(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081863
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ製品
(51)【国際特許分類】
B65D 88/22 20060101AFI20240612BHJP
B65D 90/04 20060101ALI20240612BHJP
B65D 90/08 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65D88/22 A
B65D90/04 G
B65D90/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195381
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522477193
【氏名又は名称】株式会社イナガキ
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 昌範
(72)【発明者】
【氏名】山下 直樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 淳一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 顕
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA29
3E170AB11
3E170AB12
3E170DA10
3E170GA10
3E170KA04
3E170KB10
3E170KC10
3E170VA20
3E170WG06
3E170WG10
(57)【要約】
【課題】フレキシブルコンテナバッグから粉粒体をスムーズに排出できるフレキシブルコンテナ製品を提供する。
【解決手段】フレキシブルコンテナ製品は、外袋10及び内袋20を有するフレキシブルコンテナバッグ100と、内袋20に収容された粉粒体と、を備え、外袋10は、外袋10の底面を形成する外袋底面部11と、外袋10の側面を形成する外袋側面部12と、を有しており、内袋20は、内袋20の底面を形成する内袋底面部21と、内袋20の側面を形成する内袋側面部22と、内袋底面部21及び内袋側面部22が互いに接合された内袋接合部23と、内袋底面部21及び内袋側面部22の少なくとも一方が内袋接合部23よりも内袋20の外側にはみ出た部分であるひだ部24と、を有しており、ひだ部24は、外袋10と接合されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋及び内袋を有するフレキシブルコンテナバッグと、
前記内袋に収容された粉粒体と、
を備え、
前記外袋は、
前記外袋の底面を形成する外袋底面部と、
前記外袋の側面を形成する外袋側面部と、を有しており、
前記内袋は、
前記内袋の底面を形成する内袋底面部と、
前記内袋の側面を形成する内袋側面部と、
前記内袋底面部及び前記内袋側面部が互いに接合された内袋接合部と、
前記内袋底面部及び前記内袋側面部の少なくとも一方が前記内袋接合部よりも前記内袋の外側にはみ出た部分であるひだ部と、を有しており、
前記ひだ部は、前記外袋と接合されている、フレキシブルコンテナ製品。
【請求項2】
前記ひだ部は、前記外袋底面部と前記外袋側面部との境界部において前記外袋と接合されている、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項3】
前記ひだ部の長さは、1~15cmである、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項4】
前記内袋は、ポリオレフィンにより形成されており、
前記内袋の厚さは30~200μmである、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項5】
前記ひだ部は、縫合によって前記外袋と接合されている、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項6】
前記外袋底面部には、補強部材が実質的に存在しない、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項7】
前記フレキシブルコンテナバッグは直方体型である、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【請求項8】
前記粉粒体は、セメント組成物である、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナ製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉粒体などの輸送及び保管に使用されるフレキシブルコンテナが開示されている。このフレキシブルコンテナは、内袋積層体と外袋とからなる。内袋積層体は、2枚の内袋を内外に二重に重ねることにより得られる。各内袋は、ポリオレフィンを主原料とする筒状のフィルムを用いて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のフレキシブルコンテナには、セメント組成物が収容され得る。フレキシブルコンテナからセメント組成物を排出する際には、フレキシブルコンテナの底面がカッター等により切り開かれ、切り開かれた底面からセメント組成物が下方に排出される。しかしながら、セメント組成物が排出される際、セメント組成物の重量によって内袋が外袋から滑り落ちてしまう場合がある。このため、上記のフレキシブルコンテナでは、セメント組成物をスムーズに排出できない場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体をスムーズに排出できるフレキシブルコンテナ製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、外袋及び内袋を有するフレキシブルコンテナバッグにおいて内袋のひだ部が外袋と接合されていることにより、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体をスムーズに排出できるフレキシブルコンテナ製品が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]で示される。
[1]
外袋及び内袋を有するフレキシブルコンテナバッグと、前記内袋に収容された粉粒体と、を備え、前記外袋は、前記外袋の底面を形成する外袋底面部と、前記外袋の側面を形成する外袋側面部と、を有しており、前記内袋は、前記内袋の底面を形成する内袋底面部と、前記内袋の側面を形成する内袋側面部と、前記内袋底面部及び前記内袋側面部が互いに接合された内袋接合部と、前記内袋底面部及び前記内袋側面部の少なくとも一方が前記内袋接合部よりも前記内袋の外側にはみ出た部分であるひだ部と、を有しており、前記ひだ部は、前記外袋と接合されている、フレキシブルコンテナ製品。
[2]
前記ひだ部は、前記外袋底面部と前記外袋側面部との境界部において前記外袋と接合されている、[1]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[3]
前記ひだ部の長さは、1~15cmである、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[4]
前記内袋は、ポリオレフィンにより形成されており、前記内袋の厚さは30~200μmである、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[5]
前記ひだ部は、縫合によって前記外袋と接合されている、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[6]
前記外袋底面部には、補強部材が実質的に存在しない、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[7]
前記フレキシブルコンテナバッグは直方体型である、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
[8]
前記粉粒体は、セメント組成物である、[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体をスムーズに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るフレキシブルコンテナバッグの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る内袋の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る内袋の内袋底面部の構成を模式的に示す底面図である。
【
図4】実施の形態に係るフレキシブルコンテナバッグにおけるひだ部と外袋との接合部の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品について説明する。本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品は、フレキシブルコンテナバッグと、フレキシブルコンテナバッグに収容された粉粒体と、を備えている。本実施の形態では、粉粒体はセメント組成物である。以下、粉粒体としてセメント組成物を備えているフレキシブルコンテナ製品のことを、セメントプレミックス製品という場合がある。
【0011】
<フレキシブルコンテナバッグ>
図1は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナバッグの構成を模式的に示す斜視図である。
図1には、セメント組成物が収容される前のフレキシブルコンテナバッグの構成が示されている。
図1及び後述する
図2~
図4はいずれも模式図であるため、各構成要素の大きさ、形状等は、図面に示されたものには限定されない。
【0012】
図1に示すように、フレキシブルコンテナバッグ100は、外袋10及び内袋20を有している。内袋20は、外袋10の内側に設けられている。内袋20の内部には、セメント組成物が収容される。外袋10は、柔軟な素材により形成されている。内袋20は、外袋10よりもさらに柔軟な素材により形成されている。
【0013】
フレキシブルコンテナバッグ100の形状は、通常のフレキシブルコンテナバッグがとり得る形状であれば、特に限定されるものではない。フレキシブルコンテナバッグ100は、直方体型であってもよいし、円柱型であってもよい。成形しやすく、より隙間なく配置して運搬できるという観点から、フレキシブルコンテナバッグ100は、直方体型であることが好ましい。以下、直方体型のフレキシブルコンテナバッグ100を例に挙げて説明するが、円柱型のフレキシブルコンテナバッグも同様に製造することができる。
【0014】
ここで、本願明細書における「直方体型」、「直方体状」等の表現には、完全な直方体形状だけでなく、技術常識を考慮して実質的に直方体形状と見なすことができる略直方体形状も含まれる。同様に、「円柱型」という表現には、完全な円柱形状だけでなく、技術常識を考慮して実質的に円柱形状と見なすことができる略円柱形状も含まれる。
【0015】
フレキシブルコンテナバッグ100の容量は、400~3000Lであることが好ましく、600~2500Lであることがより好ましく、800~2000Lであることが更に好ましい。フレキシブルコンテナバッグ100の容量が上記範囲内であれば、より多くのセメント組成物を一度に運搬することができ、より効率的にモルタル又はコンクリートを製造することができる。
【0016】
外袋10は、直方体形状の立体的な袋構造を有している。外袋10は、外袋底面部11及び外袋側面部12を有している。外袋底面部11は、外袋10の底面を形成する部材である。本実施の形態では、外袋底面部11は、正方形状の形状を有している。外袋底面部11は、正方形以外の長方形状の形状を有していてもよい。
【0017】
外袋側面部12は、外袋10の側面を形成する部材である。本実施の形態では、外袋側面部12は、上下方向に延びた四角筒状の形状を有している。外袋側面部12の下端部の4辺は、外袋底面部11の4辺とそれぞれ縫合によって接合されている。これにより、外袋側面部12の下端側の開口部は、外袋底面部11によって閉塞されている。外袋底面部11及び外袋側面部12により、外袋10の胴部が形成されている。
【0018】
外袋10は、必要に応じて各種部材を備えることができる。外袋10に備えられる部材としては、例えば、4点吊りベルト30、2点吊りベルト40、投入口部50、荷札入れ、補強部材などが挙げられる。外袋10には、これらの部材のうちの一種が単独で設けられていてもよいし、二種以上が設けられていてもよい。外袋10の強度及び利便性を向上させるという観点から、外袋10には、4点吊りベルト30及び2点吊りベルト40が設けられていることが好ましい。
【0019】
本実施の形態では、4点吊りベルト30は、外袋側面部12に取り付けられている。4点吊りベルト30は、外袋側面部12の4つの角部のそれぞれに沿って上下方向に延伸している。各4点吊りベルト30の上端には、吊り輪31が形成されている。各4点吊りベルト30の下端は、外袋底面部11には達していない。
【0020】
本実施の形態では、2点吊りベルト40は、2つの4点吊りベルト30の間に架橋されている。すなわち、2点吊りベルト40の一端は、4点吊りベルト30の吊り輪31に接続されている。2点吊りベルト40の他端は、隣り合う別の4点吊りベルト30の吊り輪31に接続されている。ただし、2点吊りベルト40は、4点吊りベルト30とは別に独立して設けられていてもよい。
【0021】
投入口部50は、外袋側面部12の上方に設けられている。投入口部50は、外袋側面部12の上端側の開口部に接続されている。投入口部50は、四角筒状の形状を有している。投入口部50の上端部は、開口している。セメント組成物は、投入口部50の開口を介してフレキシブルコンテナバッグ100の内部に投入される。フレキシブルコンテナバッグ100の内部にセメント組成物が充填された後には、投入口部50は必要に応じて折り畳まれる。
【0022】
補強部材は、外袋10の耐荷重を向上させるための部材である。例えば、本実施の形態の4点吊りベルト30は、補強部材としても機能している。
【0023】
本実施の形態では、外袋底面部11には各種部材が取り付けられていないが、外袋底面部11には各種部材が取り付けられていてもよい。フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物が排出される際には、外袋底面部11が切り開かれる。このため、セメント組成物を排出しやすくするという観点からは、外袋底面部11には補強部材が実質的に存在しないことが好ましい。ここで、外袋底面部11に補強部材が実質的に存在しないとは、外袋底面部11の面積のうち補強部材が占める面積が10%以下であることを意味する。
【0024】
フレキシブルコンテナバッグ100が直方体型である場合、外袋底面部11は、外袋底面部11の対角線に沿って切り開かれることが多い。このため、外袋底面部11の対角線上には、補強部材が存在しないことが好ましい。また、外袋底面部11には、排出口が設けられていないことが好ましい。
【0025】
外袋10の形状及び容量は、フレキシブルコンテナバッグ100の規格を準用して、必要とするフレキシブルコンテナバッグ100の形状及び容量に応じて選択することができる。
【0026】
外袋10の厚さは、特に限定されるものではないが、耐衝撃性が更に向上するという観点から、100~2000μmであることが好ましく、150~1500μmであることがより好ましく、200~1200μmであることが更に好ましい。外袋底面部11の厚さと外袋側面部12の厚さとは、例えば同一である。
【0027】
外袋10は、ポリオレフィンにより形成されていることが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。外袋10には、ポリオレフィン樹脂等によりラミネート加工を施すこともできる。これにより、外袋10の耐久性及び耐湿性を更に向上させることができる。
【0028】
外袋10は、一般的なフレキシブルコンテナバッグと同様に製造することができる。例えば、外袋10は、外袋底面部11と外袋側面部12とを組み合わせ、縫合等によって接合することにより製造することができる。
【0029】
内袋20は、セメント組成物の吸湿を防ぐために、湿気を通しにくいフィルム素材により形成されている。
図2は、本実施の形態に係る内袋の構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る内袋の内袋底面部の構成を模式的に示す底面図である。
図3では、後述する開封治具によって切り開かれる切断線の例が破線で示されている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、内袋20は、内袋底面部21、内袋側面部22、内袋接合部23、及びひだ部24を有している。内袋20は、外袋10と同等形状の立体的な袋構造を有することが好ましい。
【0031】
内袋底面部21は、内袋20の底面を形成する部材である。本実施の形態では、内袋底面部21は、正方形状の形状を有している。内袋底面部21は、正方形以外の長方形状の形状を有していてもよい。内袋底面部21は、外袋10の外袋底面部11と対向して配置される。少なくともセメント組成物がフレキシブルコンテナバッグ100に収容されている状態では、内袋底面部21は外袋底面部11と接触している。
【0032】
内袋側面部22は、内袋20の側面を形成する部材である。本実施の形態では、内袋側面部22は、四角筒状の形状を有している。
図1に示したように、セメント組成物が収容される前の状態では、内袋側面部22の上端部は、折返し部22aとして投入口部50の外側に折り返されている。
【0033】
内袋20の内部にセメント組成物が収容された後には、後述するひも25により内袋20の上部が縛られることによって、内袋20が閉じられる。
【0034】
内袋底面部21の外周端部と、内袋側面部22の下端部とは、それぞれの内側表面同士が向かい合うように重ねられ、内袋接合部23において互いに接合されている。内袋接合部23は、内袋底面部21の外周端部に正方形状の枠状に形成される。内袋接合部23の形状は、正方形以外の長方形状であってもよい。これにより、内袋底面部21の外周端部の4辺と、内袋側面部22の下端部の4辺と、が切れ目なく接合され、内袋20が直方体状の袋状に成形される。内袋底面部21と内袋側面部22との接合方法は、特に限定されるものではない。例えば、内袋底面部21と内袋側面部22とは、熱圧着等の手段により接合することができる。
【0035】
ひだ部24は、内袋底面部21及び内袋側面部22の少なくとも一方が内袋接合部23よりも内袋20の外側にはみ出た部分のことである。すなわち、ひだ部24は、内袋20が袋状に成形された際に生じる、内袋底面部21及び内袋側面部22の少なくとも一方の余剰部分である。ひだ部24は、内袋底面部21の外周に枠状に形成されている。本実施の形態では、ひだ部24は、内袋底面部21の外周端部である第1ひだ部24aと、内袋側面部22の下端部である第2ひだ部24bと、を有している。第1ひだ部24aと第2ひだ部24bとは、互いに重なっている。
【0036】
内袋20の形状及び容量は、フレキシブルコンテナバッグ100の規格を準用して、必要とするフレキシブルコンテナバッグ100の形状及び容量に応じて選択することができる。
【0037】
内袋20の厚さは、特に限定されるものではないが、耐湿性が一層優れるという観点から、30~200μmであることが好ましく、50~200μmであることがより好ましく、60~180μmであることが更に好ましく、70~160μmであることが特に好ましい。内袋20の厚さは、外袋10の厚さよりも薄いことが好ましい。内袋底面部21の厚さと内袋側面部22の厚さとは、例えば同一である。
【0038】
内袋20は、ポリオレフィンにより形成されていることが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0039】
ひだ部24は、外袋10と接合されている。これにより、内袋20は、ひだ部24を介して外袋10と接合されている。
【0040】
図4は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナバッグにおけるひだ部と外袋との接合部の構成を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、ひだ部24は、外袋底面部11と外袋側面部12との境界部13において、外袋10と接合されている。外袋底面部11の外周端部11aと、外袋側面部12の下端部12aとは、それぞれの内側表面同士がひだ部24を挟んで向かい合うように重ねられている。外袋底面部11の外周端部11aと、外袋側面部12の下端部12aとは、縫合部60において縫合されることにより、互いに接合されている。
【0041】
ひだ部24は、縫合部60において外周端部11a及び下端部12aと共に縫合されている。これにより、ひだ部24は、外周端部11aと下端部12aとに挟まれた状態で、外袋10と接合されている。本実施の形態では、第1ひだ部24a及び第2ひだ部24bの双方が外袋10と接合されているが、外袋10と接合されるのは、第1ひだ部24a及び第2ひだ部24bの一方のみであってもよい。すなわち、第1ひだ部24a及び第2ひだ部24bの一方のみが、縫合部60において外周端部11a及び下端部12aと共に縫合されていてもよい。
【0042】
縫合部60は、外袋底面部11の外周端部11aに正方形状の枠状に形成されている。縫合部60の形状は、正方形以外の長方形状であってもよい。これにより、外袋10が直方体状の袋状に成形されるとともに、ひだ部24の4辺が外袋10と接合される。ひだ部24が外袋10と接合されることにより、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物を排出する際に内袋20が外袋10から落下してしまうのを抑制することができる。
【0043】
ひだ部24は、外袋底面部11付近において外袋10と接合されている。外袋底面部11付近とは、外袋10の上下方向において外袋底面部11からの高さが10cm以下の範囲を指す。ひだ部24は、外袋底面部11からの高さが5cm以下の範囲において外袋10と接合されているのが好ましい。
【0044】
ここで、第1ひだ部24aの外縁部24a1から内袋接合部23までの距離と、第2ひだ部24bの外縁部24b1から内袋接合部23までの距離と、のうち長い方をひだ部24の長さL1とする。ひだ部24の長さL1は、1~15cmであることが好ましく、2~12cmであることがより好ましく、3~10cmであることがより好ましい。ひだ部24の長さL1が上記範囲内であれば、外袋底面部11及び外袋側面部12をひだ部24と共に縫合するのに十分な領域を確保でき、ひだ部24と外袋10とを強固に接合できる。このため、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物を排出する際の内袋20の落下をより確実に抑制することができる。
【0045】
ひだ部24は、内袋20が袋状に成形された際に生じる余剰部分である。このため、ひだ部24と外袋10とが縫合されていても、内袋20の袋状部分には、穴あき等の損傷が生じない。したがって、内袋20の内部に水分等が浸入するのを抑制できるため、セメント組成物が水分等により劣化するのを抑制できる。よって、セメント組成物の長期貯蔵性を向上させることができる。
【0046】
ひだ部24は、外袋底面部11付近において外袋10と接合されている。これにより、内袋底面部21と外袋底面部11とを近接させることができるため、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物を排出する際、カッター等により外袋底面部11と内袋底面部21とを同時に開封することができる。したがって、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物をスムーズに排出することが可能になり、連続的に大容量のモルタル又はコンクリートを短時間で製造することができる。
【0047】
ひだ部24は、外袋底面部11と外袋側面部12との境界部13において外袋10と接合されていることが好ましい。また、ひだ部24は、外袋底面部11の外周端部11aと外袋側面部12の下端部12aとの間に挟み込まれていることがさらに好ましい。ひだ部24が外袋10と接合される位置が外袋底面部11に近いほど、セメント組成物の排出時にカッターの刃が内袋20まで届きやすくなるため、セメント組成物の排出がさらに容易になる。また、境界部13において外袋底面部11の外周端部11aと外袋側面部12の下端部12aとの間にひだ部24を挟み込んだ状態でひだ部24と外袋10とを接合することにより、内袋20をより強固に外袋10に固定することができる。したがって、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物が排出される際、内袋20が外袋10から滑り落ちてしまうことをより確実に抑制できる。
【0048】
ひだ部24と外袋10とを接合する手段は、ひだ部24と外袋10とが十分に固定されていれば特に限定されるものではない。ひだ部24と外袋10とを接合する手段としては、例えば、縫合、熱圧着、接着剤による接合等が挙げられる。ひだ部24と外袋10とをより強固に接合できるという観点から、縫合による接合が好ましい。
【0049】
縫合部60と内袋接合部23との間の距離L2は、0.5~12cmであることが好ましく、1~10cmであることがより好ましく、2~8cmであることが更に好ましい。距離L2が上記範囲内であれば、ひだ部24を外袋10に固定する際に十分な領域を確保でき、かつ内袋20の落下を一層抑制することができる。
【0050】
内袋20の内部にセメント組成物が充填された後、内袋20の上部は、ひも25によって縛られる。ひも25は、内袋20及び外袋10のいずれからも独立して設けられている部材である。内袋20の上部を縛るのに用いられたひも25の残りの部分は、外袋10に設けられた4点吊りベルト30、2点吊りベルト40等に結び付けられてもよい。これにより、内袋20と外袋10とがひも25によって結び付けられるため、内袋20の落下をより一層抑制でき、フレキシブルコンテナバッグ100からセメント組成物をよりスムーズに排出できる。
【0051】
<セメント組成物>
セメント組成物は、セメントが含まれていれば特に限定されるものではない。セメント組成物に含まれるセメント以外の物質としては、混和材、骨材等が挙げられる。混和材は、例えば、石膏類、膨張材及びポゾラン物質からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0052】
セメントは種々のものを使用することができ、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、超速硬セメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0053】
石膏類としては、例えば、無水石膏、半水石膏、二水石膏が挙げられる。石膏類としては、強度発現性を更に向上させるという観点から、無水石膏が好ましい。石膏類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0054】
膨張材は、コンクリート用膨張材として一般に使用されているJIS適合の膨張材(JIS A 6202:2008)であれば、何れの膨張材でもかまわない。膨張材としては、例えば、遊離生石灰を主成分とする膨張材(生石灰系膨張材)、アーウィンを主成分とする膨張材(エトリンガイト系膨張材)、遊離生石灰とエトリンガイト生成物質との複合系膨張材が挙げられる。膨張材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。膨張材は、ブレーン比表面積が2000~6000cm2/gのものを使用することが好ましい。
【0055】
ポゾラン物質としては、例えば、フライアッシュ、シリカフューム、スラグ微粉末、火山灰、酸性白土や活性白土、カオリン鉱物等のアルミノケイ酸質の粘土鉱物やそれらの焼成物が挙げられる。ポゾラン物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。また、高流動性及び水中不分離性の観点から、ポゾラン物質の粉末度は、ブレーン比表面積で1500~8000cm2/gが好ましく、2000~6000cm2/gがより好ましい。
【0056】
骨材には、細骨材、粗骨材をそれぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。骨材としては、例えば、川砂、珪砂、砕砂、寒水石、石灰石砂、スラグ骨材等が挙げられる。骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0057】
セメント組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種混和剤を配合してもよい。混和剤としては、例えば、セメント用ポリマー、消泡剤、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤、繊維、石粉等が挙げられる。
【0058】
セメント組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、V型混合機や可傾式コンクリートミキサー等の重力式ミキサー、ヘンシェル式ミキサー、噴射型ミキサー、リボンミキー、パドルミキサー等のミキサーにより上記成分を混合することで製造することができる。
【0059】
<セメントプレミックス製品>
セメントプレミックス製品は、セメント組成物をフレキシブルコンテナバッグ100の内袋20に投入することにより製造される。セメント組成物の投入量は、フレキシブルコンテナバッグ100の容量に準じて決定することができる。
【0060】
セメントプレミックス製品の使い方は特に限定されるものではなく、例えば、フレキシブルコンテナバッグ100の底面部を開封することができればよい。一例としては、クレーン等の機器によってセメントプレミックス製品を釣り上げ、フレキシブルコンテナ用カッター等の開封治具の上にセメントプレミックス製品を下ろす。これにより、フレキシブルコンテナバッグ100の外袋底面部11及び内袋底面部21が開封治具によって切り開かれ、内容物であるセメント組成物がフレキシブルコンテナバッグ100から排出される。
【0061】
フレキシブルコンテナバッグ用カッターは、三角錐型又は四角錐型等の側辺部に刃がついたものであることが好ましい。このようなフレキシブルコンテナバッグ用カッターが用いられると、フレキシブルコンテナバッグ100の外袋底面部11は、中心部付近から放射状に開封される。これにより、外袋底面部11及び内袋底面部21が十分に切り開かれるため、内袋20内にセメント組成物が残りにくい。
【0062】
本実施の形態のセメントプレミックス製品は、高い耐湿性を有するため長期貯蔵性に優れる。また、本実施の形態のセメントプレミックス製品では、内袋20の落下を抑えつつ素早くセメント組成物を排出できる。
【0063】
そのため、本実施の形態のセメントプレミックス製品によれば、連続的に大容量のモルタル又はコンクリートを短時間で製造することが可能となる。したがって、本実施の形態のセメントプレミックス製品は、大量のモルタル又はコンクリートを必要とする施工現場において、通常の環境下だけでなくセメント組成物が吸湿及び風化しやすい環境下でも好適に使用することができる。
【0064】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0065】
[フレキシブルコンテナバッグの作製]
・フレキシブルコンテナバッグ1(実施例1)
ポリプロピレン繊維生地により形成された外袋側面部12及び外袋底面部11を外袋底面部11の4辺で縫合し、直方体型の外袋10を成形した。外袋10の外寸を長さ1000mm×幅1000mm×高さ1100mmとした。外袋10の上部には、長さ850mmの投入口部50を取り付けた。外袋側面部12の4つの角部には、4点吊りベルト30をそれぞれ縫合により取り付け、外袋側面部12を補強した。隣り合う2つの4点吊りベルト30を2点吊りベルト40によって繋ぎ、2つの2点吊りベルト40を作製した。
【0066】
厚さ100μmのポリエチレンフィルムにより形成された内袋側面部22及び内袋底面部21を4辺の内袋接合部23で接合し、直方体型の内袋20を成形した。内袋20の内寸を長さ1000mm×幅1000mm×高さ2000mmとした。内袋底面部21の周囲にひだ部24を形成し、ひだ部24の長さL1を70mmとした。ひだ部24を外袋側面部12と外袋底面部11との間に挟み込み、外袋側面部12と外袋底面部11とを縫合するのと同時にひだ部24を縫合した。これにより、ひだ部24と外袋10とを縫合により接合し、内袋20と外袋10とを一体化した。縫合部60と内袋接合部23との距離L2を40mmとした。
【0067】
フレキシブルコンテナバッグ1の内部にセメント組成物を投入した後、内袋20の上部をひも25によって縛り、そのひも25を2点吊りベルト40と結束した。
【0068】
・フレキシブルコンテナバッグ2(比較例1)
比較例1のフレキシブルコンテナバッグ2は、ひだ部24と外袋10とを縫合しなかったこと以外は、実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1と同じ構成とした。
【0069】
[セメント組成物の作製]
セメント100質量部に対して、膨張材2質量部、石膏5質量部、細骨材25質量部、減水剤2質量部の配合割合で使用材料を調合し、ヘンシェルミキサーに投入して混合することにより、セメント組成物を作製した。作製したセメント組成物をフレキシブルコンテナバッグ1及び2のそれぞれの投入口部50から1500kg投入した。フレキシブルコンテナバッグ1及び2のそれぞれの内袋20をひも25によって縛り、梱包することによりセメントプレミックス製品を製造した。
【0070】
使用材料
セメント:早強ポルトランドセメント
膨張材:生石灰系膨張材
石膏:無水石膏
細骨材:混合珪砂
減水剤:ポリカルボン酸系減水剤
【0071】
[フレキシブルコンテナバッグの内容物排出試験]
実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品、及び比較例1のフレキシブルコンテナバッグ2を用いたセメントプレミックス製品の内容物排出試験を行った。各セメントプレミックス製品を4tクレーン車によって持ち上げ、開封治具の中央上部にゆっくりセメントプレミックス製品を下ろした。
【0072】
開封治具は、長さ1000mm×幅1000mm×高さ500mmの四角錐状の形状を有している。開封治具の側辺部には、鋭利なカッターが設けられている。開封治具の中心部には、針状突起が設けられている。開封治具の中央上部にセメントプレミックス製品が下ろされると、セメントプレミックス製品の自重により、フレキシブルコンテナバッグ底部が切り開かれる。
【0073】
開封治具のカッターがフレキシブルコンテナバッグ底部中央を貫通したら、セメントプレミックス製品の位置を徐々に上昇させた。これにより、フレキシブルコンテナバッグから内容物を排出させた。
【0074】
各フレキシブルコンテナバッグからの内容物の排出状況を以下の指標により評価した。
・内袋20が落下せず、かつ内容物が内袋20に残ることなくスムーズに完全排出された場合を「〇」とした。
・内袋20が落下したか、又は内袋20に内容物が引っ掛かり内容物が完全排出されなかった場合を「×」とした。
【0075】
排出試験の結果を表1に示す。実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1では、時間を要さずにスムーズに内容物を排出することができた。内袋20は、外袋10にしっかり固定されたままであり、落下することがなかった。一方、比較例1のフレキシブルコンテナバッグ2では、排出作業中に排出圧力に耐えきれずひも25が切れて内容物と共に内袋20が外袋10から落下してしまい、スムーズな排出ができなかった。
【0076】
【0077】
[フレキシブルコンテナバッグを用いたモルタル連続練り試験]
実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品を用い、大型ミキシングプラントにおいてモルタルの連続練りを行い、製造効率性を確認した。使用した大型ミキシングプラントは、開封治具が設置された投入ホッパー、練混ぜミキサー(容量1500L)、アジテータ(容量5000L)を最上部からこの順に備えた縦型のモルタル練混ぜシステムである。開封治具は四角錐状であり、開封治具の側辺部には鋭利なカッターが設けられている。
【0078】
予め所定の水量(450kg)をミキサー内にオートプログラムで注水後、ミキサーの攪拌を開始した。ラフテレーンクレーンによりフレキシブルコンテナバッグ1を吊り上げ、投入ホッパーから内容物を合計3000kg(1500kgフレキシブルコンテナバッグを2回分)投入した。材料投入完了から2.5分攪拌し、攪拌終了後、練り混ぜたモルタルを全量アジテータに排出し、3バッチ連続でモルタルを練り混ぜた。1バッチ当たりのモルタル練混ぜ量は1500Lとした。
【0079】
モルタル連続練り試験では、アジテータからサンプリングしたフレッシュモルタルの品質性状及び時間当たりの製造量を確認した。フレッシュモルタルの品質性状及び時間当たりの製造量は、以下の指標により評価した。
【0080】
・採取したモルタルの風合い:練残し及び材料分離がなく風合いが良好な場合を「〇」、練残し又は材料分離がある場合を「×」とした。
・高流動性:JIS R 5201:2015に準じて引抜きフローを測定した。フロー値が220~320mmの場合を「〇」、フロー値が220mm未満又は320mm超の場合を「×」とした。
・時間当たりの製造量:モルタルの製造量が8m3/hr以上の場合を「〇」とした。
【0081】
試験結果を表2に示す。実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いた場合、モルタルの品質性状は、風合い及びフロー値のいずれにおいても良好であることが確認された。時間当たりのモルタル製造量は、約14m3という大容量であった。
【0082】
【0083】
[フレキシブルコンテナバッグを用いたセメントプレミックス製品の長期貯蔵安定性試験]
実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品を工場内の製品倉庫に保管し、モルタル試験によりセメントプレミックス製品の長期貯蔵安定性を評価した。製品倉庫は、恒温及び恒湿管理のない屋内ヤードである。モルタル試験では、上記のようなモルタルの風合い及びフロー値の評価に加え、以下の評価を行った。
【0084】
・材料分離抵抗性:JIS A 1123:2012に準じてブリーディング試験を行った。ブリーディング率が0.2質量%未満の場合を「〇」、ブリーディング率が0.2質量%以上の場合を「×」とした。
・圧縮強度発現性:JIS A 1108:2018に準じて、直径5cm×高さ10cmの供試体を用い、20℃環境下で各材齢の圧縮強度を測定した。圧縮強度が100N/mm2以上の場合を「〇」、圧縮強度が100N/mm2未満の場合を×とした。
【0085】
実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品の長期貯蔵安定性試験結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品では、セメント量が多く風化しやすいセメント組成物にも関わらず、製造から12か月経過後もモルタルの品質性状が良好に維持されていた。また、硬化物性である圧縮強度発現性についても、製造から12か月経過後の圧縮強度が130N/mm2以上に維持されていた。
【0088】
このように、実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1を用いたセメントプレミックス製品は、高い長期貯蔵安定性を有することが確認された。すなわち、実施例1のフレキシブルコンテナバッグ1は、高い耐湿性を有していることが分かった。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品は、フレキシブルコンテナバッグ100と、粉粒体と、を備えている。フレキシブルコンテナバッグ100は、外袋10及び内袋20を有している。粉粒体は、内袋20に収容されている。外袋10は、外袋底面部11と、外袋側面部12と、を有している。外袋底面部11は、外袋10の底面を形成している。外袋側面部12は、外袋10の側面を形成している。内袋20は、内袋底面部21と、内袋側面部22と、内袋接合部23と、ひだ部24と、を有している。内袋底面部21は、内袋20の底面を形成している。内袋側面部22は、内袋20の側面を形成している。内袋接合部23では、内袋底面部21及び内袋側面部22が互いに接合されている。ひだ部24は、内袋底面部21及び内袋側面部22の少なくとも一方が内袋接合部23よりも内袋20の外側にはみ出た部分である。ひだ部24は、外袋10と接合されている。
【0090】
この構成によれば、内袋20のひだ部24が外袋10と接合されているため、粉粒体を排出する際に内袋20が外袋10から落下してしまうのを抑制することができる。したがって、この構成によれば、フレキシブルコンテナバッグ100から粉粒体をスムーズに排出することができる。
【0091】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、ひだ部24は、外袋底面部11と外袋側面部12との境界部13において外袋10と接合されている。この構成によれば、内袋底面部21と外袋底面部11とを近接させることができるため、フレキシブルコンテナバッグ100から粉粒体を排出する際、外袋底面部11と内袋底面部21とを同時に開封することができる。したがって、フレキシブルコンテナバッグ100から粉粒体をスムーズに排出することができる。
【0092】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、ひだ部24の長さL1は、1~15cmである。この構成によれば、ひだ部24を外袋10に接合するのに十分な領域を確保できるため、ひだ部24と外袋10とを強固に接合することができる。
【0093】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、内袋20は、ポリオレフィンにより形成されている。内袋20の厚さは30~200μmである。この構成によれば、フレキシブルコンテナバッグ100において高い耐湿性を確保することができる。
【0094】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、ひだ部24は、縫合によって外袋10と接合されている。この構成によれば、ひだ部24と外袋10とをより強固に接合することができる。
【0095】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、外袋底面部11には、補強部材が実質的に存在しない。この構成によれば、外袋底面部11を切り開くのが容易になるため、フレキシブルコンテナバッグ100から粉粒体を排出しやすくすることができる。
【0096】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、フレキシブルコンテナバッグ100は直方体型である。この構成によれば、フレキシブルコンテナバッグ100を容易に成形できるとともに、運搬又は保管の際に複数のフレキシブルコンテナ製品をより隙間なく配置することができる。
【0097】
本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ製品において、粉粒体は、セメント組成物であってもよい。セメント組成物は、セメントと、石膏類、膨張材及びポゾラン物質からなる群から選択される少なくとも1種の混和材と、骨材と、を含んでいてもよい。
【0098】
本実施の形態では、粉粒体としてセメント組成物を例に挙げたが、これには限られない。粉粒体としては、セメント、石膏、骨材等の無機粉体、合成樹脂粉等の有機粉体、飼料等が挙げられる。これらは単一の成分であってもよく、複数の材料を含む組成物であってもよい。セメント組成物以外の粉粒体を備えるフレキシブルコンテナ製品であっても、セメント組成物を備えるフレキシブルコンテナ製品と同様に製造することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0099】
10 外袋、11 外袋底面部、11a 外周端部、12 外袋側面部、12a 下端部、13 境界部、20 内袋、21 内袋底面部、22 内袋側面部、22a 折返し部、23 内袋接合部、24 ひだ部、24a 第1ひだ部、24a1 外縁部、24b 第2ひだ部、24b1 外縁部、25 ひも、30 4点吊りベルト、31 吊り輪、40 2点吊りベルト、50 投入口部、60 縫合部、100 フレキシブルコンテナバッグ、L1 長さ、L2 距離。