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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081797
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】手持ち式電動バキューム
(51)【国際特許分類】
   A47L 5/24 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A47L5/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062896
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2021011209の分割
【原出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸い込み作業を行うバキュームにおいて、作業時の騒音を抑制、送風機の破損を抑止し、大きな吸引物を効率よく収集できるようにし、吸い込み(バキューム)と吹き出し(ブロア)の切り替えを簡易に行える。
【解決手段】パイプ10の外側に設けられ、電動モータによって駆動される送風機20と、前記パイプ10の外側であって前記パイプ10の長手方向前記排出口寄りに設けられる手持ち用のハンドル30と、前記パイプ10の長手方向前記吸い込み口寄りに設けられ、前記送風機による圧力風を前記パイプ10の周囲から前記パイプ10内に送り込んで、前記排出口に向けて噴出させるエジェクタ部40とを備え、前記エジェクタ部40は、前記パイプ10の中心軸周りに設けられ前記送風機による圧力風が導入される環状流路が、前記パイプ10の外側に突出して設けられ、前記環状流路では、前記圧力風が前記中心軸周りの旋回流になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い込み作業を行う手持ち式の電動バキュームであって、
一端側に吸い込み口を有し他端側に排出口を有するパイプと、
前記パイプの外側に設けられ、電動モータによって駆動される送風機と、
前記パイプの外側であって前記パイプの長手方向前記排出口寄りに設けられる手持ち用のハンドルと、
前記パイプの長手方向前記吸い込み口寄りに設けられ、前記送風機による圧力風を前記パイプの周囲から前記パイプ内に送り込んで、前記排出口に向けて噴出させるエジェクタ部とを備え、
前記エジェクタ部は、
前記パイプの中心軸周りに設けられ前記送風機による圧力風が導入される環状流路が、前記パイプの外側に突出して設けられ、
前記環状流路では、前記圧力風が前記中心軸周りの旋回流になることを特徴とする手持ち式電動バキューム。
【請求項2】
前記パイプの内径は、前記パイプの全長に亘って前記吸い込み口の口径以上であることを特徴とする請求項1記載の手持ち式電動バキューム。
【請求項3】
前記パイプは、長手方向中央部から前記排出口の間に屈曲部を有することを特徴とする請求項1又は2項記載の手持ち式電動バキューム。
【請求項4】
電動バキューム本体の重心位置が、前記ハンドルにおける把持部の下方に位置することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の手持ち式電動バキューム。
【請求項5】
前記パイプの外側には、前記排出口寄りに前記電動モータに給電するバッテリが取り付けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の手持ち式電動バキューム。
【請求項6】
前記バッテリの重心位置と前記送風機の重心位置の間に、前記ハンドルが位置することを特徴とする請求項5記載の手持ち式電動バキューム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵や回収物などの吸い込み作業を行う手持ち式の電動バキュームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
落ち葉などの塵や回収物などを吸い込んで収集する作業(以下、吸い込み作業)に用いられるバキュームは、送風機による吸引でパイプ内に吸引圧(負圧)を生じさせ、パイプの一端側に設けた吸い込み口から塵などをパイプ内に吸い込んで、吸い込んだ塵などの吸引物をパイプの他端側に設けた排出口から袋等の収集体内に収集するものである(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9874225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のバキュームは、パイプ内を負圧にするために、パイプ内の空気を送風機で吸引し、パイプから分岐した圧力流路からパイプ外に放出しており、吸い込み口からパイプ内に吸い込まれた吸引物の一部は、ファンが回転する送風機のケーシングを経由して圧力流路に送られる。このため、従来のバキュームは送風機のファンと吸引物とが接触して、騒音を発生したり、ファンの破損を招いたりする問題があった。
【0005】
また、従来のバキュームは、前述した圧力流路では、送風機が介在する部分で流路が狭くなってしまうので、吸い込み口からパイプ内に吸い込んだ大きな吸引物は圧力流路を介して収集することができない。また、メインのパイプの圧力流路より下流側は、排出口に向けて大きな送風圧が得られないので、大きな吸引物を円滑に排出口に送り出すことができない。このため、従来のバキュームは、大きな吸引物を効率よく収集することができない問題があった。
【0006】
更に、従来のバキュームは、吸い込み作業の専用機であるが、広範囲の落ち葉清掃などでは、周囲に広がっている落ち葉をある程度地上で集めた状態で吸い込むことが効率的であり、吸い込み作業を行う前に、吹き出し用のブロアを併用することが行われている。このため、吸い込みと吹き出しを切り替えられる作業機が求められているが、従来のバキュームでは構造上簡易に切り替えを行うことができない問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、吸い込み作業を行うバキュームにおいて、作業時の騒音を抑制すること、送風機の破損を抑止すること、大きな吸引物を効率よく収集できるようにすること、吸い込み(バキューム)と吹き出し(ブロア)の切り替えを簡易に行えるようにすること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
吸い込み作業を行う手持ち式の電動バキュームであって、一端側に吸い込み口を有し他端側に排出口を有するパイプと、前記パイプの外側に設けられ、電動モータによって駆動される送風機と、前記パイプの外側であって前記パイプの長手方向前記排出口寄りに設けられる手持ち用のハンドルと、前記パイプの長手方向前記吸い込み口寄りに設けられ、前記送風機による圧力風を前記パイプの周囲から前記パイプ内に送り込んで、前記排出口に向けて噴出させるエジェクタ部とを備え、前記エジェクタ部は、前記パイプの中心軸周りに設けられ前記送風機による圧力風が導入される環状流路が、前記パイプの外側に突出して設けられ、前記環状流路では、前記圧力風が前記中心軸周りの旋回流になることを特徴とする手持ち式電動バキューム。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有する本発明の手持ち式電動バキュームは、吸い込み作業を行うバキュームにおいて、作業時の騒音を抑制することができ、また、送風機の破損を抑止することができ、また、大きな吸引物を効率よく収集することができ、また、吸い込み(バキューム)と吹き出し(ブロア)の切り替え機構を簡易に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る手持ち式電動バキュームの外観図((a)が側面図、(b)が正面図)。
図2図1(b)におけるZ1-Z1断面図。
図3図1(a)におけるY1-Y1断面図である。
図4】手持ち式電動バキュームのパイプを地面に置いた状態の説明図。
図5】手持ち式電動バキュームにおける送風機とバッテリの配置例を示した説明図((a)が配置例1、(b)が配置例2、(c)が配置例3、(d)が配置例4)。
図6】手持ち式電動バキュームの使用状態を示した説明図。
図7】手持ち式電動バキュームの吸い込み(バキューム)と吹き出し(ブロア)切り替え機構を示した説明図((a)が吸い込み状態、(b)が吹き出し状態)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1図3に示すように、手持ち式電動バキューム(以下、単にバキューム)1は、吸い込み作業を行うハンドヘルド作業機であり、塵や回収物を吸引するパイプ10と、送風機20と、ハンドル30と、エジェクタ部40を備えている。
【0013】
パイプ10は、一端側に吸い込み口10Aを有し他端側に排出口10Bを有しており、吸い込み口10Aからパイプ10内に吸い込んだ吸引物を排出口10Bから排出する。吸い込み作業時には、排出口10Bに図示省略した収集袋等が装着される。
【0014】
パイプ10は、図示の例では、吸い込み口10Aを有する先端パイプ11と、先端パイプ11が先端側に接続され基端側に排出口10Bを有する本体パイプ12を備えている。
【0015】
また、パイプ10は、先端パイプ11と本体パイプ12の全長に亘って、吸い込み口10Aの口径と同じかまたはそれ以上の内径を有している。これにより、吸い込み口10Aからパイプ10内に吸い込まれた全ての吸引物は、大きな抵抗を受けることなく、円滑に排出口10Bまで送られる。
【0016】
図示の例では、パイプ10は、長手方向中央部10Cから排出口10Bの間に屈曲部10Tを有しているが、屈曲部10Tを設けることなく直線状のものであってもよい。
【0017】
送風機20は、パイプ10の外側に設けられている。より具体的には、送風機20は、パイプ10の外周に近接配置されている。図2を参照し、送風機20は、内蔵された電動モータ21によって駆動される遠心送風機であり、電動モータ21の駆動軸とファン22の回転軸が同軸であって、パイプ10の長手方向と交差する方向に配備されている。ボリュート形状を有する送風機20のケーシング23は、パイプ10の外周に沿って配置されており、ファン22の回転で吸い込み部24から吸い込まれた風がケーシング23内を通って、パイプ10の外周に沿って配置される圧力流路25内に圧縮空気として送られる。尚、圧縮空気を送ることができれば、図示の遠心送風機に替えてコンプレッサー等を採用してもよい。
【0018】
手持ち用のハンドル30は、パイプ10の外側であって、パイプ10の長手方向排出口10B寄りに設けられる。図示の例では、ハンドル30は、パイプ10の長手方向中央部10Cと排出口10Bの間に配置されている。
【0019】
また、図示の例では、ハンドル30は、パイプ10の屈曲部10T上に設けられており、一端側が屈曲部10Tより先端側に接続され他端側が屈曲部10Tより基端側に接続されるハンドル枠31を備えている。ハンドル枠31には、中央に把持部32が設けられ、把持部32の内側には、送風機20の電動モータ21の回転速度を調整する操作部材33が設けられている。
【0020】
パイプ10の外側には、排出口10B寄りに電動モータ21に給電するバッテリ50が取り付けられている。図示の例では、パイプ10におけるハンドル30より基端側であって、ハンドル30の下側が、バッテリ50の収容部になっている。
【0021】
エジェクタ部40は、パイプ10の長手方向吸い込み口10A寄りに設けられ、送風機20による圧力風をパイプ10の周囲からパイプ10内に送り込んで、排出口10Bに向けて噴出させるものである。エジェクタ部40から噴出される圧力風は、パイプ10の内面に沿って、排出口10Bに向けて噴出される。この圧力風により、その内側の圧力が低下することになり、パイプ10内には、吸い込み口10Aから排出口10Bに向けた吸引流が発生する。
【0022】
エジェクタ部40は、パイプ10の外側に突出して設けられる環状流路41を備えている。環状流路41は、パイプ10の中心軸P周りに環状に設けられており、環状流路41には、圧力流路25を介して送風機20による圧力風が導入される。図1(b)及び図3に示すように、圧力流路25は、環状流路41に対してその中心がオフセットした位置に接続されている。これによって、環状流路41では、圧力風がパイプ10の中心軸P周りの旋回流になる。
【0023】
環状流路41は、パイプ10の中心軸P周り全周でパイプ10内部に連通する開口部42を有している。そして、開口部42に対応するパイプ10の内部には、ノズル部43が形成され、このノズル部43から圧力風が旋回しながらパイプ10の内面に沿って噴出される。
【0024】
図示の例では、ノズル部43は、本体パイプ12内に挿入された先端パイプ11によって形成されている。これによると、エジェクタ部40の環状流路41からは、本体パイプ内に挿入されている先端パイプ11の外側に向けて圧力風が送風され、先端パイプ11の外側(外周面)に沿って、圧力風が排出口10Bに向けて噴出される。
【0025】
このように構成されるバキューム1は、パイプ10内に一端側の吸い込み口10Aから他端側の排出口10Bに至る分流のない一方向の吸引流を形成する。また、パイプ10内には縮径部が無いので、パイプ10は、大きな吸引物を通すのに十分な大きさの内径を長手方向に沿って維持している。
【0026】
これにより、バキューム1は、吸い込み口10Aからパイプ10内に吸い込んだ吸引物を効率よく排出口10Bに導くことができ、吸い込み口10Aから大きな吸引物を吸い込んだ場合にも、詰まり等を生じることなく円滑に排出口10Bに導いて収集することができる。
【0027】
特に、バキューム1は、エジェクタ部40からパイプ10内に旋回流が送り込まれるので、その旋回流によって、吸引物を巻き込みながら排出口10Bまで搬送することができ、吸引圧を過剰に高くしなくても、遠心力によって確実な吸引物の搬送が可能になる。
【0028】
また、このバキューム1は、パイプ10内から送風機20に向かう送風が生じないので、送風機20内に、パイプ10内に吸い込んだ吸引物が入り込むことがない。これにより、吸引物が送風機20のファン22に衝突して、騒音を発生したり、ファン22を破損したりする不具合が生じることがなく、作業中の騒音を抑制できると共に、送風機20の破損を抑止して高い耐久性を維持することができる。
【0029】
次に、バキューム1の各部の配置構成について説明する。図1図3に示した例では、バキューム1は、パイプ10の先端側(吸い込み口10A側)から、エジェクタ部40、送風機20、ハンドル30、バッテリ50の順に配置されている。また、パイプ10に屈曲部10Tを設けて、屈曲部10Tの上側にハンドル30を設け、屈曲部10Tの下側のスペースに送風機20の駆動回路51を設けている。
【0030】
このような各部の配置によると、エジェクタ部40に近接して送風機20を配置することで、圧力流路25の長さを短くすることができ、送風性能損失を少なくすることができる。また、屈曲部10Tを設けることによってパイプ10の周りに生じる空きスペースを効率よく利用して、送風機20や駆動回路51を配置しているので、全体として各部がパイプ10周りにコンパクトに収められている。更には、重量物であるバッテリ50をハンドル30の近くに配置していることで、ハンドル30の把持部32を片手で持った時の重量負担を軽減することができる。
【0031】
また、屈曲部10Tを有するパイプ10において、パイプ10の下側に送風機20や駆動回路51を配置した場合には、図4に示すように、バキューム1本体を地面に置いたときに、屈曲部10Tによって生じるパイプ10下方の空きスペースに送風機20等が収まるので、地面に送風機20等が当たってしまう不具合を回避することができる。
【0032】
しかしながら、前述したバキューム1の各部の配置は一例であって、各種の配置構成を適宜採用することができる。図5はその例を示している。(a)は、配置例1を示しており、この例では、パイプ10の下側に送風機20とバッテリ50を配置している。(b)は、配置例2を示しており、この例では、送風機20は、パイプ10の上側に配置しており、バッテリ50は、ハンドル30の基端側に配置している。(c)は、配置例3を示しており、この例では、送風機20をパイプ10の下側に配置し、バッテリ50をパイプ10の上側に配置している。(d)は、配置例4を示しており、送風機20をパイプ10の下側に配置し、バッテリ50をハンドル30の下側に配置している。なお、この例に限らず、重量バランス等を考慮して各種の配置が可能である。
【0033】
バキューム1は、図6に示すように、片手でハンドル30の把持部32を把持して、パイプ10の吸い込み口10Aを下向きにして吸い込み作業を行う。パイプ10の排出口10Bには、パイプ10に吸い込んだ吸引物を収集するための袋B等が適宜接続される。
【0034】
この際、図1等に示した例では、バキューム1が備える重量物である送風機20とバッテリ50が把持部32の前後に分けて配置されている。これにより、送風機20の重心位置G1とバッテリ50の重心位置G2の間にハンドル30が位置することになり、送風機20の重量(重心位置G1)とバッテリ50の重量(重心位置G2)を合成した重量の重心位置G0(ここが大凡バキューム本体の重心位置になる)が、把持部32の鉛直方向下方に重なって位置している。
【0035】
このように、バキューム1本体の重心位置がハンドル30における把持部32の下方に位置する重量バランスにすることで、作業者は、バランス良く把持部32を把持して、大きな重量負荷を受けることなく作業を行うことができる。また、図4に示した各例の場合にも、適宜重量バランスを考慮することで、図6に示した例と同様に、ハンドヘルド作業機として快適な作業が可能になる。
【0036】
図7に示した実施形態のバキューム1Tは、前述したバキューム1に簡単な切り替え機構を付加することで、吸い込み作業と吹き出し作業の切り替えを可能にしている(切り替え機構以外は前述したバキューム1と同様の構成になる。)。
【0037】
切り替え機構としては、先端パイプ11が、本体パイプ12に対してスライド自在に接続されており、先端パイプ11の外周には、エジェクタ部40に送り込まれた圧力風を排出口10B側に噴出させるか吸い込み口10A側に噴出させるかを切り替える仕切り板11Aが設けられている。
【0038】
図7(a)は、吸い込み作業を行う際の切り替え状態を示している。この状態では、先端パイプ11は、矢印aの方向(先端側)にスライドして、仕切り板11Aが環状流路41における先端側の縁に設けられたストッパに当接している。これにより、仕切り板11Aが環状流路41からパイプ10内の先端側に向かう圧力風を塞ぐことになり、環状流路41からパイプ10内に入る圧力風は、先端パイプ11の外周に沿って排出口10Bに向けて噴出される。この状態では、先端パイプ11の先端が吸い込み口10Aになり、パイプ10内には、吸引流が形成される。
【0039】
これに対して、図7(b)は、吹き出し作業を行う際の切り替え状態を示している。この状態では、先端パイプ11は、矢印bの方向(基端側)にスライドして、仕切り板11Aが環状流路41における基端側の縁に設けられたストッパに当接している。これにより、仕切り板11Aが環状流路41からパイプ10内の基端側に向かう圧力風を塞ぐことになり、環状流路41からパイプ10内に入る圧力風は、先端パイプ11の外周に沿って先端側(吸い込み口10A側)に向けて噴出される。この状態では、先端パイプ11の先端側が吹き出し口になり、パイプ10内には、パイプ10の基端側から先端側に向けた吐出流が形成される。
【0040】
図7(b)に示した例では、先端パイプ11の先端(吸い込み口10A)が本体パイプ12の内側に収納された状態になっている。これによると、先端パイプ11の外周に沿って先端側に噴出された圧力風が、本体パイプ12の先端部内側で方向規制され、広がりを抑えた風が本体パイプ12の先端側から吹き出されることになる。これにより、ターゲットを定めた吹き出しが可能になって効果的に寄せ集め作業を行うことができる。
【0041】
このように、図7に示した本発明の実施形態に係るバキューム1Tは、簡単な切り替え機構を付加することで、バキュームとブロアの兼用作業機になる。従来技術として、アタッチメントを外付けするなどして、バキュームとブロアの切り替えを行う例は知られているが、この場合にはアタッチメントの着脱が煩雑になり、切り替えに多大な手間を要していた。本発明の実施形態に係るバキューム1Tは、アタッチメントの着脱は不要であり、簡易な切り替え操作だけで、バキュームとブロアの切り替えが可能になるので、操作が簡単であるだけでなく、アタッチメントを別途保管する必要が無く保管等の管理も容易になる。
【0042】
本発明の実施形態に係るバキューム1Tは、広範囲の落ち葉清掃などでは、ブロアに切り替えて、周囲に広がっている落ち葉をある程度地上で集めた状態にし、その後バキュームに切り替えて、集めた落ち葉などを吸い込むことができるので、効率的な収集作業が可能になる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,1A~1D,1T:バキューム(手持ち式電動バキューム),
10:パイプ,10A:吸い込み口,10B:排出口,
10C:中央部,10T:屈曲部,
11:先端パイプ,11A:仕切り板,12:本体パイプ,
20:送風機,21:電動モータ,22:ファン,
23:ケーシング,24:吸い込み部,25:圧力流路,
30:ハンドル,31:ハンドル枠,32:把持部,33:操作部材,
40:エジェクタ部,41:環状流路,42:開口部,43:ノズル部,
50:バッテリ,51:駆動回路,P:中心軸,G0,G1,G2:重心位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7