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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081916
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 127
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195497
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】小林 良介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA18
2C056HA37
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】反射光の拡散を抑制しつつ、印刷物の品質の安定化を図る。
【解決手段】本発明に係るインクジェットプリンタ10は、フラットベッド30の上方に位置し、記録ヘッド50を備えるキャリッジ40と、キャリッジ40の備えるキャリッジベース11の前面に固定される第1ステー41Lと、第1ステー41Lに支持される第1光照射装置60Lと、第1ステー41Lとキャリッジベース11とに固定された第1遮光部材70Lと、を備えている。第1遮光部材70Lは、フラットベッド30で反射した光の拡散を抑制する。によりキャリッジ40移動時の第1ステー41Lおよび第1光照射装置60Lの振動が、第1遮光部材70Lにより防がれる。このことにより、キャリッジ40の振動が防止され、インクを所望の位置に着弾させることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置される支持台と、
支持台の上方に配置され、主走査方向に延びるガイドレールと、
インクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、かつ前記ガイドレールに係合し、前記主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに固定された支持部材と、
前記支持部材により支持された光照射装置と、
前記光照射装置から照射された光が前記支持台で反射した反射光を遮光する遮光部材と、を備え、
前記キャリッジは、前記ガイドレールに係合するキャリッジベースを備え、
前記遮光部材は、前記光照射装置又は前記支持部材と、前記キャリッジベースとの両方に固定されているインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記遮光部材は、
前後方向に延びる第1遮光部と、
前記第1遮光部の前後方向の一方の縁部に沿って左右方向のいずれか一方に延びる第2遮光部と、を備えており、
前記第1遮光部によって、前記支持部材または前記光照射装置に固定され、かつ前記第2遮光部によって、前記キャリッジに固定されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記遮光部材は、前記支持部材または前記光照射装置の前後方向の中間よりも前方の位置にて前記支持部材または前記光照射装置に固定され、かつ前記支持部材または前記光照射装置の中間よりも後方の位置にて前記キャリッジベースに固定されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記光照射装置は、前記キャリッジに対して前記主走査方向の一方の側に配置され、
前記支持部材は、前記光照射装置と前記キャリッジとの間に配置されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記遮光部材は、前後方向に延びる第1遮光部を備え、
前記キャリッジは、
前記支持部材に対して前記主走査方向の一方に配置され、前記記録ヘッドを覆うキャリッジカバーを備え、
前記キャリッジカバーは、
前記主走査方向の他方に設けられた被係合部、を備え、
前記第1遮光部は、
前記被係合部に係合する係合部を備える、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記被係合部は、前記主走査方向の長さが前記第1遮光部の前記主走査方向の長さよりも短い、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体を支持する支持台と、光硬化性インクを支持台上の記録媒体に吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドが搭載され、記録媒体に対して主走査方向に相対移動するキャリッジと、キャリッジに固定された支持部材と、記録媒体に光を照射し、支持部材に支持される光照射装置と、を備えたインクジェットプリンタが知られている。そのようなインクジェットプリンタの中には、光照射装置から照射された光が支持台によって反射した光である反射光が、インクジェットプリンタの内部に拡散することを抑制する部材を備えたものが存在する。特許文献1には、光照射装置のケースから延びる遮光部材を備えたインクジェットプリンタが開示されている。特許文献1によれば、光照射装置のケースから水平方向に延びる遮光部材によって、反射光がインクジェットプリンタの内部に拡散することが抑制される、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-123067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなインクジェットプリンタでは、キャリッジが主走査方向に移動すると、キャリッジに固定された支持部材と、支持部材に固定された光照射装置と、に慣性力が加わる。支持部材および光照射装置に加わる慣性力は、光照射装置、支持部材およびキャリッジの重量が増えるほど、大きくなる。したがって、光照射装置に遮光部材が設けられることで、光照射装置の重量が増加し、支持部材および光照射装置に加わる慣性力が大きくなる。また、光照射装置のサイズが大きくなった場合、光照射装置の重量が増加し、支持部材および光照射装置に加わる慣性力が大きくなる。支持部材および光照射装置に加わる慣性力が大きくなると、キャリッジの移動中に支持部材および光照射装置に振動が発生することがある。支持部材および光照射装置に振動が発生すると、記録ヘッドにも振動が発生する。記録ヘッドが振動してしまうと、記録ヘッドからインクが吐出されたときのインクの着弾位置が所望の位置からずれやすい。したがって、振動の発生は、印刷物の品質の低下につながる。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェットプリンタの内部に反射光が拡散するのを抑制しつつ、印刷物の品質を安定化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体が載置される支持台と、支持台の上方に配置され、主走査方向に延びるガイドレールと、インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを支持し、かつ前記ガイドレールに係合し、前記主走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに固定された支持部材と、前記支持部材により支持された光照射装置と、前記光照射装置から照射された光が前記支持台で反射した反射光を遮光する遮光部材と、を備えている。前記キャリッジは、前記ガイドレールに係合するキャリッジベースを備えている。前記遮光部材は、前記光照射装置又は前記支持部材と、前記キャリッジベースとの両方に固定されている。
【0007】
前記インクジェットプリンタによれば、前記光照射装置から照射され、反射した光は、前記遮光部材によって遮られ、拡散しない。よって、インクジェットプリンタの内部に反射光が拡散することは抑制される。また、前記遮光部材は、前記支持部材または前記光照射装置に固定されるだけでなく、前記キャリッジベースにも固定される。このことにより、前記支持部材および前記光照射装置の振動が抑制される。したがって、前記キャリッジが主走査方向に移動するときに、前記記録ヘッドの振動が抑えられ、インクの着弾位置が所望の位置からずれることを防止することができる。よって、印刷物の品質が安定化する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インクジェットプリンタの内部に反射光が拡散するのを抑制しつつ、印刷物の品質を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2】一実施形態に係るプリンタの正面図である。
図3】一実施形態に係るインクヘッドおよび光照射装置の底面の構成を示す模式図である。
図4】一実施形態に係る光照射装置周辺の斜視図である。
図5】一実施形態に係る光照射装置周辺の側面図である。
図6】一実施形態に係るキャリッジ周辺の斜視図である。
図7】一実施形態に係る遮光部材の斜視図である。
図8】固定強化部材を設けた場合のインクヘッドおよび光照射装置の底面の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という。)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、記録媒体5(図2参照)に印刷を行う。以下の説明では便宜上、プリンタ10の方向を下記のように定義することとする。プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。符号Zは上下方向を示している。上下方向Zは、正面視において主走査方向Yと直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0012】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ10は、筐体20と、フロントカバー25とを備えている。図2は、フロントカバー25を開けた状態のプリンタ10を示す正面図である。図2に示すように、筐体20は、フラットベッド30と、ベッド移動装置35と、キャリッジ40と、第1ステー41Lと、第2ステー41Rと、キャリッジ移動装置45と、記録ヘッド50と、第1光照射装置60Lと、第2光照射装置60Rと、第1遮光部材70L(図3参照)と、第2遮光部材70R(図3参照)と、を収容している。図7に示すように、第1遮光部材70Lは、前後方向および左右方向に延びるL字の形状である。第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lと、キャリッジ40の備えるキャリッジベース11と、に固定されている。第2遮光部材70Rは、第1遮光部材70Lに対して左右対称な形状をしており、第2ステー41Rと、キャリッジ40の備えるキャリッジベース11と、に固定されている。
【0013】
筐体20の前部には、開口27が形成されている。フロントカバー25は、筐体20の開口27を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー25は、後端を軸に回転可能なように、筐体20に支持されている。フロントカバー25には、窓部26が設けられている。窓部26は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。フロントカバー25が閉じられた状態において、窓部26は、筐体20の外部から内部を視認可能に構成されている。ただし、窓部26は、特定の波長の光は遮断するように構成されている。
【0014】
図2に示すように、フラットベッド30は、記録媒体5を支持する支持台である。本実施形態に係るプリンタ10は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。フラットベッド30は、キャリッジ40、記録ヘッド50、第1光照射装置60L、第2光照射装置60R、第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rよりも下方に設けられている。フラットベッド30は、平板状に構成されている。フラットベッド30は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びている。フラットベッド30の上面は、記録媒体5が載置される載置面30aを構成している。記録媒体5の形状は特に限定されず、平板状の他、様々な立体形状を有していてもよい。また、記録媒体5の材質も特に限定されず、記録媒体5は、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などであってもよい。フラットベッド30は、筐体20の内部空間において、主走査方向Yのほぼ中央に配置されている。
【0015】
フラットベッド30の下方には、ベッド移動装置35が配置されている。ベッド移動装置35は、フラットベッド30を副走査方向Xおよび上下方向Zに移動させる。フラットベッド30は、ベッド移動装置35によって下方から支持されている。ただし、ベッド移動装置35の構成は限定されない。
【0016】
キャリッジ40は、記録ヘッド50およびキャリッジ昇降レバー80を保持する部材であって、キャリッジ移動装置45により主走査方向Yに移動可能に構成されている。キャリッジ40の左方には、第1ステー41Lが配置されている。キャリッジ40の右方には、第2ステー41Rが配置されている。キャリッジ40は後方部にキャリッジベース11を備えている。キャリッジ40は、キャリッジベース11を介して主走査方向Yに移動される。キャリッジ移動装置45は、ガイドレール46と、ベルト47と、図示しない左右のプーリと、キャリッジモータ48とを備えている。キャリッジ40は、キャリッジベース11の前方であって、フラットベッド30よりも上方に配置され、記録ヘッド50を覆うキャリッジカバー42を備えている。キャリッジカバー42は、記録ヘッド50の下面を下方に露出させた状態で記録ヘッド50を覆っている。
【0017】
キャリッジベース11は、主走査方向Yおよび上下方向Zに延びる板状の部材である。キャリッジ40の備えるキャリッジベース11の後面がガイドレール46に接続されていることにより、キャリッジ40がガイドレール46に主走査方向Yに移動可能に支持される。キャリッジベース11の前面には、第1ステー41Lおよび第2ステー41Rが固定されている。
【0018】
ガイドレール46は、キャリッジを支持するフレームであって主走査方向に延設されたガイドフレーム49の前面に取り付けられており、主走査方向Yに延びている。キャリッジベース11には無端状のベルト47が固定されている。ベルト47は、ガイドレール46の右側および左側に設けられたプーリ(図示省略)に巻き掛けられている。一方のプーリにはキャリッジモータ48が取り付けられている。キャリッジモータ48が駆動するとプーリが回転し、ベルト47が移動する。それにより、キャリッジ40がキャリッジベース11を介してガイドレール46に沿って主走査方向Yに移動する。
【0019】
記録ヘッド50は、複数のインクヘッド51を備えている。記録ヘッド50は、キャリッジ40の下面に配置されている。図3は、キャリッジ40を下方から見た図である。図3に示すように、インクヘッド51は、副走査方向Xに延びている。なお、インクヘッド51の数はここでは4個であるが、インクヘッド51の数は限定されない。
【0020】
インクヘッド51は、それぞれ複数のノズル51aが形成されたノズル面51bを備えている。ノズル面51bは、下方を向いている。ノズル面51bは、副走査方向Xに延びている。複数のノズル51aは、副走査方向Xに並んでノズル列を形成している。ノズル51aは、インクが吐出される微細な穴である。ノズル51aは、それぞれインクが貯留される圧力室に連通している。インクは、例えば圧電素子等の駆動によって圧力室が膨張/収縮されることによってノズル51aから吐出される。複数のノズル51aは、下方に向かってインクを吐出するように構成されている。なお、図3では、1つのノズル列のノズル51aの数は10個に図示されているが、実際にはもっと多数(例えば300個)形成されている。1つのノズル列に形成されるノズル51aの数は限定されない。
【0021】
インクヘッド51には、それぞれ、図示しないインクチューブによって、図示しないインクカートリッジが接続されている。インクヘッド51のノズル列には、それぞれ異なるインクカートリッジが接続されている。複数のインクカートリッジには、それぞれ異なる色のインクが収容されていてもよく、同じ色のインクが収容されていてもよい。
【0022】
本実施形態では、記録ヘッド50から吐出されるインクは、光硬化性インクである。光硬化性インクは、ここでは、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化型のインクである。光硬化性インクの成分、特性等は特に限定されない。また、吐出されるインクの色も限定されない。
【0023】
図2に示すように、キャリッジ昇降レバー80は、キャリッジ40の左方に設けられている。キャリッジ昇降レバー80は、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rを昇降させ、高さを調整するためのレバーである。例えば、記録媒体5の厚みが変化した場合、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rの下面から記録媒体5の上面までの間隔が変化する。そこでユーザは、キャリッジ昇降レバー80を操作することにより、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rを昇降させ、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rの下面から記録媒体5の上面までの間隔を一定に保つことができる。
【0024】
第1ステー41Lは、キャリッジベース11の前面に固定されている。第1ステー41Lは、記録ヘッド50の左方に配置されている。第1ステー41Lは、前後方向に延びている。図4に示すように、第1ステー41Lは、第1ステー41Lの下端からキャリッジ側(図4右側)へ板状に延びる遮光部材固定部41Laを備えている。遮光部材固定部41Laは、第1遮光部材70Lを固定する箇所である。第1ステー41Lは、第1光照射装置60Lを支持する支持部材の一例である。図5に示すように、第1ステー41Lの第1光照射装置60L側(図4左側)には、上下方向に並ぶ2つの長穴41Lbおよび長穴41Lbに締結するボルト41Lcが備えられている。長穴41Lbおよびボルト41Lcは、第1光照射装置60Lを固定するために設けられており、長穴41Lbは、上下方向に長い貫通穴である。第1光照射装置60Lを所望の上下方向の位置となるように配置し、長穴41Lbに挿通されたボルト41Lcを締結することにより、第1光照射装置60Lが固定される。ただし、長穴41Lbおよびボルト41Lcの数は2つに限定されない。
【0025】
図2に示すように、第2ステー41Rは、キャリッジ40が備えるキャリッジベース11の前面に固定されている。第2ステー41Rは、記録ヘッド50の右方に配置されている。第2ステー41Rは、前後方向に延びている。図示は省略するが、第2ステー41Rは、第1ステー41Lと同様に、第2ステー41Rの左面に接続され前後方向に板状に延びる遮光部材固定部を備えており、第2遮光部材70Rを固定する箇所である。第2ステー41Rは、第2光照射装置60Rを支持する支持部材の一例である。第2ステー41Rは、第1ステー41Lと同様にして第2光照射装置60Rを所望の上下方向の位置となるように固定している。このことにより、記録媒体5の厚みに依らず、記録媒体5と、第2光照射装置60Rとの距離を一定にすることができる。
【0026】
第1光照射装置60Lは、第1ステー41Lに支持されており、第2光照射装置60Rは、第2ステー41Rに支持されている。第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rは、フラットベッド30に対向する面から、記録媒体5に向かって光(典型的には紫外線)を照射し、記録媒体5上のインクを硬化させる。第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rは、フラットベッド30よりも上方に設けられている。本実施形態では、第1光照射装置60Lは、第1ステー41Lの左面に支持され、第2光照射装置60Rは、第2ステー41Rの右面に支持されている。なお、第1光照射装置60Lは、第1ステー41Lの右面に支持されていてもよく、第2光照射装置60Rは、第2ステー41Rの左方に支持されていてもよい。
【0027】
図3および図5に示すように、キャリッジ40は、キャリッジカバー42を備えている。キャリッジカバー42は、記録ヘッド50を覆う部材であって、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rから照射された光がキャリッジ内部へ拡散するのを抑制するために備えられている。キャリッジカバー42は、前壁42F、左壁42Lおよび右壁42Rを有する。図6に示すように、左壁42Lには、その中央部下端から前後方向に板状に延びる被係合部42Laが設けられている。図6において、第1光照射装置60Lおよび第1ステー41Lの図示は省略されている。左被係合部42Laの左右方向の寸法L1は、第1遮光部70Laの左右方向の寸法L2よりも小さい。左被係合部42Laは、上下方向に貫通する孔42Lbを備えている。孔42Lbには、第1遮光部材70Lが結合される。図示は省略するが、左被係合部42Laと同様に、右壁42Rには右被係合部が設けられている。右被係合部は、上下方向に貫通する孔を備え、右被係合部の備える孔には、第2遮光部材70Rが結合される。キャリッジカバー42の材料は特に限定されない。本実施形態では、キャリッジカバー42の材料は、樹脂材料である。左被係合部42Laおよび右被係合部は、被係合部の一例である。また、本実施形態では、キャリッジカバー42は、左被係合部42Laおよび右被係合部を備えているが、被係合部は2つに限定されない。被係合部は1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0028】
図4に示すように、第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lおよびキャリッジベース11に固定されている。図7に示すように、第1遮光部材70Lは、前後方向に延びる第1遮光部70Laと、左右方向に延びる第2遮光部70Lbと、を備え、平面視でL字の形状を有している。第1遮光部材70Lは、第1遮光部70Laから上方に延びる係合部70Lcを備えている。本実施形態では、第1遮光部70Laおよび第2遮光部70Lbは水平に延びており、係合部70Lcは、第1遮光部70Laの前側の先端部からほぼ垂直に上方に延びている。第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lの備える遮光部材固定部41Laに固定された第1固定部72Lを備えている。第1固定部72Lは、第1ステー41Lの前後方向の中間位置よりも前方に配置されている。第1遮光部材70Lは、キャリッジベース11に固定された第2固定部73Lを備えている。第2固定部73Lの左方には、第3固定部74Lが配置されている。第3固定部74Lは、第2固定部73Lと同様に、キャリッジベース11に固定される。係合部70Lcは、その一部に切り欠き70Ldを有している。図4および図6に示すように、第1固定部72Lと遮光部材固定部41Laとが固定され、第2固定部73Lおよび第3固定部74Lとキャリッジベース11とが固定されることにより、第1遮光部材70が第1ステー41Lおよびキャリッジベース11に固定される。第1遮光部材70Lの係合部70Lcがキャリッジカバー42の左被係合部42Laに形成された孔42Lbに挿通され、かつ第1遮光部材70Lの係合部70Lcの有する切り欠き70Ldがキャリッジカバー42の左被係合部42Laの孔42Lbに当接している。第1固定部72L、第2固定部73Lおよび第3固定部74Lの固定方法は、特に限定されないが本実施形態ではボルト75によって固定される。第1遮光部材70Lの係合部70Lcは下方に延びていてもよい。第1遮光部材70Lをキャリッジカバー42に固定する方法はこれに限定されず、第1固定部72Lおよび第2固定部73Lと同様にボルトで固定されるものであってもよい。
【0029】
図7に示すように、第1遮光部材70Lの第1遮光部70Laは前後方向に延びているが、その長さは特に限定されない。第1固定部72Lは、図7において、第1ステー41Lの前後方向の中間位置よりも前方に配置されている。好ましくは、第1遮光部70Laの前後方向の長さは、遮光部材固定部41Laの先端部まで延び、第1固定部72Lは、第1遮光部70Laの先端部に配置されているとよい。図7において、第1遮光部材70Lの第2遮光部70Lbは左右方向に延びているが、その長さは特に限定されない。第2固定部73Lは、第1ステー41Lの前後方向の中間位置よりも後方に配置されている。第3固定部74Lは、第2固定部73Lの左方に配置されている。図7において、第3固定部74Lは、第2遮光部70Lbの左右方向の中間位置よりも左方に配置されている。好ましくは、第2固定部73Lは、第2遮光部70Lbの左方先端部に配置されているとよい。本実施形態では、第1遮光部材70は、1つの金属板から形成されている。ただし、第1遮光部70Laと、第2遮光部70Lbと、係合部70Lcと、が最終的に接続されていればよく、1つの材料から作られていなくてもよい。また、第1遮光部材70Lの材料も特に限定されない。
【0030】
第1遮光部70Laおよび第2遮光部70Lbの底面と、係合部70Lcの右面には、多孔質のシート(例えば、スポンジシート)が貼付されている。多孔質のシートを貼付することにより、第1遮光部70Laの底面、第2遮光部70Lbの底面および係合部70Lcの右面の光の反射率が低下している。第1遮光部70Laの底面、第2遮光部70Lbの底面および係合部70Lcの右面の光の反射率は、少なくとも、第1光照射装置60Lの底面の光の反射率よりも小さいことが好ましい。また、光の反射率を小さくする方法は、特に限定されない。第1遮光部70Laの底面、第2遮光部70Lbの底面および係合部70Lcの右面の光の反射率は、例えば塗装によって小さくされてもよい。
【0031】
図3に示すように、第2遮光部材70Rは、第1遮光部材70Lと左右対称な形状をしており、第1遮光部材70Lと同様に、第2ステー41Rおよびキャリッジベース11に固定される。また、左壁42Lの左被係合部42La(図6参照)と第1遮光部材70Lとが結合されるのと同様に、右壁42Rの右被係合部と第2遮光部材70Rとが結合される第1遮光部材70Lと同様に、第2遮光部70Lbで反射する光の反射率が低下している。したがって、ここでは詳細の説明は省略する。
【0032】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。本実施形態のプリンタ10は、第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rを備えている。第1遮光部70Laの底面、第2遮光部70Lbの底面および係合部70Lcの右面には、多孔質シートが貼付されているため、第1光照射装置60Lまたは/および第2光照射装置60Rから照射されフラットベッド30で反射した反射光の反射率を低下している。したがって、反射光が、キャリッジ40の内部や記録ヘッド50などに拡散することは抑制される。また、第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lおよびキャリッジベース11に固定されている。第2遮光部材70Rは、第2ステー41Rおよびキャリッジベース11に固定されている。このことにより、キャリッジ40が主走査方向Yに移動するときに慣性力が発生しても、第1ステー41L、第1光照射装置60L、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rが振動することが防がれる。したがって、記録ヘッド50の振動が抑えられ、インクの着弾位置が所望の位置からずれることを防止することができる。よって、印刷物の品質が安定化する。
【0033】
本実施形態のプリンタ10によれば、第1遮光部材70Lが第1ステー41Lとキャリッジベース11とに固定され、第2遮光部材70Rが第2ステー41Rとキャリッジベース11とに固定されることにより、第1光照射装置60Lと第2光照射装置60Rとは、それぞれキャリッジ40側(第1ステー41L、第2ステー41R)とガイドレール46側(キャリッジベース11)とで両持ち状態とすることができる。したがって、キャリッジ側のみで片持ち状態の場合と比べて、キャリッジ40が主走査方向Yに移動するときに第1ステー41L、第1光照射装置60L、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rの振動の発生が抑制される。ここで、第1ステー41L、第1光照射装置60L、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rの振動の発生を抑制するには、図8に示すように、第1光照射装置60Lと第2光照射装置60Rとを繋ぐ固定強化部材93を設けることも考えられる。なお、図8において、第1遮光部材70L、第2遮光部材70Rおよびキャリッジ昇降レバー80は、図示を省略している。しかしこの場合、第1光照射装置60Lまたは第2光照射装置60Rの上下方向の高さを調整するときに、調整作業が困難となる。第1光照射装置60Lまたは第2光照射装置60Rの高さの調整は、部品の累積公差による第1光照射装置60Lと第2光照射装置60Rとの高さの位置のずれを解消するために行われる。例えば、第1光照射装置60Lの上下方向の高さを、長穴41Lbおよびボルト41Lc(図5参照)を用いて調整する。このときボルト41Lcを緩めて第1光照射装置60Lの上下方向の高さを調整しようとしても、第1光照射装置60Lは、固定強化部材93に固定されており、高さ調整が困難である。したがって、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rを同時に高さ調整する必要があるが、調整作業がしづらい。また、固定強化部材93を設けるには、光照射装置が2つ以上必要となる。しかし、本実施形態によれば、第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rは、それぞれ単独で、第1ステー41Lまたは第2ステー41Rと、キャリッジ40と、に固定することができる。したがって、第1光照射装置60Lおよび第2光照射装置60Rの上下方向の高さを調整する調整作業が妨げられない。さらに、固定強化部材93を設ける場合、反射光が拡散するのを抑制するために、固定強化部材93と別に、遮光部材を設ける必要がある。しかし、本実施形態によれば、第1遮光部材70aおよび第2遮光部材70bは、反射光を遮光しながら、第1ステー41L、第1光照射装置60L、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rの振動の発生が抑制される。したがって、固定強化部材93が不要となる。また、遮光部材の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。さらに、遮光部材の数は、光照射装置に数に依らず設けることができる。
【0034】
また、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタでは、遮光部材が光照射装置の備えるケースにのみ固定されていた。したがって、キャリッジ40が主走査方向Yに移動するときに、遮光部材に加わる慣性力により、遮光部材が振動する問題もあった。遮光部材が振動すると、キャリッジの移動時に騒音が発生する。しかし、本実施形態では、第1遮光部材70Lが第1ステー41Lとキャリッジベース11とに固定され、第2遮光部材70Rが第2ステー41Rとキャリッジベース11とに固定される。したがって、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタと比較し、第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rは、振動の発生が抑制されている。このことにより、キャリッジ40の移動時の騒音の発生が抑制される。
【0035】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、第1遮光部材70Lは、前後方向に延びる第1遮光部70Laと左右方向に伸びる第2遮光部70Lbとを備えており、L字の形状に形成されている。このことにより、上述の効果を奏する好適な形状の第1遮光部材70Lを得ることができる。
【0036】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lの前後方向の中間位置よりも前方に配置された第1固定部72Lにより、第1ステー41Lに固定されている。また、第1遮光部材70Lは、第1ステー41Lの前後方向の中間位置よりも後方に配置された第2固定部73Lにより、キャリッジベース11に固定されている。このように、第1遮光部材70Lは、前後方向に比較的離れた部分にて、第1ステー41Lおよびキャリッジベース11に固定されている。このことにより、第1ステー41Lと第1光照射装置60Lの振動の発生がさらに抑制される。なお、第2遮光部材70R、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rについても同様である。このように、第1遮光部材70Lは、前後方向に比較的離れた部分にて、第1ステー41Lおよびキャリッジベース11に固定されている。
【0037】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、第1遮光部材70Lおよび第1ステー41Lは、第1光照射装置60Lとキャリッジ40との間に配置されている。仮に第1ステー41Lが第1光照射装置60Lの左方に配置されていた場合、第1遮光部材70Lを、第1ステー41Lの有する遮光部材固定部41Laまで延ばす必要があり、第1遮光部材70Lのサイズが大きくなる。本実施形態では、第1遮光部材70Lを、第1ステー41Lの有する遮光部材固定部41Laまで延ばす必要がないため、第1遮光部材70Lのサイズを小さくすることができる。なお、第2遮光部材70R、第2ステー41Rおよび第2光照射装置60Rについても同様である。
【0038】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、被係合部42Laに形成された孔42Lbに、係合部70Lcが挿通され、切り欠き70Ldが被係合部42Laと当接することにより、第1遮光部材70Lとキャリッジカバー42とが結合されている。第1遮光部材70L自体がキャリッジカバー42と結合する機能を有することによりキャリッジカバー42をボルトなどにより固定する場合に比べ、部品点数が少なくて済む。したがって、キャリッジカバー42をボルトなどにより固定する場合に比べ、キャリッジ40の全体が軽量化される。このことにより、キャリッジ40の移動時に発生する慣性力が小さくなり、振動の発生が抑制される。
【0039】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、被係合部42Laの主走査方向Yの長さは、第1遮光部材70Lの主走査方向Yの長さよりも短い。このことにより、係合部70Lcと被係合部42Laとを備えていても、キャリッジ40の主走査方向Yの長さが長くなることが防がれる。したがって、キャリッジ40が主走査方向Yに移動するときの慣性力が大きくなることが抑制される。なお、第2遮光部材70Rについても同様である。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明した、しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他にも種々の形態で実施可能である。
【0041】
上述した実施形態では、第1遮光部材70Lは、第1光照射装置60Lの右方および後方に配置されている。しかし、第1光照射装置60Lから照射される光の照射角度や記録媒体5の表面の形状等によっては、第1光照射装置60Lの左方や前方を遮光する必要がある場合も想定される。そこで、第1光照射装置60Lの左方や前方を覆う形状であってもよい。第2遮光部材70Rおよび第2光照射装置60Rについても同様である。
【0042】
上述した実施形態では、第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rは、水平方向に延びていたが、これに限定されない。第1遮光部材70Lおよび第2遮光部材70Rは、上下方向に延びていてもよい。
【0043】
ここで開示される技術は、様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した実施形態で示したフラットベッドタイプのプリンタ10の他、例えば、ロール状の記録媒体を副走査方向Xに搬送する、所謂、Roll-to-Rollタイプのプリンタにも同様に適用することができる。また、フラットベッドに載置された記録媒体に対して、キャリッジを主走査方向Yおよび副走査方向Xに相対移動させる、所謂、ガントリータイプのプリンタにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
5 記録媒体
10 プリンタ
30 フラットベッド(支持台)
40 キャリッジ
41L 第1ステー(支持部材)
41R 第2ステー(支持部材)
50 記録ヘッド
60L 第1光照射装置(光照射装置)
60R 第2光照射装置(光照射装置)
70L 第1遮光部材(遮光部材)
70R 第2遮光部材(遮光部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8