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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081860
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】鞍乗型車両用ステップ
(51)【国際特許分類】
   B62J 25/06 20200101AFI20240612BHJP
   B62J 6/055 20200101ALI20240612BHJP
【FI】
B62J25/06
B62J6/055
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195371
(22)【出願日】2022-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.公開1 (1)ウェブサイトの掲載日:令和4年2月23日および令和4年8月12日 (2)ウェブサイトのアドレス:[令和4年2月23日掲載]ウェブサイト1:https://yokohama-pinevalley.com/netshop/products/detail/9833 ウェブサイト2:https://yokohama-pinevalley.com/netshop/products/detail/9832 [令和4年8月12日掲載]ウェブサイト3:https://yokohama-pinevalley.com/custom-blog/arc/146415/ ウェブサイト4:https://www.youtube.com/watch?v=CnNJ9i2bfDc (3)公開者:株式会社パインバレー (4)公開された発明の内容:株式会社パインバレーが、株式会社パインバレーの「パインバレーネットショップ」に含まれる上記アドレスのウェブサイト1及び2にて、奥田 達也が発明した鞍乗型車両用ステップの販売を開始した。株式会社パインバレーが、上記アドレスのウェブサイト3及び4で公開されている「株式会社パインバレー」及び「YouTube」のウェブサイトにて、奥田 達也が発明した鞍乗型車両用ステップについて公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】522100523
【氏名又は名称】株式会社パインバレー
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【弁護士】
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】奥田 達也
(57)【要約】
【課題】発光する鞍乗型車両用ステップを提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る鞍乗型車両用ステップは、原動機を搭載して走行する鞍乗型車両の本体に取り付けられる第1の端部と、前記第1の端部に隣接して形成され、前記鞍乗型車両の走行時において乗員の足が載置されるように構成された載置部と、前記載置部に隣接して、前記載置部を挟んで前記第1の端部と相対する位置に形成された第2の端部と、前記載置部又は前記第2の端部に設置され、前記載置部又は前記第2の端部の外の方向に光を発光可能に構成された発光部とを含む。
【選択図】図4A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を搭載して走行する鞍乗型車両の本体に取り付けられる第1の端部と、
前記第1の端部に隣接して形成され、前記鞍乗型車両の走行時において乗員の足が載置されるように構成された載置部と、
前記載置部に隣接して、前記載置部を挟んで前記第1の端部と相対する位置に形成された第2の端部と、
前記載置部又は前記第2の端部に配設され、前記載置部又は前記第2の端部の外の方向に光を射出可能に構成された発光部と、
を含む鞍乗型車両用ステップ。
【請求項2】
前記鞍乗型車両において、前記鞍乗型車両の進行方向に対して左右両側面に取り付けられる、請求項1に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項3】
前記発光部は、前記鞍乗型車両のウィンカーであり、間欠的に光を発生して点滅し、前記鞍乗型車両用ステップにウィンカー機能を付加する、請求項2に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項4】
前記発光部は、
光を射出する光源と、
前記光源から射出された光の少なくとも一部を、予め決められた方向に反射する反射部材と、
を含む請求項1に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項5】
前記反射部材は、前記光の少なくとも一部を地面の方向に反射する、請求項4に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項6】
前記反射部材により反射された前記光の少なくとも一部が前記地面において形作る照射形状は、前記反射部材の形状に応じて異なる、請求項5に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項7】
前記発光部は、前記光源と前記反射部材とを覆う透明又は半透明のパッケージを含む、請求項5に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項8】
前記パッケージの少なくとも一部分は、前記第2の端部から突出し、前記反射部材は、前記パッケージの前記第2の端部から突出した前記一部分の中に配設される、請求項7に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項9】
前記第2の端部の形状は、前記境界面を底面とする錐体台の形状である、請求項8に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項10】
前記鞍乗型車両は自動二輪車である、請求項1に記載の鞍乗型車両用ステップ。
【請求項11】
請求項1に記載の鞍乗型車両用ステップが取り付けられた、鞍乗型車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機を搭載して走行する鞍乗型車両用ステップに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジン又は電動モータ等の原動機を搭載し、運転者が鞍状のシートにまたがって乗って走行する二輪車(自動二輪車)は、鞍乗型車両とも総称される。このような鞍乗型車両は、いわゆるオートバイを含み、オートバイの両側面には、運転者等の足が載置される鞍乗型車両用ステップが取り付けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、オートバイには、上述した鞍乗型車両用ステップの他に様々な部品が取り付けられ、このような部品にはウィンカーが含まれる(例えば、特許文献2)。一方、オートバイを全体として特徴的にするだけではなく、オートバイに取り付けられる個々の部品も特徴的にしたいというオートバイ所持者の要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-178343号公報
【特許文献2】特開2020-200036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上述した背景からなされたものであり、発光する鞍乗型車両用ステップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、「原動機を搭載して走行する鞍乗型車両の本体に取り付けられる第1の端部と、前記第1の端部に隣接して形成され、前記鞍乗型車両の走行時において乗員の足が載置されるように構成された載置部と、前記載置部に隣接して、前記載置部を挟んで前記第1の端部と相対する位置に形成された第2の端部と、前記載置部又は前記第2の端部に設置され、前記載置部又は前記第2の端部の外の方向に光を発光可能に構成された発光部とを含む鞍乗型車両用ステップ」が提供される。
【0007】
また、本開示の他の態様によれば、「原動機を搭載して走行する鞍乗型車両の本体に取り付けられる第1の端部と、前記第1の端部に隣接して形成され、前記鞍乗型車両の走行時において乗員の足が載置されるように構成された載置部と、前記載置部に隣接して、前記載置部を挟んで前記第1の端部と相対する位置に形成された第2の端部と、前記載置部又は前記第2の端部に設置され、前記載置部又は前記第2の端部の外の方向に光を発光可能に構成された発光部とを含む鞍乗型車両用ステップが取り付けられた鞍乗型車両」が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の様々な実施形態によれば、発光する鞍乗型車両用ステップが提供されうる。
【0009】
なお、上述した効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上述した効果に加えて、又は上述した効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係るフットペグ1の外観の斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示した本体部10の上面図である。
図2B図2Bは、図1に示した本体部10のA-A断面図である。
図2C図2Cは、図1に示した本体部10のB-B断面図である。
図2D図2Dは、図2Aに示した本体部10を、第1の端部14側から見た側面図である。
図3A図3Aは、発光部2の外観を示す斜視図である。
図3B図3Bは、発光部2のLED24をY軸方向に見た側面図である。
図3C図3Cは、発光部2のLED24をZ軸方向に見た側面図である。
図4A図4Aは、本体部10に発光部2を取り付けた状態のフットペグ1の上面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示したフットペグ1のA-A断面図である。
図5A図5Aは、フットペグ1を取り付けたオートバイ4を前方斜め上から見下ろした斜視図である。
図5B図5Bは、フットペグ1を取り付けたオートバイ4を前方斜め上から見下ろした斜視図である。
図5C図5Cは、図5Bに示したフットペグ1を取り付けたオートバイ4、及び地面に映る反射光30及び直接光32を模式的に示す上面図である。
図6図6は、フットペグ1のLEDの変型例を示す図である。
図7図7は、フットペグ1のLEDの変型例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して本開示の様々な実施形態を説明する。なお、図面において同一又は類似する構成要素及び処理には同一又は類似する参照符号が付されている。
【0012】
まず、以下の説明において用いられる用語を説明する。鞍乗型車両は、ガソリンエンジン又は電動モータ等の原動機を搭載し、運転者等が鞍状のシートにまたがって乗って走行する車両の総称である。鞍乗型車両は、いわゆるオートバイ等の自動二輪車を含む。鞍乗型車両用ステップは、このような鞍乗型車両の両側面に取り付けられ、運転者等の足が載置される部分の総称である。
【0013】
鞍乗型車両用ステップは、「フットレスト」、「ステップ」、あるいは「フットペグ」又は単に「ペグ」等と呼称される。なお、「フットレスト」と呼称される鞍乗型車両用ステップは、通常、運転者の足を載置するために用いられる。また、鞍乗型車両において、運転者(ライダー)の後ろに乗る人(タンデマー)の足が載置される鞍乗型車両用ステップは「タンデムフットレスト」とも呼称される。
【0014】
以下、「鞍乗型車両用ステップ」は、「フットペグ」とも記載される。また、以下、運転者(ライダー)とタンデマーとは、総称されて「乗員」とも記載される。また、スクータ等の車種において、「フットスペース」等と呼称され、運転者の足が載置される平面部分は、以下の記載において、鞍乗型車両用ステップに含まれない。また、以下の記載において、鞍乗型車両は、このような平面部分を有する二輪車両を含まない。また、以下、特記なき限り、鞍乗型車両にはタンデマーは乗らず、運転者(ライダー)ひとりだけが乗員として乗る場合が説明される。また、以下、鞍乗型車両が、上述したいわゆる「オートバイ」である場合が説明される。
1.本開示に係るフットペグ1の概要
まず、図1を参照して、本開示に係るフットペグ1の概略的な構成を説明する。図1は、本開示の実施形態に係るフットペグ1の外観の斜視図である。図1に示すように、フットペグ1は、本体部10及び発光部2を含む。なお、図1には、フットペグ1がオートバイ4(図5A及び図5Bを参照して後述)の進行方向に対して左側に取り付けられる場合が示されているが、オートバイ4の進行方向に対して右側にも同じ構成のフットペグ1が、反対の向きで取り付けられうる。フットペグ1は、これらの構成要素により、オートバイ4のフットペグ1として機能し、さらに、発光部2は、ウィンカー等としての機能を果たすために、光を、フットペグ1の外の方向、つまり、フットペグ1及びオートバイ4からこれらの周囲に向けて射出する。本開示の実施形態において、フットペグ1の外の方向とは、具体的には、図5A及び図5Bを参照して後述する方向指示信号34-1,34-2,36-1,36-2,38-1,38-2の方向であるが、これに限定されるものではない。少なくともオートバイ4の進行方向、進行方向と逆の方向及び地面の方向に射出する。発光部2は、LED24、取付金具26及び電線部28を含む光源である。なお、発光部2の構成の詳細は、図3A図3Cの参照の上で後述される。
【0015】
本体部10は、例えば、アルミニウム等の金属を鋳造したり、金属素材に対して切削及び孔開け等の加工を行ったりすることにより製造される。本体部10は、載置部12、第1の端部14、及び載置部12を挟んで第1の端部14と相対する位置に形成された第2の端部16を含む。載置部12は、ゴム等の樹脂から製造され、滑り止めのための凹凸が付された滑り止めカバー110により大部分が覆われ、オートバイ4が走行中に運転者の足が載置される部分である。載置部12の第1の端部14側の端部からは、発光部2の電線部28が引き出され、オートバイ4のバッテリ及び照明用スイッチ(不図示)、又はバッテリ、ウィンカー点滅回路及びウインカースイッチ(不図時)に接続される。なお、載置部12の構成の詳細は、図2A図2B及び図2Cを参照して後述される。
【0016】
第2の端部16には、発光部2のLED24が配設される。なお、第2の端部16の構成の詳細は、図2A図2B及び図2Dを参照して後述される。また、発光部2は、載置部12又は第1の端部14に配設され、載置部12又は第1の端部14の外の方向に光を射出することもありうる。
2.本体部10の構成
ここで、図2A図2D及び図3A図3Cを参照して、本体部10の構成を詳細に説明する。図2Aは、図1に示した本体部10の上面図である。図2Bは、図1に示した本体部10のA-A断面図である。図2Cは、図1に示した本体部10のB-B断面図である。図2Dは、図2Aに示した本体部10を、第1の端部14側から見た側面図である。なお、図面間の方向の関係を明確にするために、互いに直行するX軸、Y軸及びZ軸が適宜、図示される。
【0017】
図2A図2Dに示すように、載置部12及び第2の端部16には、発光部2のLED24がはめ込まれて配設される円筒状の開口部162が形成される。また、開口部162の周囲と載置部12との間には、運転者の足がLED24に触れないように保護するためのガード部160が形成される。第2の端部16と載置部12との境界は、境界面136により画定される。第2の端部16のガード部160の形状は、境界面136を底面とする錐体台の形状とされる。なお、境界面136は円形なので、ガード部160の形状は円錐台の形状となる。したがって、ガード部160の任意の位置において、境界面136と平行なガード部160の断面の面積は、境界面136の面積よりも小さくなる。
【0018】
なお、一実施形態において、境界面136に対するガード部160の表面の角度は40°~45°程度とされる。また、一実施形態において、境界面136が円形の場合には、ガード部160の底面及び境界面136の直径は27.5~32.5mm程度とされる。また、開口部162の直径はLED24のパッケージ246の直径に適合するように18.5~19.5mm程度とされる。また、ガード部160の高さは6.5~7.5mm程度とされる。なお、本実施形態に示した構成部分のサイズ等の数値及び形状は例示であって、構成部分のサイズ等は、例示した数値の範囲外であってもよく、例示した形状と同一の形状でなくてもよい。このことは、本実施形態に記載された以下の各数値及び各形状についても同じである。
【0019】
載置部12は、例えば、両端面に凸部134,138を有する円筒形に形成される。載置部12の境界面136には、LED24のパッケージ246及び取付金具26を受け入れるために、断面がほぼ円形の凹部120が形成される。凹部120の第1の端部14側の面(底面)には、LED24の電線部28を、第1の端部14側に導く配線孔122が形成される。配線孔122の途中には、Z軸方向に孔124が形成される。
【0020】
配線孔122の第1の端部14側の端部には、配線孔122の中を導かれた電線部28を、載置部12の上側(Z軸方向)に導く配線孔126が形成される。さらに、配線孔126の上側の開口部から凸部134まで、載置部12の表面には、電線部28を第1の端部14側に導く配線溝128が形成される。配線溝128の第1の端部14側の端部には、凸部134を介して電線部28をフットペグ1の外部に引き出すほぼ円形の開口部130、及びこれに続く配線孔132が形成される。
【0021】
なお、一実施形態において、凸部134,138の直径は、いずれも境界部136と同じように27.5~32.5mm程度とされ、凸部138の厚さは1.5~2.5mm程度とされ、凸部134の厚さは5.0~6.0mm程度とされる。載置部12の凸部134,138の間の部分の長さは、87.5~92.5mm程度とされ、その直径は25~27mm程度とされる。また、凸部134の第1の端部14側の端部は角が落とされ、載置部12の第1の端部14側の端面に対して40~50°程度に傾斜する。また、凹部120の第2の端部16側の直径は、開口部162の直径と同じであり、18.5~19.5mm程度とされる。また、配線孔122の長軸(X軸)に対して垂直な断面(YZ断面)、配線孔126の長軸(Z軸)に対して垂直な断面(XY断面)、及び配線孔132の長軸に垂直な断面の形状は、例えば、ほぼ円形であり、これらの直径は、8~10mm程度とされる。また、配線溝128の幅は、また、8~10mm程度とされる。孔124の断面も、例えばほぼ円形であり、その直径は2~4mm程度とされる。
【0022】
第1の端部14は、オートバイ4の両側面に設けられたフットペグ取り付け用の部材に適合した形状の取付部材140、取付部材140に形成された取付用孔142を含み、取付部材140には曲面144が形成される。第1の端部14は、取付部材140の取付用孔142に挿入されたねじ、ワッシャ及びナットにより、フットペグ1をオートバイ4の本体の側面に、主に上下方向(後述するZ軸方向)に回転可能に取り付けるために用いられる。あるいは、第1の端部14は、取付用孔142に挿入されたシャフト、ワッシャ及びリテイニング(C型クリップ)により、フットペグ1をオートバイ4の本体の側面に取り付けるために用いられる。
【0023】
一実施形態において、第1の端部14の取付部材140に形成される取付用孔142の直径は9~10mm程度とされ、曲面144は、取付用孔142の中心に対するRが7.5~8.0mm程度となるように形成される。取付部材140において、曲面144が形成されていない部分の縦方向(Z軸方向)の長さは18.5~19.0mm程度とされ、厚み方向(Y軸方向)の長さは11.0~12.0mm程度とされ、長さ方向(X軸方向)の長さは25~28mm程度とされる。
【0024】
ここで、図3A図3Cを参照して発光部2の構成を説明する。図3Aは、発光部2の外観を示す斜視図である。図3Bは、発光部2のLED24をY軸方向に見た側面図である。図3Cは、発光部2のLED24をZ軸方向に見た側面図である。発光部2は、取付金具26と、電線部28と、Y軸-Z軸を含む平面における断面がほぼ円形となるパッケージ246に覆われ、パッケージ246のなかに封止されたLED素子242、例えばほぼ円形の基板244、及び反射部材250と、遮光板248とを含む。なお、パッケージ246の中において、LED発光素子242と反射部材246との間には、LED発光素子242から射出された光の一部の方向を、少なくともオートバイ4の進行方向及び進行方向と逆の方向(Y軸方向)及び地面の方向に向けるハーフミラー又はプリズム(図3Aにおいて不図示)が配設される。ただし、反射部材250に反射された「反射光」との区別を明確にし、また、記載を簡潔にするために、ハーフミラー又はプリズムにより方向がY軸方向に向けられた光は、ハーフミラーにより方向が変えられずにLED24から射出された光と同様に「直接光」と記載される。
【0025】
LED素子242は、LED24の底面の基板244に取り付けられ、0.5W~数W程度の電力を消費する高輝度な発光素子であり、発光部2の光源であって、ハーフミラー又はプリズムとの組み合わせにより、光を横方向(X軸に沿った方向)に沿った広い角度の範囲に射出する。LED素子242は、連続した直流電力が供給された場合には連続的に光を射出する。また、フットペグ1がウィンカーとして用いられ、間欠的な電力が供給された場合には、間欠的に光を発生して点滅する。電線部28は、LED24に電源を供給する2本の電線280-1,280-2を含む。電線部28に含まれる電線280-1,280-2は、それぞれオートバイ4の電源等のプラス極端子又はマイナス極端子(不図示)に接続される。なお、これらがプラス極及びマイナス極のいずれに接続されるかを明示するために、例えば、プラス極端子に接続される電線280-1の被覆の色は赤とされ、マイナス極端子に接続される電線280-2の被覆の色は黒とされる。
【0026】
反射部材250の形状は、例えば円形又は楕円形であり、反射部材250は、LED素子(発光ダイオード素子)242から射出された光を、地面の方向(Z軸のマイナス方向に対して所定の角度をとる方向)に反射し、LED24の外部に反射光32とする。反射部材250により反射されなかった光は直進し、直接光30となる。直接光30及び反射光32は、パッケージ246からフットペグ1の外部に射出される。
【0027】
遮光板248は、LED24の頂点部分に取り付けられ、LED素子242から射出された光がオートバイ4の進行方向に対して直角の方向(X軸に沿った方向)に射出されることを妨げる。パッケージ246は、例えば、透明なアクリル樹脂から製造される。ただし、パッケージ246には、必要に応じて、着色されたり、光を散乱させるための材料が混ぜられたりすることがあり、この場合には、パッケージ246は半透明に見えることがある。
3.フットペグ1の全体的構成
ここで、フットペグ1の全体的な構成を説明する。図4Aは、本体部10に発光部2を取り付けた状態のフットペグ1の上面図である。図4Bは、図4Aに示したフットペグ1のA-A断面図である。図4A及び図4Bに示すように、載置部12の表面において、凸部134,138の間の部分には、滑り止めカバー110が取り付けられる。
【0028】
さらに、電線部28が取付金具26の配線孔260に通される。電線部28は、開口部162、凹部120、配線孔122,126、開口部130及び配線孔132を通されて、フットペグ1の外部に、載置部12の第1の端部14側の端部から引き出される。次に、取付金具26が凹部120の底面、及び配線孔122の凹部120側の端部に固定される。次に、電線部28が載置部12から引き出されつつ、LED24が、開口部162及び凹部120のなかに取り付けられる。なお、LED24のパッケージ246の一部分は、第2の端部16の一部分は、ガード部160から突出する。
【0029】
最後に、過剰な弛みが生じないように、電線部28がさらに載置部12から引き出される。なお、LED24及び取付金具26と、開口部162及び凹部120の内面とは、例えばエポキシ樹脂系の接着剤により接着される。電線部28の電線280-1,280-2は、上述したように、オートバイ4のバッテリ及び照明用スイッチ、又はバッテリ、ウィンカー点滅回路及びウインカースイッチのプラス極端子及びマイナス極端子それぞれに接続される。なお、反射部材250は、パッケージ246の内部において、ガード部分160から突出した一部分の中に配設され、これより、LED素子242から射出された光の一部が、地面の方向に反射されうる。
4.フットペグ1のオートバイ4への取り付け及び動作
ここで、フットペグ1のオートバイ4の本体の進行方向に対する左右両側面への取り付けとその動作を説明する。図5A及び図5Bは、フットペグ1を取り付けたオートバイ4を、前方斜め上から見下ろした斜視図であって、フットペグ1のオートバイ4の本体の進行方向(Y軸のマイナス方向)に対して左右(X軸方向)の両側面への取り付けとその動作を示す図である。図5Cは、図5Bに示したフットペグ1を取り付けたオートバイ4、及び地面に映る反射光30及び直接光32を模式的に示す上面図である。図5A及び図5Bに示すように、一対(合計2個)のフットペグ1-1,1-2は、オートバイ4の本体の進行方向に対する左右両側面において、シフトペダル及びブレーキペダル付近にあるフットペグ取付用部材(不図示)に、シャフト、ワッシャ及びリテイニング等を用いて取り付けられる。
【0030】
オートバイ4に取り付けられたフットペグ1-1,1-2は、第1の端部14を回転軸として回転しうる。フットペグ1-1,1-2が、下側方向(Z軸のマイナス方向)に、地面に対して平行(X軸方向)となる位置まで回転させられて引き下げられると、フットペグ1-1,1-2は、図5A及び図5Bに示すように、地面に対して水平方向に固定された状態となる。この状態になると、フットペグ1-1,1-2には、運転者の足が載置されうるようになり、また、フットペグ1-1,1-2の2個のLED24の位置が水平方向に最も離れる。地面に対して水平に固定されたフットペグ1-1,1-2が、上側方向(Z軸のプラス方向)に、地面に対して垂直に近くなる位置まで回転させられて引き上げられると、フットペグ1-1,1-2は、地面に対して垂直に近くなり、固定された状態となる。この状態において、フットペグ1-1,1-2は、オートバイ4の本体に沿って、オートバイ4の本体に最も近い位置に折りたたまれる。
【0031】
図5Aに示すように、地面に対して水平方向に固定されたフットペグ1-1,1-2には、LED24によりウィンカーとしての機能が付加される。オートバイ4が右折することを歩行者及び他の車両等に通知する方向指示信号を出す場合には、フットペグ1-1の発光部2に含まれるLED24のLED素子242に間欠的な電力が供給される。この場合には、LED素子242は間欠的に発光し、フットペグ1-1のLED24は点滅する。
【0032】
フットペグ1-1の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されずに射出された直接光30のうち、オートバイ4の進行方向及び進行方向と逆の方向(Y軸方向)へ進んだ光は、オートバイ4の前後を照らし、主にオートバイ4の前後の車両及び歩行者等にオートバイ4が右折することを通知する方向指示信号34-1となる。また、直接光30のうち、地面の方向に進んだ光は、オートバイ4から離れた地面を装飾的に照らしたり、前後及び左右の車両及び歩行者等にオートバイの右折を通知したりするアンダーライト36-1となる。ここで、アンダーライト36-1は弧状に形成されているが、これは遮光板248の形状を円盤状にしているためであり、遮光板248の形状及びLED242からオートバイ4の左右方向に出射される光量等によってアンダーライト36-1の形状を適宜変更することができる。さらに、フットペグ1-1の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されて射出された反射光32は、オートバイ4に近い部分の地面を装飾的に照らしたり、前後及び左右の車両及び歩行者等にオートバイの右折を通知したりするアンダーライト38-1となる。
【0033】
一方、オートバイ4が左折することを歩行者及び他の車両等に通知する方向指示信号を出す場合には、フットペグ1-2の発光部2に含まれるLED24のLED素子242に間欠的な電力が供給される。この場合には、LED素子242は間欠的に発光し、フットペグ1-2のLED24は点滅する。
【0034】
フットペグ1-2の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されずに射出された直接光30のうち、オートバイ4の進行方向及び進行方向と逆の方向(Y軸方向)へ進んだ光は、主に前後の車両及び歩行者等にオートバイの右折を通知する方向指示信号34-2となる。また、直接光30のうち、地面の方向に進んだ光は、オートバイ4から離れた地面を照らし、前後及び左右の車両及び歩行者等にオートバイの左折を通知するアンダーライト36-2となる。さらに、フットペグ1-2の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されて射出された反射光32は、オートバイ4に近い部分の地面を照らし、前後及び左右の車両及び歩行者等にオートバイの左折を通知するアンダーライト38-2となる(図5Aにおいて方向指示信号34-2及びアンダーライト36-2,38-2は不図示)。
【0035】
また、図5B及び図5Cに示すように、フットペグ1-1,1-2が、オートバイ4の周囲を照らす照明として用いられる場合には、フットペグ1-1,1-2の発光部2に含まれるLED24のLED素子242の両方に連続的な直流電流が供給され、フットペグ1-1,1-2両方の発光部2が連続的に発光する。
【0036】
フットペグ1-1,1-2の両方の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されずに射出された直接光30のうち、オートバイ4の進行方向及び進行方向と逆の方向(Y軸方向)へ進んだ光は、オートバイ4の前後を照らす方向指示信号34-1,34-2となる。また、直接光30のうち、地面の方向に進んだ光は、オートバイ4から離れた地面を照らすアンダーライト36-1,36-2となる。さらに、フットペグ1-1,1-2の発光部2に含まれるLED24のパッケージ246から、反射部材250により反射されて射出された反射光32は、オートバイ4に近い部分の地面を照らすアンダーライト38-1,38-2となる。
【0037】
以上説明したように、フットペグ1-1,1-2をオートバイ4に取り付けてウィンカーとして用いると、1対(合計2個)だけで、前後及び左右の方向に対して方向指示信号を出すことができる。また、フットペグ1-1,1-2をオートバイ4に取り付けて照明として用いると、オートバイ4の周囲の広い範囲を照らすことができる。また、図5B及び図5Cに示したように、フットペグ1-1,1-2の両方の発光部2を発光させる場合に、両方の発光部2を点滅させれば、方向指示信号34-1,34-2及びアンダーライト36-1,36-2,38-1,38-2は、警告灯の光として利用されうる。また、以上説明したように、フットペグ1-1,1-2の第2の端部16に配設された発光部2は、その外の方向、つまり、方向指示信号34-1,34-2,36-1,36-2,39-1,38-2の方向に光を射出可能である。なお、発光部2が載置部12に配設された場合であっても、同様に、発光部2は載置部12の外の方向に光を射出可能である。なお、アンダーライト36-1,36-2,38-1,38-2はオートバイ4の周囲が暗い場合に周囲にいる人に気づかれやすいので、装飾的光又は方向指示の光として特に有効である。
5.変型例
以下、フットペグ1の変型例を説明する。図6は、フットペグ1のLEDの変型例を示す図であって、LED24の反射部材250の形状を、ほぼ長方形に変型した反射部材500を含む発光部50の構成を示す。図3A図3Cには、発光部2が円形又は楕円形の反射部材250を含む場合が例示されたが、発光部2に含まれる反射部材の形状は、円形又は楕円形に限定されず、図6に示すように長方形、あるいはさらに他の形状とされてもよい。
【0038】
反射部材の形状は、円形、楕円形又は長方形等の所定の形状である。反射部材により反射された反射光32が地面を照らすと、アンダーライト、つまり、反射光32が地面を照らす範囲の形状は、反射部材の形状に応じた形状となる。オートバイ4の運転者又は所有者が、アンダーライトの形状を、その好みに応じて変化させようとすれば、所有者は、発光部2に含まれる反射部材の形状を変更すればよい。
【0039】
例えば、販売者は、様々な形状の反射部材250を含むLED24が取り付けられた複数の種類のフットペグ1を用意して販売することができる。オートバイ4の運転者又は所有者は、複数の種類のフットペグ1から、好みの形状で地面を照らすいずれかの種類のフットペグ1を選択して購入し、オートバイ4に取り付けることができる。
【0040】
図7は、遮光板及び反射部材を、フットペグ1のLEDのパッケージから取り出して交換可能とした変型例を示す図である。図7に示すように、LED部60のパッケージ62は、パッケージ246と同様にアクリル樹脂等を材料とし、LED24のパッケージ246よりも短く形成される。また、パッケージ62には、アタッチメント66のねじ山68と嵌合するねじ溝が形成される。アタッチメント66は、パッケージ62と同様にアクリル樹脂等から製造される。アタッチメント66の内部には反射部材500が封止され、その先端部分に遮光板248が取り付けられる。
【0041】
以上説明したようにパッケージ62及びアタッチメント66を構成すると、任意の形状の反射部材500を含むアタッチメント66が、LED60パッケージ62にねじ止めされうるようになる。これにより、オートバイ4の運転者又は所有者は、アンダーライトを好みの形状にする形状の反射部材500を含むアタッチメント66のいずれかをパッケージ62に取り付けることができる。
【0042】
なお、以上、フットペグ1が、オートバイ4において、運転者(ライダー)の足が載置される位置に取り付けられる場合を説明した。しかしながら、オートバイ4の乗員が運転者(ライダー)及びタンデマーの二人となりうる場合、フットペグ1は、タンデマーの足が載置される位置に取り付けられてよい。また、以上、フットペグ1が、オートバイ4の両側面に1対(合計2個)取り付けられる場合が説明されたが、フットペグ1は、運転者(ライダー)及びタンデマーの足が載置される位置の両方に1対ずつ、2対(合計4個)等と、1対(合計3個)以上、取り付けられてよい。
【0043】
また、フットペグ1のサイズ及び発光部2の明るさは、フットペグ1が取り付けられたオートバイ4が、道路運送車両法の保安基準を満たし、自動車継続検査(車検)に合格する範囲において自由に変更されうる。また、フットペグ1は、例えば、ドローン等の飛行機、あるいは、ウォーターバイクなどの船舶に取り付けられうる。
【符号の説明】
【0044】
1 フットペグ
10 本体部
110 滑り止めカバー
12 載置部
120 凹部
122,126,132 配線孔
124 孔
128 配線溝
130 開口部
134,138 凸部
136 境界面
14 第1の端部
140 取付部材
142 取付用孔
144 曲面
16 第2の端部
160 ガード部
162 開口部
30 直接光
32 反射光
34 方向指示信号
36,38 アンダーライト
4 オートバイ

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7