(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081951
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】要求案生成装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/20 20180101AFI20240612BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240612BHJP
【FI】
G06F8/20
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195565
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】小池 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大弥
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BB11
5B376BB17
5B376BC03
(57)【要約】
【課題】ユーザの違いによる要求の内容のばらつきを抑えることができる要求案生成装置を提供する。
【解決手段】外部データ取得手段72は、ユーザが所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、ユーザ要求の内容に従って取得する。要求案生成手段75は、予め機械学習によって生成されたモデルに、ユーザ要求および外部データを適用することによって、要求案を生成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のシステムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成装置であって、
ユーザが前記所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、前記所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、前記ユーザ要求の内容に従って取得する外部データ取得手段と、
予め機械学習によって生成されたモデルに、前記ユーザ要求および前記外部データを適用することによって、前記要求案を生成する要求案生成手段とを備える
ことを特徴とする要求案生成装置。
【請求項2】
過去に入力されたユーザ要求、前記ユーザ要求に応じて生成された要求案、前記要求案が前記所定のシステムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報、前記要求案が要求として採用された場合における前記所定のシステムの処理結果、および、前記要求案が要求として採用された場合における前記処理結果の評価を含む過去実績と、前記過去実績に対応する外部データとを学習データとして、前記モデルを、機械学習によって生成する機械学習手段を備える
請求項1に記載の要求案生成装置。
【請求項3】
前記機械学習手段は、
新たに、前記過去実績および前記過去実績に対応する前記外部データが学習データに追加された場合に、前記過去実績および前記過去実績に対応する前記外部データが追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成し直し、既存のモデルを前記新たなモデルに更新する
請求項2に記載の要求案生成装置。
【請求項4】
前記ユーザ要求が入力され、前記要求案が生成された後に、前記要求案が前記所定のシステムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報と、前記要求案が採用された理由または前記要求案が採用されなかった理由とが前記ユーザによって入力された場合に、前記ユーザ要求と、前記要求案と、前記採否情報と、前記要求案が採用された理由または前記要求案が採用されなかった理由とを対応付けて、所定の記憶手段に格納する追加手段と、
所定の端末からの要求に応じて、前記所定の記憶手段に格納されている、前記ユーザ要求と、前記要求案と、前記採否情報と、前記要求案が採用された理由または前記要求案が採用されなかった理由とを、前記所定の端末に表示させる表示制御手段とを備える
請求項1に記載の要求案生成装置。
【請求項5】
前記要求案が採用された理由および前記要求案が採用されなかった理由は、テキストデータで表現される
請求項4に記載の要求案生成装置。
【請求項6】
所定のシステムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成方法であって、
コンピュータが、
ユーザが前記所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、前記所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、前記ユーザ要求の内容に従って取得し、
予め機械学習によって生成されたモデルに、前記ユーザ要求および前記外部データを適用することによって、前記要求案を生成する
ことを特徴とする要求案生成方法。
【請求項7】
所定のシステムに入力される要求の案である要求案をコンピュータに生成させる要求案生成プログラムであって、
前記コンピュータに、
ユーザが前記所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、前記所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、前記ユーザ要求の内容に従って取得する外部データ取得処理、および、
予め機械学習によって生成されたモデルに、前記ユーザ要求および前記外部データを適用することによって、前記要求案を生成する要求案生成処理
を実行させるための要求案生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のシステムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成装置、要求案生成方法および要求案生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な業務システムは、要求者から要求を受け付け、その要求が示す内容に従って処理を実行し、処理結果を出力する。要求者は、人間であり、以下、要求者をユーザと記す。
【0003】
要求には、業務システムが処理を実行する際に用いる種々のパラメータが含まれている。一般的には、ユーザが、そのような種々のパラメータの値を決定し、そのパラメータの値を含む要求を作成する。そして、ユーザは、その要求を業務システムに入力する。業務システムは、そのパラメータの値を用いて処理を実行し、処理結果を出力する。
【0004】
また、特許文献1には、昇降機設計の仕様を判定する設計仕様判定装置が記載されている。特許文献1に記載された設計仕様判定装置は、知識ベースおよび推論エンジンからなる設計仕様判定手段を備えている。この知識ベースには、昇降機設計において要求仕様を判定するために用いられる知識がルールの形で格納されている。
【0005】
特許文献2には、設計対象となる機械構造物の要求仕様が入力され、入力に基づいて人工知能を用いて設計案を生成する設計案生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-128180号公報
【特許文献2】特開2020-4069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、一般的に、ユーザは、種々のパラメータの値を決定し、そのパラメータの値を含む要求を作成し、その要求を業務システムに入力する。この場合、ユーザの知識、経験、癖等によって、要求の内容(種々のパラメータの値)にばらつきが生じる。すなわち、ユーザが業務システムに実行させたい処理が共通であっても、要求を作成するユーザが異なれば、作成される要求の内容にばらつきが生じる。その結果、要求を作成するユーザが異なれば、業務システムによる処理結果の品質等にもばらつきが生じる場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザの違いによる要求の内容のばらつきを抑えることができる要求案生成装置、要求案生成方法および要求案生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による要求案生成装置は、所定のシステムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成装置であって、ユーザが所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、ユーザ要求の内容に従って取得する外部データ取得手段と、予め機械学習によって生成されたモデルに、ユーザ要求および外部データを適用することによって、要求案を生成する要求案生成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明による要求案生成方法は、所定のシステムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成方法であって、コンピュータが、ユーザが所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、ユーザ要求の内容に従って取得し、予め機械学習によって生成されたモデルに、ユーザ要求および外部データを適用することによって、要求案を生成することを特徴とする。
【0011】
本発明による要求案生成プログラムは、所定のシステムに入力される要求の案である要求案をコンピュータに生成させる要求案生成プログラムであって、コンピュータに、ユーザが所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、ユーザ要求の内容に従って取得する外部データ取得処理、および、予め機械学習によって生成されたモデルに、ユーザ要求および外部データを適用することによって、要求案を生成する要求案生成処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの違いによる要求の内容のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の各実施形態の要求案生成装置の使用態様の概略を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の要求案生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態の要求案生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】要求案生成装置が新人の端末に教育用データを表示させる場合の処理経過の例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の各実施形態の要求案生成装置に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
【
図7】本発明の要求案生成装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明の各実施形態の要求案生成装置の使用態様の概略について説明する。
図1は、各実施形態の要求案生成装置の使用態様の概略を示す模式図である。各実施形態の要求案生成装置1は、ユーザ(要求者)からユーザ要求が入力されると、ユーザが扱う業務システム90に入力される要求の案(以下、要求案と記す。)を生成し、要求案を出力する。従って、ユーザは、ユーザ要求を要求案生成装置1に入力し、要求案生成装置1によって、要求案を提示される。ユーザは、その要求案の内容(種々のパラメータの値)を確認し、要求案の内容が適切であると判断したならば、その要求案を業務システム90への要求として採用すると判断し、その要求を業務システム90に入力することによって、業務システム90に処理を実行させる。
【0016】
なお、ユーザは、要求案の内容が適切でないと判断した場合には、その要求案を業務システム90への要求として採用しないと判断する。この場合、ユーザは、ユーザ要求の一部を変更し、再度、ユーザ要求を要求案生成装置1に入力して、要求案生成装置1に新たな要求案を生成させてもよい。あるいは、ユーザは、要求として採用しないと判断した要求案の内容の一部をカスタマイズして、要求として用いてもよい。
【0017】
なお、ユーザは、要求案が業務システム90に対する要求として採用されたか否かを示す情報(以下、採否情報と記す。)を、要求案生成装置1に入力する。
【0018】
要求案生成装置1および業務システム90は、それぞれ独立した、別個のシステムである。
【0019】
以下の説明では、適宜、業務システム90が、衛星による撮像処理によって画像を生成する衛星システムである場合を例にして説明する。ただし、業務システム90は、衛星システムに限定されず、他の種々の業務システム(例えば、水力発電システム等)であってもよい。
【0020】
次に、本明細書で用いる種々の用語について説明する。
【0021】
「要求」とは、業務システムに処理を実行させるための情報である。要求は、種々のパラメータの値を含む。要求が入力された業務システムは、そのパラメータの値に従って、処理を実行する。
【0022】
「要求案」とは、業務システムに入力される要求の案である。要求案は、各実施形態の要求案生成装置によって生成される。要求案は、要求として採用するとユーザによって判断された場合、要求として扱われ、業務システムに入力される。要求案は、要求と同様の種々のパラメータの値を含む。
【0023】
「ユーザ要求」とは、ユーザが業務システムに実行させたい処理の内容を示す情報である。ユーザ要求は、要求案生成装置に要求案を生成させるために、要求案生成装置に入力される。要求案生成装置は、入力されたユーザ要求に応じて要求案を生成する。ユーザ要求は、要求とは異なり、業務システムに処理を実行させるための種々のパラメータの値の全てを含んでいる必要はない。ただし、ユーザ要求は、一部のパラメータの値を含んでいてもよい。
【0024】
業務システムが衛星システムである場合を例にして、「ユーザ要求」および「要求案」の例を示す。
【0025】
この場合、ユーザ要求は、「日時(日付だけでもよい。)および場所」を示す情報である。このユーザ要求は、その日時に、その場所の撮像処理を衛星システムに実行させたいということを表している。また、日時を示す情報は、例えば、「11月13日から一週間」等の幅をもつ期間を示す情報であってもよい。
【0026】
また、この場合における要求案は、例えば、以下のパラメータの値を含む情報である。
(1)衛星の位置座標(経度、緯度、高さ)
(2)撮像時刻
(3)地球に対する衛星カメラの向き(ロール角、ピッチ角、ヨー角)
(4)撮像パラメータ(撮像モード、絞り、露光時間、シャッタースピード)
【0027】
例えば、「11月13日(日曜日)、東京駅周辺」というユーザ要求が要求案生成装置に入力された場合、以下のような要求案が生成される。ただし、以下では、撮像時刻以外の各パラメータの具体的な値を省略している。
【0028】
(1)衛星の位置座標(経度、緯度、高さ)
(2)撮像時刻:11月13日(日曜日)、12:00:00
(3)地球に対する衛星カメラの向き(ロール角、ピッチ角、ヨー角)
(4)撮像パラメータ(撮像モード、絞り、露光時間、シャッタースピード)
【0029】
なお、要求案は、後述の外部データにも依存するため、ユーザ要求に含まれる日時と、要求案に含まれる撮像時刻とが、異なる場合もあり得る。
【0030】
前述のように、要求案は、要求として採用するとユーザによって判断された場合、要求として扱われ、業務システムに入力される。
【0031】
各実施形態の要求案生成装置は、ユーザ要求および外部データを入力として要求案を生成するためのモデルを、予め機械学習によって生成し、そのモデルを保持しておく。要求案生成装置は、ユーザ要求が入力されると、予め定められたサーバから外部データを取得し、ユーザ要求および外部データをモデルに適用することによって、要求案を生成する。
【0032】
ここで、「外部データ」とは、業務システムに応じて予め定められている所定のデータである。外部データは、ユーザ要求の内容に従って取得される。「ユーザ要求の内容に従って外部データを取得する」とは、例えば、ユーザ要求に含まれる日付に対応する外部データを取得することである。また、ユーザ要求が入力された時点に依存して外部データが取得される場合もあり得る。例えば、業務システムが衛星システムである場合、「天候の予報」、「月の満ち欠けの状態を示す情報」、「衛星の軌道情報」が外部データに該当するものとする。そして、「11月13日(日曜日)、東京駅周辺」というユーザ要求が要求案生成装置に入力されたとする。この場合、要求案生成装置は、「ユーザ要求が入力された時点における11月13日の天候の予報」、「11月13日の月の満ち欠けの状態を示す情報」、「11月13日近辺の衛星の軌道情報」をそれぞれ、外部データとして、予め定められたサーバから取得する。
【0033】
前述のように、要求案生成装置は、ユーザ要求および外部データを入力として要求案を生成するためのモデルを、機械学習によって生成する。この機械学習では、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」が学習データとして用いられる。外部データについては、既に説明した。以下、「過去実績」について説明する。
【0034】
「過去実績」とは、「過去に入力されたユーザ要求」、「そのユーザ要求に応じて生成された要求案」、「その要求案が業務システムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報」、「その要求案が要求として採用された場合における業務システムの処理結果」、および、「その要求案が要求として採用された場合におけるその処理結果に対する評価」を含む情報である。採否情報が、要求案が要求として採用されなかったことを示す場合には、「業務システムの処理結果」および「その処理結果に対する評価」は、過去実績に含まれない。
【0035】
処理結果および評価は、要求案作成装置が生成した要求案が要求として採用され、その要求が業務システムに入力されることによって得られる処理結果と、その処理結果に対する評価である。評価は、例えば、人間によって行われる。
【0036】
業務システムが衛星システムである場合、「業務システムの処理結果」は、衛星システムが撮像によって得た画像データであり、「処理結果に対する評価」は、例えば、「良好」、「不良」等の画像の品質の段階を示す情報である。
【0037】
処理結果と評価は、要求案生成装置に入力され、「ユーザ要求」、「そのユーザ要求に応じて生成された要求案」、「採否情報(この場合には、要求案が要求として採用されたことを示す情報)」とともに、新たな過去実績として追加される。
【0038】
過去実績に対応する「外部データ」は、過去実績に含まれる「ユーザ要求」が過去に入力された際に取得された外部データである。
【0039】
「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を学習データとして、機械学習によって、ユーザ要求および外部データを入力として要求案を生成するためのモデルが生成される。
【0040】
実施形態1.
図2は、本発明の第1の実施形態の要求案生成装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態の要求案生成装置1は、ユーザ要求入力部11と、外部データ取得部12と、学習データ記憶部13と、機械学習部14と、モデル記憶部30と、要求案生成部15と、要求案出力部16と、採否情報入力部17と、処理結果入力部18と、学習データ追加部19とを備える。以下の説明では、業務システム(
図2において図示せず。)が衛星システムである場合を例にして説明する。
【0041】
ユーザ要求入力部11は、ユーザ要求が入力されるキーボード等の入力デバイスである。ただし、ユーザ要求入力部11は、キーボードに限定されず、例えば、光磁気ディスク等の記録媒体に記録されたユーザ要求を読み込むデータ読み込み装置等であってもよい。ユーザ要求入力部11には、例えば、前述の「11月13日(日曜日)、東京駅周辺」等のユーザ要求が入力される。
【0042】
外部データ取得部12は、ユーザ要求入力部11にユーザ要求が入力されると、通信ネットワークを介して、予め定められたサーバから外部データを取得する。このとき、外部データ取得部12は、ユーザ要求の内容に従って外部データを取得する。また、外部データ取得部12は、ユーザ要求が入力された時点に依存して外部データを取得する場合もあり得る。既に説明したように、「外部データ」は、業務システムに応じて予め定められている所定のデータである。本例では、「天候の予報」、「月の満ち欠けの状態を示す情報」、「衛星の軌道情報」が外部データであるものとする。例示した「11月13日(日曜日)、東京駅周辺」というユーザ要求が入力されたとする。この場合、外部データ取得部12は、「ユーザ要求が入力された時点における11月13日の天候の予報」、「11月13日の月の満ち欠けの状態を示す情報」、「11月13日近辺の衛星の軌道情報」をそれぞれ、外部データとして、予め定められたサーバから取得する。
【0043】
学習データ記憶部13は、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を格納する記憶装置である。前述のように、「過去実績」は、「過去に入力されたユーザ要求」、「そのユーザ要求に応じて生成された要求案」、「その要求案が業務システムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報」、「その要求案が要求として採用された場合における業務システムの処理結果」、および、「その要求案が要求として採用された場合におけるその処理結果に対する評価」を含む情報である。採否情報が、要求案が要求として採用されなかったことを示す場合には、「業務システムの処理結果」および「その処理結果に対する評価」は、過去実績に含まれない。本例では、「業務システムの処理結果」は、衛星システムが撮像によって得た画像データである。「処理結果に対する評価」は、例えば、「良好」、「不良」等の画像の品質の段階を示す情報である。
【0044】
過去実績に対応する「外部データ」は、過去実績に含まれる「ユーザ要求」が過去に入力された際に取得された外部データである。
【0045】
「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が学習データとなる。「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組の数が多いほど、学習データのデータ量が多くなり、その結果、機械学習によって生成されるモデルの精度も向上する。
【0046】
なお、要求案生成装置1の運用を開始する時点では、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」はない。そのため、要求案生成装置1の運用開始前に、ユーザが、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組に相当するデータを作成して、学習データ記憶部13に格納する。この作成されたデータは、初期状態における学習データである。なお、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組に相当するデータは、業務システム(本例では、衛星システム)を扱った経験が多い熟練者によって作成されることが好ましい。また、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組に相当するデータを作成するときには、ユーザ自身がデータを作成してもよい。あるいは、他のシステムに流用可能なデータが保持されているならば、ユーザは、他のシステムに保持されているデータを流用してデータを作成してもよい。後述するように、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組は、学習データ追加部19によって追加され、学習データのデータ量は増加していく。
【0047】
機械学習部14は、学習データ記憶部13に格納されている「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を学習データとして、機械学習によって、ユーザ要求および外部データを入力として要求案を生成するためのモデルを生成する。
【0048】
上記のように、要求案生成装置1の運用開始前に、ユーザが、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組に相当するデータを学習データ記憶部13に格納した場合、機械学習部14は、そのデータを学習データとして、モデルを生成する。
【0049】
また、機械学習部14は、既存の学習データに、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が新たに追加された場合には、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成し直す。
【0050】
機械学習部14は、生成したモデルをモデル記憶部30に格納する。モデル記憶部30は、機械学習部14によって生成されたモデルを記憶する記憶装置である。上記のように、機械学習部14が新たなモデルを生成し直した場合には、機械学習部14は、その新たなモデルをモデル記憶部30に上書き保存することによって、モデル記憶部30に格納されていた既存のモデルを、その新たなモデルに更新する。
【0051】
要求案生成部15は、ユーザ要求が入力され、外部データ取得部12によって外部データが取得された場合に、そのユーザ要求および外部データをモデル記憶部30に格納されているモデル(ユーザ要求および外部データを入力として要求案を生成するためのモデル)に適用することによって、要求案を生成する。本例では、要求案生成部15は、ユーザ要求および外部データをモデルに適用することによって、1つの要求案を生成するものとする。機械学習によって得られたモデルを用いて要求案を生成する要求案生成部15は、要求案を生成するAI(Artificial Intelligence )であるということができる。種々のパラメータを含む要求案の例は、既に示したので、ここでは、要求案の例示を省略する。
【0052】
要求案出力部16は、要求案生成部15によって生成された要求案を出力する。要求案の出力態様は、特に限定されない。例えば、要求案出力部16は、要求案を、ディスプレイ装置(図示略)に表示させてもよい。また、例えば、要求案出力部16は、要求案を、プリンタ(図示略)に印刷させてもよい。また、例えば、要求案出力部16は、要求案を光磁気ディスクなどの記録媒体に記録するデータ書き込み装置であってもよい。
【0053】
ユーザは、要求案出力部16によって出力された要求案の内容を確認する。そして、ユーザは、その要求案を、業務システム(本例では、衛星システム)に対する要求として採用するか否かを判断する。ユーザは、要求案が業務システムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報を、採否情報入力部17を介して、要求案生成装置1に入力する。採否情報入力部17は、採否情報が入力される入力デバイスである。例えば、採否情報入力部17は、キーボードであってもよい。あるいは、採否情報入力部17は、採否情報を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示するディスプレイ装置の表面に設けられたタッチパネル(図示略)等であってもよい。
【0054】
ユーザは、出力された要求案を衛星システムへの要求として採用すると判断した場合、その要求案を要求として衛星システムに入力する。衛星システムは、その要求に含まれる種々のパラメータの値に従って、撮像処理を実行し、撮像によって得られた画像データ(衛星システムの処理結果)を出力する。ユーザは、その画像データが示す画像の品質を評価する。
【0055】
なお、ユーザは、出力された要求案を衛星システムへの要求として採用しないと判断した場合には、ユーザ要求の一部を変更し、再度、ユーザ要求をユーザ要求入力部11に入力して、要求案生成装置1に新たな要求案を生成させてもよい。ユーザは、要求として採用しないと判断した要求案の内容の一部をカスタマイズして、要求として用いてもよい。
【0056】
処理結果入力部18は、業務システムの処理結果(本例では、衛星システムの撮像によって得られた画像データ)およびその処理結果の評価(本例では、画像に対する評価)が入力される入力デバイスである。処理結果入力部18は、例えば、光磁気ディスク等の記録媒体に記録された業務システムの処理結果、および、その処理結果の評価を読み込むデータ読み込み装置等であってもよい。ユーザは、処理結果入力部18を介して、処理結果、および、その処理結果の評価を、要求案生成装置1に入力する。
【0057】
学習データ追加部19は、新たに、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が得られた場合に、その「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を、学習データ記憶部13に格納されている学習データに追加する。
【0058】
学習データ追加部19は、要求案が要求として採用されたという採否情報が採否情報入力部17を介して入力され、さらに、処理結果、および、その処理結果の評価が処理結果入力部18を介して入力された場合、直近に得られたユーザ要求、および、要求案、並びに、入力された採否情報、処理結果、および、その処理結果の評価を含む「過去実績」と、直近に取得した「外部データ」との組を、学習データに追加する。
【0059】
また、学習データ追加部19は、要求案が要求として採用されなかったという採否情報が採否情報入力部17を介して入力された場合、直近に得られたユーザ要求、要求案、および、入力された採否情報を含む「過去実績」と、直近に取得した「外部データ」との組を、学習データに追加する。
【0060】
学習データ追加部19が、新たに、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を学習データに追加した場合、機械学習部14は、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成し直す。そして、機械学習部14は、その新たなモデルをモデル記憶部30に上書き保存することによって、モデル記憶部30に格納されていた既存のモデルを、その新たなモデルに更新する。この機械学習部14の動作は、既に説明した通りである。
【0061】
外部データ取得部12は、例えば、要求案生成プログラムに従って動作するコンピュータのCPU(Central Processing Unit )、および、そのコンピュータの通信インタフェースによって実現される。例えば、CPUが、コンピュータのプログラム記憶装置等のプログラム記録媒体から要求案生成プログラムを読み込み、その要求案生成プログラムに従って、通信インタフェースを用いて、外部データ取得部12として動作すればよい。また、機械学習部14、要求案生成部15、要求案出力部16および学習データ追加部19は、例えば、要求案生成プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。例えば、CPUが上記のようにプログラム記録媒体から要求案生成プログラムを読み込み、その要求案生成プログラムに従って、機械学習部14、要求案生成部15、要求案出力部16および学習データ追加部19として動作すればよい。学習データ記憶部13およびモデル記憶部30は、例えば、コンピュータが備える記憶装置によって実現される。
【0062】
次に、第1の実施形態の処理経過を説明する。
図3は、第1の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。なお、既に説明した事項については、適宜、説明を省略する。また、以下の説明では、既に機械学習部14が機械学習によってモデルを生成し、そのモデルがモデル記憶部30に格納されているものとする。
【0063】
まず、ユーザから、ユーザ要求入力部11を介してユーザ要求が入力される(ステップS1)。すると、外部データ取得部12は、ユーザ要求の内容に従って外部データを取得する(ステップS2)。
【0064】
次に、要求案生成部15は、得られたユーザ要求および外部データを、モデル記憶部30に格納されているモデルに適用することによって、そのユーザ要求および外部データに応じた要求案を生成し、要求案出力部16は、その要求案を出力する(ステップS3)。
【0065】
ユーザは、ステップS3で出力された要求案を確認し、その要求案を、業務システム(本例では、衛星システムとする。)への要求として採用するか否かを判断する。そして、ユーザは、ステップS3で出力された要求案が要求として採用されたか否かを示す採否情報を、採否情報入力部17を介して入力する。すなわち、ステップS3の後、要求案生成装置1には、ユーザから、採否情報入力部17を介して採否情報が入力される(ステップS4)。
【0066】
要求案が要求として採用されたことを示す採否情報が採否情報入力部17を介して入力された場合(ステップS4のYes)、ユーザは、その要求案を要求として衛星システムに入力する。ユーザから要求を受け付けた衛星システムは、その要求の内容(種々のパラメータの値)に従って処理を実行し、処理結果(本例では、撮像によって得られた画像データ)を出力する。ユーザは、その画像データが示す画像を評価する(より具体的には、画像の品質を評価する。)。
【0067】
そして、要求案生成装置1には、ユーザから、処理結果入力部18を介して、処理結果とその処理結果に対する評価が入力される(ステップS5)。
【0068】
ステップS5の後、学習データ追加部19は、直近に得られた「ユーザ要求」、「要求案」、「要求案が要求として採用されたことを示す採否情報」、「処理結果」および「評価」を対応付けて「過去実績」とする。学習データ追加部19は、その「過去実績」と、直近に得られた「外部データ」との組を、学習データ記憶部13に格納されている学習データに追加する(ステップS6)。
【0069】
ステップS6の後、ステップS8に移行する。
【0070】
要求案が要求として採用されなかったことを示す採否情報が採否情報入力部17を介して入力された場合(ステップS4のNo)、学習データ追加部19は、直近に得られた「ユーザ要求」、「要求案」および「要求案が要求として採用されなかったことを示す採否情報」を対応付けて「過去実績」とする。学習データ追加部19は、その「過去実績」と、直近に得られた「外部データ」との組を、学習データ記憶部13に格納されている学習データに追加する(ステップS7)。
【0071】
ステップS7の後、ステップS8に移行する。
【0072】
ステップS6またはステップS7の後にステップS8に移行した場合、ステップS8で、機械学習部14は、「過去実績」と「外部データ」の組が追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成する。
【0073】
そして、機械学習部14は、その新たなモデルをモデル記憶部30に上書き保存することによって、モデル記憶部30に格納されていた既存のモデルを、その新たなモデルに更新する(ステップS9)。
【0074】
なお、ステップS3で出力された要求案を要求として採用しないとユーザが判断した場合、既に説明したように、ユーザは、ユーザ要求の一部を変更し、再度、ユーザ要求を要求案生成装置1に入力して、要求案生成装置1に新たな要求案を生成させてもよい。あるいは、ユーザは、要求として採用しないと判断した要求案の内容の一部をカスタマイズして、要求として用いてもよい。この場合であっても、要求案が要求として採用されなかったことを示す採否情報が入力された場合には(ステップS4のNo)、ステップS7以降の処理が実行される。
【0075】
本実施形態では、ユーザ要求が入力され、外部データが取得されると、要求案生成部15が、そのユーザ要求および外部データに応じた要求案を生成する。そして、その要求案を要求として採用するとユーザが判断した場合、その要求案は要求として業務システムに入力される。従って、複数のユーザが個別に要求を作成するわけではない。よって、本実施形態では、ユーザの違いによる要求の内容のばらつきを抑えることができる。
【0076】
また、本実施形態では、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が新たに得られると、学習データ追加部19は、その「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組を学習データに追加する。そして、機械学習部14は、「過去実績」およびその過去実績に対応する「外部データ」の組が追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成し、既存のモデルを新たなモデルに更新する。すなわち、本実施形態の要求案生成装置1の運用を継続すれば、学習データ記憶部13に格納される学習データのデータ量が増加していくので、新たに生成されるモデルの精度を向上させていくことができる。すなわち、モデルに基づいて生成される要求案の精度を向上させていくことができる。
【0077】
なお、上記の実施形態では、ステップS6またはステップS7の後にステップS8を実行する場合を示した。機械学習部14が、学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成するタイミングは、この例に限定されない。例えば、機械学習部14は、定期的に(例えば、日毎に)、学習データ記憶部13に記憶されている学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成してもよい。
【0078】
実施形態2.
第2の実施形態の要求案生成装置は、第1の実施形態の要求案生成装置と同様の動作を行う。さらに、第2の実施形態の要求案生成装置は、ユーザとしての判断力(要求案を採用するか否かの判断力)を十分に有していない者(以下、新人と記す。)に対して、要求案生成装置が保持するデータを閲覧させることによって、新人の判断力を向上させる。要求案を採用するか否かの判断力を向上させるためのデータを教育用データと記す。なお、他部門から異動してきた者も新人に含まれるものとする。
【0079】
教育用データは、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組である。
【0080】
図4は、本発明の第2の実施形態の要求案生成装置の構成例を示すブロック図である。第2の実施形態の要求案生成装置1は、ユーザ要求入力部11と、外部データ取得部12と、学習データ記憶部13と、機械学習部14と、モデル記憶部30と、要求案生成部15と、要求案出力部16と、採否情報入力部17と、処理結果入力部18と、学習データ追加部19と、教育用データ追加部21と、教育用データ記憶部22と、表示制御部23とを備える。
【0081】
第1の実施形態の要求案生成装置が備える要素と同様の要素については、
図2に示す符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0082】
ただし、第2の実施形態では、ステップS1~S3の後のステップS4(
図3参照)で、採否情報入力部17に、採否情報とともに、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由が入力される。要求案が要求として採用された理由および要求案が要求として採用されなかった理由は、ユーザによってテキストデータとして入力される。この場合、採否情報入力部17は、例えばキーボード等の、テキストデータを入力可能な入力デバイスを含む。
【0083】
要求案が要求として採用された理由、および、要求案が要求として採用されなかった理由は、テキストデータで表現されるので、理由の内容を高い自由度で表すことができる。従って、要求案が要求として採用された理由や要求案が要求として採用されなかった理由として、「パラメータXの値がxであったので、要求案を採用した。」、「パラメータYの値がyであったので、要求案を採用しなかった。」等のような簡単な理由を入力することができる。あるいは、要求案が要求として採用された理由や要求案が要求として採用されなかった理由として、「撮像時刻が11月13日であり、一見採用すべきと思われるかもしれないが、パラメータAの値がaであったので、例外的に採用しなかった。」、「撮像時刻が11月15日であり、一見採用すべきではないと思われるかもしれないが、パラメータBの値がbであったので、例外的に採用した。」等のような複雑な理由を入力することもできる。
【0084】
教育用データ記憶部22は、教育用データを記憶する記憶装置である。具体的には、教育用データ記憶部22は、教育用データとして、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組を記憶する。
【0085】
教育用データ追加部21は、ユーザ要求が入力され、要求案生成部15によって要求案が生成された後に、ステップS4(
図3参照)で、採否情報(要求案が業務システムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報)とともに、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由が入力されると、ステップS1で入力されたユーザ要求、ステップS3で生成された要求案、ステップS4で入力された採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由を対応付けて、教育用データとして、教育用データ記憶部22に格納する。教育用データ追加部21が教育用データを教育用データ記憶部22に格納する処理は、複数回行われてよい。従って、教育用データ記憶部22には、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組が複数組、格納されていてよい。
【0086】
その他の点は、第1の実施形態の処理経過の例(
図3参照)と同様である。
【0087】
表示制御部23は、新人の端末(図示略)からの教育用データの要求に応じて、教育用データ記憶部22に格納されている教育用データ(すなわち、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組)を、その端末に送信することによって、その教育用データを新人の端末のディスプレイ装置に表示させる。新人は、自身の端末に表示された教育用データを閲覧することによって、要求案を採用するか否かの判断力を向上させる。
【0088】
表示制御部23は、例えば、要求案生成プログラムに従って動作するコンピュータのCPU、および、そのコンピュータの通信インタフェースによって実現される。例えば、CPUが、コンピュータのプログラム記憶装置等のプログラム記録媒体から要求案生成プログラムを読み込み、その要求案生成プログラムに従って、通信インタフェースを用いて、表示制御部23として動作すればよい。また、教育用データ追加部21は、例えば、要求案生成プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。例えば、CPUが上記のようにプログラム記録媒体から要求案生成プログラムを読み込み、その要求案生成プログラムに従って、教育用データ追加部21として動作すればよい。教育用データ記憶部22は、例えば、コンピュータが備える記憶装置によって実現される。
【0089】
次に、第2の実施形態の要求案生成装置が新人の端末に教育用データを表示させる場合の処理経過について説明する。
図5は、要求案生成装置が新人の端末に教育用データを表示させる場合の処理経過の例を示すフローチャートである。
【0090】
まず、表示制御部23は、通信ネットワークを介して、新人の端末から、教育用データの要求を受信する(ステップS21)。なお、新人の端末は、新人の操作に従って、教育用データの要求を送信すればよい。
【0091】
教育用データの要求を受信した後、表示制御部23は、教育用データ記憶部22に格納されている教育用データ(すなわち、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組)を読み込む。そして、表示制御部23は、通信ネットワークを介して、新人の端末にその教育用データを送信することによって、新人の端末に教育用データを表示させる(ステップS22)。
【0092】
ステップS22において、表示制御部23は、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、採否情報、および、要求案が要求として採用された理由または要求案が要求として採用されなかった理由の組を、複数組、新人の端末に表示させてもよい。
【0093】
新人は、自身の端末に表示された種々の教育用データを閲覧することによって、例えば、以下のような事項を把握し、要求案を採用するか否かの判断力を向上させることができる。
(a)どのような場合に要求案を採用し、どのような場合に要求案を採用しないのか。
(b)要求案を採用した理由、要求案を採用しなかった理由。
(c)例外的に要求案を採用するケース、例外的に要求案を採用しないケース。
【0094】
第2の実施形態の要求案生成装置は、第1の実施形態の要求案生成装置と同様の効果を有する。
【0095】
さらに、第2の実施形態では、表示制御部23が、新人の端末からの要求に応じて、教育用データを新人の端末に送信することによって、新人の端末に教育用データを表示させる。従って、新人は、その教育用データを閲覧することができる。その結果、新人の判断力(要求案を採用するか否かの判断力)を向上させ、新人を適切な判断力を備えるユーザ(要求者)に成長させることができる。
【0096】
さらに、教育用データに含まれる「要求案が要求として採用された理由」や「要求案が要求として採用されなかった理由」はテキストデータで表現されるので、理由の内容を高い自由度で表すことができる。従って、複雑な内容の理由も教育用データに含めることができ、新人の判断力をより向上させることができる。
【0097】
上記の各実施形態では、要求案生成部15が、ユーザ要求および外部データをモデルに適用することによって、1つの要求案を生成する場合を示した。上記の各実施形態において、要求案生成部15は、ユーザ要求および外部データをモデルに適用することによって、複数の要求案を生成してもよい。
【0098】
図6は、本発明の各実施形態の要求案生成装置1に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、例えば、CPU1001と、主記憶装置1002と、補助記憶装置1003と、インタフェース1004と、データ読み込み/書き込み装置1005と、キーボード1006と、通信インタフェース1007とを備える。ただし、コンピュータ1000の構成は、
図6に示す例に限定されない。
【0099】
本発明の各実施形態の要求案生成装置1は、コンピュータ1000によって実現される。要求案生成装置1の動作は、プログラム(要求案生成プログラム)の形式で補助記憶装置1003に記憶されている。CPU1001は、そのプログラムを補助記憶装置1003から読み出し、そのプログラムを主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って、上記の各実施形態で説明した処理を実行する。
【0100】
補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の例である。一時的でない有形の媒体の他の例として、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory )、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory )、半導体メモリ等が挙げられる。また、プログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000がそのプログラムを主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って上記の各実施形態で説明した処理を実行してもよい。
【0101】
また、各構成要素の一部または全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各構成要素の一部または全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0102】
各構成要素の一部または全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0103】
次に、本発明の概要について説明する。
図7は、本発明の要求案生成装置の概要を示すブロック図である。本発明の要求案生成装置は、外部データ取得手段72と、要求案生成手段75とを備える。要求案生成装置は、所定のシステム(例えば、衛星システム等の業務システム)に入力される要求の案である要求案を生成する。
【0104】
外部データ取得手段72(例えば、外部データ取得部12)は、ユーザが所定のシステムに実行させたい処理の内容を示す情報であるユーザ要求が入力されると、所定のシステムに応じて予め定められている所定のデータである外部データを、ユーザ要求の内容に従って取得する。
【0105】
要求案生成手段75(例えば、要求案生成部15)は、予め機械学習によって生成されたモデルに、ユーザ要求および外部データを適用することによって、要求案を生成する。
【0106】
そのような構成によって、ユーザの違いによる要求の内容のばらつきを抑えることができる。
【0107】
また、過去に入力されたユーザ要求、そのユーザ要求に応じて生成された要求案、その要求案が所定のシステムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報、その要求案が要求として採用された場合における所定のシステムの処理結果、および、その要求案が要求として採用された場合における処理結果の評価を含む過去実績と、その過去実績に対応する外部データとを学習データとして、モデルを、機械学習によって生成する機械学習手段(例えば、機械学習部14)を備える構成であってもよい。
【0108】
機械学習手段が、新たに、過去実績およびその過去実績に対応する外部データが学習データに追加された場合に、過去実績およびその過去実績に対応する外部データが追加された学習データを用いて、機械学習によって新たなモデルを生成し直し、既存のモデルを新たなモデルに更新する構成であってもよい。
【0109】
ユーザ要求が入力され、要求案が生成された後に、その要求案が所定のシステムに対する要求として採用されたか否かを示す採否情報と、要求案が採用された理由または要求案が採用されなかった理由とがユーザによって入力された場合に、ユーザ要求と、要求案と、採否情報と、要求案が採用された理由または要求案が採用されなかった理由とを対応付けて、所定の記憶手段(例えば、教育用データ記憶部22)に格納する追加手段(例えば、教育用データ追加部21)と、所定の端末(例えば、新人の端末)からの要求に応じて、所定の記憶手段に格納されている、ユーザ要求と、要求案と、採否情報と、要求案が採用された理由または要求案が採用されなかった理由とを、所定の端末に表示させる表示制御手段(例えば、表示制御部23)とを備える構成であってもよい。
【0110】
要求案が採用された理由および要求案が採用されなかった理由は、テキストデータで表現されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、業務システムに入力される要求の案である要求案を生成する要求案生成装置に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 要求案生成装置
11 ユーザ要求入力部
12 外部データ取得部
13 学習データ記憶部
14 機械学習部
15 要求案生成部
16 要求案出力部
17 採否情報入力部
18 処理結果入力部
19 学習データ追加部
21 教育用データ追加部
22 教育用データ記憶部
23 表示制御部