(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081933
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240612BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/165 211
B41J2/17 201
B41J2/165 301
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195526
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智二
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EA27
2C056FA15
2C056JA01
2C056JA04
2C056JA06
2C056JA13
2C056JB05
2C056JC06
2C056JC10
2C056JC13
2C056JC23
2C056KB13
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】待機キャップと液体受け部を吐出部移動機構に搭載すると、液体吐出装置に必要なスペースが大きくなる虞がある。
【解決手段】液体吐出装置100は、ベース部101と、印刷領域PAにおいてノズルNから媒体Mにインクを吐出する液体吐出部10と、ベース部101の奥行方向および走査方向に移動可能に液体吐出部10を保持する吐出部移動機構40と、ノズルNから廃液として吐出されるインクを受ける液体受け部81と、ノズルNが開口する空間を形成可能な待機キャップ71と、を備え、液体受け部81は、印刷領域PAの奥行方向に亘って移動可能に吐出部移動機構40に設けられ、待機キャップ71は、液体受け部81が移動する移動領域RAと走査方向に隣り合うベース部101のメンテナンス領域MAに配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
ノズルから媒体に液体を吐出することで印刷を行う液体吐出部と、
前記ベース部に設けられる吐出部移動機構であって、前記ベース部の奥行方向および前記奥行方向と交差する走査方向に移動可能に、前記液体吐出部を保持する前記吐出部移動機構と、
前記ベース部に設けられる媒体支持部であって、前記液体吐出部が前記印刷を行う印刷領域において前記媒体を支持する前記媒体支持部と、
前記ノズルから廃液として吐出される前記液体を受けることが可能な液体受け部と、
前記ノズルが開口する空間を形成可能な待機キャップと、
を備え、
前記液体受け部は、前記印刷領域の前記奥行方向に亘って移動可能に前記吐出部移動機構に設けられ、
前記待機キャップは、前記液体受け部が移動する移動領域と前記走査方向に隣り合う前記ベース部のメンテナンス領域に配置される、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記メンテナンス領域に、前記ノズルが設けられる前記液体吐出部のノズル面を払拭可能な払拭部を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記奥行方向に沿う方向から見て、前記待機キャップは前記払拭部と重なる位置に設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記メンテナンス領域は、前記走査方向において、前記移動領域と前記印刷領域との間に位置する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
吸引クリーニングにおいて前記ノズルから吸引される前記液体を廃液として受ける吸引キャップを前記メンテナンス領域に備え、
前記待機キャップは、前記ベース部のうち前記液体吐出部が待機する待機位置に対応する位置に設けられ、
前記吸引キャップおよび前記払拭部は、前記奥行方向に沿う方向から見て、前記待機キャップと重なる位置に設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記液体受け部の下方に設けられ前記液体受け部から排出される前記液体を受容する液体トレイを備え、
前記液体トレイは、前記移動領域の前記奥行方向に亘って設けられる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置であって、
前記液体受け部は、前記液体トレイに前記液体を排出する排出口を備え、
前記排出口は、前記液体トレイの内側となる位置に配置される、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出装置であって、
前記液体受け部は、前記排出口に向かって断面積が小さくなるテーパー流路を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動ユニットに搭載されるヘッドから媒体に対してインクを吐出するインクジェット記録装置が開示されている。インクは液体の一例であり、ヘッドは液体吐出部の一例であり、インクジェット記録装置は液体吐出装置の一例である。また、ヘッドは、主走査方向に移動可能に、移動ユニットに搭載されることが開示されている。吐出部移動機構の一例である移動ユニットは、媒体に対して主走査方向と直交する副走査方向に移動する。また、移動ユニットには、ヘッドの吐出面を覆うキャップ部材と、ヘッドのフラッシング動作時に排出されるインクを受けとめるインク受け部材とが搭載されることが開示されている。キャップ部材は待機キャップの一例であり、インク受け部材は液体受け部の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、キャップ部材とインク受け部材を移動ユニットに搭載すると移動ユニットが大型化する。その結果、移動ユニットの移動に必要なスペースを確保するために、装置に必要なスペースが大きくなってしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、ベース部と、ノズルから媒体に液体を吐出することで印刷を行う液体吐出部と、前記ベース部に設けられる吐出部移動機構であって、前記ベース部の奥行方向および前記奥行方向と交差する走査方向に移動可能に、前記液体吐出部を保持する前記吐出部移動機構と、前記ベース部に設けられる媒体支持部であって、前記液体吐出部が前記印刷を行う印刷領域において前記媒体を支持する前記媒体支持部と、前記ノズルから廃液として吐出される前記液体を受けることが可能な液体受け部と、前記ノズルが開口する空間を形成可能な待機キャップと、を備え、前記液体受け部は、前記印刷領域の前記奥行方向に亘って移動可能に前記吐出部移動機構に設けられ、前記待機キャップは、前記液体受け部が移動する移動領域と前記走査方向に隣り合う前記ベース部のメンテナンス領域に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態としての液体吐出装置の外観を示す模式平面図。
【
図3】液体吐出部が待機位置に位置する状態の液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図4】液体吐出部が印刷領域に位置する状態の液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図5】液体吐出部が液体受け部に対向する状態の液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図6】液体吐出部がクリーニング部に対向する状態の液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図7】液体吐出部が払拭される前の位置にある液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図8】液体吐出部が払拭された後の位置にある液体吐出装置を示す模式平面図。
【
図9】本開示の一実施形態としてのメンテナンス部の概略構成を示す斜視図。
【
図11】クリーニング部および液体受容部における液体の流れを示す概略図。
【
図12】本開示の一実施形態としての液体受容部の概略構成を示す断面図。
【
図13】本開示の一実施形態としての払拭体が払拭可能位置にある状態を示す断面図。
【
図14】払拭体が離隔位置にある状態を示す断面図。
【
図16】液体トレイの他の実施形態を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に基づいて本開示が説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。尚、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることのみを指さない。例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、測定誤差を考慮して同じである場合を含むものとする。
【0008】
また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合を含むものとする。また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0009】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0010】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面はX-Y面、X軸,Z軸を含む平面はX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面はY-Z面として説明される。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0011】
1.実施形態1
本実施形態において、液体吐出装置100は、インクジェット式プリンターとして構成され、媒体Mにインクを吐出して画像を形成する。インクは、液体の一例である。媒体Mは用紙に限らず、プラスチックフィルム、板材、硬質のパネルまたは段ボール等でもよいし、布やTシャツ等の衣服であってもよい。
【0012】
図1、
図2に示すように、液体吐出装置100は、矩形箱状の筐体を形成する平板状のベース部101、外装部材102、および上部カバー104を備える。上部カバー104は、筐体内にアクセス可能な開状態と、閉状態とを取り得るように外装部材102に取り付けられる。液体吐出装置100は、筐体内に、液体吐出部10と、インク供給部20と、媒体支持機構30と、吐出部移動機構40と、メンテナンス部MPと、制御部300とを備える。
【0013】
図2に示すように、液体吐出部10は、インクを+Z方向に吐出する複数のノズル列12が設けられるノズル面11を有する。液体吐出部10は、ノズル面11がX-Y面に沿う姿勢で後述するキャリッジ15に搭載される。
【0014】
ノズル列12は複数のノズルNがY軸方向に並ぶことで形成される。印刷領域PAにおいて、液体吐出部10は、不図示の吐出素子を駆動制御することで、ノズル列12を構成する複数のノズルNから+Z方向にインクを吐出して媒体Mに印刷を行う。本実施形態では、複数のノズル列12は、ノズル列12a、ノズル列12b、ノズル列12c、ノズル列12d、ノズル列12e、ノズル列12f、ノズル列12g、およびノズル列12hを含む。
【0015】
本実施形態において、ノズルNから吐出するインクとしては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトの合計5色のインクであり、各インクを、8列のノズル列12a~12hから吐出する。例えば、ブラックインクはノズル列12fから吐出され、シアンインクはノズル列12cから吐出され、マゼンタインクはノズル列12dから吐出され、イエローインクはノズル列12eから吐出される。そして、ホワイトインクはノズル列12a,12b,12g,12hから吐出される。あるいは、ホワイトインクはノズル列12a,12bから吐出されてもよい。この場合、ノズル列12g,12hは使用されない。尚、上記5色に限らずライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、など、任意の色のインクをノズル列12a~12hから吐出してもよい。
【0016】
媒体支持機構30は、液体吐出部10が媒体Mに印刷を行う印刷領域PAにおいて、媒体Mを支持する。媒体支持機構30は、媒体Mを支持する媒体支持部31を有する。媒体支持部31は、媒体Mを支持する媒体支持面32と、X軸方向に間隔を置いて設けられる一対の摺動部33L,33Rと、を有する。
【0017】
媒体支持機構30は、
図2に示す印刷位置と
図1に示すセット位置とに移動可能に媒体支持部31を支持する。セット位置は、媒体Mを媒体支持部31にセット可能な位置である。印刷位置は、液体吐出部10が媒体支持部31に支持される媒体Mに印刷を行うときの位置である。よって、本実施形態では、
図2に示すように、液体吐出装置100を-Z方向から見たときの、印刷位置にある媒体支持部31の媒体支持面32の範囲が印刷領域PAである。
図2において、印刷領域PAはドットパターンで示す範囲になる。セット位置は、印刷位置に対して+Y方向であって、外装部材102の前面103より+Y方向側に位置する。
図1では、印刷位置にある媒体支持部31を二点鎖線で示す。
【0018】
媒体支持機構30は、媒体支持部31の摺動部33L,33RをY軸方向に摺動可能にガイドする一対のガイドレール34L,34Rを有する。また、媒体支持機構30は、摺動部33Rが固定される搬送ベルト35と、搬送用モーター36と、プーリー37と、を有する。ガイドレール34L,34Rはベース部101に取り付けられる。よって、媒体支持部31は、ベース部101に対して移動可能に取り付けられる。搬送ベルト35は、搬送用モーター36とプーリー37との間に巻き掛けられている。搬送用モーター36が駆動制御されることにより、搬送ベルト35は、Y軸方向に往復移動する。
【0019】
搬送用モーター36が駆動制御されることにより、搬送ベルト35に摺動部33Rが固定される媒体支持部31も、Y軸方向に往復移動する。また、これにより、媒体支持部31は、媒体支持面32が印刷領域PAに位置する印刷位置と、セット位置と、の間をY軸方向に往復移動する。
【0020】
吐出部移動機構40は、上述のキャリッジ15に加えて、キャリッジ支持部41と、搬送ベルト42と、移動用モーター43と、プーリー44と、を備える。キャリッジ支持部41は、X軸方向に間隔を置いて設けられる一対の摺動部45L,45Rと、を有する。また、キャリッジ15は、ノズル面11がX-Y面に沿い、ノズルNからインクを+Z方向に吐出可能な状態で液体吐出部10を搭載する。キャリッジ15は、搬送ベルト42に取り付けられている。搬送ベルト42は、移動用モーター43とプーリー44との間に巻き掛けられている。
【0021】
また、吐出部移動機構40は、キャリッジ支持部41の摺動部45L,45RをY軸方向に摺動可能にガイドする一対のガイド軸46L,46Rと、搬送ベルト47と、移動用モーター48と、プーリー49とを備える。ガイド軸46L,46Rは、ベース部101に取り付けられる。よって、吐出部移動機構40は、ベース部101に設けられる。キャリッジ支持部41の摺動部45Rは、搬送ベルト47に取り付けられている。搬送ベルト47は、移動用モーター48とプーリー49との間に巻き掛けられている。
【0022】
移動用モーター43が駆動制御されることにより、搬送ベルト42は、X軸方向に往復移動する。搬送ベルト42がX軸方向に往復移動することにより、搬送ベルト42に取り付けられているキャリッジ15およびキャリッジ15に搭載される液体吐出部10も、X軸方向に往復移動する。X軸方向は走査方向の一例である。本実施形態において、走査方向は、+X方向および-X方向である。
【0023】
尚、キャリッジ支持部41には、後述する液体受容部80の液体受け部81が着脱可能に取り付けられる受け部装着部41hが設けられる。受け部装着部41hは、キャリッジ15に搭載される液体吐出部10がX軸方向に往復移動する走査領域のうち、X軸方向において、印刷領域PAの+X方向側となる位置に配置される。
【0024】
移動用モーター48が駆動制御されることにより、搬送ベルト47は、Y軸方向に往復移動する。移動用モーター48が駆動制御されることにより、搬送ベルト47に摺動部45Rが取り付けられているキャリッジ支持部41も、Y軸方向に往復移動する。これにより、キャリッジ支持部41に搬送ベルト42を介して取り付けられるキャリッジ15およびキャリッジ15に搭載される液体吐出部10も、Y軸方向に往復移動する。また、これにより、キャリッジ支持部41の受け部装着部41hに取り付けられる液体受け部81も、Y軸方向に往復移動する。
【0025】
よって、移動用モーター43および移動用モーター48が駆動制御されることにより、液体吐出部10は、X軸方向およびY軸方向に往復移動する。換言すると、吐出部移動機構40は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に、液体吐出部10を保持する。これにより、液体吐出部10は、印刷領域PA、X軸方向において印刷領域PAの-X方向側となる領域、およびX軸方向において印刷領域PAの+X方向側となる領域の-Z方向側を移動可能となる。また、液体吐出部10は、Y軸方向において印刷領域PAの-Y方向側となる領域、およびY軸方向において印刷領域PAの+Y方向側となる領域の-Z方向側を移動可能となる。
【0026】
インク供給部20は、液体吐出部10にインクを供給する。インク供給部20は、供給流路22と、液体収容体21および洗浄液収容体251を装着可能な液体収容体装着部29と、を備える。液体収容体装着部29は装着部の一例である。
図1から
図8に示すように、液体収容体装着部29はベース部101に取り付けられる。
図1、
図2に示すように、液体収容体装着部29は、X軸方向において、印刷領域PAの-X方向側となる領域に設けられる。換言すると、液体収容体装着部29は、X軸方向において、印刷領域PAに対して後述するメンテナンス領域MAとは反対側となる領域に設けられる。
【0027】
液体収容体装着部29は、Y軸方向における+Y方向側となる外装部材102の前面103から液体収容体21を着脱可能に設けられる。本実施形態の液体収容体装着部29は、液体収容体21および洗浄液収容体251を着脱可能な装着スロットを六つ有する。六つの装着スロットは、Z軸方向に並ぶように設けられる。Y軸方向は、ベース部101の奥行方向の一例である。本実施形態において、奥行方向は、+Y方向および-Y方向である。また、+Y方向側はベース部101の手前側の一例であり、-Y方向側はベース部101の奥側の一例である。
【0028】
本実施形態では、
図15に示すように、複数の液体収容体21は、ブラックインクを収容する液体収容体21aを含む。また、複数の液体収容体21は、シアンインクを収容する液体収容体21bを含む。また、複数の液体収容体21は、マゼンタインクを収容する液体収容体21cを含む。また、複数の液体収容体21は、イエローインクを収容する液体収容体21dを含む。また、複数の液体収容体21は、ホワイトインクを収容する液体収容体21eを含む。
【0029】
本実施形態では、+Z方向側から順に、洗浄液収容体251、液体収容体21b、液体収容体21c、液体収容体21d、液体収容体21a、液体収容体21eがZ軸方向に並んで液体収容体装着部29に装着される。
【0030】
本実施形態の複数の液体収容体21と、洗浄液収容体251とは、液体収容体装着部29に対してZ軸方向に並んで装着されるが、例えば、液体収容体装着部29に対してX軸方向に並んで装着されてもよい。また、本実施形態の液体収容体21は交換可能なカートリッジタイプのタンクであるが、インクを注入可能な注入部と、注入部から注入されたインクを収容する収容室と、を備える継ぎ足しタイプのタンクであってもよい。この場合、インク供給部20は、液体収容体21および洗浄液収容体251を含む。
【0031】
供給流路22は、液体収容体装着部29に装着される液体収容体21が収容するインクが液体吐出部10に向けて流れるように、液体収容体装着部29と液体吐出部10とを接続する。供給流路22は、液体収容体装着部29に装着される液体収容体21とキャリッジ15に設けられる液体吐出部10とを接続する。本実施形態の供給流路22は、例えば、可撓性を有する樹脂チューブで構成される。
【0032】
図15に示すように、供給流路22は、装着部側端部22gと、第1変形部22hと、中間部22kと、第2変形部22mと、吐出部側端部22nと、を有する。装着部側端部22gは、液体収容体装着部29に装着される液体収容体21と接続可能に、液体収容体装着部29に固定される領域である。第1変形部22hは、キャリッジ15を介してキャリッジ支持部41に取り付けられる液体吐出部10のY軸方向への移動に追従して変形可能な領域である。第1変形部22hは、装着部側端部22gから-Y方向に延び、湾曲部により-Z方向に延び、+Y方向および+Z方向に向きを変えた後、中間部22kに続く。
【0033】
中間部22kは、第1変形部22hから+X方向に延びる部分が吐出部移動機構40のキャリッジ支持部41に固定される。第2変形部22mは、キャリッジ15および搬送ベルト42を介してキャリッジ支持部41に取り付けられる液体吐出部10のX軸方向への移動に追従して変形可能な領域である。第2変形部22mは、中間部22kから続いて-X方向に延び、湾曲部により-Z方向に延び、+X方向に向きを変えた後、吐出部側端部22nに続く。吐出部側端部22nは、第2変形部22mから液体吐出部10に向かって+Y方向側となる斜め前方に延び、液体吐出部10に固定される。
【0034】
液体吐出装置100は、媒体Mに対してノズルNからインクを吐出することで印刷を行う場合、媒体Mを支持する媒体支持部31が印刷位置にある状態で、吐出部移動機構40を駆動する。これにより、
図4に示すように、液体吐出装置100は、ノズル列12を構成するノズルNのいずれかが印刷領域PAに位置する媒体Mと対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。そして、液体吐出装置100は、液体吐出部10をX軸方向に往復移動させることと、液体吐出部10を+Y方向に移動させることと、を繰り返しながら、液体吐出部10に媒体Mに対してノズルNからインクを吐出させることで印刷を行う。
【0035】
メンテナンス部MPは、液体吐出部10のメンテナンスを行う。
図1、
図2に示すように、メンテナンス部MPは、ベース部101のうち、X軸方向において印刷領域PAの+X方向側となる領域に設けられる。メンテナンス部MPは、払拭部50と、クリーニング部60と、待機部70と、液体受容部80と、廃液収容部90とを有する。
【0036】
図2から
図10に示すように、払拭部50、クリーニング部60、および待機部70は、Y軸方向に並んで配置される。本実施形態では、払拭部50、クリーニング部60、および待機部70は、Y軸方向の-Y方向側から+Y方向側に向かって、待機部70、クリーニング部60、払拭部50の順に配置される。
【0037】
図1から
図11に示すように、廃液収容部90は、廃液収容体91と、廃液収容体装着部99と、を備える。廃液収容体91は、液体吐出部10から排出されるインクを廃液として収容可能である。
図10に示すように、廃液収容体装着部99はベース部101に取り付けられる。
図1、
図2に示すように、廃液収容体装着部99は、X軸方向において、印刷領域PAの+X方向側であって、Y軸方向においてベース部101の中央より+Y方向側となる位置に設けられる。
【0038】
廃液収容体装着部99は、Y軸方向における+Y方向側となる外装部材102の前面103から廃液収容体91を着脱可能に設けられる。また、廃液収容体装着部99は、Z軸方向に沿う方向から見た場合、廃液収容体装着部99の少なくとも一部が後述する払拭部50の払拭体51と重なる位置に設けられる。廃液収容体装着部99は、装着される廃液収容体91に接続されることで、廃液収容体91に廃液としてインクを排出する排出管97を備える。
【0039】
液体受容部80は、液体吐出部10から廃液として吐出されるインクを受容する。
図2から
図9、
図11、
図12に示すように、液体受容部80は、液体受け部81と、液体トレイ85と、を有する。液体受け部81は、吐出部移動機構40のキャリッジ支持部41が備える受け部装着部41hに取り付けられる。尚、
図9では、
図8に示す位置にある液体受け部81を表している。また、
図11、
図12では、
図5に示す位置にある液体受け部81を表している。
【0040】
受け部装着部41hに取り付けられる液体受け部81は、X軸方向において、印刷領域PAの+X方向側に位置する。受け部装着部41hに取り付けられる液体受け部81は、X軸方向に沿う方向から見て、液体吐出部10の+Z方向となる真下に位置する。また、受け部装着部41hに取り付けられる液体受け部81は、印刷領域PAのY軸方向となる奥行方向に亘って移動可能となる。
【0041】
以後、キャリッジ支持部41のY軸方向への移動によって、
図2から
図8に示すように液体受け部81がY軸方向に移動する領域を移動領域RAと称する。また、X軸方向において、移動領域RAと印刷領域PAとの間となる領域をメンテナンス領域MAと称する。メンテナンス領域MAには、払拭部50、クリーニング部60、待機部70、廃液収容部90が配置される。
【0042】
液体受け部81は、取付け部82と、吸収部材83と、吸収部材保持部84と、を備える。取付け部82は、+Z方向側に、テーパー流路82tと、Z軸方向に貫通する排出口82dとを有する。テーパー流路82tは、取付け部82の側壁と排出口82dとをつなぐ。テーパー流路82tは、排出口82dに向かう+Z方向ほど断面積が小さくなるテーパー形状を有する。
【0043】
吸収部材83は、インクを保持可能であって、かつインクが+Z方向に通過可能な吸収部材で形成される。吸収部材83は、例えば、インクを吸収可能な不織布で形成される。吸収部材保持部84は、吸収部材83を保持する。吸収部材保持部84は、吸収部材83がテーパー流路82t、および排出口82dの-Z方向側を覆うように、取付け部82に取り付けられる。吸収部材保持部84には、吸収部材83が液体吐出部10から吐出されるインクを受けることが可能に、吸収部材83の-Z方向側となる位置に複数の貫通穴が設けられる。
【0044】
液体受け部81は、液体吐出部10から廃液として吐出されるインクを受ける。液体受け部81は、受けたインクを、吸収部材83に一時的に保持する。そして、液体受け部81が受けたインクの量が吸収部材83のインク保持可能な量より多くなると、インクがテーパー流路82tを介して、排出口82dから+Z方向に排出される。
【0045】
本実施形態では、
図5に示すように、液体受け部81が液体吐出部10から吐出されるインクを受けることが可能な範囲の寸法は、X軸方向において、ノズル列12aとノズル列12hとの間の寸法より大きく設定される。尚、液体受け部81が液体吐出部10から吐出されるインクを受けることが可能な範囲の寸法は、X軸方向において、ノズル列12aとノズル列12hとの間の寸法より小さくてもよい。また、液体受け部81が液体吐出部10から吐出されるインクを受けることが可能な範囲の寸法は、Y軸方向において、ノズル列12のY軸方向の幅より大きく設定される。
【0046】
図9から
図12に示すように、液体トレイ85は、液体受け部81の+Z方向側に設けられ、液体受け部81から排出されるインクを受容する。液体トレイ85は、廃液収容体装着部99に取り付けられる固定部材151に固定される。液体トレイ85は、固定部材151、廃液収容体装着部99を介して、ベース部101に固定される。液体トレイ85は、液体受け部81から移動領域RAの鉛直下方となる+Z方向に排出されるインクを受容可能な液体受容室89を有する。液体受容室89は、液体受け部81から排出されるインクを受容可能に、-Z方向に向かって開口する。
【0047】
図7、
図11、
図12に示すように、液体受容室89の開口の-Y方向側の端は、印刷領域PAより-Y方向側に位置する。また、液体受容室89の開口の+Y方向側の端は、印刷領域PAより+Y方向側に位置する。換言すると、液体トレイ85が有する液体受容室89の開口は、Y軸方向において、移動領域RAのY軸方向に亘って設けられる。また、液体受容室89には、仕切り壁88pが設けられる。仕切り壁88pは、印刷領域PAより-Y方向側に位置する。
【0048】
液体受容室89には、液体受容室89の開口を介して、液体受け部81の排出口82dが挿入される。換言すると、液体受け部81の排出口82dの+Z方向側の端は、液体トレイ85が有する液体受容室89の内側となる位置に配置される。液体受容室89の開口のX軸方向の寸法は、排出口82dのX軸方向の外形寸法より大きく設定される。尚、本実施形態では、液体受容室89の開口のX軸方向の寸法は、液体受け部81のX軸方向の寸法より小さく設定される。
【0049】
図9、
図11、
図12に示すように、液体受容室89には、後述する第2廃液チューブ69を介して液体受容室89からインクが流出する流出部87が設けられる。
図7に示すように、流出部87は、仕切り壁88pより-Y方向側に設けられる。すなわち、流出部87は、印刷領域PAより-Y方向側に設けられる。
図9、
図11、
図12に示すように、液体受容室89のY軸方向に延びる底面88は、トレイ底面88sと流出部87とによって構成される。流出部87の底壁には、第2廃液チューブ69が接続される流出口87pが設けられる。また、流出部87の+Y方向側の側壁には、後述する洗浄液排出流路204が接続される導入口87rが設けられる。これにより、洗浄液排出流路204および導入口87rを介して、キャップ洗浄部200から流出部87に洗浄液が流入する。
【0050】
液体吐出装置100は、液体受容部80の液体受け部81に向けて、液体吐出部10のノズルNから廃液としてインクを吐出するフラッシングを行う場合、吐出部移動機構40の移動用モーター43を駆動制御する。移動用モーター43の駆動を制御することで、ノズル列12a~12hのうちフラッシングを行ういずれかが液体受け部81と対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。
図5では、ノズル列12a~12hが液体受け部81と対向する。
【0051】
そして、液体吐出装置100は、液体吐出部10のノズルNからインクを吐出させることで、フラッシングを行う。液体受け部81は、フラッシングにおいて、液体吐出部10のノズルNから吐出されるインクを吸収部材83に受ける。液体受け部81の吸収部材83が受けたインクは、排出口82dから液体トレイ85の液体受容室89に排出される。
【0052】
払拭部50は、液体吐出部10のノズルNが設けられるノズル面11を払拭可能にベース部101のメンテナンス領域MAに設けられる。
図2、
図9、
図10に示すように、払拭部50は、払拭体51と、払拭体装着部59と、払拭部駆動機構57と、払拭部モーター58と、を備える。払拭部50は、廃液収容部90の-Z方向側に設けられる。払拭部50は、廃液収容体装着部99を介してベース部101に固定される。
【0053】
払拭体装着部59は、Y軸方向において、ベース部101の中央より+Y方向側となる位置に設けられる。払拭体装着部59は、上部カバー104の+Z方向となる鉛直下方に配置される。払拭体装着部59は、上部カバー104を開状態とすることで、-Z方向側となる上方から払拭体51を着脱可能に設けられる。
【0054】
図13、
図14に示すように、払拭体51は、帯状部材52と、巻き出し軸53と、巻取り軸54と、押し当て部材55と、ケース56と、により構成される。巻き出し軸53、巻取り軸54、および押し当て部材55は、ケース56に回転可能に設けられる。巻取り軸54は、巻き出し軸53より+Y方向側に設けられる。押し当て部材55は、Y軸方向において巻き出し軸53と巻取り軸54との間に位置し、Z軸方向において巻き出し軸53および巻取り軸54より-Z方向側に位置する。
【0055】
帯状部材52は、液体を吸収可能なシート状の吸収体で形成される。帯状部材52のX軸方向における寸法は、
図7、
図8に示すように、ノズル面11のX軸方向における寸法より大きく設定されることが望ましいが、ノズル面11のX軸方向における寸法より小さくてもよい。
図13、
図14に示すように、帯状部材52は、巻き出し軸53から巻き出されて巻取り軸54に巻き取られる途中で、押し当て部材55に-Z方向に押されるように、ケース56に収容される。本実施形態では、帯状部材52が液体吐出部10のノズル面11に接触した状態で、液体吐出部10が払拭部50に対してY軸方向に移動することで、ノズル面11の払拭が行われる。
【0056】
払拭部駆動機構57は、払拭部モーター58が駆動制御されることで、払拭体装着部59および払拭体装着部59に装着される払拭体51を、払拭可能位置と離隔位置とに、移動させる。払拭可能位置は、
図13に示すように、ケース56から-Z方向に露出する帯状部材52がノズル面11に接触可能な位置であり、離隔位置は、
図14に示す帯状部材52がノズル面11に接触しない位置である。また、払拭部駆動機構57は、払拭部モーター58が駆動制御されることで、巻き出し軸53から巻き出されてノズル面11の払拭に使用された帯状部材52を巻取り軸54に巻き取る。
【0057】
液体吐出装置100は、払拭部50によるノズル面11の払拭を行う場合、払拭部駆動機構57を駆動することで、払拭体51を払拭可能位置に移動させる。そして、液体吐出装置100は、吐出部移動機構40を駆動することで、
図7に示すように、液体吐出部10を帯状部材52の-Y方向側となる位置に移動させる。さらに、液体吐出装置100は、液体吐出部10を+Y方向に移動させることで、
図13に示すように、払拭可能位置にある帯状部材52にノズル面11を接触させる。さらに、液体吐出装置100は、
図13に矢印で示すように、液体吐出部10を+Y方向に移動させることで、払拭部50によるノズル面11の払拭を行う。
【0058】
さらに、液体吐出装置100は、
図8に示すように、液体吐出部10のノズル面11を帯状部材52の+Y方向側となる払拭終了位置まで移動させ、ノズル面11の払拭を終了する。ノズル面11の払拭を行った後、例えば、
図8に示す払拭終了位置から
図3に示す待機位置SPに向けて、液体吐出部10を-Y方向に移動させる場合、液体吐出装置100は、払拭部駆動機構57を駆動する。これにより、液体吐出装置100は、払拭体装着部59および払拭体装着部59に装着される払拭体51を、
図14に白抜きの矢印で示すように、払拭可能位置から離隔位置に移動させる。そして、液体吐出装置100は、吐出部移動機構40を駆動することで、液体吐出部10を-Y方向に移動させ、払拭部50の鉛直上方となる-Z方向側を通過させる。
【0059】
クリーニング部60は、メンテナンス領域MAに設けられる。クリーニング部60は、液体吐出部10のノズルNからインクを強制的に排出させるクリーニングを実行可能にベース部101に設けられる。
図2、
図9、
図10に示すように、クリーニング部60は、吸引キャップ61と、吸引キャップ保持部62と、クリーニング部駆動機構63と、クリーニング部モーター64と、吸引ポンプ65と、キャップ洗浄部200とを備える。吸引ポンプ65は吸引部の一例である。クリーニング部60は、廃液収容部90の-Z方向側に設けられる。クリーニング部60は、廃液収容体装着部99を介してベース部101に固定される。
【0060】
吸引キャップ61は、Y軸方向に沿う方向から見て、払拭部50の払拭体51と重なる位置に設けられる。
図6では、液体吐出部10のノズル列12のうち中央より+X方向側に位置するノズル列12g,12hと吸引キャップ61が対向する位置にある。このとき、ノズル面11が印刷領域PAと対向しないように、吸引キャップ61は、印刷領域PAに対して+X方向側となる領域内に設けられる。その結果、X軸方向における吸引キャップ61と印刷領域PAとの間の寸法は、X軸方向におけるノズル面11の寸法より大きい。
【0061】
図9、
図11に示すように、吸引キャップ61は、液体吐出部10のノズル面11に接触することで、複数のノズルNが開口する空間を形成可能な凹部66を有する。吸引キャップ61は、ノズルNが開口する空間を形成可能なキャップCPの一例である。吸引キャップ61のうち、-Z方向側の端に位置し、液体吐出部10のノズル面11に接触する部分をリップ部とも言う。
図2、
図9、
図10に示すように、吸引キャップ61は吸引キャップ保持部62に保持される。
【0062】
図2、
図10から
図12に示すように、吸引キャップ61は、第1廃液チューブ68、継手95、および第3廃液チューブ96を介して、インクを廃液として収容する廃液収容体91と通じている。第1廃液チューブ68は、吸引キャップ61の排出部67(
図11参照)と、継手95と、を接続する。第2廃液チューブ69は、液体トレイ85における流出部87の流出口87pと、継手95と、を接続する。継手95は、第1廃液チューブ68および第2廃液チューブ69と、廃液収容体装着部99の排出管97と接続される第3廃液チューブ96と、を接続する。
【0063】
クリーニング部駆動機構63は、クリーニング部モーター64を駆動制御することで、吸引キャップ保持部62を、Z軸方向に移動する。吸引キャップ61は、吸引キャップ保持部62がZ軸方向に移動することで、ノズル面11に接触しない非キャッピング位置とノズル面11に接触する吸引可能位置との間をZ軸方向に移動する。また、クリーニング部駆動機構63は、クリーニング部モーター64を駆動制御することで、吸引ポンプ65に吸引動作を行わせる。
【0064】
本実施形態の吸引ポンプ65は、第1廃液チューブ68および第2廃液チューブ69を圧し潰しながらローラーが軸中心に回転するチューブポンプであり、第1吸引部65Aと第2吸引部65Bとを有する。第1吸引部65Aは、吸引キャップ61が形成する空間を吸引可能に第1廃液チューブ68に設けられる。第2吸引部65Bは、液体受容部80の液体受容室89内を吸引可能に第2廃液チューブ69に設けられる。なお、第1吸引部65Aと第2吸引部65Bとは、X軸方向に並んで設けられるが、
図11では、吸引キャップ61から廃液収容体91までのインクの流れを示すために、クリーニング部60の構成を概念的に示している。
【0065】
液体吐出装置100は、クリーニング部60によるクリーニングを行う場合、吸引キャップ61が非キャッピング位置にある状態で、吐出部移動機構40を駆動する。これにより、液体吐出装置100は、ノズル列12a~12hのうちいずれかが吸引キャップ61と対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。
図6では、液体吐出部10は、ノズル列12g,12hが吸引キャップ61と対向する位置にある。
【0066】
そして、クリーニング部駆動機構63を駆動することで、吸引キャップ61が非キャッピング位置から吸引可能位置に移動する。そして、
図11に示すように、ノズル列12g,12hを構成する複数のノズルNが開口する空間が形成される。さらに、クリーニング部駆動機構63を駆動することで、吸引ポンプ65の第1吸引部65Aおよび第2吸引部65Bが白抜きの矢印で示すように回転し、吸引ポンプ65が吸引動作を行う。
【0067】
吸引ポンプ65が吸引動作を行うことで、ノズルNが開口する空間を第1吸引部65Aが吸引し、ノズル列12g,12hを構成する複数のノズルNからインクが吸引キャップ61の凹部66に排出される。廃液として吸引キャップ61の凹部66が受けたインクは、
図11に矢印で示すように、第1廃液チューブ68、継手95、第3廃液チューブ96、廃液収容体装着部99の排出管97を介して廃液収容体91内に流入し、収容される。
【0068】
また、吸引ポンプ65が吸引動作を行うことで、第2吸引部65Bが液体受容室89内を吸引する。液体受容室89における流出部87内のインクは、
図11、
図12に矢印で示すように、流出口87p、第2廃液チューブ69、継手95、第3廃液チューブ96、廃液収容体装着部99の排出管97を介して廃液収容体91内に流入し、廃液として収容される。第2廃液チューブ69は流出流路の一例であり、第2吸引部65Bは流出ポンプの一例である。
【0069】
キャップ洗浄部200は、吸引キャップ61を洗浄可能に、クリーニング部60に設けられる。
図2、
図9から
図11に示すように、キャップ洗浄部200は、洗浄液供給流路201と、洗浄液供給部202と、洗浄液トレイ203と、洗浄液排出流路204とを備える。
【0070】
洗浄液供給流路201は、液体収容体装着部29に装着される洗浄液収容体251と、吸引キャップ61とを接続する。洗浄液供給部202は、洗浄液供給流路201の途中に設けられ、洗浄液収容体251内の洗浄液を吸引キャップ61に供給する。洗浄液供給部202は、例えば、洗浄液供給流路201の途中に設けられる送りポンプである。送りポンプとしては、洗浄液供給流路201の途中に設けられるポンプ室の容積を変化させることで洗浄液の吸込および吐出を行うダイヤフラムポンプ、吸引ポンプ65と同様のチューブポンプ等が採用できる。
【0071】
洗浄液トレイ203は、吸引キャップ61の+Z方向側に配置され、吸引キャップ61に供給されて吸引キャップ61から溢れる洗浄液を受ける。
図11に示すように、洗浄液排出流路204は、吸引キャップ61から溢れた洗浄液を洗浄液トレイ203から排出可能に、洗浄液トレイ203と液体トレイ85とを接続する。
【0072】
液体吐出装置100は、キャップ洗浄部200による吸引キャップ61の洗浄を行う場合、吸引キャップ61が非キャッピング位置にある状態で、洗浄液供給部202の洗浄液供給部202を駆動する。これにより、液体吐出装置100は、洗浄液収容体251に収容される洗浄液を、吸引キャップ61内に流入させる。吸引キャップ61内への洗浄液の流入により吸引キャップ61内が洗浄される。
【0073】
吸引キャップ61内への洗浄液の供給を引き続き行うと、吸引キャップ61のリップ部を介して、吸引キャップ61から洗浄液が溢れる。洗浄液は、リップ部を洗浄しながら吸引キャップ61から溢れ、洗浄液トレイ203に受容される。洗浄液トレイ203は、液体トレイ85における液体受容室89の流出部87より-Z方向側に位置する。すなわち、洗浄液トレイ203と液体受容室89の流出部87とは、水頭差を有するように配置される。これにより、洗浄液トレイ203が受容した洗浄液は、洗浄液排出流路204を介して、液体トレイ85の液体受容室89の流出部87に排出される。
【0074】
待機部70は、メンテナンス領域MAに設けられる。待機部70は、液体吐出部10のノズルNが開口する空間を形成可能にベース部101に設けられる。
図2、
図9、
図10に示すように、待機部70は、待機キャップ71と、待機キャップ保持部72と、待機キャップ昇降機構73と、待機部モーター74と、を備える。待機部70は、Y軸方向において、印刷領域PAよりも-Y方向側に設けられる。
【0075】
本実施形態における待機キャップ71は、ノズル列12a,12bに対応する待機キャップ71aを含む。また、待機キャップ71は、ノズル列12c,12dに対応する待機キャップ71bを含む。また、待機キャップ71は、ノズル列12e,12fに対応する待機キャップ71cを含む。また、待機キャップ71は、ノズル列12g,12hに対応する待機キャップ71dを含む。
図9に示すように、待機キャップ71は、液体吐出部10のノズル面11に接触することで、複数のノズルNが開口する空間を形成可能な凹部76を有する。待機キャップ71a,71b,71c,71dは、ノズルNが開口する空間を形成可能なキャップCPの一例である。待機キャップ71a,71b,71c,71dのうち、-Z方向側の端に位置し、液体吐出部10のノズル面11に接触する部分をリップ部とも言う。
【0076】
待機キャップ保持部72は、待機キャップ71a,71b,71c,71dを保持する。待機キャップ昇降機構73は、待機部モーター74を駆動制御することで、待機キャップ保持部72を、Z軸方向に移動する。待機キャップ71は、待機キャップ保持部72がZ軸方向に移動することで、ノズル面11に接触しない非キャッピング位置とノズル面11に接触するキャッピング位置との間をZ軸方向に移動する。
【0077】
キャッピング位置に位置する待機キャップ71a,71b,71c,71dは、液体吐出部10のノズル面11に接触する。これにより、キャッピング位置に位置する待機キャップ71a,71b,71c,71dは、対応するノズル列12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hを構成するノズルNが開口する空間を形成する。このように、待機キャップ71が、ノズルNが開口する空間を形成するキャッピングを待機キャッピングという。待機キャッピングにより、ノズルNを介して液体吐出部10内のインクから水分が蒸発することを抑制することができる。
【0078】
待機キャップ71a,71b,71c,71dは、X軸方向において、印刷領域PAと移動領域RAとの間となる位置に設けられる。また、待機キャップ71a,71b,71c,71dは、Y軸方向に沿う方向から見て、払拭部50の払拭体51と重なる位置に設けられる。待機キャップ71a,71b,71c,71dは、Y軸方向において、印刷領域PAよりも-Y方向側に設けられる。なお、待機キャップ71は、ノズル列12a~12hを構成する全てのノズルNをまとめて囲み、キャッピングする構成としてもよい。
【0079】
液体吐出部10による印刷動作が行われない非印刷時に、液体吐出装置100は、待機部70による待機キャッピングを行う。この場合、液体吐出装置100は、待機キャップ71が非キャッピング位置にある状態で、吐出部移動機構40を駆動する。これにより、液体吐出装置100は、
図3に示すように、ノズル列12a~12hが待機キャップ71a,71b,71c,71dと対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。
【0080】
そして、待機キャップ昇降機構73を駆動することで、待機キャップ71が非キャッピング位置からキャッピング位置に移動する。これにより、各ノズル列12a~12hを構成する複数のノズルNが開口する4つの空間が形成される。非印刷時におけるキャリッジ15および液体吐出部10の待機位置SPは、待機キャッピングを行う位置になる。よって、待機キャップ71は、ベース部101のうち液体吐出部10が待機する待機位置SPに対応する位置に設けられる。換言すると、非印刷時に、キャリッジ15および液体吐出部10は、ノズルNが開口する空間を待機部70の待機キャップ71が形成可能な待機位置SPに位置する。
【0081】
図1に示すように、制御部300は、CPU(Central Processing Unit)310と、記憶部320とを有する。CPU310は、記憶部320に記憶された各種プログラムを実行することができ、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。記憶部320には、例えば、液体吐出部10のメンテナンスを行うプログラム等の各種プログラムや、各種テーブル等が記憶されている。制御部300は、液体吐出装置100の全体を制御する。
【0082】
例えば、吸引キャップ61の洗浄を行う場合、制御部300は、吸引キャップ61が非キャッピング位置にある状態で、洗浄液供給部202を駆動する。これにより、制御部300は、洗浄液収容体251に収容される洗浄液を、吸引キャップ61内に流入させる。そして、吸引キャップ61内への洗浄液の流入により吸引キャップ61内が洗浄される。尚、吸引キャップ61の洗浄を行うときのキャリッジ15の位置は、例えば、キャリッジ15の底面が吸引キャップ61のリップ部に対面する位置である。
【0083】
吸引キャップ61内への洗浄液の供給を引き続き行うと、吸引キャップ61のリップ部を介して、吸引キャップ61から洗浄液が溢れる。洗浄液は、リップ部を洗浄しながら吸引キャップ61から溢れ、洗浄液トレイ203に受容される。制御部300は、吸引キャップ61に向けて洗浄液の供給を所定量行うと、洗浄液供給部202の駆動を停止する。
【0084】
洗浄液トレイ203が受容した洗浄液は、洗浄液排出流路204を介して、液体トレイ85の液体受容室89における流出部87に排出される。流出部87に排出された洗浄液は、流出部87に貯留される。吸引キャップ61の洗浄を実行すると、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、液体吐出部10を待機位置SPに移動させる。そして、制御部300は、待機キャップ昇降機構73を制御することで、待機キャップ71を非キャッピング位置からキャッピング位置に移動させ、待機部70による待機キャッピングを行う。
【0085】
液体吐出部10が待機位置SPに位置するとき、液体受け部81の排出口82dは流出部87の-Z方向となる鉛直上方に位置する。このため、液体吐出部10が待機位置SPに位置するとき、液体受け部81の排出口82dから排出されるインクは、液体受容室89の流出部87に向けて落下する。換言すると、液体トレイ85は、洗浄液排出流路204を介して流入する洗浄液を液体受容室89の流出部87に貯留した状態で、液体受け部81の排出口82dから排出されるインクを液体受容室89の流出部87に受ける。
【0086】
尚、液体吐出部10が待機位置SPとは異なる位置のうち何れかの位置に位置する時間と比較して、液体吐出部10が待機位置SPに位置する時間は長い。このため、液体受け部81の排出口82dが液体受容室89のトレイ底面88sのうち何れかの位置に位置する時間と比較して、液体受け部81の排出口82dが流出部87の鉛直上方に位置する時間は長い。よって、液体受容室89のトレイ底面88sのうち何れかの位置に排出口82dから排出されるインクの量と比較して、流出部87に排出口82dから排出されるインクの量は多い。
【0087】
また、例えば、媒体Mに対して印刷を行う場合、制御部300は、媒体支持機構30を制御することで、媒体Mがセットされた媒体支持部31をセット位置から印刷位置に移動させ、媒体Mを印刷領域PAに配置する。次に、制御部300は、待機部70を制御することで、待機キャップ71をキャッピング位置から非キャッピング位置に移動させ、待機キャッピングを解除する。
【0088】
次に、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、待機位置SPからノズルNのいずれかが媒体Mと対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。そして、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、液体吐出部10をX軸方向に往復移動させることと、液体吐出部10を+Y方向に移動させることと、を繰り返す。これにより、制御部300は、液体吐出部10に媒体Mに対してノズルNからインクを吐出させることで印刷を行う。
【0089】
また、制御部300は、例えば印刷中に所定の時間が経過した場合、吐出部移動機構40を制御することで、液体受容部80の液体受け部81と対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。そして、制御部300は、液体受け部81に向けて液体吐出部10のノズルNからインクを吐出させるフラッシングを行う。
【0090】
また、液体吐出部10のメンテナンスを行う場合、制御部300は、吸引キャップ61が非キャッピング位置にある状態で、吐出部移動機構40を制御する。これにより、制御部300は、ノズル列12a~12hのうちいずれかが吸引キャップ61と対向する位置に、液体吐出部10を移動させる。そして、制御部300は、クリーニング部駆動機構63を制御することで、吸引キャップ61を吸引可能位置に移動し、吸引ポンプ65に吸引動作を行わせる。そして、制御部300は、クリーニング部駆動機構63を制御することで、吸引キャップ61を吸引可能位置から非キャッピング位置に移動させる。
【0091】
次に、制御部300は、払拭部駆動機構57を制御することで、払拭体51を払拭可能位置に移動させる。そして、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、液体吐出部10を帯状部材52の-Y方向側となる位置に移動させる。さらに、制御部300は、液体吐出部10を+Y方向に移動させることで、払拭部50によるノズル面11の払拭を行う。
【0092】
次に、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、液体受容部80の液体受け部81と対向する位置に、液体吐出部10を移動させ、液体吐出部10のノズルNからインクを吐出させるフラッシングを行う。液体吐出部10のメンテナンスが終了すると、制御部300は、吐出部移動機構40を制御することで、液体吐出部10を待機位置SPに移動させる。そして、制御部300は、待機キャップ昇降機構73を制御することで、待機キャップ71を非キャッピング位置からキャッピング位置に移動させ、待機部70による待機キャッピングを行う。
【0093】
以上述べたように、実施形態1に係る液体吐出装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0094】
液体吐出装置100は、ベース部101と、ノズルNから媒体Mにインクを吐出することで印刷を行う液体吐出部10と、を備える。また、液体吐出装置100は、ベース部101に設けられる吐出部移動機構40であって、ベース部101のY軸方向およびY軸方向と交差するX軸方向に移動可能に、液体吐出部10を保持する吐出部移動機構40を備える。また、液体吐出装置100は、ベース部101に設けられる媒体支持部31であって、液体吐出部10が印刷を行う印刷領域PAにおいて媒体Mを支持する媒体支持部31を備える。また、液体吐出装置100は、ノズルNから廃液として吐出されるインクを受けることが可能な液体受け部81を備える。また、液体吐出装置100は、ノズルNが開口する空間を形成可能な待機キャップ71を備える。そして、液体受け部81は、印刷領域PAのY軸方向に亘って移動可能に吐出部移動機構40に設けられ。そして、待機キャップ71は、液体受け部81が移動する移動領域RAとX軸方向に隣り合うベース部101のメンテナンス領域MAに配置される。これによれば、待機キャップ71が吐出部移動機構40とともに移動しないので、待機キャップ71がY軸方向に移動するスペースを確保する必要がない。よって、液体吐出装置100が動作するために必要なスペースを小さくすることができる。
【0095】
液体吐出装置100は、メンテナンス領域MAに、ノズルNが設けられる液体吐出部10のノズル面11を払拭可能な払拭部50を備える。これによれば、払拭部50が吐出部移動機構40とともに移動しないので、払拭部50がY軸方向に移動するスペースを確保する必要がない。よって、液体吐出装置100が動作するために必要なスペースを小さくすることができる。
【0096】
Y軸方向に沿う方向から見て、待機キャップ71は払拭部50と重なる位置に設けられる。これによれば、液体吐出装置100のX軸方向への大型化を抑えることができる。
【0097】
メンテナンス領域MAは、X軸方向において、移動領域RAと印刷領域PAとの間に位置する。これによれば、液体受け部81に向かって行われるフラッシングにより発生するミストが印刷領域PAに付着することを抑制できる。
【0098】
液体吐出装置100は、吸引クリーニングにおいてノズルNから吸引されるインクを廃液として受ける吸引キャップ61をメンテナンス領域MAに備える。そして、待機キャップ71は、ベース部101のうち液体吐出部10が待機する待機位置SPに対応する位置に設けられる。そして、吸引キャップ61および払拭部50は、Y軸方向に沿う方向から見て、待機キャップ71と重なる位置に設けられる。これによれば、液体吐出装置100のX軸方向への大型化を抑えることができる。
【0099】
液体吐出装置100は、液体受け部81の下方に設けられ液体受け部81から排出されるインクを受容する液体トレイ85を備え、液体トレイ85は、移動領域RAのY軸方向に亘って設けられる。これによれば、液体トレイ85が吐出部移動機構40とともに移動しないので、液体トレイ85がY軸方向に移動するスペースを確保する必要がない。よって、液体吐出装置100が動作するために必要なスペースを小さくすることができる。
【0100】
液体受け部81は、液体トレイ85にインクを排出する排出口82dを備え、排出口82dは、液体トレイ85の内側となる位置に配置される。これによれば、液体受け部81から排出されるインクを液体トレイ85に容易に導くことができる。
【0101】
液体受け部81は、排出口82dに向かって断面積が小さくなるテーパー流路82tを備える。これによれば、排出口82dを小さくできるので、液体トレイ85の大型化を抑えることができる。よって、液体吐出装置100の大型化を抑えることができる。
【0102】
本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置100は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0103】
上記実施形態において、液体受容室89に、仕切り壁88pはなくてもよい。また、液体受容室89の底面88を構成するトレイ底面88sは、液体受容室89の+Y方向側の端から-Y方向側となる流出口87pに向かうにつれて+Z方向となるように傾斜していてもよい。この場合、トレイ底面88sは、傾斜部の一例である。また、この場合、トレイ底面88sは、Y軸方向において、液体受容室89の+Y方向側の端から-Y方向側となる待機位置SPに向かうにつれて+Z方向となるように傾斜していると言える。
【0104】
また、この場合、液体吐出装置100は、吸引キャップ61が廃液として受けたインクあるいは吸引キャップ61に供給される洗浄液を、液体受容室89に流入させてもよい。例えば、
図16に示すように、液体受容室89に、第1廃液チューブ68を介して液体受容室89にインクを流入させる流入口86が設けられる。流入口86は、Y軸方向において、トレイ底面88sの+Y方向側の端と流出部87との間に位置し、液体トレイ85の+X方向側の側壁に設けられる。また、流入口86は、Z軸方向において、流出部87より-Z方向側に位置する。これにより、
図16に矢印で示すように、流入口86から液体受容室89に流入するインクは、トレイ底面88sに沿って、流出部87に向かって流動する。また、この場合、継手95は、第2廃液チューブ69と、廃液収容体装着部99の排出管97と接続される第3廃液チューブ96と、を接続する。そして、吸引キャップ61は、第1廃液チューブ68、液体受容室89、第2廃液チューブ69、継手95、第3廃液チューブ96、および排出管97を介して、廃液収容体91と通じる。
【0105】
上述の傾斜部の一例であるトレイ底面88sを備える液体吐出装置100によれば、以下の効果を得ることができる。液体吐出装置100が備える液体トレイ85は、液体受け部81から受けたインクを排出する流出口87pと、Y軸方向に延びる底面88とを備える。また、底面88は、流出口87pに向かって下方に傾斜するトレイ底面88sを有する。これによれば、液体トレイ85に受容するインクを液体トレイ85から適切に排出することができる。
【0106】
また、液体吐出装置100は、ベース部101に、ノズルNが開口する空間を形成可能な待機キャップ71を備える。待機キャップ71は、ベース部101のうち液体吐出部10が待機する待機位置SPに対応する位置に設けられる。そして、トレイ底面88sは、Y軸方向において、待機位置SPに向かって下方に傾斜する。これによれば、液体トレイ85において、待機キャップ71に近い側にインクが多く排出されるため、液体トレイ85に受容するインクを液体トレイ85から効率的に排出することができる。
【0107】
また、液体吐出装置100は、ノズルNが開口する空間を形成可能な吸引キャップ61であって、クリーニングにおいてノズルNから排出されるインクを廃液として受ける吸引キャップ61を備える。そして、液体トレイ85は、吸引キャップ61から排出されるインクを受ける。これによれば、吸引クリーニングにより排出されるインクを液体トレイ85で流動させることができるので、液体トレイ85内におけるインクの堆積を抑制できる。
【0108】
上記実施形態において、Z軸方向における洗浄液トレイ203と流出部87との間となる位置に、トレイ底面88sを配置してもよい。これにより、トレイ底面88sは、洗浄液トレイ203より+Z方向側に位置する。また、トレイ底面88sは、流出部87より-Z方向側に位置する。そして、吸引キャップ61の洗浄において流出部87に排出された洗浄液を、流出部87およびトレイ底面88sを含む液体受容室89に貯留してもよい。この場合、液体受け部81の排出口82dから排出されるインクは、液体受容室89に貯留される洗浄液に向けて落下する。換言すると、液体トレイ85は、洗浄液排出流路204を介して流入する洗浄液を液体受容室89に貯留した状態で、液体受け部81の排出口82dから排出されるインクを液体受容室89に受ける。
【0109】
上記実施形態において、液体受容部80は、X軸方向において、メンテナンス領域MAの+X方向側に配置されなくてもよい。例えば、液体受容部80は、X軸方向において、印刷領域PAとメンテナンス領域MAとの間となる位置に配置されてもよい。この場合、移動領域RAは、X軸方向において、印刷領域PAとメンテナンス領域MAとの間の領域となる。
【0110】
上記実施形態において、待機部70は、X軸方向において、印刷領域PAと移動領域RAとの間となる位置に設けられなくてもよい。例えば、待機部70は、X軸方向において、印刷領域PAと重なる位置に配置されてもよい。
【0111】
上記実施形態において、待機部70、クリーニング部60、払拭部50は、Y軸方向における-Y方向側から+Y方向側に向かって、待機部70、クリーニング部60、払拭部50の順に配置されなくてもよい。例えば、待機部70、クリーニング部60、払拭部50は、Y軸方向における-Y方向側から+Y方向側に向かって、クリーニング部60、待機部70、払拭部50の順に配置されてもよい。
【0112】
上記実施形態において、払拭体51は、液体吐出部10のノズル面11を払拭可能であれば、帯状部材52を備えなくてもよい。例えば、払拭体51は、払拭部材として短冊状のエラストマー部材を、Y軸方向を厚み方向とする姿勢で備えてもよい。
【0113】
上記実施形態において、払拭体51は、-Z方向側から着脱できなくてもよい。例えば、払拭体51は、Y軸方向における+Y方向側となる外装部材102の前面103から払拭体51を着脱可能に設けられてもよい。
【0114】
上記実施形態において、払拭体51は着脱できなくてもよい。この場合、払拭体装着部59はなくてもよい。この場合、例えば、待機部70、クリーニング部60、払拭部50は、Y軸方向における-Y方向側から+Y方向側に向かって、払拭部50、待機部70、クリーニング部60の順に配置されてもよい。また、この場合、Z軸方向に沿う方向から見た場合、払拭体51は廃液収容体装着部99と重なる位置になくてもよい。
【0115】
上記実施形態において、廃液収容体91は着脱できなくてもよい。この場合、廃液収容体装着部99はなくてもよい。
【0116】
上記実施形態において、液体吐出装置100は、液体収容体装着部29とは別に、洗浄液収容体251を着脱可能な洗浄液収容体装着部を備えてもよい。この場合、液体収容体装着部29に、洗浄液収容体251を着脱可能な装着スロットはなくてもよい。
【0117】
上記実施形態において、洗浄液収容体251は着脱できなくてもよい。この場合、液体収容体装着部29に、洗浄液収容体251を着脱可能な装着スロットはなくてもよい。
【0118】
上記実施形態において、液体収容体装着部29に装着される複数の各液体収容体21と供給流路22との各接続部の下方に、接続部から漏出するインクを受ける漏液受けを設けてもよい。そして、液体収容体装着部29の下方に、漏出したインクを収容する漏液収容部を設け、各装着スロットに設けた漏液受けで受けたインクを漏液収容部に導く導管を設けてもよい。この場合、複数の液体収容体21において固化しやすいインクを収容する液体収容体21が固化しにくいインクを収容する液体収容体21より下方となるように、装着スロットの位置が設定される。これによれば、導管内でのインクの固化により、漏液受けで受けたインクの漏液収容部への収集が滞ることを抑制できる。
【0119】
上記実施形態において、キャップ洗浄部200は、待機キャップ71を洗浄可能であってもよい。この場合、キャップ洗浄部200は、不図示の洗浄液供給流路SC1、洗浄液トレイSC3、および洗浄液排出流路SC4を備えてもよい。洗浄液供給流路SC1は、洗浄液供給部202と、待機キャップ71a,71b,71c,71dとを接続する。洗浄液トレイSC3は、待機キャップ71a,71b,71c,71dの+Z方向側に配置される。洗浄液トレイSC3は、待機キャップ71a,71b,71c,71dに供給されて待機キャップ71a,71b,71c,71dから溢れる洗浄液を受ける。洗浄液排出流路SC4は、待機キャップ71a,71b,71c,71dから溢れた洗浄液を洗浄液トレイSC3から排出可能に、洗浄液トレイSC3と液体トレイ85とを接続する。これによれば、待機キャップ71a,71b,71c,71dを洗浄液により洗浄することができる。また、待機キャップ71a,71b,71c,71dを洗浄した洗浄液を液体トレイ85に流入させることができるので、液体トレイ85内におけるインクの堆積を抑制できる。
【0120】
また、この場合、液体トレイ85は、洗浄液排出流路SC4を介して流入する洗浄液を貯留した状態で、液体受け部81から排出されるインクを受ける。これによれば、液体受け部81から排出されるインクが液体トレイ85内で堆積することを抑制できる。
【符号の説明】
【0121】
10…液体吐出部、11…ノズル面、12,12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h…ノズル列、15…キャリッジ、20…インク供給部、21,21a,21b,21c,21d,21e…液体収容体、22…供給流路、22g…装着部側端部、22h…第1変形部、22k…中間部、22m…第2変形部、22n…吐出部側端部、29…液体収容体装着部、30…媒体支持機構、31…媒体支持部、32…媒体支持面、33L,33R…摺動部、34L,34R…ガイドレール、35…搬送ベルト、36…搬送用モーター、37…プーリー、40…吐出部移動機構、41…キャリッジ支持部、41h…受け部装着部、42…搬送ベルト、43…移動用モーター、44…プーリー、45L,45R…摺動部、46L,46R…ガイド軸、47…搬送ベルト、48…移動用モーター、49…プーリー、50…払拭部、51…払拭体、52…帯状部材、53…巻き出し軸、54…巻取り軸、55…押し当て部材、56…ケース、57…払拭部駆動機構、58…払拭部モーター、59…払拭体装着部、60…クリーニング部、61…吸引キャップ、62…吸引キャップ保持部、63…クリーニング部駆動機構、64…クリーニング部モーター、65…吸引ポンプ、65A…第1吸引部、65B…第2吸引部、66…凹部、67…排出部、68…第1廃液チューブ、69…第2廃液チューブ、70…待機部、71,71a,71b,71c,71d…待機キャップ、72…待機キャップ保持部、73…待機キャップ昇降機構、74…待機部モーター、76…凹部、80…液体受容部、81…液体受け部、82…取付け部、82d…排出口、82t…テーパー流路、83…吸収部材、84…吸収部材保持部、85…液体トレイ、86…流入口、87…流出部、87p…流出口、87r…導入口、88…底面、88p…仕切り壁、88s…トレイ底面、89…液体受容室、90…廃液収容部、91…廃液収容体、95…継手、96…第3廃液チューブ、97…排出管、99…廃液収容体装着部、100…液体吐出装置、101…ベース部、102…外装部材、103…前面、104…上部カバー、151…固定部材、200…キャップ洗浄部、201…洗浄液供給流路、202…洗浄液供給部、203…洗浄液トレイ、204…洗浄液排出流路、251…洗浄液収容体、300…制御部、310…CPU、320…記憶部、CP…キャップ、M…媒体、MA…メンテナンス領域、MP…メンテナンス部、PA…印刷領域、RA…移動領域、SC1…洗浄液供給流路、SC3…洗浄液トレイ、SC4…洗浄液排出流路、SP…待機位置。