(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081798
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】遠位側に延在するコイルおよび成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61M25/09 516
A61M25/09 550
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063078
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2022044864の分割
【原出願日】2017-07-10
(31)【優先権主張番号】62/363,760
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/611,328
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515246317
【氏名又は名称】サイエンティア・バスキュラー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】リッパート,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,エドワード・ジェイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形可能な先端部を有し、有効なトルク伝達性を有する改良されたガイドワイヤデバイスを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤデバイス100が、近位側セクション110と、テーパ状の遠位側セクション112とを有するコア102を有する。チューブ構造104がコアに結合され、その結果、コアのテーパ状の遠位側セクションがチューブ構造の中まで延在し、チューブ構造を越えて遠位側へと延在する。チューブを越えて遠位側へと延在するコアの一部分が成形可能な先端部106を形成する。また、1つまたは複数のコイル114,118がチューブを越えて遠位側へと延在する。先端部が、チューブ構造からの弾性力により先端部のカスタマイズされた形状が乱される傾向を低減するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、前記ガイドワイヤデバイスが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアであって、前記遠位側セクションが前記近位側セクションより小さい直径を有する、コアと、
前記コアに結合されるチューブ構造であって、その結果、前記コアの前記遠位側セクションが前記チューブ構造の中まで通過し、前記チューブ構造を越えて遠位側へと通過し、成形可能な先端部を形成する、チューブ構造と、
前記先端部の少なくとも一部分を包囲する1つまたは複数のコイルと
を備える
ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記コアの前記遠位側セクションが前記コアの前記近位側セクションから先細となる、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項3】
前記成形可能な先端部が、約0.5cmから5cm、または約1cmから3cmの距離で前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記1つまたは複数のコイルが、前記チューブ構造の遠位端に結合され、前記チューブ構造から遠位側へと延在する外側コイルを有する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記外側コイルが、ニチノールと比較してより弾性的に変形可能である材料から形成される、請求項4に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記外側コイルがステンレス鋼から形成される、請求項5に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記1つまたは複数のコイルが前記チューブ構造内に少なくとも部分的に配設される内側コイルを有し、前記外側コイルが、前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する前記内側コイルの少なくとも一部分を包囲する、請求項4に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項8】
前記1つまたは複数のコイルが、前記コアの外側表面と前記チューブ構造の内側表面との間に位置決めされるように前記チューブ構造内に少なくとも部分的に配設される内側コイルを有する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項9】
前記内側コイルが前記コアと前記チューブ構造との間の空間の中を満たすようにサイズおよび形状を構成され、その結果、前記チューブ構造の湾曲時に前記チューブ構造の湾曲部分が前記コアの一致する部分の湾曲部分に位置合わせされる、請求項8に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項10】
前記内側コイルがX線不透過材料から形成される、請求項8に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項11】
前記内側コイルが白金から形成される、請求項10に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項12】
前記チューブ構造がニチノールから形成される、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項13】
前記コアがステンレス鋼から形成される、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項14】
前記チューブ構造が、円周方向に延在する複数のリングを結合する軸方向に延在する複数のビームを画定する複数の窓を有する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項15】
前記複数の窓が、ワンビーム切欠部パターン、ツービーム切欠部パターン、またはスリービーム切欠部パターン、のうちの1つまたは複数の切欠部パターンとなるように構成される、請求項14に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項16】
前記窓が、前記チューブ構造の長さ方向に沿う連続する各セグメントを1つ前のセグメントから円周方向に回転させるような回転方向のオフセットを有する切欠部パターンを画定する、請求項14に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項17】
前記窓が、前記チューブ構造の遠位端に向かって増大する深さを有する切欠部を有する、および/または前記チューブ構造の遠位端に向かって縮小する連続する切欠部の間の間隔を有する、切欠部パターンを画定する、請求項14に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項18】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、前記ガイドワイヤデバイスが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアであって、前記遠位側セクションが前記近位側セクションより小さい直径を有する、コアと、
前記コアに結合されるチューブ構造であって、その結果、前記コアの前記遠位側セクションが前記チューブ構造の中まで通過し、前記チューブ構造を越えて遠位側へと通過し、成形可能な先端部を形成し、ここでは前記チューブ構造が、軸方向に延在する複数のビームと、円周方向に延在する複数のリングとを画定する複数の窓を有する、チューブ構造と、
前記コアの前記遠位側セクションの少なくとも一部分を包囲する内側コイルであって、前記内側コイルの一部分が、前記コアの外側表面と前記チューブ構造の内側表面との間に配設され、前記内側コイルの一部分が、前記先端部の少なくとも一部分を包囲するように前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する、内側コイルと、
前記チューブ構造の遠位端に結合され、前記チューブ構造から遠位側へと延在する外側コイルであって、前記外側コイルが、前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する前記内側コイルの前記一部分を包囲する、外側コイルと
を備える
ガイドワイヤデバイス。
【請求項19】
前記内側コイルおよび前記外側コイルが、前記先端部のところの前記コアに、無効にするように働く復元力を受けさせないように、構成される、請求項18に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項20】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスを使用する方法であって、前記方法が、
ガイドワイヤデバイスを提供するステップであって、前記ガイドワイヤデバイスが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアであって、前記遠位側セクションが前記近位側セクションより小さい直径を有する、コアと、
前記コアに結合されるチューブ構造であって、その結果、前記コアの前記遠位側セクションが前記チューブ構造の中まで通過し、前記チューブ構造を越えて遠位側へと通過し、成形可能な先端部を形成し、ここでは前記チューブ構造が、軸方向に延在する複数のビームと、円周方向に延在する複数のリングとを画定する複数の窓を有する、チューブ
構造と、
前記コアの前記遠位側セクションの少なくとも一部分を包囲する内側コイルであって、前記内側コイルの一部分が、前記コアの外側表面と前記チューブ構造の内側表面との間に配設され、前記内側コイルの一部分が、前記先端部の少なくとも一部分を包囲するように前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する、内側コイルと、
前記チューブ構造の遠位端に結合され、前記チューブ構造から遠位側へと延在する外側コイルであって、前記外側コイルが、前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する前記内側コイルの前記一部分を包囲する、外側コイルと
を有する、ステップと、
前記先端部を成形するステップと、
前記ガイドワイヤデバイスを患者の脈管構造の中まで送るステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「GUIDEWIRE DEVICES HAVING DISTALLY EXTENDING COILS AND SHAPEABLE TIPS」と題される、2017年6月1日に出願された米国特許出願第15/611,328号、および「GUIDEWIRE DEVICES HAVING SHAPEABLE TIPS」と題される、2016年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/363,760号の優先権および利益を主張するものである。上で言及したすべての出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ガイドワイヤデバイスが、しばしば、患者の身体内の標的の解剖学的ロケーションまでカテーテルまたは他の介入デバイスを誘導または案内するのに使用される。通常、ガイドワイヤは、例えば患者の心臓または神経血管組織のところにある可能性があるかまたはその近くにある可能性があるような、標的のロケーションに到達するために、患者の脈管構造の中までおよび患者の脈管構造を通るように通過させられる。ガイドワイヤを標的のロケーションまでナビゲートするのを補助するために、通常、X線撮像が利用される。多くの事例では、ガイドワイヤは介入手技中に身体内の定位置に残され、ここでは、ガイドワイヤが、標的の解剖学的ロケーションまで複数のカテーテルまたは他の介入デバイスを案内するのに使用され得る。
【0003】
[0003]一部のガイドワイヤデバイスは、湾曲するつまり曲げられた先端部を用いて構成され、それにより手術者がより良好に患者の脈管構造までナビゲートすることが可能となる。このようなガイドワイヤを用いる場合、先端部を方向付けて所望の方向に向けることを目的として、手術者がガイドワイヤの近位端にまたは取り付けられる近位側のハンドルにトルクを加えることができる。次いで、手術者が、患者の脈管構造内でガイドワイヤをさらに所望の方向に移動させることができる。
【0004】
[0004]ガイドワイヤデバイスの、また特にはガイドワイヤデバイスの遠位側セクションの、可撓性を調整することも考慮すべき事柄である。多くの環境では、標的の領域に辿り着くように脈管構造の通路の蛇行する屈曲部または湾曲部を介してガイドワイヤに角度をつけるのを可能にすることを目的として、ガイドワイヤの十分な曲げ性を得るために、可撓性のレベルが比較的高いことが所望される。例えば、ガイドワイヤを神経脈管構造(neurovasculature)の一部分にまでガイドワイヤを移動させるには、頸動脈サイフォンまたは他の蛇行する経路などの、湾曲する通路を通るようにガイドワイヤを通過させることが必要である。
【0005】
[0005]ガイドワイヤデバイスに関連する別の考慮すべき事柄は、近位端から遠位端までトルクを伝達するための所与のガイドワイヤデバイスの能力である(つまり、ガイドワイヤデバイスの「トルク伝達性(torquability)」)。ガイドワイヤが脈管構造の通路の中までまたは脈管構造の通路を通るようにさらに通過させられるとき、ガイドワイヤと脈管構造との間の摩擦面接触の量が増大し、それにより脈管構造の通路を通るガイドワイヤの容易な移動を妨げる。良好なトルク伝達性を有するガイドワイヤは、近位端のところのトルクによる力(torqueing force)を、ガイドワイヤを通して遠位端に伝達するのを可能にし、その結果、ガイドワイヤが回転することができ、摩擦力に打ち勝つことができる。
【0006】
[0006]一部のガイドワイヤデバイスは、加えられるねじり力をデバイスの端部の方のさらに遠位側へ移動させるために、ガイドワイヤコアの遠位端の上に位置決めされる、遠位側に配置される微細機械加工されたハイポチューブを有する。ねじり力は主として部材の断面の外側セクションを通して伝達されることから、チューブは、チューブによって覆われないガイドワイヤコアによって伝達されるトルクの大きさと比較してトルクの伝達を強化するような経路を提供するように構成される。
【0007】
[0007]このようなガイドワイヤデバイスは多くの利点を提供するが、複数の制約が依然として残る。例えば、トルク伝達チューブを有するガイドワイヤの設計特性の多くは、トルク伝達を強化することを実現するように機能するが、ガイドワイヤ先端部の成形可能性に不利に働き、成形可能性を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本開示は、成形可能な先端部を有し、有効なトルク伝達性を有するガイドワイヤデバイスに関連する。一実施形態では、ガイドワイヤデバイスが、近位側セクションと、遠位側セクションとを有するコアを有する。遠位側セクションが近位側セクションより小さい直径となるように先細となってよい。チューブ構造がコアに結合され、その結果、コアの遠位側セクションがチューブ構造の中まで通過し、チューブ構造を越えて遠位側へと通過し、成形可能な先端部を形成する。ガイドワイヤデバイスが、コアの遠位側部分の少なくとも一部分を包囲する内側コイルをさらに有する。内側コイルが、内側コイルの近位側部分をコアの外側表面とチューブ構造の内側表面との間に配設されるように、および成形可能な先端部の少なくとも一部分を包囲するように内側コイルの遠位側部分がチューブ構造を越えて遠位側に延在するように、位置決めされる。ガイドワイヤデバイスが、チューブ構造の遠位端に結合されてチューブ構造から遠位側に延在する外側コイルをさらに有する。外側コイルが内側コイルの少なくとも一部分を包囲するように位置決めされる。先端部が、チューブ構造からの弾性力により先端部のカスタマイズされた形状が乱される傾向を低減するように構成される。
【0009】
[0009]一実施形態では、コアがステンレス鋼から形成され、および/またはステンレス鋼を含み、チューブ構造がニチノールなどの超弾性材料から形成され、および/またはニチノールなどの超弾性材料を含み、内側コイルが白金などのX線不透過材料から形成され、および/または白金などのX線不透過材料を含み、外側コイルがステンレス鋼から形成され、および/またはステンレス鋼を含む。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、チューブ構造が、円周方向に延在する複数のリングを結合する軸方向に延在する複数のビームを画定する複数の窓を有する。チューブ構造が、ワンビーム(one-beam)切欠部パターン、ツービーム(two-beam)切欠部パターン、スリービーム(three-beam)切欠部パターン、または4つ以上のビームの切欠部パターン、のうちの1つまたは複数の切欠部パターンを有することができる。いくつかの実施形態では、チューブ構造の長さにわたって好適な曲げ方向の範囲を最小にするために、連続するセグメントの間に回転方向のオフセットが適用される。
【0011】
[0011]追加の特徴および利点は、その一部が以下の記述に記載され、またその一部が本記述から明らかとなり、あるいは本明細書で開示される実施形態を実施することによって理解され得る。本明細書で開示される実施形態の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に明示される要素および組み合わせによって実現および達成される。上記の概要および下記の詳細な説明は、両方が、単に例示的および説明的なものであり、本明細書で開示されるまたは特許請求される実施形態を限定するものではない。
【0012】
[0012]本発明の上で列記した利点および特徴ならびに他の利点および特徴が如何にして得られ得るかを説明することを目的として、上で概説した本発明のより具体的な説明を、添付図面で示される特定の実施形態を参照して提供する。これらの図面が単に本発明の典型的な実施形態を描いており、本発明の範囲を限定するものとみなされないことを理解して上で、添付図面を利用して本発明をさらに具体的におよび詳細に描写および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]有効なトルク伝達性を提供し、成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスの例示の実施形態を示す図である。
【
図2】[0014]
図1のガイドワイヤデバイスの断面図である。
【
図3】[0015]ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図4】ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図5】ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図6】ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図7】ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図8】ガイドワイヤデバイスのチューブ内に形成され得る種々の例示の切欠部パターンを示す図である。
【
図9】[0016]ガイドワイヤデバイスと共に利用され得る種々の遠位側先端部の構成を示す図である。
【
図10】ガイドワイヤデバイスと共に利用され得る種々の遠位側先端部の構成を示す図である。
【
図11】ガイドワイヤデバイスと共に利用され得る種々の遠位側先端部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
導入部
[0017]本開示は、有効な解剖学的ナビゲーション能力(anatomical navigation capability)を提供するガイドワイヤデバイスに関連する。ガイドワイヤを操作して標的の解剖学的ロケーションまで移動させる能力は、トルク伝達性と成形先端部を維持するための能力との間のバランスを維持しながらそれらの間のトレードオフを最適化することに依存する。ガイドワイヤデバイスが、手術者が遠位側先端部を回転させることにより先端部を脈管構造内の所望の方向に向けるのを可能にするための成形可能な先端部を有することができる。しかし、このようなガイドワイヤデバイスのトルク伝達性が不十分である場合、成形遠位側先端部の向きを制御するために手術者がねじり力を常に成形遠位側先端部まで伝達することが不可能となる。このような障害は、脈管構造の中へとさらにガイドワイヤデバイスが前進させられてより大きい摩擦抵抗を受けるときにその問題性が増大する。加えて、ガイドワイヤデバイスが成形先端部を適切に形成および維持することができない場合、先端部の向きを調節するためのガイドワイヤデバイスの能力を制限することになり、脈管構造内でのナビゲーションがより困難なものとなる。
【0015】
[0018]本明細書で説明される実施形態が、ガイドワイヤのトルク伝達性と成形先端部を形成および維持するための能力との間のバランスを維持するおよび/またはそれらの間の関係を最適化する1つまたは複数の特徴を提供する。このガイドワイヤはガイドワイヤの
配備中の手術者の操作に対して応答的であり、伝達されるねじり力を成形遠位側先端部が受けるのを可能にすることにより有効なナビゲーション能力を提供する。
【0016】
[0019]いくつかの実施形態では、成形可能な先端部が、患者の脈管構造内にガイドワイヤデバイスを配備する直前に先端部を手動で成形することになどにより、手術者が先端部をカスタム成形することが可能となる。したがって、選好および/または条件に従って、また特には所与の用途に従って、手術者が遠位側先端部の成形をカスタマイズすることが可能となる。また、ガイドワイヤデバイスは、成形先端部を維持しながらトルクを効果的に伝達するように構成される。本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態が、手技の全体を通してまたは複数の手技の全体を通して、つまり反対に作用する再成形力(reshaping force)を受けるまで永久的に、曲げられたつまり湾曲した形状を維持することが可能である先端部を有する。
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイス
[0020]
図1および2が、有効な成形可能な先端部を有する例示のガイドワイヤデバイス100を示す。
図1がデバイスの側面図を示し、
図2がデバイスの断面図を示す。ガイドワイヤデバイス100がコア102を有する。チューブ104がコア102に結合され、コア102に取り付けられるポイントから遠位側に延在する。示されるように、コア102の遠位側セクションがチューブ104の中まで延在し、チューブ104によって囲まれる。いくつかの実施形態では、コア102が1つまたは複数のテーパ状セクションを有し、その結果、コア102がチューブ104の中に嵌合されてチューブ104の中まで延在することができる。例えば、コア102の遠位側セクションが、漸進的に先細となり遠位端のところでより小さい直径となるように研削され得る。この実施例では、コア102およびチューブ104が取り付けポイント103のところで実質的に同等の外径を有し、取り付けポイント103のところでコア102およびチューブ104が互いに隣接して取り付けられる。
【0017】
[0021]コア102からチューブ104までねじり力を伝達してそれによりチューブ104によりねじり力を遠位側にさらに伝達するのを可能にする形で、チューブ104がコア102に結合される(例えば、接着、はんだ付け、および/または溶接を利用する)。医療グレードの接着剤が、1つまたは複数のポイント(例えば、取り付けポイント103を含む)でチューブ104をコアワイヤ102に結合するのに使用され得る。医療グレードの接着剤/ポリマーが、デバイスの遠位端のところでも、非外傷性の被覆物120を形成するのに使用され得る。
【0018】
[0022]後でより詳細に説明されるように、チューブ104が複数の切欠部を有するように微細加工される。切欠部が、良好なトルク伝達性も維持しながら、ガイドワイヤデバイス100の遠位側先端部の近くのところに有効な成形可能性を好都合に提供する切欠部パターンを形成するように構成される。分かり易いように、
図1および2では切欠部パターンが示されない。チューブ104内で利用され得る切欠部パターンの例が
図3から8に示される。
【0019】
[0023]いくつかの実施形態では、ガイドワイヤデバイス100の近位側セクション110が、標的の解剖学的領域(図示せず)まで送達するために十分なガイドワイヤ長を提供するのに必要な長さだけ近位側に延在する。近位側セクション110が、通常、約50から300cm(約19.69から118.11インチ)の範囲の長さを有する。近位側セクション110が約0.36mm(約0.014インチ)の直径を有することができるか、または約0.20から3.175mm(約0.008から0.125インチ)の範囲内にある直径を有することができる。コア102の遠位側セクション112が、約0.051mm(約0.002インチ)の直径、または約0.025から1.27mm(約0.001から0.050インチ)の範囲内にある直径まで先細となってよい。いくつかの実施
形態では、チューブ104が約3から100cm(約1.18から39.37インチ)の範囲内にある長さを有する。チューブ104がニチノールなどの超弾性材料から形成され得、および/またはニチノールなどの超弾性材料を含むことができる。別法として、チューブ104が線形弾性材料から形成され得、および/または線形弾性材料を含み得る(例えば、少なくとも約6%の復元可能なひずみ(recoverable strain)を有する)。チューブ104を越えて遠位側に延在するデバイスの部分(先端部106と称される)が、約0.5から5cmの長さ、または約1から3cmの長さを測定することができる。
【0020】
[0024]いくつかの実施形態では、コア102の遠位側セクション112が円形断面となるように先細となる。いくつかの実施形態では、コア102の遠位側セクション112が扁平断面または長方形の断面を有する。遠位側セクション112が、別の多角形形状、卵形形状、不規則な形状、またはその長さ方向に沿う異なる領域における異なる断面形状の組み合わせなどの、別の断面形状を有してもよい。
【0021】
[0025]通常、使用者が、ガイドワイヤデバイス100の(約)1cmから3cmの遠位側部分を所望の形状にするように手動で曲げるか、ねじるか、または他の形で操作することにより、ガイドワイヤデバイス100の遠位端を成形する。示されるガイドワイヤデバイス100が、チューブ104を越えて遠位側に延在する遠位側先端部106を有する。先端部106が、手術者が先端部106を所望の形状にするように手動で曲げるか、ねじるか、または他の形で操作するのを可能にするように、成形可能となるように構成される。いくつかの実施形態では、先端部106が、ステンレス鋼、白金、および/または他の成形可能材料から形成される1つまたは複数の成形可能な構成要素を有する。好適な実施形態では、先端部106が、加工硬化性を呈する材料から形成される1つまたは複数の構成要素を有し、その結果、成形されるとき(つまり、塑性変形されるとき)、先端部が成形前よりも成形セクションのところに高い弾性率を提供することになる。
【0022】
[0026]内側コイル114が、コア102の遠位側セクション112の少なくとも一部分においてチューブ104内に部分的に位置決めされる。内側コイル114がチューブ104を越えて遠位側に延在し、先端部106の一部分を形成する。内側コイル114が、好適には、白金群、金、銀、パラジウム、イリジウム、オスミウム、タンタル、タングステン、ビスマス、ジスプロシウム、およびガドリニウムなどの、1つまたは複数のX線不透過材料から形成される。加えてまたは別法として、コイル114が、ステンレス鋼から、または使用者によって曲げられるかまたは他の形で操作された後で成形状態を効果的に維持することができる他の材料から、少なくとも部分的に形成されてよい。
【0023】
[0027]示される実施形態では、内側コイル114がデバイスの遠位端のところにまたはその近くに配設され、取り付けポイント103に向かって近位側に一定の距離で延在する。示されるデバイスでは、内側コイル114の長さの大部分がチューブ104を越えて遠位側に延在する。他の実施形態では、内側コイル114が近位側にさらに延在してもよい。内側コイル114は、遠位端から、1、2、4、6、8、10、12、15、20、25、30、または35cmだけ延在してよいか、あるいは上記の値のうちの任意の2つの値によって画定される範囲内にある距離で延在してもよい。
【0024】
[0028]いくつかの実施形態では、チューブ104を越えて遠位側に延在する内側コイル114のセクションが、内側コイル114のより近位側のセクションとは異なる材料で形成されてもよい。例えば、内側コイル114の遠位側セクションが、ステンレス鋼、および/または有効な成形可能性を提供するように主として選択される他の材料から形成され得、対して、内側コイル114の近位側セクションが、白金、または有効なX線不透過性を提供するように主として選択される他の材料から形成される。いくつかの実施形態では
、内側コイル114が1つの一体部片として形成される。他の実施形態では、内側コイル114が、互いに隣接して位置決めされる、および/または撚り合わせコイルを介してインターロックされる複数の別個のセクションを有する。加えてまたは別法として、このような別個のセグメントが、完全な内側コイル114を形成するように、互いに、はんだ付けされ得るか、接着され得るか、または他の形で固定され得る。
【0025】
[0029]示される実施形態は内側コイル114の外側表面とチューブ104の内側表面との間の空間を示すが、視覚化を容易にするためにこれが概略的になされることを理解されたい。いくつかの実施形態では、内側コイル114が、コア102とチューブ104との間の空間をより高い割合で占有して中を満たすようにサイズ決定される。例えば、内側コイル114は、コア102の外側表面およびチューブ104の内側表面の両方に当接されるようにサイズ決定され得る。いくつかの実施形態が、チューブ104およびコア102が同一の広がりをもつようなガイドワイヤデバイス100のこのセクションの少なくとも一部分のところでコア102とチューブ104との間に空間を有することができる。
【0026】
[0030]チューブ104内に配設される内側コイル114の部分が、好都合に、コア102とチューブ104との間の空間の中を満たすように機能することができ、それによりコア102の遠位側セクション112の湾曲部分をチューブ104の湾曲部分に位置合わせすることができる。例えば、湾曲部分がチューブ104内に形成される場合、内側コイル114の密に詰め込まれるセグメントがチューブ104と遠位側セクション112との間の詰め物として機能し、遠位側セクション112に同じ湾曲部分を与える。対照的に、このような詰め物を省いたガイドワイヤデバイスのコアは、チューブと同じ湾曲部に従わない可能性があり、一方でチューブは、強制的に湾曲させられる前にチューブの内側表面に当接されるところまで延在することができる。
【0027】
[0031]示されるように、先端部106はチューブ104ではなくさらに遠位側へと延在する。示される構成は、好都合には、チューブ104およびガイドワイヤ100の残りの部分を基準とした所望の位置に合わせて先端部106を成形すること、および十分に長い時間で先端部106を成形位置に留めることを可能にする。チューブの成形可能性に依存するかまたはチューブ内により完全に配設される成形可能な構成要素に依存するガイドワイヤデバイスとは対照的に、示される先端部106は、チューブ104自体から、無効にするように働く復元力を受けることなく成形構成を維持することが可能である。
【0028】
[0032]加えて、後でより完全に説明されるように、チューブ104が、チューブ104の遠位側領域のところに十分な可撓性も提供しながら有効なトルク伝達性を維持する切欠部パターンを有することができ、それにより先端部106のカスタム形状が乱されることが回避される。好適な実施形態では、コアの成形可能な遠位側セクションが、成形後にコアの遠位側セクションに作用するチューブからの予想される曲げ力に耐えることができるスティフネスを有する。いくつかの実施形態では、コアの成形可能な遠位側セクションが、チューブを形成するのに使用される材料の弾性率の約1.5から4倍の弾性率、または約2から3倍の弾性率を提供する材料または材料の組み合わせから形成される。
【0029】
[0033]示される実施形態とは対照的に、所望される遠位側先端部の形状を提供するのにチューブを成形することに依存するガイドワイヤデバイスは成形構成を保持することができず、つまり比較的短い時間しか成形構成を保持することができない。成形先端部のこの劣化効果は、チューブ構造が通常はニチノールまたは他の超弾性材料から形成されることを少なくとも部分的に理由として、起こる。このようなチューブは、曲げられるかまたは成形されるとき、それらの元の(直線の)位置の方に付勢され、それにより任意の成形可能な内部構成要素に復元力を与え、それにより先端部のカスタマイズされた形状を変形させて失わせる。
【0030】
[0034]例えば、遠位側においてチューブ構造のところで終端するか、または先端部を成形するのにチューブ構造を曲げることに実質的に依存するガイドワイヤは、しばしば、配備前に成形先端部を有する。しかし、超弾性のチューブが所望の先端部形状とは反対にその元の形状に向かって屈曲することを理由として、成形先端部がガイドワイヤの使用中に失われるかまたは劣化する。対照的に、本明細書で説明される実施形態は、ガイドワイヤデバイスの隣接する構成要素の変形させる復元力を受けることなく成形され得る先端部を提供する。
【0031】
[0035]示されるガイドワイヤデバイス100では、外側コイル118が内側コイル114の遠位側に延在するセクションの上に重なる。内側コイル114および外側コイル118が類似のコイル特性を使用してもよく、または類似しないコイル特性を使用してもよい(コイルワイヤの直径、ピッチ、など)。通常、外側コイル118が、内側コイル114のワイヤ直径と比較してより大きい直径のコイルワイヤから形成される。外側コイル118が、ステンレス鋼、または適切な成形可能性を提供することができる他の適切な材料から形成され得る。
切欠部パターン
[0036]
図3から8が、本明細書で説明されるガイドワイヤデバイスの実施形態うちの1つまたは複数の実施形態で利用され得るチューブ切欠部パターンの例示の実施形態を示す。例えば、
図1および2に示される実施形態のチューブ104が、
図3から8に示される構成のうちの1つまたは複数の構成に従って切削され得る。
【0032】
[0037]切欠部パターンは、円周方向に延在する隣接するリングの各ペアの間に配設される軸方向に延在するビームの数に従って本明細書において称される。
図3および4が「ワンビーム」切欠部パターンを示し、
図5および6が「ツービーム」切欠部パターンを示し、
図7が「スリービーム」切欠部パターンを示す。他の実施形態が、隣接するリングの各ペアの間に4つ以上のビームを有してもよい(例えば、フォービーム切欠部パターン、ファイブビーム切欠部パターン、など)。
【0033】
[0038]
図3に示されるチューブ構造304が、隣接するリング334の各ペアの間に配設される単一のビーム332を有する。隣接するビームのペアが示されるように180度で交互になってよい。加えてまたは別法として、セクションが、
図4のチューブ404のビーム432およびリング434によって示されるように、チューブの一定の長さに沿って片側に位置決めされるビームを有することができる。
【0034】
[0039]
図5に示されるチューブ構造504が、隣接するリング534の各ペアの間に配設される円周方向において対向するビーム532のペアを有する。各ペア内の対応するビーム532が、
図5に示されるように円周方向において対称に離間され得る(つまり、約180度で)。別法として、
図6のチューブ604のビーム632およびリング634によって示されるように、対応するビームが円周方向において非対称であってもよい。
図7に示されるチューブ構造704が、隣接するリング734の各ペアの間に配設されるビーム732の三つ組を有する。各三つ組内の対応するビームが示されるように円周方向において対称に離間され得るか(つまり、約120度で)、または何らかの非対称の構成に従って位置決めされてもよい。
【0035】
[0040]一般に、隣接するリングの各ペアの間に残されるビームの数が増えると、チューブのスティフネスが相対的に増大する。したがって、切欠部パターンは、チューブの長さ方向に沿って所望の可撓性プロフィールを提供するように選択され得る。切欠部の間隔、幅、および/または深さも、所望の可撓性特性を提供するように変化してよい。例えば、1つのチューブ構成が相対的に低い可撓性および相対的に高いトルク伝達性を有する近位
側セクションを有することができ、この近位側セクションは相対的に高い可撓性および相対的に低いトルク伝達性を有する遠位側セクションへと急激な形で移行する。好都合には、このような切欠部パターンによって提供される可撓性により、チューブがガイドワイヤの内部構造(例えば、コア)の形状を変形させることが最小となるかまたは防止され得、その結果、先端部のカスタマイズされる形状がより良好に形成されて維持され得る。
【0036】
[0041]円周方向において実質的に等間隔で離間されるビームを備える、ツービーム切欠部パターンを有するチューブのセクションは(
図5と同様)、通常、トルクを伝達するための相対的に高い能力と、相対的に低い可撓性とを有し、対して、非対称に離間されるビームを有するチューブのセクションは(
図6と同様)、通常、対称に離間されるビームパターンのトルクの伝達性(torque transmissibility)および可撓性とワンビームパターンのトルクの伝達性および可撓性との間にあるような、トルクの伝達性および可撓性を有する。ビームの対応するペアの位置決めの円周方向における対称性が低下すると、得られるビームが円周方向においてより近接し、したがって非対称のツービーム切欠部がワンビーム切欠部パターンにより似たものとなる。したがって、このような非対称のツービームパターンは、対称のツービームパターンとワンビームパターンとの間の移行部分として使用され得る。
【0037】
[0042]切欠部パターンは、チューブの長さ方向に沿う繰り返しの構造ユニットの「セグメント」を形成することができる。典型的なワンビームの実施形態では、1つのセグメントが、2つの隣接するリング334(1つの近位側リング、および1つの遠位側リング)の間に配設される第1のビーム332と、回転方向において第1のビーム332から約180度だけオフセットされる、遠位側リングから延在する第2の反対側にあるビーム332とによって画定され得る。同様に、典型的なツービームの実施形態では、1つのセグメントが、2つの隣接するリング534(1つの近位側リング、および1つの遠位側リング)の間に配設されるビーム532の第1のペアと、回転方向においてビームの第1のペアから約90度だけオフセットされる、遠位側リングから延在するビーム532の第2のペアとによって画定され得る。同様に、典型的なスリービームの実施形態では、1つのセグメントが、2つの隣接するリング734(1つの近位側リング、および1つの遠位側リング)の間に配設されるビーム732の第1の三つ組と、回転方向において第1の三つ組から約60度だけオフセットされる、遠位側リングから延在するビーム732の第2の三つ組とによって画定され得る。
【0038】
[0043]
図8が、複数のビーム832およびリング834を有するチューブ804を示す。示される切欠部パターンが、チューブ内での好適な曲げ方向の範囲を最小にするようにチューブ804の連続する各々のセグメントに適用される回転方向のオフセットを有する。本明細書で使用される場合の「回転方向のオフセット」は、2つの隣接するセグメントの間での角回転である。したがって、セグメント内の個別の切欠部も互いにオフセットされる可能性がある場合でも、回転方向のオフセットが1つのセグメントから次のセグメントに適用される。
【0039】
[0044]示されるように、切欠部は、1つのセグメントから次のセグメントまでの、実質的に一定の回転方向のオフセットを形成するように構成され得る。示される切欠部パターンは、1つのセグメントから次のセグメントまでの、約5度の回転方向のオフセットを示す。このような角度的オフセットを有する複数の連続するセグメントが形成される場合、チューブ804の十分な長さに沿うビームの得られるパターンは、継続的に回転する螺旋パターンとしてチューブ804の軸に巻きつく。角度的オフセットは、約5、15、30、45、60、75、80、または85度であってよい。いくつかの実施形態では、角度的オフセットは連続する各セグメントに適用される。他の実施形態では、複数の連続するセグメントが、角度的オフセットの適用前にはオフセットを有さないように互いに隣り合
うように配設される。
【0040】
[0045]示される実施例は、一連の回転方向のオフセットを有するツービーム切欠部パターンを示す。しかし、同じ原理が、ワンビーム切欠部パターン、スリービーム切欠部パターン、または隣接するリングのペアごとに4つ以上のビームを有する切欠部パターンなどの、他の切欠部パターンにも適用され得ることが理解されよう。好適な実施形態では、所与のセクションの長さ方向に沿う連続する各切欠部または切欠部のセット(例えば、1つおき、2つおき、3つおき、など)が、約1、2、3、5、または10度で回転方向にオフセットされるか、あるいはワンビームパターンの180度から、約1、2、3、5、または10度だけオフセットされるか、ツービームパターンの90度から、約1、2、3、5、または10度だけオフセットされるか、スリービームパターンの60度から、約1、2、3、5、または10度だけオフセットされるか、さらに多数のビームを有するパターンにおいて同様にオフセットされる。これらの回転方向のオフセット値は、屈曲させるような付勢力(flexing bias)を排除するための好都合に示される良好な能力を有する。
【0041】
[0046]
図3から8に示される切欠部パターンの別個の構成要素および特徴は別のチューブ構成を形成するように組み合わされ得る。例えば、いくつかのチューブが、ワンビーム切欠部のセクションへと移行するツービーム切欠部のセクションを有するように構成され得る。
先端部の変形形態
[0047]
図9から11が、本明細書で説明される実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態と共に利用され得る種々の遠位側先端部の構成の実施形態を示す。
図9が連続的な直径の先端部構成を示す。ここでは、テーパ状のコア902を囲むコイル918が実質的に連続的な直径を有する。
図10が段のある先端部構成を示し、ここでは、コア1002の上に位置決めされる外側コイル1018が実質的に連続的な直径を有する。より小さい直径の内側コイル1014が、先端部の階段状に変化する直径を提供するように、外側コイル1018よりさらに遠位側に延在するように位置決めされる。
図11がテーパ状の先端部構成を示しており、ここでは、コイル1118がコア1102の少なくとも一部分のテーパ部分に適合するように先細となる。
図9から11に示される先端部の実施形態が、本明細書で説明されるガイドワイヤデバイスの実施形態のうちの任意の実施形態と組み合わされ得る。例えば、所望の先端部構成が、所与のガイドワイヤの用途のための所望の成形可能性特性および/または可撓性特性を提供するように選択され得る。
【0042】
[0048]本明細書で使用される「およそ」、「約」、および「実質的に」という表現は、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果を依然として達成する、言及した量または条件に近い量または条件を表す。例えば、「およそ」、「約」、および「実質的に」という表現は、言及した量または条件から、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満で逸脱する量または条件を意味することができる。
【0043】
[0049]本明細書で描写および/または説明される任意の実施形態に関連して説明した要素は、本明細書で描写および/または説明される任意の他の実施形態に関連して説明した要素と組み合わせ可能となり得る。例えば、
図3から8のうちの任意の図のチューブセクションに関連して説明した任意の要素、および/または
図9から11のうちの任意の図の先端部構成に関連して説明した任意の要素が、
図1および2のガイドワイヤデバイスと組み合わされ得、またそれらと共に使用され得る。上記の組み合わせのうちの任意の組み合わせにおいて、コアワイヤの遠位側先端部が、円形形状、扁平形状、または別の形状であってよい。
【0044】
[0050]本発明は、本発明の精神または本質的性質から逸脱することなく他の形態で具体
化され得る。説明される実施形態は、あらゆる点において、単に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意義の範囲内およびその均等物の範囲内にあるすべての変更形態が本発明の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、前記ガイドワイヤデバイスが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアであって、前記遠位側セクションが前記近位側セクションより小さい直径を有する、コアと、
前記コアに結合されるニチノールチューブ構造であって、その結果、前記コアの前記遠位側セクションが前記チューブ構造の中まで通過し、前記チューブ構造を越えて遠位側へと通過し、成形可能な先端部を形成する、ニチノールチューブ構造と、
前記成形可能な先端部の少なくとも一部分を包囲するコイルと
を備え、
前記コイルが、(i)ステンレス鋼から形成され、前記ニチノールチューブ構造の遠位端に結合され、前記チューブ構造から遠位側へと延在する外側コイル、および(ii)前記チューブ構造内に少なくとも部分的に配設される内側コイルを有し、前記外側コイルが、前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する前記内側コイルの少なくとも一部分を包囲し、
前記内側コイルが、使用者によって曲げられた後で形状を効果的に維持することができる材料から少なくとも部分的に形成され、
前記内側コイルが、前記コアの外側表面と前記チューブ構造の内側表面との間に少なくとも部分的に位置決めされ、
前記内側コイルが前記コアと前記チューブ構造との間の空間の中を満たすようにサイズおよび形状を構成され、その結果、前記チューブ構造の湾曲時に前記チューブ構造の湾曲部分が前記コアの一致する部分の湾曲部分に位置合わせされ、
前記内側コイルが、前記コアの前記外側表面および前記チューブ構造の前記内側表面の両方に当接されるようにサイズ決定されている、
ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記コアの前記遠位側セクションが前記コアの前記近位側セクションから先細となる、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項3】
前記成形可能な先端部が、0.5cmから5cm、または1cmから3cmの距離で前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記内側コイルがX線不透過材料から形成される、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記内側コイルが白金から形成される、請求項4に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記コアがステンレス鋼から形成される、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記チューブ構造が、円周方向に延在する複数のリングを結合する軸方向に延在する複数のビームを画定する複数の窓を有する、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項8】
前記複数の窓が、ワンビーム切欠部パターン、ツービーム切欠部パターン、またはスリービーム切欠部パターン、のうちの1つまたは複数の切欠部パターンとなるように構成される、請求項7に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項9】
前記窓が、前記チューブ構造の長さ方向に沿う連続する各セグメントを1つ前のセグメントから円周方向に回転させるような回転方向のオフセットを有する切欠部パターンを画定する、請求項7に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項10】
前記チューブ構造を越えて遠位側へと延在する前記内側コイルの前記一部分は、前記チューブ構造の長さ方向に沿って、前記内側コイルの前記チューブ構造内にある部分よりも長い、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項11】
前記外側コイルのワイヤの直径が、前記内側コイルのワイヤの直径より大きい、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【外国語明細書】