、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療剤又は小分子である。他の観点において、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質、又はそれらの組み合わせである。更なる観点において、該チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDLl、PDL2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7のファミリーリガンド、又はそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する。追加の観点において、該チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDLl、PDL2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK 1、CHK2、A2aR、B-7のファミリーリガンド、又はそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。1つの観点において該チェックポイント阻害剤は、免疫刺激剤、T細胞成長因子、インターロイキン、抗体、ワクチン、又はそれらの組み合わせである。更なる観点において、該インターロイキンは、IL-7又はIL-15である。特定の観点において、該インターロイキンは、グリコシル化されたIL-7である。追加の観点において、該ワクチンは、樹状細胞(DC:dendritic cell)ワクチンである。
【0426】
チェックポイント阻害剤は、統計的に有意な方法において、免疫系の抑制経路をブロックする又は阻害する任意の薬剤を包含する。そのような阻害剤は、小分子阻害剤を包含しうる或いは、免疫チェックポイント受容体に結合し、そしてブロック若しくは阻害するその抗原結合フラグメント又は、免疫チェックポイント受容体リガンドに結合し、そしてブロック若しくは阻害する抗体を包含しうる。ブロック若しくは阻害する標的とされうる例示的なチェックポイント分子は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、且つ全てのNK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞で発現される)、CD160(BY55とまた呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1及びCHK2キナーゼ、A2aR、及び様々なB-7ファミリーリガンドを包含するが、これらに限定されない。B-7ファミリーリガンドは、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6及びB7-H7を包含するが、これらに限定されない。チェックポイント阻害剤は、抗体、又はその抗原結合フラグメント、他の結合タンパク質、生物学的治療剤、又は小分子を包含し、それらは、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD 160及びCGEN-15049の1以上の活性をブロック又は阻害する。例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、トレメリムマブ(CTLA-4ブロックする抗体)、抗OX40、PD-Llモノクローナル抗体(抗B7-Hl;MEDI4736)、MK-3475(PD-1ブロッカー)、ニボルマブ(抗PDl抗体)、CT-011(抗PDl抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDLl抗体)、BMS-936559(抗PDLl抗体)、MPLDL3280A(抗PDLl抗体)、MSB0010718C(抗PDLl抗体)、並びにイピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)を包含する。チェックポイントタンパク質リガンドは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86及びTIM-3を包含するが、これらに限定されない。
【0427】
或る実施態様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト及びCTLA-4アンタゴニストから選択される。幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo(商標)),イピリムマブ(Yervoy(商標))、及びペンブロリズマブ(Keytruda(商標))からなる群から選択される。幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ(抗PD-1抗体,Opdivo(商標),Bristol-Myers Squibb);ペンブロリズマブ(抗PD-1抗体,Keytruda(商標),Merck);イピリムマブ(抗CTLA-4抗体,Yervoy(商標),Bristol-Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD-L1抗体,Imfinzi(商標),AstraZeneca);及びアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体,Tecentriq(商標),Genentech)からなる群から選択される。
【0428】
幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK-3475)、ニボルマブ(BMS-936558)、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MDX-1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS-936559、イピリムマブ、リルルマブ(lirlumab)、IPH2101、ペンブロリズマブ(Keytruda(商標))、及びトレメリムマブからなる群から選択される。
【0429】
幾つかの実施態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、REGN2810(Regeneron)、すなわち、基底細胞癌(NCT03132636);NSCLC(NCT03088540);有棘細胞癌(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);及び黒色腫(NCT03002376)を有する患者において試験された抗PD-1抗体;ピディリズマブ(CureTech),CT-011としても知られている,すなわち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫及び多発性骨髄腫の為の臨床試験における、PD-1に結合する抗体;アベルマブ(avelumab)(Bavencio(商標),Pfizer/Merck KGaA),MSB0010718Cとしても知られている)、すなわち、非小細胞肺癌,メルケル細胞癌、中皮腫、固形腫瘍、腎臓癌(renal cancer)、卵巣癌(ovarian cancer)、膀胱癌、頭頸部癌、及び胃癌(gastric cancer)の為の臨床試験における、完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体;又はPDR001(Novartis)、すなわち、非小細胞肺癌、黒色腫、三種陰性乳癌、並びに進行性の又は転移性の固形腫瘍の為の臨床試験における、PD-1に結合する阻害抗体、である。トレメリムマブ(CP-675,206;Astrazeneca)は、多くの適応症、例えば中皮腫、結腸直腸癌、腎臓癌(kidney cancer)、乳癌(breast cancer)、肺癌及び非小細胞肺癌、膵管腺癌、膵臓癌、生殖細胞癌、頭頸部の扁平細胞癌、肝細胞癌、前立腺癌、子宮内膜癌、肝臓における転移性癌、肝臓癌、大細胞型B細胞リンパ腫、卵巣癌(ovarian cancer)、子宮頸癌、転移性の組織非形成性甲状腺癌、尿路上皮癌、卵管癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、軟部肉腫、及び黒色腫を包含する適応症、の為に臨床試験において研究されてきているCTLA-4に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。AGEN-1884(Agenus)は、進行性の固形腫瘍(NCT02694822)の為に第1相臨床試験において研究されている抗CTLA4抗体である。
【0430】
幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫ノグロブリンムチン含有タンパク質-3(TIM-3:T-cell immunoglobulin mucin containing protein-3)の阻害剤である。本発明において使用されうるTIM-3阻害剤は、TSR-022、LY3321367及びMBG453を包含する。TSR-022(Tesaro)は、固形腫瘍(NCT02817633)において研究されている抗TIM-3抗体である。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍(NCT03099109)において研究されている抗TIM-3抗体である。MBG453(Novartis)は、進行性の悪性腫瘍(NCT02608268)において研究されている抗TIM-3抗体である。
【0431】
幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤は、Ig及びITIMドメインを有する又は或るT細胞及びNK細胞における免疫受容体であるTIGITを有するT細胞免疫受容体の阻害剤である。本発明において使用されうるTIGIT阻害剤は、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP-313M32(Oncomed);及び抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)を包含する。
【0432】
幾つかの実施態様において、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3:Lymphocyte Activation Gene-3)の阻害剤である。本発明において使用されうるLAG-3阻害剤は、BMS-986016及びREGN3767及び及びIMP321を包含する。BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、すなわち抗LAG-3抗体、は、神経膠芽腫及び神経膠肉腫(NCT02658981)において研究されている。REGN3767(Regeneron)はまた、抗LAG-3抗体であり、及び神経膠肉腫(NCT03005782)において研究されている。IMP321(Immutep S.A.)は、LAG-3-Ig融合タンパク質であり、黒色腫(NCT02676869);腺癌(NCT02614833);及び転移性乳癌(NCT00349934)において研究されている。
【0433】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤はOX40アゴニストを包含する。臨床試験において試験されているOX40アゴニストは、PF-04518600/PF-8600(Pfizer)、すなわち、転移性腎臓癌(kidney cancer)(NCT03092856)及び進行性癌並びに新生物癌(NCT02554812;NCT05082566)アゴニスティック抗OX40抗体;GSK3174998(Merck),すなわち、第1相癌試験(NCT02528357)におけるアゴニスティック抗OX40抗体;MEDI0562(Medimmune/AstraZeneca)、すなわち、進行性固形腫瘍(NCT02318394及びNCT02705482)におけるアゴニスティック抗OX40抗体;MEDI6469、すなわち、結腸直腸癌(NCT02559024)、乳癌(NCT01862900)、頭頸部癌(NCT02274155)及び転移性前立腺癌(NCT01303705)を有する患者におけるアゴニスティック抗OX40抗体(Medimmune/AstraZeneca);並びに、BMS-986178(Bristol-Myers Squibb)、すなわち、進行性癌(NCT02737475)におけるアゴニスティック抗OX40抗体、を包含する。
【0434】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤はCD137(4-1BBとまた呼ばれる)アゴニストを包含する。臨床試験において研究されているCD137アゴニストは、ウトミルマブ(utomilumab)(PF-05082566,Pfizer)、すなわち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(NCT02951156)及び進行性癌及び新生物癌(NCT02554812及びNCT05082566)におけるアゴニスティック抗CD137抗体;ウレルマブ(BMS-663513,Bristol-Myers Squibb)、すなわち、黒色腫及び皮膚癌(NCT02652455)並びに神経膠芽腫及び神経膠肉腫(NCT02658981)におけるアゴニスティック抗CD137抗体を包含する。
【0435】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤はCD27アゴニストを包含する。臨床試験において研究されているD27アゴニストは、ヴァルリルマブ(CDX-1127,Celldex Therapeutics)、すなわち、扁平細胞頭頸部癌、卵巣癌(ovarian carcinoma)、結腸直腸癌、腎臓細胞(renal cell)癌、及び神経膠芽腫(NCT02335918);リンパ腫(NCT01460134);及び神経膠腫及び星状細胞腫(NCT02924038)におけるアゴニスティック抗CD27抗体、を包含する。
【0436】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、グルココルチコイド誘発腫瘍壊死因子受容体(GITR:glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor)アゴニストを包含する。臨床試験において研究されているGITRアゴニストは、TRX518(Leap Therapeutics)、すなわち、悪性黒色腫及び他の悪性の固形腫瘍(NCT01239134及びNCT02628574)におけるアゴニスティック抗GITR抗体;GWN323(Novartis)、すなわち固形腫瘍及びリンパ腫(NCT02740270)におけるアゴニスティック抗GITR抗体;INCAGN01876(Incyte/Agenus)、すなわち、進行性癌(NCT02697591及びNCT03126110)におけるアゴニスティック抗GITR抗体;MK-4166(Merck)、すなわち、固形腫瘍(NCT02132754)及びMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)におけるアゴニスティック抗GITR抗体、進行性固形腫瘍(NCT02583165)におけるヒトIgG1 Fcドメインを有する、アゴニスティック六量体GITR-リガンド分子、を包含する。
【0437】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、誘発性T細胞共刺激剤(ICOS:inducible T-cell co-stimulator,CD278としてまた知られている)アゴニストを包含する。臨床試験において研究されているICOSアゴニストは、MEDI-570(Medimmune)、すなわちリンパ腫(NCT02520791)におけるアゴニスティック抗ICOS;GSK3359609(Merck)、すなわち、第1相(NCT02723955)におけるアゴニスティック抗ICOS抗体;JTX-2011(Jounce Therapeutics)、すなわち、第1相(NCT02904226)におけるアゴニスティック抗ICOS抗体、を包含する。
【0438】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、キラーIgG様受容体(KIR:killer IgG-like receptor)阻害剤を包含する。臨床試験において研究されているKIR阻害剤は、リリルマブ(IPH2102/BMS-986015,Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、すなわち、白血病(NCT01687387,NCT02399917,NCT02481297,NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)及びリンパ腫(NCT01592370)における抗KIR抗体;骨髄腫(NCT01222286及びNCT01217203)におけるIPH2101(1-7F9,Innate Pharma);並びに、IPH4102(Innate Pharma)、すなわち、リンパ腫(NCT02593045)における、長い細胞質尾部の3つのドメインに結合する抗KIR抗体(KIR3DL2)、を包含する。
【0439】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、CD47と、シグナル調節タンパク質アルファー(SIRPa:signal regulatory protein alpha)との間の相互作用のCD47阻害剤を包含する。臨床試験において研究されているCD47/SIRPa阻害剤は、ALX-148(Alexo Therapeutics)、すなわち、第1相(NCT03013218)における、CD47に結合し且つCD47/SIRPa介在シグナルを防ぐ(SIRPa)のアンタゴニスティック変異体;TTI-621(SIRPa-Fc,Trillium Therapeutics)、すなわち、ヒトCD47を結合し且つマクロファージに「食べない」(do not eat)信号を送ることを防ぐことによって、SIRPaのN末端CD47結合ドメインをヒトIgG1のFcドメインと結合することによって作成された、臨床試験において研究されている可溶性組換え融合タンパク質が作用する;CC-90002(Celgene)、すなわち、白血病(NCT02641002)における抗CD47抗体;並びに、結腸直腸新生物及び固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄性白血病(NCT02678338)及びリンパ腫(NCT02953509)におけるHu5F9-G4(Forty Seven,Inc.)、を包含する。
【0440】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、CD73阻害剤を包含する。臨床試験において研究されているCD73阻害剤は、MEDI9447(Medimmune)、すなわち、固形腫瘍(NCT02503774)における抗CD73抗体;及びBMS-986179(Bristol-Myers Squibb)、すなわち固形腫瘍(NCT02754141)における抗CD73抗体、を包含する。
【0441】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、インターフェロン遺伝子タンパク質(STING:stimulator of interferon genes protein,膜貫通タンパク質173(transmembrane protein 173)としてもまた知られている、すなわち、TMEM173)の刺激剤のアゴニストを包含する。臨床試験において研究されているSTINGのアゴニストは、MK-1454(Merck)、すなわち、リンパ腫(NCT03010176)におけるアゴニスティック合成環状ジヌクレオチド;及び、ADU-S100(MIW815,Aduro Biotech/Novartis)、すなわち、第1相(NCT02675439及びNCT03172936)におけるアゴニスティック合成環状ジヌクレオチド、を包含する。
【0442】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤は、CSF1R阻害剤を包含する。臨床試験において研究されているCSF1R阻害剤は、ペキシダルチニブ(PLX3397,Plexxikon)、すなわち、結腸直腸癌、膵臓癌、転移性及び進行性癌(NCT02777710)並びに黒色腫、非小細胞肺癌、扁平細胞頭頸部癌、消化管間質腫瘍(GIST:gastrointestinal stromal tumor)及び卵巣癌(ovarian cancer)(NCT02452424)におけるCSF1R小分子阻害剤;並びに、IMC-CS4(LY3022855,Lilly)、すなわち、膵臓癌(NCT03153410)、黒色腫(NCT03101254)及び固形腫瘍(NCT02718911)における抗CSF-1R抗体;並びに、BLZ945(4-[2((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イルオキシ]-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド,Novartis)、すなわち、進行性固形腫瘍(NCT02829723)における、CSF1Rの経口的に利用可能な阻害剤、を包含する。
【0443】
本発明において使用されうるチェックポイント阻害剤はNKG2A受容体阻害剤を包含する。臨床試験で研究されているNKG2A受容体阻害剤は、モナリズマブ(IPH2201,Innate Pharma)、頭頸部新生物(NCT02643550)及び慢性リンパ性白血病(NCT02557516)における抗NKG2A抗体である。
【0444】
幾つかの実施態様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(nivolumab)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、アベルマブ(avelumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、アテゾリズマブ(atezolimab)、又はピディリズマブ(pidilizumab)から選択される。
【0445】
上記された予防及び/又は処置方法に加えて、本発明はまた、本明細書に記載された、疾病、障害若しくは状態を予防及び/又は処置する為の対応する使用方法を提供する。幾つかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載された、ウイルス感染、又は炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を予防及び/又は処置する為の、本明細書に記載された、化合物又はその医薬的に許容される塩の使用方法を提供する。幾つかの実施態様において、本発明によって提供される、HIV感染を予防及び/又は処置する為の使用方法は、バイオマーカーとしてのHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルが本明細書に記載された方法によって測定される及び/又は監視される患者について意図されている。幾つかの実施態様において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を予防及び/又は処置する為の使用方法は、バイオマーカーとしての、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在及び/又は発現レベルが本明細書に記載された方法によって測定される及び/又は監視される患者について意図されている。
【0446】
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置又は予防することを必要とする患者において、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置又は予防をする為に使用する為の、上記で定義された、式I、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、式IV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc若しくは式IVdの化合物、又はその医薬的に許容される塩が本明細書においてさらに提供される。幾つかの実施態様において、抗炎症剤として使用する為の、上記で定義された、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、式IV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc若しくは式IVd、又はその医薬的に許容される塩は、miR-124遺伝子座でのスプライシングされた長鎖ノンコーディングRNAの存在及び/又は発現レベルが上記処置の前に及び/又は上記使用の過程の間に、上記患者の血液及び/又は組織のサンプルにおいて監視される患者について意図されている。
【0447】
HIV感染を処理することを必要とする患者において、HIV感染を処置する為に使用する為の、上記で定義された、式I、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、式IV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc若しくは式IVdの化合物、はその医薬的に許容される塩が本明細書においてさらに提供される。幾つかの実施態様において、HIV処置剤として使用する為の、上記で定義された、式I、式Ia、式Ib、式Ib’、式Ic、式Id、式IV、式IVa、式IVb、式IVb’、式IVc若しくは式IVdの化合物、はその医薬的に許容される塩が上記使用の過程の間に、該患者の血液及び/又は組織のサンプルにおいて監視される該患者について意図されている。
【0448】
更なる例示的な実施形態:
【0449】
1.HIV感染のバイオマーカーとして又はHIV感染の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしてSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体を使用する方法であって、生物学的サンプルにおいて、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0450】
2.HIV感染の処置に対する化合物の生物学的効果を評価する方法であって、HIV感染のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0451】
3.HIV感染を予防及び/又は処置する際に化合物又はワクチンをスクリーニングする方法であって、HIV感染のバイオマーカーとしてのSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0452】
4.HIV感染を処置する方法であって、患者に治療的処置を施すこと、及び患者においてSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法。
【0453】
5.炎症性の疾病、障害若しくは状態のバイオマーカーとしての或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205を使用する方法であって、生物学的サンプルにおけるmiR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0454】
6.炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置することにおいて化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する方法であって炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0455】
7.炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する際に化合物又は医療用デバイスをスクリーニングする方法であって、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在又は発現レベルを測定することを含む上記方法。
【0456】
8.炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する方法であって、患者に治療的処置を施すこと、及び該患者における、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法。
【0457】
9.炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する方法であって、患者に治療的処置を施すこと、及び該患者におけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法。
【0458】
10.炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為の患者を選択する方法であって、患者における、miR-124-1遺伝子座でのlncRNA 0599-205の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法。
【0459】
11.治療的処置の為の患者を選択する方法であって、患者におけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルを測定すること及び/又は監視することを含む上記方法。
【0460】
12.上記治療的処置が、下記の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩である、実施態様4及び8~11に記載の方法。
【化45】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化46】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ、(C
3~C
6)シクロアルキル、-NO
2、-NR
1R
2、(C
1~C
4)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1-SO
2-NR
1R
2、-NR
1-SO
2-R
1、-NR
1-C(=O)-R
1、-NR
1-C(=O)-NR
1R
2、-SO
2-NR
1R
2、-SO
3H、-O-SO
2-OR
3、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-O-CH
2-COOR
3、(C
1~C
3)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、又は下記の式(IIa)の基
【化47】
又は、下記の式(IIIa)の基
【化48】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1及びR
2の各々は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4の各々は独立して、水素原子、Li
+、Na
+、K
+、N
+(Ra)
4又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1~C
3)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2、-NR
1R
2、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1~C
3)フルオロアルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3)(OR
4)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化49】
又は、下記の式(IIIa)の基
【化50】
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1~C
5)アルキル若しくは(C
3~C
6)シクロアルキルであり、又は
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1~C
4)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
【0461】
13.上記化合物が、下記の式Ia~Id又はその医薬的に許容される塩から選択される、実施態様12に記載の方法。
【化51】
【0462】
14.上記化合物が、ABX464又はその医薬的に許容される塩である、実施態様12又は13に記載の方法。
【0463】
15.上記治療的処置が、下記の式IVの化合物又はその医薬的に許容される塩である、実施態様1、4又は8~11のいずれか1つに記載の方法
【化52】
ここで、V、Z、R、R’、n及びn’のぞれぞれは、実施態様8で記載された通りである。
【0464】
16.上記化合物が、下記の式IVa~IVd又はその医薬的に許容される塩から選択される、実施態様15に記載の方法。
【化53】
【0465】
例示
【0466】
ヒトのサンプル
【0467】
ヒト生検における全ての実験は、関連するガイドライン及び規制に従って実施された。該実験は、AEMPS(スペインのエージェンシー)によって承認され。
AEMPS番号:契約に基づく16-0728番号 EudraCT:2016-002797-1titulo ESTUDIOABIERTODE LA SEGURIDAD,FARMACOCINETICA Y FARMACODINAMICA DE ABX464EN ADULTOS SERONEGATIVOS Y SEROPOSITIVOS PARA ELVIH-1。インフォームドコンセントは全ての対象者から得られた。
【0468】
細胞培養、感染、及び遺伝子導入
【0469】
HIV陰性の個体からのバフィーコート(Buffy coats)が、Centre de transfusion sanguine Montpellierにおける地元の献血センターから入手された。ヒト末梢血単核細胞(PBMCs:Human peripheral blood mononuclear cells)が、フィコール(Ficoll)(Histopaque,Sigma)勾配遠心分離によって単離された。CD4+及びCD8+T細胞が、それぞれヒトCD4+ビーズ陽性セレクション及びCD8+ビーズ陽性セレクションによるフィコール勾配遠心分離後にPBMCから精製された(Miltenyi)。PBMC、CD4+細胞及びCD8+T細胞が、37℃及び5%のCO2で、10%ウシ胎児血清(FCS:fetal calf serum)(Thermo Fisher)、40U/mlのIL2(PeproTech)及び5μg/mLのPHA(Roche)を補充されたRPMI GlutaMAX培地(Life Technologies)において1.5×106細胞/mまで、2日間増殖された。3日後、細胞が、10%のFCS及び40U/mlのIL2を補充されたRPMIにおいて1.5×106細胞/mで再懸濁され、そして2つの部分(感染された細胞及び感染されていない細胞)に分けられた。細胞がYU-2株のp24/106細胞の80ngで4~6時間感染され、そして次に、培地を更新する前にPBSですすがれた。
【0470】
次に、製造元の指示書に従って、感染された細胞と感染されていない細胞の両方が遠心分離され、そしてDMSO(Sigma)中に可溶化した希釈された薬物で補充された培地中に1.5×106細胞/mlの密度まで再懸濁されて、最終0.05%DMSO濃度又は抗レトロウイルス化合物に調整された。細胞が6日間処理され、3日目に培地を更新した。HIVp24滴定は、製造元の指示書に従って、Innotestキット(Ingen)を使用して細胞培養上清からELISAによって行われた。
【0471】
単球由来マクロファージを生成する為に、単球がCD14+陽性マイクロビーズ(Miltenyi)を使用して単離され、そして、10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム、1%の非必須アミ酸、10%のFBS、10ng/mlのGM-CSF及び100ng/mlのM-CSFを補充されたX-VIVO 10培地(Lonza)中で7日間、3日目に培地を交換して培養された。7日間の分化後、該細胞は洗われ、6ウェルのプレートに置かれ、そして24時間、サイトカイン添加なしの培地中で培養された。細胞が、3日目に部分的に培地が交換され、6日間処理された。
【0472】
ATCCからのHeLa細胞が、10%のFCS(Thermo Fisher)を補充されたDMEM GlutaMAX培地(Life Technologies)中、37℃及び5%CO2で培養された。lncRNA 0599-205に対応する領域が、IDT(Integratde DNA Technologies)によって合成され、そして、pcDNA3.1内にクローン化されて、pc-lncRNA 0599-205プラスミドを生成した。製造元の指示書に従って、pc-lncRNA 0599-205(400,000細胞当たり2μg)が、jetPEI試薬(Polyplus)を使用して、HeLa細胞中に一過性にトランスフェクションされた。
【0473】
miRNA(RT-q)-PCR解析
【0474】
製造元の指示書に従って、miRNAが、NucleoSpin miRNeasyキット(Macherey-Nagel)を使用して、PBMC、CD4+又はCD8+T細胞から抽出された。miRNA逆転写(RT:reverse transcription)は、miScript II RTキット(Qiagen)を使用して行われた。結果として生じたcDNAが、適切なプライマー(Qiagen)とともに、miScript SYBR Green PCRキット(Qiagen)用いて行われるリアルタイムqPCRの為のテンプレートとして使用された。特定のmiR-124プライマー(Hs_miR-124a)、対照特異的プライマー(Ce_miR-39)及び2つのハウスキーピング遺伝子(miR-26及びmiR-191)特異的プライマー(Hs_miR-26a及びHs_miR-191)が使用されて、相対的qPCRを実行した。PCR分析は、LightCycler 480 Instrument II(Roche Molecular Systems,Inc)で行われた。全ての反応は3回行われた。miR-124の相対レベルは、2-ΔΔCt法を使用して計算された。
【0475】
トータルRNAが、Macherey-Nagel NucleoSpin miRNeasyキットを使用して、マクロファージから抽出された。miRNA逆転写(RT)は、TaqManqPCRの為のApplied Biosystems TaqMan アドバスドmiRNAアッセイプロトコルに従って、2μlのトータルRNAで行われた。特異的なmiR-124プライマー(Hs_miR-124a)、スパイク対照特異的なプライマー(Ce_miR-39)、及びハウスキーピング遺伝子(miR-191)特異的なプライマー(Hs_miR-191)が使用されて、相対qPCRを行った。PCRの実行は、Applied Biosystems ViiA7ソフトウェアを使用して解析された。
【0476】
ヒト生検におけるmiR-124の定量化
【0477】
miR-124の定量化は、PAXgene Tissue Containers(PreAnalytiX)において収集されていた患者からの直腸生検サンプルにおいて実行された。RNA抽出は、製造元のプロトコルに従って、PAXgene Tissue miRNA Kit(PreAnalytiX)を使用して行われた。簡単に説明すると、サンプルが、1つの5mmステンレスビーズを有する2mlのSafe-Lockマイクロ遠心チューブ内の250μlのBufferTM1に浸された。サンプルが、Qiagen TissueLyser装置を使用して、20Hzで、2分で2回破砕され且つホモジナイズされた。残りの手順が、製造元のプロトコルに従って行われた。該手順の最後に、各RNAが32μlのTM4バッファー内に溶出された。RNAの濃度及び純度が、NanoDrop ND-1000分光光度計(Thermo Scientific)を使用して測定された。RNAの完全性は、RNAScreenTapeとともにAgilent 2200 TapeStationを使用して評価された。cDNAテンプレートが、製造元のプロトコルに従って、TaqMan Advanced miRNA cDNA合成キット(Applied Biosystems)を使用して、10ngのトータルRNAマトリックスから開始し調製された。qPCRは、製造元のプロトコルに従って、2つのTaqMan Advanced miRNA Assays(Applied Biosystems)、すなわち、1つはmiR-124-1 miRNAを標的とするもの(アッセイID:477879_mir)、及び他は内因性miRNAであるmiR16を標的とするもの(アッセイID:477860_mir)(それは、発現データの正規化の為の参照として使用された)、を使用して行われた。QPCRは、
LightCycler 480 Instrument II(Roche Molecular Systems Inc)において行われた。全てのアッセイは、FAM-MGBケミストリーを使用して標識化された。
【0478】
統計データ解析
【0479】
全ての統計分析及びプロットは、Rソフトウェアv3.5を使用して行われた。正規化及び処理の為に、本発明者等はedgeR v3.22.1、EDASeq v2.14及びDESeq2 v1.20を使用した。本発明者等はトランスクリプトパーミリオン(TPM:transcripts per million)よりもカウントパーミリオン(CPM:counts per million)を主に使用することに決定した。なぜならば、TPMはオリジナルのカウントサイズについての多くの情報を破棄し、従って差分テストの為にはノイズをあまりにも多く生成するであろうからである。最初のステップは、データをフィルタリングすることであった。本発明者等は、サンプル内のマップされた読み取り100万回ごとに少なくとも5つのカウントがある場合、その遺伝子はサンプル内で妥当なレベルで発現されていると見なした。マーカーの選択の為に、本発明者等は、5%に設定されたタイプ11(*)エラーαの閾値を使用し、これは、反復がないにもかかわらず、差分分析への非常に柔軟なアプローチを可能にする。同じ理由の為に、log2倍変化カットオフは正と負の両方の値について1.5に設定され、カットオフP値は典型的に≦0.05であった。それらの適切なカットオフは、差次的に発現する遺伝子を識別することを可能にした。誤検出率(FDR:false discovery rate)の値は説明の目的の為に計算されたが、複製がないため、決定において考慮されなかった。最初の方法論の選択は、Benjamini及びHochbergであった。この手順は、ファミリーワイズエラー率(FWER:familywise error rate)の手順(例えば、ボンフェローニ補正(Bonferroni correction))と比較して、タイプ1のエラーの厳しくない制御を提供した。本発明者等は、R及びedgeRパッケージを使用したデータについてのMDSプロットを追加した。該MDSプロットは、サンプル間の距離がそれらのサンプル間の主要な生物学的変動係数(BCV:biological coefficient of variation)に対応するプロットを生成する。このプロットにおいて、DMSO-NI、464-NI、DMSOI及び464-Iの条件間の分離は観察されなかった。本発明者等はまた、また、R及びEDASeqパッケージを使用して幾つかのボルケーノ(Volcano)プロットを作成した。これらのプロットは、RNA-Seq実験における差次的発現(DE:differential expression)試験の良い表現であった。これらのプロットは、DE試験において調査された全ての遺伝子についてのlog2倍-変化(FC:fold-change)と-log10のP値とを示した。強調表示されている緑色の点は、選択基準を満たしたマーカーである(P値及びlog2FCの両方で有意)。強調表示されている黄色の点は、log2FC基準を満たしているが、P値基準を満たしていない遺伝子である。本発明者等は、これらの点が決定的な価値を有しなかったが、さらに調査する為に保持した。
【0480】
シーケンシング及びバイオインフォマティクス解析
【0481】
HIV RNA及び細胞性マイクロRNAのRNA CaptureSeq
【0482】
トータルRNAが、製造元のプロトコルに従って、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用して、感染されたPBMCサンプル及び感染されていないPBMCサンプルから抽出された。RNAの濃度及び純度が、RNA 6000 Bioanalyzerキット(Agilent)を使用して決定された。cDNA合成の為に、製造元の指示書に従って、1μgのトータルRNAがDNase I(Invitrogen)で処理され、そして、次に、ランダムヘキサマーとアンカーオリゴ-dT(Thermo Scientific)とのブレンド物とともにVerso cDNAキットを使用して逆転写の為のテンプレートとして利用された。1μgのトータルRNAからKAPA Hyper Prep(ROCHE)ライブラリーの調製後、本発明者等は、製造元の推奨に従って、SeqCap EZキャプチャー(ROCHE)を進めた。ハイブリッド選択は、下記の領域を含むカスタムSeqCap EZ Choice Library(Roche NimbleGen)を使用して行われた;染色体8(9,760,617~9,761,780及び65,285,285~65,296,944)、染色体20(61,797,549~61,812,855)、染色体1(1,102,000~1,106,000)、染色体13(92,000,074~92,006,833)、染色体15(22,512,831~2,513,641)及びHIV Ada8株のゲノム。このライブラリは、ゲノムビルドhg19 NCBIビルド37.1/GRCh37を使用して、NimbleDesignポータル(v1.2.R1)を通じて設計された。シーケンスは、NextSeq 500(Illumina)において行われ、HighOutputカートリッジにおいて18個のサンプルがあった(それぞれ、75塩基の2x4億回の読み取り)。
【0483】
CD4+T細胞シーケンシング
【0484】
完全な解析を説明する完全な詳細レポートがGene Expression Omnibus(GEO,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE116073)に提出された。トータルRNA抽出が、Qiagen miRNeasyキットに従って行われた。RNA濃度が、Qubit蛍光定量とRNA 6000 Bioanalyzerキット(Agilent)による純度を使用して決定された。RNA-Seqライブラリーが、製造元の指示書に従って、IlluminakらのTruSeqストランドmRNAサンプル調製(低スループットプロトコル)キットを使用して構築された。トータルRNAの1.2μmicro;gのアリコート(aliquots)が、ライブラリーの工築の為に使用された。最終的なcDNAライブラリーは、フラグメントアナライザー(Advanced Analytical,Ankeny,IA)を用いて検証され、そしてKAPA qPCRキット((Kapa Biosystems,Wilmington,MA)を用いて定量化された。フローセルV4の8つのシーケンシングレーンにおいて、32個のライブラリーがレーンあたり4個のライブラリーのセットによって等しい比率でプールされ、NaOHで変性され、そして、クラスター化の前に16pMに希釈された。クラスター形成とプライマーハイブリダイゼーション、及びシングルエンド(single-end)読み取りの50サイクルシーケンスが、それぞれcBotとHiSeq 2500(Illumina,San Diego,CA)で行われた。画像解析及びベースコール(base calling)が、リアル-タイム解析コンポーネント(Real-Time Analysis component)とともに、HiSeqコントロールソフトウェア(HiSeq Control Software)を使用して行われた。逆多重化(Demultiplexing)が、Illuminaのシーケンス分析ソフトウェアを使用して行われた。データの品質は、Babraham InstituteのFastQC及びIlluminaソフトウェアSAV(Sequence Analysis Viewer)を使用して評価された。潜在的なコンタミナント(contaminants)は、バブラハム研究所(Babraham Institute)のFastQ Screenソフトウェアを用いて調査された。
【0485】
スプライシング活性を調査する為に、本発明者等は、Python 3.4において開発され且つこのアプローチの為に特別に設計されたツールであるSUPPA v2.0.0を使用した。複数の条件にわたるスプライシングを研究する為に、本発明者等は、別々に実行された3つのモジュラー操作を実行した。最初のステップは、一般にGTFファイル(一般的な転送形式)と呼ばれる注釈ファイルからイベントを生成することであった。2番目のステップは、本発明者等のサンプルからイベント包含レベル(PSIs)を定量化することであった。最後に、複数の条件にわたる差次的スプライシング(differential splicing)が、全ての複製について計算された。
【0486】
入力アノテーションファイル(GTF形式)から種々の選択的スプライシングイベントを生成する為に、この方法は、GTFにおける「エクソン」行からのみトランスクリプト及び遺伝子情報を読み取る。次に、それはイベントを生成し、「ioe」ファイルを出力し、このファイルは、各イベントと、この特定のイベントを共有するトランスクリプトとの関係を有する。具体的には、それは、PSI計算の分子(イベントの1つの形式)と分母(イベントの両方の形式)に寄与するトランスクリプトを提供する。PSI値を生成する為に、SUPPAは最初のステップにおいて生成されたioeファイルと、転写産物の量を有する転写産物発現ファイルを読み取る。
【0487】
SUPPAは、条件毎に4つの複製を使用して、生物学的条件にわたるスプライシング変化の大きさ(ΔPSI)とその有意性を計算する。条件は、入力として特定された順序において分析される。統計的有意性は、条件間での観察されたΔPSIを、遺伝子発現の関数としての複製間のΔPSIの分布(イベントを定義する転写物の発現として測定)と比較することによって計算される。差次的スプライ解析からの出力を使用して、本発明者等はイベントを下記の4つの主要なグループに分類した:選択的5’スプライス部位(A5)、選択的3’スプライス部位(A3)、選択的第1及び最後のエクソン(last exons)(Altexons)並びに保持されたイントロン(RI:Retained intron)。この分類を使用して、本発明者等はサンプルの様々な比較で遭遇した差次的スプライシングを、>0.4及びP値<0.05で固定されたpsiスコア差(ΔPSI)の非常に厳密なカットオフを使用して分類した。本発明者等は、単純なPerlスクリプトを使用して、SUPPA出力からrawカウントテーブルを確立した。
【0488】
MicroRNAアレイ解析
【0489】
トータルRNAが、製造元のプロトコルに従って、miRNeasyキット(Qiagen)を使用して、感染されたPBMCサンプル及び感染されていないPBMCサンプルから抽出された。RNA濃度は、Nanodrop分光光度計(ThermoFisher)を使用して決定された。品質管理は、式コンソールのメトリックを使用して行われた。完全な分析を説明する完全な詳細レポートがGEO(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE116148)に提出された。全てのmiRNAアレイは、Affymetrixウェブサーバーからダウンロードされた専用の注釈ファイルを用いて、Affymetrix Expression Console内で「RMA+DABG」正規化方法を使用して正規化された。DABG P値が0.05未満の場合、プローブが発現していると見なされ、それ以外の場合は発現していないと見なされた。プローブが3/4以上の複製で発現された場合、miRNAは1つの条件において発現されたと見なされた。最後に、miRNAは、1)それがA又はBで発現された場合、2)その倍率変化が1.5以上であった場合、及び3)その対応t検定のP値が0.05以下の場合、条件Aと条件Bとの間で差次的に発現されたと見なされた。
【0490】
ボルケーノプロットが、Rを使用して生成された。それらは、464_I対DMSO_I、464_NI対DMSO_NI、及びDMSO_I対DMSO_NIとの比較について、全てのmiRNAのM値(log2(倍数変化))及びと-log10(P値)を示す。有意に(FC≧1.5且つP値≦0.05)上方制御されたmiRNAが赤で強調表示され、且つ下方制御されたmiRNAは緑で強調表示された。
【0491】
TaqMan低密度アレイ(TLDA:TaqMan Low Density Array)
【0492】
サンプルのマイクロRNAプロファイリングが、TaqMan Array Human MicroRNAのパネルA及びパネルB(Life Technologies)を使用して行われた。各TLDAカードは、377個のヒトmiRNA、3個の内因性小型RNA対照(それらのうちの1個は4つある)、及び陰性対照を含む384個の機能を検出する。合計で、754個のヒトmiRNAが定量化された。逆転写及び前増幅は、製造元の指示書(Megaplex(商標) RT Primers及びMegaplex(商標) PreAmp Primers,Life Technologies)に従って行われた。900μLの総混合物に添加された9マイクロリットルの希釈された前増幅産物が、TLDAカードごとに使用された。リアルタイム定量PCRが、ViiA7リアルタイムPCRシステムを使用して行われ、データが製造元のViiA(商標)ソフトウェアを使用して集められた。Gene Expression Suiteソフトウェア(Applied Biosystems)がさらに使用されて、アレイデータを処理した。自動閾値が個別にチェックされ、そして必要に応じて修正された。
【0493】
データ前処理ステップにおいて、HiSeq制御及びリアルタイム分析ソフトウェアが、画像分析、ベースコール(base calling)及びベースコール品質(base call quality)をリアルタイムで自動的に生成する。「ダーティ」な生の読み取りは、アダプター配列又は未知の塩基の高含有量と低品質の読み取りを含む読み取りとして定義された。これらの読み取りは、データノイズを減らす為に、ダウンストリーム分析の前に除かれた。フィルタリングの手順は下記の通りである。
【0494】
RNA-seqライブラリーの品質が、FastQC v0.11.5ソフトウェアを使用して最初に評価された。本発明者等は、FastQ Screen Contaminant finderを使用して、潜在的な汚染源を表す種々のゲノムへの大量のデータセットのアラインメント(alignment)をテストする。該ソフトウェアは、テストされた種々のゲノムにアライメントされた読み取りの割合を示すグラフを生成する。FastQ ScreenはBowtie2アライナーを使用する。アラインメントが、各サンプルのシーケンスのサブセットにおいて実行される。
【0495】
次に、該読み取りは、下記のパラメーターに従って、標準の品質管理(QC:quality control)及びフィルター基準に付された:(1)プライマー及び/又はアダプターにアラインされた読み取りをトリミングすること及びクリーニングすること、(2)1回の読み取りにおいて50%を超える低品質の塩基を有する読み取り(品質値≦15)、及び(3)10%を超える未知の塩基(N塩基)を有する読み取り。本発明者等は、Trimmomaticと呼ばれるプログラムを使用して、プライマー及び低品質の読み取りを除いた。フィルタリング後、本発明者等は、短い読み取り(<36 bp)を除いた;残りの読み取りは「クリーン読み取り」と呼ばれ、そしてFASTQ形式で保存された。
【0496】
一旦、本発明者等がシーケンシングデータの品質に自信を持ったことに応じて、FASTQファイル内のクリーン読み取りを参照シーケンスにアラインメントすることを進めた。アラインメントが、ヒトGRCh38参照ゲノムに対してTopHat2 v2.0.8bツールを使用して行われた。
【0497】
TopHat2は、各遺伝子にマッピングされた読み取りをカウントする前に、Bowtie2アライナーを使用してデータをアラインするスプライス対応アライナー(splice-aware aligner)である。Bowtie2の動作は、それをセンシティブに設定することによってローカルアラインメントをサポートするように調整された。TopHat2の出力は、全てのアラインメントを含むBAMファイル(典型的には、accepted_hits.bam)に保存された。TopHat2出力はまた、アラインメント統計を報告した。次に、SAMファイル形式が読み取りをカウントするために必要であるために、BAMファイルが名前によって並べ替えられ、そして、SAMtools-1.3.1ソフトウェアを使用してSAM形式に変換された。各ライブラリにおけるマップされた読み取りから遺伝子レベルの生カウントを計算する為に、本発明者等は、デフォルトのユニオンカウントモードを使用して、PythonパッケージHTSeqのツールhtseq-countv0.6.1p1を使用した。該HTSeqパッケージは、各ライブラリの生カウントテーブルを生成し、それは各遺伝子の発現レベルを決定するために必要とされた。DEG(differentially expressed gene:差次的に発現する遺伝子)スクリーニングは、サンプル間で差次的に発現される遺伝子を見つけ、且つそれらにおいて更に機能解析を行うことを目的とする。遺伝子発現レベル及びDEGは、Rソフトウェア及び一連のRパッケージによって計算された。ABX464の効果の概要を説明し且つより深く理解の為に、本発明者等は、本発明者等の統計分析を特定のライブラリーのみに努力を集中し且つ限定することを選択した。本発明者等の仕事において、DMSO対DMSOiライブラリー、ABX464対DMSOライブラリー、及び464i対DMSOiライブラリーを比較することに決定した。加えて、意味のある結果を得る為に、本発明者等の統計設計において、本発明者等は4人のドナーを生物学的複製と見なした。
【0498】
フローサイトメトリー
【0499】
懸濁物中の種々のドナーからのPBMC又はCD4+T細胞が、適切な抗ヒトモノクローナル抗体(mAb)(全てBioLegendから)で標識化された。洗浄及び試薬の希釈が、FACSバッファー(2%ウシ胎児血清及び0.05%アジ化ナトリウム[NaN3]を有するPBS)を使用して行われた。全ての取得物は、Cyan ADP(Beckman Coulter)フローサイトメーターにおいて行われた。データが、FlowJoソフトウェア(Ashland,OR)を用いて解析された。細胞の破片及び死んだ細胞は、それらの光散乱特性によって除かれた。
【0500】
スプライシングされていない及びスプライシングされたlncRNA 599-205の測定
【0501】
レトロトランスクリプション(RT:retrotranscription)反応が、Maxima First Strand cDNA Synthesis Kit (ThermoFisher Scientific)を使用して1μgのトータルRNAで行われた。ゲノムDNA除去が増幅前に行われたが、それにもかかわらず、RT陰性対照が酵素なしで行われ、DNA汚染がないことを確認した。qPCRは、LightCycler(商標)480 SYBR Green I Master Mix(Roche)及び下記のプライマーを使用して行われた:トータルlncRNA 599-205 Fwd(CCCTCCACCACTTGGGAC)及びトータルlncRNA 599-205 Rev(GACCTGGGGATTCAGCCTTC)、スプライシングされていないlncRNA 599-205 Fwd(GAACAAAGAGCCTTTGGAAGAC)及びスプライシングされていないlncRNA 599-205 Rev(GGAAGGGACCACAGCATC)、スプライシングされたlncRNA 599-205 Fwd(CACTCAGCGATGGAGGAAA)及びスプライシングされたlncRNA 599-205 Rev(CCAATCACACAGACAATGAGATAAC)、内部対照β-アクチンFwd(GTGAAGGTGACAGCAGTCGGTT)、並びにβアクチン Rev (GAAGTGGGGTGGCTTTTAGGA)。増幅実行条件は下記の通りであった:95℃(10秒)、58℃(30秒)、72℃(30秒)で40サイクル。
【0502】
結果
【0503】
1.ABX464はスプライシングされたHIV RNA変異体を生成する
【0504】
ABX464によって調整されたウイルスの転写イベントをプロファイリングし、そしてそれによってHIVトランスクリプトームの完全な深さを評価する為に、本発明者等は、最近説明されたターゲットRNAキャプチャ及びシーケンス戦略(RNA CaptureSeq)を採用した。この戦略は、HIVゲノムにわたるタイリングアレイ(tiling arrays)の構築が関与し、これに対してcDNAがハイブリダイゼーションされ、溶出され、そして配列決定される。RNA CaptureSeqは、以前の溶液中のキャプチャ方法及びエクソームシーケンスアプローチ(exome sequencing approaches)と似ているが、ディープシーケンステクノロジー(deep-sequencing technology)と組み合わされた場合に、飽和カバレッジ(saturating coverage)を提供し、及びまれで且つ注釈のないHIV転写産物の堅牢なアセンブリを許す。
【0505】
6人のHIV陰性ドナーからのPBMCがYU-2株で感染され、そしてABX464で処置された。本発明者等のプロトコルは、感染後8日(dpi:days postinfection)で細胞死を引き起こさない軽度の感染を結果として生じ、且つウイルス複製は5μMのABX464で70%超阻害された(
図1B)。処置されていない又はABX464で処置された感染細胞からcDNAを捕捉後、ライブラリーがIlluminaのシーケンス機能を使用して用意され且つシーケンスされた。ABX464によって誘発される潜在的な新しいスプライシングイベントを強調する為に、本発明者等はカスタムバイオインフォマティクスパイプラインを使用し、ここで、メインステップは、コンティグを構築する為に(Illuminaのペアードエンド(paired-end)2×75bp)に、目標化されたRNAシーケンス読み取りからの推定転写産物のアセンブリに関与する(
図6A及び
図6B)。次に、推定上の転写産物(コンティグ)をHIVゲノムにマッピングした本発明者等の分析において使用されたHIVプロファイリングデータセットは、高いシーケンスカバレッジをもたらし(9kbゲノムに対して200万~3000万の読み取り)、HIVスプライス変異体の詳細な定量化を許した。本発明者等は、広範囲の転写産物量にわたって各HIV選択的スプライシングを確実に定量化することができ、且つABX464処置はスプライシングを高めることを結果としてもたらしたが、ABX464は他のスプライス変異体よりもスプライス変異体の生成を支持しなかったことを示した(
図1C,表III)。
【0506】
ABX464による高められたスプライシングが新しいウイルスRNA変異体を生成するかどうかを試験するために、スプライシングイベントがフィルタリングされ、そして分析された。コンティグをYU-2株のゲノムにマッピングした後、YU-2株は、新しいHIV転写産物の追加のクラスタリング及びアセンブリのアンカーとして使用された。スプライシングされたアラインメントによって生成された部分的な遺伝子構造は、それらがイントロンウイルス配列にまたがる連続したスプライシング部位を共有するたびにマージされた。そのように形成された上部構造は、それぞれの完全なエクソンが少なくとも1つのアラインメントによってサポートされている全てのありうるHIV遺伝子構造に対応する。HIV転写レベルでは、これは、スーパーアセンブリの形成をもたらし、各スーパーアセンブリは予測された上部構造に一致する初期コンティグのマージである。とりわけ、コンティグのHIV-1ゲノム配列へのリンクと、マージされたコンティグ内の全てのスプライシング部位が一致するという要件は、偽のスーパーアセンブリの形成を妨げた。
図1C及び表IIIは、各ドナーについて1つのスーパーアセンブリを形成する為にマージされたコンティグの数の分布を示す。一方、ABX464によって処置された全てのサンプルにおいて、アセンブルされたコンティグのほとんど(90%)がスプライシングされたRNA(
図1C、表IV及び
図7)に又はイントロンから放出されることができるgag-pol配列を含む小型RNAに対応していた。処置されていないサンプルにおいて、スプライシングされたRNAはわずかな割合(24%未満)であり、且つコンティグの大部分は完全長のスプライシングされていないウイルスRNAに対応していた(74%超)(
図1C、表IV及び
図7)。この結果は、ABX464が感染されたPBMCにおいて、スプライシングされたHIV RNA変異体を優先的に生成し、それは、その後の完全長HIV-1 pre-mRNAの合成と感染性粒子のアセンブリを損ない、ウイルス複製の阻害をもたらすことを示した。
【0507】
興味深いことに、ABX464処置によって生成されたスプライシング変異体のうちの1つ(
図1A及び
図1D)は、YU-2株とAda-M株の両方によって感染された細胞中に存在し、且つその配列における多型は、ABX464によって強く阻害されたHIV-1B及びCサブタイプにおいて検出されなかった。その上、この新しいスプライシング変異体は長い読み取りシーケンシングを使用して検出され、それは、この方法が複雑で且つ稀なスプライスアイソフォームを描写することとそれらの相対的な量を推定することとにもたらす追加の精度を示す。この新しいRNA変異体は、免疫原性ペプチドを生成することができ、又はプロウイルスDNAを含む細胞に毒性を示すことができる。これは、ABX464で処置されたHIV患者において観察された減少されたウイルス量と低下されたウイルスDNAレベル(ABIVAX、ファイル中のデータ)と一致している。従って、ABX464は、HIV RNAのスプライシングを高めるだけでなく、新しいHIVスプライス変異体を生成した。
【0508】
表IIIは、YU2株で感染されたPBMCであって、処理されていない(D1_DMSO,D4_DMSO,D5_DMSO,D6_DMSO,D7_DMSO及びD8_DMSO)又はABX464で処理された(D1_464,D4_464,D5_464,D6_464,D7_464及びD8_464)のいずれかからの読み取りアセンブリ及びコンティグカウントを示す。
【0509】
表IVは、YU2株で感染されたPBMCであって、処理されていない(D1_DMSO,D4_DMSO,D5_DMSO,D6_DMSO,D7_DMSO及びD8_DMSO)又はABX464で処理された(D1_464,D4_464,D5_464,D6_464,D7_464及びD8_464)のいずれかからの、Gag、Pol、vif、vpr、tat、rev、vpu及びenvの完全mRNA又はスプライシングされたRNA転写物のコンティグカウントを示す。
【0510】
【0511】
【0512】
2.ABX464は、細胞性スプライシングに影響を与えない
【0513】
ABX464がHIVスプライシングにおいて特異的に作用したこと及びヒト遺伝子のスプライシングイベントに有意に又は全体的に影響を与えなかったことを確かめる為に、本発明者等は、ハイスループットRNAseqアプローチを使用した。HIV感染の多くのゲノムワイドな発現研究は、全末梢血単核細胞(PBMCs:peripheral blood mononuclear cells)の解析に基づき、それはT細胞、B細胞、NK細胞、及び単球を包含する12超の細胞サブセットからなる。特定の細胞サブセットの特定の遺伝子発現シグナルが他の細胞のシグナルによって希釈され、従ってこのアプローチの特異性が低下することを防ぐ為に、本発明者等は4人のドナーのPBMCから、精製されたCD4+T細胞を使用した。CD4+T細胞はYU-2株で感染されていない又は感染されており、且つ処置されていない又はABX464で6日間処置され、その後、ハイスループットRNAseqをわれた。サンプルの各生データセットは、4400万から1億500万のシングルエンド読み取り(50bp)を含み、サンプルあたり平均約6000万の生読み取りが含まれていた(
図2A)。塩基の97%超がQ20以上の品質スコアを有していた。全生読み取りの約98%がヒトゲノム配列(GRCh38)にマッピングされ、さらなる解析の為にサンプル当たり平均6000万のヒト読み取りが与えられた。引き続き、遺伝子及び転写産物の位置(GTFアノテーションファイル)(
図2A)に正しくマッピングされた読み取り(総入力読み取りの約98%)が、転写産物の量の正規化と評価の為に社内パッケージスイートを使用して分析された。多次元尺度構成法(MDS:Multidimensional scaling analysis)は、教師無しグローバル分析アプローチであり、且つ遺伝子発現データの次元を減少する為に有用である(
図2B)。MDSは次元を最小化し、データポイント間の距離を保持し、且つ多次元遺伝子データをその分散の大部分を説明する2つ又は3つの新しい次元に投影できることを許す。その結果、例えば、様々なデータポイント間の類似性の観点から、該データにおける主要な傾向を視覚的に解釈することができる。本発明者等の遺伝子発現データのMDSは、外れ値無しで、種々のドナーが十分に分離し、且つ感染された又は感染されていないDMSO(処置されていない)及びABX464処置において分布されていることを示した。表示された分散はドナー依存(ドナーによってクラスター化)であったが、処置非依存であり(種々の処置に関連するデータ構造は無し)、それは、ABX464分子がCD4+T細胞遺伝子発現に大きな違いを引き起こさなかったことを示唆する(
図2B)。
【0514】
感染された及び感染されていないCD4+T細胞におけるABX464によって調節される選択的スプライシングイベントの全体的な推定の為に、本発明者等は、種々のサンプルにわたるエクソン-エクソン境界に由来するジャンクション読み取りカウントを比較した(
図2C)。エクソンジャンクションへの読み取りのアラインメントは完全に偶然であったが、本発明者等は、感染しているかどうかにかかわらず、処置されたCD4+T細胞と処置されていないCD4+T細胞との間のエクソン-エクソン境界に対応する読み取りの総数に、どのサンプルにおいても大きな違いは観察されなかった(
図2C)。これらのCD4+T細胞における選択的スプライシングの統計的により適格な評価の為に、(選択的スプライシング分析の為の超高速パイプライン:super-fast pipeline for alternative splicing analysis)と名付けられた複数の条件にわたる差次的スプライシング解析の為の方法に従った。選択的スプライシングイベントは、選択的5'スプライス部位(A5SS:Alternative 5’ splice site)、選択的3'スプライス部位(A3SS:Alternative 3’ splice site)、選択的最初のエクソンと選択的最後のエクソン(Alt exons:Alternative first and last exons)、及び保持されたエクソン(RI:Retained exon)の5つの主要なグループに分類された(
図2C)。「パーセントスプライシングインデックス(psi:percent splicing index)」スコア(ψ-スコア)は、各サンプルについての転写変異体のそれぞれについて計算された。厳格なカットオフを使用して、処置されていないサンプルからのψ-スコアの差が0.4に固定され、及びP-値が0.05に固定されて、ABX464での処置に応じて誘発された差次的スプライシングイベントが有意であると見なされた。5つのありうるASイベントのそれぞれについての有意なイベントの数が
図2C及び表Iに示されている。psi-スコアにおける差が正確に1又は-1であるスイッチ様イベントは検出されなかった。次に、本発明者等は、感染されていないCD4+T細胞対感染されたCD4+T細胞における転写産物のψ-スコアを計算した(
図2C)。ABX464で処置されたサンプルと比較された場合(
図2C)、感染されたT CD4 +サンプル又は感染されていないT CD4+サンプルにおけるスイッチ様イベントは検出されなかった。ABX464で処置された感染されたCD4+T細胞とABX464で処置された感染されていないCD4+T細胞との間の一般的且つ差次的スプライシングイベントの正確な数は非常に少なかった(10イベント未満,表I)が、NCBP1(Nuclear Cap Binding protein subunit 1)(核キャップ結合タンパク質サブユニット1)、すなわちCBCの成分、は、幹細胞においてわずか50%であり、81のAltエクソン、12 A 5'SS、10 A 3'SS及び206のIRイベントを伴う大きな変動を引き起こした(
図2C)。レベルのIRは、スプライシングされていない転写物のほとんどがナンセンス媒介された崩壊(NMD:nonsense mediated decay)によって分解されるであろう故に、CBC複合体がスプライシングされていないRNAの蓄積を防ぐ主要成分であることを示した。4人のドナーにおけるABX464条件とDMSO条件の間で、一般的に高く発現される遺伝子B2Mのエクソンカバレッジ読み取りの比較は、ABX464がB2Mのスプライシングイベントを増加させなかったことを明らかにした(
図2D)。要約すると、ABX464処置は転写産物の選択的スプライシングを誘発しなかった。それ故に、ABX464は活性化されたCD4+T細胞の遺伝子発現を劇的に変化させる可能性を有しなかった。この結果と一致して、ABX464処置の6日後の7人のドナーからの、精製された活性化されたCD4+T細胞又はPBMCのFACS分析は、CCR6/CXCR3又はCD45/CCR7(それぞれ、Th17/Th1及びエフェクターメモリーセル)サブ集団における変化を明らかにしなかった(
図8)。
【0515】
下記の表Iは、CD4 T細胞におけるスプライシングイベントを列挙する:感染された対感染されていない(DMSO_I対DMSO)、ABX464で処置された感染されていない対感染されていない且つ処置されていない(464対DMSO)、及びABX464で処置された感染された対感染された且つ処置されていない(464_I対DMSO_I)。
【0516】
【0517】
【0518】
【0519】
3.ABX464は細胞の遺伝子発現を変化させない
【0520】
ABX464が感染された細胞のトランスクリプトームにおいて定量的変化を誘発したかどうかを決定する為に、本出願人等は、RNAseqデータから転写レベル(パイプラインについて
図6を参照)を測定した。60000超の種々の転写産物が全てのサンプルの間で検出された。百万当たりのカウントの正規化(CPM:counts per million normalization)の後、各サンプルの転写産物は、CPM>5のカバレッジカットオフ値でフィルターで除外された;すなわち、それが、そのサンプルにおいてマップされた読み取り百万毎に少なくとも5つのカウントがある場合、遺伝子はサンプルにおいて発現されていると見なされた。この実験は4人のドナーを使用した故に、4つの複製が各条件(ABX464処置の有り又は無しに、感染された/感染されていない)について利用可能であり、及びそれが、全ての複製において100万のマップされた読み取りごとに少なくとも5カウントで発現された場合、遺伝子は発現されていると見なされた。これらの選択基準に従って、本発明者等は、全てのサンプル、例えばトランスクリプト当たり平均約3000のrawカウントを有する11,700の種々のトランスクリプトを包含するサンプル、に共通のトランスクリプトのリストが作成された。修飾された遺伝子のCPM値を使用して、グローバル発現プロットが各ドナーの為に作成された。本発明者等の研究において使用された軽度の感染の条件下で、本発明者等は遺伝子発現における強い変化は検出されず、ここで、わずか15個の遺伝子が、処置されていないサンプルにおける感染に応答して下方制御された(
図2E,上部パネル,表II)。ABX464処置は、感染されたサンプルにおいて9つの遺伝子の上方制御を結果として生じ、及び感染されていないサンプルにおいて6つの下方制御された遺伝子と7つの上方制御された遺伝子(
図2E,それぞれ、中央パネル及び下部パネル;表II)を結果として生じ、遺伝子発現においてABX464処置の軽度な効果を示す。ABX464処置に続いて上方制御された6つの遺伝子は、感染されたサンプルと感染されていないサンプルとの間で共有され、この上方制御がABX464処置によって媒介され、且つ感染とは無関係であることを示唆する。6つの遺伝子のうち3つ、すなわちTOR1AIP2、SCML1及びPPP1R2、は、P値が10
-5で、3超の倍数変化を有した。興味深いことに、TOR1AIP2は、タンパク質の折り畳み並びに細胞内輸送を調節すると考えられているタンパク質であり、HIV複製の後期段階を制約することが最近示され、それ故に、ABX464に誘発された変化のエフェクターでありうる。
【0521】
下記の表IIは、T CD4細胞において調節される遺伝子を列挙する:感染された対感染されていない(DMSO_I対DMSO)、ABX464で処置された感染されていない対感染されていない且つ処置されていない(464対DMSO)、及びABX464で処置された感染された対感染された且つ処置されていない(464_I対DMSO_I)。太字のアップレギュレーションされた遺伝子とイタリック体のダウンレギュレーションされた遺伝子。上方制御された遺伝子は太字で且つ下方制御された遺伝子はイタリックで示されている。
【0522】
【0523】
【0524】
【0525】
4.ABX464は、miR-124を上方制御する
【0526】
ABX464によって標的化されるCBC複合体は小さな非コードRNAの生合成に関与し、且つこれまでのグローバル分析はこれらが含まれていなかった故に、miRNA又は核小体RNA(snoRNA)がABX464がABX464によって異なって調節された場合に、本発明者等は評価することを決定した。本発明者等は、6人のドナーのPBMCからのこれらのRNAについてのマイクロアレイ分析を行った。YU-2株で感染され、その後、ABX464で処置された細胞は、感染されていない且つ処置されていない対照と比較した。104個のヒトmiRNAと40個のsnoRNAの合計は、感染されていないPBMCと比較した場合(データは提供されていない)、感染されたPBMCにおいて有意に差次的に発現され、ここで、偽発見率は0.05未満、及び倍率変化は1.5超であった。クラスター分析は、発現差のあるmiRNA(
図3A)の発現プロファイルに基づいて、感染されたサンプルと感染されていないサンプルとが完全に分離されていることを明らかにした(
図3A)。感染は小さな非コードRNAの発現においてこの実質的な変動をもたらしたが(
図3A,左側のパネル)、ABX464処置は感染された細胞と感染されていない細胞において単一のマイクロRNA、すなわちmiR-124、の再現性のある上方制御を誘発した(
図3A,それぞれ、中央のパネル及び右側のパネル)。この結果を確認する為に、本発明者等はマイクロRNAをプロファイリングする別の方法であるTaqMan Low Density Array(TLDA:TaqMan Low Density Array)を使用し、それは逆転写リアルタイムPCRに基づき、760miRNAのスクリーニング能力を備えていた(
図9A)。この場合も、miR-124のみがABX464によって上方制御であったことが観察された。その上、5人のドナーの感染されたPBMC及び感染されていないPBMCから単離されたトータルRNAの定量的PCRは、感染がmiR-124発現のわずかな減少をもたらしたことを示した(
図3B、P3Aのトータル分析でまた見ることができる)が、ABX464での処置は感染された細胞と感染されていない細胞との両方においてmiR-124の有意な情報制御を結果として生じた(
図3B)。次に、本発明者等は、PBMCにおいて観察されたABX464処置に対するmiR-124応答が、特定の細胞型に起因することができるかどうかを判断した。精製されたCD4+、CD8及びマクロファージ細胞を使用して、本発明者等は、ABX464処置がリンパ球細胞においてmiR-124の上方制御を結果として生じる(
図3C)が、単球由来マクロファージでは起こらなかったことを発見し、ここで、miR-124の発現が検出されなかった(
図3C,
図9B)。最後に、他の抗レトロウイルス薬、例えばマラビロック、エファビレンツ、ダルナビル及びAZT、は、PBMCにおけるmiR-124の発現を上方制御しなかったのに対して、ABX530、すなわちABX464と同じ特性を有する分子、は、ABX464と同様の範囲にmiR-124の上方制御を誘発した(
図3D)故に、本発明者等は、miR-124の上方制御がABXクラスの小分子に特異的であることを証明した。
【0527】
近年、miR-124は免疫及び炎症の重要な調節因子として浮上してきている。miR-124は、中枢神経系におけるミクログリア静止の重要な調節因子として且つ単球とマクロファージとの活性化の調節因子として両方とも知られている。miR-124はまた、自然免疫応答と適応免疫応答との両方で重要な役割を果たす。特に、miR-124は、IL-6、TNF-α及びMCP-1の産生を低下させることによって、コリン作動性の抗炎症性炎症作用の重要なメディエーターであることが示された。興味深いことに、IL-6、TNF-α及びMCP-1は、一般的に使用されるDSS誘発性の大腸炎実験マウスモデルで上方制御され、一方、ABX464はこれらの炎症性サイトカインの発現を低下させた。持続的な免疫活性化及び全身性炎症がまた、HIV疾病の病因において中心的な役割を果たす。抗レトロウイルス療法(ART:antiretroviral therapy)で処置された多くのHIVに感染された者は、AIDSに関連しない罹患率及び死亡率に関連付けられた残存炎症を示す。PBMC又はCD4+T細胞のHIV感染に応じて、miR-124発現の観察された下方制御、及びABX464処置でのその後の上方制御に基づいて、miR-124発現の同様の調節が抗レトロウイルス療法(ART:antiretroviral therapy)を受けているHIV患者において見られる場合、本発明者等は調べることを決定した。併用ARTを受けている患者における慢性炎症状態は、損傷した腸管に関連付けられたリンパ組織の範囲に主に関連している故に、ARTを受け且つABX464で処置されたHIVに感染された患者からの直腸生検においてmiR-124の発現が監視された(N=9)。miR-124の発現は、健康なドナーからの結腸生検におけるその発現と比較して、ARTで処置されたHIV患者において下方制御された(N=10)。28日間ABX464での処置は、miR-124の発現が健康なドナーのレベルに回復した(
図3E)。ABX464処置が28日間停止された場合に、miR-124の発現が減少されて、処置前に見られたレベルに達し(
図9C及び
図9D)、発現において観察された変化が特にABX464によるものであることを示す。従って、ABX464は、イン・ビトロ(in vitro)及びHIV患者の両方でmiR-124の発現を調節する。
【0528】
5.miR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNAのABX464誘発されたスプライシングは、miR-124の上方制御を結果として生じる
【0529】
miR-124は、ヒトの8番染色体と20番染色体に位置している3つの独立した遺伝子、すなわちmiR-124-1、miR-124-2及びmiR-124-3、からコードされている(
図4A)。これらの遺伝子のどれがABX464によって誘発されるかを決定する為に、本発明者等は、トランスクリプトームの完全な深さを評価する為に、標的化されたRNACaptureSeqを採用した。ab initioトランスクリプトアセンブリと一緒にRNA CaptureSeqの増加されたシーケンス深度は、どの遺伝子座がABX464処置によって影響を受けるかを決定する為に使用された(
図4A及び
図4B)。本発明者等は、プレキャプチャーRNA-Seqデータ内でアセンブルされた全てのトランスクリプトを、トランスクリプトカバレッジの同様の均一性で再構築した(再構築されたトランスクリプトチェーンの100%;
図4A及び
図4B)。処置されていないサンプル並びにABX46処置されたサンプルについての読み取りの総数は、感染されたPBMCと感染されていないPBMCにおける200万~3000万で変動した(表V)。処理されたサンプルにおけるmiR-124をコードする3つの遺伝子座からの読み取りの数は、処置されていないサンプルよりも4~12倍多く(
図4B、表V)、ABX464がmiR-124における大幅な増加をもたらしたことを確認した。対照的に、ABX464はmiR-124領域の外側に位置するmiR-429の発現に影響を与えず(
図4B)、miR-124の標的化におけるABX464の特異性を再び示した。
【0530】
各遺伝子座の10kb領域からのアラインメントされた読み取りのほとんどが、miR-124-1及びmiR-124-3に由来し、一方、miR-124-2からのアラインメントされた読み取りの数は、ABX464処置の後においてさえ非常に少なかった(
図4B)。miR-124の発現におけるABX464の効果は、miR-124-1遺伝子座から最も顕著であった(
図4B)。処置されたサンプルにおけるmiR-124-1遺伝子座からの全てのマップされた読み取りは、miR-124及びそれを囲む2kbの領域にアラインメントされた。この領域を詳しく調べると、miR-124配列がmiR-124-1遺伝子座での長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA 0599-205)内に埋め込まれていることが判った(
図4A及び
図4C)。
【0531】
RNA CaptureSeqのシーケンス深度は、スプライシングパターンの複雑なアレイを示すab initioのトランスクリプトをアセンブルすることを本発明者等に許した。このアプローチは、lncRNA 0599-205のスプライシングがABX464によって活性化され、及びこのスプライシングは処置されていないサンプルに存在しなかったことを明らかにした(
図4C及び
図4D)。処置されていないサンプルのコンティグのほとんどは、スプライシングされていないlncRNA 0599-205とアラインメントされていた。このlncRNAのスプライスジャンクション(splice junctions)(J1、J2、J3及びJ4)及びエクソン-エクソンジャンクション(J5及びJ6)での読み取りをマッピングすることは、処置されたサンプルにおけるスプライシングされたRNA及びスプライシングされていないRNAの定量化を許した(
図4D)。転写産物が定常状態レベルに達する為に十分な時間であると本発明者等が想定したABX464での処置の8日間後、スプライシングされていないRNAのレベルはスプライシングされたRNAのレベルよりも9倍であった。スプライシングされたRNAはスプライシングされていないRNAよりもより安定している故に、本発明者等はスプライシングされたlncRNA 0599-205はmiR-124の上方制御の原因であり、それ故に、安定性が低下することを考慮しなければならない。この予測と一致して、本発明者等はmiR-124の生成(85bpのmiR-124領域のみにマッピングされた読み取り)が、スプライシングされたlncRNA 0599-205の欠如を補うことがわかった(
図4D)。
【0532】
表Vは、PBMCにおけるmiR-124;mir124.1、mir124.2及びmir124.3をコードする3つの遺伝子であって、処理されていない(D1_DMSO,D4_DMSO,D5_DMSO,D6_DMSO,D7_DMSO及びD8_DMSO)又はABX464で処理された(D1_464,D4_464,D5_464,D6_464,D7_464及びD8_464)のいずれかについての読み取りカウントを示す。
【0533】
【0534】
6.lncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の生産の為に必要である
【0535】
miR-124の産生に対するlncRNA 0599-205の寄与を直接的に評価する為に、本発明者等は、lncRNA 0599-205の9903167から9904210までの第8染色体のゲノム配列をプラスミドベクター内にクローニングした(
図5A)。lncRNA 0599-205のスプライシングされた転写物とスプライシングされていない転写物との両方が、トランスフェクションされたHeLa細胞において容易に検出できた(
図5B)。しかしながら、本発明者等は、スプライシングはHeLa細胞で最大化され、且つCBC複合体は転写部位に影響を与えるため(
図5B)、ABX464処置に応答してトランスフェクションされたHeLa細胞においてmiR-124の上方制御を検出できなかった(
図5B)。しかしながら、プラスミドのHeLa細胞への一過性の遺伝子導入は、miR-124レベルが劇的に(1250倍)増加した(
図5C,左側のパネル)。対照的に、lncRNA 0599-205のスプライス部位が変異している場合、miR-124の痕跡のみが検出される(
図5C,左側のパネル)。スプライスされていないlncRNA0599-205は安定性が低いという事実と一致して、変異したlncRNA 0599-205の量は野生型よりも少ない(
図5C,右のパネル)。まとめると、該結果は、lncRNA 0599-205のスプライシングがmir-124の産生の為の前提条件であることを示す。
【0536】
議論
【0537】
本発明者等の調査は、処置されたUC患者における抗炎症性miR-124の上方制御及びHIV患者におけるウイルス複製の阻害におけるABX464の作用機序について新しい洞察を提供する。ABX464は、キャップされたRNAのプロセシング反応、例えばスプライシング、3′-末端形成、分解及び輸送を包含するプロセッシング反応、を刺激する複合体であるCBC(ABIVAX,ファイル内のデータ)に結合する。CBCは、m7GキャップされたRNAの全てクラス、例えばmRNAの前駆体及び成熟型、安定な長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、非アデニル化されたヒストンRNA、及びスプライセオソーム(spliceosomal)低分子核RNA(snRNA)の前駆体を包含する上記m7GキャップされたRNAの全てクラス、に結合すると考えられており、ABX464のCBC複合体への結合がどのようにその特異性を達成するかを理解することが重要である。HIV RNA及びlncRNA 0599-205のスプライシングの変異体は両方ともABX464によって強力に誘発される。本発明者等は、その理由はわからない。両方のトランスクリプトを特徴付ける弱いスプライス部位が、ABX464-CBC複合体によるこれらのスプライシングイベントの誘発の原因である可能性がある。細胞質にエクスポートされる前に、ほとんどのヒトタンパク質コーディング遺伝子はスプライシングされるが、そうでない場合はそれらは核内で分解され、及び細胞質では翻訳のパイオニアラウンド(pioneer round of translation)がmRNAの品質管理の為に重要である。細胞内の任意のRNAと同様にlncRNA0599-205は分解されるであろう、又は多くの長鎖ノンコーディングRNAの場合のようにその転写部位に留まるであろう。miR-124配列はlncRNA 0599-205の3番目のエクソンにあり、ほとんどのマイクロRNAがそれらのゲノム位置に基づいて一般に「遺伝子間」又は「イントロン」として分類されるため、これがまた特殊な状況である。遺伝子間miRNAは独立した転写ユニットとして転写されることが知られており、一方、イントロンmiRNAは、それらのホストする転写ユニットのイントロンから処理され、従ってそれらのホスト遺伝子と共通の調節メカニズム及び発現パターンを共有すると考えられている。ABX464処置はmiR-124以外のマイクロRNAの任意の変化を誘発せず、及びマイクロRNAをホストしうる遺伝子の発現の変化はほとんどない故に、本発明者等はABX464-CBCの相互作用はウイルスRNAとmiR-124の生合成の特定の効果を誘発すると考えられている。この後者の点はまた、miR-124が3つの遺伝子座によって転写されるが、miR-124-1遺伝子座のみがABX464処置によって影響を受け、及びまたlncRNA 0599-205のスプライシングがmiR-124の生成の為に必要であるという事実によって示されている(
図5)。
【0538】
核キャップ機能は、CBP80タンパク質及びCBP20タンパク質によって媒介され、それらのタンパク質は、新生RNAと共転写的に会合する。CBP20はその古典的なRNA認識モチーフ(RRM:RNA recognition motif)を介してm7Gキャップと直接的に相互作用し、一方、CBP80は完全なCBCの高親和性結合を保証し、且つ他の因子との相互作用の為のプラットフォームを提供する。本発明者等は、ABX464が、CBCに結合することにより、ウイルス複製に必要とされるスプライシングされていないウイルスRNAの生成を防ぎ、lncRNA 0599-205からmiR-124の生成を誘発することを示した。しかしながら、ABX464はセルラースプライシングにおいてほとんど影響を与えなかった。それ故に、ABX464はウイルスのエンハンサーとして機能するが、細胞のスプライシングとして機能しない。ABX464の結合は、CBCのコンフォメーションを変化させて、スプライシング因子とのCBP80の効率的な相互作用を許し、それによってウイルスのスプライシング部位の認識をより効率的に与える。HIV RNAは、感染の後期段階で9kbの一次転写産物のスプライシングの阻害を許す為の最適ではないスプライシング部位を有することが知られている。対照的に、ほとんどの細胞性遺伝子は発現のためにスプライシングを必要とし、及びスプライシングされていないイントロンを含む転写物は核内に保持され、ここで、それらは分解される。NCBP1の50%までの枯渇は、スプライシングされていないIR転写産物を上方制御をもたらし、NMDにおけるCBCの影響を確認する。ABX464は、ウイルスのHIV RNAがスプライシングされ(それが細胞内の任意の遺伝子に似た統合されたプロウイルスDNAから転写される故に)、エクスポートされ、そしてスプライシングされていないウイルスRNAが分解されることを確認する(おそらくNMDによって)。ABX464はCBC機能のいずれも変更していず、それ故にCBC複合体に結合することによってABX464が細胞内の一般的なRNA生合成を変更することは期待されていない。しかしながら、HIV感染又は免疫細胞の活性化の下でCBC複合体についてはほとんど知られていない。ABX464がCBCに結合し、且つ免疫細胞における特定の変化を誘発するという発見;スプライシング0599-205長鎖ノンコーディングRNAを調節すること及びHIV RNAのスプライシングを高めることによるmiR-124の過剰発現は、HIV感染及び炎症下でのCBCの関与を理解する為に大いに役立つであろう。
【0539】
最大エントロピー(MaxEnt)を使用したスプライス部位強度の予測は、lncRNA 0599-205のエクソン2とイントロン2との間の5'スプライス部位は、他のスプライス部位と比較して非常に弱いことが明らかになった(表VI)。スプライスされていないlncRNA 0599-205は、品質管理機構とCBCを介した制御の故に核を出ることができない故に、スプライスされたlncRNA 0599-205は、おそらくインタクトなスプライスされた転写産物の他の機能特性に加えて、miRNA貯蔵形態(storage form)を構成する。この貯蔵は、スプライシングされていないlncRNA 0599-205の低い転写且つ分解活性を通じて、通常の条件下での低レベルの成熟miR-124放出のみを生成することによって維持されうる。事実、lncRNA 0599-205がスプライシングされていない場合、その運命は他の短命の転写産物と同様であり、核RNAエクソソームを介してRNA分解を促進するCBC-NEXTと呼ばれるCBC複合体の影響を受けやすくなる。一貫して、lncRNA 0599-205のスプライシングはmiR-124の生産の為の前提条件である。lncRNA 0599-205のスプライシングは、microRNAプロセッシング機構による認識の為に、成熟した転写産物を安定化させ、それによってmiR-124を生成する為に重要である。従って、ABX464処置は、lncRNA 0599-205遺伝子座の転写活性化を必要とせずに、lncRNA 0599-205スプライシングを介して大量のmiR-124の迅速な放出を可能にする可能性がある。HIV患者において、これがABX464での処置後にmiR-124が上方制御されるメカニズムである可能性がある(
図3E)。
【0540】
大過剰のスプライシング因子を含むHeLa細胞は、トランスフェクションされたHIV及びlncRNA 0599-205構築物からHIVウイルスRNAスプライス産物及び大量のmiR-124をそれぞれ効率的に生成する。従って、ABX464は、スプライシングにおけるCBCの通常の機能を妨げることはなく、それをより効率的にする。ウイルス性でなく細胞性遺伝子はウイルス複製の為にスプライシングされていない状態を必要とし、及びlncRNA 0599-205のスプライシングはmiR-124の発現に影響を与えることができる故に、ABX464は、ウイルス複製を阻害し且つ抗炎症性miR-124の発現を誘発する。様々な細胞及びシステムにおける多数の研究は、miR-124が炎症及び免疫応答の重要なモジュレーターであることがわかっている。ABX464が感染された患者におけるmiR-124発現を上方制御するという発見は、HIV患者における非AIDS関連の罹患率及び死亡率に関連付けられた残存炎症を処置する際に大きな利点である可能性がある。多くの場合、miR-124は炎症性シグナルの負の調節因子として機能し、恒常性の維持に役立つ負のフィードバックを提供する。その上、ABX464で処置された潰瘍性大腸炎患者はまた、miR-124の上昇を示し、及びABX464の強力で且つ一貫した有効性シグナルの証拠を示す。従って、ABX464は、HIVに対してだけでなく、炎症疾病に対してまた処置の可能性がある小分子である。
【0541】
表VIは、最大エントロピー(MaxEnt)を使用したスプライス部位強度の予測を示す。エクソン1-イントロン1-エクソン2(エクソン1-エクソン2ss)及びエクソン2-イントロン2-エクソン3(エクソン2-エクソン3ss)境界での5’スプライス部位及び3’スプライス部位のMAXENTスコア。
【0542】
【0543】
配列
【0544】
配列ID(SEQ.ID.)No.1
GGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAAGGAAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGAAGAAGCGGAGACAGCGACGAAGACCTCCTCAGGACAGTCAGACTCATCAAAGTTCTCTATCAAAGCA
【0545】
配列ID(SEQ.ID.)No.2
ggaaaatctctagcagtggcgcccgaacagggacttgaaagcgaaaggaaaaccagaggagctctctcgacgcaggactcggcttgctgaagcgcgcacggcaagaggcgaggggcggcgactg
【0546】
配列ID(SEQ.ID.)No.3
Gaagaagcggagacagcgacgaagacctcctcaggacagtcagactcatcaaagttctctatcaaagca
【0547】
本発明は以下を提供する。
[1]
HIV感染のバイオマーカーとして又はHIV感染の治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用する為のSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体。
[2]
HIV感染の処置に対する化合物の生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとして使用する為のSEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体。
[3]
HIV感染を予防及び/又は処置する際に化合物又はワクチンをスクリーニングする為のバイオマーカーとして使用する為の、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体。
[4]
HIV感染を処置する為に使用する為の治療的処置であって、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体が、HIV感染のバイオマーカとして又は治療的処置の有効性のバイオマーカとして使用される、前記治療的処置。
[5]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとして或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
[6]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置に対する化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
[7]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置する際に化合物又は医療用デバイスをスクリーニングする為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
[8]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為に使用する為の治療的処置であって、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205が、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカとして或いは治療的処置の有効性のバイオマーカとして使用される、前記治療的処置。
[9]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌を処置する為に使用する為の治療的処置であって、miR-124が、炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカとして或いは治療的処置の有効性のバイオマーカとして使用される、前記治療的処置。
[10]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとして使用する為の、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205。
[11]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとして使用する為のmiR-124。
[12]
[1]、[4]、及び[8]~[11]のいずれか1つに記載の使用方法であって、前記治療的処置が、下記の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩である
【化1】
ここで、
ZはC又はNであり、
VはC又はNであり、
【化2】
は芳香環を意味し、ここで、VはC又はNであり、且つVがNである場合、Vは、Zに対してオルト、メタ又はパラ位にあり、
各Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル、(C
1
~C
3
)フルオロアルキル、(C
1
~C
3
)フルオロアルコキシ、(C
3
~C
6
)シクロアルキル、-NO
2
、-NR
1
R
2
、(C
1
~C
4
)アルコキシ、フェノキシ、-NR
1
-SO
2
-NR
1
R
2
、-NR
1
-SO
2
-R
1
、-NR
1
-C(=O)-R
1
、-NR
1
-C(=O)-NR
1
R
2
、-SO
2
-NR
1
R
2
、-SO
3
H、-O-SO
2
-OR
3
、-O-P(=O)-(OR
3
)(OR
4
)、-O-CH
2
-COOR
3
、又は(C
1
~C
3
)アルキルであり、ここで、該アルキルは任意的に、ヒドロキシル基、下記の式(IIa)の基
【化3】
、又は下記の式(IIIa)の基
【化4】
によって、一又は二置換されていてもよい、
QはN又はOであり、但し、QがOである場合に、R”は存在しない、
R
1
及びR
2
の各々は独立して、水素原子又は(C
1
~C
3
)アルキルであり、
R
3
及びR
4
の各々は独立して、水素原子、Li
+
、Na
+
、K
+
、N
+
(Ra)
4
又はベンジルであり、
nは、1、2又は3であり、
n’は、1、2又は3であり、
各R’は独立して、水素原子、(C
1
~C
3
)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、-NO
2
、-NR
1
R
2
、モルホリニル、モルホリノ、N-メチルピペラジニル、(C
1
~C
3
)フルオロアルキル、(C
1
~C
4
)アルコキシ、-O-P(=O)-(OR
3
)(OR
4
)、-CN、下記の式(IIa)の基
【化5】
又は下記の式(IIIa)の基
【化6】
であり、
Aは、共有結合、酸素原子又はNHであり、
Bは、共有結合又はNHであり、
mは、1、2、3、4又は5であり、
pは、1、2又は3であり、
Ra及びRbの各々は独立して、水素原子、(C
1
~C
5
)アルキル若しくは(C
3
~C
6
)シクロアルキルであり、又は
Ra及びRbは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって飽和した5員又は6員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は任意的に、1以上のRaによって置換されていてもよく、但し、R’が(IIa)基又は(IIIa)基である場合、他のR’基が該(IIa)基又は(IIIa)基と異なる場合にのみ、n’は2又は3でありうる、並びに、
R”は、水素原子、(C
1
~C
4
)アルキル又は、上記で定義された式(IIa)の基である。
[13]
前記化合物が、下記の式Ia~Id又はその医薬的に許容される塩から選択される、[12]に記載の使用方法。
【化7】
[14]
前記化合物が、ABX464又はその医薬的に許容される塩である、[12]又は[13]に記載の使用方法。
[15]
前記治療的処置が、下記の式IVの化合物又はその医薬的に許容される塩である、[1]、[4]、及び[8]~[11]のいずれか1つに記載の使用方法
【化8】
ここで、V、Z、R、R’、n及びn’のぞれぞれは、請求項8で記載された通りである。
[16]
前記化合物が、下記の式IVa~IVd又はその医薬的に許容される塩から選択される、[15]に記載の使用方法。
【化9】
[17]
HIV感染のバイオマーカーとして又はHIV感染の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[18]
HIV感染の処置に対する化合物の生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[19]
HIV感染を予防及び/又は処置する際に化合物又はワクチンをスクリーニングする為のバイオマーカーとしての、SEQ.ID.No.1のHIVスプライス変異体のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[20]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカーとしての或いは炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の有効性のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[21]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の処置に対する化合物又は医療用デバイスの生物学的効果を評価する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[22]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとしての、miR-124-1遺伝子座でのスプライシング変異体lncRNA 0599-205のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[23]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌のバイオマーカー或いは治療的処置の有効性癌のバイオマーカーとしての、miR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[24]
炎症性の疾病、障害若しくは状態、又は癌の治療的処置の為に患者を選択する為のバイオマーカーとしての、miR-124のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[25]
前記治療的処置が、式I、Ia、Ib、Ib’、Ic、Id又はIV、IVa、IVb、IVb’、IVc、IVd、IVの化合物、例えばABX464、又はそれらの医薬的に許容される塩、の投与を含む、[17]、[20]、[22]、[23]又は[24]のいずれか1つに記載のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[26]
前記化合物が、式I、Ia、Ib、Ib’、Ic、Id又はIV、IVa、IVb、IVb’、IVc、IVの化合物、例えばABX464、又はそれらの医薬的に許容される塩である、[18]、[19]又は[21]のいずれか1つに記載のイン・ビトロ又はエクス・ビボ使用方法。
[27]
SEQ.ID.No.1の前記HIVスプライス変異体又は前記miR-124-1遺伝子座での前記スプライシング変異体lncRNA 0599-205又は前記miR-124の、単離された生物学的サンプルにおける、発現の測定されたレベルが、対照参照値と比較される、[17]~[26]のいずれか1つに記載の使用方法。
【0548】
本明細書において言及された配列は、配列表に加え、以下においてもまとめられている。
【配列表】