(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081852
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ストッカシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0832 20230101AFI20240612BHJP
【FI】
G06Q10/0832
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195342
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋田 大起
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】収容者が物品を収容庫に収容する際に、庫内の温度が指定の温度帯とは異なる収容庫に物品が収容されるのを抑制する。
【解決手段】ストッカシステムは、収容庫毎または複数の収容庫がそれぞれ属するグループ毎に設定温度に従って庫内温度を調整する調温部と、収容庫毎またはグループ毎に設定温度を変更する設定温度変更部と、収容庫毎またはグループ毎の温度帯を記憶する記憶部と、物品の納品が要求されると共に保管温度帯が指定されると、記憶部に記憶されている温度帯に基づいて、指定の保管温度帯に適合する温度帯にある収容庫を解錠する制御部と、を備える。また、ストッカシステムは、収容庫毎またはグループ毎の温度を検出する温度検出部と、温度検出部により検出された温度に基づいて記憶部に記憶されている温度帯を更新する更新部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠および解錠が可能な複数の収容庫を有するストッカを含むストッカシステムであって、
前記収容庫毎または前記複数の収容庫がそれぞれ属するグループ毎に、設定温度に従って庫内温度を調整する調温部と、
操作者の操作に基づいて前記収容庫毎または前記グループ毎に前記設定温度を変更する設定温度変更部と、
前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯を記憶する記憶部と、
前記ストッカに対して物品の納品が要求されると共に保管温度帯が指定されると、前記記憶部に記憶されている前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯に基づいて、指定の前記保管温度帯に適合する温度帯にある収容庫を解錠する制御部と、
前記収容庫毎または前記グループ毎の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された前記収容庫毎または前記グループ毎の温度に基づいて前記記憶部に記憶されている前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯を更新する更新部と、
を備えるストッカシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のストッカシステムであって、
納品の要求に際して、前記保管温度帯の選択を受け付ける受付部を備え、
前記受付部は、前記記憶部に記憶されている温度帯に基づいて、受付可能な保管温度帯を変更する、
ストッカシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のストッカシステムであって、
前記受付部は、複数の保管温度帯のうち受付可能な保管温度帯を表示して保管温度帯の選択を受け付ける、
ストッカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ストッカシステムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容庫を有するストッカを備えたストッカシステムが知られている。例えば、特許文献1には、内部の温度を調整できる温度調整機構と内部の温度を計測する温度センサとを含む収容ボックスと制御部とを有するロッカーと、ボックス予約部とボックス制御部とを有する管理サーバと、を備える配送管理システムが開示されている。管理サーバは、配送要求に従ってボックスを予約し、配送要求で配送物の温度帯(冷蔵など)が指定されているときには、配送予定時刻までに配送要求で指定された温度帯になるように、温度帯の変更指示をロッカーに送信する。ロッカーの制御部は、受信した温度帯の変更指示に従い、適温になるまで温度調整機構を用いて自身の収容するボックスの温度を変更し、適温になったら、変更指示への完了通知を管理サーバへ送信すると共にボックス内温度を適温に維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシステムでは、配送要求で指定された温度帯になるように温度調整機構を用いてボックスの温度を変更することについては記載されているものの、配送者が物品をボックスに収容する際に、ボックスの温度が指定した温度帯にない場合の対応については何ら言及されていない。
【0005】
本開示は、収容者が物品を収容庫に収容する際に、庫内の温度が指定の温度帯とは異なる収容庫に物品が収容されるのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のストッカシステムは、
施錠および解錠が可能な複数の収容庫を有するストッカを含むストッカシステムであって、
前記収容庫毎または前記複数の収容庫がそれぞれ属するグループ毎に、設定温度に従って庫内温度を調整する調温部と、
操作者の操作に基づいて前記収容庫毎または前記グループ毎に前記設定温度を変更する設定温度変更部と、
前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯を記憶する記憶部と、
前記ストッカに対して物品の納品が要求されると共に保管温度帯が指定されると、前記記憶部に記憶されている前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯に基づいて、指定の前記保管温度帯に適合する温度帯にある収容庫を解錠する制御部と、
前記収容庫毎または前記グループ毎の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された前記収容庫毎または前記グループ毎の温度に基づいて前記記憶部に記憶されている前記収容庫毎または前記グループ毎の温度帯を更新する更新部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示のストッカシステムでは、ストッカに対して物品の納品が要求されると共に保管温度帯が指定されると、記憶部に記憶されている収容庫毎またはグループ毎の温度帯に基づいて、指定の保管温度帯に適合する温度帯にある収容庫を解錠する。また、ストッカシステムでは、収容庫毎またはグループ毎の温度を検出する温度検出部を備え、検出された収容庫毎またはグループ毎の温度に基づいて記憶部に記憶されている収容庫毎またはグループ毎の温度帯を更新する。これにより、設定温度と温度検出部により検出された温度とが整合しない場合において、記憶部に記憶される温度帯は、検出された温度に対応するものに更新される。このため、収容者が物品を収容庫に収容する際に、庫内の温度が指定の温度帯とは異なる収容庫に物品が収容されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】販売管理システムおよびストッカシステムの一例を示す概略説明図である。
【
図4】納品処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】保管温度帯選択画面の一例を示す説明図である。
【
図6】保管温度帯選択画面の一例を示す説明図である。
【
図7】温度帯更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、販売管理システム10およびストッカシステム11の一例を示す概略説明図である。
図2は、ストッカ40の概略構成図である。
図1に示すように、販売管理システム10は、店舗20などを有する事業者が管理するシステムであり、販売管理装置21を備えている。販売管理装置21は、インターネットなどのネットワーク13を介して、購入者14の携帯端末15などと情報のやりとりを行ない、購入者14(顧客)に商品17の販売情報を提供する。この販売管理装置21は、制御部22と、記憶部23と、通信部26とを備えている。制御部22は、CPU、ROMおよびRAMなどにより構成され装置全体の制御を司るものである。記憶部23は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するものである。通信部26は、ストッカ管理装置30などの外部機器と通信を行なうものである。事業者は、この販売管理装置21から、ストッカ管理装置30へストッカ40の使用要求などを送信する。また、事業者は、配達者19により店舗20などからストッカ40へ商品17を配送させる。
【0012】
ストッカシステム11は、ストッカ管理装置30と、1又は2以上のストッカ40とを備えている。
【0013】
ストッカ管理装置30は、ネットワーク12を介してストッカ40と情報のやりとりを行なう。ストッカ管理装置30は、制御部31と、通信部36とを備えている。制御部31は、CPU32や記憶部33などを含み、装置全体の制御を司るものである。記憶部33は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するものである。通信部36は、販売管理装置21やストッカ40などの外部機器と通信を行なうものである。記憶部33には、ストッカ情報34や、ストッカ40毎の使用状況情報35などが記憶されている。ストッカ情報34には、例えば、ストッカシステム11が有するストッカ40を識別する識別情報(ストッカID)やストッカ40毎の配置場所などの情報が含まれる。使用状況情報35には、ストッカIDと、納品庫41を識別する識別情報(納品庫ID)と、納品庫41の使用状況(納品済み,空き)と、納品庫41を解錠するための解錠コードとが対応付けられたものである。本実施形態では、解錠コードには、購入者14が商品17の注文を行なった際に販売管理装置21により付与される注文番号が用いられる。勿論、販売管理装置21によって管理される顧客番号など、購入者14や、購入者14が注文した商品17を特定することができるものであれば如何なる情報であっても構わない。
【0014】
ストッカ40は、店舗20から配送された商品17を購入者14へ受け渡す際に用いられる装置である。ストッカ40は、多数の購入者14が利用可能であり、通勤などの外出時に商品17を受け取ることができるよう、オフィス、コンビニエンスストア、各種公共施設など様々な場所に設置されている。このストッカ40は、複数段複数列(本実施形態では4段4列)の納品庫41を備えている。納品庫41の各々は、商品17等の物品を収容可能な内部空間を有しており、
図2に示すように、前面の扉42と、扉42の施錠および解錠を行なうロック機構43と、納品庫41内の物品の有無を検出する物品センサ44と、扉42の開閉を検出する開閉センサ45とを備えている。物品センサ44は、光を用いた非接触式のセンサとしてもよいし、素子を用いた接触式のセンサとしてもよい。
【0015】
また、ストッカ40には、各納品庫41の庫内温度を常温,冷蔵,冷凍のいずれかの温度帯に設定可能な調温装置60が設けられている。本実施形態では、調温装置60は、複数段複数列の納品庫41の庫内温度を列毎に調温できるように列毎に設けられている。調温装置60は、ストッカ40上段部のボックス70内に設置されコンプレッサ、コンデンサ、膨張弁、エバポレータを含む冷凍サイクルを用いて構成される冷凍機61と、冷凍機61から上下に延在する供給ダクト62と、冷凍機61と同列にある各納品庫41の庫内に供給ダクト62から冷気を供給するための供給口63と、庫内の冷気を冷凍機61に戻す循環ダクト(図示せず)と、を有する。また、供給ダクト62の入口付近には、各納品庫列の庫内に供給される冷気の温度を検出するための温度センサ65が設置されている。ストッカ40には、各調温装置60の設定温度(デフォルト値は、冷蔵が3℃で冷凍が-20℃)を例えば1℃単位で変更可能な設定温度スイッチ66が設けられている。調温装置60は、対応する納品庫列の庫内温度が設定温度に一致するように温度センサ65により検出される温度と設定温度との偏差に基づくフィードバック制御により冷凍機61を制御する。なお、設定温度スイッチ66は、例えばボックス70内に設けられる。ストッカ40の管理者等は、ボックス70の前面カバーを開けて設定温度スイッチ66を操作することにより設定温度を変更することができる。なお、設定温度の変更は、後述する操作表示部46の操作によって行なわれてもよい。
【0016】
また、複数段複数列の納品庫41の一つには、制御装置50が収容され、その扉42には、操作表示部46と、読取部47とが配設されている。操作表示部46は、ストッカ40の前面に配置されたタッチパネルであり、商品17の配達者19および購入者14への各種情報の表示や、配達者19および購入者14からの各種操作の入力を行なう。読取部47は、配達者19を識別する配達者ID(配達者番号)がコード化されたものや、商品17を購入した際に付与される注文番号がコード化されたものを読み取るコードリーダである。制御装置50は、制御部51と、通信部56とを備えている。制御部51は、CPU52、記憶部53などを含み、装置全体の制御を司るものである。記憶部53は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するものである。通信部56は、ストッカ管理装置30などの外部機器と通信を行なうものである。記憶部53には、ストッカ40の各納品庫41の使用状況情報55などが記憶されている。
【0017】
使用状況情報55には、
図3に示すように、該当するストッカ40においてストッカ管理装置30で管理される使用状況情報35と同様の情報(ストッカIDや納品庫ID、使用状況、解錠庫コード)が記憶される。ストッカ管理装置30とストッカ40とは、通信を行なうことにより、これらの情報を最新のものに同期させる。さらに、使用状況情報55には、
図3に示すように、列番号や、各納品庫列の温度帯(常温,冷蔵,冷凍)と、各納品庫列の設定温度などの温度管理のための情報も含まれる。なお、温度管理のための情報は、ストッカ管理装置30で管理される使用状況情報35にも含まれてもよい。
【0018】
こうして構成されたストッカシステム11の動作について説明する。販売管理装置21は、購入者14から商品17の注文を受け付けると、商品17の受取希望先を含む使用要求をストッカ管理装置30に送信する。ストッカ管理装置30は、使用要求を受信すると、商品17の受取希望先や各ストッカ40の使用状況から配達先のストッカ40を決定し、配達に必要な各種情報を配達者19に送信して配達を依頼する。この情報には、配達先のストッカ40を示す配達先情報や、配達者19の本人認証に必要な認証情報(配達者番号)、購入者14がストッカ40から商品17を受け取るのに必要な購入者情報(注文番号)が含まれる。配達者19は、配達先のストッカ40まで商品17を配送し、配達先のストッカ40において、操作表示部46への入力操作や読取部47への読み取り操作などにより配達者番号や注文番号などの必要な情報の入力を行なう。ストッカ40の制御部51は、配達者19が入力した配達者番号により配達者19の本人認証を行ない、納品庫41の扉42を解錠する。配達者19は、解錠された納品庫41の扉42を開けて商品17を納品し、納品庫41の扉42を閉じることにより、納品庫41に商品17を納品する。商品17の納品が完了すると、ストッカ40の制御部51は、納品庫41の扉42を施錠する。ストッカ40の制御部51は、配達者19が入力した注文番号を使用状況情報55に記憶する。また、ストッカ管理装置30は、受取先(配達先)のストッカ40を示す受取先情報を購入者14の携帯端末15に送信する。購入者14は、受取先のストッカ40に出向いて、操作表示部46への入力操作や読取部47への読み取り操作などにより注文番号を入力して、購入者14の本人認証を受ける。ストッカ40の制御部51は、購入者14の本人認証を行なうと、該当する納品庫41の扉42を解錠する。これにより、購入者14は、解錠された納品庫41の扉42を開けて商品17を取り出すことができる。
【0019】
次に、配達者19がストッカ40に商品17を納品する際の当該ストッカ40の動作の詳細について更に説明する。
図4は、制御部51のCPU52により実行される納品処理の一例を示すフローチャートである。
【0020】
納品処理が実行されると、CPU52は、まず、操作表示部46に配達者番号入力画面を表示して配達者番号の入力を受け付ける(S100)。配達者番号の入力は、配達者19が操作表示部46を操作して直接に番号を入力することにより行なってもよいし、配達者19が携帯する配達者コード(配達者番号)を読取部47に読み取らせてもよい。
【0021】
CPU52は、配達者番号の入力が完了すると(S102)、配達者19の本人認証を行なう(S104)。CPU52は、配達者19の本人認証が失敗した場合には、納品処理を終了する。一方、CPU52は、配達者19の本人認証が成功した場合には、操作表示部46に注文番号入力画面を表示して注文番号の入力を受け付ける(S106)。注文番号の入力は、配達者19が操作表示部46を操作して注文番号を直接入力することにより行なってもよいし、商品17の伝票に記された注文番号を含むコードを読取部47に読み取らせてもよい。
【0022】
CPU52は、注文番号の入力が完了すると(S108)、記憶部53の使用状況情報55から各納品庫列のうち納品庫41に空きがある納品庫列の温度帯を読み出す(S110)。そして、CPU52は、読み出した温度帯を保管可能温度帯に設定し(S112)、設定した保管可能温度帯に基づいて保管温度帯選択画面を操作表示部46に表示して、配達者19から納品する商品17の希望する保管温度帯(希望保管温度帯)の選択を受け付ける(S114)。保管温度帯選択画面の一例を
図5および
図6に示す。保管可能温度帯として、常温、冷蔵および冷凍のいずれもが含まれる場合には、
図5に示すように、保管温度帯選択画面には、常温ボタンと、冷蔵ボタンと、冷凍ボタンとが表示される。配達者19は、いずれかのボタンを押下(タッチ)することにより、希望保管温度帯を選択することができる。また、保管可能温度帯として、常温と冷蔵とが含まれ、冷凍が含まれない場合には、
図6に示すように、保管温度帯選択画面には、常温ボタンと、冷蔵ボタンのみが表示される。したがって、この場合、配達者19は、希望保管温度帯として、常温と冷蔵を選択することができるものの、冷凍を選択することができない。したがって、商品17が冷凍品である場合、配達者19は、商品17をストッカ40に納品することなく、持ち帰ることとなる。
【0023】
CPU52は、希望保管温度が選択されると(S116)、希望保管温度と一致する温度帯の納品庫列にある納品庫41のうち空いている納品庫41を解錠する(S118)。配達者19は、解錠された納品庫41の扉42を開け、納品庫41に商品17を納品して扉42を閉める。CPU52は、物品センサ44により納品庫41内で物品(商品17)が検知され、且つ、開閉センサ45により納品庫41の扉42の閉鎖が検知されるのを待って(S120)、当該納品庫41を施錠する(S122)。そして、CPU52は、商品17が納品された納品庫41の納品庫IDの使用状況を「空き」から「納品済み」に変更すると共に解錠コードにS108で入力された注文番号を追加して使用状況情報55を更新し、更新した使用状況情報55をストッカ管理装置30に送信して(S124)、納品処理を終了する。ストッカ管理装置30は、ストッカ40から受信した使用状況情報55に基づいて記憶部33に記憶される使用状況情報35を更新する。
【0024】
次に、記憶部53(使用状況情報55)に記憶される納品庫列毎の温度帯を更新する処理について説明する。この記憶部53に記憶される納品庫列毎の温度帯は、上述したように、保管温度帯選択画面において表示される保管可能温度帯を設定するのに用いられる。
図7は、制御部51のCPU52により実行される温度帯更新処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎(例えば、数秒毎や数分毎)に繰り返し実行される。
【0025】
温度帯更新処理が実行されると、CPU52は、まず、変数iに値1を設定する(S200)。続いて、CPU52は、第i納品庫列の温度データを第i納品庫列の温度センサ65から取得すると共に(S202)、記憶部53の使用状況情報55に記憶されている第i納品庫列の現在の温度帯(現温度帯)を読み出す(S204)。そして、CPU52は、取得した温度データが現温度帯に整合するか否かを判定する(S206)。例えば、常温は、5℃以上の温度帯に設定され、冷蔵は、0℃以上5℃未満の温度帯に設定され、冷凍は、-15℃未満の温度帯に設定されている。S206の判定は、温度センサ65から取得される温度データが、現温度帯の数値範囲内にあるか否かを判定することにより行なわれる。CPU52は、取得した温度データが現温度帯に整合していないと判定すると、第i納品庫列の温度帯を取得した温度データに整合する温度帯に更新する(S208)。S208の処理では、CPU52は、取得した温度データが常温、冷蔵および冷凍のうちのいずれかの温度帯の数値範囲に含まれる場合には、記憶部53(使用状況情報55)の第i納品庫列の温度帯に該当する温度帯を記憶する。一方、CPU52は、取得した温度データが常温、冷蔵および冷凍のうちいずれの温度帯の数値範囲にも含まれない場合には、記憶部53(使用状況情報55)の第i納品庫列の温度帯に、第i納品庫列の納品庫41に物品を納品できない旨の情報を記憶する。なお、CPU52は、取得した温度データが現温度帯に整合していると判定すると、S208をスキップする。
【0026】
次に、CPU52は、変数iを値1だけインクリメントし(S210)、変数iが納品庫41の列数(本実施形態では4)よりも大きいか否かを判定する(S212)。CPU52は、変数iが列数以下であると判定すると、S202に戻って次の第i納品庫列の現温度帯を更新するS202~S210の処理を繰り返す。一方、CPU52は、変数iが列数よりも大きいと判定すると、これで温度帯更新処理を終了する。
【0027】
上述したように、各納品庫列の庫内温度は、調温装置60により設定温度に一致するように制御される。したがって、通常は、各納品庫列の設定温度に応じて保管可能温度帯を設定し、保管可能温度帯の範囲内で配達者19から希望する保管温度を受け付ければ足りる。しかし、例えば調温装置60の故障やストッカ40の一時的な電源遮断等が生じると、各納品庫列の庫内温度が設定温度から乖離する場合がある。この場合、設定温度に応じて保管可能温度帯を設定すると、庫内温度が希望する保管温度とは異なる納品庫41に商品17が納品されてしまう。そこで、本実施形態では、CPU52は、記憶部53に記憶されている温度帯に基づいて保管可能温度を設定して配達者19から希望する保管温度を受け付けるものとし、各納品庫列の温度センサ65からの温度データに整合するように記憶部53に記憶されている温度帯を更新するものとした。これにより、配達者19が希望する保管温度とは異なる庫内温度の納品庫41に商品17が納品されるのをより確実に防止することができる。
【0028】
ここで、実施形態の主要な要素と請求の範囲に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、本実施形態の納品庫41が本開示の収容庫に相当し、ストッカ40がストッカに相当し、調温装置60が調温部に相当し、設定温度スイッチ66が設定温度変更部に相当し、記憶部53が記憶部に相当し、納品処理を実行する制御部51のCPU52が制御部に相当し、温度センサ65が温度検出部に相当し、温度帯更新処理を実行する制御部51のCPU52が更新部に相当する。また、納品処理のS110~S116を実行する制御部51のCPU52や操作表示部46が受付部に相当する。
【0029】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、調温装置60は、冷凍機61を用いて構成されたが、ペルチェ素子を用いて構成されてもよい。この場合、調温装置は、常温と冷蔵と温蔵とを切替可能であってもよい。また、調温装置60は、複数段複数列の納品庫41の庫内温度を列毎に調整可能としたが、段毎に調整可能としてもよい。また、調温装置60は、各納品庫41の庫内温度を個別に調整可能としてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、ストッカ管理装置30の記憶部33とストッカ40の記憶部53とにそれぞれ使用状況情報を記憶するものとしたが、ストッカ管理装置30の記憶部33にのみ使用状況情報を記憶し、各納品庫41に対する温度管理をストッカ管理装置30が行なうようにしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、ストッカシステム11は、ストッカ管理装置30とストッカ40とを備えるものとしたが、これに限定されず、ストッカ40がストッカ管理装置30の機能を有するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、販売管理装置21とストッカ管理装置30とが別のサーバであるものとしたが、ストッカ管理装置30が販売管理装置21の機能を有するものとしてもよい。
【0033】
以上説明したように、本開示のストッカシステムでは、ストッカに対して物品の納品が要求されると共に保管温度帯が指定されると、記憶部に記憶されている収容庫毎またはグループ毎の温度帯に基づいて、指定の保管温度帯に適合する温度帯にある収容庫を解錠する。また、ストッカシステムでは、収容庫毎またはグループ毎の温度を検出する温度検出部を備え、検出された収容庫毎またはグループ毎の温度に基づいて記憶部に記憶されている収容庫毎またはグループ毎の温度帯を更新する。これにより、設定温度と温度検出部により検出された温度とが整合しない場合において、記憶部に記憶される温度帯は、検出された温度に対応するものに更新される。このため、収容者が物品を収容庫に収容する際に、庫内の温度が指定の温度帯とは異なる収容庫に物品が収容されるのを抑制することができる。
【0034】
こうした本開示のストッカシステムにおいて、納品の要求に際して、前記保管温度帯の選択を受け付ける受付部を備え、前記受付部は、前記記憶部に記憶されている温度帯に基づいて、受付可能な保管温度帯を変更してもよい。こうすれば、庫内の温度が指定の温度帯とは異なる収容庫に物品が収容されるのをより確実に抑制することができる。
【0035】
この場合、前記受付部は、複数の保管温度帯のうち受付可能な保管温度帯を表示して保管温度帯の選択を受け付けてもよい。こうすれば、物品の収容者は、表示を見ることで受付可能な保管温度帯を容易に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、商品をストッカに配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 販売管理システム、11 ストッカシステム、12,13 ネットワーク、14
購入者、15 携帯端末、17 商品、19 配達者、20 店舗、21 販売管理装置、22 制御部、23 記憶部、26 通信部、30 ストッカ管理装置、31 制御部、32 CPU、33 記憶部、34 ストッカ情報、35 使用状況情報、36 通信部、40 ストッカ、41 納品庫、42 扉、43 ロック機構、44 物品センサ、45 開閉センサ、46 操作表示部、47 読取部、50 制御装置、51 制御部、52 CPU、53 記憶部、55 使用状況情報、56 通信部、60 調温装置、61 冷凍機、62 ダクト、63 供給口、65 温度センサ、66 設定温度スイッチ、70 ボックス。