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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081897
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】圧縮空気用フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/24 20060101AFI20240612BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20240612BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240612BHJP
   F04B 39/04 20060101ALN20240612BHJP
   F04B 39/16 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
B01D46/24 A
A61L9/014
B01D53/04 110
F04B39/04 G
F04B39/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195441
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148379
【氏名又は名称】株式会社前田シェルサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】前田 達宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
【テーマコード(参考)】
3H003
4C180
4D012
4D058
【Fターム(参考)】
3H003AC02
3H003BG04
3H003BH05
4C180AA02
4C180CC04
4C180EA14X
4C180MM08
4D012BA03
4D012CA09
4D012CB07
4D058JA02
4D058JB22
4D058KB12
4D058SA16
4D058TA04
4D058TA07
(57)【要約】
【課題】導出通路から導出される圧縮空気中の液体の含有率をより低めることが可能な圧縮空気用フィルタ装置を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、下部ハウジング5内に内筒41、外筒33及び遮蔽プレート29が設けられている。内筒41は、導入通路19と接続されて筒状に下方に延び、内部に第1ろ過室41aを形成するとともに、外周域に中間通路44を形成している。外筒33は、内筒41と同軸に延び、中間通路44の下流に第2ろ過室49を形成している。遮蔽プレート29は、内筒41の下端に設けられ、圧縮空気が下方に導出されることを防止する。内筒41には、第2エレメント13から下方に離隔して貫設され、第1エレメント11でろ過された圧縮空気を側方に吐出させて第2エレメント13に導く複数の吐出口39が形成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ろ過室と、第2ろ過室と、ろ過前の圧縮空気を前記第1ろ過室に導入する導入通路と、前記第1ろ過室と前記第2ろ過室とを連通する中間通路と、ろ過後の前記圧縮空気を導出する導出通路とを有するハウジングと、
前記第1ろ過室内に保持された第1エレメントと、
前記第2ろ過室内に保持された第2エレメントと、
前記ハウジングの下端に設けられ、前記第1エレメントによって前記圧縮空気から分離されて前記ハウジング内に貯留する液体を外部に排出するドレン装置とを備えた圧縮空気用フィルタ装置において、
前記ハウジングは、前記導入通路及び前記導出通路が形成された仕切り部材と、
前記仕切り部材と締結されて下方に延び、下端に前記ドレン装置が設けられる下部ハウジングとを有し、
前記導入通路は、前記圧縮空気を下方に案内するように形成され、
前記下部ハウジング内には、前記導入通路と接続されて筒状に下方に延び、内部に前記第1ろ過室を形成するとともに、外周域に前記中間通路を形成する内筒と、
前記内筒と同軸に延び、前記中間通路の下流に前記第2ろ過室を形成する外筒と、
前記内筒の下端に設けられ、前記圧縮空気が下方に導出されることを防止する遮蔽プレートとが設けられ、
前記内筒には、前記第2エレメントから下方に離隔して貫設され、前記第1エレメントでろ過された前記圧縮空気を側方に吐出させて前記第2エレメントに導く複数の吐出口が形成されていることを特徴とする圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項2】
各前記吐出口は、上部が下部より狭い三角形状又は台形状である請求項1記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項3】
前記内筒は、前記仕切り部材に固定されて下方に延びるパイプと、前記パイプの下端に固定されて下方に延び、各前記吐出口を構成しつつ下端に前記遮蔽プレートが固定される第1ケースとを有し、
前記第1エレメントは円筒状をなし、前記第1ケースの内周面に前記第1エレメントが設けられ、
前記第1ケースは、前記外筒を載置する第1フランジを有し、
前記第1フランジには、前記下部ハウジング内で各前記吐出口から吐出された前記圧縮空気を前記第2エレメントに導く複数の第1連通孔が貫設されている請求項1又は2記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項4】
前記第1フランジには、各前記第1連通孔を上方で覆うリターン部材が設けられている請求項3記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項5】
前記外筒は、前記パイプを内挿して下方に延びる内側筒部と、前記内側筒部の外周側に配置されて下方に延びる外側筒部とを有し、
前記第2エレメントは環状をなし、前記内側筒部及び前記外側筒部の内周面に前記第2エレメントが設けられ、
前記内側筒部の上端と前記外側筒部の上端とは、第2フランジによって接続され、
前記第2フランジには、前記下部ハウジング内で前記第2エレメントでろ過された前記圧縮空気を下流に導く複数の第2連通孔が貫設されている請求項1記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1エレメントは、帯状をなすろ材が円筒状に巻かれてなり、各前記吐出口から外周面が露出するように前記内筒の前記内周面に保持されている請求項3記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項7】
前記第2エレメントは、連続気孔多孔質樹脂製のエレメント本体と、活性炭からなる吸着体とからなる請求項1記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【請求項8】
前記吸着体は一対の前記エレメント本体間に挟持されている請求項7記載の圧縮空気用フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮空気用微粒子検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の圧縮空気用フィルタ装置が開示されている。この圧縮空気用フィルタ装置は、ハウジングと、第1~3エレメントと、ドレン装置とを備えている。
【0003】
ハウジングは、第1~3ろ過室と、ろ過前の圧縮空気を第1ろ過室に導入する導入通路と、第1ろ過室と第2ろ過室とを連通する第1中間通路と、第2ろ過室と第3ろ過室とを連通する第2中間通路と、ろ過後の圧縮空気を導出する導出通路とを有している。具体的には、ハウジングは、仕切り部材と、下部ハウジングと、上部ハウジングとからなる。仕切り部材には導入通路、第2中間通路及び導出通路が形成されている。下部ハウジングは、仕切り部材と締結されて下方に延び、第1ろ過室、第2ろ過室及び第1中間通路が形成され、下端にドレン装置が設けられる。上部ハウジングは、仕切り部材と締結されて上方に延び、第3ろ過室が形成されている。
【0004】
第1エレメントは第1ろ過室内に保持され、第2エレメントは第2ろ過室内に保持され、第3エレメントは第3ろ過室内に保持される。ドレン装置は主に第1エレメントによって圧縮空気から分離されて下部ハウジング内に貯留する液体を外部に排出する。
【0005】
この圧縮空気用フィルタ装置は、導入通路がエアーコンプレッサと接続され、導出通路がエアーガン等の空気圧機器に接続される。第1~3エレメントは、エアーコンプレッサで生成され、導入通路によって導入された圧縮空気中の油分、水分、異物等の微粒子をろ過する。特に、第1エレメントは、油分や水分である液体をろ過する。下部ハウジング内に貯留される液体が一定量を超えれば、ドレン装置が液体を外部に排出する。これにより、導出通路から導出される圧縮空気は、微粒子が除去され、空気圧機器を用いた工程等で高い品質を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-63737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の圧縮空気用フィルタ装置では、導出通路から導出される圧縮空気中の液体の含有率をより低めることが求められている。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、導出通路から導出される圧縮空気中の液体の含有率をより低めることが可能な圧縮空気用フィルタ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、第1ろ過室と、第2ろ過室と、ろ過前の圧縮空気を前記第1ろ過室に導入する導入通路と、前記第1ろ過室と前記第2ろ過室とを連通する中間通路と、ろ過後の前記圧縮空気を導出する導出通路とを有するハウジングと、
前記第1ろ過室内に保持された第1エレメントと、
前記第2ろ過室内に保持された第2エレメントと、
前記ハウジングの下端に設けられ、前記第1エレメントによって前記圧縮空気から分離されて前記ハウジング内に貯留する液体を外部に排出するドレン装置とを備えた圧縮空気用フィルタ装置において、
前記ハウジングは、前記導入通路及び前記導出通路が形成された仕切り部材と、
前記仕切り部材と締結されて下方に延び、下端に前記ドレン装置が設けられる下部ハウジングとを有し、
前記導入通路は、前記圧縮空気を下方に案内するように形成され、
前記下部ハウジング内には、前記導入通路と接続されて筒状に下方に延び、内部に前記第1ろ過室を形成するとともに、外周域に前記中間通路を形成する内筒と、
前記内筒と同軸に延び、前記中間通路の下流に前記第2ろ過室を形成する外筒と、
前記内筒の下端に設けられ、前記圧縮空気が下方に導出されることを防止する遮蔽プレートとが設けられ、
前記内筒には、前記第2エレメントから下方に離隔して貫設され、前記第1エレメントでろ過された前記圧縮空気を側方に吐出させて前記第2エレメントに導く複数の吐出口が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記従来のような圧縮空気用フィルタ装置では、第1エレメントでろ過された圧縮空気を下方に吐出させている。このため、下部ハウジング内でドレン装置によって排出されずに残留している液体がその圧縮空気によって巻き上げられ、液体が第2エレメント等の下流に移動してしまう。換言すれば、中間通路に液体を混入し易い。この点、本発明の圧縮空気用フィルタ装置では、圧縮空気は、遮蔽プレートによって下方に導出されず、第1エレメントでろ過された後、内筒に形成された複数の吐出口から側方に吐出される。このため、下部ハウジング内でドレン装置によって排出されずに液体が残留していたとしても、その液体は圧縮空気によって巻き上げられ難く、液体が第2エレメント等の下流に移動し難い。換言すれば、中間通路に液体を混入し難い。
【0011】
また、本発明の圧縮空気用フィルタ装置では、内筒に形成される各吐出口が第2エレメントから下方に離隔している。このため、第1エレメントでろ過されて液体を含む圧縮空気が第2エレメントに短絡し難い。また、第2エレメントに導入される圧縮空気が液体を僅かに含んでいても、その液体は自重によって下方に移動し易く、液体が第2エレメントに導入され難い。この意味でも、中間通路に液体を混入し難い。
【0012】
したがって、この圧縮空気用フィルタ装置によれば、導出通路から導出される圧縮空気中の液体の含有率をより低めることが可能である。
【0013】
各吐出口は、上部が下部より狭い三角形状又は台形状であることが好ましい。この場合、第2エレメントに近い各吐出口の上部の開口面積が各吐出口の下部の開口面積より小さいため、各吐出口の上部から吐出される圧縮空気の流速が各吐出口の下部から吐出される圧縮空気の流速よりも速くなる。このため、各吐出口の上部近くの第1エレメントが各吐出口の下部近くの第1エレメントよりもより効果的に液体を分離し、液体が第2エレメントに導入され難い。また、第1エレメントでろ過された液体が自重によって各吐出口の下部から下部ハウジングの下端に流れ易い。ろ過して分離された液体が大量であっても、各吐出口の下部は開口面積が広いため、液体の下部ハウジングの下端への流れは阻害されない。このため、液体が第2エレメント等の下流に移動し難い。換言すれば、中間通路に液体をより混入し難い。
【0014】
内筒は、仕切り部材に固定されて下方に延びるパイプと、パイプの下端に固定されて下方に延び、各吐出口を構成しつつ下端に遮蔽プレートが固定される第1ケースとを有し得る。また、第1エレメントは円筒状をなし、第1ケースの内周面に第1エレメントが設けられ得る。さらに、第1ケースは、外筒を載置する第1フランジを有し得る。そして、第1フランジには、下部ハウジング内で各吐出口から吐出された圧縮空気を第2エレメントに導く複数の第1連通孔が貫設されていることが好ましい。
【0015】
この場合、内筒を構成し易く、また仕切り部材に内筒と外筒とを設け易いとともに、第1エレメントを第1ろ過室内に容易に保持できる。また、中間通路を構成する各第1連通孔が第1エレメントでろ過された圧縮空気の流速を高めるため、液体が第2エレメントに導入され難い。
【0016】
第1フランジには、各第1連通孔を上方で覆うリターン部材が設けられていることが好ましい。この場合、各第1連通孔を経た圧縮空気がリターン部材に衝突するため、圧縮空気に含まれ得る液体がリターン部材で分離されて下方に移動し、第2エレメントにより導入され難い。
【0017】
外筒は、パイプを内挿して下方に延びる内側筒部と、内側筒部の外周側に配置されて下方に延びる外側筒部とを有し得る。また、第2エレメントは環状をなし、内側筒部及び外側筒部の内周面に第2エレメントが設けられ得る。さらに、内側筒部の上端と外側筒部の上端とは、第2フランジによって接続され得る。そして、第2フランジには、下部ハウジング内で第2エレメントでろ過された圧縮空気を下流に導く複数の第2連通孔が貫設されていることが好ましい。
【0018】
この場合、外筒を構成し易いとともに、第2エレメントを第2ろ過室内に容易に保持できる。また、各第2連通孔が第2エレメントでろ過された圧縮空気の流速を高めるため、液体が下流に移動し難い。
【0019】
第1エレメントは、帯状をなすろ材が円筒状に巻かれてなり、各吐出口から外周面が露出するように内筒の内周面に保持されていることが好ましい。この場合、円筒状の第1エレメントを容易に内筒に保持できる。ろ材としては、ステンレス繊維等の金属繊維からなる網を採用することができる。
【0020】
第2エレメントは、連続気孔多孔質樹脂製のエレメント本体と、活性炭からなる吸着体とからなることが好ましい。この場合、第2エレメントでろ過する圧縮空気を活性炭によって消臭することが可能である。
【0021】
吸着体は一対のエレメント本体間に挟持されていることが好ましい。この場合、活性炭を成形せずに用いることが可能になり、活性炭の消臭効果を維持しつつ、圧縮空気用フィルタ装置の製造コストの低廉化も実現できる。
【0022】
本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、ハウジングが仕切り部材及び下部ハウジングの他、上記従来の圧縮空気用フィルタ装置のように上部ハウジングを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、導出通路から導出される圧縮空気中の液体の含有率をより低めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に係り、液体が貯留される前の状態の断面図である。
図2図2は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に係り、液体が貯留された後の状態の断面図である。
図3図3は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に用いた遮蔽プレート、第1ケース、リターン部材、第1エレメント、パイプ、第1エレメント本体、吸着体、第2エレメント本体及び第2ケースの分解斜視図である。
図4図4は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に用いた遮蔽プレート及び第1ケースの斜視図である。
図5図5は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に用いたリターン部材の斜視図である。
図6図6は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に用いた第1エレメントのろ材の斜視図である。
図7図7は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置に用いた第2ケースの斜視図である。
図8図8は、実施例の圧縮空気用フィルタ装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。実施例の圧縮空気用フィルタ装置は、図1及び図2に示すように、ハウジング1と、第1エレメント11と、第2エレメント13と、第3エレメント15と、ドレン装置17とを備えている。
【0026】
ハウジング1は、仕切り部材3と、下部ハウジング5と、上部ハウジング7とからなる。これらは金属製、繊維強化樹脂製又は樹脂製である。仕切り部材3には、1本の導入通路19と、複数本の第2中間通路21と、1本の導出通路23とが形成されている。
【0027】
仕切り部材3には、下方に円筒状に延びる下筒部3aと、上方に円筒状に延びる上筒部3bとが形成されている。下筒部3aの内周面には雌ねじ3cが形成され、上筒部3bの内周面には雌ねじ3dが形成されている。また、仕切り部材3の下部中央には下方に円筒状に突出するボス3eが形成されている。ボス3eの外周面には雄ねじ3fが形成されている。また、仕切り部材3の上部略中央には円環状の座面3gが形成されている。
【0028】
導入通路19は、仕切り部材3の水平方向の一端に開口19aを有し、水平方向に延びた後、仕切り部材3の中心部分で下方に屈曲し、ボス3e内で開口19bによって下部ハウジング5内に開いている。導出通路23は、仕切り部材3の水平方向の他端に開口23aを有し、水平方向に延びた後、仕切り部材3の中心部分で上方に屈曲し、座面3g内で開口23bによって上部ハウジング7内に開いている。また、仕切り部材3の外周部分には、下部ハウジング5内と上部ハウジング7内とを上下に連通する複数本の第2中間通路21が形成されている。
【0029】
下部ハウジング5及び上部ハウジング7は有底筒状をなしている。下部ハウジング5の下端には取付穴5bが軸心X方向に貫設されている。下部ハウジング5の上部外周面には仕切り部材3の雌ねじ3cと整合する雄ねじ5aが形成されている。下部ハウジング5は、仕切り部材3との間にOリング2を介在させつつ、雌ねじ3cと雄ねじ5aとを螺合することによって仕切り部材3と締結されて下方に延びている。
【0030】
上部ハウジング7の下部外周面には仕切り部材3の雌ねじ3dと整合する雄ねじ7aが形成されている。上部ハウジング7は、仕切り部材3との間にOリング4を介在させつつ、雌ねじ3dと雄ねじ7aとを螺合することによって仕切り部材3と締結されて上方に延びている。上部ハウジング7の上壁の中央内面には下方に突出する凸部7bが形成されている。
【0031】
下部ハウジング5内には、図3に示すように、パイプ25、第1エレメント11、リターン部材31、第1ケース27、遮蔽プレート29、第2エレメント13及び第2ケース33が設けられている。パイプ25、第1ケース27、遮蔽プレート29、リターン部材31及び第2ケース33は樹脂製である。
【0032】
パイプ25は円筒状をなしている。図1図2及び図8に示すように、パイプ25の上端内周面には仕切り部材3の雄ねじ3fと整合する雌ねじ25aが形成されている。また、パイプ25の下端外周面には雄ねじ25bが形成されている。
【0033】
第1ケース27は、図4に示すように、円筒状のケース本体35と、ケース本体35の上端でケース本体35と一体に形成された第1フランジ37とからなる。ケース本体35の下部には複数の切欠き35aが軸心X周りに等間隔で形成されている。また、ケース本体35の上部内面には、パイプ25の雄ねじ25bと整合する雌ねじ35bが形成されている。
【0034】
第1フランジ37には軸心Xを中心とする円弧状をなす複数の第1連通孔37aが等間隔で貫設されている。また、第1フランジ37の上面中央には円環状の第1座面37bが形成され、第1フランジ37の上面外周には円環状の第2座面37cが形成されている。さらに、第1フランジ37には、隣り合う第1連通孔37aの間に嵌合穴37dが凹設されている。また、第1フランジ37には、各第1連通孔37a及び各嵌合穴37dの外周において、外周部分が内周部分よりも高い円錐状の傾斜面37eが形成されている。
【0035】
図1図2及び図8に示すように、パイプ25は、雄ねじ3fと雌ねじ25aとを螺合することによって仕切り部材3と締結されて下方に延びている。図8に示すように、第1ケース27は、雄ねじ25bと雌ねじ35bとを螺合することによってパイプ25と締結されて下方に延びている。パイプ25及び第1ケース27が内筒41を構成している。内筒41の内部には第1ろ過室41aが形成されている。なお、実施例ではパイプ25及び第1ケース27を別部材としたが、パイプ25及び第1ケース27を一体品としてもよい。
【0036】
図3に示すように、遮蔽プレート29は円盤状をなしている。図8に示すように、遮蔽プレート29の上面には低く円柱状に突出する凸部29aが形成されている。
【0037】
図4に示すように、第1ケース27のケース本体35は、隣り合う切欠き35a間が柱部35cとされ、各柱部35cの下端面が遮蔽プレート29の上面に接着剤等によって固定されることにより、第1ケース27と遮蔽プレート29とが一体とされている。こうして、第1ケース27及び遮蔽プレート29は、個々の切欠き35aが吐出口39を構成している。各吐出口39は上部が下部より狭い三角形状をなしている。なお、実施例では遮蔽プレート29及び第1ケース27を別部材としたが、遮蔽プレート29及び第1ケース27を一体品としてもよく、遮蔽プレート29、パイプ35及び第1ケース27を一体品としてもよい。これらの一体品に複数の吐出口39を貫設してもよい。各吐出口39は三角形状に限定されず、上部が下部より狭い台形状であってもよい。
【0038】
図5に示すように、リターン部材31は、円筒状の第1筒部31aと、第1筒部31aの外周側で第1筒部31aと同軸に延びる円筒状の第2筒部31bと、第1筒部31aの上部と第2筒部31bの上部とを緩やかに接続する接続部31cとを有している。また、第1筒部31aには下方に突出する複数本の軸部31dが一体に設けられている。リターン部材31は、図8に示すように、各軸部31dが第1ケース27における第1フランジ37の嵌合穴37dに嵌合されることにより、第1フランジ37に固定される。こうして、第1フランジ37に固定されたリターン部材31は、接続部31cが第1連通孔37aの上方を覆っている。
【0039】
図6に示すように、第1エレメント11は、ステンレス繊維からなる帯状をなすろ材11aからなり、図3に示すように、このろ材11aが円筒状に巻かれたものである。
【0040】
図7に示すように、第2ケース33は、円筒状の内側筒部43と、内側筒部43の外周側で内側筒部43と同軸に延びる円筒状の外側筒部45と、内側筒部43と外側筒部45とを接続する第2フランジ47とからなる。第2フランジ47には、円弧状をなす複数の第2連通孔47aが軸心X周りに等間隔で貫設されている。第2ケース33が外筒に相当する。内側筒部43と外側筒部45との間が第2ろ過室49とされている。なお、実施例では内側筒部43、外側筒部45及び第2フランジ47を一体品としたが、内側筒部43、外側筒部45及び第2フランジ47の少なくとも一つを別部材としてもよい。
【0041】
図3に示すように、第2エレメント13は、環状をなす一対のエレメント本体13a、13bと、不定形の吸着体13cとからなる。各エレメント本体13a、13bは連続気孔多孔質樹脂製である。これらのエレメント本体13a、13bは、内径の細い連続気孔が立体構造で延びており、捕集効率が高い一方、圧力損失が低くなっている。吸着体13cは活性炭である。
【0042】
図1及び図2に示すように、ドレン装置17は、ドレンケース51と、ドレンケース51内で上下に移動可能に収納され、油や水の液体Lに対して浮くフロート53とからなる。ドレンケース51は、ケース本体51aと、ケース本体51aから筒状に延びる筒部51bとからなる。ケース本体51aの周壁には複数個の開口51cが貫設されている。フロート53は、フロート本体53aと、フロート本体53aから延びる凸部53bとからなる。凸部53bは筒部51b内で案内されるようになっている。下部ハウジング5内において、ドレンケース51の上面と遮蔽プレート29の下面との間には僅かな隙間が設けられているが、ドレンケース51の上面と遮蔽プレート29の下面とは当接していてもよい。
【0043】
ドレン装置17は、ドレンケース51の筒部51bを下部ハウジング5内から取付穴5bを挿通し、下部ハウジング5の下端から突出した筒部51bにナット55を螺合することにより、下部ハウジング5に装着されている。
【0044】
図1及び図2に示すように、下部ハウジング5内にパイプ25、第1ケース27、遮蔽プレート29、リターン部材31、第2ケース33、第1エレメント11及び第2エレメント13を組み付けるに当たっては、まず、図8に示すように、第1ケース27と一体とされた遮蔽プレート29上に第1エレメント11を載置する。この際、第1エレメント11を凸部29a周りに載置する。この際、第1エレメント11は、帯状をなすろ材11aが円筒状に巻かれてなるため、容易に内筒41に保持できる。
【0045】
また、第2エレメント13を第2ケース33の第2ろ過室49に保持する。この際、まず、一つのエレメント本体13aを第2ケース33の第2ろ過室49に挿入する。この後、活性炭の各粒子を第2ろ過室49に挿入し、次いで、他の一つのエレメント本体13bを第2ろ過室49に挿入し、少々加圧する。これにより、活性炭の各粒子が吸着体13cとなる。両エレメント本体13a、13bは第2ろ過室49よりもやや大径であるため、これによって両エレメント本体13a、13b及び吸着体13cからなる第2エレメント13が第2ろ過室49に保持できる。このため、圧縮空気用フィルタ装置の製造コストの低廉化も実現できる。
【0046】
そして、第1ケース27の第1フランジ37上にリターン部材31を設ける。次いで、第1フランジ37の第1座面37bに第2ケース33の内側筒部43の下端面を載せ、かつ第2座面37cに外側筒部45の下端面を載せる。これにより、リターン部材31は内側筒部43と外側筒部45との間に配置される。この状態で第1ケース27の雌ねじ35bをパイプ25の雄ねじ25bに螺合する。これにより、第1エレメント11は、自己の外周面が内筒41の内周面と当接するように第1ろ過室41a内に保持され、第1エレメント11は各吐出口39から外周面が露出する。そして、仕切り部材3の雄ねじ3fにパイプ25の雌ねじ25aを螺合する。
【0047】
こうして、図1及び図2に示すように、第1ケース27及び第2ケース33を容易に仕切り部材3に設けることが可能である。また、第2ケース33は、内側筒部43がパイプ25を内挿して下方に延び、外側筒部45が内側筒部43の外周側に配置されて下方に延び、第2フランジ47が仕切り部材3に当接する。そして、第2フランジ47の各第2連通孔47aは各第2中間通路21に連通する。各吐出口39から下部ハウジング5の内部、各第1連通孔37a及びエレメント本体13bの手前までが第1中間通路44に相当する。
【0048】
下部ハウジング5内へのパイプ25、第1ケース27、遮蔽プレート29、リターン部材31、第2ケース33、第1エレメント11及び第2エレメント13の組み付けが終われば、ドレン装置17が装着された下部ハウジング5を用意する。そして、仕切り部材3と下部ハウジング5との間にOリング2を介在させつつ、雌ねじ3cと雄ねじ5aとを螺合することによって仕切り部材3と下部ハウジング5とを締結する。
【0049】
第1エレメント11又は第2エレメント13を交換する場合には、仕切り部材3から下部ハウジング5を取り外した後、仕切り部材3の雄ねじ3fからパイプ25の雌ねじ25aを外す。これにより、第2ケース33を第1ケース33から外し、第2エレメント13を取り出し、交換することが可能になる。第2ケース33に新品の第2エレメント13を保持させておけば、カートリッジとして交換することが可能である。実施例では、第2ケース33を透明樹脂としているため、第2ケース33の外観で第2エレメント13の汚れを確認可能である。
【0050】
また、第1ケース27から第1エレメント11を取り出し、交換することが可能になる。第1ケース27に新品の第1エレメント11を保持させておけば、カートリッジとして交換することが可能である。
【0051】
上部ハウジング7内は、第3ろ過室57とされている。第3ろ過室57内には、第3エレメント15及び集気筒59が設けられている。第3エレメント15は、円筒状をなすエレメント本体15aと、エレメント本体15aの上端に設けられた皿状の上ホルダ15bと、エレメント本体15aの下端に設けられた環状の下ホルダ15cとからなる。エレメント本体15aは、中空糸膜、ウレタンフォーム、焼結樹脂、ガラスファイバ等を用いた公知のろ材からなる。
【0052】
集気筒59は、所定の高さを有しており、第3エレメント15の内部に設けられている。集気筒59の下端は仕切り部材3の座面3gに固定されている。
【0053】
第3エレメント15は、集気筒59を下ホルダ15cから内部に挿入させ、下ホルダ15cを仕切り部材3に載せた状態で、仕切り部材3の雌ねじ3dに上部ハウジング7の雄ねじ7aを螺合することにより、第3ろ過室57内に保持される。この間、第3エレメント15の上ホルダ15bは上部ハウジング7の凸部7bによって下方に押し付けられている。この状態において、第2中間通路21はエレメント本体15aの外周側に開口している。そして、仕切り部材3と上部ハウジング7との間にOリング4を介在させつつ、雌ねじ3dと雄ねじ7aとを螺合することによって仕切り部材3と上部ハウジング7とを締結する。
【0054】
第3エレメント15を交換する場合には、仕切り部材3から上部ハウジング7を取り外す。これにより、第3エレメント15を取り出し、交換することが可能になる。
【0055】
なお、仕切り部材3の導入通路19には図示しない入口側圧力計が設けられ、仕切り部材3の導出通路21には図示しない出口側圧力計が設けられている。入口側圧力計及び出口側圧力計の計測値の差によって第1~3エレメント11、13、15の汚れ具合が判断される。
【0056】
以上のように構成された圧縮空気用フィルタ装置は、導入通路19にエアーコンプレッサ51と接続され、導出通路21が空気圧機器に接続される。エアーコンプレッサで生成された圧縮空気は、図1及び図2に示すように、開口19aから導入通路19に案内され、開口19bから第1ろ過室41a内に導入される。そして、その圧縮空気は、第1エレメント11の中空部分から第1エレメント11でろ過される。第1エレメント11は、油分や水分である液体Lを主にろ過する。ろ過された液体Lは第1エレメント11から各吐出口39を経て下部ハウジング5の下端に向かって流れる。
【0057】
下部ハウジング5内に貯留される液体Lが一定量を超えなければ、図1に示すように、フロート53はドレンケース51内で下方に位置している。このため、ケース本体51aに形成された各開口51cはフロート53によって閉鎖されている。
【0058】
一方、下部ハウジング5内に貯留される液体Lが一定量を超えれば、図2に示すように、フロート53がドレンケース51内で液体Lによって浮上する。このため、各開口51cは、フロート53によって閉鎖されず、しかもフロート53の凸部53bが筒部51bを開放するため、筒部51b内と連通する。このため、液体Lが筒部51bを経て外部に排出される。こうして、ドレン装置17が液体Lを外部に排出する。
【0059】
この間、この圧縮空気用フィルタ装置では、図8に示すように、圧縮空気が遮蔽プレート29によって下方に導出されない。また、その圧縮空気は、第1エレメント11の中空部分から第1エレメント11でろ過され、内筒41に形成された各吐出口39で下部ハウジング5内の側方に吐出される。このため、下部ハウジング内でドレン装置17によって排出されずに液体Lが残留していたとしても、その液体Lは圧縮空気によって巻き上げられ難く、液体Lが第2エレメント13等の下流に移動し難い。換言すれば、第1中間通路に液体Lを混入し難い。
【0060】
また、この圧縮空気用フィルタ装置では、内筒41に形成される各吐出口39が第2エレメント13から下方に離隔している。このため、第1エレメント11でろ過されて液体Lを含む圧縮空気が第2エレメント13に短絡し難い。また、第2エレメント13に導入される圧縮空気が液体Lを僅かに含んでいても、その液体Lは自重によって下方に移動し易く、液体Lが第2エレメント13に導入され難い。この意味でも、第1中間通路に液体Lを混入し難い。
【0061】
特に、この圧縮空気用フィルタ装置では、各吐出口39は上部が下部より狭い三角形状である。このため、第2エレメント13に近い各吐出口39の上部の開口面積が各吐出口39の下部の開口面積より小さいため、各吐出口39の上部から吐出される圧縮空気の流速が各吐出口39の下部から吐出される圧縮空気の流速よりも速くなる。このため、各吐出口39の上部近くの第1エレメント11が各吐出口39の下部近くの第1エレメント11よりもより効果的に液体Lを分離し、液体Lが第2エレメント13に導入され難い。また、第1エレメント11でろ過された液体Lが自重によって各吐出口39の下部から下部ハウジング5の下端に流れ易い。ろ過して分離された液体Lが大量であっても、各吐出口39の下部は開口面積が広いため、液体Lの下部ハウジング5の下端への流れは阻害されない。このため、液体Lが第2エレメント13等の下流に移動し難い。
【0062】
第1エレメント11でろ過され、各吐出口39で下部ハウジング5内の側方に吐出された圧縮空気は、第1フランジ37の各第1連通孔37aから第2ろ過室49に導入される。この際、各第1連通孔37aが第1エレメント11でろ過された圧縮空気の流速を高めるため、液体Lが第2エレメント13に導入され難い。
【0063】
また、第1フランジ37にはリターン部材31が設けられているため、各第1連通孔37aを経た圧縮空気はリターン部材31の特に接続部31cに衝突する。このため、圧縮空気に含まれ得る液体Lはリターン部材31で分離されて下方に移動し、第2エレメント13により導入され難い。
【0064】
さらに、リターン部材31で分離された液体Lが第1フランジ37に落下すれば、その液体Lは傾斜面37eによって各第1連通孔37a内に移動し、各第1連通孔37aから下部ハウジング5の下端に移動する。
【0065】
第2ろ過室49に導入された圧縮空気は第2エレメント13によって異物等の微粒子がろ過される。この際、第2エレメント13が連続気孔多孔質樹脂製のエレメント本体13a、13bと、活性炭からなる吸着体13cとからなるため、圧縮空気を活性炭によって消臭できる。
【0066】
第2エレメント13でろ過された圧縮空気は、第2フランジ47の各第2連通孔47a並びに図1及び図2に示す各第2中間通路21を経て第3ろ過室57に導入される。その圧縮空気はエレメント本体15aでさらに異物等の微粒子がろ過され、集気筒59内に至る。集気筒59内の圧縮空気は、開口23bから導出通路23に案内され、開口23aから空気圧機器に導出される。こうして、この圧縮空気用フィルタ装置は空気圧機器を用いた工程等で高い品質を発揮する。
【0067】
こうして、この圧縮空気用フィルタ装置によれば、導出通路23から導出される圧縮空気中の液体Lの含有率をより低めることが可能である。
【0068】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0069】
例えば、実施例の圧縮空気用フィルタ装置で用いた遮蔽プレート29は単なる円盤状であるが、遮蔽プレート29に液体Lを下部ハウジング5の下端に落下させる複数の通孔を形成することも可能である。但し、各通孔は、貯留している液体Lに向かって圧縮空気を吐出させないか、吐出させ難い内径や形状とすることが必要である。また、遮蔽プレート29の上面を粗面化し、圧縮空気が衝突して液体Lを分離しやすいようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、工場等における空気利用設備に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
41a…第1ろ過室
49…第2ろ過室
19…導入通路
44、21…中間通路(44…第1中間通路、21…第2中間通路)
23…導出通路
1…ハウジングと、
11…第1エレメント
13…第2エレメント
L…液体
17…ドレン装置
3…仕切り部材
5…下部ハウジング
41…内筒
33…外筒、第2ケース
29…遮蔽プレート
39…吐出口
25…パイプ
27…第1ケース
37…第1フランジ
37a…第1連通孔
31…リターン部材
43…内側筒部
45…外側筒部
47…第2フランジ
47a…第2連通孔
11a…ろ材
13a、13b…エレメント本体
13c…吸着体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8