(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081901
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】払出し装置および搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195448
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA11
3B115AA13
3B115CB07
(57)【要約】
【課題】より簡単な装置構成で、搬送装置のコンベアから客席側に効率よく皿などを移動可能な払出し装置を提供する。
【解決手段】搬送装置のコンベアによって搬送される飲食物が入った容器を、前記コンベア上から、前記コンベアに沿って配置される客席側に払い出す払出し装置であって、容器を払出し方向に払い出す払出し部と、前記払出し部を前記コンベアに沿った方向である客席間移動方向に移動させて、払出しを行う前記客席の前に移動させる客席間移送部と、を備え、前記払出し部は、皿を押し出す払出しアームと、前記払出しアームを上方で支持し前記払出し方向に移動させる第1移動機構と、を有し、前記客席間移送部は、前記払出し部を前記客席間移動方向に移動させる第2移動機構を有することを特徴とする払出し装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置のコンベアによって搬送される飲食物が入った容器を、前記コンベア上から、前記コンベアに沿って配置される客席側に払い出す払出し装置であって、
容器を払出し方向に払い出す払出し部と、前記払出し部を前記コンベアに沿った方向である客席間移動方向に移動させて、払出しを行う前記客席の前に移動させる客席間移送部と、を備え、
前記払出し部は、皿を押し出す払出しアームと、前記払出しアームを上方で支持し前記払出し方向に移動させる第1移動機構と、を有し、
前記客席間移送部は、前記払出し部を前記客席間移動方向に移動させる第2移動機構を有することを特徴とする払出し装置。
【請求項2】
前記第1移動機構は、前記払出しアームの前記払出し方向への移動をガイドする第1リニアガイドを有することを特徴とする請求項1に記載の払出し装置。
【請求項3】
前記払出し部は、前記客席間移送部と連結される、前記払出し方向に延びるフレームを有し、
前記第1リニアガイドは、前記フレームに固定される前記払出し方向に延びるガイドレールに沿って、前記払出しアームの移動をガイドすることを特徴とする請求項2に記載の払出し装置。
【請求項4】
前記払出しアームは、前記払出し方向において、前記コンベアによって搬送される容器と干渉しない待機位置から、前記容器を前記コンベアより客席側の位置に押し出す払出し位置まで移動して、前記容器の払出しを行うことを特徴とする請求項1に記載の払出し装置。
【請求項5】
前記払出し位置が、前記待機位置を挟んで前記払出し方向の両側にあり、前記払出し部は前記払出し方向両側に払出しを行うことを特徴とする請求項4に記載の払出し装置。
【請求項6】
前記客席間移送部は、前記払出し部の前記客席間移動方向への移動をガイドする第2リニアガイドを有することを特徴とする請求項1に記載の払出し装置。
【請求項7】
前記搬送装置から、払出しを行う客席を指定する情報を含む払出し指示信号を取得した場合に、
前記客席間移送部が前記払出し指示信号において指定された客席の位置に前記払出し部を移動させ、前記指定された客席前への前記コンベアによる容器の搬送が完了したことを知らせる搬送完了信号を取得したら、前記払出し部は前記指定された客席側に対して容器を払い出すことを特徴とする請求項1に記載の払出し装置。
【請求項8】
前記払出し部は、前記コンベアの客席側に配置される待機テーブルに容器を払い出すことを特徴とする請求項1に記載の払出し装置。
【請求項9】
前記待機テーブルは、前記払出し方向に沿った方向に回転しつつ容器を支持するフリーローラを有することを特徴とする請求項8に記載の払出し装置。
【請求項10】
請求項1から9に記載の払出し装置を備えた搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置によって搬送された皿などを客席側に移動させる払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転寿司店などの飲食店において、注文された飲食物を注文した客席までコンベア等を用いて搬送する搬送装置が用いられている。搬送装置は、客席の位置まで搬送された飲食物がコンベアから取り除かれると、次の飲食物の搬送が可能となる。そのため、次の飲食物の搬送に速やかに移行できるように、飲食物をコンベア上から取り除く装置や機構が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の飲食物搬送装置の場合、コンベアから分岐させた経路を設けたり、分岐経路に下り勾配を設けたりする必要があり、構造が複雑である。また、分岐経路を皿がスムーズにかつ確実に移動するように、分岐経路の形状やローラの配置などを設計する必要があった。さらに、分岐経路に皿を誘導する装置を各客席に配置する必要があり、分岐経路毎に駆動源等も必要である。
【0005】
本発明は、より簡単な装置構成で、飲食物の搬送装置におけるコンベアによって搬送された飲食物を効率よく客席側に移動可能な払出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)搬送装置のコンベアによって搬送される飲食物が入った容器を、前記コンベア上から、前記コンベアに沿って配置される客席側に払い出す払出し装置であって、容器を払出し方向に払い出す払出し部と、前記払出し部を前記コンベアに沿った方向である客席間移動方向に移動させて、払出しを行う前記客席の前に移動させる客席間移送部と、を備え、前記払出し部は、皿を押し出す払出しアームと、前記払出しアームを上方で支持し前記払出し方向に移動させる第1移動機構と、を有し、前記客席間移送部は、前記払出し部を前記客席間移動方向に移動させる第2移動機構を有することを特徴とする払出し装置。
【0008】
(2)前記第1移動機構は、前記払出しアームの前記払出し方向への移動をガイドする第1リニアガイドを有することを特徴とする上記(1)に記載の払出し装置。
【0009】
(3)前記払出し部は、前記客席間移送部と連結される、前記払出し方向に延びるフレームを有し、前記第1リニアガイドは、前記フレームに固定される前記払出し方向に延びるガイドレールに沿って、前記払出しアームの移動をガイドすることを特徴とする上記(2)に記載の払出し装置。
【0010】
(4)前記払出しアームは、前記払出し方向において、前記コンベアによって搬送される容器と干渉しない待機位置から、前記容器を前記コンベアより客席側の位置に押し出す払出し位置まで移動して、前記容器の払出しを行うことを特徴とする上記(1)に記載の払出し装置。
【0011】
(5)前記払出し位置が、前記待機位置を挟んで前記払出し方向の両側にあり、前記払出し部は前記払出し方向両側に払出しを行うことを特徴とする上記(4)に記載の払出し装置。
【0012】
(6)前記客席間移送部は、前記払出し部の前記客席間移動方向への移動をガイドする第2リニアガイドを有することを特徴とする上記(1)に記載の払出し装置。
【0013】
(7)前記搬送装置から、払出しを行う客席を指定する情報を含む払出し指示信号を取得した場合に、前記客席間移送部が前記払出し指示信号において指定された客席の位置に前記払出し部を移動させ、前記指定された客席前への前記コンベアによる容器の搬送が完了したことを知らせる搬送完了信号を取得したら、前記払出し部は前記指定された客席側に対して容器を払い出すことを特徴とする上記(1)に記載の払出し装置。
【0014】
(8)前記払出し部は、前記コンベアの客席側に配置される待機テーブルに容器を払い出すことを特徴とする上記(1)に記載の払出し装置。
【0015】
(9)前記待機テーブルは、前記払出し方向に沿った方向に回転しつつ容器を支持するフリーローラを有することを特徴とする上記(8)に記載の払出し装置。
【0016】
(10)上記1から9に記載の払出し装置を備えた搬送装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より簡単な装置構成で、飲食物の搬送装置におけるコンベアによって搬送された飲食物を効率よく客席側に移動可能な払出し装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の払出し装置の全体の構成図である。
【
図2】本実施形態の払出し装置を払出し方向から見た構成図である。
【
図3】本実施形態の払出し装置を客席間移動方向から見た構成図である。
【
図4】本実施形態の払出し装置のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態の払出し装置1の全体の構成図である。
図2は、本実施形態の払出し装置1の払出し部2およびその周辺の構成について払出し方向から見た(Y軸方向視)構成図である。
図3は、本実施形態の払出し装置1を客席間移動方向から見た(X軸方向視)構成図である。
図4は、本実施形態の払出し装置1のシステム構成を示すブロック図である。なお、
図1においては、客席92の座席および搬送レーン70を挟んで反対側の客席を省略している。
【0020】
本実施形態の払出し装置1は、搬送レーン70のコンベア72によって、飲食物が入った皿などの容器を指定された客席の位置まで搬送する搬送装置に対して設置され、客席の前まで搬送された飲食物の容器を、コンベア72上から客席側に払出して移動させることにより、搬送した飲食物をコンベア上から自動的に取り除く装置である。
【0021】
ここで、搬送装置は、コンベア72に沿って配置される客席から注文された飲食物を、注文があった客席の前の位置までコンベア72で搬送する装置である。搬送装置のコンベア72は、例えばベルトコンベアである。払出し装置1によってコンベア72上から飲食物が自動で払い出されることにより、搬送装置はそのコンベアによる次の飲食物の搬送を開始できる。本実施形態では、払出し装置1として説明するが、払出し装置1を備える搬送装置であってもよい。
【0022】
以下の実施形態の説明においては、一例として払出し装置1が払い出す払出し対象物は飲食物が載った皿であるとして説明するが、払出し対象物は皿に限定されない。搬送装置の搬送レーン70によって搬送し得るものであり、後述の払出しアーム20によって押し出し可能な容器であればよい。具体的には、皿以外の器であってもよいし、皿などが載せられた盆(トレー)でもよいし、使い捨てのパックなどの包装容器でもよい。また、払出しアーム20で払出し可能なものであれば、飲食物自体を払い出してもよい。
【0023】
また、本実施形態において「払出し方向」とは、払出し装置1によってコンベア72上の皿が客席側の待機テーブル80に払い出される方向である。払出し方向は、コンベア72の搬送方向に対して直交する方向であり、
図1~3のY軸方向である。本実施形態において「客席間移動方向」とは、コンベア72に沿った方向であり、払出し装置1の払出し部2が客席間移送部5によって搬送レーン70のコンベア72に沿って客席間を移動する方向である。客席間移動方向は、図面のX軸方向である。
【0024】
払出し装置1の各構成について説明する。払出し装置1は、払出し部2と、客席間移送部5と、制御部10などを備える。また、払出し装置1の払出し動作を行う客席の位置には、搬送レーン70の客席側の側方に、皿が払い出される待機テーブル80が配置される。払出し部2は、コンベア72上の皿を払出し方向に払い出して、コンベア72から客席側の待機テーブル80に移動させる装置である。客席間移送部5は、払出し部2を客席間移動方向に移動させて払出しを行う客席の前まで移動させる装置である。
【0025】
払出し装置1が払出しを行う位置(客席)の数は特に限定されないが、本実施形態では払出し部2が隣接する2つの客席間(
図1の客席間ストローク)をピストン移動して払出しを行う場合について説明する。払出し装置1は、
図1において省略した反対側の客席に対しても同様に当該客席側の搬送レーン70から皿を払い出すことができる。
【0026】
払出し部2は、払出しアーム20と、第1連結用プレート22と、第1リニアガイド24と、フレーム28と、第1タイミングベルト30と、第1駆動モータ31と、近接センサ32とを有する。第1駆動モータ31と、第1タイミングベルト30と、第1リニアガイド24などによって、払出しアーム20を上方で支持し払出し方向に移動させる第1移動機構が構成される。
【0027】
払出しアーム20は、払出しを行う皿に当接して皿を押し出す部分である。払出しアーム20は払出し方向に水平に移動して、皿をコンベア72から待機テーブル80側にスライドさせることができる。本実施形態の払出しアーム20は、皿に当接する部分である水平アーム20aと、水平アーム20aを支持する垂直アーム20bで構成される。垂直アーム20bは、第1連結用プレート22を介して第1移動機構と連結される。水平アーム20aは、垂直アーム20bの下端側の払出し方向両側に固定される2枚の板である。両側の2枚の水平アーム20aによって、払出し方向両側の客席に対して搬送レーンから皿を払い出すことができる。
図1に示すように3枚の皿90が搬送された場合には、それらを同時に払い出すことができる。
【0028】
なお、本実施形態では水平アーム20aは、
図3に示すように2枚の板で構成されるが、これに限られない。皿に当接する垂直面を有しているものであればよく、例えば角柱状の管や中実材でもよいし、断面がH型の柱材でもよい。また、払出しアーム20は、3枚の皿を同時に払出すことができるものを例示しているが、これに限られず、一度に払出す皿の枚数に応じて水平アーム20aの長さを適宜設定すればよい。
【0029】
第1連結用プレート22は、払出しアーム20を、払出し方向に駆動するための機構と連結するためのプレート22である。払出しアーム20の垂直アーム20bの上部が第1連結用プレート22と連結される。本実施形態では第1連結用プレート22に、第1移動機構に含まれる第1リニアガイド24や第1タイミングベルト30が固定される。
【0030】
第1リニアガイド24は、連結される払出しアーム20等を保持しつつ払出し方向への直線移動をガイドする。第1リニアガイド24は、ブロック24aと払出し方向に延びるガイドレール24bとで構成される。ブロック24aがガイドレール24bに沿って移動することで、払出しアーム20を払出し方向に直線移動させることができる。ブロック24aは第1連結用プレート22に固定される。ガイドレール24bは、フレーム28の下面に、フレーム28の長手方向に沿って配置される。
【0031】
フレーム28は、ガイドレール24bや第1タイミングベルト30等を払出し方向に沿って配置し固定するための部材である。払出し部2の各部は、フレーム28に固定あるいは移動可能に連結され、客席間移送部5によって一体的に移動される。フレーム28の側面には、払出しアーム20の位置を検出するための近接センサ32が配置される。本実施形態のフレーム28は、払出し方向に延びる柱状の部材である。本実施形態のフレーム28は中空の四角柱であるが、ガイドレール24bや近接センサ32を配置でき、水平移動する払出しアーム20を保持できる強度があれば、形状や構造は限定されない。フレーム28は、後述の第2連結用プレート53を介して、客席間移送部5と連結される。なお、フレーム28や、フレーム28に固定される第1移動機構(第1タイミングベルト30やガイドレール24bなど)は、コンベア72上にあるので、コンベア72で搬送されてくる容器や飲食物に干渉しないように、コンベア72で搬送する物よりも高い位置にあればよい。
【0032】
第1タイミングベルト30は、第1駆動モータ31の駆動力によって回動し、払出しアーム20を払出し方向に移動させる駆動力を伝達する無端回動体である。第1タイミングベルト30は、第1連結用プレート22に固定され、第1駆動モータ31の駆動力がブロック24aや払出しアーム20等に伝達される。第1タイミングベルト30は、第1駆動モータ31に連結された駆動プーリと従動プーリとに掛け渡されて回動する。第1駆動モータ31及び駆動プーリがフレーム28の一端側に固定金具等によって固定される。また、従動プーリはフレーム28の他端側に固定される。これにより、払出しアーム20が、フレーム28の長手方向の一端側から他端側までの間を移動することができる。第1タイミングベルト30は、タイミングベルトに限定されず、他の無端回動体(Vベルトやチェーンなど)であってもよい。また、使用される無端回動体に合わせて駆動プーリ等を適切な回転体に適宜変更できる。
【0033】
第1駆動モータ31は、払出しアーム20の払出し方向への移動の駆動源であり、具体的には上述の通り第1タイミングベルト30を回動させる。第1駆動モータ31は、制御部10によって動作が制御される。第1駆動モータ31はフレーム28の一端側に固定されるが、駆動プーリに動力を伝達できれば適宜の他の位置に配置してもよい。
【0034】
近接センサ32は、払出しアーム20の払出し方向における位置を検出するためのセンサである。近接センサ32は、払出しアーム20の待機位置と払出し位置に対応する位置に配置される。払出し部2は、近接センサによって検出される待機位置から払出し位置まで移動して、皿の払出しを行うことができる。
図3に示すように本実施形態では、待機位置は2つの平行な搬送レーン70の間にあり、払出し位置は待機位置よりも両側の客席側の位置にある。これら3か所に対応する位置に近接センサ32が配置されている。具体的には、待機位置に近接センサ32a、両側の払出位置に近接センサ32b、32cが配置されている。
【0035】
ここで、「待機位置」は、皿がコンベア72で搬送されている際や、払出し部2が客席間移動方向に移動している際に、払出し部2が皿及び載置される飲食物に干渉しない払出し方向における位置である。また、他の周囲の物にも干渉しない位置であることが好ましい。さらに、待機位置から払出し動作を行って皿を押し出すために、「待機位置」はコンベア72で搬送される皿よりも払出し方向において客席側から離れた位置である。本実施形態では待機位置を2つの搬送レーン70の中間の位置としているが、上記の条件を満たしていれば適宜の位置に待機位置を設定してよい。
【0036】
「払出し位置」は、払出し方向において、払出しアーム20がコンベア72上の皿を少なくともコンベア72よりも客席側の位置まで押し出す位置である。また、本実施形態では払出し部2が両側の客席に払出しを行うため、「払出し位置」は払出し方向において待機位置を挟んで両側にある。「払出し位置」は、払出しアーム20が払出し位置に移動した場合に、次の搬送に移行できるように皿をコンベア72上から移動させることができる位置であればよく、
図3に例示した位置よりも待機位置寄りでもよいし、さらに客席側寄りでもよい。
【0037】
各近接センサ32が、第1連結用プレート22に配置された位置検出用のドグ34を検出することで、払出しアーム20の払出し方向における位置を検出することができる。すなわち、近接センサ32aがドグ34を検出した場合には、払出しアーム20が待機位置にあることが検出される。同様にして、近接センサ32bが検出した場合には一方の払出し位置にあることが検出され、近接センサ32cが検出した場合には他方の払出し位置にあることが検出される。後述の制御部10は、近接センサ32の検出信号に基づき第1駆動モータ31を停止させることで、払出しアーム20を待機位置や払出し位置に移動させることができる。なお、近接センサ32は、払出しアーム20の位置を検出できるセンサであればよく、光センサ等の他のセンサを用いてもよい。
【0038】
次に、客席間移送部5は、第2連結用プレート53と、第2リニアガイド54と、第2タイミングベルト56と、第2駆動モータ58と、近接センサ40などを有する。第2駆動モータ58と、第2タイミングベルト56と、第2リニアガイド54などによって、払出し部2を客席間移動方向に移動させる第2移動機構が構成される。
【0039】
第2連結用プレート53は、フレーム28の上面に配置され、客席間移送部5と払出し部2とを連結する部材である。本実施形態ではプレートの形状であるが、連結可能であればどのような形状でもよい。また、第2連結用プレート53を省略してフレーム28にブロック54aなどを直接固定してもよい。
【0040】
第2リニアガイド54は、下方に連結される払出し部2を保持しつつ、客席間移動方向への直線移動をガイドする。第2リニアガイド54は、ブロック54aとガイドレール54bとで構成される。ブロック54aが、ガイドレール54bに噛み合ってガイドレール54bに沿って移動することで、ブロック54aの下方に連結される払出し部2を、客席間移動方向に直線移動させることができる。本実施形態では、上述の通りブロック54aは第2連結用プレート53に固定される。ガイドレール54bは、横柱52の下面に、横柱52の長手方向に沿って配置される。
【0041】
第2タイミングベルト56は、第2駆動モータ58の駆動力によって回動し、払出し部2を客席間移動方向に移動させる駆動力を伝達する無端回動体である。第2タイミングベルト56は第2連結用プレート53に固定されており、第2タイミングベルト56の回動に伴って払出し部2が移動する。第2タイミングベルト56は、第2駆動モータ58によって駆動される駆動プーリと、従動プーリ60とに掛け渡されて、回動する。第2駆動モータ58と駆動プーリが横柱52の一端側に配置され、従動プーリ60が横柱52の他端側に配置される。これにより、横柱52の一端側から他端側までの間を、払出し部2が移動することができる。第2タイミングベルト56は、タイミングベルトに限定されず、Vベルトやチェーンなどの他の無端回動体であってもよい。
【0042】
第2駆動モータ58は、払出し部2の客席間移動方向への移動の駆動源であり、具体的には上述の通り第2タイミングベルト56を回動させる。第2駆動モータ58は、制御部10によって動作が制御される。第2駆動モータ58は、駆動プーリに動力を伝達できれば、適宜他の位置に配置してもよい。
【0043】
近接センサ40は、払出し部2の客席間移動方向における位置を検出するためのセンサである。本実施形態では、払出し部2の客席間ストロークの両端に対応する位置に、2つの近接センサ40a、40bが配置される。そして、近接センサ40a、40bは、コンベア72に沿って隣接する2つの客席92a、92bのうち、いずれの位置に払出し部2が移動したかを検出する。近接センサ40は、第2連結用プレート53に配置された位置検出用のドグ42を検出することで、払出し部2の移動を検出することができる。
【0044】
以上の払出し部2及び客席間移送部5は、ガイドレール54bが固定される横柱52及び、横柱52が掛け渡される2つの縦柱50によって支持される。2本の縦柱50は、2列の搬送レーン70の間に配置される。なお、客席間移送部5や払出し部2を上述のように支持できれば、横柱52や縦柱50による支持構造は適宜変更してよい。
【0045】
待機テーブル80は、本実施形態の払出し装置1によって皿が払い出されて移動するテーブルであり、搬送された皿を客が手元に取るまで一時的に待機させる場所である。待機テーブル80は、搬送レーン70(コンベア72)の客席側の側方における各客席92の位置に配置される。待機テーブル80は、少なくとも払出しアーム20で一度に払い出される皿が載る広さの載置面を有する。例えば本実施形態のように1列に並んだ3皿を払い出す場合には、少なくとも当該3皿分のスペースを有する。コンベア72から待機テーブル80上までは、同じ高さでなるべく段差が無いことが好ましい。待機テーブル80の皿の載置面は払出しアーム20によって払い出される皿が移動可能であればよく、例えば平坦な天板でよい。また、払出しの抵抗をより低減し皿がより円滑に移動するための構造や機構を備えてもよい。例えば、待機テーブル80の載置面を搬送用のローラで構成してもよいし、摩擦抵抗の低い滑りの良い材料で形成してもよい。
【0046】
一例としてローラを有する待機テーブル80である場合について具体的に説明する。待機テーブル80には、皿の払い出しの際の移動の抵抗を軽減し円滑に移動するように、回転しつつ皿を支持する複数のローラ82が配置されている。ローラ82は、払出し方向に沿った方向に自由回転するフリーローラである。複数のローラ82による搬送面の高さは、搬送レーン70の上面の位置に合わせられている。これにより、払出しアーム20によって皿90が払い出される際に、搬送レーン70から待機テーブル80上にスムーズに移動することができる。なお、移動する皿90が落下しないように、待機テーブル80の客席側の端に段差等が設けられていることが好ましい。払出し装置1は、このような待機テーブル80に対して払出しを行うことで、皿をより円滑にコンベア72から客席側に払い出すことができる。なお、待機テーブル82の載置面の一部だけにローラ82が配置されてもよく、ローラ82は複数ではなく1つだけ配置されてもよい。通常の天板の一部にローラ82が配置されても、払出しの際の移動の抵抗を低減できる。
【0047】
制御部10は、払出し装置1の動作を制御する。具体的には、制御部10は払出し部2の客席間移動方向への移動や、払出しアーム20の払出し方向への移動を制御する。制御部10は、近接センサ32(32a、32b、32c)からの検出信号に基づいて第1駆動モータ31を制御し、近接センサ40(40a、40b)からの検出信号に基づいて第2駆動モータ58を制御する。さらに、制御部10は、搬送装置(コンベア72の制御部)とも通信を行い、皿の払出しを指示する払出し指示信号を取得し、払出し指示信号に基づいて払出し動作を制御する。制御部10の制御による払出し装置1の動作の詳細については、後述する。
【0048】
制御部10は、プロセッサ12と、メモリ14等を備える。プロセッサ12は、例えばCPUであり、メモリ14に記憶されているプログラムを実行して、払出し装置1のさまざまな動作を制御する。メモリ14は様々な情報を記憶する記憶装置であり、払出し装置1の制御プログラムなどを格納する。なお、制御部10として、ASIC(application specific integrated circuit)を備え、プロセッサ12がメモリ14に記憶されるプログラムを実行して実現される機能の一部又はすべてをASICによって実現してもよい。
【0049】
以上の本実施形態の払出し装置1の動作の流れを説明する。まず、厨房側から、搬送装置のコンベア72によって、皿90が客席に向けて搬送される。例えば搬送先が客席92aである場合、作業者が注文された飲食物が載った皿を厨房側でコンベア72に載せて、搬送装置の操作パネルにおいて搬送先の客席を指定する操作入力を行い、コンベア72による搬送を開始させる。なお、搬送される皿は、払出しアーム20の水平アーム20aの幅に合わせて適正な配置でコンベア72上に並べて搬送される。
【0050】
そして搬送装置は払出し装置1に対して、搬送される皿の払出しを指示する払出し指示信号を送信する。払出し指示信号は、払出しを行う客席(に対応する位置)を指定する客席指定情報を含む。
【0051】
払出し装置1の制御部10は、搬送装置から払出し指示信号を取得すると、信号に含まれる客席指定情報に基づき、客席間移送部5によって払出し部2を指定された客席の前の位置に移動させる。具体的には、制御部10は、第2駆動モータ58を制御して払出し部2を客席間移動方向に移動させ、客席92aの位置に対応する近接センサ40aが払出し部2のドグ42を検出したら、第2駆動モータ58を停止させることで、指定された客席前の位置に移動させることができる。なお、払出し部2の客席間移動方向への移動は、コンベア72による皿の搬送と並行して行うことができる。払出し部2が初めから指定された客席の位置に待機している場合には、そのまま払出し動作の制御に移行する。
【0052】
搬送装置は、コンベア72による客席92aの位置への皿90の搬送が完了すると、払出し装置1に対して、指定された客席前への容器の搬送が完了したことを知らせる搬送完了信号を出力する。
【0053】
制御部10は、客席間移送部5が払出し指示信号において指定された客席92aの位置に払出し部2を移動させ、かつ、搬送完了信号を取得したら、第1駆動モータ31を駆動させて払出し部2による払出し動作を開始させる。なお、搬送完了信号は、皿の搬送が完了して払出し動作開始のトリガーになる信号であればよく、例えば別途センサを配置して皿の搬送完了を直接検出してもよい。
【0054】
払出し動作の開始後、制御部10が近接センサ32bからの信号を取得し、払出し部2が払出し位置に移動したことを検出すると、第1駆動モータ31を停止させる。以上の払出し装置1の動作により、コンベア上の皿90が払出しアーム20によって待機テーブル80上に押し出されて、指定された客席92a側への皿の払出しが完了する。
【0055】
制御部10は、第1駆動モータ31を駆動して、払出し部2を待機位置に戻す。制御部10は、次の払出し指示信号を取得している場合には、次の払出し動作の制御に移る。
【0056】
なお、制御部10は、払出し動作が完了し、払出し部2が待機位置に戻った場合に、搬送装置に対して、次の皿の搬送を開始可能な状態であることを知らせる払出し完了信号を送信してもよい。
【0057】
以上が、本実施形態の払出し装置1の動作の流れである。以上の本実施形態の払出し装置1によれば、搬送装置によって搬送された皿を、円滑に搬送レーンから客席側に払い出すことができる。搬送レーンから分岐させる方式の場合のように、皿が分岐経路の壁面に当たることが無いので、皿の食物が崩れたりすることも無く、安定して皿を移動させることができる。また、払出しアーム20の水平アーム20aの幅に応じて、様々な枚数の皿を同時に払い出すことができ、簡単な構造で効率よく皿の払い出しが可能である。
【0058】
また、本実施形態の払出し装置1の場合には、円形以外の形状の皿や、コンベア72の搬送方向に沿って円形の皿よりも長さのあるトレーや長方形の皿などが搬送される場合であっても、水平アーム20a幅の範囲内であれば払出しを行うことができる。また、これらの形状が異なる容器が混在しても、払出しが可能である。搬送レーンから分岐させる方式の場合には、円形の皿の大きさに合わせて経路の形状などが設計されるので、決まった大きさの円形皿以外の搬送は難しい。
【0059】
なお、払出し部2の客席間移動方向への移動や払出しアーム20の払出し方向への移動における移動領域に手などが入った場合に、払出し部2の移動を停止させるようにしてもよい。例えば、上記領域への侵入物を検出するエリアセンサやライトカーテンを配置し、侵入物が検出された場合には制御部10が駆動モータを停止させればよい。また、侵入検出して駆動停止後、再び侵入物の検出がされない状態に戻ったら、制御部10は払出し部2の移動動作を再開させてもよい。
【0060】
本実施形態における払出し装置1は、払出し部2を2つの隣接する客席間を移動させて、払出しを行うものとして説明したが、これに限られない。搬送レーン70に沿って直線的に並ぶ3つ以上の客席間を移動して、片側3つ以上の客席について払出しを行ってもよい。また、払出し装置1は、払出し方向両側の搬送レーン70について払出しを行うとしたが、片側だけ払出しを行ってもよい。また、払出し部2が払出し方向両側に払出しを行う場合に、両側の客席は対向した位置である必要は無く、客席間移動方向においてずれていてもよく、近接センサ40の配置により任意の位置で払出しが可能である。
【0061】
本実施形態では、搬送レーン70で搬送された3皿を払出す場合を図に示して説明したが、払出しを行う皿の数はこれに限定されない。搬送レーン70によって搬送される皿の数に応じて、1皿や2皿だけの払い出しを行ってもよい。
【0062】
また、本実施形態では客席92をボックス席として説明したが、これに限られず、例えば搬送レーン70に沿って配置されるカウンター席であってもよい。カウンター席の前に待機テーブル80を配置し、払出し装置1によって皿の払出しを行うことができる。
【0063】
また、払出し装置1が搬送レーン70から払出しを行う払出し先は、待機テーブル80に限定されない。例えば、搬送レーン70と客席92との高さが同じであれば、客席に対して直接払出しを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 払出し装置
2 払出し部
20 払出しアーム
22 第1連結用プレート
24 第1リニアガイド
28 フレーム
30 第1タイミングベルト
31 第1駆動モータ
32 近接センサ
40 近接センサ
5 客席間移送部
53 第2連結用プレート
54 第2リニアガイド
56 第2タイミングベルト
58 第2駆動モータ
50 縦柱
52 横柱
80 待機テーブル
92 客席