(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081927
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】液体補給容器
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195518
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 幸治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】再利用に適し、かつ、利便性のよい液体補給容器を提供する。
【解決手段】液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、を備え、前記液体収容部は金属で形成された主要部を有し、前記液体収容部と前記注出部のうちの少なくとも一方は、透明または半透明の部材で形成された視認部を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出装置に液体を補給するための液体補給容器であって、
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、
前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、
を備え、
前記液体収容部は金属で形成された主要部を有し、
前記液体収容部と前記注出部のうちの少なくとも一方は、透明または半透明の部材で形成された視認部を有する、液体補給容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体補給容器であって、前記視認部は、前記液体収容部の高さ方向に沿って配設されている、液体補給容器。
【請求項3】
請求項1に記載の液体補給容器であって、前記視認部は、前記液体収容部の高さの半分未満の底部側に配設されている、液体補給容器。
【請求項4】
請求項3に記載の液体補給容器であって、前記視認部は、前記主要部とは別体の部材に形成され、前記別体の部材は前記主要部に接続されている、液体補給容器。
【請求項5】
請求項4に記載の液体補給容器であって、前記視認部と前記主要部との接続は前記主要部の係合部と前記別体の部材の係合部との係合により行われ、前記主要部の前記係合部は、前記主要部を画定する側壁の内側に形成されている、液体補給容器。
【請求項6】
請求項1に記載の液体補給容器であって、前記注出部は前記キャップ部に覆われない非被覆部を有し、前記視認部は前記非被覆部に配設されている、液体補給容器。
【請求項7】
請求項6に記載の液体補給容器であって、前記注出部内に配設される弁構造をさらに備え、前記弁構造は、高さ方向において前記視認部に対しオフセットした位置に配設されている、液体補給容器。
【請求項8】
請求項1に記載の液体補給容器であって、前記液体補給容器に関する情報が前記主要部に表示されている、液体補給容器。
【請求項9】
液体吐出装置に液体を補給するための液体補給容器であって、
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、
前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、
を備え、前記液体収容部は透明または半透明のガラスで形成されている、液体補給容器。
【請求項10】
請求項9に記載の液体補給容器であって、前記注出部の壁は樹脂で形成されている、液体補給容器。
【請求項11】
請求項9に記載の液体補給容器であって、前記液体収容部の表面に、透明または半透明のフィルム部材が装着されている、液体補給容器。
【請求項12】
請求項1または請求項9に記載の液体補給容器であって、前記注出部は、前記液体収容部に対し分離を規制する手段により接続されている、液体補給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体補給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク吐出装置の一例として、印刷ヘッドから印刷用紙などの印刷媒体に向けてインクを吐出することによって、印刷媒体にインクで印刷を行うことができるインクジェットプリンターが知られている。このようなインクジェットプリンターには、インクタンクにインクを補給して使用されるインク補給タイプのものがある。特許文献1には、このようなタイプの液体補給容器であって、再利用に適した容器として、液体収容部が金属で形成された容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1における液体補給容器のように、金属製の液体収容部は、再利用には適しているが、液体の量や液体の色等を金属製の壁を通して視認できず、利便性の点で課題があった。再利用に適し、かつ、利便性のよい液体補給容器の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の第1の形態によれば、液体補給容器が提供される。この液体補給容器は、液体吐出装置に液体を補給するための液体補給容器であって、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、を備え、前記液体収容部は金属で形成された主要部を有し、前記液体収容部と注出部のうちの少なくとも一方は、透明または半透明の部材で形成された視認部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態におけるプリンターの斜視図である。
【
図2】液体補給容器を用いてインクタンクにインクを補給する状態を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の液体補給容器の外観を示す正面図である。
【
図6】第2実施形態の液体補給容器の全体を示す断面図である。
【
図8】第3実施形態の液体補給容器の上下を逆さにした状態における、キャップ部および注出部周辺を主に示す断面図である。
【
図9】第4実施形態の液体補給容器の外観を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.プリンター100の構成:
図1は、第1実施形態におけるプリンター100の斜視図である。このプリンター100は、インクを印刷媒体上に吐出して印刷を行うインクジェットプリンターである。プリンター100は、「液体吐出装置」に相当する。
図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。X軸はプリンター100の幅方向に対応し、Y軸はプリンター100の奥行き方向に対応し、Z軸はプリンター100の高さ方向に対応する。プリンター100は、X方向とY方向とによって規定される水平な設置面に設置されている。なお、「X軸方向」とは、+X方向と-X方向とを合わせた概念を意味する。同様に、「Y軸方向」とは、+Y方向と-Y方向とを合わせた概念を意味し、「Z軸方向」とは、+Z方向と-Z方向とを合わせた概念を意味する。
【0009】
プリンター100は、筐体110を有する。筐体110の内部には、主走査方向(X軸方向)に移動可能なキャリッジ(図示省略)が設けられている。キャリッジには、インクを印刷媒体上に吐出する印刷ヘッドが設置されている。筐体110の前面の一端には、複数のインクタンク700S,700Lを収容するインクタンク収容ユニット160が設けられている。インクタンク収容ユニット160は、その上部に開閉可能な蓋162を有している。なお、インクタンク700Sは小容量のタンクであり、インクタンク700Lは大容量のタンクである。但し、以下の説明では、両者を区別せずに単に「インクタンク700」と呼ぶ。
【0010】
各インクタンク700は、チューブ(図示省略)によってキャリッジの印刷ヘッドに接続されている。すなわち、インクタンク700は、プリンター100のキャリッジ上に載置されていない定置型のインクタンクである。また、各インクタンク700は、インク残量が低下した場合に液体補給容器からインクが補給されるインク補給タイプのインクタンクである。なお、本実施形態では、インクタンク700は、定置型のインクタンクであるが、プリンター100のキャリッジ上に搭載されるものであってもよい。
【0011】
図2は、液体補給容器1を用いてインクタンク700にインクを補給する状態を示す斜視図である。各インクタンク700の前面は、透明部材で形成されており、各インクタンク700のインク残量が外部から目視可能である。インク残量が少なくなった場合には、
図2に示すように、蓋162を開けて、インクタンク700のインク入口流路部材710からインクを補給することが可能である。
【0012】
各インクタンク700の上面には、インクをインクタンク700に補給するための筒状のインク入口流路部材710が設けられている。インクタンク収容ユニット160は、インク入口流路部材710の先端を封止するための封止キャップ165を有する封止キャップ部材164を備えている。インクタンク700にインクを補給しない状態では、インク入口流路部材710の先端は、封止キャップ部材164の封止キャップ165で封止されている。インクタンク700にインクを補給する際には、封止キャップ部材164をインク入口流路部材710から外し、インク入口流路部材710の位置に液体補給容器1の先端部を挿入してインクを補給する。
【0013】
本明細書において、「インクの補給」という用語は、インクタンク700にインクを供給してインク残量を増やす動作を意味している。但し、「インクの補給」によってインクタンク700をインクで満杯にする必要はない。また、「インクの補給」は、プリンター100の初回使用時に、空のインクタンク700にインクを充填する動作も含む。
【0014】
A2.液体補給容器1の構成:
図3は、第1実施形態の液体補給容器1の外観を示す正面図である。
図3に示すように、液体補給容器1は、内部にインクを収容可能な液体収容部11と、液体収容部11と接続された注出部12と、注出部12に装着されるキャップ部13と、を有し、全体として円筒ボトル形状をなしている。以下、液体補給容器1について説明するにあたっては、液体補給容器1を単体で水平面に立設させた状態における上下方向を高さ方向とし、
図3に示す上下を「上下」として説明する。液体補給容器1において、注出部12およびキャップ部13は、液体収容部11の上側に位置する。
【0015】
注出部12は、液体収容部11に収容された液体を注出する際の出口である注出口16を有し、インクを注出するための部分である。注出部12の内部には、スリット弁やバネ弁等の弁構造17が配されている。弁構造17は、インクタンク700にインクを補給しない非補給状態では、注出口16を封止してインクが外部に漏れないように構成されており、インクタンク700にインクを補給する補給状態では封止を解除してインク入口流路部材710にインクが流れ込むように構成されている。注出部12は樹脂で形成されている。
【0016】
キャップ部13は、注出部12に装着され、注出部12を覆い、液体収容部11の内部を外気から遮蔽する。キャップ部13は、注出部12に対して、図示しないねじ係合により、装着および脱着が可能である。
【0017】
液体収容部11は、長手方向の下端が有底であり、上端に開口を有する円筒形状部材である。液体収容部11は、液体補給容器1の長手方向(上記高さ方向と同じ)の1/2以上2/3以下程度の長さを占め、液体補給容器1の本体部分となっている。液体収容部11は、主要部14と、視認部15と、を有する。主要部14は、金属で形成されており、液体収容部11の大部分を占める。視認部15は、ガラスで形成されており、透明もしくは半透明である。
【0018】
視認部15は、液体収容部11の円周方向の一部分において、液体収容部11の側面の高さ方向に沿って、キャップ部13に覆われない部分の略上端から底面まで連続して形成されている。視認部15の円周方向の幅W1は、
図3に示す正面視において、液体補給容器1の全体の幅W2の1/5程度である。この視認部15を、ユーザーは、液体収容部11の側面から見ることにより、液体収容部11内のインク残量を外部から確認可能である。
図3の例では、液体収容部11の高さ方向の半分以上までインクが入っている例を示している。
【0019】
主要部14であって視認部15の一方側(
図3における左側)の部位には、目盛51,52,53が表示されている。主要部14であって視認部15の他方側(
図3における右側)の底面寄りの部位には、QRコード(登録商標)54が表示されている。QRコード54には、インクの色や型番等の情報が登録されている。目盛51,52,53およびQRコード54は、液体収容部11に直接印刷されている。目盛51,52,53およびQRコード54は、「液体補給容器に関する情報」の一例に相当する。
【0020】
主要部14と視認部15とは接合され一体に成形されている。金属製の主要部14と、ガラス製の視認部15との接合は、例えば、熱膨張係数の一致したコバール金属とコバールガラスの接合により実施できる。なお、この接合例は一例であり、その他の接合方法も接合例に含まれる。例えば、主要部14に設けた開口に、パッキンのようなシール部材を介して視認部15を嵌め込む接合形態でもよい。また、接着剤を用いた接着でもよい。主要部14が金属で形成されており、視認部15が、容器内部を視認可能な透明または半透明をなす材料で形成されており、それらが接合されていればよい。視認部15の材質としては、ガラスの他には、樹脂でもよい。
【0021】
液体収容部11の上端には、注出部12が接続される。注出部12は、樹脂で形成されている。注出部12は、液体収容部11に対して、分離を規制する手段56,57(
図4,
図5参照)により接続される。
図4は、
図3のIV-IV線における断面図である。
図5は、
図3のV-V線における断面図である。
図3,
図5に示すように、液体収容部11は、底側から順に、大径部18と、大径部18に接続し徐々に径が小さくなる縮径部19と、縮径部19の縮径した上端に接続し一定の径をなす小径部20と、を有している。小径部20の径は、注出部12の下端の径よりも小さく、液体収容部11の外側に注出部12が接続される。
【0022】
注出部12と液体収容部11との接続部にはパッキン55(
図5参照)が配置されており、パッキン55で接続部をシールしている。パッキン55は可撓性を有しており、その形成材料としては、例えばブチルゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム等が挙げられる。
【0023】
分離を規制する手段56,57は、具体的には、周方向の移動を規制する手段としてラチェット係合を用い、高さ方向の移動を規制する手段としてねじによる係合を用いている。以下、詳細に説明する。
【0024】
図4に示すように、注出部12の内周には、径方向内側へ突出した複数の突起61が、形成されている。突起61は、基端から先端を結ぶ線と、基端における接線とのなす角度が概ね50°をなす角度で斜めに突出している。一方、液体収容部11の小径部20の外周において、180°の対称の位置には、径方向外側へ突出した突出部62が形成されている。突出部62の周方向の幅は、突起61の周方向の幅より大きい。注出部12に形成される突起61が、小径部20に形成される突出部62に周方向において当接することにより、液体収容部11に対する注出部12の反時計回りの回転が規制される。換言すると、注出部12は、液体収容部11に対して矢印Rに示す時計回りの回転のみ許容される。以上のように、周方向における分離を規制する手段56は、突起61と突出部62によるラチェット係合である。
【0025】
図5に示すように、液体収容部11の小径部20の外周には、径方向外側へ突出した雄ねじ部63が形成されている。また、雄ねじ部63の下部には、ラチェット機構の突出部62が形成されている。
図4に示す例では、突出部62は径方向に対向するように2つ設けられている。なお、突出部62は液体収容部11の外側に形成されるが、
図5及び
図6において便宜的に点線で示される。
【0026】
一方、注出部12の内周には、径方向内側へ突出した雌ねじ部64が形成されている。また、雌ねじ部64の下部には、ラチェット機構の突起61が形成されている。
【0027】
注出部12を液体収容部11に組み付ける際には、注出部12の雌ねじ部64を、液体収容部11の雄ねじ部63と係合させ、ねじ締めすることにより注出部12が矢印A方向(
図5参照)に移動する。さらに、ねじ締めが進行することにより突起61と突出部62とが係合する。その結果、注出部12は、ねじ締めが緩むことが規制され、高さ方向と周方向とにおいて動きが規制される。これにより、注出部12と液体収容部11とが強固に接続する。このため、ユーザーは、容易に、注出部12を液体収容部11から取り外すことができない。なお、注出部12と液体収容部11との接続固定は、ねじ係合及びラチェット係合に限定されず、係止爪とラチェット以外の回転を規制する構造との組合せ、フィルム、テープ、接着剤等による固定、溶着、等でもよい。
【0028】
上記第1実施形態の液体補給容器1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0029】
上記第1実施形態によれば、液体収容部11の主要部14は、金属で形成されており、液体収容部11の大部分を占める。このため、液体補給容器1の再利用に適している。さらに、液体収容部11は視認部15を有しているため、視認部15を通して液体収容部11内のインクの色、あるいはインクの量を視認することができ、ユーザーにとって利便性が良い。さらに、金属製の液体収容部11を注出部12から取り外して内部の液体を確認する必要が無いため、液漏れや液体の飛散を回避できる。
【0030】
上記第1実施形態によれば、視認部15は、液体収容部11の側面に高さ方向に沿って設けられている。このため、液体収容部11の高さ方向全体に対しての液体の残量を視認しやすく、ユーザーにとって利便性がよい。さらに、高さの半分未満の底部側にも設けられているため、インクの残量が少なくなってきた状態を視認できるため、ユーザーが新たな補給容器を準備しやすい。
【0031】
上記第1実施形態によれば、インクの色や型番の情報、あるいはそれらが含まれたQRコード、FullやLow等の残量を示す情報あるいは目盛(以下、「液体補給容器1に関する情報」という)が金属製の主要部14に表示される。このため、液体補給容器1に関する情報を視認部15には表示する必要がなく、また、当該情報が記載されたフィルムにより液体収容部11を覆う必要もないため、視認部15を介して液体の状態を視認しやすく、利便性がよい。
【0032】
上記第1実施形態によれば、注出部12は、液体収容部11に対して、分離を規制する手段56,57により接続される。このため、注出部12が意図せずに液体収容部11から外れてインクが漏れることが抑制される。また、外れた注出部12の再接続時に、内部のパッキン55のズレや接続不良等の不具合が生じ、インクが漏れることも抑制できる。
【0033】
B.第2実施形態:
次に、本開示の第2実施形態の液体補給容器2について、
図6,
図7を参照して説明する。なお、以下説明する複数の実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図6は、第2実施形態の液体補給容器2の全体を示す断面図である。
図6に示すように、第2実施形態の液体補給容器2は、液体収容部21と、注出部22と、キャップ部23と、を有する点は上記第1実施形態と同様であるが、視認部25は、主要部24とは別体の部材である底部カバー部26に形成される点が上記第1実施形態と異なっている。また、液体収容部21と注出部22との接続は、第1実施形態と同様であり、ねじ29の係合及び突出部と突起とのラチェット係合により接続されている。
【0034】
液体収容部21は、金属製の主要部24と、樹脂製の底部カバー部26と、を有している。
図7は、主要部24を示す断面図である。主要部24の上端側には注出部22が接続され、主要部24の下端側には底部カバー部26が接続される。主要部24は、液体収容部21の高さ方向の3/4程度の長さを占めている。底部カバー部26は、液体収容部21の高さ方向の1/4程度の長さを占めている。
【0035】
底部カバー部26は、主要部24の下端に形成されたねじ部71と、底部カバー部26の上端に形成されたねじ部72(
図6参照)との係合により、主要部24に対して着脱可能に接続されている。接続時には、主要部24の下端の一部が底部カバー部26内に収容される。底部カバー部26において、主要部24が収容されない底側の一部位が、「視認部25」として形成される。底部カバー部26は、主要部24とは「別体の部材」に相当する。
【0036】
ねじ部71,72によるねじ係合による接続部位のことを、以下「ねじ係合部73」という。ねじ係合部73は、金属製の主要部24を画定する側壁の内側に形成されている。このため、ねじ係合部73を液体補給容器2の外部から視認することはできない。
【0037】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態の液体補給容器1と同様の効果を奏する。加えて、ねじ係合部73が外部から見えないため、視認部25を有する底部カバー部26を誤って取り外すことを抑制することができる。また、主要部24と底部カバー部26とは、ねじによる係合のため、再利用の際には、着脱しやすい構造とすることができる。また、底部カバー部26は、主要部24とは別体であるため、一体である場合と比較して製造が容易である。
【0038】
上記第2実施形態によれば、底部カバー部26は、主要部24に対して着脱可能であるため、再利用時に交換可能である。また、視認部25を取り外して液体収容部21内を洗浄しやすい。液体収容部21の底部側と注出部22側が開放可能となるため、短時間で洗浄と乾燥を行うことができる。さらに、視認部25を取り外して、液体収容部21の底側から液体収容部21内に液体を注入することも可能になる。
【0039】
C.第3実施形態:
次に、本開示の第3実施形態の液体補給容器3について、
図8を参照して説明する。
図8は、第3実施形態の液体補給容器3の上下を逆さにした状態における、キャップ部33および注出部32の周辺を主に示す断面図である。第3実施形態の液体補給容器3は、上記第1実施形態に対して、注出部32の構成が主に異なっている。液体補給容器3は、液体収容部31と、注出部32と、キャップ部33と、を有している。
図8に示すように、注出部32は、キャップ部33に覆われない非被覆部36を有している。第3実施形態では、非被覆部36に、視認部35が配設される。以下、詳細に説明する。
【0040】
注出部32は、内側に雌ねじ構造が形成された大径部37と、中径部38と、外側に雄ねじ構造が形成された小径部39と、を、液体収容部21側からこの順で同軸上に有している。注出部32の全体は、透明の樹脂で形成されている。大径部37、中径部38、および小径部39は、円筒形状をなし、その径はこの順に小さくなっている。
【0041】
注出部32の大径部37は、液体収容部21の外周に形成されたボトルねじ部40と螺合する。この螺合によって、注出部32が液体収容部21に装着される。注出部32と液体収容部21の接続部には、パッキン55が配置されている。キャップ部33の内側には、図示しない雌ねじ構造が配されており、注出部32の小径部39の雄ねじ構造と螺合している。
【0042】
小径部39の先端(
図8における下端)には、図示しない注出口が形成されている。小径部39の内側には、弁構造17が配されている。なお、
図8では、弁構造17を模式的に表している。弁構造17は、その一部が高さ方向において中径部38と重なっているものの、小径部39の内側にほぼ収まっている。非被覆部36のうち、中径部38に位置する部位であって、弁構造17と高さ方向に重ならない部位が「視認部35」として機能する。すなわち、弁構造17は、高さ方向において視認部35に対してオフセットした位置に設けられている。視認部35の内側には、上記弁構造17の他、何ら部材が設けられていない。注出部32は、上記したように透明の樹脂製であるため、中径部38の内部を、視認部35を介して外部から視認可能である。なお、大径部37の内部には金属製の液体収容部31が収容されているため、外部から液体収容部31の内部を視認することはできない。
【0043】
インクの残量を確認したい場合には、液体補給容器3を逆さまにすれば、液体収容部31内の残りのインクが注出部32側へ移動するため、視認部35を側方から見ることによりインクの残量を確認することができる。
【0044】
なお、注出部32において、注出口の周囲には、180°の回転対称の位置に存在する図示しない凹部が形成されている。この凹部が、プリンター100のインクタンク700に設けられたソケットの内周壁から内側に突出する凸部に係合する構成となっている。すなわち、上記構成は誤注入防止用の凹凸部であり、インクタンク700の色別に形状が異なる凸部に係合する凹部を有する液体補給容器を用いることによって、インクタンク700への異なる色の液体補給容器の液体を注入する誤注入を防止できる(詳細は、特開2022-18869を参照)。そして、上記誤注入防止用の凹凸部は、高さ方向において視認部35に対しオフセットした位置に設けられている。
【0045】
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態の液体補給容器1と同様の効果を奏する。加えて、キャップ部33に覆われない非被覆部36に設けられる視認部35を介して、インクの状態を容易に確認できる。また、視認部35の内部には、弁構造17やその他の部材が配設されないため、さらに、視認部35を介してインクの状態を視認しやすい。
【0046】
D.第4実施形態:
次に、本開示の第4実施形態の液体補給容器4について、
図9を参照して説明する。
図9は、第4実施形態の液体補給容器4の外観を示す正面図である。第4実施形態の液体補給容器は、液体収容部41と、注出部42と、キャップ部43と、を有している。液体収容部41は、透明または半透明のガラスで形成されている。液体収容部41の表面には、その外周に亘って透明または半透明のフィルム部材81が、シュリンク包装によって装着されている。注出部42は、その外形や、内部に弁構造17を収容する空間を形成する壁は樹脂で形成されている。
【0047】
上記第4実施形態によれば、液体収容部41の全体がガラスで形成されているため、再利用に適している。また、液体収容部41内のインクを視認しやすい。さらに、インクが空になった場合でも、樹脂製の液体収容部と比較してある程度の重みがあり、液体収容部41の底を設置した状態で倒れにくいため、注出部42から残液が漏れ難い。また、回収の際、整列させやすい。さらに、ガラス製の液体収容部41に対し、注出部42は樹脂製であるため、重量の増加を抑制できる。
【0048】
上記第4実施形態によれば、液体収容部の表面にフィルム部材81が装着されているため、ガラスがフィルム部材81により保護されて、液体収容部41の割れ、傷、欠け等を抑制できる。また、フィルム部材81に型番、色等の情報を記載する仕様とした場合、再利用の際は、ガラスの液体収容部41は再利用し、フィルム部材81は剥がして別の情報を記載したフィルム部材に交換することも可能である。
【0049】
E.他の形態:
(E1)上記第1実施形態において、液体収容部11と注出部12との接続における分離を規制する手段56,57としては、ラチェットや爪による係合を用いたが、これに代えて、圧入、接着剤、フィルム、テープ等によるものでもよい。液体収容部11と注出部12との接続を解除して完全に分離不可とはしないものの、容易には分離することができず、ユーザーが誤って分離することを抑制できる程度の規制手段であることが好ましい。
【0050】
(E2)上記第1実施形態では、液体収容部11の表面に液体補給容器1に関する情報の一例であるQRコードを表示したが、色や型番を文字により表示してもよい。また、上記第1実施形態において、QRコードが金属に直に印刷されているものとしたが、液体補給容器1に関する情報が印刷されたフィルムを表面に装着することにより表示してもよい。かかる構成において、当該フィルムは、少なくとも視認部15を覆う部分は透明または半透明であることを要する。また、第2,第3実施形態の液体補給容器2,3に、液体補給容器2,3に関する情報を表示してもよい。
【0051】
(E3)上記各実施形態において、キャップ部13,23,33,43を締める方向と、注出部12,22,32,42を液体収容部11,21,31,41に対して締める方向とが逆方向となるように、各接続部位のねじ係合の構造を調整してもよい。このようにすれば、使用者がキャップ部を緩めるときに、同時に注出部のねじ係合が緩んでしまい、不用意に注出部12,22,32,42が液体収容部11,21,31,41から外れてしまうことを防止できる。こうした構造を、「分離を規制する手段」として採用してもよい。
【0052】
(E4)上記第1実施形態では、視認部15は、液体収容部11の側面の高さ方向に沿って、キャップ部13に覆われない液体収容部11の部分の略上端から底面まで連続して形成したが、連続していなくてもよい。例えば、液体収容部11の高さ方向の半分よりも底面側にのみ設けてもよいし、高さ方向の半分よりも上側と、下側とで分離した形態でもうけてもよい。また、複数の視認部が破線状に断続的に高さ方向に並んだ構成であってもよい。
【0053】
(E5)上記第2実施形態では、視認部25が形成される底部カバー部26と主要部24とは、ねじによる係合により接続されるものとしたが、係止爪による係合等、あるいはその他の分離を規制する手段56,57により接続されてもよい。
【0054】
(E6)上記第3実施形態では、弁構造17は、高さ方向において視認部35に対しオフセットした位置に設けたが、視認部35と弁構造17とは高さ方向において重なっていてもよい。液体収容部31の内部のインクの状態を、視認部35を介して確認できればよい。
【0055】
(E7)上記第1実施形態において、分離を規制する手段56,57を設けなくてもよい。
【0056】
(E8)上記第4実施形態において、フィルム部材81は設けなくてもよい。
【0057】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0058】
(1)本開示の一形態によれば、液体補給容器が提供される。この液体補給容器は、液体吐出装置に液体を補給するための液体補給容器であって、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、を備え、前記液体収容部は金属で形成された主要部を有し、前記液体収容部と前記注出部のうちの少なくとも一方は、透明または半透明の部材で形成された視認部を有する。
この形態によれば、液体収容部の主要部は金属で形成されるため、再利用に適している。また、液体収容部と注出部のうちの少なくとも一方に透明または半透明の部材で形成された視認部を有するため、視認部を通して液体収容部内の液体の色、あるいは液体の量を視認することができ、ユーザーにとって利便性が良い。金属製の液体収容部を注出部から取り外して内部の液体を確認する必要がないため、液漏れや液体の飛散を回避できる。
【0059】
(2)上記形態の液体補給容器において、前記視認部は、前記液体収容部の高さ方向に沿って配設されていてもよい。この形態によれば、液体収容部の高さ方向全体に対しての液体の残量を視認しやすく、ユーザーによって利便性がよい。
【0060】
(3)上記形態の液体補給容器において、前記視認部は、前記液体収容部の高さの半分未満の底部側に配設されていてもよい。この形態によれば、液体の残量が少なくなってきた状態を視認できるため、ユーザーが新たな補給容器を準備しやすい。
【0061】
(4)上記形態の液体補給容器において、前記視認部は、前記主要部とは別体の部材に形成され、前記別体の部材は前記主要部に接続されていてもよい。この形態によれば、主要部と別体の部材との構成であるため、一体である場合と比較して、比較的製造が容易である。また、視認部が、主要部とは別体の部材に形成されるため、液体補給容器の再利用時において、視認部や主要部を取り外すことができ、各部を洗浄しやすく、短時間で洗浄と乾燥を行うことができる。さらに、視認部を取り外してそこから液体収容部に液体を注入することも可能になる。
【0062】
(5)上記形態の液体補給容器において、前記視認部と前記主要部との接続は前記主要部の係合部と前記別体の部材の係合部との係合により行われ、前記主要部の前記係合部は、前記主要部を画定する側壁の内側に形成されていてもよい。この形態によれば、金属製の主要部の係合部が外部から見えないため、視認部を誤って取り外すことを抑制しやすい構成とできる。
【0063】
(6)上記形態の液体補給容器において、前記注出部は前記キャップ部に覆われない非被覆部を有し、前記視認部は前記非被覆部に配設されていてもよい。この形態によれば、視認部は、キャップ部に覆われないため、視認部を介して液体の状態を視認しやすい。
【0064】
(7)上記形態の液体補給容器において、前記注出部内に配設される弁構造をさらに備え、前記弁構造は、高さ方向において前記視認部に対しオフセットした位置に配設されていてもよい。この形態によれば、視認部の内部に弁構造が配設されないため、視認部を介して液体の状態を視認しやすい。
【0065】
(8)上記形態の液体補給容器において、前記液体補給容器に関する情報が前記主要部に表示されていてもよい。この形態によれば、型番、色、QRコード等の必要な情報が金属製の主要部に表示されるため、視認部には表示する必要がない、あるいはそのような情報が記載されたフィルムで視認部が覆われる必要がない。よって、液体の状態を視認しやすく、利便性がよい。
【0066】
(9)本開示の一形態によれば、液体補給容器が提供される。この液体補給容器は、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と接続され、液体を注出する注出口を有する注出部と、前記注出部に装着され、前記注出口を覆うキャップ部と、を備え、前記液体収容部は透明または半透明のガラスで形成されていてもよい。
この形態によれば、液体収容部がガラスで形成されているため、再利用に適している。また、液体収容部は透明または半透明であるため、液体収容部内の液体を視認しやすい。さらに、液体が空になった場合でも、樹脂製の液体収容部と比較してある程度の重みがあるため、液体収容部の底を設置した状態で倒れにくい。そのため、注出部から残液が漏れにくい。また、回収の際、整列させやすい。
【0067】
(10)上記形態において、前記注出部の壁は樹脂で形成されていてもよい。この形態によれば、ガラス製の液体収容部に対し注出部の壁は樹脂製とすることにより、重量増加を抑制できる。
【0068】
(11)上記形態において、前記液体収容部の表面に、透明または半透明のフィルム部材が装着されていてもよい。この形態によれば、液体収容部の表面にフィルム部材が装着されているため、ガラスがフィルム部材により保護されて、液体収容部の割れ、傷、欠け等を抑制できる。また、フィルム部材に型番、色等の情報を記載する仕様とした場合、再利用の際は、ガラスの液体収容部は再利用し、フィルム部材は剥がして別の情報を記載したフィルム部材に交換することも可能である。
【0069】
(12)上記形態において、前記注出部は、前記液体収容部に対し分離を規制する手段により接続されていてもよい。この形態によれば、注出部が意図せずに液体収容部から外れて液体が漏れることが抑制される。また、外れた注出部の再接続時に内部のシール部材のズレ、接続不良等の不具合が生じ、液体が漏れることも抑制される。
【0070】
また、本開示は、インクジェット方式に限らず、インク以外の他の液体を吐出する任意の液体吐出装置へ液体を補給する液体補給容器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,2,3,4…液体補給容器、11,21,31,41…液体収容部、12,22,32,42…注出部、13,23,33,43…キャップ部、14,24,34…主要部、15,25,35…視認部、16…注出口、17…弁構造、18…大径部、19…縮径部、20…小径部、26…底部カバー部、29…ねじ、36…非被覆部、37…大径部、38…中径部、39…小径部、40…ボトルねじ部、51,52,53…目盛、54…QRコード、55…パッキン、56,57…分離を規制する手段、61…突起、62…突出部、63…爪部、64…爪受部、71,72…ねじ部(係合部)、73…ねじ係合部、81…フィルム部材、100…プリンター、110…筐体、160…インクタンク収容ユニット、162…蓋、164…封止キャップ部材、165…封止キャップ、700,700L,700S…インクタンク、710…インク入口流路部材