(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081781
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240611BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240611BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/51
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060348
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2023520818の分割
【原出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2021079896
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】桝田 雄気
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の回路基板に対し適切にサーミスタ用のコネクタが配置されたエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【解決手段】非燃焼式吸引器は、電源BATと、ヒータコネクタCnと、電源サーミスタT1と、パフサーミスタT2と、ヒータサーミスタT3と、ケースサーミスタT4と、電源温度検出用コネクタと、吸気検出用コネクタと、ヒータ温度検出用コネクタ240と、ケース温度検出用コネクタと、MCU搭載基板161と、レセプタクル搭載基板と、を備える。ヒータコネクタCnは、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板のうちレセプタクル搭載基板に配置される。MCU搭載基板161に配置されるサーミスタコネクタの数は、レセプタクル搭載基板に配置されるサーミスタコネクタの数より多い。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
サーミスタと、
前記サーミスタが接続されるサーミスタコネクタと、
第1回路基板と、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板と、を備え、
前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第2回路基板に配置され、
前記第1回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数は、前記第2回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板と前記第2回路基板は、所定方向に伸びた形状を有し、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における一方側の端部に配置され、
前記ヒータコネクタは、前記第2回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタと前記ヒータは、前記第1回路基板及び前記第2回路基板よりも前記所定方向における前記一方側に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第2回路基板より前記第1サーミスタに近い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される主面を含み、
前記第1サーミスタは、前記主面を含む仮想的な平面上に位置する、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記ヒータの外周部は、2つの平坦部と、2つの半円部からなるオーバル形状であり、
前記第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタは、前記2つの平坦部のうち一方へ接着される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータの内部は、楕円形状である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源へ接続される入力端子と、前記ヒータコネクタへ接続される出力端子と、を含むスイッチングレギュレータを、備え、
前記スイッチングレギュレータは、
入力される電圧を、前記出力端子から変換して出力可能に構成され、且つ、
前記第2回路基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタは、前記ヒータへ接着又は近接し、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2回路基板の前記第1面と前記第1回路基板の前記第1面の間の距離は、前記第2回路基板の前記第1面と前記第1回路基板の前記第2面の間の距離より長い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項10】
請求項8に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタは、前記ヒータへ接着又は近接し、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第1回路基板の前記第2面は、前記第2回路基板の前記第2面と対向する、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源が接続される電源コネクタを、備え、
前記電源コネクタは、前記第2回路基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項12】
請求項2から7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板には、前記第1サーミスタコネクタとは異なる第2サーミスタコネクタが配置され、
前記第2サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項13】
請求項12に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板には、前記第1サーミスタコネクタ及び前記第2サーミスタコネクタとは異なる第3サーミスタコネクタが配置され、
前記第3サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部に配置され、
前記第2サーミスタコネクタ及び前記第3サーミスタコネクタは、前記第1サーミスタコネクタが配置される前記第1回路基板の面とは異なる面に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項14】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
サーミスタと、
前記サーミスタが接続されるサーミスタコネクタと、
第1回路基板と、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板と、を備え、
前記サーミスタコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第1回路基板にのみ配置され、
前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第2回路基板にのみ配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、筐体内に設けたサーミスタからデバイスの状態を把握可能に構成したエアロゾル生成装置の電源ユニットが記載されている。サーミスタは、精度向上の観点から、測定対象にできるかぎり近づけて配置されることが好ましい。そのため、サーミスタは、配線とコネクタを介して回路基板へ接続される。一方、エアロゾル生成装置の高機能化に伴い、装置内には複数の回路基板が設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特表2020-520233号公報
【特許文献2】日本国特開2019-071897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、装置内に複数の回路基板を設けた場合、複数の回路基板に対しサーミスタ用のコネクタをどのように配置するかについて、これまで十分に検討されてこなかった。
【0005】
本発明は、複数の回路基板に対し適切にサーミスタ用のコネクタが配置されたエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニットは、
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
サーミスタと、
前記サーミスタが接続されるサーミスタコネクタと、
第1回路基板と、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板と、を備え、
前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第2回路基板に配置され、
前記第1回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数は、前記第2回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数より多い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の回路基板に対し適切にサーミスタ用のコネクタを配置することができ、サーミスタの検出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ロッドを装着した状態を示す非燃焼式吸引器の斜視図である。
【
図5】非燃焼式吸引器の内部ユニットの斜視図である。
【
図7】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの斜視図である。
【
図8】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの他の斜視図である。
【
図9】吸引器の動作モードを説明するための模式図である。
【
図10】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図11】スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図12】アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図13】加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図14】加熱モードにおけるヒータの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図15】加熱モードにおけるヒータの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図16】充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図17】レセプタクル搭載基板の主面を示す図である。
【
図18】レセプタクル搭載基板の副面を示す図である。
【
図21】ヒータの近傍に配置されたサーミスタを通る水平面で切断した、非燃焼式吸引器の断面図である。
【
図22】
図21のA-Aで示される仮想平面で切断した、非燃焼式吸引器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明におけるエアロゾル生成装置の一実施形態である吸引システムについて図面を参照しながら説明する。この吸引システムは、本発明の電源ユニットの一実施形態である非燃焼式吸引器100(以下、単に、「吸引器100」ともいう)と、吸引器100によって加熱されるロッド500と、を備える。以下の説明では、吸引器100が、加熱部を着脱不能に収容した構成を例に説明する。しかし、吸引器100に対し加熱部が着脱自在に構成されていてもよい。例えば、ロッド500と加熱部が一体化されたものを、吸引器100に着脱自在に構成したものであってもよい。つまり、エアロゾル生成装置の電源ユニットは、構成要素として加熱部を含まない構成であってもよい。なお、着脱不能とは、想定される用途の限りにおいて、取外しが行えないような態様を指すものとする。または、吸引器100に設けられる誘導加熱用コイルと、ロッド500に内蔵されるサセプタが協働して加熱部を構成してもよい。
【0010】
図1は、吸引器100の全体構成を示す斜視図である。
図2は、ロッド500を装着した状態を示す吸引器100の斜視図である。
図3は、吸引器100の他の斜視図である。
図4は、吸引器100の分解斜視図である。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を、便宜上、前後方向、左右方向、上下方向とした、3次元空間の直交座標系を用いて説明する。図中、前方をFr、後方をRr、右側をR、左側をL、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
吸引器100は、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などを有する香味成分生成基材の一例としての細長い略円柱状のロッド500(
図2参照)を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0012】
<香味成分生成基材(ロッド)>
ロッド500は、所定温度で加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル源を含有する充填物を含む。
【0013】
エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源は、固体であってもよいし、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物等の香味源を含んでいてもよい。香味成分が付加される気体はエアロゾルに限定されず、例えば不可視の蒸気が生成されてもよい。
【0014】
ロッド500の充填物は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。充填物は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)を含有し得る。用途によっては、ロッド500は香味源を含まなくてもよい。
【0015】
<非燃焼式吸引器の全体構成>
続いて、吸引器100の全体構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
吸引器100は、前面、後面、左面、右面、上面、及び下面を備える略直方体形状のケース110を備える。ケース110は、前面、後面、上面、下面、及び右面が一体に形成された有底筒状のケース本体112と、ケース本体112の開口部114(
図4参照)を封止し左面を構成するアウターパネル115及びインナーパネル118と、スライダ119と、を備える。
【0016】
インナーパネル118は、ケース本体112にボルト120で固定される。アウターパネル115は、ケース本体112に収容された後述するシャーシ150(
図5参照)に保持されたマグネット124によって、インナーパネル118の外面を覆うようにケース本体112に固定される。アウターパネル115が、マグネット124によって固定されることで、ユーザは好みに合わせてアウターパネル115を取り替えることが可能となっている。
【0017】
インナーパネル118には、マグネット124が貫通するように形成された2つの貫通孔126が設けられる。インナーパネル118には、上下に配置された2つの貫通孔126の間に、さらに縦長の長孔127及び円形の丸孔128が設けられる。この長孔127は、ケース本体112に内蔵された8つのLED(Light Emitting Diode) L1~L8から出射される光を透過させるためのものである。丸孔128には、ケース本体112に内蔵されたボタン式の操作スイッチOPSが貫通する。これにより、ユーザは、アウターパネル115のLED窓116を介して8つのLED L1~L8から出射される光を検知することができる。また、ユーザは、アウターパネル115の押圧部117を介して操作スイッチOPSを押し下げることができる。
【0018】
図2に示すように、ケース本体112の上面には、ロッド500を挿入可能な開口132が設けられる。スライダ119は、開口132を閉じる位置(
図1参照)と開口132を開放する位置(
図2参照)との間を、前後方向に移動可能にケース本体112に結合される。
図2においては、理解を容易にするためスライダ119を透過させ、スライダ119の外形のみを二点鎖線で示している点に留意されたい。
【0019】
操作スイッチOPSは、吸引器100の各種操作を行うために使用される。例えば、ユーザは、
図2に示すようにロッド500を開口132に挿入して装着した状態で、押圧部117を介して操作スイッチOPSを操作する。これにより、加熱部170(
図5参照)によって、ロッド500を燃焼させずに加熱する。ロッド500が加熱されると、ロッド500に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが生成され、ロッド500に含まれる香味源の香味が当該エアロゾルに付加される。ユーザは、開口132から突出したロッド500の吸口502を咥えて吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。
【0020】
ケース本体112の下面には、
図3に示すように、コンセントやモバイルバッテリ等の外部電源と電気的に接続して電力供給を受けるための充電端子134が設けられている。本実施形態において、充電端子134は、USB(Universal Serial Bus) Type-C形状のレセプタクルとしているが、これに限定されるものではない。充電端子134を、以下では、レセプタクルRCPとも記載する。
【0021】
なお、充電端子134は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。別の一例として、充電端子134は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ前述した受電コイルを有していてもよい。
【0022】
図1~
図4に示される吸引器100の構成は一例にすぎない。吸引器100は、ロッド500を保持して例えば加熱等の作用を加えることで、ロッド500から香味成分が付与された気体を生成させ、生成された気体をユーザが吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
【0023】
<非燃焼式吸引器の内部構成>
吸引器100の内部ユニット140について
図5~
図8を参照しながら説明する。
図5は、吸引器100の内部ユニット140の斜視図である。
図6は、
図5の内部ユニット140の分解斜視図である。
図7は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の斜視図である。
図8は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の他の斜視図である。
【0024】
ケース110の内部空間に収容される内部ユニット140は、シャーシ150と、電源BATと、回路部160と、加熱部170と、通知部180と、各種センサと、を備える。
【0025】
シャーシ150は、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ前後方向に延設された板状のシャーシ本体151と、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ左右方向に延びる板状の前後分割壁152と、上下方向において前後分割壁152の略中央から前方に延びる板状の上下分割壁153と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の上縁部から後方に延びる板状のシャーシ上壁154と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の下縁部から後方に延びる板状のシャーシ下壁155と、を備える。シャーシ本体151の左面は、前述したケース110のインナーパネル118及びアウターパネル115に覆われる。
【0026】
ケース110の内部空間は、シャーシ150により前方上部に加熱部収容領域142が区画形成され、前方下部に基板収容領域144が区画形成され、後方に上下方向に亘って電源収容空間146が区画形成されている。
【0027】
加熱部収容領域142に収容される加熱部170は、複数の筒状の部材から構成され、これらが同心円状に配置されることで、全体として筒状体をなしている。加熱部170は、その内部にロッド500の一部を収納可能なロッド収容部172と、ロッド500を外周または中心から加熱するヒータHTR(
図10~
図16参照)と、を有する。ロッド収容部172が断熱材で構成される、又は、ロッド収容部172の内部に断熱材が設けられることで、ロッド収容部172の表面とヒータHTRは断熱されることが好ましい。ヒータHTRは、ロッド500を加熱可能な素子であればよい。ヒータHTRは、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。ヒータHTRとしては、例えば、温度の増加に伴って抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが好ましく用いられる。これに代えて、温度の増加に伴って抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するヒータHTRを用いてもよい。加熱部170は、ロッド500へ供給する空気の流路を画定する機能、及びロッド500を加熱する機能を有する。ケース110には、空気を流入させるための通気口(不図示)が形成され、加熱部170に空気が流入できるように構成される。
【0028】
電源収容空間146に収容される電源BATは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源BATの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0029】
通知部180は、電源BATの充電状態を示すSOC(State Of Charge)、吸引時の予熱時間、吸引可能期間等の各種情報を通知する。本実施形態の通知部180は、8つのLED L1~L8と、振動モータMと、を含む。通知部180は、LED L1~L8のような発光素子によって構成されていてもよく、振動モータMのような振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。通知部180は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。
【0030】
各種センサは、ユーザのパフ動作(吸引動作)を検出する吸気センサ、電源BATの温度を検出する電源温度センサ、ヒータHTRの温度を検出するヒータ温度センサ、ケース110の温度を検出するケース温度センサ、スライダ119の位置を検出するカバー位置センサ、及びアウターパネル115の着脱を検出するパネル検出センサ等を含む。
【0031】
吸気センサは、例えば、開口132の近傍に配置されたサーミスタT2を主体に構成される。電源温度センサは、例えば、電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1を主体に構成される。ヒータ温度センサは、例えば、ヒータHTRの近傍に配置されたサーミスタT3を主体に構成される。前述した通り、ロッド収容部172はヒータHTRから断熱されることが好ましい。この場合において、サーミスタT3は、ロッド収容部172の内部において、ヒータHTRと接する又は近接することが好ましい。ヒータHTRがPTC特性やNTC特性を有する場合、ヒータHTRそのものをヒータ温度センサに用いてもよい。ケース温度センサは、例えば、ケース110の左面の近傍に配置されたサーミスタT4を主体に構成される。カバー位置センサは、スライダ119の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC14(
図10~
図16参照)を主体に構成される。パネル検出センサは、インナーパネル118の内側の面の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC13(
図10~
図16参照)を主体に構成される。
【0032】
回路部160は、4つの回路基板と、複数のIC(Integrate Circuit)と、複数の素子と、を備える。4つの回路基板は、主に後述のMCU(Micro Controller Unit)1及び充電IC2が配置されたMCU搭載基板161と、主に充電端子134が配置されたレセプタクル搭載基板162と、操作スイッチOPS、LED L1~L8、及び後述の通信IC15が配置されたLED搭載基板163と、カバー位置センサを構成するホール素子を含む後述のホールIC14が配置されたホールIC搭載基板164と、を備える。
【0033】
MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、基板収容領域144において互いに平行に配置される。具体的に説明すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、それぞれの素子配置面が左右方向及び上下方向に沿って配置され、MCU搭載基板161がレセプタクル搭載基板162よりも前方に配置される。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162には、それぞれ開口部175、176(
図17~
図20参照)が設けられる。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、これら開口部175、176の開口周縁部166、168同士の間に貫通孔を有する円筒状のスペーサ173を介在させた状態でシャーシ150にボルト136で固定される。
【0034】
ボルト136は、MCU搭載基板161の開口部175、円筒状のスペーサ173の貫通孔、レセプタクル搭載基板162の開口部176を挿通して、前後方向においてMCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162と電源BATの間に配置された前後分割壁152の基板固定部156にスペーサ173を挟んだ状態で固定される。これにより、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162がスペーサ173によって平行に保持される。
【0035】
スペーサ173は導電性を有し、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162のグランドがスペーサ173を介して接続される。これにより、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162のグランド電位を揃えることができ、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162との間の充電用電力や動作用電力の供給及び通信を安定させることができる。
【0036】
便宜上、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の前方を向く面を、それぞれの主面161a、162aとし、主面161a、162aの反対面をそれぞれの副面161b、162bとすると、MCU搭載基板161の副面161bと、レセプタクル搭載基板162の主面162aとが、所定の隙間SPを介して対向する。また、MCU搭載基板161の主面161aはケース110の前面と対向し、レセプタクル搭載基板162の副面162bは、シャーシ150の前後分割壁152と対向する。
【0037】
MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162は、フレキシブル配線板165を介して電気的に接続されている。MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162を電気的に接続するフレキシブル配線板165は、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162のFPC接続部231、232同士を接続する(
図17~
図20参照)。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162に搭載される素子及びICについては後述する。
【0038】
LED搭載基板163は、シャーシ本体151の左側面、且つ上下に配置された2つのマグネット124の間に配置される。LED搭載基板163の素子配置面は、上下方向及び前後方向に沿って配置されている。換言すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交している。このように、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交に限らず、交差している(非平行である)ことが好ましい。なお、LED L1~L8とともに通知部180を構成する振動モータMは、シャーシ下壁155の下面に固定され、MCU搭載基板161に電気的に接続される。
【0039】
ホールIC搭載基板164は、シャーシ上壁154の上面に配置される。
【0040】
<吸引器の動作モード>
図9は、吸引器100の動作モードを説明するための模式図である。
図9に示すように、吸引器100の動作モードには、充電モード、スリープモード、アクティブモード、加熱初期設定モード、加熱モード、及び加熱終了モードが含まれる。
【0041】
スリープモードは、主にヒータHTRの加熱制御に必要な電気部品への電力供給を停止して省電力化を図るモードである。
【0042】
アクティブモードは、ヒータHTRの加熱制御を除くほとんどの機能が有効になるモードである。吸引器100は、スリープモードにて動作している状態にて、スライダ119が開かれると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、スライダ119が閉じられたり、操作スイッチOPSの無操作時間が所定時間に達したりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0043】
加熱初期設定モードは、ヒータHTRの加熱制御を開始するための制御パラメータ等の初期設定を行うモードである。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、操作スイッチOPSの操作を検出すると、動作モードを加熱初期設定モードに切り替え、初期設定が終了すると、動作モードを加熱モードに切り替える。
【0044】
加熱モードは、ヒータHTRの加熱制御(エアロゾル生成のための加熱制御と、温度検出のための加熱制御)を実行するモードである。吸引器100は、動作モードが加熱モードに切り替わると、ヒータHTRの加熱制御を開始する。
【0045】
加熱終了モードは、ヒータHTRの加熱制御の終了処理(加熱履歴の記憶処理等)を実行するモードである。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、ヒータHTRへの通電時間又はユーザの吸引回数が上限に達したり、スライダ119が閉じられたりすると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードを充電モードに切り替える。
図9に示したように、この場合において、動作モードを充電モードに切り替える前に、動作モードをアクティブモードへ切り替えてもよい。換言すれば、吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モード、アクティブモード、充電モードの順に切り替えてもよい。
【0046】
充電モードは、レセプタクルRCPに接続された外部電源から供給される電力により、電源BATの充電を行うモードである。吸引器100は、スリープモード又はアクティブモードにて動作している状態にて、レセプタクルRCPに外部電源が接続(USB接続)されると、動作モードを充電モードに切り替える。吸引器100は、充電モードにて動作している状態にて、電源BATの充電が完了したり、レセプタクルRCPと外部電源との接続が解除されたりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0047】
<内部ユニットの回路の概略>
図10は、内部ユニット140の電気回路の概略構成を示す図である。なお、
図10では、主要な素子及びICのみを記載する。
【0048】
図10において太い実線で示した配線は、内部ユニット140の基準となる電位(グランド電位)と同電位となる配線(内部ユニット140に設けられたグランドに接続される配線)であり、この配線を以下ではグランドラインと記載する。
図10では、複数の回路素子をチップ化した電気部品を矩形で示しており、この矩形の内側に各種端子の符号を記載している。チップに搭載される電源端子VCC及び電源端子VDDは、それぞれ、高電位側の電源端子を示す。チップに搭載される電源端子VSS及びグランド端子GNDは、それぞれ、低電位側(基準電位側)の電源端子を示す。チップ化された電気部品は、高電位側の電源端子の電位と低電位側の電源端子の電位の差分が、電源電圧となる。チップ化された電気部品は、この電源電圧を用いて、各種機能を実行する。
【0049】
MCU搭載基板161には、主要な電気部品として、吸引器100の全体を統括制御するMCU1と、電源BATの充電制御を行う充電IC2と、コンデンサ、抵抗器、及びトランジスタ等を組み合わせて構成されたロードスイッチ(以下、LSW)3と、USB接続検出用の分圧回路Pcと、が設けられている。
【0050】
充電IC2、及びLSW3の各々のグランド端子GNDは、グランドラインに接続されている。
【0051】
LED搭載基板163には、主要な電気部品として、パネル検出センサを構成するホール素子を含むホールIC13と、LED L1~L8と、操作スイッチOPSと、通信IC15と、が設けられている。通信IC15は、スマートフォン等の電子機器との通信を行うための通信モジュールである。ホールIC13の電源端子VSS及び通信IC15のグランド端子GNDの各々は、グランドラインに接続されている。通信IC15とMCU1は、通信線LNによって通信可能に構成されている。操作スイッチOPSの一端はグランドラインに接続され、操作スイッチOPSの他端はMCU1の端子P4に接続されている。
【0052】
レセプタクル搭載基板162には、主要な電気部品として、電源BATと電気的に接続される電源コネクタ(図では、この電源コネクタに接続された電源BATを記載)と、昇圧DC/DCコンバータ9(図では、昇圧DC/DC9と記載)と、保護IC10と、過電圧保護IC11と、レセプタクルRCPと、MOSFETで構成されたスイッチS3、S4と、オペアンプOP1と、ヒータHTRと電気的に接続される一対(正極側と負極側)のヒータコネクタCnと、が設けられている。
【0053】
レセプタクルRCPの2つのグランド端子GNDと、昇圧DC/DCコンバータ9のグランド端子GNDと、保護IC10の電源端子VSSと、過電圧保護IC11のグランド端子GNDと、オペアンプOP1の負電源端子は、それぞれ、グランドラインに接続されている。
【0054】
ホールIC搭載基板164には、カバー位置センサを構成するホール素子を含むホールIC14が設けられている。ホールIC14の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。ホールIC14の出力端子OUTは、MCU1の端子P8に接続されている。MCU1は、端子P8に入力される信号により、スライダ119の開閉を検出する。
【0055】
<内部ユニットの回路の詳細>
以下、
図10を参照しながら各電気部品の接続関係等について説明する。
【0056】
レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSは、ヒューズFsなどの保護素子を介して、過電圧保護IC11の入力端子INに接続されている。レセプタクルRCPにUSBプラグが接続され、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続されると、レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSにUSB電圧VUSBが供給される。
【0057】
過電圧保護IC11の入力端子INには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Paの一端が接続されている。分圧回路Paの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Paを構成する2つの抵抗器の接続点は、過電圧保護IC11の電圧検出端子OVLoに接続されている。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値未満の状態では、入力端子INに入力された電圧を出力端子OUTから出力する。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値以上(過電圧)となった場合には、出力端子OUTからの電圧出力を停止(LSW3とレセプタクルRCPとの電気的な接続を遮断)することで、過電圧保護IC11よりも下流の電気部品の保護を図る。過電圧保護IC11の出力端子OUTは、LSW3の入力端子VINと、MCU1に接続された分圧回路Pc(2つの抵抗器の直列回路)の一端と、に接続されている。分圧回路Pcの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pcを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P17に接続されている。
【0058】
LSW3の入力端子VINには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Pfの一端が接続されている。分圧回路Pfの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pfを構成する2つの抵抗器の接続点は、LSW3の制御端子ONに接続されている。LSW3の制御端子ONには、バイポーラトランジスタS2のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS2のエミッタ端子はグランドラインに接続されている。バイポーラトランジスタS2のベース端子は、MCU1の端子P19に接続されている。LSW3は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力された電圧を出力端子VOUTから出力する。LSW3の出力端子VOUTは、充電IC2の入力端子VBUSと、LED L1~L8の各々のアノードと、に接続されている。
【0059】
MCU1は、USB接続がなされていない間は、バイポーラトランジスタS2をオンにする。これにより、LSW3の制御端子ONはバイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されるため、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力される。
【0060】
LSW3に接続されたバイポーラトランジスタS2は、USB接続がなされると、MCU1によってオフされる。バイポーラトランジスタS2がオフすることで、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。このため、USB接続がなされ且つバイポーラトランジスタS2がオフされると、LSW3の制御端子ONには、ハイレベルの信号が入力される。これにより、LSW3は、USBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。なお、バイポーラトランジスタS2がオフされていない状態でUSB接続がなされても、LSW3の制御端子ONは、バイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されているため、MCU1がバイポーラトランジスタS2をオフしない限り、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力され続ける点に留意されたい。
【0061】
電源BATの正極端子は、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batと、に接続されている。したがって、電源BATの電源電圧VBATは、保護IC10と、充電IC2と、昇圧DC/DCコンバータ9とに供給される。電源BATの負極端子には、抵抗器Raと、MOSFETで構成されたスイッチSaと、MOSFETで構成されたスイッチSbと、がこの順に直列接続されている。抵抗器RaとスイッチSaの接続点には、保護IC10の電流検出端子CSが接続されている。スイッチSaとスイッチSbの各々の制御端子は、保護IC10に接続されている。
【0062】
保護IC10は、電流検出端子CSに入力される電圧から、電源BATの充放電時において抵抗器Raに流れる電流値を取得し、この電流値が過大になった場合(過電流の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの充電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの放電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。また、保護IC10は、電源端子VDDに入力される電圧から、電源BATの電圧値が異常になった場合(過充電又は過電圧の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの過充電を検知した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの過放電を検知した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。
【0063】
昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWには、リアクトルLcの一端が接続されている。このリアクトルLcの他端は昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINに接続されている。昇圧DC/DCコンバータ9は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する。なお、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINは、昇圧DC/DCコンバータ9の高電位側の電源端子を構成している。昇圧DC/DCコンバータ9は、イネーブル端子ENに入力される信号がハイレベルとなっている場合に、昇圧動作を行う。USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号は、MCU1によってローレベルに制御されてもよい。若しくは、USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号をMCU1が制御しないことで、イネーブル端子ENの電位を不定にしてもよい。
【0064】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS4のソース端子が接続されている。スイッチS4のゲート端子は、MCU1の端子P15と接続されている。スイッチS4のドレイン端子には、抵抗器Rsの一端が接続されている。抵抗器Rsの他端は、ヒータHTRの一端と接続される正極側のヒータコネクタCnに接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点には、2つの抵抗器からなる分圧回路Pbが接続されている。分圧回路Pbを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P18と接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点は、更に、オペアンプOP1の正電源端子と接続されている。
【0065】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとスイッチS4のソース端子との接続ラインには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS3のソース端子が接続されている。スイッチS3のゲート端子は、MCU1の端子P16と接続されている。スイッチS3のドレイン端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。このように、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側との間には、スイッチS3を含む回路と、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路とが並列接続されている。スイッチS3を含む回路は、抵抗器を有さないため、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路よりも低抵抗の回路である。
【0066】
昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENには、MCU1の端子P14が接続されている。
【0067】
オペアンプOP1の非反転入力端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、ヒータHTRの他端と接続される負極側のヒータコネクタCnと、グランドラインと、に接続されている。オペアンプOP1の出力端子には抵抗器R4の一端が接続されている。抵抗器R4の他端は、MCU1の端子P9に接続されている。
【0068】
充電IC2の入力端子VBUSは、LED L1~L8の各々のアノードに接続されている。LED L1~L8の各々のカソードは、電流制限ための抵抗器を介して、MCU1の制御端子PD1~PD8に接続されている。すなわち、入力端子VBUSには、LED L1~L8が並列接続されている。LED L1~L8は、レセプタクルRCPに接続されたUSBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBと、電源BATから充電IC2を経由して供給される電圧と、のそれぞれによって動作可能に構成されている。MCU1には、制御端子PD1~PD8の各々とグランド端子GNDとに接続されたトランジスタ(スイッチング素子)が内蔵されている。MCU1は、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオンすることでLED L1に通電してこれを点灯させ、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオフすることでLED L1を消灯させる。制御端子PD1と接続されたトランジスタのオンとオフを高速で切り替えることで、LED L1の輝度や発光パターンを動的に制御できる。LED L2~L8についても同様にMCU1によって点灯制御される。
【0069】
充電IC2は、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBに基づいて電源BATを充電する充電機能を備える。充電IC2は、不図示の端子や配線から、電源BATの充電電流や充電電圧を取得し、これらに基づいて、電源BATの充電制御(充電端子batから電源BATへの電力供給制御)を行う。
【0070】
充電IC2は、更に、V
BATパワーパス機能と、OTG機能とを備える。V
BATパワーパス機能は、充電端子batに入力される電源電圧V
BATと略一致するシステム電源電圧Vcc0を、出力端子SYSから出力する機能である。OTG機能は、充電端子batに入力される電源電圧V
BATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する機能である。充電IC2のOTG機能のオンオフは、通信線LNを利用したシリアル通信によって、MCU1により制御される。なお、OTG機能においては、充電端子batに入力される電源電圧V
BATを、入力端子VBUSからそのまま出力してもよい。この場合において、電源電圧V
BATとシステム電源電圧Vcc4は略一致する。シリアル通信を行うためには、データ送信用のデータラインや同期用のクロックラインなどの複数の信号線が必要になるところ、簡略化のため1本の信号線のみ
図10-16に記載されている点に留意されたい。
【0071】
充電IC2の出力端子SYSは、MCU1の電源端子VDDと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)と、に接続されている。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は、抵抗器を介して、MCU1の端子P22に接続されている。なお、これら電源端子に供給される電圧を安定にするため、充電IC2の出力端子SYSに電圧レギュレータを接続してもよい。
【0072】
ホールIC13の出力端子OUTは、MCU1の端子P3に接続されている。アウターパネル115が外れると、ホールIC13の出力端子OUTからローレベルの信号が出力される。MCU1は、端子P3に入力される信号により、アウターパネル115の装着有無を判定する。
【0073】
LED搭載基板163には、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)が設けられている。この直列回路は、充電IC2の出力端子SYSと、MCU1の電源端子VDD、ホールIC13の電源端子VDD、ホールIC14の電源端子VDD、及び通信IC15の電源端子VCCとを接続する電源ラインに接続されている。この直列回路の抵抗器とコンデンサの接続点は、MCU1の端子P4と、操作スイッチOPSと、に接続されている。操作スイッチOPSが押下されていない状態では、操作スイッチOPSは導通せず、MCU1の端子P4に入力される信号は、充電IC2の出力端子SYSから出力される電圧によりハイレベルとなる。操作スイッチOPSが押下されて操作スイッチOPSが導通状態になると、MCU1の端子P4に入力される信号は、グランドラインへ接続されるためローレベルとなる。MCU1は、端子P4に入力される信号により、操作スイッチOPSの操作を検出する。
【0074】
<吸引器の動作モード毎の動作>
以下、
図11~
図16を参照して、
図10に示す電気回路の動作を説明する。
図11は、スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図12は、アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図13は、加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図14は、加熱モードにおけるヒータHTRの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
図15は、加熱モードにおけるヒータHTRの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
図16は、充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図11~
図16の各々において、チップ化された電気部品の端子のうち、破線の楕円で囲まれた端子は、電源電圧V
BAT、USB電圧V
USB、及びシステム電源電圧等の入力又は出力がなされている端子を示している。
【0075】
いずれの動作モードにおいても、電源電圧VBATは、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batに入力されている。
【0076】
<スリープモード:
図11>
MCU1は、充電IC2のV
BATパワーパス機能を有効とし、OTG機能と充電機能を無効とする。充電IC2の入力端子VBUSにUSB電圧V
USBが入力されないことで、充電IC2のV
BATパワーパス機能は有効になる。通信線LNからOTG機能を有効にするための信号がMCU1から充電IC2へ出力されないため、OTG機能は無効になる。このため、充電IC2は、充電端子batに入力された電源電圧V
BATからシステム電源電圧Vcc0を生成して、出力端子SYSから出力する。出力端子SYSから出力されたシステム電源電圧Vcc0は、MCU1の電源端子VDDと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、に入力される。システム電源電圧Vcc0は、充電時に電源入力端子V
BUSに外部電源から入力されるUSB電圧V
USBよりも低くなるように設定される。
【0077】
このように、スリープモードにおいては、充電IC2のOTG機能は停止しているため、LED L1~L8への電力供給は停止される。
【0078】
<アクティブモード:
図12>
MCU1は、
図11のスリープモードの状態から、端子P8に入力される信号がハイレベルとなり、スライダ119が開いたことを検出すると、通信線LNを介して、充電IC2のOTG機能を有効化する。これにより、充電IC2は、充電端子batから入力された電源電圧V
BATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する。入力端子VBUSから出力されたシステム電源電圧Vcc4は、LED L1~L8に供給される。
【0079】
<加熱初期設定モード:
図13>
図12の状態から、端子P4に入力される信号がローレベルになる(操作スイッチOPSの押下がなされる)と、MCU1は、加熱に必要な各種の設定を行った後、端子P14から、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにハイレベルのイネーブル信号を入力する。これにより、昇圧DC/DCコンバータ9は、電源電圧V
BATを昇圧して得られる駆動電圧V
bstを出力端子VOUTから出力する。駆動電圧V
bstは、スイッチS3とスイッチS4に供給される。この状態では、スイッチS3とスイッチS4はオフとなっている。その後、加熱モードへ移行する。
【0080】
<加熱モード時のヒータ加熱:
図14>
図13の状態において、MCU1は、端子P16に接続されたスイッチS3のスイッチング制御と、端子P15に接続されたスイッチS4のスイッチング制御を開始する。これらスイッチング制御は、前述した加熱初期設定モードが完了すれば自動的に開始されてもよいし、さらなる操作スイッチOPSの押下によって開始されてもよい。具体的には、MCU1は、
図14のように、スイッチS3をオンし、スイッチS4をオフして、駆動電圧V
bstをヒータHTRに供給し、エアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行う加熱制御と、
図15のように、スイッチS3をオフし、スイッチS4をオンして、ヒータHTRの温度を検出する温度検出制御と、を行う。
【0081】
<加熱モード時のヒータ温度検出:
図15>
図15に示すように、温度検出制御時には、駆動電圧V
bstがオペアンプOP1の正電源端子に入力されると共に、分圧回路Pbに入力される。分圧回路Pbによって分圧された電圧は、MCU1の端子P18に入力される。MCU1は、端子P18に入力される電圧に基づいて、温度検出制御時におけるオペアンプOP1の正電源端子の電圧を取得する。
【0082】
また、温度検出制御時には、駆動電圧Vbstが、抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に供給される。そして、この駆動電圧Vbstを抵抗器RsとヒータHTRによって分圧した電圧Vheatが、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。オペアンプOP1は、反転入力端子に入力される電圧と非反転入力端子に入力される電圧Vheatの差を増幅して出力する。
【0083】
オペアンプOP1の出力信号は、MCU1の端子P9に入力される。MCU1は、端子P9に入力された信号と、端子P18の入力電圧に基づいて取得したオペアンプOP1の正電源端子の電圧と、既知の抵抗器Rsの電気抵抗値と、に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。
【0084】
<充電モード:
図16>
図16は、スリープモードの状態でUSB接続がなされた場合を例示している。USB接続がなされると、USB電圧V
USBが過電圧保護IC11を介してLSW3の入力端子VINに入力される。USB電圧V
USBは、LSW3の入力端子VINに接続された分圧回路Pfにも供給される。USB接続がなされた直後の時点では、バイポーラトランジスタS2がオンとなっているため、LSW3の制御端子ONに入力される信号はローレベルのままとなる。USB電圧V
USBは、MCU1の端子P17に接続された分圧回路Pcにも供給され、この分圧回路Pcで分圧された電圧が端子P17に入力される。MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいて、USB接続がなされたことを検出する。分圧回路Pcは、端子P17に入力される電圧を、MCU1の電源端子VDDに入力されるシステム電源電圧Vcc0以下にするように構成される。
【0085】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフする。バイポーラトランジスタS2のゲート端子にローレベルの信号を入力すると、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。これにより、LSW3の制御端子ONにハイレベルの信号が入力されて、LSW3は、USB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、充電IC2の入力端子VBUSに入力される。また、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、そのままシステム電源電圧Vcc4として、LED L1~L8に供給される。
【0086】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力する。これにより、充電IC2は、電源BATの充電機能を有効化し、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBによる電源BATの充電を開始する。このとき、MCU1は、スイッチS3とスイッチS4はオフとしたままエアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行わない。言い換えると、MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいてUSB接続がなされたことを検出した場合、電源BATからヒータコネクタCnへの電力の供給を禁止する。これにより、充電時における電源BATからの電力消費を回避できる。
【0087】
[レセプタクル搭載基板]
図17は、レセプタクル搭載基板162の主面162aを示す図である。なお、
図17には、主要な電子部品(IC及び素子を含む)のみを示し、他の電子部品については図示を省略している(
図18~20においても同様。)。上下方向に延設されたレセプタクル搭載基板162の主面162aには、上側の端部162c(以下、上端部162cと称する)にヒータコネクタCnが配置され、下側の端部162d(以下、下端部162dと称する)にレセプタクルRCPが配置され、ヒータコネクタCnとレセプタクルRCPとの間に昇圧DC/DCコンバータ9のリアクトルLcが配置されている。ヒータコネクタCnには、ヒータHTRから延びる不図示のヒータ配線が接続される。なお、レセプタクル搭載基板162の上端部162cは、上下方向に長いレセプタクル搭載基板162を上下方向に3つに分割したうちの上側の領域であり、レセプタクル搭載基板162の下端部162dは、この3つの分割した領域のうち下側の領域である。
【0088】
また、レセプタクルRCPの近傍には、右側に正極側のバッテリコネクタ222(以下、正極側バッテリコネクタ222)が配置され、左側にスペーサ173を固定する開口部176が配置されている。さらにリアクトルLcの左側には、負極側のバッテリコネクタ224(以下、負極側バッテリコネクタ224)及び電源温度検出用コネクタ234が配置される。正極側バッテリコネクタ222には、電源BATの正極端子から延びる正極側電源バスバー236(
図7、8参照)が接続され、負極側バッテリコネクタ224には、電源BATの負極端子から延びる負極側電源バスバー238(
図7、8参照)が接続される。電源温度検出用コネクタ234には、電源温度センサを構成するサーミスタT1(以下、電源サーミスタT1とも称する)が接続される。
【0089】
図18は、レセプタクル搭載基板162の副面162bを示す図である。レセプタクル搭載基板162の副面162bには、開口部176の下方に過電圧保護IC11が配置され、さらに開口部176の上方に、下方から順に保護IC10、オペアンプOP1、及び昇圧DC/DCコンバータ9が配置されている。
【0090】
[MCU搭載基板]
図19は、MCU搭載基板161の主面161aを示す図である。上下方向に延設されたMCU搭載基板161の主面161aには、上側の端部161c(以下、上端部161cと称する)にヒータ温度検出用コネクタ240が配置され、その下側に充電IC2が配置される。また、レセプタクル搭載基板162の開口部176に対応する位置には、スペーサ173を固定する開口部175が配置され、開口部175の近傍にMCU1が配置されている。なお、MCU搭載基板161の上端部161cは、上下方向に延設されたMCU搭載基板161を上下方向に3つに分割したうちの上側の領域である。
【0091】
ヒータ温度検出用コネクタ240には、ヒータ温度センサを構成するサーミスタT3(以下、ヒータサーミスタT3とも称する)がヒータ温度用配線193を介して接続される(
図7、8参照)。
【0092】
図20は、MCU搭載基板161の副面161bを示す図である。MCU搭載基板161の副面161bには、上端部161cに、ケース温度検出用コネクタ228及び吸気検出用コネクタ230が配置され、開口部175の上側に振動モータMが導線を介して接続されるモータコネクタ226が配置されている。
【0093】
ケース温度検出用コネクタ228には、ケース温度センサを構成するサーミスタT4(以下、ケースサーミスタT4とも称する)がケース温度用配線194を介して接続され(
図7参照)、吸気検出用コネクタ230には、吸気センサを構成するサーミスタT2(以下、パフサーミスタT2とも称する)がパフ配線192を介して接続される(
図7、8参照)。
【0094】
前述したように、MCU搭載基板161には、3つのサーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、及び吸気検出用コネクタ230)が配置される。一方、レセプタクル搭載基板162には、ヒータコネクタCnが配置されるとともに、1つのサーミスタコネクタ(電源温度検出用コネクタ234)が配置される。なお、サーミスタコネクタの数は、正極と負極の一対で1つのサーミスタコネクタを構成する点に留意されたい。
【0095】
このように、MCU搭載基板161に配置されるサーミスタコネクタの数は、レセプタクル搭載基板162に配置されるサーミスタコネクタの数より多い。サーミスタの検出精度を向上するためには、サーミスタコネクタに入力されるノイズの影響をできる限り抑えることが好ましい。ヒータコネクタCnが配置されるレセプタクル搭載基板162に配置されるサーミスタコネクタの数よりも、MCU搭載基板161に配置されるサーミスタコネクタの数を多くすることで、ヒータ配線、ヒータ温度用配線193、ケース温度用配線194、パフ配線192が互いに絡みにくくなる。これにより、それぞれの配線へ応力が加わりにくくなることで配線の浮遊容量や浮遊抵抗が減り、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。
【0096】
また、レセプタクル搭載基板162には前述したように、副面162bに昇圧DC/DCコンバータ9が配置される。昇圧DC/DCコンバータ9は、内蔵トランジスタのオンオフ制御を行って入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力するものであり、ノイズが発生しやすい。したがって、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162と離間したMCU搭載基板161に、多くのサーミスタコネクタを配置することで、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなり、吸引器100で行われる制御の精度が向上する。
【0097】
このようにサーミスタの検出精度の向上の点で、昇圧DC/DCコンバータ9からサーミスタコネクタを離すことが好ましい。特に、吸引器100において最も重要なパラメータであるヒータ温度を検出するヒータサーミスタT3の出力値にノイズを混在させないことが重要である。本実施形態では、ヒータ温度検出用コネクタ240が、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162の副面162bから遠くなるように、MCU搭載基板161の主面161aに配置される。即ち、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162の副面162bとヒータ温度検出用コネクタ240が配置されたMCU搭載基板161の主面161aの間の距離が、レセプタクル搭載基板162の副面162bとMCU搭載基板161の副面161bの間の距離より長くなるように、言い換えると、MCU搭載基板161の副面161bがレセプタクル搭載基板162の主面162aと対向するように、2枚の回路基板161、162が配置される。
【0098】
さらにレセプタクル搭載基板162には、前述したようにバッテリコネクタ222、224が配置される。バッテリコネクタ222、224には、サーミスタコネクタに比べて大電流が流れる。したがって、ノイズ源になる虞があるバッテリコネクタ222、224が配置されたレセプタクル搭載基板162と離間したMCU搭載基板161に、多くのサーミスタコネクタを配置することで、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなり、吸引器100で行われる制御の精度が向上する。
【0099】
このようにサーミスタの検出精度の向上の点で、バッテリコネクタ222、224からサーミスタコネクタを離すことが好ましい。本実施形態では、ヒータ温度検出用コネクタ240が、バッテリコネクタ222、224が配置されたレセプタクル搭載基板162の主面162aから遠くなるように、MCU搭載基板161の主面161aに配置される。
【0100】
また、ヒータコネクタCn、ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、及び吸気検出用コネクタ230は、いずれも回路基板161、162の上端部161c、162cに配置される。したがって、これらのコネクタを回路基板161、162の上端部161c、162cに集約することでコネクタへの接続作業を容易にでき、さらに配線を端部以外の箇所に接続した場合と比べて、配線が基板上の他の電子部品に物理的に干渉しにくくなる。これにより、電子部品に応力が加わりにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。特に、本実施形態では、レセプタクル搭載基板162の上端部162cとMCU搭載基板161の上端部161cの位置が略等しく、ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、及び吸気検出用コネクタ230が略同じ位置に配置される。これにより、コネクタへの接続作業をより容易に行うことができる。
【0101】
なお、他の電子部品との干渉を回避するためにこれらのコネクタを回路基板161、162の下端部に配置してもよいが、これらのコネクタに接続するヒータHTR、ヒータサーミスタT3、ケースサーミスタT4、及びパフサーミスタT2がいずれも回路基板161、162よりも上方に配置されるので、これらのコネクタを回路基板161、162の上端部161c、162cに配置することが好ましい。これにより、ヒータ配線、ヒータ温度用配線193、ケース温度用配線194、パフ配線192を短くできるので、伝送損失を減らすことができるとともに、吸引器100の全長を短くしつつ、配線にかかるコストも低減できる。
【0102】
また、MCU搭載基板161の上端部161cに配置されるヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、及び吸気検出用コネクタ230のうち、ヒータ温度検出用コネクタ240は主面161aに配置され、ケース温度検出用コネクタ228及び吸気検出用コネクタ230は副面161bに配置される。これにより、ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、及び吸気検出用コネクタ230をMCU搭載基板161の上端部161cに集約しつつも、一方の面にのみ配置する場合よりも基板の面積を有効活用できるので、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0103】
ここで、ヒータ温度検出用コネクタ240と他のサーミスタコネクタ(ケース温度検出用コネクタ228、吸気検出用コネクタ230)を同一基板の別の面に配置する場合、前述したように、ヒータ温度検出用コネクタ240を昇圧DC/DCコンバータ9から離すことが好ましい。本実施形態では、ヒータ温度検出用コネクタ240が、他のサーミスタコネクタよりも、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162の副面162bから遠くなるように、MCU搭載基板161の主面161aに配置される。即ち、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162の副面162bとヒータ温度検出用コネクタ240が配置されたMCU搭載基板161の主面161aの間の距離が、昇圧DC/DCコンバータ9が配置されたレセプタクル搭載基板162の副面162bと他のサーミスタコネクタ(ケース温度検出用コネクタ228、吸気検出用コネクタ230)が配置されたMCU搭載基板161の副面161bの間の距離より長くなるように、言い換えると、MCU搭載基板161の副面161bがレセプタクル搭載基板162の主面162aと対向するように、2枚の回路基板161、162が配置される。これにより、ヒータサーミスタT3の出力値にノイズがさらに混在しにくくなる。
【0104】
また、ケース温度検出用コネクタ228及び吸気検出用コネクタ230が配置されたMCU搭載基板161の副面161bには、ケース温度検出用コネクタ228と吸気検出用コネクタ230の間に電子部品V1が配置されることが好ましい。電子部品の数は、1つでもよく、複数であってもよい。また、電子部品は必ずしもケース温度検出用コネクタ228と吸気検出用コネクタ230の間に配置される必要はなく、ケース温度検出用コネクタ228と電子部品の間の距離(最短距離)が、ケース温度検出用コネクタ228と吸気検出用コネクタ230の間の距離(最短距離)より短くなるように電子部品V2が配置されていてもよい。これにより、2つのサーミスタコネクタを離すことができ、サーミスタコネクタに接続される配線同士が絡んだり、一方のサーミスタコネクタで生じたノイズが他方のコネクタへ影響を及ぼしにくくなる。併せて、MCU搭載基板161の副面161bを有効活用できる。したがって、配線に応力が加わりにくくなり、サーミスタから得られる温度の精度も向上する。なお、この電子部品V1、V2は、受動素子であることが好ましく、例えば、抵抗器、コンデンサ、ESDサプレッサ、EMI除去フィルタ、バリスタ等である。
【0105】
図21は、ヒータサーミスタT3を通る水平面で切断した吸引器100の断面図であり、
図22は、
図21のA-Aで示される仮想平面で切断した吸引器100の断面図である。
図21及び
図22に示すように、
図21のA-Aで示される仮想平面上に、ヒータ温度検出用コネクタ240が配置されるMCU搭載基板161の主面161aと、ヒータサーミスタT3とが位置している。なお、MCU搭載基板161の主面161aとヒータサーミスタT3が同一平面上になくても、MCU搭載基板161が、レセプタクル搭載基板162よりもヒータ温度検出用コネクタ240に近いことが好ましい。このように、ヒータ温度検出用コネクタ240が配置されるMCU搭載基板161をレセプタクル搭載基板162よりもヒータ温度検出用コネクタ240の近くに配置したり、ヒータ温度検出用コネクタ240が配置されるMCU搭載基板161の主面161aを、ヒータサーミスタT3と同一平面上に配置することで、ヒータ温度用配線193を短くでき、伝送損失を減らすことができる。これにより、ヒータサーミスタT3を用いて検出されるヒータ温度の精度を向上できる。併せて、吸引器100のコストを低減できる。
【0106】
ヒータ温度用配線193は、サーミスタとサーミスタコネクタとを接続する他の配線よりも短いことが好ましい。本実施形態では、ヒータ温度用配線193が、ケース温度用配線194及びパフ配線192よりも短くなるように構成されている。ここでサーミスタとサーミスタコネクタを接続する配線の長さは、正極と負極で長さが異なる場合、いずれか長い方の長さである。本実施形態では、ヒータ温度用配線193が、ケース温度用配線194及びパフ配線192よりも短くなるように構成されている。換言すれば、MCU搭載基板161の導電パターンを介してMCU1へ接続されるサーミスタ配線の中で、ヒータ温度用配線193が最も短くなるように構成されている。吸引器100において最も重要なパラメータであるヒータ温度を取得するためのヒータサーミスタT3とヒータ温度検出用コネクタ240とを接続するヒータ温度用配線193を短くすることで、配線の浮遊容量や浮遊抵抗を小さいものにできる。したがって、複数のサーミスタを用いて吸引器100を高機能化しながら、ヒータHTRの温度を高精度に取得できる。
【0107】
図21に示すように、ヒータHTRの外周部は、断面視でオーバル形状を有する。より具体的に説明すると、ヒータHTRの外周部は、対向する2つの平坦部301と、この2つの平坦部301同士を接続する2つの半円部302と、から構成される。ヒータサーミスタT3は、2つの平坦部301のうち一方へ接着される。したがって、ヒータサーミスタT3と温度測定の対象であるヒータHTRの接着を強固にできる。これにより、吸引器100に衝撃が加わっても、ヒータサーミスタT3が脱落しにくく、吸引器100の耐久性を向上できる。
【0108】
また、ヒータHTRの内周部もオーバル形状を有し、2つの平坦部間の隙間が、ロッド500の直径よりも小さく構成される。これにより、ロッド500とヒータHTRの接触面積が大きくなるので、ロッド500に熱が伝わりやすくなり、エアロゾル生成の効率が向上する。なお、ヒータHTRの内周部における平坦部を小さな曲率を有する形状に変更することで、ヒータHTRの内周部を楕円形状としてもよい。
【0109】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0110】
例えば、前述の実施形態では、サーミスタコネクタのうち電源温度検出用コネクタ234のみがレセプタクル搭載基板162に配置されていたが、電源温度検出用コネクタ234をMCU搭載基板161に配置してもよい。この場合、MCU搭載基板161には、4つのサーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228、吸気検出用コネクタ230、及び電源温度検出用コネクタ234)が配置される。一方、レセプタクル搭載基板162には、1つのサーミスタコネクタも配置されない。
【0111】
このように、ヒータコネクタCnは、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162のうちレセプタクル搭載基板162にのみ配置され、サーミスタコネクタはMCU搭載基板161にのみ配置されることで、ヒータ配線、ヒータ温度用配線193、ケース温度用配線194、パフ配線192が互いに絡みにくくなる。これにより、それぞれの配線へ応力が加わりにくくなることで配線の浮遊容量や浮遊抵抗が減り、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、それぞれの配線へ加わる応力が減ることから、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。また、コネクタへの接続作業を容易にできる。
【0112】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0113】
(1) 電源(電源BAT)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータ(ヒータHTR)が接続されるヒータコネクタ(ヒータコネクタCn)と、
サーミスタ(電源サーミスタT1、パフサーミスタT2、ヒータサーミスタT3、ケースサーミスタT4)と、
前記サーミスタが接続されるサーミスタコネクタ(電源温度検出用コネクタ234、吸気検出用コネクタ230、ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228)と、
第1回路基板(MCU搭載基板161)と、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板(レセプタクル搭載基板162)と、を備え、
前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第2回路基板に配置され、
前記第1回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数は、前記第2回路基板に配置される前記サーミスタコネクタの数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット(非燃焼式吸引器100)。
【0114】
(1)によれば、ヒータコネクタが配置される基板に配置されるサーミスタコネクタの数よりも、別の回路基板に配置されるサーミスタコネクタの数を多くすることで、ヒータコネクタとヒータを結ぶ配線とサーミスタコネクタとサーミスタを結ぶ配線が絡みにくくなる。これにより、それぞれの配線へ応力が加わりにくくなることで配線の浮遊容量や浮遊抵抗が減り、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、それぞれの配線へ加わる応力が減ることから、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。また、コネクタへの接続作業を容易にできる。
【0115】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板と前記第2回路基板は、所定方向(上下方向)に伸びた形状を有し、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240)は、前記第1回路基板の前記所定方向における一方側の端部(上端部161c)に配置され、
前記ヒータコネクタは、前記第2回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部(上端部162c)に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0116】
(2)によれば、第1サーミスタコネクタ及びヒータコネクタを一方側の端部に集約することでコネクタへの接続作業を容易にでき、さらに配線を端部以外の箇所に接続した場合と比べて、配線が基板上の他の電子部品に物理的に干渉しにくくなる。これにより、電子部品に応力が加わりにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0117】
(3) (2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタ(ヒータサーミスタT3)と前記ヒータは、前記第1回路基板及び前記第2回路基板よりも前記所定方向における前記一方側(上側)に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0118】
(3)によれば、ヒータとヒータコネクタを結ぶ配線と、サーミスタとサーミスタコネクタを結ぶ配線を短くできるので、伝送損失を減らすことができる。これにより、ヒータへより多くの電力を供給でき、且つ、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、エアロゾル生成装置の全長を短くしつつ、配線にかかるコストも低減できる。
【0119】
(4) (3)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第2回路基板より前記第1サーミスタに近い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0120】
(4)によれば、サーミスタとサーミスタコネクタを結ぶ配線を短くできるので、伝送損失を減らすことができる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストを低減できる。
【0121】
(5) (3)又は(4)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240)が配置される主面(主面161a)を含み、
前記第1サーミスタは、前記主面を含む仮想的な平面上に位置する、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0122】
(5)によれば、サーミスタとサーミスタコネクタを結ぶ配線を短くできるので、伝送損失を減らすことができる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストを低減できる。
【0123】
(6) (2)から(5)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記ヒータの外周部は、2つの平坦部(平坦部301)と、2つの半円部(半円部302)からなるオーバル形状であり、
前記第1サーミスタコネクタに接続する第1サーミスタ(ヒータサーミスタT3)は、前記2つの平坦部のうち一方へ接着される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0124】
(6)によれば、サーミスタと温度測定の対象であるヒータの接着を強固にできる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットに衝撃が加わっても、サーミスタが脱落しにくく、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性を向上できる。
【0125】
(7) (6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータの内部は、楕円形状である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0126】
(7)によれば、真円形状と比べて、エアロゾル源とヒータの接触面積を向上できるので、エアロゾル源に熱が伝わりやすくなり、エアロゾル生成の効率が向上する。
【0127】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源へ接続される入力端子(入力端子VIN)と、前記ヒータコネクタへ接続される出力端子(出力端子VOUT)と、を含むスイッチングレギュレータ(昇圧DC/DCコンバータ9)を、備え、
前記スイッチングレギュレータは、
入力される電圧を、前記出力端子から変換して出力可能に構成され、且つ、
前記第2回路基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0128】
(8)によれば、ノイズ源になる虞があるスイッチングレギュレータから離れた回路基板に配置されるサーミスタコネクタを増やすことで、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度が向上し、エアロゾル生成装置の電源ユニットで行われる制御の精度が向上する。
【0129】
(9) (8)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240)に接続する第1サーミスタ(ヒータサーミスタT3)は、前記ヒータへ接着又は近接し、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面(主面161a)と、前記第1面の裏面である第2面(副面161b)と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面(副面162b)と、前記第1面の裏面である第2面(主面162a)と、を含み、
前記第2回路基板の前記第1面(副面162b)と前記第1回路基板の前記第1面(主面161a)の間の距離は、前記第2回路基板の前記第2面(主面162a)と前記第1回路基板の前記第2面(副面161b)の間の距離より長い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0130】
(9)によれば、スイッチングレギュレータから第1サーミスタコネクタを離すことができるので、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度が向上し、エアロゾル生成装置の電源ユニットで行われる制御の精度が向上する。
【0131】
(10) (8)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータを備え、
前記第1回路基板に配置される第1サーミスタコネクタ(ヒータ温度検出用コネクタ240)に接続する第1サーミスタ(ヒータサーミスタT3)は、前記ヒータへ接着又は近接し、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面(主面161a)と、前記第1面の裏面である第2面(副面161b)と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面(副面162b)と、前記第1面の裏面である第2面(主面162a)と、を含み、
前記第1回路基板の前記第2面(副面161b)は、前記第2回路基板の前記第2面(主面162a)と対向する、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0132】
(10)によれば、スイッチングレギュレータから第1サーミスタコネクタを離すことができるので、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度が向上し、エアロゾル生成装置の電源ユニットで行われる制御の精度が向上する。
【0133】
(11) (1)から(10)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源が接続される電源コネクタ(バッテリコネクタ222、224)を、備え、
前記電源コネクタは、前記第2回路基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0134】
(11)によれば、大電流が流れることからノイズ源になる虞がある電源コネクタから第1サーミスタコネクタを遠ざけることで、サーミスタの出力値にノイズが混在しにくくなる。これにより、サーミスタを用いて検出される温度の精度が向上し、エアロゾル生成装置の電源ユニットで行われる制御の精度が向上する。
【0135】
(12) (2)から(7)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板には、前記第1サーミスタコネクタとは異なる第2サーミスタコネクタ(吸気検出用コネクタ230)が配置され、
前記第2サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部(上端部161c)に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0136】
(12)によれば、第1サーミスタコネクタ及び第2サーミスタコネクタを一方側の端部に集約することでコネクタへの接続作業を容易にでき、さらに配線を端部以外の箇所に接続した場合と比べて、配線が基板上の他の電子部品に物理的に干渉しにくくなる。これにより、電子部品に応力が加わりにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0137】
(13) (12)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板には、前記第1サーミスタコネクタ及び前記第2サーミスタコネクタとは異なる第3サーミスタコネクタ(ケース温度検出用コネクタ228)が配置され、
前記第3サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における前記一方側の端部(上端部161c)に配置され、
前記第2サーミスタコネクタ及び前記第3サーミスタコネクタは、前記第1サーミスタコネクタが配置される前記第1回路基板の面(主面161a)とは異なる面(副面161b)に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0138】
(13)によれば、第1~第3サーミスタコネクタを第1回路基板の一方側の端部に集約しつつも、一方の面にのみ配置する場合よりも基板の面積を有効活用できるので、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズを低減できる。
【0139】
(14) 電源(電源BAT)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータ(ヒータHTR)が接続されるヒータコネクタ(ヒータコネクタCn)と、
サーミスタ(電源サーミスタT1、パフサーミスタT2、ヒータサーミスタT3、ケースサーミスタT4)と、
前記サーミスタが接続されるサーミスタコネクタ(電源温度検出用コネクタ234、吸気検出用コネクタ230、ヒータ温度検出用コネクタ240、ケース温度検出用コネクタ228)と、
第1回路基板(MCU搭載基板161)と、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板(レセプタクル搭載基板162)と、を備え、
前記サーミスタコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第1回路基板にのみ配置され、
前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板と前記第2回路基板のうち前記第2回路基板にのみ配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0140】
(14)によれば、同一基板にヒータコネクタとサーミスタコネクタが実装されないことで、ヒータとヒータコネクタを結ぶ配線と、サーミスタとサーミスタコネクタを結ぶ配線が絡みにくくなる。これにより、それぞれの配線へ応力が加わりにくくなることで配線の浮遊容量や浮遊抵抗が減り、サーミスタを用いて検出される温度の精度を向上できる。併せて、それぞれの配線へ加わる応力が減ることから、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。また、コネクタへの接続作業を容易にできる。
【0141】
なお、本出願は、2021年5月10日出願の日本特許出願(特願2021-079896)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0142】
9 昇圧DC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)
100 非燃焼式吸引器(エアロゾル生成装置の電源ユニット)
161 MCU搭載基板(第1回路基板)
161a 主面(第1面)
161b 副面(第2面)
161c 上端部(第1回路基板の一方側の端部)
162 レセプタクル搭載基板(第2回路基板)
162a 主面(第2面)
162b 副面(第1面)
162c 上端部(第2回路基板の一方側の端部)
222 正極側バッテリコネクタ(電源コネクタ)
224 負極側バッテリコネクタ(電源コネクタ)
228 ケース温度検出用コネクタ(第3サーミスタコネクタ)
230 吸気検出用コネクタ(第2サーミスタコネクタ)
234 電源温度検出用コネクタ
240 ヒータ温度検出用コネクタ(第1サーミスタコネクタ)
301 平坦部
302 半円部
BAT 電源
HTR ヒータ
Cn ヒータコネクタ
T1 電源サーミスタ(サーミスタ)
T2 パフサーミスタ(サーミスタ)
T3 ヒータサーミスタ(第1サーミスタ)
T4 ケースサーミスタ(サーミスタ)
VIN 入力端子
VOUT 出力端子
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータと、
前記ヒータに接する又は近接する第1サーミスタと、
前記第1サーミスタから離間した第2サーミスタと、
前記第1サーミスタが接続される第1サーミスタコネクタと、
前記第2サーミスタが接続される第2サーミスタコネクタと、
前記第1サーミスタコネクタと前記第2サーミスタコネクタが配置される第1回路基板と、
前記第1サーミスタと前記第1サーミスタコネクタを接続する第1配線と、
前記第2サーミスタと前記第2サーミスタコネクタを接続する第2配線と、を備え、
前記第1配線は、前記第2配線より短い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、所定方向に伸びた形状を有し、
前記第1サーミスタコネクタと前記第2サーミスタコネクタは、前記第1回路基板の前記所定方向における一方側の端部に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータは、前記所定方向における前記一方側に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面と、前記第1面の裏面であり且つ前記第2サーミスタコネクタが配置される第2面と、を含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板とは別体の第2回路基板と、
前記電源へ接続される入力端子と、前記ヒータへ接続される出力端子と、を含むスイッチングレギュレータと、を備え、
前記スイッチングレギュレータは、
入力される電圧を、前記出力端子から変換して出力可能に構成され、且つ
前記第2回路基板へ配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面と、前記第1面の裏面であり且つ前記第2サーミスタコネクタが配置される第2面と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2回路基板の前記第1面と前記第1回路基板の前記第1面の間の距離は、前記第2回路基板の前記第1面と前記第1回路基板の前記第2面の間の距離より長い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、前記第1サーミスタコネクタが配置される第1面と、前記第1面の裏面であり且つ前記第2サーミスタコネクタが配置される第2面と、を含み、
前記第2回路基板は、前記スイッチングレギュレータが配置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第1回路基板の前記第2面は、前記第2回路基板の前記第2面と対向する、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1サーミスタ及び前記第2サーミスタから離間した第3サーミスタと、
前記第3サーミスタが接続される第3サーミスタコネクタと、
電子部品と、を備え、
前記第1回路基板は、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2サーミスタコネクタと前記第3サーミスタコネクタと前記電子部品は、前記第2面に配置され、
前記第2サーミスタコネクタと前記第3サーミスタコネクタの一方と前記電子部品の間の距離は、前記第2サーミスタコネクタと前記第3サーミスタコネクタの間の距離より短い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1サーミスタ及び前記第2サーミスタから離間した第3サーミスタと、
前記第3サーミスタが接続される第3サーミスタコネクタと、
電子部品と、を備え、
前記第1回路基板は、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記第2サーミスタコネクタと前記第3サーミスタコネクタと前記電子部品は、前記第2面に配置され、
前記電子部品は、前記第2サーミスタコネクタと前記第3サーミスタコネクタの間に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。