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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081825
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20240612BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240612BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240612BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20240612BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B60L53/14
B60L50/60
H02J7/00 P
H02J7/00 301A
B66F9/06
B66F9/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195273
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】江坂 絵美華
【テーマコード(参考)】
3F333
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA13
5H125AC12
5H125AC22
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】路面とカバー部材との間隙を可及的に狭くすることができ、かつ、路面側給電部に対して車体側受電部を充電可能な位置に案内できることが可能な電動車両の提供にある。
【解決手段】車体11と、車体11に設けられ、路面よりも高く設置された路面側充電装置から給電を可能とする車体側充電装置50と、を有する電動車両である。車体側充電装置50は、路面へ向けて備えられる車体側受電部と、車体側受電部を支持する受電部支持体と、車体11の進行方向と対向し、車体側受電部の側方を覆うカバー部材と、を有し、カバー部材の下端は、路面側給電部の高さよりも低い高さに設定され、カバー部材は、受電部支持体に対して変位可能に設けられ、充電時にカバー部材と路面側充電装置の台座部との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とするように、カバー部材の変位を規制するストッパ部材80が設けられた。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられ、路面よりも高く設置された路面側充電装置から給電を可能とする車体側充電装置と、を有し、
前記路面側充電装置は、
路面に設置され、路面より高い上面を備える台座部と、
前記台座部の上面に備えられた路面側給電部と、を有する電動車両において、
前記車体側充電装置は、
路面へ向けて備えられる車体側受電部と、
前記車体に設けられ、前記車体側受電部を支持する受電部支持体と、
前記車体の進行方向と対向し、前記車体側受電部の側方を覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材の下端は、前記路面側給電部の高さよりも低い高さに設定され、
前記カバー部材は、前記受電部支持体に対して変位可能に設けられ、
充電時に前記カバー部材と前記台座部との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とするように、前記カバー部材の変位を規制するストッパ部材が設けられていることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記車体側受電部は、前記路面側給電部と接触することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記カバー部材の前記進行方向への揺動可能とする支点軸と、
前記カバー部材の下端に設けられ、進入方向に転動可能なローラ部材と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電動車両。
【請求項4】
前記カバー部材は、昇降により前記受電部支持体に対して変位可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両に関連する従来の技術として、例えば、特許文献1に開示された車両の自動充電システムおよび充電装置が知られている。特許文献1に開示された車両の自動充電システムでは、無人搬送車の機台底部にはバッテリを充電するための一対の充電コンタクタが配置されている。無人搬送車の走行経路上に設置されたベースには車両側の充電コンタクタと接触可能に充電コンタクタ及び補助コンタクタが配置されている。ベース側の充電コンタクタと補助コンタクタは、無人搬送車の充電停止位置で車両側の充電コンタクタがベース側の充電コンタクタと所定接触面積を確保した状態で補助コンタクタとも跨がって接触可能に無人搬送車の進行方向に沿って縦列に配置されている。無人搬送車が進入して車両側の充電コンタクタが補助コンタクタと接触すると充電装置はベース側の充電コンタクタへの通電を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-84213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車両の自動充電システムでは、充電時に人の指が入り込むことが可能な間隙が空いており、万が一、指がこの間隙から入り込むと、充電コンタクタに指が触れるおそれがある。そこで、この種の車両では、車両が備える充電コンタクタ等の活電部をガードするためのカバー部材を車両に設けることがある。しかしながら、車両における走行経路上の台座部(ベース)に対する進入側のカバー部材の下端を路面に近づけ過ぎると、車両側の活電部が、路面側の活電部に接近するときに路面側の活電部と干渉し、双方の活電部の接触を妨げるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、路面とカバー部材との間隙を可及的に狭くすることができ、かつ、路面側給電部に対して車体側受電部を充電可能な位置に案内できることが可能な電動車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体と、前記車体に設けられ、路面よりも高く設置された路面側充電装置から給電を可能とする車体側充電装置と、を有し、前記路面側充電装置は、路面に設置され、路面より高い上面を備える台座部と、前記台座部の上面に備えられた路面側給電部と、を有する電動車両において、前記車体側充電装置は、路面へ向けて備えられる車体側受電部と、前記車体に設けられ、前記車体側受電部を支持する受電部支持体と、前記車体の進行方向と対向し、前記車体側受電部の側方を覆うカバー部材と、を有し、前記カバー部材の下端は、前記路面側給電部の高さよりも低い高さに設定され、前記カバー部材は、前記受電部支持体に対して変位可能に設けられ、充電時に前記カバー部材と前記台座部との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とするように、前記カバー部材の変位を規制するストッパ部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、電動車両が路面側給電部から給電を受ける場合、車体側受電部が路面側給電部から電力供給可能な位置へ移動するように、電動車両が路面側給電部へ向けて走行する。このとき、カバー部材の下端は、台座部に案内されて変位し、車体側受電部が路面側給電部から電力供給可能な位置へ移動されると、カバー部材は電動車両の進行方向において台座部の端部付近に位置する。カバー部材の変位はストッパ部材により規制されるので、カバー部材の下端と端部との間の隙間から路面側給電部および車体側受電部へ指が入り込むことはない。
【0008】
また、上記の電動車両において、前記車体側受電部は、前記路面側給電部と接触する構成としてもよい。
この場合、車体側受電部が路面側給電部と接触することにより電動車両の充電を行うことができる。
【0009】
また、上記の電動車両において、前記カバー部材の前記進行方向への揺動可能とする支点軸と、前記カバー部材の下端に設けられ、進入方向に転動可能なローラ部材と、を有する構成とする。
この場合、カバー部材が進行方向へ揺動可能であり、カバー部材の下端にローラ部材が設けられているので、ローラ部材が台座部に案内され、カバー部材は円滑に揺動することができる。
【0010】
また、上記の電動車両において、前記カバー部材は、昇降により前記受電部支持体に対して変位可能である構成としてもよい。
この場合、カバー部材は昇降により変位可能であるので、カバー部材が進行方向に変位することがなく、カバー部材の下端と端部との間の隙間から路面側給電部および車体側受電部へ指が入り込むことはない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、路面とカバー部材との間隙を可及的に狭くすることができ、かつ、路面側給電部に対して車体側受電部を充電可能な位置に案内できることが可能な電動車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る無人フォークリフトの平面図である。
図2】第1の実施形態に係る無人フォークリフトの平面図である。
図3】(a)は路面側充電装置の平面図であり、(b)は路面側充電装置の正面図であり、(c)は路面側充電装置の側面図である。
図4】無人フォークリフトが有する車体側充電装置の正面図である。
図5】無人フォークリフトが有する車体側充電装置の後面図である。
図6】無人フォークリフトが有する車体側充電装置の側面図である。
図7】(a)は無人フォークリフトの走行により路面側充電装置へ向かう車体側充電装置の側面図であり、(b)はカバー部材のローラ部材がテーパ面に案内されている状態を示す側面図であり、(c)は車体側受電部が路面側給電部に接触しつつ前進する状態を示す側面図であり、(d)は無人フォークリフトが停止し充電中の状態を示す側面図である。
図8】車体側充電装置への指の入り込みを規制を説明する要部側面図である。
図9】(a)は第2の実施形態に係る無人フォークリフトが有する車体側充電装置の要部側面図であり、(b)は同実施形態に係る無人フォークリフトが有する車体側充電装置の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る電動車両について図面を参照して説明する。本実施形態の電動車両は、電動走行するリーチ式フォークリフトであって、無人走行が可能な無人フォークリフトである。
【0014】
図1に示すように、無人フォークリフト10の車体11の前部には、前方へ延在する一対のリーチレグ12が備えられている。図2に示すように、リーチレグ12には前輪13が設けられ、車体11の後部には、操舵輪および駆動輪としての後輪14と、車体11の姿勢をより安定させるためのキャスタ輪15が備えられている。一対のリーチレグ12の間には、車体11に対して進退自在の荷役装置16が備えられている。荷役装置16は、アウタマスト17と、アウタマスト17に対して昇降するインナマスト18と、インナマスト18に対して昇降するリフトブラケット19と、リフトブラケット19に設けられたフォーク21と、を有している。
【0015】
本実施形態の無人フォークリフト10は、無人走行を可能としているが、有人での走行も可能であり、車体11の右側後部には立席式の運転席22が設けられている。車体11における運転席22の左側には収容フレーム23が設けられている。収容フレーム23には電動モータ(図示せず)等の駆動系要素が主に収容されている。車体11における運転席22および収容フレーム23の前方には前部フレーム24が配置されている。前部フレーム24には荷役装置16の操作レバー25、26、27、28および表示ディスプレイ29が配設されている。
【0016】
操作レバー25はティルト操作のためのティルトレバーであり、操作レバー26はリーチ動作のためのリーチレバーである。操作レバー27は荷を昇降させるためのリフトレバーであり、操作レバー28は走行速度を制御するアクセルレバーである。表示ディスプレイ29は、運転時の各種情報を表示するほか、異常時には警告画面を表示する。収容フレーム23には後輪14を操舵するための操舵ハンドル31が備えられている。前部フレーム24内には、充放電可能な蓄電装置としてのバッテリ(図示せず)が収容されている。運転席22の右側には、運転席22の右側方を囲うようにサイドパネル32が設けられている。
【0017】
本実施形態の無人フォークリフト10では、図1に示すように、運転席22の上方にヘッドガード33が備えられている。ヘッドガード33は、車体11に設けられた左ピラー34および右ピラー35により支持されている。ヘッドガード33には、無人走行および無人の荷役作業を行うための制御装置36が備えられている。また、車体11には路面に埋設された磁気ガイド線(図示せず)を読み取るための磁気センサ(図示せず)が備えられているほか、障害物を検出する障害物センサ(図示せず)が備えられている。
【0018】
ところで、本実施形態の無人フォークリフト10は、車体11の左側面に車体側充電装置50を備えている。車体側充電装置50は、路面に設置された路面側充電装置40と接続することでバッテリを充電するための装置である。車体側充電装置50を説明する前に路面側充電装置40について説明する。
【0019】
路面側充電装置40は、無人フォークリフト10のバッテリを充電のための電力を供給する装置である。路面側充電装置40は、路面に固定された台座部41と、台座部41に備えられた路面側給電部としての一対の路面側電極42と、を有する。台座部41は、平面視で略長方形であり、絶縁性材料により形成されている。台座部41は、一対の短辺43と、一対の長辺44と、上面45と、一対の第1テーパ面46と、一対の第2テーパ面47と、を備えている。上面45は路面より高い位置に形成されている長方形の平坦面である。第1テーパ面46は、短辺43から上面45へ向けて形成された傾斜面であり、車体側充電装置50を案内するガイド面としての機能を果たすほか、作業者の歩行時における躓き防止に寄与する。第2テーパ面47は、長辺44から上面45へ向けて形成されている。
【0020】
一対の路面側電極42は、導電性材料により形成されており、上面45において台座部41の長手方向に沿って延在するように台座部41に埋設されている。一方の路面側電極42は正極であり、他方の路面側電極42は、路面側電極42は負極である。路面側電極42の上面は、露出されており、上面45とほぼ同じ高さである。一対の路面側電極42は、外部電源(図示せず)と電気的に接続されている。
【0021】
次に、車体側充電装置50について説明する。車体側充電装置50は、受電部支持体としての本体部51と、車体側受電部としての一対の車体側電極52と、第1カバー部材53と、第2カバー部材54と、第3カバー部材55と、を有している。本体部51は、車体11における収容フレーム23の左側下部に取り付けられている。本体部51は、前壁面56、後壁面57、側壁面58、上壁面59および下壁面60を備えている。前壁面56は無人フォークリフト10の前方を臨む面であり、後壁面57は後方を臨む面である。側壁面58は無人フォークリフト10の左方を臨む面である。上壁面59は右から左へ向けて下方へ傾く傾斜面である。下壁面60は、路面と対向する面である。
【0022】
本体部51には、一対の車体側電極52が備えられている。一対の車体側電極52は、導電性材料により形成されており、一対の路面側電極42と接触できるように備えられている。一方の車体側電極52は正極であり、他方の車体側電極52は負極である。車体側電極52は、電極体ブラケット61と、電極体62と、圧縮コイルばね63と、を備えている。
【0023】
電極体ブラケット61は本体部51の下壁面60に取り付けられている。電極体ブラケット61には、電極体62が昇降可能に吊持されている。電極体62は、略直方体の形状であって、上面64、下面65、前面66、後面67および一対の側面68を有する。電極体62の側面68にはガイド溝69が形成されており、電極体ブラケット61が有する案内片(図示せず)がガイド溝69を昇降する。電極体62の下面65は、路面側電極42との接触面であり、電極体62の下面65と前面66との間には面取り面72が形成されている。下面65と後面67との間には面取り面73が形成されている。圧縮コイルばね63は、電極体62の上面64と電極体ブラケット61との間に備えられ、電極体62を下方へ向けて付勢する付勢力を電極体62に付与する。圧縮コイルばね63の付勢力により電極体62が最下位置のとき、下面65は路面よりも高く、路面側電極42の上面45よりも低い。
【0024】
次に、カバー部材としての第1カバー部材53について説明すると、第1カバー部材53は、樹脂製の板状の部材であり、上端である上辺部74、下端である下辺部75、側端である右辺部76および左辺部77を有する。第1カバー部材53の上辺部74は、前壁面56の下部付近において支点軸78を介して本体部51と連結されている。したがって、第1カバー部材53は、支点軸78を支点として前後に揺動可能である。第1カバー部材53の下辺部75の高さは、路面よりも高く、路面側電極42の上面45よりも低い。本実施形態では、下辺部75にはローラ部材79が備えられており、ローラ部材79は進行方向である前後方向に転動可能である。なお、本体部51の下壁面60には、ストッパ部材80が設けられている。ストッパ部材80は、第1カバー部材53の本体部51側への過度の変位を規制するために設けられている。つまり、ストッパ部材80は、充電時に第1カバー部材53と台座部41との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とする。
【0025】
次に、カバー部材としての第2カバー部材54について説明すると、第2カバー部材54は、樹脂製の板状の部材であり、上端である上辺部81、下端である下辺部82、側端である右辺部83および左辺部84を有する。第2カバー部材54の上辺部81は、後壁面57の下部付近において支点軸85を介して本体部51と連結されている。したがって、第2カバー部材54は、支点軸85を支点として前後に揺動可能である。第2カバー部材54の下辺部82の高さは、路面よりも高く、路面側電極42の上面45よりも低い。因みに、第2カバー部材54の下辺部82の高さは、第1カバー部材53の下辺部75の高さと同じである。本実施形態では、下辺部82にはローラ部材86が備えられており、ローラ部材86は進行方向である前後方向に転動可能である。なお、本体部51の下壁面60には、ストッパ部材87が設けられている。ストッパ部材87は、第2カバー部材54の本体部51側への過度の変位を規制するために設けられている。つまり、ストッパ部材87は、充電時に第2カバー部材54と台座部41との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とする。
【0026】
次に、第3カバー部材55について説明する。第3カバー部材55は、樹脂製の板状の部材であり、上端である上辺部91、下端である下辺部92、側端である右辺部93および左辺部94を有する。第3カバー部材55の上辺部91は、側壁面58の下部付近におい取り付けられている。第1カバー部材53および第2カバー部材54は前後へ揺動する可動式のカバー部材であるが、第3カバー部材55は固定式のカバー部材である。第3カバー部材55の下辺部92の高さは、第1カバー部材53の下辺部75および第2カバー部材54の高さと同じである。
【0027】
このように、車体側充電装置50における本体部51の前後および左は、カバー部材(第1カバー部材53、第2カバー部材54および第3カバー部材55)に覆われていることになる。なお、車体11における車体側充電装置50の前方には、ガード部材95が備えられている。ガード部材95は、無人フォークリフト10の走行時に他物体が車体側充電装置50に干渉し難くする。つまり、ガード部材95は車体側充電装置50を保護する保護部材である。
【0028】
次に、本実施形態の無人フォークリフト10の充電について説明する。バッテリの残容量が低下すると、制御装置36はバッテリの充電が必要であると判別し、無人フォークリフト10を路面側充電装置40へ向けて走行させる。路面側充電装置40の位置に関する情報は、予め制御装置36に記憶されている。本実施形態では、無人フォークリフト10が後進して車体側充電装置50が路面側充電装置40と接続する場合について説明する。
【0029】
図7(a)に示すように、無人フォークリフト10は、車体側充電装置50の後方に路面側充電装置40が位置するように走行する。このとき、車体側充電装置50の電極体62の長手方向が、路面側充電装置40の路面側電極42の長手方向とほぼ一致する。無人フォークリフト10が走行を継続すると、図7(b)に示すように、第2カバー部材54のローラ部材86が第1テーパ面46と当接し、第2カバー部材54は、第1テーパ面46に案内されて本体部51側へ傾斜する。つまり、第2カバー部材54の下辺部82は、第1テーパ面46に案内されて変位する。
【0030】
無人フォークリフト10がさらに走行すると、図7(c)に示すように、第2カバー部材54のローラ部材86は台座部41の上面45を転動する。また、車体側電極52が路面側電極42と摺接する。このとき、車体側電極52の電極体62は圧縮コイルばね63の付勢力によって下方へ付勢されており、路面側電極42と常に接触するが、充電は開始されない。
【0031】
そして、図7(d)に示すように、車体側電極52が路面側電極42に対して所定の位置に達すると、無人フォークリフト10は停止する。所定の位置とは、車体側電極52が路面側電極42から電力供給可能な位置である。無人フォークリフト10が停止したときの車体側電極52の電極体62は、路面側電極42の長手方向におけるほぼ中心付近に位置する。第1カバー部材53および第2カバー部材54が第1テーパ面46と干渉しない状態となる。つまり、第1カバー部材53および第2カバー部材54は無人フォークリフト10の進行方向において台座部41の端部付近に位置する。無人フォークリフト10が停止すると、制御装置36はバッテリに対する充電の開始を指令し、車体側充電装置50は路面側充電装置40から給電を受けてバッテリの充電を開始する。
【0032】
ところで、バッテリの充電中において、例えば、車体側充電装置50の後方から路面側電極42および車体側電極52へ向けて指を入れようとする場合について考える。この場合、図8に示すように、指Fにより第2カバー部材54が押さえられ、第2カバー部材54が本体部51側へ傾斜する。しかしながら、第2カバー部材54の過度な傾斜は、第2カバー部材54がストッパ部材87と当接することで規制される。つまり、ストッパ部材87は、充電時に第2カバー部材54と台座部41との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とする。このため、第2カバー部材54と台座部41との間に指Fが入り込むような間隙は生じない。なお、前方の第1カバー部材53についても、第2カバー部材54と同様に指Fを入れようとしても、第1カバー部材53の傾斜はストッパ部材80により規制される。
【0033】
バッテリの充電が完了すると、制御装置36は、路面側充電装置40から給電を停止し、無人フォークリフト10の走行を再開させる。無人フォークリフト10の走行により車体側充電装置50が路面側充電装置40から離脱する。車体側充電装置50を路面側充電装置40から離脱させるとき、無人フォークリフト10の走行は前進でも後進であってもよい。
【0034】
本実施形態の無人フォークリフト10は以下の効果を奏する。
(1)無人フォークリフト10が路面側電極42から給電を受ける場合、車体側電極52が路面側電極42から電力供給可能な位置へ移動するように、無人フォークリフト10が路面側電極42へ向けて走行する。このとき、第1カバー部材53(第2カバー部材54)の下端は、台座部41の第1テーパ面46に案内されて変位し、車体側電極52が路面側電極42から電力供給可能な位置へ移動されると、第1カバー部材53および第2カバー部材54は無人フォークリフト10の進行方向において台座部41の端部付近に位置する。第1カバー部材53(第2カバー部材54)の変位はストッパ部材80(87)により規制されるので、第1カバー部材53(第2カバー部材54)の下端と台座部41の端部との間の隙間から路面側電極42および車体側電極52へ指Fが入り込むことはない。
【0035】
(2)ストッパ部材80(87)は、充電時に第1カバー部材53(第2カバー部材54)と台座部41との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とする。このため、ストッパ部材80(87)によって第1カバー部材53(第2カバー部材54)と台座部41との間に形成される間隙を意図する距離に設定することができる。間隙の距離としては、例えば、人の指が入り込まない程度であり、例えば、10mm以下である。
【0036】
(3)第1カバー部材53(第2カバー部材54)の進行方向への揺動可能とする支点軸78(85)と、第1カバー部材53(第2カバー部材54)の下辺部75(82)に設けられ、進入方向に転動可能なローラ部材79(86)と、を有する。このため、ローラ部材79(86)が第1テーパ面46に案内され、第1カバー部材53(第2カバー部材54)は円滑に揺動することができる。なお、ローラ部材79(86)は、台座部41の上面45を転動するが、路面側電極42上を転動するようにしてもよい。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る無人フォークリフトについて説明する。本実施形態では、カバー部材の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0038】
図9(a)、図9(b)に示すように、無人フォークリフト100が有する車体側充電装置50は、カバー部材101を有している。カバー部材101は、樹脂製の板状の部材であり、上端である上辺部102、下端である下辺部103、側端である右辺部104および左辺部105を有する。本体部51の後壁面57には上下方向に延在する案内溝107が備えられ、カバー部材101の突片108が案内溝107を案内される。したがって、カバー部材101は本体部51に対して上下方向にスライド可能に吊持されている。
【0039】
カバー部材101は、カバー部材101の下辺部103の高さは、路面よりも高く、路面側電極42の上面45よりも低い。下辺部103にはローラ部材106が備えられており、ローラ部材106は進行方向である前後方向に転動可能である。なお、本体部51の案内溝107の下端は突片108を係止してストッパ部材として機能する。つまり、カバー部材101の路面側への過度の変位を規制するために設けられている。つまり、ストッパ部材としての案内溝107は、充電時にカバー部材101と台座部41との間に形成される間隙を予め設定された設定距離以下とする。
【0040】
本実施形態では、カバー部材101は、路面側充電装置40の台座部41の第1テーパ面46および上面45に応じて昇降する。また、充電時にカバー部材101と台座部41との間に形成される隙間を予め設定された設定距離以下となる。カバー部材101は昇降により変位可能であるので、カバー部材101が進行方向に変位することがなく、カバー部材101の下端と台座部41の端部との間の隙間から路面側電極42および車体側電極52へ指Fが入り込むことはない。
【0041】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0042】
○ 上記の実施形態では、電動車両として無人フォークリフトを例示して説明したが、これに限定されない。電動車両は、充放電可能なバッテリの電力により走行する車両であればよく、例えば、無人搬送車や電気自動車であってもよい。
○ 上記の実施形態では、路面側充電装置に対して接触して充電が行われる車体側充電装置を例示して説明したが、これに限定されない。路面側充電装置および車体側充電装置は非接触により充電を行うことが可能な構成であってもよい。この場合、路面側充電装置の路面側給電部および車体側充電装置の車体側受電部は、例えば、非接触式の給電コイルおよび受電コイルを備えてもよい。
○ 上記の実施形態では、カバー部材としての第1カバー部材と第2カバー部材を有する車体側充電装置を例示して説明したが、これに限らない。カバー部材は、電動車両の進行方向に少なくとも1つ存在すればよい。
○ 上記の実施形態では、カバー部材にローラ部材を設けたが、これに限らない。ローラ部材は必須の構成ではなく、例えば、ローラ部材を備えないカバー部材を用いてもよい。ローラ部材に代えて転動しない球状部材を用いてもよい。
○ 上記の実施形態では、車体側充電装置が車体の左側面に備えられたが、これに限らない。車体側充電装置は、例えば、車体の後面に備えられてもよく、あるいは、車体の下面に備えられてもよい。車体側充電装置は、路面側充電装置から給電が可能な位置に備えられていればよい。
○ 上記の実施形態では、カバー部材は樹脂製としたがこれに限定されない。カバー部材は、例えば、鉄など金属製でもよく、あるいは、木製でもよく、カバー部材の材料は制限されない。
○ 上記の実施形態では、路面側充電装置における台座部がテーパ面を備えたが、これに限らない。路面側充電装置は、例えば、テーパ面のない台座部であってもよく、台座部は少なくとも、カバー部材が台座部を通るときに変位できる形状であればよい。
【符号の説明】
【0043】
10、100 無人フォークリフト(電動車両)
11 車体
13 前輪
14 後輪
15 キャスタ輪
16 荷役装置
21 フォーク
33 ヘッドガード
36 制御装置
40 路面側充電装置
41 台座部
42 路面側電極(路面側給電部)
46 第1テーパ面(ガイド面)
47 第2テーパ面
50 車体側充電装置
51 本体部(受電部支持体)
52 車体側電極(車体側受電部)
53 第1カバー部材
54 第2カバー部材
55 第3カバー部材
61 電極体ブラケット
62 電極体
63 圧縮コイルばね
78、85 支点軸
79、86、106 ローラ部材
80、87 ストッパ部材
86 ローラ部材(第2カバー部材)
95 ガード部材
101 カバー部材
F 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9