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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081836
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ラッシュアジャスタ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/24 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
F01L1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195300
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古居 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇二
【テーマコード(参考)】
3G016
【Fターム(参考)】
3G016AA06
3G016BA18
3G016CA30
3G016DA20
3G016GA03
(57)【要約】
【課題】エア噛みの発生を抑制することができるラッシャジャスタを提供する。
【解決手段】ラッシュアジャスタ10は、弁体28がプランジャ12の底部18の下面における弁座26Aに対して接離することによって弁孔26を開閉する。リテーナ29は、高圧室27側の底部18に固定される。リテーナ29は、弁孔26の開閉に伴う28弁体の移動を許容しつつ、弁体28を保持する。そして、ラッシュアジャスタ10は、弁体28が弁座26に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる遅延部として、弁孔26の中心軸C1及びリテーナ29の中心軸C2を互いにオフセットさせた構成を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のボディと、
底部と周壁部とを有して前記ボディ内に軸方向に摺動可能に配置され、前記ボディとの間に高圧室を形成するとともに内部に低圧室を形成し、前記底部に前記高圧室と前記低圧室とを連通する弁孔を形成したプランジャと、
前記高圧室内に配置され、前記底部の下面における前記弁孔の開口縁部に形成された弁座に対して接離することによって前記弁孔を開閉する弁体と、
前記高圧室内に配置され、前記弁孔の開閉に伴う前記弁体の移動をガイドするガイドと、
を備えたラッシュアジャスタであって、
前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる遅延部を備える、ラッシュアジャスタ。
【請求項2】
前記遅延部は、前記弁孔の中心軸、及び前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態に至るまでの前記ガイドによる前記弁体のガイド中心軸を互いにオフセットさせて構成されている、請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項3】
前記遅延部は、前記弁孔の中心軸を前記底部の径方向の中心からオフセットさせて構成されている、請求項2に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項4】
前記底部を前記弁孔の中心軸を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、前記底部における前記弁孔の両側に位置する部分のうち、一方の部分の前記弁座の高さは、他方の部分の前記弁座の高さよりも上側に位置している、請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項5】
前記弁孔の前記開口縁部は、前記一方の部分の前記弁座の一方端から前記他方の部分の前記弁座の他方端にかけて水平方向に対して傾斜する傾斜縁を有し、
前記弁孔は、前記底部において、前記傾斜縁と直交する方向に貫通している請求項4に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項6】
前記一方の部分の下面は、前記底部の外周縁から前記弁座に向けて上向きに傾斜している、請求項4又は請求項5に記載のラッシュアジャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はラッシュアジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の動弁装置に用いられる油圧式のラッシュアジャスタとして、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、筒状のボディと、ボディ内に軸方向に摺動可能に配置されるプランジャとを備え、プランジャの上端部においてロッカアームを支持している。プランジャの内部は低圧室とされ、ボディの下部はプランジャの底壁によって区画された高圧室とされ、プランジャの底壁には弁孔が開口されている。低圧室内にはボディの周壁の連通孔とプランジャの周壁の連通孔とを介してシリンダヘッドの給油路から供給された作動油が貯留され、弁孔を通して高圧室内にも作動油が満たされている。また、高圧室内には、弁孔を閉塞可能な球形の弁体が収容されている。
【0003】
ラッシュアジャスタは、ロッカアーム側から付与される押圧力が高圧室内のばねの付勢力よりも弱まると、ばねの作用によってプランジャが押し上げられて伸長し、バルブクリアランスを調整する。この時、ラッシュアジャスタの内部では、低圧室内の作動油が、高圧室内の弁体を押し下げつつ、弁孔を通じて高圧室に流入する。これにより、高圧室は内部に作動油が満たされた状態を維持する。一方、ラッシュアジャスタは、プランジャに対して付与される押圧力が強くなった場合、弁体が弁孔を閉じていることによって高圧室が密閉状態となってプランジャの下降が規制される。このように、高圧室の圧力上昇によりボディとプランジャとが剛体化されることによって、ラッシュアジャスタは、ロッカアームを安定的に支持することができる。
【0004】
シリンダヘッドの給油路から供給される作動油には、気泡が混入している場合がある。作動油内の気泡は、ラッシュアジャスタの伸長時に作動油とともに高圧室内に流入し得る。ラッシュアジャスタは、流入した空気が高圧室内に溜まるいわゆるエア噛みが生じると、ロッカアーム側からの押圧力を受けた際、高圧室内の空気が圧縮されて収縮してしまう。この場合、ラッシュアジャスタは、十分に剛体化できず、ロッカアームを安定的に支持するという機能が損なわれてしまう。このため、特許文献1では、弁孔に向かうにつれて高くなるテーパ面をプランジャの底の下面に形成することで高圧室内の空気を弁座の周辺に集め、高圧室内に溜まった空気を抜け易くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-189926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ラッシュアジャスタでは、高圧室内の空気を好適に排出してエア噛みの発生を抑制できる技術が求められている。
【0007】
本開示は、エア噛みの発生を抑制できるラッシャジャスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るラッシュアジャスタは、筒状のボディと、底部と周壁部とを有して前記ボディ内に軸方向に摺動可能に配置され、前記ボディとの間に高圧室を形成するとともに内部に低圧室を形成し、前記底部に前記高圧室と前記低圧室とを連通する弁孔を形成したプランジャと、前記高圧室内に配置され、前記底部の下面における前記弁孔の開口縁部に形成された弁座に対して接離することによって前記弁孔を開閉する弁体と、前記高圧室内に配置され、前記弁孔の開閉に伴う前記弁体の移動をガイドするガイドと、を備えたラッシュアジャスタであって、前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる遅延部を備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のラッシュアジャスタは、遅延部を備えたことによって、弁孔が開放されている時間を従来よりも長くすることができ、高圧室内の空気の排出を促進できる。このため、本開示のラッシュアジャスタは、エア噛みの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るラッシュアジャスタを含む動弁装置全体を示す断面図である。
図2】実施例1に係るラッシュアジャスタの断面図であって、閉弁状態を示す。
図3】実施例1に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面図であって、開弁状態を示す。
図4】実施例1に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面図であって、弁体が弁座に片当たりした状態の半開弁状態を示す。
図5】実施例2に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面部であって、弁体が弁座に片当たりした状態の半開弁状態を示す。
図6】他の実施形態に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面部であって、弁体が弁座に片当たりした状態の半開弁状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の好ましい形態を以下に示す。
【0012】
前記遅延部は、前記弁孔の中心軸、及び前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態に至るまでの前記ガイドによる前記弁体のガイド中心軸を互いにオフセットさせて構成されてもよい。この場合、遅延部としてタイムラグを好適に生じさせ得る構成を簡易に実現できる。
【0013】
前記遅延部は、前記弁孔の中心軸を前記底部の径方向の中心からオフセットさせて構成されてもよい。この場合、弁孔の位置のみが従来のラッシュアジャスタの構成と異なる構成となり、遅延部を一層簡易な構成で実現できる。
【0014】
前記底部を前記弁孔の中心軸を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、前記底部における前記弁孔の両側に位置する部分のうち、一方の部分の前記弁座の高さは、他方の部分の前記弁座の高さよりも上側に位置しているとよい。この場合、弁座の高低差によって、弁体が弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを容易に生じさせることができる。また、弁座に高低差を設けたことによって、高圧室内の空気を上側に位置する弁座の周辺に集めることができる。これにより、弁体が、最初に下側に位置する弁座に接触し、その後、上側に位置する弁座に接触して閉弁状態に至る構成とすることによって、タイムラグの間に上側に位置する弁座の周辺に集めた空気の排出を促進することができる。
【0015】
前記弁孔の前記開口縁部は、前記一方の部分の前記弁座の一方端から前記他方の部分の前記弁座の他方端にかけて水平方向に対して傾斜する傾斜縁を有し、前記弁孔は、前記底部において、前記傾斜縁と直交する方向に貫通しているとよい。この場合、弁座に高低差を設けた構成において、球状の弁体を好適に接触させ得る弁座を容易に形成することができる。
【0016】
前記一方の部分の下面は、前記底部の外周縁から前記弁座に向けて上向きに傾斜しているとよい。この場合、底部下面の空気を傾斜に沿って上昇させて弁座近傍に集めることができる。その結果、弁孔からの空気の排出を一層促進できる。
【0017】
本開示の実施形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ラッシュアジャスタの伸縮する方向を上下方向と定義する。すなわち、上下の方向については、各図に表れる向きをそのまま上方、下方と定義する。本開示に係るラッシュアジャスタは、基本的には、伸縮方向を上下方向として設置されることを想定している。但し、ここで定義した方向は、本開示に係るラッシュアジャスタの設置方向を限定するものではない。
【0018】
<実施例1>
本実施形態に係る実施例1を図1から図4に基づいて説明する。実施例1のラッシュアジャスタ10は、自動車の内燃機関(エンジン)の動弁装置に設けられる。
【0019】
図1に示すように、動弁装置は、シリンダヘッド90の吸気又は排気ポート91を開閉するバルブ80と、エンジンと同期して回転するカムシャフト70に設けられ、バルブ80を動作させるカム71と、カム71の動きをバルブ80に伝達するロッカアーム60とを備えている。ラッシュアジャスタ10は、シリンダヘッド90の取付孔93に内嵌され、バルブクリアランス(カム71とロッカアーム60との間のクリアランス)を油圧で自動調整する機能を有する。
【0020】
バルブ80は、バルブステム81を有し、バルブステム81は、シリンダヘッド90のバルブガイド92に摺動可能に挿通される。バルブ80の下端部は、吸気又は排気ポート91に臨む円板状のバルブ本体82とされている。バルブステム81の周囲にはバルブスプリング85が設けられている。バルブ80は、バルブスプリング85によってバルブ本体82が吸気又は排気ポート91を閉じる方向に付勢されている。
【0021】
ロッカアーム60は、一端部がラッシュアジャスタ10の後述する支承部20に支持され、他端部がバルブステム81の上端部に当接して配置され、一端部と他端部との間に、上方に設置されたカム71と接触するローラ61が回転可能に設けられている。
【0022】
図1に示すように、ラッシュアジャスタ10は、シリンダヘッド90の上面に開設された取付孔93に軸線を上下方向に向けて挿入される。取付孔93の内面には、ラッシュアジャスタ10に供給する作動油の流路であるシリンダヘッド90の給油路94が連通している。
【0023】
図2に示すように、ラッシュアジャスタ10は、全体として、中心軸Cに沿って延びる円筒形状をなしている。ラッシュアジャスタ10は、有底円筒状のボディ11と、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cの方向に往復移動可能(往復摺動可能)にボディ11内に収容される有底円筒状のプランジャ12とを備えている。ラッシュアジャスタ10は、ボディ11に対して突出する方向にプランジャ12が移動することによって伸長し、その反対方向にプランジャ12が移動することによって収縮する。ボディ11は、円板状の底壁13と、底壁13の外周から立ち上がる周壁14とからなる。ボディ11の周壁14の外周面には外面周回溝15が全周に亘って設けられている。また、ボディ11の周壁14には、外面周回溝15の溝奥面から内周面にかけて径方向(ボディ11の周壁14の壁厚方向)に貫通するボディ油孔16が設けられている。ボディ11の周壁14の内周面には、ボディ油孔16の内周面側の開口の高さ位置に対応して、内面周回溝17が全周に亘って設けられている。そして、周壁14の上端には、プランジャ12の上方への抜け出しを規制するリテーナ50が取り付けられている。
【0024】
プランジャ12は、その上端部をボディ11の上端から突出させてボディ11に収容されている。プランジャ12は、ボディ11の底壁13よりも一回り小さい円板状の底部18と、底部18の外周から立ち上がって上端部が略半球状に絞られた周壁部19とからなる。底部18の径方向の中心は、ラッシュアジャスタ10の中心軸C上に配置されている。プランジャ12の周壁部19の上端部は支承部20とされ、支承部20の半球面状の外周面に、ロッカアーム60の一端部が摺動可能に支持されている(図1参照)。支承部20の上端には、頂孔21が上下方向に貫通して設けられている。プランジャ12内は、底部18と周壁部19とで区画された低圧室22として構成されている。
【0025】
プランジャ12の周壁部19の上端部には、全周に亘って外側に厚肉に突出する環状帯部23が設けられている。環状帯部23の外周面は、ボディ11の周壁14の上端部内周面に対して上下方向に沿って略液密に当接可能(摺接可能)とされている。プランジャ12の周壁部19の外周面には、環状帯部23の下端面を区画するプランジャ周回溝24が全周に亘って設けられている。
【0026】
また、プランジャ12の周壁部19には、プランジャ周回溝24の溝奥面から内周面にかけて径方向(プランジャ12の周壁部19の壁厚方向)に貫通するプランジャ油孔25が設けられている。プランジャ油孔25は、ボディ油孔16よりも上方に配置される。プランジャ油孔25の孔径(直径)は、ボディ油孔16の孔径よりも大きくされている。
【0027】
シリンダヘッド90の給油路94から供給される作動油は、外面周回溝15、ボディ油孔16、プランジャ周回溝24及びプランジャ油孔25を経て低圧室22に貯留されるようになっている。この場合に、シリンダヘッド90の取付孔93内でボディ11が回転しても外面周回溝15を経ることでボディ油孔16に作動油が流れ、ボディ11内でプランジャ12が回転してもプランジャ油孔25を経ることでプランジャ油孔25に作動油が流れるようになっている。
【0028】
プランジャ12の底部18には弁孔26が形成されている。弁孔26は、断面円形状をなしている。弁孔26は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cに沿って、底部18を上下方向に貫通して設けられている。弁孔26の後述する高圧室27側の開口縁部には、弁座26Aが形成されている。弁座26Aは、下方に向かうにつれて断面円弧状に反り返って拡開している。底部18の下面には、凹状に窪んだ凹部18Aが形成されている。凹部18Aには後述するリテーナ29が圧入されている。本実施例の場合、弁孔26の中心軸C1は、底部18の径方向の中心、すなわちラッシュアジャスタ10の中心軸Cからオフセットされている。
【0029】
ボディ11内の下部には、プランジャ12の底部18との間に、高圧室27が形成されている。高圧室27には、弁孔26を高圧室27側から閉塞可能な弁体28と、弁体28を保持するリテーナ29と、リテーナ29内に収容されて弁体28を弁孔26に向けて付勢する圧縮コイルばねからなる第1スプリング31と、リテーナ29の外周縁部とボディ11の底壁13との間に介設されてプランジャ12を上方に付勢する圧縮コイルばねからなる第2スプリング32とが設けられている。弁体28は、第1スプリング31によって常時上方に付勢されている。弁体28は、高圧室27内の油圧変動と第1スプリング31の付勢力とのバランスに応じて上下に移動し、弁孔26を開閉する。ラッシュアジャスタ10は、弁孔26が開放された状態において、低圧室22の作動油が弁孔26を通じて高圧室27に流れる。
【0030】
リテーナ29は、上方に開口したいわゆるハット形(鍔付き帽子形)の外形形状をなしている。リテーナ29は、内部の空間に弁体28を収容している。リテーナ29は、弁孔26の開閉に伴う弁体28の移動を許容しつつ、弁体28を収容する。リテーナ29は、リテーナ29には、内外の空間を連通して作動油の流出入を許容する複数の切欠きが周方向に等配形成されている。リテーナ29は、有底筒状をなして弁体28を収容する筒部29Aと、筒部29Aの上端部から外側に広がるフランジ状部29Bと、を有している。筒部29A及びフランジ状部29Bは、リテーナ29における中心軸C2上に同軸状に配置されている。リテーナ29は、フランジ状部29Bの外周縁において凹部18Aに圧入されている。リテーナ29の中心軸C2は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cと同軸上に配置されている。
【0031】
リテーナ29の下端部にはばね座29Cが形成されている。ばね座29Cには第1スプリング31の下端部が接触する。リテーナ29及び第1スプリング31は、本開示に係るガイドの例示である。リテーナ29の中心軸C2は、本開示に係るガイド中心軸に相当する。ガイド中心軸は、弁体28が移動する際の中心軸である。弁体28は、開弁状態から弁座26Aに最初に接触する状態に至るまでの間、第1スプリング31の付勢力を受けつつ、ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に沿って直線的に移動する。
【0032】
第1スプリング31は、下端においてリテーナ29のばね座29Cに接触している。第1スプリング31の下端部は、リテーナ29の中心軸C2に同心状に配置されている。第1スプリング31は、上端において弁体28に接触している。第1スプリング31は、弁体28を上方に付勢する付勢力を弁体28に付与する。第2スプリング32は、リテーナ29のフランジ状部29Bとボディ11の底壁13との間に介設されている。第2スプリング32は、プランジャ12を上方に付勢する付勢力を付与する。
【0033】
上述のように、本実施例の場合、弁孔26の中心軸C1は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cからオフセットしている。このため、図2に示すように、閉弁状態にある弁体28の中心点C3は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cに対して位置ずれを生じさせている。したがって、閉弁状態にある弁体28の中心点C3は、ガイド中心軸であるリテーナ29の中心軸C2に対しても位置ずれを生じさせている。このように、ラッシュアジャスタ10において、閉弁状態における弁体28の中心点C3をガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれさせた構成は、本開示に係る遅延部の例示である。
【0034】
次に、ラッシュアジャスタ10の基本動作について説明する。
内燃機関の通常の駆動時、カムシャフト70及びカム71が回転し、カム71によってロッカアーム60が下方に押圧されると、バルブ80が押し下げられてバルブ80が開弁する。この時、支承部20はロッカアーム60の一端部に押圧される。これにより、プランジャ12にはボディ11に沈み込む方向の力が作用する。このとき、弁孔26が弁体28で閉塞されていることから、プランジャ12の沈み込みは規制されるものの、高圧室27が圧縮方向の力を受けて圧力上昇する。すると、高圧室27内の作動油は、プランジャ12の周壁部19とボディ11の周壁14との間を流通してプランジャ周回溝24側に徐々に流出する。これにより、高圧室27の容積が徐々に減少し、ボディ11に対してプランジャ12が沈み込んで(リークダウン)、ラッシュアジャスタ10の全長が短縮させられる。また、高圧室27の圧力上昇によってボディ11とプランジャ12とが剛体化し、ロッカアーム60がラッシュアジャスタ10に安定して支持される。
【0035】
更にカムシャフト70及びカム71が回転すると、カム71がロッカアーム60を下方に押圧している状態からカム71によるリフト量が減少し、ロッカアーム60に対する下向きの押圧力が緩和される。すると、バルブスプリング85の反発力によってバルブ80が閉弁する。この時、ロッカアーム60には、バルブスプリング85による上方に押し上げられる方向の力が作用する。このため、支承部20に作用していた押し下げ方向の力が緩和される。すると、プランジャ12には第2スプリング32からロッカアーム60側に進出する方向の力が作用していることから、プランジャ12は押し上げられて支承部20がロッカアーム60の一端部と当接した状態を維持する。これにより、ロッカアーム60はカム71に押し付けられる。また、プランジャ12がロッカアーム60側に進出すると、高圧室27の容積が拡大されて高圧室27の圧力が低下する。これにより、高圧室27と低圧室22との間に圧力差が生じ、弁体28が弁座26Aから離れて弁孔26を開放し、低圧室22から高圧室27に作動油が流れる。これにより、ラッシュアジャスタ10の全長が伸長する。
こうしてカム71の回転に応じてラッシュアジャスタ10がロッカアーム60を適正位置で支持することにより、カム71とロッカアーム60との間のクリアランスが実質的にゼロとなるように調整される。
【0036】
次に、ラッシュアジャスタ10の作用及び効果について説明する。
高圧室27に作動油とともに気泡が流入すると、高圧室27内で空気溜まりとなるいわゆるエア噛みを生じてしまうおそれがある。本実施例のラッシュアジャスタ10では、本開示に係る遅延部として、閉弁状態における弁体28の中心点C3をガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれさせた構成を採用している。詳細には、弁孔26の中心軸C1とリテーナ29の中心軸C2とを互いにオフセットさせた構成を採用している。より具体的には、ラッシュアジャスタ10は、弁孔26の中心軸C1を、ラッシュアジャスタ10における中心軸Cと同心状に配されたリテーナ29の中心軸C2からオフセットさせている。これにより、ラッシュアジャスタ10は、弁体28が弁座26Aに最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させ、高圧室27内のエアの排出を促進するようにしている。
【0037】
本実施例のラッシュアジャスタ10において弁体28が弁座26Aから離れた状態を図3に示す。図3に示すように、弁座26Aから離れた弁体28の中心点C3は、弁孔26の中心軸C1に対して位置ずれを生じている。上述のように、ラッシュアジャスタ10は、伸長時等において高圧室27と低圧室22との間に圧力差が生じると、弁孔26を介して低圧室22から高圧室27内に流入する作動油の流れが生じる。これによって、弁体28は、第1スプリング31の付勢力に抗して弁座26Aから離れ、弁座26Aの位置の影響下から離脱する。
【0038】
弁座26Aから離れた弁体28は、第1スプリング31の上端のみに接触した状態となる。第1スプリング31のみに接触した状態の弁体28は、弁座26Aの位置の影響下から離脱して第1スプリング31の位置の影響を受けた位置を取る。第1スプリング31は、リテーナ29におけるばね座29Cに下端を接触させていることにより、自然状態ではリテーナ29の中心軸C2と同軸上に配置されている。したがって、弁座26Aから離れ、第1スプリング31の位置等に依存するようになった弁体28の中心点C3は、リテーナ29の中心軸C2上に位置し、中心軸C2上を移動する。
【0039】
ここで、従来のラッシュアジャスタの場合、弁孔とリテーナの各中心軸は、通常、いずれもラッシュアジャスタの中心軸上に配置される。すなわち、従来のラッシュアジャスタにおいて、弁孔とリテーナの各中心軸は同軸上に配置される。このため、従来のラッシュアジャスタの場合、弁体の中心点は、弁座から離れた状態であっても、弁孔の中心軸上に配置される。したがって、従来のラッシュアジャスタの場合、弁体は、開弁状態から閉弁状態に至るまで、弁孔の中心軸上を直線的に移動する。
【0040】
これに対し、本実施例のラッシュアジャスタ10の場合、弁孔26の中心軸C1とリテーナ29の中心軸C2とを互いにオフセットさせた構成としたことにより、弁座26Aから離れた状態の弁体28の中心点C3は、弁孔26の中心軸C1からずれた位置に配置される。これにより、弁体28は、再び閉弁状態に至る際、最初に弁座26Aに接触する状態において片当たりを生じさせ、その後閉弁状態に至るまでの間にタイムラグを生じさせる。
【0041】
伸長状態にあるラッシュアジャスタ10が再び収縮する際、高圧室27の容積の縮小に伴って、高圧室27内の作動油が開放中の弁孔26から低圧室22に流出する。ラッシュアジャスタ10は、この弁孔26が開放された状態にある間、高圧室27内に溜まった空気を作動油とともに低圧室22に流出させることができる。弁孔26からの作動油の流出は、弁体28によって弁孔26が閉鎖されるまで続く。したがって、高圧室27から空気を排出する、という観点では、弁孔26は、長い間開放されていることが好ましい。
【0042】
本実施例の場合、弁座26Aから離れた状態の弁体28は、弁孔26の中心軸C1に対して位置ずれを生じている。このため、弁体28は、弁孔26の中心軸C1に対して位置ずれを生じた位置で第1スプリング31の付勢力を受けて上昇する。具体的には、弁座26Aから離れた状態の弁体28は、ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2上に位置し、中心軸C2に沿って上昇する。その後、弁体28は、弁座26Aに最初に接触した状態では、図4に示すように、弁座26Aに対して部分的にのみ接触して弁孔26を完全には閉鎖していない状態、すなわち片当たりした状態となる。このように、片当たり状態に至るまでの間、弁体28の中心点C3は、弁孔26の中心軸C1に対して位置ずれを生じた位置において、リテーナ29の中心軸C2上を上方に移動する(図4の実線で示す弁体28の中心点C3を参照)。
【0043】
一方、弁体28が片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間では、弁体28の中心点C3は、リテーナ29の中心軸C2に沿った移動方向から異なる方向に向かって移動する。具体的には、弁体28の中心点C3は、リテーナ29の中心軸C2から離れつつ移動し、弁孔26の中心軸C1上に至る(図4の二点鎖線で示す弁体28の中心点C3を参照)。このように、ラッシュアジャスタ10は、片当たり状態となる前後において弁体28の移動方向が変化する。これにより、ラッシュアジャスタ10は、片当たり状態から閉弁状態に至るまでに好適なタイムラグを生じさせることができる。例えば、従来のラッシュアジャスタの場合、弁体に片当たり状態が生じず、開弁状態から閉弁状態に至るまで、弁体の移動方向に変化が生じない。このような従来のラッシュアジャスタと比較して、ラッシュアジャスタ10は、開弁状態から閉弁状態に至るまでの時間が相対的に長くなるため、より多くの空気を高圧室27から排出することができる。
【0044】
このように、ラッシュアジャスタ10は、本開示に係る遅延部として、弁孔26の中心軸C1と、ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2とを互いにオフセットさせた構成を備えている。これにより、ラッシュアジャスタ10は、弁体28が弁座26Aに最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる。その結果、ラッシュアジャスタ10は、従来と比較してより長い間弁孔26を開放させることができ、高圧室27内の空気の排出を促進できる。したがって、ラッシュアジャスタ10は、エア噛みの発生を抑制することができる。
【0045】
また、ラッシュアジャスタ10は、本開示に係る遅延部として、弁孔26の中心軸C1を底部18の径方向の中心、すなわちラッシュアジャスタの中心軸Cからオフセットさせた構成である。ラッシュアジャスタ10は、従来のラッシュアジャスタの構成から弁孔の位置の変更する、という簡単な変更のみで遅延部を実現できる。
【0046】
<実施例2>
本実施形態に係る実施例2のラッシュアジャスタ210は、図5に示すように、弁孔に係る構成の点で実施例1と相違する。その他、実施例1と同一又は相当する構成には同一符号を付し、実施例1と重複する説明を省略する。
【0047】
実施例2の弁孔226は、弁座226Aが水平方向に対して傾いた構成を有している。具体的には、図5に示すように、弁座226Aは、プランジャ12における底部18を弁孔226の中心軸C1を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、底部18における弁孔226の両側に位置する部分のうち、一方の部分(図5の場合、右側の部分)に位置する弁座226ARの高さが、他方の部分(図5の場合、左側の部分)に位置する弁座226ALの高さよりも上方に位置している。
【0048】
図5に示す断面視において、弁孔226の開口縁部としての弁座226Aの下端縁226Bは、水平方向に対して傾斜して形成されている。この下端縁226Bは、本開示に係る傾斜縁の例示である。図5の断面視に示すように、弁座226Aの下端縁226Bは、右側の弁座226ARの右端から左側の弁座226ALの左端にかけて、水平方向に対して傾斜する直線状をなしている。本実施例の場合、弁座226Aの下端縁226Bの水平方向に対する傾斜角度は、例えば8°である。
【0049】
弁孔226は、この弁座226Aの下端縁226Bに対して直交する方向に底部18を貫通している。換言すると、本実施例の弁孔226は、ラッシュアジャスタ210の中心軸Cに対して傾斜して底部18を貫通している。弁孔226の中心軸C1とラッシュアジャスタ210の中心軸C(上下方向)とのなす角度は、例えば8°である。弁座226Aに対して全体的に接触した閉弁状態の弁体28の中心点C3は、弁孔226の中心軸C1上に配置される。弁孔226の中心軸C1は、閉弁状態の弁体28の中心点C3がリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれを生じるように、リテーナ29の中心軸C2に対して傾けられている。
【0050】
底部18の下面にはテーパ面Tが形成されている。テーパ面Tは、弁座226Aを中心にすり鉢状に凹んでいる。テーパ面Tは、底部18の外周縁から弁座226Aに向けて上向きに傾斜している。テーパ面Tは、弁孔226の中心軸C1に対して、周方向の全周に亘って、例えば60°の均等な角度をなしている。テーパ面Tは、弁孔226が傾斜して形成されていることにより、周方向において高低差が生じている。図5の場合、テーパ面Tの最も上側に位置する部分は、弁座226ARの下端縁226Bとの接続部Hである。ラッシュアジャスタ210は、テーパ面Tにおけるこの最も上側に位置する部分である接続部Hにおいて、高圧室27内の空気が溜まりやすい構成である。
【0051】
ラッシュアジャスタ210において、開弁状態から弁座226Aに最初に接触した片当たり状態に至るまでの間、弁体28は、実施例1と同様に、第1スプリング31に付勢されつつ、リテーナ29の中心軸C2上を移動する。弁座226Aに対して片当たり状態の弁体28は、図5に示すように、相対的に低い位置にある弁座226ALに接触し、相対的に高い位置にある弁座226ARからは離れている。その後、第1スプリング31の付勢力によって更に付勢されることにより、弁体28は、弁座226Aに対して全体的に接触し、閉弁状態に至る。
【0052】
上述のように、本実施例の場合、弁孔226の中心軸C1は、ラッシュアジャスタ210の中心軸Cに対して傾斜している。この弁孔226の中心軸C1の傾斜は、閉弁状態にある弁体28の中心点C3がラッシュアジャスタ210の中心軸Cに対して位置ずれを生じるように設定されている。このような構成としたことにより、弁体28の中心点C3は、開弁状態から片当たり状態に至るまでの間はリテーナ29の中心軸C2上を移動し、片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間は、開弁状態から片当たり状態に至るまでの間とは異なる移動軌跡で移動する。これにより、弁体28は、片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間にタイムラグを生じさせる。ラッシュアジャスタ210は、このタイムラグの間に高圧室27から空気を好適に排出することができる。
【0053】
このように、ラッシュアジャスタ210は、底部18を弁孔226の中心軸C2を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、底部18における弁孔226の両側に位置する部分のうち、一方の部分の弁座226ARの高さを他方の部分の弁座226ALの高さよりも上側に位置させた構成を有している。このような構成により、ラッシュアジャスタ210は、閉弁時において、弁体28が弁座226Aのうちの弁座226AL側に最初に接触する片当たり状態を生じさせたのち、閉弁状態に至る。このため、ラッシュアジャスタ210は、片当たり状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを好適に発生させることができ、高圧室27から空気を好適に排出することができる。また、ラッシュアジャスタ210は、弁座226Aに高低差を設けたことによって、高圧室27内の空気を、上側に位置する弁座226ARの周辺に集めることができる。これにより、ラッシュアジャスタ210は、上側に位置する弁座226ARの周辺に集めた空気の排出を促進することができる。
【0054】
ラッシュアジャスタ210は、弁座226Aの下端縁226Bを傾斜させ、この下端縁226Bに対して直交する方向に貫通する弁孔226を形成している。これにより、高低差のある弁座226Aであっても、実施例1のように高低差のない弁座26Aと同様の円形状の接触面を容易に形成することができる。例えば、上下方向に沿って貫通する弁孔において、弁座が水平方向に対して傾いて形成されている場合、弁座が形成される弁孔の開口縁部の形状は楕円状をなしてしまう。この場合、球状をなす弁体が隙間なく接触可能な弁座を形成することは困難である。これに対し、傾斜する弁座226Aの下端縁226Bに対して直交する方向に貫通する弁孔226であれば、開口縁部の形状を従来と同様に円形状に形成できるため、球状をなす弁体28を弁座226Aの全体に好適に接触させることができる。
【0055】
また、ラッシュアジャスタ210は、底部18の下面にテーパ面Tを形成している。テーパ面Tは、底部18の外周縁から弁座226Aに向けて上向きに傾斜して形成され、テーパ面Tのうちで最も上側に位置する部分として、弁座226Aの下端縁226Bとの接続部Hを形成している。このような構成により、ラッシュアジャスタ210は、高圧室27内に進入した空気が最も上側に位置する部分である接続部Hに溜まりやすくなる。接続部Hは、弁座226Aにおいて、片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間で最も遅く閉じられる部分に接続する部分である。このため、ラッシュアジャスタ210は、接続部Hの周辺に溜まった空気を好適に排出することができる。
【0056】
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)本開示に係る遅延部の構成は、弁体が弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させることができればよく、上記各実施例の構成に限定されるものではない。遅延部は、例えば、弁体が弁座に最初に接触する状態に至るまでのガイドによる弁体のガイド中心軸に対して、閉弁状態における前記弁体の中心点を位置ずれさせることによって構成されていることができる。
(2)上記実施例1では、本開示に係る遅延部として、ラッシュアジャスタの中心軸と同軸上に配置されたリテーナの中心軸に対し、弁孔の中心軸をオフセットさせる構成としたが、図6に示すように、ラッシュアジャスタの中心軸Cと同軸上に配置された弁孔326の中心軸C1に対して、リテーナ329の中心軸C2をオフセットさせた構成であってもよい。
(3)上記実施例2では、弁孔の開口縁部が傾斜縁を有し、この傾斜縁に対して弁孔が直交する形態を例示したが、弁孔は、傾斜縁に対して傾斜していてもよい。傾斜縁の傾斜角度としては、例えば水平方向に対し、5°以上10°以下の範囲であることができる。弁孔の傾斜角度としては、例えば上下方向に対し、5°以上10°以下の範囲であることができる。これらの範囲であれば、弁座周辺の空気の集め易さと、製造の容易さとを両立できる。
(4)上記実施例2では、プランジャの底部の下面にテーパ面を形成する形態を例示したが、これは必須ではない。テーパ面は、例えば、実施例1のように、ラッシュアジャスタの中心軸に対して傾斜していない弁孔が貫通する底部の下面に形成されていてもよい。テーパ面は、例えば、弁孔の中心軸に対して、周方向において不均等な角度をなしていてもよい。テーパ面は、例えば、弁孔の中心軸以外の軸、例えばラッシュアジャスタの中心軸等に対して、周方向の全周に亘って均等な角度をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10,210…ラッシュアジャスタ
11…ボディ
12…プランジャ
18…底部
19…周壁部
22…低圧室
26,226,326…弁孔
26A,226A…弁座
26B…下端縁(傾斜縁)
27…高圧室
28…弁体
29,329…リテーナ(ガイド)
31…第1スプリング(ガイド)
226AL…弁座(他方の部分の弁座)
226AR…弁座(一方の部分の弁座)
C1…弁孔の中心軸
C2…リテーナの中心軸(ガイド中心軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6