(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081941
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195547
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 葉子
(72)【発明者】
【氏名】峰松 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】文字山 竜
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB09
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604QB04
5H604QB14
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ、周方向において隣り合う2つのバスバーの距離を確保するモータを提供する。
【解決手段】モータは、複数のコイルを有するステータと、複数のバスバーと、前記複数のバスバーを保持するホルダと、を備える。前記ホルダは、軸方向に延在する突出部が設けられている。周方向において、前記バスバーの端部と前記突出部とが係合している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルを有するステータと、
複数のバスバーと、
前記複数のバスバーを保持するホルダと、
を備え、
前記ホルダは、軸方向に延在する突出部が設けられており、
周方向において、前記バスバーの端部と前記突出部とが係合している、
モータ。
【請求項2】
外部装置と電気的に接続する複数の端子を備え、
前記ホルダは、径方向において、内周縁と、外周縁とを有し、
前記複数の端子は、前記内周縁と前記外周縁との間に配置されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数のバスバーは、前記ステータの外周部に隣接して配置された複数の接続面を備え、
前記複数のコイルは、前記複数の接続面に接続される、
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記端子は、前記周方向において前記複数の接続面から外れた位置に配置される、
請求項3に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの巻き線と、外部リード線とを接続するリードフレームを有するモールド端子台が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
リードフレームは、いわゆるバスバーであって、導電性の材料で、周方向に延在するように形成される。また、モールド端子台は、リードフレームを保持する絶縁製のホルダを備える。
【0004】
さらに、複数のバスバーを備えるモータにおいて、隣り合う2つのバスバーを周方向に配置する場合、2つのバスバー同士を絶縁するため、周方向において、2つのバスバーの間に所用の間隔が必要となる。
【0005】
そして、従来のモータにおいて、バスバーの周方向の端部に円形の孔を設ける一方、ホルダに当該孔に挿入されるピンを設け、ピンを孔に挿入することによって、バスバーをホルダに保持するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したモータには、大型化を抑制しつつ、周方向において隣り合う2つのバスバーの距離を確保する点に関して改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、大型化を抑制しつつ、周方向において隣り合う2つのバスバーの距離を確保することができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、複数のコイルを有するステータと、複数のバスバーと、前記複数のバスバーを保持するホルダと、を備え、前記ホルダは、軸方向に延在する突出部が設けられており、周方向において、前記バスバーの端部と前記突出部とが係合している。
【0010】
一つの態様によれば、本発明に係るモータは、大型化を抑制しつつ、周方向において隣り合う2つのバスバーの距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るモータの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すモータが有するステータの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すモータが備えるバスバーを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すモータが備えるホルダを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すモータが有するステータ、第2のバスバー、および、第2のホルダを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2のホルダの一部および第2のバスバーの一部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すモータが備える突出部および係合部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るモータの斜視図である。
【
図13】
図13は、
図9に示すモータが有するステータ、第2のバスバー、および、第2のホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るモータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すモータ1の平面図である。
図3は、
図1に示すモータ1が有するステータ4の斜視図である。
図4は、
図1に示すモータ1が備えるバスバー5を示す斜視図である。
図5は、
図1に示すモータ1が備えるホルダ6を示す斜視図である。
図6は、
図1に示すモータ1が有するステータ4、および、第2のバスバー52、および、第2のホルダ62を示す斜視図である。
図7は、第2のホルダ62の一部および第2のバスバー52の一部を示す斜視図である。
図8は、
図1に示すモータ1が備える突出部62dおよび係合部522cを示す斜視図である。なお、
図3で示すステータ4において、説明の便宜のため、コア40の一部を省略し、複数のティース41にうち一部のティース41の一部を省略してあり、複数のインシュレータ42のうち、一部のインシュレータ42を省略してあり、かつ、複数のコイル43のうち、一部のコイル43を省略してある。また、
図6、
図7において、説明の便宜のため、シャフト2およびロータ3を省略してある。さらに、
図6および
図7において、説明の便宜のため、第1のホルダ61および第1のバスバー51を省略してある。また、
図8において、説明の便宜のため、第1のバスバー51を省略してあり、かつ、第1のホルダ61を仮想線で示してある。
【0014】
第1実施形態に係るモータ1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述するシャフト2が延びる方向を軸方向Aと呼び、後述するロータ3が回転する方向を周方向Cと呼び、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト2の軸心2oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと呼ぶ。
【0015】
第1実施形態に係る
図1に示すモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ3を基準とすると、当該ロータ3の径方向Rの外側にステータ4が位置する一方、当該ロータ3の径方向Rの内側にシャフト2が位置するインナーロータ型である。
【0016】
第1実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト2の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0017】
モータ1は、例えば、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、バスバー5と、ホルダ6と、端子7と、不図示のカバーと、を備える。シャフト2は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延びる略円柱状に形成される。シャフト2は、軸心2oを有し(
図2に参照)、かつ、当該軸心2oを中心に回転可能に設けられる。シャフト2は、周方向Cに回転することで動力を外部に伝達する。
【0018】
ロータ3は、シャフト2の軸心2oを中心に回転可能に設けられる。また、本実施形態に係るモータ1は、シャフト2とロータ3とを一体として形成してある。
【0019】
ロータ3は、
図2に示すように、径方向Rにおいてステータ4の内側(シャフト2側)に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ4の径方向Rの内側にロータ3が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。
【0020】
ロータ3は、ヨーク31と、複数のマグネット32と、を有する。ヨーク31は、例えば鉄等の磁性材料で形成される。
【0021】
マグネット32は、例えば、永久磁石によって構成される。複数のマグネット32は、例えば、周方向Cに沿って等間隔に並べられる。本実施形態に係るロータ3は、例えば、14個のマグネット32を有する。
【0022】
ステータ4は、ロータ3を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ4は、
図3に示すように、例えば、1つのコア40と、複数のティース41と、複数のインシュレータ42と、複数のコイル43と、を備える。
【0023】
コア40は、例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の磁性体(金属部材)を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。コア40は、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。
【0024】
ティース41のそれぞれは、径方向Rにおいて、コア40の内周面からロータ3側へ突出するように形成される。本実施形態に係るステータ4は、例えば、18個のティース41を備える。
【0025】
インシュレータ42は、例えば、絶縁性の樹脂等により形成されてティース41の表面に装着され、ティース41とコイル43との間の絶縁性を確保する。本実施形態に係るステータ4は、例えば、18個のインシュレータ42を備える。
【0026】
コイル43は、例えば、インシュレータ42を介してティース41に巻線を巻き回して形成される。巻線は、導電性の芯線(不図示)と、芯線の周囲を被覆する絶縁性の被覆部(不図示)と、を有する。
【0027】
本実施形態に係るコイル43は、ティース41に巻線を巻き回すことで形成される。巻線は、ティース41に巻き回された部分43aと、両端部に位置してティース41から引き出された引出線43bとを有する。引出線43bは、バスバー5を介して例えば不図示の電源に対して電気的に接続される。つまり、コイル43は、電源(不図示)に対して電気的に接続される。本実施形態に係るステータ4は、例えば、18個のコイル43を有する。
【0028】
バスバー5は、例えば、導電性を有する金属によって形成される。本実施形態に係るモータ1は、
図4に示すように、複数の第1のバスバー51(
図1、
図2参照)と、複数の第2のバスバー52(
図6参照)と、を有する。
【0029】
第1のバスバー51は、後述する第1のホルダ61に保持され、第1のホルダ61に対して軸方向Aの一方側に配置される(
図1参照)。本実施形態に係るモータ1は、複数(例えば3個)の第1のバスバー51を有する。
【0030】
第1のバスバー51における軸方向Aの他方側の裏面には、コイル43の引出線43bの端部が電気的に接続される。また、第1のバスバー51は、本体51aと、接続部51bと、孔部51cと、を有する。本体51aは、軸方向Aにおいて、第1のホルダ61の本体61aの表面に接触する。
【0031】
接続部51bは、本体51aから径方向Rの一方側(シャフト2から離れる側)に向けて突出し、その後、軸方向Aの一方側(ステータ4から離れる側)に向けて突出する。接続部51bには、例えば、コイル43の引出線43bが接続される。接続部51bは、径方向Rの外側に接続面51bfを有する。ところで、第1のバスバー51は、
図1に示すように、ステータ4に対して軸方向Aの一方側に配置される。そのため、接続面51bfは、軸方向Aにおいて、ステータ4の外周部4oに隣接して配置される。
【0032】
孔部51cは、
図4に示すように、本体51aを軸方向Aに貫通する。本実施形態に係る第1のバスバー51は、複数の孔部51cを有する。複数の孔部51cのうちの一部は、第1のホルダ61に形成された第1突出部61dに係合し(
図1参照)、複数の孔部51cのうちの残りの部分には、後述する端子7が挿通される(
図1参照)。
【0033】
第2のバスバー52は、後述する第2のホルダ62に保持され、かつ、第2のホルダ62における本体62aの軸方向Aの一方側に位置する表面上に配置される(
図6参照)。本実施形態に係るモータ1は、複数(例えば15個)の第2のバスバー52を有する。
【0034】
第2のバスバー52における軸方向Aの他方側の裏面は、コイル43の引出線43bの端部が電気的に接続される。本実施形態に係る第2のバスバー52は、第2のホルダ62に取り付けられた端子7から所定の距離だけ離れており、端子7に対して非接触である。
【0035】
複数の第2のバスバー52には、周方向Cに延在する部分521a1と、径方向Rに延在する部分521a2とを有する本体521aを備える一方の第2のバスバー521、および、周方向Cに延在する部分で構成される本体522aを備える他方の第2のバスバー522が含まれる。
【0036】
一方の第2のバスバー521は、本体521aと、接続部521bと、孔部521cと、を有する。本体521aは、第2のホルダ62の本体62aに形成された溝部62bに挿入され、第2のホルダ62の本体62aに接触する。
【0037】
接続部521bは、本体521aから径方向Rの一方側(シャフト2から離れる側)に向けて突出し、その後、軸方向Aの一方側(ステータ4から離れる側)に向けて突出する。接続部521bには、例えば、コイル43の引出線43bが接続される。接続部521bは、径方向Rの外側に向いた接続面521bfを有する。ところで、一方の第2のバスバー521は、
図1に示すように、ステータ4に対して軸方向Aの一方側に配置される。そのため、接続面521bfは、軸方向Aにおいて、ステータ4の外周部4oに隣接して配置される。
【0038】
孔部521cは、
図4に示すように、本体521aを軸方向Aに貫通する。本実施形態に係る第2のバスバー52は、複数の孔部521cを有する。複数の孔部521cには、第2のホルダ62に形成された突出部62dが挿通される。
【0039】
他方の第2のバスバー522は、本体522aと、接続部522bと、係合部522cと、を有する。本体522aは、第2のホルダ62の本体62aに形成された溝部62bに挿入され、第2のホルダ62の本体62aに接触する。
【0040】
接続部522bは、本体522aから径方向Rの一方側(シャフト2から離れる側)に向けて突出し、その後、軸方向Aの一方側(ステータ4から離れる側)に向けて突出する。接続部522bには、例えば、他の機器の端子等が接続される。接続部522bは、径方向Rの外側に向いた接続面522bfを有する。ところで、他方の第2のバスバー522は、
図1に示すように、ステータ4に対して軸方向Aの一方側に配置される。そのため、接続面522bfは、軸方向Aにおいて、ステータ4の外周部4oに隣接して配置される。
【0041】
係合部522cは、本体522aの周方向Cの端部に形成される。また、本実施形態に係る係合部522cは、
図7、
図8に示すように、軸方向Aから視た場合、本体522aの径方向Rにおける中央に配置される。つまり、係合部522cは、
図7に示すように、本体522aにおける中央線522CLを基準に、線対称に形成される。また係合部522cは、例えば、半円の弧状に形成される。そして、係合部522cは、
図7、
図8に示すように、周方向Cにおいて、接続部522bが配置された場所から外れた位置に配置される。そして、係合部522cは、後述する第2のホルダ62に形成された突出部62dに係合する。
【0042】
ホルダ6は、絶縁性を有する樹脂によって形成される。本実施形態に係るモータ1は、
図5に示すように、第1のホルダ61(
図1参照)と、第2のホルダ62(
図6参照)と、を有する。
【0043】
第1のホルダ61は、軸方向Aから視た場合、環状に形成され、径方向Rの最も内側に位置する内周縁61iと、径方向Rの最も外側に位置する外周縁61oと、を有する。
【0044】
第1のホルダ61は、本体61aと、本体61aにおける軸方向Aの一方側の表面に形成され、周方向Cに延在する壁部61bと、本体61aに形成された複数の孔部61cと、本体61aにおける軸方向Aの一方側の表面から、軸方向Aの一方側へ突出する第1突出部61dと、本体61aにおける軸方向Aの他方側の裏面から、軸方向Aの他方側にある第2のホルダ62に向けて突出する第2突出部61fと、を有する。その上、第1のホルダ61は、本体61aにおける軸方向Aの他方側の裏面に形成され、軸方向Aにおいて、裏面から表面へ向けて凹む不図示の凹部を有する。凹部は、図示省略するが、本体61aに複数形成される。
【0045】
壁部61bは、複数の第1のバスバー51の間に配置される。つまり、第1のホルダ61は、周方向Cに延在する複数の壁部61bを有する。壁部61bは、第1のホルダ61における本体61aの軸方向Aの一方側の表面において、軸方向Aの一方側へ突出するように形成される。そのため、第1のホルダ61の径方向Rにおける大きさが大型化することを抑制しながら、壁部61bによって、複数の第1のバスバー51のうち、一方の第1のバスバー51と他方の第1のバスバー51との間の沿面距離を長くすることができる。
【0046】
孔部61cは、例えば、本体61aを軸方向Aにおいて貫通するように形成される。孔部61cは、例えば、円形に形成され、軸方向Aにおいて端子7が挿通される。
【0047】
第1突出部61dは、例えば、円柱状に形成され、かつ、第1のバスバー51の孔部51cに挿通される。第1突出部61dは、孔部51cに挿通された後、第1突出部61dの先端部が潰される。潰された第1突出部61dの先端は、孔部51cの大きさよりも大きくなっている。このため、第1突出部61dにより、第1のホルダ61から第1のバスバー51が脱落することを防止できる。
【0048】
第2のホルダ62は、軸方向Aから視た場合、環状に形成され、径方向Rにおいて最も内側に位置する内周縁62iと、径方向Rにおいて最も外側に位置する外周縁62oと、を有する。
【0049】
第2のホルダ62は、本体62aと、本体62aにおける軸方向Aの一方側の表面に形成された溝部(凹部)62bと、本体62aに形成された複数の孔部62cと、本体61aにおける軸方向Aの一方側の表面から、軸方向Aの一方側へ突出する突出部62dと、本体62aにおける軸方向Aの一方側の表面に形成され、軸方向Aの他方側へ向けて凹む凹部62fと、を有する。
【0050】
溝部62bは、本体62aにおける軸方向Aの一方側の表面から他方側への裏面へ向けて凹むように形成され、第2のバスバー52の本体521a、522aを収容可能に形成される。このような溝部62bは、ホルダ6に複数形成される。また、溝部62bは、周方向Cに延在する部分と、径方向Rに延在する部分と、を有する。
【0051】
孔部62cは、例えば、本体62aを軸方向Aにおいて貫通するように形成される。孔部62cは、例えば、円形に形成される。
【0052】
突出部62dは、例えば、円柱状に形成される。つまり、突出部62dは、軸方向Aから視た場合、円形に形成される。本実施形態に係る第2のホルダ62は、複数の突出部62dを有する。複数の突出部62dのうちの一部は、一方の第2のバスバー521の孔部521cに挿通させ、複数の突出部62dのうちの残りは、他方の第2のバスバー522の係合部522cに係合させる。その後、作業者は、第1のホルダ61における軸方向Aの他方側の裏面に形成された凹部に突出部62dを係合させる。そのため、第2のホルダ62に複数の第2のバスバー52を保持させた後、第2のホルダ62の突出部62dを、第1のホルダ61の凹部に係合させれば、軸方向Aにおいて、第1のホルダ61と第2のホルダ62との間に第2のバスバー52を挟持した状態において、第2のホルダ62に第1のホルダ61を組み付けることができる。なお、突出部62dは、孔部521cに挿通させ、係合部522cに係合させた後、当該第1突出部61dの先端部を潰すことで、第2のホルダ62から第2のバスバー52が脱落することを防止するように構成してもよい。凹部62fには、第2突出部61fが嵌合され、凹部62fおよび第2突出部61fによって、第2のホルダ62に第1のホルダ61が組み付けられる。
【0053】
端子7は、例えば、導電性を有する金属によって形成される。本実施形態に係るモータ1は、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、複数の端子7(例えば3個)を有する。
【0054】
端子7は、例えば、軸方向Aに延在するように円柱状に形成される。そして、端子7は、第1のホルダ61の孔部61cに挿通され、かつ、第2のホルダ62の孔部62cに挿通されるとともに、例えば、軸方向Aの他方側の端部が第2のホルダ62に固定される。端子7のそれぞれは、バスバー5と、不図示の外部装置とを電気的に接続する。本実施形態に係るモータ1は、複数の端子7を径方向Rに沿って配置してある。また、複数の端子7は、第2のホルダ62の内周縁62iと外周縁62oとの間に配置されている。さらに、複数の端子7は、周方向Cにおいて複数の接続面521bf、522bfから外れた位置に配置される。別の言い方をすると、複数の端子7は、径方向Rから視た場合において、複数の接続面521bf、522bfに重ならない位置に配置される。
【0055】
カバーは、例えば、絶縁性の樹脂によって、第1のホルダ61および第1のバスバー51を軸方向Aの一方側から覆うように環状に形成しても構わない。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1において、第2のホルダ62は、軸方向Aに延在する突出部62dが設けられており、周方向Cにおいて、第2のバスバー52の端部に位置する係合部522cと突出部62dとが係合している。そして、係合部522cは、軸方向Aから視た場合、半円の弧状に形成される。仮に、係合部が、本体522aを軸方向Aに貫通する孔部で構成された場合、突出部62dの全周を囲むように係合部が位置することになる。そして、絶縁性を確保するため、係合部を有する第2のバスバー52の端部と、周方向Cにおいて、当該第2のバスバー52に隣接する別のバスバー5の端部との距離を確保する必要があるから、モータ1が周方向Cに大型化するおそれがある。一方、本実施形態に係るモータ1において、係合部522cは、軸方向Aから視た場合、半円の弧状に形成されるため、周方向Cの大型化を抑制しつつ、係合部522cを有する第2のバスバー52と、当該第2のバスバー52に対して周方向Cに隣接する別のバスバー5との距離を確保することができる。
【0057】
本実施形態に係るモータ1において、外部装置と電気的に接続する複数の端子7を備え、第2のホルダ62は、当該第2のホルダ62の径方向Rにおいて、内周縁62iと、外周縁62oとを有し、複数の端子7は、内周縁62iと外周縁62oとの間に配置されている。
【0058】
本実施形態に係る第2のバスバー52は、ステータ4の外周部4oに配置された複数の接続面521bf、522bfを備え、複数のコイル43は、複数の接続面521bf、522bfに接続される。そのため、接続面521bf、522bfに他の機器の端子を接続する際、作業者の指が接続面521bf、522bfに対して容易に届くため、作業性を向上することができる。
【0059】
本実施形態に係るモータ1において、端子7は、周方向Cにおいて複数の接続面521bf、522bfから外れた位置に配置される。そのため、端子7に外部装置を接続する際、作業者の指に接続面521bf、522bfが接触することを抑制することができ、作業性を向上することができる。
【0060】
本実施形態に係るバスバー5は、周方向Cに沿って、第1のバスバー51の接続部51bと、第2のバスバー52の接続部521b、522bとを並べて配置してある。そのため、径方向Rにおいて、第1のバスバー51の接続部51bの一部と、第2のバスバー52の接続部521b、522bの一部とが重なることを防止することができる。そのため、本実施形態に係るバスバー5は、接続部51b、521b、522bに、他の機器の端子を接続する際において、接続対象でない他の接続部51b、521b、522bが邪魔になることがない。その結果、本実施形態に係るバスバー5は、接続部51b、521b、522bに他の機器の端子を接続する際において、作業性が低下することを抑制することができる。
【0061】
なお、上述した実施形態に係る係合部522cは、軸方向Aから視た場合、半円の弧状に形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る係合部522cの形状は、それに限られない。係合部522cは、軸方向Aから視た場合、例えば、楕円の半分の曲線状、または、長円の半分の曲線状等、周方向Cにおいて、他方の第2のバスバー522の本体522a側に向けて凹む曲線状に形成してもよい。
【0062】
また、上述した実施形態に係る突出部62dは、円柱状に形成され、かつ、軸方向Aから視た場合、円形に形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る突出部62dの形状は、係合部522cに係合可能であればそれに限られない。すなわち、突出部62dは、本体62aから軸方向Aの一方側へ向けて突出する柱状に形成され、かつ、係合部522cに係合可能であればよい。突出部62dは、軸方向Aから視た場合、例えば、楕円を半分にした形状、長円を半分にした形状、長方形状等でもよい。
【0063】
さらに、上述した実施形態に係るモータ1において、他方の第2のバスバー522が、第2のホルダ62の突出部62dに係合する係合部522cを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1は、それに限られない。例えば、一方の第2のバスバー521が、第2のホルダ62の突出部62dに係合する係合部を備えてもよいし、第1のバスバー51が、第1のホルダ61の第1突出部61dに係合する係合部を備えてもよい。その上、第1のホルダ61において、軸方向Aの他方側に突出部を設け、当該突出部に対して第2のバスバー522の係合部522cが係合してもよい。
【0064】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るモータ1Aに関して
図9~
図13を用いて説明する。
図9は、第2実施形態に係るモータ1Aの斜視図である。
図10は、
図9に示すモータ1Aが備えるバスバー5Aを示す斜視図である。
図11は、
図9に示すモータ1Aの平面図である。
図12は、
図9に示すモータ1Aが備えるホルダ6Aを示す斜視図である。
図13は、
図9に示すモータ1Aが有するステータ4、第2のバスバー52A、および、第2のホルダ62Aを示す斜視図である。なお、第2実施形態に係るモータ1Aの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。さらに、
図11において、説明の便宜のため、第1のホルダ61Aの軸方向Aの一方側を覆うカバー8を省略してある。なお、第2の実施形態に係るモータ1Aのバスバー5Aと、ホルダ6Aと、端子7Aとが、第1の実施形態に係るモータ1のバスバー5と、ホルダ6と、端子7と異なる。
【0065】
本実施形態に係るモータ1Aは、
図9に示すように、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、バスバー5Aと、ホルダ6Aと、端子7Aと、カバー8と、を備える。
【0066】
第2実施形態に係るバスバー5Aは、第1実施形態に係るバスバー5と同様、
図10に示すように、第1のバスバー51Aと、第2のバスバー52Aと、を有する。
【0067】
第1のバスバー51Aは、モータ1Aに複数設けられる。第1のバスバー51Aは、本体51aと、接続部51bと、孔部51cと、孔部51dと、を有する。
【0068】
孔部51cは、本体51aを軸方向Aに貫通する。本実施形態に係る第1のバスバー51Aは、複数の孔部51cを有する。孔部51cは、軸方向Aから視た場合、接続部51bに対して孔部51dより離れて配置される。複数の孔部51cの一部は、第1のホルダ61Aに形成された第1突出部61dに挿通され、複数の孔部51cのうちの残りの部分には、端子7Aが挿通される。
【0069】
孔部51dは、本体51aを軸方向Aに貫通する。孔部51dの径方向の大きさは、孔部51cの径方向の大きさと異なる。より具体的に説明すると、孔部51dの径方向の大きさは、孔部51cの径方向の大きさより小さい。本実施形態に係る第1のバスバー51Aは、複数の孔部51dを有する。孔部51dは、径方向Rにおいて、接続部51bに隣接して配置される。そして、孔部51dには、引出線43bが挿通され、引出線43bと第1のバスバー51Aとが電気的に接続される。
【0070】
第2のバスバー52Aは、モータ1Aに複数設けられる。複数の第2のバスバー52には、周方向Cに延在する部分521a1と、径方向Rに延在する部分521a2と、を有する本体521aを備える一方の第2のバスバー521、および、周方向Cに延在する部分で構成される本体522aを有する他方の第2のバスバー522が含まれる。
【0071】
一方の第2のバスバー521は、本体521aと、接続部521bと、孔部521cと、孔部521dと、を有する。本体521aは、第2のホルダ62Aの本体62aにおける軸方向Aの一方側の表面に配置され、第2のホルダ62Aの本体62aに接触する。
【0072】
孔部521cは、本体521aを軸方向Aに貫通する。本実施形態に係る一方の第2のバスバー521は、複数の孔部521cを有する。孔部521cは、軸方向Aから視た場合、接続部521bに対して孔部521dより離れて配置される。孔部521cは、軸方向Aにおいて、第1のホルダ61Aに形成された第2突出部61fに係合する。
【0073】
孔部521dは、本体521aを軸方向Aに貫通する。孔部521dの径方向の大きさは、孔部521cの径方向の大きさより小さい。本実施形態に係る一方の第2のバスバー521は、複数の孔部521dを有する。孔部521dは、接続部521bに隣接して配置される。そして、孔部521dには、引出線43bが挿通され、引出線43bと一方の第2のバスバー521とが電気的に接続される。
【0074】
他方の第2のバスバー522は、本体522aと、接続部522bと、孔部522dと、孔部522eと、を有する。本体522aは、第2のホルダ62Aの本体62aに配置され、第2のホルダ62Aの本体62aに接触する。
【0075】
孔部522dは、本体522aを軸方向Aに貫通する形状を備えている。本実施形態に係る第2のバスバー52Aは、複数の孔部522dを有する。また、孔部522dは、軸方向Aにおいて、第1のホルダ61Aに形成された第2突出部61fに係合する。
【0076】
孔部522eは、本体521aを軸方向Aに貫通する。孔部522eの径方向の大きさは、孔部522dの径方向の大きさより小さい。本実施形態に係る他方の第2のバスバー522は、複数の孔部522eを有する。孔部522eは、接続部522bに隣接して配置される。そして、孔部522eには、引出線43bが挿通され、引出線43bと他方の第2のバスバー522とが電気的に接続される。
【0077】
第2実施形態に係るホルダ6Aは、第1実施形態に係るホルダ6と同様、
図12に示すように、第1のホルダ61Aと、第2のホルダ62Aと、を有する。第2のホルダ62Aは、第1のホルダ61Aを覆うカバーとなっている。
【0078】
第1のホルダ61Aは、本体61aと、溝部(凹部)61eと、孔部61cと、第1突出部61dと、第2突出部61fと、を有する。
【0079】
溝部61eは、本体61aにおける軸方向Aの一方側の表面に形成され、かつ、軸方向Aにおいて、本体61aにおける一方側の表面から、他方側の裏面へ向けて凹むように形成される。溝部61eは、周方向Cに延在する部分と、径方向Rに延在する部分と、を有する。
【0080】
孔部61cは、本体61aを軸方向Aに貫通するように形成される。第1突出部61dは、本体61aにおける軸方向Aの一方側の表面から、軸方向Aの一方側へ突出する。第2突出部61fは、本体61aにおける軸方向Aの他方側の裏面から、軸方向Aの他方側へ突出する。
【0081】
第2のホルダ62Aは、本体62aと、孔部62cと、孔部62eと、を有する。孔部62cは、本体62aを軸方向Aに貫通するように形成され、端子7Aが挿通される。孔部62eには、第1のホルダ61Aの第2突出部61fが挿通される。第2突出部61fにおいて、孔部62eから突出した部分は、熱などにより潰され、第2のホルダ62Aを第1のホルダ61Aに第2突出部61fでカシメられ固定される。
【0082】
端子7は、例えば、導電性を有する金属によって形成される。本実施形態に係るモータ1Aは、
図10、
図11、
図12に示すように、複数の端子7A(例えば3個)を有する。本実施形態に係るモータ1Aは、3個の端子7Aのうち2個の端子7Aを周方向Cに沿って配置してあり、残りの1個の端子7Aは、2個の端子7Aに対して周方向Cから外れた位置に配置してある。なお、すべての端子7Aを周方向Cに沿って配置してもよい。
【0083】
端子7Aは、第1のホルダ61Aの孔部61cに挿通され、かつ、第2のホルダ62Aの孔部62cに挿通される。その上、第1のバスバー51Aの孔部51cに挿通された端子7Aは、第1のバスバー51Aに対して電気的に接続される。また、第1のバスバー51Aの孔部51cに端子7Aが挿通されている。そのため、第1のバスバー51Aは、端子7Aに対して電気的に接続される。また、第1のバスバー51Aは、コイル43に対して電気的に接続され、かつ、第2のバスバー52Aは、コイル43に対して電気的に接続される。これらにより、端子7Aから、第1のバスバー51Aに電気的に接続されたコイル43に電流が流され、かつ、第2のバスバー52Aに電気的に接続されるコイル43に電流が流される。
【0084】
カバー8は、例えば、絶縁性の樹脂によって、第1のバスバー51を軸方向Aの一方側から覆うように環状に形成される。カバー8は、本体81aと、本体81aに形成された不図示の孔部と、を有する。孔部は、本体81aを軸方向Aに貫通する形状を備えている。孔部には、第1のホルダ61Aの第1突出部61d、または、端子7Aが挿通される。
【0085】
複数の端子7Aは、径方向Rにおいて、バスバー5Aの接続部51b、521b、522bから外れた位置にそれぞれ配置してある。そのため、端子7Aと、外部装置の端子とを電気的に接続する際、作業者の指が接続部51b、521b、522bに接触することを抑制することができるから、作業性を向上することができる。その上、本実施形態に係るモータ1Aは、複数の端子7Aを周方向Cに沿って配置してあるため、複数の端子7Aのうち1個の端子を外部装置に対して電気的に接続する際、残りの端子7Aが作業者の指に接触することを抑制することができ、作業性を向上することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態にかかるモータ1Aでは、他方の第2のバスバー522の孔部522dに、第1のホルダ61Aの第2突出部61fが挿通されるものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1Aは、第1実施形態に係るモータ1と同様、他方の第2のバスバー52Aに係合部を設け、第2のホルダ62Aに、当該係合部に係合可能な突出部を設けてもよい。
【0087】
また、上述した第1実施形態に係るモータ1、および、第2実施形態に係るモータ1Aは、インナーロータ型のものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1、1Aは、それに限られない。例えば、本実施形態に係るモータ1、1Aは、軸方向Aから視た場合、ロータ3の径方向Rの内側にステータ4が位置するアウターロータ側のものに適用することができる。
【0088】
以上、本発明に係るモータ1、1Aの実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0089】
1、1A モータ、 2 シャフト、 3 ロータ、 4 ステータ、 4o 外周部、 43 コイル、 5、5A バスバー、 52、52A 第2のバスバー(バスバー)、 521bf 接続面、 522bf 接続面、 522c 係合部、 6、6A ホルダ、 62、62A 第2のホルダ(ホルダ)、 62d 突出部、 62i 内周縁、 62o 外周縁、 7、7A 端子、 A 軸方向、 C 周方向、 R 径方向