IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フタバ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-接合体及びその製造方法 図1
  • 特開-接合体及びその製造方法 図2
  • 特開-接合体及びその製造方法 図3
  • 特開-接合体及びその製造方法 図4
  • 特開-接合体及びその製造方法 図5
  • 特開-接合体及びその製造方法 図6
  • 特開-接合体及びその製造方法 図7
  • 特開-接合体及びその製造方法 図8
  • 特開-接合体及びその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008181
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】接合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 15/00 20060101AFI20240112BHJP
   F16B 13/06 20060101ALI20240112BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20240112BHJP
   F16B 19/10 20060101ALI20240112BHJP
   B21J 15/02 20060101ALI20240112BHJP
   B21J 15/38 20060101ALI20240112BHJP
   B21J 15/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B21J15/00 D
F16B13/06 A
F16B5/04 A
F16B19/10 F
F16B19/10 D
B21J15/02 Z
B21J15/38 Z
B21J15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109828
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安田 圭吾
【テーマコード(参考)】
3J001
3J025
3J036
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001HA02
3J001HA09
3J001JD04
3J001KA02
3J025BA01
3J025CA01
3J036AA05
3J036BA02
3J036FA07
(57)【要約】
【課題】複数の部材が固定具を用いて固定接合された接合体において、せん断強度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】複数の部材が固定接合された接合体は、複数の部材と、固定具と、を備える。複数の部材には、重ね合わされた状態で連通する通し孔が形成される。固定具は、通し孔に挿通可能な軸部と、軸部の軸方向における両側にそれぞれ設けられ、複数の部材を挟持するための第1挟持部及び第2挟持部と、を有する。また、固定具は、軸部が通し孔に挿通され、第1挟持部及び第2挟持部が通し孔の軸方向に遊びをもって複数の部材を挟み込むように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材が固定接合された接合体であって、
重ね合わされた状態で連通する通し孔が形成された前記複数の部材と、
前記通し孔に挿通可能な軸部と、前記軸部の軸方向における両側にそれぞれ設けられ、前記複数の部材を挟持するための第1挟持部及び第2挟持部と、を有する固定具と、
を備え、
前記固定具は、前記軸部が前記通し孔に挿通され、前記第1挟持部及び前記第2挟持部が前記通し孔の軸方向に遊びをもって前記複数の部材を挟み込むように配置されている、接合体。
【請求項2】
請求項1に記載の接合体であって、
前記固定具は、リベットである、接合体。
【請求項3】
請求項1に記載の接合体であって、
前記複数の部材の少なくとも1つは、引張強度が780MPa以上である、接合体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の接合体であって、
前記複数の部材は、複数の接合部により固定接合されており、
前記複数の接合部の少なくとも1つに、前記遊びが設けられた前記固定具が用いられている、接合体。
【請求項5】
請求項1に記載の接合体を製造する前記接合体の製造方法であって、
重ね合わされた前記複数の部材の前記通し孔に、前記軸部及び前記第1挟持部を有する固定部品の前記軸部を挿通することと、
前記通し孔に挿通された前記固定部品の前記軸部における前記複数の部材を挟んだ前記第1挟持部側と反対側に前記第2挟持部を形成することと、
を備え、
前記第2挟持部は、前記複数の部材同士の間、前記複数の部材と前記第1挟持部との間、及び、前記複数の部材と前記第2挟持部との間の少なくとも1つに間隔が設けられるような位置に形成される、接合体の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の接合体の製造方法であって、
前記第2挟持部は、前記複数の部材同士の間、前記複数の部材と前記第1挟持部との間、及び、前記第1挟持部と前記複数の部材を挟んだ反対側の少なくとも1つにスペーサ部材が配置された状態で形成され、
前記スペーサ部材は、前記第2挟持部が形成された後に取り除かれる、接合体の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の接合体の製造方法であって、
前記第2挟持部は、前記固定部品の前記軸部の塑性変形により形成される、接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の部材が固定接合された接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材を貫通して設けられ、これら部材を挟持するリベット等の固定具が知られている。このような固定具は、複数の部材同士の可動機構を構成する接合である可動接合と、複数の部材を固定する接合である固定接合と、の双方に用いられる。固定具が可動接合に用いられる場合、複数の部材同士の相対的な変位を実現するために、固定具は、複数の部材との間に間隔を空けて配置される。一方、固定具が固定接合に用いられる場合、複数の部材同士の相対的な変位を極力抑えるために、固定具は、例えば特許文献1に記載のように、複数の部材との間に間隔を空けずこれら部材を挟持するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-154377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定具を用いた固定接合は、例えば溶接の代替としても利用可能である。しかしながら、固定具を用いた固定接合は、溶接と比較してせん断強度が低くなってしまう場合があった。
【0005】
本開示の一局面は、複数の部材が固定具を用いて固定接合された接合体において、せん断強度を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数の部材が固定接合された接合体であって、複数の部材と、固定具と、を備える。複数の部材には、重ね合わされた状態で連通する通し孔が形成される。固定具は、通し孔に挿通可能な軸部と、軸部の軸方向における両側にそれぞれ設けられ、複数の部材を挟持するための第1挟持部及び第2挟持部と、を有する。また、固定具は、軸部が通し孔に挿通され、第1挟持部及び第2挟持部が通し孔の軸方向に遊びをもって複数の部材を挟み込むように配置されている。
【0007】
このような構成によれば、固定具に通し孔の軸方向における遊びが設けられるため、固定具をせん断させづらくすることができる。したがって、接合体のせん断強度を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、固定具は、リベットであってもよい。
本開示の一態様では、複数の部材の少なくとも1つは、引張強度が780MPa以上であってもよい。
【0009】
本開示の一態様では、複数の部材は、複数の接合部により固定接合されていてもよい。複数の接合部の少なくとも1つに、遊びが設けられた固定具が用いられていてもよい。このような構成によれば、複数の部材同士の相対的な変位を抑制することができる。
【0010】
本開示の別の一態様は、接合体の製造方法であって、重ね合わされた複数の部材の通し孔に、軸部及び第1挟持部を有する固定部品の軸部を挿通することと、通し孔に挿通された固定部品の軸部における複数の部材を挟んだ第1挟持部側と反対側に第2挟持部を形成することと、を備える。第2挟持部は、複数の部材同士の間、複数の部材と第1挟持部との間、及び、複数の部材と第2挟持部との間の少なくとも1つに間隔が設けられるような位置に形成される。
【0011】
このような構成によれば、接合体に設けられる固定具に、通し孔の軸方向における遊びをもたせることができる。したがって、接合体のせん断強度を向上させることができる。
【0012】
本開示の別の一態様では、第2挟持部は、複数の部材同士の間、複数の部材と第1挟持部との間、及び、第1挟持部と複数の部材を挟んだ反対側の少なくとも1つにスペーサ部材が配置された状態で形成されてもよい。スペーサ部材は、第2挟持部が形成された後に取り除かれてもよい。
【0013】
このような構成によれば、比較的簡易な方法により、接合体に設けられる固定具に、通し孔の軸方向における所望の大きさの遊びをもたせることができる。
【0014】
本開示の別の一態様では、第2挟持部は、固定部品の軸部の塑性変形により形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】接合体の模式的な斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図3Aは、挿通工程を説明するための模式的な断面図である。図3Bは、挿通工程における図3Aの次の状態を示す模式的な断面図である。
図4図4Aは、カシメ工程を説明するための模式的な断面図である。図4Bは、カシメ工程における図4Aの次の状態を示す模式的な断面図である。図4Cは、カシメ工程における図4Bの次の状態を示す模式的な断面図である。
図5図5Aは、除去工程を説明するための模式的な断面図である。図5Bは、除去工程における図5Aの次の状態を示す模式的な断面図である。図5Cは、除去工程における図5Bの次の状態を示す模式的な断面図である。
図6図6Aは、第1部材と第2部材との重なり位置がずれるような外力が加わった場合における第2接合部を示す模式図である。図6Bは、第2接合部において固定具がせん断された状態を示す模式図である。
図7図7Aは、第1部材と第2部材との重なり位置がずれるような外力が加わった場合における第1接合部を示す模式図である。図7Bは、第1部材と第2部材との重なり位置がずれるような外力が加わった場合における第1接合部の図7Aの次の状態を示す模式図である。
図8】スペーサ部材の変形例を示す模式的な断面図である。
図9】カシメ工程の変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.接合体の構成]
図1には、接合体1として、車両用のボディ部品における第1部材2A及び第2部材2Bの接合構造を示すための模式的な構造体が示されている。接合体1は、第1部材2Aと第2部材2Bとが固定接合された構造体である。固定接合とは、複数の部材を固定する接合を意味する。
【0017】
第1部材2A及び第2部材2Bは、板状の部材である。第1部材2A及び第2部材2Bは、引張強度の高い高張力鋼材により構成されている。第1部材2A及び第2部材2Bは、例えば、引張強度が340MPa以上の高張力鋼材(いわゆるハイテン材)により構成されてもよいし、引張強度が780MPa以上の高張力鋼材(いわゆる超ハイテン材)により構成されてもよい。本実施形態の第1部材2A及び第2部材2Bは、引張強度が1470MPaの高張力鋼材により構成されている。
【0018】
第1部材2A及び第2部材2Bは、複数の接合部により固定接合されている。接合部とは、第1部材2Aと第2部材2Bとを固定接合するための部分である。例えば、金属製の部材同士の場合、溶接により当該部材同士が固定接合される(つまり溶接により接合部が形成される)ことも考えられる。しかし、第1部材2A及び第2部材2Bのような高張力鋼材に溶接を適用する場合には、溶接割れの発生を抑制するために溶接条件を調整しなければならないことがある。そこで、接合体1においては、図1及び図2に示す第1接合部3A及び第2接合部3Bのように、第1部材2Aと第2部材2Bとの固定接合に固定具4が用いられている。固定具4は、第1部材2A及び第2部材2Bを貫通して設けられ、第1部材2A及び第2部材2Bを挟持することが可能に構成された部材である。
【0019】
具体的には、図2に示すように、第1部材2A及び第2部材2Bのそれぞれに、貫通孔21a,21bが形成されている。これら貫通孔21a,21bは、第1部材2A及び第2部材2Bが重ね合わされた状態において連通する通し孔22を構成する。本実施形態の通し孔22は、直径が軸方向に一定の丸孔である。
【0020】
固定具4は、軸部41と、第1挟持部42と、第2挟持部43と、を有する。
軸部41は、外形が棒状の部分である。軸部41は、通し孔22に挿通可能に構成されている。本実施形態の軸部41は、外形が円柱状であって、その外径が通し孔22の直径よりも一回り以上小さく形成されている。すなわち、軸部41が通し孔22に挿通された状態において、軸部41と通し孔22の内面との間には間隔が設けられる。
【0021】
第1挟持部42及び第2挟持部43は、重ね合わされた第1部材2A及び第2部材2Bを挟持するための部分である。第1挟持部42及び第2挟持部43は、軸部41の軸方向における両側にそれぞれ設けられている。第1挟持部42及び第2挟持部43は、通し孔22を通り抜けない大きさに形成されている。ここでいう通し孔22を通り抜けないこととは、通し孔22の軸方向における一方側から通し孔22を通って他方側へは抜けないことを意味する。本実施形態では、第1挟持部42及び第2挟持部43は、軸部41の軸方向に沿って見て、通し孔22の開口を覆う大きさに形成されている。
【0022】
固定具4の一種としては、例えばリベットが挙げられる。リベットとは、第1挟持部42及び第2挟持部43の一方(例えば第2挟持部43)が塑性変形により形成されることにより、第1部材2Aと第2部材2Bとの接合を実現する部材である。本実施形態では、リベットの中でも、第1部材2Aと第2部材2Bとの重なり方向における一方側からの操作のみによってこれらの接合を実現するブラインドリベットが、固定具4として用いられている。本実施形態における固定具4としてのブラインドリベットは、ステンレス鋼材(SUS)により構成されている。当該ブラインドリベットの引張強度は、第1部材2A及び第2部材2Bの引張強度よりも低い。
【0023】
固定具4は、軸部41が通し孔22に挿通され、第1挟持部42及び第2挟持部43が第1部材2A及び第2部材2Bを挟み込むように配置される。接合体1のように、第1部材2Aと第2部材2Bとの固定接合のために固定具4が用いられる場合には、固定具4は、通常、重ね合わされた第1部材2A及び第2部材2Bとの間に間隔を空けず、これらを挟持するように配置される。これは、第1部材2Aと第2部材2Bとが互いに密着して動かない状態を維持するためである。
【0024】
接合体1においても、第2接合部3Bを構成する固定具4は、重ね合わされた第1部材2A及び第2部材2Bを挟持するように配置されている。すなわち、第2接合部3Bを構成する固定具4は、第1挟持部42及び第2挟持部43が、第1挟持部42と第1部材2Aとの間、第1部材2Aと第2部材2Bとの間、及び、第2部材2Bと第2挟持部43との間のいずれにも間隔が空かないように配置されている。
【0025】
これに対して、第1接合部3Aを構成する固定具4は、第1挟持部42及び第2挟持部43が、第1挟持部42と第1部材2Aとの間、第1部材2Aと第2部材2Bとの間、及び、第2部材2Bと第2挟持部43との間の少なくとも1つに、意図的に間隔が空くように配置されている。第1接合部3Aと第2接合部3Bとを比較すると、第1接合部3Aでは、固定具4は、意図的に通し孔22の軸方向に遊びPをもって配置されている。第2接合部3Bでは、固定具4は、通し孔22の軸方向に遊びが生じないように配置されている。
【0026】
[2.接合体の製造方法]
次に、接合体1の製造方法について説明する。具体的には、接合体1の製造方法の一部を構成する第1接合部3Aの形成方法について説明する。接合体1の製造方法は、挿通工程と、カシメ工程と、除去工程と、を備える。
【0027】
[2-1.挿通工程]
図3A及び図3Bに示す挿通工程は、重ね合わされた第1部材2A及び第2部材2Bの通し孔22に固定部品5を挿通する工程である。
【0028】
固定部品5は、固定具4を形成するための部品である。本実施形態では、固定部品5は、塑性変形により第2挟持部43が形成される前の状態のブラインドリベットである。固定部品5は、外筒部51と、内芯部52と、を有する。
【0029】
外筒部51は、前述した軸部41及び第1挟持部42を有する筒状の部分(いわゆるスリーブ)である。すなわち、外筒部51には、軸部41の軸方向に沿って第1挟持部42側から反対側へ連通する中空部511が形成されている。本実施形態の外筒部51は、円筒状である。
【0030】
内芯部52は、外筒部51に挿通された棒状の部分(いわゆるマンドレル)である。具体的には、内芯部52は、外筒部51における中空部511に挿通されている。内芯部52の軸方向に沿った長さは、外筒部51の軸方向に沿った長さよりも長い。
【0031】
内芯部52の軸方向における一方の端部には、頭部521が設けられている。頭部521は、内芯部52が外筒部51に挿通されている状態において、外筒部51の第1挟持部42側と反対側に位置している。頭部521は、内芯部52の軸方向に沿って見て、外筒部51における中空部511の第1挟持部42側と反対側の開口を覆う大きさに形成されている。また、頭部521の外形は、内芯部52の軸方向に沿って見て、外筒部51の外形に包含される。
【0032】
本実施形態では、内芯部52の軸方向に垂直な断面形状は、円形状である。内芯部52の直径は、頭部521を除き、概ね一定である。ただし、内芯部52の軸方向における中間部には、隣接する他の部分と比較して直径が小さい部分である、くびれ部522が形成されている。
【0033】
図3Aに示すように、挿通工程では、まず、貫通孔21a,21b同士の範囲が重なって通し孔22が形成されるように、第1部材2Aと第2部材2Bとが重ね合わされる。このとき、第1部材2Aと第2部材2Bとの間には、スペーサ部材6が配置される。スペーサ部材6は、第1部材2Aと第2部材2Bとが互いに当接しないようにするための部材である。スペーサ部材6の厚みは、最終的に固定具4に設けられる、通し孔22の軸方向における遊びPに対応する厚みに設計されている。具体的には、スペーサ部材6の厚みは、0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。また、スペーサ部材6の厚みは、5mm以下であることが好ましい。スペーサ部材6は、第1部材2A及び第2部材2Bのそれぞれとの間に間隔を空けないように、双方と密着して配置される。本実施形態では、通し孔22を挟んだ左右に1つずつ、計2つのスペーサ部材6が配置される。
【0034】
続いて、図3Bに示すように、固定部品5が、第1部材2A側から通し孔22に挿通される。このときの固定部品5の向きは、頭部521側を挿通方向に向けた向き、すなわち頭部521が最初に通し孔22を挿通する向きである。固定部品5は、第1挟持部42が第1部材2Aに当接する位置まで、通し孔22に挿通される。第1挟持部42が第1部材2Aに当接している状態において、固定部品5における頭部521側は、通し孔22を突き抜けて第2部材2Bの外側に位置する。
【0035】
[2-2.カシメ工程]
図4A図4Cに示すカシメ工程は、通し孔22に挿通された固定部品5の軸部41の塑性変形により第2挟持部43を形成する工程である。
【0036】
カシメ工程では、まず、図4A及び図4Bに示すように、通し孔22に挿通された固定部品5において、図示しない工具により外筒部51の第1挟持部42が第1部材2Aに押し付けられた状態で、第1部材2Aの外側から内芯部52が引っ張られる。これにより、内芯部52の頭部521が外筒部51の軸部41を押圧して軸部41が塑性変形し、軸部41における第1挟持部42側と反対側に第2挟持部43が形成される。軸部41が第2部材2Bに押し付けられて加締められるため、第2挟持部43は、第2部材2Bに密着して形成される。その結果、第1挟持部42及び第2挟持部43が、スペーサ部材6を挟んで配置された第1部材2A及び第2部材2Bを挟持する状態になる。
【0037】
そして、固定部品5は、内芯部52が第1部材2Aの外側から更に引っ張られることにより、図4Cに示すように、内芯部52がくびれ部522で破断する。すなわち、固定部品5から固定具4が形成される。その結果、固定具4が、スペーサ部材6が挟んで配置された第1部材2A及び第2部材2Bとの間に間隔を空けず、これらを挟持するように配置された状態になる。
【0038】
[2-3.除去工程]
図5A図5Cに示す除去工程は、第1挟持部42及び第2挟持部43により挟持されている第1部材2Aと第2部材2Bとの間からスペーサ部材6を取り除く工程である。
【0039】
除去工程では、まず、図5A及び図5Bに示すように、第1挟持部42及び第2挟持部43により挟持されている第1部材2Aと第2部材2Bとの間から、スペーサ部材6が取り除かれる。スペーサ部材6は、第1部材2Aと第2部材2Bとに挟まれて押圧されている状態であることから、スペーサ部材6を第1部材2Aと第2部材2Bとの間から引き抜くためには一定以上の引抜力が必要である。このため、第1部材2Aと第2部材2Bとの間からスペーサ部材6を引き抜く際には、例えば、油圧シリンダ等の引抜機構が用いられる。第1部材2Aと第2部材2Bとの間からスペーサ部材6が引き抜かれることにより、第1部材2Aと第2部材2Bとの間に間隔Qが設けられた状態になる。
【0040】
続いて、図5Cに示すように、第1部材2A及び第2部材2Bが互いに当接するように、第1部材2A及び第2部材2Bの一方が他方側へ寄せられる。図5Cには、第2部材2Bが第1部材2A側へ寄せられる例が示されている。これにより、固定具4における第2挟持部43と第2部材2Bとの間に間隔Qが設けられた状態になる。
【0041】
このようにして、固定具4が、重ね合わされた第1部材2A及び第2部材2Bを貫通して設けられ、通し孔22の軸方向に遊びPをもって第1部材2A及び第2部材2Bを挟み込んだ状態になる。すなわち、第1接合部3Aが形成された接合体1が得られる。
【0042】
[3.作用]
次に、第1部材2Aと第2部材2Bとの重なり位置がずれるような外力が接合体1に加わった場合における作用について、図6A図7Bを用いて説明する。なお、図6A図7Bは接合体1を断面視した模式図であるが、理解を容易にするためにハッチングを省略している。
【0043】
図6A及び図7Aに示すように、上記のような外力が接合体1に加わった場合、第1接合部3A及び第2接合部3Bにおいて、固定具4の軸部41における軸方向に互いにずれた位置が、第1部材2A及び第2部材2Bによりそれぞれ反対側から押圧される。これにより、第2接合部3Bにおいては、図6Aに示すように、第1部材2A及び第2部材2Bによる荷重が、固定具4における軸部41の軸方向と垂直方向に作用する。このため、軸部41に作用する荷重が大きくなると、図6Bに示すように固定具4がせん断されてしまうことも考えられる。
【0044】
このような固定具4の破損を生じにくくするために、本実施形態の接合体1には、第1接合部3Aを構成する固定具4に、意図的に通し孔22の軸方向における遊びPが設けられている。通し孔22の軸方向における遊びPが設けられることにより、固定具4は、第1部材2A及び第2部材2Bにより上記のように押圧された場合に、図7Bに示すように通し孔22内で傾く。これにより、軸部41の軸方向が押圧方向に対して斜めになるため、第1部材2A及び第2部材2Bにより軸部41に加えられた荷重が、軸部41の軸方向に垂直な成分と平行な成分とに分散される。すなわち、通し孔22の軸方向に遊びPが設けられることにより、固定具4はせん断されにくくなる。したがって、固定具4に通し孔22の軸方向における遊びが設けられない構成と比較して、接合体1全体としてのせん断強度が向上する。
【0045】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)接合体1には、軸部41が通し孔22に挿通され、第1挟持部42及び第2挟持部43が通し孔22の軸方向に遊びPをもって第1部材2A及び第2部材2Bを挟み込むように配置された固定具4が用いられている。
【0046】
このような構成によれば、第1部材2Aと第2部材2Bとの重なり位置がずれるような外力が接合体1に加わった場合に、通し孔22の軸方向に遊びPが設けられた固定具4が通し孔22内で傾いて、当該固定具4における軸部41の軸方向と垂直に作用する荷重を低減させることができる。すなわち、当該固定具4をせん断させづらくすることができる。したがって、接合体1全体としてのせん断強度を向上させることができる。
【0047】
(4b)本実施形態では、固定具4は、リベットである。リベットは、塑性変形を伴って第1部材2Aと第2部材2Bとの固定接合を実現する部材であるため、塑性変形を伴わずに第1部材2Aと第2部材2Bとの固定接合を実現する部材と比較して、外力への耐性が低くなる場合がある。そのような場合でも、固定具4としてのリベットに通し孔22の軸方向における遊びPを設けることにより、接合体1として求められるせん断強度を達成することが可能になる。
【0048】
(4c)本実施形態では、固定具4として、汎用品のリベットが用いられることが想定されている。汎用品の固定具4が用いられる場合であっても、固定具4に通し孔22の軸方向における遊びPを設けることにより、接合体1のせん断強度を向上させることができる。すなわち、専用品を用いなくても、接合体1のせん断強度を向上させることができる。
【0049】
(4d)本実施形態では、第1部材2A及び第2部材2Bは、高張力鋼材である。前述したように、高張力鋼材の固定接合においては、溶接割れの懸念から溶接の代替として固定具4が用いられることがある。固定具4を用いた固定接合は、溶接と比較してせん断強度が低くなってしまう場合があるところ、固定具4に通し孔22の軸方向における遊びPを設けることにより、接合体1として求められるせん断強度を達成することが可能になる。
【0050】
(4e)第1接合部3Aを構成する固定具4には、通し孔22の軸方向に遊びPが設けられている。このため、仮に第1接合部3Aのみにより第1部材2Aと第2部材2Bとが固定接合された場合には、第1部材2A及び第2部材2Bが完全には互いに密着せず、これらに相対的な変位が生じる可能性がある。
【0051】
しかし、接合体1には、第1接合部3Aを含む複数の接合部が設けられている。このような構成によれば、第1部材2A及び第2部材2Bが複数の接合部により固定接合されるため、少なくとも、第1部材2Aの第2部材2Bに対する相対的な回転を抑制することができる。
【0052】
(4f)特に本実施形態では、接合体1における複数の接合部に第2接合部3Bが含まれている。第2接合部3Bを構成する固定具4には、通し孔22の軸方向に遊びが設けられていない。
【0053】
このような構成によれば、第2接合部3Bにおいて固定具4により第1部材2Aと第2部材2Bとが挟持されているため、第1部材2Aと第2部材2Bとの重なり方向における第1部材2Aの第2部材2Bに対する相対的な変位も抑制することができる。具体的には、第1部材2A及び第2部材2Bが互いに密着して動かない状態を維持しやすくすることができる。
【0054】
(4g)接合体1の製造方法では、第1接合部3Aの形成にあたり、第2挟持部43が、第1部材2Aと第1挟持部42との間、第1部材2Aと第2部材2Bとの間、及び、第2部材2Bと第2挟持部43との間の少なくとも1つに間隔Qが設けられるような位置に形成される。
【0055】
このような構成によれば、第1接合部3Aを構成する固定具4に、通し孔22の軸方向における遊びPをもたせることができる。したがって、接合体1のせん断強度を向上させることができる。
【0056】
(4h)接合体1の製造方法では、第1接合部3Aの形成にあたり、第2挟持部43は、第1部材2Aと第2部材2Bとの間にスペーサ部材6が配置された状態で形成される。そして、スペーサ部材6は、第2挟持部43が形成された後に取り除かれる。
【0057】
このような構成によれば、スペーサ部材6が配置された状態で通常どおり固定部品5の軸部41を加締め、その後にスペーサ部材6を取り除くことにより、上記(4g)で述べた間隔Qが設けられるような位置に第2挟持部43を形成することができる。さらに、当該間隔Qの大きさは、スペーサ部材6の厚みを変更することにより調整することができる。したがって、比較的簡易な方法により、第1接合部3Aを構成する固定具4に、通し孔22の軸方向における所望の大きさの遊びPをもたせることができる。
【0058】
(4i)接合体1の製造方法では、上記(4h)でも述べたように、第1接合部3Aの形成にあたり、第1部材2Aと第2部材2Bとの間にスペーサ部材6が配置される。この際、スペーサ部材6を通し孔22に近い位置に配置することにより、固定部品5の軸部41を加締めて第2挟持部43を形成するときに、第2部材2Bが第2挟持部43に押圧されて第1部材2A側に撓んでしまうことを抑制することができる。したがって、固定具4に通し孔22の軸方向における所望の大きさの遊びPを設けやすくすることができる。
【0059】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0060】
(5a)上記実施形態の接合体1の製造方法では、挿通工程において、スペーサ部材6が第1部材2Aと第2部材2Bとの間に配置される。しかし、挿通工程においてスペーサ部材6が配置される位置は、必ずしも第1部材2Aと第2部材2Bとの間でなくてもよい。例えば、スペーサ部材6は、第1部材2Aと固定部品5の第1挟持部42との間に配置されてもよい。より詳細には、スペーサ部材6は、例えば、第1部材2A及び固定部品5の第1挟持部42のそれぞれとの間に間隔を空けないように、双方と密着して配置されてもよい。また例えば、スペーサ部材6は、固定部品5の第1挟持部42と第1部材2A及び第2部材2Bを挟んだ反対側に、第2部材2Bと密着して配置されてもよい。
【0061】
このような位置にスペーサ部材6が設けられた場合であっても、上記実施形態と同様に、その後のカシメ工程において、固定部品5の第1挟持部42を通し孔22の軸方向に隣接する部材(具体的には第1部材2A又はスペーサ部材6)に押し付けた状態で、固定部品5の軸部41を加締め、その後にスペーサ部材6を取り除くことにより、固定具4に通し孔22の軸方向における遊びPをもたせることができる。
【0062】
また例えば、第1部材2Aと第2部材2Bとの間、第1部材2Aと固定部品5の第1挟持部42との間、及び、固定部品5の第1挟持部42と第1部材2A及び第2部材2Bを挟んだ反対側のうちの2つ以上の位置に、スペーサ部材6が配置されてもよい。
【0063】
(5b)上記実施形態の接合体1の製造方法では、挿通工程において、スペーサ部材6が配置された後に、通し孔22に固定部品5が挿通される。しかし、これら操作の順序は特に限定されず、例えば、通し孔22に固定部品5が挿通された後に、スペーサ部材6が配置されてもよい。
【0064】
(5c)上記実施形態では、スペーサ部材6は一定の厚みの部材であるが、スペーサ部材の形状は特に限定されない。例えば、図8に示すように、スペーサ部材6Aは、厚みが徐々に薄くなる形状(つまりテーパ状)であってもよい。この場合、接合体1の製造方法における挿通工程において、例えば、厚みの薄い側を通し孔22に向けてスペーサ部材6Aを配置することにより、カシメ工程にて第2挟持部43が形成された後にスペーサ部材6Aを引き抜く際に、スペーサ部材6Aを引き抜きやすくすることができる。
【0065】
(5d)上記実施形態の接合体1の製造工程では、固定具4に遊びPを設けるためにスペーサ部材6が用いられるが、必ずしもスペーサ部材が用いられなくてもよい。例えば、図9に示すように、カシメ工程において、第1部材2Aにおける第1挟持部42側の面に当接部材7が当接されて、第1部材2Aの第1挟持部42側への移動が規制され、且つ、図示しない保持部材により第1部材2Aとの間に間隔Qが設けられた位置に第1挟持部42が保持された状態で、第1部材2A側から固定部品5の内芯部52が引っ張られて第2挟持部43が形成されてもよい。その後、上記実施形態と同様に内芯部52を更に引っ張って破断させることにより、固定具4に通し孔22の軸方向における遊びPを設けることができる。
【0066】
(5e)上記実施形態の接合体1の製造方法では、除去工程において、スペーサ部材6が取り除かれた後、第1部材2A及び第2部材2Bが互いに当接するように、第1部材2A及び第2部材2Bの一方が他方側へ寄せられる。しかし、第1部材2Aと第2部材2Bとを当接させる操作は、必ずしも行われなくてもよい。
【0067】
(5f)上記実施形態では、固定具4は、リベットである。しかし、固定具は、リベットのような、塑性変形を伴って第1部材2A及び第2部材2Bの固定接合を実現する部材に限定されない。固定具は、例えば、ハトメや、ボルト及びナットの組合せといった、塑性変形を伴わずに第1部材2A及び第2部材2Bの固定接合を実現する部材であってもよい。
【0068】
(5g)上記実施形態では、接合体1における第1接合部3A及び第2接合部3Bには、いずれも固定具4が用いられている。しかし、接合体に設けられる複数の接合部は、固定具4を用いた接合部に限定されない。例えば、スポット溶接等の溶接により、接合体に接合部が形成されてもよい。したがって、接合体に設けられる複数の接合部には、例えば、通し孔22の軸方向に遊びPをもって固定具4が配置されている接合部と、溶接により形成された接合部と、が含まれていてもよい。
【0069】
(5h)上記実施形態の接合体1は、第1部材2A及び第2部材2Bの2つの部材が固定接合された構造体である。しかし、接合体は、3つ以上の部材が固定接合された構造体であってもよい。すなわち、固定具4は、重ね合わされた3つ以上の部材を貫通し、当該3つ以上の部材に形成された通し孔の軸方向に遊びPをもって配置されてもよい。
【0070】
(5i)上記実施形態の第1部材2A及び第2部材2Bは、高張力鋼材により構成されている。また、上記実施形態では、第1部材2A及び第2部材2Bの引張強度として、430MPa以上を例示した。しかし、固定接合される各部材の材質及び引張強度は、特に限定されない。例えば、固定接合される各部材の材質は、鋼の他、鉄、アルミニウム、樹脂等であってもよい。また、固定接合される複数の部材同士の材質及び引張強度は、同一であってもよいし互いに異なってもよい。
【0071】
(5j)固定具の材質及び引張強度も、特に限定されない。また、固定具の引張強度は、必ずしも上記実施形態のように固定接合される各部材の引張強度よりも低くなくてもよい。
【0072】
(5k)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0073】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
複数の部材が固定接合された接合体であって、
重ね合わされた状態で連通する通し孔が形成された前記複数の部材と、
前記通し孔に挿通可能な軸部と、前記軸部の軸方向における両側にそれぞれ設けられ、前記複数の部材を挟持するための第1挟持部及び第2挟持部と、を有する固定具と、
を備え、
前記固定具は、前記軸部が前記通し孔に挿通され、前記第1挟持部及び前記第2挟持部が前記通し孔の軸方向に遊びをもって前記複数の部材を挟み込むように配置されている、接合体。
【0074】
[項目2]
項目1に記載の接合体であって、
前記固定具は、リベットである、接合体。
【0075】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の接合体であって、
前記複数の部材の少なくとも1つは、引張強度が780MPa以上である、接合体。
【0076】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の接合体であって、
前記複数の部材は、複数の接合部により固定接合されており、
前記複数の接合部の少なくとも1つに、前記遊びが設けられた前記固定具が用いられている、接合体。
【0077】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の接合体を製造する前記接合体の製造方法であって、
重ね合わされた前記複数の部材の前記通し孔に、前記軸部及び前記第1挟持部を有する固定部品の前記軸部を挿通することと、
前記通し孔に挿通された前記固定部品の前記軸部における前記複数の部材を挟んだ前記第1挟持部側と反対側に前記第2挟持部を形成することと、
を備え、
前記第2挟持部は、前記複数の部材同士の間、前記複数の部材と前記第1挟持部との間、及び、前記複数の部材と前記第2挟持部との間の少なくとも1つに間隔が設けられるような位置に形成される、接合体の製造方法。
【0078】
[項目6]
項目5に記載の接合体の製造方法であって、
前記第2挟持部は、前記複数の部材同士の間、前記複数の部材と前記第1挟持部との間、及び、前記第1挟持部と前記複数の部材を挟んだ反対側の少なくとも1つにスペーサ部材が配置された状態で形成され、
前記スペーサ部材は、前記第2挟持部が形成された後に取り除かれる、接合体の製造方法。
【0079】
[項目7]
項目5又は項目6に記載の接合体の製造方法であって、
前記第2挟持部は、前記固定部品の前記軸部の塑性変形により形成される、接合体の製造方法。
【符号の説明】
【0080】
1…接合体、2A…第1部材、2B…第2部材、22…通し孔、3A…第1接合部、3B…第2接合部、4…固定具、41…軸部、42…第1挟持部、43…第2挟持部、5…固定部品、6…スペーサ部材、P…遊び、Q…間隔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9