(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081848
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240612BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H05K5/02 B
G03B21/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195323
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 航平
【テーマコード(参考)】
2K203
4E360
【Fターム(参考)】
2K203FB04
2K203KA03
2K203KA05
2K203KA64
2K203KA72
2K203KA73
2K203KA76
2K203KA77
2K203KA78
2K203LA12
2K203LA27
2K203MA23
4E360AC05
4E360AC15
4E360CA02
4E360EA22
4E360ED03
4E360ED23
4E360GA52
4E360GB01
4E360GB45
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、電子機器を所望の設置角度で縦置きで支持することができる支持装置を提供する。
【解決手段】支持装置30は、対向配置される一対の前側板44と、設置面から離間した位置で一対の前側板44の間を連結する連結部材46と、を有する前側支持部材40を備え、連結部材46は、複数の前側板44が投影装置10の厚み方向に対向した状態で、投影装置10の設置面に対する設置角度に応じて投影装置10の右側面20dを支持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置される複数の第1側板と、設置面から離間した位置で前記複数の第1側板の間を連結する連結部材と、を有する第1支持部材を備え、
前記連結部材は、前記複数の第1側板が電子機器の厚み方向に対向した状態で、前記電子機器の前記設置面に対する設置角度に応じて前記電子機器の側面を支持する、
支持装置。
【請求項2】
前記連結部材は、軸状に設けられている、請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記連結部材は、軸周りに回転可能に設けられている、請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記連結部材は、外周面にゴム状部材が設けられている、請求項3に記載の支持装置。
【請求項5】
前記第1支持部材は、前記設置面に設置され、前記複数の第1側板が立ち上がる第1底面部材を有し、
前記第1底面部材は、前記電子機器の側面を載置可能な上面を有する、
請求項1に記載の支持装置。
【請求項6】
前記第1底面部材の前記上面は、前記設置面に対して水平な面である、
請求項5に記載の支持装置。
【請求項7】
投影口及び排気口が設けられた光出射面を有する投影装置である前記電子機器を支持するための請求項5に記載の支持装置であって、
前記連結部材は、前記第1底面部材の前記上面に前記電子機器が載置された状態で、前記光出射面と対向する位置に設けられている、
支持装置。
【請求項8】
前記排気口に前記光出射面に沿って補強リブが設けられた前記投影装置である前記電子機器を支持するための請求項7に記載の支持装置であって、
前記連結部材は、前記第1底面部材の前記上面に前記電子機器が載置された状態で、前記補強リブと対応する位置に設けられている、
支持装置。
【請求項9】
前記電子機器の側面を所定の高さに支持する保持することにより前記第1支持部材と共に前記電子機器を支持する第2支持部材をさらに備え、
前記第1支持部材と、前記第2支持部材との間の距離は変更可能であり、前記距離に応じて、前記設置角度が変化する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項10】
前記第2支持部材は、対向配置される複数の第2側板を有し、前記複数の第2側板の間に前記電子機器をその厚み方向に挟持することにより該電子機器を支持する、
請求項9に記載の支持装置。
【請求項11】
前記第2支持部材は、前記複数の第2側板が立ち上がる第2底面部材を有する、請求項9に記載の支持装置。
【請求項12】
前記第2底面部材は、前記設置面に設置され、端面が前記設置面側に向けて凸円弧状とされている、請求項11に記載の支持装置。
【請求項13】
前記第2支持部材は、前記設置面に設置されて前記第2底面部材を回動可能に支持する設置部材を有し、
前記第1支持部材と前記設置部材とを伸縮可能に接続する接続部材をさらに備える、請求項11に記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器を縦置きで支持するための支持装置が知られている。例えば特許文献1には、電子機器を立設するシステムが開示されている。このシステムでは、箱体とされる電子機器の底面から側面にかけて縦溝が形成され、台座の挟持壁に突起部が形成され、縦溝と突起部を嵌合させることにより、台座上に電子機器が立設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投影装置等の電子機器を縦置きで支持したい場合がある。しかしながら、投影装置の側面には上記特許文献1のような縦溝が必ずしも設けられておらず、縦溝が設けられていない場合、上記特許文献1のシステムでは投影装置を縦置きで支持することができない。また、投影角度を変えるために投影装置を傾けて縦置きで支持したい場合があるが、例えば投影装置を回動自在に支持するような構成を設けようとすると、装置が大掛かりなものとなってしまう。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、電子機器を所望の設置角度で縦置きで支持することができる支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の支持装置は、対向配置される複数の第1側板と、及び設置面から離間した位置で前記複数の第1側板の間を連結する連結部材と、を有する第1支持部材を備え、前記連結部材は、前記複数の第1側板が電子機器の厚み方向に対向した状態で、前記電子機器の前記設置面に対する設置角度に応じて前記電子機器の側面を支持する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で、電子機器を所望の設置角度で縦置きで支持することができる支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】投影装置を支持した状態の第1実施形態に係る支持装置を左側から見た斜視図である。
【
図2】投影装置を支持した状態の第1実施形態に係る支持装置の正面図である。
【
図3】投影装置を支持した状態の第1実施形態に係る支持装置の背面図である。
【
図4】投影装置を支持した状態の第1実施形態に係る支持装置の左側面図であって、(a)は投影装置を水平状態で支持する支持装置の左側面図であり、(b)は投影装置をわずかに傾けた状態で支持する支持装置の左側面図であり、(c)は投影装置を大きく傾けた状態で支持する支持装置の左側面図である。
【
図5】投影装置を横置きで支持した状態の第1実施形態に係る支持装置の左側面図である。
【
図6】投影装置を支持した状態の第1実施形態の変形例1における支持装置の左側面図である。
【
図7】投影装置を支持した状態の第1実施形態の変形例2における支持装置の左側面図である。
【
図8】投影装置を支持した状態の第2実施形態に係る支持装置を左側から見た斜視図である。
【
図9】投影装置を支持した状態の第2実施形態に係る支持装置を下側から見た斜視図である。
【
図10】投影装置を支持した状態の第2実施形態に係る支持装置の左側面図であって、(a)は投投影装置を水平状態で支持する支持装置の左側面図であり、(b)は投影装置を大きく傾けた状態で支持する支持装置の左側面図である。
【
図11】投影装置を支持した状態の第2実施形態に係る支持装置の正面図であって、(a)は投投影装置を水平状態で支持する支持装置の正面図であり、(b)は投影装置を大きく傾けた状態で支持する支持装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1~
図3に示すように、第1実施形態に係る支持装置30は、投影装置(電子機器)10を縦置きで支持するための支持装置30であって、前側支持部材(第1支持部材)40と後側支持部材(第2支持部材)50とを備えている。支持装置30では、投影装置10を支持した状態で、投影装置10の設置角度(投影角度)を調整することができる。投影装置10は、略長矩形箱状をなして6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面(光出射面)20e、後面20f)を有する筐体20を備えている。投影装置10は、前面20e側に投影光が出射される投影口11を有している。
【0010】
以下の説明では、投影装置10については、投影装置10を平置きした状態で、投影装置10における左右とは投影口11からの投影光の出射方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。また、上面20a側を投影装置10の上側、下面20b側を投影装置10の下側とする。また、投影装置10の厚み方向とは、投影装置10の上下方向をいう。投影装置10では、筐体20の前面20e側に、投影口11が露出する投影口開口部22a、前側吸気口22b、及び排気口22cが設けられている。排気口22cの開口面には、梁状に延びるとともに排気口22cを補強する複数の補強リブ22c1が設けられている(
図2及び
図10参照)。
【0011】
なお、投影装置10を平置きした状態とは、下面20bを設置面IS(
図4参照)に向けて、横長の投影画像を投影する設置状態をいい、縦置きとした状態とは、右側面20dを設置面ISに向けて縦長の投影画像を投影する設置状態をいう。また、横置きした状態とは、後面20fを設置面ISに向けて、横長の投影画像を天井等に投影する設置状態をいう。各設置状態における投影光の出射方向に対しての左右方向を説明上の左側、右側という場合もある。
【0012】
筐体20の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができる操作パネル24、及び筐体20の内部に設けられたレンズ鏡筒(不図示)を調整するための調整リング26の一部が露出する調整開口部20a1が設けられている。筐体20の下面20bの前側部分には、投影装置10を平置きした状態で筐体20の設置角度を調整するためのチルト機構28(
図2及び
図3参照)が設けられている。筐体20の左側面20c側には、左側吸気口(不図示)や、画像入出力用のコネクタの接続口(不図示)が設けられており、筐体20の右側面20d側には、投影装置10に電源を供給するための電源コードの接続口(不図示)が設けられている。電源コードの接続口には、ACコード10Cが接続されている。
【0013】
次に、支持装置30について詳しく説明する。支持装置30を用いて投影装置10を縦置きで支持する場合、前側支持部材40は、投影装置10の右側面20dを設置角度に応じて異なる位置で支持する部材とされ、後側支持部材50は、投影装置10の右側面20dを所定の高さに保持することにより前側支持部材40と共に投影装置10を支持する部材とされる。以下では、投影装置10を縦置きで支持した状態の支持装置30において、投影装置10の厚み方向(投影装置10の上下方向)を支持装置30の左右方向(投影装置10の上面側を左側とする)とし、前側支持部材40及び後側支持部材50の並び方向を支持装置30の前後方向(前側支持部材40側を前側とする)とし、投影装置10の左右方向を支持装置30の上下方向(投影装置10の左側面20c側を上側とする)として説明する。
【0014】
図2に示すように、前側支持部材40は、正面側から見て略凹状をなしており、設置面IS上に設置される前側底面部材(第1底面部材)42と、前側底面部材42の左右両端部から板状に立ち上がるとともに対向配置される一対の前側板(複数の第1側板)44とが一体的に構成されて設けられている。前側底面部材42は、その上面42aが設置面ISと平行な平坦面となっている。各前側板44は、同寸法、同形状とされ、設置面ISに対して垂直となるように前側底面部材42から立ち上がっており、その上端が前側底面部材42の上面42aと平行となっている。一対の前側板44は、投影装置10の厚み方向の寸法よりもわずかに大きな寸法で、間隔を空けて平行に対向している。
【0015】
一対の前側板44の間には、両前側板44を連結する連結部材46が設けられている。また、一対の前側板44の内面には、図示しない軸受けが互いに対向する形でそれぞれ設けられている。連結部材46は、円柱状の軸状部材であり、両端部が軸受けに対してそれぞれ軸支され、その軸周りに回転可能とされている。連結部材46は、前側底面部材42の上面42aから離間した位置で、前側支持部材40の前端寄りの部分に設けられている。また、連結部材46の外周面には、ゴム状部材46Rが設けられている(
図1参照)。
【0016】
図3に示すように、後側支持部材50は、背面側から見て略凹状をなしており、設置面IS上に設置される後側底面部材52と、後側底面部材52の左右両端部から板状に立ち上がるとともに対向配置される一対の後側板(複数の第2側板)54とが一体的に構成されて設けられている。後側底面部材52は、上面52aが設置面ISに平行な平坦面となっており、下面(端面)52bが設置面IS側に向けて凸円弧状とされている。このため、後側底面部材52は、設置面ISに設置された状態で、凸円弧状とされた下面52bに沿って傾倒自在となっている。各後側板54は、同寸法、同形状とされ、設置面ISに対して垂直となるように後側底面部材52から立ち上がっており、その上面が後側底面部材52の上面52aと平行となっている。一対の前側板44は、投影装置10の厚み方向の寸法と略等しい間隔で平行に対向している。
【0017】
後側底面部材52の内部には、一対の後側板54の間隔を調整するための図示しないクランプ機構が設けられている。後側支持部材50では、このクランプ機構により、投影装置10をその厚み方向に挟持して保持することができる。
【0018】
次に、本実施形態に係る支持装置30を用いた投影装置10の支持態様の一例について説明する。
図1に示すように、支持装置30を用いて投影装置10を縦置きで支持する場合、投影装置10の上面20aを左側に向けた縦置き状態とし、投影装置10の右側面20dの前側部分を前側支持部材40で支持し、投影装置10の右側面20d寄りの後側部分を後側支持部材50で支持する。支持装置30では、後側支持部材50での投影装置10の支持位置を固定しつつ前側支持部材40での投影装置10の支持位置を変化させることにより、縦置きで支持された投影装置10の設置角度が変化する。なお、投影装置10の筐体20には、後側支持部材50で支持されることにより、投影口11から投影される投影画面が縦画面に切り替わるようなスイッチが設けられていてもよい。
【0019】
まず、投影装置10に設置角度を設けずに、即ち設置角度を0度として投影装置10を縦置きで支持する場合について説明する。この場合、前方側に開口する投影口開口部22aが上側に位置するように投影装置10を縦置き状態とし、前側支持部材40では、前側底面部材42の上面42aに投影装置10の右側面20dの前側部分を載置する。これにより、投影装置10の前側部分が支持される。一方、後側支持部材50では、一対の後側板54の間に投影装置10の右側面20d寄りの後側部分を配置し、クランプ機構により投影装置10をその厚み方向に挟持する。このとき、前側支持部材40及び後側支持部材50に支持される投影装置10の右側面20dが設置面ISと平行となるような位置で投影装置10を挟持する。これにより、投影装置10の後側部分が固定されて投影装置10の右側面20dが所定の高さで保持され、投影装置10が支持される。
【0020】
このように投影装置10が支持されることにより、
図4(a)に示すように、投影装置10の設置角度が0度とされ、投影装置10の筐体20が設置面ISに対して水平となった状態(以下、「水平状態」という。)とされる。水平状態では、投影口11からの投影光の出射方向が設置面ISと平行とされ、連結部材46が投影装置10の前面20eと対向する。
図2に示すように、水平状態では、投影装置10の上面20a及び下面20bの右側面20d側の前側部分が一対の前側板44と近接又は当接する。このため、振動等で投影装置10の右側面20d側の前側部分が左右方向に倒れることが各前側板44により抑制される。
【0021】
さらに、水平状態では、投影装置10の排気口22cに設けられた補強リブ22c1の1つが前側支持部材40の前側から見て連結部材46と重なるようになっている。換言すれば、連結部材46は、投影装置10の設置角度が0度とされた状態で、補強リブ22c1の1つと対応する位置に設けられている。このため、排気口22cからの排気の流れが連結部材46により妨げられることが抑制される。また、
図3に示すように、水平状態では、後側底面部材52の上面52aと投影装置10の右側面20dの後側部分との間に隙間CLが設けられるため、この隙間CLに投影装置10に接続されたACコード10Cを引き回すことができる。これにより、ACコード10Cが後側支持部材50と干渉することが抑制され、投影装置10の後側部分を後側支持部材50により確実に固定することができる。
【0022】
次に、投影装置10に設置角度を設けた状態、即ち投影装置10を設置面ISに対して傾けた状態で投影装置10を縦置きで支持する場合について説明する。この場合、
図4(b)に示すように、前側支持部材40において、連結部材46上に投影装置10の右側面20dの前側部分を載置する。後側支持部材50については、投影装置10を固定した状態で、凸円弧状とされた後側底面部材52の下面に沿って後方側に傾倒させる。これにより、投影装置10に設置角度が設けられ、投影口11からの投影光の出射方向が設置面ISに対して上方側に傾いた状態(以下、
図4(b)に示す状態を「第1チルト状態」という。)とされる。
【0023】
第1チルト状態から投影装置10の設置角度をさらに大きくする場合、即ち投影装置10を設置面ISに対してさらに傾ける場合、
図4(c)に示すように、前側支持部材40を後方に移動させて後側支持部材50に近接又は当接させる。これにより、投影装置10が第1チルト状態よりもさらに傾いた状態(以下、
図4(c)に示す状態を「第2チルト状態」という。)とされる。前側支持部材40を後方に移動させる際には、投影装置10が載置された連結部材46がその軸周りに回転することにより、投影装置10を支持した状態で前側支持部材40を円滑に移動させることができる。さらに、連結部材46の外周面にゴム状部材46Rが設けられていることにより、投影装置10の筐体20と連結部材46との間に大きな摩擦力が働くため、連結部材46上に支持される投影装置10が位置ずれし難いものとなっている。
【0024】
第1チルト状態及び第2チルト状態では、各前側板44の上側部分の一部が投影装置10と近接又は当接した形で投影装置10と対向する。このため、前側支持部材40を後方に移動させる際に投影装置10が左右に傾倒した場合でも、各前側板44のうち投影装置10と近接又は当接する部分によって投影装置10が傾倒することが防止ないし抑制されるようになっている。
【0025】
以上のように本実施形態の支持装置30では、投影装置10の筐体20を縦置きとして投影装置10の後側部分を後側支持部材50で固定しつつ、投影装置10の前側部分を前側支持部材40で支持しながら前側支持部材40を移動させることにより、投影装置10を所望の設置角度まで傾けることができる。換言すれば、前側支持部材40と後側支持部材50の間の距離を変更することにより、その距離に応じて投影装置10の設置角度を変化させることができる。なお、投影装置10の設置角度を第1チルト状態から第2チルト状態とする場合、前側支持部材40を後方に移動させることなく、投影装置10の前側部分が連結部材46に載置された状態で、後側支持部材50を投影装置10と共に前方に移動させることによっても、投影装置10の設置角度をさらに大きくすることができる。
【0026】
ここで、本実施形態に係る支持装置30は、投影装置10を縦置きで支持するだけでなく、投影装置10を横置きで支持することもできる。この場合、
図5に示すように、例えば投影装置10の前面20eを上方に向けた横置き状態(投影口開口部22aが上方側に開口した状態)とし、投影装置10の後面20fの右側部分を前側支持部材40で支持し、投影装置10の後面20f寄りの左側部分を後側支持部材50で支持する。具体的には、前側支持部材40では、前側底面部材42の上面42aに投影装置10の後面20fの右側部分を載置し、後側支持部材50では、一対の後側板54の間に投影装置10の後面20f寄りの左側部分を配置してクランプ機構により投影装置10を挟持する。このようにして、支持装置30により投影装置10を横置き状態で支持することができる。
【0027】
次に、本実施形態の変形例1について説明する。
図6に示すように、変形例1に係る支持装置130Aは、
図1~
図5に係る支持装置30の一部にストッパ部材47をさらに備える構成とされる。ストッパ部材47は、略板状の部材であり、設置面IS上に設置された形で前側支持部材40の後側に取り付けられている。
【0028】
変形例1に係る支持装置130Aでは、前側支持部材40を後側支持部材50に所定の距離以上に近づけた場合、ストッパ部材47の後端が後側支持部材50と干渉し、前側支持部材40をそれ以上に後側支持部材50に近づけることが規制される。このため、前側支持部材40と後側支持部材50の間の距離が過度に狭まって投影装置10が後方側に過度に傾くことにより投影装置10が支持装置130と共に後方側に転倒することを防止することができる。ストッパ部材47の前後方向の寸法は、前側支持部材40と後側支持部材50の間の所望する最小距離、換言すれば投影装置10の最大設置角度に応じて調整することができる。
【0029】
次に、本実施形態の変形例2について説明する。
図7に示すように、変形例2に係る支持装置130Bでは、後側支持部材150Bを傾倒させない状態における後側底面部材152の上面152aの設置面ISからの高さが前側底面部材42の上面42aの設置面ISからの高さと略等しくされている。このため、前側底面部材42の上面42aに投影装置10の右側面20dの前側部分を載置した状態で、後側底面部材152の上面152aに投影装置10の右側面20dの後側部分を載置することにより、投影装置10を水平状態で支持することができる。
【0030】
なお、本変形例の後側底面部材152には、後側底面部材152の上面152aの左右方向略中央部には、後側底面部材152の後面にかけてACコード10C及びACコード10Cのプラグ部分を挿通するための溝状の収容空間SPが設けられている。このため、ACコード10Cが後側底面部材152の上面152aと干渉することなく、後側底面部材152の上面152aに投影装置10の右側面20dの後側部分を載置することができる。
【0031】
以上説明したように本実施形態に係る支持装置30は、対向配置される一対の前側板44と、設置面ISから離間した位置で一対の前側板44の間を連結する連結部材46と、を有する前側支持部材40を備え、連結部材46は、一対の前側板44が投影装置10の厚み方向に対向した状態で、投影装置10の設置面ISに対する設置角度に応じて投影装置10の右側面20dを支持する。このため、連結部材46により投影装置10の右側面20dを支持した状態で前側支持部材40を前後方向に移動させることにより、設置面ISに対する投影装置10の傾き角度を任意の角度に設定することができる。このように支持装置30では、投影装置10を所望の設置角度で縦置きで支持することができる。
【0032】
また、支持装置30では、連結部材46は、軸状に設けられている。これにより、連結部材46上に投影装置10の右側面20dを載置して支持し易いものとすることができる。また、支持装置30では、連結部材46は、軸周りに回転可能に設けられている。これにより、連結部材46上に投影装置10の右側面20dを支持した状態で、前側支持部材40を前後方向に円滑に移動させることができる。また、支持装置30では、連結部材46は、外周面にゴム状部材46Rが設けられている。これにより、連結部材46上に支持される投影装置10の右側面20dと連結部材46との間に働く摩擦力が大きくなるため、連結部材46上に支持される投影装置10が位置ずれし難いものとすることができる。
【0033】
また、支持装置30では、前側支持部材40は、設置面ISに設置され、一対の前側板44が立ち上がる前側底面部材42を有し、前側底面部材42は、投影装置10の右側面20dを載置可能な上面42aを有する。このため、前側底面部材42の上面42aに投影装置10を載置することにより、投影装置10を安定した形で支持することができる。
【0034】
また、支持装置30では、前側底面部材42の上面42aは、設置面ISに対して水平な面である。このため、前側底面部材42の上面42aに投影装置10を載置することにより、設置面ISに対して水平となるように投影装置10を支持することができる。
【0035】
また、支持装置30は、投影口11及び排気口22cが設けられた前面20eを有する投影装置10を支持するための支持装置30であって、連結部材46は、前側底面部材42の上面42aに投影装置10が載置された状態で、投影装置10の前面20eと対向する位置に設けられている。これにより、前側底面部材42の上面42aに投影装置10が載置された状態で前側支持部材40が後方へ位置ずれした場合、連結部材46が投影装置10の前面と干渉するため、前側支持部材40が過度に位置ずれすることを防止することができる。
【0036】
また、支持装置30は、排気口22cに投影装置10の前面20eに沿って補強リブ22c1が設けられた投影装置10を支持するための支持装置30であって、連結部材46は、前側底面部材42の上面42aに投影装置10が載置された状態で、補強リブ22c1と対応する位置に設けられている。これにより、排気口22cのうち連結部材46と対応する位置の補強リブ22c1の近傍では、排気口22cからの排気が連結部材46によって妨げられることが抑制されるため、投影装置10の排気機能を低下させることなく支持装置30を用いて投影装置10を縦置きで支持することができる。
【0037】
また、支持装置30は、投影装置10の右側面20dを所定の高さに保持することにより前側支持部材40と共に投影装置10を支持する後側支持部材50を備え、前側支持部材40と、後側支持部材50との間の距離は変更可能であり、距離に応じて、設置角度が変化する。このため、支持装置30を立て置きした状態であっても、前側支持部材40と後側支持部材50の両者で投影装置10を支持することにより、投影装置10を安定した形で支持することができる。さらに、前側支持部材40と後側支持部材50の間の距離を変更することにより、その距離に応じて投影装置10の設置角度を変化させることができる。
【0038】
また、支持装置30では、後側支持部材50は、対向配置される一対の後側板54を有し、設置面ISに対する設置角度に応じて一対の後側板54の間に投影装置10をその厚み方向に挟持することにより投影装置10を支持する。このため、投影装置10の後側部分を後側支持部材50の一対の後側板54を用いて挟持することにより、投影装置10の後側部分を後側支持部材50で支持しつつ固定することができる。このように、投影装置10の後側部分を確実に支持するための具体的な構成を提供することができる。
【0039】
また、支持装置30では、後側支持部材50は、一対の後側板54が立ち上がる後側底面部材52を有する。これにより、一対の後側板54の間に投影装置10を挟持して支持しつつ、後側底面部材52を設置面ISに設置することができる。
【0040】
また、支持装置30では、後側支持部材50は、設置面ISに設置され、端面が設置面IS側に向けて凸円弧状とされている。このため、後側支持部材50を凸円弧状とされた端面に沿って傾倒させることにより、後側支持部材50に支持されて固定された投影装置10を容易に傾けることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、
図8~11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略又は簡素化する。
図8に示すように、第2実施形態に係る支持装置230は、実施形態1の支持装置30と同様に、縦置き状態とされた投影装置10の前側部分を支持する前側支持部材240と、投影装置10の後側部分を支持する後側支持部材250とを備えている。前側支持部材240は、前側底面部材242、一対の前側板244、及び連結部材246を有している。前側支持部材240は、前側底面部材242の高さ寸法が第1実施形態の前側底面部材42の高さ寸法より高くされている。前側支持部材240のその他の構成は、第1実施形態の前側支持部材40と同様である。
【0042】
連結部材246についても、第1実施形態の連結部材46と同様の構成とされる。即ち、連結部材246は、両前側板244を連結する形で設けられた円柱状の軸状部材であり、その軸周りに回転可能に両前側板244に軸支されている。そして、連結部材246の外周面には、ゴム状部材246Rが設けられている。
【0043】
図8及び
図9に示すように、後側支持部材250は、設置面IS上に設置される設置部材251と、後側底面部材(第2底面部材)252と、後側底面部材252の左右両端部から板状に立ち上がるとともに対向配置される一対の後側板(第2側板)254とを備えている。後側底面部材252と一対の後側板254は、一体的に構成されて設けられている。設置部材251は、角柱状(厚板状)をなしており、その上面251aが設置面と平行な平坦面となっている。設置部材251の上面251aの略中央部には、後側底面部材252を回動可能に支持する回動部支持部251a1が設けられている。回動部支持部251a1は、左右方向に両板面を向けた形で上方に向かってわずかに立ち上がる一対の板状部材からなっており、上端部が凸円弧状とされている。
【0044】
後側底面部材252は、上面252aが設置面ISに平行な平坦面となっており、下面の中央部から設置部材251側に向けて左右方向に両板面を向けた形で板状部材に延びる回動部252bが設けられている。回動部252bは、下端部が凸円弧状とされており、回動部支持部251a1の一対の板状部材の間に回動可能に挟持されている。回動部252bは、左右方向に沿った軸周りに回動可能とされ、任意の回動位置で固定できるようになっている。後側底面部材252の内部には、一対の後側板254の間隔を調整するための図示しないクランプ機構が設けられている。後側支持部材250では、回動部252bを任意の回動位置で固定しながら、このクランプ機構により、投影装置10をその厚み方向に挟持して保持することができる。
【0045】
図8及び
図9に示すように、前側支持部材240と後側支持部材250の設置部材251との間には、両者を伸縮可能に接続する接続部材260が設けられている。接続部材260は、左右方向に間隔を空けて設けられた2つの円柱状の軸状部材からなっており、それらの前端部が前側支持部材240に接続され、それらの後端部が設置部材251に接続されている。接続部材260の後側部分は大径部262とされ、前側部分は大径部262より小径の小径部264となっている。接続部材260は、大径部262の内側に小径部264が収まり、さらに小径部264が収められた大径部262が設置部材251の内部に収まることにより収縮される。接続部材260を収縮させることにより、前側支持部材240と後側支持部材250の間の距離を狭めることができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る支持装置230を用いた投影装置10の支持態様の一例について説明する。投影装置10に設置角度を設けずに投影装置10を縦置きで支持する場合、第1実施形態と同様に、前側支持部材240では、前側底面部材242の上面242aに投影装置10の右側面20dの前側部分を載置し、後側支持部材250では、一対の後側板254の間に投影装置10の右側面20dの後側部分を配置し、クランプ機構により投影装置10をその厚み方向に挟持する。このとき、前側支持部材240及び後側支持部材250に支持される投影装置10の右側面20dが設置面ISと平行となるような位置で投影装置10を挟持する。または、後側底面部材252の上面252aの設置面ISからの高さを前側底面部材242の上面242aの設置面ISからの高さと等しく設定し、投影装置10の右側面20dの後側部分を後側底面部材252の上面252aに載置し、その後にクランプ機構により投影装置10を挟持してもよい。
【0047】
図10(a)及び
図11(a)に示すように、投影装置10を設置面ISに対して傾けた状態で投影装置10を縦置きで支持する場合、前側支持部材40において、連結部材46上に投影装置10の右側面20dの前側部分を載置する。後側支持部材50については、投影装置10を固定した状態で、回動部252bを回動させて後側底面部材252を後方側に傾倒させ、固定する。これにより、投影装置10に設置角度が設けられ、投影口11からの投影光の出射方向が設置面ISに対して上方側に傾いた状態(以下、
図10(a)及び
図11(a)に示す状態を「第3チルト状態」という。)とされる。
【0048】
第3チルト状態から接続部材260を収縮して前側支持部材240を後側支持部材250の設置部材251に近づけることにより、投影装置10の設置角度をさらに大きくすることができる。第1実施形態と同様に、前側支持部材240を後方に移動させる際には、投影装置10が載置された連結部材246がその軸周りに回転することにより、投影装置10を支持した状態で前側支持部材240を円滑に移動させることができる。このとき、連結部材46の外周面に設けられたゴム状部材246Rにより、連結部材246上を移動する投影装置10が滑り難いものとなっている。
【0049】
投影装置10を設置面ISに対して最大角度で傾ける場合には、
図10(b)及び
図11(b)に示すように、接続部材260を収縮して大径部262を設置部材251の内部に収め、前側支持部材240を設置部材251に当接させる(以下、
図10(b)及び
図11(b)に示す状態を「第4チルト状態」という。)。第4チルト状態では、投影装置10の設置面ISに対する傾き角度θ1は、30度以上とされる。換言すれば、連結部材246は、前側支持部材240と後側支持部材250とを当接させたときに、連結部材246に支持される投影装置10の右側面20dが設置面ISに対してなす角度が30度以上とされるような高さで設けられている。
【0050】
また、本実施形態の支持装置230は、前側支持部材240と又は後側支持部材250の内部に制御部が設けられており、接続部材260の伸縮を遠方から電動で行えるような構成とされてもよい。即ち、投影装置10を支持した状態で、前側支持部材240と後側支持部材250の間の距離を電動で調整できるような構成とされてもよい。
【0051】
以上説明したように第2実施形態に係る支持装置230では、後側支持部材250は、設置面ISに設置されて後側底面部材252を回動可能に支持する設置部材251を有し、前側支持部材240と設置部材251とを伸縮可能に支持する接続部材260をさらに備える。このため、設置部材251により後側底面部材252を所望の回動角度で保持することができ、前側支持部材240及び後側支持部材250に支持される投影装置10を所望の設置角度に傾けた状態で保持し易くすることができる。
【0052】
さらに、接続部材260を備えることにより、投影装置10を所望の設置角度に傾けるために前側支持部材240を設置部材241側(後側支持部材250側)に移動させる際、接続部材260により前側支持部材240がぶれることが抑制され、投影装置10を支持した状態の前側支持部材240を安定して移動させることができる。このため、前側支持部材240及び後側支持部材250に支持される投影装置10を所望の設置角度まで傾け易くすることができる。
【0053】
また、第2実施形態に係る支持装置230では、連結部材246は、前側支持部材240と後側支持部材250とを当接させたときに、連結部材246に支持される投影装置10の右側面20dが設置面ISに対してなす角度が30度以上とされるような高さで設けられている。これにより、前側支持部材240及び後側支持部材250により、投影装置を30度以上の設置角度に傾けながら、投影装置を安定して支持することができる。
【0054】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば上記の各実施形態では、前側支持部材の上面が設置面に平行な面とされた構成を例示したが、前側支持部材に支持される投影部材を前側に傾倒可能なように前側支持部材の上面の前側部分に低くされた段差が設けられていてもよい。また、例えば、上記の各実施形態では、前側支持部材が一対の前側板を有し、後側支持部材が一対の後側板を有する構成を例示したが、前側板及び後側板は少なくとも2つ設けられていればよく、前側板及び後側板がそれぞれ3つ以上設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 投影装置 10C ACコード
11 投影口 20 筐体
20a 上面 20a1 調整開口部
20b 下面 20c 左側面
20d 右側面 20e 前面
20f 後面 22a 投影口開口部
22b 前側吸気口 22c 排気口
22c1 補強リブ 24 操作パネル
25 左側パネル 25a 吸気口
26 調整リング 28 チルト機構
30 支持装置 40 前側支持部材
42 前側底面部材 42a 上面
44 前側板 46 連結部材
46R ゴム状部材 47 ストッパ部材
50 後側支持部材 52 後側底面部材
52a 上面 52b 下面
52b 下面 54 後側板
130A 支持装置 130B 支持装置
150B 後側支持部材 152 後側底面部材
152a 上面 154 後側板
230 支持装置 240 前側支持部材
241 設置部材 242 前側底面部材
242a 上面 244 前側板
246 連結部材 246R ゴム状部材
250 後側支持部材 251a 上面
251a1 回動支持部 252 後側底面部材
252a 上面 252b 回動部
254 後側板 260 接続部材
262 大径部 264 小径部
CL 隙間 IS 設置面
SP 収容空間 θ1 傾き角度