(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008195
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
E03C1/042 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109852
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BE07
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】吐水部材が回動可能に取り付けられる水栓をコンパクトにする。
【解決手段】取付面2に対して固定された水栓ボデー10と、水栓ボデー10を収容するとともに、水栓ボデー10の回りを回動する吐水部材20と、吐水部材20とともに回動する規制部材50とを備えた水栓であって、吐水部材20は、水栓ボデー10を収容する筒状の収容部21と、収容部21の外周面に設けられる吐水部22とを備え、規制部材50は、吐水部材20と一体回動するように収容部21に係合する係合部24と、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動範囲を規制する回動規制部53とを備え、回動規制部53は、規制部材50における、収容部21の取付面2側の端面から突出する部分に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に対して固定された水栓ボデーと、
前記水栓ボデーを収容するとともに、前記水栓ボデーの回りを回動する吐水部材と、
前記吐水部材とともに回動する規制部材と
を備えた水栓であって、
前記吐水部材は、
前記水栓ボデーを収容する筒状の収容部と、前記収容部の外周面に設けられる吐水部とを備え、
前記規制部材は、
前記吐水部材と一体回動するように前記収容部に係合する係合部と、前記水栓ボデーに対する前記吐水部材の回動範囲を規制する回動規制部とを備え、
前記回動規制部は、前記規制部材における、前記収容部の前記取付面側の端面から突出する部分に設けられていることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記回動規制部は、前記吐水部材の回動に対して不動である部分に設けられる被当接部に当接することにより、前記吐水部材の回動範囲を規制することを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記取付面から突出する前記水栓ボデーの基端部を収容するとともに、前記収容部と前記取付面との間に配置される筒状の台座部材をさらに備え、
前記回動規制部は、前記水栓ボデーの外周面と前記台座部材の内周面の間に配置されており、
前記被当接部は、前記水栓ボデーの外周面及び前記台座部材の内周面の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記係合部は、前記水栓ボデーの外周面と前記収容部の内周面の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項5】
前記規制部材は、前記水栓ボデーの外周面に沿って周方向に延びる環状部を備え、
前記係合部及び前記回動規制部は、前記環状部から前記水栓ボデーの外周面に沿って突出するように形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の水栓。
【請求項6】
前記係合部は、前記環状部側ほど幅広となるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水部材が回動可能に取り付けられる水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台やキッチンシンク等の取付面に取り付けられる水栓の利便性を向上させるために、吐水部を回動させてその方向を変更可能としたものが知られている。こうした水栓では、吐水部が必要以上に回動することを規制するために、回動規制装置を設ける場合がある。
【0003】
特許文献1には、内部に通水路を有する水栓ボデーと、水栓ボデーを収容するとともに吐水管が一体に形成された外筒部とを備え、水栓ボデーに対して外筒部を回動自在とした水栓に係る発明が記載されている。特許文献1に記載される回動規制装置は、水栓ボデー外周に凹設された周溝内に配置されたガイドリングとストッパとで構成されている。ガイドリングは、外筒部内周に固定されて、周溝内で摺動可能に嵌合されている。ストッパは、周溝内の所定位置に固定されている。吐水管の回動とともに周溝内を摺動するガイドリングがストッパに当接することにより、吐水管の回動範囲が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載される回動規制装置は、水栓ボデー外周に凹設された周溝内に配置されているため、周溝が形成された分、水栓ボデー及び外筒部が、外筒部の回動中心軸方向に長くなってしまう。その結果、水栓が大型化してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する水栓の各態様を記載する。
態様1の水栓は、取付面に対して固定された水栓ボデーと、前記水栓ボデーを収容するとともに、前記水栓ボデーの回りを回動する吐水部材と、前記吐水部材とともに回動する規制部材とを備えた水栓であって、前記吐水部材は、前記水栓ボデーを収容する筒状の収容部と、前記収容部の外周面に設けられる吐水部とを備え、前記規制部材は、前記吐水部材と一体回動するように前記収容部に係合する係合部と、前記水栓ボデーに対する前記吐水部材の回動範囲を規制する回動規制部とを備え、前記回動規制部は、前記規制部材における、前記収容部の前記取付面側の端面から突出する部分に設けられている。
【0007】
上記構成によれば、水栓ボデーに対する吐水部材の回動範囲を規制する回動規制部が吐水部材の収容部の外側に位置する。そのため、吐水部材の内部に収容されている場合よりも、吐水部材が回動中心軸方向に長くなることを抑制できる。これにより、水栓をコンパクトにできる。
【0008】
態様2の水栓は、態様1の水栓において、前記回動規制部は、前記吐水部材の回動に対して不動である部分に設けられる被当接部に当接することにより、前記吐水部材の回動範囲を規制することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、被当接部への当接により規制部材の回動が規制されて、規制部材とともに回動する吐水部材の回動が規制される。吐水部材の回動をしっかり止めることができる。
【0010】
態様3の水栓は、態様1又は2の水栓において、前記取付面から突出する前記水栓ボデーの基端部を収容するとともに、前記収容部と前記取付面との間に配置される筒状の台座部材をさらに備え、前記回動規制部は、前記水栓ボデーの外周面と前記台座部材の内周面の間に配置されており、前記被当接部は、前記水栓ボデーの外周面及び前記台座部材の内周面の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。
【0011】
台座部材は、例えば、吐水部材の摺動性を良好にしたり、水栓の設置時やメンテナンス後の組付時等に、水栓ボデーを回り止めさせた状態で吐水部材を組み付けたりするための部材として設けられる。上記構成によれば、水栓ボデーの外周面と台座部材の内周面の間に回動規制部を配置して、台座部材の内部で回動規制を行うことができるため、吐水部材が回動中心軸方向に長くなることを抑制できる。
【0012】
態様4の水栓は、態様1~3のいずれかの水栓において、前記係合部は、前記水栓ボデーの外周面と前記収容部の内周面の間に配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、収容部の外観を良好にできる。
【0013】
態様5の水栓は、態様1~4のいずれかの水栓において、前記規制部材は、前記水栓ボデーの外周面に沿って周方向に延びる環状部を備え、前記係合部及び前記回動規制部は、前記環状部から前記水栓ボデーの外周面に沿って突出するように形成されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、水栓ボデーの外周面での規制部材の回動状態が安定する。
態様6の水栓は、態様5の水栓において、前記係合部は、前記環状部側ほど幅広となるテーパ状に形成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、係合部の基部が補強されて規制部材の耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吐水部材が回動可能に取り付けられる水栓をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態の水栓について説明する。
図1及び
図2に示すように、水栓1は、キッチンシンク等の取付面2に取り付けられている。水栓1は、水栓ボデー10、吐水部材20、台座部材30、ハンドル部材40、及び規制部材50を備えている。水栓ボデー10は、取付面2に対して回動不能に取り付けられている。水栓ボデー10の内部には、湯水の供給管に連通する図示しない通水路と、通水路を流れる湯水の種類や流量等を制御する図示しない弁装置が設けられている。ハンドル部材40の操作により、弁装置が操作されて通水路が切り換えられる。通水路からの湯水は、吐水部材20に設けられた吐水管22を介して外部に吐水される。なお、
図2では、水栓ボデー10の内部に収容される部材の図示を省略している。
図5、
図6、
図10についても同様である。
【0019】
吐水部材20は、水栓ボデー10に対して回動可能に取り付けられている。吐水部材20の回動に伴って、吐水管22が位置変更される。以下では、取付面2に取り付けられた状態の水栓1において、取付面2側を基端側、ハンドル部材40側を先端側として説明する。また、吐水部材20の回動中心軸Nに沿う方向を軸方向として説明する。
【0020】
<水栓ボデー10について>
図2~
図5に示すように、水栓ボデー10は略円筒状に形成されている。水栓ボデー10の基端側には、周面に雄ネジ11aが螺設された接続筒部11が形成されている。先端側には、周壁の一部が切り欠かれた形状の開口部13を有する本体筒部12が形成されている。以下では、水栓ボデー10において、開口部13が形成された側を正面側、その反対側を背面側として説明する場合がある。開口部13は、本体筒部12の軸方向中間部分で水栓ボデー10の約半周に亘って形成されている。通水路からの湯水は、開口部13を介して吐水管22に供給される。
【0021】
図3及び
図6に示すように、本体筒部12における開口部13の基端側は、円筒状の基端筒部14とされている。基端筒部14は、後に説明する台座部材30が取り付けられる部分である。基端筒部14の正面側の周面には、径方向に突出する位置決め凸部15が形成されている。位置決め凸部15の外周面は、基端筒部14の外周面より小さい曲率の曲面状に形成されている。
【0022】
図4及び
図6に示すように、基端筒部14の背面側の周面には、正面側の周面に比べて小径となる凹部16が形成されている。凹部16は、基端筒部14の背面側の約半周に亘って形成されている。凹部16は、後に説明する規制部材50の回動規制部53が収容される部分である。凹部16に収容された回動規制部53は、凹部16内を水栓ボデー10の周方向に摺動して、凹部16の両端面に当接して、それ以上の摺動が規制される。凹部16の両端面は、回動規制部53が当接する被当接部17を構成する。
【0023】
<吐水部材20について>
図1、
図2及び
図7に示すように、吐水部材20は、水栓ボデー10を収容する円筒状の収容部21と、収容部21の外周面に設けられた吐水管22を備えている。収容部21の内径は、水栓ボデー10の本体筒部12の外径より僅かに大きい。そのため、収容部21は、水栓ボデー10の本体筒部12の外周面をガタつきを抑制された状態で回動可能である。水栓ボデー10と本体筒部12との間であって、水栓ボデー10の開口部13の基端側及び先端側には、開口部13との間で水密性を保持するための図示しない弾性リング部材が設けられている。
【0024】
図2及び
図7に示すように、収容部21の基端部の内周面には、周方向に延びる周溝23が形成されている。また、収容部21の内周面には、周溝23から軸方向に延びる一つの被係合部24が形成されている。被係合部24の基端部は、幅方向両端部が軸方向に対して直線状に傾斜するテーパ面24aとされて、基端側ほど幅広となるテーパ状に形成されている。周溝23の内周面と被係合部24の内周面とは面一に形成されている。周溝23は、後に説明する規制部材50の環状部51が収容される部分である。また、
図2及び
図5に示すように、被係合部24は、後に説明する規制部材50の係合部52が係合する部分である。
【0025】
<台座部材30について>
図8に示すように、台座部材30は円筒状に形成されている。台座部材30は、水栓ボデー10に係合して回り止め状態で固定されている。台座部材30の正面側の内周面には、径方向に凹む位置決め凹部31が軸方向に延びるように形成されている。位置決め凹部31の内周面は、台座部材30の内周面より小さい曲率の曲面状に形成されている。
図6に示すように、位置決め凹部31は、水栓ボデー10の位置決め凸部15が係合する部分である。
【0026】
台座部材30の背面側には、回り止め孔32が形成されている。回り止め孔32は、水栓1の設置時やメンテナンス後の取付時等に、台座部材30を回り止めして、台座部材30を介して水栓ボデー10を回り止め状態で取り付けるための部分として形成されている。
【0027】
<規制部材50について>
図9に示すように、規制部材50は、円環状の環状部51と、環状部51から軸方向先端側に延びる薄板状の係合部52と、軸方向基端側に延びる薄板状の回動規制部53を備えている。係合部52と回動規制部53は、環状部51の周方向の同じ位置に設けられている。
【0028】
図9及び
図10に示すように、環状部51は、径方向に延びる平板状の摺動壁51aと、軸方向に延びる平板状の立壁51bを備えている。摺動壁51aの外径は収容部21の外径及び台座部材30の外径と同程度であり、摺動壁51aの内径(立壁51bの内径)は水栓ボデー10の本体筒部12の外径より僅かに大きい。そのため、環状部51は、本体筒部12の外周面を、ガタつきを抑制された状態で摺動する。また摺動壁51aは、収容部21の基端面と台座部材30の先端面との間に挟まれて、規制部材50が吐水部材20とともに回動する際に、台座部材30の先端面上を摺動する。
【0029】
係合部52は、立壁51bから軸方向先端側に延びている。係合部52の内面及び外面は、立壁51bの内面及び外面と面一に形成されている。
図9に示すように、係合部52の基端部は、幅方向両端部が軸方向に対して傾斜するテーパ面52aとされて、基端側ほど幅広となるテーパ状に形成されている。テーパ面52aの形状は、吐水部材20に形成された被係合部24のテーパ面24aと同一である。
【0030】
回動規制部53は、立壁51bから径方向内方に変位した位置から軸方向基端側に延びている。回動規制部53の外面は、立壁51bの内面及び係合部52の内面と面一に形成されている。また、回動規制部53の厚みは、水栓ボデー10の基端筒部14に形成された凹部16の深さより僅かに小さい。回動規制部53の軸方向の長さは、基端筒部14の軸方向の長さより少し短い。回動規制部53の幅方向の長さは、環状部51の全周の1/5~1/6程度である。水栓1を組み付けた状態では、回動規制部53は、水栓ボデー10の凹部16内に収容されて、凹部16内を周方向に摺動可能である。
【0031】
規制部材50は、樹脂材料により形成されている。規制部材50の表面、特に環状部51の摺動壁51aの表面は、吐水部材20や台座部材30の表面より摺動性が良好である。
【0032】
<水栓1及び規制部材50の作用について>
図1及び
図2に示すように、取付面2に取り付けられた水栓1は、水栓ボデー10を内部に収容した状態で、先端側の吐水部材20と基端側の台座部材30との間に規制部材50の環状部51が介在されている。
図6に示すように、台座部材30は、水栓ボデー10の位置決め凸部15が自身の位置決め凹部31に係合することにより、水栓ボデー10に対して回り止め状態で固定されている。
【0033】
図5、
図10及び
図11に示すように、規制部材50は、水栓ボデー10の外周面と収容部21及び台座部材30の内周面との間に配置されている。規制部材50は、環状部51の立壁51bが、収容部21の周溝23に収容されているとともに、係合部52が、収容部21の被係合部24に収容されて係合している。係合部52は、自身のテーパ面52aが被係合部24のテーパ面24aに当接して、被係合部24内でがたつくことなく係合している。これにより、規制部材50は、吐水部材20とともに回動する。
【0034】
図6、
図10及び
図11に示すように、規制部材50の回動規制部53は、水栓ボデー10の凹部16内に収容されている。回動規制部53の幅方向の長さが、環状部51の全周の1/5~1/6程度であるのに対して、凹部16は、水栓ボデー10の基端筒部14の約半周に亘って形成されている。そのため、吐水部材20を回動させると、回動規制部53は、凹部16内を凹部16の外周面に沿って周方向に摺動する。これにより、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動が許容される。
【0035】
図6に示すように、例えば、吐水管22を右側に向かって移動させると、回動規制部53は、凹部16内を左回りに摺動して凹部16の左側の端面に形成された被当接部17aに当接する。これにより、回動規制部53のそれ以上の回動が規制されて、吐水管22の右側へのさらなる回動が規制される。また、吐水管22を左側に向かって移動させると、回動規制部53は、凹部16内を右回りに摺動して凹部16の右側の端面に形成された被当接部17bに当接する。これにより、回動規制部53のそれ以上の回動が規制されて、吐水管22の左側へのさらなる回動が規制される。回動規制部53と被当接部17との当接により、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動範囲が所定範囲に規制される。
【0036】
図10に示すように、収容部21の基端面と台座部材30の先端面との間には、規制部材50の摺動壁51aが挟まれている。規制部材50は、摺動性の良好な樹脂製品である。そのため、台座部材30に対する吐水部材20の回動がスムーズである。
【0037】
本実施形態の水栓1及び規制部材50によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)規制部材50は、吐水部材20と一体回動するように収容部21に係合する係合部52と、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動範囲を規制する回動規制部53とを備えている。そして、回動規制部53は、収容部21の基端側の端面から突出する部分に設けられている。そのため、吐水部材20が軸方向に長くなることを抑制できて、水栓1をコンパクトにできる。
【0038】
(2)回動規制部53は、吐水部材20の回動に対して不動である水栓ボデー10に設けられた被当接部17に当接して、吐水部材20の回動範囲を規制する。そのため、吐水部材20の回動をしっかり止めることができる。
【0039】
(3)規制部材50の係合部52は、水栓ボデー10の外周面と収容部21の内周面の間に配置されている。そのため、係合部52が収容部21の外周面に配置されている場合に比べて水栓1の外観を良好にできる。
【0040】
(4)収容部21と取付面2との間には台座部材30が設けられて、回動規制部53は、水栓ボデー10の外周面と台座部材30の内周面の間に配置されている。そのため、吐水部材20の回動規制は、台座部材30の内部で行われる。台座部材30を有する水栓1であっても、吐水部材20の軸方向の長さを抑えることで、水栓1をコンパクトにすることができる。
【0041】
(5)台座部材30には、水栓ボデー10の位置決め凸部15が係合する位置決め凹部31と、回り止め孔32が形成されている。そのため、水栓1の設置時やメンテナンス後の組付時等に、水栓ボデー10を回り止めさせた状態で、接続筒部11に水栓取付け用のナットを締め付けたり緩めたりできる。施工性、メンテナンス性が良好である。
【0042】
(6)規制部材50は、水栓ボデー10の外周面に当接する環状部51を備えている。係合部52及び回動規制部53は、環状部51から水栓ボデー10の外周面に沿って突出するように形成されている。そのため、水栓ボデー10の外周面での規制部材50の回動状態が安定する。
【0043】
(7)規制部材50の係合部52は、環状部51側ほど幅広となるテーパ状に形成されている。そのため、係合部52の基部が補強されて規制部材50の耐久性が向上する。
(8)規制部材50の係合部52が係合する被係合部24に形成されたテーパ面24aは、係合部52のテーパ面52aと同一の形状である。そのため、係合部52と被係合部24との係合状態が安定して、ガタつきが抑制される。また、水栓1の組付時には、被係合部24のテーパ面24aに、係合部52のテーパ面52aを沿わせるようにして組み付けることができる。組付作業性が良好である。
【0044】
(9)吐水部材20の収容部21には、環状部51の立壁51bを収容する周溝23が形成されている。そのため収容部21に対する規制部材50の位置決め状態が安定する。
(10)規制部材50の摺動壁51aは、収容部21の基端面と台座部材30の先端面との間に介在されている。そのため、台座部材30に対する吐水部材20の摺動性が良好となり、吐水部材20の回動操作性が向上する。
【0045】
(11)規制部材50は、収容部21の基端面と台座部材30の先端面との間で摺動する環状部51に対して、収容部21に係合する係合部52と、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動範囲を規制する回動規制部53とが一体に形成されている。そのため、収容部21の基端面と台座部材30の先端面との間で摺動するスライド板のような部材と、水栓ボデー10に対する吐水部材20の回動範囲を規制する規制部材50とが別体に形成されている場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、水栓1の構造を簡略化できる。
【0046】
(12)規制部材50の回動規制部53が当接する被当接部17は、水栓ボデー10と一体に形成されている。この点も、水栓1の構造の簡略化に寄与している。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。
【0047】
・規制部材50は、収容部21の被係合部24に係合する係合部52と、水栓ボデー10の凹部16内に収容される回動規制部53で構成されていて、環状部51を有していなくてもよい。
【0048】
・規制部材50の環状部51の摺動壁51a及び立壁51bのいずれかを省略してもよい。
・環状部51は、円環状でなくてもよい。例えば、Cリング状であってもよい。
【0049】
・規制部材50の係合部52の基端部が先端部と同じ幅であって、テーパ面52aが形成されていなくてもよい。この場合、収容部21の被係合部24も、係合部52と同一の形状であることが好ましい。
【0050】
・規制部材50の係合部52のテーパ面52aは直線状でなく、曲線状であってもよい。この場合も、収容部21の被係合部24と係合部52とが同一の形状であることが好ましい。
【0051】
・規制部材50は、吐水部材20及び台座部材30の外周面に設けられていてもよい。この場合、例えば、係合部52が収容部21の外周面に係合し、回動規制部53が台座部材30の外周面に形成された凹部16内で摺動可能とする。吐水部材20は、水栓ボデー10に回り止め状態で固定された台座部材30に対して、回動範囲を規制された状態で回動可能となる。
【0052】
・規制部材50の係合部52及び回動規制部53の一方が回動規制部53及び台座部材30の外周面に設けられて、他方が内周面に設けられていてもよい。
・台座部材30を省略してもよい。この場合、
図2の一点鎖線で示すように、規制部材50の摺動壁51aの基端面が取付面2の位置となるように取り付ければよい。
【0053】
・回動規制部53が当接する被当接部17は、水栓ボデー10と一体に形成されていなくてもよい。
・水栓ボデー10には凹部16が形成されていなくてもよい。例えば、水栓ボデー10の基端筒部14の外周面に凸部を設けることによって被当接部17としてもよい。
【0054】
・回動規制部53は、台座部材30の被当接部17への当接によって吐水部材20の回動を規制するが、当接によらなくてもよい。例えば、回動規制部53と水栓ボデー10との間に付勢部材が介在していて、付勢部材による付勢力によって吐水部材20の回動が規制されるようにしてもよい。
【0055】
・被当接部17は、水栓ボデー10の外周面に設けられていなくてもよい。例えば、台座部材30の内周面に、回動規制部53が当接する凸部や凹部が形成されていてもよい。また、水栓1を取り付ける取付孔の内周面に、回動規制部53が当接する凸部や凹部が形成されていてもよい。
【0056】
・台座部材30は、水栓ボデー10に対して回り止め状態で固定されていなくてもよい。
・水栓1の形状は、上記実施形態のものに限定されない。
【0057】
・水栓1は、取付面2に対して垂直に取り付けられるものに限定されない。例えば、垂直方向に延びる取付面2に対して、吐水部材20の収容部21が水平方向に延びるようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…水栓、2…取付面、10…水栓ボデー、17…被当接部、20…吐水部材、21…収容部、22…吐水管(吐水部)、30…台座部材、50…規制部材、51…環状部、52…係合部、53…回動規制部。