(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081843
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】工事車両運行管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240612BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240612BHJP
G01S 19/37 20100101ALI20240612BHJP
B65G 63/00 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q50/08
G01S19/37
B65G63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195311
(22)【出願日】2022-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)発行日:令和3年12月13日 刊行物:「日経コンストラクション 第773号」第38~40頁 (2)開催日:令和4年10月4日~10月5日 展示会名:「建設技術フェア2022in中部」 開催場所:ポートメッセなごや第3展示館(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地) 開催日:令和4年10月13日~10月14日 展示会名:「建設技術フォーラム2022inちゅうごく」開催場所:広島産業会館西展示館(広島県広島市南区比治山本町12-18) 開催日:令和4年11月9日~11月10日 展示会名:「建設技術展2022近畿」 開催場所:インテックス大阪6号館Cゾーン(大阪府大阪市住之江区南港北6-5-102) 開催日:令和4年11月16日~11月17日 展示会名:「建設技術展2022関東」 開催場所:サンシャインシティ展示ホール C+D(東京都豊島区東池袋3-1-4) 開催日:令和4年12月5日~令和4年12月7日 展示会名:「第2回建設DX展」 開催場所:東京ビッグサイト(東京都江東区有明3丁目11-1) (3)発行日:令和4年9月1日 刊行物:「鴻池組 技術研究報告 Vol.32 2022」第57~64頁
(71)【出願人】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】波多野 純
(72)【発明者】
【氏名】森山 祐三
(72)【発明者】
【氏名】上代 真之輔
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】三宅 真司
【テーマコード(参考)】
5H181
5J062
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181BB05
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5J062BB01
5J062CC07
5J062HH05
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】生コン車の運行管理を行う工事車両運行管理システムを提供する。
【解決手段】生コン車2の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、データ管理サーバに生コン車2の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、データ管理サーバに蓄積された生コン車2の運行テータを確認する運行管理webアプリを有する。位置情報発信アプリは生コン車2のドライバーが携帯する通信端末3に、運行管理webアプリは建設現場b等の工事関係者が携帯する通信端末4にインストールする。生コンプラントaの地点にジオフェンスA、建設現場bの地点にジオフェンスBを設定し、生コンプラントaと建設現場b間の交差点と渋滞予測個所にジオフェンスC,Dを設定する。ジオフェンスA,B,C,Dを通過する生コン車2の、ジオフェンスA,B,C,Dを入退場する時刻が通信端末3に登録されかつデータ管理サーバに発信され蓄積されるように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事車両の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、前記データ管理サーバに前記工事車両の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、前記データ管理サーバに蓄積された前記運行テータを確認する運行管理webアプリとを備えてなる工事車両運行管理システムであって、前記位置情報発信アプリは前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にインストールされ、前記運行管理webアプリは前記工事関係者の通信端末にインストールされ、前記工事車両が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用した複数のジオフェンスが間隔をおいて設定され、かつ前記工事車両が前記ジオフェンスを通過する毎に、前記工事車両の前記ジオフェンスへの入退出時刻が前記データ管理サーバに発信されて蓄積されるように構成されていることを特徴とする工事車両運行管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の工事車両運行管理システムにおいて、建設現場内の工事関係者が携帯する通信端末に前記工事関係者の位置情報を発信する位置情報発信アプリがインストールされており、前記建設現場内の、前記工事関係者が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用したジオフェンスが設定され、かつ前記工事関係者が前記ジオフェンスを入退出する毎に、前記工事関係者の前記ジオフェンスへの入退時刻が前記工事関係者の携帯する通信端末に取り込まれ、かつ前記データ管理サーバに発信されて蓄積されるように構成されていることを特徴とする工事車両運行管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の工事車両運行管理システムにおいて、前記工事車両のドライバーおよび前記建設現場内の工事関係者が携帯する通信端末はPC、タブレットまたはスマートフォンであることを特徴とする工事車両運行管理システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の工事車両運行管理システムにおいて、前記工事車両の運行データには各ジオフェンス内における高さまたは勾配が含まれることを特徴とする工事車両運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事車両運行管理システムに関し、特に工事用道路など地図上にない道路を移動する生コン車や残土を運搬するダンプ、或は資材を運ぶトラック等、工事現場で用いられる工事車両の運行状況等をリアルタイムで把握し、工事関係者間で共有できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
特に、建物の躯体コンクリートの打設は、高品質のコンクリート躯体を作り上げる大切な工程であり、生コンクリートがスムーズに打設されるよう打設個所の状況と生コン車の運行状況等を常に確認しつつ、最大限の安全と品質管理が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には生コンプラントと工事現場の双方が生コンクリートの出荷、納入および打設等についての状況をリアルタイムで共有できる、生コンクリートの出納入および打設管理システムの発明が開示されている。
【0004】
簡単に説明すると、生コン車の運行データを蓄積するデータベースを備えたホストコンピュータと、データベースに生コン車の運行データを送信するとともに、データベースに蓄積された生コン車の運行データを確認する複数の通信端末とを備え、通信端末は生コンプラントの担当者、生コン車のドライバー、工事現場、現場事務所、さらには本店や支店、その他工事関係者が携帯している。
【0005】
また、生コン車の運行データには生コンクリートの仕様の他に、生コンクリートの練混ぜ開始時刻、生コン車の生コンプラント出荷順、工事現場の生コンクリートの納入時刻および打設完了時刻などが含まれる。
【0006】
そして、生コンクリートの練混ぜ開始時、出荷時、納入および生コンクリートの打設時に、生コンプラントの担当者と生コン車のドライバーが各時刻を自己の携帯する通信端末において押しボタン操作により逐一入力する。
【0007】
入力された運行データはホストコンピュータのデータベースに送信されて蓄積され、これを工事現場、現場事務所、さらには本店や支店、その他工事関係者が各自の携帯する通信端末によって確認することにより生コンクリートの出荷、納入および打設等についての進捗状況を共有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6709117号公報
【特許文献2】特開2014-233914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の管理システムの発明では、生コンクリートの練混ぜ開始時刻、生コン車の生コンプラント出荷時刻などの情報は、生コンプラントの担当者と生コン車のドライバーが自己の通信端末においてその都度押しボタン操作により行うため、データ入力が煩わしいだけでなく、入力ミスや入力をし忘れることがあった。
【0010】
また、作業中に通信端末を落として故障させてしまう恐れがあることや、高所作業などでもあり、荷下ろし作業中の通信端末の操作自体に抵抗が大きいという課題があった。
【0011】
ところで、GNSS(GPS等)による位置情報を利用して携帯端末の画面に表示される地図上に設定したジオフェンスへの入退場を確認することにより車両の現在位置を確認し、出発や到着時間の記録や通知などを行う方法が知られており、特に運送業界では業務の効率化、事故防止、労働環境の整備等といった面で注目されている。
【0012】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、工事車両が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用したジオフェンスを設定し、当該ジオフェンスへの工事車両の入退場を確認することにより、工事車両の運行状況の把握と工事関係者間での共有をリアルタイムで行えるようにした工事車両運行管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、工事車両の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、前記データ管理サーバに前記工事車両の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、前記データ管理サーバに蓄積された前記運行テータを確認する運行管理webアプリとを備えてなる工事車両運行管理システムであって、前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末に前記位置情報発信アプリをインストールし、前記工事関係者が携帯する通信端末に前記運行管理webアプリをインストールし、前記工事車両が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用した複数のジオフェンスが間隔をおいて設定し、かつ前記工事車両が前記ジオフェンスを通過する毎に、前記工事車両の前記ジオフェンスへの入退場時刻が前記データ管理サーバに発信されて蓄積されるように構成することにより、工事用道路など地図上にない道路であっても生コン車や残土を運搬するダンプ、或いは資材を運搬するトラック等の、現場で用いられる工事車両のジオフェンス設定区間における工事車両の運行速度や発着予想時刻などの運行状況をリアルタイムで把握し、工事関係者間で共有することができる。
【0014】
また、工事現場内の工事関係者が携帯する通信端末に前記工事関係者の位置情報を発信する位置情報発信アプリをインストールし、前記工事現場内の、前記工事関係者が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用したジオフェンスを設定し、かつ前記工事関係者が前記ジオフェンスを入退場する毎に、前記工事関係者の前記ジオフェンスへの入退場時刻が前記工事関係者の携帯する通信端末に取り込まれ、かつ前記データ管理サーバに発信されて蓄積されるように構成することにより、例えば、高層建物の建築工事において生コンクリートの打設階の一定エリアにジオフェンスを設定することで、前記工事作業員のいる建物階やエリアに入った時刻、退場した時刻および滞在時間等を自動的に把握することができ、工事作業員の労働時間管理と安全管理に活用することができる。
【0015】
ジオフェンスは、マークする場所を緯度と経度によって指定し、その場所を中心とする円形等の仮想的な境界線によって領域(フェンス)を指定することにより設定することができる。領域を指定することによりマークする場所の近さを調整することができる。
【0016】
前記工事車両の運行データには各ジオフェンス内における高さまたは勾配を含めることができる。各ジオフェンス内における高さまたは勾配は、通信端末が備える角度センサーや気圧センサーによって求めることができ、これによりルート全線やジオフェンス間の高低差を把握することができる。
【0017】
また、前記工事車両のドライバーおよび工事関係者が携帯する通信端末にはPC、タブレットまたはスマートフォン等を利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の効果を有する。
(1)工事用道路など地図上にない道路上にGNSSによる位置情報を利用した複数のジオフェンスを設定することにより、生コン車や残土を運搬するダンプ、或いは資材を運搬するトラック等、現場で用いられる工事車両の運行状況等を確認し、工事関係者間で共有することができる。
【0019】
例えば、工事車両の移動するルート上に複数のジオフェンスを間隔をおいて設定して、工事車両がジオフェンスを通過する通過時間を把握することにより、ジオフェンス設定区間における工事車両の運行速度と発着予想時刻を把握することができる。
【0020】
通常のカーナビではタイヤの回転と連動して速度超過やエコ運転を知らせるが、ジオフェンスを設定することによりスマートフォン等の通信端末のみで工事車両の運行状況を管理することができる。
【0021】
(2)一般道路などの交差点や渋滞予測個所にジオフェンスを設定することにより、ジオフェンス内における工事車両の滞在時間を確認できるため、渋滞個所や到着時刻をリアルタイムで予測できる(1秒毎にわかるのでロスタイムがない)。通常のカーナビはVICS(登録商標)等の情報から判断しているが、ジオフェンスを設定することによりスマートフォン等の通信端末のみで判断することができる。
【0022】
(3)一般道路などに複数のジオフェンスを一定間隔に設定することにより、各ジオフェンスを通過する工事車両の通過時刻を確認できるため、前車両が通過した時間差から運行間隔(時刻の差分から運行間隔時間を算出、運行間隔時間とジオフェンス区間距離から運行速度を算出し、前車両と運行間隔距離を算出)を計算できるため、連行運転を防止することができる。なお、通常のカーナビでは他の車両情報を把握できない。
【0023】
(4)ジオフェンスを現場の敷地内だけでなく、コンクリートポンプ車付近等、ピンポイントで設定することで、生コン車の打設開始時間を正確に予測できる(エリア侵入3分後などエリア侵入後から打設開始、終了時間はエリア退去時間とほとんど変わらない。)
【0024】
(5)ジオフェンスの設定エリアを狭く設定することにより用途を拡大することができる。通常は、コンクリートの打設開始時に担当者が打設開始ボタンを押すか、またはポンプ車などに距離センサーを設置し、生コン車が所定の距離に近づいたら到着、打設開始としているシステム等があるが、通信端末のみで対応することができる。
【0025】
(6)携帯端末(スマートフォン)には気圧センサーが内蔵されており、携帯端末の標高を把握することができる。これらにより、通信端末の水平XY方向および鉛直Z方向を把握することができる。例えば、高層建物の建築において生コンクリートの打設エリアにジオフェンスを設定することで、通信端末を携帯する工事関係者のいる階やエリア、当該階、エリアに入った時刻、当該階、エリアから退場した時刻を自動的に確認することができるため、作業員の労働時間管理と安全管理に活用することができる。通常のジオフェンスは水平XY座標のみだが、高さを持たせることで水平XY方向と鉛直Z方向の三方向の管理を行うことができる。
【0026】
(7)工事車両の移動ルート上にジオフェンスを一定間隔に設定することにより、各ジオフェンス間の区間速度や到着予想時刻を把握することができる。特に、スマートフォンに通常搭載されている角度センサーや気圧センサーを利用することで、ジオフェンス間の高低差を把握することができる。これによりルート全線やジオフェンス間の高低差を把握することができる。
【0027】
(8)工事車両のドライバーにはそれぞれ気象条件や路面状況を含む運転者特有の癖(例えば、平地ではスピードを出し過ぎる、上り坂ではふかし過ぎる、雪積時や雨天時でもスピードを出し過ぎる等)があるため、ドライバー毎に到着時間が異なる。そこで、各ドライバーのジオフェンス間の距離(高さを含む)から速度、運行時間を生コン積載時と空車時でそれぞれ算出することが可能となる。これによって、各ドライバーの特徴を把握し、到着予想時刻を推測することができる。
【0028】
一旦、各ドライバーの特徴を入力することにより運行ルートが変更になっても、その特徴を生かして正確に予測することができる。また、民家付近やカーブ等でのスピードの出し過ぎ等が各ドライバー毎にかわるため、安全運転教育等に活用することができる(各ドライバー毎に安全メッセージを地図上に登録し、音声メッセージを送ることもできる。)。通常のカーナビではドライバーの癖は考慮されない。
【0029】
(9)各ジオフェンス間(高さも考慮)における生コン積載時、空車時の平地、坂道の走行距離と速度、停車時間と全体の燃量消費量との関係をまとめ、各運行状況に応じた燃費を算出する。これらの作業を繰り返すことで燃費の算出精度が向上する。これにより、工事車両の移動ルート上の走行速度から燃費を逆算し、さらにCO2排出量を算出することができるため、少燃費運転やCO2発生の抑制に活用できる。
【0030】
通常のCO2排出量の国交省の算出方法では、車両の大きさと走行距離から決まるため、生コン積載時、空車時の平地、坂道等の条件は考慮されていない。本発明の管理システムでは、ルート条件等を考慮して燃費を算出できるため、CO2排出量を正確に算出することができる。さらに、ルートが変更になっても、ルートの高低差と走行速度がわかればCO2排出量を精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の工事車両運行管理システムの一実施形態を図示した模式図である。
【
図2】
図1に図示する工事車両運行管理システムの動作を示す説明図である。
【
図3】
図1に図示する工事車両運行管理システムの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の工事車両運行管理システムの一実施形態を示す模式図、
図2と
図3はその運用方法を示す説明図である。
【0033】
図において、符号1は工事車両(以下「生コン車」)2の運行情報などのデータを蓄積するデータ管理サーバが取り込まれているホストコンピュータ、符号3はホストコンピュータ1に生コン車2の位置情報を発信する通信端末であり、生コン車2の位置情報発信アプリがインストールされている。そして、符号4はホストコンピュータ1に蓄積された生コン車2の運行情報などのデータを確認する通信端末であり、生コン車2の運行管理webアプリがインストールされている。
【0034】
通信端末3にはスマートフォンやタブレット等が用いられ、生コンプラントの作業員と生コン車2のドライバーがそれぞれ携帯している。また、通信端末4にはスマートフォンやタブレットの他にパソコン等が用いられ、工事現場の現場監督・関係者、本店や支店の工務管理本部、その他発注者や設計事務所などの工事関係者が携帯している。
【0035】
通信端末3と通信端末4の画面に表示される地図上に、生コンプラントaの所在地と生コンプラントaの所在地を含む一定領域(エリア)を囲むジオフェンスAと、建設現場bの所在地と建設現場bの所在地を含む一定領域(エリア)を囲むジオフェンスBがそれぞれ設定されている。
【0036】
また、生コンプラントaの所在地と建設現場bの所在地との間における、生コン車2が移動する道路上の、例えば交差点cや渋滞予測個所dにはこれらの所在地とこれらの所在地を含む一定領域(エリア)を囲むジオフェンスCとDがそれぞれ設定されている。
【0037】
ジオフェンスA,B,C,Dは、各ジオフェンスの設定エリアにおける入り組んだ道路等の形状に合わせて円形状または矩形状等最適な形状に設定されている。また、ジオフェンスBは地図上にない道路上に設定されている。
【0038】
このような構成において、生コン車2がジオフェンスA,B,C,Dを通過する毎に、各ジオフェンスA,B,C,Dに到達する到達時刻とジオフェンスA,B,C,Dを出発する出発時刻が生コン車2のドライバーが携帯する通信端末3に自動的に登録され、登録されたデータはホストコンピュータ1に送信され、かつホストコンピュータ1のデータ管理サーバに自動的に蓄積される。
【0039】
また、通信端末3と通信端末4の画面に表示される地図上には、生コン車2の運行状況を表す情報として各生コン車2の車両位置などがリアルタイムで表示され、また、生コンクリートの打設状況を表す情報として生コンクリートの打設予定量、打設実績、残量等の必要事項がリアルタイムで表示される(
図3参照)。
【0040】
これらの打設状況を表す情報は、生コンプラントの担当者や生コン車2のドライバー等が自己の携帯する通信端末3によって入力され、また、通信端末3と通信端末4の画面に自動的に、またはボタン操作により表示される。
【0041】
そして、これらの情報は生コンプラントの作業員、生コン車2のドライバー、さらに工事現場の現場監督・関係者、本店や支店の工務管理本部、その他発注者や設計事務所などの工事関係者が、各自の携帯する通信端末3と通信端末4によってリアルタイムで確認することができる。
【0042】
これにより、生コンプラントと建設現場間を移動する生コン車2のジオフェンスA,B,C,Dの通過時間を把握することで、各ジオフェンス設定区間の運行速度や発着予想時刻などの運行状況をリアルタイムで把握することができ、かつ工事関係者間で共有することができる。また、各ジオフェンスの設定個所における生コン車2の滞在時間を確認することができるため、渋滞個所や到着時刻等をリアルタイムで予測することができる。
【0043】
例えば、生コン車2が各ジオフェンスA,B,C,Dを通過する通過時刻を確認できるため、先行生コン車2が通過した時間差から運行間隔(時刻の差分から運行間隔時間を算出、運行間隔時間と各ジオフェンスA,B,C,D間の各区間距離から運行速度を算出して先行生コン車2と後行生コン車2間の運行間隔距離を算出する。)を計算できるため、連行運転を防止することができる。
【0044】
なお、ジオフェンスを建設現場の敷地内だけでなく、コンクリートポンプ車付近などにピンポイントで設定することにより、生コン車2の打設開始時間を正確に予測することができる。通常、生コン車2がジオフェンスに侵入3分後などエリア侵入後から打設が開始され、終了時間はエリア退去時間とほとんど変わらない。
【0045】
また、通信端末3と通信端末4が気圧センサーと角度センサーを備えている場合、ジオフェンスA,B,C,D設定区間の高低差を算出することができ、これにより生コン車2が移動するルート全線や各ジオフェンスA,B,C,D設定地点間の高低差を把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、工事用道路など地図上にない道路を移動する生コン車や残土を運搬するダンプ、或は資材を運ぶトラック等、工事現場で用いられる工事車両の運行状況等をリアルタイムで把握し、かつ工事関係者間で共有することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ホストコンピュータ
2 生コン車(工事車両)
3 通信端末
4 通信端末
A,B,C,D ジオフェンス
a 生コンプラント
b 建設現場
c 交差点
d 渋滞予測個所