(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081832
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】光学装置及び光学装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02 20060101AFI20240612BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20240612BHJP
H01S 5/02355 20210101ALI20240612BHJP
H01L 33/44 20100101ALI20240612BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20240612BHJP
H01L 33/20 20100101ALI20240612BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H01S5/02
H01S5/183
H01S5/02355
H01L33/44
H01S5/0225
H01L33/20
H01L31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195290
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】小野 章吾
【テーマコード(参考)】
5F149
5F173
5F241
5F849
【Fターム(参考)】
5F149BB03
5F149EA03
5F149EA04
5F149GA20
5F149HA01
5F149HA05
5F149HA20
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC53
5F173AD04
5F173AH03
5F173AL03
5F173AL21
5F173AP42
5F173AP93
5F173AQ05
5F173AR99
5F173MC30
5F173MD63
5F173MD65
5F173MD84
5F241CA13
5F241CA74
5F241CA76
5F241CB11
5F241CB25
5F241CB36
5F849BB03
5F849EA03
5F849EA04
5F849GA20
5F849HA01
5F849HA05
5F849HA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造プロセスにおいて、基板に成膜された薄膜の剥がれ、基板の欠け等の不具合を抑制することができる光学装置を提供する。
【解決手段】本技術に係る光学装置は、基板を含む第1素子構成部と、前記基板の一面に設けられた第2素子構成部と、を含む素子を備え、前記基板が、前記一面側とは反対の他面側の端及び/又は前記一面側の端に面取り部を有する、光学装置である。本技術に係る光学装置によれば、製造プロセスにおいて、基板に成膜された薄膜の剥がれ、基板の欠け等の不具合を抑制することができる光学装置を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む第1素子構成部と、
前記基板の一面に設けられた第2素子構成部と、
を含む素子を備え、
前記基板が、前記一面側とは反対の他面側の端及び/又は前記一面側の端に面取り部を有する、光学装置。
【請求項2】
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第1素子構成部が前記他面側から薄膜で覆われ、
前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第2素子構成部が前記一面側から薄膜で覆われている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記他面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われ、
前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記一面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われている、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有し、
前記第1素子構成部は、前記他面に設けられた光学素子を含み、
少なくとも前記光学素子及び前記面取り部が前記薄膜で覆われている、請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記面取り部の前記基板の厚さ方向に対する傾斜角は、60°以下である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項6】
前記面取り部は、前記基板の面内方向に関する長さに対する前記基板の厚さ方向に関する長さの比率が2以上である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記面取り部の前記基板の厚さ方向に関する長さは、前記基板の厚さの1/3以下である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記薄膜は、反射防止膜である、請求項2に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第2素子構成部が発光層を有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第2素子構成部が、前記発光層を挟む第1及び第2反射鏡を有し、又は、前記第1素子構成部が前記第1反射鏡を有し且つ前記第2素子構成部が前記第2反射鏡を有する、請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
前記第2素子構成部が、前記発光層を含むメサを有する、請求項9に記載の光学装置。
【請求項12】
前記基板は、半導体基板である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項13】
前記素子と接合された別の基板を更に備える、請求項1に記載の光学装置。
【請求項14】
複数の第1素子構成部が共有するウェハであって前記複数の第1素子構成部に対応する複数の第2素子構成部が一面に設けられたウェハの他面の、前記ウェハのスクライブ位置にテーパ溝を形成する工程と、
前記ウェハの前記スクライブ位置に前記一面側からクラックを形成する工程と、
前記ウェハを前記スクライブ位置で分割して前記第1及び第2素子構成部を含む光学チップを複数得る工程と、
を含む、光学装置の製造方法。
【請求項15】
前記クラックを形成する工程では、前記スクライブ位置に前記一面側からレーザ光を照射することにより前記クラックを形成する、請求項14に記載の光学装置の製造方法。
【請求項16】
前記テーパ溝を形成する工程では、前記ウェハを前記他面側からエッチングして前記他面に前記テーパ溝及び光学素子を形成する、請求項14に記載の光学装置の製造方法。
【請求項17】
前記クラックを形成する工程の前に、前記テーパ溝が形成された前記他面に薄膜を形成する工程を含み、
前記薄膜を形成する工程の後、且つ、前記クラックを形成する工程の前に、複数の前記光学チップの前記薄膜側の表面にダイシングテープを貼り付ける工程と、
前記得る工程の後、複数の前記光学チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、
を含む、請求項14に記載の光学装置の製造方法。
【請求項18】
前記得る工程の後に、複数の前記光学チップの前記第2素子構成部と別のウェハとをバンプを介して接合する工程と、
前記複数の光学チップの前記別のウェハ側とは反対側の表面に保護テープを貼り付ける工程と、
前記別のウェハを研削して薄膜化する工程と、
前記複数の光学チップから前記保護テープを剥離する工程と、
を含む、請求項14に記載の光学装置の製造方法。
【請求項19】
前記保護テープを剥離する工程の後に、前記別のウェハをダイシングして前記複数の光学チップのそれぞれを含む複数の光学装置を得る工程を含む、請求項18に記載の光学装置の製造方法。
【請求項20】
前記接合する工程の後に、前記複数の光学チップの前記第2素子構成部と前記別のウェハとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する工程を含む、請求項18に記載の光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(以下「本技術」とも呼ぶ)は、光学装置及び光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と該基板上に設けられた素子構成部とを含む素子を備える光学装置が知られている(例えば特許文献1参照)。従来の光学装置は、ウェハ上に一括して設けられた複数の素子構成部が分割され個片化されることにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光学装置では、基板が一面側の端及び該一面側とは反対の他面側の端のいずれにも頂部を有するため、製造プロセスにおいて、基板に成膜された薄膜の剥がれ、基板の欠け等の不具合を招くおそれがあった。
【0005】
そこで、本技術は、製造プロセスにおいて、基板に成膜された薄膜の剥がれ、基板の欠け等の不具合を抑制することができる光学装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、基板を含む第1素子構成部と、
前記基板の一面に設けられた第2素子構成部と、
を含む素子を備え、
前記基板が、前記一面側とは反対の他面側の端及び/又は前記一面側の端に面取り部を有する、光学装置を提供する。
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第1素子構成部が前記他面側から薄膜で覆われ、前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第2素子構成部が前記一面側から薄膜で覆われていてもよい。
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記他面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われ、前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記一面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われていてもよい。
前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有し、前記第1素子構成部は、前記他面に設けられた光学素子を含み、少なくとも前記光学素子及び前記面取り部が前記薄膜で覆われていてもよい。
前記面取り部の前記基板の厚さ方向に対する傾斜角は、60°以下であってもよい。
前記面取り部は、前記基板の面内方向に関する長さに対する前記基板の厚さ方向に関する長さの比率が2以上であってもよい。
前記面取り部の前記基板の厚さ方向に関する長さは、前記基板の厚さの1/3以下であってもよい。
前記薄膜は、反射防止膜であってもよい。
前記第2素子構成部が発光層を有していてもよい。
前記第2素子構成部が、前記発光層を挟む第1及び第2反射鏡を有し、又は、前記第1素子構成部が前記第1反射鏡を有し且つ前記第2素子構成部が前記第2反射鏡を有していてもよい。
前記第2素子構成部が、前記発光層を含むメサを有していてもよい。
前記基板は、半導体基板であってもよい。
前記素子と接合された別の基板を更に備えていてもよい。
本技術は、複数の第1素子構成部が共有するウェハであって前記複数の第1素子構成部に対応する複数の第2素子構成部が一面に設けられたウェハの他面の、前記ウェハのスクライブ位置にテーパ溝を形成する工程と、
前記ウェハの前記スクライブ位置に前記一面側からクラックを形成する工程と、
前記ウェハを前記スクライブ位置で分割して前記第1及び第2素子構成部を含む光学チップを複数得る工程と、
を含む、光学装置の製造方法も提供する。
前記クラックを形成する工程では、前記スクライブ位置に前記一面側からレーザ光を照射することにより前記クラックを形成してもよい。
前記テーパ溝を形成する工程では、前記ウェハを前記他面側からエッチングして前記他面に前記テーパ溝及び光学素子を形成してもよい。
前記光学装置の製造方法は、前記クラックを形成する工程の前に、前記テーパ溝が形成された前記他面に薄膜を形成する工程を含み、前記薄膜を形成する工程の後、且つ、前記クラックを形成する工程の前に、複数の前記光学チップの前記薄膜側の表面にダイシングテープを貼り付ける工程と、前記得る工程の後、複数の前記光学チップを前記ダイシングテープから剥離する工程とを含んでいてもよい。
前記光学装置の製造方法は、前記得る工程の後に、複数の前記光学チップの前記第2素子構成部と別のウェハとをバンプを介して接合する工程と、前記複数の光学チップの前記別のウェハ側とは反対側の面に保護テープを貼り付ける工程と、前記別のウェハを研削して薄膜化する工程と、前記複数の光学チップから前記保護テープを剥離する工程とを含んでいてもよい。
前記光学装置の製造方法は、前記保護テープを剥離する工程の後に、前記別のウェハをダイシングして前記複数の光学チップのそれぞれを含む複数の光学装置を得る工程を含んでいてもよい。
前記光学装置の製造方法は、前記接合する工程の後に、前記複数の光学チップの前記第2素子構成部と前記別のウェハとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する工程を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置の断面図である。
【
図2】本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置の平面図である。
【
図3】本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置の部分拡大断面図である。
【
図5】
図1の光学装置の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図1の光学装置の製造工程を示す平面図である。
【
図17】本技術の第1実施形態の実施例2に係る光学装置の断面図である。
【
図18】本技術の第1実施形態の実施例3に係る光学装置の断面図である。
【
図19】
図19Aは、本技術の第1実施形態の実施例4に係る光学装置の断面図である。
図19Bは、本技術の第1実施形態の実施例5に係る光学装置の断面図である。
【
図20】
図20Aは、本技術の第1実施形態の実施例6に係る光学装置の断面図である。
図20Bは、本技術の第1実施形態の実施例7に係る光学装置の断面図である。
【
図21】本技術の第1実施形態の実施例8に係る光学装置の部分拡大断面図である。
【
図22】本技術の第1実施形態の実施例9に係る光学装置の部分拡大断面図である。
【
図23】本技術の第1実施形態の実施例10に係る光学装置の部分拡大断面図である。
【
図25】
図25Aは、本技術の第2実施形態の実施例1に係る光学装置の断面図である。
図25Bは、本技術の第2実施形態の実施例2に係る光学装置の断面図である。
【
図26】
図26Aは、本技術の第2実施形態の実施例3に係る光学装置の断面図である。
図26Bは、本技術の第2実施形態の実施例4に係る光学装置の断面図である。
【
図27】面取り部の変形例(その1)を示す断面図である。
【
図28】面取り部の変形例(その2)を示す断面図である。
【
図29】
図29Aは、本技術の第1実施形態の変形例1に係る光学装置の断面図である。
図29Bは、本技術の第1実施形態の変形例2に係る光学装置の断面図である。
【
図30】
図30Aは、本技術の第1実施形態の変形例3に係る光学装置の断面図である。
図30Bは、本技術の第1実施形態の変形例4に係る光学装置の断面図である。
【
図31】
図31Aは、本技術の第1実施形態の変形例5に係る光学装置の断面図である。
図31Bは、本技術の第1実施形態の変形例6に係る光学装置の断面図である。
【
図32】
図32Aは、本技術の第1実施形態の変形例7に係る光学装置の断面図である。
図32Bは、本技術の第1実施形態の変形例8に係る光学装置の断面図である。
図32Cは、本技術の第1実施形態の変形例9に係る光学装置の断面図である。
【
図33】
図33Aは、本技術の第1実施形態の変形例10に係る光学装置の断面図である。
図33Bは、本技術の第1実施形態の変形例11に係る光学装置の断面図である。
【
図34】本技術の第1実施形態の変形例12に係る光学装置の断面図である。
【
図47】本技術を適用し得る面発光レーザの構成例を示す平面図である。
【
図49】本技術に係る光学装置の距離測定装置への適用例を示す図である。
【
図50】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図51】距離測定装置の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照しながら、本技術の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。本明細書において、本技術に係る光学装置及び光学装置の製造方法が複数の効果を奏することが記載される場合でも、本技術に係る光学装置及び光学装置の製造方法は、少なくとも1つの効果を奏すればよい。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0009】
また、以下の順序で説明を行う。
0.導入
1.本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置
2.本技術の第1実施形態の実施例2に係る光学装置
3.本技術の第1実施形態の実施例3に係る光学装置
4.本技術の第1実施形態の実施例4に係る光学装置
5.本技術の第1実施形態の実施例5に係る光学装置
6.本技術の第1実施形態の実施例6に係る光学装置
7.本技術の第1実施形態の実施例7に係る光学装置
8.本技術の第1実施形態の実施例8に係る光学装置
9.本技術の第1実施形態の実施例9に係る光学装置
10.本技術の第1実施形態の実施例10に係る光学装置
11.本技術の第1実施形態の実施例11に係る光学装置
12.本技術の第2実施形態の実施例1に係る光学装置
13.本技術の第2実施形態の実施例2に係る光学装置
14.本技術の第2実施形態の実施例3に係る光学装置
15.本技術の第2実施形態の実施例4に係る光学装置
16.本技術の変形例
17.電子機器への応用例
18.光学装置を距離測定装置に適用した例
19.距離測定装置を移動体に搭載した例
【0010】
<0.導入>
従来、発光素子や受光素子を備える光学装置において、基板上に素子構成部が設けられたものが知られている(例えば特許文献1参照)。従来の光学装置は、ウェハ上に一括して設けられた複数の素子構成部が素子構成部毎にダイシングにより個片化されることにより得られる。ウェハには、ダイシング工程の前に例えば保護膜、反射防止膜等の薄膜が成膜されることが多い。従来の光学装置では、ウェハがダイシングにより分割された基板が薄膜側に頂部を有する。例えばダイシング工程や基板薄膜化工程において基板の薄膜側の表面に固定用のテープが貼り付けられるが、該テープが基板の頂部において薄膜に食い込むため、該テープを剥離するときに該テープと一緒に薄膜が剥がれたり、さらには基板が欠けたりする問題があった。
【0011】
そこで、発明者らは、鋭意検討の末、基板に成膜された薄膜(例えば保護膜、反射防止膜等)の剥がれ、基板の欠け等の不具合を抑制することができる光学装置として、本技術に係る光学装置を開発した。
【0012】
本技術に係る光学装置は、発光機能及び/又は受光機能を有する光学装置であり、センシング、イメージング、通信の他、様々な技術分野での活用が期待される。
【0013】
以下、本技術に係る光学装置の第1及び第2実施形態について、幾つかの実施例を挙げて詳細に説明する。以下では、便宜上、
図1等の断面図における上方を上、下方を下として説明する。
【0014】
<1.本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
【0015】
≪実施例1に係る光学装置の構成≫
(全体構成)
図1は、本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1の断面図(
図2の1-1線断面図)である。
図2は、本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1の平面図である。
図3は、本技術の第1実施形態の実施例1に係る光学装置の部分拡大断面図(
図2の断面の一部を拡大した図)である。
図4は、
図1の部分拡大図(
図1の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図)である。
【0016】
光学装置10-1は、一例として
図1に示すように、基板100を含む第1素子構成部ES1と、基板100の一面(下面)に設けられた複数の第2素子構成部ES2とを含む素子を備える。該素子は、一例として、複数の発光部を有する面発光レーザアレイである。各発光部は、一例として、第1及び第2素子構成部ES1、ES2を含んで構成される垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)である。ここでは、複数の発光部が第1素子構成部ES1を共有し、且つ、各発光部が互いに異なる第2素子構成部ES2を有している。第1素子構成部ES1は、一例として、基板100から成る。各発光部としてのVCSELの発振波長λは、例えば780~950nmに設定されている。各発光部としてのVCSELは、一例として、基板100の他面(上面)側へ光を出射する裏面出射型のVCSELである。
【0017】
複数の第2素子構成部ES2は、一例として
図2に示すように、2次元配置(例えば千鳥配置)されている。なお、複数の第2素子構成部ES2の配置は、例えばマトリクス配置、1次元配置等であってもよい。
【0018】
第2素子構成部ES2は、一例として、
図3に示すように、発光層203を有している。第2素子構成部ES2は、さらに、発光層203を上下に挟む第1及び第2反射鏡201、206と、発光層203と第1反射鏡201との間に配置された第1クラッド層202と、発光層203と第2反射鏡206との間に配置された第2クラッド層204と、第2反射鏡206内に配置された酸化狭窄層205とを有する。第2素子構成部ES2は、さらに、第2反射鏡206の発光層203側とは反対側の面(下面)に設けられたアノード電極207と、基板100の一面(下面)に設けられたカソード電極208(n側電極)とを有する。
【0019】
すなわち、第2素子構成部ES2では、基板100の一面に第1反射鏡201、第1クラッド層202、発光層203、第2クラッド層204、酸化狭窄層205を内部に有する第2反射鏡206、アノード電極207(p側電極)がこの順に積層されている。
【0020】
第2素子構成部ES2は、一例として、発光層203、第1及び第2反射鏡201、206、第1及び第2クラッド層202、204、酸化狭窄層205及び第2反射鏡206を含んで構成されるメサMを有する。メサMの頂部(下端部)にアノード電極207が設けられ、基板100の一面(下面)のメサMの周辺の領域にカソード電極208が設けられている。
【0021】
各発光部では、第1及び第2反射鏡201、206と、発光層203とを含んで共振器が構成されている。該共振器の共振器長は、一例として、該共振器内に生じる定在波の半波長(λ/2)の整数倍となっている。
【0022】
光学装置10-1は、一例として、各第2素子構成部ES2と、バンプ400(
図3に示す第1及び第2バンプ400A、400Bを併せてバンプ400と呼ぶ)を介して接合された別の基板300を更に備えている。すなわち、光学装置10-1の素子としての面発光レーザアレイは、ジャンクションダウン(フリップチップ)により、別の基板300に接続されている。別の基板300には、レーザドライバが設けられている。
【0023】
一例として、第2素子構成部ES2と別の基板300との接合部の周辺には、絶縁材料(例えば樹脂)からなるアンダーフィル500(封止に用いられる液状硬化性樹脂)が充填されている(
図1参照)。これにより、接合部の補強効果や、素子及びレーザドライバの腐食抑制効果が得られる。
【0024】
(基板)
基板100は、一例として、半導体基板である。詳述すると、基板100は、一例として、n型の半導体基板であり、例えばn-GaAsからなる。
【0025】
(第1反射鏡)
第1反射鏡201は、一例として、半導体多層膜反射鏡(半導体DBR)である。詳述すると、第1反射鏡201は、一例として、n型の半導体DBRであり、例えばAl組成の異なる2種類のn-AlGaAs層(高屈折率層及び低屈折率層)がλ/4の光学厚さで交互に積層されている。
【0026】
(第1クラッド層)
第1クラッド層202は、n型の半導体層であり、例えばn-AlGaAsからなる。クラッド層は、「スペーサ層」とも呼ばれる。
【0027】
(発光層)
発光層203は、一例として、GaAs系化合物半導体(例えばInGaAs/AlGaAs)からなる障壁層及び量子井戸層を含む量子井戸構造を有する。この量子井戸構造は、単一量子井戸構造(QW構造)であってもよいし、多重量子井戸構造(MQW構造)であってもよい。発光層203は、一例として、後述する酸化狭窄層205の非酸化領域205a(電流通過領域)に対応する領域が発光領域(電流注入領域)となる。なお、発光層203は、トンネルジャンクションを介して積層された複数のQW構造又は複数のMQW構造を有していてもよい。発光層203は、一例として、共振器内に生じる定在波の腹の位置に配置されている。発光層203は、「活性層」とも呼ばれる。
【0028】
(第2クラッド層)
第2クラッド層204は、p型の半導体層であり、例えばp-AlGaAsからなる。クラッド層は、「スペーサ層」とも呼ばれる。
【0029】
(第2反射鏡)
第2反射鏡206は、一例として、半導体多層膜反射鏡(半導体DBR)である。詳述すると、第2反射鏡206は、一例として、p型の半導体DBRあり、例えばAl組成の異なる2種類のp-AlGaAs層(高屈折率層及び低屈折率層)がλ/4の光学厚さで交互に積層されている。第2反射鏡206は、第1反射鏡201よりも反射率が若干高く設定されている。
【0030】
(酸化狭窄層)
酸化狭窄層205は、一例として、第2反射鏡206の内部であって共振器内に生じる定在波の節の位置に配置されている。酸化狭窄層205は、非酸化領域205aと、該非酸化領域205aを取り囲む酸化領域205bとを有する。非酸化領域205aは、半導体(例えばp-GaAs)からなり、電流通過領域として機能する。酸化領域205bは、絶縁体(例えばAlxOy)からなり、電流・光狭窄領域として機能する。
【0031】
(アノード電極)
アノード電極207は、例えばAu、Ag、Pd、Pt、Ni、Ti、V、W、Cr、Al、Cu、Zn、Sn及びInからなる群から選択された少なくとも1種類の金属(合金を含む)によって構成されている。アノード電極207が積層構造である場合は、例えばTi/Au、Ti/Al、Ti/Al/Au、Ti/Pt/Au、Ni/Au、Ni/Au/Pt、Ni/Pt、Pd/Pt、Ag/Pd等の材料で構成される。なお、アノード電極207と第2反射鏡206との間にコンタクト層(例えばp型不純物が高濃度にドープされたp-GaAs層)が設けられてもよい。
【0032】
(カソード電極)
カソード電極208は、例えばAu、Ag、Pd、Pt、Ni、Ti、V、W、Cr、Al、Cu、Zn、Sn及びInからなる群から選択された少なくとも1種類の金属(合金を含む)によって構成されている。カソード電極208が積層構造である場合は、例えばTi/Au、Ti/Al、Ti/Al/Au、Ti/Pt/Au、Ni/Au、Ni/Au/Pt、Ni/Pt、Pd/Pt、Ag/Pd等の材料で構成される。なお、基板100とカソード電極208との間にコンタクト層(例えばn型不純物が高濃度にドープされたn-GaAs層)が設けられてもよい。
【0033】
(別の基板)
別の基板300は、一例として、半導体基板である。詳述すると、別の基板300は、一例として、シリコン基板である。別の基板300には、前述したように、レーザドライバが設けられている。該レーザドライバは、一例として、電源と、スイッチング素子としてのp型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-effect Transistor)とを有する。ここでは、レーザドライバは、複数の第2素子構成部ES2に個別に対応する複数のスイッチング素子を有する。複数のスイッチング素子の各々は、対応する第2素子構成部ES2のアノード電極207に第1バンプ400Aを介して接合された端子(レーザドライバの端子)にドレインが接続され、且つ、電源の陽極にソースが接続されている。該レーザドライバの、電源の陰極に接続された端子とカソード電極208とが第2バンプ400Bを介して接続されている。各スイッチング素子のゲートには、ゲート電圧が印加可能となっている。該レーザドライバは、電源及び複数のスイッチング素子の他に、例えばコンデンサ、抵抗等の回路素子を含む。なお、各スイッチング素子としてn型のMOSFETを用い、電源の陰極にドレインを接続し、且つ、対応する第2素子構成部ES2のカソード電極208に第2バンプ400Bを介して接合された端子(レーザドライバの端子)にソースを接続してもよい。該レーザドライバでは、複数のスイッチング素子を独立に制御可能であり、複数の発光部を独立して駆動することができる。
【0034】
(バンプ)
バンプ400に含まれる第1及び第2バンプ400A、400Bの各々は、導電バンプであり、例えばAu、Ag、Cu、Sn、Pbから選択された少なくとも1種の金属からなる。
【0035】
(基板の詳細)
第1素子構成部ES1としての基板100は、一例として
図2に示すように平面視矩形状であり、相対する一面(下面)及び他面(上面)の各々に四辺(四方の端)を有する。基板100は、一例として、一面側(下面側)とは反対の他面側(上面側)の少なくとも1つの端(例えば全ての端)に面取り部100bを有する。基板100は、他面(上面)側から薄膜101で覆われている。詳述すると、基板100の他面(上面)及び面取り部100bが薄膜101で覆われている。ここでは、薄膜101は、反射防止膜(AR膜)である。
【0036】
面取り部100bは、一例として
図4に示すように、縦断面矩形状の基板の他面側(上面側)の角部が切り欠かれて形成されたような傾斜面であって、基板100の厚さ方向(上下方向)に対して角度φだけ傾斜する傾斜面である。
【0037】
図1に示すように、第1素子構成部ES1としての基板100は、基板100の他面(上面)に設けられた光学素子100aを含む。少なくとも光学素子100a及び面取り部100bが薄膜101で覆われている。光学素子100aは、一例として基板100の他面に形成された凸レンズ構造を有する。光学素子100aとしての凸レンズ構造は、基板100の他面(上面)の、複数の第2素子構成部ES2に個別に対応する複数の位置に設けられている(
図2参照)。すなわち、複数の光学素子100aが、基板100の他面(上面)に2次元配置(例えば千鳥配置)されている。各光学素子100aは、集光機能を有する。
【0038】
面取り部100bの基板100の厚さ方向に対する傾斜角φ(
図4参照)は、60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましく、40°以下であることがより一層好ましく、30°以下であることが更により一層好ましい。
【0039】
面取り部100bは、基板100の面内方向に関する長さDhに対する基板100の厚さ方向に関する長さDvの比率が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることがより一層好ましく、5以上であることが更により一層好ましい。
【0040】
面取り部100bは、基板100の厚さ方向に関する長さDvが、基板100の厚さTの1/3以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましく、1/5以下であることがより一層好ましく、1/6以下であることが更により一層好ましい。また、Dvは、基板100の厚さTの1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがより好ましく、1/10以上であることがより一層好ましい。具体的には、例えば基板100の厚さTが100μmのときには、Dvは5μm以上33μm以下であることが好ましい。
【0041】
≪実施例1に係る光学装置の動作≫
以下、光学装置10-1の動作について、
図3を参照して説明する。光学装置10-1では、レーザドライバの少なくとも1つのスイッチング素子がオンになると、対応する発光部において、アノード電極207側から第2素子構成部ES2内に電流が流入する。アノード電極207及び第2反射鏡206の一部を介した電流は、酸化狭窄層205で狭窄され、第2反射鏡206の他部及び第2クラッド層204を介して発光層203に注入される。このとき、発光層203が発光し、その光が第1及び第2反射鏡201、206の間を発光層203で増幅され酸化狭窄層205で狭窄されつつ往復し、発振条件を満たしたときに基板100の他面(上面)に設けられた光学素子100aからレーザ光(集光ビーム)が出射される。発光層203を経た電流は、第1クラッド層202、第1反射鏡201、基板100を介してカソード電極208からレーザドライバへ流出される。
【0042】
≪実施例1に係る光学装置の製造方法≫
以下、光学装置10-1の製造方法について
図5のフローチャート等を参照して説明する。ここでは、複数の光学装置10-1を一連一体で一括して生成した後、分割して個々の光学装置10-1を得る。
【0043】
最初のステップS1では、第2素子構成部ES2を形成する(
図6A(
図6Bの6A-6A線断面図)及び
図6B(平面図)参照)。具体的には、基板100の材料であるウェハ100W上に光学装置10-1毎の複数の第2素子構成部ES2を形成する。詳述すると、先ず、有機金属気層成長法(MOCVD法)又は分子線エピタキシー法(MBE法)により、成長室においてウェハ100Wの一面(上面)に第1反射鏡201、第1クラッド層202、発光層203、第2クラッド層204、酸化狭窄層205の材料である被酸化層を内部に有する第2反射鏡206をこの順に成長させる。次いで、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2素子構成部ES2の一部となるメサを基板100上に形成する。次いで、メサを高温の水蒸気雰囲気中に曝し、被酸化層を側面から酸化して酸化狭窄層205を形成する。最後に、例えばリフトオフ法により、アノード電極207をメサの頂部上に形成するとともに、カソード電極208を基板100のメサの周辺の領域上に形成する。
【0044】
次のステップS2では、光学素子100aを形成する(
図7A(
図7Bの7A-7A線断面図)及び
図7B(平面図)参照)。具体的には、ウェハ100Wを反転させた後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、ウェハ100Wの他面(上面)に光学素子100aとしての凸レンズ構造を形成する。
【0045】
次のステップS3では、テーパ溝VT(断面がテーパ状(例えばV字状)の溝)を形成する(
図8A(
図8Bの8A-8A線断面図)及び
図8B(平面図)参照)。具体的には、光学素子100aが形成された、ウェハ100Wの他面(上面)のスクライブ位置(切断予定位置)にアブレーションレーザ加工を行い、面取り部100bを内壁面(傾斜面)とするテーパ溝VTを形成する。なお、テーパ溝VTは、光学素子100aの形成時と同時又は異時にフォトリソグラフィ及びエッチングにより形成されてもよい。なお、本明細書中、「テーパ溝」は、底部に近づくほど幅が狭くなる溝を意味する。
【0046】
次のステップS4では、薄膜101を形成する(
図9A(
図9Bの9A-9A線断面図)及び
図9B(平面図)参照)。具体的には、テーパ溝VTが形成された、ウェハ100Wの他面(上面)の全域に例えば真空蒸着法、スパッタ等により薄膜101を成膜する。
【0047】
次のステップS5では、ダイシングテープDTを貼り付ける(
図9C(断面図)参照)。具体的には、ウェハ100Wを反転させて、ウェハ100Wの薄膜101側の表面(下面)にダイシングテープDT(ダイシング時にウェハ100Wを固定するための粘着テープ)を貼り付ける。
【0048】
次のステップS6では、ステルスダイシングを行う。具体的には、先ず、ウェハ100Wの、テーパ溝VTが形成されたスクライブ位置に一面(上面)側(テーパ溝VTの反対側)からクラックCを形成する。詳述すると、ウェハ100Wのスクライブ位置に一面(上面)側からレーザビームLB(集光ビーム)を照射してウェハ100W内部に分割の起点となる改質層MLを形成する((
図10A(
図11の10A-10A線断面図)、
図10B(
図10Aの一点鎖線で囲まれた部分を拡大した部分拡大図)及び
図11(平面図)参照))。このとき、クラックCは、応力が集中するテーパ溝VTに向かって伸展し、ほとんど曲がることなくテーパ溝VTの底部に達する。次いで、ウェハ100Wを延伸させて、素子となる複数の光学チップOCに分離する(
図12A(
図12Bの12A-12A断面図)及び
図12B(平面図)参照)。各光学チップOCが互いに分離されたときには、薄膜101の端部は面取り部100bに形成されており、該端部にはダイシングテープDTが粘着していない状態となっている。なお、ステップS6において、ウェハ100Wに対してブレードダイシングを行って、光学チップOCを分割して個片化してもよい。この場合にも、ブレードをテーパ溝VTに向かって移動させることにより切り口をほとんど曲がることなくテーパ溝VTの底部に到達させることが可能である。
【0049】
次のステップS7では、光学チップOCをピックアップする(
図13A参照)。具体的には、例えばマニピュレータで各光学チップOCを吸着保持してダイシングテープDTから引き剥がす。このとき、面取り部100bに形成された、薄膜101の端部にはダイシングテープDTが粘着していないため、薄膜101の端部を含む部分が基板100から剥がれることや基板100の欠けが防止される。
【0050】
次のステップS8では、フリップチップ接続を行う(
図13B参照)。具体的には、先ず、マニピュレータで吸着保持した光学チップOCを別のウェハ300Wに対して、第2素子構成部ES2のアノード電極207及びカソード電極208とレーザドライバの対応する端子(予めバンプが付着されている)とが対向するように位置合わせした後、所定の温度環境下でアノード電極207とレーザドライバの対応する端子とを第1バンプ400Aを介して加圧接合し、且つ、カソード電極208とレーザドライバの対応する端子とを第2バンプ400Bを介して加圧接合する。
【0051】
ステップS9では、アンダーフィル500を充填する(
図14A参照)。具体的には、光学チップOCの各第2素子構成部ES2と別のウェハ300Wとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する。
【0052】
ステップS10では、保護テープPTを貼り付ける(
図14B参照)。具体的には、光学チップOCの薄膜101側の表面に保護テープPT(光学チップOCを保護するための粘着テープ)を貼り付ける。
【0053】
ステップS11では、ウェハ300Wを薄膜化する(
図15A参照)。具体的には、ウェハ300Wの裏面(下面)をバックグライダ又はCMP(Chemical Mechanical Polisher)装置により研削して薄膜化する。ここで、
図15Aの部分拡大図である
図15Bに示すように、面取り部100bに形成された薄膜101に対する、保護テープPTのウェハ300Wの厚さ方向の食い込み量Lは例えば5μm未満なので、面取り部100bのウェハ300Wの厚さ方向の長さが例えば5μm以上であれば、薄膜101の端部に保護テープPTが粘着することが防止される。
【0054】
ステップS12では、保護テープPTを剥離する。具体的には、光学チップOCの薄膜101側の表面に貼り付けられた保護テープPTを捲るように剥離する。このとき、面取り部100bに形成された、薄膜101の端部がダイシングテープDTに粘着していないため、薄膜101の端部を含む部分が基板100から剥がれることや基板100の欠けが防止される。
【0055】
ステップS13では、ブレードダイシングを行う(
図16B参照)。具体的には、ブレードダイシングによりウェハ300Wを分割して複数の別の基板300に個片化する。
【0056】
≪比較例1に係る光学装置の製造方法≫
以下、比較例1に係る光学装置の製造方法について、
図35A~
図40Bを参照して簡単に説明する。
【0057】
(工程1)ウェハ1Wの一面に素子構成部2(例えばVCSEL(但し基板を除く))を形成する(
図35A参照)。
(工程2)ウェハ1Wを反転させてウェハ1Wの他面に光学素子1a(例えば凸レンズ構造)を形成する(
図35B参照)。
(工程3)ウェハ1Wの他面に薄膜3(例えば反射防止膜)を形成する(
図35C参照)
(工程4)ウェハ1Wの薄膜3側の表面にダイシングテープ4を貼り付ける(
図36A参照)。
(工程5)ウェハ1Wに対してステルスダイシングのレーザプロセスを行い、クラックCを形成する(
図36B参照)。ここでは、クラックCは、ウェハ1Wの厚さ方向に平行に形成されている。すなわち、ウェハ1Wが分割されて得られた基板1は、直角の角部を有する。
(工程6)ウェハ1Wに対してステルスダイシングの分割プロセスを行い、複数の光学チップ11(基板1、複数の素子構成部2及び薄膜3を含むチップ)に分割して個片化する(
図36C参照)。このとき、各光学チップ11の薄膜3の端部にダイシングテープ4が粘着している。
(工程7)各光学チップ11をピックアップする(
図37A参照)。このとき、薄膜3の端部を含む部分がダイシングテープ4に粘着したままの状態となって、薄膜3が基板1から剥がれるおそれがある。
(工程8)各光学チップ11の素子構成部2と別のウェハ5Wとをバンプ6(導電バンプ)を介して接続(フリップチップ接続)する(
図37B、
図37C参照)。
(工程9)各素子構成部2と別のウェハ5Wとの接合部の周辺にアンダーフィル7を充填する(
図38A参照)。
(工程10)光学チップ11の薄膜3側の表面に保護テープ8を貼り付ける(
図38B参照)。このとき、薄膜3の端部に保護テープ8が粘着している。
(工程11)別のウェハ5Wを薄膜化する(
図39A参照)。ここで、
図39Aの部分拡大図(
図39Aの一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図)である
図39Bに示すように、保護テープ8が、基板1の角部にて薄膜3の端部に食い込んでいる(
図39Bの破線の円内参照)。
(工程12)保護テープPTを剥離する。この際、薄膜3の端部を含む部分が保護テープ8と一緒に剥がれることがある(
図40A参照)。
(工程13)別のウェハ5Wをブレードダイシングにより複数の基板5に分割して個片化する(
図40B参照)。
【0058】
以上の一連の工程により得られた比較例1に係る光学装置であって、後の検査工程で薄膜3の剥がれが確認された光学装置は不良品の扱いとなる。
【0059】
≪比較例2に係る光学装置の製造方法≫
以下、比較例2に係る光学装置の製造方法について、
図41A~
図46Bを参照して簡単に説明する。比較例2に係る光学装置の製造方法は、比較例1に係る光学装置の製造方法と工程1~4が同じなので、工程5以降について説明する。
【0060】
(工程5)ウェハ1Wに対してステルスダイシングのレーザプロセスを行い、クラックCを形成する(
図41A参照)。ここでは、クラックCが、ウェハ1Wの厚さ方向に対して当初は略平行に伸展しているが、途中から曲がるように伸展している。すなわち、ウェハ1Wが分割されて得られた基板1は、頂部を持つ庇状部を有する。
(工程6)ウェハ1Wに対してステルスダイシングの分割プロセスを行い、複数の光学チップ11(基板1、複数の素子構成部2及び薄膜3を含むチップ)に分割して個片化する(
図41B参照)。このとき、薄膜3の端部にダイシングテープ4が粘着している。
(工程7)各光学チップ11をピックアップする(
図41C参照)。このとき、薄膜3の端部を含む部分がダイシングテープ4に粘着したままの状態となって、薄膜3が基板1から剥がれることが頻発しうる。
(工程8)各光学チップ11の素子構成部2と別のウェハ5Wに設けられた端子とをバンプ6(導電バンプ)を介して接続(フリップチップ接続)する(
図42A、
図42B参照)。
(工程9)各素子構成部2と別のウェハ5Wとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する(
図43A参照)。
(工程10)光学チップ11の薄膜3側の表面に保護テープ8を貼り付ける(
図43B参照)。このとき、薄膜3の端部に保護テープ8が粘着している。
(工程11)別のウェハ5Wの裏面を研削して薄膜化する(
図44A参照)。ここで、
図44Aの部分拡大図(
図44Aの一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図)である
図44Bに示すように、保護テープ8が、基板1の庇状部の頂部にて薄膜3の端部に食い込んでいる(
図44Bの破線の円内参照)。
(工程12)保護テープPTを剥離する。この際、薄膜3の端部を含む部分が保護テープ8と一緒に剥がれること(
図45A参照)や、薄膜3の端部を含む部分の剥がれに加えて基板1の角部を含む部分が割れて欠けることが頻発しうる(
図46A参照)。
(工程13)別のウェハ5Wをブレードダイシングにより複数の基板5に分割して個片化する(
図45B、
図46B参照)。
【0061】
以上の一連の工程により得られた比較例2に係る光学装置であって、後の検査工程で薄膜3の剥がれや基板5の欠けが確認された光学装置は不良品の扱いとなる。
【0062】
≪実施例1に係る光学装置及び該光学装置の製造方法の効果≫
以下、実施例1に係る光学装置10-1の効果について説明する。
実施例1に係る光学装置10-1は、基板100を含む第1素子構成部ES1と、基板100の一面に設けられた第2素子構成部ES2と、を含む素子を備え、基板100が、該一面(下面)側とは反対の他面(上面)側の端に面取り部100bを有する。
【0063】
光学装置10-1によれば、製造プロセスにおいて、基板100に成膜された薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を抑制可能な光学装置を提供することができる。結果として、光学装置10-1によれば、生産性(歩留まり)を向上可能な光学装置を提供することができる。
【0064】
一方、例えば比較例1、2に係る光学装置では、製造プロセスにおいて、基板1に成膜された薄膜3の剥がれ、基板1の欠け等の不具合を抑制することに関して改善の余地がある。結果として、比較例1、2に係る光学装置では、生産性(歩留まり)を向上することに関して改善の余地がある。
【0065】
基板100が他面側の端に面取り部100bを有し、第1素子構成部ES1が他面側から薄膜101で覆われている。これにより、薄膜101の端部が面取り部100bに形成されうるため、製造プロセスにおいて、薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を確実に抑制しうる。
【0066】
基板100が他面側の端に面取り部100bを有し、他面及び面取り部100bが薄膜101で覆われている。これにより、薄膜101の端部が面取り部100bに形成されるため、製造プロセスにおいて、薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を確実に抑制することができる。
【0067】
基板100が他面側の端に面取り部100bを有し、第1素子構成部ES1は、基板100の他面に設けられた光学素子100aを含み、少なくとも光学素子100a及び面取り部100bが薄膜101で覆われている。これにより、製造プロセスにおいて、光学素子100aを覆う薄膜101の剥がれ、光学素子100aの欠け等の不具合を抑制することができる。
【0068】
面取り部100bの基板100の厚さ方向に対する傾斜角は、60°以下である。これにより、製造プロセスにおいて、テーパ溝VTのテーパ角を120°以下とすることができ、クラックCを直線状に形成することに寄与する。なお、該テーパ角が大き過ぎると(例えば120°超)、クラックCが曲がるおそれがある。
【0069】
面取り部100bは、基板100の面内方向に関する長さに対する基板100の厚さ方向に関する長さの比率が2以上である。これにより、製造プロセスにおいて、伸展するクラックCをテーパ溝VTに確実に到達させることが可能となる。
【0070】
面取り部100bの基板100の厚さ方向に関する長さは、基板100の厚さの1/3以下であることが好ましい。これにより、基板100が割れることを抑制できる。
【0071】
薄膜101は、反射防止膜であることが好ましい。これにより、基板100の他面での光の反射を防止でき、光利用効率を向上できる。
【0072】
各第2素子構成部ES2が発光層203を有する。これにより、素子を発光素子アレイとして機能させることができる。
【0073】
各第2素子構成部ES2が、発光層203を挟む第1及び第2反射鏡201、206を有する。これにより、素子を面発光レーザアレイとして機能させることができる。
【0074】
第2素子構成部ES2が、発光層203を含むメサを有する。これにより、発光層203の発光領域(電流注入領域)の大きさをある程度制限することができる。
【0075】
基板100は、導電性を有する半導体基板(例えばn-GaAs基板)である。これにより、素子の生成が容易(例えばエピの回数が1回で足りる)となり、且つ、基板100内に電流パスを形成することができる。
【0076】
光学装置10-1は、素子(例えば面発光レーザアレイ)と接合された別の基板300を更に備える。これにより、光学装置10-1を素子とドライバ(駆動回路)とが一体化された光学モジュールを提供することができる。
【0077】
実施例1に係る光学装置10-1の製造方法は、複数の第1素子構成部ES1が共有するウェハ100Wであって複数の第1素子構成部ES1に対応する複数の第2素子構成部ES2が一面に設けられたウェハ100Wの他面の、ウェハ100Wのスクライブ位置にテーパ溝VTを形成する工程と、ウェハ100Wのスクライブ位置に一面側からクラックCを形成する工程と、複数の第2素子構成部ES2が形成されたウェハ100Wをスクライブ位置で分割して第1及び第2素子構成部ES1、ES2を含む光学チップOCを複数得る工程と、を含む。
【0078】
光学装置10-1の製造方法によれば、基板100に成膜された薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を抑制可能な光学装置を製造することができる。結果として、光学装置10-1の製造方法によれば、生産性(歩留まり)を向上することができる。
【0079】
上記クラックCを形成する工程では、スクライブ位置にウェハ100Wの一面側からレーザ光を照射することによりクラックCを形成する。これにより、レーザ光照射により伸展するクラックCをテーパ溝VTに到達させて、面取り部100bを含む光学チップOCに個片化することができる。このように光学チップOCがステルスダイシングにより個片化される場合には、ブレードダイシングを行うときのウェットプロセスや接触式プロセスに起因するデメリットが生じない点で有効である。
【0080】
テーパ溝VTを形成する工程では、ウェハ100Wを他面側からエッチングしてテーパ溝VT及び光学素子100aを形成してもよい。これにより、製造プロセスを簡略化できる。
【0081】
光学装置10-1の製造方法は、上記クラックCを形成する工程の前に、テーパ溝VTが形成された他面に薄膜101を形成する工程を含み、薄膜101を形成する工程の後、且つ、クラックCを形成する工程の前に、複数の光学チップOCの薄膜101側の表面にダイシングテープDTを貼り付ける工程と、上記得る工程の後、複数の光学チップOCをダイシングテープDTから剥離する工程と、を含む。この場合に、各光学チップOCの薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等が防止される。
【0082】
光学装置10-1の製造方法は、上記得る工程の後に、複数の光学チップOCの第2素子構成部ES2と別のウェハ300Wとをバンプ400を介して接合する工程と、複数の光学チップOCの別のウェハ300W側とは反対側の表面に保護テープPTを貼り付ける工程と、別のウェハ300Wを研削して薄膜化する工程と、複数の光学チップOCから保護テープPTを剥離する工程と、を含む。この場合に、各光学チップOCの薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等が防止される。
【0083】
光学装置10-1の製造方法は、上記剥離する工程の後に、別のウェハ300Wをダイシングして複数の光学チップOCのそれぞれを含む複数の光学装置10-1を得る工程を含む。これにより、光学装置10-1を個片化することができる。
【0084】
光学装置10-1の製造方法は、接合する工程の後に、複数の光学チップOCの第2素子構成部ES2と別のウェハ300Wとの接合部の周辺にアンダーフィル500を充填する工程を含む。これにより、これにより、接合部の補強効果や、光学チップOC及びレーザドライバの腐食抑制効果が得られる。
【0085】
<2.本技術の第1実施形態の実施例2に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例2に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図17は、本技術の第1実施形態の実施例2に係る光学装置10-2の断面図である。
【0086】
光学装置10-2は、
図17に示すように、基板100に薄膜101が設けられていない点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の構成を有する。
【0087】
光学装置10-2は、薄膜101を形成する工程(
図5のステップS4)を実施しない点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0088】
光学装置10-2によれば、薄膜101が設けられていないため反射防止効果は得られないものの製造プロセスを簡略化でき、且つ、製造プロセスにおいて基板100(光学素子100aを含む)が欠けることを抑制可能である。
【0089】
<3.本技術の第1実施形態の実施例3に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例3に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図18は、本技術の第1実施形態の実施例3に係る光学装置10-3の断面図である。
【0090】
光学装置10-3は、
図18に示すように、基板100に光学素子100aが設けられていない点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の構成を有する。
【0091】
光学装置10-3は、光学素子100aを形成する工程(
図5のステップS2)を実施しない点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0092】
光学装置10-3によれば、光学素子100aが設けられていないため、VCSELから出射される光の集光効果が得られないものの製造プロセスを簡略化することができ、且つ、製造プロセスにおいて、薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等を抑制することができる。
【0093】
<4.本技術の第1実施形態の実施例4に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例4に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図19Aは、本技術の第1実施形態の実施例4に係る光学装置10-4の断面図である。
【0094】
光学装置10-4は、
図19Aに示すように、素子が単一のVCSEL(発光部)から成る点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の構成を有する。
【0095】
光学装置10-4は、単一のVCSELを形成する点及び単一のVCSELをフリップチップで別のウェハ300Wに接続する点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0096】
光学装置10-4によれば、実施例1に係る光学装置10-1と同様の効果を奏する、単一発光部を有する光学装置を提供することができる。
【0097】
<5.本技術の第1実施形態の実施例5に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例5に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図19Bは、本技術の第1実施形態の実施例5に係る光学装置10-5の断面図である。
【0098】
光学装置10-5は、
図19Bに示すように、基板100に薄膜101が設けられていない点を除いて、実施例4に係る光学装置10-4と同様の構成を有する。
【0099】
光学装置10-5は、薄膜101を形成する工程を実施しない点を除いて、実施例4に係る光学装置10-4の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0100】
光学装置10-5によれば、薄膜101が設けられていないため反射防止効果は得られないものの製造プロセスを簡略化でき、且つ、製造プロセスにおいて基板100(光学素子100aを含む)が欠けることを抑制可能である。
【0101】
<6.本技術の第1実施形態の実施例6に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例6に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図20Aは、本技術の第1実施形態の実施例6に係る光学装置10-6の断面図である。
【0102】
光学装置10-6は、
図20Aに示すように、基板100に光学素子100aが設けられていない点を除いて、実施例4に係る光学装置10-4と同様の構成を有する。
【0103】
光学装置10-6は、光学素子100aを形成する工程を実施しない点を除いて、実施例4に係る光学装置10-4の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0104】
光学装置10-6によれば、実施例4に係る光学装置10-4に比べて、光学素子100aが設けられていないため、VCSELから出射される光の集光効果が得られないものの製造プロセスを簡略化することができ、且つ、製造プロセスにおいて、薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等を抑制することができる。
【0105】
<7.本技術の第1実施形態の実施例7に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例7に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図20Bは、本技術の第1実施形態の実施例7に係る光学装置10-7の断面図である。
【0106】
光学装置10-7は、
図20Bに示すように、基板100に薄膜101が設けられていない点を除いて、実施例6に係る光学装置10-6と同様の構成を有する。
【0107】
光学装置10-7は、薄膜101を形成する工程を実施しない点を除いて、実施例6に係る光学装置10-6の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0108】
光学装置10-7によれば、実施例6に係る光学装置10-6に比べて、薄膜101が設けられていないため反射防止効果は得られないものの製造プロセスを簡略化でき、且つ、製造プロセスにおいて基板100(光学素子100aを含む)が欠けることを抑制可能である。
【0109】
<8.本技術の第1実施形態の実施例8に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例8に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図21は、本技術の第1実施形態の実施例8に係る光学装置10-8の部分拡大断面図(
図3に対応する図)である。
【0110】
実施例8に係る光学装置10-8は、
図21に示すように、各VCSELがイントラキャビティ構造を有する点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の構成を有する。
【0111】
光学装置10-8の第2素子構成部ES2では、第1クラッド層202の一部(下部)、発光層203、第2クラッド層204及び酸化狭窄層205を内部に含む第2反射鏡206によりメサが構成されている。第1クラッド層202の他部(上部)の該メサの周辺の領域にカソード電極208が設けられている。
【0112】
光学装置10-8では、基板100としてアンドープの半導体基板(例えばi-GaAs基板)を用いることもできる。光学装置10-8では、第1反射鏡201の材料としてアンドープの化合物半導体(例えばi-AlGaAs)を用いることもできる。
【0113】
光学装置10-8は、第2素子構成部ES2を形成するときにメサの底面を第1クラッド層202内に位置させる点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0114】
光学装置10-8は、実施例1に係る光学装置10-1と同様の効果を奏するとともに、各VCSELの直列抵抗を低減できる光学装置を提供することができる。
【0115】
なお、光学装置10-8の第2素子構成部ES2において、第1反射鏡201の一部(下部)、第1クラッド層202、発光層203、第2クラッド層204及び酸化狭窄層205を内部に含む第2反射鏡206によりメサを構成してもよい。この場合に、第1反射鏡201の他部(上部)の該メサの周辺の領域にカソード電極208を設けてもよい。
【0116】
<9.本技術の第1実施形態の実施例9に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例9に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図22は、本技術の第1実施形態の実施例9に係る光学装置10-9の部分拡大断面図(
図3に対応する図)である。
【0117】
実施例9に係る光学装置10-9は、
図22に示すように、各発光部がLED(発光ダイオード)である点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の構成を有する。すなわち、光学装置10-9は、素子としてのLEDアレイを備える。
【0118】
光学装置10-9の第2素子構成部ES2では、発光層203と該発光層203を上下に挟む第1及び第2クラッド層202、204とによりメサが構成されている。
【0119】
光学装置10-9は、第2素子構成部ES2を形成するときに第1及び第2反射鏡201、206を成長させない点を除いて、実施例1に係る光学装置10-1と同様の製法で製造することができる。
【0120】
光学装置10-9は、実施例1に係る光学装置10-1と同様の効果を奏する、LEDアレイを備える光学装置を提供することができる。
【0121】
<10.本技術の第1実施形態の実施例10に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例10に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図23は、本技術の第1実施形態の実施例10に係る光学装置10-10の部分拡大断面図(
図3に対応する図)である。
【0122】
実施例10に係る光学装置10-10は、
図23に示すように、各LEDがイントラキャビティ構造に類似する構造を有する点を除いて、実施例9に係る光学装置10-9と同様の構成を有する。
【0123】
光学装置10-10の第2素子構成部ES2では、第1クラッド層202の一部(下部)、発光層203、第2クラッド層204によりメサが構成されている。第1クラッド層202の他部(上部)の該メサの周辺の領域にカソード電極208が設けられている。
【0124】
光学装置10-10では、基板100としてアンドープの半導体基板(例えばi-GaAs基板)を用いることもできる。光学装置10-8では、第1反射鏡201の材料としてアンドープの化合物半導体(例えばi-AlGaAs)を用いることもできる。
【0125】
光学装置10-10は、第2素子構成部ES2を形成するときにメサの底面を第1クラッド層202内に位置させる点を除いて、実施例9に係る光学装置10-9の製造方法と同様の製法で製造することができる。
【0126】
光学装置10-10は、実施例9に係る光学装置10-9と同様の効果を奏するとともに、各発光部(各LED)の直列抵抗を低減できる光学装置を提供することができる。
【0127】
<11.本技術の第1実施形態の実施例11に係る光学装置>
以下、本技術の第1実施形態の実施例11に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図24Aは、本技術の第1実施形態の実施例11に係る光学装置10-11の断面図である。
図24Bは、
図24Aの部分拡大図(
図24Aの一点鎖線で囲まれた部分の拡大図)である。
【0128】
実施例11に係る光学装置10-11は、
図24Aに示すように、第1及び第2素子構成部ES1、ES2を含む素子がジャンクションアップで別の基板300に接続されている。
【0129】
光学装置10-11では、基板100(例えばn-GaAs基板)の、複数の第2素子構成部ES2が設けられた一面(上面)側の端に面取り部100bが設けられている。
【0130】
光学装置10-11では、複数の第2素子構成部ES2のメサに対して、薄膜としての絶縁膜209及び薄膜としてのアノード電極207が共通に設けられている(
図24A及び
図24B参照)。アノード電極207及び絶縁膜209の端部は、面取り部100b上に設けられている。アノード電極207は、各メサの中央部上に出射口となる開口部を有している。
【0131】
アノード電極207は、基板100の一面の面取り部100bの近傍の位置でボンディングワイヤBWにより、別の基板300上に設けられた端子302(レーザドライバの陽極側の端子)に接続されている。
【0132】
光学装置10-11では、カソード電極208が基板100の他面(下面)にベタ状に設けられている。カソード電極208は、別の基板300上に設けられた端子301(レーザドライバの陰極側の端子)に接合されている。
【0133】
光学装置10-11の製造プロセスにおいて、光学チップの複数の第2素子構成部ES2側の表面にダイシングテープや保護テープが貼り付けられる。
【0134】
光学装置10-11によれば、アノード電極207及び絶縁膜209の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を抑制可能な光学装置を提供することができる。
【0135】
<12.本技術の第2実施形態の実施例1に係る光学装置>
以下、本技術の第2実施形態の実施例1に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図25Aは、本技術の第2実施形態の実施例1に係る光学装置20-1の断面図である。
【0136】
光学装置20-1の素子は、
図25Aに示すように、固体撮像素子(イメージセンサ)である。基板100(例えばSi基板等の半導体基板)内に複数の光電変換素子102(例えばフォトダイオード)が設けられている。複数の光電変換素子102は、基板100の面内方向に2次元配置(例えばマトリクス配置、千鳥配置等)されている。基板100の一面側(上面側)の端に面取り部100bが設けられている。基板100の一面(上面)及び面取り部100bは、薄膜101(例えば反射防止膜)で覆われている。薄膜101上には、各光電変換素子102に対応するカラーフィルタ103及びマイクロレンズ104がこの順に設けられている。すなわち、光学装置20-1の固体撮像素子は、光電変換素子102、カラーフィルタ103及びマイクロレンズ104を各々が含む複数の画素が2次元配置された画素アレイを有する。光学装置20-2では、第1素子構成部ES1が基板100、カラーフィルタ103及びマイクロレンズ104を含む。なお、各画素は、カラーフィルタ103及びマイクロレンズ104の少なくとも一方を有していなくてもよい。ここでは、固体撮像素子としてエリアセンサを例示しているが、例えばリニアセンサであってもよい。隣接画素間に画素間遮光膜を設けてもよい。
【0137】
基板100の他面(下面)には、第2素子構成部ES2を構成する第1配線層211、第2配線層212及び基板213(例えばロジック回路やメモリ回路を内蔵する、Si基板等の半導体基板)が該他面側からこの順に積層されている。
【0138】
第1配線層211は、例えばビアを介して基板100と電気的に接続されている。第2配線層212は、例えばビアを介して基板213と電気的に接続されている。第1及び第2配線層211、212は、例えば金属接合により電気的に接続されている。
【0139】
光学装置20-1では、製造プロセスにおいて、光学チップの第1素子構成部ES1側の表面にダイシングテープや保護テープが貼り付けられる。
【0140】
光学装置20-1によれば、製造プロセスにおいて、基板100に成膜された薄膜101の剥がれ、基板100の欠け等の不具合を抑制することができる、固体撮像素子を備える光学装置を提供することができる。
【0141】
<13.本技術の第2実施形態の実施例2に係る光学装置>
以下、本技術の第2実施形態の実施例2に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図25Bは、本技術の第2実施形態の実施例2に係る光学装置20-2の断面図である。
【0142】
光学装置20-2は、単一画素を有する固体撮像素子を含む光学装置である点を除いて、実施例1に係る光学装置20-1と同様の構成を有する。
【0143】
光学装置20-2は、実施例1に係る光学装置20-1の製造方法と概ね同様の製法により製造することができる。
【0144】
光学装置20-2によれば、実施例1に係る光学装置20-1と同様の効果を奏する、単一画素を有する固体撮像素子を含む光学装置を提供することができる。
【0145】
<14.本技術の第2実施形態の実施例3に係る光学装置>
以下、本技術の第2実施形態の実施例3に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図26Aは、本技術の第2実施形態の実施例3に係る光学装置20-3の断面図である。
【0146】
光学装置20-3は、基板100に薄膜101が設けられていない点を除いて、実施例1に係る光学装置20-1と同様の構成を有する。
【0147】
光学装置20-3は、基板100に薄膜101を形成しない点を除いて、実施例1に係る光学装置20-1の製造方法と同様の製法により製造することができる。
【0148】
光学装置20-3によれば、薄膜101が設けられてないため反射防止効果を得ることはできないものの製造プロセスを簡略化することができ、且つ、製造プロセスにおいて基板100の欠けを抑制可能である。
【0149】
<15.本技術の第2実施形態の実施例4に係る光学装置>
以下、本技術の第2実施形態の実施例4に係る光学装置について、図面を用いて説明する。
図26Bは、本技術の第2実施形態の実施例4に係る光学装置20-4の断面図である。
【0150】
光学装置20-4は、単一画素を有する固体撮像素子を含む光学装置である点を除いて、実施例3に係る光学装置20-3と同様の構成を有する。
【0151】
光学装置20-4は、基板100に薄膜101を形成しない点を除いて、実施例2に係る光学装置20-2の製造方法と概ね同様の製法により製造することができる。
【0152】
光学装置20-4によれば、実施例3に係る光学装置20-3と同様の効果を奏する、単一画素を有する固体撮像素子を含む光学装置を提供することができる。
【0153】
<16.本技術の変形例>
本技術は、上記各実施形態の各実施例に限定されることなく、種々の変形が可能である。
【0154】
(面取り部100bの変形例(その1))
例えば、上記各実施形態の各実施例において、面取り部100bは、
図27に示すように、下方に凸の曲面であってもよい。この場合、製造プロセスにおいて、基板100にテーパ溝を内壁面が下方に凸の曲面(
図27の曲面と、該曲面と対称な曲面とを併せた曲面)となるように形成することにより、
図27の曲面が得られる。
【0155】
(面取り部100bの変形例(その2))
例えば、上記各実施形態の各実施例において、面取り部100bは、
図28に示すように、上方に凸の曲面であってもよい。この場合、製造プロセスにおいて、基板100にテーパ溝を内壁面が上方に凸の曲面(
図28の曲面と、該曲面と対称な曲面とを併せた曲面)となるように形成することにより、
図28の曲面が得られる。
【0156】
(第1実施形態の変形例1に係る光学装置)
図29Aに示す、第1実施形態の変形例1に係る光学装置10-M1は、基板100が薄膜101で覆われていない点を除いて、第1実施形態の実施例3に係る光学装置10-3(
図18参照)と同様の構成を有する。
【0157】
(第1実施形態の変形例2に係る光学装置)
図29Bに示す、第1実施形態の変形例2に係る光学装置10-M2は、アンダーフィル500が設けられていない点を除いて、変形例1に係る光学装置10-M1と同様の構成を有する。
【0158】
(第1実施形態の変形例3に係る光学装置)
図30Aに示す、第1実施形態の変形例3に係る光学装置10-M3は、別の基板300、バンプ400及びアンダーフィル500を有していない点を除いて、第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1(
図1参照)と同様の構成を有する。
【0159】
(第1実施形態の変形例4に係る光学装置)
図30Bに示す、第1実施形態の変形例4に係る光学装置10-M4は、別の基板300、バンプ400及びアンダーフィル500を有していない点を除いて、第1実施形態の実施例2に係る光学装置10-2(
図17参照)と同様の構成を有する。
【0160】
(第1実施形態の変形例5に係る光学装置)
図31Aに示す、第1実施形態の変形例5に係る光学装置10-M5は、別の基板300、バンプ400及びアンダーフィル500を有していない点を除いて、第1実施形態の実施例3に係る光学装置10-3(
図18参照)と同様の構成を有する。
【0161】
(第1実施形態の変形例6に係る光学装置)
図31Bに示す、第1実施形態の変形例6に係る光学装置10-M6は、別の基板300、バンプ400及びアンダーフィル500を有していない点を除いて、変形例1に係る光学装置10-M1(
図29A参照)と同様の構成を有する。
【0162】
(第1実施形態の変形例7に係る光学装置)
図32Aに示す、第1実施形態の変形例7に係る光学装置10-M7は、基板100の、第2素子構成部ES2が設けられた一面側(上面側)の端に面取り部100bを有する点を除いて、変形例6に係る光学装置10-M6(
図31B参照)と同様の構成を有する。
【0163】
(第1実施形態の変形例8に係る光学装置)
図32Bに示す、第1実施形態の変形例8に係る光学装置10-M8は、基板100の一面(上面)、面取り部100b及び第2素子構成部ES2が、絶縁膜及び該絶縁膜上に設けられたアノード電極を含む薄膜210で覆われている点を除いて、変形例7に係る光学装置10-M7(
図32A参照)と同様の構成を有する。薄膜210のアノード電極に出射口となる開口を設けてもよい。
【0164】
(第1実施形態の変形例9に係る光学装置)
図32Cに示す、第1実施形態の変形例9に係る光学装置10-M9は、基板100の他面側(下面側)の端にも面取り部100bを有する点を除いて、変形例8に係る光学装置10-M8(
図32B参照)と同様の構成を有する。
【0165】
(第1実施形態の変形例10に係る光学装置)
図33Aに示す、第1実施形態の変形例10に係る光学装置10-M10は、基板100の、第2素子構成部ES2が設けられた一面側(下面側)の端にも面取り部100bを有する点を除いて、変形例5に係る光学装置10-M5(
図31A参照)と同様の構成を有する。
【0166】
(第1実施形態の変形例11に係る光学装置)
図33Bに示す、第1実施形態の変形例11に係る光学装置10-M11は、基板100の、第2素子構成部ES2が設けられた一面側(下面側)の端にも面取り部100bを有する点を除いて、変形例6に係る光学装置10-M6(
図31B参照)と同様の構成を有する。
【0167】
(第1実施形態の変形例12に係る光学装置)
図34に示す、第1実施形態の変形例12に係る光学装置10-M12は、測距装置を構成する。光学装置10-M12は、別の基板300に設けられた受光素子301を備える点を除いて、第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1と概ね同様の構成を有する。
【0168】
光学装置10-M12では、別の基板300が、一例として、レーザドライバ及び受光回路を含むICが形成されたGe基板である。該受光回路は、例えばA/D変換器、TOF(Time Of flight)演算部等を含む。
【0169】
受光素子301は、一例として別の基板300の表面の、素子(面発光レーザアレイ)の実装領域の周辺に設けられた穴部に受光面が露出した状態で設けられている。受光素子301は、一例として、APD(アバランシェ・フォトダイオード)である。
【0170】
光学装置10-M12は、別の基板300にIC及び受光素子301を形成する点を除いて、第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1の製造方法と概ね同様の製法により製造することができる。
【0171】
光学装置10-M12によれば、第1実施形態の実施例1に係る光学装置10-1と同様の効果を奏する面発光レーザアレイと受光素子301とを含む、高性能のTOFモジュールを提供することができる。
【0172】
(本技術に係る光学装置の面発光レーザの変形例)
図47は、本技術に係る光学装置の面発光レーザの変形例である面発光レーザ2000を示す平面図である。
図48Aは、
図47のX-X線断面図である。
図48Bは、
図47のY-Y線断面図である。
【0173】
面発光レーザ2000の各構成要素は、基板2001に積層されている。基板2001は例えばGaAs、InGaAs、InP、InAsP等の半導体を含んで構成することができる。
【0174】
面発光レーザ2000は、保護領域2002(
図48A及び
図48Bの透過性灰色領域)を含む。
図47に示すように、保護領域2002は、平面視において円形状であるが、例えば楕円形状、多角形状等の別の形状であってもよく、特定の形状に限定されない。保護領域2002は電気的な分離をもたらす材料を含み、例えばイオン注入された領域である。
【0175】
更に、面発光レーザ2000は、
図48A及び
図48Bに示すように、第1電極2003と第2電極2004とを含む。
図47に示すように、第1電極2003は、平面視において、不連続箇所(断続箇所)を有するリング形状、すなわちスプリットリング形状であるが、特定の形状に限定されない。
図48A又は
図48Bに示すように、第2電極2004は、基板2001に接触している。第1電極2003及び第2電極2004は、例えばTi、Pt、Au、AuGeNi、PdGeAu等の導電材料を含んで構成される。第1電極2003及び第2電極2004は、単層構造を有していてもよいし、積層構造を有していてもよい。
【0176】
更に、面発光レーザ2000は、保護領域2002の周囲に設けられたトレンチ2005を含む。
図47は、一例として平面視矩形のトレンチ2005が6箇所に設けられた構造を示すが、その数や、平面視における形状は特定のものに限定されない。トレンチ2005は酸化狭窄層2006(酸化領域2006a及び非酸化領域2006bを含む)を形成するための開口である。面発光レーザ2000の製造工程において、トレンチ2005を介して高温水蒸気が供給されることで酸化狭窄層2006の酸化領域2006aが形成される。例えば、酸化領域2006aはAlAs又はAlGaAs層の酸化の結果として形成されるAl
2O
3である。トレンチ2005には酸化狭窄層2006を形成する工程の後において、任意の誘電体が埋め込まれる場合もある。また、誘電体膜による表面被膜を行う場合もある。
【0177】
更に、面発光レーザ2000は、第1電極2003上の誘電体層2007に設けられた誘電体開口2008(コンタクトホール)を含む。誘電体層2007は、
図48A及び
図48Bに示すような積層構造を有していてもよいし、単層構造を有していてもよい。誘電体層2007は、一例として酸化シリコンや窒化シリコンなどを含む。
図47に示すように、誘電体開口2008は、第1電極2003と同じ形状に形成されている。ただし、誘電体開口2008の形状は第1電極2003の形状には限定されず、第1電極2003上に部分的に形成されていてもよい。誘電体開口2008には不図示の導電材料が充填され、該導電材料が第1電極2003と接触する。
【0178】
更に、
図48A及び
図48Bに示すように、面発光レーザ2000は第1電極2003の内側に光学開口2009を含む。面発光レーザ2000は、光学開口2009を介して光線を出射する。更に、面発光レーザ2000は、酸化狭窄層2006の酸化領域2006aが、電流及び光を閉じ込める電流・光閉じ込め領域として機能する。酸化狭窄層2006の非酸化領域2006bは、光学開口2009の下方に位置し、電流及び光を通過させる電流・光通過領域として機能する。
【0179】
更に、面発光レーザ2000は、第1多層反射鏡2011及び第2多層反射鏡2012を含む。多層反射鏡は一例として半導体多層膜反射鏡であり、分布型ブラッグ反射鏡(Distributed Bragg Reflector)とも呼ばれる。
【0180】
更に、面発光レーザ2000は、活性層2013を含む。活性層2013は、第1多層反射鏡2011と第2多層反射鏡2012との間に配置され、注入キャリアを閉じ込め、面発光レーザ2000の発光波長を規定する。
【0181】
本構成例では、一例として、面発光レーザ2000が表面出射型面発光レーザである場合を例にとって説明したが、面発光レーザ2000は裏面出射型面発光レーザを構成することもできる。
【0182】
図47及び
図48Aに示すように、本構成例の面発光レーザ2000の実質的な径はトレンチ2005によって規定される仮想的な円の直径dである。
【0183】
本構成例の面発光レーザ2000は、一例として、以下の工程1~8の手順で製造される。
(工程1)基板2001の表面に第1多層反射鏡2011、活性層2013、酸化狭窄層2006となる被選択酸化層、及び第2多層反射鏡2012をエピタキシャル成長させる。
(工程2)例えばリフトオフ法を用いて、第1電極2003を第2多層反射鏡2012上に形成する。
(工程3)例えばフォトリソグラフィによりトレンチ2005を形成する。
(工程4)被選択酸化層の側面を露出させ、該被選択酸化層を側面から選択酸化することにより酸化狭窄層2006を形成する。
(工程5)保護領域2002をイオン注入などによって形成する。
(工程6)誘電体層2007を例えば蒸着、スパッタ等により成膜する。
(工程7)例えばフォトリソグラフィにより誘電体層2007に誘電体開口2008を形成して第1電極2003の接点を露出させる。
(工程8)基板2001の裏面を研磨して薄膜化した後、第2電極2004を基板2001の裏面に形成する。
【0184】
以上説明した面発光レーザ2000を構成する層の層数、配置、厚さ、配置順、対称性等は一例であって適宜変更可能である。すなわち、面発光レーザ2000は、
図47、
図48A及び
図48Bに示すものより多数の層、少数の層、異なる層、異なる構造の層、又は異なる配置の層を含んでもよい。
【0185】
本技術は、以上説明した面発光レーザ2000及びその変形例に適用することができる。
【0186】
(その他の変形例)
【0187】
例えば、発光部がVCSELである場合の電流狭窄は、酸化狭窄層によるものに限られない。例えば周回状のイオン注入領域により電流狭窄を行ってもよいし、例えばGa空孔拡散によりアパーチャの内外でバンドギャップエネルギー差を設けてキャリアを閉じ込めるQWI、埋め込みトンネルジャンクション等により電流狭窄を行ってもよい。
【0188】
例えば、発光部がVCSELである場合に、酸化狭窄層は、第2反射鏡206内に代えて又は加えて、第1反射鏡201内、第1クラッド層202内及び第2クラッド層204内に設けられてもよい。
【0189】
例えば、発光部がVCSELである場合の光狭窄は、酸化狭窄層によるものに限らない。例えば、共振器内に段差部を設けてアパーチャ外がアパーチャ内よりも低屈折率となるようアパーチャ内外で屈折率差をつけてもよい。
【0190】
例えば、発光部がLEDである場合に、発光層の片側に反射鏡が設けられてもよい。
【0191】
例えば、基板100は、Si基板、Ge基板、GaN基板、InP基板、SiC基板、等であってもよい。素子は、半導体層のエピタキシャル成長に加えて異種基板の接合により生成してもよい。発光部(例えばVCSEL、LED等)の発光層には、波長帯200~2000nmに含まれるいずれの発光波長となる材料も用いることが可能である。
【0192】
発光部がVCSELである場合に、第1及び第2反射鏡201、206は、半導体に限らず、例えば半導体、誘電体及び金属から選択される一種又は2種以上の組み合わせで構成されてもよい。
【0193】
第1反射鏡201は、基板100の発光層203側とは反対側に設けられていてもよい。すなわち、第1素子構成部ES1が基板100に加えて第1反射鏡201を含んでいてもよい。
【0194】
素子が発光素子(例えばVCSEL、LED等)である場合に、発光層の一側及び他側の導電型(n型及びp型)を入れ替えてもよい。
【0195】
基板100に設けられる光学素子は、基板100とは別体であってもよい。該光学素子は、凸レンズ構造に限らず、例えば凹レンズ構造、自由曲面レンズ構造、ミラー構造(例えば平面鏡、凸面鏡、凹面鏡、自由曲面ミラー等)であってもよい。光学素子としてのレンズ構造やミラー構造は、メタサーフェスにより形成されていてもよい。
【0196】
上記各実施例及び各変形例の光学装置の構成の一部を相互に矛盾しない範囲内で組み合わせてもよい。
【0197】
以上説明した各実施例及び各変形例において、光学装置を構成する各層の材料、導電型、厚さ、幅、数値、形状、大きさ等は、光学装置として機能する範囲内で適宜変更可能である。
【0198】
<17.電子機器への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品(電子機器)へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置(例えば測距装置、形状認識装置等)や、光通信機器や、低消費電力機器(例えばスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、マウス等)に適用することもできる。
【0199】
本技術に係る光学装置は、例えば、光により画像を形成又は表示する機器(例えばレーザプリンタ、レーザ複写機、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等)の光源装置あるいはディスプレイそのものや、カメラの受光装置(固体撮像素子)としても応用可能である。本技術に係る光学装置は、照明用の光源装置にも適用可能である。
【0200】
<18.光学装置を距離測定装置に適用した例>
以下に、上記各実施形態及び各変形例に係る光学装置の適用例について説明する。
【0201】
図49は、本技術に係る電子機器の一例としての、光学装置10-1を備えた距離測定装置1000(測距装置)の概略構成の一例を表したものである。距離測定装置1000は、TOF(Time Of Flight)方式により被検体Sまでの距離を測定するものである。距離測定装置1000は、光源として光学装置10-1を備えている。距離測定装置1000は、例えば、光学装置10-1、受光装置125、レンズ115、130、信号処理部140、制御部150、表示部160および記憶部170を備えている。
【0202】
受光装置125は、被検体Sで反射された光を検出する。レンズ115は、光学装置10-1から出射された光を平行光化するためのレンズであり、コリメートレンズである。レンズ130は、被検体Sで反射された光を集光し、受光装置125に導くためのレンズであり、集光レンズである。受光装置125は、上記第2実施形態の実施例1~4に係る光学装置20-1~20-4(固体撮像素子を有する光学装置)のいずれかを有していてもよい。
【0203】
信号処理部140は、受光装置125から入力された信号と、制御部150から入力された参照信号との差分に対応する信号を生成するための回路である。制御部150は、例えば、Time to Digital Converter (TDC)を含んで構成されている。参照信号は、制御部150から入力される信号であってもよいし、光学装置10-1の出力を直接検出する検出部の出力信号であってもよい。制御部150は、例えば、光学装置10-1、受光装置125、信号処理部140、表示部160および記憶部170を制御するプロセッサである。制御部150は、信号処理部140で生成された信号に基づいて、被検体Sまでの距離を計測する回路である。制御部150は、被検体Sまでの距離についての情報を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部150から入力された映像信号に基づいて、被検体Sまでの距離についての情報を表示する。制御部150は、被検体Sまでの距離についての情報を記憶部170に格納する。
【0204】
本適用例において、光学装置10-1に代えて、上記光学装置10-2~10-11、10-M1~10-M12のいずれかを距離測定装置1000の光源に適用することもできる。
<19.距離測定装置を移動体に搭載した例>
【0205】
図50は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0206】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図50に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0207】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0208】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0209】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、距離測定装置12031が接続される。距離測定装置12031には、上述の距離測定装置1000が含まれる。車外情報検出ユニット12030は、距離測定装置12031に車外の物体(被検体S)との距離を計測させ、それにより得られた距離データを取得する。車外情報検出ユニット12030は、取得した距離データに基づいて、人、車、障害物、標識等の物体検出処理を行ってもよい。
【0210】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0211】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0212】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0213】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0214】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図50の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0215】
図51は、距離測定装置12031の設置位置の例を示す図である。
【0216】
図51では、車両12100は、距離測定装置12031として、距離測定装置12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0217】
距離測定装置12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる距離測定装置12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる距離測定装置12105は、主として車両12100の前方のデータを取得する。サイドミラーに備えられる距離測定装置12102,12103は、主として車両12100の側方のデータを取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる距離測定装置12104は、主として車両12100の後方のデータを取得する。距離測定装置12101及び12105で取得される前方のデータは、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識等の検出に用いられる。
【0218】
なお、
図51には、距離測定装置12101ないし12104の検出範囲の一例が示されている。検出範囲12111は、フロントノーズに設けられた距離測定装置12101の検出範囲を示し、検出範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた距離測定装置12102,12103の検出範囲を示し、検出範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた距離測定装置12104の検出範囲を示す。
【0219】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、距離測定装置12101ないし12104から得られた距離データを基に、検出範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0220】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、距離測定装置12101ないし12104から得られた距離データを元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0221】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、距離測定装置12031に適用され得る。
【0222】
また、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)基板を含む第1素子構成部と、
前記基板の一面に設けられた第2素子構成部と、
を含む素子を備え、
前記基板が、前記一面側とは反対の他面側の端及び/又は前記一面側の端に面取り部を有する、光学装置。
(2)前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第1素子構成部が前記他面側から薄膜で覆われ、前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記第2素子構成部が前記一面側から薄膜で覆われている、(1)に記載の光学装置。
(3)前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記他面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われ、前記基板が前記一面側の端に前記面取り部を有する場合に、前記一面及び前記面取り部が前記薄膜で覆われている、(1)又は(2)に記載の光学装置。
(4)前記基板が前記他面側の端に前記面取り部を有し、前記第1素子構成部は、前記他面に設けられた光学素子を含み、少なくとも前記光学素子及び前記面取り部が前記薄膜で覆われている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の光学装置。
(5)前記面取り部の前記基板の厚さ方向に対する傾斜角は、60°以下である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の光学装置。
(6)前記面取り部は、前記基板の面内方向に関する長さに対する前記基板の厚さ方向に関する長さの比率が2以上である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の光学装置。
(7)前記面取り部の前記基板の厚さ方向に関する長さは、前記基板の厚さの1/3以下である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の光学装置。
(8)前記薄膜は、反射防止膜である、(2)~(7)のいずれか1つに記載の光学装置。
(9)前記第2素子構成部が発光層を有する、(1)~(8)のいずれか1つに記載の光学装置。
(10)前記第2素子構成部が、前記発光層を挟む第1及び第2反射鏡を有し、又は、前記第1素子構成部が前記第1反射鏡を有し且つ前記第2素子構成部が前記第2反射鏡を有する、(9)に記載の光学装置。
(11)前記第2素子構成部が、前記発光層を含むメサを有する、(9)又は(10)に記載の光学装置。
(12)前記基板は、半導体基板である、(1)~(11)のいずれか1つに記載の光学装置。
(13)前記素子と接合された別の基板を更に備える、(1)~(12)のいずれか1つに記載の光学装置。
(14)本技術は、複数の第1素子構成部が共有するウェハであって前記複数の第1素子構成部に対応する複数の第2素子構成部が一面に設けられたウェハの他面の、前記ウェハのスクライブ位置にテーパ溝を形成する工程と、
前記ウェハの前記スクライブ位置に前記一面側からクラックを形成する工程と、
前記ウェハを前記スクライブ位置で分割して前記第1及び第2素子構成部を含む光学チップを複数得る工程と、
を含む、光学装置の製造方法。
(15)前記クラックを形成する工程では、前記スクライブ位置に前記一面側からレーザ光を照射することにより前記クラックを形成する、(14)に記載の光学装置の製造方法。
(16)前記テーパ溝を形成する工程では、前記ウェハを前記他面側からエッチングして前記他面に前記テーパ溝及び光学素子を形成する、(14)又は(15)に記載の光学装置の製造方法。
(17)前記クラックを形成する工程の前に、前記テーパ溝が形成された前記他面に薄膜を形成する工程を含み、前記薄膜を形成する工程の後、且つ、前記クラックを形成する工程の前に、複数の前記光学チップの前記薄膜側の表面にダイシングテープを貼り付ける工程と、前記得る工程の後、複数の前記光学チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、を含む、(14)~(16)のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
(18)前記得る工程の後に、複数の前記光学チップの前記第2素子構成部と別のウェハとをバンプを介して接合する工程と、前記複数の光学チップの前記別のウェハ側とは反対側の表面に保護テープを貼り付ける工程と、前記別のウェハを研削して薄膜化する工程と、前記複数の光学チップから前記保護テープを剥離する工程と、を含む、(14)~(17)のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
(19)前記保護テープを剥離する工程の後に、前記別のウェハをダイシングして複数の光学チップのそれぞれを含む複数の光学装置を得る工程を含む、(18)に記載の光学装置の製造方法。
(20)前記接合する工程の後に、前記複数の光学チップの前記第2素子構成部と前記別のウェハとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する工程を含む、(18)に記載の光学装置の製造方法。
(21)複数の第1素子構成部が共有するウェハであって前記複数の第1素子構成部に対応する複数の第2素子構成部が一面に設けられたウェハの前記一面の、前記ウェハのスクライブ位置にテーパ溝を形成する工程と、
前記ウェハの前記スクライブ位置に前記他面側からクラックを形成する工程と、
前記ウェハを前記スクライブ位置で分割して前記第1及び第2素子構成部を含む光学チップを複数得る工程と、
を含む、光学装置の製造方法。
(22)前記クラックを形成する工程では、前記スクライブ位置に前記他面側からレーザ光を照射することにより前記クラックを形成する、(21)に記載の光学装置の製造方法。
(23)前記クラックを形成する工程の前に、前記テーパ溝が形成された前記一面に薄膜を形成する工程を含み、前記薄膜を形成する工程の後、且つ、前記クラックを形成する工程の前に、複数の前記光学チップの前記薄膜側の表面にダイシングテープを貼り付ける工程と、前記得る工程の後、複数の前記光学チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、を含む、(21)又は(22)に記載の光学装置の製造方法。
(24)前記得る工程の後に、前記複数の光学チップと別のウェハとを接合する工程と、前記複数の光学チップの前記別のウェハ側とは反対側の表面に保護テープを貼り付ける工程と、前記別のウェハを研削して薄膜化する工程と、前記複数の光学チップから前記保護テープを剥離する工程と、を含む、(21)~(23)のいずれか1つに記載の光学装置の製造方法。
(25)前記保護テープを剥離する工程の後に、前記別のウェハをダイシングして複数の光学チップのそれぞれを含む複数の光学装置を得る工程を含む、(24)に記載の光学装置の製造方法。
(26)前記接合する工程の後に、前記複数の光学チップの前記第2素子構成部と前記別のウェハとの接合部の周辺にアンダーフィルを充填する工程を含む、(24)又は(25)に記載の光学装置の製造方法。
【符号の説明】
【0223】
10-1~10-11、20-1~20-4、10-M1~10-M12:光学装置
100:基板
100a:光学素子
100b:面取り部
100W:ウェハ
101:薄膜
201:第1反射鏡
203:発光層
206:第2反射鏡
300:別の基板
300W:別のウェハ
400:バンプ
500:アンダーフィル
ES1:第1素子構成部
ES2:第2素子構成部
T:基板の厚さ
φ:傾斜角
Dv:面取り部の基板の厚さ方向に関する長さ
Dh:面取り部の基板の面内方向に関する長さ
VT:テーパ溝
C:クラック
DT:ダイシングテープ
OC:光学チップ
PT:保護テープ